(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】床点検口及び床点検口の施工方法
(51)【国際特許分類】
E04F 19/08 20060101AFI20231110BHJP
【FI】
E04F19/08 101B
(21)【出願番号】P 2020027885
(22)【出願日】2020-02-21
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000110479
【氏名又は名称】ナカ工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【氏名又は名称】村田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100166327
【氏名又は名称】舟瀬 芳孝
(74)【代理人】
【識別番号】100106644
【氏名又は名称】戸塚 清貴
(72)【発明者】
【氏名】来栖 徳治
(72)【発明者】
【氏名】林 徹
(72)【発明者】
【氏名】永谷 有弘
(72)【発明者】
【氏名】細谷 秀靖
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】特公平03-011348(JP,B2)
【文献】実公平03-003707(JP,Y2)
【文献】特開平03-039564(JP,A)
【文献】特公平03-003787(JP,B2)
【文献】米国特許第04899506(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/08
E02D 29/00
E02D 29/045-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角形状の点検開口を区画する外枠と、該外枠内に着脱可能に嵌挿される蓋体とが備えられている床点検口において、
前記外枠の少なくとも2辺の外枠構成材に、躯体に植設された固定部材に取付けられると共に該外枠構成材の内反りを規制する第1固定片がそれぞれ備えられ、
各前記第1固定片が、各前記外枠構成材の長手方向中央部に備えられている、
ことを特徴とする床点検口。
【請求項2】
請求項1において、
前記外枠における対向する2辺の外枠構成材に、躯体に植設された固定部材に取付けられると共に前記外枠の高さ及び姿勢の調整を行う第2固定片が備えられ、
前記第2固定片は、前記対向する2辺の外枠構成材の長手方向両側部にそれぞれ備えられている、
ことを特徴とする床点検口。
【請求項3】
請求項2において、
各前記第1固定片及び各前記第2固定片が、前記外枠から遠のく方向に延びた帯状形状に形成され、
各前記第1固定片及び各前記第2固定片の先端部には、前記固定部材が挿通される長孔又は切欠がそれぞれ形成されている、
ことを特徴とする床点検口。
【請求項4】
請求項2~3のいずれか1項において、
前記固定部材が、躯体に植設されるアンカー部材であり、
各前記第1固定片及び各前記第2固定片は、前記アンカー部材において上下方向に移動調整可能とされる連結部により該アンカー部材に固定される、
ことを特徴とする床点検口。
【請求項5】
請求項4に記載の床点検口の施工方法であって、
前記躯体に前記アンカー部材を植設し、前記外枠の第1固定片及び第2固定片を、前記連結部により前記アンカー部材にそれぞれ取付け、
次に、前記第2固定片と前記連結部とによって前記外枠の高さ及び姿勢を調整し、
次に、前記外枠の高さ及び姿勢の維持を図りつつ、前記アンカー部材に対する前記第1固定片の固定位置を
前記連結部により調整し、
次に、前記外枠の周囲に床仕上げ材料を充填して床仕上げを行う、
ことを特徴とする床点検口の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床点検口及び床点検口の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
屋内外の床面には、床下を点検できるようにすべく、床点検口が設けられている。床点検口には、外枠と、その外枠内に嵌挿される蓋体とが備えられ、外枠は、床面に配置固定され、蓋体は、その外枠内に対して着脱可能に配置される。
【0003】
このような床点検口を床面に設置するには、特許文献1に示すように、床点検口の設置位置周囲の躯体に複数のアンカー部材を植設する一方、外枠として、複数の固定片を取付けたものを用意し、その外枠の各固定片を、躯体における各アンカー部材にそれぞれ取付けることが行われる。しかもこの場合、その複数の各固定片が外枠の四隅にそれぞれ取付けられていると共に、各アンカー部材が、固定片の取付け高さ位置を調整できる構成とされており、外枠は、その複数の各固定片と複数の各アンカー部材とを利用して、その外枠の高さ及び姿勢(勾配)について調整が行われる。外枠がこのように調整配置されると、その外枠の周囲にモルタル等の床仕上げ材料が充填され、床仕上げが行われる。これにより、外枠は、床面上に設置されることになり、その外枠に、その外枠の開口を開閉する蓋体を組み付けることにより床点検口が構成される。
