(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】無線通信装置及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 16/14 20090101AFI20231110BHJP
H04W 52/20 20090101ALI20231110BHJP
H04W 72/54 20230101ALI20231110BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20231110BHJP
【FI】
H04W16/14
H04W52/20
H04W72/54
H04W84/12
(21)【出願番号】P 2020502840
(86)(22)【出願日】2019-01-10
(86)【国際出願番号】 JP2019000516
(87)【国際公開番号】W WO2019167439
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2021-12-21
(31)【優先権主張番号】P 2018035456
(32)【優先日】2018-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】美濃谷 潤
(72)【発明者】
【氏名】松元 淳志
(72)【発明者】
【氏名】岩井 敬
(72)【発明者】
【氏名】高田 智史
(72)【発明者】
【氏名】浦部 嘉夫
【審査官】本橋 史帆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/176550(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/193028(WO,A2)
【文献】国際公開第2017/155436(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0142659(US,A1)
【文献】特表2016-510579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信装置であって、
第1のBSS(Basic Service Set)内の他の無線通信装置から送信される無線品質情報に基づいて、前記第1のBSS以外の第2のBSSに対するSR(Spatial Reuse)によって送信されるSR信号の送信リソースを決定する制御回路と、
前記送信リソースを用いて、前記SR信号を送信する送信回路と、
前記無線品質情報は、前記無線通信装置から前記他の無線通信装置へ通信を行うときの受信品質を含み、
前記制御回路は、前記受信品質に基づいて前記他の無線通信装置において所定の誤り率を満たす第1の送信電力を算出し、前記第1の送信電力に基づいて前記SR信号の送信を決定する、
を具備する無線通信装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記無線品質情報に基づいて、前記SR信号の送信可能な帯域を判断し、
前記送信回路は、前記送信可能な帯域において前記SR信号を送信し、前記送信可能な帯域以外の帯域では前記SR信号を送信しない、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記第2のBSSからの信号に基づいて得られる期間において前記SR信号を送信する場合に前記送信リソースを決定し、前記期間において前記SRを送信しない場合に前記送信リソースを決定しない、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記無線品質情報は所定帯域毎の無線品質を示す、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記所定帯域は、RU(Resource Unit)単位の帯域である、
請求項4に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記所定帯域は、20MHz単位の帯域である、
請求項4に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記無線品質情報は、前記他の無線通信装置における前記SR信号の受信可否、前記他の無線通信装置における干渉レベルが閾値より低いか否か、前記他の無線通信装置における干渉レベル、及び、前記無線通信装置から前記他の無線通信装置へ通信を行うときの受信品質のうちの何れかを示す、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記無線品質情報は、BSS毎の無線品質を示す、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記無線品質情報は、前記第1のBSSを含む第1のグループに所属するBSSに対する無線品質、及び、前記第1のグループと異なる第2のグループに所属するBSSに対する無線品質を示す、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記制御回路は、前記第2のBSSからの信号に基づいて第2の送信電力を算出し、前記第2の送信電力が前記第1の送信電力より大きい場合、前記SR信号の送信を決定する、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項11】
前記SR信号の送信電力は、前記第1の送信電力より大きく、かつ、前記第2の送信電力未満である、
請求項10に記載の無線通信装置。
【請求項12】
無線通信装置により実行される無線通信方法であり、
第1のBSS(Basic Service Set)内の他の無線通信装置から送信される無線品質情報に基づいて、前記第1のBSS以外の第2のBSSに対するSR(Spatial Reuse)によって送信されるSR信号の送信リソースを決定し、
前記送信リソースを用いて、前記SR信号を送信し、
前記無線品質情報は、前記無線通信装置から前記他の無線通信装置へ通信を行うときの受信品質を含み、
前記受信品質に基づいて前記他の無線通信装置において所定の誤り率を満たす第1の送信電力を算出し、前記第1の送信電力に基づいて前記SR信号の送信を決定する、
無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信装置及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE(the Institute of Electrical and Electronics Engineers) 802.11 Working GroupのTask Group axにおいて、802.11acの次期規格として、IEEE 802.11ax(以下、「11ax」と呼ぶ)の技術仕様策定が進められている。
【0003】
IEEE 802.11規格では、基本的な無線ネットワークを構成する端末(「Station(STA)」と呼ばれることもある)の集合として、BSS(Basic Service Set)が定義されている。BSSは、インフラストラクチャ・モードにおいては1台のアクセスポイント(「Access point(AP)」、「基地局」と呼ばれることもある)と複数の端末とによって構成され、アドホック・モードにおいては複数の端末によって構成される。
【0004】
自端末が属するBSS(intra-BSS)以外のBSSは、「OBSS(Overlapping BSS、またはinter-BSS)」と呼ばれる。複数のBSSが隣接して存在する環境においては、周辺のOBSSからの電波干渉が増大し、送信機会の減少により、システム性能が劣化する。
【0005】
これに対して、11axでは、BSSが高密度に存在する環境におけるシステム性能の向上を目的として、OBSSが使用している無線リソースを再利用することで送信機会を得るSR(Spatial reuse)の導入が規定された(例えば、非特許文献1を参照)。
【0006】
非特許文献1には、「OBSS PD(Packet detect)-based SR」、及び、「SRP based SR」と呼ばれる2つのSRが規定されている。OBSS PD-based SRでは、STAは、OBSSから受信した信号(以下、OBSS信号と呼ぶ)の受信電力と、OBSSのBSS識別子(BSS color)とに基づいてCCA(Clear channel assessment)閾値を動的に制御することで、送信機会を得る。また、SRP based SRでは、STAは、OBSS信号から得られる干渉許容値(「Spatial reuse parameter(SRP)」)と、OBSS信号の受信信号強度(「Received signal strength indication(RSSI)」)とに基づいて、OBSSの干渉許容値を超えない条件を満たす送信電力を導出する。STAは、導出した送信電力で信号を送信することで、OBSSに対する与干渉を低減しながら、送信機会を得る(例えば、非特許文献2を参照)。
【0007】
なお、以下の説明では、上記のSRを適用した送信を「SR送信」と呼び、SRを適用しない送信を「非SR送信」と呼ぶ。また、以下の説明では、SR送信される信号を「SR信号」と呼び、非SR送信される信号を「非SR信号」と呼ぶ。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】IEEE 802.11-17/0075r8 “SRP-Based SR Operation”
【文献】IEEE 802.11-16/1476r21 “SRP based SR for HE Trigger-based PPDU”
【文献】IEEE 802.11-16/1216r2 “SR Field SRP Table for HE Trigger-Based PPDU”
【発明の概要】
【0009】
しかしながら、SR送信によるOBSSに対する与干渉の低減については考慮されているのに対して、非SR送信によるSR送信を行うBSSへの与干渉の低減については十分に検討されていない。
【0010】
本開示の一態様は、非SR送信によるSR送信を行うBSSへの与干渉を低減することができる無線通信装置及び無線通信方法の提供に資する。
【0011】
本開示の一態様に係る無線通信装置は、第1のBSS(Basic Service Set)内の他の無線通信装置から送信される無線品質情報に基づいて、前記第1のBSS以外の第2のBSSに対するSR(Spatial Reuse)によって送信されるSR信号の送信リソースを決定する制御回路と、前記送信リソースを用いて、前記SR信号を送信する送信回路と、を具備する。
【0012】
