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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】自宅において故人を供養する供養装置
(51)【国際特許分類】
   A47G 33/02 20060101AFI20231110BHJP
【FI】
A47G33/02 H
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021036120
(22)【出願日】2021-03-08
(65)【公開番号】P2022136485
(43)【公開日】2022-09-21
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】521098098
【氏名又は名称】飯田 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100068308
【弁理士】
【氏名又は名称】後田 春紀
(72)【発明者】
【氏名】飯田 哲
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3212116(JP,U)
【文献】特開2004-313263(JP,A)
【文献】特開昭61-078002(JP,A)
【文献】特開平07-059644(JP,A)
【文献】登録実用新案第3052176(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自宅において故人を供養する供養装置であって、該供養装置は、骨壺収納体と、該骨壺収納体上に載置される光輝表示体とによって構成され、
前記骨壺収納体は、上端部に開口部を、且つ下端部に底板を備えて、一人または複数の故人の全骨、分骨または粉骨をそれぞれ納めた大型・中型・小型の骨壺を1個または複数個安置する骨壺安置室を備えて横断面八角形に形成されると共に、外側面に複数枚の八角形プレートを積層固定した須弥壇を固定し、更に前記上端部の開口部に八角形の被覆板を、前記須弥壇の上端面と面一になるよう載置して形成され、
前記光輝表示体は、前記骨壺収納体の被覆板上に載置され、回転部と、該回転部の上面中央に載置する乱反射部、および該乱反射部の上面に、これを被覆するように載置される天界表示部とによって構成され、前記回転部は、底板を備えた円筒状体より成るケーシングの上面開口の上周縁部に近接して、軽量樹脂製の円盤状のターンテーブルが低速回転するよう設置され、且つ該ターンテーブルの中央部には小径の透明な円形の照射窓が設けられると共に、該照射窓の外周部のターンテーブルの上面は鏡面状反射面を備えて形成され、更に、前記照射窓の外縁部のターンテーブルの下面には、該ターンテ-ブルを低速回転させるための回転補助板が固定され、且つ該回転補助板の外側下面には、大径の環状の従動歯車が周設され、且つ該従動歯車は前記底板上に設置された小型モーターの上方へ延設された回転軸に固定された小径の駆動歯車と噛合して、前記ターンテーブルが低速回転するよう形成され、更に、前記ターンテーブルの照射窓の下面には、LEDを複数個用いて発光色が順次変わるようにプログラムされたLED基盤の外周縁部に、上方へ拡開した椀状の反射板を備えたLED発光部が設置され、且つ該LED発光部は、前記ターンテーブルと共に回転することなく前記ケーシングに固定され、且つ前記回転しているターンテーブルの中央の照射窓からLEDの点滅による照射光が上方へ照射されるよう形成される一方、前記ケーシング内には、前記小型モーターとLED発光部に電源を供給する電池を収納する電池ボックスが設置され、
前記乱反射部は、乱反射面を多数設けて形成されたコップ状のグラスにより形成され、且つ該グラスは前記ターンテーブルの照射窓上に載置されると共に、前記グラスの上端開口部周縁上には、透明または半透明の合成樹脂製の半球状のドームより成る天界表示部が前記グラスを被覆するように載置されていることを特徴とする自宅において故人を供養する供養装置。
【請求項2】
自宅において故人を供養する供養装置であって、該供養装置は、骨壺収納体と、該骨壺収納体上に載置される粉骨安置板と、該粉骨安置板上に載置される光輝表示体とによって構成され、
