IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャンハイ ファーマシューティカルズ ホールディング カンパニー,リミティドの特許一覧

特許7382944神経変性疾患を予防・治療するための新規な化合物及びその応用
<>
  • 特許-神経変性疾患を予防・治療するための新規な化合物及びその応用 図1
  • 特許-神経変性疾患を予防・治療するための新規な化合物及びその応用 図2
  • 特許-神経変性疾患を予防・治療するための新規な化合物及びその応用 図3
  • 特許-神経変性疾患を予防・治療するための新規な化合物及びその応用 図4
  • 特許-神経変性疾患を予防・治療するための新規な化合物及びその応用 図5
  • 特許-神経変性疾患を予防・治療するための新規な化合物及びその応用 図6
  • 特許-神経変性疾患を予防・治療するための新規な化合物及びその応用 図7
  • 特許-神経変性疾患を予防・治療するための新規な化合物及びその応用 図8
  • 特許-神経変性疾患を予防・治療するための新規な化合物及びその応用 図9
  • 特許-神経変性疾患を予防・治療するための新規な化合物及びその応用 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】神経変性疾患を予防・治療するための新規な化合物及びその応用
(51)【国際特許分類】
   C07H 13/04 20060101AFI20231110BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20231110BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20231110BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20231110BHJP
   A61K 9/22 20060101ALI20231110BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20231110BHJP
   A61K 9/52 20060101ALI20231110BHJP
   A61K 31/7024 20060101ALI20231110BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20231110BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20231110BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20231110BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20231110BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
C07H13/04 CSP
A61K9/10
A61K9/14
A61K9/20
A61K9/22
A61K9/48
A61K9/52
A61K31/7024
A61P25/00
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/24
A61P25/28
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020543031
(86)(22)【出願日】2019-01-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 CN2019073777
(87)【国際公開番号】W WO2019154196
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】201810118796.9
(32)【優先日】2018-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514023416
【氏名又は名称】シャンハイ ファーマシューティカルズ ホールディング カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100166729
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 幸子
(72)【発明者】
【氏名】ペイ ガン
(72)【発明者】
【氏名】ユー ビャオ
(72)【発明者】
【氏名】ファン シーチャオ
(72)【発明者】
【氏名】カオ シン
(72)【発明者】
【氏名】シー フーチュン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ ユエ
(72)【発明者】
【氏名】アン イーチャン
(72)【発明者】
【氏名】ルー ジン
【審査官】阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101914595(CN,A)
【文献】特開2010-013397(JP,A)
【文献】Food Chemistry,2017年,Vol. 214,pp. 644-654
【文献】Arch. Pharm. Res.,Vol. 38,2015年,pp. 1312-1316
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)に示される化合物又はその溶媒和物、又はそれらの薬学的に許容できる塩。
【化1】
(I)
(式中、
【化2】
は六員複素環であり、xはOであり、
R1~R4は独立して水素、水酸基、C1-C4アルキル基、C2-C4アルケニル基、C2-C4アルキニル基、ハロゲンから選択され、又はR1~R4のうち隣接する二つの基は互いに接続され、母環とともに環構造を構成し、
R1’~R3’は独立して水素、水酸基、C1-C4アルキル基、C2-C4アルケニル基、C2-C4アルキニル基、ハロゲンから選択され、又はR1’~R3’のうち隣接する二つの基は互いに接続され、母環とともに環構造を構成している)
【請求項2】
【化3】
は以下の群から選択される環構造を含むことを特徴とする請求項1に記載の式(I)に示される化合物又はその溶媒和物、又はそれらの薬学的に許容できる塩。
【化4】
、及び
【化5】
【請求項3】
【化6】
は以下の環構造を含むことを特徴とする請求項1に記載の式(I)に示される化合物又はその溶媒和物、又はそれらの薬学的に許容できる塩。
【化7】
【請求項4】
R1~R4は独立して水素、水酸基、C1-C2アルキル基から選択され、又はR1~R4のうち隣接する二つの基は互いに接続され、母環とともに五員環を構成し、
R1’~R3’は独立して水素、水酸基、C1-C2アルキル基から選択され、又はR1’~R3’のうち隣接する二つの基は互いに接続され、母環とともに五員環を構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の式(I)に示される化合物又はその溶媒和物、又はそれらの薬学的に許容できる塩。
【請求項5】
前記五員環は、Oを含む複素環であり、二つのOを含むことを特徴とする請求項4に記載の式(I)に示される化合物又はその溶媒和物、又はそれらの薬学的に許容できる塩。
【請求項6】
前記化合物は以下を含むことを特徴とする請求項1に記載の式(I)に示される化合物又はその溶媒和物、又はそれらの薬学的に許容できる塩。
【化8】
(II)
【化9】
(III)
【化10】
(IV)
