(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】トリフルオロヨードメタン(CF3I)及び1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)の共沸混合物又は共沸混合物様組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 5/04 20060101AFI20231110BHJP
【FI】
C09K5/04 E
C09K5/04 C
(21)【出願番号】P 2021520999
(86)(22)【出願日】2019-10-10
(86)【国際出願番号】 US2019055637
(87)【国際公開番号】W WO2020081360
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-10-03
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】チュンゴン、クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】マーケル、ダニエル シー.
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ハイヨン
(72)【発明者】
【氏名】パン、ハン ティ.
(72)【発明者】
【氏名】フルス、リアン ジェイ.
【審査官】中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-128584(JP,A)
【文献】国際公開第2007/148046(WO,A1)
【文献】特表2007-532767(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1218702(CN,A)
【文献】特開2016-222603(JP,A)
【文献】特表平08-506581(JP,A)
【文献】特表2013-531091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.5重量%~79.84重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び
20.16重量%~99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3I)
からなる共沸混合物又は共沸混合物様組成物を含む組成物。
【請求項2】
前記共沸混合物又は共沸混合物様組成物が、
0.5重量%~49.01重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び
50.99重量%~99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3I)
からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記共沸混合物又は共沸混合物様組成物が、
0.5重量%~14重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び
86重量%~99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3I)
からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記共沸混合物又は共沸混合物様組成物が、
2重量%~10重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び
90重量%~98重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3I)
からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記共沸混合物又は共沸混合物様組成物が、
5重量%~6重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び
94重量%~95重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3I)
からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記共沸混合物又は共沸混合物様組成物が、
5.57重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び
94.43重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3I)
からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記共沸混合物又は共沸混合物様組成物が、14.30psia±0.30psiaの圧力で-13.39℃~-22.70℃の沸点を有する、請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記共沸混合物又は共沸混合物様組成物が、14.30psia±0.30psiaの圧力で-22.70℃±0.30℃の沸点を有する、請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF
3I)
からなり、かつ14.30psia±0.30psiaの圧力で
-22.70℃±0.30℃の沸点を有する、共沸混合物又は共沸混合物様組成物を含む組成物。
【請求項10】
前記共沸混合物又は共沸混合物様組成物が、
0.5重量%~14重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び
86重量%~99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3I)
からなる、請求項
9に記載の組成物。
【請求項11】
前記共沸混合物又は共沸混合物様組成物が、
2重量%~10重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び
90重量%~98重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3I)
からなる、請求項
9に記載の組成物。
【請求項12】
前記共沸混合物又は共沸混合物様組成物が、
5重量%~6重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び
94重量%~95重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3I)
からなる、請求項
9に記載の組成物。
【請求項13】
前記共沸混合物又は共沸混合物様組成物が、
5.57重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び
94.43重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3I)