前記骨壺収納体は、上端部に開口部を、且つ下端部に底板を備えて、一人または複数の故人の全骨、分骨または粉骨をそれぞれ納めた大型・中型・小型の骨壺を1個または複数個安置する骨壺安置室を備えて横断面八角形に形成されると共に、外側面に複数枚の八角形プレートを積層固定した須弥壇を固定し、更に前記上端部の開口部に八角形の被覆板を、前記須弥壇の上端面と面一になるよう載置して形成され、
前記粉骨置板は、八角形に形成されると共に、該八角形の頂点に対応するように、粉骨用の小型の骨壺を挿入する8個の挿入孔をそれぞれ開口して形成され、且つ該粉骨安置板は前記骨壺収納体の被覆板上に載置され、
前記光輝表示体は、前記粉骨置板上に載置され、回転部と、該回転部の上面中央に載置する乱反射部、および該乱反射部の上面に、これを被覆するように載置される天界表示部とによって構成され、前記回転部は、底板を備えた円筒状体より成るケーシングの上面開口の上周縁部に近接して、軽量樹脂製の円盤状のターンテーブルが低速回転するよう設置され、且つ該ターンテーブルの中央部には小径の透明な円形の照射窓が設けられると共に、該照射窓の外周部のターンテーブルの上面は鏡面状反射面を備えて形成され、更に、前記照射窓の外縁部のターンテーブルの下面には、該ターンテ-ブルを低速回転させるための回転補助板が固定され、且つ該回転補助板の外側下面には、大径の環状の従動歯車が周設され、且つ該従動歯車は前記底板上に設置された小型モーターの上方へ延設された回転軸に固定された小径の駆動歯車と噛合して、前記ターンテーブルが低速回転するよう形成され、更に、前記ターンテーブルの照射窓の下面には、LEDを複数個用いて発光色が順次変わるようにプログラムされたLED基盤の外周縁部に、上方へ拡開した椀状の反射板を備えたLED発光部が設置され、且つ該LED発光部は、前記ターンテーブルと共に回転することなく前記ケーシングに固定され、且つ前記回転しているターンテーブルの中央の照射窓からLEDの点滅による照射光が上方へ照射されるよう形成される一方、前記ケーシング内には、前記小型モーターとLED発光部に電源を供給する電池を収納する電池ボックスが設置され、
前記乱反射部は、乱反射面を多数設けて形成されたコップ状のグラスにより形成され、且つ該グラスは前記ターンテーブルの照射窓上に載置されると共に、前記グラスの上端開口部周縁上には、透明または半透明の合成樹脂製の半球状のドームより成る天界表示部が前記グラスを被覆するように載置されていることを特徴とする自宅において故人を供養する供養装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、故人の遺骨をお墓に納骨することなく、自宅において、一人または複数の故人の全骨、分骨または粉骨をそれぞれ納めた大型、中型または小型の骨壺を骨壺安置室内に安置して、あるいは前記骨壺安置室内に前記全骨または分骨をそれぞれ納めた大型または中型の骨壺を安置すると共に、更に、その他の故人の粉骨を納めた小型の骨壺を、前記骨壺安置室上に設置された粉骨安置板に安置して、供養者が故人を供養すべく光輝表示体を作動させると、発光色が異なる複数個のLEDの点滅および反射を繰り返して、故人が恰も極楽浄土や天国あるいは天界におられるような雰囲気を醸し出して、自宅においていつでも故人の供養をすることができる供養装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今のお墓事情、例えば、お墓が遠方にあるので、墓参りがあまりできない、新しくお墓を建てたいが、かなり費用がかかる、墓仕舞をしたいが、墓仕舞をすると故人との縁がなくなるなど、悩んでいる人が多い。そして、それでも故人の供養は何とかしたいと考えている人が多いという現状にある。
【0003】
前記現状に鑑み、過去の特許文献を検索すると、墓地ではなく自宅で遺骨を安置して故人を供養する目的で、遺骨を納める遺骨収納部と観音像等の仏像を安置するための収納室を備えた卓上型厨子が下記特許文献に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3205410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に開示された「卓上型厨子」は、お墓等への納骨ができなくても、自宅において、故人を供養することができるという目的を果たすことができるが、遺骨収納部は小さく形成されているため、故人の遺骨を分骨あるいは粉骨を納めた骨壺は安置することができるが、特に、故人の全骨を納めた骨壺を安置して供養するためのスペースがないので、故人の全骨を納めた骨壺を安置して供養することができないという課題があり、更に、前記特許文献1記載の「卓上型厨子」には、発光色が異なる複数個のLEDの点滅および反射を繰返して、故人が極楽浄土や天国あるいは天界におられるような雰囲気を醸し出す光輝表示体を備えていないため、故人が極楽浄土や天国あるいは天界おられるような雰囲気での供養ができないという課題があった。