【請求項7】
神経変性疾患、鬱病又は卒中を予防、緩和又は治療する薬物又はピルボックスの調製における、請求項1~6のいずれか一項に記載の式(I)に示される化合物又はその溶媒和物、又はそれらの薬学的に許容できる塩の使用。
【請求項8】
神経変性疾患は、
脳内で神経炎症が発生することを特徴とする神経変性疾患、又は
Aβの生成が顕著に増加することを特徴とする神経変性疾患、又は
学習記憶能力が顕著に低下することを特徴とする神経変性疾患、又は
神経幹細胞が顕著に減少することを特徴とする神経変性疾患であることを特徴とする請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記神経変性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症を含むことを特徴とする請求項8に記載の使用。
【請求項10】
神経炎症を抑制する組成物、キット又はピルボックスの調製における、請求項1~6のいずれか一項に記載の式(I)に示される化合物、溶媒和物、又はそれらの薬学的に許容できる塩の使用。
【請求項11】
神経幹細胞の生成を促進する組成物、キット又はピルボックスの調製における、請求項1~6のいずれか一項に記載の式(I)に示される化合物又はその溶媒和物、又はそれらの薬学的に許容できる塩の使用。
【請求項12】
Aβの生成を低下させる組成物、キット又はピルボックスの調製における、請求項1~6のいずれか一項に記載の式(I)に示される化合物又はその溶媒和物、又はそれらの薬学的に許容できる塩の使用。
【請求項13】
請求項1~6のいずれか一項に記載の式(I)に示される化合物又はその溶媒和物、又はそれらの薬学的に許容できる塩、及び
薬学的に許容できる担体を含む
ことを特徴とする薬物組成物。
【請求項14】
前記薬物組成物の剤形は、粉剤、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放剤、放出制御製剤、注射剤、輸液剤、懸濁剤を含むことを特徴とする請求項13に記載の薬物組成物。
【請求項15】
請求項1~6のいずれか一項に記載の式(I)に示される化合物又はその溶媒和物、又はそれらの薬学的に許容できる塩、又は
請求項13又は14に記載の薬物組成物を含むことを特徴とするピルボックス。
【請求項16】
ジラムノピラノシルグリコシドとフッ化テトラブチルアンモニウムとを反応させ、構造が(II)に示される化合物を得る工程を含むことを特徴とする式(II)に示される化合物の調製方法。
【化11】
(II)
【請求項17】
前記ジラムノピラノシルグリコシドは、ジラムノピラノシルチオグリコシドと(4-O-t-ブチルジメチルシリル)-フェルラ酸とを反応させることにより得られることを特徴とする請求項16に記載の調製方法。
【請求項18】
前記ジラムノピラノシルチオグリコシドは、ラムノピラノシルチオグリコシドと2,3,4-O-トリアセチルラムノシル-1-O-トリクロロアセトイミダートとを反応させることにより得られることを特徴とする請求項17に記載の調製方法。
【請求項19】
化合物
【化12】
に対して還元反応(ビシナルジオールに対するイソプロピリデン基の脱保護反応)を行い、式(III)又は(IV)に示される化合物を得る工程を含む
ことを特徴とする式(III)
【化13】
(III)
又は(IV)
【化14】
(IV)
に示される化合物の調製方法。
【請求項20】
前記化合物
【化15】
は化合物
【化16】
と化合物
【化17】
とを縮合させることを含む工程により得られる
(式中、PはH又は保護基であり、前記保護基はAll(Allyl-)、Boc、TBS、Ac、Bn、PMB、Cbzの群から選択される基を含み、前記保護基はHに還元されてもよい)ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記化合物
【化18】
は、化合物
【化19】
と化合物
【化20】
との付加及びビシナルジオールに対するイソプロピリデン基の保護反応を含む工程により得られる
(式中、PはH又は保護基であり、前記保護基はAll(Allyl-)、Boc、TBS、Ac、Bn、PMB、Cbzの群から選択される基を含み、前記保護基はHに還元されてもよい)
ことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬学分野に属している。より具体的には、本発明は神経変性疾患を予防・治療するための新規な化合物及びその応用に関している。
【背景技術】
【0002】
神経変性疾患は、慢性進行性の中枢神経組織の逆行性変性による疾患の総称である。主な疾患は、パーキンソン病(Parkinson’s Disease、PD)、アルツハイマー病(Alzheimer’s Disease、AD)、ハンチントン病(Huntington Disease、HD)、筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis、ALS)等を含む。
【0003】
アルツハイマー病(Alzheimer’s disease、AD)は、初老期認知症とも呼ばれ、慢性進行性の神経変性疾患であり、主に進行性の記憶能力低下、認知機能障害、及び独立したセルフケア能力の喪失を示す。人口の高齢化が進むにつれ、ADの発病率も年々高くなり、既に大衆に注目されている最も重要な健康問題となっている。アルツハイマー病の主な病理学的特徴は、患者の脳に形成されるアミロイド斑とニューロフィラメントのもつれである。アミロイド斑はアルツハイマー病の特徴的な病理学的変化であり、主に細胞内で異常に生成する大量のアミロイド-β(Aβ)タンパク質が細胞外に蓄積したものである。現在、その発症機構を説明しようとする理論が複数ある。HardyとSelkoeによって提案された「Aβ仮説」は、現在広く受け入れられている理論である。該理論によると、複雑な遺伝的及び環境的要因の長期作用下で、神経細胞が異常に大量のAβを生成し、蓄積してオリゴマー及びアミロイド斑を形成し、Aβ(特にオリゴマー化したAβ)が一連のカスケード反応(ニューロンとグリア細胞に直接又は間接に作用する、ラジカル反応、ミトコンドリアの酸化的損傷及び炎症反応等を含む)により、シナプス機能の異常とニューロンの損傷を引き起こすとともに、ミクログリアとアストロサイトの活性化を引き起こし、ニューロフィラメントのもつれの形成を加速し、長期作用すると、認知機能障害を引き起こすと考えられている。最近、大量の研究により、「Aβ仮説」を裏付ける様々な証拠が提供され、Aβのアルツハイマー病の発症機構における中核的な役割を示している。
【0004】
パーキンソン病(Parkinson’s disease)はよく見られている神経変性疾患であり、臨床的には、主に無動、振戦、筋強剛、姿勢反射障害等の症状を示す。PD患者の脳組織を研究することにより、患者の黒質ドーパミン作動性ニューロンが失われていることを見出した。Lewy封入体は、パーキンソン病における変性ニューロンの特徴的な病変の一つである。研究により、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、パーキンソン病及びDLB病(Dementia with Lewy Body)等を含む多くの神経変性疾患の患者の脳組織に、いずれもLewy封入体があることが説明される。
【0005】
