(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】活性カビの尺度としての(1→3)-β-D-グルカン
(51)【国際特許分類】
G01N 33/50 20060101AFI20231110BHJP
G01N 33/579 20060101ALI20231110BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20231110BHJP
G01N 1/02 20060101ALI20231110BHJP
G01N 1/28 20060101ALI20231110BHJP
B03C 3/40 20060101ALI20231110BHJP
C12Q 1/06 20060101ALI20231110BHJP
C12Q 1/22 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
G01N33/50 Z
G01N33/579
G01N33/53 S
G01N1/02 K
G01N1/28 J
G01N1/28 X
B03C3/40 Z
C12Q1/06
C12Q1/22
(21)【出願番号】P 2020519023
(86)(22)【出願日】2018-06-19
(86)【国際出願番号】 US2018038272
(87)【国際公開番号】W WO2018236861
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-03-19
(32)【優先日】2017-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519451810
【氏名又は名称】エアーアンサーズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン、ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】リボーレット、レイチェル
【審査官】大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-532871(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0124248(US,A1)
【文献】特開平04-052558(JP,A)
【文献】特表昭58-502082(JP,A)
【文献】国際公開第2012/089417(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0072358(US,A1)
【文献】CHOI, H. et al.,Residential Culturable Fungi, (1-3, 1-6)-β-D-glucan, and Ergosterol Concentrations in Dust Are Not Associated with Asthma, Rhinitis or Eczema Diagnoses in Children,NIH Public Access,2014年,pp.1-25,[online],[令和4年9月6日検索],インターネット<URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3992620/>
【文献】YAO, M. et al.,Comparison of electrostatic collection and liquid impinging methods when collecting airborne house dust allergens, endotoxin and (1,3)-β-d-glucans,Journal of Aerosol Science,2009年,Vol.40, No.6,pp.492-502
【文献】YANG, X. et al.,Monitoring total endotoxin and (1→3)-β-D-glucan at the air exhaust of concentrated animal feeding operations,Journal of the Air & Waste Management Association,2013年09月17日,Vol.63, No.10,pp.1190-1198
【文献】MENETREZ, M. Y. et al.,An evaluation of indoor and outdoor biological particulate matter,Atmospheric Environment,2009年,Vol.43, No.34,pp.5476-5483
【文献】ADHIKARI, A. et al.,Aerosolization of fungi, (1→3)-β-D glucan, and endotoxin from flood-affected materials collected in New Orleans homes,Environmental Research,2009年02月08日,Vol.109, No.3,pp.215-224
【文献】ADHIKARI, A. et al.,Exposure matrices of endotoxin, (1→3)-β-D-glucan, fungi, and dust mite allergens in flood-affected homes of New Orleans,Science of the Total Environment,2010年,Vol.408,pp.5489-5498
【文献】Sander I. et al.,Development of a two-site enzyme immunoassay based on monoclonal antibodies to measure airborne exposure to (1→3)-β-D-glucan,Journal of Immunological Methods,2008年06月10日,Vol.337,pp.55-62
【文献】NOSS, I. et al.,β-(1,3)-Glucan Exposure Assessment by Passive Airborne Dust Sampling and New Sensitive Immunoassays,APPLIED AND ENVIROMENTAL MICROBIOLOGY,2010年02月,Vol.76, No.4,pp.1158-1167
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 - 33/98
G01N 1/00 - 1/44
B03C 3/40
C12Q 1/06
C12Q 1/22
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル粒子を分析する方法であって、
エアロゾル粒子を、空気サンプリング装置を使用して捕捉すること、
空気サンプリング装置から捕捉された前記エアロゾル粒子を抽出流体中に懸濁させること、
他の処理をしないで、前記懸濁液の遠心分離を実施すること、
前記遠心分離からの上澄みの全て又は一部を
、(1→3)-β-D-グルカンのための前記上澄みの分析用反応混合物に直接添加すること、
を含む、前記の方法。
【請求項2】
空気サンプリング装置が、動電学的推進に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
サンプリング装置が、電気集塵に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
(1→3)-β-D-グルカンレベルを、limulus-amebocyteベースの分析によって決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
(1→3)-β-D-グルカンレベルを、免疫測定によって決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
サンプリング装置が、濾過に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
サンプリング装置が、衝突に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
サンプリング装置が、インパクターに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
