(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
B62D 55/07 20060101AFI20231110BHJP
A01D 67/00 20060101ALI20231110BHJP
B62D 55/088 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
B62D55/07
A01D67/00 F
B62D55/088
(21)【出願番号】P 2020110870
(22)【出願日】2020-06-26
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】竹中 満
(72)【発明者】
【氏名】加藤 勝秀
(72)【発明者】
【氏名】林 茂幸
(72)【発明者】
【氏名】永田 哲治
(72)【発明者】
【氏名】古野 文雄
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-207374(JP,A)
【文献】特開2011-56991(JP,A)
【文献】特開平8-48217(JP,A)
【文献】特開2009-291113(JP,A)
【文献】特開平6-156214(JP,A)
【文献】特開2017-141076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 55/07,55/088,
A01D 67/00,
B60S 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体を支持する左右のクローラ走行装置と、
前記クローラ走行装置の接地面と前記機体との距離を第1距離とする第1状態と、前記クローラ走行装置の前記接地面と前記機体との距離を前記第1距離より大きい第2距離とする第2状態と、に状態変化可能な車高変更機構と、
格納状態と使用状態とに状態変化可能なアウトリガー機構と、
前記アウトリガー機構を駆動して前記格納状態と前記使用状態との間で状態変化させるアクチュエータと、
人為指令を受け付ける指令具と、
前記指令具が受け付けた指令に応じて前記車高変更機構及び前記アクチュエータを動作させる動作制御部と、を備え、
前記使用状態にある前記アウトリガー機構は、前記車高変更機構が前記第1状態にあるときに接地して前記機体を支持可能な状態となり、前記車高変更機構が前記第2状態にあるときに接地しない状態と
なり、
前記動作制御部は、前記指令具が受け付けた指令に応じて、前記車高変更機構を前記第1状態から前記第2状態へ変化させ、次に前記アウトリガー機構を前記格納状態から前記使用状態に変化させ、次に前記車高変更機構を前記第2状態から前記第1状態に変化させる上昇処理を実行し、かつ、前記上昇処理を実行したのちにおいて、前記指令具が受け付けた指令に応じて、前記車高変更機構を前記第1状態から前記第2状態へ変化させ、次に前記アウトリガー機構を前記使用状態から前記格納状態に変化させ、次に前記車高変更機構を前記第2状態から前記第1状態に変化させる下降処理を実行する作業車。
【請求項2】
前記アウトリガー機構は、前記機体の前部に配置される前アウトリガー機構と、前記機体の後部に配置される後アウトリガー機構と、を備え、
前記前アウトリガー機構及び前記後アウトリガー機構のうち少なくとも一方が、機体左右方向に関して左右の前記クローラ走行装置よりも内に配置されている請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記アウトリガー機構は、前記機体の前部に配置される前アウトリガー機構と、前記機体の後部に配置される後アウトリガー機構と、を備え、
前記前アウトリガー機構及び前記後アウトリガー機構のうちの一方が、機体左右方向視で前記クローラ走行装置と重なる位置に配置され、
前記前アウトリガー機構及び前記後アウトリガー機構のうちの他方が、機体左右方向視で前記クローラ走行装置と重ならない位置に配置される請求項1又は2に記載の作業車。
【請求項4】
機体前後方向に延びる左右の主フレームと、左右の前記主フレームに渡る状態で設けられる横フレームと、を備え、
前記アウトリガー機構は、前記機体の前部に配置される前アウトリガー機構と、前記機体の後部に配置される後アウトリガー機構と、を備え、
前記前アウトリガー機構及び前記後アウトリガー機構のうち少なくとも一方が、前記横フレームに設けられている請求項1から3のいずれか1項に記載の作業車。
【請求項5】
機体前後方向に延びる中空筒状の左右の主フレームを備え、
前記アウトリガー機構は、機体を支持可能な支持部材を備え、
前記支持部材は、前記アウトリガー機構が前記格納状態にあるときに、その一部が前記主フレームの中空筒の内部に収納された状態となる請求項1から4のいずれか1項に記載の作業車。
【請求項6】
前記アウトリガー機構は、前記使用状態と前記格納状態との間で状態変化するときに揺動する柱状部材を有する請求項1から5のいずれか1項に記載の作業車。
【請求項7】
前記アウトリガー機構が前記使用状態にあるときに前記柱状部材と接触して前記柱状部材を位置決めするストッパを備える請求項6に記載の作業車。
【請求項8】
前記アウトリガー機構が前記使用状態にあることを検知するセンサと、
前記アクチュエータの動作を制御すると共に、前記アウトリガー機構が前記使用状態にあることを前記センサが検知したことに応じて前記アクチュエータの動作を停止させる停止制御部と、を備える請求項
1から7のいずれか1項に記載の作業車。