からなる、請求項
9に記載の組成物。
【請求項14】
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)とトリフルオロヨードメタン(CF
3I)とを組み合わせて、
請求項1~6及び9~13のいずれかに記載の共沸混合物又は共沸混合物様組成物を形成する工程を含む、共沸混合物又は共沸混合物様組成物の形成方法。
【請求項15】
前記組み合わせ工程が、
0.5重量%~14重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び
86重量%~99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3I)を組み合わせることを含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記組み合わせ工程が、
2重量%~10重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び
90重量%~98重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3I)を組み合わせることを含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項17】
前記組み合わせ工程が、
5.57重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び
94.43重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3I)を組み合わせることを含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項18】
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、トリフルオロヨードメタン(CF
3I)、及び少なくとも1種の不純物を含む一次組成物から1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF
3I)を分離する方法であって、
前記一次組成物内で、
請求項1~6及び9~13のいずれかに記載の共沸混合物又は共沸混合物様組成物である二次組成物を形成する工程と、
前記一次組成物及び前記少なくとも1種の不純物から前記二次組成物を分離する工程と、を含む、方法。
【請求項19】
前記形成工程が、前記一次組成物内で、
0.5重量%~14重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び
86重量%~99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3I)
からなり、かつ
14.30psia±0.30psiaの圧力で
-22.70℃±0.30℃の沸点を有する、共沸混合物又は共沸混合物様組成物である二次組成物を形成することを含む、請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、トリフルオロヨードメタン(CF
3
I)、及び少なくとも1種の不純物を含む一次組成物を提供する工程と、
前記一次組成物内で、請求項1~6及び9~13のいずれかに記載の共沸混合物又は共沸混合物様組成物である二次組成物を形成する工程と、
前記一次組成物から前記二次組成物を分離する工程と、
前記一次組成物から精製トリフルオロヨードメタン(CF
3
I)を分離する工程と、
を含む、トリフルオロヨードメタン(CF
3
I)を調製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、共沸混合物又は共沸混合物様組成物、特に、トリフルオロヨードメタン(CF3I)及び1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)を含む共沸混合物又は共沸混合物様組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フルオロカーボン系流体は、冷媒、エアゾール噴射剤、発泡剤、伝熱媒体、ガス状誘電体、及び火災抑制などの多くの用途における業界での広範な使用が見出されている。
【0003】
しかしながら、クロロフルオロカーボン(CFC)及びヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)などの特定の化合物は、大気オゾンを破壊する疑いがあり、したがって環境に有害である。更に、これらの化合物の一部は、地球温暖化の一因になると考えられる。したがって、ヒドロフルオロカーボン(HFC)などのオゾン破壊係数が低い若しくは更にはゼロであるフルオロカーボン流体、又は基底水準で放出されたときに短い大気寿命を示す光分解可能な炭素ヨウ素結合を有するものを使用することが望ましい。沸騰及び蒸発で分留しない、単一成分流体又は共沸混合物の使用も望ましい。
【0004】
残念ながら、共沸混合物の形成が容易に予測できないという事実により、新たな環境的に安全な非分留混合物の同定は困難である。
【0005】
業界は、代替物を提供し、かつ今日使用されているCFC、HCFC、及びHFCの環境的により安全な置換物と考えられる、新たなフルオロカーボン系混合物を絶えず追及している。特に興味深いのは、オゾン破壊係数が低く、地球温暖化係数が低い、ヨウ化物含有化合物及び他のフッ素化化合物である。このような混合物は、本開示の対象である。
【0006】
ヨウ化物含有化合物は非常に潜在的に興味深いものであるが、トリフルオロヨードメタン(CF3I)などのヨウ化物含有化合物の精製は課題を示しており、例えばトリフルオロメタン(HFC-23)などのトリフルオロヨードメタン(CF3I)からの不純物の除去に関する技術は常に需要がある。したがって、例えば共沸蒸留などの分離技術が非常に望ましいであろう。
【0007】
必要とされるのは、高純度のトリフルオロヨードメタン(CF3I)などのヨウ化物含有化合物の調製に使用され得る組成物及び技術である。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)及び1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)を含む共沸混合物又は共沸混合物様組成物を提供する。
【0009】
共沸混合物の形成を予測することは不可能であることが当該技術分野において周知であり、本発明者らは、予期せずに、トリフルオロヨードメタン(CF3I)及び1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)が共沸混合物又は共沸混合物様組成物を形成することを発見した。
【0010】
本開示は、有効量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる共沸混合物又は共沸混合物様組成物を含む組成物を提供する。
【0011】