【0006】
本発明は前記課題を解決すべくなされたもので、故人の遺骨をお墓に納骨することなく、自宅において、一人または複数の故人の全骨、分骨または粉骨を納めた骨壺を骨壺安置室内に安置して、あるいは前記骨壺安置室内に前記全骨または分骨を収めた骨壺を安置すると共に、更に、その他の故人の粉骨を納めた骨壺を、前記骨壺安置室上に設置された粉骨安置板上に安置して、光輝表示体を作動させて、LEDの点滅および反射を繰返して、故人が極楽浄土や天国あるいは天界におられるような雰囲気を醸し出して、自宅で故人の供養をすることができる供養装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決すべくなされたもので、
請求項1において、
自宅において故人を供養する供養装置であって、該供養装置は、骨壺収納体と、該骨壺収納体上に載置される光輝表示体とによって構成され、
前記骨壺収納体は、上端部に開口部を、且つ下端部に底板を備えて、一人または複数の故人の全骨、分骨または粉骨をそれぞれ納めた大型・中型・小型の骨壺を1個または複数個安置する骨壺安置室を備えて横断面八角形に形成されると共に、外側面に複数枚の八角形プレートを積層固定した須弥壇を固定し、更に前記上端部の開口部に八角形の被覆板を、前記須弥壇の上端面と面一になるよう載置して形成され、
前記光輝表示体は、前記骨壺収納体の被覆板上に載置され、回転部と、該回転部の上面中央に載置する乱反射部、および該乱反射部の上面に、これを被覆するように載置される天界表示部とによって構成され、前記回転部は、底板を備えた円筒状体より成るケーシングの上面開口の上周縁部に近接して、軽量樹脂製の円盤状のターンテーブルが低速回転するよう設置され、且つ該ターンテーブルの中央部には小径の透明な円形の照射窓が設けられると共に、該照射窓の外周部のターンテーブルの上面は鏡面状反射面を備えて形成され、更に、前記照射窓の外縁部のターンテーブルの下面には、該ターンテ-ブルを低速回転させるための回転補助板が固定され、且つ該回転補助板の外側下面には、大径の環状の従動歯車が周設され、且つ該従動歯車は前記底板上に設置された小型モーターの上方へ延設された回転軸に固定された小径の駆動歯車と噛合して、前記ターンテーブルが低速回転するよう形成され、更に、前記ターンテーブルの照射窓の下面には、LEDを複数個用いて発光色が順次変わるようにプログラムされたLED基盤の外周縁部に、上方へ拡開した椀状の反射板を備えたLED発光部が設置され、且つ該LED発光部は、前記ターンテーブルと共に回転することなく前記ケーシングに固定され、且つ前記回転しているターンテーブルの中央の照射窓からLEDの点滅による照射光が上方へ照射されるよう形成される一方、前記ケーシング内には、前記小型モーターとLED発光部に電源を供給する電池を収納する電池ボックスが設置され、
前記乱反射部は、乱反射面を多数設けて形成されたコップ状のグラスにより形成され、且つ該グラスは前記ターンテーブルの照射窓上に載置されると共に、前記グラスの上端開口部周縁上には、透明または半透明の合成樹脂製の半球状のドームより成る天界表示部が前記グラスを被覆するように載置されていることを特徴とする自宅において故人を供養する供養装置。
が提供され、また、請求項2において、
自宅において故人を供養する供養装置であって、該供養装置は、骨壺収納体と、該骨壺収納体上に載置される粉骨安置板と、該粉骨安置板上に載置される光輝表示体とによって構成され、
前記骨壺収納体は、上端部に開口部を、且つ下端部に底板を備えて、一人または複数の故人の全骨、分骨または粉骨をそれぞれ納めた大型・中型・小型の骨壺を1個または複数個安置する骨壺安置室を備えて横断面八角形に形成されると共に、外側面に複数枚の八角形プレートを積層固定した須弥壇を固定し、更に前記上端部の開口部に八角形の被覆板を、前記須弥壇の上端面と面一になるよう載置して形成され、
