(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】ポリイソシアネート組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 18/08 20060101AFI20231110BHJP
C08G 18/76 20060101ALI20231110BHJP
C08G 18/32 20060101ALI20231110BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20231110BHJP
C08K 5/05 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
C08G18/08 038
C08G18/76
C08G18/32 006
C08L75/04
C08K5/05
(21)【出願番号】P 2022512406
(86)(22)【出願日】2020-08-20
(86)【国際出願番号】 KR2020011088
(87)【国際公開番号】W WO2021040316
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-02-22
(31)【優先権主張番号】10-2019-0103735
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501014658
【氏名又は名称】ハンワ ソリューションズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】HANWHA SOLUTIONS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ユジン・シム
(72)【発明者】
【氏名】ジュヨン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ビョン・ヒョン・イ
(72)【発明者】
【氏名】サンヒュン・チョ
【審査官】牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-298365(JP,A)
【文献】特開2014-218585(JP,A)
【文献】特開2019-59823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G18/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ジイソシアネートとフェノール系安定剤とを混合して単量体組成物を製造する段階;および
前記単量体組成物に対して、分子内に2個以上のヒドロキシ基を有する多価アルコールを投入して重合反応させる段階;を含み、
前記フェノール系安定剤を、前記芳香族ジイソシアネートの総重量に対して10~1000ppmwの量で混合する、ポリイソシアネート組成物の製造方法であって、
前記重合反応後、重合反応の結果物を精製する段階をさらに含み、
前記精製を、薄膜蒸留精製法で行い、
前記フェノール系安定剤は、フェノールとジブチルヒドロキシトルエンとが10:1~5:5の重量比で混合された混合物を含み、
前記ポリイソシアネート組成物は、芳香族ジイソシアネートと多価アルコールとの重合反応により形成されたポリイソシアネート、およびフェノール系安定剤を含み、
固形分含有量75重量%である時の組成物総重量を基準として、イソシアネート基の含有量(NCO%)が10~20重量%であり、
組成物内の固形分総重量を基準として、未反応の芳香族ジイソシアネートの含有量が
0.3重量%以下であり、
APHA法により測定した色度が
9以下である、ポリイソシアネート組成物の製造方法。
【請求項2】
前記フェノール系安定剤を、前記芳香族ジイソシアネートの総重量に対して25~800ppmwの量で混合する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記芳香族ジイソシアネートは、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ビス(イソシアネートフェニル)プロパン、ジイソシアネートアニソールまたはこれらの混合物を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記多価アルコールは、3価アルコール;または3価アルコールと前記3価アルコール以外の多価アルコールとの混合物;を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記多価アルコールは、ジエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンまたはこれらの混合物を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記多価アルコールを、前記芳香族ジイソシアネート内のイソシアネート基1モルに対して多価アルコール内のヒドロキシ基のモル比が0.1~1となる量で投入する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記重合反応を、不活性ガス雰囲気下、40~100℃の温度範囲で行う、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
