(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】変位測定装置、変位測定方法およびフォトリソグラフィー装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/00 20060101AFI20231110BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
G01B11/00 G
G03F7/20 521
(21)【出願番号】P 2021563595
(86)(22)【出願日】2020-04-24
(86)【国際出願番号】 CN2020086684
(87)【国際公開番号】W WO2020216325
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-12-27
(31)【優先権主張番号】201910344621.4
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】309012351
【氏名又は名称】シャンハイ マイクロ エレクトロニクス イクイプメント(グループ)カンパニー リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】ウ ピング
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/019264(WO,A1)
【文献】特開平08-005324(JP,A)
【文献】特開昭63-038102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G03F 7/20-7/24
9/00-9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一入力光ビームおよび第二入力光ビームを生成する光源モジュールと、
光接触面および前記光接触面に平行する方向に沿って配置された複数の重複回折ユニットを含む回折部材と、
少なくとも二つの再帰反射部材を含み、前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームを受け、さらに、前記回折部材の光接触面に平行に接触させるとともに回折されるように前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームを誘導し、続いて、回折された第一入力光ビームおよび第二入力光ビームのうちの少なくとも一方を前記少なくとも二つの再帰反射部材によって誘導して他方と組み合わせることにより少なくとも一つの出力光ビームを形成し、各前記出力光ビームは、前記回折部材の光接触面内の同じ光スポット位置から出射される同じ方向であって、かつそれぞれ前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームに対応する回折光信号を含む読み取りヘッドと、
各前記出力光ビームを検出する光学検出モジュールと、
前記光学検出モジュールに接続され、各前記出力光ビームにより生成される干渉信号の位相変化情報に基づいて前記回折部材の変位情報を取得する信号分析モジュールと、
を備え、
前記読み取りヘッドによって前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームを誘導して前記回折部材の光接触面に平行に接触させる際、前記第一入力光ビームは第一光スポット位置において一次回折され、前記第二入力光ビームは第二光スポット位置において一次回折され、前記第一入力光ビームの一次回折光ビームは、前記再帰反射部材および前記回折部材により往復反射された後、前記第二光スポット位置において前記第二入力光ビームの一次回折光ビームと少なくとも部分的に重なり合い、かつ同じ方向に沿って出射することにより第一出力光ビームを形成し、
前記第一出力光ビームの干渉信号の位相変化情報は、前記回折部材の光接触面の法線方向に沿った垂直方向の自由度の第一変位情報を反映する、変位測定装置。
【請求項2】
前記読み取りヘッドによって前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームを誘導して前記回折部材の光接触面に平行に接触させる際、前記第一入力光ビームは第一光スポット位置において一次回折され、前記第二入力光ビームは第二光スポット位置において一次回折され、前記第二入力光ビームの一次回折光ビームは、前記再帰反射部材および前記回折部材により往復反射された後、前記第一光スポット位置において前記第一入力光ビームの一次回折光ビームと少なくとも部分的に重なり合い、かつ同じ方向に沿って出射することにより第二出力光ビームを形成し、
前記第二出力光ビームの干渉信号の位相変化情報は、前記回折部材の光接触面の法線方向に沿った垂直方向の自由度の第二変位情報を反映する、
ことを特徴とする請求項1に記載の変位測定装置。
【請求項3】
前記第一出力光ビームおよび前記第二出力光ビームは、いずれも同じ回折次数における方向が同じであってかつ前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームのそれぞれに対応する一次回折光信号を含み、
前記第一出力光ビームおよび前記第二出力光ビームの干渉位相は逆である、
ことを特徴とする請求項2に記載の変位測定装置。
【請求項4】
前記第一出力光ビームは、前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームの(+1)回折次数における一次回折光信号を含み、前記第二出力光ビームは、前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームの(-1)回折次数における一次回折光信号を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の変位測定装置。
【請求項5】
前記信号分析モジュールは、さらに、前記第一出力光ビームおよび前記第二出力光ビームの干渉信号の位相変化情報に基づいて、前記回折部材の光接触面内の軸周りを回転する方向の回転自由度における変位情報を取得する、
ことを特徴とする請求項2に記載の変位測定装置。
【請求項6】
前記読み取りヘッドによって前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームを誘導して前記回折部材の光接触面に平行に接触させた後、前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームの一次回折光ビームのそれぞれは、前記再帰反射部材の再帰反射によって前記回折部材と再び接触して二次回折され、前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームの二次回折光ビームは前記回折部材の第三光スポット位置において少なくとも部分的に重なり合い、かつ同じ方向に沿って出射することにより第三出力光ビームを形成し、
前記第三出力光ビームの干渉信号の位相変化情報は、前記回折部材の前記光接触面に平行する平行方向に沿った水平方向の自由度の第三変位情報を反映する、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の変位測定装置。
【請求項7】
前記回折部材は、一次元格子または二次元格子である、ことを特徴とする請求項1に記載の変位測定装置。
【請求項8】
前記再帰反射部材は、角錐プリズム、直角プリズム、キャッツアイリフレクターおよびダブプリズムのうちのいずれか一つである、ことを特徴とする請求項1に記載の変位測定装置。
【請求項9】
前記読み取りヘッドは、光ビーム角度コントローラを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の変位測定装置。
【請求項10】
前記光ビーム角度コントローラは、一個のくさび部材、一対のくさび部材、回折格子および複屈折部材のうちのいずれか一つである、ことを特徴とする請求項9に記載の変位測定装置。
【請求項11】
前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームは、異なる周波数を有するレーザービームである、ことを特徴とする請求項1に記載の変位測定装置。
【請求項12】
前記光源モジュールは、光ファイバ伝送に基づく二重周波数レーザーを含み、平行方向に沿って前記回折部材に接触する前、前記読み取りヘッドは、さらに、受けた前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームに対してそれぞれ分割および合成することにより遠隔の参考光ビームを形成する、ことを特徴とする請求項11に記載の変位測定装置。
【請求項13】
前記光源モジュールは、自由空間二重周波数レーザーおよび分光部材を含み、前記自由空間二重周波数レーザーは、二重周波数の光ビームを生成し、前記分光部材は、前記二重周波数の光ビームを偏光方向の直交する二つの光ビームに分割する、ことを特徴とする請求項11に記載の変位測定装置。
【請求項14】
前記光源モジュールは偏光制御部品を含み、前記偏光制御部品は、各前記出力光ビームのうち前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームのそれぞれに対応する複数の前記回折光信号の前記光学検出モジュールに入る際の偏光方向を同じくさせる、ことを特徴とする請求項11に記載の変位測定装置。
【請求項15】
前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームは、同じ周波数のレーザービームである、ことを特徴とする請求項1に記載の変位測定装置。
【請求項16】
前記光源モジュールまたは前記読み取りヘッドは偏光制御部品を含み、前記偏光制御部品は、各前記出力光ビームのうち前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームのそれぞれに対応する前記複数の回折光ビームを、前記光学検出モジュールに入る際の偏光方向を直交させる、ことを特徴とする請求項15に記載の変位測定装置。
【請求項17】
前記読み取りヘッドは、少なくとも四つの出力光ビームを生成し、前記光学検出モジュールは、前記少なくとも四つの出力光ビームを検出した後、各前記出力光ビームの干渉信号について位相を変位して、順に90度オフセットした四つの前記出力光ビームを出力する、ことを特徴とする請求項16に記載の変位測定装置。
【請求項18】
光接触面および前記光接触面に平行する方向に沿って配置された複数の重複回折ユニットを含む回折部材を提供するステップと、
第一入力光ビームおよび第二入力光ビームを取得するステップと、
前記回折部材の光接触面に平行に接触させるとともに回折されるように前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームを誘導し、続いて、回折された第一入力光ビームおよび第二入力光ビームのうちの少なくとも一方を少なくとも二つの再帰反射部材によって誘導して他方と組み合わせることにより少なくとも一つの出力光ビームを形成し、各前記出力光ビームは、前記回折部材の光接触面内の同じ光スポット位置から出射される同じ方向であって、かつそれぞれ前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームに対応する回折光信号を含むようにするステップと、
前記出力光ビームを検出するステップと、
各前記出力光ビームにより生成される干渉信号の位相変化情報に基づいて前記回折部材の変位情報を取得するステップと、
有し、
前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームを誘導して前記回折部材の光接触面に平行に接触させる際、前記第一入力光ビームは第一光スポット位置において一次回折され、前記第二入力光ビームは第二光スポット位置において一次回折され、前記第一入力光ビームの一次回折光ビームは、前記再帰反射部材および前記回折部材により往復反射された後、前記第二光スポット位置において前記第二入力光ビームの一次回折光ビームと少なくとも部分的に重なり合い、かつ同じ方向に沿って出射することにより第一出力光ビームを形成し、
前記第一出力光ビームの干渉信号の位相変化情報は、前記回折部材の光接触面の法線方向に沿った垂直方向の自由度の第一変位情報を反映する変位測定方法。
【請求項19】
前記第一出力光ビームの干渉信号の位相変化と、前記回折部材の垂直方向の自由度に沿った変位とは、以下の関係式を満たし、
