(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】アピキサバン製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/437 20060101AFI20231110BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20231110BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20231110BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20231110BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20231110BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20231110BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20231110BHJP
A61P 7/02 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
A61K31/437
A61K9/48
A61K9/14
A61K47/26
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/42
A61P7/02
(21)【出願番号】P 2020556976
(86)(22)【出願日】2019-04-15
(86)【国際出願番号】 US2019027456
(87)【国際公開番号】W WO2019204193
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-04-13
(32)【優先日】2018-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391015708
【氏名又は名称】ブリストル-マイヤーズ スクイブ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL-MYERS SQUIBB COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162695
【氏名又は名称】釜平 双美
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【氏名又は名称】水原 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】シェリフ・イブラヒム・ファラグ・バダウィ
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー・ディ・スティーブンズ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・カンツ
(72)【発明者】
【氏名】ブレット・ウェイブラント
【審査官】榎本 佳予子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105663049(CN,A)
【文献】特表2012-530141(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106913528(CN,A)
【文献】国際公開第2014/027334(WO,A2)
【文献】薬剤学,2016年,Vol.76, No.5,p.324-339
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61P 1/00-43/00
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア基質、ならびに前記コア基質上のアピキサバンおよび担体を含む、処置されたコアであって、0.001w/w%~0.20w/w%のアピキサバンを含
み、
前記アピキサバンおよび担体が、前記コア基質の表面上に形成された層中に存在し、ならびに
前記アピキサバンおよび担体が、溶解度上限以下の溶媒中のアピキサバン濃度で行われるスプレー層状分散により前記コア基質の表面に塗布される、処置されたコア。
【請求項2】
前記コア基質が、糖ビーズもしくは球体、または微結晶セルロース、乳糖もしくはマンニトール粒子である、請求項
1に記載の処置されたコア。
【請求項3】
150ミクロン~355ミクロン
のサイズを有する、請求項1
または2に記載の処置されたコア。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1項に記載の、少なくとも1つの処置されたコアを含む、製剤。
【請求項5】
(a)0.09w/w%~0.11w/w%のアピキサバン含有量を有し、
(b)9w/w%~11w/w%の担体含有量を有し、
(c)89w/w%~91w/w%のコア基質含有量し、または
(d)0.1w/w%のアピキサバン含有量を有する、請求項
4に記載の製剤。
【請求項6】
少なくとも1つの前記処置されたコアが、カプセル中に存在する、請求項
4または
5に記載の製剤。
【請求項7】
前記カプセルが、ゼラチンカプセル
、HPMCカプセル
、またはスプリンクルカプセルである、請求項
4~
6のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項8】
前記カプセルが、0.1mgのアピキサバンを含むものである、請求項
6または
7に記載の製剤。
【請求項9】
請求項1~
3のいずれか1項に記載の少なくとも1つの処置されたコアを含むことを特徴とする、治療を必要とする対象における血栓塞栓性障害の治療剤であって、前記治療が、少なくとも1つの処置されたコアを、液体担体中に分散させ、および/または溶解させ、次いで前記液体担体を前記対象に投与することを含む、治療剤。
【請求項10】
前記液体担体が、食物または飲料である、請求項
9に記載の治療剤。
【請求項11】
前記対象が、新生児である、請求項
9または
10に記載の治療剤。
【請求項12】
血栓塞栓性障害の治療における使用または血栓塞栓性障害の治療剤の製造における使用のための、請求項
4~8のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項13】
0.1mg~0.4mgのアピキサバンを含む、
請求項4または5に記載の製剤。
【請求項14】
0.2mgのアピキサバンを含む、請求項
