(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】インジェクタシステムおよびそれと共に使用するためのシリンジアダプタ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/145 20060101AFI20231110BHJP
【FI】
A61M5/145 506
A61M5/145 510
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022054100
(22)【出願日】2022-03-29
(62)【分割の表示】P 2019539970の分割
【原出願日】2018-01-22
【審査請求日】2022-04-08
(32)【優先日】2017-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507021757
【氏名又は名称】バイエル・ヘルスケア・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エリン・ノヴィコフ
(72)【発明者】
【氏名】モリー・ビンガマン
(72)【発明者】
【氏名】コリン・グライムス
(72)【発明者】
【氏名】キース・リップフォード
(72)【発明者】
【氏名】バリー・アイドン
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・セーマン
(72)【発明者】
【氏名】ケント・ディアサベイグナウォーディーナ
(72)【発明者】
【氏名】イザベラ・ノルツィーニ
(72)【発明者】
【氏名】エマ・ディアサベイグナウォーディーナ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・オルーク
(72)【発明者】
【氏名】サマンサ・サザーランド
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・シュルテ
(72)【発明者】
【氏名】アーサー・ウーバー・ザ・サード
(72)【発明者】
【氏名】マーク・トロッキー
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・エム・ライリー
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0258278(US,A1)
【文献】特表2003-505210(JP,A)
【文献】国際公開第2015/130884(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/145
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体インジェクタ用のフィードバックおよび制御システムであって、
前記インジェクタに対してプレフィルドシリンジを動作可能に接続するために前記プレフィルドシリンジをその中に受容するように構成されたシリンジアダプタを受容するように構成された少なくとも1つのシリンジポートを備えるインジェクタと、
前記インジェクタと電子通信する制御デバイスであって、前記インジェクタの動作中にユーザをガイドするためのユーザインタフェースを有するビジュアルディスプレイを備える制御デバイスと
を備え、
前記制御デバイスが
、
流体を収容する前記プレフィルドシリンジに関する情報を受け取り、
患者に注入される流体
を収容する前記プレフィルドシリンジに関する前記情報に基づいて、推奨される
シリンジアダプタを決定し、
前記少なくとも1つのシリンジポートに接続されるべき前記推奨される
シリンジアダプタの表示を、前記ビジュアルディスプレイ上に提供する
ように構成されている、フィードバックおよび制御システム。
【請求項2】
前記プレフィルドシリンジに関する前記情報は、符号化デバイス、前記シリンジアダプタ内に装着されるように意図された
前記プレフィルドシリンジ上のバーコードをスキャンすること、前記ユーザインタフェースに
前記情報を
手動入力すること、あるいはそれらの組み合わせの少なくとも1つによって
受け取られる、請求項1に記載のフィードバックおよび制御システム。
【請求項3】
前記表示は、前記推奨される
シリンジアダプタのビジュアルアイコンである、請求項1に記載のフィードバックおよび制御システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのシリンジポートに接続されるべき前記推奨される
シリンジアダプタの前記表示は、前記インジェクタのディスプレイに表示される、請求項1に記載のフィードバックおよび制御システム。
【請求項5】
前記制御デバイスはさらに、
前記少なくとも1つのシリンジポートに装着された前記シリンジアダプタが前記推奨される
シリンジアダプタであることを確認し、
前記少なくとも1つのシリンジポートに装着された前記シリンジアダプタが前記推奨される
シリンジアダプタでない場合は、前記ビジュアルディスプレイに通知を表示する
ように構成されている、請求項1に記載のフィードバックおよび制御システム。
【請求項6】
前記シリンジアダプタは、それと関連付けられた符号化デバイスを備える、請求項5に記載のフィードバックおよび制御システム。
【請求項7】
前記符号化デバイスは、離間したバーを有するバーコード、離間したバーを表す隆起表面を有するバーコード、前記流体インジェクタ上のスイッチに対して位置合わせするように設計されたスロット、穴ならびに突起、光学的に読み取り可能なデバイス、無線周波数識別デバイス(RFID)タグ、あるいはそれらの組み合わせの少なくとも1つである、請求項6に記載のフィードバックおよび制御システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのシリンジポートが、それに装着された前記シリンジアダプタに関する前記符号化デバイスからの情報を取得するためのセンサを備える、請求項6に記載のフィードバックおよび制御システム。
【請求項9】
前記制御デバイスは、前記シリンジアダプタと関連付けられた前記符号化デバイスから情報を取得するための前記センサからの信号に基づいて、前記少なくとも1つのシリンジポートに装着された前記シリンジアダプタが前記推奨される
シリンジアダプタであることを確認する、請求項8に記載のフィードバックおよび制御システム。
【請求項10】
前記制御デバイスはさらに、
前記推奨される
シリンジアダプタに少なくとも部分的に基づいて、実行されるべき注入のための1つ以上の注入パラメータを決定する
ように構成されている、請求項1に記載のフィードバックおよび制御システム。
【請求項11】
流体インジェクタシステムを制御する方法であって、前記流体インジェクタシステムは、シリンジアダプタを受容するように構成された少なくとも1つのシリンジポートを備えるインジェクタと、前記インジェクタと電子通信する制御デバイスであって、ユーザインタフェースを有するビジュアルディスプレイを備える制御デバイスと、を備え、
前記方法が
、
流体を収容するプレフィルドシリンジに関する情報を受け取るステップと、
患者に注入される流体
を収容する前記プレフィルドシリンジに関する前記情報に基づいて、推奨される
シリンジアダプタを前記制御デバイスによって決定するステップと、
前記少なくとも1つのシリンジポートに接続されるべき前記推奨される
シリンジアダプタの表示を前記ビジュアルディスプレイ上に提供するステップと
を備える方法。
【請求項12】
前記プレフィルドシリンジに関する前記情報は、符号化デバイス、前記シリンジアダプタ内に装着されるように意図された
前記プレフィルドシリンジ上のバーコードをスキャンすること、前記ユーザインタフェースに
前記情報を
手動入力すること、あるいはそれらの組み合わせの少なくとも1つによって
受け取られる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記表示は、前記推奨される
シリンジアダプタのビジュアルアイコンである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのシリンジポートに前記シリンジアダプタを装着するステップと、
前記少なくとも1つのシリンジポートに装着された前記シリンジアダプタが前記推奨される
シリンジアダプタであることを確認するステップと、
前記少なくとも1つのシリンジポートに装着された前記シリンジアダプタが前記推奨される
シリンジアダプタでない場合は、前記ビジュアルディスプレイに通知を表示するステップと
をさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記シリンジアダプタは、それと関連付けられた符号化デバイスを備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記符号化デバイスは、離間したバーを有するバーコード、離間したバーを表す隆起表面を有するバーコード、前記流体インジェクタ上のスイッチに対して位置合わせするように設計されたスロット、穴ならびに突起、光学的に読み取り可能なデバイス、無線周波数識別デバイス(RFID)タグ、あるいはそれらの組み合わせの少なくとも1つである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つのシリンジポートが、そこに装着された前記シリンジアダプタに関する前記符号化デバイスからの情報を取得するためのセンサを備える、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記シリンジアダプタと関連付けられた前記符号化デバイスから情報を取得するための前記センサからの信号に基づいて、前記少なくとも1つのシリンジポートに装着された前記シリンジアダプタが前記推奨される
シリンジアダプタであることが確認される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記制御デバイスによって、前記推奨される
シリンジアダプタに少なくとも部分的に基づいて、実行されるべき注入のための1つ以上の注入パラメータを決定するステップをさらに備える、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
流体インジェクタ用のフィードバックおよび制御システムであって、
前記インジェクタに対してプレフィルドシリンジを動作可能に接続するために前記プレフィルドシリンジをその中に受容するように構成されたシリンジアダプタを受容するように構成された少なくとも1つのシリンジポートを備えるインジェクタと、
前記インジェクタと電子通信する制御デバイスであって、前記インジェクタの動作中にユーザをガイドするためのユーザインタフェースを有するビジュアルディスプレイを備える制御デバイスと
を備え、
前記制御デバイスが
、
流体を収容する前記プレフィルドシリンジに関する情報を受け取り、
患者に注入される流体
を収容する前記プレフィルドシリンジに関する前記情報に基づいて、推奨される
シリンジアダプタを決定し、
前記少なくとも1つのシリンジポートに接続されるべき前記推奨される
シリンジアダプタの表示を前記ビジュアルディスプレイ上に提供し、
前記少なくとも1つのシリンジポートに装着された前記シリンジアダプタが前記推奨される
シリンジアダプタであることを確認し、
前記少なくとも1つのシリンジポートに装着された前記シリンジアダプタが前記推奨される
シリンジアダプタでない場合は、前記ビジュアルディスプレイに通知を表示する
ように構成されている、フィードバックおよび制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年1月24日に出願された「注入システムおよびそれと共に使用するためのシリンジアダプタ」という名称の米国特許仮出願第62/449,874号および2017年8月18日に出願された「アダプタを用いた流体供給のためのシステムおよび方法」という名称の米国特許仮出願第62/547,257号に対する優先権を主張し、これらの各々の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、電動インジェクタシステムおよびそれと共に使用するためのシリンジアダプタに関する。
【背景技術】
【0003】
多くの医学的診断および治療処置において、医師または他の人が患者に流体を注入する。近年、造影剤などの流体の加圧注入用の多数のインジェクタ作動シリンジおよび電動インジェクタが、血管造影法、コンピュータ断層撮影法、超音波、核医学、NMR/MRI、および他のイメージングモダリティなどの処置に使用するために開発されている。一般に、これらの電動インジェクタは、プリセット数量の造影剤をプリセット流速で供給するように設計されている。
【0004】
典型的には、そのような電動インジェクタは、1つ以上のシリンジをその前壁に接続することを可能にするハウジングを含む。これらのインジェクタは、シリンジプランジャに接続するピストンなどの駆動部材をさらに備える。フロントローディングインジェクタと共に使用されるシリンジは通常、シリンジをインジェクタの前壁に固定するための容易に解放可能な装着機構を含む。そのようなシリンジは、例えば、シリンジ本体と、その中に相互に装着されたプランジャと、プランジャへの力の伝達のためのプランジャ延長部とを含み得る。
【0005】
したがって、アダプタは、フロントローディングインジェクタと共に様々なシリンジを使用できるように設計されている。例えば、アダプタは、前端部と後端部と、シリンジフランジの少なくとも一部と係合するためにキャリアの前端部と後端部との間に配置されるシリンジ保持チャネルとを有するシリンジキャリアを含むことができる。キャリアの後方端部近くの装着フランジは、キャリアをインジェクタの前壁に対して所望の位置に解放可能に装着する。
【0006】
そのような従来のアダプタは当技術分野において実質的な改善をもたらすが、フロントローディングインジェクタでのそのようなシリンジの使用を可能にするために様々なタイプのシリンジと共に使用するための改善されたアダプタを開発することが依然として望ましい。
【0007】
さらに、注入を実行する前にこれらのアダプタを選択してインジェクタに設置する必要があるため、必要な時間と各処置の複雑さが増す。特に、ユーザはどのアダプタが異なるタイプのプレフィルドシリンジでの使用が承認されているかを決定しなければならない。アダプタが異なれば使用パラメータも異なり、つまり、新しいアダプタを選択するたびに、特定の注入パラメータまたはインジェクタ設定を調整する必要があることを意味する。ユーザは、新しいアダプタが使用されるたびに、これらのパラメータと設定を手動で調整を担当する場合がある。
