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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】ラケットフレーム及びラケット
(51)【国際特許分類】
   A63B 49/10 20150101AFI20231110BHJP
【FI】
A63B49/10
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022121624
(22)【出願日】2022-07-29
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 洋平
(72)【発明者】
【氏名】保富 大輔
(72)【発明者】
【氏名】樋口 直矢
(72)【発明者】
【氏名】大友 隆行
【審査官】上田 泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-027887(JP,A)
【文献】特開平09-313650(JP,A)
【文献】特開平07-231952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 49/02 ー 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視において環状であるフェース部と、グリップ部と、前記フェース部と前記グリップ部との間を接続しているシャフト部とを備え、
前記フェース部、前記グリップ部、及び前記シャフト部の少なくとも一部は、管状部材を含み、
前記管状部材の延在方向に直交する断面において、前記管状部材は、内側の管状部分と、前記内側の管状部分を囲む外側の管状部分と、前記内側の管状部分と前記外側の管状部分との間に挟まれている剥離層とを有している、ラケットフレーム。
【請求項2】
前記フェース部の延在方向において、前記フェース部の一部のみが、前記剥離層を含む、請求項1に記載のラケットフレーム。
【請求項3】
前記平面視において前記グリップ部から最も離れた前記フェース部の第1部分の位置を12時の位置としたときに、前記フェース部の前記第1部分及び3時の位置にある第2部分が前記剥離層を含み、前記フェース部のうち2時の位置にある第3部分が前記剥離層を含まない、請求項2に記載のラケットフレーム。
【請求項4】
前記フェース部の延在方向の全部が、前記剥離層を含む、請求項1に記載のラケットフレーム。
【請求項5】
前記フェース部の延在方向に直交する断面において、前記剥離層は前記管状部材の周方向に部分的に配置されている、請求項1に記載のラケットフレーム。
【請求項6】
前記フェース部の延在方向に直交する断面において、前記剥離層は前記管状部材の周方向の全周に渡って配置されている、請求項1に記載のラケットフレーム。
【請求項7】
前記剥離層は、前記管状部材の厚さ方向において、前記管状部材の中間位置から内側に前記管状部材の厚さの20%の距離にある第1の位置と、前記中間位置から外側に前記20%の距離にある第2の位置との間に存在する、請求項1に記載のラケットフレーム。
【請求項8】
前記剥離層には、前記管状部材の厚さ方向に前記剥離層を貫通する貫通孔が形成されている、請求項1に記載のラケットフレーム。
【請求項9】
前記剥離層は、前記管状部材の厚さ方向に積層された内側層及び外側層を含み、
前記内側層と前記外側層とは互いに接着されていない、請求項1に記載のラケットフレーム。
【請求項10】
前記内側の管状部分及び前記外側の管状部分の各々は、樹脂層を含み、
前記剥離層は、前記内側の管状部分の前記樹脂層及び前記外側の管状部分の前記樹脂層の各々に面している、請求項1~9のいずれか1項に記載のラケットフレーム。
【請求項11】
前記内側の管状部分及び前記外側の管状部分の少なくとも一方は、繊維強化樹脂層であり、
前記第1部分、前記第2部分、及び前記第3部分に含まれる前記繊維強化樹脂層は、互いに連なる繊維を含む、請求項3に記載のラケットフレーム。
【請求項12】
前記剥離層を構成する材料の融点は、前記樹脂層の成型温度よりも高い、請求項10に記載のラケットフレーム。
【請求項13】
前記内側の管状部分及び前記外側の管状部分の少なくとも一方は、金属層を含み、
前記剥離層は、前記金属層に面している、請求項1~9のいずれか1項に記載のラケットフレーム。
【請求項14】
請求項1~9のいずれか1項に記載のラケットフレームと、
前記フェース部に張られているストリングとを備える、ラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラケットフレーム及びラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、繊維強化樹脂(Fiber Reinforced Plastic、以下FRPとも記載する)からなるラケットフレームが知られている(例えば、特開平1-121074号公報参照)。一般的に、このようなFRP製のラケットフレームは、互いに積層された複数のプリプレグが熱硬化することにより形成されており、各プリプレグに由来する複数の繊維強化樹脂層の積層体を含む。積層方向に隣り合う2つの繊維強化樹脂層は、互いに隙間なく接着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平1-121074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ラケットフレームには、打球に耐え得るための強度と剛性が求められる。ラケットフレームの強度は、おおむね剛性と正の相関を示す。ラケットフレームに求められる強度を確保すれば、ラケットフレームに求められる最低限の剛性は確保される。つまり、求められる強度を有するラケットフレームの剛性は、ラケットフレームに求められる最低限の剛性よりも高い。そのため、求められる強度を確保しながらも、剛性を低下させることができれば、ラケットフレームの反発性能を適切に設計できる。
【0005】
本発明の主たる目的は、十分な強度を有しながらも、ラケットフレームの反発性能が適切に設計され得るラケットフレーム及びラケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るラケットフレームは、平面視において環状であるフェース部と、グリップ部と、フェース部とグリップ部との間を接続しているシャフト部とを備える。フェース部、グリップ部、及びシャフト部の少なくとも一部は、管状部材を含む。管状部材の延在方向に直交する断面において、管状部材は、内側の管状部分と、内側の管状部分を囲む外側の管状部分と、内側の管状部分と外側の管状部分との間に挟まれている剥離層とを有する。
【0007】
上記ラケットフレームでは、フェース部の延在方向において、フェース部の一部のみが、剥離層を含んでいてもよい。
【0008】
上記ラケットフレームでは、平面視においてグリップ部から最も離れたフェース部の第1部分の位置を12時の位置としたときに、フェース部の第1部分及び3時の位置にある第2部分が剥離層を含み、フェース部のうち2時の位置にある第3部分が剥離層を含んでいなくてもよい。
【0009】
上記ラケットフレームでは、フェース部の延在方向の全部が、剥離層を含んでいてもよい。
【0010】
上記ラケットフレームでは、フェース部の延在方向に直交する断面において、剥離層は管状部材の周方向に部分的に配置されていてもよい。
【0011】
上記ラケットフレームでは、フェース部の延在方向に直交する断面において、剥離層が管状部材の周方向の全周に渡って配置されていてもよい。
【0012】