本開示の一態様に係る通信方法は、第1のBSS(Basic Service Set)内の他の無線通信装置から送信される無線品質情報に基づいて、前記第1のBSS以外の第2のBSSに対するSR(Spatial Reuse)によって送信されるSR信号の送信リソースを決定し、前記送信リソースを用いて、前記SR信号を送信する。
【0013】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0014】
本開示の一態様によれば、非SR送信によるSR送信を行うBSSに対する与干渉を低減することができる。
【0015】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】SRP-based SRにおける課題の説明に供する図
【
図3】実施の形態1に係る無線通信装置の一部の構成例を示すブロック図
【
図4】実施の形態1に係る無線通信装置(SR initiator)の構成例を示すブロック図
【
図5】実施の形態1に係る無線通信装置(SR responder)の構成例を示すブロック図
【
図6】実施の形態1に係るシステムの動作例を示すシーケンス図
【
図7】実施の形態1に係るSRP-based SRの動作例を示す図
【
図8】実施の形態1に係るSRP-based SRの動作例を示す図
【
図9】実施の形態1に係るRU単位のSR可否情報の一例を示す図
【
図10】実施の形態1に係る20MHz単位のSR可否情報の一例を示す図
【
図11】実施の形態2に係るSRG及びNon-SRGのSR可否情報の一例を示す図
【
図12】実施の形態2に係るBSS color単位のSR可否情報の一例を示す図
【
図13】実施の形態3に係る無線通信装置(SR initiator)の構成例を示すブロック図
【
図14】他の実施の形態に係る先行信号を用いるSRP-based SRの動作例を示すシーケンス図
【
図15】他の実施の形態に係る先行信号を用いるSRP-based SRを行う無線通信装置(SR initiator)の構成例を示すブロック図
【
図16】他の実施の形態に係るOBSS PD-based SRの動作例を示すシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
[SRP based SR]
図1を用いて、SRP based SRについて詳細に説明する。
【0019】
自BSSの周辺に存在するOBSSに所属するAP(OBSS AP)は、上り信号(例えば、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)信号)の送信を促す制御信号であるトリガーフレーム(Trigger frame)を、所属するOBSS内のSTA(OBSS STA)宛に送信する。ここで、Trigger frameを含むデータフレームを「DSRP PPDU(Delayed SRP Physical layer Protocol Data Unit)」と呼ぶ。自BSSのSR initiatorは、OBSS APからOBSS STAへ送信されたDSRP PPDUを受信する(
図1の左側を参照)。
【0020】
なお、「SR initiator」とは、受信したOBSS信号により得られるSRPが所定の値をとる場合にSR送信を試みる装置(AP又はSTA)である。また、SR送信においてSR initiatorの通信相手である装置(AP又はSTA)を「SR responder」と呼ぶ。
【0021】
SR initiatorは、OBSSが使用している無線リソースを再利用するために、OBSSへの干渉を低減する送信電力を導出する。
【0022】
具体的には、SR initiatorは、受信したDSRP PPDUのSIG-A-fieldに含まれるBSS color、及び、Trigger frameのCommon field内にあるSpatial reuse subfieldの値により定義されたOBSS APのSRPを取得する(例えば、非特許文献3を参照)。SRPは、次式(1)で表される。
SRP = TXPWRAP + Acceptable receiver interference levelAP …(1)
【0023】
式(1)において、TXPWRAPはOBSS APの送信電力を示し、Acceptable receiver interference levelAPはOBSS APの許容干渉レベルを示す。
【0024】
また、SR initiatorは、受信したDSRP PPDUのRSSI(RSSITrigger frame)を測定する。
【0025】
そして、SR initiatorは、SRP及びRSSIを用いて、SR信号の送信電力(TXPWRSR initiator)を次式(2)から導出する。
TXPWRSR initiator < SRP - RSSItrigger frame …(2)
【0026】
SR initiatorは、導出した送信電力を用いて、SR responderに対してSR信号を送信する。式(2)から導出された送信電力を用いることにより、SR initiatorからSR responderへのSR送信によるOBSSに対する与干渉を低減できる(
図1の右側を参照)。
【0027】
SRP-based SRでは、SR initiatorは、Trigger frameから検知したOBSS STAの上り信号が送信されている期間(SRP opportunity)の間に、SR initiatorと同じBSSに属しているSR responderに対して、導出した送信電力でSR信号を送信することにより、無線リソースの再利用を行い、システム性能を向上する。
【0028】
ここで、SR initiatorがOBSSに対する与干渉を低減した送信電力でSR responderへのSR送信を行う場合、SR信号は通常の送信電力よりも低電力で送信される。このため、SR responderにおける干渉は小さいことが望ましい。
【0029】
しかしながら、
図2に示すように、SR responderがOBSS(
図2ではSTA1)に対して近接している場合、OBSS(STA1)における非SR送信は、SR responderにとって大きな干渉となり、SR responderにおけるSR信号の受信成功率が低下する恐れがある。また、SR responderにおいて受信に失敗したSR信号は、干渉低減の対象であるOBSS(
図2ではAPを含むOBSS)よりもSR initiatorに近接している、干渉低減の対象ではないOBSS(
図2ではSTA2を含むOBSS)に対して干渉源となり得る。
【0030】
このように、SR responderの無線チャネル状況に依存して、SR送信においてOBSSから干渉を受け、SR responderにおけるSR信号の受信成功率が低下し、システム性能が劣化する場合がある。
【0031】
そこで、本開示の一態様では、SR送信においてOBSSから受ける干渉を低減する方法について説明する。
【0032】
(実施の形態1)
[無線通信システムの構成]
本実施の形態に係る無線通信システムでは、複数のBSSが隣接して存在している。無線通信システムにおいて、少なくとも1つのBSSを構成する装置(STA又はAP)は、周辺のOBSSに対してSRP-based SR(つまり、OBSSが使用している無線リソースの再利用)を行う。
【0033】
以下では、一例として、SRP-based SRを行うSR initiator(無線通信装置)100及びSR responder(無線通信装置)200を備える。すなわち、無線通信装置100は、無線通信装置200に対して、SR信号を送信する。例えば、SR initiatorはSTAであり、SR responderはAPである。
【0034】
図3は、本実施の形態に係る無線通信装置100(SR initiator)の一部構成を示すブロック図である。
図3に示す無線通信装置100において、SR送信リソース制御部107は、第1のBSS内の他の無線通信装置(SR responder)から送信される無線品質情報に基づいて、第1のBSS以外の第2のBSS(すなわち、OBSS)に対するSR(例えば、SRP-based SR)によって送信されるSR信号の送信リソースを決定する。無線送受信部101は、送信リソースを用いて、SR信号を送信する。
【0035】
[SR initiatorの構成]
図4は、本実施の形態に係る無線通信装置100(SR initiator)の構成例を示すブロック図である。無線通信装置100は、SR responderである無線通信装置200からの無線品質情報に基づいて、SR信号に対する送信リソースを決定し、SR信号を所定の期間内で送信する。
【0036】
無線通信装置100は、無線送受信部101と、受信電力測定部102と、復調部103と、復号部104と、SR送信電力低減部105と、無線品質情報保持部106と、SR送信リソース制御部107と、符号化部108と、Preamble生成部109と、変調部110と、を含む。なお、SR送信電力低減部105及びSR送信リソース制御部107は、SR制御部を構成する。
【0037】
無線送受信部101は、OBSS(例えば、OBSS AP又はOBSS STA)から送信された無線信号(OBSS信号)を、アンテナを介して受信し、無線信号に対してダウンコンバート、A/D変換等の所定の無線受信処理を施し、無線受信処理後の受信信号を受信電力測定部102及び復調部103に出力する。
【0038】
また、無線送受信部101は、変調部110から入力されるパケット信号に対してD/A変換、キャリア周波数にアップコンバート等の所定の無線送信処理を施し、SR送信リソース制御部107から入力される送信電力情報(後述する)に示される送信電力に従って増幅した高周波信号(すなわち、SR信号)を、アンテナを介して送信する。
【0039】
受信電力測定部102は、無線送受信部101から入力される受信信号(つまり、OBSS信号)を用いて受信電力(例えば、RSSI)を測定し、測定したRSSIをSR送信電力低減部105に出力する。
【0040】
復調部103は、無線送受信部101から入力される受信信号に含まれるPreambleを検出し、Preambleに含まれる制御情報に基づいて、Trigger frameを含む受信データを抽出し、受信データを復調する。復調部103は、制御情報、及び、復調後の受信データを復号部104に出力する。
【0041】
復号部104は、復調部103から入力されるPreambleに含まれる制御情報に基づいて、受信データを復号し、Trigger frameを取得する。そして、復号部104は、復号したTrigger frame、及び、Preambleに含まれる制御情報を、SR送信電力低減部105、及び、SR送信リソース制御部107に出力する。
【0042】