前記粉骨置板は、八角形に形成されると共に、該八角形の頂点に対応するように、粉骨用の小型の骨壺を挿入する8個の挿入孔をそれぞれ開口して形成され、且つ該粉骨安置板は前記骨壺収納体の被覆板上に載置され、
前記光輝表示体は、前記粉骨置板上に載置され、回転部と、該回転部の上面中央に載置する乱反射部、および該乱反射部の上面に、これを被覆するように載置される天界表示部とによって構成され、前記回転部は、底板を備えた円筒状体より成るケーシングの上面開口の上周縁部に近接して、軽量樹脂製の円盤状のターンテーブルが低速回転するよう設置され、且つ該ターンテーブルの中央部には小径の透明な円形の照射窓が設けられると共に、該照射窓の外周部のターンテーブルの上面は鏡面状反射面を備えて形成され、更に、前記照射窓の外縁部のターンテーブルの下面には、該ターンテ-ブルを低速回転させるための回転補助板が固定され、且つ該回転補助板の外側下面には、大径の環状の従動歯車が周設され、且つ該従動歯車は前記底板上に設置された小型モーターの上方へ延設された回転軸に固定された小径の駆動歯車と噛合して、前記ターンテーブルが低速回転するよう形成され、更に、前記ターンテーブルの照射窓の下面には、LEDを複数個用いて発光色が順次変わるようにプログラムされたLED基盤の外周縁部に、上方へ拡開した椀状の反射板を備えたLED発光部が設置され、且つ該LED発光部は、前記ターンテーブルと共に回転することなく前記ケーシングに固定され、且つ前記回転しているターンテーブルの中央の照射窓からLEDの点滅による照射光が上方へ照射されるよう形成される一方、前記ケーシング内には、前記小型モーターとLED発光部に電源を供給する電池を収納する電池ボックスが設置され、
前記乱反射部は、乱反射面を多数設けて形成されたコップ状のグラスにより形成され、且つ該グラスは前記ターンテーブルの照射窓上に載置されると共に、前記グラスの上端開口部周縁上には、透明または半透明の合成樹脂製の半球状のドームより成る天界表示部が前記グラスを被覆するように載置されていることを特徴とする自宅において故人を供養する供養装置。
が提供される。
【発明の効果】
【0008】
前記構成より成る本発明自宅において故人を供養する供養装置によれば、一人または複数の故人の全骨、分骨または粉骨をそれぞれ納めた大型、中型または小型の骨壺を骨壺安置室内に安置し、供養者が故人を供養すべく光輝表示体の電源スイッチをONして作動させるか、あるいは前記骨壺安置室内に前記全骨または分骨を納めた大型または中型の骨壺を安置すると共に、更に、その他の故人の遺骨を粉骨して納めた小型の骨壺を、前記骨壺安置室上に載置された粉骨安置板に安置し、供養者が故人を供養すべく光輝表示体の電源スイッチをONして作動させると、ターンテーブルが低速で回転すると共に、LED発光部の発光色が異なる複数個のLEDが予め設定されたプログラムに従い所定間隔で点滅を繰返して、該LEDの照射光が透明な照射窓を経て上方へ照射されて、乱反射部を構成するグラスの底部より入射して、該グラスに設けられた彫刻や切込細工、あるいはカット面等の乱反射面によって乱反射して、前記グラスの上方や外周面を透過して拡散して、前記ターンテーブルの鏡面状反射面からの多色にひかり輝く照射光と、前記多色にひかり輝くLEDからの照射光と、透明あるいは青色や緑色または薄紫色等の青色系の色に着色された半透明の合成樹脂製のドームの下方から照射する照射光とのコラボレーションにより、故人が恰も極楽浄土や天国あるいは天界におられるような雰囲気を醸し出し、その状態において、例えば供養者が予めスマートフォンにインストール、あるいは録音機器に録音した「般若心経」や経文の読経音に合わせて読経しながら、故人の遺骨をお墓に納骨することなく、故人の供養を自宅においていつでもできるという優れた効果を奏することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明自宅において故人を供養する供養装置の第1の実施例による供養装置Aを示す正面図である。
図2】同斜視図である。
図3】同平面図である。
図4】同縦断面図である。
図5】本発明自宅において故人を供養する供養装置第1の実施例による供養装置Aの光輝表示体を構成する回転部の正面図である。
図6】同平面図である。
図7】同縦断面図である。
図8】本発明自宅において故人を供養する供養装置の第2の実施例による供養装置Bを示す斜視図である。