【0008】
これらの理由から、インジェクタ設定プロセスを通してユーザをガイドするための、特に、異なるタイプのアダプタを選択して設置する際に支援を提供するためのユーザインタフェースシステムを開発することが望ましい。本明細書に開示されているユーザインタフェースおよびインジェクタシステムは、そのような利点を提供することを意図している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様によれば、シリンジをインジェクタに解放可能に取り付けるためのアダプタが提供される。シリンジは、本体と、本体の前方端部から延びる流体出口を有する前端部と、本体内にスライド可能に配置されたプランジャと、本体の後方端部の周りに延びるフランジとを備える。インジェクタは、前壁と、前壁に形成された開口部と、インジェクタに相互に装着された駆動部材とを備える。アダプタは、アダプタの後端部に配置されアダプタをインジェクタの前壁に対して所望の位置に装着する装着機構を備え、シリンジキャリアセクションはシリンジの少なくとも一部を着座させるようになされる。シリンジキャリアセクションは、上部からシリンジを配置できるようにその上部に第1の開口部を画定し、インジェクタの駆動部材がプランジャに前方の力を伝達することができるようにその後方セクションに第2の開口部を画定する。カバー部分は、第1の開口部の後方端部を覆って延長し、シリンジがシリンジキャリアセクション内に配置されたときにシリンジのフランジに当接するように構成された第1の端部を有する。
【0010】
シリンジキャリアセクションの前方部分は、2つの実質的に対向する肩部分を備え得る。対向する肩部分は、注入中にシリンジによってアダプタに及ぼされる力がアダプタの軸に関して概ね対称的となるようにシリンジの前端部に当接するように構成され得る。2つの実質的に対向する肩部分は、それぞれシリンジキャリアセクションの第1の側面および第2の側面に配置されてもよい。
【0011】
アダプタは、シリンジキャリアセクションと装着機構とに動作可能に接続されかつそれらの間に配置された中間セクションをさらに備え得る。プッシュロッドは、中間セクション内に少なくとも部分的に配置されてもよい。プッシュロッドは、シリンジのプランジャと係合するための第1の端部と第2の端部とを備え得る。プッシュロッドの第2の端部は、インジェクタの駆動部材と係合するように構成される一対の付勢された係合脚部を備え得る。係合脚部のそれぞれは、係合位置に戻るようにばね要素によって付勢されてもよい。係合脚部のそれぞれは、自由な第1の端部とプッシュロッドに接続される第2の端部とを備え得る。係合脚部のそれぞれの自由な第1の端部は、インジェクタの駆動部材に設けられたフランジと係合するように構成された把持部材を備え得る。
【0012】
特定の例では、シーリング部材は、シリンジキャリアセクションの第2の開口部内に配置され、プッシュロッドと接触し、シリンジからの流体がシーリング部材の後方を通過するのを防ぐように構成され得る。カバー部分の第2の端部は、シーリング部材をシリンジキャリアセクションの第2の開口部内の所定の位置に保持するためにそこから延びるリテーナリングを備え得る。
【0013】
シリンジキャリアセクションは、内面と、内面上に配置された屈曲保持部材とを備え得る。屈曲保持部材は、シリンジをシリンジキャリアセクション内に保持するためにシリンジの少なくとも一方の側に圧力を加えるようになされ得る。少なくとも1つの屈曲保持部材は、シリンジキャリアセクションの内面に動作可能に接続された第1の端部と第2の自由端部とを有する第1の脚部と、第1の脚部から離間した第2の脚部であって、シリンジキャリアセクションの内面に動作可能に接続された第1の端部と第1の脚部と第2の脚部との間の空間がシリンジを受容するように構成され得るような第2の自由端部とを有する、第2の脚部とを備え得る。
【0014】
本開示の別の態様によれば、シリンジをインジェクタに解放可能に取り付けるためのアダプタが提供される。シリンジは、本体と、本体の前方端部から延びる流体出口を有する前端部と、本体内にスライド可能に配置されたプランジャと、本体の後方端部の周りに延びるフランジとを備える。インジェクタは、前壁と、前壁に形成された開口部と、インジェクタに相互に装着された駆動部材とを備える。アダプタは、アダプタの後端部に配置されアダプタをインジェクタの前壁に対して所望の位置に装着する装着機構、シリンジの少なくとも一部を着座させるようになされたシリンジキャリアセクション、およびは第1の開口部の後方端部を覆って延びるカバー部分を備える。シリンジキャリアセクションは、上部からシリンジを配置できるようにその上部に第1の開口部を画定し、インジェクタの駆動部材がプランジャに前方の力を伝達することができるようにその後方セクションに第2の開口部を画定する。カバー部分は、本体の上部で交わるように傾斜された前面および後面を有する本体を備える。カバー部分の前面は、シリンジをシリンジキャリアセクションから取り外す間、シリンジを制御された方法で旋回させる。
【0015】
アダプタは、シリンジキャリアセクションと装着機構とに動作可能に接続されかつそれらの間に配置された中間セクションおよび中間セクション内に少なくとも部分的に配置されたプッシュロッドをさらに備え得る。プッシュロッドは、シリンジのプランジャと係合するための第1の端部と第2の端部とを備え得る。プッシュロッドの第2の端部は、インジェクタの駆動部材と係合するように構成される一対の付勢された係合脚部を備え得る。係合脚部のそれぞれは、係合位置に戻るようにばね要素によって付勢されてもよい。係合脚部のそれぞれは、自由な第1の端部とプッシュロッドに接続される第2の端部とを備え得る。係合脚部のそれぞれの自由な第1の端部は、インジェクタの駆動部材に設けられたフランジと係合するように構成された把持部材を備え得る。
【0016】
カバー部分の第1の端部は、シリンジがシリンジキャリアセクション内に配置されたときにシリンジのフランジに当接するように構成されてもよい。シーリング部材は、シリンジキャリアセクションの第2の開口部内に配置され得、プッシュロッドと接触し、シリンジからの流体がシーリング部材の後方を通過するのを防ぐように構成され得る。カバー部分の第2の端部は、シーリング部材をシリンジキャリアセクションの第2の開口部内の所定の位置に保持するためにそこから延びるリテーナリングを備え得る。
【0017】
シリンジキャリアセクションは、内面と、内面上に配置された屈曲保持部材とを備え得る。屈曲保持部材は、シリンジをシリンジキャリアセクション内に保持するためにシリンジの少なくとも一方の側に圧力を加えるようになされ得る。少なくとも1つの屈曲保持部材は、シリンジキャリアセクションの内面に動作可能に接続された第1の端部と第2の自由端部とを有する第1の脚部と、第1の脚部から離間した第2の脚部であって、シリンジキャリアセクションの内面に動作可能に接続された第1の端部と第1の脚部と第2の脚部との間の空間がシリンジを受容するように構成され得るような第2の自由端部とを有する、第2の脚部とを備え得る。
【0018】
本開示のなおさらなる態様によると、流体インジェクタのためのフィードバックおよび制御システムは、制御デバイスと、シリンジアダプタを受容するように構成された少なくとも1つのシリンジポートとを備えるインジェクタを含む。少なくとも1つのシリンジポートは、それに装着されているシリンジアダプタに関する情報を取得するためのセンサを備える。制御デバイスはインジェクタと電子通信しており、ビジュアルディスプレイを含む。制御デバイスは、インジェクタの動作中にユーザをガイドするためのユーザインタフェースを表示する。制御デバイスは、患者に注入される流体のタイプに基づいて推奨されたアダプタのタイプを決定する、推奨されたアダプタタイプに少なくとも部分的に基づいて実行される注入のための1つ以上の注入パラメータを決定する、シリンジポートに装着されているシリンジアダプタが推奨されたアダプタタイプであることを確認する、およびシリンジポートに装着されているシリンジアダプタが推奨されたアダプタタイプでない場合、ビジュアルディスプレイに通知を表示するように構成される。
【0019】
本開示の別の態様によれば、流体インジェクタのフィードバック制御システムは、インジェクタおよび制御デバイスの一実施形態を含む。インジェクタは、シリンジアダプタを受容するように構成された少なくとも1つのシリンジポートを備える。少なくとも1つのシリンジポートは、アダプタに挿入されたプレフィルドシリンジのプランジャと係合するように構成された軸方向に移動可能なピストンと、シリンジおよび/またはシリンジポートに装着されたアダプタに関する情報を得るためのセンサとを備える。制御デバイスはインジェクタと電子通信しており、ビジュアルディスプレイを備える。制御デバイスは、インジェクタの動作中にユーザをガイドするためのユーザインタフェースを表示する。制御デバイスは、ビジュアルディスプレイ上にシリンジのビジュアル表現を提供する、シリンジポートのピストンを定位置からシリンジポートに装着されたシリンジアダプタを通ってプレフィルドシリンジのプランジャに向かって前進させる、シリンジのビジュアル表現を更新してピストンが定位置を超えて前進し始めたときにシリンジが流体で一杯になったことを示す、およびシリンジに残っている流体の数量を表示するためにシリンジのビジュアル表示をさらに更新し、シリンジに残っている流体の表示された数量がピストンの定位置に対するピストンの位置に基づき決定されるように構成される。
【0020】
本開示の別の態様によれば、流体インジェクタのフィードバック制御システムは、インジェクタおよび制御デバイスの一実施形態を含む。インジェクタは、シリンジアダプタを受容するように構成された少なくとも1つのシリンジポートを備える。少なくとも1つのシリンジポートは、アダプタに関する情報を取得するためのセンサを備える。インジェクタと電子通信する制御デバイスはビジュアルディスプレイを備える。制御デバイスは、インジェクタの動作中にユーザをガイドするためのユーザインタフェースを表示する。制御デバイスは、少なくとも1つのシリンジポートに接続されたアダプタのタイプを識別するためにシリンジポートセンサから情報を受信する、および少なくとも1つのシリンジポートに接続されたアダプタのタイプを示すビジュアルアイコンをビジュアルディスプレイ上に提供するように構成される。ビジュアルアイコンは、アダプタのタイプを識別するアダプタのビジュアル表現を備える。
【0021】
本開示のさらに別の態様によれば、シールドシリンジをインジェクタに解放可能に取り付けるためのアダプタが提供される。シールシリンジは、本体と、本体の前方端部から延びる流体出口を有する前端部と、本体内にスライド可能に配置されたプランジャと、本体の後方端部の周りに延びるフランジと、シリンジ本体の少なくとも一部をカバーするシリンジシールドとを備える。インジェクタは、前壁と、前壁に形成された開口部と、インジェクタに相互に装着された駆動部材とを備える。アダプタは、アダプタをインジェクタの前壁に対して所望の位置に取り付けるためにアダプタの後端部に配置された装着機構、シリンジの少なくとも一部を着座させるようになされたシリンジキャリアセクション、シリンジキャリアセクションの前方部分に設けられる挿入部材、およびシリンジキャリアセクションと装着機構との間に動作可能に接続されて配置された中間セクションを備える。シリンジキャリアセクションは、上部からシリンジを配置できるようにその上部に第1の開口部を画定し、インジェクタの駆動部材がプランジャに前方の力を伝達することができるようにその後方セクションに第2の開口部を画定する。挿入部材は、その中にシールドシリンジをしっかりと保持するように設計され構成される。
【0022】
挿入部材は、その中にシールドシリンジのフランジを固定するために設けられた一対のノッチを備え得る。インジェクタの駆動部材からシールドシリンジへの注入処置中の前方への力は、シリンジシールドを通って十分に伝達され、シリンジシールドを通って部分的に伝達され、およびシリンジシールドを通って伝達されない、の1つになり得る。
【0023】
本開示のさらに別の態様によれば、シリンジをインジェクタに解放可能に取り付けるためのアダプタが提供される。シリンジは、本体と、本体の前方端部から延びる流体出口を有する前端部と、本体内にスライド可能に配置されたプランジャと、本体の後方端部の周りに延びるフランジとを備える。インジェクタは、前壁と、前壁に形成された開口部と、インジェクタに相互に装着された駆動部材とを備える。アダプタは、アダプタをインジェクタの前壁に対して所望の位置に装着するためにアダプタの後端部に配置された装着機構、シリンジの少なくとも一部を着座させるようになされたシリンジキャリアセクション、およびシリンジキャリアセクションと装着機構との間に動作可能に接続されて配置された中間セクションを備える。その上部に第1の開口部を画定して上部からシリンジをその中に配置することを可能にするシリンジキャリアセクション。中間セクションは、インジェクタの駆動部材とシリンジのプランジャとの間の変位関係を変更するための低減機構を備える。
【0024】
低減機構は、上面と底面およびそれらの間で延在するスロットを有するほぼ平面状の要素、スロットを通って延在し、注入処置の前にシリンジのプランジャと係合するように構成されたプランジャ係合機構、ほぼ平面状の要素の底面から延びる一対のレール、注入処置中にインジェクタの駆動部材と係合してレールに沿って移動するように位置決めされた駆動部材係合部分、駆動部材係合部分に枢着された第1の端部、平面状の要素の底面に枢着された第2の端部、および中間部分を有するレバー、ならびに平面状の要素の底面の中央に配置されているスライダ機構を備え得る。スライダ機構は、レバーの中間部分に枢着され、スライダ機構の動きがプランジャをシリンジを通して動かし、そこから流体を放出させるようにプランジャロッド係合機構に動作可能に接続され得る。
【0025】
本開示のデバイスのこれらおよび他の特徴および特性の他、構造の関連要素の動作方法と機能および部品の組み合わせならびに製造の経済性も、そのすべてが本明細書の一部を形成する以下の説明および添付の図面を参照した添付の特許請求の範囲を考慮するとより明らかになるであろう。様々な図において同様の参照番号は対応する部分を示している。しかし、図面は、例示および説明のみを目的としており、本開示のデバイスの制限の定義として意図されていないことを明確に理解されたい。本明細書および特許請求の範囲で使用されているように、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうでないと指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】MRI処置に関連して使用するための本開示によるインジェクタシステムの斜視図である。
