(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】冷熱発電用のタービン
(51)【国際特許分類】
F01K 25/10 20060101AFI20231110BHJP
【FI】
F01K25/10 W
(21)【出願番号】P 2020119688
(22)【出願日】2020-07-13
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】518131296
【氏名又は名称】三菱重工マリンマシナリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 亮
(72)【発明者】
【氏名】川波 晃
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-65916(JP,A)
【文献】特開2005-291094(JP,A)
【文献】特開平9-209717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスを加熱するための熱媒体が循環するように構成された熱媒体循環ラインに設けられる冷熱発電用のタービンであって、
ロータシャフトと、
前記ロータシャフトを収容するケーシングと、
前記ロータシャフトの周りに設けられた複数の動翼であって、第1の動翼と、前記第1の動翼よりも下流側に設けられる第2の動翼と、を含む複数の動翼と、
前記ケーシングの内側に支持された複数の静翼であって、前記第1の動翼よりも上流側に設けられる第1の静翼と、前記第1の動翼よりも下流側、且つ前記第2の動翼よりも上流側に設けられる第2の静翼と、を含む複数の静翼と、
前記第1の静翼に前記熱媒体を導入するための熱媒体導入ラインと、
前記熱媒体導入ラインから分岐して前記第1の静翼および前記第1の動翼を迂回して前記第2の静翼に前記熱媒体を導入するための途中合流ラインと、
を備える、
冷熱発電用のタービン。
【請求項2】
前記熱媒体導入ラインは、
前記ケーシングの内部において前記複数の動翼および前記複数の静翼の外周側に形成された、前記第1の静翼に前記熱媒体を導入するための吸気室を含み、
前記途中合流ラインは、
前記ケーシングの内部において前記吸気室の内周側に形成された前記第1の動翼と前記第2の静翼との間の翼間空間と、前記吸気室と、を隔てる前記ケーシングの隔壁部を貫通する貫通孔を含む、
前記冷熱発電用のタービンは、前記貫通孔を閉塞可能な弁体を有する開閉弁をさらに備える、
請求項1に記載の冷熱発電用のタービン。
【請求項3】
前記開閉弁は、スライド弁からなる、
請求項2に記載の冷熱発電用のタービン。
【請求項4】
前記第1の静翼および前記第1の動翼の夫々は、前記ロータシャフトの一方側に設けられ、
前記第2の静翼および前記第2の動翼の夫々は、前記ロータシャフトの他方側に設けられ、
前記冷熱発電用のタービンは、前記第1の動翼を通過した前記熱媒体を前記第2の静翼に供給するための連結ラインであって、前記途中合流ラインの下流端が接続された連結ラインをさらに備える、
請求項1に記載の冷熱発電用のタービン。
【請求項5】
前記途中合流ラインは、前記ケーシングの内部において前記熱媒体導入ラインから分岐し、前記ケーシングの内部において前記連結ラインに接続された、
請求項4に記載の冷熱発電用のタービン。
【請求項6】
前記途中合流ラインは、前記ケーシングの外部において前記熱媒体導入ラインから分岐し、前記ケーシングの内部において前記連結ラインに接続された、
請求項4に記載の冷熱発電用のタービン。
【請求項7】
前記連結ラインにおける前記途中合流ラインとの接続部よりも上流側を流れる前記熱媒体と、前記熱媒体よりも高温の第2の熱媒体と、の間で熱交換を行うように構成された熱交換器をさらに備える、
請求項4乃至6の何れか1項に記載の冷熱発電用のタービン。
【請求項8】
前記冷熱発電用のタービンは、設計流量において、前記第1の静翼に導入される前記熱媒体の圧力P1の、前記第1の動翼と第2の静翼との間における前記熱媒体の圧力P2に対する圧力比P1/P2が、臨界圧力比よりも大きくなるように構成された、
請求項1乃至7の何れか1項に記載の冷熱発電用のタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液化ガスを加熱するための熱媒体が循環するように構成された熱媒体循環ラインに設けられる冷熱発電用のタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
液化ガス(例えば、液化天然ガス)は、輸送や貯蔵を目的として液化され、都市ガスや火力発電所などの供給先に供給するに際して、海水などの熱媒体で昇温して気化させることが行われる。液化ガスを気化させる際に、冷熱エネルギを海水に捨てるのではなく電力として回収する冷熱発電が行われることがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
液化天然ガスの冷熱発電サイクルとしては、二次媒体ランキンサイクル方式などが知られている(例えば、特許文献1)。二次媒体ランキンサイクル方式は、クローズドループ内を循環する二次媒体を、蒸発器にて海水を熱源として加熱して蒸発させ、この蒸気を冷熱発電用のタービンに導入して動力を得た後に、液化天然ガスにて冷却、凝縮させる方式である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
冷熱発電用のタービンは、二次媒体を加熱する熱源である海水の温度や液化ガスの流量(液化ガスと二次媒体との間で熱交換を行う熱交換器への液化ガスの導入量)に応じて部分負荷運用になることがある。例えば、暑い(緯度が低い)海域や夏場などの場合には海水温度が25℃程度になるのに対して、緯度の高い海域や冬場などの場合には、緯度が低い海域や夏場などに比べて、海水の温度が低下する。熱源である海水の温度が低いと、タービンに供給される二次媒体の温度も低くなる。タービンに供給される二次媒体の温度低下に伴い、タービンの飽和圧を低下させる必要がある。このため、熱源である海水の温度が低い場合には、タービンへの二次媒体の供給量が小量に制限され、タービンの出力が低下する虞がある。なお、クローズドループ内二次媒体の循環量を増加させたとしても、タービンの入口温度に応じてタービンへの二次媒体の供給量が制限されるので、タービンを迂回するバイパスラインに二次媒体を大量に流すことになるため、冷熱発電サイクルの出力が低下する虞がある。
【0006】
上述した事情に鑑みて、本開示の少なくとも一実施形態の目的は、タービンの部分負荷運転時の出力を向上させることができる冷熱発電用のタービンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示にかかる冷熱発電用のタービンは、
液化ガスを加熱するための熱媒体が循環するように構成された熱媒体循環ラインに設けられる冷熱発電用のタービンであって、
ロータシャフトと、
前記ロータシャフトを収容するケーシングと、
前記ロータシャフトの周りに設けられた複数の動翼であって、第1の動翼と、前記第1の動翼よりも下流側に設けられる第2の動翼と、を含む複数の動翼と、
前記ケーシングの内側に支持された複数の静翼であって、前記第1の動翼よりも上流側に設けられる第1の静翼と、前記第1の動翼よりも下流側、且つ前記第2の動翼よりも上流側に設けられる第2の静翼と、を含む複数の静翼と、