芳香族ジイソシアネートと多価アルコールとの重合反応により形成されたポリイソシアネート、およびフェノール系安定剤を含み、
前記フェノール系安定剤は、フェノールとジブチルヒドロキシトルエンとが10:1~5:5の重量比で混合された混合物を含み、
固形分含有量75重量%である時の組成物総重量を基準として、イソシアネート基の含有量(NCO%)が10~20重量%であり、
組成物内の固形分総重量を基準として、未反応の芳香族ジイソシアネートの含有量が
0.3重量%以下であり、
APHA法により測定した色度が
9以下である、ポリイソシアネート組成物。
【請求項9】
請求項
8に記載のポリイソシアネート組成物を含む物品。
【請求項10】
前記物品は、塗料、コーティング剤、インク、粘着剤、接着剤、シーリング材、マイクロカプセル、人造皮革、反応射出成形品、スラッシュパウダー、弾性成形品、ウレタンフォーム、または光学材料である、請求項
9に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願(ら)との相互引用
本出願は、2019年8月23日付韓国特許出願第10-2019-0103735号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として組み含まれる。
本発明は、合成および精製過程における、酸素や水分による着色および白濁発生が抑制されて、製品の透明性を向上させることができる、ポリイソシアネート組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イソシアネートは、ポリウレタンの原料であり、コーティング、粘着剤/接着剤、塗料、フォーム、および光学材料などにおいて多様に使用されている。
【0003】
優れた外観特性が要求される分野、特に透明性が要求される光学分野に使用されるポリウレタンの場合、着色が少ないことが要求される。このためには、ポリウレタン化反応で着色されないだけでなく、原料であるイソシアネート、特に二官能性以上の多価イソシアネート自体も着色が発生しないことが重要である。
【0004】
しかし、イソシアネートは、反応性が高いため、空気中の酸素などにより酸化されて、変質または着色されやすく、これを適用したウレタンレンズなどの光学製品において着色または白濁が発生する。また、ジイソシアネートの重合によるポリイソシアネート、具体的にジイソシアネートと多価アルコールのウレタン化反応によるポリウレタン製造時にも、重合反応に使用される触媒または溶媒により重合体が着色されやすい。
【0005】
これに対してイソシアネート、ポリイソシアネートおよびこれを利用して製造した製品における着色を抑制する方法として、窒素ガスでシール(seal)して空気と遮断して製造し保管する方法や、紫外線吸収剤などの添加剤を投入して保管する方法など多様な方法が研究、提案されている。
【0006】
一例として、特開平2-228317号には、淡色のポリウレタンラッカー用ポリイソシアネートの製造時、イソシアネートを変性させた後、過酸化物で処理する方法が開示されており、特開平8-291129号には、着色されているイソシアネートをオゾン含有ガスと接触させることによって着色が低減されたイソシアネートを製造する方法が開示されている。また、特表2012-506465号には、着色されているイソシアネートに200~600nm波長の光を照射することによって着色が低減されたイソシアネートを製造する方法が開示されている。
【0007】
しかし、前記方法では十分に低減された着色効果を実現することができなかった。
【0008】
また他の方法として、重合反応に関与しない化合物をイソシアネートと混合して保管する方法が提案されているが、添加した化合物が以降の製品製造時に着色の原因になるという問題があった。
【0009】
一方、蒸留精製は、化合物の精製方法として一般的であるが、イソシアネートの場合、蒸留精製のために加熱する際に、着色されるかまたは変性されてしまう。
【0010】
そこで、着色が抑制され、以降の重合体製造および蒸留精製工程、さらには製品加工工程時にも着色や変性に対する虞がない、イソシアネートの製造方法に対する研究が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開平2-228317号公報
【文献】特開平8-291129号公報