上記ラケットフレームでは、剥離層は、管状部材の厚さ方向において、管状部材の中間位置から内側に管状部材の厚さの20%の距離にある第1の位置と、中間位置から外側に20%の距離にある第2の位置との間に存在していてもよい。
【0013】
上記ラケットフレームの剥離層には、管状部材の厚さ方向に剥離層を貫通する貫通孔が形成されていてもよい。
【0014】
上記ラケットフレームでは、剥離層は、管状部材の厚さ方向に積層された内側層及び外側層を含み、内側層と外側層とは互いに接着されていなくてもよい。
【0015】
上記ラケットフレームでは、内側の管状部分及び外側の管状部分の各々は、樹脂層を含んでいてもよい。剥離層は、内側の管状部分の樹脂層及び外側の管状部分の樹脂層の各々に面していてもよい。
【0016】
上記ラケットフレームでは、内側の管状部分及び外側の管状部分の少なくとも一方は、繊維強化樹脂層であってもよい。好ましくは、第1部分、第2部分、及び第3部分に含まれる繊維強化樹脂層は、互いに連なる繊維を含む。
【0017】
上記ラケットフレームでは、剥離層を構成する材料の融点は、樹脂層の成型温度よりも高くてもよい。
【0018】
上記ラケットフレームでは、内側の管状部分及び外側の管状部分の少なくとも一方は、金属層を含んでいてもよい。剥離層は、前記金属層に面していてもよい。
【0019】
本発明に係るラケットは、上記ラケットフレームと、フェース部に張られているストリングとを備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、十分な強度を有しながらも、ラケットフレームの反発性能が適切に設計され得るラケットフレーム及びラケットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施の形態1に係るラケットフレームを示す平面図である。
図2図1中の矢印II-IIから視た断面図である。
図3図2中の領域IIIの部分拡大断面図である。
図4】実施の形態2に係るラケットフレームのフェース部の断面図である。
図5図4中の領域Vの部分拡大断面図である。
図6】実施の形態2に係るラケットフレームの製造方法を説明するための図である。
図7】実施の形態2に係るラケットフレームの変形例を示す断面図である。
図8】実施の形態3に係るラケットフレームのフェース部の断面図である。
図9図8中の領域IXの部分拡大断面図である。
図10】実施の形態3に係るラケットフレームの製造方法を説明するための図である。
図11】実施の形態4に係るラケットフレームのフェース部の断面図である。
図12】実施の形態5に係るラケットフレームを示す平面図である。
図13図12中の矢印XIII-XIIIから視た断面図である。
図14】実施の形態5に係るラケットフレームの製造方法を説明するための図である。
図15】実施の形態6に係るラケットフレームのフェース部に含まれる剥離層を説明するための図である。
図16図15中の矢印XVI-XVIから視た断面図である。
図17】実施の形態7に係るラケットフレームのフェース部の断面図である。
図18】実施の形態8に係るラケットフレームのフェース部の断面図である。
図19】実施の形態9に係るラケットを示す平面図である。
図20】実施の形態9に係るラケットのシャフト部の断面図である。
図21】実施例1における圧縮強度の評価方法を説明するための図である。
図22】実施例1における潰れ剛性の評価方法を説明するための図である。
図23】実施例3における横バネ定数の評価方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
【0023】
<ラケットフレームの構成>
図1に示されるように、本実施の形態に係るラケットフレーム101は、フェース部1と、シャフト部2と、グリップ部3とを備える。フェース部1、シャフト部2、およびグリップ部3は、第1方向Aに並んで配置されている。本明細書では、第1方向Aと直交する第2方向Bからラケットフレーム101を視る視野を、平面視と記載する。第2方向Bは、ラケットフレーム101のフェース部1にストリングが張られることにより形成される打球面に直交する方向である。また、本明細書では、フェース部1の各部分の延在方向C(図2参照)及び第2方向Bの各々と直交する方向を、当該部分の潰れ方向と記載する。
【0024】
フェース部1は、平面視において、楕円環形状を有している。平面視におけるフェース部1の長手方向は、第1方向Aに沿っている。
【0025】
フェース部1は、第1方向Aにおいて、第1端部1aと第2端部1bとを有している。第1端部1aは、第1方向Aにおいて、フェース部1におけるグリップ部3とは反対側に位置する端部(トップ端)である。第2端部1bは、第1方向Aにおいて、グリップ部3側に位置する端部(グリップ端)である。
【0026】
シャフト部2は、第1の分岐部材2Aと第2の分岐部材2Bとを有している。グリップ部3は、グリップ部材3Aと、グリップ3Bとを有している。第1の分岐部材2A及び第2の分岐部材2Bは、グリップ部材3Aから分岐している。グリップ3Bは、グリップ部材3Aを覆うように形成されている。グリップ3Bには、例えばポリウレタンが用いられる。
【0027】
異なる観点から言えば、ラケットフレーム101は、第1管状部材11と、第2管状部材12とを備える。第1管状部材11の延在方向Cに直交する断面において、第1管状部材11は管状形状を有している。第1管状部材11の内部には、中空部11c(図2参照)が形成されている。第1管状部材11は、中空部11cに面している内側の管状部分11iと、内側の管状部分11iを囲む外側の管状部分11oと、内側の管状部分11iと外側の管状部分11oとの間に挟まれている剥離層15とを有する。本明細書において、剥離層15とは、ゼロよりも大きい任意の体積を有しており、剥離層15と外側の管状部分11oとの間及び剥離層15と内側の管状部分11iとの間の少なくとも一方に非接着面が形成されている中実部又は中空部を意味する。本明細書において、非接着面とは、互いに積層しているが互いに固着していない2層間の面を意味する。非接着面は、断面観察等によって容易に観察できる。
【0028】
内側の管状部分11i及び外側の管状部分11oは、例えば複数の樹脂層を含む。好ましくは、複数の樹脂層の少なくともいずれかは、繊維強化樹脂層である。より好ましくは、複数の樹脂層の各々は、繊維強化樹脂層である。第2管状部材12の延在方向に直交する断面において、第2管状部材12は管状形状を有している。第2管状部材12は、第1管状部材11と同様の構成を有していてもよい。
【0029】
平面視において、フェース部1の中心CPに対するグリップ部3から最も離れたフェース部1の第1端部1aの位置を12時の位置P12としたときに、少なくとも7時の位置P7と5時の位置P5との間に位置し12時の位置P12を含むフェース部1の一部は、第1管状部材11により構成されている。フェース部1の残部は、第2管状部材12により構成されている。
【0030】
第1管状部材11は、フェース部1の一部を構成する部分、シャフト部2を構成する部分、及びグリップ部材3Aを構成する部分を有している。第1管状部材11は、平面視において、第1端部1aを通り第1方向Aに沿って延びる中心軸線に対して線対称の形状を有している。第2管状部材12は、第1管状部材11のうちフェース部1の一部を構成する部分と連結されている。
【0031】