前記第1の静翼に前記熱媒体を導入するための熱媒体導入ラインと、
前記熱媒体導入ラインから分岐して前記第1の静翼および前記第1の動翼を迂回して前記第2の静翼に前記熱媒体を導入するための途中合流ラインと、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、タービンの部分負荷運転時の出力を向上させることができる冷熱発電用のタービンが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態にかかる冷熱発電用のタービンを備える冷熱発電システムの構成を概略的に示す概略構成図である。
【
図2】本開示の一実施形態にかかる冷熱発電用のタービンの軸線に沿った断面を概略的に示す概略断面図であって、開閉弁が閉じた状態を示す概略断面図である。
【
図3】
図2に示される冷熱発電用のタービンの軸線に沿った断面を概略的に示す概略断面図であって、開閉弁が開いた状態を示す概略断面図である。
【
図4】本開示の一実施形態にかかる冷熱発電用のタービンの軸線に沿った断面を概略的に示す概略断面図であって、開閉弁が閉じた状態を示す概略断面図である。
【
図5】
図4に示される冷熱発電用のタービンの軸線に沿った断面を概略的に示す概略断面図であって、開閉弁が開いた状態を示す概略断面図である。
【
図6】本開示の一実施形態にかかる冷熱発電用のタービンの軸線に沿った断面を概略的に示す概略断面図である。
【
図7】本開示の一実施形態にかかる冷熱発電用のタービンの軸線に沿った断面を概略的に示す概略断面図である。
【
図8】本開示の一実施形態にかかる冷熱発電用のタービンを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
なお、同様の構成については同じ符号を付し説明を省略することがある。
【0011】
(冷熱発電システム)
図1は、本開示の一実施形態にかかる冷熱発電用のタービンを備える冷熱発電システムの構成を概略的に示す概略構成図である。
冷熱発電システム1は、
図1に示されるように、冷熱発電用のタービン2(以下、タービン2とする)と、液化ガス供給ライン3と、熱媒体循環ライン4と、加熱水供給ライン5と、発電機11と、第1の熱交換器12と、第2の熱交換器13と、を備える。液化ガス供給ライン3、熱媒体循環ライン4および加熱水供給ライン5の夫々は、例えば管路などの流体が流通する流路を含むものである。
【0012】
液化ガス供給ライン3は、液化ガス貯留装置31から液化ガスを送るように構成されている。液化ガス貯留装置(例えば、液化ガスタンク)31は、液状の液化ガスを貯留するように構成されている。
【0013】
熱媒体循環ライン4は、水よりも凝固点が低い熱媒体を循環させるように構成されている。以下、液化ガスの具体例として液化天然ガス(LNG)を、熱媒体循環ライン4を流れる熱媒体の具体例としてプロパンを例に挙げて説明するが、本開示は、液化天然ガス以外の液化ガス(液体水素など)にも適用可能であり、また、プロパン以外の熱媒体を、熱媒体循環ライン4を流れる熱媒体とした場合にも適用可能である。
【0014】
図示される実施形態では、冷熱発電システム1は、液化ガス供給ライン3に設けられた液化ガス用ポンプ32と、熱媒体循環ライン4に設けられた熱媒体用の循環ポンプ41と、をさらに備える。液化ガス供給ライン3は、その一端側33が液化ガス貯留装置31に接続され、その他端側34が冷熱発電システム1の外部に設けられる液化ガス用の機器35に接続される。液化ガス用の機器35としては、例えば、陸上に設けられたガスホルダやこれに接続されるガス配管などが挙げられる。
【0015】
液化ガス用ポンプ32を駆動させることにより、液化ガス貯留装置31に貯留される液化ガスが液化ガス供給ライン3に送られて、液化ガス供給ライン3を上流側から下流側に向かって流れた後に、液化ガス用の機器35に送られる。
【0016】
熱媒体用の循環ポンプ41を駆動させることにより、熱媒体循環ライン4を熱媒体が循環する。タービン2は、液化ガスを加熱するための熱媒体が循環するように構成された熱媒体循環ライン4に設けられる。タービン2は、ロータシャフト21を備え、熱媒体循環ライン4を流れる熱媒体により駆動する(ロータシャフト21を回転させる)ように構成されている。発電機11は、ロータシャフト21に接続され、タービン2の駆動力(ロータシャフト21の回転力)を駆動源として発電するように構成されている。
【0017】
加熱水供給ライン5は、冷熱発電システム1の外部から導入された加熱水を送るように構成されている。「加熱水」は、熱交換器において熱媒として熱交換対象を加熱させる水であればよく、常温の水であってもよい。冷熱発電システム1が船体10又は水上に浮かぶ浮体に搭載される場合には、加熱水は、船舶又は浮体において入手が容易な水(例えば、海水などの船外水や、船舶のエンジンを冷却した冷却水など)が好ましい。或る実施形態では、冷熱発電システム1や冷熱発電用のタービン2は、
図1に示されるような船体10又は浮体10Aに搭載される。他の或る実施形態では、冷熱発電システム1や冷熱発電用のタービン2は、陸上に設置される。
【0018】
図示される実施形態では、冷熱発電システム1は、水よりも凝固点が低い中間熱媒体を循環させるように構成された中間熱媒体循環ライン6と、中間熱媒体循環ライン6に設けられる中間熱媒体用の循環ポンプ61と、加熱水供給ライン5に設けられる加熱水用ポンプ51と、第3の熱交換器14と、をさらに備える。
【0019】
図示される実施形態では、冷熱発電システム1は、中間熱媒体用の循環ポンプ61を駆動させることにより、中間熱媒体循環ライン6を中間熱媒体が循環する。加熱水供給ライン5は、その一端側52が冷熱発電システム1の外部に設けられる加熱水の供給元15に接続され、その他端側53が冷熱発電システム1の外部に設けられる加熱水の排出先16に接続される。加熱水用ポンプ51を駆動させることにより、加熱水の供給元15から加熱水が加熱水供給ライン5に送られて、加熱水供給ライン5を上流側から下流側に向かって流れた後に、加熱水の排出先16に送られる。
【0020】
冷熱発電システム1が船体10又は水上に浮かぶ浮体10Aに搭載される場合には、加熱水の供給元15としては、例えば、船体10に設けられた船外の水を導入するための取水口15Aが挙げられる。また、冷熱発電システム1が船体10又は浮体10Aに搭載される場合には、加熱水の排出先16としては、例えば、船体10に設けられた船外に水を排出するための排出口16Aが挙げられる。
【0021】
中間熱媒体は、熱媒体循環ライン4を流れる熱媒体と同種の熱媒体であってもよいし、異種の熱媒体であってもよい。図示される実施形態では、中間熱媒体は、プロパンからなり、加熱水は、船外から取得した海水からなる。
【0022】
第1の熱交換器12は、液化ガス供給ライン3を流れる液化ガスと、熱媒体循環ライン4を流れる熱媒体と、の間で熱交換を行うように構成されている。
図1に示される実施形態では、第1の熱交換器12は、液化ガス供給ライン3に設けられた液化ガスが流れる液化ガス流路121と、熱媒体循環ライン4に設けられた熱媒体が流れる熱媒体流路122と、を含む。熱媒体流路122内の熱媒体と、液化ガス流路121内の液化ガスと、の間で熱交換が行われる。