エアロゾル粒子を分析する方法であって、
エアロゾル粒子を、動電学的推進装置の電極の上で、前記の装置を通して動電学的に推進される多量の空気から、捕捉すること、
前記の電極が、キャリアマウンティングに取り外し可能なように取り付けられ、
前記の電極を、前記のキャリアマウンティングから取り外すこと、そして、前記の電極を抽出容器の中に設置すること、
所定の容積の抽出流体を、前記の抽出容器に添加すること、
前記の電極を、前記の抽出流体の中で、所定の時間、撹拌するこ
と、
を
更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
(1→3)-β-D-グルカンレベルを、limulus-amebocyteベースの分析によって決定することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(1→3)-β-D-グルカンレベルを、免疫測定によって決定することを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、誘電体媒質中の分析可能な薬剤の収集及びサンプリングに関する。これは、その有無がカビ又はカビ胞子細胞壁成分用の生物特異的分析によって決定できる薬剤のための空気をサンプリングすることを含むが、それに限定されない。分野は、生物学的薬剤のための空気のサンプリング、方向、及び沈着、分析装置用収集手段を含む。薬剤特異性分析は、タンパク質分解経路に基づく免疫測定又は発色分析を含むことができる。分析は、比色、蛍光、比濁、電気化学又はボルタンメトリーである検出手段を含み得るが、それらに限定されない。
【背景技術】
【0002】
先行技術の記述
アレルゲン(1-3)に似ている(1→3)-β-d-グルカンは、胞子の中に存在するが、胞子として微視的には容易に認識できない微粒子の形態で発芽している及び成長している菌類によって、空気中に放出される。こうして、(1→3)-β-d-グルカンそれ自身はアレルゲンではないが、当該2つは、空気中に同伴されやすい。(1→3)-β-d-グルカンは、花粉中にも発見される(4)。
【0003】
構造:
(1→3)-β-D-グルカンは、ほとんどの菌類、いくつかの細菌、ほとんどの高等植物及び多くの下等植物の、非アレルギー性水不溶性構造細胞壁成分である。グルカン類は、菌類の細胞壁の乾燥重量の60%までの割合を占めることができ、その大部分が(1→3)-β-D-グルカンである(Klis, 1994)。それらは、変動する分子量及び枝分れ度、すなわち、三重らせん、単一らせん又はランダムコイル構造を持つグルコースポリマーから成る(Williams, 1997)。真菌細胞壁中では、(1→3)-β-D-グルカンは、タンパク質、脂質、及び、マンナン及びキチンなどの炭水化物と結合するのであり、それらは、隣接する(1→3)-β-D-グルカンポリマーと結合することができる(1→3)-b-グルカン側枝を含有する。
【0004】
症状との関係:
空気中のレベルは、真菌質量及び症状の厳しさと関連がある。これは、菌類から放出されるアレルゲンの寄与の理由で、因果関係ではない(5)。B-グルカンは、50%が呼吸器の現病歴を有する子供におけるピーク呼吸流量変動(PFV)と関連がある(6)。
【0005】
Douwesは、B-グルカン及び呼吸器の健康に関する文献をレビューした(7)。彼らは、レビューした研究が、(1→3)-β-D-グルカン暴露、気道炎症及び症状の間のいくつかの関連を提案したことを結論付けた。暴露と関連する潜在的な内在する炎症メカニズムは、確認することができなかった。実験的暴露を使用する集団の研究及び動物及び人体研究が、含まれる。
【0006】
分析:
3種類の分析:阻害免疫測定(8)、サンドイッチモノクローナル免疫測定(9)及びlimulus amebocyte分析が、文献中で使用された。後者は、Associates of Cape Codによって商業化されている。Brooks et al(10)は、3つの方法の実験室相互の比較をした。異なる方法で得られる結果は、しばしば著しく関連があり、それ故に、相対的に見れば比較できるが、分析及び実験室間の結果の直接の比較は不適切である。
【0007】
抽出:
ほとんどのβ-(1,3)-グルカンは、周囲温度で水不溶性であり、そして、アルカリ抽出(典型的に渦動の後に1時間震とう、0.3N NaOH中)及び温水抽出(典型的に 0.05% Tween 20 in PBS、転倒型回転、オートクレーブ60分渦動)のどちらかの2つの抽出方法。limulus amebocyteベースの方法では、アルカリ抽出が使用され、そして、EIAベースの方法では熱抽出が使用された。使用される抽出方法は、(10)においてレビューされる。フィルターからの胞子に関する測定(11)は、0.15N NaOHでの処理を含んでなされた。その後に、NaOHの規定度で2回等容積のtris-Clで中和。全ての論文が中和工程に言及するわけではない。何の抽出も、花粉の出版物中で言及されなかった(4)。
【0008】
Madsen et alは、NaOHでの抽出の最適化を述べ(12)、そして、抽出が使用されるか又は使用されないか又は言及されないいくつかの研究をレビューした。抽出なしのこの研究又は他の研究では、何のコントロールもなされなかった。(1→3)-β-D-グルカンを可溶性にするために抽出が要求されることが、しばしば述べられる。
【0009】
サイズ範囲:
Foto et alは、破損した家からの広範囲のサンプルでの検討を行った(13)。彼らは、(1→3)-β-D-グルカンは、胞子と同様にフラグメント、菌糸と関連すると、述べる。何の実際の直接のデータも、与えられなかった。Lee et al(14)は、(1→3)-β-D-グルカンの室内から屋外の比較を行った。彼らは、フラグメントにも言及するが、何のデータも提供しない。Saleres et al(15)は、空中のフラクション中に無損傷胞子よりも小さい粒径範囲を発見し、彼らは、それがより深い肺侵入を示すと言う。Madsen et al(16)は、PM1フラクション中に(1→3)-β-D-グルカンのより大きなフラクションを発見し、それは何の胞子も含有しなかった。小さいサイズにもかかわらず、0.3M NaOHを使用して材料は「水溶性にされた」と、彼らは依然として言う。
【0010】
Singh et al(17,18)は、NIOSHサンプラーでサイズ分別を行い、そして、PM1フラクションへ下るスリーサイズカットの等量の(1→3)-β-D-グルカンを発見した。
【0011】
Chen et alは、人間活動の内部v.外部及び効果を比較した(19,20)。彼らは、最も小さいサイズが人間活動によって最小に影響されたが、より大きなサイズ粒子ではより多い(1→3)-β-D-グルカンである、ことを発見した。
【0012】
代替分析:
Vogelmark et al(21)は、胞子のペニシリウム、アスペルギルス、スタキボトリス培養に関する測定を行った。彼らは、いかなる抽出方法にも言及しない。彼らは、カビ暴露の代替として(1→3)-β-D-グルカン測定を推薦する。
【0013】
Chew et al(22)は、真空ダスト抽出を使用し(22)(21)、そして、生存可能胞子と(1→3)-β-D-グルカンとの相関を行った。ダストは空中暴露の代替であると、彼らは言う。
【0014】
種分化:
Iossifova et alは、カビのためのEPA標準多重qPCRを使用してダスト中のカビ種を比較した(23)。qPCRから導かれる相対的なかび指数(RMI)と(1→3)-β-D-グルカンの間の相関は、存在しなかった。支配的な種との相関を示すために、彼らは、複雑な多変量統計分析を使用した。クラドスポリウム(Cladosporium)及びアスペルギルス(Aspergillus)属、並びに、エピコッカム菌(Epicoccum nigrum)、ペニシリウムブレビコンパクツム(Penicillium brevicompactum)及びワレミアセビコントリビュータ(Wallemia sebi.contributors)。アルテルナリア(Alternaria)との相関は、存在しなかった。これは、アルテルナリアが(1→3)-β-D-グルカンを生産しないことを、意味しない。
【0015】
参考文献のリスト:
1. Green BJ, Schmechel D, Summerbell RC. Aerosolized fungal fragments. Adan OCG, Samson RA, editors. Wageningen: Wageningen Acad Publ; 2011.
