(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】振出キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/04 20060101AFI20231110BHJP
B65D 47/06 20060101ALI20231110BHJP
B65D 47/20 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
B65D47/04 100
B65D47/06 400
B65D47/20 300
(21)【出願番号】P 2020064143
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2022-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】星野 真弥
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-002750(JP,A)
【文献】特開2019-189273(JP,A)
【文献】特開2019-209989(JP,A)
【文献】特開2008-273567(JP,A)
【文献】実開平01-103549(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/04
B65D 47/06
B65D 47/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体に装着され、内容物を振り出す第1振出口が形成された天壁を有する有頂筒状のキャップ本体と、
第1ヒンジを介して回動可能に前記キャップ本体に一体に接続され、前記第1振出口を開閉する第1蓋部と、
折り曲げ部を介して折り曲げ可能に前記
天壁に一体に接続され、折り曲げ状態において前記天壁の下方で前記天壁に対向する邪魔板と、を備え、
前記邪魔板には、前記折り曲げ状態において、少なくとも一部が前記天壁に平面視で重なり合うとともに、前記容器本体内と前記第1振出口とを連通させる連通口が形成され
、
前記邪魔板の外周縁は、前記折り曲げ状態において、前記キャップ本体の周壁に係合されている振出キャップ。
【請求項2】
前記天壁には、前記第1振出口よりも開口面積が大きい第2振出口が形成され、
前記キャップ本体には、前記第2振出口を開閉する第2蓋部が、第2ヒンジを介して回動可能に前記キャップ本体に一体に接続され、
前記邪魔板の外周縁は、前記折り曲げ状態において、前
記周壁のうち、前記第2振出口とは反対側に位置する部分に係合されている請求項1に記載の振出キャップ。
【請求項3】
内容物が収容される容器本体に装着され、内容物を振り出す第1振出口が形成された天壁を有する有頂筒状のキャップ本体と、
第1ヒンジを介して回動可能に前記キャップ本体に一体に接続され、前記第1振出口を開閉する第1蓋部と、
折り曲げ部を介して折り曲げ可能に前記キャップ本体に一体に接続され、折り曲げ状態において前記天壁の下方で前記天壁に対向する邪魔板と、を備え、
前記邪魔板には、前記折り曲げ状態において、少なくとも一部が前記天壁に平面視で重なり合うとともに、前記容器本体内と前記第1振出口とを連通させる連通口が形成され、 前記第1蓋部は、
蓋折り曲げ部を介して前記キャップ本体に一体に接続された固定部と、
前記第1ヒンジを介して回動可能に前記固定部に一体に接続され、前記第1振出口を開閉する可動部と、を備え、
前記固定部には、前記邪魔板に係合されて、前記邪魔板を前記折り曲げ状態に保持する保持部が形成されてい
る振出キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振出キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
粒径の小さい内容物(例えば、粉体や粒体等)を振り出して供給する振出容器として、例えば下記特許文献1の構成が開示されている。この種の振出容器は、内容物が収容された容器本体に、複数の振出口を有する振出キャップが取り付けられて構成されている。
【0003】
