(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】テープ部材及び電子機器
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20231110BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20231110BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20231110BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
C09J7/38
G06F1/16 312E
G06F1/16 312F
G06F1/16 312L
H05K5/02 D
G09F9/00 350Z
(21)【出願番号】P 2022160036
(22)【出願日】2022-10-04
【審査請求日】2022-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 爽
(72)【発明者】
【氏名】細矢 暁史
(72)【発明者】
【氏名】山内 武仁
(72)【発明者】
【氏名】石川 圭太
【審査官】牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/067324(WO,A1)
【文献】特開2002-69398(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0059520(US,A1)
【文献】特開2022-74877(JP,A)
【文献】特許第7320650(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J7/
G06F1/16
H05K5/02
G09F9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ部材であって、
引張剥離可能な特性を有する両面粘着テープと、
前記両面粘着テープに連結され、前記両面粘着テープを引張剥離する際に把持するシート状の持ち手部材と、
を備え、
前記持ち手部材は、前記両面粘着テープに対してその長手方向に交差する方向に沿って巻き付けられている
ことを特徴とするテープ部材。
【請求項2】
請求項1に記載のテープ部材であって、
前記両面粘着テープは、その長手方向に沿う一対の側縁部のうちの少なくとも一方の側縁部を切り欠いたように形成された凹状部を有し、
前記持ち手部材は、前記凹状部を通して前記両面粘着テープに巻き付けられている
ことを特徴とするテープ部材。
【請求項3】
請求項2に記載のテープ部材であって、
前記両面粘着テープは、前記一対の側縁部のそれぞれに前記凹状部が背合わせに形成されることで、その長手方向の一部がくびれたダンベル形状部を有し、
前記持ち手部材は、前記ダンベル形状部に巻き付けられている
ことを特徴とするテープ部材。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のテープ部材であって、
前記持ち手部材は、一面に粘着層を有し、
前記持ち手部材は、前記粘着層が前記両面粘着テープを包み込むように巻き付けられ、前記粘着層同士が互いに貼り合わされたリング状の巻付け端部を有する
ことを特徴とするテープ部材。
【請求項5】
電子機器であって、
内面を有する筐体部材と、
表示面を有し、前記表示面とは反対側の裏面が前記筐体部材の内面で支持されたディスプレイパネルと、
引張剥離可能な特性を有する両面粘着テープと、前記両面粘着テープに連結され、前記両面粘着テープを引張剥離する際に把持するシート状の持ち手部材と、を有し、前記ディスプレイパネルの裏面を前記筐体部材の内面に固定するテープ部材と、
を備え、
前記持ち手部材は、前記両面粘着テープに対してその長手方向に交差する方向に沿って巻き付けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項5に記載の電子機器であって、
前記両面粘着テープは、その長手方向に沿う一対の側縁部のうちの少なくとも一方の側縁部を切り欠いたように形成された凹状部を有し、