【文献】特表2012-506465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、合成および精製過程で酸素や水分による重合体の着色および白濁発生が抑制されることによって、製品の透明性を向上させることができる、ポリイソシアネート組成物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態によれば、芳香族ジイソシアネートとフェノール系安定剤とを混合して単量体組成物を製造する段階;および前記単量体組成物に対して、分子内に2個以上のヒドロキシ基を有する多価アルコールを投入して重合反応させる段階;を含み、前記フェノール系安定剤を、前記芳香族ジイソシアネート総重量に対して10~1000ppmwの量で使用する、ポリイソシアネート組成物の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるポリイソシアネート組成物の製造方法は、ジイソシアネートと多価アルコールとの重合反応前に、ジイソシアネートを最適の含有量範囲に制御されたフェノール系安定剤と予め混合し、その後、多価アルコールとの重合反応を行うことによって、合成および精製過程で酸素や水分による重合体の着色および白濁の虞がなく、結果として製品の透明性を向上させることができる。
【0015】
また、前記製造方法により製造されたポリイソシアネート組成物は、優れた物性的特性によりプラスチック用塗料、自動車用塗料、フィルムコーティング剤、各種インク、各種粘/接着剤、シーリング材、各種マイクロカプセル、プラスチックレンズ、人工および合成皮革、反応射出成形(RIM)品、スラッシュパウダー、弾性成形品(スパンデックス)、ウレタンフォームなどの幅広い分野に利用することができ、この中でもポリイソシアネート組成物の優れた粘着力/接着力により粘着剤または接着剤として利用することができ、また安定剤を含むことによって眼鏡レンズ、カメラレンズ、プリズムなど、優れた外観特性、特に透明性が要求される光学材料として使用することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書で使用される用語は、単に例示的な実施例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。
【0017】
本明細書で、「含む」、「備える」または「有する」などの用語は、実施された特徴、数字、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。
【0018】
本発明は、多様な変更を加えることができ、多様な形態を有することができるところ、特定の実施例を例示して下記で詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されなければならない。
【0019】
以下、発明の具体的な実施形態によりポリイソシアネート組成物の製造方法、これによって製造されたポリイソシアネート組成物およびこれを含む物品についてより詳細に説明する。
【0020】
本発明者らは、芳香族ジイソシアネートと多価アルコールとの重合によるポリイソシアネート組成物の製造の際に、重合反応前に芳香族ジイソシアネートを特定構造の化合物と制御された含有量で予め混合しておくと、芳香族ジイソシアネート自体の着色が抑制され、またポリイソシアネートの重合および蒸留精製工程の間も着色および変色に対する虞なしに重合体を製造できることを確認して本発明を完成した。
【0021】
具体的に、発明の一実施形態によるポリイソシアネート組成物の製造方法は、
芳香族ジイソシアネートとフェノール系安定剤とを混合して単量体組成物を製造する段階(第1段階);および
前記単量体組成物に対して、分子内に2個以上のヒドロキシ基を有する多価アルコールを投入して重合反応させる段階(第2段階);
を含み、
前記フェノール系安定剤を、前記芳香族ジイソシアネート総重量に対して10~1000ppmwの量で使用することを特徴とする。
【0022】
以下、各段階別に詳細に説明すると、まずポリイソシアネート重合体の製造のための第1段階は、芳香族ジイソシアネートとフェノール系安定剤とを含む単量体組成物を製造する段階である。
【0023】
芳香族ジイソシアネートにおいて着色および白濁などの変色は、分子内ベンゼン環のキノイド(Quinoid)化、または合成および精製過程で酸素や水分、または高熱により生成される付加生成物により発生し得る。
【0024】
本発明において、前記フェノール系安定剤は、芳香族ジイソシアネートと予め混合されて、ラジカル捕捉反応により上述した副反応を抑制することによって、芳香族ジイソシアネートおよびその重合体であるポリイソシアネートの着色および白濁を防止することができる。フェノール系安定剤を重合反応時に共に投入することもできるが、この場合、フェノール系安定剤と芳香族ジイソシアネートの十分な混合が行われ難く、また反応時間の不足により安定剤を投入したことによる効果が十分に実現され難い。その結果、重合反応時や反応後に投入する場合には高温による着色および白濁が発生するようになる。
【0025】
ただし、前記安定剤の含有量が一定水準未満である場合には、芳香族ジイソシアネートおよびポリイソシアネートに対して十分な着色または白濁防止効果が示され難く、反対に一定水準を超えて過量で含まれる場合には、フェノール系安定剤自体が着色および白濁の要因になることがある。そのために、本発明では、前記フェノール系安定剤を芳香族ジイソシアネートの総重量に対して10ppmw以上1000ppmw以下の量で含ませる。好ましくはポリイソシアネート総重量に対して20ppmw以上、あるいは25ppmw以上であり、500ppmw以下、あるいは200ppmw以下、あるいは100ppmwの量で含ませることによって、より増進された着色および白濁抑制効果が実現され得る。