上述した振出容器では、振出口が下向きになるように振出容器を傾けた状態で、振出容器を振ると、振出容器内の内容物が振出口を通して少量ずつ供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の振出容器にあっては、部品点数の削減や低コスト化を図った上で、内容物を所望の量でスムーズに供給することについて未だ改善の余地があった。例えば、振り出し容器では、振出口に向けてまとまった量の内容物が一気に流れ込んだ際、内容物の自重等の影響により、振出口の周辺で内容物が圧縮されて固まる可能性がある。この場合には、振出口が詰まり、内容物のスムーズな供給が阻害される可能性がある。
また、固まりになった内容物が仮に振出口を通過した場合には、内容物が所望の量よりも多く供給される可能性があった。
【0006】
本発明は、部品点数の削減や低コスト化を図った上で、内容物を所望の量でスムーズに供給できる振出キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
本発明の一態様に係る振出キャップは、内容物が収容される容器本体に装着され、内容物を振り出す第1振出口が形成された天壁を有する有頂筒状のキャップ本体と、第1ヒンジを介して回動可能に前記キャップ本体に一体に接続され、前記第1振出口を開閉する第1蓋部と、折り曲げ部を介して折り曲げ可能に前記天壁に一体に接続され、折り曲げ状態において前記天壁の下方で前記天壁に対向する邪魔板と、を備え、前記邪魔板には、前記折り曲げ状態において、少なくとも一部が前記天壁に平面視で重なり合うとともに、前記容器本体内と前記第1振出口とを連通させる連通口が形成され、前記邪魔板の外周縁は、前記折り曲げ状態において、前記キャップ本体の周壁に係合されている。
【0008】
本態様によれば、容器本体内の内容物は、例えば、邪魔板に衝突して分散された後、連通口を通過し、天壁と邪魔板との間の隙間を経て第1振出口に到達する。そのため、容器本体内の内容物が第1振出口に直接流れ込んで、第1振出口の周辺で内容物が圧縮されて固まるのを抑制し、第1振出口の目詰まりを抑制できる。したがって、第1振出口を通じて内容物をスムーズに供給することができる。
しかも、本態様では、連通口を通過した内容物のうち、少なくとも一部の内容物は天壁に衝突した後、第1振出口に到達する。このため、固まりになった内容物が仮に連通口を通過したとしても、天壁に衝突する際に粉砕され易くなる。これにより、内容物が第1振出口に直接到達する場合に比べ、所望の量の内容物を供給することができる。
そして、本態様では、振出キャップが一体に成形されているため、邪魔板を設けるにあたって別部品を用意する必要がない。そのため、部品点数の削減を図るとともに、振出キャップの成形に必要な樹脂量を削減して低コスト化を図ることができる。
【0009】
上記態様の振出キャップにおいて、前記天壁には、前記第1振出口よりも開口面積が大きい第2振出口が形成され、前記キャップ本体には、前記第2振出口を開閉する第2蓋部が、第2ヒンジを介して回動可能に前記キャップ本体に一体に接続され、前記邪魔板の外周縁は、前記折り曲げ状態において、前記周壁のうち、前記第2振出口とは反対側に位置する部分に係合されていることが好ましい。
本態様によれば、第2蓋部を開位置に移動させ、第2振出口を通じて内容物を供給することで、振り出し操作に伴う内容物の供給量を増やすことができる。この場合、開口面積が異なる第1振出口及び第2振出口を備えることで、内容物の供給量に応じて振出口を選択することができるので、使い勝手を向上させることができる。
また、本態様では、邪魔板の折り曲げ状態において、邪魔板の外周縁が周壁のうち第2振出口とは反対側に位置する部分に邪魔板が係合される。そのため、邪魔板を折り曲げ状態に維持し易くなるので、内容物の供給を安定させることができる。しかも、邪魔板が周壁のうち第2振出口とは反対側に位置する部分に係合されることで、天壁における第1振出口とは反対側に第2振出口を設けることが可能になる。よって、設計自由度の向上を図ることができる。
【0010】
本発明の一態様に係る振出キャップは、内容物が収容される容器本体に装着され、内容物を振り出す第1振出口が形成された天壁を有する有頂筒状のキャップ本体と、第1ヒンジを介して回動可能に前記キャップ本体に一体に接続され、前記第1振出口を開閉する第1蓋部と、折り曲げ部を介して折り曲げ可能に前記キャップ本体に一体に接続され、折り曲げ状態において前記天壁の下方で前記天壁に対向する邪魔板と、を備え、前記邪魔板には、前記折り曲げ状態において、少なくとも一部が前記天壁に平面視で重なり合うとともに、前記容器本体内と前記第1振出口とを連通させる連通口が形成され、前記第1蓋部は、蓋折り曲げ部を介して前記キャップ本体に一体に接続された固定部と、前記第1ヒンジを介して回動可能に前記固定部に一体に接続され、前記第1振出口を開閉する可動部と、を備え、前記固定部には、前記邪魔板に係合されて、前記邪魔板を前記折り曲げ状態に保持する保持部が形成されている。