【0023】
第2の熱交換器13は、熱媒体循環ライン4を流れる熱媒体と、中間熱媒体循環ライン6を流れる中間熱媒体と、の間で熱交換を行うように構成されている。
図1に示される実施形態では、第2の熱交換器13は、熱媒体循環ライン4に設けられた熱媒体が流れる熱媒体流路131と、中間熱媒体循環ライン6に設けられた中間熱媒体が流れる中間熱媒体流路132と、を含む。中間熱媒体流路132内の中間熱媒体と、熱媒体流路131内の熱媒体と、の間で熱交換が行われる。
【0024】
なお、他の幾つかの実施形態では、第2の熱交換器13は、熱媒体循環ライン4を流れる熱媒体と、加熱水供給ライン5を流れる加熱水と、の間で熱交換を行うように構成されていてもよい。第2の熱交換器13は、その内部に、加熱水供給ライン5に設けられた加熱水が流れる加熱水流路であって、熱媒体流路132との間で熱交換を行うための加熱水流路を含んでいてもよい。この場合には、冷熱発電システム1は、中間熱媒体循環ライン6および第3の熱交換器14を備える必要がないため、その構造を大型化や複雑化を抑制できる。
【0025】
第3の熱交換器14は、中間熱媒体循環ライン6を流れる中間熱媒体と、加熱水供給ライン5を流れる加熱水と、の間で熱交換を行うように構成されている。
図1に示される実施形態では、第3の熱交換器14は、中間熱媒体循環ライン6に設けられた中間熱媒体が流れる中間熱媒体流路141と、加熱水供給ライン5に設けられた加熱水が流れる加熱水流路142と、を含む。中間熱媒体流路141内の中間熱媒体と、加熱水流路142内の加熱水と、の間で熱交換が行われる。
【0026】
第1の熱交換器12(具体的には液化ガス流路121)は、液化ガス供給ライン3の液化ガス用ポンプ32よりも下流側、且つ液化ガス用の機器35よりも上流側に設けられる。液化ガス用ポンプ32は、液化ガス供給ライン3の液化ガス貯留装置31よりも下流側に設けられる。また、第1の熱交換器12(具体的には熱媒体流路122)は、熱媒体循環ライン4のタービン2よりも下流側、且つ熱媒体用の循環ポンプ41よりも上流側に設けられる。
【0027】
第2の熱交換器13(具体的には熱媒体流路131)は、熱媒体循環ライン4の熱媒体用の循環ポンプ41よりも下流側、且つタービン2よりも上流側に設けられる。また、第2の熱交換器13(具体的には中間熱媒体流路132)は、中間熱媒体循環ライン6の第3の熱交換器14(具体的には中間熱媒体流路141)よりも下流側、且つ中間熱媒体用の循環ポンプ61よりも上流側に設けられる。
【0028】
第3の熱交換器14(具体的には加熱水流路142)は、加熱水供給ライン5の加熱水用ポンプ51よりも下流側、且つ加熱水の排出先16よりも上流側に設けられる。加熱水用ポンプ51は、加熱水供給ライン5の加熱水の供給元15よりも下流側に設けられる。
【0029】
第1の熱交換器12の液化ガス流路121には、液化ガス用ポンプ32により昇圧された液状の液化ガスが送られる。第1の熱交換器12における熱交換により、液化ガス流路121を流れる液化ガスが加熱され、熱媒体流路122を流れる熱媒体が冷却される。つまり、液化ガス流路121を流れる液化ガスの冷熱エネルギが熱媒体流路122を流れる熱媒体に回収される。第1の熱交換器12における熱交換により、熱媒体流路122を流れる熱媒体は、水(加熱水)の凝固点よりも低い温度になる。
【0030】
第3の熱交換器14の中間熱媒体流路141には、中間熱媒体用の循環ポンプ61により昇圧された中間熱媒体が送られる。また、加熱水流路142には、加熱水用ポンプ51により昇圧された加熱水が送られる。第3の熱交換器14における熱交換により、中間熱媒体流路141を流れる中間熱媒体が加熱される。
【0031】
第2の熱交換器13の熱媒体流路131には、第1の熱交換器12により冷却された後に、熱媒体用の循環ポンプ41により昇圧された熱媒体が送られる。また、中間熱媒体流路132には、第3の熱交換器14により加熱された中間熱媒体が送られる。第2の熱交換器13における熱交換により、熱媒体流路131を流れる熱媒体が加熱され、中間熱媒体流路132が冷却される。
【0032】
図1に示される実施形態では、冷熱発電システム1は、熱媒体循環ライン4における第2の熱交換器13よりも下流側から分岐して、タービン2を迂回して第1の熱交換器12の熱媒体流路122よりも上流側に接続されるバイパスライン17をさらに備える。上述した熱媒体循環ライン4におけるバイパスライン17が分岐する分岐部171からバイパスライン17が合流する合流部172までの間の流路(タービン2を通過する流路)を主流路42とする。
【0033】
図1に示される実施形態では、冷熱発電システム1は、主流路42のタービン2より上流側に設けられる開閉弁43と、バイパスライン17に設けられる開閉弁173と、をさらに備える。例えば、冷熱発電システム1の始動時には、開閉弁43を閉じ、開閉弁173を開いて熱媒体にタービン2を迂回させる。所定期間が経過した後に、開閉弁43を開いて、開閉弁173を閉じて熱媒体にタービン2を通過させる。
【0034】
(冷熱発電用のタービン)
以下、タービン2における熱媒体の流れ方向における上流側を単に上流側と表すことがあり、タービン2における熱媒体の流れ方向における下流側を単に下流側と表すことがある。
【0035】
幾つかの実施形態にかかる冷熱発電用のタービン2は、
図1に示されるように、ロータシャフト21と、ロータシャフト21を収容するケーシング7と、ロータシャフト21の周りに設けられた複数の動翼22と、ケーシング7の内側に支持された複数の静翼23と、を備える。複数の動翼22は、第1の動翼22Aと、第1の動翼22Aよりも下流側に設けられる第2の動翼22Bと、を含む。複数の静翼23は、第1の動翼22Aよりも上流側に設けられる第1の静翼23Aと、第1の動翼22Aよりも下流側、且つ第2の動翼22Bよりも上流側に設けられる第2の静翼23Bと、を含む。主流路42を流れてケーシング7の内部に導入された熱媒体は、第1の静翼23A、第1の動翼22A、第2の静翼23Bおよび第2の動翼22Bをこの順に通過した後に、ケーシング7の外部に排出される。
【0036】
タービン2は、
図1に示されるように、第1の静翼23Aに熱媒体を導入するための熱媒体導入ライン81と、熱媒体導入ライン81から分岐して第1の静翼23Aおよび第1の動翼22Aを迂回して第2の静翼23Bに熱媒体を導入するための途中合流ライン82と、をさらに備える。
図1に示される実施形態では、熱媒体導入ライン81は、上述した主流路42の一部を含み、途中合流ライン82は、主流路42から分岐部44において分岐して第1の動翼22Aと第2の静翼23Bとの間において主流路42に合流する副流路45を含む。なお、タービン2は、
図1に示されるように、副流路45に設けられる開閉弁46をさらに備えていてもよい。
【0037】