第1管状部材11のうちフェース部1の一部を構成する部分は、内周面11aと、外周面11bとを有している。内周面11aと外周面11bとの間には、図示しない複数の貫通孔が第1管状部材11の延在方向Cに互いに間隔を空けて配置されている。複数の貫通孔は、図示しないストリング、又は図示しないグロメットとストリングとが通されるための孔である。図2に示されるように、第1管状部材11の第1端部1aの外周面11bには、グロメットが収容される溝が形成されている。当該溝は、第1管状部材11の延在方向Cに沿って延びている。溝は、フェース部1の外周面11bに部分的に形成されていてもよいし、全体的に形成されていてもよい。第1管状部材11のうち溝が形成されている部分では、複数の貫通孔は、内周面11a及び上記溝の底面の各々において開口するように、第1管状部材11を貫通している。
【0032】
図2に示されるように、第1管状部材11の外側の管状部分11oは、例えば第1群の繊維強化樹脂層13により構成されている。第1管状部材11の内側の管状部分11iは、例えば第2群の繊維強化樹脂層14により構成されている。この場合、第1管状部材11は、第1群の繊維強化樹脂層13と、第2群の繊維強化樹脂層14と、第1群の繊維強化樹脂層13と第2群の繊維強化樹脂層14との間に挟まれている剥離層15とを含む。なお、第1管状部材11の外側の管状部分11o及び内側の管状部分11iの少なくとも一方は、金属層をさらに含んでいてもよい。第1管状部材11の外側の管状部分11oは、第1管状部材11の厚さ方向において第1群の繊維強化樹脂層13よりも外側に配置されている金属層をさらに含んでいてもよい。第1管状部材11の内側の管状部分11iは、第1管状部材11の厚さ方向において第2群の繊維強化樹脂層14よりも内側に配置されており中空部11cに面している金属層をさらに含んでいてもよい。これらの金属層は、第1群の繊維強化樹脂層13又は第2群の繊維強化樹脂層14と接着されていてもよい。
【0033】
第1管状部材11の延在方向Cに直交する断面において、第1群の繊維強化樹脂層13、第2群の繊維強化樹脂層14、及び剥離層15の各々は、環形状を有している。第1群の繊維強化樹脂層13、第2群の繊維強化樹脂層14、及び剥離層15の各々は、例えば第1管状部材11の中心軸CAに対する周方向に閉じている。
【0034】
図3に示されるように、第1群の繊維強化樹脂層13及び第2群の繊維強化樹脂層14の各々は、中心軸CAに対する径方向において互いに積層されている複数の繊維強化樹脂層により構成されている。第1群の繊維強化樹脂層13及び第2群の繊維強化樹脂層14の各々において、積層方向に隣り合う2つの繊維強化樹脂層は互いに固着している。第1群の繊維強化樹脂層13を構成する複数の繊維強化樹脂層の各々は、互いに隙間なく接している。第2群の繊維強化樹脂層14を構成する複数の繊維強化樹脂層の各々は、互いに隙間なく接している。
【0035】
第1群の繊維強化樹脂層13は、例えば、第1繊維強化樹脂層13a、第2繊維強化樹脂層13b、及び第3繊維強化樹脂層13cを含む。第1繊維強化樹脂層13aは、第1群の繊維強化樹脂層13のうち中心軸CAに対して最も外側に配置されている。第1繊維強化樹脂層13aの外周面の一部が、第1管状部材11の内周面11aを成している。第2繊維強化樹脂層13bは、中心軸CAに対する径方向において、第1繊維強化樹脂層13aよりも内側に配置されており、第1繊維強化樹脂層13aと隣り合っている。第2繊維強化樹脂層13bは、第1繊維強化樹脂層13aと隙間なく接着している。第3繊維強化樹脂層13cは、第1群の繊維強化樹脂層13のうち中心軸CAに対して最も内側に配置されている。
【0036】
第2群の繊維強化樹脂層14は、例えば、第4繊維強化樹脂層14a、第5繊維強化樹脂層14b、及び第6繊維強化樹脂層14cを含む。第4繊維強化樹脂層14aは、第2群の繊維強化樹脂層14のうち中心軸CAに対して最も内側に配置されている。第4繊維強化樹脂層14aの内周面は、中空部11cに面している。第5繊維強化樹脂層14bは、中心軸CAに対する径方向において、第4繊維強化樹脂層14aよりも外側に配置されており、第4繊維強化樹脂層14aと隣り合っている。第5繊維強化樹脂層14bは、第4繊維強化樹脂層14aと隙間なく接着している。第6繊維強化樹脂層14cは、第2群の繊維強化樹脂層14のうち中心軸CAに対して最も外側に配置されている。
【0037】
第1群の繊維強化樹脂層13の第3繊維強化樹脂層13cと、第2群の繊維強化樹脂層14の第6繊維強化樹脂層14cとは、中心軸CAに対する径方向(第1管状部材11の厚さ方向)において剥離層15を挟むように配置されている。剥離層15は、第3繊維強化樹脂層13c及び第6繊維強化樹脂層14cの各々と固着していない。異なる観点から言えば、剥離層15と第3繊維強化樹脂層13cとの間、及び剥離層15と第6繊維強化樹脂層14cとの間には、非接着面が形成されている。
【0038】
第1群の繊維強化樹脂層13及び第2群の繊維強化樹脂層14は、複数の繊維と、複数の繊維に含浸されている樹脂とを含む。複数の繊維は、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、およびバルカン繊維からなる群から選択される少なくとも1つを含む。樹脂は、例えばエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、及びフェノール樹脂から成る群から選択される少なくとも1つを含む。第1群の繊維強化樹脂層13は、第2群の繊維強化樹脂層14と同等の構成を有していてもよいし、異なる構成を有していてもよい。
【0039】
第1管状部材11の延在方向Cに対して複数の繊維の各々の延在方向が成す角度は、例えば0度以上90度未満である。第1群の繊維強化樹脂層13及び第2群の繊維強化樹脂層14の各々において、積層方向に隣り合う2つの繊維強化樹脂層間で、繊維の延在方向は互いに交差していてもよい。例えば積層方向に隣り合う2つの繊維強化樹脂層間のうち一方の繊維強化樹脂層中の繊維の延在方向が第1管状部材11の延在方向に対して成す角度は0度であり、他方の繊維強化樹脂層の繊維の延在方向が第1管状部材11の延在方向に対して成す角度は30度であってもよい。複数の繊維強化樹脂層のうち上記積層方向において最も外側に配置されている繊維強化樹脂層(第1繊維強化樹脂層13a及び第4繊維強化樹脂層14a)中の繊維の延在方向が第1管状部材11の延在方向に対して成す角度は、それらと隣り合う繊維強化樹脂層(第2繊維強化樹脂層13b及び第5繊維強化樹脂層14b)中の繊維の延在方向が第1管状部材11の延在方向に対して成す角度よりも大きくてもよい。例えば前者の角度が30度であって、後者の角度が0度であってもよい。
【0040】
剥離層15を構成する材料の融点は、第1群の繊維強化樹脂層13及び第2群の繊維強化樹脂層14の各々に含まれる樹脂材料の融点よりも高い。
【0041】
剥離層15は、例えば少なくとも1つのフィルムにより構成されている。この場合、剥離層15を構成する材料は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリスチレン(PS)、アクリル樹脂(AC)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリエーテルサルフォン(PES)、アラミド、ポリイミド(PI)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリビニルアルコール(PVA)から成る群から選択される少なくとも1つを含む。なお、ポリプロピレンは、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)であってもよい。ポリスチレンは、二軸延伸ポリスチレン(OPS)であってもよい。
【0042】
剥離層15を構成する材料は、上記樹脂材料以外の他の成分として、離型剤をさらに含んでいてもよい。離型剤は、例えばオイル/シリコン系離型剤、ワックス系離型剤、界面活性剤、及びフッ素系離型剤からなる群から選択される少なくとも1つを含む。