【0004】
ところで、近時、建造物(特に大規模建造物)の工事中において、床点検口の施工中(モルタル等の充填時)、施工後(モルタル等の充填後)であっても、外枠に対して蓋体を嵌挿することなく、外枠の開口を外部に開放した状態に維持する傾向にある。外枠の開口(点検開口)を通じて床下の利用を図るためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の場合、外枠が、その内部に底板が存在しない基本構成(開口を有する構成)を取らなければならないことに加え、その高さ及び姿勢(勾配)調整の容易化のために外枠の四隅に固定片を設ける構造となっており、この状況で上記のように、外枠の各固定片を各アンカー部材に固定後、外枠の周囲にモルタル等の床仕上げ材料を充填すると(モルタル等打設時)、床仕上げ材料内に巣ができないように床仕上げ材料を押し込まなければならない関係上、外枠には外部から内部に向けて押圧力が作用することになる。このため、外枠の各外枠構成材は、両端支持はりのように、外枠の内方に向けて撓み、その撓み量は各外枠構成材の長手方向中央部において最も大きくなる(後述の
図9も参照)。この結果、各外枠構成材の撓みが所定限度を超えた場合には、外枠内に対して蓋体を嵌挿しようとしても、外枠内に蓋体を嵌挿することができず、また、外枠に対して蓋体を嵌挿できたとしても、蓋体を外枠から取り外すことができなくなるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、外枠の開口を外部に開放しつつ、その外枠の周囲に床仕上げ材料を充填することにより床面を形成する場合であっても、外枠に対する蓋体の開閉に支障を来すことがないようにすることができる床点検口を提供することにある。
第2の目的は、外枠の開口を外部に開放しつつ、その外枠の周囲に床下仕上げ材料を充填することにより床面を形成する場合であっても、外枠に対する蓋体の開閉に支障を来すことがないようにすることができる床点検口の施工方法を提供することにある。
【0008】
前記第1の目的を達成するために本発明にあっては、下記(1)~(4)とした構成とされている。
【0009】
(1) 四角形状の点検開口を区画する外枠と、該外枠内に着脱可能に嵌挿される蓋体とが備えられている床点検口において、
前記外枠の少なくとも2辺の外枠構成材に、躯体に植設された固定部材に取付けられると共に該外枠構成材の内反りを規制する第1固定片がそれぞれ備えられ、
各前記第1固定片が、各前記外枠構成材の長手方向中央部に備えられている構成とされている。
【0010】
この構成によれば、外枠における少なくとも2辺の外枠構成材において、その各外枠構成材の長手方向中央部が、第1固定片及び固定部材を介して躯体にそれぞれ固定されることになり、外枠の周囲に床仕上げ材料としてのモルタル等が打設され、押圧力が各外枠構成材の長手方向内方側部分に作用するとしても、外枠における少なくとも2辺の外枠構成材が外枠の内方に向けて撓むことを抑え、外枠(点検開口)が変形することを抑制することができる。このため、当該床点検口においては、外枠の開口を外部に開放した状態で、その外枠の周囲に床仕上げ材料としてのモルタル等が充填されるとしても、その外枠により蓋体の開閉に支障を来すことを抑制することができる。
【0011】
(2)前記(1)の構成の下で、
前記外枠における対向する2辺の外枠構成材に、躯体に植設された固定部材に取付けられると共に前記外枠の高さ及び姿勢の調整を行う第2固定片が備えられ、
前記第2固定片は、前記対向する2辺の外枠構成材の長手方向両側部にそれぞれ備えられている構成とされている。
【0012】
この構成によれば、外枠の四隅が、対向する2辺の各外枠構成材の長手方向両側部にそれぞれ備えられている第2固定片及びアンカー部材を介して躯体に固定されると共に、その外枠四隅に配置される各第2固定片を利用することにより、外枠の高さ及び姿勢の調整を的確に行うことができる。
【0013】
(3)前記(2)の構成の下で、
各前記第1固定片及び各前記第2固定片が、前記外枠から遠のく方向に延びた帯状形状に形成され、
各前記第1固定片及び各前記第2固定片の先端部には、前記固定部材が挿通される長孔又は切欠がそれぞれ形成されている構成とされている。
【0014】
この構成によれば、帯状形状の各第1固定片及び各第2固定片、さらには、その各第1固定片及び各第2固定片に形成されている長孔又は切欠を利用して、各第1固定片及び各第2固定片を固定部材に取付けることができ、外枠を躯体に具体的且つ容易に固定することができる。
【0015】
(4)前記(2)~(3)のいずれかの構成の下で、
前記固定部材が、躯体に植設されるアンカー部材であり、