SR送信電力低減部105は、復号部104から入力されるTrigger frameに含まれる制御情報に基づいて、SR送信の許可の有無を判断する。例えば、SR送信電力低減部105は、Trigger frameのCommon fieldに含まれるSpatial reuse subfieldの値が「SRP_DISALLOW」及び「SRP_AND_NON-SRG_OBSS-PD_PROHIBITED」以外の場合、SR送信を許可されたと判断する。すなわち、SR送信電力低減部105は、Spatial reuse subfieldの値が「SRP_DISALLOW」又は「SRP_AND_NON-SRG_OBSS-PD_PROHIBITED」の場合、SR送信を許可されていない(非許可)と判断する。
【0043】
SR送信電力低減部105は、SR送信を許可されたと判断した場合、SR送信における送信電力の低減を行う。具体的には、SR送信電力低減部105は、Trigger frameに含まれるSRP[dBm]と、受信電力測定部102から入力されるTrigger frameのRSSI(RSSItrigger frame)とを用いて、式(2)を満たす送信電力(TXPWRSR initiator)を決定する。SR送信電力低減部105は、決定した送信電力を示す情報をSR送信リソース制御部107に出力する。
【0044】
一方、SR送信電力低減部105は、SR送信が非許可と判断した場合、SR送信リソース制御部107に対して何も出力しない(出力OFF)、又は、SR送信リソース制御部107に対してSR未送信を指示する情報を出力することで、SR送信を中止する。また、SR送信電力低減部105は、例えば、実装上の制約等で、式(2)を満たす送信電力に低減できない場合にも、SR送信を中止してもよい。
【0045】
無線品質情報保持部106は、無線通信装置200(SR responder)から受信した無線品質情報を保持する。例えば、無線品質情報は、マネジメントフレーム又はコントロールフレームを介して、所定周期又は所定タイミングで無線通信装置200から通知されてもよい。また、無線品質情報は、所定の帯域毎の無線品質を示す情報であってもよい。無線品質情報保持部106は、例えば、直近に受信した無線品質情報をSR送信リソース制御部107に出力する。なお、無線品質情報の詳細については後述する。
【0046】
SR送信リソース制御部107は、OBSSに対するSR送信において送信されるSR信号のSR送信リソース(例えば、時間リソース、周波数リソース、送信電力リソース)を決定する。例えば、SR送信リソース制御部107は、SR信号の時間リソース(SRP opportunityとも呼ばれる)を、Trigger frameから取得したTrigger-based PPDU(非SR信号)のパケット長に関する情報に基づいて、Trigger-based PPDUより短い時間に設定する。また、SR送信リソース制御部107は、周波数リソースについて、無線品質情報保持部106から入力される所定帯域毎の無線品質情報に基づいて、帯域毎にSR送信の可否を決定する。なお、SR送信リソース制御部107は、SR送信可能な帯域が無い場合、SR送信を中止してもよい。また、SR送信リソース制御部107は、送信電力リソースについて、SR送信電力低減部105から入力される情報に示される送信電力に設定する。
【0047】
そして、SR送信リソース制御部107は、決定したSR送信リソースを示す情報(時間リソース情報、送信帯域情報、送信電力情報)を、符号化部108、Preamble生成部109、無線送受信部101にそれぞれ出力する。
【0048】
なお、SR送信リソース制御部107におけるSR信号の周波数リソースの決定方法の詳細については後述する。
【0049】
符号化部108は、SR送信リソース制御部107から入力される時間リソース情報に示される区間内で送信可能なPSDU(PHY Service Data Unit)長を決定し、無線通信装置200(SR responder)における受信品質推定値(無線品質情報等)から求めたMCS(Modulation and coding scheme)を用いて、SR信号(データ等を含む)を符号化し、符号化後の信号を変調部110に出力する。
【0050】
Preamble生成部109は、SR送信リソース制御部107から入力される送信帯域情報に基づいて、SR信号の帯域割当情報(RU allocation情報とも呼ばれる)を含む制御情報と、参照信号と、を含むPreambleを生成し、生成したPreambleを変調部110に出力する。なお、SR信号の帯域割当情報の生成方法の詳細については後述する。
【0051】
変調部110は、符号化部108から入力される信号に変調(例えば、QAM(Quadrature amplitude modulation)変調)を施す。そして、変調部110は、変調信号を、Preambleに含まれるSR信号の帯域割当情報に示される帯域(SR送信可能な帯域)に割り当て、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)処理を施すことでOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を生成し、OFDM信号で構成されるデータ信号を生成する。そして、変調部110は、データ信号に対してPreambleを付加した無線フレーム(パケット信号)を生成し、パケット信号を無線送受信部101へ出力する。
【0052】
[SR responderの構成]
図5は、本実施の形態に係る無線通信装置200(SR responder)の構成を示すブロック図である。無線通信装置200は、SR initiatorである無線通信装置100に対して所定の帯域毎の無線品質情報(例えば、干渉レベル、SINR(Signal to Interference and Noise Ratio)等の情報)を送信するとともに、無線通信装置100からのSR信号を受信する。
【0053】
無線通信装置200は、無線送受信部201と、復調部202と、復号部203と、無線品質測定部204と、無線品質情報生成部205と、変調部206と、を含む。
【0054】
無線送受信部201は、アンテナを介してBSS(例えば、SR initiator)又はOBSS(例えば、OBSS AP又はOBSS STA)からの信号を受信し、受信信号にダウンコンバート、A/D変換等の所定の無線受信処理を施し、無線受信処理後の受信信号を復調部202又は無線品質測定部204に出力する。
【0055】
また、無線送受信部201は、変調部206から入力される信号(無線品質情報を含む)に対してD/A変換、キャリア周波数にアップコンバート等の所定の無線送信処理を施し、アンテナを介して無線品質情報を、所属するBSS内のSTA(無線通信装置100を含む)に報知する。
【0056】
復調部202は、無線送受信部201から入力される受信信号からPreambleを検出し、Preambleに含まれる帯域割当情報から周波数割当情報を取得する。そして、復調部202は、周波数割当情報に基づいて、所望データ(SR信号に相当)が含まれる無線フレームを抽出し、復号部203に出力する。
【0057】
復号部203は、復調部202から入力される受信信号に含まれる制御情報に基づいて、受信データ(SR信号)を復号し、SR信号に含まれるデータを取得する。
【0058】
無線品質測定部204は、無線送受信部201から入力される受信信号(例えば、OBSS信号又は所属するBSSの信号)を用いて、無線品質(受信電力又は干渉レベル)を測定し、測定結果を無線品質情報生成部205へ出力する。なお、無線品質測定部204における無線品質測定の詳細については後述する。
【0059】
無線品質情報生成部205は、無線品質測定部204から入力される測定結果を含む無線品質情報を生成し、無線品質情報を変調部206へ出力する。
【0060】
例えば、無線品質情報生成部205は、無線品質測定部204から入力される測定結果を含む、SR initiator(無線通信装置100)宛のマネジメントフレーム又はコントロールフレームを生成する。例えば、SR responderがAPの場合、無線品質情報生成部205は、マネジメントフレームであるビーコンフレーム、又は、コントロールフレームであるTrigger frameを用いてもよい。また、SR responderがSTAの場合、無線品質情報生成部205は、SR initiatorであるAP(無線通信装置100)が送信したTrigger typeがBQRP(Bandwidth Query Report Poll)のTrigger frameへの応答として、BQR(Bandwidth Query Report)を用いてもよい。
【0061】
変調部206は、無線品質情報生成部205から入力される無線品質情報に変調を施した信号を所定の帯域に割り当て、無線送受信部201に出力する。
【0062】
[無線通信装置100及び無線通信装置200の動作]
次に、本実施の形態の無線通信装置100及び無線通信装置200の動作について詳細に説明する。
【0063】
本実施の形態では、SR initiator(無線通信装置100)がSR responder(無線通信装置200)からの無線品質情報に基づいて、SR信号に対するSR送信リソース(送信帯域及び送信電力を含む)を決定する。
【0064】
図6は、本実施の形態に係る無線通信システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
図6は、一例として、所定のBSSに所属するSR initiator及びSR responderが、当該BSSに近接するOBSS(OBSS AP及びOBSS STAを含む)に対してSRP-based SRを適用する場合の動作を示す。
【0065】
図6において、SR responder(無線品質測定部204)は、所定のBSS又はOBSSからの信号を用いて、所定の帯域毎の受信電力又は干渉レベルを測定し、測定結果に基づいて無線品質情報を生成する(ST101)。そして、SR responderは、生成した無線品質情報を含む信号を、BSS内のSTA(SR initiatorを含む)に対して報知する(ST102)。
【0066】
なお、ST102において、無線品質情報は、予め規定された所定のタイミング又は所定の周期で報知されてもよい。例えば、SR responderは、ST101において無線品質を所定の周期で測定し、無線品質が測定される度に無線品質情報を報知してもよく、上記以外の他のタイミングで報知されてもよい。
【0067】
OBSS APは、OBSS STAに対して上り送信を促すTrigger frameを生成し、Trigger frameをOBSS STA宛に送信する(ST103)。OBSS APからOBSS STAに送信されたTrigger frameは、SR initiatorでも受信される。
【0068】
