(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】センスアンプ、メモリ及び制御方法
(51)【国際特許分類】
G11C 7/06 20060101AFI20231110BHJP
G11C 7/08 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
G11C7/06 120
G11C7/08
(21)【出願番号】P 2022544414
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 CN2021107522
(87)【国際公開番号】W WO2022198856
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】202110313695.9
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522246670
【氏名又は名称】チャンシン メモリー テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CHANGXIN MEMORY TECHNOLOGIES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スー シン-チェン
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0012868(US,A1)
【文献】特開2002-025268(JP,A)
【文献】特開平08-063978(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0018295(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 7/06
G11C 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センスアンプであって、
前記センスアンプが増幅段階にあるとき、ビットラインとリファレンスビットラインとの間の電圧差を増幅するための増幅モジュールと、
前記増幅モジュールに接続されており、前記ビットラインと前記リファレンスビットラインとの間の定格補償電圧範囲に従って駆動パラメータを決定して、前記駆動パラメータに従って前記増幅モジュールに電源を供給し、オフセットキャンセル段階で前記ビットラインと前記リファレンスビットラインとの間の補償電圧を定格補償電圧まで調整するように前記増幅モジュールを制御するための制御可能な電源モジュールであって、前記定格補償電圧が前記定格補償電圧範囲内にある制御可能な電源モジュールと、を含
み、
前記制御可能な電源モジュールは、
前記増幅モジュールの第1端に接続されており、前記増幅モジュールに電源を供給するための第1の制御可能な電源ユニットと、
前記増幅モジュールの第2端に接続されており、前記増幅モジュールに電源を供給するための第2の制御可能な電源ユニットと、
前記第1の制御可能な電源ユニットと前記第2の制御可能な電源ユニットとに接続されており、前記定格補償電圧範囲に従って前記駆動パラメータを決定して、前記駆動パラメータに従って前記増幅モジュールに電源を供給するように前記第1の制御可能な電源ユニットと前記第2の制御可能な電源ユニットとを制御するための制御ユニットと、を含み、
前記増幅モジュールには、
少なくとも1つのクロスカップリング増幅回路が含まれ、前記クロスカップリング増幅回路には、第1端、第2端、第3端及び第4端が設けられており、その第1端が前記第1の制御可能な電源ユニットの出力端に接続され、その第2端が前記第2の制御可能な電源ユニットの出力端に接続され、その第3端が前記ビットラインに接続され、その第4端が前記リファレンスビットラインに接続される、
センスアンプ。
【請求項2】
前記第1の制御可能な電源ユニットには、
N個の第1の制御可能な電流源が含まれ、各第1の制御可能な電流源には、制御端、第1端及び第2端が設けられており、その第1端が第1の給電端に接続され、その第2端が前記増幅モジュールの第1端に接続され、その制御端が前記制御ユニットに接続され、Nが正の整数である請求項
1に記載のセンスアンプ。
【請求項3】
前記第2の制御可能な電源ユニットには、
N個の第2の制御可能な電流源が含まれ、各第2の制御可能な電流源には、制御端、第1端及び第2端が設けられており、その第1端が第2の給電端に接続され、その第2端が前記増幅モジュールの第2端に接続され、その制御端が前記制御ユニットに接続される、請求項
2に記載のセンスアンプ。
【請求項4】
前記制御ユニットは、