タービン2は、熱媒体循環ライン4を加熱する熱源である加熱水の温度や液化ガスの流量(第1の熱交換器12への液化ガスの導入量)に応じて部分負荷運用になることがある。例えば、暑い(緯度が低い)海域や夏場などの場合には海水温度(加熱水の温度)が25℃程度になるので、第2の熱交換器13における熱交換により十分に加熱された熱媒体がタービン2に送られる。これに対して、緯度の高い海域や冬場などの場合には、緯度が低い海域や夏場などに比べて、海水の温度が低下する。熱源である海水(加熱水)の温度が低いと、第3の熱交換器14における中間熱媒体の加熱や、第2の熱交換器13における熱媒体の加熱が不十分となり、タービン2に供給される熱媒体の温度が低くなることがある。また、第1の熱交換器12への液化ガスの導入量が大きいと、第1の熱交換器12における熱媒体の冷却が過剰になり、タービン2に供給される熱媒体の温度が低くなることがある。タービン2に供給される熱媒体の温度低下に伴い、タービン2の飽和圧を低下させる必要がある。このため、熱源である海水の温度が低い場合には、タービン2への熱媒体の供給量が小量に制限され、タービン2の出力が低下する虞がある。
【0038】
上記の構成によれば、冷熱発電用のタービン2は、第1の静翼23Aに熱媒体を導入するための熱媒体導入ライン81と、熱媒体導入ライン81から分岐して第1の静翼23Aおよび第1の動翼22Aを迂回して第2の静翼23Bに熱媒体を導入するための途中合流ライン82と、を備える。例えば、熱源である海水の温度が低い場合には、熱媒体導入ライン81を通じて第1の静翼23Aに導入される熱媒体の量が制限され、タービン2が部分負荷運転となることがある。第2の静翼23Bには、第1の動翼22Aに対して仕事をして温度低下した熱媒体が導入されるので、第2の静翼23Bは第1の静翼23Aと比べて、導入可能な熱媒体の温度が低い。このため、第1の静翼23Aおよび第1の動翼22Aを迂回する途中合流ライン82を通じて熱媒体を第2の静翼23Bに導入することで、第2の静翼23Bの下流側に位置する第2の動翼22Bへの熱媒体の導入量を増加させることができる。第2の動翼22Bに導入される熱媒体の量を増加させることで、冷熱発電用のタービン2の出力を向上させることができる。
【0039】
また、上記の構成によれば、途中合流ライン82により、部分負荷運転時にタービン2に供給可能な熱媒体の量を増やすことができる。これにより、タービン2を迂回するバイパスライン17を流れる熱媒体の量を減らすことができるため、冷熱発電システム1の出力を向上させることができる。
【0040】
(二重車室構造)
図2および
図4の夫々は、本開示の一実施形態にかかる冷熱発電用のタービンの軸線に沿った断面を概略的に示す概略断面図であって、開閉弁が閉じた状態を示す概略断面図である。
図3は、
図2に示される冷熱発電用のタービンの軸線に沿った断面を概略的に示す概略断面図であって、開閉弁が開いた状態を示す概略断面図である。
図5は、
図4に示される冷熱発電用のタービンの軸線に沿った断面を概略的に示す概略断面図であって、開閉弁が開いた状態を示す概略断面図である。
【0041】
幾つかの実施形態にかかる冷熱発電用のタービン2は、
図2~
図5に示されるように、上述したロータシャフト21と、上述したケーシング7と、第1の動翼22Aおよび第2の動翼22Bを含む上述した複数の動翼22と、第1の静翼23Aおよび第2の静翼23Bを含む上述した複数の静翼23と、上述した熱媒体導入ライン81と、上述した途中合流ライン82と、を備える。
図2~
図5に示されるように、上述した熱媒体導入ライン81は、ケーシング7の内部において複数の動翼22(22A、22B)および複数の静翼23(23A、23B)の外周側に形成された、第1の静翼23Aに熱媒体を導入するための吸気室81Aを含み、上述した途中合流ライン82は、ケーシング7の内部において吸気室81Aの内周側に形成された、第1の動翼22Aと第2の動翼22Bとの間の翼間空間83と吸気室81Aとを隔てるケーシング7の隔壁部71、を貫通する貫通孔82Aを含む。冷熱発電用のタービン2(2A、2B)は、貫通孔82Aを閉塞可能な弁体471を有する開閉弁47Aをさらに備える。なお、隔壁部71の周方向に互いに開けて複数の貫通孔82Aが形成されていてもよく、タービン2は、複数の貫通孔82Aのうちの一つ又は複数の貫通孔82Aを閉塞可能な少なくとも一つの開閉弁47Aを備えていてもよい。
【0042】
第1の動翼22Aは、第2の動翼22Bよりもタービン2の軸方向、すなわちタービン2の軸線CAの延在する方向、における一方側に配置されている。以下、タービン2の軸方向における上記一方側を前方側と定義し、上記一方側とは反対側を後方側と定義する。また、タービン2の径方向を単に径方向と称し、タービン2の周方向を単に周方向と称することがある。
【0043】
第1の動翼22Aは、第2の動翼22Bよりも前方側に位置している。第1の静翼23Aは、第1の動翼22Aよりも前方側に配置され、第2の静翼23Bは、第2の動翼22Bよりも前方側、且つ第1の動翼22Aよりも後方側に配置されている。
【0044】
ロータシャフト21は、タービン2の軸線CAに沿って延在するシャフト部211と、シャフト部211の外面212から径方向における外側に円板状に突出する複数のディスク部213と、を含む。複数のディスク部213は、第1の動翼22Aが外周に取り付けられた前方側ディスク部213Aと、前方側ディスク部213Aよりも後方側に位置する後方側ディスク部213Bであって、第2の動翼22Bが外周に取り付けられた後方側ディスク部213Bと、を含む。
【0045】
ケーシング7は、上述した隔壁部71と、第1の静翼23Aの外周部(外輪)を支持する第1の静翼支持部72と、第2の静翼23Bの外周部(外輪)を支持する第2の静翼支持部73と、隔壁部71を収納する外壁部741を含む外側ケーシング74と、を含む。
【0046】
図示される実施形態では、隔壁部71は、軸方向における貫通孔82Aよりも前方側において第1の静翼支持部72を支持し、軸方向における貫通孔82Aよりも後方側において第2の静翼支持部73を支持している。外側ケーシング74は、上述した外壁部741と、軸方向における貫通孔82Aよりも後方側において径方向に沿って延在して、隔壁部71と外壁部741とを接続する後方側壁部742と、外壁部741の隔壁部71よりも前方側に位置する前方端から径方向に沿って径方向における内側に延在する前方側壁部743と、前方側壁部743の内側端から径方向における内側に向かうに連れて後方側に傾斜する前方側傾斜壁部744と、前方側傾斜壁部744の内側端から後方側に延在する内壁部745と、を含む。内壁部745は、第1の静翼23Aの内周部(内輪)を支持している。
【0047】
上述した吸気室81Aは、隔壁部71と外壁部741との間に形成されている。ケーシング7内に導入された熱媒体は、前方側壁部743の内面に沿って径方向における内側に向かって流れた後に、前方側傾斜壁部744や内壁部745の内面に沿って軸方向における後方側に流れて、第1の静翼23Aに導入される。
【0048】
図2、
図4では、開閉弁47Aは、閉状態となっており、弁体471が隔壁部71の吸気室側面711に当接することで、貫通孔82Aが弁体471により閉塞されている。
【0049】
図2、
図3に示される実施形態では、開閉弁47Aは、弁体471と、隔壁部71と弁体471との間に設けられた回動部472であって、弁体471を隔壁部71の吸気室側面711に対して開方向および閉方向に回動させるための回動部472と、弁体471を回動させるように構成された回動機構部473と、回動機構部473に対して弁体471の開閉指示を行うように構成された開閉制御部474と、を備える。図示例では、回動機構部473は、シリンダロッドが弁体に471に取り付けられたシリンダを含む。開閉制御部474の開指示又は閉指示に応じて、回動機構部473が回動部472を回転中心として弁体471を開方向又は閉方向に回転させるようになっている。