共沸混合物又は共沸混合物様組成物は、約0.5重量%~約14重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、約2重量%~約10重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、約5重量%~約6重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、又は約5.57重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)と、約86重量%~約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)、約90重量%~約98重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)、約94重量%~約95重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)、又は約94.43重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)とを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる。
【0012】
換言すれば、共沸混合物又は共沸混合物様組成物は、約0.5重量%~約14重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約86重量%~約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)、又は約2重量%~約10重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約90重量%~約98重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)、又は約5重量%~約6重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約94重量%~約95重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)、又は約5.57重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約94.43重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)を含み得る。共沸混合物又は共沸混合物様組成物は、上記量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)から本質的になるか、又は上記量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)からなり得る。
【0013】
共沸混合物又は共沸混合物様組成物は、約14.30psia±0.30psiaの圧力で約-22.70℃±0.30℃の沸点を有する。
【0014】
その別の形態では、本開示は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)から本質的になり、かつ約14.30psia±0.30psiaの圧力で約-22.70℃±0.30℃の沸点を有する、共沸混合物又は共沸混合物様組成物を提供する。
【0015】
その更に別の形態では、本開示は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)とトリフルオロヨードメタン(CF3I)とを組み合わせて、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる共沸混合物又は共沸混合物様組成物を形成する工程を含む、共沸混合物又は共沸混合物様組成物の形成方法を提供する。共沸混合物又は共沸混合物様組成物は、約14.30psia±0.30psiaの圧力で約-22.70℃±0.30℃の沸点を有し得る。
【0016】
そのまた更に別の形態では、本開示は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、トリフルオロヨードメタン(CF3I)、及び少なくとも1種の不純物を含む一次組成物から1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)を分離する方法を提供し、これは、一次組成物内で、有効量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる共沸混合物又は共沸混合物様組成物である二次組成物を形成する工程であって、共沸混合物又は共沸混合物様組成物が、約14.30psia±0.30psiaの圧力で約-22.70℃±0.30℃の沸点を有し得る、工程と、一次組成物及び少なくとも1種の不純物から二次組成物を分離する工程と、を含む。
【0017】
前述の方法では、形成工程は、一次組成物内で、約0.5重量%~約14重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約86重量%~約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)を含む、これらから本質的になる、又はこれからなる共沸混合物又は共沸混合物様組成物であり、かつ約14.30psia±0.30psiaの圧力で約-22.70℃±0.30℃の沸点を有し得る、二次組成物を形成することを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施例1に従って測定された1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)の重量%に対する温度のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)と均質で最低沸点の共沸混合物及び共沸混合物様組成物又は混合物を形成することが見出されており、本開示は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)を含む均質な共沸混合物又は共沸混合物様組成物を提供する。共沸混合物又は共沸混合物様組成物は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)から本質的になってもよく、又は共沸混合物又は共沸混合物様組成物は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)からなってもよい。
【0020】
本発明者らは、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)が共沸混合物又は共沸混合物様組成物を形成することを実験的に見出した。
【0021】