【数1】
ここで、φz1は前記第一出力光ビームの干渉信号の位相変化であり、ΔZ1は前記回折部材の垂直方向の自由度での変位量であり、λは前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームの波長の平均値であり、θは前記回折部材の光接触面に平行に接触した後に生じる前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームの一次回折のm次数における回折角であり、mは0以外の整数である、
ことを特徴とする、請求項18に記載の変位測定方法。
【請求項20】
読み取りヘッドによって前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームを誘導して前記回折部材の光接触面に平行に接触させる際、前記第一入力光ビームは第一光スポット位置において一次回折され、前記第二入力光ビームは第二光スポット位置において一次回折され、前記第二入力光ビームの一次回折光ビームは、前記再帰反射部材および前記回折部材により往復反射された後、前記第一光スポット位置において前記第一入力光ビームの一次回折光ビームと少なくとも部分的に重なり合い、かつ同じ方向に沿って出射することにより第二出力光ビームを形成し、
前記第二出力光ビームの干渉信号の位相変化情報は、前記回折部材の光接触面の法線方向に沿った垂直方向の自由度の第二変位情報を反映し、
前記第一出力光ビームと前記第二出力光ビームとの干渉位相は逆である、
ことを特徴とする、請求項18に記載の変位測定方法。
【請求項21】
前記第一出力光ビームおよび前記第二
出力光ビームを検出した後、前記第一出力光ビームおよび前記第二出力光ビームの干渉信号により反映される前記回折部材の垂直方向の自由度に沿った位置情報に基づいて、前記回折部材の光接触面内の軸周りを回転する方向の回転自由度における変位情報を取得する、
ことを特徴とする、請求項20に記載の変位測定方法。
【請求項22】
前記回折部材と前記第一出力光ビームとの対応する変位、および前記回折部材と前記第二出力光ビームとの対応する変位の間では、以下の関係式を満たし、
【数2】
ここで、ΔZ1およびΔZ2はそれぞれ前記第一出力光ビームにより反映される前記回折部材の垂直方向の自由度に沿った第一変位情報および前記第二出力光ビームにより反映される前記回折部材の垂直方向の自由度に沿った第二変位情報であり、D
f1f2は前記第一光スポット位置と前記第二光スポット位置との距離であり、Ryは前記回折部材の光接触面内の軸周りを回転する方向の回転自由度における変位情報である、
ことを特徴とする、請求項21に記載の変位測定方法。
【請求項23】
前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームを前記回折部材の光接触面に平行に接触させた後、前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームの一次回折光ビームのそれぞれを、前記再帰反射部材の再帰反射によって前記回折部材と再び接触して二次回折されるようにさせ、前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームの二次回折光ビームは前記回折部材の第三光スポット位置において少なくとも部分的に重なり合い、かつ同じ方向に沿って出射することにより第三出力光ビームを形成し、
前記第三出力光ビームの干渉信号の位相変化情報は、前記回折部材の前記光接触面に平行する平行方向に沿った水平方向の自由度における第三変位情報を反映する、
ことを特徴とする、請求項18~22のいずれか一項に記載の変位測定方法。
【請求項24】
前記第三出力光ビームの干渉信号の位相変化と、前記回折部材の対応する水平方向の自由度における変位とは、以下の関係式を満たし、
【数3】
ここで、φx1は前記第三出力光ビームの干渉信号の位相変化であり、ΔXは前記回折部材の第一方向における変位であり、Pは前記回折部材の複数の重複回折ユニットの前記水平方向の自由度における距離であり、mは0以外の整数である、
ことを特徴とする、請求項23に記載の変位測定方法。
【請求項25】
互いに相対移動可能なウェハーステージおよびレチクルステージを含むフォトリソグラフィー装置であって、請求項1~17のいずれか一項に記載の変位測定装置を備え、前記回折部材は前記ウェハーステージまたは前記レチクルステージのいずれか一方に貼り付けられ、前記読み取りヘッドは前記ウェハーステージまたは前記レチクルステージの他方に貼り付けられている、フォトリソグラフィー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は変位測定技術分野に関し、特に変位測定装置、変位測定方法およびフォトリソグラフィー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
精密機械の製造、加工および応用のプロセスでは、いずれも変位に敏感な測定装置や検知装置による連携が必要である。たとえば、既存の集積回路(IC)、精密機械、マイクロエレクトロニクスシステムなどの領域では、いずれも高解像度で、高精度な変位測定装置(または変位センサー)を設置する必要がある。集積回路を例にすれば、集積回路が大規模、高集積化の方向へ飛躍的に発展することにつれて、フォトリソグラフィー装置(photolithography tools)のオーバーレイ精度に対する要求も高くなりつつあり、これに相応して、ウェハーステージやレチクルステージの位置情報の測定精度に対する要求も向上されつつある。
【0003】
近年、ナノスケールの変位測定を含むナノスケールの測定技術が迅速に発展されてきた。ナノスケールの測定技術は、光学的方法と非光学的方法とを含む。ここで、光学的方法は、非常に短い波長のレーザーまたはX線ビームの干渉縞を利用して、ナノスケールの測定分解能を実現できるものである。しかしながら、従来の干渉計の測定精度は、周囲環境の影響を比較的に受けやすく(たとえば、温度や圧力などの要素の変化による測定誤差)、測定における再現精度が不十分で、更なる高いオーバーレイ精度のフォトリソグラフィー装置に対する要求を満たしにくい。
【0004】
格子(または格子変位センサー)は、格子を利用する
測定であり、フィードバックデバイスを使用して線形または角変位を測定できます。 グレーティングで測定できる光路長は、その測定範囲に関係なく、非常に小さい場合があります(通常は数ミリメートル)。 したがって、このような変位センサーは、環境要因に影響されない測定精度、高い測定安定性、構造の単純さ、および小型化の容易さを備えており、ナノスケール測定の重要な部分となっています。 最新世代のフォトリソグラフィーシステムでは、干渉計の代わりに、さらに高い安定性を必要とする高精度のピコメートルスケールの測定タスクを実行するために、それらがますます使用されています。
【0005】
格子用物差し(または格子用物差し変位センサー、Gratings Or grating displacement sensors)は一種の格子の光学原理を利用して動作する測定フィードバック装置であり、直線変位または角変位を測定できる。相対的に、格子用物差しを利用して測定される光路長は測定範囲と関係なく、非常に小さくまで(通常、測定光路長は数ミリメートル)測定できるため、その測定精度は環境の影響を受けにくく、測定の安定性が高く、構造が簡単で、小型化しやすい特徴があり、ナノ測定分野において重要な位置を占めている。次世代フォトリソグラフィーシステムでは、既に干渉計に取って代わりつつ、高精度、高安定性のピコメートル精度の測定を担っている。
【0006】
しかしながら、既存の格子用物差しに基づく変位測定システムには、たとえば、水平方向および垂直方向における変位測定が互いに独立せず(相互に結合関係を有し、結合を解消するためのアルゴリズムが必要)、角度の許容誤差が小さく、読み取りヘッドに多くの光路構造が含まれ、非直線性誤差が大きいなどの問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は従来の問題を解消するためになされたものであり、広角に適応できる変位測定を実現でき、異なる方向における変位測定を互いに独立させ、非直線性誤差を低減できる変位測定装置、変位測定方法および上記変位測定装置を備えるフォトリソグラフィー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る変位測定装置は、
第一入力光ビームおよび第二入力光ビームを生成する光源モジュールと、
光接触面および前記光接触面に平行する方向に沿って配置された複数の重複回折ユニットを含む回折部材と、
少なくとも二つの再帰反射部材を含み、前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームを受け、さらに、前記回折部材の光接触面に平行に接触させるとともに回折されるように前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームを誘導し、続いて、回折された第一入力光ビームおよび第二入力光ビームのうちの少なくとも一方を前記少なくとも二つの再帰反射部材によって誘導して他方と組み合わせることにより少なくとも一つの出力光ビームを形成し、各前記出力光ビームは、前記回折部材の光接触面内の同じ光スポット位置から出射される同じ方向であって、かつそれぞれ前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームに対応する回折光信号を含む読み取りヘッドと、
各前記出力光ビームを検出する光学検出モジュールと、
前記光学検出モジュールに接続され、各前記出力光ビームにより生成される干渉信号の位相変化情報に基づいて前記回折部材の変位情報を取得する信号分析モジュールと、
を備える。
【0009】
好ましくは、前記読み取りヘッドによって前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームを誘導して前記回折部材の光接触面に平行に接触させる際、前記第一入力光ビームは第一光スポット位置において一次回折され、前記第二入力光ビームは第二光スポット位置において一次回折され、前記第一入力光ビームの一次回折光ビームは、前記再帰反射部材および前記回折部材により往復反射された後、前記第二光スポット位置において前記第二入力光ビームの一次回折光ビームと少なくとも部分的に重なり合い、かつ同じ方向に沿って出射することにより第一出力光ビームを形成し、
前記第一出力光ビームの干渉信号の位相変化情報は、前記回折部材の光接触面の法線方向に沿った垂直方向の自由度の第一変位情報を反映する。
【0010】
好ましくは、前記読み取りヘッドによって前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームを誘導して前記回折部材の光接触面に平行に接触させる際、前記第一入力光ビームは第一光スポット位置において一次回折され、前記第二入力光ビームは第二光スポット位置において一次回折され、前記第二入力光ビームの一次回折光ビームは、前記再帰反射部材および前記回折部材により往復反射された後、前記第一光スポット位置において前記第一入力光ビームの一次回折光ビームと少なくとも部分的に重なり合い、かつ同じ方向に沿って出射することにより第二出力光ビームを形成し、
前記第二出力光ビームの干渉信号の位相変化情報は、前記回折部材の光接触面の法線方向に沿った垂直方向の自由度の第二変位情報を反映する。
【0011】
好ましくは、前記第一出力光ビームおよび前記第二出力光ビームは、いずれも同じ回折次数における方向が同じであってかつ前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームのそれぞれに対応する一次回折光信号を含み、
前記第一出力光ビームおよび前記第二出力光ビームの干渉位相は逆である。
【0012】
好ましくは、前記第一出力光ビームは、前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームの(+1)回折次数における一次回折光信号を含み、前記第二出力光ビームは、前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームの(-1)回折次数における一次回折光信号を含む。
【0013】
好ましくは、前記信号分析モジュールは、さらに、前記第一出力光ビームおよび前記第二出力光ビームの干渉信号の位相変化情報に基づいて、前記回折部材の光接触面内の軸周りを回転する方向の回転自由度における変位情報を取得する。
