(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】無線電力システムのアクティブ整流の制御
(51)【国際特許分類】
H02J 50/10 20160101AFI20231110BHJP
H02M 7/12 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
H02J50/10
H02M7/12 601A
H02M7/12 601B
H02M7/12 A
(21)【出願番号】P 2022513149
(86)(22)【出願日】2020-08-26
(86)【国際出願番号】 US2020048046
(87)【国際公開番号】W WO2021041574
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-03-23
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513307922
【氏名又は名称】ワイトリシティ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】WITRICITY CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ダニロビッチ, ミリサフ
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-208150(JP,A)
【文献】特開2018-102054(JP,A)
【文献】特開2014-195387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00-50/90
H02M 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線電力システムの整流器のためのアクティブ整流方法であって、前記方法は、
ゼロ交差検出器によって、前記整流器の入力での電流の1つ以上のゼロ交差を表すゼロ交差信号を生成することであって、前記ゼロ交差信号の各立ち上がりエッジは、前記電流中の立ち上がりに対応するゼロ交差を示し、前記ゼロ交差信号の各立ち下がりエッジは、前記電流中の立ち下がりに対応するゼロ交差を示す、ことと、
少なくとも1つの無線電力システムパラメータおよび前記ゼロ交差信号に基づいて、第1の遅延時間を決定すること
であって、前記第1の遅延時間は、前記ゼロ交差信号の周期の0.5~0.75である、ことと、
前記第1の遅延時間と、前記ゼロ交差信号の前記立ち上がりおよび立ち下がりエッジとに基づいて、それぞれ、前記整流器の第1のスイッチおよび第2のスイッチのための、第1の制御信号および第2の制御信号を生成すること
であって、前記ゼロ交差信号の立ち下がりエッジが直ぐに続く立ち上がりエッジの各場合について、前記第1の制御信号の立ち上がりエッジは、前記第1の遅延時間だけ前記ゼロ交差信号の前記立ち上がりエッジに遅れをとり、前記第2の制御信号の立ち上がりエッジは、前記第1の遅延時間だけ前記ゼロ交差信号の前記立ち下がりエッジに遅れをとる、ことと、
前記第1の制御信号と前記第2の制御信号との間に、第1のデッドタイムを挿入することと、
前記第1の制御信号および前記第2の制御信号を、それぞれ、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチに提供することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記無線電力システムパラメータおよび前記ゼロ交差信号に基づいて、第2の遅延時間を決定することと、
前記第2の遅延時間と、前記ゼロ交差信号の前記立ち上がりおよび立ち下がりエッジとに基づいて、それぞれ、前記整流器の第3のスイッチおよび第4のスイッチのための、第3の制御信号および第4の制御信号を生成することと、
前記第3の制御信号と前記第4の制御信号との間に、第2のデッドタイムを挿入することと、
前記第3の制御信号および前記第4の制御信号を、それぞれ、前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチに提供することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチは、フルブリッジ構成で前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチに結合されている、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記整流器は、無線電力受信機の一部である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記整流器は、無線電力送信機の一部である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記整流器は、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチとフルブリッジ整流器構成で結合された2つのダイオードを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチは、前記整流器の低側スイッチである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチは第1の整流器入力に結合されており、前記2つのダイオードは第2の整流器入力に結合されている、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の遅延時間は、前記ゼロ交差検出器に動作可能に結合された遅延ブロックによって決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの無線電力システムパラメータの値は、
(i)前記整流器のインピーダンス、
(ii)前記無線電力システムに結合された負荷に伝送された電力レベル、または
(iii)前記整流器を備える無線電力受信機のコイル電流
のうちの少なくとも1つに基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
無線電力システムのためのアクティブ整流システムであって、前記システムは、
前記無線電力システムの振動電流の供給源とバッテリーとの間に結合された、第1のスイッチおよび第2のスイッチと、
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの各々に結合された制御システムと
を備え、
前記制御システムは、
前記振動電流の1つ以上のゼロ交差を表すゼロ交差信号を生成することであって、前記ゼロ交差信号の各立ち上がりエッジは、前記振動電流中の立ち上がりに対応するゼロ交差を示し、前記ゼロ交差信号の各立ち下がりエッジは、前記振動電流中の立ち下がりに対応するゼロ交差を示す、ことと、
少なくとも1つの無線電力システムパラメータおよび前記ゼロ交差信号に基づいて、第1の遅延時間を決定すること
であって、前記第1の遅延時間は、前記ゼロ交差信号の周期の0.5~0.75である、ことと、
前記第1の遅延時間と、前記ゼロ交差信号の前記立ち上がりおよび立ち下がりエッジとに基づいて、それぞれ、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチのための、第1の制御信号および第2の制御信号を生成すること
であって、前記ゼロ交差信号の立ち下がりエッジが直ぐに続く立ち上がりエッジの各場合について、前記第1の制御信号の立ち上がりエッジは、前記第1の遅延時間だけ前記ゼロ交差信号の前記立ち上がりエッジに遅れをとり、前記第2の制御信号の立ち上がりエッジは、前記第1の遅延時間だけ前記ゼロ交差信号の前記立ち下がりエッジに遅れをとる、ことと、
前記第1の制御信号と前記第2の制御信号との間に、第1のデッドタイムを挿入することと、
前記第1の制御信号および前記第2の制御信号を、それぞれ、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチに提供することと
を行うように構成されている、アクティブ整流システム。
【請求項12】
前記無線電力システムの前記振動電流の供給源と前記バッテリーとの間に結合された、第3のスイッチおよび第4のスイッチをさらに備え、
前記制御システムは、
前記無線電力システムパラメータおよび前記ゼロ交差信号に基づいて、第2の遅延時間を決定することと、
前記第2の遅延時間と、前記ゼロ交差信号の前記立ち上がりおよび立ち下がりエッジとに基づいて、それぞれ、前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチのための、第3の制御信号および第4の制御信号を生成することと、
前記第3の制御信号と前記第4の制御信号との間に、第2のデッドタイムを挿入することと、
前記第3の制御信号および前記第4の制御信号を、それぞれ、前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチに提供することと
を行うようにさらに構成されている、請求項11に記載のアクティブ整流システム。
【請求項13】
前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチは、フルブリッジ構成で前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチに結合されている、請求項12に記載のアクティブ整流システム。
【請求項14】
前記アクティブ整流システムは、無線電力受信機内に含まれている、請求項11に記載のアクティブ整流システム。
【請求項15】
前記アクティブ整流システムは、無線電力送信機内に含まれている、請求項11に記載のアクティブ整流システム。
【請求項16】
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチとフルブリッジ整流器構成で結合された2つのダイオードをさらに含む、請求項11に記載のアクティブ整流システム。
【請求項17】
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチは、前記フルブリッジ整流器構成の低側スイッチである、請求項16に記載のアクティブ整流システム。
【請求項18】
前記少なくとも1つの無線電力システムパラメータの値は、
(i)前記アクティブ整流システムのインピーダンス、
(ii)前記無線電力システムに結合された前記バッテリーに伝送された電力レベル、または
(iii)前記アクティブ整流システムを含む無線電力受信機のコイル電流
のうちの少なくとも1つに基づいている、請求項11に記載のアクティブ整流システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年8月26日に出願された「CONTROL OF ACTIVE RECTIFIER SWITCHES IN WIRELESS POWER SYSTEMS」と題された米国仮特許出願第62/891,959号の優先権および利益を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
以下の開示は、無線電力システムのアクティブ整流方法およびアクティブ整流システムに関し、より具体的には、無線電力受信機のアクティブ整流方法およびアクティブ整流システムの制御に関する。
【背景技術】
【0003】
無線電力システムは、送信機と受信機との間の機械的接触を伴わずに、負荷(例えば、電気デバイスのバッテリー)に電力を伝送するように構成されている。そのようなシステムの無線電力受信機は、概して、受信機に結合された負荷(例えば、バッテリー)に送達するために、振動エネルギーをDCに変換するための整流器を含む。整流器が高効率で動作することは有益であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書で開示されるのは、無線電力システムのためのアクティブ整流の制御方法である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本開示は、無線電力システムの整流器のためのアクティブ整流方法を特徴とする。方法は、ゼロ交差検出器によって、整流器の入力での電流の1つ以上のゼロ交差を検出することと、少なくとも1つの無線電力システムパラメータおよびゼロ交差に基づいて、第1の遅延時間を決定することと、を含むことができる。方法はさらに、第1の遅延時間に基づいて、それぞれ、整流器の第1のスイッチおよび第2のスイッチのための、第1の制御信号および第2の制御信号を生成することと、第1の制御信号と第2の制御信号との間に第1のデッドタイムを挿入することと、第1の制御信号および第2の制御信号を、それぞれ、第1のスイッチおよび第2のスイッチに提供することと、を含み得る。
【0006】
アクティブ整流方法の様々な実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。方法は、無線電力システムパラメータおよびゼロ交差に基づいて、第2の遅延時間を決定することと、第2の遅延時間に基づいて、それぞれ、整流器の第3のスイッチおよび第4のスイッチのための、第3の制御信号および第4の制御信号を生成することと、第3の制御信号と第4の制御信号との間に第2のデッドタイムを挿入することと、第3の制御信号および第4の制御信号を、それぞれ、第3の整流器スイッチおよび第4の整流器スイッチに提供することと、を含むことができる。第3のスイッチおよび第4のスイッチは、フルブリッジ構成で第1のスイッチおよび第2のスイッチに結合することができる。整流器は、無線電力受信機の一部であり得る。整流器は、無線電力送信機の一部であり得る。
【0007】
整流器は、第1のスイッチおよび第2のスイッチとフルブリッジ整流器構成で結合された2つのダイオードを含むことができる。第1のスイッチおよび第2のスイッチは、整流器の低側スイッチであり得る。第1のスイッチおよび第2のスイッチは、第1の整流器入力に結合され得、2つのダイオードは、第2の整流器入力に結合されている。第1の遅延時間は、ゼロ交差検出器に動作可能に結合された遅延ブロックによって決定され得る。ゼロ交差は、電流の立ち上がりに対応する第1のゼロ交差と、電流の立ち下がりに対応する第2のゼロ交差とを含み得る。上記の少なくとも1つの無線電力システムパラメータの値は、(i)整流器のインピーダンス、(ii)無線電力システムに結合された負荷に伝送された電力レベル、または(iii)整流器を備える無線電力受信機のコイル電流のうちの少なくとも1つに基づくことができる。
【0008】