哺乳動物の脳において、神経幹細胞(Neural Progenitor Cells、NPC)の増殖と自己複製は全体の生命過程において持続し、神経再生(Neurogenesis)の重要な一環である。加齢、長期の圧力及び神経系統疾患、例えばアルツハイマー病(Alzheimer’s Disease、AD)が発生した状況で、神経幹細胞の増殖と自己複製能力は低下し、認知機能損傷を引き起こす。神経再生を促進することは、加齢と加齢関連神経変性疾患に抵抗する潜在的な治療手段であると考えられている。したがって、可能な方案は、胚性神経幹細胞又はインビトロで誘導された神経幹細胞を移植することにより、細胞置換療法を行うことである。しかしながら、このような新しい複雑な技術については、特にそれらの安全性の問題と細胞源は、まだいくつかの論争がある。別の方案は、薬理学的手段により内因性神経幹細胞を活性化することにより、神経変性疾患を治療する目的を達成することである。薬理学的手段は操作が簡単で、神経幹細胞の特定の機能を特異的に標的することができるので、内因性神経幹細胞を活性化することは、実行可能な治療手段であるだけでなく、予防手段ともなっている。しかしながら、当業者はまた、効果的な治療を実現するために、生体内障壁をよく乗り越えて内因性神経幹細胞を効果的に活性化できる適切な薬物を見出す必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、神経変性疾患を予防・治療するための新規な化合物及びその応用を提供することである。
【0007】
本発明の第1の態様において、式(I)に示される化合物又はその異性体、溶媒和物又は前駆体、又はそれらの薬学的に許容できる塩が提供される。
【0008】
【化1】
(I)
(式中、
【化2】
は六員複素環であり、XはOであり、R1~R4は独立して水素、水酸基、C1-C4アルキル基、C2-C4アルケニル基、C2-C4アルキニル基、ハロゲンから選択され、又はR1~R4のうち隣接する二つの基は互いに接続され、母環とともに環構造を構成し、R1’~R3’は独立して水素、水酸基、C1-C4アルキル基、C2-C4アルケニル基、C2-C4アルキニル基、ハロゲンから選択され、又はR1’~R3’のうち隣接する二つの基は互いに接続され、母環とともに環構造を構成している。)
一つの好ましい例において、上述した式(I)に示される化合物又はその異性体、溶媒和物又は前駆体、又はそれらの薬学的に許容できる塩において、
【化3】
は以下の群から選択される環構造を含む。
【化4】

【化5】
一つの好ましい例において、上述した式(I)に示される化合物又はその異性体、溶媒和物又は前駆体、又はそれらの薬学的に許容できる塩において、
【化6】
は以下の環構造を含む。
【化7】
一つの好ましい例において、上述した式(I)に示される化合物又はその異性体、溶媒和物又は前駆体、又はそれらの薬学的に許容できる塩において、R1~R4は独立して水素、水酸基、C1-C2アルキル基から選択され、又はR1~R4のうち隣接する二つの基は互いに接続され、母環とともに五員環を構成し、R1’~R3’は独立して水素、水酸基、C1-C2アルキル基から選択され、又はR1’~R3’のうち隣接する二つの基は互いに接続され、母環とともに五員環を構成している。
【0009】
別の好ましい例において、上述した式(I)に示される化合物又はその異性体、溶媒和物又は前駆体、又はそれらの薬学的に許容できる塩において、前記五員環は、Oを含む複素環であり、好ましくは二つのOを含む。
【0010】
別の好ましい例において、上述した式(I)に示される化合物又はその異性体、溶媒和物又は前駆体、又はそれらの薬学的に許容できる塩において、前記化合物は以下を含む。
【0011】
【化8】
(II)
【化9】
(III)
【化10】
(IV)
【0012】
別の好ましい例において、神経変性疾患、鬱病又は卒中を予防、緩和又は治療する薬物又はピルボックスの調製における、上述した式(I)に示される化合物又はその異性体、溶媒和物又は前駆体、又はそれらの薬学的に許容できる塩の使用である。
【0013】
別の好ましい例において、神経変性疾患は、
脳内で神経炎症が発生することを特徴とする神経変性疾患、
Aβの生成が顕著に増加することを特徴とする神経変性疾患、
学習記憶能力が顕著に低下することを特徴とする神経変性疾患、又は
神経幹細胞が顕著に減少することを特徴とする神経変性疾患である。
【0014】
別の好ましい例において、上述した脳内で神経炎症が発生することは、炎症性サイトカインの発現が顕著に向上することを特徴とし、前記炎症性サイトカインは例えばIL-6とIL-lβである。
【0015】
別の好ましい例において、前記神経変性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体型認知症(DLB症)を含む。
【0016】
本発明の別の態様において、神経炎症を抑制する組成物、キット又はピルボックスの調製における、上述した式(I)に示される化合物又はその異性体、溶媒和物又は前駆体、又はそれらの薬学的に許容できる塩の使用が提供される。
【0017】
本発明の別の態様において、神経幹細胞の生成を促進する組成物、キット又はピルボックスの調製における、上述した式(I)に示される化合物又はその異性体、溶媒和物又は前駆体、又はそれらの薬学的に許容できる塩の使用が提供される。
【0018】
本発明の別の態様において、Aβの生成を低下させる組成物、キット又はピルボックスの調製における、上述した式(I)に示される化合物又はその異性体、溶媒和物又は前駆体、又はそれらの薬学的に許容できる塩の使用が提供される。
【0019】
本発明の別の態様において、上述した式(I)に示される化合物又はその異性体、溶媒和物又は前駆体、又はそれらの薬学的に許容できる塩、及び薬学的に許容できる担体を含む薬物組成物が提供される。
【0020】
一つの好ましい例において、上述した式(I)に示される化合物又はその異性体、溶媒和物又は前駆体、又はそれらの薬学的に許容できる塩は薬物組成物において有効量であり、好ましくは、前記有効量は重量含有量で0.01~50%であり、例えば0.01~5%、0.03~3%、0.05~1%、20~30%、40~50%等であるが、それらに限定されず、より好ましくは0.03~30%であり、更により好ましくは0.05~10%である。
【0021】
本発明の別の態様において、提供される前記薬物組成物の剤形は、粉剤、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放剤、放出制御製剤、注射剤、輸液剤、懸濁剤を含む。
【0022】
本発明の別の態様において、上述した式(I)に示される化合物又はその異性体、溶媒和物又は前駆体、又はそれらの薬学的に許容できる塩、若しくは前記薬物組成物を含むピルボックスが提供される。
【0023】
本発明の別の態様において、治療を必要とする対象に上述した式(I)に示される化合物又はその異性体、溶媒和物又は前駆体、又はそれらの薬学的に許容できる塩の有効量を投与することを含む、神経変性疾患、鬱病又は卒中を予防、緩和又は治療する方法が提供される。
【0024】
本発明の別の態様において、ジラムノピラノシルグリコシドとフッ化テトラブチルアンモニウムとを反応させ、構造が(II)に示される化合物を得る工程を含む、式IIに示される化合物の調製方法が提供される。
【0025】
【化11】
(II)
【0026】
別の好ましい例において、前記ジラムノピラノシルグリコシドは、ジラムノピラノシルチオグリコシドと(4-O-t-ブチルジメチルシリル)-フェルラ酸とを反応させることにより得られる。
【0027】
別の好ましい例において、前記ジラムノピラノシルチオグリコシドは、ラムノピラノシルチオグリコシドと2,3,4-O-トリアセチルラムノシル-1-O-トリクロロアセトイミダートとを反応させることにより得られる。