本態様によれば、邪魔板をキャップ本体に係合させる場合に比べ、連通口の設計自由度を向上させることができる。よって、内容物をより安定して供給することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る各態様によれば、内容物を所望の量でスムーズに供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る振出容器を示す
図2のI-I線に沿う断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る振出キャップの平面図である。
【
図3】第1実施形態に係る振出キャップにおいて、邪魔板組付前の状態を示す断面図である。
【
図4】第1実施形態に係る振出キャップにおいて、邪魔板組付前の状態を示す底面図である。
【
図5】第1実施形態に係る振出容器の断面図であって、振り出し操作を説明する説明図である。
【
図6】第2実施形態に係る振出容器を示す
図7のVI-VI線に沿う断面図である。
【
図7】第2実施形態に係る振出キャップの平面図である。
【
図8】第2実施形態に係る振出キャップにおいて、邪魔板組付前の状態を示す部分平面図である。
【
図9】第2実施形態に係る振出キャップにおいて、邪魔板組付前の状態を示す断面図である。
【
図10】第2実施形態に係る振出キャップにおいて、邪魔板組付時の状態を示す断面図である。
【
図11】第2実施形態に係る振出容器の断面図であって、振り出し操作を説明する説明図である。
【
図12】第2実施形態の他の構成に係る振出キャップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、本発明に係る振出キャップが容器本体に取り付けられてなる振出容器について説明する。また、以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
【0014】
<第1実施形態>
図1に示すように、振出容器1は、有底筒状の容器本体11と、容器本体11に着脱可能に装着された有頂筒状の振出キャップ12と、を備えている。容器本体11及び振出キャップ12は、それぞれの中心軸が共通軸上に位置している。以下、容器本体11及び振出キャップ12の共通軸を容器軸Oといい、正立状態において容器軸Oに沿う容器本体11側を単に下側、振出キャップ12側を単に上側という。さらに、上下方向から見た平面視において、容器軸Oに交差する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0015】
容器本体11は、内容物が収容可能に構成されている。容器本体11に収容される内容物は、粉体や粒体等(例えば、粉チーズや片栗粉等)が好適である。
【0016】
図1、
図2に示すように、振出キャップ12は、キャップ本体21と、第1蓋部22と、第2蓋部23と、規制部24と、を備えている。
【0017】
キャップ本体21は、有頂筒状に形成されている。キャップ本体21の周壁部31は、上方に位置するものほど縮径された多段筒状に形成されている。具体的に、周壁部31は、装着筒32、操作筒33及び係合筒34が下方から上方にかけて順に連なっている。
装着筒32は、容器本体11の口部11aに着脱可能に螺着されている。但し、装着筒32は、アンダーカット嵌合等の螺着以外の方法によって口部11aに装着されていてもよい。
【0018】
操作筒33は、装着筒32に対して内径が縮小している。操作筒33の外周面には、径方向の内側に窪む指入れ凹部36が形成されている。指入れ凹部36は、上方に向けて開口している。本実施形態において、指入れ凹部36は、操作筒33の全周に亘って形成されている。但し、指入れ凹部36は、径方向のうち第1方向L1(以下、単に前後方向L1という。)のうち、一方側(以下、前方とする。)及び他方側(以下、後方とする。)に位置する部分に各別に形成されていてもよい。
【0019】
係合筒34は、操作筒33に対して外径及び内径が縮小している。係合筒34は、口部11aよりも上方に位置している。係合筒34の上端部には、径方向の外側に突出する係合突起35が形成されている。図示の例において、係合突起35は、係合筒34の全周に亘って延在している。なお、係合突起35は、前後方向L1で対向する部分に、別々に設けてもよい。また、係合突起35に代えて凹部を設けてもよい。