図9】同縦断面図である。
図10】同平面図である。
【実施例
【0010】
本発明自宅において故人を供養する供養装置は、骨壺安置室内に、一人または複数の故人の全骨、分骨または粉骨を納めた骨壺を安置して供養する第1実施例による供養装置Aと、前記骨壺安置室内に前記全骨または分骨を納めた骨壺を安置すると共に、粉骨を納めた骨壺を、前記骨壺安置室上に設置された粉骨安置板に安置して供養する第2実施例による供養装置Bが提供される。以下、各実施例につき詳細に説明する。
【0011】
先ず、本発明第1の実施例による供養装置Aを図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明第1の実施例による供養装置Aを示す正面図であり、該供養装置Aは骨壺収納体1と、該骨壺収納体1上に載置される、発光色が異なる複数個のLEDの点滅および反射を繰り返して、故人が恰も極楽浄土や天国あるいは天界におられるような雰囲気を醸し出す光輝表示体2とによって構成されている。そして、前記骨壺収納体1は、図4の断面図に示すように、上端部に開口部3を、且つ下端部に底板4を備えた、一人または複数の故人の全骨、分骨または粉骨をそれぞれ納めた大型・中型・小型の骨壺5a・5b・5cを安置する骨壺安置室6を備えて横断面八角形に形成されている。なお、図4においては、前記骨壺安置室6が仕切り板7によって上下に区画され、該仕切り板7上には故人の全骨を収めた大型の骨壺5aが安置されると共に、前記底板4上には分骨を収めた中型の骨壺5bと、粉骨を納めた小型の骨壺5cとが安置された状態が図示されているが、前記仕切り板7を設置することなく、複数の故人の全骨、分骨または粉骨を納めた複数の骨壺5a・5b・5cを安置する場合は、図示していないが、前記骨壺安置室6を大型にしたりして、任意に対応することができる。
【0012】
前記骨壺収納体1には、更にその外側面下方部に、正面側から見て略台形状をした下方壇8が固定されると共に、該下方檀8の上方側に、前記下方壇8とは上下逆形状の略逆台形状をした上方壇9を、該上方壇9の上端部が前記開口部3の上端縁よりやや上方側に突出して固定して、前記下方檀8と上方檀9とを組み合わせて、仏壇に備わっている須弥壇10となるよう形成されている。
【0013】
前記須弥壇10を構成する下方壇8は、1枚板で形成してもよいが、好ましくは、前記骨壺収納体1の外側面部に嵌挿して固定できるよう、それぞれ同一径の八角形の挿入開口11を備え、且つ幅が漸次小幅になるよう形成された7枚の八角形のプレート12a~12gのうち、最大幅のプレート12aを最下部に設置し、更に該プレート12aの上に、該プレート12aよりやや小幅のプレート12bを積層固定し、以下同様に漸次小幅となるプレート12c・12d・12e・12f・12gを順にそれぞれ上方に積層固定して、正面側から見て略台形状に形成することが推奨される。
【0014】
また、前記須弥壇10を構成する上方壇9は、前記下方壇8と上下逆形状に形成されており、1枚板で形成してもよいが、好ましくは、前記骨壺収納体1の外側面部に嵌挿して固定できるよう、それぞれ同一径の八角形の挿入開口13を備え、且つ幅が漸次小幅になるよう形成された7枚の八角形のプレート14a~14gのうち、最大幅のプレート14aを最上部に設置し、更に該プレート14aの下に、該プレート14aよりやや小径のプレート14bを積層固定し、以下同様に漸次小幅となるプレート14c・14d・14e・14f・14gを順にそれぞれ下方に積層固定して、正面側から見て略逆台形状に形成することが推奨される。
【0015】
また、前記須弥壇10を構成する下方壇8および上方壇9の素材となる各八角形のプレート12・14は、本実施例においては、それぞれ7枚のプレ-トを使用して、7段の階段状をなしているが、現在広く家庭において使用されている仏壇においても、須弥壇は奇数の7段の階段状を採用している例が多いので、本実施例においては、これに倣い7枚のプレートを採用したが、7枚以下または7枚以上であってもよい。
【0016】
そして、一人または複数の故人の全骨、分骨または粉骨をそれぞれ納めた大型・中型・小型の骨壺5a・5b・5cを安置する骨壺安置室6の上端の開口部3上に、八角形の被覆板15を載置して、前記上方壇9の上端面と面一になるようにして前記開口部3を被覆すると共に、該被蓋板15上に、故人が極楽浄土や天国あるいは天界におられるような雰囲気を醸し出す光輝表示体2を載置する。