【0026】
前記フェノール系安定剤は、具体的に分子内にフェノール構造を含むフェノールまたはその誘導体であり、具体的な例としては、フェノール;ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、t-ブチルヒドロキノン(t-Butylhydroquinone;TBHQ)、ブチルヒドロキシアニソール(Butylhydroxyanisol;BHA)、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](Irganox1010、BASF社製)、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](Irganox1035、BASF社製)、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(Irganox1076、BASF社製)、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド](Irganox1098、BASF社製)、ベンゼンプロパン酸、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ、C7-C9側鎖アルキルエステル(Irganox1135、BASF社製)、3,3’,3”,5,5’,5”-ヘキサ--ブチル-a,a’,a”-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリp-クレゾール(Irganox1330、BASF社製)、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート](Irganox245、BASF社製)、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](Irganox259、BASF社製)、または1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2-4-6(1H,3H,5H)-トリオン(Irganox3114、BASF社製)、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニルアクリレート、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、2,6-ジフェニル-4-オクタデシルオキシフェノール、ステアリル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスフェート、チオジエチレングリコールビス[(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサメチレンビス[(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサメチレンビス[(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、ビス[3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルフェニル)酪酸]グリコールエステル、4,4’-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(4-2級-ブチル-6-tert-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、ビス[2-tert-ブチル-4-メチル-6-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2-tert-ブチル-4-メチル-6(2-アクリロイルオキシ-3-tert-ブチル-5-メチルベンジル)フェノール、3,9-ビス1,1-ジメチル-2-[(3-tert-ブチル-5-メチルベンジル)プロピオニルオキシ]エチル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンまたはトリエチレングリコールビス[(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、または6-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(6-[3-(3-tert-Butyl-4-hydroxy-5-methylphenyl)propoxy]-2,4,8,10-tetra-tert-butyldibenzo[d,f][1,3,2]dioxaphosphepin、SUMILIZER GP、Sumitomo社製)などのような立体障害型フェノール(hindered phenol);などが挙げられ、これらの中のいずれか一つまたは二つ以上の混合物を用いることができる。