「共沸混合物」組成物は、2つ以上の成分の固有の組み合わせである。共沸混合物組成物は、様々な方法で特徴付けることができる。例えば、所与の圧力において、共沸混合物組成物は、より高沸点の成分よりも高い(最高沸点共沸混合物)か、又はより低沸点の成分よりも低い(最低沸点共沸混合物)かいずれかである一定の特性温度で沸騰する。この特性温度では、気液両相で同じ組成が存在するであろう。共沸混合物組成物は、沸騰又は蒸発時に分留しない。したがって、共沸混合物組成物の成分を、相変化中に分離することはできない。
【0022】
共沸混合物組成物はまた、特性共沸温度において、液相のバブルポイント圧が気相の露点圧と同一であることでも特徴付けられる。
【0023】
共沸混合物組成物の挙動は、沸騰又は蒸発中に液体組成物が実質的な度合まで変化する非共沸混合物組成物の挙動とは対照的である。
【0024】
本開示の目的のために、共沸混合物組成物は、一定の特性温度で沸騰し、この温度は、2つ以上の成分の沸点より低く(最低沸点共沸混合物)、それによって気液両相で同じ組成を有する組成物として特徴付けられる。
【0025】
しかしながら、当業者は、異なる圧力では、共沸混合物組成物の組成及び沸点はどちらもある程度変化することを理解するであろう。したがって、温度及び/又は圧力に応じて、共沸混合物組成物は、可変組成を有することができる。したがって、当業者は、固定組成ではなく組成範囲を使用して共沸混合物組成物を定義することができることを理解するであろう。加えて、共沸混合物は、特定圧力での固定沸点によって特徴付けられる組成物の各成分の正確な重量百分率に関して定義されてもよい。
【0026】
「共沸混合物様」組成物は、共沸混合物組成物として実質的に挙動する2つ以上の成分の組成物である。したがって、本開示の目的のために、共沸混合物様組成物は、所与の圧力下で液体形態であるとき、実質的に一定の温度で沸騰し、沸騰している液体組成と実質的に同一の蒸気組成を提供するであろう、2つ以上の異なる成分の組み合わせである。
【0027】
本開示の目的のために、共沸混合物様組成物は、約14.30psia±0.30psiaの圧力で約-22.70℃±0.30℃の温度範囲において沸騰する組成物又は組成物の範囲である。
【0028】
共沸混合物又は共沸混合物様組成物は、多数の異なる方法を用いて同定することができる。
【0029】
本開示の目的のために、共沸混合物又は共沸混合物様組成物を、エブリオメータを用いて実験的に同定する(Walas,Phase Equilibria in Chemical Engineering,Butterworth-Heinemann,1985,533-544)。エブリオメータは、気液平衡の温度を測定することによって、液体の沸点の極めて正確な測定値を提供するように設計されている。
【0030】
各成分単独の沸点を、一定圧力で測定する。当業者には理解されるように、二成分共沸混合物又は共沸混合物様組成物の場合、組成物の成分の一方の沸点を最初に測定する。次いで、組成物の第2の成分を様々な量で添加し、得られた組成物のそれぞれの沸点を、前述の一定圧力でエブリオメータを用いて測定する。
【0031】
測定した沸点は、試験した組成物の組成、例えば、二成分共沸混合物の場合、組成物に添加した第2の成分の量(重量%又はモル%のいずれかとして表記)に対してプロットされる。共沸混合物組成物の存在は、成分単独のいずれの沸点よりも高いか又は低い最高又は最低沸点の観測によって同定することができる。
【0032】
当業者には理解されるように、共沸混合物又は共沸混合物様組成物の同定は、第1の成分の沸点に対して、第1の成分に第2の成分を添加した際の組成物の沸点の変化を比較することによって行われる。したがって、沸点の変化を測定するために、記録された特定成分の沸点に対して系を校正する必要はない。
【0033】
前述のように、最高又は最低沸点では、気相の組成は液相の組成と同一になるであろう。したがって、共沸混合物様組成物は、実質的に一定の最低又は最高沸点、すなわち約14.30psia±0.30psiaの圧力で約-22.70℃±0.30℃の沸点を提供する成分の組成物であり、その実質的に一定の沸点では、気相の組成は液相の組成と実質的に同一になるであろう。
【0034】
本開示は、共沸混合物又は共沸混合物様組成物を形成するために有効量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)を含む、共沸混合物又は共沸混合物様組成物を提供する。本明細書で使用される場合、用語「有効量」は、他の構成要素と組み合わせられると、共沸混合物又は共沸混合物様混合物の形成をもたらす各構成要素の量である。
【0035】
本共沸混合物又は共沸混合物様組成物は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)とトリフルオロヨードメタン(CF3I)との組み合わせから本質的になるか、又は1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)とトリフルオロヨードメタン(CF3I)との組み合わせからなり得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、共沸混合物又は共沸混合物様組成物又は混合物の構成要素に関して、用語「から本質的になる」とは、組成物が、共沸混合物又は共沸混合物様の比で示された構成要素を含有し、追加の構成要素が新たな共沸混合物又は共沸混合物様の系を形成しないという条件で、追加の構成要素を含有し得ることを意味する。例えば、2つの化合物から本質的になる共沸混合物は、二成分の共沸混合物を形成するものであり、追加の構成要素が混合物を非共沸性にせず、化合物のいずれか又は両方と共沸混合物を形成しない(例えば、三成分以上の共沸混合物を形成しない)という条件で、任意選択的に、1つ以上の追加の構成要素を含んでもよい。
【0037】
本開示はまた、有効量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)を混合するか、組み合わせるか、又はブレンドすることによって共沸混合物又は共沸混合物様組成物を形成する方法も提供する。2つ以上の構成要素を組み合わせて組成物を形成するための、当該技術分野において既知の多種多様な方法のうちのいずれかを、本発明の方法に使用することができる。例えば、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)とトリフルオロヨードメタン(CF3I)とを、バッチ式若しくは連続式の反応及び/若しくはプロセスの一部として、又は2つ以上のかかる工程の組み合わせを介して、手によって及び/又は機械によって、混合、ブレンド、又は組み合わせることができる。1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)はいずれも市販されており、いくつかの異なる供給メーカーから入手することができる。構成要素は、例えば、秤量し、次いでその量を組み合わせることによって、必要量で提供することができる。
【0038】