【
図2】本開示による
図1のインジェクタシステムと共に使用するためのアダプタの斜視図である。
【
図4】シリンジが装填された
図2のアダプタの斜視図である。
【
図5】
図2のアダプタのカバー部分の斜視図である。
【
図7】
図6のA--A線に沿って取得されたカバー部分の断面図である。
【
図8】
図2のアダプタの屈曲保持部材の斜視図である。
【
図10】
図9のA--A線に沿って取得された屈曲保持部材の断面図である。
【
図11】本開示によるアダプタをインジェクタシステムの駆動部材に接続するための
図2のアダプタの係合機構の係合脚部の斜視図である。
【
図12】本開示によるアダプタをインジェクタシステムの駆動部材に接続する
図2のアダプタの係合機構の一対の係合脚部の斜視図である。
【
図13】本開示によるインジェクタの概略図である。
【
図14】本開示によるシステムを使用して実行される注入処置について制御しフィードバックを提供するためにインジェクタシステムのディスプレイ上に表示され得るユーザインタフェース画面の概略図である。
【
図15】本開示によるインジェクタシステムの別のユーザインタフェース画面の概略図である。
【
図16】本開示によるインジェクタシステムの別のユーザインタフェース画面の概略図である。
【
図17】本開示によるインジェクタシステムの別のユーザインタフェース画面の概略図である。
【
図18A】本開示によるインジェクタシステムの追加のユーザインタフェース画面の概略図である。
【
図18B】本開示によるインジェクタシステムの追加のユーザインタフェース画面の概略図である。
【
図19】本開示によるインジェクタシステムを用いて注入を準備し実行するためのプロセスを示すフローチャートである。
【
図20】本開示によるインジェクタシステムを用いて注入を実行するための別の例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【
図21】本開示によるインジェクタシステムを用いて注入を実行するための別の例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【
図22】本開示によるインジェクタシステムを用いて注入を実行するための別の例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【
図23】本開示による
図1のシールドシリンジおよびインジェクタシステムと共に使用するための代替アダプタの斜視図である。
【
図24】
図23のアダプタおよびその中に位置決めするためのシールドシリンジの分解斜視図である。
【
図25】シールドシリンジが装填された
図23のアダプタの斜視図である。
【
図26】本開示による
図1のシールドシリンジおよびインジェクタシステムと共に使用するためのアダプタの別の例の上面斜視図である。
【
図28】注入処置が開始された後の様々な構成要素の位置を示す
図26のアダプタの底面斜視図である。
【
図29】注入処置が完了された後の様々な構成要素の位置を示す
図26のアダプタの底面斜視図である。
【
図30】注入処置が完了された後の様々な構成要素の位置を示す
図26のアダプタの上面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書での以下の説明の目的のために、用語「上部」、「下部」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「横方向」、「縦方向」、およびそれらの派生物は、図面において適応されているのとおり、本開示のデバイスに関するものとする。しかしながら、本開示のデバイスは、そうではないと明示的に指定されている場合を除き、様々な代替の変形形態を取り得ることを理解されたい。添付の図面に示され、以下の明細書に記載された特定のデバイス、および以下の明細書の説明は、本開示のデバイスの単なる例示的な実施形態であることもまた理解されたい。したがって、本明細書に開示されている実施形態に関連する特定の寸法および他の物理的特性は、限定的であるとみなされない。
【0028】
本開示のアダプタは、実質的に任意のインジェクタおよびインジェクタとの使用のために特に設計されていない任意のシリンジ(すなわち、「非ネイティブシリンジ」)または単にインジェクタインタフェース装着機構の適切な設計によるシリンジ部分、インジェクタインタフェースセクション、あるいはアダプタのシリンジインタフェース部分およびアダプタのシリンジインタフェース部分の適切な設計と関連して使用され得る。アダプタは、注入のために放射性流体で一般的に使用されるようにシリンジおよびシールドを収容することによって、1つ以上のイメージングモダリティ、例えばCTまたはMRと共に使用するために設計されたインジェクタを別のイメージングモダリティ、例えば核医学と共に使用されることを可能にし得る。その点に関して、本開示のシリンジアダプタは、非ネイティブシリンジまたはシリンジ部分と相互作用して接続するためのシリンジインタフェースを含む前方部分と、アダプタをインジェクタのシリンジインタフェースに動作可能に接続するためのインジェクタインタフェースを含む後方部分とを含む。インジェクタインタフェースは、通常、インジェクタ(すなわち、「ネイティブシリンジ」)と共に使用するように設計されたシリンジに見られる装着機構(例えば、フランジ構成)と同様の構造を有する(それを通して、そのようなネイティブシリンジはインジェクタのシリンジインタフェースに取り付けられる)。
【0029】
図1を参照すると、例示的なフロントローディングインジェクタシステム5が示されている。インジェクタシステム5は、MRI処置での使用に特になされており、電動インジェクタ10、食塩水を注入するためのネイティブシリンジ20、およびアダプタ100を含む。インジェクタ10の例は、米国ペンシルバニア州、インディアノーラのバイエルAGの製薬部門の放射線事業から入手可能なMedrad(登録商標)MRXperion(商標)MR注入システムである。しかしながら、本明細書に開示されたアダプタは、コンピュータ断層撮影、超音波、血管造影法、核医学、および他のイメージング処置のためのインジェクタおよび注入ポンプを含む他の流体供給システムと関連して使用され得る。
【0030】
インジェクタ10は、ネイティブシリンジ20のシリンジプランジャ50と協働してネイティブシリンジ20の内部から患者に流体を注入する第1の駆動部材またはインジェクタピストン40aを内部に備えるインジェクタハウジング30を備える。インジェクタ10はまた、アダプタ100のプッシュロッド52と協働する第2の駆動部材40bと、次に非ネイティブシリンジ200のプランジャ54とを含む。一構成では、ネイティブシリンジ20は生理食塩水を含み、非ネイティブシリンジ200は造影剤などの流体を含み得る。
【0031】
本明細書でインジェクタシステム5を説明するために使用される場合、用語「軸方向の」または「軸方向に」は一般的に、例えば、アダプタ100がその周りに形成される軸A1(必ずしもその周りに対称的である必要はないが)またはネイティブシリンジ20がその周りに形成され軸B1(必ずしもその周りに対称的である必要はないが)を指す。用語「近位」または「後方」は、一般的に、ネイティブシリンジ20およびアダプタ100が装着されている端部とは反対側のインジェクタハウジング30の端部に向かう軸または縦方向を指す。用語「遠位」または「前方」は、一般的に、ネイティブシリンジ20または非ネイティブシリンジ200のシリンジ先端に向かう軸方向または縦方向を指す。「半径方向」という用語は、一般に、軸A1または軸B1などの軸に垂直な方向を指す。
【0032】
ネイティブシリンジ20およびアダプタ100は、一例では、インジェクタ10に取り外し可能に接続されている。その点で、インジェクタ10は、本明細書ではシリンジポートBと呼ばれる、その中に形成された第1のシリンジポートまたは開口部82を有する前壁80を含む。駆動部材40aは、インジェクタ10内で相互に装着され、開口部82を通して延長可能である。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,652,489号に記載されているように、ネイティブシリンジ20は、後端部58と、流体排出口または出口62を含む前端部60とを有する本体またはバレル部分56を含む。装着フランジ(図示せず)は、シリンジ20の後端部120に隣接しているかまたはそこにあるバレル部分56と関連付けられている。加えて、例えば、シリンジ20のインジェクタの第1の開口部82への係合を容易にするため、および/またはシリンジ20の排出口または出口62から放出される流体が第1の開口部82を介してインジェクタ10に入るのを防ぐために、フランジ(ドリップフランジと呼ばれることもある)が装着フランジの前方に配置される。一例では、第1の開口部82は、シリンジ20の装着フランジと協働するシリンジインタフェース(図示せず)を有する。
【0033】
インジェクタ10の前壁80は、本明細書ではシリンジポートAと呼ばれる、その中に形成された第2のシリンジポートまたは開口部84をさらに含む。駆動部材40bは、インジェクタ10内で相互に装着され、第2の開口部84を通して延長可能である。
図2から
図4を参照し、続けて
図1を参照すると、アダプタ100は、非ネイティブシリンジ200をインジェクタ10の第2の開口部84に解放可能に取り付けるように構成される。典型的な非ネイティブシリンジ200は、円筒形の本体202と、本体202の前方端部206から延びる前端部204と、本体202内にスライド可能に配置されたプランジャ54と、本体202の後方端部210の周りに延びるフランジ208とを備える(
図4を参照)。前端部204は、任意の角度、正または負、または任意の他の曲率であり得、そして流体出口を含む。
【0034】
一例では、アダプタ100は、アダプタ100をインジェクタ10の前壁80に対して所望の位置に装着するためにアダプタ100の後端部104に配置された装着機構102、シリンジ200をその中に着座させるようになされたシリンジキャリアセクション106、およびシリンジキャリアセクション106と装着機構102との間に動作可能に接続されて配置された中間セクション108を備える。
【0035】
装着機構102は、アダプタ100を第2の開口部84内のシリンジインタフェースに解放可能に装着するための任意の適切な機構を備える。一例では、装着機構102は、例えば、アダプタ100のインジェクタの第2の開口部84への係合を容易にするため、および/またはシリンジ200から放出される流体が第2の開口部84を介してインジェクタ10に入るのを防ぐために、装着フランジ110および装着フランジ110の前方に配置されるドリップフランジ112を備える。
【0036】
アダプタ100の後端部104がインジェクタ10の前壁80の第2の開口部84を通過すると、装着フランジ110がその中に配置されたシリンジインタフェースと接触する。装着フランジ110は、傾斜セクションと、アダプタ100の円筒形後端部104の外面に対して本質的に垂直な肩セクションとを含む。シリンジインタフェースは、アダプタ100が第2の開口部84内に完全に設置されたとき、アダプタ100の装着フランジ110の前面または肩部と係合するようになされる。アダプタ100の後端部104には、少なくとも1つ、望ましくは2つ以上の延長タブまたは突出部114が設けられている。アダプタ100が回転すると、タブまたは突出部114によって、アダプタ100をシリンジインタフェースとの係合から解放することが可能である。この装着機構は、参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願公開第WO2015/142995号に開示されているシリンジ用の装着機構と同様である。装着機構の一例を本明細書の上部で説明したが、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,726,657号および第9,173,995号に開示された装着機構など、任意の適切な装着機構が活用されアダプタ100をインジェクタ10の前壁80に解放可能に取り付けることができるので、これは本開示を限定するものと解釈されない。
【0037】
シリンジキャリアセクション106は、側面からシリンジ200を配置できるようにその上部に第1の開口部116を画定し、インジェクタの駆動部材40aがシリンジ200のプランジャ54に前方の力を伝達することができるようにその後方セクション120に第2の開口部118を画定する。シリンジキャリアセクション106の前方部分122は、2つの実質的に対向する肩部分124を備える。一例では、対向する肩部分124は、注入中にシリンジ200によってアダプタ100に及ぼされる力がアダプタ100の軸A1に関して概ね対称的となるようにシリンジ200の前端部204に当接するように構成される。対向する肩部分124は、2つの実質的に対向する肩部分124がシリンジキャリアセクション106の、それぞれ、第1の側面132および第2の側面134に配置されるように、その間に弾性バンパー130を介在させて第1の略U字形クランプ要素126と第2の略U字形クランプ要素128とから形成され得る。さらに、第3の開口部119がシリンジキャリアセクション106の前方部分122の底部に設けられている。この第3の開口部119は、注入処置が完了すると、ユーザがシリンジキャリアセクション106からシリンジ200を排出することを可能にする。
【0038】
シリンジ200の取り外しを容易にするためにシリンジキャリアセクション106の上部および対向する肩部分124が開いているので、シリンジ200の前端部204がプッシュロッド52の前進中に肩部分124の底部に接触すると、装着機構102の非対称負荷が発生し得る。装着機構102の周りに結果として生じる曲げモーメントは、アダプタ100の故障を引き起こす可能性がある。非対称負荷を実質的に低減または排除するために、例えば、肩部分124は、例えば、その上部および底部が開いていることによってそのような非対称負荷を防止するように成形される。シリンジ200の前端部204が他の方法で静止する肩部分124の下端を除去すると、アダプタシステム100(およびシリンジ200)の軸の周りにほぼ対称的な負荷が生じ、前方プランジャ前進中の横方向負荷および曲げモーメントが実質的に減少または除去される。アダプタ100の端部にかかる軸方向の負荷は最大となり、横方向の負荷は最小となる。
【0039】