【0016】
2. Green BJ, Tovey ER, Sercombe JK, Blachere FM, Beezhold DH, Schmechel D. Airborne fungal fragments and allergenicity. Medical Mycology. 2006 Sep;44:S245-S55.
【0017】
3. Green BJ, Mitakakis TZ, Tovey ER. Allergen detection from 11 fungal species before and after germination. J Allergy Clin Immunol. [Article]. 2003 Feb;111(2):285-9.
【0018】
4. Rylander R, Fogelmark B, McWilliam A, Currie A. (1 -> 3)-beta-D-glucan may contribute to pollen sensitivity. Clin Exp Immunol. 1999 Mar;115(3):383-4.
【0019】
5. Rylander R. Indoor air-related effects and airborne (1 -> 3)-beta-D-glucan. Environ Health Perspect. 1999 Jun;107:501-3.
【0020】
6. Douwes J, Zuidhof A, Doekes G, van der Zee S, Wouters I, Boezen HM, et al. (1 -> 3)-beta-D-glucan and endotoxin in house dust and peak flow variability in children. American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine. [Article]. 2000 Oct;162(4):1348-54.
【0021】
7. Douwes J. (1 -> 3)-beta-D-glucans and respiratory health: a review of the scientific evidence. Indoor Air. 2005 Jun;15(3):160-9.
【0022】
8. Douwes J, Doekes G, Montijn R, Heederik D, Brunekreef B. Measurement of beta(1->3)-glucans in occupational and home environments with an inhibition enzyme immunoassay. Applied and Environmental Microbiology. 1996 Sep;62(9):3176-82.
【0023】
9. Sander I, Fleischer C, Borowitzki G, Bruning T, Raulf-Heimsoth M. Development of a two-site enzyme immunoassay based on monoclonal antibodies to measure airborne exposure to (1 -> 3)-beta-D-glucan. Journal of Immunological Methods. 2008 Aug;337(1):55-62.
【0024】
10. Brooks CR, Siebers R, Crane J, Noss I, Wouters IM, Sander I, et al. Measurement of beta-(1,3)-glucan in household dust samples using Limulus amebocyte assay and enzyme immunoassays: an inter-laboratory comparison. Environmental Science-Processes & Impacts. 2013;15(2):405-11.
【0025】
11. Foto M, Plett J, Berghout J, Miller JD. Modification of the Limulus amebocyte lysate assay for the analysis of glucan in indoor environments. Anal Bioanal Chem. 2004 May;379(1):156-62.
【0026】
12. Madsen AM, Frederiksen MW, Allermann L, Peitersen JH. (1 -> 3)-beta-D-glucan in different background environments and seasons. Aerobiologia. [Article]. 2011 Jun;27(2):173-9.
【0027】
13. Foto M, Vrijmoed LLP, Miller JD, Ruest K, Lawton M, Dales RE. A comparison of airborne ergosterol, glucan and Air-O-Cell data in relation to physical assessments of mold damage and some other parameters. Indoor Air. 2005 Aug;15(4):257-66.
【0028】
14. Lee T, Grinshpun SA, Kim KY, Iossifova Y, Adhikari A, Reponen T. Relationship between indoor and outdoor airborne fungal spores, pollen, and (1 -> 3)-beta-D-glucan in homes without visible mold growth. Aerobiologia. 2006 Sep;22(3):227-36.
【0029】
15. Salares VR, Hinde CA, Miller JD. Analysis of Settled Dust in Homes and Fungal Glucan in Air Particulate Collected during HEPA Vacuuming. Indoor and Built Environment. [Article]. 2009 Dec;18(6):485-91.
【0030】
16. Madsen AM, Schlunssen V, Olsen T, Sigsgaard T, Avci H. Airborne Fungal and Bacterial Components in PM1 Dust from Biofuel Plants. Ann Occup Hyg. 2009 Oct;53(7):749-57.