【請求項9】
シートと、
前記シートを保持すると共に前記シートの巻き取り及び繰り出しが可能な保持装置と、を備え、
前記保持装置は、前記シートが前記保持装置から繰り出されたときに左右の前記クローラ走行装置の下方に配置可能なように、前記機体に支持されており、
前記シートは、前記保持装置から繰り出されて左右の前記クローラ走行装置の下方に配置されたときに、鉛直方向視で左右の前記クローラ走行装置のベルトの全体が前記シートと重なる状態となる形状に形成されている請求項1から
8のいずれか1項に記載の作業車。
【請求項10】
前記保持装置は、前記機体への取り付け位置が変更可能なように構成されている請求項
9に記載の作業車。
【請求項11】
前記シートがメッシュ状である請求項
9又は10に記載の作業車。
【請求項12】
前記クローラ走行装置のベルトの外周面に付着した泥を前記ベルトから除去する除去機構を備え、
前記除去機構は、作動状態と収納状態とに状態変化可能に構成されている請求項1から
11のいずれか1項に記載の作業車。
【請求項13】
前記除去機構は、前記クローラ走行装置の前端部又は後端部のうちの少なくとも一方において、泥を前記ベルトから除去可能なように構成されている請求項
12に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、クローラ走行装置を備えた自脱型コンバインが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自脱型コンバイン等の作業車は、泥の存在する作業場を走行する場合がある。例えばコンバインは、湿った圃場で収穫作業を行う場合がある。作業の後に作業場の外を走行すると、クローラ走行装置に付着した泥が落下して、道路や保管倉庫等を汚してしまう。そこで、作業の後にクローラ走行装置から泥を取り除くメンテナンスを行うと好ましい。
【0005】
本発明の目的は、クローラ走行装置のメンテナンスが行い易い作業車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する手段として、本発明の作業車は、機体を支持する左右のクローラ走行装置と、前記クローラ走行装置の接地面と前記機体との距離を第1距離とする第1状態と、前記クローラ走行装置の前記接地面と前記機体との距離を前記第1距離より大きい第2距離とする第2状態と、に状態変化可能な車高変更機構と、格納状態と使用状態とに状態変化可能なアウトリガー機構と、前記アウトリガー機構を駆動して前記格納状態と前記使用状態との間で状態変化させるアクチュエータと、人為指令を受け付ける指令具と、前記指令具が受け付けた指令に応じて前記車高変更機構及び前記アクチュエータを動作させる動作制御部と、を備え、前記使用状態にある前記アウトリガー機構は、前記車高変更機構が前記第1状態にあるときに接地して前記機体を支持可能な状態となり、前記車高変更機構が前記第2状態にあるときに接地しない状態となり、前記動作制御部は、前記指令具が受け付けた指令に応じて、前記車高変更機構を前記第1状態から前記第2状態へ変化させ、次に前記アウトリガー機構を前記格納状態から前記使用状態に変化させ、次に前記車高変更機構を前記第2状態から前記第1状態に変化させる上昇処理を実行し、かつ、前記上昇処理を実行したのちにおいて、前記指令具が受け付けた指令に応じて、前記車高変更機構を前記第1状態から前記第2状態へ変化させ、次に前記アウトリガー機構を前記使用状態から前記格納状態に変化させ、次に前記車高変更機構を前記第2状態から前記第1状態に変化させる下降処理を実行することを特徴とする。
【0007】
上記の特徴によれば、車高変更機構が第2状態(車高が高い状態)にあるときにアウトリガー機構が接地しない状態となるので、アウトリガー機構を格納状態から使用状態へ切り替えることができる。そして車高変更機構が第1状態(車高が低い状態)にあるときにアウトリガー機構が接地して機体を支持するので、クローラ走行装置が地面から離間して泥の除去等のメンテナンスが行い易くなる。このように本発明によれば、アウトリガー機構自体に伸縮等の機能がなくても、クローラ走行装置を地面から離間させることができ、クローラ走行装置のメンテナンスが行い易い作業車を提供することができる。
又、アウトリガー機構の状態変化がアクチュエータにより行われるので、オペレータの手間を削減でき好ましい。
さらに、指令具を操作すると上昇処理が自動的に行われてクローラ走行装置が地面から離間するので、クローラ走行装置のメンテナンス作業の手間を削減することができ、しかも、指令具を操作すると下降処理が自動的に行われてクローラ走行装置が地面から離間するので、クローラ走行装置のメンテナンス作業の手間を削減することができる。
【0008】
本発明において、前記アウトリガー機構は、前記機体の前部に配置される前アウトリガー機構と、前記機体の後部に配置される後アウトリガー機構と、を備え、前記前アウトリガー機構及び前記後アウトリガー機構のうち少なくとも一方が、機体左右方向に関して左右の前記クローラ走行装置よりも内に配置されていると好適である。
【0009】
上記の特徴によれば、アウトリガー機構による機体横幅の増加を抑制することができる。
【0010】
本発明において、前記アウトリガー機構は、前記機体の前部に配置される前アウトリガー機構と、前記機体の後部に配置される後アウトリガー機構と、を備え、前記前アウトリガー機構及び前記後アウトリガー機構のうちの一方が、機体左右方向視で前記クローラ走行装置と重なる位置に配置され、前記前アウトリガー機構及び前記後アウトリガー機構のうちの他方が、機体左右方向視で前記クローラ走行装置と重ならない位置に配置されると好適である。