【0028】
本発明の別の態様において、
化合物
【化12】
に対して還元反応(より特にはビシナルジオールに対するイソプロピリデン基の脱保護反応)を行い、式(III)又は(IV)に示される化合物を得る工程を含む、式(III)又は(IV)に示される化合物の調製方法が提供される。
【0029】
一つの好ましい例において、前記化合物
【化13】
は、化合物
【化14】
と化合物
【化15】
とを縮合させることを含む工程により得られる。
【0030】
式中、PはH又は保護基であり、好ましくは、前記保護基はAII、Boc、TBS、Ac、Bn、PMB、Cbzの群から選択される基を含み、前記保護基はHに還元されてもよい。
【0031】
別の好ましい例において、前記化合物
【化16】
は、化合物
【化17】
と化合物
【化18】
との付加及びビシナルジオールに対するイソプロピリデン基の保護反応を含む工程により得られる。
【0032】
本発明の他の態様は、本明細書の開示内容により、当業者にとって自明である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】PL402によるADマウスのMorris水迷路指標の改善である。
図2】PL402による神経炎症の抑制である。
図3】PL402によるAβの生成の減少である。
図4】PL404の動物の学習記憶能力への影響である。
図5】PL404のヒト神経幹細胞の増殖への影響である。
図6】PL405のヒト神経幹細胞の増殖への影響である。
図7】化合物5の同定図である。
図8】PL402の同定図である。
図9】PL404の同定図である。
図10】PL405の同定図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明者は深く研究したところ、式(I)の化合物は神経変性疾患の症状を顕著に改善することができる。インビトロ・インビボ実験のいずれにおいても、式(I)の化合物は、神経幹細胞の増殖を効果的に促進することができる。式(I)の化合物は、予防することができるだけでなく、神経再生を促進する治療手段として、加齢と神経変性疾患に関連する認知機能低下に抵抗することもできる。
【0035】
用語
本明細書に用いられる用語「アルキル基」とは、直鎖又は分岐鎖の飽和の、1~4個の炭素原子(好ましくは1~2個の炭素原子)を含む脂肪族炭化水素系基である。例えば、アルキル基はメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基を含むが、それらに限定されていない。
【0036】
本明細書に用いられる用語「アルケニル基」は、少なくとも一つの炭素炭素二重結合及び2~4個の炭素原子(好ましくは2~3個の炭素原子)を含む直鎖と分岐鎖の炭化水素基を含む。
【0037】
本明細書に用いられる用語「アルキニル基」は、少なくとも一つの炭素炭素三重結合及び2~4個の炭素原子(好ましくは2~3個の炭素原子)を含む直鎖と分岐鎖の炭化水素基を含む。
【0038】
本明細書に用いられる用語「ハロゲン」とは、F、Cl、Br、又はIである。
【0039】
本明細書に用いられる用語「異性体」は、幾何異性体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体(例えばシス-トランス異性体、配座異性体)を含む。
【0040】
本明細書に用いられる「
【化19】
」の表現方式は、当業者によく知られており、X原子付きの複素環を示す。本発明の好ましい形態において、前記「
【化20】
」は六員複素環である。
【0041】
本明細書に用いられる「
【化21】
」の表現方式は、当業者によく知られており、基を選択可能なR1~R4が環におけるいずれか一つ又は複数の置換可能な位置に置換することを示す。また、異なる置換位置において、基の選択は異なっていてもよい。
【0042】
本明細書に用いられる「
【化22】
」の表現方式は、当業者によく知られており、基を選択可能なR1’~R3’が環におけるいずれか一つ又は複数の置換可能な位置に置換することを意味する。また、異なる置換位置において、基の選択は異なっていてもよい。
【0043】
本明細書に用いられる「P」はH又は保護基を示し、好ましくは、前記保護基はAII、Boc、TBS、Ac、Bn、PMB、Cbzの群から選択される基を含み、前記保護基はHに還元されてもよい。また、異なる化合物において、保護基の選択は同じであってもよく、又は異なっていてもよい。同一バッチの反応においても、異なる化合物又は同一の化合物の異なる位置におけるP基は異なっていてもよい。
【0044】
本明細書に用いられる用語「溶媒和物」は、溶媒分子が取り込まれた化合物を示し、例えば、前記溶媒和物は水和物であってもよい。
【0045】
本発明において、用語「含む」は、様々な成分が一緒に本発明の混合物又は組成物に応用されてもよいことを意味する。そのため、用語「主に…からなる」及び「…からなる」は、用語「含む」に含まれている。
【0046】
本発明において、「薬学的に許容できる成分」は、人及び/又は動物に適用する場合に過度の有害副反応(例えば、毒性、刺激及びアレルギー)がない、即ち合理的な効果/ハザード比を有する物質である。
【0047】
本発明において、「薬学的に許容できる担体」は、本発明の式(I)の化合物、異性体、溶媒和物、前駆体、又はそれらの薬学的に許容できる塩を動物又は人に伝送する薬学的又は食品的に許容できる溶媒、懸濁剤又は賦形剤である。担体は液体又は固体であってもよい。
【0048】
化合物
本発明はまず構造式(I)に示される化合物を提供する。
【0049】
【化23】
(I)
【0050】
式(I)において、Xの位置は例示的な位置であり、図におけるR1又はR1’の片側に限定されず、R1とR3との間、R3とR4との間、R2と
【化24】
基との間、R4と
【化25】
基との間に存在してもよく、R2’とR3’との間、R1’と
【化26】
との間、R2’と
【化27】
との間、R3’と
【化28】
基との間に存在してもよいと理解すべきである。例えば、該化合物は以下の化合物であってもよい。
【0051】
【化29】
、又は
【化30】
式中、
【化31】
は六員複素環であり、XはOであり、R1~R4は独立して水素、水酸基、C1-C4アルキル基、C2-C4アルケニル基、C2-C4アルキニル基、ハロゲンから選択され、又はR1~R4のうち隣接する二つの基は互いに接続され、母環とともに環構造を構成し、R1’~R3’は独立して水素、水酸基、C1-C4アルキル基、C2-C4アルケニル基、C2-C4アルキニル基、ハロゲンから選択され、又はR1’~R3’のうち隣接する二つの基は互いに接続され、母環とともに環構造を構成している。
【0052】
本発明の好ましい形態として、R1~R4は独立して水素、水酸基、C1-C2アルキル基から選択され、又はR1~R4のうち隣接する二つの基は互いに接続され、母環とともに五員環を構成し、R1’~R3’は独立して水素、水酸基、C1-C2アルキル基から選択され、又はR1’~R3’のうち隣接する二つの基は互いに接続され、母環とともに五員環を構成している。
【0053】