【0017】
前記光輝表示体2は、図4の断面図に示すように、回転部16と、該回転部16の上面中央に載置する乱反射部17、および該乱反射部17の上面に、これを被覆するように載置された天界表示部18とにより構成されている。そして、前記回転部16は、底板19を備えた円筒状体より成るケーシング20の上面開口21の上周縁部に近接して、アクリル樹脂などの軽量樹脂製の円盤状のターンテーブル22が低速回転するよう設置され、且つ該ターンテーブル22の中央部には、後述するLED発光部39からの照射光を前記乱反射部17へ透過して照射する小径の透明な円形の照射窓23が設けられると共に、該照射窓23の外周部のターンテーブル22の上面は、前記乱反射部17からの乱反射光を受けてひかり輝くように、例えば真空蒸着でアルミニウム、銀やプラチナ等の膜を蒸着して鏡面状反射面24を備えて形成され、更に、前記照射窓23の外縁部のターンテーブル22の下面には、該ターンテ-ブル22を低速回転させるための回転補助板25が固定されている。そして、前記回転補助板25の外側下面には、大径の環状の従動歯車26が周設され、且つ該従動歯車26は前記底板19上に設置された小型モーター27の上方へ延設された回転軸28に固定された小径の駆動歯車29と噛合して、前記ターンテーブル22が低速回転するよう形成されている。なお、前記ターンテーブル22は透明な合成樹脂で形成して、照射窓23として残す部分を除いて、その表面を鏡面状反射面24に形成すれば加工が容易である。
【0018】
前記小型モーター27は、ケーシング20の底板19上の一方側に偏位して設置されると共に、該底板19の小型モーター27の他方側には、該小型モーター27と、後述するLED発光部39とに電源を供給する乾電池等の電池30を収納する電池ボックス31が設置され、更に、前記ターンテーブル22の下面に固定された回転補助板25の内側部に、下端縁に摺動用突片32を外側方向へ突設した円筒板33を垂設する一方、前記ケーシング20の上面開口21の上周縁部を下方内側へ折曲して、その先方を水平に内側方向へ折曲した折曲片34の先方部を更に上方へ直角に起立して、前記円筒ド板33の外周面に近接して対面する環状の起立片35を突設すると共に、前記起立片35の下端縁部が前記摺動用突片32上に保持されるように形成されている。
【0019】
更に、前記ターンテーブル22の照射窓23の下面には、LED36を複数個用いて発光色が順次変わるようにプログラムされたLED基盤37の外周縁部に、上方へ拡開した椀状の反射板38を備えたLED発光部39が電池ボックス31の上方側に設置されている。そして、前記椀状の反射板38の上周端縁部は、前記回転補助板25の下部内周端縁部に摺動可能に当接すると共に、該回転補助板25のおよび回転部16の下方移動を阻止している。また、前記LED発光部39は、前記ターンテーブル22と共に回転することなく前記ケーシング20に固定され、且つ前記回転しているターンテーブル22の中央の照射窓23からLED36の点滅による照射光が上方へ照射されるのである。
【0020】
そして、特に限定する必要はないが、好ましくは、前記回転補助板25をすべり性において優れている、例えば、フェノール樹脂や超高分子量ポリエチレン等の合成樹脂により形成することにより、前記椀状の反射板38の上周端縁部が、前記回転補助板25の下部内周端縁部を下方より摺接保持し続けると共に、前記起立片35の下端縁部も前記摺動用突片32上に摺接保持し続けながら、前記小径の駆動歯車28が大径の従動歯車25に噛合して前記ターンテーブル22が低速回転するのである。なお、前記ターンテーブル22は軽量樹脂製とすると共に、該ターンテーブル22上に載置される光輝表示体2を軽量に形成すれば、ターンテーブル22の回転の障害とはならない。
【0021】
一方、前記回転部16の上面に載置する乱反射部17は、江戸切子や薩摩切子のように彫刻や切込細工、あるいはカット面等の乱反射面40を多数設けて形成されたコップ状のグラス41により形成されている。そして、前記乱反射部17を構成するグラス41を前記ターンテーブル22の照射窓23上に載置すると、前記LED36からの照射光は、前記照射窓23を透過して上方へ照射されて、前記グラス41の底部を透過して、前記乱反射面40となる彫刻や切込細工面、あるいはカット面を透過して乱反射して、不規則な照射光となって、該グラス41外に照射されるよう形成されている。