【0011】
上記の特徴によれば、アウトリガー機構が機体を支持する際の安定性を高めることができる。
【0012】
本発明において、機体前後方向に延びる左右の主フレームと、左右の前記主フレームに渡る状態で設けられる横フレームと、を備え、前記アウトリガー機構は、前記機体の前部に配置される前アウトリガー機構と、前記機体の後部に配置される後アウトリガー機構と、を備え、前記前アウトリガー機構及び前記後アウトリガー機構のうち少なくとも一方が、前記横フレームに設けられていると好適である。
【0013】
上記の特徴によれば、剛性の高い左右の主フレームに渡って設けられる横フレームに、アウトリガー機構が設けられるので、アウトリガー機構の支持構造が強固なものとなり、アウトリガー機構が機体を支持する際の安定性を高めることができる。
【0014】
本発明において、機体前後方向に延びる中空筒状の左右の主フレームを備え、前記アウトリガー機構は、機体を支持可能な支持部材を備え、前記支持部材は、前記アウトリガー機構が前記格納状態にあるときに、その一部が前記主フレームの中空筒の内部に収納された状態となると好適である。
【0015】
上記の特徴によれば、支持部材の一部が主フレームの中空筒の内部に収納可能であるので、スペース効率を高めることができ好ましい。
【0016】
本発明において、前記アウトリガー機構は、前記使用状態と前記格納状態との間で状態変化するときに揺動する柱状部材を有すると好適である。
【0017】
上記の特徴によれば、アウトリガー機構が揺動する柱状部材を有するので、伸縮機構等に比べ簡易な構成によりアウトリガー機構を実現でき好ましい。
【0018】
本発明において、前記アウトリガー機構が前記使用状態にあるときに前記柱状部材と接触して前記柱状部材を位置決めするストッパを備えると好適である。
【0019】
上記の特徴によれば、使用状態において柱状部材を位置決めできるので、確実に機体を支持することができ好ましい。
【0020】
【0021】
【0022】
本発明において、前記アウトリガー機構が前記使用状態にあることを検知するセンサと、前記アクチュエータの動作を制御すると共に、前記アウトリガー機構が前記使用状態にあることを前記センサが検知したことに応じて前記アクチュエータの動作を停止させる停止制御部と、を備えると好適である。
【0023】
上記の特徴によれば、アウトリガー機構が使用状態になるとアクチュエータの動作が停止するので、アウトリガー機構の使用状態への変化を確実に行うことができ、アウトリガー機構の信頼性を高めることができる。
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
本発明において、シートと、前記シートを保持すると共に前記シートの巻き取り及び繰り出しが可能な保持装置と、を備え、前記保持装置は、前記シートが前記保持装置から繰り出されたときに左右の前記クローラ走行装置の下方に配置可能なように、前記機体に支持されており、前記シートは、前記保持装置から繰り出されて左右の前記クローラ走行装置の下方に配置されたときに、鉛直方向視で左右の前記クローラ走行装置のベルトの全体が前記シートと重なる状態となる形状に形成されていると好適である。
【0029】
上記の特徴によれば、クローラ走行装置のベルトの全体がシートと重なる状態になるので、ベルトから落下する泥をシートで受け止めることができ、泥を片付ける作業が容易になり好ましい。また、シートの巻き取り及び繰り出しを保持装置により行うことができ、作業性が向上する。従って、クローラ走行装置のメンテナンスが行い易い作業車を提供することができる。
【0030】
本発明において、前記保持装置は、前記機体への取り付け位置が変更可能なように構成されていると好適である。
【0031】
上記の特徴によれば、シートを使用しない非作業時には邪魔にならない位置へ保持装置の取付位置を変更でき、利便性が向上する。
【0032】
本発明において、前記シートがメッシュ状であると好適である。
【0033】
上記の特徴によれば、クローラ走行装置から落下した泥の水分を透過させることができ好ましい。
【0034】
本発明において、前記クローラ走行装置のベルトの外周面に付着した泥を前記ベルトから除去する除去機構を備え、前記除去機構は、作動状態と収納状態とに状態変化可能に構成されていると好適である。
【0035】
上記の特徴によれば、除去機構によりベルトから泥が除去されるので好ましい。また、除去機構が状態変化可能なため利便性が向上する。
【0036】
本発明において、前記除去機構は、前記クローラ走行装置の前端部又は後端部のうちの少なくとも一方において、泥を前記ベルトから除去可能なように構成されていると好適である。
【0037】
上記の特徴によれば、クローラ走行装置から泥が落下しやすくなり、メンテナンスが更に容易になり好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図2】クローラ走行装置、車高変更機構、及びアウトリガー機構を示す左側面図である。
【
図8】アウトリガー機構が格納状態にあり車高変更機構が第1状態にある場合を示す説明図である。
【
図9】アウトリガー機構が格納状態にあり車高変更機構が第2状態にある場合を示す説明図である。
【
図10】アウトリガー機構が使用状態にあり車高変更機構が第2状態にある場合を示す説明図である。