前記持ち手部材は、前記凹状部を通して前記両面粘着テープに巻き付けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の電子機器であって、
前記両面粘着テープと前記持ち手部材との連結部は、前記ディスプレイパネルの裏面と前記筐体部材の内面との間に挟まれた位置に配置され、
前記持ち手部材は、前記連結部側とは逆側の端部が前記ディスプレイパネルの側方に張り出している
ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項7に記載の電子機器であって、
前記ディスプレイパネルは、横長の矩形形状を有し、
前記両面粘着テープは、前記ディスプレイパネルの長手方向に沿って延在し、
前記持ち手部材は、前記両面粘着テープの延在方向と交差する方向に延在し、前記ディスプレイパネルの長手方向に沿う縁部から側方に張り出している
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ部材及び該テープ部材でディスプレイパネルを固定した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型PCのような電子機器は、液晶ディスプレイ等のディスプレイパネルを備える。ディスプレイパネルは、メンテナンス時に取り外しできることが望ましい。そこで、特許文献1には、引張剥離可能な両面粘着テープを用いてディスプレイパネルを固定した構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようにディスプレイパネルを両面粘着テープで固定した構成では、引張剥離時に把持するための持ち手をディスプレイパネルの側方に張り出させておく必要がある。ところが、筐体の構造等によっては、両面粘着テープによるディスプレイパネルの固定位置の近くに持ち手を配置できない場合もある。
【0005】
このような場合、両面粘着テープの端部にシート状の持ち手部材を連結し、この持ち手部材をディスプレイパネルの側方まで延長することが行われることがある。ところが、両面粘着テープに持ち手部材を連結した構成では、例えば両面粘着テープの引張距離が長い場合等に持ち手部材が両面粘着テープから外れる場合があることが分かってきた。剥離途中で両面粘着テープから持ち手部材が外れると、ディスプレイパネルの裏側に両面粘着テープが残留し、ディスプレイパネルの取り外しが困難になる懸念がある。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、両面粘着テープから持ち手部材が外れることを抑制できるテープ部材及び該テープ部材でディスプレイパネルを固定した電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係るテープ部材は、引張剥離可能な特性を有する両面粘着テープと、前記両面粘着テープに連結され、前記両面粘着テープを引張剥離する際に把持するシート状の持ち手部材と、を備え、前記持ち手部材は、前記両面粘着テープに対してその長手方向に交差する方向に沿って巻き付けられている。
【0008】
本発明の第2態様に係る電子機器は、内面を有する筐体部材と、表示面を有し、前記表示面とは反対側の裏面が前記筐体部材の内面で支持されたディスプレイパネルと、引張剥離可能な特性を有する両面粘着テープと、前記両面粘着テープに連結され、前記両面粘着テープを引張剥離する際に把持するシート状の持ち手部材と、を有し、前記ディスプレイパネルの裏面を前記筐体部材の内面に固定するテープ部材と、を備え、前記持ち手部材は、前記両面粘着テープに対してその長手方向に交差する方向に沿って巻き付けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記態様によれば、両面粘着テープから持ち手部材が外れることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電子機器を上から見下ろした模式的な平面図である。
【
図3】
図3は、テープ部材を用いてディスプレイパネルをカバー部材に固定した構成を模式的に示す側面断面図である。
【
図4】
