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特許7382979紙製のカットテープを有する紙袋、及びこれの製造方法
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  • 特許-紙製のカットテープを有する紙袋、及びこれの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】紙製のカットテープを有する紙袋、及びこれの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/62 20060101AFI20231110BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
B65D75/62 Z
B65D33/00 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021022122
(22)【出願日】2021-02-15
(65)【公開番号】P2022124383
(43)【公開日】2022-08-25
【審査請求日】2022-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000205823
【氏名又は名称】大昭和紙工産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】521068541
【氏名又は名称】新潟大昭和紙工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139044
【弁理士】
【氏名又は名称】笹野 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】古垣 昇三
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勇一
(72)【発明者】
【氏名】小林 崇泰
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-041524(JP,A)
【文献】特開2003-054504(JP,A)
【文献】特開2000-153855(JP,A)
【文献】特開2019-189252(JP,A)
【文献】特開2003-221068(JP,A)
【文献】特開2007-262603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/62
B65D 30/00-33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙袋の開封口を覆うように該紙袋に貼り付けられた補強紙と、
上記補強紙に貼り付けられた紙製のカットテープと、
を備え、
上記カットテープの一端が摘まみ易いものとなるように、上記補強紙に切込みが形成されており、
上記補強紙とともに上記カットテープが引っ張られると上記補強紙のみが引き裂かれるように、上記カットテープは、上記補強紙の所与の坪量よりも大きい75g/m~160g/mの坪量を有し、
上記カットテープと上記補強紙が共にクラフト紙から形成されており、
上記カットテープがクラフト紙第5種としての伸張紙から形成されている一方で、上記補強紙はクラフト紙第1種~第5種のうちから選択されたクラフト紙から形成されていることを特徴とする、紙製のカットテープを有する紙袋。
【請求項2】
上記カットテープがクラフト紙第5種としての伸張紙から形成されている一方で、上記補強紙はクラフト紙第1種~第4種のうちから選択されたクラフト紙から形成されていることを特徴とする、請求項に記載の紙製のカットテープを有する紙袋。
【請求項3】
上記カットテープと上記補強紙とが水糊で貼り付けられており、
上記補強紙は、上記カットテープが貼り付いている位置を除いて上記補強紙の端縁まで水糊で上記開封口に沿って貼り付けられていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の紙製のカットテープを有する紙袋。
【請求項4】
該紙袋は、離解性防湿紙の層を含む紙袋であることを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載の紙製のカットテープを有する紙袋。
【請求項5】
紙袋の補強紙に、該補強紙の所与の坪量よりも大きい75g/m~160g/mの坪量を有する紙製のカットテープを貼り付けるステップと、