共沸混合物又は共沸混合物様組成物は、約0.5重量%~約14重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、約2重量%~約10重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、約5重量%~約6重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、又は約5.57重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)と、約86重量%~約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)、約90重量%~約98重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)、約94重量%~約95重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)、又は約94.43重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)とを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる。本開示の共沸混合物又は共沸混合物様組成物は、約14.30psia±0.30psiaの圧力で約-22.70℃±0.30℃の沸点を有する。
【0039】
換言すれば、共沸混合物又は共沸混合物様組成物は、約0.5重量%~約14重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約86重量%~約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)、又は約2重量%~約10重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約90重量%~約98重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)、又は約5重量%~約6重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約94重量%~約95重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)、又は約5.57重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約94.43重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)を含み得る。共沸混合物又は共沸混合物様組成物は、上記量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)から本質的になるか、又は上記量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)からなり得る。
【0040】
本開示の共沸混合物又は共沸混合物様組成物は、約14.30psia±0.30psiaの圧力で約-22.70℃±0.30℃の沸点を有する。
【0041】
あるいは、共沸混合物又は共沸混合物様組成物は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)をわずか約0.5重量%、約2重量%、若しくは約5重量%、又は約6重量%程度、約10重量%、若しくは約14重量%、又は前述の値のいずれか2つの間に定義される任意の範囲内で含むか、これから本質的になるか、又はこれからなり、かつ共沸混合物又は共沸混合物様組成物は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)をわずか約86重量%、約90重量%、若しくは約94重量%、又は約95重量%程度、約98重量%、若しくは約99.5重量%、又は前述の値のいずれか2つの間に定義される任意の範囲内で含むか、これから本質的になるか、又はこれからなる。一実施形態では、共沸混合物又は共沸混合物様組成物は、約5.57重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約94.43重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる。本開示の共沸混合物又は共沸混合物様組成物は、約14.30psia±0.30psiaの圧力で約-22.70℃±0.30℃の沸点を有する。
【0042】
本開示はまた、共沸混合物又は共沸混合物様組成物を含む組成物も提供する。例えば、少なくとも約5重量%の共沸混合物若しくは共沸混合物様組成物、又は少なくとも約15重量%の共沸混合物若しくは共沸混合物様組成物、又は少なくとも約50重量%の共沸混合物若しくは共沸混合物様組成物、又は少なくとも約70重量%の共沸混合物若しくは共沸混合物様組成物、又は少なくとも約90重量%の共沸混合物若しくは共沸混合物様組成物を含む組成物が提供される。
【0043】
本明細書に開示される有効量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる共沸混合物又は共沸混合物様組成物は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び/又はトリフルオロヨードメタン(CF3I)から不純物を分離するために使用され得る。トリフルオロヨードメタン(CF3I)中に存在し得る1つの不純物は、トリフルオロメタン(HFC-23)である。
【0044】
有効量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる共沸性又は共沸混合物様組成物の調製は、例えば共沸蒸留などの分離技術を使用して、トリフルオロヨードメタン(CF3I)から不純物を除去し、高純度のトリフルオロヨードメタン(CF3I)を提供することができる。
【0045】
一実施例では、有効量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる共沸混合物又は共沸混合物様組成物は、不純物などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)以外の1種以上の他の化学化合物と共に、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)の一方又は両方を含む組成物から形成されてもよい。共沸混合物又は共沸混合物様組成物を形成した後、共沸混合物又は共沸混合物様組成物を、蒸留、相分離、又は分留などの好適な方法によって他の化学化合物から分離してもよい。
【0046】