SR initiator(SR送信電力低減部105)は、ST103においてOBSS APから受信したTrigger frameから取得したOBSS APの干渉許容値(SRP)、及び、Trigger frameを用いて測定されたRSSIを用いて、OBSS APへの干渉を低減するためのSR信号の送信電力(以下、SR送信電力と呼ぶこともある)を決定する(ST104)。
【0069】
SR initiator(SR送信リソース制御部107)は、ST103においてOBSS APから受信したTrigger frameから取得した、OBSS STAが送信する非SR信号のパケット長の情報に基づいて、SR送信期間(SRP opportunity。つまり、時間リソース)を決定する(ST105)。また、SR initiator(SR送信リソース制御部107)は、ST102においてSR responderから受信した所定の帯域毎の無線品質情報に基づいて、所望の受信品質が期待できるSR信号の送信リソース(周波数リソース)を決定する(ST105)。
【0070】
なお、ST105において、SR initiatorは、例えば、ST103で受信したTrigger frameに基づいて得られる、非SR信号の送信期間(SRP opportunityとも呼ばれる)においてSR信号を送信する場合にSR信号の送信リソースを決定し、非SR信号の送信期間にSR信号を送信しない場合(例えば、送信不可の場合)、SR信号の送信リソースを決定しなくてもよい。これにより、SR initiatorは、SR信号の送信が必要である場合のみ、SR信号に対する送信リソース制御を行えばよく、処理量を低減できる。
【0071】
一方で、OBSS STAは、ST103においてOBSS APから受信したTrigger frameによる指示に基づいて、OBSS APへ上り信号(すなわち、非SR信号)を送信する(ST106)。
【0072】
SR initiatorは、ST105で決定したSR送信期間内(SRP opportunity)において、ST104で決定したSR送信電力及びST105で決定した送信リソースを用いて、SR信号をSR responderへ送信する(ST107)。
【0073】
SR responderは、ST107においてSR initiatorから送信されたSR信号を受信し、受信したSR信号を復号する(ST108)。
【0074】
また、OBSS APは、ST106においてOBSS STAから送信された非SR信号を受信し、受信した非SR信号を復号する(ST109)。
【0075】
図7及び
図8は、本実施の形態に係るSRP-based SR(無線品質情報を用いたSRリソース制御)の動作例を示す。
【0076】
図7では、SR responderは、OBSSからの被干渉が小さいことを示す無線品質情報をSR initiatorに報知する。この場合、SR initiatorは、受信した無線品質情報に基づいて、SR送信可能と判断する。そこで、SR initiatorは、利用可能な送信リソース(つまり、OBSSからの干渉が小さく所望の受信品質が期待できる送信リソース)を用いてSR送信を行う。
【0077】
すなわち、
図7では、SR initiatorは、OBSS STAからの非SR信号による干渉が小さいリソースを用いてSR信号を送信するので、SR responderにおけるSR信号の復号誤りの発生を低減できる。
【0078】
また、
図7では、SR initiatorから送信されるSR信号がOBSS APに対する干渉となり得る。ただし、SR initiatorでの送信電力制御(
図6のST104)によって、干渉電力が許容値以下になるように送信電力が低減されているため、OBSS APにおける非SR信号の復号誤りの発生を低減できる。
【0079】
また、
図7では、SR送信の与干渉低減処理の対象でないOBSS(
図7ではSTA2)は、SR送信により干渉を受けるため送信できない。
【0080】
一方、
図8では、SR responderは、OBSSからの被干渉が大きいことを示す無線品質情報をSR initiatorに報知する。この場合、SR initiatorは、受信した無線品質情報に基づいて、SR送信不可能と判断する。よって、SR initiatorは、SR送信を中止する。
【0081】
すなわち、
図8では、SR initiatorは、OBSS STAからの非SR信号による干渉が大きく、SR responderにおけるSR信号の復号誤りが発生しやすいリソースでは、SR送信を行わない。これにより、
図8では、SR信号が送信されないので、OBSS APにおける非SR信号の復号誤りの発生を低減できる。さらに、
図8では、SR送信の与干渉低減処理の対象でないOBSS(
図8ではSTA2)は、SR送信による干渉が無くなるため、送信可能となる。
【0082】
図7及び
図8に示すように、SR initiatorは、SR responderからの無線品質情報に基づいて、OBSS(ここではOBSS STA)から送信される非SR信号による干渉を考慮してSR信号の送信可能な送信リソース(帯域)を決定し、送信可能な送信リソースにおいてSR信号を送信し、送信可能な送信リソース以外のリソースではSRを送信しない。これにより、SR responderの無線チャネル状況(周辺環境など)によって非SR信号が干渉になり得る場合でも、干渉が小さい帯域でSR信号が送信され、干渉を受けやすい帯域ではSR信号が送信されないので、SR responderにおけるSR信号の復号誤りの発生を低減できる。
【0083】
[SR信号の周波数リソース決定方法]
次に、無線通信装置100(SR initiator)のSR送信リソース制御部107におけるSR信号の周波数リソースの決定方法についてより詳細に説明する。
【0084】
SR送信リソース制御部107は、無線通信装置200(SR responder)から受信した無線品質情報に基づいて、SR信号の周波数リソースを決定する。
【0085】
<無線品質情報>
ここで、無線品質情報はSR responderが所定の帯域毎に生成した無線品質を示す情報であり、例えば、以下の情報を示す。
(1)SR responderがSR信号を受信可能か否か(つまり、SR initiatorがSR信号を送信可能か否か)を示すCCA結果(Idle/Busy)
(2)SR responderが測定した干渉レベルが所定の閾値より高いか低いかを示す情報
(3)SR responderが測定した干渉レベル
(4)SR initiatorからSR responderに対する受信品質情報(例えば、SINR)
【0086】
例えば、(2)の場合、SR送信リソース制御部107は、干渉レベルが所定の閾値より低いことを示す無線品質情報を受信した場合、SR responderにおいてSR信号を受信できると判断すればよい。また、(3)の場合、SR送信リソース制御部107は、干渉レベルが所定の閾値より低いか否かを判断し、干渉レベルが閾値より低い場合、SR responderにおいてSR信号を受信できると判断すればよい。また、(4)の場合、SR送信リソース制御部107は、SINRが所定の閾値より高いか否かを判断し、SINRが閾値より高い場合、SR responderにおいてSR信号を受信できると判断すればよい。
【0087】
また、無線品質情報を定義する所定の帯域は、例えば、
図9に示すように、OFDMAの最小割当単位(RU(Resource Unit)単位)の帯域としてもよい。
図9は、一例として、上記(1)のSR initiatorがSR信号を送信可能か否か(送信可能又は送信不可能)を示すRU毎の無線品質情報(SR可否情報)である。
【0088】
図9の場合、SR送信リソース制御部107は、SR送信が許可されたRU(干渉レベルが小さいRU)にSR信号の周波数リソースを割り当てる。一方、SR送信リソース制御部107は、SR送信が非許可のRU(干渉レベルが大きいRU)にはSR信号の周波数リソースを割り当てない。
【0089】
ここで、Trigger frameで指示されるOBSS STAからの非SR信号は、UL OFDMA信号であり、RU単位の周波数多重により複数のSTAからの信号が多重された信号である。そのため、非SR信号では、複数のSTAによるOFDMA割当に依存して、RU単位で干渉レベルが大きく変動することが想定される。
【0090】
よって、RU単位で無線品質情報を定義することにより、SR送信リソース制御部107は、非SR信号を送信するSTAのOFDMA割当に依存した干渉レベルの増減を考慮してSR信号の周波数リソースを割り当てることが可能となり、SR responderでのSR信号の受信成功率の低下を防止でき、システム性能を向上できる。
【0091】
または、無線品質情報を定義する所定の帯域は、例えば、
図10に示すように、20MHz帯域単位の帯域としてもよい。
図10は、一例として、上記(1)のSR initiatorがSR信号を送信可能か否か(送信可能又は送信不可能)を示す20MHz帯域のチャネル毎の無線品質情報(SR可否情報)である。
【0092】
図10の場合、SR送信リソース制御部107は、SR送信が許可された帯域(干渉レベルが小さい20MHz channel)にSR信号の周波数リソースを割り当てる。一方、SR送信リソース制御部107は、SR送信が非許可の帯域(干渉レベルが大きい20MHz channel)にSR信号の周波数リソースを割り当てない。
【0093】
ここで、SR responderが受ける干渉の平均的な干渉レベルは周辺に存在するAPの配置に依存する。また、各APが設定するPrimary channelは20MHz単位であるため、SR responderが受ける干渉に関しては、周辺APの配置に依存して、20MHz単位で干渉レベルが大きく変動することが想定される。
【0094】
よって、20MHz単位で無線品質情報を定義することにより、SR送信リソース制御部107は、SR responderの周辺AP環境に依存した干渉レベルの増減を考慮してSR信号の周波数リソースを割り当てることが可能となり、SR responderでのSR信号の受信成功率の低下を防止でき、システム性能を向上できる。
【0095】
[SR信号の帯域割当情報の生成方法]
次に、無線通信装置100(SR initiator)のPreamble生成部109におけるSR送信信号の帯域割当情報(RU allocation情報)の生成方法についてより詳細に説明する。
【0096】
Preamble生成部109は、SR送信リソース制御部107から入力される送信帯域情報に基づいて、シグナリングビット量と割当自由度とを考慮して、帯域割当情報(RU allocation情報)を決定する。
【0097】
例えば、Preamble生成部109は、所定の帯域毎(例えばRU単位又は20MHz単位)に、SR信号の割当帯域の有無を示すフラグをビットマップ配置することにより、帯域割当情報を生成してもよい。これにより、SR信号の周波数リソースを所定帯域毎に制約なく(すなわち、自由に)割り当てることができる。一方で、所定の帯域毎のビットマップ配置では、シグナリングビット量が増加してしまう。