13に記載の製剤。
【請求項15】
0.3mgのアピキサバンを含む、請求項
13に記載の製剤。
【請求項16】
0.4mgのアピキサバンを含む、請求項
13に記載の製剤。
【請求項17】
前記少なくとも1つの処置されたコアが、カプセル中に存在する、請求項
13~16のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項18】
前記カプセルが、スプリンクルカプセルである、請求項
17に記載の製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、参照により全体が本明細書に取り込まれる2018年4月16日提出の仮出願番号第62/658,175号の利益を主張するものである。
【0002】
技術分野
本発明は、アピキサバン医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
アピキサバンは、構造:
【化1】
で示される公知の化合物である。
【0004】
アピキサバンの化学名は、4,5,6,7-テトラヒドロ-1-(4-メトキシフェニル)-7-オキソ-6-[4-(2-オキソ-1-ピペリジニル)フェニル]-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-3-カルボキサミド(CAS名)または1-(4-メトキシフェニル)-7-オキソ-6-[4-(2-オキソ-1-ピペリジニル)フェニル]-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-3-カルボキサミド(IUPAC名)である。
【0005】
アピキサバンは、米国特許第6,967,208号ならびに米国特許出願公開番号第2012/0087978号および第2013/0045245号(これらは、参照によりそれらの全体が本明細書に取り込まれる)に開示されている。アピキサバンは、因子Xa阻害剤として有用性を有し、例えば、待機的股関節もしくは膝外科手術後および心房細動における脳卒中予防または静脈血栓症の治療後の患者における抗血栓薬の使用を必要とする様々な適応症における経口投与のために開発されている。
【0006】
小児集団および固形製剤を嚥下することができない成人に対するアピキサバンの投与のための製剤がいまだに必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
アピキサバンを含む製剤が本明細書で開示される。
【0008】
本発明のある実施態様において、前記製剤は、食物または飲料における分散および/または溶解に適する。ある実施態様において、前記製剤は、スプリンクル(sprinkle)カプセル(すなわち、スプリンクル、分散および/または溶解のためのカプセル)中に含まれる。
【0009】
ある実施態様において、前記製剤には、少なくとも1つの処置されたコアが含まれる。ある実施態様において、前記製剤には、多数の処置されたコアが含まれる。ある実施態様において、前記処置されたコアには、コア基質、例えば、糖球体(sphere)もしくはビーズ(bead)、または微結晶セルロース、乳糖および/もしくはマンニトール粒子が含まれ、そこにアピキサバンが適用される。前記処置されたコアまたは複数の処置されたコアは、カプセル内に配置されうる。
【0010】
本発明の別の実施態様は、血栓塞栓性障害の治療方法であって、アピキサバンを含む製剤の治療上の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む方法である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、アピキサバン5×0.5mg錠剤と比較したアピキサバン25×0.1mgスプリンクルカプセル剤の相対的バイオアベイラビリティを集約したフォレストプロットである。
【
図2】
図2は、治療による時間に対する平均(+SD)アピキサバン血漿濃度プロファイルを示す。
【
図3】
図3は、処置されたコアのサイズ分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
アピキサバン固形製剤(例えば、錠剤またはカプセル剤)を、嚥下が困難な患者に経口投与することが課題となっている。経口投与を容易にするために、例えば、食物または飲料中への分散および/または溶解に適するアピキサバン固形製剤を開発するために検討が行われた。
【0013】
新生児、乳児、および小児の体重が少ないために、小用量のアピキサバン、例えば、わずか0.1mgのアピキサバンが必要とされうる。さらに、新生児、乳児、および小児の体重は、年齢とともに比較的急速に増加するため、狭い増加幅(例えば、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg)で異なる用量のアピキサバンを投与することができることが重要である。このような低用量において、アピキサバン投薬の適正な均一性を提供する製剤を製造することは容易なことではない。従来では、容量分注型の液体製剤が、医薬品の低増分量の投薬のために用いられてきた。しかしながら、今回、特に、上記に記載の低用量における固形アピキサバン製剤の良好な含量均一性は、本明細書に記載される処置されたコアを用いて達成できることが見出された。
【0014】
ある実施態様において、前記製剤には、少なくとも1つの処置されたコアが含まれる。ある実施態様において、前記製剤には、多くの処置されたコアが含まれる。ある実施態様において、前記処置されたコアには、コア基質が含まれる。このコア基質は、例えば、様々な形とサイズであってよく、ビーズまたは球体であってもよい。
【0015】
前記コア基質は、固形または中空(hollow)でありうる。ある実施態様において、前記コア基質は、糖粒子、例えば、糖ビーズまたは球体である。ある実施態様において、前記糖ビーズまたは球体には、糖シロップ、コーンスターチ、およびショ糖のうちの少なくとも1つが含まれる。適する糖球体には、SUGLETS(登録商標)(Colorcon(ペンシルバニア州、ハーリーズヒル)から入手可能)が含まれる。ある実施態様において、前記コア基質は、微結晶セルロース、乳糖、および/またはマンニトール粒子である。ある実施態様において、前記コア基質は、前記製剤の少なくとも約75w/w%、少なくとも約80w/w%、少なくとも約85w/w%、少なくとも約90w/w%、または少なくとも約95w/w%で含まれる。ある実施態様において、前記コア基質は、前記製剤の約89w/w%~約91w/w%で含まれる。別の実施態様において、前記コア基質は、糖球体またはビーズであり、前記製剤の約90w/w%で含まれる。前記コア基質のサイズは、例えば、約180ミクロン~約250ミクロンでありうる。