【0031】
17. Singh U, Reponen T, Cho KJ, Grinshpun SA, Adhikari A, Levin L, et al. Airborne Endotoxin and beta-D-glucan in PM1 in Agricultural and Home Environments. Aerosol and Air Quality Research. 2011 Aug;11(4):376-86.
【0032】
18. Singh U, Levin L, Grinshpun SA, Schaffer C, Adhikari A, Reponen T. Influence of home characteristics on airborne and dustborne endotoxin and beta-D-glucan. J Environ Monit. [Article]. 2011 Nov;13(11):3246-53.
【0033】
19. Chen Q, Hildemann LM. The Effects of Human Activities on Exposure to Particulate Matter and Bioaerosols in Residential Homes. Environ Sci Technol. 2009 Jul;43(13):4641-6.
【0034】
20. Chen Q, Hildemann LM. Size-Resolved Concentrations of Particulate Matter and Bioaerosols Inside versus Outside of Homes. Aerosol Sci Technol. 2009;43(7):699-713.
【0035】
21. Fogelmark B, Rylander R. (1->3)-beta-D-glucan in some indoor air fungi. Indoor and Built Environment. 1997 Sep-Oct;6(5):291-4.
【0036】
22. Chew GL, Douwes J, Doekes G, Higgins KM, van Strien R, Spithoven J, et al. Fungal extracellular polysaccharides, beta (1 -> 3)-glucans and culturable fungi in repeated sampling of house dust. Indoor Air-International Journal of Indoor Air Quality and Climate. 2001 Sep;11(3):171-8.
【0037】
23. Iossifova Y, Reponen T, Sucharew H, Succop P, Vesper S. Use of (1-3)-beta-D-glucan concentrations in dust as a surrogate method for estimating specific fungal exposures. Indoor Air. 2008 Jun;18(3):225-32.
【0038】
US patent US5266461, Tanaka, Method for determing (1→3)-β-D-glucan は、我々が気付いた(1→3)-β-D-グルカンの分析の唯一の特許である。彼らは、エンドトキシン感度因子のための経路を抑止する抗体を使用する。
【0039】
先行技術では、バイオ分析のための空気からの薬剤の収集の多くの例が存在する。例えば、下記の出版物は、分析のためのアレルゲン、病原体及び毒素収集の様々な方法を述べる:
1. Yao et al (2009) in Aerosol Science volume 40, pages 492-502.
2. Noss et al (2008) in Applied and Environmental Microbiology, volume 74, pages 5621-5627.
3. King et al (2007) in Journal of Allergy and Clinical Immunology, volume 120, pages 1126-31.
4. Earle et al (2007) in Journal of Allergy and Clinical Immunology, volume 119, pages 428-433.
5. Peters et al (2007) in Journal of Urban Health: Bulletin of the New York Academy of Medicine, volume 84, pages 185-197.
6. Yao and Mainelis (2006) in Journal of Aerosol Science, volume 37, pages 513-527.
7. Platts-Mills et al (2005) in Journal of Allergy and Clinical Immunology, volume 116, pages 384-389.
8. Sercombe et al (2004) in Allergy, volume 60, pages 515-520.
9. Custis et al (2003) in Clinical and Experimental Allergy, volume 33, pages 986-991.
10. Polzius et al (2002) in Allergy, volume 57, pages 143-145.
11. Tsay et al (2002) in Clinical and Experimental Allergy, volume 32, pages 1596-1601.
12. Parvaneh et al (2000) in Allergy, volume 55, pages 1148-1154.
13.McNerney et al (2010) in BMC Infectious Diseases, volume 10, pages 161-166 and device in US patent 7,384,793.
【0040】
サンプル収集の他の公知の方法は、活性炭上への揮発性有機化合物(VOC)のトラッピング、脱着、及びマススペクトロメトリーによる分析を、含む。Phillips et al (2010) in Tuberculosis, volume 90, pages 145-151及びその中の参考文献を参照。VOCは、本発明によって含まれるとは考慮されない。なぜなら、当該分析は、本質的に厳密には化学的であり、ここで定義されるような生物特異的ではないからである。生物特異的とは、核酸特異性、抗体特異性、受容体-リガンド特異性などの生物学的特異性によって結果が決定される分析を意味する。診断特異性がVOC分析によって達成できる一方で、これは、定義される有機化合物の基の存在及び量によって、推察される。