中間セクション108は、シリンジキャリアセクション106と装着機構102とに動作可能に接続されかつそれらの間に配置される。中間セクション108は、その中に少なくとも部分的に配置されたプッシュロッド52を有する円筒形本体136を備える。一例では、プッシュロッド52は、シリンジ200のプランジャ54と係合するための第1の端部と第2の端部138とを有する。プッシュロッド52の第2の端部138は、インジェクタ10の駆動部材40bと係合するように構成された係合機構140を含む。プッシュロッド52の第1の端部は、プッシュロッド52をプランジャ54に解放可能に接続するように構成された要素142を含む。要素142は、プッシュロッド52と一体的に形成されてもよく、あるいはボルト144または他の適切な固定機構でそれに接続されてもよい。
【0040】
図5から
図7を参照し、続けて
図2から
図4を参照すると、シリンジキャリアセクション106には、第1の開口部116の後方端部を覆って延びるカバー部分146が設けられる。カバー部分146の目的は、操作中にプッシュロッド52がシリンジ200と係合する領域にオペレータの手が入るのを防ぐことである。また、一部のアダプタは特定のタイプの互換性のあるシリンジのみを収容または受容するようにサイズ調整されている(例えば、固有の高さまたは他の寸法を有する)ため、カバー部分146は、互換性のないシリンジがアダプタ100に嵌合するのを防ぐように構成され得る。カバー部分146は、第1の開口部116の後方端部に嵌合するようなサイズおよび形状の本体148を有する。本体148は、本体148の上部で交わるように傾斜された前面150および後面152を含む。本体148の前面150の前方端部は、シリンジ200がシリンジキャリアセクション106内に配置されたときにシリンジ200のフランジ208に当接するように構成され、プッシュロッド52が通過できるようにする半円形の切り欠き154を有する。シリンジ200のフランジ208に当接することによって、カバー部分146はシリンジ200をシリンジキャリアセクション106の前方部分122に向かって付勢させ、それによってシリンジ200の前方付勢挿入を促進する。シリンジ200の前方への付勢は、意図しない流体の排出/コントラストの無駄を生じさせる可能性がある、シリンジ200のさらなる前方への移動を排除することによってシリンジ200をプライミングする作用を支援する。さらに、カバー部分146は、注入処置後にシリンジ200をより容易に取り外すことを可能にする。カバー部分146の傾斜した前面150に起因して、ユーザが第3の開口部119を通してシリンジ200を押してシリンジキャリアセクション106からシリンジ200を排出するとき、シリンジ200はより制御された方法で旋回する。
【0041】
アダプタ100はまた、シリンジキャリアセクション106の第2の開口部118内に配置されたワイパーシール156などの清掃または接触部材を含む。ワイパーシール156は、プッシュロッド52がそれを通って延びることを可能にする実質的にリング状の形状を有する。一例では、カバー部分146の後面152の端部は、そこから延びてワイパーシール156をシリンジキャリアセクション106の第2の開口部118内の所定の位置に保持するリテーナリング構造158を含む。ワイパーシール156は、プッシュロッド52から(例えば、漏れおよび/またはこぼれから生じる)望ましくない造影剤を除去するように動作する。その点に関して、インジェクタ10の駆動部材40bが注入後に後退されるとき、ワイパーシール156は、そこからプッシュロッド52に誤って付着した造影剤を清掃/拭き取る。さらに、ワイパーシール156はまた、望ましくない造影剤がアダプタシステム100の中間セクション108に入るのを最小限に抑える。一例では、リテーナリング構造158は、シリンジキャリアセクション106の第2の開口部118に圧入することによってワイパーシール156を所定の位置に保持する。
【0042】
シリンジキャリアセクション106にはさらに、シリンジ200をその第1の開口部116内の所望の向きに固定するための1つ以上の機能が設けられ得る。例えば、アダプタ100は、シリンジキャリアセクション106の第1の開口部116内でシリンジ200を適切に整列させて保持および/または安定化させるのを支援するための回転保持部材160を含み得る。回転保持部材160は、シリンジキャリアセクション106内のほぼ円筒形状の通路162内にスライド可能に保持されている(
図3を参照)。回転保持部材160は、
図2では開放または係合解除位置に示されている。シリンジ200を保持するために回転保持部材160を閉じるまたは係合するために、オペレータは、カラータブ164に力を供給して、
図4に示されるように通路162内の保持部材160を閉位置に回転させ得る。いくつかの例では、回転保持部材160は、ユーザフィードバックを提供して回転保持部材160の使用および閉鎖を促進するために鮮やかに着色されている。
【0043】
図8から
図10を参照し、続けて
図2から
図4を参照すると、シリンジキャリアセクション106はまた、その内面に配置された屈曲保持部材166を含み得る。屈曲保持部材166は、シリンジ200をシリンジキャリアセクション106内に保持するためにシリンジ200の少なくとも一方の側に圧力を加えるようになされている。一例では、屈曲保持部材166は、第1の脚部168、第2の脚部170、およびシリンジキャリアセクション106の内面に動作可能に接続された本体部分173を含む。第1の脚部168は、本体部分173から延びる第1の端部172と第2の自由端部174とを有する。第2の脚部170はまた、第1の端部176および第2の自由端部178を有する。第2の脚部170は、第1の脚部168と第2の脚部170との間の空間180がシリンジ200を受容するように構成されるように、第1の脚部168から離間している。屈曲保持部材166は、例えば、シリンジ200がシリンジキャリアセクション106と共に配置されたときにインジェクタ10が水平以外の位置に回転されたときにシリンジ200をシリンジキャリアセクション106内に保持するのを支援する。一例では、インジェクタ10が垂直方向にある場合、屈曲保持部材166は、回転保持部材160が閉位置に回転され得る前であっても、シリンジ200がシリンジキャリアセクション106から脱落するのを防止する。屈曲保持部材166は、以前の設計よりも耐久性があり、それによってより長い使用が可能になる。具体的には、第1および第2の脚部168、170は、シリンジ200の繰り返しの設置および取り外しのために厚さおよび材料が最適化されている。加えて、屈曲保持部材166の第1および第2の脚部168、170は、シリンジ200の正しい設置および/または取り外しの際に、触覚および/または可聴のフィードバックをユーザに提供するように構成される。
【0044】
さらに、屈曲保持部材166には、ユーザが第3の開口部119を通してシリンジ200を押してシリンジキャリアセクション106からシリンジ200を押し出すときにシリンジ200がアダプタ100から完全に係合解除するのを防ぐための一対の保持脚175、177が設けられる。屈曲保持部材166にはまた、カバー部分146に面して配置されている屈曲保持部材166の端部に傾斜面179が設けられる。傾斜面179は、アダプタ100のシリンジキャリアセクション106の底部に向かって延びており、ユーザが第3の開口部119を通してシリンジ200を押してシリンジキャリアセクション106からシリンジ200を押し出すとき、シリンジ200のより制御された旋回動作を可能にするようにシリンジ200のフランジ208と係合するように構成される。
【0045】
図11および
図12を参照し、続けて
図3を参照すると、本明細書で上述のように、プッシュロッド52はその第2の端部138に設けられた係合機構140を含む。係合機構140は、ダウエルピン184または任意の他の適切な取り付け機構を介してプッシュロッド52の第2の端部138に接続される係合ハブ182と、ダウエルピン188または他の適切な取り付け機構を介して係合ハブ182に動作可能に接続される一対の付勢された係合脚部186とを備える。係合脚部186のそれぞれは、自由な第1の端部192と、ダウエルピン188を介して係合ハブ182に接続される第2の端部196とを備える。さらに、係合脚部186はばね要素190によって付勢されている。ばね要素190は、脚部186の第1の端部192がインジェクタ10の駆動部材40bのフランジ194に接触したときに係合脚部186が互いに離れるように延び、次に第1の端部192がフランジ194を通過するときに係合位置に戻る(
図12を参照)。係合脚部186のそれぞれの自由な第1の端部192は、インジェクタ10の駆動部材40bに設けられたフランジ194と係合するように構成された把持部材198を備える。本明細書で上述の係合機構140は、向きを特定しない特定の方法でアダプタ100の設置を可能にする。これにより、インジェクタ10が地面と平行になったときにアダプタ100はインジェクタ10に接続され得る。このようにして、アダプタ100が地面に対して平行に配置された状態で、シリンジ200はアダプタ100内に装着され得、それにより、設置中にシリンジ200が脱落する危険性を少なくしてシリンジ200はアダプタ100内に設置され得る。係合機構の一例が本明細書で上述されたが、任意の適切な係合機構が利用されプッシュロッド52をインジェクタの駆動部材40bに接続され得るので、これは本開示を限定するものと解釈されるべきではない。そのような係合機構は米国特許第6,984,222号および第7,419,478号ならびに国際特許出願公開第WO2015/142995号に開示されており、これらはそれぞれ参照により本明細書に組み込まれる。
【0046】
アダプタ100の動作において、装着機構102がインジェクタ10の前壁80に取り付けられた後、プッシュロッド52は、本明細書で上述のようにインジェクタ10の駆動部材40bと接続する。シリンジ200は、装着機構102を介してアダプタ100をインジェクタ10に接続する前または後のいずれかに、第1の開口部116を介してシリンジキャリアセクション106に上部装着され得る。プッシュロッド52は、その第1の端部の要素142がシリンジプランジャ54に案内されてプランジャ54内の後方を向く壁部に当接するまで、駆動部材40bによって中間セクション108を通って前方に前進させられる。一例では、要素142は、一般的に、プランジャ54の後方を向く内部の形状である。このようにして、要素142は、シリンジ200の使用中にプランジャ54の形状を維持するためにプランジャ54に支持を提供する。多くの例では、プランジャ54は主にエラストマー材料から製造されている。プランジャ54の側壁がシリンジ本体202の内部側壁と適切にシーリング接触しない場合、プランジャ54の前進中にプランジャ54の後部とは対照的に漏れる可能性がある。その後、インジェクタ10を用いてシリンジ200の内容物を患者に注入する。
【0047】
図1を再び参照すると、インジェクタシステム5には、インジェクタ10に動作可能に接続された、マイクロプロセッサなどのコントローラ300、コントローラ300に動作可能に接続されたディスプレイ302、およびコントローラ300に動作可能に接続されたユーザ入力デバイス304が備え得る。コントローラ300、ディスプレイ302、およびユーザ入力デバイス304は、インジェクタシステム5に隣接して配置されてもよく、および/または制御室などのインジェクタシステム5から離れて配置されてもよい。コントローラ300は、有線または無線接続を介してインジェクタシステム5と通信でき得る。さらに、ディスプレイ302は、インジェクタシステム5に関するビジュアル情報および/または可聴情報をユーザに提供するための任意の適切なディスプレイとして構成され得る。ユーザ入力デバイス304は、ユーザがコントローラ300に情報を提供することを可能にするための任意の適切なデバイスとして構成され得る。一例では、ディスプレイ302およびユーザ入力デバイス304は、タッチ画面ディスプレイとして単一のデバイスに統合される。
【0048】
コントローラ300は、注入処置を制御するために、ユーザ入力およびインジェクタシステム5内に設けられた様々なセンサからの入力を受け取るように構成される。本明細書で説明されるアダプタ100に関して、コントローラ300は、アダプタ100から情報を受け取り、そのような情報に基づいて注入処置を調整するように構成され得る。例えば、アダプタ100は、その上に配置された符号化デバイス(図示せず)を含むように構成され得、インジェクタシステム5は、符号化デバイスを読み取るためにコントローラ300に動作可能に接続されたデバイスを含み得る。符号化デバイスは、離間したバーを有するバーコード、離間したバーを表す隆起表面、機械的に読み取り可能なデバイス、例えば、インジェクタ10上のスイッチに対して位置合わせするように設計された装着機構102上のスロット、穴、ならびに突起、およびアダプタ100に関する情報をコントローラ300または無線周波数識別デバイス(RFID)タグに送信する、文字、ドット、および他の幾何学的形状などの光学的に読み取り可能なデバイスにし得る。一例では、シリンジポートに挿入されるアダプタの基部は、米国特許第7,018,363号に記載されているように、インジェクタのシリンジポートに配置されたスキャナまたはセンサによって識別され得る溝および隆起のパターンを含み得、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。センサまたはスキャナによって取り込まれた情報は、アダプタのタイプを識別するために処理され得る。符号化デバイス上で符号化され得る情報の例には、アダプタ100のサイズ、アダプタ100と互換性のあるシリンジ200のタイプ、ロット番号、日付および工具キャビティ番号などの製造情報、推奨された造影剤流速、および圧力、ならびに負荷/注入シーケンスが含まれる。
【0049】
一例では、アダプタ100の符号化デバイスからの情報は、アダプタがインジェクタ10に装着されたときにコントローラ300に提供される。この情報を使用して、コントローラ300は、設置されているアダプタ100のタイプに関してディスプレイ302上でユーザにフィードバックを提供する。いくつかの例では、設置されているアダプタ100に基づいて、コントローラ300は、設置されているアダプタ100と互換性のあるプレフィルドシリンジのタイプを表示することもできる。代替として、インジェクタシステム5は、注入処置に使用されるユーザ入力デバイス304を使用して、ユーザがプレフィルドシリンジのタイプを入力することを可能にするように構成される。この情報に基づいて、コントローラ300は、選択されたシリンジと互換性のあるアダプタ100のタイプをディスプレイ302上に表示するように構成される。さらに別の例では、インジェクタシステム5は、シリンジ200に設けられたバーコードまたはRFIDタグを読み取るためのバーコードまたはRFIDリーダ(図示せず)を備え得る。バーコードまたはRFIDリーダからの情報に基づいて、コントローラ300は、選択されたシリンジと互換性のあるアダプタ100のタイプをディスプレイ302上に表示するように構成される。