上記カットテープの一端が摘まみ易いものとなるように、上記補強紙に切込みを形成するステップと、
上記紙袋の開封口を覆うように該紙袋に上記補強紙を貼り付けるステップと、
を含む、紙製のカットテープを有する紙袋の製造方法であって、
上記カットテープと上記補強紙が共にクラフト紙から形成されており、
上記カットテープがクラフト紙第5種としての伸張紙から形成されている一方で、上記補強紙はクラフト紙第1種~第5種のうちから選択されたクラフト紙から形成されている、紙製のカットテープを有する紙袋の製造方法。
【請求項6】
上記カットテープがクラフト紙第5種としての伸張紙から形成されている一方で、上記補強紙はクラフト紙第1種~第4種のうちから選択されたクラフト紙から形成されている、請求項に記載の紙製のカットテープを有する紙袋の製造方法。
【請求項7】
上記紙袋の開封口を覆うように該紙袋に上記補強紙を貼り付けるステップは、上記カットテープが貼り付いている位置を除いて上記補強紙の端縁まで水糊で上記紙袋に上記補強紙を貼り付けることを含む、請求項5又は請求項6に記載の紙製のカットテープを有する紙袋の製造方法。
【請求項8】
該紙袋は、離解性防湿紙の層を含む紙袋である、請求項5~7のいずれかに記載の紙製のカットテープを有する紙袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製のカットテープを有する紙袋、及びこれの製造方法に関する。さらには、リサイクル(古紙回収)可能な紙袋であることを特徴とする、紙製のカットテープを有する紙袋に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化や海洋汚染につながるプラスチックごみを減らすことは、国際的な課題の一つであり、SDGs(持続可能な開発目標)の実現に欠かせない。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐために持ち帰り飲食が定着している現状においては、プラスチックごみの量は、むしろ増加の一途をたどっている。プラスチックの包装の代わりに、環境負荷の少ない素材の使用が求められている。
【0003】
この点、消費者がハサミやカッターなどの道具を使うことなく包装を引き裂いて開封することを可能にするカットテープは、ポリエチレンやポリプロピレン等のフィルムからなる包装に限らず、紙製の封筒にも用いられ得る(特許文献1)。例えば、産業上利用されているカットテープ付きの紙袋として、イージーオープン袋がある。イージーオープン袋は、2回折りされた開口部にカットテープが設けられたものであり、食品、雑穀、及び飼料などの内容物を入れるのに用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-100042号公報
【文献】特開2007-45890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のカットテープは、合成樹脂(ポリプロピレン等)製のものであり、カットテープが設けられた紙袋について、この紙袋から合成樹脂製のカットテープを分離することができなければ、紙資源として回収することができない。そこで、紙製のカットテープを有する紙袋を提供することを第1の課題とする。
【0006】
また、カットテープ付きの紙袋について、その紙袋の層として合成樹脂製のフィルム層ないしラミネート層が設けられている場合には、産業廃棄物として処理しなければならず、その処理に多大な費用が費やされている。そこで、第2の課題として、紙袋において、カットテープを紙製のものに代えるとともに、従来のフィルム層ないしラミネート層に代わる層を採用することにより、紙袋全体を紙資源としてリサイクル可能なものにする。
【0007】
第3の課題として、うどん粉や砂糖などの粉体の内容物を輸送又は貯蔵するための重包装用紙袋等について、補強紙の端縁まで隙間なく紙袋に接着されていない従来の重包装用紙袋等では粉漏れすることがあるので、これを防ぐ工夫を提示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
紙袋の開封口を覆うように該紙袋に貼り付けられた補強紙と、補強紙に貼り付けられた紙製のカットテープと、を備え、カットテープの一端が摘まみ易いものとなるように、補強紙に切込みが形成されており、補強紙とともにカットテープが引っ張られると補強紙のみが引き裂かれるように、カットテープは、補強紙の所与の坪量よりも大きい75g/m~160g/mの坪量を有することを特徴とする、紙製のカットテープを有する紙袋を提供する。