本発明では、式(I)の化合物と同じ又はほぼ同じ機能を有するものであれば、上記式(I)の化合物の異性体、溶媒和物、前駆体、又はそれらの薬学的に許容できる塩を更に含む。前記「薬学的に許容できる塩」とは、化合物と無機酸、有機酸、アルカリ金属又はアルカリ土類金属等との反応により生成される塩である。これらの塩としては、(1)塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸と形成される塩、(2)酢酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、又はアルギニンなどの有機酸と形成される塩を含む(が、それらに限定されていない)。他の塩としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属(例えばナトリウム、カリウム、カルシウム又はマグネシウム)と形成される塩を含み、エステル、ウレタン、又は他の通常の「プロドラッグ」の形とする。化合物は一つ又は複数の不斉中心を有する。そのため、これらの化合物はラセミ混合物、単独の鏡像異性体、単独のジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体混合物、シス又はトランス異性体として存在してもよい。
【0054】
前記「化合物の前駆体」とは、適切な方法で服用した後、該化合物の前駆体が患者の体内で代謝又は化学反応して構造式(I)に変換した化合物であり、又は化学構造式(I)の化合物からなる塩又は溶液である。
【0055】
本発明の好ましい形態として、前記五員環は、Oを含む複素環であり、好ましくは二つのOを含む。
【0056】
本発明の好ましい形態として、前記化合物は以下の式(II)~(IV)の化合物を含み、中でも、式(II)の化合物が特に好ましい。
【0057】
【化32】
(II)(PL402ともいう)
【化33】
(III)(PL404ともいう)
【化34】
(IV)(PL405ともいう)
【0058】
本発明の一実施形態において、式IIの化合物の調製方法は、
2,3,4-O-トリアセチルラムノシル-1-O-トリクロロアセトイミダートとラムノピラノシルチオグリコシドとを混合し、反応させることにより構造が式Vに示されるジラムノピラノシルチオグリコシド生成物を得る第1の工程と、
【化35】
(V)
構造が式Vに示されるジラムノピラノシルチオグリコシド生成物と(4-O-t-ブチルジメチルシリル)-フェルラ酸とを混合し、反応させることにより構造が式VIに示されるジラムノピラノシルグリコシド生成物を得る第2の工程と、
【化36】
(VI)
構造が式VIに示されるジラムノピラノシルグリコシド生成物とフッ化テトラブチルアンモニウムとを混合し、反応させることにより構造が式VIIに示されるt-ブチルジメチルシリル(TBS)が除去された生成物を得る第3の工程と、
【化37】
(VII)
t-ブチルジメチルシリル(TBS)が除去された生成物を加水分解することにより式IIの化合物を得る第4の工程と、を含む。
【0059】
本発明の一つの実施例において、上記第1の工程における反応とは、-78℃でのラムノピラノシルチオグリコシドに2,3,4-O-トリアセチルラムノシル-1-O-トリクロロアセトイミダートを滴下することである。
【0060】
本発明の一つの実施例において、上記第2の工程における反応とは、-78℃での(4-O-t-ブチルジメチルシリル)-フェルラ酸にジラムノピラノシルグリコシドを滴下することである。
【0061】
本発明の一つの実施例において、上記第3の工程における混合とは、室温でフッ化テトラブチルアンモニウムをジラムノピラノシルグリコシド生成物に滴下することである。
【0062】
本発明の一実施形態において、式III又は式IVの化合物の調製方法は、
化合物
【化38】
と化合物
【化39】
とを付加反応させ、付加生成物を得る第1の工程と、
第1の工程で得られた付加生成物に対してビシナルジオールに対するイソプロピリデン基の保護反応を行い、特定の位置において安定的である反応生成物を得る第2の工程と、
第2の工程で得られた反応生成物と
【化40】
とを縮合反応させ、縮合生成物を得る第3の工程と、
前記縮合生成物に対して還元反応、より特にはビシナルジオールに対するイソプロピリデン基の脱保護反応を行うことにより、式(III)又は(IV)に示される化合物を得る第4の工程と、を含む。
【0063】
当業者であれば、本発明の化合物の構造を知った後、本分野における周知の複数種の方法により、公知の原料を用い、本発明の化合物を得ることができると理解すべきである。例えば、化学合成又は生体(例えば動物又は植物)からの抽出方法があり、これらの方法は、いずれも本発明に含まれている。
【0064】
合成された化合物は、更にカラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等の方法により更に精製してもよい。
【0065】
用途
本発明者は研究中に、本発明の式(I)の化合物が神経変性疾患の症状を顕著に改善でき、鬱病と卒中に対しても有効であることを見出した。本発明の化合物は神経炎症を抑制し、Aβの生成を低下させ、神経幹細胞の生成を促進することができる。実験により、本発明の化合物が動物の学習記憶能力を顕著に改善することが論証された。神経幹細胞の増加により、更にニューロンの増加を促進し、該過程全体を神経発生と呼ぶ。本発明の化合物の作用機構によれば、神経幹細胞を増加できるので、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症に対しても有効である。本発明の化合物の作用機構によれば、鬱病と卒中に対しても有効である。鬱病又は卒中の発病過程においても、脳内で神経炎症が発生し、更に神経幹細胞の減少と神経機能の変化を引き起こす。本発明の式(I)の化合物は神経幹細胞を増加できるので、鬱病と卒中に対しても有効であることは理解され得る。
【0066】
本発明者の新しい発見によれば、本発明は、神経変性疾患、鬱病又は卒中を予防、緩和又は治療する薬物又はピルボックスの調製における、式(I)に示される化合物又はその異性体、溶媒和物、前駆体、又はそれらの薬学的に許容できる塩の使用を提供する。
【0067】
本発明は、神経炎症を抑制する組成物、キット又はピルボックスの調製における、式(I)に示される化合物又はその異性体、溶媒和物又は前駆体、又はそれらの薬学的に許容できる塩の使用を更に提供する。
【0068】
本発明は、神経幹細胞の生成を促進する組成物、キット又はピルボックスの調製における、式(I)に示される化合物又はその異性体、溶媒和物又は前駆体、又はそれらの薬学的に許容できる塩の使用を更に提供する。
【0069】
本発明は、Aβの生成を低下させる組成物、キット又はピルボックスの調製における、式(I)に示される化合物又はその異性体、溶媒和物又は前駆体、又はそれらの薬学的に許容できる塩の使用を更に提供する。
【0070】
薬物組成物
本発明は、(a)有効量の、式(I)に示される化合物又はその異性体、溶媒和物、前駆体、又はそれらの薬学的に許容できる塩、及び(b)薬学的に許容できる担体又は賦形剤を含む薬物組成物を更に提供する。
【0071】
本発明において、前記薬物組成物における、式(I)に示される化合物又はその異性体、溶媒和物又は前駆体、又はそれらの薬学的に許容できる塩の含有量は有効量である。例えば、重量割合で0.001~50%の式(I)に示される化合物又はその薬学的に許容できる塩を含んでもよい。好ましくは、前記薬物組成物は重量割合で0.01~20%の式(I)に示される化合物又はその薬学的に許容できる塩を含む。
【0072】
本発明に記載された薬物組成物の剤形は多種多様であってもよく、活性成分を哺乳動物の体に効果的に送達できる剤形であればよい。例えば、粉剤、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放剤、放出制御製剤、注射剤、輸液剤、懸濁剤から選択してもよい。本発明の化合物が治療する疾患の種類により、当業者は応用しやすい剤形を選択してもよい。