各前記第1固定片及び各前記第2固定片は、前記アンカー部材において上下方向に移動調整可能とされる連結部により該アンカー部材に固定される構成とされている。
【0016】
この構成によれば、外枠の四隅に取付けられる各第2固定片と、その各第2固定片をアンカー部材に連結する連結部とにより、外枠の高さ及び姿勢の調整を具体的に行うことができ、各第1固定片とその各第1固定片を連結するアンカー部材(連結部)とにより、上記調整された外枠の高さ及び姿勢の維持を図りながら、その外枠における各外枠構成材の長手方向中央部を躯体に固定することができる。このため、具体的に、外枠の高さ及び姿勢を調整することができると共に、その調整された外枠の高さ及び姿勢の維持を図りながら、外枠における各外枠構成材の撓みによって該外枠の外形が変化することを抑制することができる。
【0017】
前記第2の目的を達成するために本発明にあっては、下記(5)とした構成とされている。
【0018】
(5)前記(4)の構成の床点検口の施工方法であって、
前記躯体に前記アンカー部材を植設し、前記外枠の第1固定片及び第2固定片を、前記連結部により前記アンカー部材にそれぞれ取付け、
次に、前記第2固定片と前記連結部とによって前記外枠の高さ及び姿勢を調整し、
次に、前記外枠の高さ及び姿勢の維持を図りつつ、前記アンカー部材に対する前記第1固定片の固定位置を前記連結部により調整し、
次に、前記外枠の周囲に床仕上げ材料を充填して床仕上げを行う構成とされている。
【0019】
この構成によれば、前述の(4)の作用効果を得ることができる床点検口を提供できると共に、その床点検口を施工するに際して、外枠として、該外枠の各外枠構成材に第1、第2固定片が予めそれぞれ備えられているものが用いられることに基づき、外枠の配置により第1、第2固定片を一挙に所定位置に配置できることになり、外枠設置作業の作業性を高めることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、外枠の開口を外部に開放しつつ、その外枠の周囲に床仕上げ材料を充填することにより床面を形成する場合であっても、外枠に対する蓋体の開閉に支障を来すことがないようにすることができる床点検口及び床点検口の施工方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態に係る床点検口において、外枠の開口を蓋体が閉じている状態を示す斜視図。
【
図2】第1実施形態に係る床点検口において、ハンドルを用いて蓋体を持ち上げることにより外枠の開口を開いた状態にしたことを示す斜視図。
【
図3】第1実施形態に係る床点検口を示す部分縦断面図。
【
図5】第1実施形態に係る外枠の取付けを説明する説明図。
【
図6】第1実施形態に係る外枠が設置位置(コンクリート基盤)に取付けられた状態を示す斜視図。
【
図7】第1実施形態に係る外枠が、固定片及びアンカーボルトを介してコンクリート基盤に取付けられている状態(床仕上げ材料としてのモルタル充填前)を示す拡大断面図。
【
図8】
図7の状態から、外枠の周囲に床仕上げ材料としてのモルタルを充填した状態に移行したことを説明する状態説明図。
【
図9】外枠の各外枠構成材の長手方向中央部が固定片を介してコンクリート基盤に固定されていない場合において、その外枠の周囲に床仕上げ材料としてのモルタルを充填したときに、各外枠構成材が撓むことを説明する説明図。
【
図11】第3実施形態に係る床点検口を示す部分縦断面図。
【
図12】外枠の周囲に床仕上げ材料としてのモルタルを充填した状態に移行したことを説明する状態説明図。
【
図13】第3実施形態に係る外枠に対する高さ及び姿勢の調整を平面的に説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1、
図2において、符号1は、床面2に設置された床点検口を示す。この床点検口1には、建造物・構造物の床面2に配置固定される外枠3と、その外枠3内に対して着脱可能に嵌挿される蓋体4とが備えられている。外枠3は、床下開口5に臨む点検開口として正方形状(四角形状)の開口6を区画することになり、蓋体4は、その外枠3の開口6に応じて正方形状の板状体として形成されている。この場合、蓋体4については、その上面にハンドル用の2つのねじ込み穴7が設けられており、その各ねじ込み穴7にハンドル8をねじ込んで、その両ハンドル8をもって蓋体4を移動操作(開閉操作)することにより、外枠3の開口6が開閉される(
図2参照)。尚、各ねじ込み穴7は、平常時において、その各ねじ込み穴7に例えばねじ込み蓋材を螺合することにより閉止される。
【0024】
前記外枠3は、
図1、
図2、
図5、
図6に示すように、4つの外枠構成材9を用いて構成されている。この4つの各外枠構成材9には、所定幅で一定長さ(外枠3の一辺長さ)を有するアルミ押出形材などが用いられており、それらを互いに連結することにより、外枠3は、正方形状の前記開口6を内部に区画する枠体を形成している。