【0009】
一実施例においては、カットテープと補強紙が共にクラフト紙から形成されていることを特徴とする。他の実施例においては、カットテープがクラフト紙第5種としての伸張紙から形成されている一方で、補強紙はクラフト紙第1種~第5種のうちから選択されたクラフト紙から形成されている。さらなる実施例においては、カットテープがクラフト紙第5種としての伸張紙から形成されている一方で、補強紙はクラフト紙第1種~第4種のうちから選択されたクラフト紙から形成されている場合もある。
【0010】
一実施例において、カットテープと補強紙とが水糊で貼り付けられており、補強紙は、カットテープが貼り付いている位置を除いて補強紙の端縁まで水糊で開封口に沿って貼り付けられていることを特徴とする。
【0011】
一実施例において、該紙袋は、離解性防湿紙の層を含む紙袋であることを特徴とする。
【0012】
さらには、紙袋の補強紙に、該補強紙の所与の坪量よりも大きい75g/m~160g/mの坪量を有する紙製のカットテープを貼り付けるステップと、カットテープの一端が摘まみ易いものとなるように、補強紙に切込みを形成するステップと、紙袋の開封口を覆うように該開封口に沿って補強紙を貼り付けるステップと、を含む、紙製のカットテープを有する紙袋の製造方法を提示する。
【0013】
さらなる実施例において、紙袋の開封口を覆うように該開封口に沿って補強紙を貼り付けるステップは、カットテープが貼り付いている位置を除いて補強紙の端縁まで水糊で紙袋に補強紙を貼り付けることを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のカットテープ付き補強紙を示す図。
図2】カットテープ付き補強紙が紙袋に貼り付けられる様子を示す図。
図3図2(b)に示した紙袋の斜視図。
図4】本発明の他の実施例におけるカットテープ付き補強紙を示す図。
図5】カットテープ付き補強紙が紙袋に貼り付けられる様子を示す図。
図6】紙袋の側面の一部を透視して示す拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のカットテープを有する紙袋及びこれを製造する方法について、添付の図を参照しつつ以下に説明する。
【0016】
図1(a)に示されるように、クラフト紙から形成された概ね四角形の形状の補強紙2に、クラフト紙からなるカットテープ4が接着される。一実施例において、カットテープ4は、当技術分野で周知の糊ないし接着剤、及び粘着付きシール紙などを使って補強紙2に接着される。好ましい実施例においては、水糊塗工加工の施されたカットテープ4が水に濡らされて、補強紙2のカットテープ貼り付け箇所5に接着される。或いは、補強紙2の水糊塗工加工されているカットテープ貼り付け箇所5に水がつけられて、カットテープ4が接着される。
【0017】
図1(b)は、補強紙2にカットテープ4が貼り付けられて、カットテープ付き補強紙1aとなった状態を示す。一実施例においては、補強紙2とともにカットテープ4が引っ張られると補強紙2のみが引き裂かれるように、補強紙2の坪量が75g/m未満である一方で、カットテープ4は、補強紙2の所与の坪量よりも大きい75g/m~160g/mの坪量を有する紙からなることが好ましい。さらに好ましい実施例においては、補強紙2の坪量が75/m未満である一方で、カットテープ4は、補強紙2の所与の坪量よりも大きい75g/m~140g/mの坪量を有する紙からなる場合もある。一実施例においては、カットテープ4がクルパック(登録商標)などの伸張紙(クラフト紙第5種)から形成されている一方で、補強紙2は種々のクラフト紙から形成されている。他の実施例においては、カットテープ4が伸張紙から形成されている一方で、補強紙2はクラフト紙第1種~第4種から選択されたクラフト紙から形成されている。
【0018】
さらには、紙袋の使用者が手指でカットテープ4の一端を摘んで引っ張り易いように、カットテープ4の一端に沿って、紙袋の補強紙2に切込み6が形成されている。このカットテープ接着済み補強紙1aは、当技術分野で周知の糊ないし接着剤、及び粘着付きシール紙等を使って、袋の底に接着され得る。
【0019】
図1(c)は、他の実施例におけるカットテープ付き補強紙1bを示す。この実施例においては、補強紙2の一部に水糊剤塗工加工が施されており、水糊塗工加工されてなる水塗布部分8は、カットテープ4が貼られている位置を除いて、補強紙2の端縁まで延在する。この補強紙2を紙袋に貼り付けるには、(水糊式の切手の貼り方と同様に)水塗布部分8を水に濡らして粘着力を生じさせればよい。これにより、補強紙2の端縁まで隙間なく紙袋に貼り付けることができる。