【0098】
または、Preamble生成部109は、複数の連続するRUで構成されるRUグループ(RUG)毎に、SR信号の割当帯域の有無を示すフラグをビットマップ配置することにより、帯域割当情報を生成してもよい。これにより、RU単位のビットマップ配置と比較して、シグナリングビット量を低減できる。一方で、SR信号の周波数リソース割当に、RUG単位という制約が生じ、RU単位の割当と比較して、スケジューリングゲインが低下してしまう。
【0099】
また、Preamble生成部109は、Trigger frameのUser Info fieldに含まれるRU Allocation subfieldを再利用することで帯域割当情報を生成してもよい。これにより、既存システムの割当ルールを適用することで実装が容易になり、シグナリングビット量も低減できる。一方で、SR信号の周波数リソース割当に制約が生じ、スケジューリングゲインが低下してしまう。
【0100】
Preamble生成部109は、無線通信システムにおいて想定されるオーバーヘッドの許容量(シグナリングビット量)と、期待できるスケジューリングゲインとを考慮して生成方法を決定し、帯域割当情報を生成すればよい。これにより、システム性能を向上できる。
【0101】
なお、上述したSR信号の帯域割当情報の生成方法は、SR responderの無線品質情報生成部205においても同様に適用できる。具体的には、無線品質情報生成部205は、測定した干渉レベルの大小、又は、SR信号の送信可否(受信可否)といった無線品質情報を、所定の帯域(例えば、RU又は20MHz)毎に1ビットの情報として通知してもよい。この場合、無線品質情報生成部205は、上述したように、シグナリングビット量と無線品質情報の通知の自由度とを考慮して、無線品質情報の生成方法を決定すればよい。これにより、無線品質情報生成部205は、無線通信システムにおいて想定されるオーバーヘッドの許容量と、期待できるスケジューリングゲインとを考慮した適した無線品質情報を生成することができ、システム性能を向上できる。
【0102】
以上、帯域割当情報の生成方法について説明した。
【0103】
[効果]
以上のように、本実施の形態によれば、無線通信装置100(SR initiator)は、所属するBSS内の他の無線通信装置200(SR responder)から送信される無線品質情報に基づいて、所属するBSS以外のOBSSに対するSRによって送信されるSR信号の送信リソース(周波数リソース)を決定し、決定した送信リソースを用いてSR信号を送信する。
【0104】
これにより、SR initiatorは、SR responderにおける無線チャネル状況(例えば、干渉状況)に応じて、SR信号の送信リソース(帯域)を決定し、SR信号を送信できる。よって、本実施の形態によれば、SR responderにおいて、OBSSの非SR送信によるSR送信を行うBSS(SR responder)への与干渉を低減し、SR信号の受信成功率を向上させて、システム性能を向上できる。
【0105】
また、本実施の形態では、SR initiatorは、SR responderにおいてSR信号の受信成功率が低いと判断した帯域ではSR信号を送信しない。これにより、SR信号が送信されない帯域では、干渉低減の対象であるOBSSよりもSR initiatorに近接している、干渉低減の対象ではないOBSSに対して、SR信号が干渉源となることを防ぐことができる。
【0106】
(実施の形態2)
本実施の形態では、SR initiatorがBSS colorに基づいてSR送信を制御する方法について説明する。
【0107】
なお、以下の説明では、特定のBSS colorを有するBSSのグループを「SRG(Spatial Reuse Group)」と呼ぶ。
【0108】
異なるSRGに属するBSSは、異なるオペレータによって管理される。そのため、本実施の形態では、SR initiatorは、所属するBSSと異なるSRGに所属するOBSSに対してSR送信を行う場合、SR送信の対象となるOBSS以外の周辺OBSSに対して干渉を与えないようにSR送信を制御する。
【0109】
本実施の形態に係るSR initiator及びSR responderは、実施の形態1に係る無線通信装置100及び無線通信装置200と基本構成が共通するので、
図4及び
図5を援用して説明する。
【0110】
[SR initiatorの構成]
本実施の形態に係る無線通信装置100(SR initiator)は、OBSSから送信されるTrigger frameを含む無線フレームを受信し、取得したOBSSのBSS color又はSRGと、SR responderから送信される無線品質情報とに基づいてSR送信の可否を判断し、SR送信可能である場合、SR信号を所定の期間内で送信する。
【0111】
本実施の形態に係る無線通信装置100は、実施の形態1に係る無線通信装置100に対して、SR送信リソース制御部107の動作が異なる。
【0112】
また、無線品質情報保持部106が保持する無線品質情報は、SRG毎又はBSS color(BSS)毎の無線品質情報である。
【0113】
具体的には、SR送信リソース制御部107は、復号部104から入力されるPreambleに含まれる制御情報から、SR信号に対する干渉源となるOBSS(非SR信号を送信するOBSS STAが所属するOBSS)に対応するBSS colorを取得する。
【0114】
また、SR送信リソース制御部107は、自機(無線通信装置100)が所属するBSS内のAPが送信したビーコンフレームに含まれるSRG情報(例えば、SRG BSS Color Bitmap subfield)に基づいて、SR信号の干渉源となるOBSS(BSS color)が、自機が所属するBSSと同一SRGであるか否かを判断する。なお、以下の説明では、SR initiator及びSR responderが所属するBSS(自BSS)が有するBSS colorと同一グループに所属するBSS colorを有するBSSを単に「SRG」と呼び、他のグループに所属するBSS colorを有するBSSを「Non-SRG」と呼ぶ。
【0115】
そして、SR送信リソース制御部107は、無線品質情報保持部106から入力される、SRG毎又はBSS color毎の無線品質情報に基づいて、SR送信の可否を決定する。例えば、SR送信リソース制御部107は、SRG毎の無線品質情報のうち、SR信号の干渉源となるOBSSが属するグループ(SRG又はNon-SRG)の無線品質情報に基づいてSR送信の可否を決定する。または、SR送信リソース制御部107は、BSS color毎の無線品質情報のうち、SR信号の干渉源となるOBSSに対応するBSS colorの無線品質情報に基づいて、SR送信の可否を決定する。
【0116】
SR送信リソース制御部107は、SR送信が不可能と判断した場合、SR送信リソース制御部107からの出力をOFFにする、又は、SR未送信を指示する情報を出力することで、SR送信を中止する。
【0117】
一方、SR送信リソース制御部107は、SR送信が可能と判断した場合、SR信号の時間リソース及び送信電力リソースを、実施の形態1と同様に決定する。つまり、SR送信リソース制御部107は、送信電力リソースとして、SR送信電力低減部105から入力される送信電力を設定する。また、SR送信リソース制御部107は、時間リソースとして、Trigger-based PPDU(非SR信号)のパケット長より短い時間を設定する。また、SR送信リソース制御部107は、周波数リソースとして、例えば、Primary channelを含むSR信号の送信データサイズに応じた所定の帯域を設定する。
【0118】
SR送信リソース制御部107は、決定したSR送信リソースを、符号化部108、無線送受信部101に出力する。なお、SR送信リソース制御部107における、BSS又はSRGに応じたSR送信リソースの決定方法の詳細については後述する。
【0119】
[SR responderの構成]
本実施の形態に係る無線通信装置200(SR responder)は、所定のBSS colorに関するグループ(SRG又はNon-SRG)毎又はBSS color毎の干渉レベル、SINR、SR送信可否等を示す無線品質情報を、無線通信装置100に送信するとともに、無線通信装置100からSR信号を受信する。
【0120】
本実施の形態に係る無線通信装置200は、実施の形態1に係る無線通信装置200に対して、無線品質測定部204及び無線品質情報生成部205の動作が異なる。
【0121】
具体的には、無線品質測定部204は、BSS color単位又はSRG単位で無線品質を測定する。すなわち、無線品質測定部204は、無線送受信部201から入力される受信信号の受信電力又は干渉レベルを、BSS color毎又はSRG毎に測定し、測定結果を無線品質情報生成部205に出力する。
【0122】
そして、無線品質情報生成部205は、BSS color単位又はSRG単位で測定された無線品質の測定結果を用いて、BSS color毎の無線品質情報又はSRG毎の無線品質情報を生成する。
【0123】
[SR信号の送信可否の判断方法]
次に、無線通信装置100(SR initiator)のSR送信リソース制御部107における、SR信号の送信可否の判断方法について詳細に説明する。
【0124】
SR送信リソース制御部107は、SR responderから受信した無線品質情報に基づいて、SR送信可否を判断する。
【0125】
<無線品質情報>
Non-SRGであるBSSは、SRGであるBSS(自BSSを含む)と異なるオペレータによって管理されている。そのため、SR initiatorが、Non-SRGであるOBSSに対してSR送信を適用する場合、対象となるOBSS以外のOBSSに対する与干渉を低減することが想定される。
【0126】
そこで、本実施の形態では、SR responderの無線品質測定部204は、受信信号のBSS colorを判定し、SRG及びNon-SRGの各々の無線品質(例えば、干渉レベル)を測定する。
【0127】
そして、SR responderの無線品質情報生成部205は、SRG及びNon-SRGにそれぞれ閾値を設定し、無線品質測定部204で測定された受信信号の干渉レベルが閾値以下の場合にSR送信可能(つまり、SR信号を受信可能)と判断し、干渉レベルが閾値以上の場合にSR送信不可能(つまり、SR信号を受信不可能)と判断してもよい。つまり、無線品質情報は、SRG及びNon-SRGの各々に対する無線品質を示す。例えば、
図11は、無線品質情報生成部205において生成される、SRG及びNon-SRGに対するSR信号の送信可否を示す無線品質情報(SR可否情報)を示す。
【0128】