【0043】
図3に示されるように、剥離層15は、例えば、複数の繊維強化樹脂層の積層方向(第1管状部材11の厚さ方向)において、複数の繊維強化樹脂層の中間位置MPから中空部11c側に複数の繊維強化樹脂層の積層方向の厚さTの20%の距離Lにある第1の位置FPと、中間位置MPから中空部11cとは反対側に当該20%の距離Lにある第2の位置SPとの間に存在する。複数の繊維強化樹脂層の中間位置MPは、第1繊維強化樹脂層13aの外周面と中空部11cに面する第4繊維強化樹脂層14aの内周面との間の中間位置である。図3に示される剥離層15は、中間位置MP上に配置されている。なお、剥離層15は、中心軸CAに対する径方向において第1の位置FPよりも中空部11c側に配置されていてもよい。また、剥離層15は、中心軸CAに対する径方向において第2の位置SPよりも中空部11cとは反対側に配置されていてもよい。
【0044】
剥離層15は、例えば第1管状部材11の延在方向Cの一端と他端との間に延在している。この場合、シャフト部2及びグリップ部3も、剥離層15を含む。この場合、シャフト部2及びグリップ部3が剥離層15を含まない場合と比べて、シャフト部2及びグリップ部3がしなりやすくなる。
【0045】
第2管状部材12は、例えば剥離層15を含まない。この場合、フェース部1においては第1管状部材11により構成されている部分のみが、剥離層15を含む。なお、第2管状部材12も、剥離層15を含んでいてもよい。剥離層15は、フェース部1の全周囲に配置されていてもよい。
【0046】
第1管状部材11は、例えば以下のようにして形成され得る。第1に、複数の繊維強化樹脂層に成形される複数のプリプレグシートと剥離層15に成形されるフィルムとの積層体が、準備され、芯材の周りに巻き回される。上記積層体が芯材の周りに巻き回されている状態において、剥離層15に成形されるフィルムの短手方向の一端は、剥離層15に成形されるフィルムの短手方向の他端と接続される。
【0047】
第2に、芯材の周りに巻き回された上記積層体が金型の内部において加熱された後、取り出される。上記積層体に対する加熱温度(成型温度)は、第1群の繊維強化樹脂層13及び第2群の繊維強化樹脂層14の各々に含まれる樹脂材料の硬化温度以上であって、剥離層15に含まれる樹脂材料の融点未満である。上記加熱は、例えば上記積層体をその積層方向に加圧しながら行われる。
【0048】
これにより、第1群の繊維強化樹脂層13及び第2群の繊維強化樹脂層14の各々において、積層方向に隣り合う2つの繊維強化樹脂層は互いに固着する。他方、剥離層15は第1群の繊維強化樹脂層13及び第2群の繊維強化樹脂層14の各々と固着しない。
【0049】
<ラケットフレーム101の効果>
ラケットフレーム101では、フェース部1が、第1群の繊維強化樹脂層13と第2群の繊維強化樹脂層14との間に挟まれている剥離層15を含む。
【0050】
第1群の繊維強化樹脂層13及び第2群の繊維強化樹脂層14の各々において、積層方向に隣り合う2つの繊維強化樹脂層は互いに固着する。そのため、打球時にフェース部1変形するときに、第1群の繊維強化樹脂層13及び第2群の繊維強化樹脂層14の各々はそれぞれ一体となって動く。他方、剥離層15は第1群の繊維強化樹脂層13及び第2群の繊維強化樹脂層14の各々と固着していない。そのため、打球時にフェース部1が変形するときに、剥離層15を挟む第1群の繊維強化樹脂層13及び第2群の繊維強化樹脂層14は互いに独立に動くことができる。この結果、フェース部1において剥離層15が配置されている部分の剛性はフェース部1において剥離層15が配置されていない部分の剛性よりも低くなる。
【0051】
他方、フェース部1において剥離層15が配置されている部分の複数の繊維強化樹脂層の合計厚さは、剥離層15を含まない点でのみ当該部分と相違する複数の繊維強化樹脂層の合計厚さよりも厚くなる。複数の繊維強化樹脂層の積層体において、剥離層15を含むことなく剛性を低くするには、合計厚さを低くする必要があるためである。その結果、前者の強度は、後者の強度よりも高くなる。
【0052】
つまり、ラケットフレーム101では、求められる強度を確保しながらも、剛性を低下させることができるため、反発性能、スピン性能、振動性能(打球感)が適切に設計され得る。
【0053】
ラケットフレーム101では、フェース部1を構成する第1管状部材11及び第2管状部材12のうち第1管状部材11のみが剥離層15を含む。上述のように第2管状部材12も剥離層15を含んでいてもよいが、フェース部1の剛性が低下し過ぎないように剥離層15を適切に配置する必要がある。
【0054】
ラケットフレーム101では、フェース部1のうち、少なくとも7時の位置P7と5時の位置P5との間に位置し12時の位置P12を含む部分が、第1管状部材11により構成されており、剥離層15を含む。そのため、ラケットフレーム101では、剥離層15を含まずその強度がラケットフレーム101と同等である比較例のラケットフレームと比べて、フェース部1の12時の位置P12、3時の位置P3、及び9時の位置P9にある各部分の潰れ方向の剛性が低くなる。
【0055】
ラケットフレーム101では、フェース部1の延在方向Cに直交する断面において、フェース部1が管形状を有しており、剥離層15はフェース部1の管形状の中心軸CAに対する周方向の全周に渡って配置されている。この場合、当該周方向における第1群の繊維強化樹脂層13の全体が当該周方向における第2群の繊維強化樹脂層14の全体とは独立に動くことができる。
【0056】
(実施の形態2)
実施の形態2に係るラケットフレーム102は、実施の形態1に係るラケットフレーム101と基本的に同様の構成を備え同様の効果を奏するが、図4に示されるように剥離層15がフェース部1の中心軸CAに対する周方向において部分的に配置されている点で、ラケットフレーム101とは異なる。以下では、ラケットフレーム102がラケットフレーム101とは異なる点を主に説明する。
【0057】
図4に示されるように、剥離層15は、例えば、第1管状部材11の延在方向Cに直交する断面において、潰れ方向の内側(内周面11a側)にのみ配置されている。第1管状部材11において剥離層15が配置されている部分は、図3に示される積層構造を有している。
【0058】
他方、図5に示されるように、第1管状部材11において剥離層15が配置されていない部分では、第1群の繊維強化樹脂層13が第2群の繊維強化樹脂層14と固着している。第1群の繊維強化樹脂層13の第3繊維強化樹脂層13cは、第2群の繊維強化樹脂層14の第6繊維強化樹脂層14cと隙間なく接着している。
【0059】
実施の形態2に係る第1管状部材11は、実施の形態1に係る第1管状部材11と基本的に同様により形成され得る。図6に示されるように、実施の形態2においては、剥離層15に成形されるフィルムとして、その短手方向の長さW2が複数の繊維強化樹脂層に成形される複数のプリプレグシート23,24の短手方向の長さW1よりも短いフィルム25が用いられる。フィルム25の短手方向の長さW2は、芯材20の周方向の長さよりも短い。なお、図6では、説明の便宜上、プリプレグシートを破線で示している。
【0060】
<変形例>
ラケットフレーム102において、剥離層15は、例えば、フェース部1の延在方向に直交する断面において、外周面11bにのみ配置されていてもよい。
【0061】