【0025】
前記外枠3の4つの各外枠構成材9は、
図2、
図3、
図5、
図6に示すように、外枠3の4つの各側壁部10を構成する。各側壁部10は、各外枠構成材9の板面を外枠3の側方に向けることにより形成されており、その各側壁部10には、側壁部10の主体をなす傾斜壁部11と、その傾斜壁部11の上部に連続して設けられる上部構成部12と、その傾斜壁部11の下部に連続して設けられる下部構成部13と、が備えられている。傾斜壁部11の少なくとも内面11aは、外枠3の上部と下部との間において、上方に向かうに従って外枠3の開口6が拡がるように傾斜されており、その傾斜角度は、起立状態(後述の底板部30に対して直角となる状態)にあるとした場合の方向を基準(線)として、θ1とされている(
図4参照)。
【0026】
上部構成部12には、
図3に示すように、傾斜壁部11上端から外枠3外方(側方)に向けて張り出す第1支持部14と、その第1支持部14先端から起立する起立壁部15と、起立壁部15の上端からさらに外枠3外方に張り出す張り出し部16と、その張り出し部16の先端部から下方に垂下する垂下部17と、が備えられている。第1支持部14は、その上面14aが蓋体4の上部外周縁部(後述の環状溝部32)及び後述のパッキング材33を介して作用する蓋体4の荷重を受止める役割を果たし、第1支持部14、起立部15、張り出し部16及び垂下部17は、協働して、外枠3の上部強度を補強する役割を果たす。
【0027】
下部構成部13には、
図3に示すように、傾斜壁部11の下端から外枠3内方に向けて水平に伸びる第2支持部18と、その第2支持部18先端から下方に折曲される折曲部19とが備えられている。第2支持部18の上面18aは、後述のパッキング材33が蓋体4の荷重を受けて変形することに伴い、蓋体4が下方へ移動することを所定位置で規制する役割(ストッパとしての役割)を果たす。また、第2支持部18と折曲部19とは、外枠3の下部強度を補強する役割を果たす。この場合、下部強度を高める観点から、折曲部19先端からさらに第1支持部14に対向するように新たな折曲部を設けることがより好ましいが、本実施形態においては、後述のモルタル27(床下仕上げ材料)の充填を、内部に巣を作ることなく円滑に行う観点から、その新たな折曲部は省かれている。
【0028】
前記外枠3の各外枠構成材9(各傾斜壁部11)の外面には、
図3~
図6に示すように、その長手方向中央部において第1固定片20Aがそれぞれ取付けられている。各第1固定片20Aは、帯状形状をしており、その各第1固定片20Aの基端部板面が傾斜壁部11外面に固定されている。各第1固定片20Aの基端部よりも先端側は、その基端部に対して折曲されて、その板面を上下方向に向けつつ(水平な状態で)傾斜壁部11外面から遠のく方向に伸びており、その各第1固定片20Aの先端部には、長孔21Aが該第1固定片20Aの先端から外部に開放された状態で形成されている。尚、長孔21Aにかえて、丸孔、ルーズホール、切欠などが適宜利用可能である。
【0029】
前記外枠3の設置位置周辺下部(床下開口5の周囲)には、
図3~
図6に示すように、躯体としてのコンクリート基盤22が配置され、そのコンクリート基盤22には、アンカー部材としての複数の第1アンカー23Aのねじ棒24Aが植設されている。コンクリート基盤22形成時に、インサートナットを埋め込んでおき、寸切りボルト(ねじ棒24A)を螺合することで第1アンカー23Aをなす。各第1アンカー23Aは、一端部がコンクリート基盤22にねじ込まれ他端側が上方に伸びるねじ棒24Aと、そのねじ棒24Aに螺合される一対のナット25A(連結部)と、を備える構成とされており、このような第1アンカー23Aは、外枠3の各外枠構成材9の側方外方であって、各外枠構成材9の長手方向中央部に対向する位置にそれぞれ設置されている。この各第1アンカー23Aのねじ棒24Aは、
図7に示すように、コンクリート基盤22上(外枠3の周囲)に床仕上げ材料としてのモルタル27が充填される前に、各第1固定片20Aにおける長孔21Aに対してその各第1固定片20Aの先端開口から挿通され、その各第1固定片20Aが、ねじ棒24Aに螺合される一対のナット(連結部)25Aにより挟持(連結)される。これにより、外枠3が各第1固定片20A、各第1アンカー23Aを介してコンクリート基盤22に固定されることになり、仮に、外枠3の各外枠構成材9が、その両端を固定端として外枠3の内方に撓もうとしても、各第1アンカー23Aにおける一対のナット25Aが各第1固定片20Aを挟持する挟持力が、その撓み力を引っ張り止めることになる。
【0030】
前記外枠3の外枠構成材9には、
図5、
図6に示すように、外枠3における四隅の各角部26を構成する2つの外枠構成材9のいずれかにおいて第2固定片20Bが取付けられている。各第2固定片20Bは、その第2固定片20Bが取付けられる外枠構成材9において、その外枠構成材9の長手方向中央部よりも角部26に近い位置に位置されており、本実施形態においては、対向する一組の各外枠構成材9の両端部(両側部)に第2固定片20Bが取付けられている(