【0020】
係合筒34の内周面には、径方向の外側に窪む保持凹部39が形成されている。保持凹部39は、係合筒34の前端部を含む周方向の所定範囲に亘って連続的に形成されている。なお、保持凹部39は、全周に亘って形成されていてもよい。また、保持凹部39に代えて突起を設けてもよい。
【0021】
キャップ本体21の天壁41には、天壁41を容器軸O方向に貫通する第1振出口44及び第2振出口45が形成されている。
第1振出口44は、天壁41において、容器軸Oよりも前方に位置する部分に複数形成されている。各第1振出口44は、平面視で円形であって、それぞれ同形同大に形成されている。但し、第1振出口44の平面視形状は、円形以外の形状(例えば、多角形状等)であってもよく、各第1振出口44は互いに異形状であってもよい。
【0022】
各第1振出口44は、径方向のうち前後方向L1に交差する左右方向L2に間隔をあけて複数並んで振出口列50a,50bを構成している。本実施形態において、振出口列50a,50bは、前後方向L1に間隔をあけて2列並んでいる。振出口列50a,50bのうち、後方に位置する後振出口列50aは、第1振出口44が左右方向L2に間隔をあけて3つ配列されて構成されている。一方、振出口列50a,50bのうち、前方に位置する前振出口列50bは、左右方向L2に間隔をあけて2つ配列されて構成されている。前振出口列50bを構成する第1振出口44は、後振出口列50aを構成する隣り合う第1振出口44同士の間に位置している。すなわち、前振出口列50bを構成する第1振出口44と、後振出口列50aを構成する隣り合う第1振出口44と、は互い違いに配置されている。但し、各第1振出口44のレイアウトは、適宜変更が可能である。また、前振出口列50bを構成する第1振出口44と、後振出口列50aを構成する隣り合う第1振出口44と、は前後方向L1及び左右方向L2それぞれから見て一部が重なり合っていてもよい。
【0023】
第2振出口45は、天壁41の後部に形成されている。第2振出口45の開口面積は、各第1振出口44の開口面積の合計よりも大きい。
【0024】
第2振出口45は、天壁41の外周縁に倣って延びる円弧部45aを有する半円状に形成されている。第2振出口45の弦部45bは、容器軸Oよりも前方に位置する部分において、円弧部45aの両端部同士を架け渡している。第2振出口45の弦部45bにおいて、左右方向L2の中央部には、弦部45bに対して前方に窪む窪み部53が形成されている。窪み部53の前端開口縁は、左右方向に沿って弦部45bと平行に延在している。
【0025】
第1蓋部22は、天壁41のうち後振出口列50aと窪み部53との間に位置する部分に、第1ヒンジ56を介して一体に接続されている。第1蓋部22は、第1ヒンジ56を支点にして左右方向L2に沿う軸線回りに回動可能に構成されている。
【0026】
第1蓋部22は、第1閉塞部60と、第1垂下片61と、を備えている。
第1閉塞部60は、平面視で前方に向けて突の半円状に形成されている。第1閉塞部60の後端縁(弦部)は、上述した第1ヒンジ56に接続されている。第1閉塞部60は、第1蓋部22の閉位置において、天壁41のうち第1振出口44の形成領域をまとめて覆う。第1閉塞部60のうち、第1振出口44と対向する部分には、第1蓋部22が閉位置にあるとき、第1振出口44それぞれに嵌まり込む栓部65が形成されている。
【0027】
第1垂下片61は、第1閉塞部60の前端縁(円弧部)から下方に延在している。第1垂下片61は、第1蓋部22が閉位置にあるとき、係合筒34の一部を前方から取り囲んでいる。第1垂下片61には、第1蓋部22が閉位置にあるとき、係合突起35に係合される係合突起66が形成されている。なお、第1垂下片61の外周面は、指入れ凹部36の内面と滑らかに連なっている。
【0028】
第2蓋部23は、天壁41のうち第1ヒンジ56よりも後方に位置する部分に、第2ヒンジ67を介して一体に接続されている。第2蓋部23は、第2ヒンジ67を支点にして左右方向L2に沿う軸線回りに回動可能に構成されている。
【0029】
第2蓋部23は、第2閉塞部71と、第2垂下片72と、を備えている。
第2閉塞部71は、平面視で半円状に形成されている。第2閉塞部71の前端縁(弦部)は、上述した第2ヒンジ67に接続されている。第2閉塞部71は、第2蓋部23の閉位置において、天壁41のうち第2振出口45の形成領域をまとめて覆う。第2閉塞部71には、第2蓋部23が閉位置にあるとき、第2振出口45に嵌まり込む栓部74が形成されている。