【0041】
前述の先行技術出版物は、ポンピング及び濾過、ワイピング、パッシブ沈着、動電学的輸送などを使用して、通常はその後に抽出工程及び分析への抽出の適用を使用する、「乾燥」方法を述べる。
【0042】
液体流中の収集の方法は、特許文献中に述べられた:
Yuan and Linの米国特許出願2008/0047429A1。
Saski et alの2002年に発行された米国特許6,484,594。
【0043】
空気から薬剤を効果的に収集する一方で、そのような液体ストリーミングシステムは、必然的に、サンプルの高希釈という結果になる。薬剤が再濃縮されない限り、結果として生じる感度のトレードオフが存在する。
【0044】
Northrup et alの米国特許7,705,739及び7,633,606は、空気サンプリング及びその中の空中の物質の決定のための自発的運転システムを述べる。それらは、空気サンプリングの正確な方法も、それがどのようにして分析システムに移動されるかの詳細も、特定しない。
【0045】
濾過又は電気集塵に基づく空気精製のための多数の市販のシステムが存在する。一般的な記述としては、the Environmental Protection Agency article “Guide to Air Cleaners in the Home”, U.S. EPA/OAR/ORIA/Indoor Environments Division (MC-6609J) EPA 402-F-08-004, May 2008を参照。システムの多数の商業的な例は、高性能微粒子空気(HEPA)フィルター又は電気集塵フィルターのどちらかを使用して存在する。そのようなシステムは、空気からの粒子状物質又はアレルゲンの除去のために広く使用され、家庭内の暖房、換気及びエアコン(HVAC)システムの一部として含む。HEPAフィルターは、ミクロンサイズ範囲に至るまでの粒子を除去するという利点を有し、その一方で、電気集塵方法は、差圧がほとんどないか又は全くない高い体積流れを伴うという利点を有する。電気集塵システムの技術的仕様の詳細な例として、米国特許3,191,362(by Bourgeois)を参照。空気から薬剤を効果的に除去する一方で、そのような空気精製システムは、それら自身を、分析用サンプルの収集に適合させない。
【0046】
濾過方法は、試験用の空気サンプルの収集としては周知である。そのような濾過方法は、分析のために(1→3)-β-D-グルカンを含有する粒子を捕捉するために使用することもできる。
【0047】
動電学的ベースの空気清浄システムが、開発されて、商品名Ionic Breezeで、会社Sharper Imageによって以前に商業化された(しかし現在は中止)。最初の動電学的原理は、米国特許2,949,550(by Brown)に、公表された。これは、気流を改善してオゾン発生を最小限にするために、米国特許4,789,801(by Lee)で更に改善された。市販のシステム用の更なる改善が、米国特許6,958,134(by Taylor and Lee);米国特許7,056,370(Reeves et al);米国特許7,077,890(Botvinnik);米国特許7,097,695(Lau et al);米国特許7,311,762(Taylor et al)に述べられる。動電学的推進を使用する装置の前述の記述では、共通のエレメントは、ワイヤーから成る高電圧電極である。ワイヤーの断面積が極めて小さいという理由で、極めて急な電圧勾配が、ワイヤーに直交して発生する。高い電圧勾配は、荷電粒子から成るプラズマの形成を引き起こし、そして、高い電圧勾配によって、運動エネルギーが荷電粒子に与えられる。その結果得られる正味の気流は、荷電粒子と非荷電粒子との間の運動エネルギーの交換によって、形成され、そして、正味の気流は、ワイヤー電極とは逆符号の電圧又はゼロである平板電極の並列によって、向けられる。荷電粒子は、平板電極上に静電的に沈澱され、それは、清浄用に定期的に取り外すことができる。この一連の研究は、サンプル収集ではなく空気精製の方へ向けられる。しかし、Custis et al (2003)によって最初に述べられるように、Ionic Breeze装置は、電極をペーパーティッシュで拭き取ることによって、アレルゲン分析用のサンプル収集用に適合された。アレルゲンは、ティッシュから抽出されて、そして、免疫測定を受けた。Ionic Breezeは、免疫測定分析用のアレルゲン収集のためにPeters et al (2007)及びPlatts-Mills et al (2005)の研究でも、使用された。以前に、Parvaneh et al (2000)は、「コレクタープレートとして導電性表面を有する金属カップ」を備えたイオナイザー装置を述べた。アレルゲンは、分析のために、それから抽出される。サンプルが、どのようにして金属カップの内部上に収集されて全表面に付着しないか、明らかではない。当該装置は、Airpoint AB, Stockholm, Swedenによって製造された。しかし、Airpoint ABによるそのような製品の製造又は販売に関する何の公開情報も存在せず、当業者が当該装置の詳細を理解することができるには不十分な情報しか存在せず、そして、環境アレルゲン検出に関するその後の出版物において何の同様な装置も、同じ著者によって使用されなかった。電圧勾配によって形成される潜在的なウェル中へのサンプルの集束についての何の言及も存在しない。
【0048】
Yao et al (2009)及びYao and Mainelis (2006)は、分析手段又は装置上へのバイオ分析可能な薬剤の収集方法を述べた。Yao and Manielis (2006)は、平板電極と電気的に接触している寒天ゲルのブロックを述べる。Yao et al (2009)は、平板電極間に差し挟まれたマイクロタイタープレートを述べる。これらの研究の両方は、ポンプによって駆動される空気の流れ、及び、分析手段上に分析されるべき薬剤を静電的に沈澱すること、を述べる。電極及び寒天ブロックは、これらの研究において実質的に同じ領域を有する。
【0049】
McNerney et al (2010)は、呼気分析計装置を述べる。そこでは、個人が、呼吸管の中に咳をするか又は呼吸し、サンプルが、管の内表面上に収集し、光学式バイオセンサー上にプランジャーですくい取られ、免疫学的結合反応が実行され、そして、散乱光によって結核菌の有無を決定するために、バイオセンサーは、エバネセント波照明システムを利用する。
【0050】