これにより、SR responderの周辺のOBSS環境に依存したSRG及びNon-SRG毎の干渉レベルの増減を考慮して、SR送信の可否を決定することできるので、SR responderでのSR信号の受信成功率の低下を防止でき、システム性能を向上できる。
【0129】
なお、上述したように、Non-SRGは、SR initiator及びSR responderが所属するBSSとは異なるオペレータによって管理されるので、SR送信によるNon-SRGに対する与干渉は小さいことが望ましい。そこで、例えば、Non-SRGであるOBSSに対するSR送信による与干渉を低減するため、SR responderにおける無線品質情報の生成において、Non-SRGの干渉レベルに対する閾値は、SRGの干渉レベルに対する閾値と比較して小さくしてもよい。これにより、SRGと比較すると、Non-SRGに対してSR送信が適用される可能性が低くなる。こうすることで、Non-SRGでは、SR送信によって干渉を受ける可能性を低減することができる。
【0130】
また、無線品質情報生成部205は、Non-SRGに対するSR送信を全て禁止し、SRGに対して干渉レベルに対する閾値を設定してもよい。例えば、無線品質情報生成部205は、Non-SRGに対する無線品質情報を生成しなくてもよく、Non-SRGに対する無線品質情報を常に送信不可能としてもよい。この場合、SR initiatorのSR無線リソース制御部107は、受信信号がSRGである場合に、無線品質情報に基づいてSR送信可否を判定すればよい。これにより、SR initiatorは、SR responderの周辺のOBSS環境に依存したSRGのみの干渉レベルの増減を考慮してSR可否を判断できるので、SR responderでのSR信号の受信成功率の低下を防止でき、システム性能を向上できる。
【0131】
また、SR responderに与えられる干渉は周辺OBSSの配置に依存する。OBSSの配置によっては、SR responderは特定のOBSSから強い干渉を受けることが想定される。そこで、SR responderの無線品質測定部204は、BSS color単位(つまり、BSS単位)で干渉レベルを測定してもよい。そして、無線品質情報生成部205は、全てのBSS colorに対して共通の干渉レベル閾値を設定し、
図12に示すように、BSS color毎に、干渉レベルが閾値未満であればSR送信可能と判断し、干渉レベルが閾値以上であればSR送信不可能と判断すればよい。つまり、無線品質情報は、BSS毎の無線品質を示す。これにより、SR responderの周辺のOBSS環境に依存した、個別のOBSS単位での干渉レベルの増減を考慮してSR可否を判断できるので、SR responderでのSR信号の受信成功率の低下を防止でき、システム性能を向上できる。
【0132】
なお、SR responderがSR initiatorに報知する無線品質情報は、
図11及び
図12に示すSR信号の送信可否を示す情報に限らない。例えば、SRG及びNon-SRGの各々の干渉レベルを示す無線品質情報が報知されてもよい。この場合、SR initiatorのSR送信リソース制御部107は、無線品質情報に示される干渉レベルと、設定されている閾値とに基づいて、SR送信の可否を判断すればよい。
【0133】
また、
図11では、SRG及びNon-SRGの2つのグループに対する無線品質情報を用いる場合について説明したが、無線品質情報は、3つ以上のグループ(例えば、SRGと、複数のNon-SRG)に対する無線品質情報を用いてもよい。
【0134】
[SR信号の送信リソース決定方法]
次に、SR initiatorのSR送信リソース制御部107におけるSR信号の送信リソースの決定方法についてより詳細に説明する。
【0135】
SR送信リソース制御部107は、SR responderから受信した無線品質情報、及び、受信信号(OBSS信号)のBSS colorに基づいて、SR送信の可否を判断する。すなわち、SR送信リソース制御部107は、SRG/Non-SRG毎又はBSS color毎の無線品質情報(例えば、
図11又は
図12を参照)のうち、受信信号に含まれるBSS colorが所属するグループ(SRG又はNon-SRG)の無線品質情報に基づいてSR送信の可否を判断する。
【0136】
SR送信リソース制御部107は、受信信号のBSS colorについてのSR送信の判断結果が送信可能の場合、SR信号の時間リソース及び送信電力リソースを、実施の形態1と同様に決定する。つまり、SR送信リソース制御部107は、送信電力リソースとして、SR送信電力低減部105から入力された送信電力を設定する。また、SR送信リソース制御部107は、時間リソースとして、Trigger-based PPDU(非SR信号)のパケット長より短い時間を設定する。また、SR送信リソース制御部107は、周波数リソースとして、Primary channelを含むSR信号の送信データサイズに応じた所定の帯域を設定する。
【0137】
一方、SR送信リソース制御部107は、受信信号のBSS colorについてのSR送信の判断結果が送信不可能の場合、SR送信リソース制御部107からの出力をOFFにする、又は、SR未送信を指示する情報を出力することで、SR送信を中止する。
【0138】
以上、SR信号の送信リソース決定方法について説明した。
【0139】
[効果]
このように、本実施の形態では、SR initiator(無線通信装置100)は、SR responder(無線通信装置200)からの無線品質情報に基づいて、SRG/Non-SRG単位又はBSS単位でSR送信を制御する。これにより、SR initiatorは、SR送信可能なグループ又はBSS(例えば、SR responderに対する与干渉が小さいグループ又はBSS)であるOBSSに対してSR送信を優先的に適用することができる。よって、本実施の形態によれば、SR responderにおいて、OBSSによるSR responderへの与干渉を低減し、SR信号の受信成功率を向上させて、システム性能を向上できる。
【0140】
また、本実施の形態では、SR initiatorは、SR responderにおいてSR信号の受信成功率が低いと判断したSRG又はBSSに対してSR送信を適用しない。これにより、干渉低減の対象であるOBSSよりもSR initiatorに近接している、干渉低減の対象ではないOBSSに対して、SR信号が干渉源となることを防ぐことができる。
【0141】
上述したように、SR initiator及びSR responderが所属するBSSを含むSRGと異なるNon-SRGは、異なるオペレータによって管理されることが想定される。これに対して、本実施の形態によれば、SR initiatorは、所属するBSSと異なるSRGに所属するOBSSに対してSR送信を行う場合でも、Non-SRGのOBSSからの非SR信号による干渉が大きく、SR responderにおけるSR信号の復号誤りが発生しやすい場合には、SR送信を中止する。これにより、Non-SRGでは、SR送信による干渉が無くなる。すなわち、SR initiatorは、Non-SRGにおいて、SR送信の対象となるOBSS以外の周辺OBSSに対して干渉を与えないようにSR送信を制御できる。
【0142】
(実施の形態3)
SR信号の送信電力に関して、OBSSへの干渉を低減するために式(2)によって最大電力が導出されるが、最小電力は決まっていない。そのため、OBSSが送信したTrigger frameから取得されるSRP及びRSSIの値によっては、SR信号の送信電力は小さくなり、SR responderにおける受信成功率が低下する場合がある。
【0143】
そこで、本実施の形態では、SR responderにおけるSR信号の受信品質を保証し、SR responderでのSR信号の受信成功率を向上させる方法について説明する。
【0144】
[SR initiatorの構成]
【0145】
図13は、本実施の形態に係る無線通信装置300の構成例を示すブロック図である。本実施の形態に係る無線通信装置300(SR initiator)は、OBSSからのTrigger frameから得られる情報(例えば、SRP及びRSSI)、及び、SR responderからの無線品質情報に基づいて、SR送信の可否を判断し、SR送信可能な場合にSR信号を所定の期間内で送信する。
【0146】
なお、
図13において、実施の形態1(
図4)と同一構成には同一符号を付し、その説明を省略する。具体的には、無線通信装置300は、実施の形態1に係る無線通信装置100に対して、SR送信電力低減部105を備えない点、及び、SR送信リソース制御部301の動作が異なる。
【0147】
また、無線品質情報保持部106が保持する無線品質情報は、SR initiator(無線通信装置300)からSR responder(無線通信装置200)へ通信を行うときのSR responderにおけるSINRを示す情報である。
【0148】
具体的には、SR送信リソース制御部301は、復号部104から入力される、Trigger frameに含まれるSRP[dBm]と、受信電力測定部102から入力されるTrigger frameのRSSI(RSSItrigger frame)とを用いて、SR信号の送信電力(後述する許容電力に対応。つまり、SRPから算出される送信電力)を算出する。
【0149】
また、SR送信リソース制御部301は、無線品質情報保持部106から取得した無線品質情報(SINR情報)に基づいて、SR responderにおいて所定のPER(Packet Error Rate)を満たす保証電力(Guaranteed power)を算出する。
【0150】
そして、SR送信リソース制御部301は、SRPから算出された送信電力が保証電力を満たさない場合(保証電力未満の場合)、SR送信不可能と判断し、SR送信を中止する。
【0151】
一方、SR送信リソース制御部301は、SRPから算出された送信電力が保証電力を満たす場合(SRPから算出される送信電力が保証電力より大きい場合)、SR送信可能と判断し、SR信号の送信リソースを決定する。具体的には、SR送信リソース制御部301は、時間リソース、周波数リソースを、実施の形態1又は2と同様に決定する。つまり、SR送信リソース制御部301は、時間リソースとして、Trigger-based PPDU(非SR信号)のパケット長より短い時間を設定し、周波数リソースとして、Primary channelを含むSR送信信号の送信データサイズに応じた所定の帯域を設定する。
【0152】
また、SR送信リソース制御部301は、SRPから算出される送信電力及び保証電力に基づいて、送信電力リソースを決定する。なお、SR送信リソース制御部301におけるSR送信リソース(送信電力リソース)の決定方法の詳細については後述する。