【0016】
ある実施態様において、前記処置されたコアには、食物または飲料中への分散および/または溶解前に、アピキサバンの前記処置されたコアへの付着または接着を容易にする担体がさらに含まれる。前記担体は、1つまたはそれ以上の化合物を含んでいてもよい。適する担体には、結合剤および/またはフィルム形成剤(film forming agent)が含まれる。適する結合剤およびフィルム形成剤は、例えば、the Handbook of Pharmaceutical Excipients, 8th Edに記載されている。前記担体は、好ましくは、優れた水溶解度を有する。適切な例として、セルロース化合物が含まれる。ある実施態様において、前記担体は、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)および/またはヒプロメロース(HPMC)である。適切なヒドロキシプロピルセルロースには、Klucel(登録商標)-EF(Ashland(ケンタッキー州、コビントン)から入手可能)、およびNisso HPC-LM(Nisso America(ニューヨーク州、ニューヨーク)から入手可能)が含まれる。適切なヒプロメロースには、Methocel(登録商標)E5 Premium LV HPMC(Dow Chemical Company(ミシガン州、ミッドランド)から入手可能)が含まれる。ある実施態様において、前記処置されたコアおよび/または少なくとも1つの処置されたコアを含む製剤には、少なくとも約1w/w%の担体、少なくとも約5w/w%の担体、少なくとも約9w/w%の担体、少なくとも約10w/w%の担体、少なくとも約11w/w%の担体、またはこれらの間のいずれかの量の担体が含まれうる。ある実施態様において、前記処置されたコアおよび/または少なくとも1つの処置されたコアを含む製剤には、約9w/w%~約11w/w%の担体が含まれる。ある実施態様において、前記処置されたコアおよび/または少なくとも1つの処置されたコアを含む製剤には、約9.6w/w%~約10.2w/w%の担体が含まれる。別の実施態様において、前記処置されたコアおよび/または少なくとも1つの処置されたコアを含む製剤には、約9.9w/w%の担体が含まれる。前記担体は、例えば、アピキサバンを前記コア基質上に取り込ませる連続したフィルムを形成しうるか、または前記コア基質の表面に接着するアピキサバンの能力を改善しうる。
【0017】
前記処置されたコアのサイズは、約150ミクロン以下、少なくとも約150ミクロン、少なくとも約180ミクロン、少なくとも約200ミクロン、少なくとも約212ミクロン、少なくとも約250ミクロン、少なくとも約300ミクロン、少なくとも約355ミクロン、またはこれらの間のいずれかのサイズでありうる。前記処置されたコアのサイズは、例えば、約355ミクロン以下でありうる。ある実施態様において、前記処置されたコアのサイズは、約150ミクロン~約355ミクロンである。ある実施態様において、前記処置されたコアのサイズは、約150ミクロン~約300ミクロンである。ある実施態様において、前記処置されたコアのサイズは、約180ミクロン~約250ミクロンである。ある実施態様において、前記処置されたコアのサイズは、約212ミクロン~約250ミクロンである。ある実施態様において、前記処置されたコアのサイズは、約250ミクロン~約300ミクロンである。
【0018】
ある実施態様において、前記処置されたコアのサイズはサイズ分布を示す。ある実施態様において、前記処置されたコアには、少なくとも約60w/w%の約212~約250ミクロンのサイズの処置されたコア、少なくとも約70w/w%の約212~約250ミクロンのサイズの処置されたコア、少なくとも約80w/w%の約212~約250ミクロンのサイズの処置されたコア、またはこれらの間のいずれかの量の約212~約250ミクロンのサイズの処置されたコアが含まれる。ある実施態様において、前記処置されたコアには、約60w/w%~約80w/w%の約212~約250ミクロンのサイズの処置されたコアが含まれる。ある実施態様において、前記処置されたコアには、約70w/w%~約80w/w%の約212~約250ミクロンのサイズの処置されたコアが含まれる。ある実施態様において、前記処置されたコアには、約5.0w/w%~約15w/w%の約180~約212ミクロンのサイズの処置されたコア、約60w/w%~約80w/w%の約212~約250ミクロンのサイズの処置されたコア、および約5.0w/w%~約15w/w%の約250~約300ミクロンのサイズの処置されたコアが含まれる。ある実施態様において、前記処置されたコアには、約13w/w%の約180~約212ミクロンのサイズの処置されたコア、約74w/w%の約212~約250ミクロンのサイズの処置されたコア、および約10w/w%の約250~約300ミクロンのサイズの処置されたコアが含まれる。前記処置されたコアのサイズ分布が
図3に示される。処置されたコアのサイズおよび処置されたコアのサイズ分布は、ふるい分析により(すなわち、段階的に小さくなっているメッシュサイズのふるいを通した通過により)決定されうる。処置されたコアの適切なサイズ分布の選別が前記製剤中のアピキサバンの含量均一性の要因となると考えられる。処置されたコアの狭いサイズ分布は、良好な含量均一性を供するために有益でありうる。ある実施態様において、前記処置されたコアの約60w/w%~約90w/w%は、平均の処置されたコアサイズの約1%~約20%の範囲内である。ある実施態様において、前記処置されたコアの約60w/w%~約90w/w%は、平均の処置されたコアサイズの約5%~約15%である。ある実施態様において、前記処置されたコアの約70w/w%~約80w/w%は、平均の処置されたコアサイズの約1%~約20%である。ある実施態様において、前記処置されたコアの約70w/w%~約80w/w%は、平均の処置されたコアサイズの約5%~約15%である。ある実施態様において、前記処置されたコアの約74w/w%は、平均の処置されたコアサイズの約12%である。好ましい処置されたコアサイズ分布は、例えば、スプレー層状分散(spray-layered dispersion)(SLD)の技術により、処置されたコアを形成するために用いられるコア基質ならびに/あるいはその上の担体およびアピキサバンの塗布のサイズを調節し、または選択することによって行われうる。例えば、コア基質は、平均コア基質サイズからの上記に記載の偏差を有するように選択されうる。