【0020】
これに対して図1(a),(b)に示したカットテープ付き補強紙1aのように、水糊塗工紙を使用していない場合に、一般的な糊ないし接着剤、及び粘着付きシール紙等を使って補強紙2の端縁まで紙袋に接着させようとすると、接着剤等が補強紙2の端縁からはみ出てしまうことが多い。
【0021】
図2は、カットテープ付き補強紙1a,1bが紙袋10aに貼り付けられる様子を側面視で示している。一実施例においては、図2(a)に示されるように、紙袋10aの開封口12付近が折り畳まれている。折り畳まれた開封口12を覆うように補強紙2が貼り付けられると、図2(b)に示される状態となる。図2(b)において、紙袋10aの開封口12を覆うように、紙袋10aの正面から背面にかけて補強紙2が貼り付けられている。カットテープ4は、補強紙2の内側に配置されている。
【0022】
図3は、図2(b)に示した紙袋10aの斜視図である。図3において、補強紙2の内側に貼り付けられているカットテープ4の位置が破線で示されている。カットテープ4の一端に沿うように補強紙2に切込み6が形成されているので、紙袋10aの使用者が、カットテープ4の一端を摘まんで引っ張ることができる。
【0023】
図4は、さらに他の実施例におけるカットテープ付き補強紙1cを示す。このカットテープ付き補強紙1cにも、水塗布部分8が設けられているとともに、使用者がカットテープ4の一端を摘まんで引っ張り易いように、カットテープ4の一端に沿って、補強紙2に切込み6が形成されている。しかし、カットテープ4の端部16は、補強紙2の両端まで到達する前に途切れるように終端している。このような短いカットテープ4であっても、本発明におけるカットテープに含まれるものとする。
【0024】
図4に示した補強紙2は、図5(a)に示されるように、例えば直方体の形状の紙袋10bの開封口12を覆うように貼り付けられる。補強紙2を貼り付ける際には、補強紙2の水塗布部分8を水に浸して粘着力を生じさせ、粘着力の生じた該水塗布部分8を介して紙袋10bに該補強紙2を貼り付けるとよい。この方法によれば、補強紙2の端縁まで隙間なく紙袋10bに密着させることができるので、該紙袋10bの収容物が粉体であっても確実に粉漏れを防ぐことができる。
【0025】
図5(b)は、カットテープ付き補強紙1cが、紙袋10bの開封口12に貼り付けられた状態を示す。補強紙2は、紙袋10bの開封口12を塞ぐように、封止面20から側面14にかけて貼り付いている。このとき、カットテープ4の端部16は、紙袋10bの封止面20と側面14の間の辺上に位置し得る。
【0026】
図6(a)は、クラフト紙などから形成された単層の紙袋10aの側面の一部を透視して示す拡大図である。
【0027】
図6(b)に示されている重包装用紙袋10a’は、従来のフィルム層ないしラミネート層の代わりに、離解性防湿紙38の層を含むように構成されている。離解性防湿紙38とは、塗工機等を用いて紙基材(クラフト紙基材等)36の片面又は両面に防湿性組成物を塗工することにより、離解性を有するようにつくられた防湿紙のことである(詳しくは、特許文献2を参照されたい)。
【0028】
離解性防湿紙は若干の合成樹脂を含むものの、産業廃棄物として処理する必要がないものである。よって、本発明における重包装用紙袋10a’は、紙製のカットテープを有する一方で、フィルム層ないしラミネート層を有していないので、該紙袋10a’の全体を紙資源としてリサイクルすることができるものである。
【0029】
以上のように、本発明におけるカットテープ付き補強紙1a,1b,1cは、主に重包装用紙袋の開封口を覆うように貼り付けて使用するものであるが、一般的な封筒や、紙製の米袋などについても、開封口を封じるように貼り付けて使用することができるものである。
【符号の説明】
【0030】
1a…本発明の一実施例におけるカットテープ付き補強紙
1b…本発明の他の実施例におけるカットテープ付き補強紙
1c…本発明のさらに他の実施例におけるカットテープ付き補強紙
2…補強紙
4…カットテープ
5…カットテープ貼り付け箇所
6…切込み
8…水塗布部分
10…紙袋
10a…紙袋
10a’…紙袋
10b…紙袋
12…開封口
14…側面
16…端部
18…正面
20…封止面
36…紙基材
38…離解性防湿紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6