【
図11】アウトリガー機構が使用状態にあり車高変更機構が第1状態にある場合を示す説明図である。
【
図12】制御に関する構成を示すブロック図である。
【
図13】自動泥落とし処理を示すフローチャートである。
【
図14】変形例1のアウトリガー機構及びシートを示す左側面図である。
【
図16】変形例1のシートの要部を示す左側面図である。
【
図17】変形例1の後アウトリガー機構を示す右側面図である。
【
図18】変形例2の後アウトリガー機構を示す右側面図である。
【
図19】変形例3の前アウトリガー機構を示す正面図である。
【
図20】変形例4の前アウトリガー機構を示す正面図である。
【
図21】変形例5のアウトリガー機構を示す左側面図である。
【
図22】変形例6のアウトリガー機構を示す左側面図である。
【
図23】変形例7の除去機構を示す左側面図である。
【
図24】変形例7の除去機構を示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明に係る作業車の実施の形態である自脱型コンバインについて、図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
自脱型コンバインについて、図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下の説明では、矢印Fの方向を「機体前側」、矢印Bの方向を「機体後側」、矢印Uの方向を「上側」、矢印Dの方向を「下側」、矢印Rの方向を「右側」、矢印Lの方向を「左側」とする。
【0040】
〔コンバインの全体構成〕
図1及び
図2には、自脱型コンバインが示されている。本コンバインの機体には、機体フレーム1と、機体を支持する左右のクローラ走行装置2と、が備えられている。機体の前方には、植立穀稈を刈り取る刈取部3が設けられている。機体の前部における右側部分には、運転キャビン4が設けられている。運転キャビン4には、運転者が搭乗する運転部5と、運転部5を覆うキャビン6と、が備えられている。
【0041】
運転キャビン4の後方には、脱穀処理後の穀粒を貯留する穀粒貯留タンク7(貯留部の一例)が設けられている。穀粒貯留タンク7内の穀粒を排出する穀粒排出装置8が設けられている。穀粒貯留タンク7の左隣には、脱穀装置9が設けられている。
【0042】
〔クローラ走行装置〕
クローラ走行装置2は、駆動スプロケット10、従動スプロケット11、転輪12、及びこれらに巻き回されるベルト13を備える。転輪12は、トラックフレーム14に支持されている。
【0043】
〔車高変更機構〕
図2、
図8~11に示されるように、自脱型コンバインは、車高変更機構Xを備えている。車高変更機構Xは、クローラ走行装置2の接地面と機体との距離を第1距離L1とする第1状態(
図8、
図11)と、クローラ走行装置2の接地面と機体との距離を第1距離L1より大きい第2距離L2とする第2状態(
図9、
図10)と、に状態変化可能な機構である。
【0044】
車高変更機構Xは、トラックフレーム14を機体フレーム1に支持させる前後のリンク機構15と、リンク機構15及び機体フレーム1に接続された前後の昇降シリンダ16と、を備えている。昇降シリンダ16は、例えば油圧シリンダである。前の昇降シリンダ16が縮み、且つ、後の昇降シリンダ16が伸びると、クローラ走行装置2の接地面と機体(機体フレーム1)との距離が大きくなる(
図8から
図9への変化)。前の昇降シリンダ16が伸び、且つ、後の昇降シリンダ16が縮むと、クローラ走行装置2の接地面と機体(機体フレーム1)との距離が小さくなる(
図10から
図11への変化)。
【0045】
車高変更機構Xが第1状態(
図2、
図8、
図11)にあるとき、前の昇降シリンダ16は伸び、後の昇降シリンダ16は縮んでいる。クローラ走行装置2の接地面と機体(機体フレーム1)とは接近し、両者の間の距離は第1距離L1(
図8、
図11)である。
【0046】
車高変更機構Xが作動し、前の昇降シリンダ16が縮み、且つ、後の昇降シリンダ16が伸びると、車高変更機構Xが第2状態(
図9、
図10)となる。
【0047】
〔アウトリガー機構〕
図2~11に示されるように、自脱型コンバインは、アウトリガー機構Yを備えている。本実施形態では、アウトリガー機構Yは、機体の前部に配置される前アウトリガー機構30と、機体の後部に配置される後アウトリガー機構40を備えている。アウトリガー機構Yは、格納状態(
図8、9等)と使用状態(
図10、11等)とに状態変化可能である。
【0048】
図11に示されるように、使用状態にあるアウトリガー機構Yは、車高変更機構Xが第1状態にあるときに接地して機体を支持可能な状態となる。また、
図10に示されるように、使用状態にあるアウトリガー機構Yは、車高変更機構Xが第2状態にあるときに接地しない状態となる。
【0049】
図4、5、7に示されるように、前アウトリガー機構30及び後アウトリガー機構40の両方が、機体左右方向に関して左右のクローラ走行装置2よりも内に配置されている。
【0050】
図2、
図8~11に示されるように、前アウトリガー機構30が、機体左右方向視でクローラ走行装置2と重なる位置に配置される。後アウトリガー機構40が、機体左右方向視でクローラ走行装置2と重ならない位置に配置される。特に、後アウトリガー機構40は、使用状態(
図10、11)にあるときに機体左右方向視でクローラ走行装置2と重ならないように配置される。
【0051】
図4、