【0019】
前記処置されたコアの凝集体が存在しうる。これらの凝集体は、二量体および/または三量体でありうる。ある実施態様において、前記処置されたコアは、凝集体を除去するために、ふるい、例えば、300ミクロンのふるいに通されてもよい。
【0020】
前記処置されたコアおよび/または少なくとも1つの処置されたコアを含む製剤中のアピキサバンは、結晶形および/またはアモルファス形態で存在しうる。例えば、それは、アピキサバンの形態N-1(無溶媒)および/または形態H2-2(水和物)であってもよい。
【0021】
アピキサバンの形態N-1(無溶媒)および/または形態H2-2(水和物)は、表1に示される下記と実質的に同等な単位格子パラメータによって特徴付けられうる。
【0022】
表1
【表1】
Z’は、非対称単位あたりの分子数である。
T(℃)は、結晶学的データのための温度である。
Vm=V(単位格子)/(ZZ’)
【0023】
NIST適合の標準物質で校正した2θを用いてスピニングキャピラリーを備えた回折計(CuKα)で収集した高質パターンに基づく、室温での特性X線回折ピーク位置(度2θ±0.1)を下記表2に示す。
【0024】
【0025】
前記処置されたコアおよび/または少なくとも1つの処置されたコアを含む製剤には、少なくとも約0.001w/w%のアピキサバン、少なくとも約0.01w/w%のアピキサバン、少なくとも約0.05w/w%のアピキサバン、少なくとも約0.07w/w%のアピキサバン、少なくとも約0.09w/w%のアピキサバン、少なくとも約0.1w/w%のアピキサバン、少なくとも約0.11w/w%のアピキサバン、少なくとも約0.12w/w%のアピキサバン、少なくとも約0.13w/w%のアピキサバン、少なくとも約0.14w/w%のアピキサバン、少なくとも約0.15w/w%のアピキサバン、少なくとも約0.20w/w%のアピキサバン、またはこれらの間のいずれかの量のアピキサバンが含まれうる。ある実施態様において、前記処置されたコアおよび/または少なくとも1つの処置されたコアを含む製剤には、約0.001w/w%~約0.20w/w%のアピキサバンが含まれる。別の実施態様において、前記処置されたコアおよび/または少なくとも1つの処置されたコアを含む製剤には、約0.01w/w%~約0.15w/w%のアピキサバンが含まれる。別の実施態様において、前記処置されたコアおよび/または少なくとも1つの処置されたコアを含む製剤には、約0.09w/w%~約0.11w/w%のアピキサバンが含まれる。別の実施態様において、前記処置されたコアおよび/または少なくとも1つの処置されたコアを含む製剤には、約0.1w/w%のアピキサバンが含まれる。
【0026】
ある実施態様において、アピキサバンの担体に対する質量比は、少なくとも約90:10、少なくとも約95:5、少なくとも約99:1、少なくとも約99.5:0.5、またはこれらの間のいずれかの比である。ある実施態様において、アピキサバンの担体に対する質量比は、約95:5~約99.5:0.5である。ある実施態様において、アピキサバンの担体に対する質量比は、約99:1である。
【0027】
ある実施態様において、前記製剤には、付着防止剤(anti-adherent)がさらに含まれる。ある実施態様において、前記付着防止剤は、滑石、デンプン、微結晶セルロース(MCC)、および/またはHPMCである。前記付着防止剤は、前記処置されたコアの凝集を減少させ、または排除しうるう。適切なデンプンには、スターチ1500(Colorcon Inc.(ペンシルベニア州、ハーリーズビル)から入手可能)が含まれる。適切な微結晶セルロースには、Avicel(登録商標)PH105(DuPont Co.(デラウェア州、ウィルミントン)から入手可能)が含まれる。適切なHPMCには、Methocel(登録商標)E5 Premium LV HPMC(Dow Chemical Company(ミシガン州、ミッドランド)から入手可能)が含まれる。
【0028】
ある実施態様において、前記製剤には、少なくとも約1w/w%の付着防止剤、少なくとも約2w/w%の付着防止剤、少なくとも約3w/w%の付着防止剤、少なくとも約4w/w%の付着防止剤、少なくとも約5w/w%の付着防止剤、またはこれらの間のいずれかの量の付着防止剤が含まれうる。ある実施態様において、前記製剤には、約1w/w%~約5w/w%の付着防止剤が含まれる。ある実施態様において、前記製剤には、約2w/w%~約3w/w%の付着防止剤が含まれる。ある実施態様において、前記製剤には、約2w/w%の付着防止剤が含まれる。別の実施態様において、前記製剤には、約3w/w%の付着防止剤が含まれる。付着防止剤が用いられる場合、それは前記製剤の処置されたコアと乾式混合される。
【0029】
ある実施態様において、前記処置されたコアおよび/または少なくとも1つの処置されたコアを含む製剤は、水を含有する。ある実施態様において、前記水含有量は、少なくとも約0.5w/w%、少なくとも約1.0w/w%、少なくとも約1.5w/w%、少なくとも約2.0w/w%、またはこれらの間のいずれかの量でありうる。ある実施態様において、前記処置されたコアおよび/または少なくとも1つの処置されたコアを含む製剤の水含有量は、約0.5w/w%~約2.0w/w%である。別の実施態様において、前記処置されたコアおよび/または少なくとも1つの処置されたコアを含む製剤の水含有量は、約1.0w/w%~約1.5w/w%である。ある実施態様において、前記水含有量は、約1.3w/w%である。前記水含有量は、クーロメトリオーブン法を用いてカール・フィッシャー滴定によって決定されうる。
【0030】
ある実施態様において、前記処置されたコアおよび/または製剤には、約300ppm以下のエタノール、約200ppm以下のエタノール、約100ppm以下のエタノール、約50ppm以下のエタノール、約25ppm以下のエタノール、またはこれらの間のいずれかの量のエタノールが含まれる。ある実施態様において、前記処置されたコアおよび/または製剤には、約25ppm~約300ppmのエタノールが含まれる。ある実施態様において、前記処置されたコアおよび/または製剤には、約25ppm~約100ppmのエタノールが含まれる。
【0031】
ある実施態様において、前記製剤は、少なくとも1つの処置されたコアを含むカプセル剤である。前記カプセル剤は、その含有物を、投与のためのベヒクル、例えば、混合され、分散され、および/または溶解されうる液体媒体または非流動性食物に放出されるように開くことができうる。別の実施態様において、少なくとも1つの処置されたコアは、スティックパックまたはポーチ中に含まれる。