別の態様では、本開示は、無線電力システムのためのアクティブ整流システムを特徴とする。システムは、無線電力システムの振動電流源とバッテリーとの間に結合された第1のスイッチおよび第2のスイッチと、第1のスイッチおよび第2のスイッチの各々に結合された制御システムと、を含むことができる。制御システムは、整流器の入力で振動電流の1つ以上のゼロ交差を検出し、かつ少なくとも1つの無線電力システムパラメータおよびゼロ交差に基づいて、第1の遅延時間を決定するように構成され得る。制御システムはさらに、第1の遅延時間に基づいて、それぞれ、整流器の第1のスイッチおよび第2のスイッチのための、第1の制御信号および第2の制御信号を生成し、第1の制御信号と第2の制御信号との間に第1のデッドタイムを挿入し、第1の制御信号および第2の制御信号をそれぞれ、第1のスイッチおよび第2のスイッチに提供するように、構成され得る。
【0009】
アクティブ整流システムの様々な実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。システムは、無線電力システムの振動電流源とバッテリーとの間に結合された第3のスイッチおよび第4のスイッチを含むことができる。制御システムは、無線電力システムパラメータおよびゼロ交差に基づいて第2の遅延時間を判定し、第2の遅延時間に基づいて、それぞれ、整流器の第3のスイッチおよび第4のスイッチのための、第3の制御信号および第4の制御信号を生成するようにさらに構成され得る。制御システムは、第3の制御信号と第4の制御信号との間に第2のデッドタイムを挿入し、第3および第4の制御信号を、それぞれ、第3および第4の整流器スイッチに提供するようにさらに構成され得る。第3および第4のスイッチは、第1および第2のスイッチに結合することができ、フルブリッジ構成である。
【0010】
整流器は、無線電力受信機の一部であり得る。整流器は、無線電力送信機の一部であり得る。整流器は、第1のスイッチおよび第2のスイッチとフルブリッジ整流器構成で結合された2つのダイオードを含むことができる。第1のスイッチおよび第2のスイッチは、整流器の低側スイッチであり得る。上記の少なくとも1つの無線電力システムパラメータの値は、(i)整流器のインピーダンス、(ii)無線電力システムに結合されたバッテリーに伝送された電力レベル、または(iii)整流器を備える無線電力受信機のコイル電流のうちの少なくとも1つに基づくことができる。
【0011】
別の態様では、本開示は、無線電力システムのためのアクティブ整流方法を特徴とする。方法は、ゼロ交差検出器によって、整流器の入力での電流の1つ以上のゼロ交差を検出することと、立ち上がりゼロ交差および立ち下がりゼロ交差に基づいて位相ロックループ(PLL)信号を生成することと、少なくとも1つの無線電力システムパラメータおよびゼロ交差に基づいて第1の遅延時間を判定することと、第1の遅延時間およびPLL信号に基づいて、それぞれ、整流器の第1のスイッチおよび第2のスイッチのための、第1の制御信号および第2の制御信号を生成することと、第1の制御信号と第2の制御信号との間に第1のデッドタイムを挿入することと、第1の制御信号および第2の制御信号を、それぞれ、第1のスイッチおよび第2のスイッチに提供することと、を含むことができる。
【0012】
別の態様では、本開示は、無線電力システムのためのアクティブ整流方法を特徴とする。方法は、整流器の入力における電流を受信および/またはフィルタリングすることと、ゼロ交差検出器によって、整流器の入力における電流の1つ以上のゼロ交差を検出することと、少なくとも1つの無線電力システムパラメータおよびゼロ交差に基づいて第1の遅延時間を判定することと、第1の遅延時間に基づいて、それぞれ、整流器の第1のスイッチおよび第2のスイッチのための第1の制御信号および第2の制御信号を生成することと、第1の制御信号と第2の制御信号との間に第1のデッドタイムを挿入することと、第1の制御信号および第2の制御信号を、それぞれ、第1のスイッチおよび第2のスイッチに提供することと、を含むことができる。
【0013】
別の態様では、本開示は、無線電力システムのためのアクティブ整流方法を特徴とする。方法は、ゼロ交差検出器によって、整流器の入力で電流の1つ以上のゼロ交差を検出することと、立ち上がりゼロ交差および立ち下がりゼロ交差に基づいて位相ロックループ(PLL)信号を生成することと、1つ以上の無線電力システムパラメータに基づいて第1の電圧信号を決定することと、PLL信号および第1の電圧信号に基づいて、それぞれ、整流器の第1のスイッチおよび第2のスイッチのための第1の制御信号および第2の制御信号を生成することと、第1の制御信号と第2の制御信号との間に第1のデッドタイムを挿入することと、第1の制御信号および第2の制御信号を、それぞれ、第1のスイッチおよび第2のスイッチに提供することと、を含むことができる。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
無線電力システムの整流器のためのアクティブ整流方法であって、
ゼロ交差検出器によって、前記整流器の入力での電流の1つ以上のゼロ交差を検出することと、
少なくとも1つの無線電力システムパラメータおよび前記ゼロ交差に基づいて、第1の遅延時間を決定することと、
前記第1の遅延時間に基づいて、それぞれ、前記整流器の第1のスイッチおよび第2のスイッチのための、第1の制御信号および第2の制御信号を生成することと、
前記第1の制御信号と前記第2の制御信号との間に、第1のデッドタイムを挿入することと、
前記第1の制御信号および前記第2の制御信号を、それぞれ、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチに提供することと、
を含む、アクティブ整流方法。
(項目2)
前記無線電力システムパラメータおよび前記ゼロ交差に基づいて、第2の遅延時間を決定することと、
前記第2の遅延時間に基づいて、それぞれ、前記整流器の第3のスイッチおよび第4のスイッチのための、第3の制御信号および第4の制御信号を生成することと、
前記第3の制御信号と前記第4の制御信号との間に、第2のデッドタイムを挿入することと、
前記第3の制御信号および前記第4の制御信号を、それぞれ、前記第3の整流器スイッチおよび前記第4の整流器スイッチに提供することと、
をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチは、フルブリッジ構成で前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチに結合されている、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記整流器は、無線電力受信機の一部である、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記整流器は、無線電力送信機の一部である、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記整流器は、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチとフルブリッジ整流器構成で結合された2つのダイオードを含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチは、前記整流器の低側スイッチである、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチは第1の整流器入力に結合されており、前記2つのダイオードは第2の整流器入力に結合されている、項目6に記載の方法。
(項目9)
前記第1の遅延時間は、前記ゼロ交差検出器に動作可能に結合された遅延ブロックによって決定される、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記ゼロ交差は、前記電流の立ち上がりに対応する第1のゼロ交差と、前記電流の立ち下がりに対応する第2のゼロ交差と、を含む、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記少なくとも1つの無線電力システムパラメータの値は、
(i)前記整流器のインピーダンス、
(ii)前記無線電力システムに結合された負荷に伝送された電力レベル、または
(iii)前記整流器を備える無線電力受信機のコイル電流
のうちの少なくとも1つに基づいている、項目1に記載の方法。
(項目13)
無線電力システムのためのアクティブ整流システムであって、前記システムは、
前記無線電力システムの振動電流源とバッテリーとの間に結合された、第1のスイッチおよび第2のスイッチと、
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの各々に結合された制御システムと、
を備え、前記制御システムは、
前記整流器の入力で前記振動電流の1つ以上のゼロ交差を検出し、
少なくとも1つの無線電力システムパラメータおよび前記ゼロ交差に基づいて、第1の遅延時間を決定し、
前記第1の遅延時間に基づいて、それぞれ、前記整流器の前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチのための、第1の制御信号および第2の制御信号を生成し、
前記第1の制御信号と前記第2の制御信号との間に、第1のデッドタイムを挿入し、
前記第1の制御信号および前記第2の制御信号を、それぞれ、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチに提供する
ように構成されている、アクティブ整流システム。
(項目14)
前記無線電力システムの前記振動電流源と前記バッテリーとの間に結合された、第3のスイッチおよび第4のスイッチをさらに備え、
前記制御システムは、
前記無線電力システムパラメータおよび前記ゼロ交差に基づいて、第2の遅延時間を決定し、
前記第2の遅延時間に基づいて、それぞれ、前記整流器の第3のスイッチおよび第4のスイッチのための、第3の制御信号および第4の制御信号を生成し、
前記第3の制御信号と前記第4の制御信号との間に、第2のデッドタイムを挿入し、
前記第3の制御信号および前記第4の制御信号を、それぞれ、前記第3の整流器スイッチおよび前記第4の整流器スイッチに提供する
ようにさらに構成されている、項目13に記載のシステム。
(項目15)
前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチが前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチに結合されている、フルブリッジ構成である、項目14に記載のシステム。
(項目16)
前記整流器は、無線電力受信機の一部である、項目13に記載のシステム。
(項目17)
前記整流器は、無線電力送信機の一部である、項目13に記載のシステム。
(項目18)
前記整流器は、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチとフルブリッジ整流器構成で結合された2つのダイオードを含む、項目13に記載のシステム。
(項目19)
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチは、前記整流器の低側スイッチである、項目18に記載のシステム。
(項目20)
前記少なくとも1つの無線電力システムパラメータの値は、
(i)前記整流器のインピーダンス、
(ii)前記無線電力システムに結合された前記バッテリーに伝送された電力レベル、または
(iii)前記整流器を備える無線電力受信機のコイル電流
のうちの少なくとも1つに基づいている、項目13に記載のシステム。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】例示的な無線電力システムのブロック図である。
【
図2A】アクティブ整流を採用する例示的な無線電力システムの概略図である。
【
図2B】(
図2B~2C)アクティブ整流を採用する例示的な無線電力受信機の概略図である。
【
図2C】(
図2B~2C)アクティブ整流を採用する例示的な無線電力受信機の概略図である。
【
図3A】アクティブ整流を採用する例示的な無線電力システムの概略図である。
【
図3B】入力電流に基づいて整流器スイッチの制御信号を決定するための例示的なワークフローの図である。
【
図3C】時間関数としての制御信号の生成における様々な信号を示すプロットのセットである。
【
図3D】無線電力システムにおける整流器スイッチ制御のための例示的な方法のフローチャートである。
【
図4A】入力電流に基づいて整流器スイッチの制御信号を決定するための例示的なワークフロー\の図である。
【
図4B】時間関数としての制御信号の生成における様々な信号を示すプロットのセットである。
【
図4C】無線電力システムにおける整流器スイッチ制御のための例示的な方法のフローチャートである。
【
図5A】入力電流に基づいて整流器スイッチの制御信号を生成するための例示的なワークフローの図である。
【
図5B】時間関数としての制御信号の生成における様々な信号を示すプロットのセットである。
【
図5C】無線電力システムにおける整流器スイッチ制御のための例示的な方法のフローチャートである。
【
図6A】入力電流および入力電圧に基づいて整流器スイッチの制御信号を決定するための例示的なワークフローの図である。
【
図6B】時間関数としての制御信号の生成における様々な信号を示すプロットのセットである。
【
図6C】無線電力システムにおける整流器スイッチ制御のための例示的な方法のフローチャートである。
【
図7】例示的な双方向無線送電システムの概略図である。
【
図8】例示的な双方向制御プロセスのフローチャートである。
【
図9】例示的なインバータ整流器の概略図、およびインバータ動作モードでのインバータ整流器の動作を示すタイミング図である。
【
図10】例示的なインバータ整流器の概略図、および整流器動作モードにおけるインバータ整流器の動作を示すタイミング図である。
【
図11】本明細書に記載のアクティブ整流システムおよびアクティブ整流方法を実装する際に使用され得る例示的なコンピュータシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で開示されるのは、無線電力システムにおけるアクティブ整流システムおよびアクティブ整流方法の例示的な実施形態である。具体的には、無線電力受信機においてアクティブ整流が使用され得る。アクティブ整流は、整流器を形成するように結合された、アクティブに制御されるスイッチを採用している。スイッチは、トランジスタ(例えば、FET、MOSFET、BJT、IGBTなど)を含み得る。例示的な無線電力システムでは、アクティブ整流器を使用して、無線電力受信機で受信された振動電流(AC)を直流(DC)に変換することができ、これは、以下でさらに説明するように、エネルギーを最終的に負荷に伝達するために使用することができる。例示的な実施形態の詳細は、以下で考察される。
【0016】
無線電力システムの概要