ラケットフレーム102のフェース部1は、フェース部1の中心軸CAに対する周方向において互いに間隔を空けて配置されている複数の剥離層15を含んでいてもよい。例えば、図7に示されるように、剥離層15は、例えば、第1管状部材11の延在方向Cに直交する断面において、潰れ方向の内側(内周面11a側)及び外側(外周面11b側)にのみ配置されている。複数の剥離層15の各々は、例えば、上記積層方向において上記第1の位置FPと上記第2の位置SPとの間に存在する。複数の剥離層15の積層方向における位置は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。複数の剥離層15の各々は、それぞれ共通する2つの繊維強化樹脂層間に挟まれていてもよいし、異なる2つの繊維強化樹脂層間に挟まれていてもよい。
【0062】
(実施の形態3)
実施の形態3に係るラケットフレーム103は、実施の形態1に係るラケットフレーム101と基本的に同様の構成を備え同様の効果を奏するが、図8に示されるように剥離層15がフェース部1の中心軸CAに対する径方向において間隔を空けてかつ部分的に重なるように配置されている重畳領域15cを有している点で、ラケットフレーム101とは異なる。以下では、ラケットフレーム103がラケットフレーム101とは異なる点を主に説明する。
【0063】
図8に示されるように、剥離層15は、中心軸CAに対する周方向の一端15a及び他端15bを有している。一端15aは、他端15bと接していない。一端15aは、中心軸CAに対する径方向において他端15bよりも外側に配置されている。一端15aは、中心軸CAに対する周方向において他端15bと間隔を空けて配置されている。上記周方向において他端15bに連なる剥離層15の一部分が、上記周方向において一端15aに連なる剥離層15の一部分と上記径方向において間隔を空けてかつ重なるように配置されている。一端15aに連なる剥離層15の一部分(以下、第1重畳部分15c1とも記載する)及び他端15bに連なる剥離層15の一部分(以下、第2重畳部分15c2とも記載する)が、重畳領域15cを成している。上記周方向における重畳領域15cの位置は、例えば中心軸CAに対して内周面11a側に配置されている。なお、上記周方向における重畳領域15cの位置は、例えば中心軸CAに対して外周面11b側に配置されていてもよい。
【0064】
図9に示されるように、第1重畳部分15c1は、外側の管状部分11oとしての第1繊維強化樹脂層13aと第4繊維強化樹脂層14aとの間に挟まれている。第2重畳部分15c2は、第2繊維強化樹脂層13bと内側の管状部分11iとしての第5繊維強化樹脂層14bとの間に挟まれている。第1重畳部分15c1と第2重畳部分15c2との間には、第3群の繊維強化樹脂層16が配置されている。第3群の繊維強化樹脂層16は、上記積層方向において第1重畳部分15c1と隣り合う第4繊維強化樹脂層14aと、上記積層方向において第2重畳部分15c2と隣り合う第2繊維強化樹脂層13bとが隙間なく積層して固着したものである。
【0065】
実施の形態3に係る第1管状部材11は、実施の形態1に係る第1管状部材11と基本的に同様により形成され得る。図10に示されるように、実施の形態3においては、剥離層15に成形されるフィルムとして、その短手方向の長さW2が芯材20の周方向の長さよりも長いフィルム25が用いられる。
【0066】
ラケットフレーム103では、打球時にフェース部1が変形するときに、剥離層15の第1重畳部分15c1を挟む第1群の繊維強化樹脂層13及び第3群の繊維強化樹脂層16が互いに独立に動くことができるとともに、剥離層15の第2重畳部分15c2を挟む第3群の繊維強化樹脂層16及び第2群の繊維強化樹脂層14が互いに独立に動くことができる。この結果、ラケットフレーム103では、フェース部1において剥離層15の重畳領域15cが配置されている部分の剛性はフェース部1において剥離層15は配置されているがその重畳領域15cが配置されていない部分の剛性よりもさらに低くなる。
【0067】
<変形例>
ラケットフレーム103は、剥離層15が重畳領域15cを有している点を除き、ラケットフレーム102と同様の構成を備えていてもよい。言い換えると、ラケットフレーム103において、剥離層15は、フェース部1の中心軸CAに対する周方向において部分的に配置されていてもよい。例えば、剥離層15は、中心軸CAに対して内周面11a側のみに配置されており、かつ中心軸CAに対して内周面11a側において重畳領域15cを有していてもよい。
【0068】
(実施の形態4)
実施の形態4に係るラケットフレーム104は、実施の形態1に係るラケットフレーム101と基本的に同様の構成を備え同様の効果を奏するが、図11に示されるように剥離層15が第1管状部材11の厚さ方向に積層された第1層15d(外側層)及び第2層15e(内側層)を含み、第1層15dと第2層15eとの間に非接着面が形成されている点で、ラケットフレーム101とは異なる。以下では、ラケットフレーム104がラケットフレーム101とは異なる点を主に説明する。
【0069】
第1層15dは、第1群の繊維強化樹脂層13と第2層15eとの間に配置されている。第2層15eは、第1層15dと第2群の繊維強化樹脂層14との間に配置されている。第1層15dと第1群の繊維強化樹脂層13との間、及び第2層15eと第2群の繊維強化樹脂層14との間に、非接着面が形成されている。第1層15dと第2層15eとの間にも、非接着面が形成されている。
【0070】
言い換えると、第1層15dは、第1群の繊維強化樹脂層13とも第2層15eとも固着していない。第2層15eは、第2群の繊維強化樹脂層14とも第1層15dとも固着していない。
【0071】
実施の形態4に係る第1管状部材11は、実施の形態1に係る第1管状部材11と基本的に同様により形成され得る。
【0072】
ラケットフレーム104では、打球時にフェース部1が変形するときに、第1群の繊維強化樹脂層13が第1層15dに対して独立に動くことができ、第2群の繊維強化樹脂層14が第2層15eに対して独立に動くことができるとともに、第1層15d及び第2層15eが互いに独立に動くことが出来る。
【0073】
<変形例>
ラケットフレーム104は、剥離層15が第1層15d及び第2層15eを有している点を除き、ラケットフレーム102又はラケットフレーム103と同様の構成を備えていてもよい。言い換えると、ラケットフレーム104において、剥離層15の第1層15d及び第2層15eは、フェース部1の中心軸CAに対する周方向において部分的に配置されていてもよい。また、ラケットフレーム104において、剥離層15は、重畳領域15cを有していてもよい。
【0074】
(実施の形態5)
実施の形態5に係るラケットフレーム105は、実施の形態1に係るラケットフレーム101と基本的に同様の構成を備え同様の効果を奏するが、図12に示されるように平面視において2時の位置P2にあるフェース部1の一部分(第3部分)が剥離層15を含まない点で、ラケットフレーム101とは異なる。以下では、ラケットフレーム105がラケットフレーム101とは異なる点を主に説明する。
【0075】
図12に示されるように、ラケットフレーム105では、フェース部1のうち、12時の位置P12にある第1端部1aを含む部分(第1部分)、3時の位置P3にある部分(第2部分)、及び9時の位置P9にある部分が、剥離層15を含む。
【0076】
剥離層15は、例えば、第1管状部材11の延在方向において互いに間隔を空けて配置されている第1剥離層151、第2剥離層152、及び第3剥離層153を有する。第1剥離層151は、12時の位置P12を通り11時の位置P11と1時の位置P1との間に配置されている。第2剥離層152は、3時の位置P3を通り2時の位置P2と4時の位置P4との間に配置されている。第3剥離層153は、9時の位置P9を通り8時の位置P8と10時の位置P10との間に配置されている。