【0030】
第2垂下片72は、第2閉塞部71の後端縁(円弧部)から下方に延在している。第2垂下片72は、第2蓋部23が閉位置にあるとき、係合筒34の一部を後方から取り囲んでいる。第2垂下片72には、第2蓋部23が閉位置にあるとき、係合突起35に係合される係合突起75が形成されている。なお、第2垂下片72の外周面は、指入れ凹部36の内面と滑らかに連なっている。
【0031】
規制部24は、天壁41から折り曲げられた状態で、第1振出口44の下方に保持されている。具体的に、規制部24は、接続片100と、邪魔板101と、側壁部102と、を備えている。
接続片100は、上述した窪み部53の前端開口縁に、第1折り曲げ部(折り曲げ部)110を介して接続されている。第1折り曲げ部110は、他の部分に比べて薄肉に形成されるとともに、窪み部53の前端開口縁に沿って左右方向L2に延在している。接続片100は、第1折り曲げ部110を起点にして折り曲げられることで、下方に向けて延在している。
【0032】
邪魔板101は、接続片100の先端縁(下端縁)に第2折り曲げ部(折り曲げ部)111を介して接続されている。第2折り曲げ部111は、他の部分に比べて薄肉に形成されるとともに、邪魔板101の先端縁に沿って左右方向L2に延在している。邪魔板101は、第2折り曲げ部111を起点にして折り曲げられることで、前方に向けて延在している。なお、各折り曲げ部110,111は、薄肉であることに限られない。また、各折り曲げ部110,111は、弾性変形する構成でも、塑性変形する構成でもよい。
【0033】
邪魔板101は、折り曲げ状態において、天壁41に対して容器軸O方向に間隔をあけた状態で、天壁41と平行に延在している。邪魔板101は、平面視において、全ての第1振出口44と重なり合う大きさに形成されている。したがって、邪魔板101は、容器本体11内と第1振出口44との間を仕切っている。なお、天壁41と邪魔板101との間の間隔は、適宜変更が可能であるが、天壁41と口部11aとの間である程度の隙間が形成されていることが好ましい。
【0034】
邪魔板101の先端縁(前端縁)は、係合筒34の内周面に倣って延びる円弧状に形成されている。邪魔板101の先端縁は、上述した保持凹部39内に係合されている。これにより、邪魔板101は、折り曲げ状態に保持されている。邪魔板101の左右方向L2の幅(最大幅)は、係合筒34の内径よりも短くなっている。したがって、邪魔板101における左右両端縁と係合筒34の内周面との間には、隙間が形成されている。但し、邪魔板101の平面視外形は、少なくとも先端縁が係合筒34に係合していれば、適宜変更が可能である。この場合、邪魔板101は、少なくとも何れかの第1振出口44に重なり合う大きさ等であってもよい。
【0035】
邪魔板101には、容器本体11内と第1振出口44とを連通させる連通口120が複数形成されている。各連通口120は、平面視において第1振出口44よりも内径(開口面積)が大きい円形であって、それぞれ同形同大に形成されている。但し、連通口120の平面視形状は、円形以外の形状(例えば、多角形状等)であってもよく、各連通口120は互いに異形状であってもよい。また、連通口120の内径は、第1振出口44の内径以下であってもよい。
【0036】
各連通口120は、左右方向L2に間隔をあけて複数並んで連通口列121a,121bを構成している。本実施形態において、連通口列121a,121bは、前後方向L1に間隔をあけて2列並んでいる。連通口列121a,121bのうち、後方に位置する後連通口列121aは、連通口120が左右方向L2に間隔をあけて2つ配列されて構成されている。一方、連通口列121a,121bのうち、前方に位置する前連通口列121bは、左右方向L2に間隔をあけて3つ配列されて構成されている。前連通口列121bを構成する連通口120は、後連通口列121aを構成する隣り合う連通口120同士の間に位置している。すなわち、前連通口列121bを構成する連通口120と、後連通口列121aを構成する隣り合う連通口120と、は互い違いに配置されている。但し、各連通口120のレイアウトは、適宜変更が可能である。また、前連通口列121bを構成する連通口120と、後連通口列121aを構成する隣り合う連通口120と、は前後方向L1及び左右方向L2それぞれから見て一部が重なり合っていてもよい。
【0037】