【0014】
好ましくは、前記読み取りヘッドによって前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームを誘導して前記回折部材の光接触面に平行に接触させた後、前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームの一次回折光ビームのそれぞれは、前記再帰反射部材の再帰反射によって前記回折部材と再び接触して二次回折され、前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームの二次回折光ビームは前記回折部材の第三光スポット位置において少なくとも部分的に重なり合い、かつ同じ方向に沿って出射することにより第三出力光ビームを形成し、
前記第三出力光ビームの干渉信号の位相変化情報は、前記回折部材の前記光接触面に平行する平行方向に沿った水平方向の自由度の第三変位情報を反映する。
【0015】
好ましくは、前記回折部材は、一次元格子または二次元格子である。
【0016】
好ましくは、前記再帰反射部材は、角錐プリズム、直角プリズム、キャッツアイリフレクターおよびダブプリズムのうちのいずれか一つである。
【0017】
好ましくは、前記読み取りヘッドは、光ビーム角度コントローラを含む。
【0018】
好ましくは、前記光ビーム角度コントローラは、一個のくさび部材、一対のくさび部材、回折格子および複屈折部材のうちのいずれか一つである。
【0019】
好ましくは、前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームは、異なる周波数を有するレーザービームである。
【0020】
好ましくは、前記光源モジュールは、光ファイバ伝送に基づく二重周波数レーザーを含み、平行方向に沿って前記回折部材に接触する前、前記読み取りヘッドは、さらに、受けた前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームに対してそれぞれ分割および合成することにより遠隔の参考光ビームを形成する。
【0021】
好ましくは、前記光源モジュールは、自由空間二重周波数レーザーおよび分光部材を含み、前記自由空間二重周波数レーザーは、二重周波数の光ビームを生成し、前記分光部材は、前記二重周波数の光ビームを偏光方向の直交する二つの光ビームに分割する。
【0022】
好ましくは、前記光源モジュールまたは前記読み取りヘッドは偏光制御部品を含み、前記偏光制御部品は、各前記出力光ビームのうち前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームのそれぞれに対応する前記複数の回折光ビームを、前記光学検出モジュールに入る際の偏光方向を同じくさせる。
【0023】
好ましくは、前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームは、同じ周波数のレーザービームである。
【0024】
好ましくは、前記光源モジュールまたは前記読み取りヘッドは偏光制御部品を含み、前記偏光制御部品は、各前記出力光ビームのうち前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームのそれぞれに対応する前記複数の回折光ビームを、前記光学検出モジュールに入る際の偏光方向を直交させる。
【0025】
好ましくは、前記読み取りヘッドは、少なくとも四つの出力光ビームを生成し、前記光学検出モジュールは、前記少なくとも四つの出力光ビームを検出した後、各前記出力光ビームの干渉信号について位相を変位して、順に90度オフセットした四つの前記出力光ビームを出力する。
【0026】
上記目的を達成するための本発明に係る変位測定方法は、
光接触面および前記光接触面に平行する方向に沿って配置された複数の重複回折ユニットを含む回折部材を提供するステップと、
第一入力光ビームおよび第二入力光ビームを取得するステップと、
前記回折部材の光接触面に平行に接触させるとともに回折されるように前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームを誘導し、続いて、回折された第一入力光ビームおよび第二入力光ビームのうちの少なくとも一方を少なくとも二つの再帰反射部材によって誘導して他方と組み合わせることにより少なくとも一つの出力光ビームを形成し、各前記出力光ビームは、前記回折部材の光接触面内の同じ光スポット位置から出射される同じ方向であって、かつそれぞれ前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームに対応する回折光信号を含むようにするステップと、
前記出力光ビームを検出するステップと、
各前記出力光ビームにより生成される干渉信号の位相変化情報に基づいて前記回折部材の変位情報を取得するステップと、
有する。
【0027】
好ましくは、前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームを誘導して前記回折部材の光接触面に平行に接触させる際、前記第一入力光ビームは第一光スポット位置において一次回折され、前記第二入力光ビームは第二光スポット位置において一次回折され、前記第一入力光ビームの一次回折光ビームは、前記再帰反射部材および前記回折部材により往復反射された後、前記第二光スポット位置において前記第二入力光ビームの一次回折光ビームと少なくとも部分的に重なり合い、かつ同じ方向に沿って出射することにより第一出力光ビームを形成し、
前記第一出力光ビームの干渉信号の位相変化情報は、前記回折部材の光接触面の法線方向に沿った垂直方向の自由度の第一変位情報を反映する。
【0028】
好ましくは、前記第一出力光ビームの干渉信号の位相変化と、前記回折部材の垂直方向の自由度に沿った変位とは、以下の関係式を満たし、
【数1】
ここで、φz1は前記第一出力光ビームの干渉信号の位相変化であり、ΔZ1は前記回折部材の垂直方向の自由度での変位量であり、λは前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームの波長の平均値であり、θは前記回折部材の光接触面に平行に接触した後に生じる前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームの一次回折のm次数における回折角であり、mは0以外の整数である
【0029】
好ましくは、前記読み取りヘッドによって前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームを誘導して前記回折部材の光接触面に平行に接触させる際、前記第一入力光ビームは第一光スポット位置において一次回折され、前記第二入力光ビームは第二光スポット位置において一次回折され、前記第二入力光ビームの一次回折光ビームは、前記再帰反射部材および前記回折部材により往復反射された後、前記第一光スポット位置において前記第一入力光ビームの一次回折光ビームと少なくとも部分的に重なり合い、かつ同じ方向に沿って出射することにより第二出力光ビームを形成し、
前記第二出力光ビームの干渉信号の位相変化情報は、前記回折部材の光接触面の法線方向に沿った垂直方向の自由度の第二変位情報を反映し、
前記第一出力光ビームと前記第二出力光ビームとの干渉位相は逆である。
【0030】
好ましくは、前記第一出力光ビームおよび前記第二入力光ビームを検出した後、前記第一出力光ビームおよび前記第二出力光ビームの干渉信号により反映される前記回折部材の垂直方向の自由度に沿った位置情報に基づいて、前記回折部材の光接触面内の軸周りを回転する方向の回転自由度における変位情報を取得する。
【0031】
好ましくは、前記回折部材と前記第一出力光ビームとの対応する変位、および前記回折部材と前記第二出力光ビームとの対応する変位の間では、以下の関係式を満たし、
【数2】
ここで、ΔZ1およびΔZ2はそれぞれ前記第一出力光ビームにより反映される前記回折部材の垂直方向の自由度に沿った第一変位情報および前記第二出力光ビームにより反映される前記回折部材の垂直方向の自由度に沿った第二変位情報であり、D
f1f2は前記第一光スポット位置と前記第二光スポット位置との距離である
【0032】
好ましくは、前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームを前記回折部材の光接触面に平行に接触させた後、前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームの一次回折光ビームのそれぞれを、前記再帰反射部材の再帰反射によって前記回折部材と再び接触して二次回折されるようにさせ、前記第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームの二次回折光ビームは前記回折部材の第三光スポット位置において少なくとも部分的に重なり合い、かつ同じ方向に沿って出射することにより第三出力光ビームを形成し、
前記第三出力光ビームの干渉信号の位相変化情報は、前記回折部材の前記光接触面に平行する平行方向に沿った水平方向の自由度における第三変位情報を反映する。
【0033】
好ましくは、前記第三出力光ビームの干渉信号の位相変化と、前記回折部材の対応する水平方向の自由度における変位とは、以下の関係式を満たし、
【数3】
ここで、φx1は前記第三出力光ビームの干渉信号の位相変化であり、ΔXは前記回折部材の第一方向における変位であり、Pは前記回折部材の複数の重複回折ユニットの前記水平方向の自由度における距離であり、mは0以外の整数である
【0034】
上記目的を達成するための本発明に係るフォトリソグラフィー装置は、互いに相対移動可能なウェハーステージおよびレチクルステージを含み、上述したいずれか一つに記載の変位測定装置を備え、前記回折部材は前記ウェハーステージまたは前記レチクルステージのいずれか一方に貼り付けられ、前記読み取りヘッドは前記ウェハーステージまたは前記レチクルステージの他方に貼り付けられている。
【発明の効果】
【0035】
本発明に係る変位測定装置によれば、少なくとも以下のような有益な効果を奏する。
第一に、各出力光ビームの干渉信号の位相変化情報に基づいて回折部材の変位情報をそれぞれ取得するため、アルゴリズムにより結合関係を解消する必要がない。
第二に、互いに分離されている第一入力光ビームおよび第二入力光ビームを回折部材に平行に接触させて回折させ、かつ回折された第一入力光ビームおよび第二入力光ビームを誘導かつ組み合わせて少なくとも一つの出力光ビームを形成し、各出力光ビームは上記回折部材の光接触面内の同じ光スポット位置から出射される同じ方向の上記第一入力光ビームおよび第二入力光ビームのそれぞれに対応する回折光信号を含むため、回折部材の回転(たとえば、光接触面内の軸に対する回転)に起因されるコヒーレント光ビームの角度発散を排除できる。すなわち、測定プロセスにおいて広角に適応でき、回折部材の回転による干渉情報の強度に対する影響を低減でき、測定精度を向上させ、装置の角度許容度を向上させ、装置の取り付けや姿勢精度を制御する難易度を低減できる。
第三に、読み取りヘッドに入力される二つの入力光ビームは互いに分離され(空間において)、測定過程においては光ビームは互いに影響を与えず、最終的に干渉する前においてのみ結合するため、同じ入力光ビームによる周波数が混合重畳される測定システムに比較して、光路構造の共有による非直線性誤差を大幅に低減または避けられる。
【0036】
本発明に係る変位測定方法によれば、上述の変位測定装置と同じ技術的思想を有するため、上述の変位測定装置と同様のまたは類似の有益な効果を奏する。
本発明に係るフォトリソグラフィー装置によれば、上述の変位測定装置を備えるため、上述の変位測定装置と同様のまたは類似の有益な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の一実施形態に係る変位測定装置により第一出力光ビームを取得することを示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る変位測定装置において、(a)は角錐プリズムを採用して、(b)は直角プリズムを採用して、(c)はダブプリズムを採用して、(d)はキャッツアイリフレクターを採用して、それぞれ再帰反射部材とすることを示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る変位測定装置により第一出力光ビームおよび第三出力光ビームを取得することを示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る変位測定装置により第一出力光ビーム、第二出力光ビームおよび第三出力光ビームを取得することを示す図である。