前記定格補償電圧範囲に従って第1の駆動電流範囲と第2の駆動電流範囲とを決定するために使用され、
前記N個の第1の制御可能な電流源から少なくとも1つの第1の目標電流源を選択して、前記N個の第2の制御可能な電流源から少なくとも1つの第2の目標電流源を選択するために使用され、ここで、前記少なくとも1つの第1の目標電流源により提供される合計電流が前記第1の駆動電流範囲内にあり、前記少なくとも1つの第2の目標電流源により提供される合計電流が前記第2の駆動電流範囲内にあり、
前記第1の目標電流源の動作を制御するための第1の制御信号を生成して、前記第2の目標電流源の動作を制御するための第2の制御信号を生成することにより、前記第1の制御可能な電源ユニットが前記オフセットキャンセル段階で前記ビットラインと前記リファレンスビットラインとの電圧を調整するように前記増幅モジュールを制御し、前記第2の制御可能な電源ユニットが前記オフセットキャンセル段階で前記ビットラインと前記リファレンスビットラインとの電圧を調整するように前記増幅モジュールを制御するために使用される、請求項
3に記載のセンスアンプ。
【請求項5】
第i個の第1の制御可能な電流源の駆動電流が
【数1】
であり、第j個の第2の制御可能な電流源の駆動電流が
【数2】
であり、
【数3】
が単位電流を表す、請求項
3又は
4に記載のセンスアンプ。
【請求項6】
前記第1の制御可能な電流源がP型トランジスタであり、前記第2の制御可能な電流源がN型トランジスタである、請求項
3又は
4に記載のセンスアンプ。
【請求項7】
前記クロスカップリング増幅回路は、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第3のトランジスタ、第4のトランジスタ、第1のスイッチ、第2のスイッチ、第3のスイッチ、及び第4のスイッチを含み、
前記第1のトランジスタの第1端が前記クロスカップリング増幅回路の第1端になり、前記第2のトランジスタの第2端が前記クロスカップリング増幅回路の第2端になり、前記第1のトランジスタの第2端が前記クロスカップリング増幅回路の第3端になり、前記第3のトランジスタの第2端が前記クロスカップリング増幅回路の第4端になっており、
前記第1のトランジスタの第2端が第2のトランジスタの第1端に接続され、前記第3のトランジスタの第2端が前記第4のトランジスタの第1端に接続され、前記第1のトランジスタの第1端が前記第3のトランジスタの第1端に接続され、前記第2のトランジスタの第2端が前記第4のトランジスタの第2端に接続され、
前記第1のトランジスタの制御端が前記第3のトランジスタの第2端に接続され、前記第2のトランジスタの制御端が前記第1のスイッチを介して前記第3のトランジスタの第2端に接続され、前記第2のトランジスタの制御端が前記第3のスイッチを介して前記第2のトランジスタの第1端に接続され、
前記第3のトランジスタの制御端が前記第1のトランジスタの第2端に接続され、前記第4のトランジスタの制御端が前記第2のスイッチを介して前記第1のトランジスタの第2端に接続され、前記第4のトランジスタの制御端が前記第4のスイッチを介して前記第4のトランジスタの第1端に接続される、請求項
1に記載のセンスアンプ。
【請求項8】
前記第1のトランジスタ及び第3のトランジスタはP型トランジスタであり、前記第2のトランジスタ及び前記第4のトランジスタはN型トランジスタである、請求項
7に記載のセンスアンプ。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか1項に記載のセンスアンプと記憶ユニットとを含むメモリであって、
複数の前記記憶ユニットが第1の記憶アレイを構成し、複数の前記記憶ユニットが第2の記憶アレイを構成し、前記センスアンプが前記第1の記憶アレイと前記第2の記憶アレイとの間に位置し、前記センスアンプの第3端が前記第1の記憶アレイのビットラインに接続され、前記センスアンプの第4端が前記第2の記憶アレイのリファレンスビットラインに接続される、メモリ。
【請求項10】
センスアンプの制御方法であって、前記センスアンプは、増幅モジュールと制御可能な電源モジュールとを含み、前記方法は、
ビットラインとリファレンスビットラインとの間の定格補償電圧範囲を取得するステップと、
前記定格補償電圧範囲に従って駆動パラメータを決定するステップと、
前記駆動パラメータに従って増幅モジュールを制御するための制御信号を生成し、オフセットキャンセル段階で前記ビットラインと前記リファレンスビットラインとの間の補償電圧を定格補償電圧まで調整するように前記増幅モジュールを制御するステップであって、前記定格補償電圧が前記定格補償電圧範囲内にあるステップと、を含
み、