【0022】
前記乱反射部17を構成するグラス41の上端開口部周縁上には、天界表示部18がグラス41を被覆するように載置されて、前記LED36からの照射光を受けながら前記ターンテーブル22と共に回転するよう形成されている。そして、前記天界表示部18は、透明または青色や緑色あるいは薄紫色等の青色系の色に着色された半透明の合成樹脂製の半球状のドーム42により形成されている。
【0023】
なお、図中、43は前記ケーシング20の下部前方に設置された電源スイッチで、前記小型モーター27の起動・停止並びにLED36の点滅を制御するLED基盤37へ通電し、または通電を遮断する。そして、前記ケーシング20内の電池ボックス31にセットされている電池30の交換は、前記ケーシング20の底板19に設けられた電池交換用蓋(図示せず)を開けて交換する。
【0024】
前記構成より成る第1実施例による供養装置Aの作用について説明する。図に示すように、骨壺収納体1を、家屋の棚等の所定場所に、必要であれば、八角形の台板44を置いてその上に載置し、骨壺安置室6内に一人または複数の故人の全骨、分骨または粉骨をそれぞれ納めた大型・中型・小型の骨壺5a・5b・5cを安置(図においては、骨壺安置室6内に大型・中型・小型の骨壺5a・5b・5cを安置しているが、該骨壺安置室6内には前記大型・中型・小型の骨壺5a・5b・5cを1個または複数個を安置することもできる)して、該骨壺安置室6上方の開口部3に被覆板15を被覆固定して、須弥壇10を構成する上方檀9の上端面と面一の平面部とする。
【0025】
前記被覆板15の上面中央部に光輝表示体2を載置すると共に、該光輝表示体2の照射窓23上に乱反射部17を構成するグラス41を載置し、更に該グラス41の上端開口縁上に天界表示体18を構成するドーム42の内周面を、該グラス41を被覆するように載置して、前記乱反射部17上に天界表示部18をセットする。そして、前記光輝表示体2のケーシング20の下方部に設置された電源スイッチ43をONすると、小型モーター27が起動して、小径の駆動歯車29を回転させることにより、こ
れとかみ合う大径の従動歯車26と共にターンテーブル22を低速で回転させ、更にLED発光部39の複数個のLED36が予め設定されたプログラムに従い所定間隔で点滅を繰返して、該LED36の照射光が照射窓23を介して前記グラス41の底部より入射して、該グラス41に設けられた彫刻や切込細工、あるいはカット面等の乱反射面40によって乱反射して上方や外周方向へ透過して拡散し、前記ターンテーブル22の鏡面状反射面24をキラキラとひかり輝かせて、前記ドーム42の下方から照射すると共に、更に該ドーム42の下方からLED35の照射光が乱反射することにより、前記ドーム42がキラキラとひかり輝き、故人が恰も極楽浄土や天国あるいは天界におられるような雰囲気を醸し出し、その状態において、例えば供養者が予めスマートフォンにインストール、あるいは録音機器に録音した「般若心経」や経文の読経音に合わせて読経しながら、故人の供養を自宅においていつでもできるのである。そして、供養後は前記電源スイッチ43をOFFにすることにより、ターンテーブル22の回転とLED36の発光が停止し、供養が終了する。
【0026】
次に、前記本発明の第2実施例による供養装置Bについて説明する。すなわち、第2実施例による供養装置Bは、前記第1実施例における供養装置Aの骨壺安置室6の上部に、故人の粉骨を納めた小型の骨壺5cを安置することができる八角形の粉骨安置板45を載置して形成されている。前記粉骨安置板45は、前記被覆板15上に載置できるよう、該被覆板15と同一径で、且つ八角形に形成されると共に、該八角形の各頂点に対応するように、前記小型の粉骨用の骨壺5cを挿入して安置する8個の挿入孔46を一定間隔で開口して形成されている。
【0027】