【0027】
この中でも、着色および白濁防止を通じた透明性改善の効果の面においてフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニルアクリレート、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、6-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンまたはこれらの混合物が好ましい。また混合物の中ではフェノールとジブチルヒドロキシトルエンとの混合物、より具体的にはフェノールとジブチルヒドロキシトルエンを10:1以上、5:1以上であり、5:5以下、あるいは5:3以下の重合比で含むことが好ましい。
【0028】
また、前記芳香族ジイソシアネートは、分子内に芳香族環構造と共に2個のイソシアネート基を有する化合物であり、具体的な例としては、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、ビス(イソシアネートフェニル)プロパン、またはジイソシアネートアニソールなどが挙げられ、これらの中のいずれか一つまたは二つ以上の単量体組成物を使用することができる。この中でも前記フェノール系安定剤との組み合わせ使用の時、変色抑制改善の効果の面においてキシリレンジイソシアネート(XDI)がより好ましい。
【0029】
前記芳香族ジイソシアネートは、単量体組成物内で安定剤を除いた残部で含まれ得、具体的には前記芳香族ジイソシアネートと安定剤とを含む単量体組成物総重量に対して95重量%以上、あるいは97重量%以上であり、99重量%以下の量で含まれ得る。
【0030】
前記芳香族ジイソシアネートとフェノール系安定剤の混合は、前記含有量条件を充足するように混合することを除いては、攪拌など通常の混合方法により行われ得る。
【0031】
また、前記芳香族ジイソシアネートとフェノール系安定剤との混合時、ポリイソシアネート組成物の物性改善のための鎖延長剤、熱安定剤、光安定剤または色補正剤など1種以上の添加剤を、単量体組成物の着色を誘発しない範囲内でさらに投入することもできる。
【0032】
前記第1段階での混合工程を通じて製造される単量体組成物は、フェノール系安定剤により芳香族ジイソシアネート自体の着色が抑制されているだけでなく、これを利用して重合製造した重合体組成物での重合体の着色も抑制され得る。
【0033】
次に、第2段階は、前記第1段階で製造した単量体組成物に対して多価アルコールを投入し、単量体組成物内の芳香族ジイソシアネートと前記多価アルコールを重合反応させて重合体を製造する段階である。
【0034】
前記多価アルコールは、1分子中にヒドロキシ基を2個以上含有する化合物であり、具体的には分子内に2個以上、あるいは3個以上であり、8個以下、あるいは4個以下のヒドロキシ基を有する化合物であり得る。具体的な例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、2-メチル-2,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、などの2価アルコール;グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン(TMP)などの3価アルコール;ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、などの4価アルコール;L-アラビニトール、リビトール、キシリトールなどの5価アルコール;D-グルシトール、D-マンニトール、ガラクチトールなどの6価アルコール、トレハロースなどの7価アルコール;スクロース、マルトースなどの8価アルコール、または低分子量ポリオールなどが挙げられ、この中でもジエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンまたはこれらの混合物を使用することができる。より具体的にはグリセロール、トリメチロールプロパン、またはトリメチロールエタンなどの3価アルコールを単独で、または前記3価アルコールと他の多価アルコールを混合して使用することが好ましい。
【0035】
一方、前記重合反応は、芳香族ジイソシアネート内のイソシアネートと多価アルコール内のヒドロキシ基との間のウレタン化反応(または縮合重合反応)によって進行する。
【0036】
このため、前記多価アルコールの使用量は、芳香族ジイソシアネートとのウレタン化反応、および粘度など、製造されるポリイソシアネートにおいて実現しようとする物性および重合体の用途などを考慮して適切に決定することが好ましい。具体的には、前記多価アルコールを、芳香族ジイソシアネートのイソシアネート基1モルに対して多価アルコール内のヒドロキシ基のモル比が0.1以上、あるいは0.15以上であり、1以下、あるいは0.8以下となるような量で投入することができる。前記モル比範囲を逸脱してイソシアネート基に対するヒドロキシ基のモル比が0.1未満であれば、過剰のイソシアネート基により製造される重合体の粘度が低下し、結果として加工性が低下する虞がある。またイソシアネート基に対するヒドロキシ基のモル比が1を超えれば過剰のヒドロキシ基により変色防止効果が低下する虞がある。