図4は、両面粘着テープと持ち手部材との連結部及びその周辺部を拡大した模式的な斜視図である。
【
図5A】
図5Aは、両面粘着テープと持ち手部材との連結部及びその周辺部を拡大した模式的な側面断面図である。
【
図5B】
図5Bは、
図5Aに示す両面粘着テープに持ち手部材を連結する動作を示す模式的な側面断面図である。
【
図6A】
図6Aは、両面粘着テープを引張剥離する動作を示す第1筐体の一部を拡大した模式的な正面図である。
【
図6B】
図6Bは、
図6Aに示す状態からY方向に延びた両面粘着テープの剥離が完了し、X方向に延びた両面粘着テープの剥離を行っている状態を示す模式的な正面図である。
【
図6C】
図6Cは、
図6Bに示す状態から両面粘着テープをさらに引張した状態を示す模式的な正面図である。
【
図7】
図7は、両面粘着テープと変形例に係る巻付け端部を有する持ち手部材との連結部及びその周辺部を拡大した模式的な斜視図である。
【
図8】
図8は、変形例に係る両面粘着テープの模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るテープ部材及び電子機器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は、一実施形態に係る電子機器10を上から見下ろした模式的な平面図である。
図1に示すように、本実施形態の電子機器10は、クラムシェル型のノート型PCであり、第1筐体11と第2筐体12とをヒンジ14によって相対的に回動可能に連結した構成である。本実施形態では、ノート型PCの電子機器10を例示しているが、電子機器はノート型PC以外、例えば単体のディスプレイ装置、タブレット型PC、スマートフォン、又は携帯用ゲーム機等でもよい。
【0013】
第2筐体12は、扁平な箱体であり、第1筐体11と隣接している。第2筐体12の内部には、CPU等を搭載したマザーボード、バッテリ装置、メモリ、アンテナ装置等の各種電子部品が収容されている。第2筐体12の上面には、キーボード16及びタッチパッド17が臨んでいる。
【0014】
第1筐体11は、第2筐体12よりも薄い扁平な箱体である。第1筐体11は、ディスプレイパネル18を搭載している。以下、第1筐体11及びこれに搭載された各構成要素について、ディスプレイパネル18の表示面18aを視認するユーザから見た方向を基準とし、左右方向をそれぞれX1,X2方向、上下方向をそれぞれY1,Y2方向、奥行方向をそれぞれZ1,Z2方向と呼んで説明する。X1,X2方向をまとめてX方向と呼ぶこともあり、Y1,Y2方向及びZ1,Z2方向についても同様に呼ぶことがある。
【0015】
ディスプレイパネル18の表示面18aは、第1筐体11のZ1側表面(正面1a)を臨んでいる。第1筐体11は、Z2側表面(背面11b)を形成するカバー部材20と、正面11aの周縁部を形成するベゼル部材22と、を有する。第1筐体11の上下左右の側面は、カバー部材20の四周縁部から起立した立壁23によって形成されている。ベゼル部材22は、ディスプレイパネル18の外周縁部を囲む枠状の薄いプレート材である。第1筐体11の正面11aは、ベゼル部材22も含めた略全面がタッチガラス24で覆われている。ヒンジ14は、第1筐体11のY2側縁部(下縁部11c)に連結されている。
【0016】
ディスプレイパネル18は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイで構成される。ディスプレイパネル18は、例えばガラス、液晶層、及び導光板等を積層してそれぞれの層の外周縁部同士を両面テープや接着剤等で固定した構造である。タッチガラス24は、表示面18aを覆うことで、ディスプレイパネル18に対するタッチ操作を受け付けるタッチパネルを構成する。
【0017】
図2は、第1筐体11の模式的な正面図である。
図2は、タッチガラス24及びベゼル部材22の図示を省略し、ディスプレイパネル18は外形のみを2点鎖線で図示している。つまり
図2は、カバー部材20の内面20a(背面11bの裏面)と、この内面20aに粘着されたテープ部材26とを図示したものであり、
図6A~
図6Cも同様に図示している。
【0018】