【0153】
[SR responderの構成]
本実施の形態に係るSR responderは、実施の形態1に係る無線通信装置200と基本構成が共通するので、
図5を援用して説明する。
【0154】
本実施の形態に係る無線通信装置200(SR responder)は、SR initiatorからの受信信号を用いて、SINR等を示す無線品質情報を無線通信装置100に送信するとともに、無線通信装置100からSR信号を受信する。
【0155】
本実施の形態に係る無線通信装置200は、実施の形態1に係る無線通信装置200に対して、無線品質測定部204及び無線品質情報生成部205の動作が異なる。
【0156】
具体的には、無線品質測定部204は、無線送受信部201から入力される、SR initiatorの受信信号から受信品質(例えば、SINR)を測定し、測定結果を無線品質情報生成部205へ出力する。
【0157】
無線品質情報生成部205は、無線品質測定部204から入力される、SINRを含む測定結果を含めたSR initiator宛のマネジメントフレーム又はコントロールフレームを生成し、変調部206へ出力する。
【0158】
[SR送信信号の送信電力の決定方法]
次に、SR送信リソース制御部301における送信電力リソースの決定方法についてより詳細に説明する。
【0159】
SR initiatorがOBSSに対してSR送信を行う場合、OBSSへの与干渉の低減処理により求められるSR信号の送信電力(すなわち、SRPから算出される送信電力)によっては、周辺OBSSの配置に基づくSR responderへの干渉の影響により、SR responderにおけるSR信号の受信SINRが要求品質を満たさず、受信成功率が低下することが想定される。
【0160】
そこで、SR initiatorのSR送信リソース制御部301は、SR responderから受信した無線品質情報に示される受信品質に基づいて、SR信号の送信電力を決定する。ここで、無線品質情報に示される受信品質とは、例えば、SR initiatorがSR responderへ所定の電力で送信した際のSINRである。具体的には、SR送信リソース制御部301は、無線品質情報に含まれるSINR情報を用いて、所定のMCS(例えば、最もロバストなMCS)のPERが目標値を満たすために必要な送信電力(保証電力(Guaranteed power))を計算する。
【0161】
そして、SR送信リソース制御部301は、計算した保証電力と、Trigger frame に含まれるSRP[dBm]と、受信電力測定部102から入力されるTrigger frameのRSSI(RSSItrigger frame)とを用いて、SR信号の送信電力(TXPWRSR initiator)を以下のように決定する。
【0162】
SR送信リソース制御部301は、OBSSへの与干渉を許容値に抑えるには、SR信号の送信電力を、次式(3)に従って算出される電力(許容電力(TXPWRAllowed)と呼ぶ)未満に抑える必要がある。
TXPWRAllowed = SRP - RSSItrigger frame …(3)
【0163】
具体的には、SR送信リソース制御部301は、許容電力が保証電力より大きい場合(Guaranteed power < TXPWR
Allowed)、SR信号の送信電力(TXPWR
SR initiator)を、式(4.1)に示す範囲(保証電力より大きく、かつ、許容電力未満の範囲)で設定する。この場合、SR initiatorは、SR responderにおける受信品質を保証しつつ、SR送信の対象であるOBSSへの与干渉を最小とする送信電力が使用可能となる。これにより、SR送信の対象でないOBSSに対する与干渉も低減できるので、OBSSの送信機会を増加することができ、システム性能は向上する。
【数1】
【0164】
また、SR送信リソース制御部301は、許容電力が保証電力以下の場合(Guaranteed power ≧ TXPWRAllowed)、SR信号の送信電力が保証電力を満たしていないためSR送信を中止(禁止)する。これにより、SR initiatorは、SR responderにおける受信成功率の低いSR送信を回避することができる。そのため、SR信号の受信成功率の低下を防止でき、システム性能は向上する。
【0165】
[効果]
このように、本実施の形態では、SR initiatorは、SR responderにおいてSR信号の受信品質を保証する送信電力でSR送信を行う。すなわち、SR initiatorは、SR responderにおいてSR信号の受信品質を保証できない場合にはSR送信を行わない。このように、SR initiatorは、SR responderにおける無線チャネル状況(例えば、SINR)に応じて、SR信号の送信リソース(送信電力)を決定し、SR信号を送信できる。よって、本実施の形態によれば、SR responderにおいて、OBSSによるSR responderへの与干渉を低減し、かつ、SR responderでのSR信号の受信品質を保証することにより、SR信号の受信成功率を向上させて、システム性能を向上できる。
【0166】
また、本実施の形態では、SR initiatorは、SR responderにおいてSR信号の受信成功率が低いと判断した帯域ではSR信号を送信しない。これにより、SR信号が送信されない帯域では、干渉低減の対象であるOBSSよりもSR initiatorに近接している、干渉低減の対象ではないOBSSに対して、SR信号が干渉源となることを防ぐことができる。
【0167】
以上、本開示の各実施の形態について説明した。
【0168】
(他の実施の形態)
(1)実施の形態1、実施の形態2及び実施の形態3のうち少なくとも2つを組み合わせて適用してもよい。例えば、SR initiatorは、実施の形態2で説明したように、SRG単位でSR信号の送信可否を判断し、さらに、SR信号を送信可能なSRGにおいて、実施の形態1で説明したように、所定の帯域単位でSR信号の送信可否を判断してもよい。また、例えば、SR initiatorは、実施の形態1及び/又は実施の形態2で説明したように、SR信号の送信可否を判断し、かつ、実施の形態3で説明したように、保証電力を満たすようにSR信号を送信してもよい。
【0169】
(2)実施の形態1及び実施の形態2に係る無線通信装置100(
図4を参照)において、SR送信リソース制御部107の処理(すなわち、送信リソースの決定)と、SR送信電力低減部105の処理(すなわち、SRPに基づく送信電力の低減)とは、処理順序が前後してもよい。例えば、SR送信リソース制御部107が無線品質情報に基づいてSR送信不可能(SR送信を中止)と判断した場合、SR送信電力低減部105は処理を行わない。これにより、無線通信装置100での処理量を低減できる。
【0170】
(3)SR responderは、BSSの信号又はOBSS信号を受信した際に無線品質情報を更新し、SR responderが所属するBSS内のSTA宛に無線品質情報を報知してもよい。
【0171】
(4)上記実施の形態では、SR initiatorがSTAであり、SR responderがAPである場合について説明したが、これに限定されない。例えば、SR initiatorがAPであり、SR responderがSTAである場合でも、上記実施の形態を適用でき、同様の効果を得ることができる。
【0172】
なお、SR initiatorがAPであり、SR responderがSTAである場合の動作は、
図6に示す動作例と同様である。すなわち、
図6と同様、SR responder(STA)は、所定の周期又は所定タイミングで無線品質情報をSR initiator(AP)に送信する。SR initiator(AP)は、SR responder(STA)からの無線品質情報に基づいて、SR送信の可否を判断し、SR送信可能な場合、利用可能な送信リソースを用いてSR送信を行う。
【0173】
なお、SR initiator(AP)は、所属するBSS内のSTAに対して、無線品質情報を要求する信号(無線品質情報要求信号)を送信してもよい(図示せず)。無線品質情報要求信号を受信したSTAは、無線品質情報を含む応答信号をSR initiator(AP)に送信する。例えば、SR initiator(AP)は、BQR(Bandwidth Query Report)の送信をSTAに要求するTrigger frame(Trigger typeがBQRP(Bandwidth Query Report Poll)のTrigger frame)を無線品質情報要求信号として使用し、所属するBSS内のSTAに対して送信してもよい。この場合、STAは、無線品質情報要求信号に対する応答信号として、BQRを無線品質情報として送信する。このように、11axにおいて既に規定されている無線品質情報の取得手段を利用することで、無線品質情報を要求する処理を容易に実現できる。
【0174】
また、SR initiator及びSR responderの双方がSTAである場合でも、上記実施の形態を適用でき、同様の効果を得ることができる。
【0175】
(5)上記実施の形態では、OBSSのTrigger frameを用いたSRP-based SR(DSRP_PPDU-based SR)を一例として説明したが、その他のSRP-based SRでも上記実施の形態を適用でき、同様の効果を得ることができる。
【0176】
その他のSRP-based SRに対して上記実施の形態を適用する場合、DSRP_PPDU-based SRと比較して、SRPの取得方法及びRSSIの測定方法が異なる。なお、その他のSRP-based SRとは、例えば、OBSSのTrigger frameではないPPDUを用いたTSRP(Trigger-based SRP)_PPDU-based SR、OBSSのビーコン及び応答フレームを用いたULSRP(Uplink SRP)_PPDU-based SR、又は、OBSSのCTS(Clear to Send)を用いたDLSRP(Downlink SRP)_PPDU-based SRである(例えば、非特許文献1を参照)。以下では、これらのSRP-based SRの手法を「先行信号を用いるSRP-based SR」と呼ぶ。
【0177】
図14は先行信号(Preceding signal)を用いるSRP-based SRの動作例を示すシーケンス図である。なお、
図14において、
図6と同一の動作には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0178】
図14において、OBSS APは、先行信号をOBSS STAに対して送信する(ST301)。先行信号とは、OBSS STAによって送信される信号と同じBSS colorを有する信号である。具体的には、先行信号とは、Trigger frameと識別できないPPDU、ビーコンフレーム、CTSフレーム、BA(BlockACK)フレーム、ACK(Acknowledgement)フレームである。