【0073】
調製、貯蔵しやすいという点から、好ましい薬物組成物は固体組成物であり、特に錠剤及び固体で充填又は液体で充填されたカプセルである。投与しやすいという点から、好ましい薬物組成物は経口製剤である。本発明の化合物又はその薬物組成物は、注射又は点滴静注に適する消毒器具に貯蔵されてもよい。
【0074】
式(I)の化合物が活性成分として有効な投与量は、投与のモードと治療対象の疾患の重篤度により変化してもよい。しかしながら、通常、本発明の化合物を毎日動物体重で約0.0l~100mg/kgの投与量で投与する時、満足する効果が得られる。好ましくは、毎日1~3回に分けて投与し、又は徐放投与する。最適な治療応答を提供するために、この投与量を調節することができる。例えば、治療状況の切実な要求により、毎日複数回に分けて投与してもよく、又は投与量を比例的に減少させてもよい。
【0075】
以下に具体的な実施例により、更に本発明を説明する。これらの実施例は、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を制限するためのものではないと理解すべきである。以下の実施例において、具体的な条件を明記していない実験方法について、通常、常法、例えば、J.Sambrookら著、分子クローニング実験マニュアル、第3版、科学出版社、2002に記載された条件、又はメーカーの提案した条件に従う。
【0076】
データの統計分析
以下の実施例において、全ての実験データは平均値±標準誤差で示される。異なる処理群の間でt検定により比較する。複数群の結果の間でone-way ANOVAにより分析し、Fisher’s protected least significant difference test又はBonferroni t testにより事後検定を行い、又はtwo-way ANOVAにより分析し、Tukey post hoc testにより事後検定を行う。P<0.05である時、群間に有意差があると考えられている。
【0077】
実施例1、化合物PL402の合成
【化41】
1、化合物3の調製
文献J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,2000,1445-1453の方法により、化合物2(248mg、1.0mmol)(Organic and Biomolecular Chemistry,2014,vol.12,#7,p.1114-1123)、乾燥した4Å分子篩(250mg)及びCHCl(12mL)を乾燥反応フラスコに添加し、室温で10min撹拌し、-78℃まで冷却し、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(TMSOTf)(0.036mL、0.2mmol)のCHCl溶液と化合物1(521mg、1.2mmol)(Journal of the American Chemical Society,2000,vol.122,#41,p.9939-9953)のCHCl溶液(2mL)を添加した。30分間後、0.1mLのEtNを添加し、反応を停止させた。濾過濃縮し、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)により、468mg(0.9mmol)、収率90%の化合物3を得た。
【0078】
1H NMR (300 MHz,CDCl) 5.51 (s,1H),5.33 (d,1H,J=1.7 Hz),5.30 (dd,1H,J=1.9Hz,3.3),5.22 (dd,1H,J=3.3Hz,J=10.1 Hz),5.08 (t,1H,J=10.0Hz),4.21-4.13 (m,2H),4.06 (m,1H),3.89 (m,1H),3.56 (dd,1H,J=7.1 Hz,J=9.9 Hz),2.61 (m,2H),2.15 (s,1H),2.05 (s,1H),1.98 (s,1H),1.53 (s,1H),1.32 (s,1H),1.34-1.21 (m,9H),ESI-MS m/z 521 (M+1)
【0079】
2、化合物5の調製
化合物4(
【化42】
、308mg、1.0mmol)と4Å分子篩を乾燥CHCl(20mL)に混合して溶解させ、室温で30min撹拌し、-78℃まで冷却し、更に30min撹拌し、順にN-ヨードスクシンイミド(NIS)(225mg、1.0mmol)とTMSOTf(0.018mL、0.1mmol)を添加し、最後に乾燥CHCl(DCM、20mL)に溶解した化合物3(312mg、0.6mmol)を反応系に徐々に滴下し、-78℃で20min撹拌して反応させた後、徐々に室温まで戻して撹拌した。2時間後、NaとNaHCO飽和溶液を添加して反応をクエンチングし、濾過し、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で水洗し、無水NaSOで乾燥し、濾過濃縮し、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)により、368mg(0.48mmol)、収率80%の白色固体化合物5を得た。
【0080】
1H NMR (400 MHz,CDCl) 7.52 (d,1H,J=12 Hz),6.09-6.88 (m,2H),6.69 (d,1H,J=8 Hz),6.24 (s,1H),6.14 (d,1H,J=8 Hz),5.20-5.15 (m,2H),5.03 (d,1H,J=8 Hz),4.93-4.90 (m,1H),4.14 (dd,1H,J=4Hz,J=8 Hz),3.99 (d,1H,J=4 Hz),3.37-3.69 (m,2H),3.68 (s,3H),3.43 (dd,1H,J=4 Hz,J=8 Hz),1.98 (s,3H),1.89 (s,3H),1.81 (s,3H),1.38 (s,3H),1.15 (s,3H),1.11-1.05 (m,6H),0.82 (s,9H),0 (s,6H),ESI-MS m/z 767 (M+1)
【0081】
化合物5の同定図は図7に示される。
【0082】
3、化合物PL402の調製
化合物5(306mg、0.4mmol)を秤量してテトラヒドロフラン(8mL)と酢酸(16μL、1.12mmol)に溶解させ、室温で磁気撹拌しながら1Mのフッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)のテトラヒドロフラン(THF)溶液(0.54mL、0.54mmol)を添加した。室温で3.5h反応させ、30mLの酢酸エチルを添加して希釈し、蒸留水で水洗し、飽和NaHCO溶液で水洗し、食塩水で水洗し、無水NaSOで乾燥した。濾過し、遠心脱水することにより235mgの粗生成物を得、そのまま次の反応に供した。
【0083】
前の工程の生成物(235mg、0.36mmol)を入れた反応フラスコに、トリフルオロ酢酸(TFA)を溶解したCHCl溶液(2:25、5mL)を添加し、室温で1時間撹拌して反応させ、反応を停止させた。氷浴にてNaOH水溶液(5mL、1M)を添加して反応をクエンチングし、CHClで抽出し、無水NaSOで乾燥した。濾過し、遠心脱水することにより165mgの粗生成物を得、そのまま次の反応に供した。
【0084】
前の工程の生成物(165mg、0.27mmol)を8mLの無水CHOHと無水CHCl(1:1)との混合溶液に溶解させ、触媒量のナトリウムメトキシド(0.2eq.)を添加し、pHを9~10に調節し、40℃で5時間撹拌して反応させ、酸性カチオン樹脂を添加して中性に中和した。濾過濃縮し、白色固体生成物を得た。1mLの水に溶解し、逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、78mg(0.16mmol)、三つの工程の収率40%の化合物PL402を得た。