本出願人のInspirotec Inc.は、生体物質の分析用イオン捕捉装置を商業化した。この装置及び関連する装置は、Inspirotecの下記の米国特許に述べられている:9,618,431, Electrokinetic device for capturing assayable agents in a dielectric fluid; 9,481,904 Electrokinetic method for capturing and bio assaying airborne assayable pathogenic agents; 8,038,944, Electrokinetic device for capturing assayable agents in a dielectric fluid; 9,360,402, Electrokinetic device for capturing assayable agents in a dielectric fluid utilizing removable electrodes; and 9,216,421, Integrated system for sampling and analysis)。(1→3)-β-D-グルカンを含有する空中の粒子を捕捉するために、イオン捕捉技術を使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0051】
何の先行技術も、カビ暴露の尺度としての(1→3)-β-D-グルカンの可溶性フラクションの使用を、提案しない。
【課題を解決するための手段】
【0052】
発明の概要
(1→3)-β-d-グルカンは、カビの細胞壁の構造成分であるが、酵母、カビ、花粉、細菌中にも発見できる。空気中の最大のフラクションは、カビに起因する。
【0053】
使用された分析は、競合免疫測定(competitive immunoassays)、サンドイッチ免疫測定(sandwich immunoassays)、及びlimulus amebocyte lysate (LAL)(カブトガニ血球抽出成分)分析である。競合免疫測定は、感度がより低く、サンドイッチ免疫測定は、LALと同等であって、そして、感度がより低くてより特異性であると主張された。LAL分析は、合成基質から蛍光シグナルを形成するカブトガニからの特異的プロテアーゼの活性化に依存する。結果は、並外れた高感度分析である。特異性は、問題であったようには見えない。継続する研究の大部分は、市販のLAL分析を使用した。
【0054】
(1→3)-β-d-グルカンの測定は合計カビ暴露の良好な代替であるという多くの提案が存在した。
【0055】
最大呼気流量(PEF)による呼吸症状とハウスダスト中の(1→3)-β-d-グルカンのレベルとの間に相関が示された。
【0056】
活性カビ成長を持つ家庭では、18~0.18ミクロンの範囲の大きさの(1→3)-β-d-グルカンが、発見された。これは、大きいフラクションが、胞子よりも小さいフラグメント及び粒子の中にあったことを、意味する。より小さい範囲の粒子は、まるでチリダニアレルゲンのように、空中でより長くとどまって、より深く肺に浸入しやすい。
【0057】
構造細胞壁成分として、(1→3)-β-d-グルカンは、通常、不溶性の形態である。それ故に、日付を付けるためになされた全ての試験は、試験のためにそれを可溶性にするために、アルカリ処理又は極端な加熱工程のどちらかを使用した。空中の形態の大きいフラクションが、粒子が可溶性である範囲内にある、という事実は、注意を免れた。我々は、免疫測定よりも前に、我々の装置からのサンプルから全ての不溶性及び微粒子材料を、規定通りに除去する。そのフラクションは、肺の中に深く浸入するであろう微粒子サイズのより低い範囲を含有するであろう。
【0058】
このフラクションのアルカリ抽出は、結果に対する影響がほとんどなかった(例を参照)。
【0059】
それ故に、(1→3)-β-d-グルカンの空中の可溶性フラクションの測定は、その放出が真菌アレルゲンの空気中への放出とも平行する呼吸刺激物の両方の直接の測定である。何の先行技術も、空中の材料のために収集されたサンプル中の(1→3)-β-d-グルカンの遊離の形態(free form)の直接の測定を提案しない。可溶性フラクションとして遊離の形態の測定は、本発明の主題である。この遊離の形態は、肺胞中に深く浸入してこうして喘息という結果になる肺中の深いアレルギー反応などの呼吸器系の問題を誘発することが周知な、より小さいサイズの粒子を表すであろう。この測定は、そのとき、一般にアレルゲンの挙動と平行するパラメーターであり、そして、それ故に、一般にカビアレルゲンへの暴露を評価するための有用な代替である。
【0060】
本発明の好ましい形態では、遊離の(1→3)-β-D-グルカンを含有する可溶性フラクションは、例えば、Inspirotec又はExhaleの名前で発明者によって商業化されているような動電学的推進装置によって、収集される。しかし、必要性に応じて、当業者に周知の他の装置、例えば、定義された孔径を持つフィルターを通しての空気の濾過など、例えば、微多孔膜フィルター又は繊維状フィルター、又は、会社3Mによって商業化されているようなHEPAフィルター又はElectretフィルターなど、又は、インパクションによって定義されたサイズのクラスの粒子の捕捉に頼るフィルターなどが、使用できる。例は、Anderson Impactors、及びNIOSHサイクロンインパクター(Lindsley et al, Journal of Environmental Monitoring, 2006, 8, 1136-42)、又は、Alburty Labs, of Drexel, Mo.によって商業化されているようなBobcatエレクトレットベースの濾過又はSpin Con湿式サイクロン法、である。
【0061】
本発明の他の目的、特徴、及び利点が、添付の特許請求の範囲と図面を含む明細書全体のレビューから、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【0063】
【0064】
【
図3】
図3は、同じ空中のサンプル中でのカビアレルゲンの存在又は不存在で比較された(1→3)-β-D-グルカンの比較の統計分析のグラフ図である。
【0065】
【
図4】
図4は、NaOHで処理された又は処理されない空中のフラクションの1セットに関する(1→3)-β-D-グルカンの決定の比較の統計分析のグラフ図である。
【0066】
【
図5】
図5は、アメリカ合衆国の全体に渡る76件の家庭における(1→3)-β-D-グルカンの分布のグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
発明の詳細な記述
出願人に発行された先行特許、すなわち、米国特許第8,038,944, 9,216,421, 9,360,402, 9,481,904及び9,618,431に詳細に述べられていることができるようなサンプリング装置によって、空気がサンプリングされる。これらの各々の特許の明細書は、参照によってここに組み込まれる。取り外し可能な電極を持つカートリッジを使用する生物特異的材料の分析用に、特別な注意が、US 9,360,402に向けられる。この装置は、下記で詳細に述べるように、取り外された電極をバッファー抽出媒体中に直接浸すことによって、及び、ボルテックスミキサーで遠心管中で震とうすることによって、生物特異的薬剤の抽出の利便性を提供する。
【0068】
例1.