このようにして、本開示は、少なくとも1種の追加の不純物と共に1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)を不純物として含むトリフルオロヨードメタン(CF3I)の一次粗組成物から、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)を不純物として分離する方法を提供し、これは、粗トリフルオロヨードメタン(CF3I)、不純物としての1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、及び少なくとも1種の追加の不純物からなる一次組成物を提供する工程と、例えば、有効量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる共沸混合物又は共沸混合物様組成物である二次組成物を形成するのに有効な条件で、一次組成物を蒸留に供する工程と、例えば、相分離、蒸留、又は分留などの分離技術によって一次組成物から二次組成物を分離する工程と、を含む。その後、一次組成物を更なる分離又は精製工程に供して、精製トリフルオロヨードメタン(CF3I)を得てもよい。
【0047】
以下の非限定的な実施例は、本開示を例示するのに役立つ。
【実施例】
【0048】
実施例1-エブリオメータ試験
エブリオメータを使用して、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)の共沸混合物及び共沸混合物様組成物を測定した。エブリオメータは、底部で密封され、上部で大気に開放された真空ジャケット付きガラス容器を含んだ。エブリオメータの上部、すなわち凝縮器ジャケットにドライアイスとエタノールとの混合物を充填して、14.30psiaの圧力における1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)の標準沸点の-1.96℃及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)の-22.57℃よりも著しく低い、約-72℃の温度に到達させた。このようにして、系中の全ての蒸気が凝縮され、エブリオメータに還流することにより、確実に液相及び気相が平衡状態になるようにした。ガラス容器内に±0.002℃の精度を有する水晶白金温度計を挿入して使用し、混合物の平衡沸点に相当する凝縮蒸気の温度を測定した。エブリオメータ内で混合物の穏やかな沸騰を維持するのに役立つように、沸騰石を使用した。
【0049】
以下の手順を使用した。
【0050】
1.水晶温度計を、氷/水スラリーを含有する長いデュワに浸漬し、温度計が0℃を示したことを確認した。デュワは、温度計の軸の長さの少なくとも3/4が氷/水中に浸漬するように十分に深かった。温度計の抵抗をオーム単位で記録した。
【0051】
2.凝縮器ジャケットをエタノールで1/4まで充填した。エタノールの吹きこぼれ及び/又は飛び散りを避けるために、ドライアイスを徐々に導入することで凝縮器ジャケットを冷却した。
【0052】
3.既知量のトリフルオロヨードメタン(CF3I)又は1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)をエブリオメータに添加し、激しく還流する状態にした。温度及び気圧を、温度指示計付き気圧計を使用して記録した。
【0053】
測定は2つの工程で実施した。第1の工程では、ガスクロマトグラフィ(GC)によって測定したときに99.88面積%の純度を有するトリフルオロヨードメタン(CF3I)の約23.40gを、最初に±0.01gの精度を有する秤を用いて添加の前後に容器を計量することによってエブリオメータに導入した。液体を沸騰させ、記録された気圧においてトリフルオロヨードメタン(CF3I)の平衡温度を記録した。次いで、ガスクロマトグラフィ(GC)によって測定したときに99.99面積%の純度を有する1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)を、少しずつエブリオメータに導入し、凝縮された液体混合物の平衡温度を記録した。
【0054】
第2の工程では、ガスクロマトグラフィ(GC)によって測定したときに99.99面積%の純度を有する1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)の約15.90gを、±0.01gの精度を有する秤を用いて添加の前後に容器を計量することによってエブリオメータに導入した。液体を沸騰させ、記録された気圧において1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)の平衡温度を記録した。次いで、ガスクロマトグラフィ(GC)によって測定したときに99.88面積%の純度を有するトリフルオロヨードメタン(CF3I)を、少しずつエブリオメータに導入し、凝縮された液体混合物の平衡温度を記録した。
【0055】
上記の第1及び第2の工程からのデータを組み合わせて、以下の表1に示す1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF
3I)のそれぞれの0~100重量パーセントの組成範囲データを完成させた。これは、共沸混合物が形成されたことを示す最低温度を示しており、このデータをグラフの形態で
図1にも示す。混合物のバブルポイント温度は一定のまま留まり、これは、混合物が広い組成範囲にわたって共沸混合物様であることを示した。
【表1】
実施例2-不純物の分離
【0056】
この実施例では、トリフルオロメタン(HFC-23)などの他の不純物と共に、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)を不純物として含む、トリフルオロヨードメタン(CF3I)の粗組成物を提供する。次いで、この組成物を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)の共沸混合物又は共沸混合物様組成物を形成して組成物の残りから分離するのに有効な条件で蒸留に供する。分離した1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)の共沸混合物又は共沸混合物様組成物を、残りのトリフルオロヨードメタン(CF3I)の粗組成物から軽質成分として除去する。次いで、残りのトリフルオロヨードメタン(CF3I)の粗組成物を異なる温度及び圧力条件に供し、トリフルオロメタン(HFC-23)などの他の不純物を更なる蒸留で分離して、精製トリフルオロヨードメタン(CF3I)を得てもよい。
態様
【0057】
態様1は、有効量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)を含む共沸混合物又は共沸混合物様組成物である。
【0058】
態様2は、約0.5重量%~約14重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約86重量%~約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)を含む、態様1の共沸混合物又は共沸混合物様組成物である。
【0059】
態様3は、約2重量%~約10重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約90重量%~約98重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)を含む、態様2の共沸混合物又は共沸混合物様組成物である。