各連通口120は、少なくとも一部が平面視で天壁41に重なり合っている。図示の例において、後連通口列121aを構成する連通口120は、全体が天壁41に重なり合っている。一方、前連通口列121bを構成する連通口120は、一部が第1振出口44に重なり合っている。但し、第1振出口44と各連通口120との平面視での重なり量は、適宜変更が可能である。
【0038】
図1に示すように、側壁部102は、邪魔板101における左右方向L2の両端縁から上方に突出している。側壁部102の上端縁は、天壁41に天壁41の下方から近接又は当接している。側壁部102は、邪魔板101と天壁41との間のスペーサとして機能するとともに、邪魔板101と天壁41との間に邪魔板101の側方から(連通口120を経ずに)内容物が進入するのを規制する。
【0039】
図3、
図4に示すように、上述した振出キャップ12は、射出成形により一体に形成されている。成形直後の状態(規制部24の折り曲げ前の状態)において、規制部24は、天壁41と同一平面上に位置し、第2振出口45内を後方に延在している。この状態において、第1折り曲げ部110を介して接続片100を下方に折り曲げた後、さらに第2折り曲げ部111を介して邪魔板101を前方に折り曲げる。その後、邪魔板101の先端縁を保持凹部39内に係合させることで、上述した振出キャップ12が完成する。
【0040】
次に、上述した振出容器1の作用を説明する。
図5に示すように、振出容器1から内容物を少量ずつ供給するには、第1振出口44から内容物を供給する。具体的には、まず第1ヒンジ56回りに第1蓋部22を回動させ、第1振出口44を開放させる。続いて、第1振出口44が下方を向くように振出容器1を傾けた状態で振出容器1を振る。すると、容器本体11内の内容物は、例えば邪魔板101に衝突して分散された後、連通口120を通じて第1振出口44に到達する。第1振出口44に到達した内容物は、第1振出口44を通じて外部に振り出される。
【0041】
振出容器1から内容物を大量に供給するには、第2振出口45から内容物を供給する。具体的には、第2ヒンジ67回りに第2蓋部23を回動させ、第2振出口45を開放させる。続いて、第2振出口45が下方を向くように振出容器1を傾けた状態で振出容器1を振る。すると、容器本体11内の内容物が第2振出口45を通じて外部に振り出される。
【0042】
ここで、本実施形態では、邪魔板101には、少なくとも一部が天壁41に平面視で重なるとともに、容器本体11内と第1振出口44とを連通させる連通口120が形成されている構成とした。
この構成によれば、容器本体11内の内容物は、例えば邪魔板101に衝突して分散された後、連通口120を通過し、天壁41と邪魔板101との間の隙間を経て第1振出口44に到達することになる。そのため、容器本体11内の内容物が第1振出口44に直接流れ込んで、第1振出口44の周辺で内容物が圧縮されて固まるのを抑制し、第1振出口44の目詰まりを抑制できる。したがって、第1振出口44を通じて内容物をスムーズに供給することができる。
しかも、本実施形態では、連通口120を通過した内容物のうち、少なくとも一部の内容物は天壁41に衝突した後、第1振出口44に到達する。このため、固まりになった内容物が仮に連通口120を通過したとしても、天壁41に衝突する際に粉砕され易くなる。これにより、内容物が第1振出口44に直接到達する場合に比べ、所望の量の内容物を供給することができる。
そして、本実施形態では、振出キャップ12が一体に成形されているため、邪魔板を設けるにあたって別部品を用意する必要がない。そのため、部品点数の削減を図るとともに、振出キャップ12の成形に必要な樹脂量を削減して低コスト化を図ることができる。
【0043】
本実施形態では、第1振出口44よりも開口面積が大きい第2振出口45が天壁41に形成された構成とした。
この構成によれば、第2蓋部23を開位置に移動させ、第2振出口45を通じて内容物を供給することで、振り出し操作に伴う内容物の供給量を増やすことができる。この場合、開口面積が異なる複数の第1振出口44及び第2振出口45を備えることで、内容物の供給量に応じて振出口44,45を選択することができるので、使い勝手を向上させることができる。
【0044】
また、本実施形態では、邪魔板101の折り曲げ状態において、邪魔板101の先端縁が係合筒34の前端部に係合される構成とした。
この構成によれば、邪魔板101を折り曲げ状態に維持し易くなるので、内容物の供給を安定させることができる。しかも、邪魔板101が係合筒34の前端部で係合されることで、天壁41の後部に上述した第2振出口45を設けることが可能になる。よって、設計自由度の向上を図ることができる。