【0050】
注入処置に続いて、例えば、コントローラ300が注入処置の終わりに5mL未満の量がプレフィルドシリンジ200に残っていることを示す信号を受信した場合および/または、例えば、ユーザ入力デバイス304上の症例の終了または次の患者入力を選択することによって注入が完了したことをユーザが示した場合、コントローラ300は、駆動部材40を、次いでプッシュロッド52を自動的に後退させるように構成され得る。代替として、コントローラ300は、駆動部材40およびプッシュロッド52を後退させるべきであることを確認するようにユーザに求めるポップアップ表示またはメッセージを提供してもよい。駆動部材40およびプッシュロッド52のこの自動後退は、アダプタ100からのプレフィルドシリンジ200の取り外しを可能にする。さらに、シリンジ200をアダプタ100に設置する前に、プッシュロッド52がカバー部分146の前面150の端部またはその近くに配置されていない場合、コントローラ300は、ユーザ入力デバイス304を通してユーザからの入力に基づき、新しいシリンジ200の容易な挿入を可能にするためにプッシュロッド52をカバー部分146の前面150の端部またはその近くの位置に自動的に戻すように構成される。
【0051】
したがって、本開示の制御およびフィードバックシステムは、電動インジェクタ用のプレフィルドシリンジアダプタを選択および設置する際にユーザにガイダンスを提供する。プレフィルドシリンジアダプタ(PFA)は、注入に使用されているプレフィルドシリンジのサイズとタイプに基づいて選択され得る。本明細書に記載の制御およびフィードバックシステムはまた、推奨された、または互換性のあるアダプタのタイプに基づいて、パラメータ変換または較正定数および注入パラメータの限界を決定し得る。例えば、シリンジの直径に応じて、移動距離1ミリメートル当たりに注入されるミリリットルのパラメータは異なる。同様に、プッシュロッドにかかる力のポンド当たりの圧力は異なり、したがって制御システムでの変換が必要になる。シリンジが異なれば、許容される最大圧力または許容圧力にも差がある。
【0052】
そのような制御およびフィードバックシステムのより具体的な例は、
図13に提供されているインジェクタ10の概略図を参照して提供される。
図13に示すように、インジェクタ10は、インジェクタ10を制御するための複数のボタン308およびノブ310を含むフロントパネルディスプレイ306を含む。例えば、ボタン308は、手動で(例えば、ボタン308の1つを押して保持することによって)インジェクタピストンを前進または後退させるための他、生理食塩水の自動プライミングあるいは注入が完了した後のインジェクタおよび/またはPFAピストンを自動的に後退させるなどのプロセスを開始するためにも押され得る。例えば、ユーザは、ボタン308を押すかまたはノブ310をひねって手動でインジェクタピストンおよびアダプタプッシュロッドを前進または後退させ得る。フロントパネルディスプレイは、注入パラメータまたは注入ステータス情報についての数値を示す、LEDディスプレイなどのビジュアルディスプレイ312を含み得る。いくつかの例では、注入パラメータ値は、どのアダプタがインジェクタ10に接続されているか、または注入される流体のタイプに基づいて決定され得る。本明細書に記載されるように、数値は、インジェクタピストン、プッシュロッド、およびシリンジプランジャの位置に基づいて計算された、インジェクタに接続されたプレフィルドシリンジに残っている流体の推定量も含み得る。ビジュアルディスプレイ312はまた、注入を準備する際にユーザに指示するために使用され得る。例えば、推奨された、または互換性のあるアダプタタイプなどの情報は、推奨事項をユーザに知らせるためにディスプレイ312上で点滅することができる。注入パラメータは、インジェクタシステム5のディスプレイ302上のユーザインタフェースの画面上にも表示され得る。
【0053】
インジェクタシステム5は、初期インジェクタ設定、注入準備、注入の実行、および注入後のプロセスを通してユーザをガイドするためにディスプレイ302上に表示されるように構成されたグラフィカルユーザインタフェースを含み得る。ユーザインタフェースは、実行されているプロセスについての情報をユーザに提供し、患者、シリンジ、アダプタ、および他のシステム構成要素についてのユーザからの入力を受け取るための、いくつかの異なる画面およびポップアップボックスまたはメニューを含み得る。ユーザインタフェースは、コンピュータタブレットまたはラップトップなどのタッチスクリーンデバイスに表示され得る。その場合、ユーザは、選択を記録するために表示画面の異なる部分に触れることによってユーザインタフェースと対話することができる。他の例では、ディスプレイ302は、マウスおよびキーボードを含む入力アクセサリを備えた従来のコンピュータとすることができる。その場合、ユーザは、マウスを使用して表示画面の一部をクリックすることによって、または従来の方法でキーボードを使用することによって情報を入力することによって、選択および情報を入力することができる。
【0054】
ほとんどの場合、ユーザには最初に患者に関する情報および実施される処置を含む概要またはプロトコル画面が提示される。ディスプレイ302に表示され得る例示的なプロトコル画面は
図14に図示されている。画面400は、実行される注入処置を識別する部分412、患者情報部分414、インジェクタに装着されたシリンジに含まれる流体のタイプを表示する流体部分416、イベント部分418、および実行される注入プロトコルについての情報を含む中央部分420についての情報を含む。いくつかの例では、画面400はまた、ユーザが他の場所にいる個人との間でメッセージを送受信することを可能にする、メッセージ部分(図示せず)を含み得る。例えば、システムオペレータは、インジェクタの近くにいる技術者にメッセージを送ることができる。例えば、ディスプレイ302がインジェクタから離れた制御室に配置されている場合、メッセージが必要とされることがあり、これはシステムオペレータと技術者が互いに話すことができないことを意味する。
【0055】
画面400はまた、注入処置に関する情報を入力するため、および/またはインジェクタの動作を制御するために、ユーザによって選択され得る複数の仮想ボタンを含み得る。例えば、画面400の流体部分416に関連付けられたラジオボタン424を押すと、シリンジに含まれる流体についての追加の情報と共にポップアップボックスを生成し得る。ボタン424を押すと、どの流体が注入されるかを手動で選択するための流体供給設定画面(
図18Aに示される)および/またはコントラスト設定画面(
図18Bに示される)のいずれかを生じさせることもできる。他の仮想ボタンは、ユーザがプロトコルマネージャにアクセスして、イベントまたはリマインダをスケジュールすることを可能にする。インジェクタを制御するためにさらに他の仮想ボタンも使用され得る。例えば、画面400は、インジェクタをアクティブ化させるための試験注入ボタン434、および/または注入プロトコルをロックしてユーザがシステムを作動することを可能にするロックボタン436を含み得る。いくつかの例では、画面400は、空のシリンジがアダプタまたはシリンジポートから取り外され得るように、手動または自動でインジェクタピストンを前進させて流体経路をプライミングするか、または注入後にインジェクタピストンを後退させるためのボタンも含み得る。
【0056】
いくつかの例では、画面400の患者情報部分414は、患者ID番号、生年月日、体重、および他の患者特性を含むフィールドを表示する。患者情報は、手動で入力され得るか、あるいはインジェクタシステムに関連付けられたシステムメモリに記憶されている情報から自動的に移入され得たり、または医療施設の患者の電子健康記録データベースなどの外部データベースからダウンロードされ得る。手動で情報を入力するために、ユーザインタフェースは、ユーザが患者名および身体的特徴などの情報を入力することを可能にする仮想キーボードを画面上に表示し得る。情報はまた、ディスプレイ302(
図1に示される)に関連付けられた入力アクセサリ(例えばキーボードまたはコンピュータマウス)を使用してタイプまたは選択されてもよい。いくつかの例では、情報フィールドは、ユーザによって入力された選択に基づいて移入され得る。例えば、ユーザインタフェースは、以前の患者のリストから実行されるべき注入のためにユーザが患者を選択することを可能にし得る。患者がリストから選択されると、名前、生年月日、および他のフィールドなどの情報が、インジェクタシステムに関連付けられたシステムメモリに記憶されている情報から自動的に移入され得る。
【0057】
患者情報部分414はまた、追加の患者情報と共にポップアップボックスを表示するためにユーザによって選択され得るボタン440を含む。ボタン440が押されると、患者情報タブを含む画面またはポップアップボックス600(
図16に示される)がユーザに表示される。画面600は、患者ID番号610、姓612、名614、生年月日616、体重618、身長620、および性別622などの情報のためのフィールドを含む。情報は、プロトコル画面400に示される情報よりも詳細であり得る。いくつかの例では、ユーザは、情報ブレスレット上などで患者の識別タグをスキャンするか、または例えばフィールドを選択して新しいデータをタイプすることによって患者情報フィールドの情報を手動で更新することができる。いくつかの例では、フィールドは自動的に移入され得る。例えば、ユーザは新しい患者の患者名またはID番号を手動で入力することができる。システムはまた、名前またはID番号について患者データベースを検索し、データベースの情報に基づいて残りの患者フィールドを移入し得る。
【0058】
いくつかの例では、表示画面の流体部分416は、シリンジポートAおよびBに接続されたシリンジに含まれる流体をリスト表示することができる。上述のように、注入される流体に関する追加情報を検討するために、ユーザはボタン424を選択して、現在のシリンジに関する追加情報を含む画面またはポップアップボックスを生成し得る。
【0059】
例示的な現在の流体情報画面またはボックス700は
図17に示される。画面またはポップアップボックス700は、コントラストのタイプまたは供給源タイプ712(例えば、商品名および製造業者によって識別される)、バッチ番号714、および有効期限716のためのフィールドを含む。この情報は従来よりプレフィルドシリンジのラベルに印刷される。いくつかの例では、ユーザは、ユーザインタフェースを使用してシリンジラベルからインジェクタシステムに手動で情報を入力することができる。他の例では、情報はシリンジラベルまたはバーコードから電子的にスキャンされ得る。他の例では、情報は在庫データベースに格納され得る。ユーザが流体名を選択すると、流体およびシリンジに関する他の情報がデータベースからダウンロードされてポップアップボックス700に表示され得る。いくつかの例では、画面700は、ユーザがアダプタを使用して流体を供給すべきかどうかを選択することができる仮想ボタンまたはチェックボックス(図示せず)を含むことができる。ボックスが選択またはチェックされると、システムは識別された流体を供給するためにどのタイプのアダプタを使用するかについての推奨を提供し得る。いくつかの例では、ユーザは、
図17の「デフォルトのロード」ボタン718を選択することによってデフォルトの流体タイプを選択することができる。
図17に示されるように、ユーザは、ボックス700の上部付近に配置された一連のタブ720を使用して、シリンジAの流体とシリンジBの流体に関する情報の検討をその間で切り替えることができる。ボックス700はまた、ユーザにより注入がプレフィルドシリンジアダプタで実行されるかどうかを選択することができるチェックボックス722を含む。チェックボックス722が選択されると、システムは、選択されたコントラスト流体および他の注入パラメータと共に使用するために、互換性のあるまたは推奨されたPFAについてのフィードバックを提供する。例えば、
図14に関連して説明されているように、ユーザに互換性のあるまたは推奨されたPFAを示すPFAアイコンが表示され得る。
【0060】
再び
図14を参照すると、画面400の中央またはプロトコル部分420は、実施されるべき注入のための注入パラメータについての詳細な情報を含む。いくつかの例では、プロトコル部分420は、シリンジおよび/またはアダプタを図示するビジュアルインジケータまたはアイコン422を備える。例えば、シリンジを図示するアイコン422bは、インジェクタのシリンジポートBに装着されたシリンジを図示することを示す「B」とラベル付けされる。アイコン422bはアダプタを示していないので、シリンジポートBに装着されたシリンジは、シリンジポートBに直接装着されるようにサイズ調整されたネイティブシリンジであると理解される。いくつかの例では、そのようなネイティブシリンジは、患者への供給の前に造影剤により混合されるように構成される生理食塩水を含む。「A」とラベル付けされたシリンジおよびアダプタのアイコン422aもプロトコル部分420に示される。シリンジとアダプタの両方が示されているので、アイコン422aはシリンジがアダプタでシリンジポートAに接続されることを示す。
図14に示されるアイコン422aは、アダプタタイプを識別しない。例えば、アイコン422aは、どのアダプタタイプを使用するかをユーザに通知する番号または色を含まない。したがって、アイコン422aは、アダプタが注入に必要であるが、シリンジポートAにまだ挿入されていないことを示し得る。例えば、アイコン422aは、アダプタが必要とされるがまだ設置されていないことを示すアダプタの破線の輪郭を含み得る。その場合、画面400のプロトコル部分420はまた、選択されたコントラスト流体により行われる注入処置に使用され得るアダプタのタイプを示す推奨された、または互換性のあるアダプタアイコン442を含み得る。例えば、アイコン422aは、特定のアダプタサイズまたは構成に対応する特定の色または番号であり得る。いくつかの場合では、インジェクタは多数の異なるアダプタタイプを受容し得る。いくつかの例では、各アダプタタイプには、番号(例えば、1-5)および/または色(例えば、赤、緑、黄色、青、紫)を割り当てられ得る。互換性のあるアダプタアイコン442は、推奨されたアダプタの割り当てられた番号および/または色のビジュアル表現と共に、推奨された、または互換性のあるアダプタのイメージを含