【0060】
態様4は、約5重量%~約6重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約94重量%~約95重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)を含む、態様3の共沸混合物又は共沸混合物様組成物である。
【0061】
態様5は、約5.57重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約94.43重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)を含む、態様4の共沸混合物又は共沸混合物様組成物である。
【0062】
態様6は、組成物が約14.30psia±0.30psiaの圧力で約-22.70℃±0.30℃の沸点を有する、態様1~5のいずれかの共沸混合物又は共沸混合物様組成物である。
【0063】
態様7は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)から本質的になる、態様1~6のいずれかの共沸混合物又は共沸混合物様組成物である。
【0064】
態様8は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)からなる、態様1~7のいずれかの共沸混合物又は共沸混合物様組成物である。
【0065】
態様9は、態様1~8のいずれかの共沸混合物又は共沸混合物様組成物を含む組成物である。
【0066】
態様10は、少なくとも約5重量%の共沸混合物又は共沸混合物様組成物を含む、態様9の組成物である。
【0067】
態様11は、少なくとも約15重量%の共沸混合物又は共沸混合物様組成物を含む、態様10の組成物である。
【0068】
態様12は、少なくとも約50重量%の共沸混合物又は共沸混合物様組成物を含む、態様11の組成物である。
【0069】
態様13は、少なくとも約70重量%の共沸混合物又は共沸混合物様組成物を含む、態様12の組成物である。
【0070】
態様14は、少なくとも約90重量%の共沸混合物又は共沸混合物様組成物を含む、態様13の組成物である。
【0071】
態様15は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)とトリフルオロヨードメタン(CF3I)とを組み合わせて、有効量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)を含む共沸混合物又は共沸混合物様組成物を形成する工程を含む、共沸混合物又は共沸混合物様組成物の形成方法である。
【0072】
態様16は、方法が、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)とトリフルオロヨードメタン(CF3I)とを組み合わせて、態様1~8のいずれかの共沸混合物又は共沸混合物様組成物を形成する工程を含む、態様15の方法である。
【0073】
態様17は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、トリフルオロヨードメタン(CF3I)、及び少なくとも1種の不純物を含む一次組成物から1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)を分離する方法であって、一次組成物内で、有効量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)を含む共沸混合物又は共沸混合物様組成物である二次組成物を形成する工程と、一次組成物及び少なくとも1種の不純物から二次共沸混合物又は共沸混合物様組成物を分離する工程と、を含む、方法である。
【0074】
態様18は、共沸混合物又は共沸混合物様組成物が、態様1~8のいずれかに定義されるとおりである、態様17の方法である。
【0075】
態様19は、分離が、相分離、蒸留、及び分留のうちの少なくとも1つによって行われる、態様17又は18の方法である。
【0076】
本明細書で使用するとき、「前述の値のうちの任意の2つの間で定義される任意の範囲内」という句は、それらの値が列挙のより低い部分にあるか又は列挙のより高い部分にあるかにかかわらず、任意の範囲がそのような句の前に列挙された値のうちの任意の2つから選択され得ることを意味する。例えば、1対の値は、2つのより低い値、2つのより高い値、又はより低い値及びより高い値から選択されてもよい。
【0077】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでない旨を明確に指示しない限り、複数形を含む。更に、量、濃度、又は他の値若しくはパラメータが、範囲、好ましい範囲、又は上方の好ましい値と下方の好ましい値との列挙のいずれかとして与えられるとき、これは、範囲が別々に開示されているかどうかにかかわらず、任意の上限範囲又は上方の好ましい値と任意の下限範囲又は下方の好ましい値との任意の対から形成される全ての範囲を具体的に開示しているものとして理解されるべきである。数値の範囲が本明細書に列挙されている場合、特に明記しない限り、範囲は、その端点、並びに範囲内の全ての整数及び端数を含むことが意図される。本開示の範囲は、範囲を定義するときに列挙される特定の値に限定されることを意図するものではない。
【0078】
前述の説明は、本開示の単なる例示に過ぎないことが理解されるべきである。本開示から逸脱することなく、当業者によって様々な代替形態及び修正形態を考案することができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲内に含まれる全てのかかる代替形態、修正形態、及び変動を包含することを意図する。
本発明は以下の態様を含む。
[1]
有効量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF
3
I)から本質的になる共沸混合物又は共沸混合物様組成物を含む組成物。
[2]
前記共沸混合物又は共沸混合物様組成物が、約14.30psia±0.30psiaの圧力で約-22.70℃±0.30℃の沸点を有する、[1]に記載の組成物。
[3]
前記共沸混合物又は共沸混合物様組成物が、約0.5重量%~約14重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約86重量%~約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3
I)から本質的になる、[1]に記載の組成物。
[4]
前記共沸混合物又は共沸混合物様組成物が、約2重量%~約10重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約90重量%~約98重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3
I)から本質的になる、[1]に記載の組成物。