図1は、例示的な無線電力システム100のブロック図である。システム100は、無線電力送信機102および無線電力受信機104を含む。送信機104では、電源(例えば、AC主電源、バッテリーなど)が、インバータ108に電力を供給する。追加の構成要素は、インバータ段108の前に力率改善(PFC)回路106を含み得る。インバータ108は、インピーダンスマッチングネットワーク110(固定および/または調整可能なネットワーク要素を含む)を介して、送信機共振器コイルおよび容量性構成要素112(「共振器」)を駆動する。送信機共振器112は、受信機共振器114内の電圧および/または電流を誘導する振動磁場を発生させる。受信されたエネルギーは、(固定および/または調整可能なネットワーク要素を含む)インピーダンスマッチングネットワーク116を介して、整流器118に提供される。最終的に、整流された電力は、負荷120(例えば、電気自動車またはハイブリッド自動車の1つ以上のバッテリー)に提供される。いくつかの実施形態では、バッテリー電圧レベルは、無線電力システム100の様々なパラメータ(例えば、インピーダンス)に影響を与え得る。したがって、バッテリー電圧レベルは、無線電力システム100の他の部分への入力として提供されるように受信、決定、または測定され得る。例えば、電気自動車の典型的なバッテリー電圧範囲は、200~280V、200~350V、200~420Vなどを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、送信機102の1つ以上の構成要素は、受信機104の通信モジュールと通信するように構成された通信モジュール(例えば、Wi-Fi、無線機、Bluetooth(登録商標)、インバンドシグナリング機構など)を含み得るコントローラ122に結合され得る。いくつかの実施形態では、送信機102の1つ以上の構成要素は、1つ以上のセンサ124(例えば、電流センサ、電圧センサ、電力センサ、温度センサ、故障センサなど)に結合され得る。コントローラ122およびセンサ124は、センサ124および/またはセンサ128からのフィードバック信号に基づいて、送信機102の制御部分に動作可能に結合され得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、受信機104の1つ以上の構成要素は、送信機102の通信モジュールと通信するように構成された通信モジュール(例えば、Wi-Fi、無線機、Bluetooth(登録商標)、インバンドシグナリング機構など)を含み得るコントローラ126に結合され得る。いくつかの実施形態では、送信機104の1つ以上の構成要素は、1つ以上のセンサ128(例えば、電流センサ、電圧センサ、電力センサ、温度センサ、故障センサなど)に結合され得る。コントローラ126およびセンサ128は、センサ128および/またはセンサ124からのフィードバック信号に基づいて、送信機102の制御部分に動作可能に結合され得る。
【0019】
無線電力システムの例は、2010年6月10日に公開され、「Wireless energy transfer systems」と題された米国特許出願公開第2010/0141042号、および2012年5月10日に公開され、「Wireless energy transfer for vehicles」と題された米国特許出願公開第2012/0112535号に見出すことができ、これらの両方とも参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0020】
本明細書に開示される例示的なシステムおよび方法は、車両用途に関して説明され得るが、電気によって駆動される任意のシステムまたは装置、例えば、ロボット、産業機械、電化製品、家電製品などにも適用され得る。大電力無線電力送信機は、大電力に依存する車両、産業機械、ロボット、または電子デバイスのバッテリーの給電および/または充電などの用途で無線電力を伝送するように構成され得る。例示目的のため、以下の開示は、車両の無線電力伝送に焦点を当てている。しかしながら、本明細書に記載される実施形態のうちの任意の1つ以上は、無線電力が利用され得る他の用途に適用され得ることが理解されよう。
【0021】
本明細書で使用する場合、「コンデンサ」、またはその記号は、静電容量(例えば、単位Farad)および/または容量性リアクタンス(例えば、単位Ohm)を有する1つ以上の電気部品を指し得る。例えば、コンデンサは、(例えば、コンデンサの「バンク」内の)1つ以上のコンデンサを指してもよく、そのコンデンサは、数十、数百ほどの離散コンデンサであってもよい。所望の静電容量および/または所望の容量性リアクタンスを達成するために、2つ以上のコンデンサが直列または並列に結合されてもよい。なお、容量性リアクタンスは、本明細書では、負の値として表され得る。ただし、当業者は、いくつかの慣習において、容量性リアクタンスが正の値としても表され得ることを認識するであろう。
【0022】
本明細書で使用される「インダクタ」、またはその記号は、インダクタンス(例えば、単位Henry)および/または誘導リアクタンス(例えば、単位Ohm)を有する1つ以上の電気部品を指し得る。例えば、インダクタは、1つ以上の別個のインダクタまたはコイルを指し得る。所望のインダクタンスおよび/または所望の誘導リアクタンスを達成するために、2つ以上のインダクタが直列または並列に結合されてもよい。なお、誘導リアクタンスは、本明細書では、正の値として表され得る。
【0023】
図面を含む本開示は、様々な電気部品の例示的な値を提供し得るが、部品の値が特定用途のためにカスタマイズされ得ることが理解されよう。例えば、様々な電子部品の値は、無線電力送信機が、車両のバッテリー(数千ワット程度)、または携帯電話のバッテリー(一般に5ワット未満)を充電するための電力の伝送に使用されるかに依存し得る。
【0024】
無線受信機におけるアクティブ整流
いくつかの実施形態では、アクティブ整流は、受信機104および/または負荷120の出力への電力伝送に対するより高度な制御を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、アクティブ整流は、受信機104および/または負荷120の出力へのより効率的な電力伝送を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、無線電力受信機においてアクティブ整流を採用することによって、受信機104および/または送信機102における調整可能なインピーダンスマッチング構成要素を除外することができる。これには、無線電力システムと関連付けられたサイズ、重量、および/またはコストを削減するという利点がある。
【0025】
図2Aは、アクティブ整流を活用する例示的な無線電力システム200の概略図である。例示的なシステム200は、無線電力送信機202を含む。例示的な送信機202は、フィルタ回路207(例えば、1つ以上の誘導構成要素L3sA、L3sB、1つ以上の容量性構成要素などを含み得る)に結合された、インバータ206(例えば、ハーフブリッジインバータ、フルブリッジインバータなど)を含む。インバータ206は、2つ以上のスイッチ(例えば、トランジスタQ1、Q2、Q3、およびQ4)を含むことができる。スイッチQ1、Q2、Q3、Q4は、それぞれの制御信号PWM1、PWM2、PWM3、PWM4を介して制御され得る。フィルタ207はさらに、上述したように、送信共振器および/またはマッチング回路208(コンデンサC2s、C1sA、C1sB、およびインダクタL1sを含む)に結合され得る。
【0026】
例示的なシステム200では、回路208のインダクタL1sは、送信機202から受信機204aに無線で電力を伝送するように、受信共振器のインダクタL1dおよび/またはマッチング回路210(コンデンサC1dA、C1dB、C2d、およびインダクタL1dを含む)に誘導結合され得る。なお、送信機コイルL1sは、受信機コイルL1dで振動電流を誘導することのできる、振動磁場を生成する。この電流は、例えば85kHzの周波数を有し得る。多くの場合、電流I3dは、インバータ206による高調波を含むことができる。いくつかの実施形態では、電流I3dの特性(例えば、位相、振幅、形状、高調波成分など)は、受信機204aの1つ以上の構成要素によってさらに影響を受け得る(例えば、成形される、歪む、など)。例えば、回路210および212は、電流I3dの位相または形状を変更することができる誘導構成要素および/または容量性構成要素を含むことができる。場合によっては、以下でさらに説明するように、電流I3dの歪みは、整流器スイッチの動作における課題を生じ得る。
【0027】
例示的な受信機204aは、受信共振器および/またはマッチング回路210に結合されたフィルタ回路212(例えば、1つ以上の誘導構成要素L3dA、L3dB、1つ以上の容量性構成要素などを含む)を含むことができる。フィルタ回路212は、電流I3dの特性を変更する(例えば、歪みを低減する)ように構成されてもよい。
【0028】
フィルタ回路212は、2つ以上のスイッチ(例えば、トランジスタQ5、Q6、Q7、およびQ8)を含むことができる整流器214a(例えば、ハーフブリッジインバータ、フルブリッジインバータなど)に結合されてもよい。例示的な整流器214aは、負荷216(例えば、バッテリー)に直接的または間接的に結合され得る。いくつかの実施形態では、電流センサ218は、電流I3dの特性を判定すること(例えば、測定する、感知するなど)ができる。電流センサ218は、フィルタ212の出力で、かつ/または整流器214の入力で結合され得る。例えば、電流センサ218は、整流器214の入力で電流I3dの位相を決定してもよい。センサ信号は、処理のためにプロセッサおよび/またはコントローラ(例えば、コントローラ126)に提供されてもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサおよび/またはコントローラは、電流センサ218信号に基づいて、整流器214の1つ以上のスイッチを制御するための制御信号(例えば、PWM信号)を生成してもよい。プロセッサおよび/またはコントローラは、制御信号(例えば、PWM5、PWM6、PWM7、PWM8)を、整流器214の1つ以上のスイッチ(例えば、それぞれ、Q5、Q6、Q7、Q8)に提供することができる。いくつかの実施形態では、電流センサ218は、以下でさらに詳細に説明するように、電流I3dによるゼロ交差を検出するように構成されたゼロ交差検出器を含むことができる。検出器信号は、スイッチの制御信号を決定するためにコントローラに提供されてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、制御信号は、整流器スイッチを様々なモードで動作させ得る。モードには、ハードスイッチングおよび/またはソフトスイッチング(例えば、ゼロ電圧スイッチング)が含まれ得る。いくつかの実施形態では、整流器スイッチは、第1の期間中に1つのモードで動作することができ、第2の期間中には別のモードで動作することができる。場合によっては、スイッチは所与の期間中に、2つのモード間で交互に行き来するかまたは2つのモード間で遷移してもよい。
【0030】
本明細書では、以下の非限定的な例示的な無線電力システム200の仕様が参照される。
●トランスミッタコイルL1sは、単一または複数のフェライトの層上に配設され得る。
●システム200は、負荷216に約11.3kWの電力を供給するように構成されている。
●受信機コイルL1dは、15以下のターン数、20以下のターン数、25以下のターン数など(例えば、約16ターン)を有することができる。
●マッチングは、電圧範囲Vbus=300~900V(例えば、640~840V)で構成され得る。
【0031】
図2Bは、アクティブ整流器214bを含む無線電力受信機204bの代替の実施形態を示す。受信機204bは、受信機204aに関して本明細書に記載されるのと同じかまたは類似の構成要素を含む。ただし、整流器214bは、高側位置にダイオードD5、D6を有し、低側位置にスイッチQ7、Q8を有するフルブリッジアクティブ整流器である。
【0032】
図2Cは、アクティブ整流器214cを含む無線電力受信機204cの別の代替の実施形態を示す。受信機204cは、受信機204aに関して本明細書に記載されるのと同じかまたは類似の構成要素を含む。ただし、整流器214cは、(i)入力ノード220と整流器214cの出力との間に結合されたダイオードD6、D8と、(ii)入力ノード222と整流器214cの出力との間に結合されたスイッチQ5、Q7とを有するフルブリッジアクティブ整流器である。代替の実施形態では、アクティブ整流器は、(i)入力ノード220と整流器の出力との間に結合されたスイッチQ6、Q8(
図2CのダイオードD6、D8を置き換える)と、(ii)入力ノード222と整流器の出力との間に結合されたダイオードD5、D7(
図2Cに図示されたスイッチQ5、Q7を置き換える)とを有するフルブリッジアクティブ整流器であり得る。以下の方法のうちの1つ以上を使用して、整流器214a、214b、または214cのスイッチを制御することができることに留意されたい。
【0033】
第1の例示的な方法-抵抗入力インピーダンス
図3Aは、アクティブ整流を利用する例示的な無線電力システム300の概略図である。システム300が、上で考察されたシステム200の構成要素(例えば、整流器214a、214b、または214c)を含み得ることに留意されたい。いくつかの実施形態では、システム300は、整流器214aのインダクタL3dAと第1の入力301aとの間に結合された1つ以上のコンデンサC3dAと、整流器214aのL3dBと第2の入力301bとの間に結合された1つ以上のコンデンサC3dBとを有する受信機303を含むことができる。
【0034】
図3Bは、入力電流I3dに基づいて、整流器スイッチ(例えば、Q5、Q6、Q7、Q8)のための制御信号(例えば、それぞれ、PWM5、PWM6、PWM7、PWM8)を決定するための例示的な方法に対応する、例示的なワークフロー302を示す。
図3Cは、時間関数としての制御信号の生成における様々な信号を示すプロットのセットである。
図3Dは、無線電力システムの1つ以上の部分(例えば、送信機202、Vbusと矢印305との間の構成要素など)に抵抗インピーダンスを提示する整流器における、アクティブ整流のための制御信号を決定するための例示的な方法304を示す。明確さおよび簡潔さのために、
図3A~3Dは、本明細書では一緒に考察される。
【0035】
図3Bを参照すると、電流I3dを(例えば、制御システム322の)ゼロ交差検出器306に入力することができる。例示的な電流I3dは、
図3C(i)に提供されている。例示的なアクティブ整流方法304のステップ308で、検出器306は、入力電流I3dのゼロ交差を検出するように構成されている。
図3C(ii)を参照すると、検出器306は、電流信号I3dのゼロ交差を示すゼロ交差検出信号Vzcdを出力することができる。例えば、電流I3dは、時間t0における立ち上がりゼロ交差および時間t5における立ち下がりゼロ交差を有する。
図3C(iii)および