【
図5】本発明の他の一実施形態に係る変位測定装置により第一出力光ビーム、第二出力光ビームおよび第三出力光ビームを取得することを示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る変位測定装置において入力光ビームが同じ周波数である場合を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る変位測定装置において入力光ビームが異なる周波数である場合を示す図である。
【
図8】本発明の他の一実施形態に係る変位測定装置において入力光ビームが異なる周波数である場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
背景技術において説明したように、異なる方向(自由度)の測定信号が独立しておらず、結合関係があるなど、既存の格子用物差しに基づく変位測定システムに存在する問題については、さらにアルゴリズムにより結合関係を解消することにより格子用物差しの異なる自由度における変位の問題や光路設計の原因による角度の許容誤差が小さく、システムの設置精度の要求が高い問題、さらには、光学エンコーダーの読み取りヘッド内の光路において異なる回折信号に大量の光路構造が共有される際、測定信号に比較的に大きな非直線性誤差が存在する問題を解決する必要がある。本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、具体的な変位測定方法を提供することにより、上述の問題を解決する。
【0039】
上記の目的を達成するための本発明は、変位測定装置、変位測定方法および上記変位測定装置を含むフォトリソグラフィー装置を提供する。ここで、変位測定装置は、少なくとも、光源モジュール、回折部材、読み取りヘッド、光学検出モジュールおよび信号分析モジュールを含む。
【0040】
具体的には、光源モジュールは、第一入力光ビームおよび第二入力光ビームを生成する。回折部材は、光接触面および該光接触面に平行する方向に沿って配置された複数の重複回折ユニットを含む。読み取りヘッドは、少なくとも一組の再帰反射部材を含み、第一入力光ビームおよび第二入力光ビームを受け、さらに、回折部材の光接触面に平行(ここで「平行」は重なり合うことを含まない)に接触させるとともに回折されるように第一入力光ビームおよび第二入力光ビームを誘導し、続いて、回折された第一入力光ビームおよび第二入力光ビームを誘導かつ組み合わせることにより少なくとも一つの出力光ビームを形成し、各出力光ビームは、回折部材の光接触面内の同じ光スポット位置(ここで、同じ光スポット位置とは、同一の光スポットの所在する位置、すなわち、光スポットの所在する一定の範囲内、たとえば、一つの光スポットの中心を円心とし、0.5~1.5個のスポット径の範囲内(すなわち、二つの光スポットが互いに交差または接線関係にある位置)を同じ光スポット位置とする)から出射される同じ方向であって、かつそれぞれ第一入力光ビームおよび第二入力光ビームに対応する回折光信号を含み、各出力光ビームにより生成される干渉信号の位相変化情報は、回折部材の二次元または三次元空間内の一つの自由度に沿った変位情報を反映する。光学検出モジュールは、読み取りヘッドによって形成された出力光ビームを検出する。信号分析モジュールは、光学検出モジュールに接続され、各出力光ビームの干渉信号の位相変化情報に基づいて回折部材の変位情報を取得する。実用の際、上述のいくつかの構成要素の一部または全部は、光学エンコーダシステムの構成部品であってよく、ここで、回折部材は、たとえば、光学エンコーダシステムの格子用物差しであり、読み取りヘッドは、たとえば、光学エンコーダシステムのエンコーダヘッド(encoder head)であり、光学エンコーダシステムは、フォトリソグラフィー装置のような精密システムにおける移動可能なステージの動きを監視できる。
【0041】
以下、図面を参照しながら具体的な実施例により本発明に係る変位測定装置、変位測定方法およびフォトリソグラフィー装置について詳細に説明する。以下の実施形態は、本発明の例示的な実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲を限定するものではないことに理解されたい。
【0042】
また、図面はいずれも非常に簡略化された形式を採用して、さらに、非正確な比率を使用しているが、これは本発明に係る実施形態を容易かつ明瞭に説明する目的で用いられるだけである。その他の説明がない限り、異なる図面における同じ数字や符号は、通常は関連する部品を表す。また、以下において、「第一」、「第二」などの用語は、類似する要素を区別させるために用いられ、必ずしも特定の順序や時系列を説明するためのものではない。適切な場合において、このように使用されるこれらの用語は代替可能であり、たとえば、本明細書で説明される本発明に係る実施形態を、本明細書で説明されるまたは示される他の順序とは異なる順序で動作可能であることも理解されたい。同様に、本明細書に記載された方法が一連のステップを含み、本明細書に提示されたこれらのステップの順序は、これらのステップを実行することができる唯一の順序である必要はなく、記載されたステップのいくつかが省略されてもよく、および/または、本明細書に記載されていないいくつかの他のステップが、該方法に追加されてもよい。
【0043】
図1は、本発明の一実施形態に係る変位測定装置により第一出力光ビームを取得することを示す図である。
図1に示されるように、本実施形態に係る変位測定装置および取得される第一出力光ビーム613の光路(または方法)について、以下に説明する。
【0044】
本実施形態において、第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611は、光源モジュール(
図1に図示せず)によって生成され、空間的に一定の間隔距離を保って出力される。第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611は、たとえば、いずれもレーザービームであり、両者の波長は、約150nmから2000nmの範囲である。より具体的には、両者の波長は、400nmから1500nmの範囲、または1500nmから2000nmの範囲内において選択可能で、さらには、第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611は、たとえば、633nm、980nmまたは1070nmの波長を有しうる。第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611の周波数は、同じであってもよく、またはわずかに異なってもよい(周波数差は、たとえば、10Hz以下である)。このように分離された第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611は読み取りヘッド100に入り、回折部材200の光接触面に平行に接触させて回折されるように読み取りヘッド100によって誘導される。ここで、第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611の回折信号を得るために、第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611は、回折部材200の光接触面の異なる位置において、同じの任意の非リトロ(non-Littrow)角度で接触(または入射)し、回折される。
【0045】
回折部材200は、光接触面に平行な方向に配置された複数の重複回折ユニット(
図1に図示せず)を有する。明瞭の為、
図1には、デカルト座標系における変位測定装置の断面が示され、
図1におけるX軸方向を、回折部材200の複数の重複回折ユニット(すなわち、複数の同じの回折ユニット)の一つの配置方向とする。回折部材200は、1次元の回折格子であってもよく2次元の回折格子であってもよい。2次元の回折格子である場合、
図1のXZ平面に垂直なY軸方向は、回折部材200の複数の重複回折ユニットの他の一つの配置方向に属してもよい。回折格子としては、正弦波、矩形またはギザギザの回折格子を採用でき、さらには、より複雑な線形周波数変調パルス格子を採用してもよいが、これらに限定されず、他の実施形態において、回折部材200は、ホログラム回折構造のような他の回折構造を有してもよい。いずれの回折構造を採用するにせよ、上記重複回折ユニットを含み、非リテロ角度で入射される第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611の回折を実現する。本実施形態において、回折部材200は、第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611に対して、反射もする。
【0046】
上記の読み取りヘッド100は、少なくとも2つの再帰反射部材、たとえば、
図1に示される第一再帰反射部材110および第二再帰反射部材111を備え、再帰反射部材内に入射した光ビームは、再帰反射されて、入射ビームと平行であるが、伝送方向が逆方向であり、かつ一定の距離だけずれた出射ビームを出力できる。これにより、第一入力光ビーム610および/または第二入力光ビーム611が回折部材200に接触した後の回折光ビームの光路および伝送方向を、再帰反射部材の設置位置や角度の変更することにより調整できる。
【0047】
図2の(a)~(d)は、それぞれ4種類の再帰反射部材の構造を示している。
図2の(a)~(d)に示されるように、第一再帰反射部材110と第二再帰反射部材111のうちの一つまた二つを、
図2の(a)に示される角錐プリズム、
図2の(b)に示される直角プリズム、
図2の(c)に示されるダブプリズム、
図2の(d)に示されるキャッツアイリフレクターから選択できる。ここで、再帰反射部材への入力光ビーム621が対応する再帰反射部材に入射した後、再帰反射され、再帰反射部材から出力光ビーム622が出力される。
図2の(d)に示すように、キャッツアイリフレクターは、レンズ1301および凹面反射鏡1302を含み、凹面反射鏡1302の中心(球心)はレンズ1301の主点(薄いレンズの中心)に配置され、レンズ1301の焦点は凹面反射鏡1302の反射面に合わせされている。入力光ビーム621は、レンズ1301によって凹面反射鏡1302上に集光され、凹面反射鏡1302により反射され、再びレンズ1301を通過した後、出力光ビーム622は、依然として元の入力光ビームと平行であるが、方向が逆である。本実施形態において、読み取りヘッド100内の第一再帰反射部材110および第二再帰反射部材111は、たとえば、角錐プリズムであり、ここで、角錐プリズムに入射する入力光ビームおよび出力光ビームの回折部材200における入射点は、光接触面上の任意の重ならない位置にあってもよい。角錐プリズムの位置は、必要に応じて設計し、調節できる。
【0048】
上記の読み取りヘッド100によって第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611を誘導して回折部材200に平行に接触させる際、第一入力光ビーム610は第一光スポット位置Aで一次回折(または第一回目回折)され、第二入力光ビーム611は第二光スポット位置Bで一次回折(または第一回目回折)される。好ましくは、第一光スポット位置Aおよび第二光スポット位置Bは、それぞれ回折ユニットの中心に位置する、または、第一光スポット位置Aおよび第二光スポット位置Bの両方における回折パターンは同じであり、測定精度がさらに向上できる。本実施形態において、第一入力光ビーム610と第二入力光ビーム611の一次回折の回折次数の方向は同じである。ここで、「回折次数の方向が同じである」とは、第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611の一次回折の回折次数が、いずれも正の方向での回折次数であるか、または負の方向での回折次数であることを意味する。他の実施形態において、