図6に示されるように、機体フレーム1は、機体前後方向に延びる左右の主フレーム1aと、左右の主フレーム1aに渡る状態で設けられる横フレーム1b、1cと、を備えている。前アウトリガー機構30が、横フレーム1bに設けられている。後アウトリガー機構40が、横フレーム1cに設けられている。
【0052】
前アウトリガー機構30は、
図3、4、5に示されるように、柱状部材31と、アクチュエータ33に駆動されるギヤ式の駆動機構32と、を備えている。アクチュエータ33は、例えば電動モータである。柱状部材31は、機体左右方向に延びる軸芯C1の周りに揺動可能な状態で、円筒状の横フレーム1bに支持されている。駆動機構32は、アクチュエータ33に駆動されて、柱状部材31を軸芯C1の周りに揺動させる。すなわち、柱状部材31は、前アウトリガー機構30(アウトリガー機構Y)が使用状態と格納状態との間で状態変化するときに揺動する。前アウトリガー機構30が使用状態にあるとき、柱状部材31は上下方向に沿って延びる姿勢となる(
図3の実線)。前アウトリガー機構30が格納状態にあるとき、柱状部材31は前後方向に沿って延びる姿勢となる(
図3の二点鎖線)。以上述べたとおり、本実施形態の自脱型コンバインは、アウトリガー機構Yを駆動して格納状態と使用状態との間で状態変化させるアクチュエータ33を備える。
【0053】
後アウトリガー機構40は、
図6、7に示されるように、左右の柱状部材41と、左右のアクチュエータ43に駆動されるギヤ式の左右の駆動機構42と、を備えている。アクチュエータ43は、例えば電動モータである。柱状部材41は、機体左右方向に延びる軸芯C2の周りに揺動可能な状態で、円筒状の横フレーム1cに支持されている。駆動機構42は、アクチュエータ43に駆動されて、柱状部材41を軸芯C2の周りに揺動させる。すなわち、柱状部材41は、後アウトリガー機構40(アウトリガー機構Y)が使用状態と格納状態との間で状態変化するときに揺動する。後アウトリガー機構40が使用状態にあるとき、柱状部材41は上下方向に沿って延びる姿勢となる(
図7)。後アウトリガー機構40が格納状態にあるとき、柱状部材41は前後方向に沿って延びる姿勢となる(
図8、9)。以上述べたとおり、本実施形態の自脱型コンバインは、アウトリガー機構Yを駆動して格納状態と使用状態との間で状態変化させるアクチュエータ43を備える。
【0054】
〔制御に関する構成〕
以下、
図12のブロック図を参照しながら、自脱型コンバインの制御に関する構成について説明する。自脱型コンバインの制御装置50は、動作制御部51及び停止制御部52を備えている。
【0055】
詳しくは、制御装置50は、いわゆるECUであり、上述の各機能部に対応するプログラムを記憶するメモリ(HDDや不揮発性RAMなど。図示省略)と、当該プログラムを実行するCPU(図示省略)と、を備えている。プログラムがCPUにより実行されることにより、各機能部の機能が実現される。制御装置50は、昇降シリンダ16、センサ17、指令具18、アクチュエータ33、アクチュエータ43、エンジンE、及びトランスミッションTと接続され、これらを制御可能に構成されている。
【0056】
センサ17は、アウトリガー機構Yが使用状態にあることを検知するセンサである。例えばセンサ17は、アウトリガー機構Yが使用状態にあるときに柱状部材31、41と接触して信号を制御装置50へ送信する接触式センサである。
【0057】
指令具18は、運転部5に設けられたレバーやボタン等であり、オペレータからの人為指令を受け付けて信号を制御装置50へ送信する。
【0058】
動作制御部51は、指令具18が受け付けた指令に応じて車高変更機構X及びアクチュエータ33、43を動作させる。詳しくは、動作制御部51は、後述する自動泥落とし処理を実行する。
【0059】
停止制御部52は、アクチュエータ33、43の動作を制御すると共に、アウトリガー機構Yが使用状態にあることをセンサ17が検知したことに応じてアクチュエータ33、43の動作を停止させる。
【0060】
〔自動泥落とし処理(上昇処理、下降処理)〕
図13のフローチャート、及び
図8~11を参照しながら、自動泥落とし処理について説明する。
【0061】
動作制御部51は、指令具18からの信号を経時的に監視する(ステップ#1:No)。指令具18が人為操作を受け付けたことに応じて(ステップ#1:Yes)、動作制御部51は昇降シリンダ16を作動させて、車高変更機構Xを第1状態(
図8)から第2状態(
図9)へ変化させる(ステップ#2)。
【0062】
続いて、動作制御部51は、アクチュエータ33、43を作動させて、アウトリガー機構Yを格納状態(
図9)から使用状態(
図10)に変化させる(ステップ#3)。このとき、停止制御部52は、センサ17からの信号を監視して、アウトリガー機構Yが使用状態にあることをセンサ17が検知したことに応じてアクチュエータ33、43の動作を停止させる。
【0063】
続いて、動作制御部51は、昇降シリンダ16を作動させて、車高変更機構を第2状態(
図10)から第1状態(
図11)に変化させる(ステップ#4)。以上の処理により、
図11に示されるように、クローラ走行装置2のベルト24の下面と地面とが離間する。
以上述べたステップ#2、#3、及び#4の処理が上昇処理である。
【0064】
続いて、動作制御部51は、エンジンE及びトランスミッションTを制御して、クローラ走行装置2を前進駆動させる(ステップ#5)。前進駆動は、所定の速度で所定の時間行われ、自動的に終了する。前進駆動の速度が、指令具18からの人為操作に基づいて設定されてもよい。前進駆動が、指令具18からの人為操作に基づいて開始又は終了されてもよい。