前記制御可能な電源モジュールは、第1の制御可能な電源ユニットと第2の制御可能な電源ユニットとを含み、
前記増幅モジュールには、
少なくとも1つのクロスカップリング増幅回路が含まれ、前記クロスカップリング増幅回路には、第1端、第2端、第3端及び第4端が設けられており、その第1端が前記第1の制御可能な電源ユニットの出力端に接続され、その第2端が前記第2の制御可能な電源ユニットの出力端に接続され、その第3端が前記ビットラインに接続され、その第4端が前記リファレンスビットラインに接続される、
センスアンプの制御方法。
【請求項11】
前記定格補償電圧範囲に従って駆動パラメータを決定するステップは、
定格補償電圧範囲に従って第1の駆動電流範囲と第2の駆動電流範囲とを決定するステップを含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の制御可能な電源ユニットには、N個の第1の制御可能な電流源が含まれ、前記第2の制御可能な電源ユニットには、N個の第2の制御可能な電流源が含まれ、前記駆動パラメータに従って増幅モジュールを制御するための制御信号を生成するステップは、
前記N個の第1の制御可能な電流源から少なくとも1つの第1の目標電流源を選択して、前記N個の第2の制御可能な電流源から少なくとも1つの第2の目標電流源を選択するステップであって、前記少なくとも1つの第1の目標電流源により提供される合計電流が前記第1の駆動電流範囲内にあり、前記少なくとも1つの第2の目標電流源により提供される合計電流が前記第2の駆動電流範囲内にあるステップと、
前記第1の目標電流源の動作を制御するための第1の制御信号を生成して、前記第2の目標電流源の動作を制御するための第2の制御信号を生成するステップと、を含む、請求項
11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、センスアンプ、メモリ及び制御方法に関するが、それらに限定されない。
【背景技術】
【0002】
携帯電話や、タブレットパソコン、パソコンなどの電子機器の普及につれて、半導体メモリ技術は飛躍的な発展を遂げた。
【0003】
センスアンプ(Sense Amplifier,SAと略称)は、半導体メモリの1つの重要な構成部分であり、その主な機能がビットライン上の小信号を増幅して、読み取り又は書き込み操作を実行することである。半導体メモリ線幅がやや小さくなると、半導体メモリ記憶セルの静電容量値は減少し、半導体メモリ内の回路のノイズはセンスアンプの検出分解能を大きく影響するため、半導体メモリ内には、オフセットキャンセルセンスアンプ(Offset Cancellation Sense Amplifier,OCSAと略称)が採用されている。
【0004】
しかしながら、OCSAが導入された結果、外部読み取り回路が、ビットライン及びリファレンスビットラインに示されるデータを誤って読み取りやすい傾向がある。
【発明の概要】
【0005】
本願の実施例は、センスアンプを提供し、
センスアンプが増幅段階にあるとき、ビットラインとリファレンスビットラインとの間の電圧差を増幅するための増幅モジュールと、
増幅モジュールに接続されており、ビットラインとリファレンスビットラインとの間の定格補償電圧範囲に従って駆動パラメータを決定して、駆動パラメータに従って増幅モジュールに電源を供給し、オフセットキャンセル段階でビットラインとリファレンスビットラインとの間の補償電圧を定格補償電圧まで調整するように増幅モジュールを制御するための制御可能な電源モジュールであって、定格補償電圧が定格補償電圧範囲内にある制御可能な電源モジュールと、を含む。
【0006】
本願の実施例は、また、上記した本願の実施例に係るセンスアンプと記憶ユニットとを含むメモリを提供し、
複数の記憶ユニットが第1の記憶アレイを構成し、複数の記憶ユニットが第2の記憶アレイを構成し、センスアンプが第1の記憶アレイと第2の記憶アレイとの間に位置し、センスアンプの第3端が第1の記憶アレイのビットラインに接続され、センスアンプの第4端が第2の記憶アレイのリファレンスビットラインに接続される。
【0007】
本願の実施例は、さらに、センスアンプの制御方法を提供し、センスアンプは、増幅モジュールと制御可能な電源モジュールとを含み、前記方法は、
ビットラインとリファレンスビットラインとの間の定格補償電圧範囲を取得するステップと、
定格補償電圧範囲に従って駆動パラメータを決定するステップと、
駆動パラメータに従って増幅モジュールを制御するための制御信号を生成し、オフセットキャンセル段階でビットラインとリファレンスビットラインとの間の補償電圧を定格補償電圧まで調整するように増幅モジュールを制御するステップであって、定格補償電圧が定格補償電圧範囲内にあるステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本願の1つの実施例により提供されるメモリの回路構造概略図である。