図1に示すように、第二入力光ビーム611は、第二光スポット位置Bにおいて+n次数の一次回折光ビーム(nは0以外の整数、たとえば±1、±2、±3、…、以下同様に、+nは正の整数、すなわち+1、+2、+3……)を生成し、第一反射部材130によって反射されから出射される。第一入力光ビーム610は、第一光スポット位置Aにおいて+m次数の一次回折光ビーム(mは0以外の整数、たとえば±1、±2、±3、…、以下同様、+mは正の整数、すなわち+1、+2、+3……)を生成する。角錐プリズム110の位置が特別に設計されている場合、第一入力光ビーム610に対応する一次回折光ビームは、第二再帰反射部材111を介して回折部材200に再帰反射され、回折部材200の光接触面の第二光スポット位置で反射された後、第一再帰反射部材110に入射して再び回折部材200に再帰反射され、回折部材200の光接触面の第二光スポット位置Bで再び反射し、第一入力光ビーム610により生成される一次回折後の反射光ビームと第二入力光ビーム611の一次回折光ビームとは、第二光スポット位置Bにおいて少なくとも部分的に重なり合い、かつ同一方向に出射して、第一出力光ビーム613を形成する。読み取りヘッド100から出力される第一出力光ビーム613は、第一光学検出モジュール411により検出され、第一光学検出モジュール411は第一出力光ビーム613の干渉信号の位相情報を採集できる。さらに、第一信号伝送光ファイバー431を通じて、第一光学検出モジュール411により採集された位相情報は、信号分析モジュール500に伝送され、信号分析モジュール500は、第一出力光ビーム613の干渉信号の位相情報を解析して位相変化情報を取得し、回折部材200の光接触面に位置する法線方向に沿って垂直方向の自由度における変位との関係から、回折部材200の垂直方向の自由度における変位情報を取得する。
【0049】
他の実施形態として、
図4に示すように、読み取りヘッド100は、第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611を回折部材200に平行に接触させるように誘導する際、第一光入力ビームは第一光スポット位置Aにおいて-m次数の一次回折を起こし、第二入力光ビームは第二光スポットBにおいて-n次数の一次回折を起こし、第二入力光ビーム611に対応する一次回折光ビームは第一再帰反射部材110によって回折部材200に再帰反射され、回折部材200の光接触面で反射された後、第二再帰反射部材111に入り、再び回折部材に200に再帰反射され、回折部材200の光接触面の第一光スポット位置Aにおいて再び反射され、第二入力光ビーム611により生成される一次回折後の反射光ビームと第一入力光ビーム610の一次回折光ビームとは、第一光スポット位置Aにおいて少なくとも部分的に重なり合い、かつ同一方向に出射され、第二反射部材131で反射されて出射され、第二出力光ビーム614を形成する。読み取りヘッド100から出力される第二出力光ビーム614は、第二光学検出モジュール412により検出され、第二光学検出モジュール412は、第二出力光ビーム614の干渉信号の位相情報を採集でき、さらには、第二信号伝送光ファイバー432を通じて、第二光学検出モジュール412により採集された位相情報は、信号分析モジュール500に伝送され、信号分析モジュール500は、第二出力光ビーム614の干渉信号の位相情報を分析し、位相変化情報を取得し、それと回折部材200の光接触面の法線方向に沿って垂直方向の自由度における変位との関係から、回折部材200の垂直方向の自由度における変位情報を取得できる。ここで、「垂直方向」とは、回折部材200の光接触面の法線方向であり、
図1および
図4におけるZ軸方向である。
【0050】
本実施形態において、上述の第一出力光ビーム613および第二出力光ビーム614は、いずれも回折次数における方向が同じであり、かつ同じ回折次数に位置され、第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611のそれぞれに対応する回折光信号を含む。第一出力光ビーム613は、第二出力光ビーム614と逆の干渉位相を有する。すなわち、第一出力光ビーム613内の干渉信号の位相は、第二出力光ビーム614内の干渉信号の位相と逆である。好ましくは、第一出力光ビーム613は、第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611の+1次数の一次回折光信号を含み、第二出力光ビーム614は、第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611の-1次数の一次回折光信号を含む。
【0051】
光源モジュールによって生成される第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611は、好ましくは平行光ビームであり、従って、上記の光路設計によって第一出力光ビーム613および第二出力光ビーム614の位相干渉信号を直接採集できる。ただし、本発明はこれに限定されず、第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611が回折部材200に入射される前において平行でない場合、読み取りヘッド100内に光ビーム角度コントローラーを配置することにより、光ビームの方向を制御できる。
図1に示すように、第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611が回折部材200に対してより正確に平行に入射されるように、第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611のうちの一方の入力光路上に第一光ビーム角度コントローラー700を配置でき、光ビーム角度コントローラーにより光ビームの方向を制御することにより、第一入力光ビーム610と第二入力光ビーム611とが平行を保持するように調整できる。同様に、第一光ビーム610および第二光ビーム611の一次回折光信号が光接触面における同じ光スポット位置において少なくとも部分的に重なり合い(すなわち、完全に重なり合うまたは一部重なり合うことを含め、完全または一部重なりあう出力光ビームを形成し、ここで、同一光スポット位置とは、光スポットの所在する一定の範囲内、たとえば、一つの光スポットの中心を円心とし、0.5~1.5個のスポット径の範囲内(すなわち、二つの光スットが交差または接線関係にある位置)を上記の同一光スポット位置とする)、かつ同一方向に沿って出射されるように、いずれか一つの回折光ビームの光路上に第二光ビーム角度コントローラー701を配置してもよい。第一光ビーム角度コントローラー700および第二光ビーム角度コントローラー701は、一個のくさび部材、一対のくさび部材、回折格子および複屈折部材などの光学構造のから一つ選択できる。なお、本実施形態における第一反射部材130および第二反射部材131は、オプション部品に過ぎず、読み取りヘッド100の取付寸法および光学検出モジュールの位置に応じて選択的に採用できる。
【0052】
第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611が回折部材200に平行に入射し、第一入力光ビーム610の一次回折光ビームが、再帰反射部材により2回再帰反射され、回折部材200により2回反射された後に生じる反射光ビームは、元の一次回折光ビームと平行である。したがって、第一入力光ビーム610の回折後の反射光ビームと、第二入力光ビーム611の一次回折光ビームとは、読み取りヘッド100に対する回折部材200の角度の変化にかかわらず、常に平行であることが分かる。すなわち、本実施形態に係る変位測定装置は、上述した光ビーム伝送により第一出力光ビーム613および第二出力光ビーム614を採集することで、回折部材200の偏光(特に
図1における座標系のX軸およびY軸に対する偏光)によるコヒーレント光角度の分離を解消し、これにより、回折部材200のオフセットが出力光ビームの干渉信号の強度に与える影響を大幅に低減でき、測定精度が向上するとともに、変位測定装置の角度許容差の向上にも寄与するため、本実施形態における垂直方向における測定は、広角度への適応性を有する。
【0053】
上記の第一出力光ビーム613は、回折次数における方向が同じで、かつ同じ回折次数に位置されて、第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611のそれぞれに対応する一次回折光信号を含む。ここで、「一次回折光信号」とは、第一入力光ビーム610および/または第二入力光ビーム611が回折部材200に平行に接触した後に生成される一次回折光ビームの光学位相情報であり、上述の一次回折光ビームは再帰反射部材および回折部材により反射された後、光程、伝送の方向を変えることができ、一次回折光ビームの光学位相情報を保持できる。
【0054】
以下、第一出力光ビーム613の干渉信号の位相変化と回折部材200の変位との関係について説明する。第一入力光ビーム610と第二入力光ビーム611が回折部材200に平行に接触すると、第一入力光ビーム610は第一光スポット位置Aで+m次数の一次回折を起こし、第二入力光ビーム611は第二光スポット位置Bで+n次数の一次回折を起こす。したがって、第一出力光ビーム613は、第一入力光ビーム610の+m次数の一次回折光信号と、第二入力光ビーム611の+n次数の一次回折光信号を含み、m=nの場合、第一出力光ビーム613の方向に沿って、垂直方向の変位に対応する位相変化の干渉信号が形成される。第一出力光ビーム613の干渉信号の位相変化φz1と対応の回折部材200の垂直方向の変位との関係を取得するため、ここでは、第一出力光ビーム613に含まれた第一入力光ビーム610の回折光信号の位相をφz1
b1とし、第二入力光ビーム611の回折光信号の位相をφz1
b2とし、二つの回折光ビームが干渉された後、干渉信号の位相変化φz1と対応する回折部材200の垂直方向の変位との関係の算出プロセスは、以下の式の通りである。
【数4】
したがって、次の式(1)が得られる。
【数5】
(1)
【0055】
上述の説明によれば、第二出力光ビーム614は、第一入力光ビーム610のーm次数の一次回折光信号と、第二入力光ビーム611のーn次数の一次回折光信号(m=n)とを含む。同様に、第二出力光ビーム614の干渉信号の位相変化φz2と回折部材200の垂直方向の変位との関係は、次の式(2)を満たす。
【数6】
(2)
【0056】
式(1)および式(2)において、λは第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611の波長であり(両者の周波数が異なる場合は波長の平均値)、θは第一入力光ビームおよび前記第二入力光ビームが回折部材200の光接触面に平行に接触した後に生じる一次回折のm次数における回折角(mは±1、±2、±3、…)であり、ΔXは回折部材200のX軸方向の変位であり、ΔZ1は第一出力光ビーム613に対応する回折部材200のZ軸方向の変位であり、ΔZ2は第二出力光ビーム614に対応する回折部材200のZ軸方向の変位である。
【0057】
本実施形態に係る変位測定装置は、垂直方向の自由度の変位測定に対応する第一出力光ビーム613および第二出力光ビーム614を形成するだけでなく、回折部材200の光接触面方向と平行な水平方向の自由度の変位情報を測定するための出力光ビームも形成できる。
【0058】
図3は、本発明の一実施形態に係る変位測定装置により第一出力光ビームおよび第三出力光ビームを取得することを示す図である。
図3に示されるように、本実施形態に係る変位測定装置において、読み取りヘッド100は、互いに分離された第一出力光ビーム613および第三出力光ビーム612を出力できる。第一出力光ビーム613の設計については、上述した説明を参照できる。以下、主に第三出力光ビーム612について説明する。
【0059】
本実施形態において、第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611は、回折部材200に平行に接触した後、回折次数における方向の異なる一次回折光ビームを生成し、たとえば、異なる入射スポットにおいて任意の非リトロ角度で回折部材200に入射あされた後、第一入力光ビーム610は第一光スポット位置Aで+m次数の一次回折光ビームを生成し、第二入力光ビーム611は、第二光スポット位置Bでーn次数の1次回折光ビームを生成し、二つの一次回折光ビームは、それぞれ異なる再帰反射部材により再帰反射されて再び回折部材200と接触し、それぞれさらに一次回折の回折次数における方向が同じの二次回折をそれぞれ発生する。また、第三光スポット位置Cで、第一入力光ビーム610に対応する+m次数の二次回折光ビームと、第二入力光ビーム611に対応する-n次数の二次回折光ビームとが生成される。すなわち、読み取りヘッド100の構造設計により、第一入力光ビーム610に対応する二次回折光ビームおよび第二入力光ビーム611に対応する二次回折光ビームが、回折部材の同一光スポット位置において少なくとも部分的に重なり合い、同一方向に出射されて第三出力光ビーム612が形成され得る。