【0050】
図4、
図5に示される実施形態では、開閉弁47Aは、スライド弁47Bからなる。スライド弁47Bは、上述した弁体471と、弁体471を隔壁部71の吸気室側面711に対して開方向(図示例では後方側)および閉方向(図示例では前方側)にスライドさせるためのスライド機構部475と、スライド機構部475に対して弁体471の開閉指示を行うように構成された開閉制御部474と、を備える。図示例では、スライド機構部475は、シリンダロッドが弁体に471に取り付けられたシリンダを含む。開閉制御部476の開指示又は閉指示に応じて、スライド機構部475が弁体471を上記開方向又は上記閉方向にスライドさせるようになっている。
【0051】
図3、
図5では、開閉弁47Aは、開状態となっており、貫通孔82Aを通じて吸気室81Aから翼間空間83に熱媒体が流入可能になっている。
【0052】
上記の構成によれば、熱媒体導入ライン81は、上記吸気室81Aを含み、途中合流ライン82は、吸気室81Aの内周側に形成された翼間空間83と吸気室81Aとを隔てるケーシング7の隔壁部71を貫通する貫通孔82Aを含む。冷熱発電用のタービン2は、貫通孔82Aを閉塞可能な弁体471を有する開閉弁47Aを備える。この場合には、上記貫通孔82Aを途中合流ライン82とすることで、吸気室81Aから翼間空間83に熱媒体が導入されるので、途中合流ライン82の構造を簡単なものにできる。また、上記貫通孔82Aは弁体471により閉塞できるため、開閉弁47Aの開閉機構を簡単なものにできる。これにより、冷熱発電用のタービン2の高額化を抑制できる。また、上記貫通孔82Aは、翼間空間83を点検する際の点検孔として利用可能であるため、翼間空間83の点検作業を簡単に行うことができる。
【0053】
幾つかの実施形態では、
図4、
図5に示されるように、上述した開閉弁47Aは、上述したスライド弁47Bからなる。この場合には、開閉弁47Aは、スライド弁47Bからなるので、その開閉機構を簡単なものにできる。また、隔壁部71の周方向に間隔を空けて複数の貫通孔82Aが形成されている場合に、二つ以上の複数の貫通孔82Aをスライド弁47Bの弁体471により閉塞することで、開閉弁47Aの個数を低減できる。これにより、冷熱発電用のタービン2の高価格化を抑制できる。
【0054】
(両軸駆動構造)
図6および
図7の夫々は、本開示の一実施形態にかかる冷熱発電用のタービンの軸線に沿った断面を概略的に示す概略断面図である。
幾つかの実施形態にかかる冷熱発電用のタービン2は、
図6、
図7に示されるように、上述したロータシャフト21と、上述したケーシング7と、第1の動翼22Aおよび第2の動翼22Bを含む上述した複数の動翼22と、第1の静翼23Aおよび第2の静翼23Bを含む上述した複数の静翼23と、上述した熱媒体導入ライン81と、上述した途中合流ライン82と、を備える。
図6、
図7に示されるように、第1の静翼23Aおよび第1の動翼22Aの夫々は、ロータシャフト21の軸方向における一方側(図中左側)に設けられ、第2の静翼23Bおよび第2の動翼22Bの夫々は、ロータシャフト21の軸方向における他方側(図中右側)に設けられている。
【0055】
以下、ロータシャフト21の軸方向、すなわちタービン2の軸線CAの延在する方向、における第2の動翼22Bに対して第1の動翼22Aが位置する側を前方側と定義し、上記前方側とは反対側を後方側と定義する。また、タービン2の径方向を単に径方向と称し、タービン2の周方向を単に周方向と称することがある。
【0056】
図示される実施形態では、
図6、
図7に示されるように、第1の静翼23Aは、第1の動翼22Aよりも後方側に配置され、第2の静翼23Bは、第2の動翼22Bよりも前方側に位置している。
【0057】
図示される実施形態では、
図6、
図7に示されるように、ロータシャフト21は、タービン2の軸線CAに沿って延在するシャフト部211と、シャフト部211の外面212から径方向における外側に円板状に突出する複数のディスク部213と、を含む。複数のディスク部213は、軸方向における一方側(前方側)に設けられる前方側ディスク部213Cであって、第1の動翼22Aが外周に取り付けられた前方側ディスク部213Cと、軸方向における他方側(後方側)に設けられる後方側ディスク部213Dであって、第2の動翼22Bが外周に取り付けられた後方側ディスク部213Dと、を含む。
【0058】
図示される実施形態では、
図6、
図7に示されるように、ケーシング7は、タービン2の軸方向において第1の動翼22Aと第2の動翼22Bとの間に配置されるとともに、ロータシャフト21を収容するシャフト収容部91と、シャフト収容部91の外周を覆う外側ケーシング92であって、シャフト収容部91との間に熱媒体を静翼23に導入するための熱媒体導入路93を形成する外側ケーシング92と、シャフト収容部91と外側ケーシング92との間に配置される隔壁94であって、熱媒体導入路93を軸方向における一方側(前方側)に設けられる前方側熱媒体導入路93Aと、軸方向における他方側(後方側)に設けられる後方側熱媒体導入路93Bと、に区分する隔壁94と、を含む。前方側熱媒体導入路93Aは、径方向における外側から流入した熱媒体を第1の動翼22Aに軸方向における後方側から導入するための流路である。後方側熱媒体導入路93Bは、径方向における外側から流入した熱媒体を第2の動翼22Bに軸方向における前方側から導入するための流路である。
【0059】
図6、
図7に示される実施形態では、シャフト収容部91は、第1の静翼23Aの内周部(内輪)および第2の静翼23Bの内周部(内輪)を支持している。シャフト収容部91の前方端911とロータシャフト21との間にシール部材101が配置され、これらの間をシールしている。シャフト収容部91の後方端912とロータシャフト21との間にシール部材102が配置され、これらの間をシールしている。
図6、
図7では、前方端911および後方端912の夫々は、径方向における内側に向かって突出する突出部であって、ロータシャフト21との間にシール部材101、102が配置された突出部を含む。
【0060】
図6、
図7に示される実施形態では、外側ケーシング92は、第1の静翼23Aの外周部(外輪)および第2の静翼23Bの外周部(外輪)を支持している。また、外側ケーシング92は、第1の動翼22Aおよび第2の動翼22Bを収容している。
【0061】
図示される実施形態では、
図6、
図7に示されるように、ケーシング7は、前方側熱媒体導入路93Aに径方向における外側から熱媒体を導入するための第1の導入口951を有する第1の熱媒体導入部95と、後方側熱媒体導入路93Bに径方向における外側から熱媒体を導入するための第2の導入口961を有する第2の熱媒体導入部96と、第1の動翼22Aを通過した熱媒体を第2の導入口961に導くための連絡流路970を形成する連絡流路形成部97と、第2の動翼22Bを通過した熱媒体を軸方向における後方側に排出するための排出流路980を形成する排出流路形成部98と、をさらに含む。
【0062】