図3C(v)に示すように、ゼロ交差情報を使用して、スイッチQ5、Q6、Q7、および/またはQ8のスイッチングパターンを、I3d電流ゼロ交差に同期させることができる。特に、信号Vzcdの(時間t0における)立ち上がりエッジ310a、および(時間t5における)立ち下がりエッジ310bを使用して、(
図3C(iii)に示す)スイッチング信号PWM
pdt5およびPWM
pdt7と、(
図3C(v)に示す)スイッチング信号PWM
pdt6およびPWM
pdt8とのタイミング合わせをすることができる。
【0036】
ゼロ交差情報(例えば、電圧Vzcd)を有する信号は、(例えば、制御システム322の)遅延ブロック312に提供され得る。ステップ314で、遅延ブロック312は、システムパラメータ(例えば、以下でさらに説明するβ)に基づいて、第1の遅延時間Tdel1および第2の遅延時間Tdel2を決定することができる。例示的な遅延ブロック312は、以下の関係性に従って、1つ以上の時間遅延を提供するように構成されてもよい。
時間遅延1:Tdel1=(270-β)/360×Tperiod
時間遅延2:Tdel2=(90+β)/360×Tperiod-Tdead
式中、0≦β≦90°であり、Tperiodは入力信号I3dの単一の時間周期であり、時間Tdeadは、使用されるトランジスタおよび/またはゲートドライバの仕様に基づいた固定量(例えば、数百ナノ秒程度)である。時間Tdeadは、位相遅延中にシュートスルー状態が発生せず、一対のトランジスタのうちの1つのトランジスタが所与の時間に伝導するように、十分に大きくすることができる。例えば、スイッチQ5は、スイッチQ5の対であるスイッチQ7と同時にオンにすべきではない。以下で説明するように、これらの時間遅延を使用して、遅延制御信号(例えば、PWMpdt5、PWMpdt6、PWMpdt7、PWMpdt8)を生成することができる。遅延制御信号は、デッドタイム補償ブロック306に提供され得る。
【0037】
パラメータβは、好ましいシステム最適化に応じてコントローラによって決定され得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、整流器214の等価インピーダンスを生成し、したがって、そのインピーダンスを達成するためにβを選択するように構成され得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、(負荷216での)バッテリー電圧の変化にかかわらず整流器のインピーダンスを維持し、したがって、維持を実現するためにβを選択するように構成され得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、負荷216に提供される電力を特定の範囲内に維持し、したがって、電力の維持を実現するためにβを選択するように構成され得る。いくつかの実施形態では、βは、受信機側で所望のコイル電流(例えば、L1dの)を維持するように選択され得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、T
del1は、期間(T
period)の0.5~期間(T
period)の0.75であり得る。いくつかの実施形態では、T
del2は、期間(T
period)の0.25~期間(T
period)の0.5であり得る。遅延時間T
del1は、スイッチQ5およびスイッチQ7の制御信号に使用され得る。遅延時間T
del2は、スイッチQ6およびスイッチQ8の制御信号に使用され得る。なお、スイッチQ5およびQ7はソフトスイッチング相脚を形成し、スイッチQ6およびQ8はハードスイッチング相脚を形成する。
図3Cに示される例では、遅延時間T
del1は、時間t0とt6との間の差に相当し、遅延時間T
del2は、t0とt3との間の差に相当する。
【0039】
ステップ316で、制御システム322(例えば、スイッチに結合されたコントローラ318および/またはプロセッサ320)は、第1の遅延時間Tdel1に基づいて、それぞれ、第1の整流器スイッチQ5および第2の整流器スイッチQ7のための、第1の「デッドタイム前(pre-dead time)」制御信号PWMpdt5および第2の「デッドタイム前」制御信号PWMpdt7を生成することができる。例えば、信号Vzcdの立ち上がりエッジ310aおよび立ち下がりエッジ310bを使用して、信号PWMpdt5およびPWMpdt7のそれぞれのエッジ324a、324bを生成する。
【0040】
ステップ326で、制御システム322は、第2の遅延時間Tdel2に基づいて、それぞれ、第3の整流器スイッチQ6および第4の整流器スイッチQ8のための、第3の「デッドタイム前」制御信号PWMpdt6および第4の「デッドタイム前」制御信号PWMpdt8を生成することができる。例えば、信号Vzcdの立ち上がりエッジ310aおよび立ち下がりエッジ310bを使用して、信号PWMpdt6およびPWMpdt8のそれぞれのエッジ328a、328bを生成する。
【0041】
ステップ328で、デッドタイム挿入ブロック330は、それぞれ、第1のデッドタイム前信号制御信号と第2のデッドタイム前制御信号、PWM
pdt5とPWM
pdt7との間に、デッドタイムT
deadを挿入することができる。信号PWM
pdt5とPWM
pdt7との間にデッドタイムを挿入することによって、制御システム322は、それぞれの整流器スイッチQ5、Q7のための制御信号PWM5、PWM7を生成する。
図3C(iv)において、矢印332aおよび332bは、信号PWM5、PWM7のそれぞれのエッジ間の(例えば、T
dead=t7-t6およびT
dead=t12-t11となるような)デッドタイムT
deadを示す。
【0042】
ステップ334で、デッドタイム挿入ブロック330は、それぞれ、第3のデッドタイム前制御信号と第4のデッドタイム前制御信号、PWM
pdt6とPWM
pdt8との間に、デッドタイムT
deadを挿入することができる。信号PWM
pdt6とPWM
pdt8との間にデッドタイムを挿入することによって、制御システム322は、それぞれの整流器スイッチQ6、Q8のための制御信号PWM6、PWM8を生成する。
図3C(vi)において、矢印336aおよび336bは、信号PWM6、PWM8のエッジ間の(例えば、T
dead=t4-t3およびT
dead=t9-t8となるような)デッドタイムT
deadを示す。
【0043】
ステップ338で、制御システム322は、制御信号をそれぞれの整流器スイッチに提供することができる。4つのスイッチを有する(例えば、整流器214aのような)フルブリッジ整流器の例では、スイッチQ5に対して制御信号PWM5が生成され、スイッチQ6に対して制御信号PWM6が生成され、スイッチQ7に対して制御信号PWM7が生成され、かつスイッチQ8に対して制御信号PWM8が生成される。2つの高側ダイオード、ならびに2つの低側スイッチQ7およびQ8を有する(例えば、整流器214bのような)整流器についての別の例では、制御信号PWM7およびPWM8がそれぞれのスイッチQ7およびQ8に提供されるのみである。整流器214cについてのさらに別の例では、制御信号PWM5およびPWM7がそれぞれのスイッチQ5およびQ8に提供される。
【0044】
上記に提示した仕様を有しワークフロー302を利用するシステム300の例示的な受信機303について、システム300内のフィルタインダクタL3dAの値は、約35μHであり得る。直列補償コンデンサを使用して、7uHインダクタと同じ85kHzでインピーダンスを維持することができる。
【0045】
第2の例示的な方法-抵抗入力インピーダンス
図4Aは、入力電流I3dに基づいて整流器スイッチの制御信号を生成するための例示的な方法のワークフロー400を示す。
図4Bは、時間関数としての制御信号の生成における様々な信号を示すプロットのセットである。
図4Cは、無線電力システムの1つ以上の部分(例えば、送信機202、Vbusと矢印305との間の構成要素など)に抵抗インピーダンスを提示する整流器のための制御信号を生成するための、例示的な方法402を示す。明確さおよび簡潔さのために、
図4A~4Cは、本明細書では一緒に考察される。
【0046】
図4Aを参照すると、電流I3dを(例えば、プロセッサ320の)ゼロ交差検出器406に提供することができる。例示的な電流I3dは、
図4B(i)に提供されている。例示的な方法402のステップ404で、ゼロ交差検出器406は、立ち上がり入力電流信号I3dの時間t
0における立ち上がりゼロ交差、および立ち下がり入力電流信号I3dの時間t
5における立ち下がりゼロ交差を検出することができる。ゼロ交差検出器406は、電流信号I3dのゼロ交差情報を有する電圧信号Vzcdを出力することができる。
【0047】
ステップ408で、位相遅延ロック(PLL)ブロック410は、電流I3dの立ち上がりゼロ交差および立ち下がりゼロ交差に基づいて、PLL信号を生成することができる。ブロック410は、
図4B(iii)に示されるように、PLL信号「SYNC」を出力し、これは、信号SYNCが信号Vzcdと同相であるように、ゼロ交差信号Vzcdに「同期された」信号である。いくつかの実施形態では、SYNC信号は、電圧信号Vzcdのコピーであってもよい。いくつかの実施形態では、SYNC信号は、電圧信号Vzcdとは異なる大きさを有する信号Vzcdの同じ位相および/または周波数を有し得る。例えば、Vzcdの立ち上がりエッジは、時間t0におけるSYNCの立ち上がりエッジ(矢印412aで示される)に対応し、Vzcdの立ち下がりエッジは、時間t5におけるSYNCの立ち下がりエッジ(矢印412bで示される)に対応する。
【0048】
ステップ413で、遅延ブロック414は、システムパラメータ(例えば、以下でさらに説明するβ)に基づいて、第1の遅延時間Tdel1および第2の遅延時間Tdel2を決定することができる。遅延ブロック414は、以下の関係性に従って、1つ以上の時間遅延を生成することができる。
時間遅延1:Tdel1=(270-β)/360×Tperiod
時間遅延2:Tdel2=(90+β)/360×Tperiod-Tdead
式中、0≦β≦90°であり、Tperiodは入力信号I3dの単一の時間周期であり、時間Tdeadは、トランジスタおよび/またはゲートドライバの仕様に基づいた固定量である。Tdeadは、位相遅延中にシュートスルー状態が発生せず、一対のトランジスタのうちの1つのトランジスタが所与の時間に伝導するように、十分に大きくすることができる。例えば、スイッチQ5は、その対であるスイッチQ7と同時にはオンにならない。遅延信号は、デッドタイム補償ブロック428に提供され得る。
【0049】
パラメータβは、好ましいシステム最適化に応じてコントローラによって決定され得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、整流器214の等価インピーダンスを生成し、したがって、そのインピーダンスを達成するためにβを選択するように構成され得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、(負荷216での)バッテリー電圧の変化にかかわらず整流器のインピーダンスを維持し、したがって、維持を実現するためにβを選択するように構成され得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、負荷216に提供される電力を特定の範囲内に維持し、したがって、電力の維持を実現するためにβを選択するように構成され得る。
図4Bに提供する例では、パラメータβは、47度になるように選択されている。
【0050】
いくつかの実施形態では、T
del1は、期間(T
period)の0.5~期間(T
period)の0.75であり得る。いくつかの実施形態では、T
del2は、期間(T
period)の0.25~期間(T
period)の0.5であり得る。遅延時間T
del1は、スイッチQ5およびスイッチQ7の制御信号に使用され得る。遅延時間T
del2は、スイッチQ6およびスイッチQ8の制御信号に使用され得る。なお、スイッチQ5およびQ7はソフトスイッチング相脚を形成し、スイッチQ6およびQ8はハードスイッチング相脚を形成する。
図4Bに示される例では、遅延時間T
del1は、時間t0とt6との間の差に相当し、遅延時間T
del2は、t0とt3との間の差に相当する。
【0051】
ステップ416で、遅延ブロック414は、PLL信号SYNCおよび第1の遅延時間Tdel1に基づいて、それぞれ、第1の整流器スイッチおよび第2の整流器スイッチ、Q5およびQ7のための、それぞれ、第1の「デッドタイム前」制御信号および第2の「デッドタイム前」制御信号、PWMpdt5およびPWMpdt7を生成することができる。例えば、信号SYNCの立ち上がりエッジ420aおよび立ち下がりエッジ420bを使用して、信号PWMpdt5およびPWMpdt7のエッジ420a、420bを生成する。
【0052】
ステップ422で、遅延ブロック414は、PLL信号SYNCおよび第2の遅延時間Tdel2に基づいて、それぞれ、第3の整流器スイッチおよび第4の整流器スイッチ、Q6およびQ8のための、それぞれ、第3の「デッドタイム前」制御信号および第4の「デッドタイム前」制御信号、PWMpdt6およびPWMpdt8を生成することができる。例えば、信号SYNCの立ち上がりエッジ412aおよび立ち下がりエッジ412bを使用して、信号PWMpdt6およびPWMpdt8のエッジ424a、424bを生成する。
【0053】
ステップ426で、デッドタイム補償ブロック428は、それぞれ、第1の「デッドタイム前」信号制御信号と第2の「デッドタイム前」制御信号、PWM
pdt5とPWM
pdt7との間に、デッドタイムT
deadを挿入することができる。
図4B(v)にデッドタイム挿入を示す。時間t6と時間t7との間にデッドタイムを挿入することによって、制御システム322は、それぞれの整流器スイッチQ5、Q7のための制御信号PWM5、PWM7を生成する。
図4B(v)において、矢印430a、430bは、信号PWM5、PWM7のそれぞれのエッジ間の(例えば、T
dead=t7-t6およびT
dead=t11-t12となるような)デッドタイムT
deadを示す。
【0054】
ステップ432で、ブロック428は、それぞれ、第3の「デッドタイム前」信号制御信号と第4の「デッドタイム前」制御信号、PWM
pdt6とPWM
pdt8との間に、デッドタイムT
deadを挿入することができる。
図4B(vii)にデッドタイム挿入を示す。時間t3とt4との間にデッドタイムを挿入することによって、制御システムは、それぞれの整流器スイッチQ6、Q8のための制御信号PWM6、PWM8を生成する。
図4B(vii)において、矢印434a、434bは、信号PWM6、PWM8のそれぞれのエッジ間の(例えば、T
dead=t4-t3およびT
dead=t9-t8となるような)デッドタイムT
deadを示す。
【0055】