【0037】
また、前記重合反応は、常圧の条件および窒素、アルゴンなど不活性ガス雰囲気下で行うことができる。
【0038】
また前記重合反応は、40℃以上、あるいは60℃以上であり、100℃以下、あるいは80℃以下である温度範囲で行うことが、変色発生に対する虞なしに反応速度を容易に制御することができ、反応効率も高めることができるため好ましい。
【0039】
また、前記重合反応は、無触媒の条件で行うこともでき、スズ系またはアミン系など通常ウレタン化反応を促進する触媒の存在下で行うこともできる。触媒存在下で行う場合、前記単量体組成物に対する多価アルコールの投入時に触媒をさらに投入することができる。
【0040】
一方、前記重合反応は、電位差滴定装置を利用したn-ジブチルアミン法で重合反応物内のイソシアネート基の濃度を測定するか、または屈折率を測定することによって、進行の程度を推定することができ、本発明では重合反応物内のイソシアネート基の濃度が、多価アルコールと反応した後に残存するイソシアネート基の計算値に到達する時まで反応を行わせる。
【0041】
前述した重合反応の結果として、ポリイソシアネート、具体的にはポリウレタンが製造される。
【0042】
前記ポリイソシアネートは、具体的には、芳香族ジイソシアネートにおけるイソシアネート基の一部または全部が多価アルコールのヒドロキシ基と反応して形成したウレタン結合を含む。
【0043】
また、前記重合反応の結果として得られる結果物内には、前記ポリイソシアネート以外にも、重合反応に参加しない安定剤および未反応の芳香族ジイソシアネートが存在する。
【0044】
前記安定剤は、ポリイソシアネート組成物中に残存しても、その後の重合体組成物を利用した加工時に重合体の変色および白濁を抑制する役割を果たすが、未反応の芳香族ジイソシアネートは、重合体の変色を誘発することがある。
【0045】
そこで、発明の一実施形態によるポリイソシアネート組成物の製造方法は、前記重合反応の完了後、結果として得られる結果物を精製して未反応の芳香族ジイソシアネートを除去する段階を任意選択でさらに含むことができる。
【0046】
前記精製工程は、蒸留、溶媒抽出など通常の精製方法で行うことができ、本発明では未反応ポリイソシアネート除去効率の優秀さの面で薄膜蒸留法などの蒸留精製方法で行うことができる。
【0047】
通常、芳香族化合物など不飽和結合を有する化合物は、酸化されやすいため、着色発生の虞が高い。しかし、本発明では前記重合反応の結果物内に存在する安定剤が酸素など着色の原因になる化合物に対して選択的に作用してポリイソシアネートの着色を抑制する。また安定剤と着色原因物質との反応により生成される錯化物は蒸留工程中に分離除去されるため、蒸留精製工程の間もポリイソシアネートの着色が抑制され得る。
【0048】
前記蒸留精製工程時の圧力および温度は、ポリイソシアネート組成物の組成、蒸留装置などにより適切に調節することができる。本発明では、前記蒸留精製工程を、0.001kPa以上であり、1kPa以下、あるいは0.5kPa以下である圧力下で行うことができる。
【0049】
また、蒸留精製工程は、70℃以上、あるいは90℃以上であり、200℃以下、あるいは180℃以下の温度で行うことができる。温度が70℃未満であれば、蒸留精製効率が低下する虞があり、200℃を超えれば高温の熱によりポリイソシアネートが変性される虞がある。
【0050】
前記蒸留精製工程を通じてポリイソシアネート組成物内の未反応の芳香族ジイソシアネートの含有量を低めることができ、含有量が低いほど組成物の安定性が増加するため好ましい。
【0051】
前記製造方法により製造されたポリイソシアネート組成物は、コーティング、粘着剤/接着剤、塗料またはフォームなどの製造に使用することができるだけでなく、特に安定剤の存在により着色および変色が抑制されることから、透明性など優れた外観特性が要求される光学材料分野で有用に使用され得る。
【0052】
これによって、発明のまた他の一実施形態によれば、前記製造方法により製造された、ポリイソシアネート組成物を提供する。
【0053】
前記ポリイソシアネート組成物は、具体的には、芳香族ジイソシアネートと多価アルコールとの重合反応で生成されたイソシアネート重合体(またはポリウレタン)と共に、重合反応前に芳香族ジイソシアネートと予め混合された安定剤をさらに含み、また任意選択で、前記組成物内に残存する未反応の芳香族ジイソシアネートをさらに含んでいてもよい。
【0054】
具体的には、前記ポリイソシアネート組成物は、組成物内のイソシアネート基の含有量(NCO%)が、酢酸エチル(Ethyl acetate)投入を通じて組成物内の固形分含有量を75重量%に希釈した時の組成物総重量を基準として、10重量%以上であり、20重量%以下、あるいは17重量%以下である。前記範囲内のイソシアネート基の含有量を有することにより適切な架橋密度が達成されることによって、重合体組成物を塗布する場合に、優れた塗布膜形成特性が得られる。