[5]
前記共沸混合物又は共沸混合物様組成物が、約5重量%~約6重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約94重量%~約95重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3
I)から本質的になる、[1]に記載の組成物。
[6]
前記共沸混合物又は共沸混合物様組成物が、約5.57重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約94.43重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3
I)から本質的になる、[1]に記載の組成物。
[7]
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF
3
I)から本質的になり、かつ約14.30psia±0.30psiaの圧力で約-22.70℃±0.30℃の沸点を有する、共沸混合物又は共沸混合物様組成物を含む組成物。
[8]
前記共沸混合物又は共沸混合物様組成物が、約0.5重量%~約14重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約86重量%~約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3
I)から本質的になる、[7]に記載の組成物。
[9]
前記共沸混合物又は共沸混合物様組成物が、約2重量%~約10重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約90重量%~約98重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3
I)から本質的になる、[7]に記載の組成物。
[10]
前記共沸混合物又は共沸混合物様組成物が、約5重量%~約6重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約94重量%~約95重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3
I)から本質的になる、[7]に記載の組成物。
[11]
前記共沸混合物又は共沸混合物様組成物が、約5.57重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約94.43重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3
I)から本質的になる、[7]に記載の組成物。
[12]
前記共沸混合物又は共沸混合物様組成物が、約0.5重量%~約14重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約86重量%~約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3
I)からなる、[7]に記載の組成物。
[13]
前記共沸混合物又は共沸混合物様組成物が、約2重量%~約10重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約90重量%~約98重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3
I)からなる、[7]に記載の組成物。
[14]
前記共沸混合物又は共沸混合物様組成物が、約5.57重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約94.43重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3
I)からなる、[7]に記載の組成物。
[15]
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)とトリフルオロヨードメタン(CF
3
I)とを組み合わせて、約14.30psia±0.30psiaの圧力で約-22.70℃±0.30℃の沸点を有する1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF
3
I)から本質的になる共沸混合物又は共沸混合物様組成物を形成する工程を含む、共沸混合物又は共沸混合物様組成物の形成方法。
[16]
前記組み合わせ工程が、約0.5重量%~約14重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約86重量%~約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3
I)を組み合わせることを含む、[15]に記載の方法。
[17]
前記組み合わせ工程が、約2重量%~約10重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約90重量%~約98重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3
I)を組み合わせることを含む、[15]に記載の方法。
[18]
前記組み合わせ工程が、約5.57重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約94.43重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3
I)を組み合わせることを含む、[15]に記載の方法。
[19]
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、トリフルオロヨードメタン(CF
3
I)、及び少なくとも1種の不純物を含む一次組成物から1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF
3
I)を分離する方法であって、
前記一次組成物内で、約14.30psia±0.30psiaの圧力で約-22.70℃±0.30℃の沸点を有する、有効量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及びトリフルオロヨードメタン(CF
3
I)から本質的になる、共沸混合物又は共沸混合物様組成物である二次組成物を形成する工程と、
前記一次組成物及び前記少なくとも1種の不純物から前記二次組成物を分離する工程と、を含む、方法。
[20]
前記形成工程が、前記一次組成物内で、約0.5重量%~約14重量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)及び約86重量%~約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF
3
I)から本質的になり、かつ約14.30psia±0.30psiaの圧力で約-22.70℃±0.30℃の沸点を有する、共沸混合物又は共沸混合物様組成物である二次組成物を形成することを含む、[19]に記載の方法。