【0032】
ある実施態様において、前記カプセル剤の含有物の質量は、少なくとも約85mg、少なくとも約100mg、少なくとも約115mg、またはこれらの間のいずれかの量でありうる。ある実施態様において、前記カプセル剤の含有物の質量は、約85mg~約115mgである。ある実施態様において、前記カプセル剤の含有物の質量は、約100mgである。前記スティックパックまたはポーチは、同一の手法で充填されうる。必要に応じて、前記カプセル剤、スティックパック、および/またはポーチ等には、前記処置されたコア以外の含有物が含まれていてもよい。このような含有物には、例えば、少なくとも1つの付着防止剤、賦形剤、香料、または治療される対象への投与に適切な別の不活性成分が含まれうる。
【0033】
ある実施態様において、前記充填されたカプセル剤の質量は、少なくとも約180mg、少なくとも約195mg、少なくとも約215mg、またはこれらの間のいずれかの量でありうる。ある実施態様において、前記充填されたカプセル剤の質量は、約180mg~約215mgである。ある実施態様において、前記充填されたカプセル剤の質量は、約194mgである。ある実施態様において、前記充填されたカプセル剤の質量は、約196mgである。
【0034】
ある実施態様において、前記カプセル剤は、その容量の少なくとも約5%まで、その容量の少なくとも約10%まで、その容量の少なくとも約15%まで、その容量の少なくとも約20%まで、その容量の少なくとも約25%まで、その容量の少なくとも約50%まで、またはこれらの間のいずれかの量まで充填される。ある実施態様において、前記カプセル剤は、その容量の約5%~約50%で充填される。ある実施態様において、前記カプセル剤は、その容量の約10%~約25%で充填される。ある実施態様において、前記カプセル剤は、その容量の約15%~約20%で充填される。
【0035】
前記カプセル剤は、いわゆる、スプリンクルカプセル剤でありうる。スプリンクルカプセル剤は、製剤が食物または飲料(例えば、製剤または水)中に分散され、および/または溶解されるように、患者またはケア提供者によって容易に開かれるように設計されている。ある実施態様において、前記製剤は、少なくとも約1mLの飲料、少なくとも約2.5mLの飲料、少なくとも約4.0mLの飲料、少なくとも約5.0mLの飲料、少なくとも約6.0mLの飲料、少なくとも約10mLの飲料、少なくとも約50mLの飲料、少なくとも約100mLの飲料、少なくとも約250mLの飲料、またはこれらの間のいずれかの量の飲料中に分散され、および/または溶解される。ある実施態様において、前記製剤は、約1mL~約250mLの飲料中に分散され、および/または溶解される。。ある実施態様において、前記製剤は、約1mL~約50mLの飲料中に分散され、および/または溶解される。ある実施態様において、前記製剤は、約1mL~約10mLの飲料中に分散され、および/または溶解される。ある実施態様において、前記製剤は、約2.5mL~約5mLの飲料中に分散され、および/または溶解される。ある実施態様において、前記製剤は、約2.5mLの飲料中に分散され、および/または溶解される。ある実施態様において、前記製剤は、約4mL~約6mLの飲料中に分散され、および/または溶解される。ある実施態様において、前記製剤は、約5mLの飲料中に分散され、および/または溶解される。新生児または乳児対象の場合、安全に投与できる飲料の体積は、その少ない体重によって制限される。
【0036】
前記スプリンクルカプセル剤は、前記製剤の一貫した投薬を可能にし、このことは、アピキサバンの一貫した低用量の投薬に有益である。適切なスプリンクルカプセル剤には、Coni-Snap(登録商標)スプリンクルカプセル剤(Capsugel(ニュージャージー州、モリスタウン)から入手可能)が含まれる。ある実施態様において、前記スプリンクルカプセル剤は、色付けされていてもよい透明な末端と不透明な末端を有する。
【0037】
ある実施態様において、前記カプセル剤は、ゼラチンカプセル剤またはHPMCカプセル剤である。
【0038】
ある実施態様において、前記処置されたコアおよび/または少なくとも1つの処置されたコアを含む製剤は、手動で、または適切なカプセル化装置、例えば、IMA Zanasi Plus 70Eカプセルフィラー(Industria Macchine Automatiche S.P.A.(イタリア)から入手可能)でカプセル化される。
【0039】
ある実施態様において、前記カプセル剤には、少なくとも約0.05mgのアピキサバン、少なくとも約0.1mgのアピキサバン、少なくとも約0.25mgのアピキサバン、少なくとも約0.3mgのアピキサバン、少なくとも約0.5mgのアピキサバン、少なくとも約1.0mgのアピキサバン、少なくとも約2.5mgのアピキサバン、少なくとも約5.0mgのアピキサバン、またはこれらの間のいずれかの量のアピキサバンが含まれうる。ある実施態様において、前記カプセル剤には、約0.05mg~5.0mgのアピキサバンが含まれる。ある実施態様において、前記カプセル剤には、約0.05mg~約0.3mgのアピキサバンが含まれる。ある実施態様において、前記カプセル剤には、約0.1mgのアピキサバンが含まれる。ある実施態様において、前記カプセル剤には、約0.25mgのアピキサバンが含まれる。
【0040】
ある実施態様において、前記処置されたコアは、溶媒中にアピキサバンおよび担体を含む溶液または分散液を、コア基質(例えば、糖球体またはビーズ)上に塗布することによって調製される。好ましくは、前記溶液または分散液は、例えば、スプレー層状分散(SLD)の技術によって前記コア基質上に噴霧される。これは、スプレーまたは流動床コーター(fluid bed coater)、例えば、Niro MP-1またはMP-2流動床(GEA Group AG(ドイツ、デュッセルドルフ)から入手可能)で行われうる。Wurster型プレートは、コーティング過程で用いられうる。適切な溶媒には、水、アセトン、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、および/またはイソプロパノール)、およびこれらの混合物が含まれる。前記溶媒は、例えば、エタノールおよび水の混合物(例えば、約90:10のエタノール:水)またはメタノールおよびエタノールの混合物(例えば、約90:10のエタノール:メタノール)でありうる。ある実施態様において、前記溶媒中のアピキサバン溶解度は、少なくとも約0.02w/w%、少なくとも約0.05w/w%、少なくとも約0.10w/w%、少なくとも約0.20w/w%、またはこれらの間のいずれかの濃度でありうる。