【0055】
一方、本発明において、NCO%は、イソシアネート基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定により求めることができる。
【0056】
また前記ポリイソシアネート組成物内の固形分総重量を基準として残存する未反応の芳香族ジイソシアネートの含有量が1重量%以下、あるいは0.5重量%以下、あるいは0.3重量%以下であり、従来に比べて未反応の芳香族ジイソシアネートの含有量が大きく減少されていることによってより優れた安定性が示され得る。
【0057】
また前記ポリイソシアネート組成物は、必要に応じて、内部離型剤、紫外線吸収剤、重合開始剤、熱安定剤、色補正剤、鎖延長剤、架橋剤、光安定剤、充填剤などの添加剤をさらに含むことができ、その含有量は、重合体組成物の着色および変色の抑制特性を阻害しない範囲内で適切に決定され得る。
【0058】
前記ポリイソシアネート組成物は、優れた物性的特性により幅広い分野に利用され得、とりわけポリイソシアネート組成物の優れた粘着力/接着力により粘着または接着剤として使用することができ、また安定剤を含むことによって眼鏡レンズ、カメラレンズ、プラスチックレンズ、プリズムなど、優れた外観特性、特に透明性が要求される光学材料として使用することもできる。
【0059】
そこで、本発明の他の一実施形態によれば、前記重合体組成物を含むか、または前記重合体組成物を利用して製造される物品が提供される。
【0060】
この時、前記物品は、プラスチック用塗料または自動車用塗料などの塗料;フィルムコーティング剤などのコーティング剤;各種インク;粘着剤;接着剤;シーリング材;各種マイクロカプセル;人工および合成皮革などの人造皮革;反応射出成形(RIM)品;スラッシュパウダー;弾性成形品(スパンデックス);ウレタンフォーム;または眼鏡レンズ、カメラレンズ、プラスチックレンズ、プリズムなどの光学材料であり得る。
【0061】
以下、本発明の具体的な実施例を通じて、本発明の作用および効果をより詳細に説明する。ただし、これらの実施例は、本発明の例示として提示されるものに過ぎず、これによって本発明の権利範囲が決定されるものではない。
【実施例】
【0062】
[実施例1]
窒素雰囲気下でm-キシリレンジイソシアネート(m-xylene diisocyanate;XDI)を丸底フラスコに1500g投入し、前記XDI総重量を基準として、安定剤としてフェノール(Phenol)25ppmwをさらに投入した後、攪拌して単量体組成物を製造した。前記フラスコの温度を70℃に昇温した後、この温度を維持しながらトリメチルロールプロパン(trimethylolpropane;TMP)133gを滴下した。滴下終了後、70℃を維持しながらイソシアネート基の濃度が計算値33%に到達するまで反応を進行させた。反応終了後、結果の反応物を薄膜蒸留装置(Thin film evaporator;TFE)を利用して精製して、未反応XDIを分離し、ポリイソシアネート組成物を得た。
【0063】
得られたポリイソシアネート組成物の固形分含有量が75重量%になるように酢酸エチル(Ethyl acetate)を入れて希釈した後、色度、NCO含有量、3XDI-1TMP含有量、残存XDI含有量を分析した。
【0064】
[実施例2]
前記実施例1で安定剤としてフェノールの代わりにジブチルヒドロキシトルエン(Butylated hydroxytoluene;BHT)を50ppmw使用することを除き、前記実施例1と同様な方法で行ってポリイソシアネート組成物を製造した。
【0065】
[実施例3]
前記実施例1で安定剤としてフェノールの代わりに2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニルアクリレート(2-[1-(2-hydroxy-3,5-di-tert-pentylphenyl)ethyl]-4,6-di-tert-pentylphenyl acrylate)100ppmwを使用することを除き、前記実施例1と同様な方法で行ってポリイソシアネート組成物を製造した。
【0066】
[実施例4]
前記実施例1で安定剤としてフェノールの代わりに、フェノール500ppmwとBHT100ppmwを混合して使用することを除き、前記実施例1と同様な方法で行ってポリイソシアネート組成物を製造した。
【0067】
[実施例5]
前記実施例1で安定剤としてフェノールの代わりに、フェノール500ppmwとBHT300ppmwとを混合して使用することを除き、前記実施例1と同様な方法で行ってポリイソシアネート組成物を製造した。
【0068】
[実施例6]
前記実施例1で安定剤としてフェノールの代わりに、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(Irganox1076、BASF社製)500ppmwを使用することを除き、前記実施例1と同様な方法で行ってポリイソシアネート組成物を製造した。