【
図2】本願の他の実施例により提供されるセンスアンプの回路構造概略図である。
【
図3a】本願により提供されるビットライン電圧とリファレンスビットライン電圧との調整幅の比較概略図である。
【
図3b】本願により提供されるビットライン電圧とリファレンスビットライン電圧との調整幅の比較概略図である。
【
図3c】本願により提供されるビットライン電圧とリファレンスビットライン電圧との調整幅の比較概略図である。
【
図4】本願の他の実施例により提供されるセンスアンプの回路構造概略図である。
【
図5】本願の他の実施例により提供されるセンスアンプの回路構造概略図である。
【
図6】本願の他の実施例により提供されるデータ読み取りのシーケンス図である。
【
図7】本願の他の実施例により提供されるセンスアンプのオフセットキャンセル段階での等価回路図である。
【
図8】本願の他の実施例により提供されるセンスアンプの制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願の目的、技術案及び利点をより明瞭にするために、以下、本願に係る図面を参照しながら、本願における技術案を明瞭で、且つ完全に説明し、当然ながら、記載される実施例は本願の実施例の一部にすぎず、すべての実施例ではない。当業者が本願における実施例に基づいて創造的な労働なしに取得されたその他のすべての実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0010】
図1に示すように、本願の1つの実施例は、メモリ100を提供し、メモリ100は、センスアンプ10と複数の記憶ユニット21とを含む。複数の記憶ユニット21が第1の記憶アレイ20を構成し、複数の記憶ユニット21が第2の記憶アレイ30を構成する。第1の記憶アレイ20にある各記憶ユニット21が第1の記憶アレイ20のビットラインBLに接続され、第2の記憶アレイ30にある各記憶ユニット21が第2の記憶アレイ30のビットラインBLに接続される。
【0011】
センスアンプ10は、第1の記憶アレイ20と第2の記憶アレイ30との間に位置し、センスアンプ10の第1端が第1の給電端に接続され、センスアンプ10の第2端が第2の給電端に接続され、センスアンプ10の第3端が第1の記憶アレイ20のビットラインに接続され、センスアンプ10の第4端が第2の記憶アレイ30のビットラインに接続される。
【0012】
各記憶ユニット21は、1ビットのデータを記憶するために使用され、第1の記憶アレイ20のビットラインは、第1の記憶アレイ20にある各記憶ユニット21内に記憶されたデータにアクセスするために使用され、第2の記憶アレイ30のビットラインは、第2の記憶アレイ30にある各記憶ユニット21内に記憶されたデータにアクセスするために使用される。センスアンプ10は、各記憶ユニット21に記憶されたデータを増幅して、第1の記憶アレイ20のビットラインと第2の記憶アレイ30のビットラインとに示す。センスアンプ10は、また、データ読み取り操作を1回完了した後、記憶ユニット21を読み取り操作前の状態に復元するために使用される。
【0013】
各記憶ユニット21は、ストレージコンデンサCとアクセストランジスタTとを含み、ストレージコンデンサCの第1端が固定電源、例えば、
【数1】
に接続され、ストレージコンデンサCの第2端がアクセストランジスタTの第1端に接続され、アクセストランジスタTの第2端がビットラインに接続され、アクセストランジスタTの制御端がワードラインに接続される。
【0014】
論理的1及び0は、ストレージコンデンサCに記憶された電荷の多寡又はストレージコンデンサCの両端の電圧差の大小で示される。アクセストランジスタTは、ストレージコンデンサCに記憶された情報の読み取り又は書き換えを許可又は禁止するかどうかを制御するために使用される。
【0015】
説明の便宜上、第1の記憶アレイ20内にある1つの記憶ユニット21におけるデータを読み取るとき、第1の記憶アレイ20のビットラインは、ビットラインBLと呼ばれ、第2の記憶アレイ30のビットラインは、リファレンスビットラインBLBと呼ばれる。第2の記憶アレイ30内にある1つの記憶ユニット21におけるデータを読み取るとき、第2の記憶アレイ30のビットラインは、ビットラインBLと呼ばれ、第1の記憶アレイ20のビットラインBLは、リファレンスビットラインBLBと呼ばれる。
【0016】
メモリ線幅が小さくなると、メモリ記憶セルの静電容量値も減少され、メモリ内の回路のノイズは、センスアンプの検出分解能を大きく影響するため、半導体メモリ内には、オフセットキャンセルセンスアンプが採用されている。