み得る。例えば、
図14の互換性のあるアダプタアイコン442は、アダプタタイプ「3」がシリンジポートAに挿入されるべきであることを示す。いくつかの例では、アイコン442はまた、互換性のないPFAが設置されるときを示し得る。例えば、アイコン422は、設置されたPFAが正しくないことをユーザに示す「x」またはPFAのビジュアル表現の上のクロスを含み得る。
【0061】
いくつかの例では、アダプタがインジェクタのシリンジポートAに設置されると、アイコン422aは、アダプタが設置されたことを示すために形状を変え得る。例えば、アダプタがシリンジポートAに設置されると、アイコン422aは更新され、例えば、破線を実線に置き換えるか、設置されたアダプタの数および/または色を示し得る。いくつかの例では、アイコン422は、注入のステータスまたは進行を示すために注入が行われているときに外観が変わるアニメーションアイコンである。例えば、アイコン422は、インジェクタに装着されたプレフィルドシリンジが空であるか、一杯であるか、またはシリンジに残っている流体の量を示すために図示し得る。注入が行われているとき、アイコン422によって示される流体量は減少する。例えば、
図14では、アイコン422bは流体Fで満たされて示されている。注入が行われているとき、シリンジの流体レベルライン446は減少し、流体がシリンジポートBに接続されたシリンジから放出されていることを示し得る。注入処置の完了に続いて、アイコン422は、シリンジが空であることを示して、シリンジに含まれるすべての流体が患者に供給されたことを示してもよい。さらに、注入が完了したことを示すメッセージまたはアニメーションが画面400上に表示され得る。同様に、ピストンを後退させるべきかどうかをユーザに照会するメッセージが表示され得る。ピストンロッドが完全に後退されると、ユーザが使用済みシリンジをアダプタから取り外すことができることを示すメッセージが表示され得る。
【0062】
画面400のプロトコル部分420はまた、異なる注入パラメータの数値表現も含む。例えば、プロトコル部分420は、注入量426、流速428、デフォルト(最大)圧力限界430、および注入期間432についての数値を示してもよい。いくつかの例では、注入パラメータ情報は手動で入力される。例えば、患者情報の入力に関して説明されたように、仮想キーボードがプロトコル画面400に表示されてもよい。キーボードは行われる注入のための注入パラメータを手動で入力するために使用され得る。他の例では、入力コンポーネントまたは付属品は、実行される注入についての情報を手動で入力するために使用され得る。いくつかの例では、注入パラメータ情報は、インジェクタに設置されたアダプタのタイプおよび/または注入に使用されている流体またはプレフィルドシリンジのタイプに基づいて決定される。他の場合では、アダプタまたはプレフィルドシリンジのタイプに関する情報は、異なる注入パラメータについて最大値または許容値の範囲を確立するために使用されてもよい。その場合、ユーザは、
図18Aに示される流体供給設定画面を使用して注入のための注入パラメータを選択し得る。しかしながら、ユーザによって選択されたパラメータが使用されているアダプタの許容可能な範囲外である場合、警告が提供されてもよい。
【0063】
図15を参照すると、プロトコル画面400からアクセス可能なシステム設定画面500が示されている。例えば、ユーザはプロトコル画面上のボタンを選択または押すことでシステム設定画面500を開くことができる。設定画面500は通常、ユーザが自分の基本設定を選択するためにシステムを使用する最初のときに開かれる。設定画面500により、ユーザは、ユーザインタフェース画面の外観について選択を行い、異なるユーザインタフェース機能をオンまたはオフにすることができる。ユーザがシステムを使用するたびに、デフォルトの基本設定が保存されロードされ得る。例えば、ユーザは、ボタン510を使用してどの単位投与量が表示されるかを選択することができ、または画面輝度512のレベルを設定することができる。ユーザはまた、画面500から特定のユーザインタフェース機能をオンおよびオフにすることができる。例えば、ユーザは、推定糸球体濾過率(eGFR)計算機514または体重に基づく投与計算機516を含む機能をオンにするかオフにするかを決定することができる。ユーザはまた、PFAフィードバック518機能をオンにするかオフにするかを決定することができる。フィードバック機能は、どのPFAアダプタが特定の手順に使用されるべきかについての情報をユーザに提供する。フィードバックによってまた、インジェクタに設置されているPFAが、実行されるべき処置に対して正しくないかどうかを確認し得る。いくつかの場合、フィードバックは、利用可能なアダプタのどれもが特定の処置中に注入されるシリンジまたは流体との使用について承認されていないことをユーザに通知され得る。その場合、ユーザは注入処置のために異なるタイプの流体または異なるタイプのプレフィルドシリンジを選択する必要があり得る。
【0064】
図18Aを参照すると、プロトコル画面400からアクセスされ得る流体供給設定画面800が示される。流体供給設定画面800は、注入パラメータのリスト810を含む。これらのパラメータは、各注入手順の前に調整され得るか、または一連の処置について同じままであり得る。リスト表示されたパラメータは、開静脈維持(KVO)間隔、遅い順方向負荷率、遅い逆方向負荷率、速い順方向負荷率、および速い逆方向負荷率を含むことができる。パラメータの数値を選択するために、ユーザは、関心のあるパラメータに関連付けられた仮想ボタンを押すと、オプションのリスト812が表示される。例えば、
図18Aに示されているように、「速い順方向負荷率」を選択すると、1.0ml/sから3.0ml/sまでの値のリストが表示される。画面800はまた、ユーザが注入パラメータの事前にロードされたデフォルト値を選択することができる仮想ボタン814を含み得る。注入が実行される準備が整うまで、ユーザの選択はシステムによって保存され得る。さらに、
図18Aに示されるように、画面800は、選択が受け取られたことを確認し、「PFAが使用のために設置されるときに負荷率が自動的に調整される」と述べるメッセージボックス816を含み得る。
【0065】
図18Bに示すように、「コントラストタイプ」画面820と呼ばれる同様のメニュースクリーンは、異なるコントラスト流体に関する情報をシステムに入力するか、または注入処置で患者に供給されるコントラストまたは流体タイプを識別するために使用され得る。画面820を使用して、ユーザは、濃度およびバイアルサイズを含むパラメータと共に供給されるべきコントラストのタイプを選択することができる。いくつかの例では、ユーザはまた、選択されたコントラストが患者および注入プロトコルに適切であることを確認するために使用され得る、異なるコントラストについての投与量情報822、投与量体重制限824、投与量最低年齢826、および他の特性を入力し得る。コントラスト名ボタン828が選択されると、患者に供給され得るコントラスト流体のリスト830が表示される。
図18Bに示されるように、リスト830は、Gadovist(登録商標)、Magnevist(登録商標)、Primovist(登録商標)、Prohance(登録商標)、Magnescope(登録商標)、およびMultihance(登録商標)を含む。Dotarem(登録商標)を含む他のコントラスト流体もまた、それぞれ市販されているので、本明細書に開示されているシステムと共に使用され得る。ユーザが注入のためのコントラストのタイプを選択すると、選択されたコントラストのタイプを確認すること、または、例えば、選択されたコントラスト流体の製造業者名または販売者など、選択されたコントラスト流体に関する情報を確認することをユーザに求めるポップアップボックス832が表示され得る。これらの質問は、実行される処置に対してユーザが正しい流体を選択していることの確認であり得る。例えば、
図18Bのポップアップボックス832は、処置に使用される選択されたコントラスト流体がエーザイによって販売されたことを確認するようにユーザに要求する。コントラスト流体製造業者または販売者に関する情報は、システムの初期設定またはコントラスト構成プロセス中にコントラスト流体に関する他の情報と共に入力および保存され得る。いくつかの例では、
図17のコントラスト設定画面は、特定のコントラスト流体に関する情報を入力するために使用され得る。初期コントラスト設定に続いて、ユーザは、ユーザインタフェースからコントラスト編
集画面を選択することによってシステムを使用しながら、コントラストおよび製造業者情報を編集または更新することができる。いくつかの例では、システムはまた、ユーザによって選択されたコントラストのタイプに基づいてフィードバックを提供し得る。例えば、ユーザがPFAと互換性のあるタイプのコントラストおよびバイアルサイズを選択すると、互換性のあるPFAアイコンが画面上に表示され、使用準備中の流体が特定のPFAデバイスと互換性があることをユーザに通知し得る。
【0066】
本明細書に記載されたインジェクタシステムおよびユーザインタフェースは、多数の異なる注入処置および症例の実行を通してユーザをガイドするために使用され得る。例えば、ユーザインタフェース画面は、インジェクタおよびシリンジを準備し、インジェクタを操作し、そして注入後に同じまたは異なる患者に対する別の注入を準備する際にユーザを支援し得る。ユーザインタフェースを介して提供されるフィードバックは、例えば、誤ったアダプタが設置されているとき、または選択されたシリンジまたは流体タイプが利用可能なアダプタと互換性がないときを含む、多くの異なる使用事例に対処し得る。例示的なインジェクタ準備および流体供給プロセスが
図19から
図22に示される。
【0067】
実施例1:標準的な流体供給処置
図19に示すように、インジェクタシステムにより流体供給処置を実行し、ユーザインタフェースにより注入に関する情報を表示するためのプロセスのフローチャートが示される。この例では、アダプタは最初にインジェクタに接続される。例えば、アダプタは以前の注入処置で使用されたことがあり、依然としてインジェクタに接続される。別の例として、ユーザは、どのアダプタを特定のプレフィルドシリンジと共に使用するかを知り、他の注入準備作業を実行する前にアダプタをインジェクタに設置することができる。
【0068】
910に示されるように、システムは設置されたアダプタを識別するように構成される。例えば、アダプタのタイプに関する情報は、アダプタ自体のバーコードまたはデザインから自動的に抽出できる。一例では、シリンジポートに挿入されるアダプタの基部は、インジェクタのシリンジポートに配置されたスキャナまたはセンサによって識別され得る溝および隆起のパターンを含み得る。センサまたはスキャナによって取り込まれた情報は、アダプタのタイプを識別するために処理され得る。任意選択で、最大許容注入パラメータ値または注入パラメータの許容範囲は、912に示すように、識別されたアダプタタイプに基づいてシステムメモリから決定され得る。識別されたアダプタタイプに基づいて決定され得る注入パラメータは、識別されたアダプタに基づいて最大シリンジ量、流速、デフォルト(最大)圧力限界、および前進/後退ピストン制御速度を含み得る。
【0069】
914に示されるように、ユーザは、ユーザインタフェースを使用して実行される注入についての患者情報を入力し得る。患者情報は、患者ID番号、名前、生年月日、体重、身長を含み得る。本明細書に記載されているように、患者情報は手動で入力されたり、またはブレスレットなどの患者識別タグからスキャンされ得る。他の例では、ユーザは以前の患者のリストから患者の名前を選択するか、または患者データベースを照会して検索することができる。その場合、選択された患者に関する患者情報はシステムメモリまたは病院の記録から取得され得る。916に示されているように、次いで、ユーザは、実行される手順についてのプロトコル情報を入力し得る。例えば、ユーザは、
図18Bに示されるユーザインタフェース画面の一部を使用して流体情報を入力することができる。流体情報は、供給源タイプ、バッチ番号、有効期限、および他の情報を含むことができ、それらは一般にプレフィルドシリンジラベルに印刷されている。ユーザはまた、
図18Aに示される流体供給設定画面を使用して、流体の量および速度などの注入パラメータを入力し得る。入力された流体供給または注入パラメータは、プロトコル画面400のプロトコル部分420に表示され得る。918に示されるように、インジェクタおよびプロトコル情報が決定されるかまたは手動で入力されると、ユーザはプレフィルドシリンジをアダプタに設置し、シリンジから患者に流体を給送するためのチュービングセットを接続する。
【0070】
920に示されるように、プレフィルドシリンジとチュービングセットとを接続した後、インジェクタピストンをシリンジポートを通して定位置からプレフィルドシリンジのプランジャに向かって前進させる。インジェクタピストンが定位置を超えて前進し始めるとき、プレフィルドシリンジのプランジャの実際の位置は分からないので、システムは、シリンジが流体で満たされていると仮定または推定する。その場合、ユーザインタフェースのインジェクタおよびプロトコル画面400のLEDディスプレイは、シリンジ最大推定流体量を表示してもよい。加えて、プロトコル画面400上のシリンジアイコン422aは、シリンジが流体で満たされていることを示し得る。シリンジが流体で満たされたときのシリンジプランジャ位置に対応する位置など、PFAピストンがアダプタを通って定位置または他の選択された位置を通り過ぎるにつれて、インジェクタおよびプロトコル画面に表示される流体量は減少する。例えば、選択された位置は、定位置の1mL上の位置であり得る。さらに、プロトコル画面400上のシリンジアイコン422a(
図14に示される)によって示される流体レベルは、流体量の減少を示すシリンジの遠位端に向かって下方に移動する。
【0071】