ある実施態様において、前記溶媒中のアピキサバン溶解度は、約0.02w/w%~約0.20w/w%である。ある実施態様において、前記溶媒中のアピキサバン溶解度は、約0.05w/w%~約0.10w/w%である。ある実施態様において、前記溶媒中のアピキサバン溶解度は、約0.06w/w%である。好ましくは、前記SLD過程は、前記溶解度上限以下、例えば、前記溶解度上限の約60%以下、前記溶解度上限の約40%以下、前記溶解度上限の約20%以下、またはこれらの間のいずれかの濃度の前記溶媒中のアピキサバン濃度で行われる。ある実施態様において、前記溶媒中のアピキサバン濃度は、前記溶解度上限の約20%~約60%である。ある実施態様において、前記溶媒中のアピキサバン濃度は、前記溶解度上限の約40%である。ある実施態様において、前記溶媒中のアピキサバン濃度は、少なくとも約0.01w/w%、少なくとも約0.02w/w%、少なくとも約0.03w/w%、少なくとも約0.04w/w%、またはこれらの間のいずれかの濃度でありうる。ある実施態様において、前記溶媒中のアピキサバン濃度は、約0.01w/w%~約0.04w/w%である。ある実施態様において、前記溶媒中のアピキサバン濃度は、約0.02w/w%~約0.03w/w%である。ある実施態様において、前記溶媒中のアピキサバン濃度は、約0.022w/w%である。ある実施態様において、前記溶媒中に溶解される総固形物の濃度は、少なくとも約1.0w/w%、少なくとも約2.0w/w%、少なくとも約3.0w/w%、またはこれらの間のいずれかの濃度でありうる。ある実施態様において、前記溶媒中の総固形物の濃度は、約1.0w/w%~約3.0w/w%である。ある実施態様において、前記溶媒中の総固形物の濃度は、約2.0w/w%である。
【0041】
残渣溶媒は、1つまたはそれ以上の後の乾燥工程で除去されてもよい。例えば、インシチュー(in situ)流動床乾燥またはトレイ(tray)乾燥による。結果として、前記担体およびアピキサバンを含む層(例えば、フィルムまたはコーティング)は、コア基質上に形成されうる。ある実施態様において、前記層の厚さは、少なくとも約1ミクロン、少なくとも約2.5ミクロン、少なくとも約5ミクロン、少なくとも約7.5ミクロン、少なくとも約10ミクロン、少なくとも約25ミクロン、またはこれらの間のいずれかの長さである。ある実施態様において、前記層の厚さは、約1ミクロン~約25ミクロンである。ある実施態様において、前記層の厚さは、約5ミクロン~約10ミクロンである。ある実施態様において、前記層の厚さは、約4ミクロン~約6ミクロンである。ある実施態様において、前記層の厚さは、約5ミクロンである。塗布される前記コア基質のサイズを調節することに加え、この層の厚さを調節することは、好ましい含量均一性を達成するために用いることができる。
【0042】
ある実施態様において、前記層の重量は、前記処置されたコアの少なくとも約2w/w%、前記処置されたコアの少なくとも約5w/w%、前記処置されたコアの少なくとも約8w/w%、前記処置されたコアの少なくとも約9w/w%、前記処置されたコアの少なくとも約10w/w%、前記処置されたコアの少なくとも約11w/w%、前記処置されたコアの少なくとも約12w/w%、前記処置されたコアの少なくとも約15w/w%、またはこれらの間のいずれかの量でありうる。ある実施態様において、前記層の重量は、前記処置されたコアの約2w/w%~約15w/w%である。ある実施態様において、前記層の重量は、前記処置されたコアの約5w/w%~約15w/w%である。ある実施態様において、前記層の重量は、前記処置されたコアの約8w/w%~約12w/w%である。ある実施態様において、前記層の重量は、前記処置されたコアの約9w/w%~約11w/w%である。ある実施態様において、前記層の重量は、前記処置されたコアの約10w/w%である。
【0043】
ある実施態様において、前記製剤の用量単位は、0.1mg以下の用量および本明細書に記載の他の用量において、出典明示により本明細書に取り込まれるUnited States Pharmacopeia Compounding Compendium <905> Uniformity of Dosage Units, pp. 491-494 (2014) (USP <905>)に従って含量均一性を示す。
【0044】
含量均一性は、表3および4に記載されるパラメータに従って測定される。
【0045】
【0046】
【0047】
含量均一性の要件は、最初の10個の用量単位の許容値がL1%またはそれ以下である場合に満たされる。前記許容値が>L1%である場合、次の20個の単位を試験し、許容値を算出する。前記要件は、30個の用量単位の最終許容値が≦L1%であり、いずれの用量単位の各含有物が[1-(0.01)(L2)]M以下または[1+(0.01)(L2)]M以上でもない場合に満たされる。
【0048】
好ましくは、前記製剤は、0.05M リン酸ナトリウム(pH6.8、ラウリル硫酸ナトリウムを含まない)中において、攪拌することなく約5分以内にアピキサバンの100%の溶出を供する。
【0049】
好ましくは、本明細書に記載のアピキサバン製剤は、エリキュース(登録商標)(アピキサバン)錠と同様のバイオアベイラビリティおよび薬物動態特性を供する。例えば、前記アピキサバン製剤は、投与される量に基づいて、参照によりその全体が本明細書に取り込まれる米国特許出願公開番号第2013/0045245号に記載されるように、錠剤中の少なくとも77wt%のアピキサバンが30分以内に溶出媒体中に溶出するように(ここで、前記溶出媒体はpH6.8の0.05M リン酸ナトリウム(0.05% ラウリル硫酸ナトリウムを含む)である)、37℃で900mLの溶出媒体中において、USP装置2を75rpmのパドル回転速度で用いて得られる溶出プロファイルを有するアピキサバン経口錠のCmax、AUCinfおよび/またはAUC(0-T)のそれぞれの80%~125%のCmax、AUCinfおよび/またはAUC(0-T)を供する。この錠剤は、約89μmと同等またはそれ以下であるD90(容積の90%)を有する結晶性アピキサバン粒子、および医薬的に許容される希釈剤または担体を用いて調製されうる。このような希釈剤または担体には、無水乳糖、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、オパドライ分散液、またはこれらのいずれかの組み合わせが含まれうる。この錠剤は、フィルムコーティングされていてもよく、このコーティング剤には、乳糖一水和物、ヒプロメロース、二酸化チタン、およびトリアセチンが含まれうる。さらに、前記フィルムコーティング剤には、着色剤、例えば、黄色の酸化鉄または赤色の酸化鉄が含まれうる。適切な経口錠剤は、エリキュース(登録商標)(アピキサバン)の表記による即時徐放錠である(https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2016/202155s012lbl.pdf)。