前記被覆板15上に載置された粉骨安置板45に開口された8個の円形の挿入孔46に挿入して載置する粉骨を納めた小型の骨壺5cは、前記全骨や分骨用の大型・中型の骨壺に比べて小さく、且つ前記挿入孔46に挿入して安置することができる径に形成されている。そして、前記挿入孔46に挿入すると、前記粉骨安置板45の底部に位置する被覆板15に前記小型の骨壺5cの底面が接して、該小型の骨壺5cは動揺することなく安定して、前記粉骨安置板45に安置される。なお、前記粉骨用の骨壺5cは、特に限定する必要がないが、好ましくは、陶磁器製とすることが好ましく、特に好ましくは、陶磁器のうち、生地がよく焼き締まってガラス化し、吸水性のない純白透明性のある磁器製とすることが、重厚な印象を与え、小型の骨壺5cとしては優れている。また、前記磁器製のものに代わり、金色状に着色したアクリル樹脂製としてもよい。
【0028】
そして、前記第2実施例による供養装置Bの作用については、骨壺安置室6内に一人または複数の故人の全骨または分骨を納めた大型または中型の骨壺5a・5bを安置すると共に、更に、その他の故人の遺骨を粉骨して納めた小型の骨壺5cを、前記粉骨安置板45の挿入孔46に挿入して安置するのである。従って、本第2実施例の供養装置Bと、前記第1実施例の供養装置Aとは、第1実施例の供養装置Aに、更に他の故人の遺骨を粉骨して納めた小型の骨壺5cを前記粉骨安置板45の挿入孔46に挿入して安置して供養するという点が、前記第1実施例による供養装置Aの作用と異なるだけで、光輝表示体2の作用は両者同一であるので、詳細な説明を省略する。
【0029】
更に、前記本発明供養装置においては、光輝表示体2以外の骨壺収納体1およびこれに付属する須弥壇10、被覆板15並びに粉骨安置板45の素材は、特に限定する必要はないが、好ましくは、故人を供養するという目的から、重厚さを重んじ、桐や桧等の木材を使用することが推奨される。
【0030】
なお、本発明においては、骨壺収納体1、須弥壇10を構成する下方壇8および上方壇9の素材である各プレート12・14、前記被覆板15および粉骨安置板45等の各部材が八角形に形成されている。この八角形は仏教においては意味のある形状である。すなわち、仏教においては、お釈迦様が亡くなられて荼毘に付された後、遺骨(仏舎利)は八分され、八方に送られたことから、阿弥陀仏や観音菩薩を安置する仏堂は八角形に造られており、法隆寺の夢殿や興福寺の北円堂は八角形である。更に、仏教では八大菩薩、八大竜王、八功徳、八解脱など多くの「八」のついた言葉が多い。また、初期の舎利塔はどこからでも拝めるように円形だったが、木造になるにつれ円形に近く、より作りやすい八角形に変わって行 った。本発明者は、前記仏教の「八」についての謂れから、前記各部材を八角形とした。
【0031】
前記のように、本発明供養装置は、故人の遺骨をお墓に納骨することなく、自宅において、一人または複数の故人の全骨、分骨または粉骨を納めた大型、中型または小型の骨壺5a・5b・5cを骨壺収納室6内に安置して、あるいは前記骨壺安置室6内に前記全骨または分骨を納めた大型または中型の骨壺5a・5bを安置すると共に、更に、その他の故人の遺骨を粉骨して納めた小型の骨壺5cを、前記骨壺安置室6上に載置された粉骨安置板45に安置して、供養者が故人を供養すべく光輝表示体2を作動させると、LED36の点滅および反射を繰り返して、故人が極楽浄土や天国あるいは天界におられるような雰囲気を醸し出して、スマートフォン等からの般若心経等の読経音に合わせて読経しながら、自宅で故人の供養をすることができるのである。そして、本発明供養装置は、仏壇における供養と同様、お位牌、ローソク立て、線香立ておよびお鈴等の仏具を合わせ使用して供養することもできるのである。
【符号の説明】
【0032】
A 第1実施例による供養装置
B 第2実施例による供養装置
1 骨壺収納体
2 光輝表示体
3 開口部
4 底板
5a・5b・5c 骨壺
6 骨壺安置室
7 仕切り板
8 下方壇
9 上方壇
10 須弥壇
11 挿入開口
12 プレート
13 挿入開口
14 プレート
15 被覆板
16 回転部
17 乱反射部
18 天界表示部
19 底板
20 ケーシング
21 上面開口
22 ターンテーブル
23 照射窓
24 鏡面状反射面
25 回転補助板
26 従動歯車
27 小型モーター
28 回転軸
29 駆動歯車
30 電池
31 電池ボックス
32 摺動用突片
33 円筒板
34 折曲片
35 起立片
36 LED
37 LED基盤
38 反射板
39 LED発光部
40 乱反射面
41 グラス
42 ドーム
43 電源スイッチ
44 台板
45 粉骨安置板
46 挿入孔

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10