主流路42を流れてケーシング7の内部に導入された熱媒体は、第1の静翼23A、第1の動翼22A、第2の静翼23Bおよび第2の動翼22Bをこの順に通過した後に、ケーシング7の外部に排出される。具体的には、第1の導入口951を通じてケーシング7の内部に導入された熱媒体は、前方側熱媒体導入路93Aを軸方向に沿って前方側に向かって流れて第1の静翼23Aおよび第1の動翼22Aを通過する。第1の動翼22Aを通過した熱媒体は、連絡流路970および第2の導入口961を流れて後方側熱媒体導入路93Bに導かれる。後方側熱媒体導入路93Bに導かれた熱媒体は、後方側熱媒体導入路93Bを軸方向に沿って後方側に向かって流れて第2の静翼23Bおよび第2の動翼22Bを通過する。第2の動翼22Bを通過した熱媒体は、排出流路980を軸方向に沿って後方側に流れた後に、ケーシング7の外部に排出される。
【0063】
第1の動翼22Aを通過する熱媒体は、軸方向における後方側から前方側に向かって流れるのに対して、第2の動翼22Bを通過する熱媒体は、軸方向における前方側から後方側に向かって流れる。つまり、第2の動翼22Bを通過する熱媒体は、軸方向において第1の動翼22Aを通過する熱媒体とは反対側に流れる。これにより、第1の動翼22Aや前方側ディスク部213Cが熱媒体から受圧して生じる前方側に向かう第1のスラストT1と、第2の動翼22Bや後方側ディスク部213Dが熱媒体から受圧して生じる後方側に向かう第2のスラストT2と、が相殺するため、ロータシャフト21のスラストを低減できる。
【0064】
上記の構成によれば、ロータシャフト21の一方側(前方側)に第1の動翼22Aを設け、ロータシャフト21の他方側(後方側)に第2の動翼22Bを設けることで、ロータシャフト21のスラストを低減できるため、冷熱発電用のタービン2の信頼性を向上させることができる。
【0065】
上述したタービン2は、第1の動翼22Aを通過した熱媒体を第2の静翼23Bに供給するための連結ライン84であって、途中合流ライン82の下流端822が接続された連結ライン84をさらに備える。
【0066】
図示される実施形態では、
図6、
図7に示されるように、熱媒体導入ライン81は、ケーシング7の内部に形成された、第1の導入口951および前方側熱媒体導入路93Aを含む。連結ライン84は、ケーシング7の内部に形成された、連絡流路970と、第2の導入口961と、後方側熱媒体導入路93Bと、を含む。
図6に示される実施形態では、途中合流ライン82は、第1の熱媒体導入部95に上流端821が接続され、下流端822が第2の熱媒体導入部96に接続された接続配管82Bを含む。接続配管82Bは、第1の導入口951と第2の導入口961を熱媒体が流通可能に連絡しており、接続配管82Bを通じて第1の導入口951から第2の導入口961に熱媒体が流出するようになっている。
図7に示される実施形態では、途中合流ライン82は、第1の熱媒体導入部95よりも上流側に上流端821が接続され、下流端822が第2の熱媒体導入部96に接続されたバイパス配管82Cを含む。
【0067】
上記の構成によれば、連結ライン84に途中合流ライン82が合流しているので、第1の動翼22Aを通過した熱媒体と、途中合流ライン82を通過した熱媒体と、を第2の静翼23Bに導入できる。これにより、簡単な構造で、第2の動翼22Bに導入される熱媒体の量を増加させることでき、冷熱発電用のタービン2の出力を向上させることができる。
【0068】
幾つかの実施形態では、
図6、
図7に示されるように、上述したシャフト収容部91は、その内部に被駆動源100を収容している。被駆動源100は、ロータシャフト21の回転力が伝達されて駆動するように構成されている。被駆動源100は、発電機11、ポンプ、および圧縮機の少なくとも一つを含む。
図6、
図7に示される実施形態では、被駆動源100は、上述した発電機11を含む。発電機11は、ロータシャフト21に取り付けられた、永久磁石を含むモータロータ11Aと、モータロータ11Aよりも径方向における外側に配置され、シャフト収容部91に支持されたモータステータ11Bと、を含む。
【0069】
上記の構成によれば、シャフト収容部91の内部に被駆動源100を収容することで、被駆動源100を外部に設ける場合に比べて、冷熱発電用のタービン2の大型化を抑制できる。
【0070】
幾つかの実施形態では、
図6、
図7に示されるように、上述したシャフト収容部91は、その内部に、スラストカラー103と、スラストカラー103よりも前方側にスラストカラー103に対面して配置される前方側スラスト軸受104と、スラストカラー103よりも後方側にスラストカラー103に対面して配置される後方側スラスト軸受105と、を収容している。スラストカラー103は、ロータシャフト21のシャフト部211に取り付けられており、前方側スラスト軸受104および後方側スラスト軸受105の夫々は、シャフト収容部91に支持されている。
【0071】
上記の構成によれば、シャフト収容部91の内部にスラストカラー103やスラスト軸受(前方側スラスト軸受104、後方側スラスト軸受105)を収容することで、スラストカラー103やスラスト軸受を外部に設ける場合に比べて、冷熱発電用のタービン2の大型化を抑制できる。
【0072】
幾つかの実施形態では、
図6に示されるように、上述した途中合流ライン82は、ケーシング7の内部において熱媒体導入ライン81から分岐し、ケーシング7の内部において連結ライン84に接続された。
【0073】
図示される実施形態では、
図6に示されるように、熱媒体導入ライン81は、ケーシング7の内部に形成された、第1の導入口951および前方側熱媒体導入路93Aを含む。連結ライン84は、ケーシング7の内部に形成された、連絡流路970と、第2の導入口961と、後方側熱媒体導入路93Bと、を含む。
図6に示される実施形態では、途中合流ライン82は、第1の熱媒体導入部95に上流端821が接続され、下流端822が第2の熱媒体導入部96に接続された接続配管82Bを含む。接続配管82Bは、第1の導入口951と第2の導入口961を熱媒体が流通可能に連絡する流路を内部に有し、接続配管82Bを通じて第1の導入口951から第2の導入口961に熱媒体が流出するようになっている。
【0074】
上記の構成によれば、途中合流ライン82(接続配管82B)の構造を簡単なものにできるので、冷熱発電用のタービン2の高額化を抑制できる。
【0075】
幾つかの実施形態では、
図7に示されるように、上述した途中合流ライン82は、前記ケーシング7の外部において熱媒体導入ライン81から分岐し、ケーシング7の内部において連結ライン84に接続された。
【0076】
図示される実施形態では、
図7に示されるように、熱媒体導入ライン81は、ケーシング7の外部に形成された、第1の導入口951よりも流れ方向における上流側の上述した主流路42の一部を含む。連結ライン84は、ケーシング7の内部に形成された、連絡流路970と、第2の導入口961と、後方側熱媒体導入路93Bと、を含む。
図7に示される実施形態では、途中合流ライン82は、第1の導入口951よりも流れ方向における上流側の上述した主流路42に上流端821が接続され、下流端822が第2の熱媒体導入部96に接続されたバイパス配管82Cを含む。
【0077】
上記の構成によれば、途中合流ライン82を、ケーシング7の外部において熱媒体導入ライン81から分岐させることで、途中合流ライン82の分岐位置の設計の自由度を高めることができる。また、ケーシング7の外部において熱媒体導入ライン81から分岐させることで、ケーシング7の内部構造の複雑化を抑制でき、ひいては冷熱発電用のタービン2の高価格化を抑制できる。