【0179】
SR initiatorは、ST301において、OBSS APが送信した先行信号を受信し、受信した先行信号のフレームタイプ毎にRSSIを測定し、保存する。
【0180】
次に、SR initiatorは、OBSS STAがOBSS AP宛に送信した非SR信号を受信し、非SR信号に基づいてSRP及び非SR信号のパケット長を取得する(ST302)。また、SR initiatorは、非SR信号におけるPPDUフォーマットを識別し、保存していた先行信号のRSSIの中から、所定の条件(例えば、PPDUフォーマットに対応するフレームタイプであること)を満たす信号のRSSIを取得する。そして、SR initiatorは、取得したSRP及びRSSIを用いて、OBSS APへの干渉を低減するSR信号の送信電力(例えば、式(2)を参照)を決定する(ST303)。また、SR initiatorは、取得した非SR信号のパケット長に基づいて、SR送信期間(SRP opportunity)を決定する(ST304)。
【0181】
すなわち、
図14では、SR initiatorは、OBSSから送信される非SR信号からSRP及び非SR信号のパケット長を取得する点、及び、非SR信号のフォーマットに応じて先行信号から測定したRSSIを取得する点が
図6と異なる。
【0182】
図15は、先行信号を用いるSRP-based SRを行うSR initiatorである無線通信装置400の構成例を示すブロック図である。なお、
図15において、実施の形態1(
図4)と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。具体的には、無線通信装置400は、受信電力保持部401を備える点が
図4と異なる。
【0183】
受信電力保持部401は、受信電力測定部102から、OBSSの先行信号を用いて測定されたRSSIを取得し、所定期間保存する。また、受信電力保持部401は、復号部104から、OBSSの非SR信号から得られる、BSS color、データフォーマット、SRP情報を取得し、所定期間保存する。
【0184】
そして、受信電力保持部401は、所定のSRPを有するPPDUが入力された場合、入力されたPPDUのフォーマットに対応した所定の条件を満たす先行信号のRSSIをSR送信電力低減部105に出力する。一方、受信電力保持部401は、所定のSRPを有さない信号が入力された場合、又は、所定の条件を満たす先行信号のRSSIを保持していない場合、入力された信号に含まれる情報を保存する。この場合、SR initiator(例えば、SR制御部)は、SR送信を中止する。
【0185】
(6)上記実施の形態では、SRP-based SRを前提として説明したが、OBSS PD-based SRの場合においても、上記実施の形態は適用でき、同様の効果を得ることができる。
【0186】
図16は、OBSS PD-based SRの動作例を示すシーケンス図である。なお、
図16において、
図6と同一の動作には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0187】
図16において、OBSS STAは、OBSS AP宛に非SR信号を送信する(ST401)。このとき、SR initiatorは、OBSS STAからOBSS APに送信される非SR信号を受信している。
【0188】
SR initiatorは、OBSS STAが送信した非SR信号のBSS colorに基づいて、当該OBSSがSRG又はNon-SRGの何れであるかを判定し、非SR信号の受信電力が、次式(5)に基づいて決定したOBSS_PD
Threshold以下の受信電力である場合、SR信号の送信電力を決定する(ST402)。このとき、SR initiatorは、OBSS APの干渉許容値は考慮しない。
【数2】
【0189】
式(5)において、OBSS_PDThreshold_minはOBSS_PDThresholdが採る最小値であり、OBSS_PDThreshold_maxはOBSS_PDThresholdが採る最大値であり、TXPWRrefは参照送信電力であり、TXPWRはSR送信電力である。
【0190】
次に、SR initiatorは、SR responderから受信した所定の送信リソースに関する無線品質情報に基づいて、所望の受信品質が期待できるSR信号の送信リソースを決定する(ST403)。ここで、実施の形態3で説明した動作及び式(5)に基づいて、SR送信電力は、次式(6.1)(6.2)で表される。
【数3】
【0191】
式(6.1)の場合、OBSSからの受信レベル(OBSS_PDlevel)がOBSSレベルの最小値(OBSS_PDmin)以下であれば、最大SR送信電力(TXPWRmax)は、保証電力(Guaranteed power)より大きい値を満たせばよい。一方、式(6.2)の場合、OBSSからの受信レベルがOBSS PD閾値の最大値(OBSS_PDmax)と最小値の範囲内の値を採るならば、SR送信電力は保証電力より大きく、参照送信電力より小さい値の範囲で定義される。また、式(6.1)及び式(6.2)を満たさない場合、SR initiatorは、SR送信を中止する。
【0192】
すなわち、OBSS PD-based SRでは、SR initiatorが上記実施の形態のようなOBSS APの信号から得られた情報に基づいて特定のOBSSに対する干渉低減処理を行わない点、及び、実施の形態3の電力制御方法(式(6.1)、式(6.2))の2点において、上記実施の形態で説明したSRP-based SRと動作が異なる。
【0193】
(7)また、上記実施の形態では、受信電力の一例としてRSSIを用いる場合について説明したが、受信電力を表すパラメータはRSSIに限定されない。また、SR initiatorからSR responderへ通信を行うときの受信品質の一例としてSINRを用いる場合について説明したが、受信品質を表すパラメータはSINRに限定されない。
【0194】
(8)本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0195】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0196】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0197】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。
【0198】
また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサー等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサーが含まれる。
【0199】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0200】
本開示の無線通信装置は、第1のBSS(Basic Service Set)内の他の無線通信装置から送信される無線品質情報に基づいて、前記第1のBSS以外の第2のBSSに対するSR(Spatial Reuse)によって送信されるSR信号の送信リソースを決定する制御回路と、前記送信リソースを用いて、前記SR信号を送信する送信回路と、を具備する。
【0201】
本開示の無線通信装置において、前記制御回路は、前記無線品質情報に基づいて、前記SR信号の送信可能な帯域を判断し、前記送信回路は、前記送信可能な帯域において前記SR信号を送信し、前記送信可能な帯域以外の帯域では前記SR信号を送信しない。
【0202】
本開示の無線通信装置において、前記制御回路は、前記第2のBSSからの信号に基づいて得られる期間において前記SR信号を送信する場合に前記送信リソースを決定し、前記期間において前記SRを送信しない場合に前記送信リソースを決定しない。
【0203】
本開示の無線通信装置において、前記無線品質情報は所定帯域毎の無線品質を示す。
【0204】
本開示の無線通信装置において、前記所定帯域は、RU(Resource Unit)単位の帯域である。
【0205】
本開示の無線通信装置において、前記所定帯域は、20MHz単位の帯域である。
【0206】
本開示の無線通信装置において、前記無線品質情報は、前記他の無線通信装置における前記SR信号の受信可否、前記他の無線通信装置における干渉レベルが閾値より低いか否か、前記他の無線通信装置における干渉レベル、及び、前記無線通信装置から前記他の無線通信装置へ通信を行うときの受信品質のうちの何れかを示す。
【0207】
本開示の無線通信装置において、前記無線品質情報は、BSS毎の無線品質を示す。
【0208】
本開示の無線通信装置において、前記無線品質情報は、前記第1のBSSを含む第1のグループに所属するBSSに対する無線品質、及び、前記第1のグループと異なる第2のグループに所属するBSSに対する無線品質を示す。
【0209】
本開示の無線通信装置において、前記無線品質情報は、前記無線通信装置から前記他の無線通信装置へ通信を行うときの受信品質を含み、前記制御回路は、前記受信品質に基づいて前記他の無線通信装置において所定の誤り率を満たす第1の送信電力を算出し、前記第2のBSSからの信号に基づいて第2の送信電力を算出し、前記第2の送信電力が前記第1の送信電力より大きい場合、前記SR信号の送信を決定する。
【0210】
本開示の無線通信装置において、前記SR信号の送信電力は、前記第1の送信電力より大きく、かつ、前記第2の送信電力未満である。
【0211】
本開示の無線通信方法は、第1のBSS(Basic Service Set)内の他の無線通信装置から送信される無線品質情報に基づいて、前記第1のBSS以外の第2のBSSに対するSR(Spatial Reuse)によって送信されるSR信号の送信リソースを決定し、前記送信リソースを用いて、前記SR信号を送信する。
【0212】
2018年2月28日出願の特願2018-035456の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0213】
本開示の一態様は、無線通信システムに有用である。
【符号の説明】
【0214】
100,200,300,400 無線通信装置
101,201 無線送受信部
102 受信電力測定部
103,202 復調部
104,203 復号部
105 SR送信電力低減部
106 無線品質情報保持部
107,301 SR送信リソース制御部
108 符号化部
109 Preamble生成部
110,206 変調部
204 無線品質測定部
205 無線品質情報生成部
401 受信電力保持部