図1は、基本的なイオン推進装置を表し、それは、ハウジング1を持ち、横断面に見られる高電圧ワイヤー2を持ち、そして、電圧コンターの記号による表現、接地平板電極3を持つ。得られるイオン流は、矢印4によって表される。得られる正味の空気流入は、矢印5によって表され、流出は、矢印6によって表される。有利には、US 9,360,402に示されるように、電極3は、取り外し可能であり、そして、ハウジング1から取り外し可能なキャリアに取り付けることができる。
【0069】
例2.
図2A及び
図2Bは、固定電極の代替として
図1のハウジングで使用できた取り外し可能なキャリアアセンブリー21を例証する。キャリアアセンブリー21は、US 9,360,402で詳細に述べられている。キャリアアセンブリー21は、ワンピースプラスチックキャリア23、ラッチ25及び捕捉電極27を含む。キャリア23は、ハウジング1から取り外し可能である。更に、捕捉電極27は、キャリア23に、取り外し可能で固定される。ラッチ25は、電極27を支える。
図2C及び
図2Dを参照。ラッチ25は、キャリア23に捕捉電極27を固定するように適合させる。試験では、キャリア23は、ハウジング1から取り外されることができる。試験を促進するために、ラッチ25及び電極27は、その後、キャリア23から取り外されることができる。
【0070】
例3.
様々なカビポジティブ及びカビネガティブ家庭環境で、サンプルが試験された。BioRad Inc.によって提供されるMagPix計器及びIndoor BiotechnologiesからのMARIAキットを使用して多重免疫測定によって、空中のカビアレルゲンの存在が、決定された。サンプラーが、規定通りに5日間試験された。運動速度分析のための製造業者プロトコルをフォローするGlucatell分析キット(Associates of Cape Cod Inc.,East Falmouth, MA)によって及びMARIAによって試験された上澄み及び、例4で詳細に述べるように取り外された電極から抽出されるアレルゲン及び(1→3)-β-D-グルカン含有材料。
【0071】
図3は、カビアレルゲンAlt a 1 及び Asp f 1)及び(1→3)-β-D-グルカンでの、MARIA(登録商標)多重免疫測定方法によって決定されたカビアレルゲンの存在の比較の統計分析を示す。箱ひげ図は、値の全範囲及び90パーセンタイル範囲を示す。
図3に要約される結果は、空中のサンプル中の(1→3)-β-D-グルカンの不存在とカビアレルゲンの不存在との間の顕著な関係を示す。カビアレルゲンのポジティブグループ(7.19)では、ネガティブグループ(2.42)と比較して、より高い平均も観察される。
図3からのデータは、(1→3)-β-D-グルカンの存在と空中のカビアレルゲンとの間の可能な顕著な関係を示す。
【0072】
例4.測定された(1→3)-β-D-グルカンに対するNaOH抽出の影響
【表1】
【0073】
上述のInspirotec空気サンプリング装置は、各々の試験環境で、連続して5日間、運転された。試験に続いて、ステンレス鋼電極ストリップが、カートリッジから取り外され、装置中に配置され、そして、15ml遠心管に移動された。1mlのPBS(0.02% Tween 20を含む)が、管に添加されて、10分を超えて断続的にボルテックス(渦動)された。サンプルが、遠心管から取り外されて、2mLスクリューキャップ管に移動されて、その後、30分間15,000gで遠心分離機にかけられた。上澄みが、除去されて、新しい2mlスクリューキャップ管の中に置かれた。他の2mLスクリューキャップ管中で、80μlのこれらのサンプルが、20uLの2.5N NaOHの添加によって0.05N NaOHにされた。サンプルが、オービタルシェーカー上で室温で2.5時間、振り混ぜられて、100μLの2M Tris - HCL (1M Tris - HCL final)の添加によって、中和された。運動速度分析用の製造者の標準のプロトコルに続いてGlucatell分析キット(Associates of Cape Cod Inc., East Falmouth, MA)を使用して、(1→3)-β-D-グルカンレベルが決定された。
【0074】
結果が、JMPパッケージ、JMP(登録商標)Pro 13.0.0 (SAS Institute Inc. Cary, NC)で統計的に分析されたように
図3にもグラフで示される。
【0075】
最近似直線の勾配は、1.41である。これは、サンプルがこのように収集されて分析される時、41%の(1→3)-β-D-グルカンが不溶性フラクション中にあることを、示す。本発明は、抽出なしで遠心分離からの上澄みによって決定されるように、可溶性フラクションに着目する。
【0076】
例5.米国全体に渡る家庭での(1→3)-β-D-グルカンレベルの分布
【0077】