【0078】
図8は、本開示の一実施形態にかかる冷熱発電用のタービンを説明するための説明図である。
幾つかの実施形態では、
図8に示されるように、上述した冷熱発電用のタービン2は、上述した連結ライン84における途中合流ライン82との接続部841よりも上流側を流れる熱媒体と、この熱媒体よりも高温の第2の熱媒体と、の間で熱交換を行うように構成された熱交換器106をさらに備える。
【0079】
図示される実施形態では、熱交換器106は、上述した連結ライン84の接続部841よりも上流側に設けられた熱媒体が流れる熱媒体流路107と、第2の熱媒体が流れる第2熱媒体流路108と、を含む。熱媒体流路107内の熱媒体と、第2の熱媒体流路108内の第2の熱媒体と、の間で熱交換が行われて、熱媒体流路107内の熱媒体が加熱される。第2の熱媒体は、熱媒体流路107に導入される熱媒体よりも高温であればよい。この第2の熱媒体は、上述した加熱水供給ライン5を流れる加熱水であってもよいし、上述した中間熱媒体循環ライン6を流れる中間熱媒体であってもよい。
【0080】
図8に示される実施形態では、上述した熱交換器106は、上述した第2の熱交換器13を含む。すなわち、上述した熱交換器106は、上述した熱媒体循環ライン4に設けられた熱媒体が流れる熱媒体流路131と、上述した中間熱媒体循環ライン6に設けられた中間熱媒体が流れる中間熱媒体流路132と、上述した連結ライン84の接続部841よりも上流側に設けられた熱媒体が流れる熱媒体流路107と、を含む。熱媒体流路132内の熱媒体や熱媒体流路107内の熱媒体は、中間熱媒体流路132内の熱媒体により加熱される。
【0081】
上記の構成によれば、連結ライン84における途中合流ライン82との接続部841よりも上流側を流れる熱媒体は、第1の動翼22Aを通過して、その温度が低下している。この温度が低下した熱媒体を熱交換器106により加熱(再熱)した後に、第2の動翼22Bに送ることで、冷熱発電用のタービン2の熱効率および出力を向上させることができる。
【0082】
幾つかの実施形態では、
図1~
図7に示されるように、上述した冷熱発電用のタービン2は、設計流量において、上述した第1の静翼23Aに導入される熱媒体の圧力P1の、第1の動翼22Aと第2の静翼23Bとの間における熱媒体の圧力P2に対する圧力比P1/P2が、臨界圧力比よりも大きくなるように構成されている。
【0083】
上記の構成によれば、途中合流ライン82を通じて熱媒体を第2の静翼23Bに導入することで、第1の動翼22Aと第2の静翼23Bとの間における熱媒体の圧力P2が大きくなる。冷熱発電用のタービン2は、設計流量において、圧力比P1/P2が、臨界圧力比よりも大きくなるように構成されている。この場合には、設計流量においてチョークするため、第1の静翼23Aに導入される熱媒体の流速が上記圧力P2の影響を受けなくなり、第1の静翼23Aに導入される熱媒体の流量が上記圧力P1に依存するようになる。このため、途中合流ライン82を通じた熱媒体の導入量に関わらず、一定量の熱媒体を第1の静翼23Aに導入できる。これにより、チョーク流れが生じない場合に比べて、第2の動翼22Bへの熱媒体の導入量を増加させることができ、ひいては冷熱発電システム1の出力を効果的に向上させることができる。
なお、仮にタービン2が、設計流量において、圧力比P1/P2が、臨界圧力比よりも小さくなるように構成されている場合には、途中合流ライン82を通じた第2の静翼23Bへの熱媒体の導入に応じて、上記圧力P2が大きくなり、これに対応して第1の静翼23Aに導入される熱媒体の流速が低下し、第1の静翼23Aに導入される熱媒体の流量が小さなものとなる虞がある。
【0084】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0085】
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
【0086】
1)本開示の少なくとも一実施形態にかかる冷熱発電用のタービン(2)は、
液化ガスを加熱するための熱媒体が循環するように構成された熱媒体循環ライン(4)に設けられる冷熱発電用のタービン(2)であって、
ロータシャフト(21)と、
前記ロータシャフトを収容するケーシング(7)と、
前記ロータシャフトの周りに設けられた複数の動翼(22)であって、第1の動翼(22A)と、前記第1の動翼よりも下流側に設けられる第2の動翼(22B)と、を含む複数の動翼(22)と、
前記ケーシングの内側に支持された複数の静翼(23)であって、前記第1の動翼(22A)よりも上流側に設けられる第1の静翼(23A)と、前記第1の動翼(22A)よりも下流側、且つ前記第2の動翼(22B)よりも上流側に設けられる第2の静翼(23B)と、を含む複数の静翼(23)と、
前記第1の静翼(23A)に前記熱媒体を導入するための熱媒体導入ライン(81)と、
前記熱媒体導入ライン(81)から分岐して前記第1の静翼および前記第1の動翼を迂回して前記第2の静翼に前記熱媒体を導入するための途中合流ライン(82)と、
を備える。
【0087】
上記1)の構成によれば、冷熱発電用のタービンは、第1の静翼に熱媒体を導入するための熱媒体導入ラインと、熱媒体導入ラインから分岐して第1の静翼および第1の動翼を迂回して第2の静翼に熱媒体を導入するための途中合流ラインと、を備える。例えば、熱源である海水の温度が低い場合には、熱媒体導入ラインを通じて第1の静翼に導入される熱媒体の量が制限され、タービンが部分負荷運転となることがある。第2の静翼には、第1の動翼に対して仕事をして温度低下した熱媒体が導入されるので、第2の静翼は第1の静翼と比べて、導入可能な熱媒体の温度が低い。このため、第1の静翼および第1の動翼を迂回する途中合流ラインを通じて熱媒体を第2の静翼に導入することで、第2の静翼の下流側に位置する第2の動翼への熱媒体の導入量を増加させることができる。第2の動翼に導入される熱媒体の量を増加させることで、冷熱発電用のタービンの出力を向上させることができる。
【0088】
また、上記1)の構成によれば、途中合流ラインにより、部分負荷運転時にタービンに供給可能な熱媒体の量を増やすことができる。これにより、タービンを迂回するバイパスラインを流れる熱媒体の量を減らすことができるため、冷熱発電システムの出力を向上させることができる。
【0089】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の冷熱発電用のタービン(2)であって、
前記熱媒体導入ライン(81)は、
前記ケーシング(7)の内部において前記複数の動翼(22)および前記複数の静翼(23)の外周側に形成された、前記第1の静翼(23A)に前記熱媒体を導入するための吸気室(81A)を含み、
前記途中合流ライン(82)は、
前記ケーシング(7)の内部において前記吸気室(81A)の内周側に形成された前記第1の動翼と前記第2の静翼との間の翼間空間(83)と、前記吸気室(81A)と、を隔てる前記ケーシングの隔壁部(71)を貫通する貫通孔(82A)を含む、
前記冷熱発電用のタービン(2)は、前記貫通孔(82A)を閉塞可能な弁体(471)を有する開閉弁(47A)をさらに備える。
【0090】