【0060】
さらに、読み取りヘッド100によって出力された第三出力光ビーム612は、第三光学検出モジュール410によって検出され、第三光学検出モジュール410は、第三出力光ビーム612の干渉信号の位相情報を採集できる。さらに、第三信号伝送光ファイバー430を通じて、第三光学検出モジュール410は、採集された位相情報を信号分析モジュール500に伝送され、信号分析モジュール500は受け取った位相情報を分析し、第三出力光ビーム612の干渉信号の位相変化情報に基づいて、回折部材200の光接触面に平行する方向に沿った水平方向の自由度における変位情報を取得する。
図3に示すように、回折部材200がX軸方向に沿った1次元の回折構造である場合、第三出力光ビーム612により、回折部材200のX軸方向の変位情報を取得できる。一方、回折部材200がX軸方向およびY軸方向(すなわち、XZ平面に対して垂直な方向)の2次元の回折構造である場合には、
図3における読み取りヘッド100および光学検出モジュールをZ軸を中心として90度回転させることで、回折部材200のY軸方向の変位情報を取得できる。
【0061】
上記の変位測定装置で得られた第三出力光ビーム612の光路構造では、回折部材200に平行に入射した第一入力光ビーム610による一次回折光ビームが第二再帰反射部材111で反射され、第二入力光ビーム611による一次回折光ビームが第一再帰反射部材110で反射された後、第一入力光ビーム610の二次回折光ビームは、一次回折前の第一入力光ビーム610と平行であり、第二入力光ビーム611の二次回折光ビームは、一次回折前の第二入力光ビーム611と平行であるため、二つの二次回折光ビームは平行である。したがって、回折部材200の読み取りヘッド100に対する角度に変化があるのか否かに関わらず(特に、相対的にX軸とY軸の角度を変化)、第一入力光ビーム610の二次回折光ビームと第二入力光ビーム611の二次回折光ビームとは、常に平行し、回折部材200の、たとえば回折格子というものの分離、ラスタ偏向による干渉信号の強度への影響を大幅に低減し、装置の角度許容差の向上および測定精度の向上に寄与するため、本実施形態の変位測定装置では、水平方向の測定にも広角度への適応が可能となる。
【0062】
上記の第三出力光ビーム612は、第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611にそれぞれ対応する、逆方向の回折次数に位置する第二回折光ビームを含み、第三出力光ビーム612の干渉信号の位相変化と回折要素の変位との関係を以下に示す。二次回折すると、読み取りヘッド100は、第一入力光ビーム610に対応する+m次数の二次回折光ビームと、第二入力光ビーム611に対応する-n次数の二次回折光ビームを生成し、m=nの場合、第三出力光ビーム612方向に水平変位に対応する位相変化の干渉信号を形成する。第三出力光ビーム612の干渉を得るための信号の位相の変化と対応の水平方向の変位情報の位相の変化との関係を、ここで、第三出力光ビーム612に含まれた第一入力光ビーム610回折光信号の位相を含み、第二入力光ビーム611の回折光信号の位相を二次回折ビーム干渉に続き、干渉信号の位相変化と対応する回折部材200の水平変位との関係の算出プロセスは、以下の式の通りである。
【数7】
したがって、次の式(3)が得られる。
【数8】
(3)
式(3)において、Pは、回折部材200がX軸方向に配置される重複回折ユニット間の間隔であり、mは回折次数であり、たとえば、±1、±2、±3などの0以外の整数を取り、ΔXは測定対象の回折部材200のX軸方向の変位量である。
【0063】
水平方向の変位は、逆回折次数の二次回折光ビームによっても得られる。たとえば、他の実施形態では、第一入力光ビーム610は-m次数の二次回折光ビームを生成し、第二入力光ビーム611は+n次数の二次回折光ビームを生成し、結果として、第三出力光ビームの位相は式(3)の位相と逆になる。
【0064】
また、回折部材200は、
図3のXZ平面に対して互いに垂直なY軸方向に配置された複数の重複回折ユニットを有してもよい。上記の第三出力光ビーム612の試験目的と同様であることを考慮して、上記の読み取りヘッド100はまた、第一入力光ビーム610と第二入力光ビーム611のガイドの組み合わせによって、第三出力光ビーム612を得る光路構造と同様の設計を形成することができる。Y軸方向の一次回折、再帰反射部材での反射、および二次回折の後に、回折部材200の光接触面の同一光スポット位置から同一方向に出射された二次回折光ビームを含む第四出力光ビーム(図示せず)が組み合わされて形成される。第四出力光ビームの干渉信号の位相変化情報は、回折部材200のY軸方向の変位情報を反映している。ある実施形態では、読み取りヘッド100を
図3のZ軸に沿って90度回転させることで、第三出力光ビーム612と平行な方向にY軸方向の変位に対応する出力光ビームを検出することができ、回折部材200のY軸方向の変位情報を得ることができる。
【0065】
このように、本実施形態に係る変位測定装置は、回折部材200の光接触面に平行な水平方向の自由度の変位測定と、光接触面に平行な法線方向の垂直方向の自由度の変位測定を同時に測定することができる。回折部材200を2次元回折構造とすると、少なくとも3自由度の変位測定が可能となる。さらに、上述した光路設計を有する2つ以上の入力光ビーム、読み取りヘッド、光学検出モジュールを適切に組み合わせることにより、回折部材200の3つ以上の自由度での変位測定を達成することができる。たとえば、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、RX方向(X軸に沿った回転方向)、Ry方向(Y軸に沿った回転方向)、RZ方向(Z軸に沿った回転方向)の6自由度の変位測定が可能である。
【0066】
本実施例の変位測定装置、長所以下のいくつかの面で、第一に、各出力光ビームの干渉信号の位相変化情報に基づいて回折部材の変位情報をそれぞれ取得するため、アルゴリズムにより結合関係を解消する必要がない。すなわち、必要なだけの単独変位x軸方向や単独変位z軸の方向の変位応用需要に独立でき、できるだけ採取一光路の干渉信号を算出すれば相応の変位を算出できる。第二に、水平方向の測定と垂方向の測定の両方に対して広い角度の適応范囲があって、装置の角度の許容差を高めることに助けて、測定の精度を高めて、変位の測定装置の取り付けと姿勢の制御の難度を減少する。第三に、測定信号はすべて平行ビームからであるため、正確に調整する必要がなく、集積が簡単である。第四に、測定システムの構造が単純で、冗長空間が大きく、スケーラビリティが高い。第五に、変位測定装置の要素の種類が少なく、コストが低い。第六に、干渉信号は合光前に光路を共有しないため、デバイス分光、偏光性能の影響を受けない。この方式は測定原理から基本的に線形誤差にほかならないことが分かる。第七に、本実施形態では、回折部材の光接触面で入力光ビームが回折した後、その回折ビームはすべて光学検出モジュールに収集され、水平方向および垂下方向の変位信号検出に使用され、乱視オーバーフローの変位測定装置は存在しない。第8に、乱視オーバーフローがないため、変位測定装置の光パワー利用率が非常に高い。
【0067】
図4は一本発明の実施例の変位測定装置の第一出力光ビーム、第2出力光ビームおよび第三出力光ビームを取得することを示す図である。
図4に示すように、本実施形態において、読み取りヘッド100は、第一出力光ビーム613、第二出力光ビーム614および第三出力光ビーム612を同時に形成する。上記説明により、この3つの出力光ビームを通じてビームを検出して分析した後、実現できる水平方向(
図4中x軸方向)と2スピンドルに垂(写真4 z軸の方向で)の変位測定。について第一輸出光ビーム613、第二出力光ビーム614、第三出力光ビーム612の光路構造は上述の説明を参照できる。
【0068】
採取して分析を通じて2共有回折部材200で違う光スポット位置を射て均対応垂れ、自由度の出力光ビームが二つの垂変位測定結果にされ、技術の効果は、一方に補償できる環境測定光路への影響(たとえば2路z軸出力のビームは違う環境で測定時)、変位測定の精度を高めるのに役立つ測定精度を上げる。一方、この2つの垂れ下がった変位測定結果から、さらに、回折部材200が光接触面内に位置する軸に沿って回転する回転自由度の変位情報を求めることができる。具体的に説明すると、次のようになります。
【0069】
図4のXZ平面に分散された第一出力光ビーム613および第二出力光ビーム614を例にとると、第一光学検出モジュール411および第二光学検出モジュール412をそれぞれ位相収集して信号分析モジュール500に送信すると、第一出力光ビーム613から得られる回折部材200のZ軸方向の変位量と、第二出力光ビーム614から得られる回折部材200のZ軸方向の変位量が得られる。式(4)を満たすこととの関係。
【数9】
(4)
式(4)において、和はそれぞれ第一出力光ビーム613および第二出力光ビーム614によって測定された傾き変位であり、Df1f2は、第一出力光ビームおよび第二出力光ビームが回折部材に平行に接触したときの間隔(
図4における第一光スポット位置Aと第二光スポット位置Bとの距離)である。
【0070】
式(4)の関係により、第一出力光ビーム及び第二出力光ビームが共にYZ平面に分布している場合、縦方向の変位情報を含む2つの出力光ビームを収集して計算することにより、
図4のX軸を軸とする回折部材200のずれ量、すなわちRx自由度の変位情報を得ることができる。
【0071】
図5は、本発明の他の実施例に係る変位測定装置から得られる第一出力光ビーム、第二出力光ビーム及び第三出力光ビームの概略図である。
図4および
図5を参照すると、読み出し読み取りヘッド100は、第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611を受信した後、両者を回折部材200の光接触面に平行に入射させて回折させる。さらに、第一再帰反射部材110及び第二再帰反射部材111により、回折光ビームの反射及び回折部材200の入力光ビームへの光接触による反射を実現し、
図4の回折次数から逆方向の回折光ビームを集光する。第一出力光ビーム613、第二出力光ビーム614および第三出力光ビーム612は、
図4に示す出力光ビームに対応する回折次数が逆方向になる。本実施形態の信号伝送光ファイバおよび信号分析モジュールの機能は、
図4の構成と同じであるため、
図5には示さない。
【0072】
第三出力光ビーム612を例にとると、本実施形態では、第一入力光ビーム610が回折部材200の光接触面で生成した-m次数の一次回折光ビームが、逆回折部材で回折部材200に反射され、再び-m次数の回折(2回目)を生成し、回折部材200の光接触面で第2入力光ビーム611が生成した+n次数の一次回折光ビームは、逆回折部材で回折部材200に反射され、再び+n次数の回折(2回目)を生成し、1ビームを入力する610の2次回折ビームと2入力ビーム611の2次回折ビームで同じ光スポットの位置が少なくとも部分重合併射を同じ方向に沿ってm=nの時、第三出力光ビーム612、第三出力光ビーム612ビームを含む対応はx軸方向変位情報の位相の変化を式(5)のとおり関係を満たす。
【数10】
(5)
ここで、Pは回折部材200のX軸方向のゲート距離、mは回折次数であり、たとえば±1、±2、±3などの0以外の整数をとることができ、測定対象の回折部材200のX軸方向の変位となる。
図5を参照すると、この実施例において、Z軸変位に関する2つの出力光ビームを用いて取得された位相データは、
図4に対応する位相データとも逆である。実際どの回折で具体的な採用業務報告の方向に光路のデザイン、読み取りヘッド100の形状や装着できる空間など、デザインの要求を考慮し、を通じて対応は違って自由の出力光ビームが干渉信号の位相の変化に対応する情報を、均200回折部材を受け取ることは相応の自由の変位情報。複数の出力光ビームが信号検出端で合光する前に共進しないため、干渉信号品質は部材分光不良、偏波エイリアシングなどの影響を受けず、変位測定装置の出力信号品質は良好である。
【0073】