図2に示すように、カバー部材20は、下縁部11cの一部の立壁23を切り欠いた左右一対のヒンジ取付部20bを有する。ヒンジ取付部20bは、ヒンジ14が配置される。ヒンジ取付部20bは、ディスプレイパネル18と第2筐体12内のマザーボード等とを接続する配線の通り道にもなる。
【0019】
カバー部材20の内面20aには、例えば左右一対のテープ部材26A,26Bが設けられている。テープ部材26A,26Bは、カバー部材20に対してディスプレイパネル18を固定するための粘着テープである。両面粘着テープの設置枚数は1枚又は3枚以上でもよい。テープ部材26A,26Bは、形状や配置は異なるが、それぞれの果たす機能と効果は同一又は同様である。そこで、以下ではテープ部材26A,26Bについて、両者を区別することなくテープ部材26と呼んでまとめて説明する。
【0020】
カバー部材20に対するディスプレイパネル18の取付構造を説明する。
【0021】
図3は、テープ部材26を用いてディスプレイパネル18をカバー部材20に固定した構成を模式的に示す側面断面図である。
図2及び
図3に示すように、テープ部材26は、両面粘着テープ28,29と、持ち手部材30とを有する。
図3は、両面粘着テープ28と持ち手部材30との連結部及びその周辺部を例示している。
【0022】
両面粘着テープ28,29は、ディスプレイパネル18の表示面18aとは逆側の裏面18bと、カバー部材20の内面20aとを粘着固定する。両面粘着テープ28,29は、端部28a,29aを引っ張ることで引張剥離可能な特性を有し、例えばストレッチリリーステープ、ストレッチ両面テープ、或いはララテープと呼ばれる部品である。
図2に示すように、ディスプレイパネル18は、X方向に沿うY1側縁部付近が両面粘着テープ28で内面20aに固定され、Y方向に沿うX1,X2側縁部付近がそれぞれ両面粘着テープ29で内面20aに固定される。
【0023】
なお、両面粘着テープ28,29は、全体を略L字状の1枚の両面粘着テープで構成することも考えられる。しかしながら、両面粘着テープ28,29は、大判の素材シートから切り出して所定の形状に成形するものであるため、L字形状としたのでは取り数が悪く、部品コストが増大する。そこで、本実施形態では、両面粘着テープ28,29をそれぞれ直線状の単純な形状として部品コストの抑制を実現している。
【0024】
ここで、本実施形態の第1筐体11は、正面11aがタッチガラス24で覆われ、背面11bがカバー部材20で覆われている。このため、第1筐体11では、両面粘着テープ28,29を引張剥離する際の持ち手の設置スペースがヒンジ取付部20bを設けた下縁部11cに限られている。この点、Y方向に延びた両面粘着テープ29は、端部29aがヒンジ取付部20b付近にあるため問題は少ない。ところが、X方向に延びた両面粘着テープ28は、ディスプレイパネル18のY1側縁部に近い位置にあり、端部28aがヒンジ取付部20bから遠い。
【0025】
そこで、本実施形態のテープ部材26は、両面粘着テープ28の端部28aに持ち手部材30を取り付け、この持ち手部材30を引っ張ることで両面粘着テープ28を引張剥離する構成を採用している。
【0026】
持ち手部材30は、両面粘着テープ28よりも薄いシート状部材である。持ち手部材30の第1端部30aは、裏面18bと内面20aとの間で端部28aと粘着固定され、連結されている。持ち手部材30の第2端部30bは、ディスプレイパネル18の側面18cの側方に張り出した位置まで延在している。この第2端部30bが、両面粘着テープ28を引張剥離する際、実際に工具や人手で把持する部分となる。
図2に示すように、持ち手部材30は、第2端部30bの近くで両面粘着テープ29の端部29aとも粘着固定され、連結されている。つまり本実施形態の持ち手部材30は、2本の両面粘着テープ28,29に兼用されている。
【0027】
両面粘着テープ29は省略してもよく、この場合、テープ部材26は両面粘着テープ28と持ち手部材30とで構成されるとよい。両面粘着テープ29は、持ち手部材30とは別の持ち手部材を連結するか、又は端部29a自体をヒンジ取付部20bに配置してもよい。
【0028】
次に、両面粘着テープ28と持ち手部材30との具体的な連結構造を説明する。
【0029】