【0085】
1H NMR (400 MHz,MeOD) 7.683 (d,1H,J=15.6 Hz),7.229 (d,1H,J=1.6 Hz),7.114 (dd,1H,J=1.6 Hz,J=8 Hz),6.829 (d,1H,J=8.8 Hz),6.407 (d,1H,J=15.6 Hz),6.403 (d,1H,J=1.6 Hz),5.231 (d,1H,J=1.6 Hz),3.994 (q,1H,J=2 Hz),3.896 (s,3H),3.880 (s,1H),3.845-3.831 (m,1H),3.777-3.700 (m,2H),3.650-3.621 (m,2H),3.431-3.408 (m,1H),1.319 (d,3H,J=6 Hz),1268 (d,3H,J=6.4 Hz),ESI-MS m/z 487 (M+1)
【0086】
PL402の同定図は図8に示される。
【0087】
実施例2、化合物PL404とPL405の合成
【化43】
1、化合物7の調製
化合物6(12.2g、5mmol)(Chemistry-A European Journal,21(29),10416-10430,2015)、乾燥した4Å分子篩(20g)とCHCl(1.5L)を乾燥反応フラスコに添加し、室温で20min撹拌し、-78℃まで冷却し、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(TMSOTf)(0.18mL、1mmol)のCHCl溶液と化合物1(25.6g、60mmol)(Journal of the American Chemical Society,2000,vol.122,#41,p.9939-9953)のCHCl溶液(2.5L)を添加した。30分間後、0.5mLのEtNを添加して反応を停止させた。濾過濃縮し、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1~3:1)により、21.9g(42.4mmol)、収率85%の化合物7を得た。
【0088】
ESI-MS m/z 517(M+1)
【0089】
2、化合物8の調製
化合物7(21.9g、42.4mmol)を2Lの無水CHOHと無水CHCl(1:1)との混合溶液に溶解させ、触媒量のナトリウムメトキシド(0.2eq.)を添加し、pHを9~10に調節し、40℃で4時間撹拌して反応させ、酸性カチオン樹脂を添加して中性に中和した。濾過濃縮し、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1~1:1)により、11.6g(29.7mmol)、収率70%の化合物8を得た。
【0090】
ESI-MS m/z 391(M+1)
【0091】
3、化合物9の調製
1Lの三つ口フラスコに化合物8(11.6g、29.7mmol)を添加し、アセトン(120ml)を添加し、p-トルエンスルホン酸(116mg、1%w/w)を添加し、更に2,2-ジメトキシプロパン(9.3g、89.4mmol)を添加し、反応液を15~20℃で1h反応させ、TLCにより完全に反応したことが示されると、反応液にトリエチルアミン(24ml)を添加し、反応液を乾燥させるまで濃縮し、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=20:1~5:1)により、8.9g(20.7mmol)、収率70%の化合物9を得た。
【0092】
ESI-MS m/z 431(M+1)
【0093】
4、化合物10の調製
1Lの三つ口フラスコに化合物9(8.9g、20.7mmol)を添加し、ジクロロメタン(500ml)を添加し、化合物4(9.6g、30.2mmol)を添加し、順にDIEA(10.7g、82.9mmol)、EDCI.HCl(7.9g、41.1mmol)、DMAP(0.3g、2.5mmol)、DIEA(6.7g、51.9mmol)を添加し、反応液を15~20℃で18h撹拌し、有機相を飽和食塩水(50ml)で洗浄し、有機相を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1~2:1)により、10g(13.9mmol)、収率70%の化合物10を得た。
【0094】
ESI-MS m/z 721(M+1)
【0095】
5、化合物11の調製
500mlの三つ口フラスコにTHF(100ml)を添加し、化合物10(10g、13.9mmol)を添加し、化合物TABF(25ml、1mol/LのTHF溶液)を添加し、10~20℃で反応させ、TLCにより完全に反応したことが示されると、反応液を水(200ml)に添加し、酢酸エチルで抽出し(200ml*3)、有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し(200ml*6)、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過濃縮し、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1~3:1)により、4.2g(6.9mmol)、収率50%の化合物11を得た。
【0096】
ESI-MS m/z 607(M+1)
【0097】
6、化合物12の調製
1Lの三つ口フラスコに化合物11(4.2g、6.9mmol)を添加し、100mlの酢酸、5mlの水、NaOAc(37.5g、276mmol)、PdCl(2.0g、11.3mmol)を添加し、反応液を15~20℃で40h撹拌し、反応液を濾過濃縮し、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1~1:1)により、2.35g(4.2mmol)、収率60%の化合物12を得た。
【0098】
ESI-MS m/z 567(M+1)
【0099】
7、PL404とPL405の調製
500mlの三つ口フラスコに化合物12(2.35g、4.2mmol)を添加し、ジクロロメタン28ml、TFA(2.4g、21mmol)を添加し、反応液を15~20℃で20分間撹拌し、反応液の温度を0℃~5℃まで下げ、飽和炭酸水素ナトリウムでpHを8~9に調節し、分離し、有機相を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=20:1~1:1)により化合物PL404(273mg、0.52mmol)とPL405(200mg、0.41mmol)を得た。
【0100】
PL404:
1H NMR (400 MHz,CDCl) 7.689 (d,1H,J=15.6 Hz),7.081 (dd,1H,J=1.6 Hz,J=8 Hz),7.034 (s,1H),6.936 (d,1H,J=13.6 Hz),6.339 (d,1H,J=16 Hz),5.372 (d,0.7H,J=6 Hz),5.086 (s,1H),4.99 (d,0.3H,J=6 Hz),4.86-4.80 (m,1H),4.768 (d,0.7H,J=6 Hz),4.695 (d,0.3H,J=6 Hz),4.609 (d,0.7H,J=6 Hz),4.524 (d,0.3H,J=6 Hz),4.028-4.008 (m,2H),3.981-3.896 (m,6H),1.446-1.223 (m,12H),ESI-MS m/z 527 (M+1)