【0045】
<第2実施形態>
第2実施形態では、邪魔板232の保持方法、連通口240がスリット状に形成されている点で、上述した第1実施形態と相違している。
図6、
図7に示す振出キャップ12において、天壁41の後部には差込孔201が形成されている。差込孔201は、例えば左右方向L2を長軸方向とする長円形状に形成されている。
【0046】
蓋部202は、周壁部31の上端後縁部に蓋折り曲げ部204を介して一体に接続されている。蓋部202は、固定部210と、可動部211と、を備えている。
固定部210は、平面視で後方に向けて突の半円状に形成されている。固定部210は、天壁41の後部を上方から覆っている。固定部210の後端部は、上述した蓋折り曲げ部204を介してキャップ本体21に接続されている。固定部210の前端部には、下方に向けて延びる差込筒(保持部)212が形成されている。差込筒212の平面視外形は、差込孔201と同様に、左右方向L2を長軸方向とする長円形状に形成されている。差込筒212は、差込孔201内に挿入されている。差込筒212の後端部には、後方に向けて突出する係合部214が形成されている。係合部214は、差込孔201の後端開口縁に下方から係合されている。
【0047】
差込筒212の下端縁は、直線部215と、傾斜部216と、を有している。
直線部215は、差込筒212の下端縁における前部を構成している。直線部215は、容器軸O方向に直交する方向に延在している。
傾斜部216は、直線部215から後方に連なっている。傾斜部216は、後方に向かうに従い上方に向けて延在している。傾斜部216の後端縁は、上述した係合部214に連なっている。なお、差込筒212の下端縁は、全てが傾斜部で構成されていてもよい。
【0048】
可動部211は、固定部210の前端縁にヒンジ(第1ヒンジ)220を介して一体に接続されている。すなわち、可動部211は、固定部210を介してキャップ本体21に間接的に接続されている。可動部211は、左右方向L2に沿う軸線回りに回動可能に構成されている。可動部211は、平面視で前方に向けて突の半円状に形成されている。可動部211は、閉位置において、天壁41のうち第1振出口44の形成領域をまとめて覆っている。
【0049】
規制部230は、接続片231と、邪魔板232と、連係片233と、を備えている。
接続片231は、差込孔201の前端開口縁に、折り曲げ部235を介して接続されている。接続片231は、折り曲げ部235を介して折り曲げられることで、下方に向けて延在している。接続片231は、折り曲げ状態において、差込筒212に差込筒212の前方から当接(係合)している。これにより、折り曲げ部235の復元変形が規制されている。
【0050】
邪魔板232は、折り曲げ状態において、接続片231の下端縁から前方に延在している。具体的に、邪魔板232は、天壁41に対して容器軸O方向に間隔をあけた状態で、天壁41と平行に延在している。邪魔板232は、平面視において、全ての第1振出口44と重なり合う大きさに形成されている。
【0051】
邪魔板232の後端部には、上方に向けて突出するリブ238が形成されている。リブ238の後端縁は、接続片231に連なっている。リブ238の上端縁は、天壁41に下方から近接又は当接している。本実施形態において、リブ238は、左右方向L2に間隔をあけて複数形成されている。
【0052】
邪魔板232には、容器本体11内と第1振出口44とを連通させる連通口240が、左右方向L2に間隔をあけて複数形成されている。各連通口240は、前後方向L1に沿って延びるスリット状に形成されている。各連通口240の前端は、邪魔板232の先端縁(前端縁)上で開放されている。したがって、邪魔板232は、平面視で櫛歯状に形成されている。
【0053】
各連通口240は、少なくとも一部が平面視で天壁41に重なり合っている。図示の例において、連通口240は、一部が何れかの第1振出口44に平面視で重なり合っている。
【0054】
連係片233は、邪魔板232から後方に延在している。連係片233は、折り曲げ状態において、差込孔201と平面視で重なり合っている。具体的に、連係片233は、後方に向けて直線状に延在する直線部233aと、直線部233aから後方に向かうに従い下方に向けて傾斜して延在する傾斜部233bと、を有している。
直線部233aには、折り曲げ状態において、上述した差込筒212が上方から当接している。
【0055】
図8、