図4は、両面粘着テープ28と持ち手部材30との連結部及びその周辺部を拡大した模式的な斜視図である。
図5Aは、両面粘着テープ28と持ち手部材30との連結部及びその周辺部を拡大した模式的な側面断面図である。
図5Bは、
図5Aに示す両面粘着テープ28に持ち手部材30を連結する動作を示す模式的な側面断面図である。
【0030】
図3~
図5Bに示すように、本実施形態のテープ部材26は、持ち手部材30に設けられた巻付け端部30aと、両面粘着テープ28に設けられたダンベル形状部32とを有する。
【0031】
巻付け端部30aは、持ち手部材30の第1端部30aであるため、第1端部30aと同一の参照符号を付して説明する。巻付け端部30aは、両面粘着テープ28に対してその長手方向(X方向)に交差する方向、本実施形態ではX方向に直交するY方向に沿って巻き付けられている。
【0032】
持ち手部材30は、少なくとも巻付け端部30aの一面に粘着層30cを有する。一方、両面粘着テープ28は、第1粘着層28b及び第2粘着層28cを有する。巻付け端部30aは、粘着層30cが両面粘着テープ28を包み込むように巻き付けられている。巻付け端部30aでは、両面粘着テープ28の一側で粘着層30c同士が互いに貼り合わされて貼合せ部30dを構成し、全体としてリング状に形成されている。この際、巻付け端部30aの粘着層30cは、両面粘着テープ28の各粘着層28b,28cと粘着固定される。
【0033】
ダンベル形状部32は、両面粘着テープ28の長手方向の一部、具体的には端部28aの端面から僅かに後退した位置をくびれさせた部分である。両面粘着テープ28は、その長手方向に沿う一対の側縁部28d,28eをそれぞれ切り欠いたように形成され、互いに背合わせに配置された一対の凹状部32a,32bを有する。両面粘着テープ28は、これら凹状部32a,32bによって一部が幅方向にくびれたダンベル形状部32を形成している。
【0034】
凹状部32a,32bは、両面粘着テープ28の長手方向に沿う方向の長さが持ち手部材30の幅寸法よりも大きい。これにより持ち手部材30は、凹状部32a,32bに通してダンベル形状部32に巻き付けることができる。
【0035】
このように、テープ部材26は、粘着層30cが各粘着層28b,28cに粘着固定され、同時にリング状の巻付け端部30aが両面粘着テープ28に引っ掛けられることで、持ち手部材30が両面粘着テープ28と強固に連結される。さらに、テープ部材26は、持ち手部材30と両面粘着テープ28との連結部にダンベル形状部32を設け、ここに巻付け端部30aを通している。このため、テープ部材26は、巻付け端部30aが各凹状部32a,32bの各側壁32a1,32b1によって係止され、持ち手部材30が両面粘着テープ28から一層確実に抜け止めされている。
【0036】
なお、両面粘着テープ29と持ち手部材30とは、互いに粘着固定されていれば、その連結構造は特に限定されないが、例えば持ち手部材30の第2端部30bを2枚の片面粘着シートで構成し、これで両面粘着テープ29をサンドイッチした状態で各粘着面と固定されてもよい。
【0037】
次に、持ち手部材30を介して両面粘着テープ28,29を引張剥離する動作及びテープ部材26の作用効果を説明する。
【0038】
図6Aは、両面粘着テープ28,29を引張剥離する動作を示す第1筐体11の一部を拡大した模式的な正面図である。
図6Bは、
図6Aに示す状態からY方向に延びた両面粘着テープ29の剥離が完了し、X方向に延びた両面粘着テープ28の剥離を行っている状態を示す模式的な正面図である。
図6Cは、
図6Bに示す状態から両面粘着テープ28をさらに引張した状態を示す模式的な正面図である。
【0039】
先ず、ディスプレイパネル18をカバー部材20から取り外すのに先立ち、ヒンジ14を取り外して第1筐体11を第2筐体12から取り外す。この際、ディスプレイパネル18とマザーボード等との間の配線も取り外す。続いて、ヒンジ取付部20bに露出している持ち手部材30の第2端部30bを把持し、これをY2方向に引っ張ることで両面粘着テープ28,90を引張剥離する。
【0040】
次に、