【0101】
PL404の同定図は図9に示される。
【0102】
PL405:
1H NMR (400 MHz,MeOD) 7.67 (dd,1H,J=4Hz,J=8 Hz),7.21 (s,1H,J=1.6 Hz),7.09 (dd,1H,J=1.6Hz,J=8 Hz),6.81 (d,1H,J=8 Hz),6.43 (dd,1H,J=4 Hz,J=12 Hz),5.26 (d,1H,J=4 Hz),5.05 (t,1H,J=8 Hz),5.00 (s,0.5H),4.72 (s,0.5H),4.04-4.00 (m,1H),3.95-3.93 (m,1H),3.89 (s,3H),3.88-3.85 (m,2H),3.77-3.75 (m,1H),3.55-3.50 (m,0.5H),3.48-3.45 (m,1H),3.34-3.31 (m,0.5H),1.33 (d,1H,J=4 Hz),1.30 (d,2H,J=4 Hz),1.27 (d,3H,J=4 Hz),ESI-MS m/z 487 (M+1)
【0103】
PL405の同定図は図10に示される。
【0104】
実施例3、PL402によるADマウスの学習記憶能力の改善
1、Morris水迷路実験
5~6月齢のAPP/PS1トランスジェニック雄マウス(ADマウス)を20匹選び、乱数表法に従ってモデル群と多糖投与群に分けた。PL402を毎日胃内投与した(50mg/kg)とともに、10匹の非トランスジェニックマウスをネガティブ対照群(投与せず)とした。90日間連続して投与した後、Morris水迷路行動学実験によりPL402のAPP/PS1マウスの学習及び認知機能への影響を検出した。
【0105】
本実験は、代表的なMorris水迷路実験手順を使用し、位置付けナビゲーション実験と空間探索実験の二つの部分を含み、計7日間持続し、4日目と7日目に空間探索実験を追加した。
【0106】
図1の実験結果から、この位置付けナビゲーション実験では、3群の動物を3日間トレーニングした後、逃避潜時がいずれも短くなったことがわかり、各マウスがいずれも水迷路の空間学習タスクを順調に完了できたことが説明される。逃避潜時を検出指標とした。
【0107】
結果として、ネガティブ対照群のマウスでは、反応が速く、水に入った後にすぐにプラットフォームを見つけることができ、トレーニング回数が増加するにつれて、プラットフォームを見つける潜時が短くなり、モデル群のマウスでは、反応が遅く、水に入った後、逃避行動を示さず、バレル壁に沿って回り、プラットフォームに人為的に導かれた後、再び水に飛び込み、複数回トレーニングした後、最終的にプラットフォームを見つけたが、プラットフォームを見つける潜時が明らかに長くなり、投与群のマウスでは、トレーニング回数が増加するにつれて、プラットフォームを見つける能力が改善されたことが示される。以上の3群はいずれも一定の空間記憶能力を有する。モデル群のマウスの潜時の成績は対照群よりも低く、モデル群のマウスは、学習記憶能力が低下し、ADの学習記憶障害をよく模擬したことが示される。投与群のマウスの潜時はモデル群に比べ、有意差があり、統計的意味を有する。それから分かるように、PL402を投与した後、ADマウスの学習及び記憶能力は明らかに改善された。
【0108】
2、5-ブロモ-2’-デオキシウリジン(BrdU)による処理
5~6月齢のADマウスの投与実験では、各マウスに投与濃度がマウス体重で50mg/kgとなるように100μlのPL402を胃内投与した。別に対照群を設定し、100μlの水を1日/1回で90日間持続して胃内投与し、60日目から、マウス体重で50mg/kgの5-ブロモ-2’-デオキシウリジン(BrdU)を1日/1回で計7日間腹腔注射し、90日間後、マウスを麻酔させた後にパラホルムアルデヒド(PFA)を灌流し、全脳を採取して検出した。
【0109】
実施例4、PL402による神経炎症の抑制
AD脳における神経炎症は、認知機能低下を引き起こす原因の一つである。ミクログリアは神経炎症を媒介するキー細胞である。本発明者は、BV-2細胞における炎症性サイトカインの発現を検出することにより、PL402が神経炎症抑制作用を有するか否かを調べた。
【0110】
マウス神経膠腫細胞BV-2の培養と刺激:BV-2細胞をDMEMで培養し、24ウェルプレートに広げて24時間培養した後、PL402(0、10、30、100、300μMの量)とLPS(300ng/ml)を添加し、薬剤を投与した後に24時間コインキュベーションし、TrizolによりRNAを抽出し、QPCRにより関連炎症性サイトカインの発現を検出した。
【0111】
結果として、図2のように、PL402で処理することにより炎症性サイトカインIL-6とIL-1βの発現を顕著に抑制できたことが示される。
【0112】
実施例5、PL402によるAβの生成の減少
AβはADの主要な病原性タンパク質である。本発明者は、SK-N-SH細胞(自体がAβを分泌生成できる)におけるAβのレベルを検出することにより、PL402がAβの生成を抑制して減少させる作用を有するか否かを調べた。
【0113】
神経芽腫細胞SK-N-SHの培養とAβの検出:SK-N-SH細胞をDMEMで培養し、24ウェルプレートに広げて24時間培養した後、PL402(0、10、30、100、300μMの量)を添加し、薬剤を投与した後に24時間コインキュベーションし、上清を取り出し、ELISAによりAβの総タンパク質レベルを検出した。
【0114】
結果として、図3のように、PL402で処理することによりAβの生成を顕著に抑制でき、中でも100μMの場合に効果が望ましいことが示される。
【0115】
実施例6、PL404の動物の学習記憶能力への影響
前記実施例3と同じ方法で動物を選択し、「Morris水迷路実験」を行い、PL404の動物の学習記憶能力への影響を検出した。
【0116】
結果を図4に示した。投与群のマウスの潜時はモデル群に比べて有意差があり、このような差異は統計的意味を有する。
【0117】
したがって、PL404を投与した後、ADマウスの学習と記憶能力は明らかに改善された。
【0118】
実施例7、PL404のヒト神経幹細胞の増殖への影響
本発明者は、ヒト神経幹細胞(ヒトiPSC分化)EdUの取り込みを検出することにより、PL404が増殖促進作用を有するか否かを調べた。PL404の量は0、1、3、10、30、100μMであった。
【0119】
結果を図5に示した。結果として、PL404で処理することによりヒト神経幹細胞の増殖を顕著に促進できたことが示された。PL404で処理されなかった対照群に比べ、ヒト神経幹細胞の量は約30%増加した。
【0120】
実施例8、PL405のヒト神経幹細胞の増殖への影響
化合物をPL404からPL405に変更した以外、実施例7と類似の方法により、ヒト神経幹細胞EdUの取り込みを検出することにより、PL405が増殖促進作用を有するか否かを調べた。
【0121】
結果を図6に示した。結果として、PL405で処理することによりヒト神経幹細胞の増殖を顕著に促進できたことが示された。PL405で処理されなかった対照群に比べ、ヒト神経幹細胞の量は約60%増加した。
【0122】
本発明において言及されたすべての文献は、各文献単独と同様に、本出願において参照として引用される。また、本発明の上記教示内容を読んだ上で、当業者は、本発明に様々な変更又は修正を加えることができ、これらの等価形態は、同様に本出願に添付された特許請求の範囲により限定される範囲に入っていると理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10