【0077】
図12及び図13に示されるように、フェース部1のうち2時の位置P2にある部分(第3部分)及び10時の位置P10にある部分は、剥離層15を含まない。例えば、フェース部1のうち、1時の位置P1と2時の位置P2との間にある部分、4時の位置P4と5時の位置P5との間にある部分、7時の位置P7と8時の位置P8との間に位置する部分、及び10時の位置P10と11時の位置P11との間に位置する部分は、剥離層15を含まない。
【0078】
ラケットフレーム105の第1管状部材11の延在方向Cに直交する断面構造は、剥離層15の有無を除けば、フェース部1の各位置において同等である。第1管状部材11において、複数の繊維強化樹脂層の積層数は、フェース部1の各位置において同等である。フェース部1のうち12時の位置にある部分(第1部分)、3時の位置P3にある部分(第2部分)、及び2時の位置P2にある部分(第3部分)に含まれる複数の繊維強化樹脂層は、第1部分、第2部分、及び第3部分において連なっている繊維を含む。好ましくは、第1管状部材11は、その一端から他端まで連なる繊維を含む。なお、フェース部1の第1部分、第2部分、及び第3部分に含まれる複数の繊維強化樹脂層は、各部分において連なっていない繊維をさらに含んでいてもよい。例えば、第1管状部材11は、第1部分、第2部分、及び第3部分に連なる繊維と、第1部分にのみに配置されている繊維とを含んでいてもよい。
【0079】
実施の形態5に係る第1管状部材11は、実施の形態1に係る第1管状部材11と基本的に同様により形成され得る。図14に示されるように、実施の形態5においては、剥離層15に成形されるフィルムとして、一方向(例えば長手方向)の長さが第1管状部材11のうちフェース部1に成形される部分の延在方向の長さよりも短い複数のフィルム25が用いられる。複数のフィルム25は、第1管状部材11の延在方向Cにおいて互いに間隔を空けて配置されて、芯材20の周りに複数のプリプレグシート23,24とともに巻き回される。
【0080】
ラケットフレーム105では、平面視において2時の位置P2にあるフェース部1の一部分(第3部分)が剥離層15を含まない。ラケットフレーム105の反発性能を向上する観点で、フェース部1のうち12時の位置、3時の位置、及び9時の位置にある各部分の潰れ方向の剛性は低い方が好ましい。このようにすれば、ラケットフレーム105は、第1方向A、並びに第1方向A及び第2方向Bと直交する方向(横方向)に弾性変形しやすくなるため、打球時の反発性能が高くなる。他方、フェース部1の2時の位置P2にある部分の潰れ方向の剛性は、フェース部1の12時の位置、3時の位置、及び9時の位置にある各部分の潰れ方向の剛性ほど、ラケットフレーム105の反発性能の向上に寄与しない。他方、ラケットフレーム105では、フェース部1の2時の位置P2にある部分が剥離層15を含んでいないため、ラケットフレーム101と比べて、当該部分の剛性が高く、結果として強度が高くなる。
【0081】
つまり、ラケットフレーム105では、ラケットフレーム101と同等の反発性能が実現されながらも、ラケットフレーム101よりも強度が高くなり得る。
【0082】
また、剥離層15を含まずに、第1管状部材11の延在方向Cにおいて相対的に高剛性の部分と低剛性の部分とを実現する手法として、第1管状部材の延在方向の各部分の繊維強化樹脂層の積層構造を変化させ、多数の繊維強化樹脂層が積層している厚肉部分と少数の繊維強化樹脂層が積層している薄肉部分とを形成する手法が考えられる。ただし、この手法では、第1管状部材は第1部分、第2部分及び第3部分の各々において連なる繊維を含まない(異なる観点から言えば、第1管状部材の一端から他端まで連なる繊維を含まない)ことになり、意図しない剛性及び強度の変化が生じるおそれがある。これに対し、ラケットフレーム105では、第1管状部材11は第1部分、第2部分及び第3部分の各々において連なる繊維を含むため、意図しない剛性及び強度の変化が生じにくい。ラケットフレーム105において、第1管状部材11がその一端から他端まで連なる繊維を含んでいれば、意図しない剛性及び強度の変化がさらに生じにくい。
【0083】
<変形例>
ラケットフレーム105は、2時の位置P2にあるフェース部1の一部分(第3部分)が剥離層15を含まない点を除き、ラケットフレーム102、ラケットフレーム103、又はラケットフレーム104と同様の構成を備えていてもよい。
【0084】
(実施の形態6)
実施の形態6に係るラケットフレーム106は、実施の形態1に係るラケットフレーム101と基本的に同様の構成を備え同様の効果を奏するが、図15及び図16に示されるように複数の繊維強化樹脂層の積層方向に剥離層15を貫通する貫通孔15fが剥離層15に形成されている点で、ラケットフレーム101とは異なる。以下では、ラケットフレーム106がラケットフレーム101とは異なる点を主に説明する。
【0085】
剥離層15には、例えば複数の貫通孔15fが形成されている。複数の貫通孔15fは、第1管状部材11の延在方向Cにおいて互いに間隔を空けて配置されている。なお、剥離層15には、少なくとも1つの貫通孔15fが形成されていればよい。貫通孔15fの内部には、樹脂が充填されている。第3繊維強化樹脂層13cは、貫通孔15fの内部において第6繊維強化樹脂層14cと固着している。
【0086】
実施の形態6に係る第1管状部材11は、実施の形態1に係る第1管状部材11と基本的に同様により形成され得る。実施の形態6においては、剥離層15に成形されるフィルムとして、貫通孔が形成されているフィルムが用いられる。当該フィルムと複数のプリプレグシートとの積層体が加圧加熱されることにより、フィルムを挟む2つのプリプレグシートに含まれる樹脂がそれぞれ貫通孔内に流入し、互いに隙間なく接着する。
【0087】
ラケットフレーム106の第1管状部材11において、剥離層15に貫通孔15fが形成されている部分の剛性は、剥離層15に貫通孔15fが形成されていない部分の剛性よりも高くなる。これは、貫通孔15f内において第3繊維強化樹脂層13cが第6繊維強化樹脂層14cと隙間なく接着するためである。そのため、ラケットフレーム106では、ラケットフレーム101と比べて、剛性が高い部分が設計され得る。
【0088】
また、貫通孔15f内に形成される第3繊維強化樹脂層13cと第6繊維強化樹脂層14cとの接着部分は、剥離層15を含まずに第3繊維強化樹脂層13cと第6繊維強化樹脂層14cとが直接接着している部分と比べて、剥離しやすい。例えば、貫通孔15f内に形成される第3繊維強化樹脂層13cと第6繊維強化樹脂層14cとの接着部分は、繰り返し打球されることにより、徐々に剥離していく。その結果、ラケットフレーム106では、当該接着部分の剛性を徐々に低下させることができる。
【0089】
<変形例>
ラケットフレーム106は、貫通孔15fが剥離層15に形成されている点を除き、ラケットフレーム102、ラケットフレーム103、ラケットフレーム104、又はラケットフレーム105と同様の構成を備えていてもよい。
【0090】
また、ラケットフレーム106では、第1管状部材11の延在方向Cの位置に応じて、貫通孔15fの開口面積の総和が異なっていてもよい。例えば、平面視において2時の位置P2にあるフェース部1の一部分に含まれる剥離層15に形成されている貫通孔15fの開口面積の総和が、12時の位置P12及び3時の位置P3にあるフェース部1の各一部分に含まれる剥離層15に形成されている貫通孔15fの開口面積の総和よりも大きくてもよい。
【0091】
(実施の形態7)