922に示されるように、インジェクタピストンがそれぞれのシリンジのプランジャに接続されると、プライミングプロセスが実行され得る。コントラスト流体を含むシリンジなど、PFAを通してシリンジポートに接続されたシリンジの場合、ユーザは2ステップのプライミングプロセスを実行する。最初に、ユーザは、インジェクタハウジング上のボタンを押して保持することによってなどでインジェクタピストンを手動で前進させて、コントラスト流体をシリンジバレルから流体チュービングのT字型コネクタ部分にプライミングする。コントラスト流体が手動で所望の位置にプライミングされると、自動プライミングプロセスが生理食塩水シリンジをプライミングするために実行され得る。例えば、ユーザが選択するための自動プライムボタンがユーザインタフェース画面上に現れてもよい。自動プライミング中、生理食塩水シリンジが直接インジェクタに接続されているので(生理食塩水シリンジBなど)、プランジャの位置およびシリンジに含まれる流体量が分かっているので、プライミングは自動的に実行され得る。自動プライミングプロセスの間、ピストンは、その定位置から所定の距離だけ前進して、生理食塩水を生理食塩水シリンジから、シリンジをインジェクタシステムの他の部分に接続するチュービングに放出する。いくつかの例では、システムは、(シリンジポートA内の)コントラストシリンジ用のPFAピストンがその定位置を少なくともわずかに上回っていない場合、ユーザが自動プライミングプロセスを開始できないようにする。その理由は、そのような位置決めはユーザが必要に応じてコントラスト流体を手動でプライミングしていないことを示しているためである。
【0072】
いくつかの例では、ユーザインタフェースは、ユーザがコントラストシリンジをプライミングする際に有する可能性があるあらゆる困難に対処するために手動プライミングプロセスを通してユーザをガイドし得る。例えば、インジェクタピストン前進ボタンを押して保持するようにユーザに指示するメッセージがユーザインタフェースディスプレイに表示され得る。ユーザが前進ボタンを保持した時間に基づく距離をインジェクタピストンが前進した後、ユーザインタフェースは、流体レベルがチュービングセットに到達したら自動プライムボタンを押すようにユーザに指示するメッセージを表示し得る。いくつかの事例では、自動プライム機能は、手動プライミングプロセスが完了したことがシステムによって検知された後にのみ有効にされてもよい。同様に、ユーザインタフェースは、プライミングが完了されるまでユーザが準備することおよび/または注入を実行しようとすることを防ぐように構成され得る。例えば、最初にシステムから空気をプライミングすることなく、ユーザがインジェクタシステムを準備したり、注入を実行しようとすると、ユーザインタフェースは、最初にシリンジおよびチュービングをプライミングしなければそのような動作を実行できないことをユーザに通知する警告またはアラートを表示し得る。
【0073】
924で示されるように、チュービングがプライミングされると、ユーザは注入を開始するようにインジェクタシステムを設定することができる。例えば、ユーザは、ユーザインタフェース上に表示された適切なボタンを押すことによってロックおよび/またはアームプロトコルを開始することができる。インジェクタがロックされ、装備されたら、注入が実行される。例えば、ピストンロッドはシリンジポートおよびアダプタを通して前進させることができ、シリンジプランジャを、シリンジを通して前進させてそこから流体を放出させ得る。ピストンは、事前に選択された注入量が患者に供給されるまで、またはシリンジが空になるまで前進し続ける。所望の流体量が患者に供給されると、所望の量の流体が供給されたことをユーザに確認する注入完了メッセージがインジェクタ上および/またはユーザインタフェース上に表示され得る。
【0074】
注入に続いて、ボックス926に示されるように、システムは、次の注入が同じ患者に対するものか新しい患者に対するものかを選択するようにユーザに要求し得る。ユーザはユーザインタフェースにより回答を送信することができる。代替的にまたは追加的に、ボックス928に示されるように、インジェクタシステムは自動的に、またはユーザによる要求に応答して、ユーザがアダプタから空のシリンジを取り外すことを可能にするインジェクタピストン後退プロセスを開始し得る。インジェクタピストンの後退は、インジェクタが自動的にピストンをシリンジプランジャから後退させてシリンジポートに戻す自動後退プロセスであり得る。例えば、ピストンをその定位置に後退させることもできる。代替として、ユーザは、ピストンが所望の位置に後退するまで、インジェクタまたはユーザインタフェース上のピストン後退ボタンを押して保持することによって、手動でピストンを後退させることができる。ピストンが後退されると、ユーザは空のシリンジをインジェクタデバイスから取り外すことができる。
【0075】
実施例2:アダプタが最初にインジェクタユニットに設置されていない
図20は、インジェクタを使用した別の例示的な流体供給プロセスのフローチャートを図示し、ユーザインタフェースが示される。この例では、アダプタは最初はインジェクタに設置されていない。代わりに、
図20のプロセスでは、ユーザインタフェースはユーザによって入力された情報に基づいて使用するためのアダプタの推奨を提供する。
【0076】
1010に示されるように、ユーザは実行される注入のための流体タイプを選択する。例えば、ユーザは、上述の現在の流体情報画面を使用して、流体のタイプ、バッチ番号、有効期限、および他の情報を入力することができる。ユーザはまた、例えば、
図17に示されるように、現在の流体情報ポップアップボックスまたは画面上の「アダプタの使用」ボックスをチェックすることによって、アダプタを使用して流体が供給されるべきであることを示し得る。1012に示されるように、現在の流体情報が入力されると、インジェクタシステムは、プレフィルドシリンジおよび供給されるべき流体と共に使用され得る推奨された、または互換性のあるアダプタを決定し得る。1014に示されるように、推奨されたアダプタタイプを示すアイコンをユーザインタフェース画面の1つに表示され得る。例えば、推奨された、または互換性のあるアダプタのアイコンまたはイメージは、
図14に示されるようにプロトコル画面400上に表示され得る。推奨された、または互換性のあるアダプタの番号(例えば、1-5)はまたインジェクタ自体に示され得る。例えば、推奨されたアダプタの番号は、
図13に示されたインジェクタのフロントパネルディスプレイ上で明滅または点滅し得る。推奨されたアダプタの番号は、所定のタイムアウト期間が経過するまで、正しいアダプタが設置されるまで、または無期限に点滅し続け得る。誤ったアダプタが設置されていると、インジェクタディスプレイが点滅し続け、アダプタが交換される必要があることをユーザまたは技術者に示す。同様に、本明細書で説明されているように、誤ったアダプタが設置されていることを示すメッセージはユーザインタフェースに表示され得る。
【0077】
1016に示されるように、ユーザは推奨されたまたは互換性のあるアダプタをインジェクタに設置する。インジェクタが、前述のように正しいアダプタが設置されたことを感知すると、インジェクタディスプレイは点滅を停止する。1018に示されるように、ユーザは次に、
図19に関連して上述されたように、プレフィルドシリンジおよびチュービングを設置し、インジェクタピストンを定位置を超えて前進させ、そのようなタスクがこれまで完了していない場合、プライミングタスクおよびプロトコル情報916の入力を続ける。1020に示されるように、次いでユーザはインジェクタをロックして準備し、そして上記のように注入を行う。
【0078】
実施例3:ユーザが誤ったアダプタを設置する
ユーザが誤ったアダプタを設置した場合の一事例が
図21に示される。1110および1112に示されるように、ユーザは上述のように流体およびプロトコルに関する情報を入力する。1114に示されるように、流体およびプロトコル情報が入力されると、使用されるアダプタの推奨事項がシステムによって決定され、推奨された、または互換性のあるアダプタアイコンがユーザインタフェースのプロトコル画面に表示される。1116で、ユーザはシリンジポートにアダプタを設置する。しかし、設置されたアダプタは、推奨されたアダプタではないか、または実行される注入処置に互換性のあるアダプタではない。1118に示されるように、インジェクタシステムは設置されたアダプタを識別し、1120に示されるように、アダプタが誤っているか、またはスケジュールされた注入処理に互換性がないというメッセージを生成する。例えば、ポップアップメッセージがユーザインタフェースのプロトコル画面に表示され、誤ったアダプタが設置されていることをユーザに通知し得る。ユーザは、例えば、ポップアップボックス上の「OK」ボタンを選択することによって、ポップアップボックスを承認することを要求される場合がある。メッセージが承認された後、推奨されたサイズ/シリンジのタイプを示すアイコンまたはメッセージがユーザインタフェースに再び表示され得る。ユーザは推奨事項を確認して、別のアダプタまたはシリンジを設置することができる。代替として、ポップアップメッセージの承認後、ユーザは、設置されたシリンジおよびアダプタを使用して注入を続けてもよい。特に、システムは、検出されたアダプタが実行される注入と互換性がないものとして識別された場合、ユーザが注入を実行するのを妨げない。その代わりに、ポップアップメッセージが承認された後に、ユーザは注入を実行し続けることが許可される。
【0079】
ユーザインタフェースはまた、選択された流体が利用可能なアダプタのいずれとも互換性のないことを識別し得る。例えば、ユーザは、現在の流体情報画面に流体のタイプを入力し、アダプタが注入に使用される必要があることを示す「アダプタの使用」ボックスをチェックすることができる。しかし、ユーザによって入力された流体名がインジェクタシステムによって認識されない、および/またはサポートされていない場合、警告が表示され得る。例えば、警告は、入力した流体およびプレフィルドシリンジがいずれのアダプタとも互換性がないことを示す場合がある。ユーザは、「OK」ボタンを選択することによって、ポップアップボックスを承認するように要求されてもよい。流体およびシリンジでの使用を推奨されたアダプタがないことを示すアイコンも、プロトコル画面に表示され得る。
【0080】
ユーザが流体およびシリンジが利用可能なアダプタの1つと共に使用できることを知っている場合、ユーザは警告を無視してアダプタを設置することができる。システムは、アダプタが設置されると、ユーザが注入を続けることを可能にするように構成され得る。インジェクタシステムは、一般に、ユーザが注入を実行するのを妨げるようには構成されていない。その代わりとして、ポップアップボックスは、シリンジと流体が正しいかどうかを再検討または確認するようにユーザに要求する通知を意味するにすぎない。アダプタフィードバックおよびユーザインタフェースは、ユーザが注入を制御するのを妨げることを意図していない。
【0081】
実施例4:自動シリンジ識別
図22に示されるように、シリンジラベルのイメージをスキャンまたは記録することによってシリンジを自動的に識別するプロセスが示される。1210において、プレフィルドシリンジのバーコードまたはラベルをスキャンして、シリンジおよび、その中に含まれる流体に関する情報を決定する。スキャンは、バーコードスキャナなどのハンドヘルドポータブルスキャナデバイスを使用して実行され得る。他の例では、ラベルのイメージは、例えば、スマートフォンまたは類似のデジタルカメラデバイスによりラベルの写真を撮ることによって取得され得る。1212では、取得されたイメージまたはバーコードが、流体およびシリンジ情報を識別するために処理される。1214では、どの製造業者が選択されたコントラスト流体を販売しているかを確認すること、および/またはラベルまたはバーコードから抽出された他の情報が適切な流体が注入に使用されていることを識別および確認するために正しいことを確認するようにユーザに要求する確認ボックスをユーザインタフェース上に表示し得る。1216に示されるように、流体が識別され確認されると、ユーザインタフェースは使用されるアダプタについての推奨事項を提供し得る。前述の例のように、互換性のある、または推奨されたアダプタをユーザに示すアイコンをユーザインタフェースのプロトコル画面に表示し得る。推奨されたアダプタ番号は、インジェクタ本体のフロントパネルにあるLEDディスプレイにも表示され得る。例えば、正しいアダプタが設置されるまで、または所定のタイムアウト期間が経過するまで、推奨されたアダプタ番号がLEDディスプレイ上で明滅または点滅する場合がある。1218で、ユーザは推奨されたアダプタをインジェクタに設置し、インジェクタはアダプタが正しいタイプであることを確認する。1220で、他の例のように、プレフィルドシリンジおよびチュービングが設置され、注入が行われる。注入に続いて1222で、インジェクタピストン後退プロセスが開始され得、ユーザがアダプタから空のシリンジを取り外すことを可能にする。
【0082】
本開示のさらなる態様によれば、特定の事例において、ヘルスケア提供者はシリンジを通して投与される特定の液体から保護される必要がある。例えば、陽電子放出断層撮影法(PET)および単一光子放出断層撮影法(SPECT)または他の核医学治療法のようないくつかの画像診断法は、イメージを取得するために、患者が放射性医薬品とも呼ばれる、放射性造影剤を受け入れることを必要とする。放射性医薬品の例示的かつ非限定的な例には、64Cuジアセチル-ビス(N4-メチルチオセミカルバゾン)(例えば、ATSMまたは銅64)、18F-フルオロデオキシグルコース(FDG)、Na18F(フッ化ナトリウム)、3’-デオキシ-3’-[18F]フルオロチミジン(FLT)、18F-フルオロミソニダゾール(FMISO)、ガリウム、テクネチウム-99m、インジウム-113m、ストロンチウム-87m、およびタリウムが含まれる。放射性造影剤および他の放射性物質を含むシリンジと接触するヘルスケア提供者を保護するための1つの方法は、シリンジの本体の周りにシールドを設けることである。一般に、シリンジシールドは、放射性物質の取扱いおよび/または投与中にシリンジから出てヘルスケア提供者に接触することから放射線をかなり吸収または遮断するように構成される。
【0083】
図23から
図25を参照すると、本開示によるアダプタ1301が提供され、シールドシリンジ1300を受容し、シールドシリンジ1300をインジェクタ10の第2の開口部84に解放可能に取り付けるように構成され得る(
図1を参照)。より具体的には、
図24に示されるように、典型的なシールドシリンジ1300は、シリンジシールド1304で覆われたシリンジ本体1302を備え得る。ウインドウ1306がシリンジシールド1304に配置され、インジェクタピストンおよび/またはシリンジ上のグラデーションなどのシリンジ本体1302の限られた視野を提供し得る。シリンジ本体1302は、前方分配端部1308と、本体1302内にスライド可能に配置されたプランジャロッド1310と、本体1302の後方端部1314の周りに延びるフランジ1312とを備える。
【0084】