図6Aに示すように、両面粘着テープ28,29を引張剥離する際は、持ち手部材30の第2端部30bを工具や人手で把持して引張り方向D1へと引っ張る。そうすると、先ず、持ち手部材30によって両面粘着テープ29が引張り方向D1へと引張され、その端部29aがディスプレイパネル18の側方に引き出される。そこで、端部29aを直接把持し、X2方向に引っ張りつつ、次第にY1方向に移動させ、両面粘着テープ29を引張剥離する。
【0041】
続いて、両面粘着テープ28を引張剥離する。先ず、
図6Bに示すように、両面粘着テープ29の剥離時にディスプレイパネル18のX2側縁部から側方に張り出した位置にある持ち手部材30を把持して引張り方向D2へと引っ張る。これにより両面粘着テープ28は、引張り方向D2で先頭側の端部28a側から次第に先細りするように薄肉化し、粘着層28b,28cがディスプレイパネル18の裏面18b及びカバー部材20の内面20aから剥離される。
【0042】
さらに、
図6Cに示すように、持ち手部材30を引張り方向D3へと引っ張り、両面粘着テープ28の端部28aをディスプレイパネル18の側方へと引き出す。そこで、端部28aを直接把持して引張り方向D3へとさらに引っ張ることで、両面粘着テープ28を裏面18b及び内面20aから剥離してディスプレイパネル18の側方へと引き抜くことができる。
【0043】
なお、両面粘着テープ28の引張剥離に際し、引張り方向D2,D3ではなく、持ち手部材30をその延在方向であるY2方向に引っ張ることも可能ではある。但し、この場合は、端部28aがディスプレイパネル18の側方に引き出されるまでの距離が相当に長いため、途中で持ち手部材30が外れる可能性が高い。そこで、両面粘着テープ28は、端部328aをディスプレイパネル18の四周縁部のうち、最も近いX1側縁部へと引き出すことが好ましい。
【0044】
ところで、上記したように、本実施形態の第1筐体11は、両面粘着テープ28がディスプレイパネル18の側面18cから大きく離れた位置にあるため(
図2参照)、持ち手部材30が長く、持ち手部材30による両面粘着テープ28の引き抜き距離も長い。このような構成では、上記した従来技術のように、単に持ち手部材30が粘着力のみで両面粘着テープ28に取り付けられている場合は、引き抜き動作中に相互間の固定が外れる可能性がある。そうすると、両面粘着テープ28がディスプレイパネル18の裏面18b側に残留し、ディスプレイパネル18の取り外しが困難となる。他方、単に持ち手部材30が粘着力のみで両面粘着テープ28に取り付けられた構成でも、持ち手部材30と両面粘着テープ28とのオーバーラップ距離を相当に大きく確保すれば、持ち手部材30の脱落は抑制できる。ところが、この場合は、両面粘着テープ28の実際の粘着層28b,28c、つまりディスプレイパネル18をカバー部材20に粘着する面積が減少し、ディスプレイパネル18の粘着強度が低下することになる。
【0045】
この点、本実施形態のテープ部材26は、持ち手部材30が両面粘着テープ28に対してその長手方向に交差する方向に沿って巻き付けられた状態でその第1粘着層28b及び第2粘着層28cと固定されている。従って、当該テープ部材26は、持ち手部材30を引っ張った際、仮に粘着層30cが粘着層28b,28cから剥がれてしまった場合でも、巻付け端部30aが両面粘着テープ28に引っ掛かって物理的に抜け止めされる。その結果、当該テープ部材26は、両面粘着テープ28から持ち手部材30が外れることを抑制することができる。従って、このようなテープ部材26を備える電子機器10は、両面粘着テープ28がディスプレイパネル18の裏面18b側に残留し、ディスプレイパネル18の取り外しが困難になるような事態の発生を抑制できる。
【0046】
その結果、電子機器10は、容易にディスプレイパネル18を取り外すことが可能となり、メンテナンス等のサービス性が向上する。また、テープ部材26は、両面粘着テープ28,29をそれぞれ直線状に形成でき、その使用量も最小限となるため、部品コストを低減できる。さらにテープ部材26は、持ち手部材30が巻付け端部30a以外を1枚のシート状部材で構成できるため、部品コストの一層の低減と、薄型化とを図ることができる。
【0047】
ところで、テープ部材26は、持ち手部材30が両面粘着テープ28の長手方向に対して交差する方向に連結されている。このため、
図6B及び