図5、
図6参照)。この各第2固定片20Bは、前記第1固定片20Aと同様の構成とされており、この両者20A,20Bは、外枠3における各外枠構成材9に対する取付け位置だけが相違している。この各第2固定片20Bについても、前記第1アンカー23Aと同じ構成の第2アンカー23Bが用意されており、各第2アンカー23Bのねじ棒24Bは、各第2固定片20Bに対向した状態でコンクリート基盤22にそれぞれ植設されている。各第2固定片20Bにおける他端部の長孔21Bには、前記各第1アンカー23Aの場合と同様、コンクリート基盤22上(外枠3の周囲)にモルタル27が充填される前に、この各第2アンカー23Bのねじ棒24Bが挿通され、そのような状態になった各第2固定片20Bの他端部が、ねじ棒24Aに螺合される一対のナット25Bにより挟持される(
図7参照)。この場合、各ねじ棒24Bに螺合される一対のナット(連結部)25Bにより第2固定片20Bの高さ調整が行われ、その高さ調整により、外枠3の高さ及び姿勢(勾配)調整が行われる。各第2固定片20Bが外枠3の四隅に取付けられ、外枠3の高さ及び姿勢(勾配)調整を緻密に行うことができるからである。このため、前述の第1アンカー23Aに対する第1固定片20Aの連結固定については、第2固定片20Bによる外枠3の高さ及び姿勢(勾配)調整を行った後に、行うことが好ましい。
【0031】
上述のように位置決めされた前記外枠3(
図6、
図7参照)の周囲には、
図3に示すように床仕上げ材料としてのモルタル27が充填されている(モルタル27は充填後、硬化)。モルタル27の充填には、既知の如く、型枠が用いられ、そのモルタル27の充填により、そのモルタル27中に、各第1、第2アンカーボルト23A,23B、各第1、第2固定片20A,20Bが埋設され、そのモルタル27の上面が、床面2として仕上げられる。この外枠3の周囲にモルタル27を充填するときには(モルタル27打設時)、内部に巣ができないようにモルタル27が押し込まれる。このため、それに基づく押圧力が外枠3に外部から内部に向けて作用することになるが、外枠3における各外枠構成材9の長手方向中央部が、各第1固定片20A、各第1アンカー23Aを介してコンクリート基盤22に固定されていることから、外枠3の各外枠構成材9が、その両端を固定端として外枠3の内方に撓もうとすることが抑制される。これに対して、第1固定片20Aが外枠3の各外枠構成材9に設けられていない場合(第2固定片20Bだけが用いられている場合)には、
図9に示すように、各外枠構成材9は、外枠3の内方に向けて撓むことになる。
図9中の矢印はモルタル打設時の押圧力を示す。
【0032】
前記蓋体4は、
図1~
図4に示すように、箱状の内枠28と、その内枠28内に充填されるモルタル29(硬化物)とにより形成されている。蓋体4をモルタル29により適当な重量とし(例えば重さ30kg程度)、前述のハンドル8を用いなくては外枠3の開口6を開くことができないようにすると共に、後述のパッキング材33を圧縮変形させて、外枠3内面と蓋体4側面との間のシール性を確保するためである。
【0033】
具体的に
図3、
図4により説明する。前記蓋体4の内枠28は、底板部30と、その底板部30の周縁部から傾斜した状態で起立する傾斜壁部31と、その傾斜壁部31上端から内枠28外方(側方)に張り出して上部外周縁部を形成する環状溝部32と、その環状溝部32内に収納保持される弾性シール材としてのパッキング材33と、を備えている。底板部30は、傾斜壁部31と協働して、上方が開口した箱体を形成して、その内部にモルタル29を充填することを可能にする役割を果たす。この底板部30は、前記外枠3の第2支持部18上にその底板部30の下面外周縁部が載置できる程度の広さを有している。
【0034】
傾斜壁部31は、底板部30の周縁部から、上方に向かうに従って内枠28の上部開口を拡げるように傾斜(起立)されている。その傾斜角度は、起立状態(後述の底板部30に対して直角となる状態)にあるとした場合の方向を基準(線)としてθ2とされ、そのθ2は前記外枠3の傾斜壁部11の傾斜角度θ1よりも大きくなるように設定されている(
図4においては、誇張表示)。この結果、傾斜壁部31の外面31aは、外枠3における傾斜壁部11の内面11aに対向しつつ、下方に向かうに従ってその傾斜壁部内面11aとの間隔が拡がるように傾斜することになる。
【0035】
環状溝部32は、傾斜壁部11の上端から上方に起立する内側側部34、その内側側部34の上端から内枠の外方に水平に張り出す張り出し部35と、その張り出し部35の張り出し端から下方に垂下する外側側部36とにより構成されている。この環状溝部32は、その構成により、下方を向く環状溝37を形成しており、その環状溝37の開口は、蓋体4が外枠3の開口6を閉じるときに、外枠3の第1支持部14の上面14a上に臨むように設定されている(