【0017】
オフセットキャンセルセンスアンプでは、増幅モジュールは、2つのN型トランジスタと2つのP型トランジスタとを含んでいる。2つのP型トランジスタは、クロスカップリング接続を保持している。アイドル段階及びオフセットキャンセル段階では、2つのNトランジスタは、ダイオードを用いて接続されるが、その他の動作段階では、2つのN型トランジスタは、他の接続手段を用いて接続される。
【0018】
以下、第1の記憶アレイ20にある1つの記憶ユニット21からデータ「1」を読み取るプロセスについて説明する。データ読み取りプロセスとして、アイドル段階、オフセットキャンセル段階、プリチャージ段階、アクセス段階、増幅段階及び復元段階を含む。
【0019】
アイドル段階では、増幅モジュール内には、シングルクロスカップリング回路が形成されており、つまり、2つのP型トランジスタがクロスカップリングインバータを構成し、2つのN型トランジスタがいずれもダイオードを用いて接続され、充電電源を介してビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとに対して充電を行う。
【0020】
オフセットキャンセル段階では、増幅モジュール内には、シングルクロスカップリング回路が引き続き形成され、ダイオードを用いて接続された2つのトランジスタは、製造上の差異が存在するため、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとには、補償電圧が発生し、そして、当該補償電圧(オフセット電圧とも呼ばれる)は、ダイオードで接続されたトランジスタペア内のトランジスタ製造上の差異を相殺することができる。
【0021】
プリチャージ段階では、増幅モジュール内には、シングルクロスカップリング回路が構成され、つまり、そのうちの一方の2つのトランジスタがクロスカップリングインバータを構成し、他方の2つのトランジスタの制御端がフローティングのままであり、電源によりN型トランジスタとP型トランジスタとの接続点の電圧を調整し、接続点での補償電圧が保持される。
【0022】
アクセス段階では、増幅モジュール内には、ダブルクロスカップリング回路が構成され、つまり、2つのP型トランジスタがクロスカップリングインバータを構成し、2つのN型トランジスタもクロスカップリングインバータを構成し、それにより、N型トランジスタとP型トランジスタとの接続点でビットラインとリファレンスビットラインとの電圧が基準電圧まで調整され、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとには補償電圧が保持される。アクセスされる記憶ユニット21に対応するワードライン内の信号を制御することにより、アクセスされる記憶ユニット21内のアクセストランジスタTが導通され、ストレージコンデンサCがビットラインBLの電圧を上げて、その結果、ビットラインBLの電圧が基準電圧よりも高くなる。
【0023】
増幅段階では、ビットラインBLの電圧が基準電圧よりも高いため、センスアンプ10はビットラインBLの電圧を上げて調整し、また、センスアンプはリファレンスビットラインBLBの電圧を下げて調整し、ビットラインBLとファレンスビットラインBLBとには補償電圧が保持されているため、増幅段階ではトランジスタペア内のトランジスタ製造上の差異を相殺することができ、これによりビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとの間の電圧差で、アクセスされる記憶ユニット21におけるデータが「1」であることを反映することができる。
【0024】
復元段階では、センスアンプ10は、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとの電圧を論理データ「1」に安定させ、さらに、ビットラインBLはストレージコンデンサCを充電し、ストレージコンデンサCの電荷は、一定時間充電した後、読み取り操作前の状態に復元する。列選択ライン内の信号を制御することにより、外部読み取り回路は、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとから、アクセスされる記憶ユニット21内に記憶されたデータを読み取ることができる。
【0025】
しかしながら、オフセットキャンセル段階、プリチャージ段階及び増幅段階を経ると、外部読み取り回路は、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとに示されるデータを誤って読み取りやすい。
【0026】