【0050】
本発明のさらなる別の実施態様は、血栓塞栓性障害の治療方法であって、上記に記載される製剤を用いて、治療上の有効量のアピキサバンを、それを必要とする対象に投与することを含む方法である。
【0051】
本発明のさらなる別の実施態様は、前記製剤を投与することによって血栓塞栓性障害を治療するための方法であって、前記製剤を含むカプセル(例えば、スプリンクルカプセル)を開き、前記製剤を担体、例えば、液体担体(または、便宜上、食物または飲料)または固形担体(例えば、固形食物)と混合し、前記製剤を前記担体中に分散させ、および/または溶解させ、次いでそれを必要とする対象に投与することを含む方法である。前記対象は、成人または小児ヒト対象であってもよい。前記小児対象は、新生児(出生から人生の最初の28日間)、乳児(29日から2歳未満)、子供(2歳から12歳未満)、または青年期(12歳から21歳(22歳の誕生日までであるが、これを含まない))を含んでいてもよい。ある実施態様において、前記対象は、年齢約3ヶ月以下であるか、または約6kg以下の体重を有する。
【0052】
上記に記載の血栓塞栓性障害には、米国特許第6,967,208号に開示される障害が含まれる。血栓塞栓性障害の非限定的な例は、動脈心血管血栓塞栓性障害、静脈心血管血栓塞栓性障害、および心室血栓塞栓性障害である。血栓塞栓性障害にはまた、不安定狭心症、急性冠症候群、最初の心筋梗塞、再発性心筋梗塞、虚血性突然死、一過性虚血性発作、脳卒中、アテローム性動脈硬化症、末梢閉塞性動脈症、静脈血栓症、深部静脈血栓症、血栓静脈炎、動脈塞栓症、冠動脈血栓症、脳動脈血栓症、脳塞栓症、腎臓塞栓症、肺塞栓症、および(a)人工弁または他の移植片、(b)留置カテーテル、(c)ステント、(d)心肺バイパス、(e)血液透析、または(f)血液が血栓症を促進する人工物表面に曝される他の手法から生じる血栓症が含まれる。
【0053】
本発明の特定の実施態様は、下記の実施例を参照することにより示されている。これらの実施例は、本発明を示す一例のために開示されるものであって、本発明の範囲を限定するいずれのものとして捉えられるべきではないことが理解されるべきである。
【実施例】
【0054】
実施例1
本発明による典型的な製剤を表5に供する。
【0055】
【0056】
前記製剤は、溶液を調製するために、水およびエタノールを溶媒として用いて調製する。前記溶媒は、製造過程の間に除去する。前記糖球体には、糖シロップ、コーンスターチ、およびショ糖が含まれる。
【0057】
実施例2
実施例1に記載されるアピキサバンスプリンクルカプセル製剤の相対的バイオアベイラビリティを一連の試験により評価した。
【0058】
二群非盲検無作為交差試験を行った。最初の群において、健常な対象は、単回用量のアピキサバンスプリンクルカプセル製剤(実施例1に記載)(25×0.1mg)、続いて単回用量のアピキサバン錠剤(5×0.5mg)を受けた。2番目の群において、健常な対象は、単回用量のアピキサバン錠剤(5×0.5mg)、続いて単回用量のアピキサバンスプリンクルカプセル製剤(実施例1に記載)(25×0.1mg)を受けた。
【0059】
薬物動態測定において、アピキサバンの最高血漿中濃度(Cmax)、アピキサバン量から推定される血漿濃度時間曲線下面積、およびアピキサバンの0時間から終了までの定量可能な濃度の血漿濃度時間曲線下面積を、0.1mgスプリンクルカプセル剤について0.5mgアピキサバン錠剤と比較した。
【0060】
これらの試験において、主要な試験対象患者基準には、(i)健常な対象(肥満度指数18~30kg/m2)(病歴、身体検査の心電図(ECG)、および臨床検査結果において正常から臨床的に著しい偏りがない対象を含む)および(ii)妊娠可能性のある女性は、試験薬の開始前24時間以内に妊娠検査陰性の結果を受けたことが含まれる。主要な除外基準には、(i)(過去3ヶ月間で1ヶ月に15日またはそれ以上生じる)慢性頭痛の病歴、(ii)胃食道逆流症、ディスペプシア、遅延性嘔気、または慢性下痢のいずれかの病歴、および(iii)異常な出血もしくは血液凝固障害、脳内出血、または異常な出血の病歴または根拠が含まれる。
【0061】
安全性評価は、有害事象の報告、ならびにバイタルサイン測定、ECG、身体検査および臨床検査の結果に基づいて行った。
【0062】
アピキサバン0.1mgスプリンクルカプセル剤およびアピキサバン0.5mg錠剤に関する薬物動態パラメータの統計学および統計学的分析の概要を表6に示す。時間経過に伴うアピキサバン血漿濃度を
図2で比較する。
【0063】
【0064】
25×0.1mgスプリンクルカプセル剤としてのアピキサバン2.5mgの単回用量の投与後、C
maxは、5×0.5mg錠剤の投与後より28%高く、まだ同様のものではなかったが、AUC(0-T)およびAUC(INF)は、両製剤ともより類似するものであった。(前記2つの製剤についてこれらのパラメータを比較した)
図1を参照のこと。T
max中央値は、5×0.5mg錠剤と比較して25×0.1mgスプリンクルカプセル剤の投与後に約1時間早かった。5×0.5mg錠剤に対する25×0.1mgスプリンクルカプセル剤の平均相対的バイオアベイラビリティ(Frel)は、110%であった。(25×0.1mgスプリンクルカプセル剤および5×0.5mg錠剤としての)アピキサバン2.5mgの単回用量の経口投与は、この試験において安全性があり、健常な対象にとって一般に十分耐容されるものであった。
【0065】
実施例3
嗜好性評価結果の概要を表7に示す。
【0066】
【0067】
嗜好性は、アピキサバン25×0.1mgスプリンクルカプセル剤およびアピキサバン5×0.5mg錠剤の間で一般的に同様であった。対象の約3分の1は、両治療剤の味を「良い」と評価し、対象の他の3分の1は、両治療剤の味を「良いかもしれない、または悪いかもしれない」と評価した。両治療剤について、前記対象の>75%は、嗜好性を「良いかもしれない、または悪いかもしれない」または良いと評価した。前記対象の25%以下は、嗜好性を「悪い」または「とても悪い」と評価した。
【0068】