【0065】
続いて、動作制御部51は、エンジンE及びトランスミッションTを制御して、クローラ走行装置2を後進駆動させる(ステップ#6)。後進駆動は、所定の速度で所定の時間行われ、自動的に終了する。後進駆動の速度が、指令具18からの人為操作に基づいて設定されてもよい。後進駆動が、指令具18からの人為操作に基づいて開始又は終了されてもよい。
【0066】
ステップ#5及び#6の処理は、順序が逆でもよいし、一方が省略されてもよい。
【0067】
続いて、動作制御部51は、昇降シリンダ16を作動させて、車高変更機構Xを第1状態(
図11)から第2状態(
図10)へ変化させる(ステップ#7)。
【0068】
続いて、動作制御部51は、アクチュエータ33、43を作動させて、アウトリガー機構Yを使用状態(
図10)から格納状態(
図9)に変化させる(ステップ#8)。
【0069】
続いて、動作制御部51は、昇降シリンダ16を作動させて、車高変更機構を第2状態(
図9)から第1状態(
図8)に変化させる(ステップ#9)。そして自動泥落とし処理は終了する。以上述べたステップ#7、#8、及び#9の処理が下降処理である。
【0070】
自動泥落とし処理が次のように半自動的に行われてもよい。動作制御部51は、指令具18が受け付けた指令に応じて上昇処理を実行する。そして動作制御部51は、指令具18が受け付けた指令に応じてクローラ走行装置2の前進駆動及び/又は後進駆動を行う。
動作制御部51は、指令具18が受け付けた指令に応じて下降処理を実行する。
【0071】
〔変形例1〕
以下、上述した自脱型コンバインの変形例について説明する。以下の説明では、上述の実施形態と共通する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0072】
〔シート〕
図14~16に示されるように、この変形例の自脱型コンバインは、シート60、及び保持装置70を備えている。シート60は、地面から離間したクローラ走行装置2の下に配置されて、クローラ走行装置2から落下した泥を受け止める。
【0073】
シート60は、
図15、16に示されるように、長方形のシート状の部材である。シート60は、全体がメッシュ状であり、クローラ走行装置2から落下した泥の水分が透過可能なように構成されている。シート60は、複数の開口部61と、開口部61に取り付けられた袋部62と、を備えている。
図16に示されるように、クローラ走行装置2から落下した泥が、開口部61を通って袋部62の内部へ進入し、袋部62により保持される。
また、シート60が保持装置70に巻き取られる際に、シート60の表面上の泥が開口部61を通って袋部62の内部へ落下し、袋部62により保持される。これにより、クローラ走行装置2から落下した泥が地面に落下することを抑制できる。
【0074】
シート60の長手方向の端部に、複数の穴63が形成されている。穴63は、シート60の保持装置70への取り付けや、シート60のメンテナンスの際のシート60の吊り下げ等に用いられる。
【0075】
シート60は、保持装置70から繰り出されて左右のクローラ走行装置2の下方に配置されたときに(
図14)、鉛直方向視で左右のクローラ走行装置2のベルト13の全体がシート60と重なる状態となる形状に形成されている(
図15)。
【0076】
〔保持装置〕
保持装置70は、シート60を保持すると共にシート60の巻き取り及び繰り出しが可能なように構成されている。保持装置70は、シート60が保持装置70から繰り出されたときに左右のクローラ走行装置2の下方に配置可能なように、機体(機体フレーム1)に支持されている。
【0077】
保持装置70は、巻取軸71、駆動機構72、ハンドル73、及び取付部74を備えている。巻取軸71は、機体左右方向に沿って延びる姿勢で配置される。巻取軸71は、シート60の長手方向の端部が取り付け可能なように構成されている。巻取軸71には複数のピン(不図示)が設けられ、シート60の穴63が当該ピンと係合する。駆動機構72は、巻取軸71を回転させる。本実施形態では、ハンドル73が人為操作されると、駆動機構72が巻取軸71を回転させる。駆動機構72が電動モータ等のアクチュエータにより駆動されてもよい。取付部74は、保持装置70を機体フレーム1に支持させる。
図14に示されるように、取付部74は、機体フレーム1への取付姿勢が変更可能なように(実線と2点鎖線)構成されている。本実施形態では、
図14に示されるように、保持装置70は、機体フレーム1の後部に取り付けられている。保持装置70が、機体への取り付け位置が変更可能なように構成されてもよい。例えば、保持装置70が、機体フレーム1の後部(
図14)と、脱穀装置9の後部(不図示)とに、その取付位置が変更可能なように構成されてもよい。
【0078】
〔後アウトリガー機構〕
図14、17に示されるように、この変形例の自脱型コンバインは、アウトリガー機構Yとして後アウトリガー機構80を備えている。後アウトリガー機構80は、主フレーム1aの後端部に設けられている。後アウトリガー機構80は、機体を支持可能な柱状部材81(支持部材の一例)、及び軸部82を備えている。機体フレーム1の主フレーム1aは、機体前後方向に延び、中空筒状である。中空筒状の主フレーム1aの内面に、溝1dが形成されている。溝1dに軸部82が入り込んでいる。
【0079】