実施の形態7に係るラケットフレーム107は、実施の形態1に係るラケットフレーム101と基本的に同様の構成を備え同様の効果を奏するが、第1管状部材11の外側の管状部分11o及び内側の管状部分11iの一方が金属層を含み、剥離層15が金属層に面している点で、ラケットフレーム101とは異なる。以下では、ラケットフレーム107がラケットフレーム101とは異なる点を主に説明する。
【0092】
図17に示されるラケットフレーム107では、第1管状部材11の外側の管状部分11oが、第1金属層17により構成されている。第1金属層17は、第1管状部材11の厚さ方向において剥離層15よりも外側に配置されている。非接着面は、第1金属層17と剥離層15の間及び第2群の繊維強化樹脂層14の第6繊維強化樹脂層14cとの間のそれぞれに形成されている。
【0093】
第1金属層17を構成する材料は、任意の金属材料であればよいが、例えばアルミニウム(Al)を含む。
【0094】
ラケットフレーム107では、第1管状部材11の内側の管状部分11iが金属層により構成されていてもよい。ラケットフレーム107では、第1管状部材11の外側の管状部分11o及び内側の管状部分11iの一方が金属層を含み、非接着面が金属層と剥離層との間及び樹脂層と剥離層との間の少なくとも一方に形成されている点を除き、ラケットフレーム102~ラケットフレーム106のいずれかと同様の構成を備えていてもよい。
【0095】
ラケットフレーム107において、第1管状部材11の外側の管状部分11oは、第1管状部材11の厚さ方向において第1金属層17よりも外側に配置されている樹脂層をさらに含んでいてもよい。第1管状部材11の内側の管状部分11iは、第1管状部材11の厚さ方向において第2群の繊維強化樹脂層14よりも内側に配置されている第2金属層をさらに含んでいてもよい。
【0096】
(実施の形態8)
実施の形態8に係るラケットフレーム108は、実施の形態1に係るラケットフレーム101と基本的に同様の構成を備え同様の効果を奏するが、第1管状部材11の外側の管状部分11o及び内側の管状部分11iの各々が金属層を含み、剥離層15が外側の管状部分11o及び内側の管状部分11iの各々の金属層に面している点で、ラケットフレーム101とは異なる。以下では、ラケットフレーム108がラケットフレーム101とは異なる点を主に説明する。
【0097】
図18に示されるラケットフレーム108では、第1管状部材11の外側の管状部分11oが第1金属層17により構成されており、内側の管状部分11iが第2金属層18により構成されている。第1管状部材11は、第1金属層17と、第2金属層18と、第1金属層17と第2金属層18との間に挟まれている剥離層19とを含む。非接着面は、第1金属層17と剥離層19との間及び第2金属層18と剥離層19との間のそれぞれに形成されている。
【0098】
剥離層19は、例えば中空層である。この場合、剥離層19は、空気等の気体により構成されている。なお、剥離層19の一部が中空層であり、残部が中実層であってもよい。剥離層19の全部が中実層であってもよい。剥離層19を構成する材料は、第1金属層17及び第2金属層18の各々と接着しない材料であればよく、剥離層15を構成する材料と同じであってもよい。
【0099】
ラケットフレーム108は、第1管状部材11の外側の管状部分11o及び内側の管状部分11iの各々が金属層を含む点を除き、ラケットフレーム102~ラケットフレーム106のいずれかと同様の構成を備えていてもよい。
【0100】
ラケットフレーム108において、第1管状部材11の外側の管状部分11oは、第1金属層17を囲んでいる樹脂層をさらに含んでいてもよい。第1管状部材11の内側の管状部分11iは、第2金属層18に囲まれており中空部11cに面する樹脂層をさらに含んでいてもよい。
【0101】
(実施の形態9)
実施の形態1~8に係る各ラケットフレーム101~108は、それぞれのフェース部1にストリング4が張られることにより、ラケットとなる。
【0102】
図19に示されるように、ラケット110は、例えば、ラケットフレーム101と、ラケットフレーム101のフェース部1にはられているストリング4とを備える。なお、ラケット110は、ラケットフレーム101に代えて、ラケットフレーム102、ラケットフレーム103、ラケットフレーム104、ラケットフレーム105、ラケットフレーム106、ラケットフレーム107、又はラケットフレーム108を備えていてもよい。なお、上述のように、ラケット110がラケットフレーム101を備える場合、図20に示されるように、シャフト部2を構成する第1管状部材11も剥離層15を含む。
【0103】
ラケット110は、ラケットフレーム101~108のいずれかを備えるため、ラケットフレーム101~108の上記効果を奏する。
【0104】
(実施例1)
本発明者らは、以下に示す試料1~4に係るラケットフレームついて、潰れ剛性と圧縮強度との関係を評価した。
【0105】
試料1は、ラケットフレーム101とした。試料2~4は、いずれも剥離層を含まず、潰れ剛性を低くするために複数の繊維強化樹脂層の合計厚さ及び繊維の配向角度を調整したものとした。
【0106】
図21に示されるように、試料1~4に係る各ラケットフレームを、第1方向が上下方向となるように配置した状態で、グリップ部に対してフェース部側に向かう方向(図21中の矢印の方向)に荷重を加え、生じた変位に基づいて、各試料の圧縮強度を評価した。さらに、試料1~4に係る各ラケットフレームの12時の位置にあるフェース部の一部分の外周面OUS及び内周面INSのそれぞれに対し管状部材の中心軸に向かう方向(図22中の矢印の方向)に荷重を加え、生じた変位に基づいて、各試料の潰れ剛性を評価した。結果を表1に示す。
【0107】
【表1】
【0108】
表1に示されるように、剥離層を含まない試料2~4では、強度が高いほど、潰れ剛性が高くなる傾向が確認された。他方、試料1の潰れ剛性は、試料2~4よりも低いが、試料1の強度は試料2,3よりも高かった。本実施例から、ラケットフレーム101~106では、強度が確保されながらも、潰れ剛性が低く高い反発性能が実現され得ることが確認された。
【0109】
(実施例2)
本発明者らは、ラケットフレームに折り曲げられる前の直線状に延びている管状部材を試験片として、潰れ剛性と曲げ破壊強度との関係を評価した。試験片1は、上記試料1のラケットフレームの第1管状部材11と同等の管状部材とした。試験片2は、上記試料2のラケットフレームの管状部材と同等の管状部材とした。
【0110】
試験片3は、ラケットフレーム102の第1管状部材11とした。試験片4は、ラケットフレーム102の変形例に対応し、剥離層15が第1管状部材11の延在方向Cに直交する断面において外周面11b側にのみ配置されている第1管状部材11とした。
【0111】
試験片5は、ラケットフレーム101の変形例に対応し、剥離層15が中心軸CAに対する径方向において第1の位置FPよりも中空部11c側(内側)に配置されている第1管状部材11とした。試験片6は、ラケットフレーム101の変形例に対応し、剥離層15が中心軸CAに対する径方向において第1の位置FPよりも中空部11cとは反対側(外側)に配置されている第1管状部材11とした。
【0112】
上記試験片1~6に係る各管状部材に対し、実施例1と同様に潰れ剛性を評価した。さらに、上記試験片1~6に係る各管状部材に対し、3点曲げ試験を行った。3点曲げ試験では、各管状部材の外周面OUSと内周面INSとが上下方向に対向し、かつ各管状部材の2点が水平面上に支持された状態において、2点間の中心に位置する部分に上方から下方に荷重を加え、各管状部材が曲げ破壊に至った最大荷重に基づいて、3点曲げ破壊強度を評価した。
【0113】