本実施形態では、光源モジュールが生成する上記第一入力光ビーム610及び第二入力光ビーム611の周波数が同じになるように、光源モジュールは単一周波数レーザで実装することができる。単一周波数レーザの場合は、光源モジュールのサイズが小さく、読み取りヘッド100の近くに直接配置してもよいし、光ファイバを介して読み取りヘッド100に伝送してもよい。あるいは、光源モジュールと光探知できるモジュール均集積読み取りヘッド100のセルの内部では、すなわち光源を実現できる出力の形成、ビーム組合や光探査の一体化構造を一体化構造、使用シーンを活用できる大きな現場応用集成と守護の難易度を下げる、効率性を高め、適用各種高、低精度測定変位シーンで。
【0074】
図6は、本発明の一実施形態に係る変位測定装置の入力光ビームが同じ周波数である場合の模式図である。図参照6、受信用光出力613ビームの初めて探査411と受信用モジュール3出力612の3光学検出モジュールモジュール410均の4分の1を含む波の写真や非偏波分光鏡、偏波分光鏡の組合は、光学利用方法で、信号の干渉を移し相の順で90度の差の4路出力信号を受け、後の変位計算に用いる。第一光学検出モジュール411は、4つのチャンネル位相シッピングの機能を実行するために、4分の1波長板481、非偏光分光器482、第一偏光分光器483、第二偏光分光器484、第一光カプラ485、第二光カプラ486、第三光カプラ487および第4の光カプラ488を含む。
【0075】
4チャンネル移相検出方法を採用する場合、回折部材の変位情報に対応する出力光ビームのうち、第一入力光ビーム610及び第二入力光ビーム611にそれぞれ対応する2つの回折光信号は、入力光学検出モジュールの前に、偏光方向が互いに垂直である(すなわち直交である)という要件を満たす必要がある。設置できるため、1 610と入力ビーム2入力ビームを持つ611到着読み取りヘッド100のセルの前に、互いに直交偏波の方向も読んで100頭のセルに買収された後、を通じて読み取りヘッド100のコンポーネントで1沿って入力ビーム610と2入力ビーム611の一つの光で道を設置偏波統制部材は、それぞれの光学検出モジュールへの出力を容易にするために、光学検出モジュールへの入射時に2つの回折ビームの偏光方向を直交させるために、出力光ビームが含む第一入力光ビーム610及び第二入力光ビーム611にそれぞれ対応する2つの回折ビーム(又は回折光信号)の偏光方向を直交させる。偏光制御部材は、たとえば、ウェーブレットまたは偏光板である。
【0076】
本実施形態では、光源モジュールは、生成される第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611の周波数を異なるものにするために、光ファイバ伝送デュ頻レーザで実装されてもよい(通常、両者の周波数差は小さい範囲に限定される)。
【0077】
図7は、本発明の一実施例に係る変位測定装置の入力光ビームが異なる周波数の場合の模式図である。
図7を参照して、本実施形態では、光源モジュール300は、光ファイバ伝送デュアル周波数レーザであり、この光ファイバ伝送デュアル周波数レーザの構成は、以下の光学要素を含むことができる。単一周波数レーザ311、遮蔽器322、第一光周波数変位器323、第二光周波数変位器324、第一光ミラー330、第二光ミラー331、第三光ミラー332、及び第4の光ミラー333、第一反射鏡334、第二反射鏡335、第一遮光板325、第二遮光板326及び第三遮光板327、第三ビーム角度制御部370、第一保偏光ファイバ結合器340、第二保偏光ファイバ結合器341及びマルチモード光ファイバ結合器350。上述した光ファイバ伝送用デュアル周波数レーザがデュアル周波数ビームを出力する原理は以下の通りである。
【0078】
単周波数レーザ311による単周波数レーザーを二つの束に分けて、二つの駆動周波数を通じてそれぞれ違うの声光帯域の器に移し移乏、周波数がそれぞれ1周波数と2周波数の二束で、この二束えて束ねるでほとんどエネルギー保を通じて偏光ファイバカップリングには、入力し、保偏光ファイバ読み取りヘッド100のセルを読み、エネルギーで複数の反射鏡を通じ、スペクトロスコープが合束され,レーザの基準光信号が形成される。ビーム角度制御装置は、第一周波数ビームと第二周波数ビーム合成レーザ参照光信号との調整を補助するために使用されてもよく、別の実施形態では、第二偏光スペクトロスコープ又はアスタ回折方式を使用して合束されてもよい。
【0079】
光源モジュール300が出力した第一周波数ビームは、上述した光ファイバ伝送デュアル周波数レーザを介して、第一バイアス光ファイバ470を介して第一バイアス光ファイバ準化器450に入力され、読み取りヘッド100に入り、前述した第一入力光ビーム610を形成する。光源モジュール300から出力された第二周波数ビームは、第二保偏光ファイバ471を介して第二保偏光ファイバ準化器451に入力され、読み取りヘッド100に入り、前述の第二入力光ビーム611を形成する。違って自由で出力のビームを得るために、1 611と入力ビーム2入力ビーム経読んで611頭のコンポーネントを誘導した後、100 200回折部材の光で接触が一度や二度回折、を獲得できる本実施例は、前の描写の初輸出ビーム出力613、2、ビーム614、3ビーム612と、そして、第1信号伝送ファイバ431を介して取り込まれた第1出力光ビーム613の干渉信号を信号解析部500に伝送する第1光学検出モジュール411、第2光学検出モジュール412及び第3光学検出モジュール410により検出される。第二光学検出モジュール412は、集光された第二出力光ビーム614の干渉信号を第二信号伝送ファイバ432を介して信号分析モジュール500に伝送し、第三光学検出モジュール410は、集光された第三出力光ビーム612の干渉信号を第三信号伝送ファイバ430を介して信号分析モジュール500に伝送する。また、上記の光ファイバ伝送デュアル周波数レーザは、マルチモード・ファイバ結合器350から出た後に、読み取りヘッド100に受信されることなく、信号伝送光ファイバを介して信号分析モジュール500に直接伝送される基本基準光ビームを出力する。
【0080】
光ファイバを用いて2周波数レーザビームを伝送するため,周囲の温度,圧力,振動の変化による光ファイバの位相の変化を補償する必要がある。図参照7、一種の補償方法は読み取りヘッド100のセルの内部の補償、光ファイバー伝送のデュアルバンドがビーム自由空間に再び準直ビーム後、200回折部材に入力光接触に位相の変化まで、周波数を通じて、それぞれ違った1入力できるビーム610と2入力ビーム611わり箸一部光エネルギーが、光を形成し合長距離参考光信号(利用の光学部材の写真まで7 132、第3反射の部材分光部材133、第二分光部材134、3分光部材135、4ビーム角度コントローラ702、4ふさぐ光板136)、4光を通じ413検出前述の遠隔探査モジュール光信号を参考に、そして、第4信号伝送光ファイバ433を介して信号分析モジュール500に出力される。信号分析モジュール500は、第一出力光ビーム613、第二出力光ビーム614、第三出力光ビーム612によって直接測定された異なる自由度に対応する変位情報と、それぞれ遠隔参照光信号に対応する変位情報とを減算することで、光ファイバ伝送の影響を受けない実際の異なる自由度の変位情報を得ることができる。別の実施形態では、遠隔参照光信号は、スペクトラム方式または偏光スペクトラム方式で取得することもでき、2つのビームを合わせて、アスタ回折方式で取得することもできる。本実施形態では、必要に応じて読み取りヘッド100内に1つ以上のビーム角度コントローラを設けてもよい。
図7を参照すると、第一ビーム角度制御部700は、入射読み取りヘッド100の異なる周波数を有する第一入力光ビーム610及び第二入力光ビーム611を平行に調整するのを支援するために使用することができ、第三ビーム角度制御部702は、上記遠隔参照光信号の平行度の調整を支援するために使用することができる。
【0081】
変位測定装置の光源モジュールに光ファイバ伝送デュアル周波数レーザを採用することには,次のような利点がある。
第一に、回折部材の変位測定時、二つの周波数のビームは入力信号探知端ない光に均合計路、信号の質も受けない部材分光干渉しない理想、偏波混畳などの要因が影響を測定システムの基本ノンリニヤリティ誤差は存在しない、必要がないため、光信号処理過程で補償ノンリニヤリティ誤差;
第二に、光源モジュール出力の2入射周波数ビームの偏波の方向と同時に、形成の水準と垂に直接探知できる、シグナルを送る必要もない光位相を採取し、一部で干渉偏振片合成信号を避ける偏振片エネルギー使用による損失は、今回、信号の強度の光出力の利用率は100%に上る、そしてビーム光学性能に対する影響が小さく、2つの入力光ビームの偏光方向が完全に直交していない場合、形成された水平方向および水平方向の信号も直接検出することができ、光位相収集部に偏光板を配置する必要がない。この場合、信号強度がやや弱く、光電力損失がやや大きい。偏光方向が直交している場合には、形成された水平方向および水平方向の信号を直接検出することはできず、光学検出モジュールの前に偏光板を配置して検出する必要がある。偏光板の作用により、この時間の電力損失は約50%になる。
第三に、光ファイバー伝送デュアルバンドレーザ光源としてモジュールを読んでヘッドのセルが任意に置く必要測定位置に使うシーン、柔軟にできる大きな現場応用集成と守護の難易度を下げる、効率性を高め、たとえば用は読んでヘッドのコンポーネントを設置できる運動壇上につい台に移動し、インストール回折部材で固定不動のシステムである。
【0082】
異なる周波数の入力光ビームを提供するために、本発明の変位測定装置において、光源モジュールは、自由空間デュアル周波数レーザを含むこともできる。
図8は、本発明の他の実施例による変位測定装置の入力光ビームが異なる周波数である場合の模式図である。
図8を参照すると、本実施形態において、光源モジュール300は、自由空間デュアル周波数レーザを含み、特に、光源モジュール300は、自由空間デュアル周波数レーザ310、第二偏光ミラー321、及び偏光状態調整要素320を含み得る。光源モジュール300が自由空間複周波数レーザ310を利用して複周波数ビームを出力する原理は以下の通りである。
【0083】
一般に、自由空間複周波数レーザは、2つのビームの周波数がわずかにずれているレーザビーム、すなわち、それぞれが第一周波数のレーザビーム及び第二周波数のレーザビームであり、2つのビームの偏光方向は直交している。第一周波数のレーザビームの偏光方向をS偏光とし、第二周波数のレーザビームの偏光方向をP偏光とする。第二偏光ミラー321を介してレーザビームが作用すると、第一周波数のS偏光ビームが偏光分光面で反射し、前述の第一入力光ビーム610を形成する。偏光分光面を透過し、第二偏光ミラー321の反射面で反射された後、第一入力光ビーム610と平行であるが距離だけずれた第二周波数のP偏光ビームが、偏光状態調整部材320を介して作用した後、偏光方向がP偏光からS偏光に変化して、前述の第二入力光ビーム611が形成される。これにより、光源モジュール300は、伝播方向が平行で偏光方向が同じ2つのデュアル周波数入力ビームを出力することができる。
【0084】
前述の説明によれば、第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611は、読み出し読み取りヘッド100によって受信された後、それらのガイドおよび結合によって、第一出力光ビーム613、第二出力光ビーム614および第三出力光ビーム612、次に、光学検出モジュールによる検出と信号分析モジュールによる回折部材200の自由度の異なる変位情報を得ることができる。第2偏光分光器321を用いた分光により、わずかな非線形誤差が存在する場合には、信号分析モジュール500の設計及び選択により、非線形誤差補償のための光電検出及び信号処理機能を持たせて補償することができる。上記の偏光状態調整要素320は、ビーム偏光状態の変化を可能にするために、1つの2分の1ウェーハー、2つの4分の1ウェーハー、または当分野で周知の他の偏光制御および調整要素を使用することができる。
【0085】
上述した自由空間デュアル周波数レーザーを用いた変位測定装置は、光源モジュールが大きいため、移動台に合わせて回折部材200が動き、ヘッドセットが固定されている測定シーンに好適であり、複数の自由度で回折部材200の変位測定が可能である。また、光源モジュールに自由空間レーザーを採用する場合、上記の光ファイバ伝送デュアルレーザの場合には、読み取りヘッド100は遠隔参照光信号を形成する必要がなく、光路伝送構造が単純で測定軸数が少ないという利点があり、装置の光パワー利用率の向上と構造複雑性の低減が可能である。
【0086】