図9に示すように、本実施形態においても、上述した振出キャップ12は、射出成形により一体に形成されている。成形直後の状態において、規制部230は、連係片233が天壁41よりも上方に突出した状態で、差込孔201を容器軸O方向に貫通している。この状態において、蓋折り曲げ部204を介して蓋部202を折り曲げる。すると、
図10に示すように、差込筒212の下端縁が連係片233(傾斜部233b)に当接する。その後、蓋部202の折り曲げに伴い、差込筒212が下方に移動すると、連係片233を介して規制部230が下方に押し込まれる。この際、規制部230が折り曲げ部235を介して折り曲げられることで、連係片233の傾斜部233bが差込筒212の傾斜部216上を摺動する。そして、差込筒212が差込孔201に係合された時点で、上述した振出キャップ12が完成する。
【0056】
本実施形態においても、
図11に示すように、容器本体11内の内容物は、連通口240を通過した後、天壁41と邪魔板232との間の隙間を経て第1振出口44に到達する。また、固まりになった内容物が仮に連通口240を通過したとしても、少なくとも一部の内容物は天壁41に衝突した後、第1振出口44に到達する。これにより、内容物が第1振出口44に直接到達する場合に比べ、所望の量の内容物をスムーズに供給することができる。
【0057】
しかも、本実施形態では、蓋部202の固定部210が、天壁41及び連係片233に係合されて、邪魔板232を折り曲げ状態に保持する差込筒212を備える構成とした。
この構成によれば、邪魔板232の保持と蓋部202のセットが同時に行われるため、生産上のコスト減にも繋がる。また、邪魔板232をキャップ本体21に係合させる場合に比べ、連通口240のレイアウト性を向上させることができる。よって、内容物をより安定して供給することができる。なお、差込筒212は、規制部230のみに係合され、邪魔板232の折り曲げ状態を保持できる構成でもよい。
【0058】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した第2実施形態では、差込筒212が規制部230(連係片233)及び天壁41の双方に係合する構成について説明したが、この構成に限られない。すなわち、差込筒212とは別に、規制部230に係合する部材を有していてもよい。例えば、
図12に示すように、差込筒212の内側に連係片233を押し込む押込筒(保持部)300が形成されていてもよい。押込筒300の下端縁は、後方に向かうに従い下方に傾斜して延在している。押込筒300には、前方に向けて突出する係合部303が形成されている。
一方、規制部230には、連係片233から上方に突出する突出片310が形成されている。突出片310は、折り曲げ状態において、差込筒212と押込筒300との間に進入している。突出片310の上端部には、後方に向けて突出する係合部311が形成されている。係合部311は、折り曲げ状態において、係合部303に上方から係合している。
【0059】
上述した実施形態では、邪魔板がキャップ本体21の周壁部31に係合する構成について説明したが、この構成に限られない。邪魔板の折り曲げ状態は、キャップ本体21や蓋部202に係合以外の方法(例えば、嵌合等)により保持されていてもよい。また、キャップ本体21や蓋部202に係合することなく、邪魔板の折り曲げ状態が維持される構成であれば、邪魔板はキャップ本体21や蓋部202に係合されていなくてもよい。
【0060】
上述した第1実施形態では、第1振出口44の一部に連通口が平面視で重なり合っている構成について説明したが、この構成に限られない。連通口の全てが天壁41に重なり、連通口と第1振出口44とが全く重ならなくともよい。
上述した実施形態では、第1振出口44のみに対応して邪魔板101が設けられた構成について説明したが、この構成に限らず、第2振出口45に対応して邪魔板が設けられていてもよい。
【0061】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0062】
11…容器本体
12…振出キャップ
21…キャップ本体
22…第1蓋部
23…第2蓋部
41…天壁
44…第1振出口
45…第2振出口
56…第1ヒンジ
67…第2ヒンジ
101…邪魔板
110…第1折り曲げ部(折り曲げ部)
111…第2折り曲げ部(折り曲げ部)
120…連通口
202…蓋部(第1蓋部)
204…蓋折り曲げ部
210…固定部
211…可動部
212…差込筒(保持部)
220…ヒンジ(第1ヒンジ)
232…邪魔板
235…折り曲げ部
300…押込筒(保持部)