【0069】
[実施例7]
前記実施例1で安定剤としてフェノールの代わりに、6-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(6-[3-(3-tert-Butyl-4-hydroxy-5-methylphenyl)propoxy]-2,4,8,10-tetra-tert-butyldibenzo[d,f][1,3,2]dioxaphosphepin、SUMILIZER GP、Sumitomo社製)500ppmwを使用することを除き、前記実施例1と同様な方法で行ってポリイソシアネート組成物を製造した。
【0070】
[比較例1]
前記実施例1で安定剤としてフェノールを5000ppmwに増量して使用することを除き、前記実施例1と同様な方法で行ってポリイソシアネート組成物を製造した。
【0071】
[比較例2]
前記実施例1で安定剤としてフェノールの代わりにBHTを5000ppmwの量で使用することを除き、前記実施例1と同様な方法で行ってポリイソシアネート組成物を製造した。
【0072】
[比較例3]
前記実施例1で安定剤を使用しないことを除き、前記実施例1と同様な方法で行ってポリイソシアネート組成物を製造した。
具体的には窒素雰囲気下でXDIを丸底フラスコに1500g投入して攪拌した。前記フラスコの温度を70℃に昇温した後、この温度を維持しながらTMP133gを滴下した。滴下終了後、70℃を維持しながらイソシアネート基の濃度が計算値33%に到達する時まで反応を進行させた。
反応終了後、結果の反応物をTFEを利用して精製して、未反応XDIを分離し、ポリイソシアネート組成物を得た。
【0073】
[比較例4]
前記実施例5で安定剤を、TMP滴下後に、重合反応中に投入することを除き、前記実施例5と同様な方法で行ってポリイソシアネート組成物を製造した。
【0074】
[試験例]
前記実施例および比較例で製造したポリイソシアネート組成物を、酢酸エチル(ethyl acetate)を使用して固形分75重量%に希釈した後、下記記載された方法により色度、3XDI-1TMP、NCO含有量および残存XDI含有量をそれぞれ測定した。
【0075】
(1)色度
前記実施例および比較例で製造したポリイソシアネート組成物に対して25℃でAPHA法により色度を評価した。
【0076】
(2)3XDI-1TMP含有量
3分子のm-キシリレンジイソシアネート(3XDI)と1分子のトリメチルロールプロパン(1TMP)の反応により得られた生成物(3XDI-1TMP)の含有量を確認するために、前記で準備したポリイソシアネート組成物試料に対して、下記条件によりゲル透過クロマトグラフィー(GPC)分析を行い、その結果から3XDI-1TMPを測定した。XDIとTMPの投入比率により、ポリイソシアネート組成物内の3XDI-1TMP含有量が変わり、これが組成物およびこれを利用して製造した製品の粘度に影響を与える。そこで、ポリイソシアネート組成物内の3XDI-1TMP含有量を確認することによって粘度を調節することが可能である。
【0077】
<GPC分析条件>
使用機器:Agilent Infinity 1260
カラム:Styragel HR2+PLgel 5μm+PLgel 5μm
試料濃度:1wt/vol%試料0.1mgを9.9mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶解して準備
キャリア:THF
検出方法:示差屈折計
流出量:1.0ml/分
カラム温度:35℃
検量線の作成時に分子量1000~20,000g/molのポリスチレンを利用した。
【0078】
(3)イソシアネート基(NCO)含有量:
前記で準備したポリイソシアネート組成物試料に対して、2Nのアミンを投入してイソシアネート基を中和した後、1N塩酸により逆滴定することによって、イソシアネート基の含有量、つまり、固形分75重量%のポリイソシアネート組成物総重量を基準としてイソシアネート基の重量が占める比率を百分率で示した(NCO%)。
【0079】
(4)残存XDI含有量:
GPC分析を通じてXDI該当ピークの面積比率を求め、これからポリイソシアネート組成物内に残存するXDIの含有量を計算した。ポリイソシアネート組成物内の固形分総重量を基準として残存XDI含有量を百分率で示した。
【0080】
【0081】
実験結果から、安定剤を投入した実施例1~7のポリイソシアネート組成物は、30以下の色度(APHA)を示し、安定剤が投入されない比較例3に比べて低いAPHA値を有することを確認することができる。しかし、比較例1および2のように安定剤を過量投入した場合には、安定剤自体の色および熱変色により、むしろAPHA値が大幅に増加した。これらの結果から、安定剤投入時に制御された含有量の範囲内で、着色および白濁抑制効果が実現され得ることが分かる。
【0082】
また安定剤を重合反応中に投入する場合(比較例4)にはAPHA値が大幅に増加することから、安定剤の投入時点が着色および白濁抑制効果に影響を与えることを確認することができる。