本実施形態は、互いに相対移動可能なウェーハーステージおよびレチクルステージを含むフォトリソグラフィー装置をさらに含む。フォトリソグラフィー装置は、上述した変位測定装置を含む。
【0087】
リソグラフィは半導体工芸のカギ工芸、その仕事を含む誘導空間の図案複射の光の弊に塗り頂いたウエハー(たとえばガラスやチップ)で確定ウエハーのどの位置を含む受信複射(「い」と呼ばれる)とどんな位置にそこで光の弊に(「暴露」と呼ばれる)の過程を誘導ウエハーで、相対的に空間の図案複射定時、光の弊が通常の設置を支えるいたウエハーステージを移動できるステージ(並進と回転を含む)、移動ウエハーで正確な位置をそこからウエハーをウエハープラットフォームの移動時、測位を掩似通ったのを掩似通ったプラットフォームは普通、静止で違うデザインに基づいたリソグラフィ設備で、露出の期間に、マスク・プラットフォームは、マスク・プラットフォームがウェハーステージと協調して移動するように構成される。リソグラフィ装置は、半導体チップ、液晶パネル、OLEDパネル、CCDセンサなどの製造に用いられる半導体デバイス及び半導体デバイスを含む製品を製造する重要なプロセス装置でもある。
【0088】
上記の変位測定装置は、リソグラフィ装置の露光作業中にダイの位置を正確に測定するエンコーダシステムとして機能することができる。具体的には、
図1 ~
図8に示す回折部材200(たとえば、ラスタ)は、ウェーハーステージまたはレチクルステージのうちの一方に貼り付けることができ、読み取りヘッド100は、ウェーハーステージまたはレチクルステージのうちの他方に貼り付けることができる。ウエーハーステージおよびレチクルステージは、フォトリソグラフィー装置の動作中に相対的に移動するため、具体的な取付許容重量および寸法に応じて、具体的なラスタおよび読み取りヘッドの貼り付け方式を考慮することができる。
【0089】
この変位測定装置を備え、幅角度の適応性、変位測定装置やエンコーダーを高めることができるシステムの角度を容差、小さく回折向かう電波を部材というものに対する干渉情報、強度の影響も小さくするのに役立つと姿勢制御難易度を設置、小さくまで計光路構造によるノンリニヤリティの誤差を避け、精度測定やリソグラフィ設備のシステムの精度を高める。
【0090】
また、本実施形態は、上述した変位測定装置を用いることができる変位測定方法を備える。具体的には、変位測定方法は、以下のステップを含む。
(ステップ1)
光接触面と、その光接触面に平行な方向に配置された複数の重複回折ユニットとを含む回折部材を提供する。
(ステップ2)
第一入力光ビームおよび第二入力光ビームを取得する。
(ステップ3)
第一入力光ビームおよび第二入力光ビームは、回折部材に平行に接触し、両方とも回折するように方向付けられ、次いで、回折された第一入力光ビームおよび第二入力光ビームは、少なくとも1つの出力光ビームを形成するために、少なくとも2つの逆方向回折部材によって方向付けられ、結合される。各出力光ビームは、回折部材の光接触面内の同じスポット位置から出射され、かつ、第一入力光ビームおよび第二入力光ビームにそれぞれ対応する方向の回折光信号を含む。
(ステップ4)
出力光ビームを検出する。
(ステップ5)
各出力光ビームの干渉信号の位相変化情報から回折部材の変位情報を得る。
【0091】
図1~
図8に示すように、本実施例に係る変位測定方法において、第一入力光ビーム610と第二入力光ビーム611が回折部材200に平行に接触する際、第一入力光ビーム610は、第一光スポット位置Aにおいて一次回折され、611第2入力ビーム光スポット発生位置b回折の業務報告の方向と同じ一回回折、第一入力光ビーム610(別の実施例では、第二入力光ビーム611)との1回の回折光ビームをガイドして、1回の回折光ビームが、たとえば、一方の再帰反射部材、回折部材200、他方の再帰反射部材200の順に反射された後、再帰反射部材および回折部材200で反射されるようにする。回折部材200の光接触面で再び反射され、同一スポット位置で第二入力光ビーム611(別の実施形態では第一入力光ビーム610)と少なくとも部分的に再結合されて同一方向に出射され、第一出力光ビーム613(別の実施形態では第二出力光ビーム614)が形成される。第一出力光ビーム613と第二出力光ビーム614の干渉信号の位相変化情報は、光接触面に位置する法線方向の自由度に沿った回折部材200の変位情報を反映している。第一出力光ビーム613の干渉信号の位相変化と対応する回折部材200の変位との間は、本実施形態で前述した式(1)を満たし、第二出力光ビーム614の干渉信号の位相変化と対応する回折部材200の変位との間は、本実施形態で前述した式(2)を満たす。
【0092】
好ましい方法では、上述した第一出力光ビーム613と第二出力光ビーム613の両方が、上記の方法で同時に形成され、すなわち、2軸方向の変位測定が実現される。出力が検出まで1ビーム613と2ビーム614後、参照前述の式(4)、ビーム出力を通じて初めてビームと2 613 614の干渉信号所の反映の所述回折200は垂れ、自由に部材の変位情報、一方に補償できる環境測定光路への影響は、測定精度の向上により、一方、回折部材200が光接触面内に位置する軸に沿って回転する回動自由度の変位情報は、式(4)で得ることができる。
【0093】
以下では、本実施形態の変位測定方法により、回折部材200の縦方向自由度の変位情報だけでなく、回折部材200の横方向自由度の変位情報(本実施形態では、
図1のXY平面を「水平」とする)を得ることができる。
【0094】
上述した第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611を回折部材200と平行に接触させた後、第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611の一次回折光ビームは、それぞれが逆回折部材を介して回折部材200と再び接触して2回回折を起こし、第一入力光ビーム610及び第二入力光ビーム611に対応する第二回折光ビームは、回折部材200の光接触面の第三スポット位置Cにおいて少なくとも部分的に再結合されて同一方向に出射し、第三出力光ビーム612を形成する。第三出力光ビーム612の干渉信号の位相変化情報は、回折部材200の光接触面方向と平行な水平自由度の変位情報を反映している。第三出力光ビーム612の干渉信号の位相変化は、前述の式(3)を満たす。本実施形態では、第三出力光ビーム612を形成する第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611の一次回折光ビームの回折次数次方向は、同じ入力光ビームに対応して逆方向であり、2回目および1回目の回折次数次方向は同じである。第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611にそれぞれ対応する第三出力光ビーム612における回折光信号は、同じ回折次数に対応し、たとえば、第三出力光ビーム612は、第一入力光ビーム610に対応する+1次2次回折光ビーム(または2次回折光信号)と、第二入力光ビーム611に対応する-1次2次回折光ビーム(または2次回折光信号)とを含むことができ、または、別の実施形態では、第三出力光ビーム612は、第一入力光ビーム610に対応するー1次の2次回折ビームと、第二入力光ビーム611に対応する+1次の2次回折ビームとを含むことができる。
【0095】
上述した出力光ビームを得るプロセスを2つ以上適切に組み合わせることにより、回折部材200の3つ以上の自由度での変位測定を達成することができる。たとえば、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、RX方向(X軸に沿ったヨー方向)、Ry方向(Y軸に沿ったヨー方向)、RZ方向(Z軸に沿ったヨー方向)の6自由度の変位測定が可能である。
【0096】
出力をこの1とかビーム613、2、ビーム614 200 612回折部材などを反映し、3出力光ビームは、自由度の変位情報輸出ビーム後、利用できる光学探査(または位相探査)出力デバイス前述ビームを検出し、さらにを通じて信号の伝送できる光ファイバに検出の光信号を分析し、回折部材200の自由度に応じた変位情報は、出力光ビーム毎の干渉信号の位相変化情報から得られる。
【0097】
本実施形態の変位測定方法は、第一入力光ビーム610および第二入力光ビーム611が回折部材200に平行に接触して回折(1回目の回折)した後、第一入力光ビーム610及び第二入力光ビーム611にそれぞれ対応する回折光信号が、回折部材200の光接触面内の同一スポットから反射され、かつ方向が重なり合うことにより、1自由度の回折部材変位情報と独立した関連する少なくとも1つの出力光ビームを形成する。あまりの出力できるビームを通じて得回折違って自由で部材の変位情報、アルゴリズムにより結合を解消する必要もない、に向かう電波を回折部材の解消というもの(たとえば,光の接触を相対的に向かう電波を内の軸というもの)による関係の光の角度の分離、小さく回折向かう電波を部材というものに対する干渉情報、強度の影響で測定精度の向上、すなわち広い角度の適応能力を備えている、また、この方法を適用した変位測定装置の角度許容差を高め、装置の取り付けと姿勢制御の難しさを低減することにも役立つ。また、形成された複数の出力光ビームは互いに独立しているため、各出力光ビームの干渉信号を検出し、ある自由度(又は方向)における回折部材の個別に得られる変位情報を解析することができ、計算プロセスの簡略化に役立つ。また、本実施形態の変位測定方法は、同一出力光ビームをアルゴリズム的にデカップリングすることにより異なる自由度の変位を得る測定方法と比較して、共光路構造に起因する非線形誤差を大幅に低減または回避することができる。
【0098】
本実施形態の変位測定方法は、上述した変位測定装置の一般的な考え方に基づいており、変位測定装置の説明を参照することができる。
【0099】
こうした描写は当発明が佳実施例の描写が、当発明限定範囲のいかなる権利ではなく、いかなる本分野の技術者が離脱しない本発明の精神と範囲内でも利用できるようにと提示内容自身の発明の方法と技術改正案に可能な変動と、ため、およそ未本発明案の内容から、本発明の技術的実体に基づいて上記の実施形態に対してなされるいかなる簡単な修正、均等な変化および修飾も、本発明の技術的態様の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0100】
100 読み取りヘッド、
110 第一再帰反射部材、
111 第二再帰反射部材、
130 第一反射部材、
131 第二反射部材、
132 第三反射部材、
133 第一分光部材、
134 第二分光部材、
135 第三分光部材、
136 第四遮光板、
200 回折部材、
300 光源モジュール、
310 自由空間二重周波数レーザー、
311 単周波数レーザー、
320 偏光状態調節部材、
321 第二偏光分光鏡、
322 隔離器、
323 第一音響光学周波数シフター、
324 第二音響光学周波数シフター、
325 第一遮光板、
326 第二遮光板、
327 第三遮光板、
330 第一分光鏡、
331 第二分光鏡、
332 第三分光鏡、
333 第四分光鏡、
334 第一反射鏡、
335 第二反射鏡、
340 第一偏波保持光ファイバーカプラー、
341 第二偏波保持光ファイバーカプラー、
350 マルチモード光ファイバーカプラー、
370 第三光ビーム角度コントローラー、
410 第三光学検出モジュール、
411 第一光学検出モジュール、
412 第二光学検出モジュール、
413 第四光学検出モジュール、
430 第三信号伝送光ファイバー、
431 第一信号伝送光ファイバー、
432 第二信号伝送光ファイバー、
433 第四信号伝送光ファイバー、
450 第一偏波保持光ファイバーコリメーター、
451 第二偏波保持光ファイバーコリメーター、
470 第一偏波保持光ファイバー、
471 第二偏波保持光ファイバー、
481 四分の一波長板、
482 非偏光分光鏡、
483 第一偏光分光鏡、
484 第二偏光分光鏡、
485 第一光カプラー、
486 第二光カプラー、
487 第三光カプラー、
488 第四光カプラー、
500 信号分析モジュール、
610 第一入力光ビーム、
611 第二入力光ビーム、
612 第三出力光ビーム、
613 第一出力光ビーム、
614 第二出力光ビーム、
621 再帰反射部材への入力光ビーム、
622 再帰反射部材からの出力光ビーム、
700 第一光ビーム角度コントローラー、
701 第二光ビーム角度コントローラー、
702 第三光ビーム角度コントローラー、
1301 レンズ、
1302 凹面反射鏡。