上記2)の構成によれば、熱媒体導入ラインは、上記吸気室を含み、途中合流ラインは、吸気室の内周側に形成された翼間空間と吸気室とを隔てるケーシングの隔壁部を貫通する貫通孔を含む。冷熱発電用のタービンは、貫通孔を閉塞可能な弁体を有する開閉弁を備える。この場合には、上記貫通孔を途中合流ラインとすることで、吸気室から翼間空間に熱媒体が導入されるので、途中合流ラインの構造を簡単なものにできる。また、上記貫通孔は弁体により閉塞できるため、開閉弁の開閉機構を簡単なものにできる。これにより、冷熱発電用のタービンの高額化を抑制できる。また、上記貫通孔は、翼間空間を点検する際の点検孔として利用可能であるため、翼間空間の点検作業を簡単に行うことができる。
【0091】
3)幾つかの実施形態では、上記2)に記載の冷熱発電用のタービン(2)であって、
前記開閉弁(47A)は、スライド弁(47B)からなる。
【0092】
上記3)の構成によれば、開閉弁は、スライド弁からなるので、その開閉機構を簡単なものにできる。また、隔壁部の周方向に間隔を空けて複数の貫通孔が形成されている場合に、二つ以上の複数の貫通孔をスライド弁の弁体により閉塞することで、開閉弁の個数を低減できる。これにより、冷熱発電用のタービンの高価格化を抑制できる。
【0093】
4)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の冷熱発電用のタービン(2)であって、
前記第1の静翼(23A)および前記第1の動翼(22A)の夫々は、前記ロータシャフト(21)の一方側に設けられ、
前記第2の静翼(23B)および前記第2の動翼(22B)の夫々は、前記ロータシャフト(21)の他方側に設けられ、
前記冷熱発電用のタービン(2)は、前記第1の動翼(22A)を通過した前記熱媒体を前記第2の静翼(23B)に供給するための連結ライン(84)であって、前記途中合流ライン(82)の下流端(822)が接続された連結ライン(84)をさらに備える。
【0094】
上記4)の構成によれば、ロータシャフトの一方側に第1の動翼を設け、ロータシャフトの他方側に第2の動翼を設けることで、スラストを低減できるため、冷熱発電用のタービンの信頼性を向上させることができる。また、上記4)の構成によれば、連結ラインに途中合流ラインが合流しているので、第1の動翼を通過した熱媒体と、途中合流ラインを通過した熱媒体と、を第2の静翼に導入できる。これにより、簡単な構造で、第2の動翼に導入される熱媒体の量を増加させることでき、冷熱発電用のタービンの出力を向上させることができる。
【0095】
5)幾つかの実施形態では、上記4)に記載の冷熱発電用のタービン(2)であって、
前記途中合流ライン(82)は、前記ケーシング(7)の内部において前記熱媒体導入ライン(71)から分岐し、前記ケーシング(7)の内部において前記連結ライン(84)に接続された。
【0096】
上記5)の構成によれば、途中合流ラインの構造を簡単なものにできるので、冷熱発電用のタービンの高額化を抑制できる。
【0097】
6)幾つかの実施形態では、上記4)に記載の冷熱発電用のタービン(2)であって、
前記途中合流ライン(82)は、前記ケーシング(7)の外部において前記熱媒体導入ライン(71)から分岐し、前記ケーシング(7)の内部において前記連結ライン(84)に接続された。
【0098】
上記6)の構成によれば、ケーシングの外部において熱媒体導入ラインから分岐させることで、途中合流ラインの分岐位置の設計の自由度を高めることができる。また、ケーシングの外部において熱媒体導入ラインから分岐させることで、ケーシングの内部構造の複雑化を抑制でき、ひいては冷熱発電用のタービンの高価格化を抑制できる。
【0099】
7)幾つかの実施形態では、上記4)~6)の何れかに記載の冷熱発電用のタービン(2)であって、
前記連結ライン(84)における前記途中合流ライン(82)との接続部(841)よりも上流側を流れる前記熱媒体と、前記熱媒体よりも高温の第2の熱媒体と、の間で熱交換を行うように構成された熱交換器(106)をさらに備える。
【0100】
上記7)の構成によれば、連結ラインにおける途中合流ラインとの接続部よりも上流側を流れる熱媒体は、第1の動翼を通過して、その温度が低下している。この温度が低下した熱媒体を熱交換器により加熱(再熱)した後に、第2の動翼に送ることで、冷熱発電用のタービンの熱効率および出力を向上させることができる。
【0101】
8)幾つかの実施形態では、上記1)~7)の何れかに記載の冷熱発電用のタービン(2)であって、
前記冷熱発電用のタービンは、設計流量において、前記第1の静翼(23A)に導入される前記熱媒体の圧力P1の、前記第1の動翼(22A)と第2の静翼(23B)との間における前記熱媒体の圧力P2に対する圧力比P1/P2が、臨界圧力比よりも大きくなるように構成された。
【0102】
上記8)の構成によれば、途中合流ラインを通じて熱媒体を第2の静翼に導入することで、第1の静翼よりも下流側の熱媒体(第2の静翼に導入前の熱媒体)の圧力P2が大きくなる。冷熱発電用のタービンは、設計流量において、圧力比P1/P2が、臨界圧力比よりも大きくなるように構成されている。この場合には、設計流量においてチョークするため、第1の静翼に導入される熱媒体の流速が上記圧力P2の影響を受けなくなり、第1の静翼に導入される熱媒体の流量が上記圧力P1に依存するようになる。このため、途中合流ラインを通じた熱媒体の導入量に関わらず、一定量の熱媒体を第1の静翼に導入できる。これにより、チョーク流れが生じない場合に比べて、第2の動翼への熱媒体の導入量を増加させることができ、ひいては冷熱発電システムの出力を効果的に向上させることができる。
【符号の説明】
【0103】
1 冷熱発電システム
2 タービン
21 ロータシャフト
211 シャフト部
212 外面
213 ディスク部
213A,213C 前方側ディスク部
213B,213D 後方側ディスク部
22 動翼
22A 第1の動翼
22B 第2の動翼
23 静翼
23A 第1の静翼
23B 第2の静翼
3 液化ガス供給ライン
31 液化ガス貯留装置
32 液化ガス用ポンプ
35 機器
4 熱媒体循環ライン
41 循環ポンプ
43,46,47A 開閉弁
47B スライド弁
5 加熱水供給ライン
51 加熱水用ポンプ
6 中間熱媒体循環ライン
61 循環ポンプ
7 ケーシング
71 隔壁部
72 第1の静翼支持部
73 第2の静翼支持部
74 外側ケーシング
81 熱媒体導入ライン
81A 吸気室
82 途中合流ライン
82A 貫通孔
82B 接続配管
82C バイパス配管
83 翼間空間
84 連結ライン
91 シャフト収容部
92 外側ケーシング
93 熱媒体導入路
93A 前方側熱媒体導入路
93B 後方側熱媒体導入路
94 隔壁
95 第1の熱媒体導入部
96 第2の熱媒体導入部
97 流路形成部
98 排出流路形成部
10 船体
10A 浮体
11 発電機
12 第1の熱交換器
13 第2の熱交換器
14 第3の熱交換器
15 供給元
15A 取水口
16 排出先
16A 排出口
17 バイパスライン
100 被駆動源
101,102 シール部材
103 スラストカラー
104 前方側スラスト軸受
105 後方側スラスト軸受
106 熱交換器
CA 軸線
P1,P2 圧力
T1 第1のスラスト
T2 第2のスラスト