評価の結果、試験片1,3~6の各々の3点曲げ破壊強度は、試験片2と同等であった。他方、試験片1,3~6の各々の潰れ剛性は、試験片2の潰れ剛性よりも十分に低く、試験片2の潰れ剛性に対して70%未満であった。また、試験片5の潰れ剛性は、試験片6の潰れ剛性よりも低かった。この理由は、以下のように推測される。まず、剥離層15が第1管状部材11の中心軸CAに対する径方向において内側に配置されているほど、上記径方向において剥離層15よりも内側に位置する複数の繊維強化樹脂層の最大径が小さくなり、上記径方向において剥離層15よりも内側に位置する複数の繊維強化樹脂層が柔らかくなる。そうすると、剥離層15が第1管状部材11の中心軸CAに対する径方向において内側に配置されているほど、複数の繊維強化樹脂層において硬い部分が他の部分に対して独立して動きやすくなり、結果として潰れ剛性が低くなる。
【0114】
(実施例3)
本発明者らは、上記試料1と、試料5に係るラケットフレームについて、潰れ剛性とバネ定数とを評価した。試料5は、ラケットフレーム105とした。
【0115】
上記試料1及び5の12時の位置にあるフェース部の一部分の潰れ剛性を、実施例1における潰れ剛性の評価方法と同様の方法により評価した。また、上記試料1及び5の、2時の位置、3時の位置、及び4時の位置にあるフェース部1の各部分の潰れ剛性を、各部分の内周面11a及び外周面11bのそれぞれに対し第1管状部材11の中心軸CAに向かう方向に荷重を加えたときに生じた変位に基づいて、評価した。
【0116】
さらに、上記試料1及び5の縦バネ定数を、実施例1における圧縮強度の評価方法と同様の方法により評価した。また、上記試料1及び5に係る各ラケットフレームの横バネ定数を、評価した。具体的には、図23に示されるように、上記試料1及び5に係る各ラケットフレームに対し、打球面が上下方向に沿うとともに、第1方向が水平方向となるように配置した状態で、フェース部1の3時の位置にある部分に対し9時の位置にある部分に向かう方向に荷重を加え、各部分に生じた変位に基づいて、各試料の横バネ定数を評価した。
【0117】
評価の結果、試料1及び試料5の各々の縦バネ定数及び横バネ定数は同等であるが、他方、試料5においてフェース部1の2時の位置P2にある部分の潰れ剛性は試料1においてフェース部1の2時の位置P2にある部分の潰れ剛性よりも高いことが確認された。つまり、試料5は、試料1よりもさらに高強度であることが確認された。
【0118】
[付記1]平面視において環状であるフェース部と、グリップ部と、前記フェース部と前記グリップ部との間を接続しているシャフト部とを備え、前記フェース部、前記グリップ部、及び前記シャフト部の少なくとも一部は、管状部材を含み、前記管状部材の延在方向に直交する断面において、前記管状部材は、内側の管状部分と、前記内側の管状部分を囲む外側の管状部分と、前記内側の管状部分と前記外側の管状部分との間に挟まれている剥離層とを有する、ラケットフレーム。
[付記2] 前記フェース部の延在方向において、前記フェース部の一部のみが、前記剥離層を含む、付記1に記載のラケットフレーム。
[付記3] 前記平面視において前記グリップ部から最も離れた前記フェース部の第1部分の位置を12時の位置としたときに、前記フェース部の前記第1部分及び3時の位置にある第2部分が前記剥離層を含み、前記フェース部のうち2時の位置にある第3部分が前記剥離層を含まない、付記2に記載のラケットフレーム。
[付記4] 前記フェース部の延在方向の全部が、前記剥離層を含む、付記1~3のいずれか1つに記載のラケットフレーム。
[付記5] 前記フェース部の延在方向に直交する断面において、前記剥離層は前記管状部材の周方向に部分的に配置されている、付記1~4のいずれか1つに記載のラケットフレーム。
[付記6] 前記フェース部の延在方向に直交する断面において、前記剥離層は前記管状部材の周方向の全周に渡って配置されている、付記1~4のいずれか1つに記載のラケットフレーム。
[付記7] 前記剥離層は、前記管状部材の厚さ方向において、前記管状部材の中間位置から内側に前記管状部材の厚さの20%の距離にある第1の位置と、前記中間位置から外側に前記20%の距離にある第2の位置との間に存在する、付記1~6のいずれか1つに記載のラケットフレーム。
[付記8] 前記剥離層には、前記管状部材の厚さ方向に前記剥離層を貫通する貫通孔が形成されている、付記1~7のいずれか1つに記載のラケットフレーム。
[付記9] 前記剥離層は、前記管状部材の厚さ方向に積層された内側層及び外側層を含み、前記内側層と前記外側層とは互いに接着されていない、付記1~8のいずれか1つに記載のラケットフレーム。
[付記10] 前記内側の管状部分及び前記外側の管状部分の各々は、樹脂層を含み、前記剥離層は、前記内側の管状部分の前記樹脂層及び前記外側の管状部分の前記樹脂層の各々に面している、付記1~9のいずれか1項に記載のラケットフレーム。
[付記11] 前記内側の管状部分及び前記外側の管状部分の少なくとも一方は、繊維強化樹脂層であり、前記第1部分、前記第2部分、及び前記第3部分に含まれる前記繊維強化樹脂層は、互いに連なる繊維を含む、付記3に記載のラケットフレーム。
[付記12] 前記剥離層を構成する材料の融点は、前記樹脂層の成型温度よりも高い、付記10又は11に記載のラケットフレーム。
[付記13] 前記内側の管状部分及び前記外側の管状部分の少なくとも一方は、金属層を含み、前記剥離層は、前記金属層に面している、付記1~12のいずれか1つに記載のラケットフレーム。
[付記14] 付記1~13のいずれか1つに記載のラケットフレームと、前記フェース部に張られているストリングとを備える、ラケット。
【0119】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0120】
1 フェース部、1a 第1端部、1b 第2端部、2 シャフト部、2A 第1の分岐部材、2B 第2の分岐部材、3 グリップ部、3A グリップ部材、3B グリップ、4 ストリング、11 第1管状部材、11a 内周面、11b 外周面、11c 中空部、11i 内側の管状部分、11o 外側の管状部分、12 第2管状部材、13 第1群の繊維強化樹脂層、14 第2群の繊維強化樹脂層、13a 第1繊維強化樹脂層、13b 第2繊維強化樹脂層、13c 第3繊維強化樹脂層、14a 第4繊維強化樹脂層、14b 第5繊維強化樹脂層、14c 第6繊維強化樹脂層、15 剥離層、15a 一端、15b 他端、15c,15c1,15c2 重畳領域、15d 第1層、15e 第2層、15f 貫通孔、16 第3群の繊維強化樹脂層、17 第1金属層、18 第2金属層、19 剥離層、20 芯材、23,24 プリプレグシート、25 フィルム、101,102,103,104,105,106 ラケットフレーム、110 ラケット、151 第1剥離層、152 第2剥離層、153 第3剥離層。
【要約】
【課題】十分な強度を有しながらも、ラケットフレームの反発性能が適切に設計され得るラケットフレーム及びラケットを提供する。
【解決手段】ラケットフレーム101は、平面視において環状であるフェース部と、グリップ部と、フェース部とグリップ部との間を接続しているシャフト部とを備える。フェース部、グリップ部、及びシャフト部の少なくとも一部は、第1管状部材11を含む。第1管状部材11は、内側の管状部分11iと、内側の管状部分11iを囲む外側の管状部分11oと、内側の管状部分11iと外側の管状部分11oとの間に挟まれている剥離層15とを有する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
図9
図10
図11
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図23