本願は、上記問題を解決するために、センスアンプ、メモリ及び制御方法を提供する。本願の技術的構想は以下の通りである。センスアンプがオフセットキャンセル段階にあるとき、制御可能な電源モジュールから増幅モジュールへの給電パラメータが制御され、増幅モジュールにより、オフセットキャンセル段階にあるときのビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとの補償電圧の数値が制御され、それにより、補償電圧が定格電圧範囲内にあり、復元段階では外部読み取り回路はビットラインBLとリファレンスビットラインBLBでのデータを正確に読み取ることができるよう確保される。
【0027】
図2に示すように、本願は、センスアンプ10を提供し、当該センスアンプ10は、増幅モジュール101と制御可能な電源モジュール102とを含み、増幅モジュール101と制御可能な電源モジュール102とが接続される。
【0028】
増幅モジュール101は、センスアンプ10が増幅段階にあるとき、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとの間の電圧差を増幅するために使用される。制御可能な電源モジュール102は、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとの間の定格補償電圧範囲に従って駆動パラメータを決定して、駆動パラメータに従って増幅モジュール101に電源を供給するために使用される。
【0029】
増幅モジュール101は、制御可能な電源モジュール102の制御下で、オフセットキャンセル段階でビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとの間の補償電圧(オフセット電圧とも呼ばれる)を定格補償電圧まで調整する。ここで、定格補償電圧が定格補償電圧範囲内にある。ここで、補償電圧とは、オフセットキャンセル段階では、ビットライン電圧とリファレンスビットライン電圧との間の電圧差のことである。例えば、ビットラインBL上の電圧からリファレンスビットラインBLB上の電圧を引いたものが補償電圧に等しいか、または、リファレンスビットラインBLB上の電圧からビットラインBL上の電圧を引いたものが補償電圧に等しい。
【0030】
記憶ユニット内のデータを読み取るプロセスでは、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBでの補償電圧の大きさがデータ読み取りの正確さに影響を与える。ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBでの補償電圧が大きすぎる場合、補償電圧が干渉要素となり、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとには、記憶ユニットにおける論理データが正確に示されることができなくなるが、補償電圧が小さすぎる場合、素子製造上の差異によるオフセットを補償することができず、素子製造上の差異が依然としてビットラインBLとリファレンスビットラインBLBでの電圧オフセットを引き起こし、その結果、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとには、記憶ユニットにおける論理データが正確に示されることができなくなる。
【0031】
制御可能な電源モジュール102は、その駆動能力によってオフセットキャンセル段階でのビットラインBLとリファレンスビットラインBLBでの補償電圧の数値が影響される。
図3a及び
図3bに示すように、センスアンプの第1端
【数2】
と第2端
【数3】
との電圧調整能力が強すぎる場合、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBでの補償電圧Vosの数値が大きくなりすぎるため、外部読み取り回路は、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBでのデータを読み取るとき、常に論理データ「1」又は論理「0」を読み取る。
【0032】
図3cに示すように、本実施例では、センスアンプ設計段階では、シミュレーションによって定格補償電圧範囲を取得することができ、センスアンプ製造段階では、テストによって定格補償電圧範囲を取得することができる。ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとの間の定格補償電圧範囲に従って駆動パラメータを決定して、駆動パラメータに従って増幅モジュール101に電源を供給し、増幅モジュール101は、制御可能な電源モジュール102の制御下で、オフセットキャンセル段階でビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとの間の補償電圧Vosを定格補償電圧まで調整する。