実施例4-HPMC担体を含む製剤の製造
アピキサバンのSLDコーティングは、Wursterの底面スプレー構造(bottom-spray configuration)流動床コーターを用いて行った。前記製剤は、Sugletコア基質および10%のコーティング重量(1/99のアピキサバン/担体)の活性成分コーティングから構成された。
【0069】
精製水(666.4g)を1Lのフラスコに分注し、約80~85℃に加熱した。HPMC(Methocel E5 Premium LV,134.64g)を、攪拌しながら(マグネットスターラーバー)加熱した精製水にゆっくり加えた。添加後、前記溶液を、HPMCを十分に分散させるために加熱を維持しつつ、950rpmで約20分間混合した。次いで、該溶液を35~40℃に冷ました。該溶液のための200プルーフのエタノールを2回に分けて分注した。初回分(4998g)を20Lの混合管に加え、2回目の分(999.6g)を2Lのフラスコに加えた。2回目分からの約150gのエタノールを取り分けた。冷ましたHPMC/水の溶液を、20Lタンク中の初回分のエタノールに攪拌しながら(添加中に950rpm)加えた。前記HPMC/水の容器表面を、2回目分のエタノールを用いてすすぎ、次いで全てのすすいだ物質を前記タンクに加えた。攪拌速度を500rpmに下げ、約25分間混合し続けた。HPMCが十分に分散したこと(固形物が見えない淡黄色の透明な溶液)を確認した後、アピキサバン固形物(1.36g)を攪拌しながら加えた。アピキサバンを分注する容器を、150gのエタノールを用いてすすぎ、すすいだ物質を前記タンクに加えた。アピキサバンのエタノール/水/HPMC溶液中への溶解を、UVプローブを用いてインシチューでモニターした(280nmでの吸光度、2mmの先端開口部、測定速度約1s-1)。全ての溶解(0.21mgA/gの見掛け濃度)は10分未満で達成され、観察時間中維持された。
【0070】
前記SLD溶液の混合を約15時間終夜続け、該溶液の重量を混合後に確認した。SLDコーティング過程中、弱く攪拌し続けた。
【0071】
コーティングのための流動床構造を表8に記載する。
【0072】
【0073】
SLDコーティングおよび乾燥後、前記処置されたコアをサイズ0 ゼラチンまたはサイズ0 VCaps-plus(HPMC)スプリンクルプセル剤に充填した。
【0074】
実施例5-HPC担体を含む製剤の製造
アピキサバンのSLDコーティングは、Wursterの底面スプレー構造(bottom-spray configuration)流動床コーターを用いて行った。前記製剤は、Sugletコア基質および10%のコーティング重量(1/99のアピキサバン/担体)の活性成分コーティングから構成された。
【0075】
エタノールを2つの一定分量に分注した。初回分(6400g)を20Lの混合管に加え、2回目分(264g)を小さなステンレス製ポットに加えた。アピキサバンを、混合管にAPIを移す際の吸入露出の可能性を排除するために、攪拌しながら2回目分(264g)に加えた。次いで、前記アピキサバン/エタノール混合物を20Lの混合管に加えた。API移行の完了を確認するために、該ステンレス製ポットを大量の溶液で2回すすいだ。前記アピキサバン/エタノール溶液を、オーバーヘッドミキサーを用いて約1400rpmで30分間攪拌した。前記溶液中に固形物がないことを目視で確認した。次いで、HPC(HPC-LM)を前記溶液に加えた。混合を15時間(終夜)続け(混合後に溶液の重量を確認した)、固形物がないことをコーティング開始前に確認した。コーティング過程中、弱く攪拌し続けた。
【0076】
コーティングのための流動床構造を表8に記載する。
【0077】
SLDコーティングおよび乾燥後、前記処置されたコアをサイズ1 VCaps-plus(HPMC)スプリンクルカプセル剤に充填した。
【0078】
実施例6-HPC担体を含む製剤の別の製造
アピキサバンのSLDコーディングは、Wursterの底面スプレー構造(bottom-spray configuration)流動床コーターを用いて行った。前記製剤は、Sugletコア基質および10%のコーティング重量(1/99のアピキサバン/担体)の活性成分コーティングから構成された。
【0079】
エタノールを3つの一定分量に分注した。アピキサバンを、攪拌しながら初回分(1464g)に加えた。次いで、この懸濁液を20Lの混合管に加えた。API移行の完了を確認するために、エタノールの残りの一定分量(それぞれ約2600gの2つの一定分量)を用いて懸濁液の容器表面をすすぎ、次に前記20Lの混合管に少しずつ加えた。前記アピキサバン/エタノール溶液を、オーバーヘッドミキサーを用いて約500rpmで50分間攪拌した。アピキサバンのエタノール中への溶解を、UVプローブを用いてインシチューでモニターした(吸光度範囲278~282nm、2mmの先端開口部、測定速度1s-1)。全ての溶解(0.15mgA/mLで測定)は10分未満で達成され、観察時間中維持された。
【0080】
前記UVプローブを除去し、溶液中に固形物がないことを目視で確認した。次いで、HPC(HPC-EF)を、混合しながら前記溶液に加えた。HPCの溶解を約1500rpmでの混合の30分後に確認した。約350rpmで13時間(終夜)混合し続け(溶液の重量を混合後に確認した)、固形物がないことをコーティング開始前に確認した。コーティング過程中、弱く攪拌し続けた。
【0081】
コーティングのための流動床構造を表8に記載する。
【0082】
SLDコーティングおよび乾燥後、前記処置されたコアをサイズ1 ゼラチンまたはサイズ1 VCaps-plus(HPMC)スプリンクルカプセル剤に充填した。
【0083】
実施例7-安定性試験
安定性を試験するために、実施例4に従って調製したカプセル剤を、HIS中の25℃/60%RHおよび40℃/75%RHでHDPEボトル内に密封し保存し、外観、SEMによる形態、溶出、アッセイ/関連する物質、および水含有量について、2週間、1ヶ月、および2ヶ月後に試験した。最初のデータと比較して、いずれの条件におけるこれらの測定のいずれにおいても目立った変化は観察されなかった。これらのデータに基づいて、カプセル化された処置されたコアは、両条件でおいて少なくとも2ヶ月間化学的かつ物理的に安定であると考えられる。
【0084】
本発明は、その具体的な実施態様に関して上記に記載されているが、多くの変更、改変、および変形が、本明細書に記載の発明の概念から逸脱することなくなされうることは明らかである。よって、特許請求の範囲の精神と広範囲内に入る全てのこのような変更、改変、および変形を含むものとされる。