図6Cに示すように、持ち手部材30を引張り方向D2,D3に引っ張って両面粘着テープ28を引張剥離する際は、持ち手部材30の巻付け端部30aが両面粘着テープ28の長手方向に沿う方向の力を受けて、端部28aからすっぽ抜ける懸念もある。
【0048】
そこで、テープ部材26は、両面粘着テープ28にダンベル形状部32を設け、ここに持ち手部材30の巻付け端部30aが通された構成としている。これにより持ち手部材30は、巻付け端部30aがダンベル形状部32のる側壁32a1,32b1に引っ掛かって抜け止めされるため、両面粘着テープ28からの脱落が機械的に抑えられる。
【0049】
ダンベル形状部32は、たとえば両面粘着テープ28の長手方向に対する持ち手部材30の巻き付け位置や端部28aからディスプレイパネル18の側方までの距離等によっては省略してもよい。このような場合は、ダンベル形状部32を設けなくても持ち手部材30が両面粘着テープ28から外れにくいためである。
【0050】
巻付け端部30aは、貼合せ部30dで粘着層30c同士が互いに貼り合わされたリング状の構成以外でもよい。例えば、
図7に示す巻付け端部30aは、側面視で略C字状に形成されている。このようなC字状の巻付け端部30aであっても、粘着層30cが両面粘着テープ28の粘着層28b,28cに強固に固定され、またダンベル形状部32の側壁32a1,32b1に引っ掛かって抜け止めされる。このため、
図7に示す巻付け端部30aについても、持ち手部材30が両面粘着テープ28から外れることを抑制できる。
【0051】
両面粘着テープ28に設ける引っ掛かり部は、ダンベル形状部32以外でもよい。
図8に示すように、両面粘着テープ28は、例えば一方の凹状部32aのみを設け、他方の凹状部32bを省略した構成としてもよい。この場合にも巻付け端部30aは、凹状部32aの側壁32a1に引っ掛かって抜け止めされるため、持ち手部材30が両面粘着テープ28から外れることを抑制できる。
【0052】
凹状部32aに代えて、凹状部32bのみを設けた構成としてもよいことは言うまでもない。但し、巻付け端部30aの抜け止め防止の観点では、両面粘着テープ28の一対の側縁部28d,28eのうち、持ち手部材30の第2端部30b側とは逆側の側縁部28dにある凹状部32aを備える方が好ましい。
図6B及び
図6Cに示すように、両面粘着テープ28からの巻付け端部30aの抜け止め機能としては、凹状部32aの側壁32a1の方が凹状部32bの側壁32b1よりもより効果が高いためである。
【0053】
特に、当該電子機器10において、ディスプレイパネル18は、X方向に横長の矩形形状を有し、両面粘着テープ28は、ディスプレイパネル18の長手方向に沿って延在している。そして、持ち手部材30は、両面粘着テープ28の延在方向であるX方向と交差するY方向に延在し、ディスプレイパネル18の長手方向に沿う縁部(側面18c)から側方に張り出している。このため、両面粘着テープ28は、引張剥離時に端部28aの引き出し距離が大きくなるため、持ち手部材30の抜け止めのために凹状部32a,32bを備えることが好ましい。
【0054】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0055】
上記では、テープ部材26でディスプレイパネル18を固定した構成を例示したが、テープ部材26はディスプレイパネル18以外にも取外しが必要となる各種部品の固定に利用できる。
【符号の説明】
【0056】
10 電子機器
11 第1筐体
18 ディスプレイパネル
26,26A,26B テープ部材
28,29 両面粘着テープ
30 持ち手部材
30a 第1端部(巻付け端部30a)
30b 第2端部
32 ダンベル形状部
32a,32b 凹状部
【要約】
【課題】両面粘着テープから持ち手部材が外れることを抑制できるテープ部材及び該テープ部材でディスプレイパネルを固定した電子機器を提供する。
【解決手段】テープ部材は、引張剥離可能な特性を有する両面粘着テープと、前記両面粘着テープに連結され、前記両面粘着テープを引張剥離する際に把持するシート状の持ち手部材と、を備え、前記持ち手部材は、前記両面粘着テープに対してその長手方向に交差する方向に沿って巻き付けられている。
【選択図】
図4