Inspirotec装置を使用して、アメリカ合衆国中の76件の家庭から、空気サンプルが収集された。各々の家庭では、装置は、1日間~5日間、運転された。運転期間の終了後、ステンレス鋼電極ストリップが、カートリッジから取り外され、装置中に配置され、そして、15ml遠心管に移動された。1mlの1xPBS(0.02% Tween 20を含む)が、管に添加されて、10分間を超えて断続的にボルテックス(渦動)された。サンプルが、15mL遠心管から取り外されて、2mLスクリューキャップ管に移動された。それらは、その後、30分間15,000gで遠心分離機にかけられた。上澄みが、除去されて、新しい2mlスクリューキャップ管の中に置かれた。運動速度分析用の製造者プロトコルに続いてGlucatell分析キット(Associates of Cape Cod Inc.,East Falmouth, MA)を使用して、(1→3)-β-D-グルカン濃度が測定された。
【0078】
結果が、JMPパッケージ、JMP(登録商標)Pro 13.0.0 (SAS Institute Inc.Cary, NC)で統計的に分析されたように
図4にグラフで示される。分析のためのゼロ時間フィールドコントロールの平均値未満の値は、フィールドコントロール/2の値が割り当てられて、そして、値のlog
10の発生回数が、X軸上に示されるようにin binsプロットされた。
【0079】
(1→3)-β-D-グルカンが、62%の家庭で検出された。
【0080】
空中の材料から収集されたサンプルの可溶性フラクション中の(1→3)-β-D-グルカンの測定が、活発に成長しているカビから放出される材料であって呼吸器の健康への影響を持つ呼吸器系中にほとんど深く浸入するであろう空気中の遊離の(1→3)-β-D-グルカンのフラクションの代表である、ということが、前述から明らかである。このフラクションは、カビからのアレルゲンの放出とも平行し得るのであり、その結果、それは、空中のアレルゲン暴露のための代替分析であることもできる。従来技術は、可溶性フラクションを無視して、より大きな複合体から抽出可能な材料に、焦点を当てていた。ここで述べるような遠心分離の好ましい方法によって、又は、濾過又は沈澱などの他の周知の方法によって、可溶性フラクションが調製できることは、当業者には自明であろう。
【0081】
こうして、下記の方法が提供される:
エアロゾル粒子を分析する方法であって、前記のエアロゾル粒子が、空気サンプリング装置によって捕捉され、サンプリング媒体から抽出され、そして、(1→3)-β-D-グルカンのために分析される可溶性フラクションである、前記の方法。
空気サンプリング装置は、動電学的推進に基づくか、又は、電気集塵に基づくことができる。
(1→3)-β-D-グルカンは、limulus-amebocyteベースの分析によって、又は、免疫測定によって、決定されることができる。
サンプリング装置は、濾過に基づくか、又は、衝突に基づくか、又は、インパクターに基づくことができる。
【0082】
下記の方法も提供される:
エアロゾル粒子を分析する方法であって、
前記のエアロゾル粒子が、動電学的推進装置の電極の上に、前記の装置を通して動電学的に推進される多量の空気から、沈積され、
前記の電極が、キャリアマウンティングに取り外し可能なように取り付けられ、
前記の電極が、前記のキャリアマウンティングから取り外され、そして、抽出容器の中に設置され、
所定の容積の抽出流体が、前記の抽出容器に添加され、
前記の電極が、前記の抽出流体の中で、所定の時間、撹拌され;そして、
前記の抽出流体の全て又は一部が、(1→3)-β-D-グルカンのための前記のエアロゾル粒子の分析用反応混合物に添加される、前記の方法。
本発明に関連して、以下の内容を更に開示する。
[1]
エアロゾル粒子を分析する方法であって、前記のエアロゾル粒子が、空気サンプリング装置によって捕捉され、サンプリング媒体から抽出され、そして、(1→3)-β-D-グルカンのために分析される可溶性フラクションである、前記の方法。
[2]
空気サンプリング装置が、動電学的推進に基づく、[1]に記載の方法。
[3]
サンプリング装置が、電気集塵に基づく、[1]に記載の方法。
[4]
(1→3)-β-D-グルカンが、limulus-amebocyteベースの分析によって決定される、[1]に記載の方法。
[5]
(1→3)-β-D-グルカンが、免疫測定によって決定される、[1]に記載の方法。
[6]
サンプリング装置が、濾過に基づく、[1]に記載の方法。
[7]
サンプリング装置が、衝突に基づく、[1]に記載の方法。
[8]
サンプリング装置が、インパクターに基づく、[1]に記載の方法。
[9]
エアロゾル粒子を分析する方法であって、
前記のエアロゾル粒子が、動電学的推進装置の電極の上に、前記の装置を通して動電学的に推進される多量の空気から、沈積され、
前記の電極が、キャリアマウンティングに取り外し可能なように取り付けられ、
前記の電極が、前記のキャリアマウンティングから取り外され、そして、抽出容器の中に設置され、
所定の容積の抽出流体が、前記の抽出容器に添加され、
前記の電極が、前記の抽出流体の中で、所定の時間、撹拌され;そして、
前記の抽出流体の全て又は一部が、(1→3)-β-D-グルカンのための前記のエアロゾル粒子の分析用反応混合物に添加される、前記の方法。
[10]
(1→3)-β-D-グルカンが、limulus-amebocyteベースの分析によって決定される、[9]に記載の方法。
[11]
(1→3)-β-D-グルカンが、免疫測定によって決定される、[9]に記載の方法。