図3、
図4参照)。この場合、蓋体4における傾斜壁部31と内側側部34とがなす角部の位置は、第1支持部14の上面14a位置(外枠3における傾斜壁部11と第1支持部14とがなす角部の位置)よりも低くなっている。これにより、外枠3内に蓋体4を正規の状態で嵌挿し易くすることができると共に、その外枠3内に蓋体4を嵌挿するに際して、環状溝部32の環状溝37内に収納保持されるパッキング材33を、第1支持部14上面14aに的確に当接させることができ、外枠3内上部と蓋体4上部外周縁部との間のシール性能を的確に確保できる。また、環状溝部32は、各傾斜壁部31の外反りを規制する補強部材としての役割を果たす。
【0036】
パッキング材33は、蓋体4の環状溝37内に保持された状態で、該環状溝37内から下方に突出している。このパッキング材33は、蓋体4により外枠3の開口6が閉じられたときに、蓋体4と外枠3とのシール性を担保するものであり、そのときには、パッキング材33は、外枠3の第1支持部14の上面14aに当接するだけでなく、蓋体4の重量により圧縮変形される。これにより、蓋体4の上部外周縁部をなす環状溝部32と第1支持部14の上面14aとの間において、シール性が高められ、外枠3内に、水、ゴミ等が進入することが抑制される。またこのパッキング材33の圧縮変形に伴い、蓋体4が外枠3内を下方に変位動し、その蓋体4における底板部30の外周縁部が外枠3の第2支持部18に当接することになっており、蓋体4は、それ以上の変位動が規制されることになっている。このため、上記パッキング材33には、蓋体4の環状溝部32を介して常に所定荷重(設定荷重)が作用することになり、シール性能は、一定の高い状態が維持されることになる。このとき、蓋体4の荷重(自重)を利用してパッキング材33を圧縮変形させることから、蓋体4を外枠3内に押し込むための押し込み装置を特別に用意する必要がなくなり、構造を簡素化することができる。
【0037】
またこのとき、外枠3の傾斜壁部内面11aの傾斜角度θ1よりも蓋体4の傾斜壁部外面31aの傾斜角度θ2が大きいことから、蓋体4により外枠3の開口6が閉じられるとき、蓋体4の傾斜壁部外面31aが外枠3の傾斜壁部内面11aに噛み合ったり、蓋体4がゴミ等を噛み込んだりしない。このため、蓋体4は外枠3内に正規の状態で嵌挿され、蓋体4の荷重は的確にパッキング材33に伝達される。結果、前述のように、蓋体4は、パッキング材33の圧縮変形に基づき第2支持部上面18aに当接するまで変位動し、パッキング材33に対して所定荷重(設定荷重)が確実に作用することになる(蓋体4と外枠3との間のパッキング材33によるシール性能が、一定の高い状態を維持)。
【0038】
このような床点検口1は、次の手順で施工される。先ず、前述の外枠3(複数の第1、第2固定片20A,20Bを備えるもの)を用意する一方で、コンクリート基盤22に、外枠設置位置の周囲(所定位置)において、複数の第1、第2アンカー23A,23Bを植設する。次に、外枠3を外枠設置位置に配置し、外枠3の各第1、第2固定片20A,20Bを各第1、第2アンカー23A,23Bにそれぞれ取付ける(
図5参照)。この後、外枠3の周囲に床仕上げ材料としてのモルタル27を充填し、床仕上げを行う。この場合、外枠3の開口6を開いた状態でその外枠3の周囲にモルタル27を充填するとしても、外枠3の各外枠構成材9が第1固定片20A等により撓まないことは、前述の通りである。この床仕上げ工程を終えると、外枠3内に蓋体4を嵌挿することが可能となる。
【0039】
したがって、このような床点検口1においては、外枠3の各外枠構成材9の長手方向中央部がコンクリート基盤22に第1固定片20Aを介して固定されていることから、外枠3の開口6が開かれた状態(蓋体4により閉められていない状態)でその周囲に床仕上げ材料としてのモルタル27が打設され、押圧力が各外枠構成材9の長手方向内方側部分に作用するとしても、各外枠構成材9が外枠3の内方に向けて撓むことを抑制できる。これにより、外枠3に対する蓋体4の開閉に支障を来すことがなくなり、建築物、構造物の施工中に、外枠3の開口6を開いていても、外枠3に対する蓋体4の開閉に支障を来すという問題は生じなくなる。
【0040】
また、この床点検口1においては、外枠3の傾斜壁部内面11aの傾斜角度θ1よりも蓋体4の傾斜壁部外面31aの傾斜角度θ2が大きいことから、蓋体4により外枠3の開口6を閉じるとき、蓋体4の傾斜壁部外面31aと外枠3の傾斜壁部内面11aとの間にゴミ等を噛み込んだり、傾斜壁部外面31aと傾斜壁部内面11aとが、蓋体4の外枠3への嵌挿状態に応じて噛み合ったりすることはなくなる。このため、蓋体4を外枠3内に嵌挿するときには、その嵌挿が正規な状態となり、蓋体4の荷重がその蓋体4の環状溝部32を介してパッキング材33に作用し、パッキング材33は確実に圧縮変形される。これにより、蓋体4を外枠3内に嵌挿するときには、外枠3と蓋体4との間のシール性能をいつでも的確に確保できることになり、シール性能が、外枠内への蓋体の嵌挿状態(正規でない状態)に応じて低下することを防止できる。