ステップ434で、制御システム322は、制御信号(例えば、PWM5、PWM6、PWM7、およびPWM8)を、それぞれの整流器スイッチ(例えば、それぞれ、Q5、Q6、Q7、およびQ8)に提供することができる。4つのスイッチを有する(例えば、整流器214aのような)フルブリッジ整流器の例では、スイッチQ5に対して制御信号PWM5が生成され、スイッチQ6に対して制御信号PWM6が生成され、スイッチQ7に対して制御信号PWM7が生成され、かつスイッチQ8に対して制御信号PWM8が生成される。2つの高側ダイオード、ならびに2つの低側スイッチQ7およびQ8を有する(例えば、整流器214bのような)整流器についての別の例では、制御信号PWM7およびPWM8がそれぞれのスイッチQ7およびQ8に提供されるのみである。整流器214cについてのさらに別の例では、制御信号PWM5およびPWM7がそれぞれのスイッチQ5およびQ8に提供される。
【0056】
上記に提示した仕様を有するシステム200の例示的な受信機204の、方法402におけるフィルタインダクタL3sA、L3sBの値は、約14μHであり得る。なお、方法402のフィルタインダクタL3sA、L3sBの値は、方法304のフィルタインダクタL3sA、L3sBの値の約5分の1である。これは、方法402を採用するシステムのフットプリント(例えば、サイズ、体積など)および/またはコストの削減をもたらし得る。
【0057】
第3の例示的な方法-容量性入力インピーダンス
図5Aは、入力電流I3dに基づいて整流器スイッチの制御信号を生成するための例示的な方法に対応するワークフロー500を示す。
図5Bは、時間関数としての制御信号の生成における様々な信号を示すプロットのセットである。
図5Cは、無線電力システムの1つ以上の部分(例えば、送信機202、Vbusと矢印305との間の構成要素など)に容量性インピーダンスを提示する整流器における例示的なアクティブ整流方法502を示す。明確さおよび簡潔さのために、
図5A~5Cは、本明細書では一緒に考察される。
【0058】
ステップ504で、センサ506は、入力電流I3dを受信することができる。いくつかの実施形態では、センサ506には、フィルタ(例えば、バンドパスフィルタ、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタなど)が含まれ得る。好ましい実施形態では、例示的なセンサ506は、以下の伝達関数によって特徴付けられるバンドパスフィルタを含む。
【数1】
式中、ω
0=2×π/T
periodであり、Qfはフィルタの品質係数である。電流I3dのフィルタリングは変調器を安定させ得、それによって安定した出力制御(PWM)信号を可能にし得る。次いで、フィルタリングされた電流信号I3dmfは、ゼロ交差検出器508に提供される。
【0059】
ステップ510で、ゼロ交差検出器508は、フィルタリングされた電流信号I3dmfの立ち上がりゼロ交差、およびフィルタリングされた電流信号I3dmfの立ち下がりゼロ交差を検出することができる。検出器508は、ゼロ交差情報を有する出力信号ZCD(例えば、電圧Vzcdおよび/または電流Izcd)を生成することができる。例えば、
図5B(iii)に示されるように、信号ZCDのエッジ512aは、信号I3dmfの(時間t0での)立ち上がりゼロ交差に対応し、信号ZCDのエッジ512bは、信号I3dmfの(時間t4での)立ち下がりゼロ交差に対応している。
【0060】
ステップ514で、遅延ブロック516は、システムパラメータ(例えば、以下でさらに説明するβ)に基づいて、遅延時間Tdel1を決定することができる。遅延ブロック516は、以下の関係性に従って、1つ以上の時間遅延を生成することができる。
時間遅延:Tdel1=(270-β)/360×Tperiod
式中、0≦β≦90°であり、Tperiodは入力信号ZCDの単一の時間周期であり、時間Tdeadは、トランジスタおよび/またはゲートドライバの仕様に基づく固定量である。Tdeadは、位相遅延中にシュートスルー状態が発生せず、一対のトランジスタのうちの1つのトランジスタが所与の時間に伝導するように、十分に大きくすることができる。例えば、スイッチQ5は、その対であるスイッチQ7と同時にはオンにならない。遅延信号PWMpdt5、PWMpdt7は、デッドタイム補償ブロック518に提供され得る。
【0061】
パラメータβは、好ましいシステム最適化に応じてコントローラによって決定され得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、整流器214の等価インピーダンスを生成し、したがって、そのインピーダンスを達成するためにβを選択するように構成され得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、(負荷216での)バッテリー電圧の変化にかかわらず、整流器のインピーダンスを一定に維持し、したがって、メンテナンスを達成するためにβを選択するように構成され得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、負荷216に提供される電力を特定の範囲内に維持し、したがって、電力の維持を実現するためにβを選択するように構成され得る。
図5Bに提供される例では、パラメータβは、75度になるように選択された。
【0062】
ステップ520で、遅延ブロック516は、遅延時間T
del1に基づいて、それぞれ、第1および第2の整流器スイッチ、Q5およびQ7のための、それぞれ、第1および第2の「デッドタイム前」制御信号PWM
pdt5およびPWM
pdt7を生成することができる。
図5Bに示される例では、遅延時間T
del1は、時間t0とt5との間の差に相当する。例えば、信号ZCDの立ち上がりエッジ512aおよび立ち下がりエッジ512bを使用して、信号PWM
pdt5およびPWM
pdt7のエッジ522a、522bを生成する。
【0063】
ステップ524で、デッドタイム挿入ブロック526は、第1の「デッドタイム前」信号制御信号と第2の「デッドタイム前」制御信号との間に、デッドタイムT
deadの挿入を含むことができる。時間t5とt6との間にデッドタイムを挿入することによって、制御システム322は、それぞれの整流器スイッチQ5、Q7のための制御信号PWM
pdt5およびPWM
pdt7を生成する。特に、プロット
図5B(v)において、矢印528a、528bは、信号PWM5、PWM7のエッジ間のデッドタイムT
deadを示す。ダイオードハーフブリッジ(例えば、ダイオードD6、D8)のコミュテーションは、t7-t3=T
period/2となるように、時間t3とt7との間で生じることに留意されたい。
【0064】
ステップ530で、制御システム322は、制御信号PWM5、PWM7を、(例えば、整流器214cの)それぞれの整流器スイッチQ5、Q7に提供することができる。
【0065】
1つの利点は、例示的な方法502が、フィルタインダクタL3sA、L3sBにおけるより小さいインダクタの使用を可能にし、それによって受信機204の物理的体積を減少させることができることである。例示的な方法502はまた、整流器214の4つのスイッチ(例えば、Q5、Q6、Q7、およびQ8)のアクティブ制御を含む方法と比較して、より高い効率をも達成し得る。
【0066】
第4の例示的な方法-位相シフト制御
図6Aは、入力電流I3dと入力電圧V
AC(Vacdとも称される)との間の相対位相シフトを制御することによって、整流器スイッチのための制御信号を生成するための例示的な方法のワークフロー600を示す。
図6B~6Cは、ワークフロー600による時間関数としての制御信号の生成を示すプロットのセットである。
図6Dは、ワークフロー600に従って制御信号を生成するための方法602を示す。方法602の制御スキームは、混合信号またはデジタル領域において実装されてもよいことに留意されたい。明確さおよび簡潔さのために、
図6A~6Dは、本明細書では一緒に考察される。
【0067】
図6Aを参照すると、電流I3dを(例えば、制御システム322の)ゼロ交差検出器604に入力することができる。例示的な電流I3dは、
図6B(v)に提供されている。ステップ606において、検出器604は、入力電流I3dのゼロ交差を検出するように構成されている。
図6B(i)を参照すると、検出器604は、電流信号I3dのゼロ交差を示すゼロ交差検出信号Vzcdを出力することができる。他の方法について本明細書に記載されるように、ゼロ交差情報を使用して、スイッチQ5、Q6、Q7、および/またはQ8のスイッチングパターンを電流のゼロ交差に同期させることができる。
【0068】
ステップ608で、位相遅延ロック(PLL)ブロック610は、電流I3dの立ち上がりゼロ交差および立ち下がりゼロ交差に基づいて、PLL信号を生成することができる。ブロック610は、
図6B(ii)に示されるように、PLL信号「SYNC」を出力し、これは、信号SYNCが信号Vzcdと同相であるように、ゼロ交差信号Vzcdに「同期された」信号である。いくつかの実施形態では、SYNC信号は、電圧信号Vzcdの周波数の少なくとも2倍の周波数を有し得る。いくつかの実施形態では、SYNC信号は、電圧信号Vzcdとは異なる大きさを有し得る。例えば、Vzcdの立ち上がりエッジは、SYNCの立ち下がりエッジ(矢印612aで示される)に対応し、Vzcdの立ち下がりエッジは、信号Vzcdの1つの周期が信号SYNCの2つの周期に対応するように、SYNCの立ち上がりエッジ(矢印612bで示される)に対応する。
【0069】
ステップ614で、(例えば、制御システム322の)ランプ生成ブロック616は、出力PLL信号に基づいて、少なくとも1つのランプ信号Vrampを生成することができる。ランプ信号Vrampを使用して、以下の関係性で定義されたVdc1およびVdc2の助けを借りてPWM信号を生成することができる。
【数2】
式中、パラメータβは、整流器の抵抗インピーダンスを制御するために選択され、かつ(上述のように)所望のシステム最適化に従って選択され、パラメータφは、整流器の容量性インピーダンスを制御するために選択される。
図6B~6Cに提示される例では、8.3kWをバッテリー216に送達するように構成された例示的なシステム200のためのパラメータβは70、かつパラメータφは20である。
【0070】
ステップ618で、(例えば、制御622の)PWM生成器620は、信号Vdc1およびVdc2に基づいて、スイッチQ5、Q6、Q7、Q8のための、デッドタイム前PWM信号PWMpdt5、PWMpdt6、PWMpdt7、PWMpdt8を生成することができる。いくつかの実施形態では、制御システム(例えば、システム322の変調器)は、信号Vdc1およびVdc2を変調して、制御信号(例えば、デッドタイムPWM信号)を形成することができる。
【0071】
周波数分周ブロック622では、デッドタイム前PWM信号の周波数が分周される。いくつかの実施形態では、周波数は、係数2で分周される。いくつかの実施形態では、周波数は、2より大きい係数(例えば、2.5、3、4など)で分周される。
【0072】
ステップ624で、デッドタイム補償ブロック626は、デッドタイムTdeadを、第1のデッドタイム前制御信号PWMpdt5と第2のデッドタイム前制御信号PWMpdt7との間に挿入することができる。デッドタイムを挿入することによって、制御システム322は、それぞれの整流器スイッチQ5、Q7のための制御信号PWM5、PWM7を生成する。
【0073】
ステップ628で、ブロック626は、デッドタイムTdeadを、第3のデッドタイム前制御信号PWMpdt6と第4の「デッドタイム前」制御信号PWMpdt8との間に挿入することができる。デッドタイムを挿入することによって、制御システムは、それぞれの整流器スイッチQ6、Q8のための制御信号PWM6、PWM8を生成する。
【0074】
ステップ630で、制御システム322は、制御信号(例えば、PWM5、PWM6、PWM7、およびPWM8)を、それぞれの整流器スイッチ(例えば、それぞれ、Q5、Q6、Q7、およびQ8)に提供することができる。4つのスイッチを有する(例えば、整流器214aのような)フルブリッジ整流器の例では、スイッチQ5に対して制御信号PWM5が生成され、スイッチQ6に対して制御信号PWM6が生成され、スイッチQ7に対して制御信号PWM7が生成され、かつスイッチQ8に対して制御信号PWM8が生成される。2つの高側ダイオード、ならびに2つの低側スイッチQ7およびQ8を有する(例えば、整流器214bのような)整流器についての別の例では、制御信号PWM7およびPWM8がそれぞれのスイッチQ7およびQ8に提供されるのみである。整流器214cについてのさらに別の例では、制御信号PWM5およびPWM7がそれぞれのスイッチQ5およびQ8に提供される。
【0075】
双方向無線送電への応用
様々な実施形態では、本明細書に記載のアクティブ整流システムおよびアクティブ整流方法は、双方向無線電力システムで採用され得る。例えば、無線電力システムは、無線電力が送信機から受信機に送信されるように構成され得る(「単方向」とも称される)。場合によっては、無線電力システムは、無線電力が第1のデバイスから第2のデバイス(例えば、送信機から受信機)に、かつ/または第2のデバイスから第1のデバイス(例えば、受信機から送信機)に送信されるように構成されてもよい。双方向無線電力システムおよび方法の例は、「Protection and control of wireless power systems」と題され2019年1月3日に公開された米国特許出願公開第2019/0006836号、および「Wireless power transmission in electric vehicles」と題され2020年3月26日に公開された米国特許出願公開第2020/0094696号に見出すことができる。
【0076】
図7は、例示的な双方向無線電力システム700の概略図を示す。本概略図は、送信機(Tx)側無線電力デバイス700aおよび受信機(Rx)側無線電力デバイス700bの両方を図示する。上述したように、Tx側無線電力デバイス700aは、概して、同様の単方向無線電力システム(例えば、システム200または300)の場合の無線電力送信機として動作する。Tx側デバイス700aはまた、電気自動車または他の移動車両に結合された無線電力デバイスの文脈において使用される場合、接地アセンブリ(GA)またはGA側デバイスとも称され得る。ただし、以下で考察されるように、双方向システムにおいてTx側とは、概して、送電グリッド、AC発電機などの静止電源装置または負荷に結合されているかもしくは結合されるように構成されている、無線電源デバイスを指す。さらに、Tx側システムは概して、Rx側無線電源デバイス700bよりも高い電力、電圧、または電流過渡を扱うことができる。一方、Rx側無線電力デバイス700bは、概して、同様の単方向無線送電システム(例えば、システム200または300)の場合の無線電力受信機として動作する。ただし、以下で考察されるように、双方向システムにおいてRx側とは、概して、バッテリーまたはバッテリー駆動デバイス(例えば、コンピューティングデバイスまたは電気自動車)などの、移動式(または概してより限定される)電源もしくは負荷に結合されているかもしくは結合されるように構成されている、無線電源デバイスを指す。Rx側無線電源デバイス700bはまた、電気自動車または他の移動式車両に結合される無線電源デバイスの文脈において使用される場合、車両アセンブリ(VA)またはVA側デバイスとも称され得る。