シリンジシールド1304は、限定ではないが、鉛、消耗ウラン、タングステン、およびタングステン含浸ポリマーを含む様々な材料から製造され得、ウインドウ1306は、鉛ガラスまたは鉛入りアクリルを含むがこれらに限定されない多数のタイプの材料から製造され得る。シリンジシールド1304は、ヘルスケア提供者、特にヘルスケア提供者の手を、彼/彼女が放射性物質を取り扱う、近づける、および/または管理する際、シリンジ本体1302内に含まれる放射性物質から放射される放射線から遮蔽するように動作し得る。
【0085】
一例では、アダプタ1301は、アダプタ1301をインジェクタ10の前壁80に対して所望の位置に装着するためにアダプタ1301の後端部1305に配置された装着機構1303、シールドシリンジ1300をその中に着座させるようになされたシリンジキャリアセクション1307、およびシリンジキャリアセクション1307と装着機構1303との間に動作可能に接続されて配置された中間セクション1309を備える。
【0086】
装着機構1303は、アダプタ1301を第2の開口部84内のシリンジインタフェースに解放可能に装着するための任意の適切な機構を備える。一例では、装着機構1303は、例えば、アダプタ1301のインジェクタの第2の開口部84への係合を容易にするため、および/またはシールドシリンジ1300から放出される流体が第2の開口部84を介してインジェクタ10に入るのを防ぐために、一対の装着フランジ1311および装着フランジ1311の前方に配置されるドリップフランジ1313を備える。装着機構1303のさらなる詳細は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,726,657号で提供されている。しかしながら、このタイプの装着機構は、任意の適切な装着機構を利用され得るので、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0087】
シリンジキャリアセクション1307は、シールドシリンジ1300を配置できるようにその上部に第1の開口部1315を画定し、
図1の例で示されているように、インジェクタの駆動部材40bがシールドシリンジ1300のプランジャロッド1310に前方の力を伝達することができるようにその後方セクション1319に第2の開口部1317を画定する。シリンジキャリアセクション1307の前方部分1321は、挿入部材1323を支持し係合するように設計され構成される。挿入部材1323は、その中にシールドシリンジ1300をしっかりと保持するように設計され構成される。挿入部材1323は、その中にシールドシリンジ1300のフランジ1312を固定するために設けられた一対のノッチ1325を含む。ノッチ1325は、注入中にシールドシリンジ1300によってアダプタ1301に及ぼされる力が、アダプタ1301の軸A1を中心にして概ね対称となるように、フランジ1312に当接する。アダプタ1301は、注入中にシリンジにかかる前方への力が最初にシールドに、そしてシールドからアダプタ1301に伝達されるか、または阻止するようにし得る。代替として、アダプタ1301は、シリンジの1つ以上の態様と直接インタフェースして、シリンジへの前進力が直接アダプタ1301に伝達されるか、または力が本明細書に記載されているように両方の力経路を介して伝達され得る。
【0088】
中間セクション1309は、シリンジキャリアセクション1307と装着機構1303とに動作可能に接続されかつそれらの間に配置される。中間セクション1309は、その中に少なくとも部分的に配置されたプッシュロッド52を有する円筒形本体1327を備える。一例では、プッシュロッド52は、シールドシリンジ1300のプランジャロッド1310と係合するための第1の端部と第2の端部1329とを有する。プッシュロッド52の第2の端部1329は、インジェクタ10の駆動部材40bと係合するように構成された係合機構1331を含む。係合機構1331は、
図3、
図4、
図11、および
図12に示されるのと同じ係合機構140、または任意の他の適切な係合機構であり得る。プッシュロッド52の第1の端部は、プッシュロッド52をプランジャロッド1310に解放可能に接続するように構成されたクランプ機構1333を含む。
【0089】
アダプタ1301の動作において、装着機構1303がインジェクタ10の前壁80に取り付けられた後、プッシュロッド52は、本明細書で上述のようにインジェクタ10の駆動部材40bと接続する。シールドシリンジ1300は、装着機構1303を介してアダプタ1301をインジェクタ10に接続する前または後のいずれかに、第1の開口部1315を介してシリンジキャリアセクション1307に上部装着され得る。プッシュロッド52は、その第1の端部のクランプ機構1333がプランジャロッド1310に係合して接続するまで、駆動部材40bによって中間セクション1309を通って前方に前進させられる。その後、インジェクタ10を使用してシールドシリンジ1300の内容物を患者に注入する。一例として、アダプタ1301は、MRインジェクタが核医学イメージング処置で使用するための放射性医薬品を制御可能で供給することを可能にし得る。
【0090】
図26から
図30を参照すると、シールドシリンジ1300用のアダプタ1401の別の例が示されている。アダプタ1401は、例えば、核医学放射性医薬品を注入し制御可能で供給するようにCTインジェクタを適合させるために使用され得る。アダプタ1401は、アダプタ1401をインジェクタ10の前壁80に対して所望の位置に装着するためにアダプタ1401の後端部に配置された装着機構1403(
図1を参照)、シールドシリンジ1300をその中に着座させるようになされたシリンジキャリアセクション1405、およびシリンジキャリアセクション1405と装着機構1403との間に動作可能に接続されて配置された中間セクション1407を備える。
【0091】
装着機構1403は、アダプタ1401を第2の開口部84内のシリンジインタフェースに解放可能に装着するための任意の適切な機構を備える。一例では、本明細書の上部で詳細に説明されているように、装着機構1403は、装着フランジ1409と、装着フランジ1409の前方に配置されたドリップフランジ1411とを備える。
【0092】
シリンジキャリアセクション1405はその上部に開口部1413を含み、その中にシールドシリンジ1300を配置することができる。シールドシリンジ1300の後端部は、力がシールドシリンジ1300のプランジャロッド1310に加えられたときに後壁1415と係合するように構成された延長部材1316を含む。
【0093】
中間セクション1407は、上面1419および底面1421を有するほぼ平面状の要素1417と、それらの間で延びるスロット1423とを備える。プランジャロッド係合機構1425は、スロット1423を通って延在し、
図26に示されるように注入処置の前にシールドシリンジ1300のプランジャロッド1310と係合するように構成される。特に
図27を参照すると、平面状の要素1417の底面1421はそこから延びる一対のレール1427を含む。駆動部材係合部1429は、注入処置中にインジェクタ10の駆動部材40b(図示せず)と係合してレール1427に沿って矢印Cの方向に移動するように設けられている。駆動部材係合部1429は、駆動部材40bとプランジャロッド1310との間の変位関係を変更するように構成された低減機構に動作可能に接続される。より具体的には、駆動部材係合部1429は、レバー1431の第1の端部に枢着される。レバー1431の第2の端部1433は平面要素1417の底面1421に枢着され、レバー1431の中間部分1435は平面要素1417の底面1421の中央に配置されたスライダ機構1437に枢着されている。
【0094】
スライダ機構1437は、スライダ機構1437が矢印Cの方向に移動するとプランジャロッド1310がシールドシリンジ1300を通って移動し、そこから流体を放出するように、プランジャロッド係合機構1425に動作可能に接続される。より具体的には、
図28および
図29を参照すると、インジェクタ10の駆動部材40b(図示せず)が矢印Cの方向に前進すると、駆動部材40b(図示せず)が駆動部材係合部1429に係合して、レール1427に沿って駆動部材係合部1429を前進させる。駆動部材係合部1429がレール1427に沿って動くと、レバー1431は駆動部材係合部1429に対して旋回して動き、さらに矢印Cの方向のスライダ機構1437に減少させた動きを伝達する。スライダ機構1437が動くと、この動きはシールドシリンジ1300のプランジャロッド係合機構1425およびプランジャロッド1310に伝達され、それによってシールドシリンジ1300の内容物を患者に注入する。この例では、スライダ機構1437の動きを減少させることにより、流体供給のより精密かつ正確な制御が可能になる。それらが必要とされる場合、それはまた、より高い圧力の達成を可能にし得る。図示されていない代替の例では、関係は逆にされてもよく、シリンジはインジェクタピストンが達成することができるよりも長い移動を有してもよい。シリンジプランジャの移動距離に対するピストンの移動距離のこの機械的変化は、核医学用シールドを有するものだけでなく、あらゆるシリンジアダプタに適用され得る。さらに、ピストン移動の機械的変化は、例えば、これに限定されないが、ラックアンドピニオン、ボールねじおよびプーリを含む様々な機械的アセンブリを用いて行われ得る。
【0095】
本開示のデバイスの特定の実施形態を詳細に説明したが、本開示の全体的な教示に照らして、それらの詳細に対する様々な修正形態および代替形態を開発できることが当業者には理解されるだろう。したがって、開示された特定の構成は、例示のみを目的としており、添付の請求項の全容およびその任意のおよびすべての均等物を与えられるべき本開示のデバイスの範囲に関して限定するものではない。
【符号の説明】
【0096】
5 インジェクタシステム
10 電動インジェクタ
20 ネイティブシリンジ
30 インジェクタハウジング
40 駆動部材
40a 第1の駆動部材またはインジェクタピストン
40b 第2の駆動部材
50 シリンジプランジャ
52 プッシュロッド
54 プランジャ、シリンジプランジャ
56 バレル部分
58 後端部
60 前端部
62 流体排出口または出口
80 前壁
82 第1のシリンジポート、第1の開口部
84 第2のシリンジポート、第2の開口部
100 アダプタ
102 装着機構
104 後端部
106 シリンジキャリアセクション
108 中間セクション
110 装着フランジ
112 ドリップフランジ
114 延長タブまたは突出部
116 第1の開口部
118 第2の開口部
119 第3の開口部
120 後方セクション、後端部
122 前方部分
124 肩部分
126 第1の略U字形クランプ要素
128 第2の略U字形クランプ要素
130 弾性バンパー
132 第1の側面
134 第2の側面
136 円筒形本体
138 第2の端部
140 係合機構
142 要素
144 ボルト
146 カバー部分
148 本体
150 前面
152 後面
154 切り欠き
156 ワイパーシール
158 リテーナリング構造
160 回転保持部材
162 通路
164 カラータブ
166 屈曲保持部材
168 第1の脚部
170 第2の脚部
172 第1の端部
173 本体部分
174 第2の自由端部
175 保持脚
176 第1の端部
177 保持脚
178 第2の自由端部
179 傾斜面
180 空間
182 係合ハブ
184 ダウエルピン
186 係合脚部
188 ダウエルピン
190 ばね要素
192 自由な第1の端部
194 フランジ
196 第2の端部
198 把持部材
200 シリンジ
202 本体
204 前端部
206 前方端部
208 フランジ
210 後方端部
300 コントローラ
302 ディスプレイ
304 ユーザ入力デバイス
306 フロントパネルディスプレイ
308 ボタン
310 ノブ
312 ビジュアルディスプレイ
400 画面
412 実行される注入処置を識別する部分
414 患者情報部分
416 流体部分
418 イベント部分
420 中央部分、プロトコル部分
422 ビジュアルインジケータまたはアイコン
422a アイコン
422b アイコン
424 ラジオボタン
426 注入量
428 流速
430 デフォルト(最大)圧力限界
432 注入期間
434 試験注入ボタン
436 ロックボタン
440 ボタン
442 アダプタアイコン
446 シリンジの流体レベルライン
500 設定画面
510 ボタン
512 画面輝度
514 推定糸球体濾過率(eGFR)計算機
516 体重に基づく投与計算機
518 PFAフィードバック
600 患者情報タブを含む画面またはポップアップボックス
610 患者ID番号
612 姓
614 名
616 生年月日
618 体重
620 身長
622 性別
700 画面またはポップアップボックス
712 コントラストのタイプまたは供給源タイプ
714 バッチ番号
716 有効期限
718 「デフォルトのロード」ボタン
720 一連のタブ
722 チェックボックス
800 流体供給設定画面
810 注入パラメータのリスト
812 オプションのリスト
814 仮想ボタン
816 メッセージボックス
820 「コントラストタイプ」画面
822 投与量情報
824 投与量体重制限
826 投与量最低年齢
828 コントラスト名ボタン
830 コントラスト流体のリスト
832 ポップアップボックス
916 プライミングタスクおよびプロトコル情報
926 ボックス
928 ボックス
1300 シールドシリンジ
1301 アダプタ
1302 シリンジ本体
1303 装着機構
1304 シリンジシールド
1305 後端部
1306 ウインドウ
1307 シリンジキャリアセクション
1308 前方分配端部
1309 中間セクション
1310 プランジャロッド
1311 装着フランジ
1312 フランジ
1313 ドリップフランジ
1314 後方端部
1315 第1の開口部
1316 延長部材
1317 第2の開口部
1319 後方セクション
1321 前方部分
1323 挿入部材
1325 ノッチ
1327 円筒形本体
1329 第2の端部
1331 係合機構
1333 クランプ機構
1401 アダプタ
1403 装着機構
1405 シリンジキャリアセクション
1407 中間セクション
1409 装着フランジ
1411 ドリップフランジ
1413 開口部
1415 後壁
1417 平面状の要素
1419 上面
1421 底面
1423 スロット
1425 プランジャロッド係合機構
1427 レール
1429 駆動部材係合部
1431 レバー
1433 第2の端部
1435 中間部分
1437 スライダ機構
A シリンジポート
A1 軸
B シリンジポート
B1 軸
C 矢印
F 流体