【0041】
しかもこの場合、上記パッキング材33の圧縮変形に伴い、蓋体4の底板部30が第2支持部18に当接するまで変位し、パッキング材33には、蓋体4の荷重のうちの所定荷重(設定荷重)が確実に作用する。このため、蓋体4を外枠3内に嵌挿したときには、パッキング材33の圧縮変形を一定として、そのシール性能を、一定の高い状態に維持できる。
【0042】
さらに、外枠3の傾斜壁部11が傾斜され、その傾斜壁部11がモルタル27により支えられることから、外枠3は、傾斜壁部11を傾斜させない場合(直立の場合)よりも広い面をもってモルタル27により受止められることになり、蓋体4が重量物であっても、その蓋体4を外枠3に的確に支持させることができる(外枠3の脱落防止)。
【0043】
図10は第2実施形態、
図11~
図14は第3実施形態を示す。各実施形態において、前記第1実施形態と同一構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0044】
図10に示す第2実施形態は、床下開口5を区画するものとして、コンクリート基盤22に代えて木枠22Bが用いた場合を示している。この第2実施形態においては、木枠22Bに、床下開口5の周囲において複数の第1、第2アンカー23A,23Bが取付けられ、外枠3の各外枠構成材9が、各第1、第2固定片20A,20B、第1、第2アンカー23A,23Bを介して木枠22Bに固定される。この場合、外枠3の第2支持部18及び折曲部19が木枠22Bの上部内側角部40にあてがわれ、木枠22Bに対する外枠3の位置決めのために、第2支持部18及び折曲部19はガイドとして用いられる。これにより、床点検口1の施工を容易にすることができる。この場合も、外枠3の位置決め後、外枠3の周囲にモルタル27が充填されるなど、様々な方法により床面2が形成される。
【0045】
図11~
図14に示す第3実施形態は、コンクリート基盤22に対する外枠3の取付け方法の変形例を示す。この第3実施形態においても、前記第1実施形態と同様、帯状形状の第1固定片20A及び第2固定片20Bが用いられる(
図13参照)。
【0046】
本実施形態においては、
図11に示すように、前記第1、第2実施形態とは異なり、第1固定片20A及び第2固定片20Bの各基端部41が外枠3における第1支持部14の下面にそれぞれ取付けられている。そして、その各基端部41よりも先端部42にかけては、その各基端部41から一定長さの中間部分43が第1支持部14の下方に伸びるように折曲され、その中間部分43を超えた先端側部分44が、外枠3横方向外方に遠のいて伸びるように折曲されている。このため、このような外枠3が設置位置に配置されたときには(モルタル27の充填前には)、
図11、
図12に示すように、各第1固定片20A及び各第2固定片20Bは、その中間部分43が上下方向に伸び、先端側部分44が、外枠3の横方向外方に向けて、コンクリート基盤22に沿って伸びる。
【0047】
前記外枠3の設置位置周辺下部(床下開口5の周囲)には、
図11に示すように、コンクリート基盤22が配置され、そのコンクリート基盤22には、固定部材としての複数のねじ棒24が植設されている。この複数の各ねじ棒24は、外枠3における各第1固定片20A(各第2固定片20B)の先端部42が固定される対象としての役割を有しており、この複数のねじ棒24としては、部品の共通化を図る観点から、前記第1、第2実施形態に係る第1、第2アンカー23A,23Bのねじ棒24A,24Bが利用されている。このため、外枠3が設置位置に所定状態にあるようにされたときには(
図11、
図12において、モルタル27の充填前の状態)、その外枠3における各第1固定片20A(各第2固定片20B)の先端部42が各ねじ棒24に至り、その各第1固定片20A(各第2固定片20B)の先端部42における長孔21A内にはその先端開口を介して各ねじ棒24が入ることになる。この状態の下で、各第1固定片20A(各第2固定片20B)の先端部42と各ねじ棒24とが固定されている。この場合、本実施形態において、第1実施形態に係る第1、第2アンカー23A,23B(ねじ棒24A,24B)を利用することに着目し、ねじ棒24にナット25、25を螺合させ、そのナット25、25をもって、各ねじ棒24に対する各第1固定片20A(各第2固定片20B)の固定の補強が図られる。このナット25、25による補強を図るに際しては、各第1固定片20A(各第2固定片20B)の先端部42とねじ棒24とを固定した後、ナット25、25により各第1固定片20A(各第2固定片20B)の先端部42を挟持してもよいし、ナット25、25により各第1固定片20A(各第2固定片20B)の先端部42を挟持した後、その第1、第2固定片20A,20Bの先端部42をねじ棒24に固定してもよい。勿論この場合、ナット25、25を省いてもよい。