【0077】
例示的な双方向システム700では、Tx側デバイス700aおよびRx側デバイス700bの両方は、インバータ整流器702を含む。インバータ整流器702は、スイッチング素子および/またはダイオードのブリッジ構成を含むことができる。例えば、インバータ整流器702は、双方向システムにおいてインバータ整流器702がインバータまたは整流器のいずれかとして動作することを可能にする、MOSFETなどのアクティブなスイッチング素子を含むことができる。以下でより詳細に考察されるように、インバータ整流器702の動作モード(本明細書では「動作パーソナリティ」とも称される)は、スイッチング素子に供給されるPWM制御信号のパターンに基づいて制御することができる。いくつかの実施形態では、インバータ整流器702は、本明細書に記載の1つ以上のアクティブ整流方法(例えば、方法304、402、502、および/または602)に従って動作してもよい。
【0078】
システム700は、車両のバッテリーなどの負荷に、送信機700aに入力された電力から、第1の方向(例えば、送信機700aから受信機700bへの通常の電力潮流方向)の送電で電力を供給することができる。代替的に、システム700は、Rx側デバイス700bに結合された電気自動車のバッテリーから、Tx側デバイス700aに結合された送電グリッドに電力を供給するなど、第2の方向(例えば、反転電力潮流方向)に電力を供給することができる。別の例として、双方向システム700を使用して、停電中に、ガレージに駐車された電気自動車のバッテリーのバッテリーから家に電力を供給することができる。
【0079】
抵抗器、インダクタ、およびコンデンサを含む単一の構成要素が示される場合においては、直列および/または並列を含む構成要素のバンクを利用することができる。調整可能な構成要素が示される場合においては、固定構成要素は、調整可能な構成要素と直列および/または並列に含まれ得る。いくつかの実装形態では、コントローラ122aおよび122bは、単一のコントローラ720内で組み合わせることができる。同様に、いくつかの実装形態では、コントローラ126aおよび126bは、単一のコントローラ740内で組み合わせることができる。
【0080】
いくつかの実装形態では、コントローラ720および740は、双方向マネージャを含む。双方向マネージャは、デバイスに割り当てられた動作パーソナリティによって示される電力潮流の方向に応じて、異なるハードウェア構成要素およびソフトウェア構成要素の無線電力デバイス(例えば、700aまたは700bのいずれか)の構成を調整する。例えば、INVの動作パーソナリティは、インバータ整流器がインバータとして動作しており、したがって無線電力デバイス700a/700bが送信機として動作していることを示す。同様に、例えば、RECの動作パーソナリティは、インバータ整流器が整流器として動作しており、したがって無線電源デバイス700a/700bが受信機として動作していることを示す。双方向マネージャはまた、電力潮流のある方向から電力潮流の反対方向への遷移も調整する。例えば、Rx側デバイス700bの双方向マネージャは、無線通信リンク750(例えば、Wi-Fiリンク)を介してRx側デバイス700aの双方向マネージャと通信して、電力反転を調整することができる。双方向マネージャは、各デバイス700a/700b内またはソフトウェア内で別個のコントローラとして実装されてもよい。
【0081】
より具体的には、システムの様々なハードウェア構成要素およびソフトウェア構成要素は、電力流の方向に応じて、および延長として無線電力デバイス700a/700bの動作パーソナリティに応じて、異なる動作設定値、動作モードおよび/または動作範囲を有することができる。様々な動作設定値、動作モードおよび/または動作範囲は、メモリまたはハードウェアに格納することができる。様々なコントローラ、フィルタ、通信システム、および/または保護システムを含むシステムの各構成要素(例えば、インバータ整流器702、調整可能マッチングネットワーク(TMN)703、および他の構成要素)は、電力潮流の方向に応じて異なる「動作パーソナリティ」を想定することができる。
【0082】
無線電力デバイスの双方向マネージャは、無線電力システム700を通る全体としての電力潮流の予想される方向に基づいて、システム起動時および/または電力潮流遷移中に、適切なパーソナリティを割り当てることができる。例えば、システムの1つの動作モードから別の動作モードに切り替えるためのコマンドを、(例えば、オペレータインターフェースによって、および/またはシステムの片側もしくは両側のコントローラ、またはネットワーク、グリッド、もしくはモバイルデバイスなどのシステム外のコントローラのいずれかまたはすべてに接続されたユーザインターフェースによって)受信すると、双方向マネージャは、様々な構成要素コントローラ(例えば、122a、122b、126a、および126b)にそれぞれの動作パーソナリティを割り当てることができる。各コントローラは、割り当てられた動作パーソナリティを使用して、無線送電デバイス700a/700bの関連する構成要素を制御するための適切な動作プロセスまたはソフトウェアコードを識別し、かつロードすることができる。例えば、インバータ整流器コントローラがインバータの動作パーソナリティ(例えば、INV)を割り当てられた場合、コントローラは、PWM制御信号パターンを生成するためのソフトウェアコードをロードしてインバータ整流器スイッチング素子を動作させて、DC入力信号からAC出力信号を生成する。一方、インバータ整流器コントローラが整流器の動作パーソナリティ(例えば、REC)を割り当てられた場合、コントローラは、PWM制御信号パターンを生成するためのソフトウェアコードをロードしてインバータ整流器スイッチング素子を動作させて、AC入力信号をDC出力信号に整流する。
【0083】
さらに、双方向マネージャは、電力需要、電力潮流の方向を提供し、適切なソフトウェアコードブロックを選択し、サブコントローラまたは他のコントローラにパーソナリティを割り当てることができる。双方向マネージャは、コントローラが置かれているシステムの側に応じて、およびコントローラがシステムの構成要素に責任を負う動作パーソナリティに応じて、回復可能または回復不可能なエラーを特定することができる。動作パーソナリティは、予想される電力潮流の方向、例えば、車両グリッド間(V2G)電力潮流、またはグリッド車両間(G2V)電力潮流に基づいて割り当てられることができる。さらに、双方向マネージャは、これらのエラーの回復のための時間および/またはモードを決定でき、かつ/またはエラーが回復したときにエラーをクリアできるため、ユーザの介入が必要とされない。双方向マネージャは、ユーザ、システムの反対側のコントローラ(例えば、システムの反対側の双方向マネージャ)と通信することができる。
【0084】
双方向マネージャは、無線電力システムの構成要素からエラーの通知を受信することができ、エラーメッセージは、双方向マネージャによって直接、または構成要素からのコールバック要求の後、のいずれかで無線電力システムの他の構成要素に割り当てられ得る。
【0085】
双方向マネージャは、無線電力システムの構成要素から(例えば、システムの反対側からの構成要素からのWi-Fiを介して)通信を受信することができる。双方向マネージャは、構成要素に関連するメッセージに対する構成要素からのコールバック要求を満たすことができ、またはメッセージを関連する構成要素に割り当てることができる。双方向マネージャは、エラーおよび通信メッセージを送受信するために、無線電力システムの構成要素の権限を、動的な制御も含み、制御することができる。双方向マネージャは、遷移フェーズ中の無線電力システムの構成要素を制御する責任を負うことができ、これには電力伝達方向の変更(V2GおよびG2Vの両方の遷移)から生じる任意のエラー伝導を処理することが含まれる。例えば、双方向マネージャは、電源の切断を監督し、電源が完全にまたは部分的にオフになっていることを確認し、システムの構成要素を配列して(構成要素にパーソナリティを割り当てながら)電源をオンにすることができる。
【0086】
一例として、送信機コントローラ上の双方向マネージャが、アイドルから電源をオンにするためのコマンドを受信し、双方向マネージャは、システム内の様々なコントローラおよびハードウェアにG2Vパーソナリティを割り当て得る。送電方向を変更するための通信を受信すると、双方向マネージャは送信機と受信機との間で通信を行い、送電方向を変更する。双方向マネージャは、第1の方向の電源停止中および第2の方向の電源投入中を含む、送電方向の変更から生じる任意のエラーを処理する責任を負うことができる。エラーがクリアされると、双方向マネージャは、例えば、非一時的コンピュータ可読媒体から命令のサブセットを選択することによって、またはコントローラに命令のサブセットを選択させることによって、コントローラにパーソナリティを割り当てることができる。
【0087】
いくつかの実装形態では、システムの各コントローラ(例えば、専用インバータ整流器プロセッサ、または専用TMNプロセッサ、または専用送信機もしくは受信機プロセッサ)は、双方向マネージャを含んでもよい。双方向マネージャは、トップレベルのマネージャとして動作することができる。
【0088】
一般に、パーソナリティを構成要素/コントローラに割り当てることにより、モジュール性、非冗長部品、コード、およびメモリが可能になり得、G2V(グリッド車両間電力潮流)からV2G(車両グリッド間電力潮流)およびその逆への、より高速なかつオンザフライの切り替えを可能にする。
【0089】
図8は、本開示の実施形態に従って実行され得る例示的な双方向制御プロセス800のフローチャートを図示する。例示的なプロセス800は、例えば、本明細書に開示される例示的な無線電力システムによって実装することができる。例えば、プロセス800は、送信機無線電力デバイス700aの双方向マネージャと受信機無線電力デバイス700bの双方向マネージャとの間で実行され得る。プロセス800は、分割されたプライマリ側動作802およびセカンダリ側804動作を示す。一般に、プライマリ側動作802は受信機無線電力デバイス700bによって実施され、セカンダリ側動作704は送信側無線電力デバイス700aによって実施される。例えば、受信機(またはデバイス側)無線電力デバイス700bは、概して、より小さい容量またはより制限された電源もしくは負荷に結合されている可能性がある。受信機無線電力デバイス700bをプライマリデバイスとして実装することにより、双方向制御プロセス800のより正確な制御を提供して、Rx側システムまたはその負荷/電源の考えられる下限動作を超えることを防止することができる。いくつかの例では、例示的なプロセス800は、1つ以上のコンピューティングデバイス、プロセッサ、またはマイクロコントローラを使用して実行される1つ以上のコンピュータ実行可能プログラムによって提供され得る。例えば、例示的なプロセス800、またはその部分は、無線電力デバイス700a、700bの制御回路によって実行される1つ以上のプログラムによって提供され得る。
【0090】
プライマリデバイスは、無線電力システム内で電力潮流遷移を開始する。開始は、ユーザ入力によって、またはいくつかの実装形態ではプライマリデバイスが実施する自動電力遷移判定によって、促され得る(806)。例えば、プライマリデバイスは、バッテリーの充電状態、時刻、ならびにグリッド電力の可用性および/または需要を含むがこれらに限定されない様々な基準に基づいて、電力潮流をシフトすることを決定することができる。例えば、Rx側無線電力デバイス700bは、接続されたバッテリーが閾値充電レベルを超えてグリッド電力の損失が発生したときに電力潮流の反転プロセスを開始するように、構成され得る。別の例として、Rx側無線電力デバイス700bは、接続されたバッテリーが閾値充電レベルを超え、かつ事前設定された時刻の間に電力潮流の反転プロセスを開始するように、構成され得る。例えば、Rx側無線電力デバイス700bは、電力グリッドのピーク負荷期間(例えば、高需要期間および/または夕方などの高エネルギー価格期間)中に、家に追加電力を供給するために、電力潮流反転を構成され得る。いくつかの実装形態では、セカンダリデバイスは、電力潮流遷移を開始するタイミングを決定することができるが、プライマリデバイスに電力潮流遷移開始を要求する追加のステップを実施することがある。
【0091】
プライマリデバイスは、電力潮流の方向を反転するための命令をセカンダリデバイスに送信する(808)。命令に応答して、セカンダリデバイスは、その電流動作とは反対の電力潮流方向で動作するように再構成する(810)。例えば、セカンダリデバイスが送信機として動作していた場合、受信機として動作するように再構成する。セカンダリデバイスが受信機として動作していた場合、送信機として動作するように再構成する。例えば、セカンダリデバイスの双方向マネージャは、例えば、インバータ整流器の動作を保証すること、スイッチをシフトして負荷/電源を切断すること(必要に応じて)、バイパススイッチをトグルしてセカンダリデバイス内の残留電流を消散させること、またはそれらの組み合わせによって、セカンダリデバイス内のコントローラ動作を調整して電力潮流の現在の方向をシャットダウンすることができる。
【0092】
セカンダリデバイスは、新たな電力潮流方向に従って新たな動作パーソナリティを割り当てる(812)。例えば、セカンダリデバイスの双方向マネージャは、電力潮流の新たな方向に対して適切に、セカンダリデバイス内のそれぞれのコントローラに新たな動作パーソナリティを割り当てる。双方向電力マネージャは、フラグビット(例えば、以下でより詳細に考察されるTMN_SIDE)をトグルして、送信機/インバータとしての動作、または受信機/整流器としての動作を示すことによって、新たな動作パーソナリティを割り当てることができる。
【0093】