後アウトリガー機構80が使用状態にあるとき、柱状部材81は上下方向に沿って延びる姿勢となる(
図17の実線)。後アウトリガー機構80を使用状態から格納状態へ変化させる際は、まず、柱状部材81を水平方向に沿って延びる姿勢となるまで、機体左右方向に沿って延びる軸芯C3(軸部82の中心軸に一致)の周りに後方へ揺動させる。その状態で柱状部材81を前方へ押すと、軸部82が溝1dの内部を前方へスライドし、柱状部材81及び軸部82が中空筒状の主フレーム1aの内部へ進入する。すなわち、後アウトリガー機構80の柱状部材81は、後アウトリガー機構80(アウトリガー機構Y)が格納状態(
図17の二点鎖線)にあるときに、その一部が主フレーム1aの中空筒の内部に収納された状態となる。後アウトリガー機構80の格納状態から使用状態への変化は、逆の手順で行われる。すなわち、後アウトリガー機構80の状態変化は手動により行われる。
【0080】
主フレーム1aの端部に、ストッパ1eが設けられている。ストッパ1eは、後アウトリガー機構80(アウトリガー機構Y)が使用状態(
図17の実線)にあるときに柱状部材81と接触して柱状部材81を位置決めする。
【0081】
〔変形例2〕
〔後アウトリガー機構〕
図18に示されるように、この変形例の自脱型コンバインは、アウトリガー機構Yとして後アウトリガー機構90を備えている。後アウトリガー機構90は、柱状部材91、ダンパー92、及び検知センサ93を備えている。柱状部材91は、軸芯C4の周りに揺動可能な状態で、主フレーム1aの後端部に支持されている。ダンパー92は、一方の端部が柱状部材91に支持され、他方の端部が主フレーム1aに支持されている。検知センサ93は、後アウトリガー機構90が使用状態にあることを検知するセンサである。検知センサ93は、主フレーム1aの後端部に支持されている。検知センサ93は、接触式センサであって、使用状態にある後アウトリガー機構90の柱状部材91と接触して信号を制御装置50へ送信する。主フレーム1aに、ストッパ1f、1gが設けられている。ストッパ1fは、使用状態にある後アウトリガー機構90の柱状部材91と接触して位置決めする。ストッパ1gは、格納状態にある後アウトリガー機構90の柱状部材91と接触して位置決めする。
【0082】
〔変形例3〕
図19に示されるように、この変形例の自脱型コンバインは、アウトリガー機構Yとして前アウトリガー機構100を備えている。前アウトリガー機構100は、左右の柱状部材101、102と、左のアクチュエータ105に駆動されるギヤ式の駆動機構103と、右のアクチュエータ106に駆動されるギヤ式の駆動機構104と、を備えている。アクチュエータ105、106は、例えば電動モータである。柱状部材101,102は、機体左右方向に延びる軸芯C1の周りに揺動可能な状態で、円筒状の横フレーム1bに支持されている。駆動機構103は、アクチュエータ105に駆動されて、柱状部材101を軸芯C1の周りに揺動させる。駆動機構104は、アクチュエータ106に駆動されて、柱状部材102を軸芯C1の周りに揺動させる。すなわち、柱状部材101、102は、前アウトリガー機構100(アウトリガー機構Y)が使用状態と格納状態との間で状態変化するときに揺動する。前アウトリガー機構100が使用状態にあるとき、柱状部材101、102は上下方向に沿って延びる姿勢となる。前アウトリガー機構100が格納状態にあるとき、柱状部材101、102は前後方向に沿って延びる姿勢となる。以上述べたとおり、本変形例の自脱型コンバインは、アウトリガー機構Yを駆動して格納状態と使用状態との間で状態変化させるアクチュエータ105、106を備える。
【0083】
〔変形例4〕
図20に示されるように、この変形例の自脱型コンバインは、アウトリガー機構Yとして前アウトリガー機構110を備えている。前アウトリガー機構110は、左右の柱状部材111、112と、アクチュエータ114に駆動されるギヤ式の駆動機構113と、を備えている。アクチュエータ114は、例えば電動モータである。柱状部材111,112は、機体左右方向に延びる軸芯C1の周りに揺動可能な状態で、円筒状の横フレーム1bに支持されている。駆動機構113は、アクチュエータ114に駆動されて、柱状部材101を軸芯C1の周りに揺動させる。すなわち、柱状部材111、112は、前アウトリガー機構110(アウトリガー機構Y)が使用状態と格納状態との間で状態変化するときに揺動する。前アウトリガー機構110が使用状態にあるとき、柱状部材111、112は上下方向に沿って延びる姿勢となる。前アウトリガー機構110が格納状態にあるとき、柱状部材111、112は前後方向に沿って延びる姿勢となる。以上述べたとおり、本変形例の自脱型コンバインは、アウトリガー機構Yを駆動して格納状態と使用状態との間で状態変化させるアクチュエータ114を備える。本変形例では、1つのアクチュエータ114により左右の柱状部材111、112の姿勢変更が行われる。
【0084】
左右の柱状部材111、112が、両部材に渡って設けられる接続部材により、一体に接続されてもよい。
【0085】
〔変形例5〕
図21に示されるように、この変形例の自脱型コンバインは、アウトリガー機構Yとして前アウトリガー機構120及び後アウトリガー機構130を備えている。前アウトリガー機構120は、柱状部材121を備えている。柱状部材121は、機体左右方向に沿って延びる軸芯C1の周りに揺動可能な状態で、機体フレーム1に支持されている。後アウトリガー機構130は、柱状部材131を備えている、柱状部材131は、機体左右方向に沿って延びる軸芯C2の周りに揺動可能な状態で、機体フレーム1に支持されている。