【0048】
上記各第1固定片20A(各第2固定片20B)の先端部42を各ねじ棒24に固定するに先立ち、外枠3の高さ及び姿勢の調整が行われる。具体的に、
図13、
図14に基づき説明する。
【0049】
床点検口1が設けられる床下構造は、一般に、床部46に凹部47が形成され、その凹部47の底面47aには、その凹部底面47aよりも縮小された前記床下開口5が形成されている。床部46上面と凹部底面47aとの間には段差48が形成され、凹部底面47aが前記コンクリート基盤22の上面として形成され、そのコンクリート基盤22の上面(凹部底面47a)に、床下開口5の周囲において、前述の如く、複数のねじ棒24が植設されている。
【0050】
このような床下構造の下で、外枠3の高さ及び姿勢の調整を行うべく、外枠3は、長尺な一対の支持部材49を利用して床下開口5の上方に所定状態で配置される。具体的には、外枠3の上側に、その対向する一組の外枠構成材9を跨ぐようにした状態で長尺な一対の支持部材49を取付けた上で、その各支持部材49を、凹部47を跨ぐように配置する。これにより、各支持部材49の端部を床部46上面上に位置させ、外枠3を床下開口5の上方に所定状態で配置させることができることになる(
図14参照)。この場合、長尺な一対の支持部材49が、対向する一組の外枠構成材9を跨いでいるのは、対向する他組の外枠構成材9の場合とは異なり、その一組の各外枠構成材9の両側部に第2固定片20Bが設けられておらず、各支持部材49の配置に支障を与えないからである。
【0051】
各支持部材49の端部を床部46上面上に位置させるに際しては、各支持部材49の端部と床部46上面との間にくさび部材50が介在される。各くさび部材50は、支持部材49の長手方向内方に向うに従って高さが低くなる斜面50aを有しており、その各くさび部材50を支持部材49の長手方向にスライドさせて、各くさび部材50の斜面50aに対する支持部材49の端部の位置を調整することにより、外枠3の高さ及び姿勢が調整される。この一対の支持部材49及びくさび部材50に基づく外枠3の高さ及び姿勢の調整が行われた上で、前述の各ねじ棒24に対する各第1固定片20A(各第2固定片20B)の先端部42の固定が行われる。これにより、外枠3は、床面に対して高さ及び姿勢の調整が行われたことになり、外枠3から一対の支持部材49が外される。
【0052】
このように高さ及び姿勢の調整が行われた外枠3の周囲には、
図11、
図12に示すように、前記第1、第2実施形態同様、床仕上げ材料としてのモルタル27が充填されている(モルタル27は充填後、硬化)。この外枠3の周囲にモルタル27が充填されるときにおいても(モルタル27打設時)、前述同様、押圧力が外枠3に外部から内部に向けて作用することになるが、外枠3における各外枠構成材9の長手方向中央部が、モルタル27の充填前に、各ねじ棒24に固定された各第1固定片20Aを介してコンクリート基盤22に固定されていることから、外枠3の各外枠構成材9が、その両端を固定端として外枠3の内方に撓もうとすることが抑制される。このため、この場合においても、外枠3の開口6を開いた状態でその外枠3の周囲にモルタル27が充填されるとしても、外枠3に対する蓋体4の開閉に支障を来すことはない。
【0053】
以上実施形態について説明したが本発明にあっては、次の態様を包含する。
(1)外枠3の周囲に、床仕上げ材料としてモルタル27に代えてコンクリートを充填すること。
(2)上述の実施形態に記載したように、各外枠構成材9に第1固定片を設けることが好ましいが、外枠3の角部を形成する2つ又は3つの外枠構成材9(の長手方向中央部)に第1固定片20Aをそれぞれ設けても良いこと。
(3)外枠3の傾斜壁部11を直立させること。
(4)第3実施形態において、各第1固定片20A(各第2固定片20B)の先端部42と各ねじ棒24とを固定するに際して、溶接による固定を用いること。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、外枠3の開口6を外部に開放しつつ、その周囲にモルタル27等を充填することにより床面2を形成する場合であっても、外枠3の開口6に対する蓋体4の開閉に支障を与えないことに利用できる。
【符号の説明】
【0055】
1 床点検口
2 床面
3 外枠
4 蓋体
6 外枠の開口(点検開口)
9 外枠構成材
10 側壁部
20A 第1固定片(固定片)
20B 第2固定片(固定片)
22 コンクリート基盤(躯体)
23A 第1アンカー(アンカー部材)
23B 第2アンカー(アンカー部材)
25A 一対のナット(連結部)
25B 一対のナット(連結部)
26 外枠の角部
27 モルタル(床仕上げ材料)
30 蓋体の底板部
31 蓋体の傾斜壁部