新たな動作パーソナリティの割り当てに応答して、様々なセカンダリデバイスコントローラがそれぞれの動作を再構成できる。例えば、コントローラは、制御アルゴリズム(例えば、ソフトウェアコードブロック)をロードして新たな電力潮流方向による動作を実施することができる。例えば、TMNコントローラは、新たな電力潮流方向による動作のための適切なTMN制御信号を生成するために、TMNおよび負荷制御コードをリセットすることができる。TMNは、新たな方向への電力伝達に対応するために、または新たな方向への電力増加に備えるために、またはその両方のために、設定値(例えば、インピーダンス値、インピーダンス調整ステップサイズ、および/または保護スキーム)を調整する必要があり得る。例えば、V2Gモードでの電力潮流は一般に、例えば、GA側共振器コイルとVA側共振器コイルとの間の非対称性および/またはバッテリーの放電制約により、G2Vモードでの電力潮流より低くてもよい。その結果、TMNおよび/またはインバータ整流器設定値は、V2Gモードでの動作とG2Vモードでの動作とでは異なる可能性がある。
【0094】
セカンダリデバイス(例えば、セカンダリデバイスのインバータコントローラ)は、新たな動作パーソナリティに従ってインバータ整流器動作を制御することができる(814)。例えば、インバータ整流器コントローラは、セカンダリデバイスが送信機であるときはインバータとして動作し、セカンダリデバイスが受信機であるときは整流器として動作するためのPWM制御信号を生成するための、適切なアルゴリズムをロードすることができる。特定のインバータ動作および整流器動作は、
図9および
図10を参照して以下でより詳細に説明する。
【0095】
セカンダリデバイスは、プライマリデバイスに、セカンダリデバイスの再構成状態を示す応答を送信する(816)。セカンダリデバイスが、セカンダリデバイスの再構成がまだ進行中であるか、または停止していることを示すと、プライマリデバイスは、命令808を待機および/または再送信する。プライマリデバイスが、セカンダリデバイスがセカンダリデバイスの動作パーソナリティの更新を完了したことの確認を待機することによって、プロセス800は、より安全でより堅牢な動作を提供することができる。例えば、このことにより、セカンダリデバイスまたはプライマリデバイスのいずれかに割り当てられた不適合のパーソナリティで電力潮流が開始または反転することを防止することができる。セカンダリデバイスが、セカンダリデバイスの再構成が完了したことを示すと、プライマリデバイスは、その電流動作とは反対の電力潮流方向で動作するように再構成する(818)。例えば、プライマリデバイスが送信機として動作していた場合、受信機として動作するように再構成する。プライマリデバイスが受信機として動作していた場合、送信機として動作するように再構成する。例えば、プライマリデバイスの双方向マネージャは、例えば、インバータ整流器の動作を保証すること、スイッチをシフトして負荷/電源を切断すること(必要に応じて)、バイパススイッチをトグルしてセカンダリデバイス内の残留電流を消散させること、またはそれらの組み合わせによって、セカンダリデバイス内のコントローラ動作を調整して電力潮流の現在の方向をシャットダウンすることができる。
【0096】
プライマリデバイスは、新たな電力潮流方向に従って新たな動作パーソナリティを割り当てる(820)。例えば、プライマリデバイスの双方向マネージャは、電力潮流の新たな方向に対して適切に、プライマリデバイス内のそれぞれのコントローラに新たな動作パーソナリティを割り当てる。双方向(電力)マネージャは、フラグビット(例えば、以下でより詳細に考察されるTMN_SIDE)をトグルして、送信機/インバータとしての動作、または受信機/整流器としての動作を示すことによって、新たな動作パーソナリティを割り当てることができる。
【0097】
新たな動作パーソナリティの割り当てに応答して、様々なプライマリデバイスコントローラがそれぞれの動作を再構成できる。例えば、コントローラは、制御アルゴリズム(例えば、ソフトウェアコードブロック)をロードして新たな電力潮流方向による動作を実施することができる。例えば、TMNコントローラは、新たな電力潮流方向による動作のための適切なTMN制御信号を生成するために、TMNおよび負荷制御コードをリセットすることができる。TMNは、新たな方向への電力伝達に対応するために、または新たな方向への電力増加に備えるために、またはその両方のために、設定値(例えば、インピーダンス値および/または保護スキーム)を調整する必要があり得る。
【0098】
プライマリデバイス(例えば、プライマリデバイスのインバータコントローラ)は、新たな動作パーソナリティに従ってインバータ整流器動作を制御することができる(822)。例えば、インバータ整流器コントローラは、セカンダリデバイスが送信機であるときはインバータとして動作し、セカンダリデバイスが受信機であるときは整流器として動作するためのPWM制御信号を生成するための、適切なアルゴリズムをロードすることができる。いくつかの実装形態では、プライマリデバイス内のTMNコントローラは、新たな動作パーソナリティに従ってTMNを制御することができる。例えば、プライマリデバイス上のTMNコントローラは、第1の方向でTMNに結合された負荷として、もしくは第2の方向でTMNに結合された電源として動作するための、TMN調整信号を生成するために、適切な制御アルゴリズムをロードすることができる。
【0099】
図9は、例示的なインバータ整流器902の概略
図900、およびインバータ動作モードでのインバータ整流器の動作を示すタイミング
図902を示す。概略
図1800は、位相シフトフルブリッジインバータを示す。インバータブリッジ回路は、アクティブスイッチング素子Q1、Q2、Q3、およびQ4を使用し、これらは例えば、MOSFET、トランジスタ、FET、IGBTなどであり得る。
【0100】
タイミング
図902は、スイッチQ1、Q2、Q3、およびQ4の駆動信号パターンを示す。スイッチは、脚A(Q1、Q3)、および脚B(Q2、Q4)の2つの脚にグループ化されている。各脚の対応するスイッチは、それぞれのPWM制御信号によって交互にオン/オフされる。各ゲート駆動信号G1、G2、G3、およびG4のオン時間およびオフ時間が示されている。デッドタイムtdは、同じ脚の両方のゲート駆動装置がオフのときに示される。オフ時間は、期間Tsの各駆動信号のオン時間よりも大きくてもよい。
【0101】
脚A(Q1およびQ3)と脚B(Q2およびQ4)との間の遅延時間tpsは、角度で表される場合、位相シフト角として既知であり、インバータとして動作するときにインバータ整流器によって供給される全体的な電力を調整する手段である。起動時、インバータ整流端子VAおよびVBからの出力電力VAB(t)は、11%のデューティサイクル(脚位相シフト角θps=20度)を有し得る。最大電力では、VAB(t)は、100%デューティサイクル(脚位相θps=180度)であり得る。総電力出力は、脚A PWM信号と脚B PWM信号との間の遅延時間tPSを調整することによって制御される。
【0102】
いくつかの実施形態では、インバータ整流器900は、本明細書に記載の1つ以上のアクティブ整流方法(例えば、方法304、402、502、および/または602)に従って動作してもよい。フルブリッジインバータが示されているが、いくつかの実装形態では、インバータ整流器スイッチは、ハーフブリッジ構成で配置され得る。いくつかの実装形態では、インバータ整流器は、ゼロ電圧スイッチング動作を実装して、スイッチがスイッチにわたる電圧がゼロもしくはほぼゼロであるときに動作することを保証することができる。
【0103】
図10は、例示的なインバータ整流器の概略
図1000、および整流器動作モードでのインバータ整流器702の動作を示すタイミング
図1902を示す。
図10は、
図9に示されるのと同じスイッチを利用する同期整流器動作を図示する。それぞれのスイッチ(Q1、Q2、Q3、Q4)に対応するゲート駆動信号(G1、G2、G3、G4)をタイミング
図1902に示す。ゼロ電流スイッチング動作が示されているが、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)は必然的にこの動作に従い、いくつかの実装形態で使用され得る。ただし、アクティブ整流モードでのZVSスイッチングは図面に示されていない。
【0104】
同期整流器は、I3s電流(
図7にI3dまたはI3sとして示される)のゼロ交差を受信し、タイミング
図1002に示すように同期整流(ゼロ電流スイッチング)のタイミングを作成することができる。整流器モードでは、インバータ整流器702は、対応するスイッチ対(Q1/Q4およびQ2/Q3)を交互にオンすることにより、AC入力信号をDC出力信号に整流する。例えば、インバータ整流器コントローラ(例えば、インバータ/保護および制御回路)は、電流センサまたは位相センサ(例えば、センサ218)から、I3dもしくはI3s電流および/または位相測定値を受信することができる。スイッチQ1、Q2、Q3、およびQ4は、インバータ整流器702への入力のゼロ電流(またはほぼゼロ電流)でオフにすることができ、適切な時間遅延tdが経過した後で、次のスイッチ対(例えば、Q1およびQ4、またはQ2およびQ3)を動作させることができる。これにより、スイッチ内の電力損失を防ぐことができる。いくつかの実装形態では、時間遅延は、必要に応じてシステムによって調整されてもよい。
【0105】
いくつかの実装形態では、起動中、インバータ整流器は、測定された入力電力がI3d電流の連続伝導を確実にする閾値を超えるまでスイッチングを開始せず開始しない。閾値は、例えば、2kW~4kW、および/または目標電力の20~40%であり得る。閾値入力電力値を下回る低電力動作の間、入力AC信号はノイズである場合があり、不正確なゼロ交差検出、および場合によっては不正確なスイッチングのための大きな過渡をもたらす可能性がある。例えば、PWM同期を生成するために使用されるI3d電流は、不正確なゼロ交差検出および場合によっては大きな過渡信号をもたらし得る、または電力段の破壊的短絡さえももたらし得る、不連続かつノイズであり得る。代わりに、スイッチのボディダイオードを介した伝導によって電力が閾値を下回ったときに、パッシブに整流を実施することができる。そのような実装形態では、閾値入力電力値を上回って実施されるスイッチング動作は、アクティブ整流モードとみなすことができ、閾値入力電力値を下回るボディダイオード伝導は、パッシブ整流モードとみなすことができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、インバータ整流器1000は、本明細書に記載の1つ以上のアクティブ整流方法(例えば、方法304、402、502、および/または602)に従って動作してもよい。
【0107】
ハードウェアおよびソフトウェアの実装
いくつかの例では、上述の処理の一部またはすべては、1つ以上の集中型コンピューティングデバイスで実行され得る。いくつかの例では、いくつかのタイプの処理があるデバイス上で発生し、他のタイプの処理は別のデバイス上で発生する。いくつかの例では、上述したデータの一部またはすべては、1つ以上の集中型コンピューティングデバイス上にホストされたデータストレージに、またはクラウドベースのストレージを介して格納され得る。いくつかの例では、いくつかのデータが1つの場所に格納され、他のデータは別の場所に格納される。いくつかの例では、量子コンピューティングが使用されてもよい。いくつかの例では、関数型プログラミング言語が使用されてもよい。いくつかの例では、フラッシュベースのメモリなどの電気メモリが使用されてもよい。
【0108】
図11は、本文書に記載の技術を実装するために使用され得る例示的なコンピュータシステム1100のブロック図である。汎用コンピュータ、ネットワーク機器、モバイルデバイス、または他の電子システムはまた、システム1100の少なくとも部分を含んでもよい。システム1100は、プロセッサ1110、メモリ1120、ストレージデバイス1130、および入力/出力デバイス1140を含む。構成要素1110、1120、1130、および1140の各々は、例えば、システムバス1150を使用して相互接続され得る。プロセッサ1110は、システム1100内で実行するための命令を処理することができる。いくつかの実装形態では、プロセッサ1110は、シングルスレッドプロセッサである。いくつかの実装形態では、プロセッサ1110は、マルチスレッドプロセッサである。プロセッサ1110は、メモリ1120内またはストレージデバイス1130上に格納された命令を処理することができる。
【0109】
メモリ1120は、システム1100内の情報を格納する。いくつかの実装形態では、メモリ1120は、非一時的コンピュータ可読媒体である。いくつかの実装形態では、メモリ1120は、揮発性メモリユニットである。いくつかの実装形態では、メモリ1120は、不揮発性メモリユニットである。
【0110】
ストレージデバイス1130は、システム1100のための大容量ストレージを提供することができる。いくつかの実装形態では、ストレージデバイス1130は、非一時的コンピュータ可読媒体である。様々な異なる実装形態では、ストレージデバイス1130は、例えば、ハードディスクデバイス、光ディスクデバイス、ソリッドデートドライブ、フラッシュドライブ、またはいくつかの他の大容量ストレージデバイスを含んでもよい。例えば、ストレージデバイスは、長期データ(例えば、データベースデータ、ファイルシステムデータなど)を格納してもよい。入力/出力デバイス1140は、システム1100のための入力/出力動作を提供する。いくつかの実装形態では、入力/出力デバイス1140は、ネットワークインターフェースデバイス、例えば、イーサネット(登録商標)カード、シリアル通信デバイス、例えば、RS-232ポート、および/または無線インターフェースデバイス、例えば、802.11カード、3G無線モデム、または4G無線モデムのうちの1つ以上を含んでもよい。いくつかの実装形態では、入力/出力デバイスは、入力データを受信し、出力データを他の入力/出力デバイス、例えばキーボード、プリンタ、およびディスプレイデバイス1160に送信するように構成された、ドライバデバイスを含んでもよい。いくつかの例では、モバイルコンピューティングデバイス、モバイル通信デバイス、および他のデバイスが使用されてもよい。
【0111】
いくつかの実装形態では、上述のアプローチの少なくとも一部分は、実行すると1つ以上の処理デバイスに上述のプロセスおよび機能を実行させる命令によって実現され得る。そのような命令には、例えば、スクリプト命令、または実行可能コードなどの解釈された命令、または非一時的コンピュータ可読媒体に格納された他の命令が含まれ得る。ストレージデバイス1130は、サーバファームもしくは広範囲に分散されたサーバのセットなど、ネットワークを介して分散されて実装されてもよく、または単一のコンピューティングデバイスに実装されてもよい。
【0112】