【0086】
図21に示されるように、柱状部材121と柱状部材131とが、リンク部材141により接続されている。昇降シリンダ142が、柱状部材121に接続されている。昇降シリンダ142が伸びると、柱状部材121と柱状部材131とが共に前方へ揺動し、前アウトリガー機構120及び後アウトリガー機構130が使用状態から格納状態へ変化する。このように本変形例では、リンク部材141及び昇降シリンダ142により前アウトリガー機構120と後アウトリガー機構130とが連携して動作する。
【0087】
〔変形例6〕
図22に示されるように、この変形例の自脱型コンバインは、アウトリガー機構Yとして前アウトリガー機構150及び後アウトリガー機構160を備えている。前アウトリガー機構150は、柱状部材151を備えている。柱状部材151は、機体左右方向に沿って延びる軸芯C1の周りに揺動可能な状態で、機体フレーム1に支持されている。後アウトリガー機構160は、柱状部材161を備えている、柱状部材161は、機体左右方向に沿って延びる軸芯C2の周りに揺動可能な状態で、機体フレーム1に支持されている。
【0088】
図22に示されるように、柱状部材151と柱状部材161とが、昇降シリンダ172により接続されている。昇降シリンダ172が縮むと、柱状部材151が後方へ揺動し、柱状部材161が前方へ揺動し、前アウトリガー機構150及び後アウトリガー機構160が使用状態から格納状態へ変化する。このように本変形例では、昇降シリンダ172により前アウトリガー機構150と後アウトリガー機構160とが連携して動作する。
【0089】
〔変形例7〕
図23に示されるように、この変形例の自脱型コンバインは、クローラ走行装置2のベルト13の外周面に付着した泥をベルト13から除去する除去機構180を備えている。
除去機構180は、クローラ走行装置2の後端部において、泥をベルト13から除去可能なように構成されている。
【0090】
除去機構180は、ブラシ181、回転体182、及びアーム183を備えている。ブラシ181は、回転体182から放射状に突出するブラシである。ブラシ181は、機体左右方向に交差する方向に延びている。回転体182は、機体左右方向に沿って延びる軸芯C5の周りに回転可能な状態で、アーム183に支持されている。アーム183は、機体左右方向に沿って延びる軸芯C6の周りに揺動可能な状態で、機体フレーム1の後端部に支持されている。アーム183は、下方に揺動してブラシ181がベルト13に接触可能な状態(
図23)と、上方に揺動してブラシ181がベルト13に接触しない状態(
図24)とに姿勢変更が可能である。すなわち、除去機構180は、ブラシ181がベルト13に接触可能な作動状態(
図24)と、ブラシ181がベルト13に接触しない収納状態(
図24)とに状態変化可能に構成されている。
【0091】
回転体182は、自由に回転が可能な状態であってもよいし、摩擦体等により回転抵抗が付されてもよいし、電動モータ等により回転駆動されてもよい。
【0092】
除去機構180は、クローラ走行装置2の後端部に配置されてもよいし、クローラ走行装置2の前端部及び後端部の両方に配置されてもよい。
【0093】
〔他の実施形態〕
(1)前アウトリガー機構及び後アウトリガー機構は、機体左右方向に関して左右のクローラ走行装置2よりも外に配置されてもよい。前アウトリガー機構の柱状部材及び後アウトリガー機構の柱状部材は、機体左右方向に関して左右のクローラ走行装置2よりも外に配置されてもよい。
【0094】
(2)前アウトリガー機構が機体左右方向視でクローラ走行装置2と重ならない位置に配置されてもよい。後アウトリガー機構が、機体左右方向視でクローラ走行装置2と重なる位置に配置されてもよい。
【0095】
(3)除去機構180の形式は、ブラシ式に限られない。除去機構180が、板状のスクレーパや棒状の接触体をクローラ走行装置2のベルト24の外周面に接触させる機構であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、自脱型コンバインだけでなく、普通型コンバインや農作業機、土木作業機等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0097】
1a :主フレーム
1b :横フレーム
1c :横フレーム
1e :ストッパ
1f :ストッパ
2 :クローラ走行装置
13 :ベルト
17 :センサ
18 :指令具
24 :ベルト
30 :前アウトリガー機構
31 :柱状部材
33 :アクチュエータ
40 :後アウトリガー機構
41 :柱状部材
43 :アクチュエータ
51 :動作制御部
52 :停止制御部
60 :シート
70 :保持装置
80 :後アウトリガー機構
81 :柱状部材
90 :後アウトリガー機構
91 :柱状部材
100 :前アウトリガー機構
101 :柱状部材
102 :柱状部材
105 :アクチュエータ
106 :アクチュエータ
110 :前アウトリガー機構
111 :柱状部材
112 :柱状部材
114 :アクチュエータ
120 :前アウトリガー機構
121 :柱状部材
130 :後アウトリガー機構
131 :柱状部材
150 :前アウトリガー機構
151 :柱状部材
160 :後アウトリガー機構
161 :柱状部材
180 :除去機構
L1 :第1距離
L2 :第2距離
X :車高変更機構
Y :アウトリガー機構