図11には例示的な処理システムが記載されているが、本明細書に記載の主題の実施形態、機能的動作およびプロセスは、本明細書に開示される構造およびそれらの構造的等価物を含む、他のタイプのデジタル電子回路、有形に具体化されたコンピュータソフトウェアもしくはファームウェア、コンピュータハードウェア、またはそれらの1つ以上の組み合わせで実装され得る。本明細書に記載の主題の実施形態は、1つ以上のコンピュータプログラム、すなわち、データ処理装置によって実行されるか、またはデータ処理装置の動作を制御するために有形の不揮発性プログラムキャリア上に符号化されたコンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュールとして、実装され得る。代替的にまたは追加的に、プログラム命令は、人工的に生成された伝播信号、例えば、データ処理装置によって実行されるために好適な受信装置に送信するための情報を符号化するために生成される、機械生成された電気信号、光信号、または電磁信号で符号化され得る。コンピュータストレージ媒体は、機械可読ストレージデバイス、機械可読ストレージ基板、ランダムもしくはシリアルアクセスメモリデバイス、またはそれらのうちの1つ以上の組み合わせであり得る。
【0113】
「システム」という用語は、例として、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、または複数のプロセッサもしくはコンピュータを含む、データを処理するためのあらゆる種類の装置、デバイス、および機械を包含し得る。処理システムは、特定用途向け論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)を含み得る。処理システムは、ハードウェアに加えて、問題のコンピュータプログラムの実行環境を作成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはそれらのうちの1つ以上の組み合わせを構成するコードを含んでもよい。
【0114】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、モジュール、ソフトウェアモジュール、スクリプト、またはコードとも称され得る、または記載され得る)は、コンパイルされた言語もしくは解釈された言語、または宣言言語もしくは手順言語を含む、任意の形態のプログラミング言語で書かれ得、そのコンピュータプログラムは、スタンドアロンプログラムとして、またはモジュール、構成要素、サブルーチン、もしくはコンピューティング環境での使用に好適な他のユニットとしての形態を含む、任意の形態で展開され得る。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応し得るが、対応する必要はない。プログラムは、他のプログラムもしくはデータ(例えば、マークアップ言語文書に格納された1つ以上のスクリプト)を保持するファイルの一部分、問題のプログラム専用の単一のファイル、または複数の連動するファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、またはコードの部分を格納するファイル)の形で格納することができる。コンピュータプログラムは、1つの場所に配置されているかまたは複数の場所に分散されており、通信ネットワークによって相互に接続されている、1つのコンピュータまたは複数のコンピュータで実行されるように展開され得る。
【0115】
本明細書に記載のプロセスおよび論理フローは、データを入力し出力を生成することで動作することによって機能を実施するために1つ以上のコンピュータプログラムを実行する、1つ以上のプログラム可能なコンピュータによって実施され得る。また、プロセスおよび論理フローは、特定用途向け論理回路によって実施されてもよく、かつまた装置が特定用途向け論理回路として実装されてもよく、特定用途向け論理回路は例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)である。
【0116】
コンピュータプログラムの実行に好適なコンピュータは、例として、汎用マイクロプロセッサまたは専用マイクロプロセッサまたはその両方、または他の任意の種類の中央処理ユニットを含むことができる。一般に、中央処理ユニットは、読み取り専用メモリまたはランダムアクセスメモリまたはその両方から命令およびデータを受信する。コンピュータは、一般に、命令を実施または実行するための中央処理ユニットと、命令およびデータを格納するための1つ以上のメモリデバイスとを含む。一般に、コンピュータは、データを格納するための1つ以上の大容量ストレージデバイス、例えば、磁気ディスク、磁気光ディスク、もしくは光ディスクを含むか、またはそれらに動作可能に結合して、それらからデータを受信するか、またはそれらにデータを送信するか、もしくはその両方を行う。ただし、コンピュータがそのようなデバイスを有する必要はない。
【0117】
コンピュータプログラム命令およびデータを格納するのに好適なコンピュータ可読媒体には、例として、半導体メモリデバイス、例えばEPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイス、磁気ディスク、例えば内部ハードディスクもしくはリムーバブルディスク、磁気光ディスク、ならびにCD-ROMおよびDVD-ROMディスクを含む、あらゆる形態の不揮発性メモリ、媒体、およびメモリデバイスが含まれる。プロセッサおよびメモリは、特定用途向け論理回路によって補完されるか、または特定用途向け論理回路に組み込まれ得る。
【0118】
本明細書に記載の主題の実施形態は、コンピューティングシステムで実装することができ、このコンピューティングシステムは、例えば、データサーバとしてのバックエンド構成要素を含むか、またはミドルウェア構成要素、例えばアプリケーションサーバを含むか、またはフロントエンド構成要素、例えばユーザが本明細書に記載の主題の実装形態と相互作用することを可能にするグラフィカルユーザインターフェースもしくはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータを含むか、または1つ以上のこのようなバックエンド構成要素、ミドルウェア構成要素、もしくはフロントエンド構成要素の任意の組み合わせを含む。システムの複数の構成要素は、任意の形態もしくは媒体のデジタルデータ通信、例えば通信ネットワークによって相互接続され得る。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)およびワイドエリアネットワーク(「WAN」)、例えばインターネットが挙げられる。
【0119】
コンピューティングシステムは、クライアントおよびサーバを含むことができる。クライアントおよびサーバは、一般に互いに離れており、典型的には、通信ネットワークを介して相互作用する。クライアントおよびサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行されかつ互いにクライアント-サーバの関係性を有するコンピュータプログラムによって生じる。
【0120】
本明細書は多くの特定の実装形態の詳細を含むが、これらは特許請求され得る範囲の制限として解釈されるべきではなく、むしろ特定の実施形態に特有であり得る特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施形態の文脈において本明細書に記載の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて実装されてもよい。逆に、単一の実施形態の文脈において記載の様々な特徴はまた、別個に、または任意の好適なサブ組み合わせで複数の実施形態で実装されてもよい。さらに、特徴が特定の組み合わせで作用するものとして上述され、最初にそのように特許請求されたものであっても、特許請求された組み合わせからの1つ以上の特徴は、場合によっては組み合わせから除外されてもよく、特許請求された組み合わせは、サブ組み合わせまたはサブ組み合わせの変形を対象としてもよい。
【0121】
同様に、動作が特定の順序で図面に示されているが、これは、望ましい結果を達成するために、示された特定の順序またはシーケンシャル順序でそのような動作が実施されること、または例示された動作がすべて実施されることを必要とするものとして理解されるべきではない。特定の状況では、マルチタスクおよび並列処理が有利であり得る。さらに、上述の実施形態における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実施形態においてそのような分離を必要とするものとして理解されるべきではなく、かつ記載のプログラム構成要素および記載のシステムが、一般に、単一のソフトウェア製品に一緒に統合されるか、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化され得ることが理解されるべきである。
【0122】
主題の特定の実施形態が説明されてきた。他の実施形態は、添付の特許請求の範囲の範囲内にある。例えば、特許請求の範囲に記載された動作は、異なる順序で実施され得、依然として望ましい結果を達成することができる。一例として、添付の図面に図示されるプロセスは、必ずしも望ましい結果を達成するために、示される特定の順序またはシーケンシャル順序を必要とはしない。特定の実装形態では、マルチタスクおよび並列処理が有利であり得る。記載のプロセスから、他のステップもしくは段階が提供されてもよく、またはステップもしくは段階が排除されてもよい。したがって、他の実装形態は添付の特許請求の範囲の範囲内にある。
【0123】
用語
本明細書で使用する表現および用語は、記載の目的のためであり、制限のためであるとみなされるべきではない。
【0124】
用語「およそ」、語句「およそ等しい」、および本明細書および特許請求の範囲で使用される他の同様の語句(例えば、「XはおよそYの値を有する」または「XはおよそYに等しい」)は、1つの値(X)が別の値(Y)の所定の範囲内にあることを意味すると理解されるべきである。所定の範囲は、別段の指示がない限り、プラスまたはマイナス20%、10%、5%、3%、1%、0.1%、または0.1%未満であってもよい。
【0125】
本明細書および特許請求の範囲で使用される不定冠詞「a」および「an」は、明確に反対のことが示されない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。本明細書および特許請求の範囲で使用される語句「および/または」は、そのように結合された要素、すなわち、いくつかの場合において結合的に存在し、他の場合において分離的に存在する要素のうちの「いずれかまたは両方」を意味すると理解されるべきである。「および/または」とともに列挙される複数の要素は、同じように、すなわちそのように組み合わされる要素の「1つ以上」であると解釈されるべきである。「および/または」節によって具体的に同定された要素以外の他の要素が、具体的に同定されたこれらの要素に関連するかどうかにかかわらず、任意選択で存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」という言及は、「含む」などの制限のない言語と併せて使用される場合、一実施形態では、Aのみ(任意選択で、B以外の要素を含む)を指し、別の実施形態では、Bのみ(任意選択で、A以外の要素を含む)を指し、さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(任意選択で、他の要素を含む)などを指すことができる。
【0126】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「または」は、上記で定義される「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、ある列挙内で項目を分離する場合、「または」または「および/または」は、包括的、すなわちいくつかの要素または要素の列挙のうちの少なくとも1つを含むが、2つ以上も含み、任意選択で、列挙されていない追加の項目も含むと解釈されなければならない。それとは反対に明確に示される、「のうちの1つのみ、もしくは「のうちの正確に1つ」、または特許請求の範囲で使用される場合の「からなる」などの用語のみが、いくつかの要素または要素の列挙のうちの正確に1つの要素を含むことを指す。一般に、使用される「または」という用語は、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」、または「のうちの正確に1つ」などの排他的な用語が先行する場合のみ、排他的な選択肢(すなわち、「一方または他方であるが、両方ではない」)を示すものとして解釈されるものである。特許請求の範囲で使用される場合、「から本質的になる」は、特許法の分野で使用されるその通常の意味を有するものとする。
【0127】
本明細書および特許請求の範囲で使用する場合、1つ以上の要素の列挙に関する「少なくとも1つ」という語句は、要素の列挙内の要素のうちのいずれか1つ以上から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素の列挙内に具体的に列挙された各々およびすべての要素のうちの少なくとも1つを必ずしも含むものではなく、要素の列挙内の要素のいかなる組み合わせも除外するものではないと理解されるべきである。また、この定義により、「少なくとも1つ」という語句が参照する要素の列挙内で具体的に同定された要素以外の要素が、具体的に同定されたそれらの要素に関連するかどうかにかかわらず、任意選択で存在し得ることも可能にする。したがって、非限定的な例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または等価的に、「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または等価的に、「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、Bが存在しない(かつ任意選択でB以外の要素を含む)状態で少なくとも1つのA、任意選択で2つ以上のAを含むことを指し、別の実施形態では、Aが存在しない(かつ任意選択でA以外の要素を含む)状態で少なくとも1つのB、任意選択で2つ以上のBを含むことを指し、さらに別の実施形態では、少なくとも1つのA、任意選択で2つ以上のA、および少なくとも1つのB、任意選択で2つ以上のBを含む(かつ任意選択で他の要素を含む)ことを指すことができる。
【0128】
「含む(including)」、「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「含む(involving)」、およびそれらの変化形の使用は、その前に列挙される項目および追加の項目を包含することを意味する。
【0129】
特許請求の範囲における特許請求項要素を修飾するための「第1の」、「第2の」、「第3の」などの序数用語の使用は、それ自体では、ある特許請求項要素の別の特許請求項要素に対する重要度、優先順位、もしくは順序を暗示しておらず、または方法の動作が実施される時間的順序を暗示するものではない。特許請求項要素を区別するため、序数用語を単なるラベルとして使用して、特定の名称を有するある特許請求項要素を、(順序用語の使用がなければ)同じ名称を有する別の特許請求項要素と区別する。