【0033】
ここで、定格補償電圧が定格補償電圧範囲内にあり、プリチャージ段階、アクセス段階及び増幅段階を経ると、素子製造上の差異によるビットラインBLとリファレンスビットラインBLBでの電圧オフセットは、定格補償電圧によって消去又は部分的に相殺され、かつ、補償電圧も干渉要素として導入されることがなくなり、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとには、記憶ユニットにおける論理データが正確に示されることができる。
【0034】
上記技術案において、制御可能な電源モジュールは、定格補償電圧範囲に従って駆動パラメータを決定して、駆動パラメータに従って増幅モジュールに給電し、オフセットキャンセル段階でビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとの間の補償電圧を定格補償電圧まで調整するように増幅モジュールを制御することができ、素子製造上の差異によるビットラインBLとリファレンスビットラインBLBでの電圧オフセットは、定格補償電圧によって消去又は部分的に相殺され、かつ、補償電圧も干渉要素として導入されることがなくなり、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとには、記憶ユニットにおける論理データが正確に示されることができ、外部読み取り回路は、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBでのデータを正確に読み取ることができる。
【0035】
図4に示すように、本願は、センスアンプを提供し、当該センスアンプ10は、増幅モジュール101と制御可能な電源モジュール102とを含み、増幅モジュール101と制御可能な電源モジュール102とが接続される。
【0036】
ここで、制御可能な電源モジュール102は、第1の制御可能な電源ユニット1021、第2の制御可能な電源ユニット1022及び制御ユニット1025を含み、増幅モジュール101には、第1端、第2端、第3端及び第4端が設けられている。
【0037】
第1の制御可能な電源ユニット1021の出力端が増幅モジュール101の第1端に接続され、第2の制御可能な電源ユニット1022の出力端が増幅モジュール101の第2端に接続され、制御ユニット1025が第1の制御可能な電源ユニット1021の制御端に接続され、制御ユニット1025はまた、第2の制御可能な電源ユニット1022の制御端に接続される。
【0038】
第1の制御可能な電源ユニット1021及び第2の制御可能な電源ユニット1022は、いずれも増幅モジュール101に電源を供給するために使用され、制御ユニット1025は、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとの間の定格補償電圧範囲に従って駆動パラメータを決定して、駆動パラメータに従って増幅モジュール101に電源を供給するように第1の制御可能な電流源1023と第2の制御可能な電流源1024とを制御する。
【0039】
増幅モジュールは、第1の制御可能な電源ユニット1021と第2の制御可能な電源ユニット1022との制御下で、オフセットキャンセル段階でビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとの間の補償電圧を定格補償電圧まで調整する。ここで、定格補償電圧が定格補償電圧範囲内にある。
【0040】
ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとの間の定格補償電圧範囲に従って駆動パラメータを決定して、駆動パラメータに従って増幅モジュールに電源を供給することにより、増幅モジュールは、制御可能な電源モジュールの制御下で、オフセットキャンセル段階でビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとの間の補償電圧を定格補償電圧まで調整する。
【0041】
ここで、定格補償電圧が定格補償電圧範囲内にあり、オフセットキャンセル段階、プリチャージ段階、アクセス段階及び増幅段階を経ると、素子製造上の差異によるビットラインBLとリファレンスビットラインBLBでの電圧オフセットは、定格補償電圧によって消去又は部分的に相殺され、かつ、補償電圧も干渉要素として導入されることがなくなり、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとには、記憶ユニットにおける論理データが正確に示されることができる。
【0042】
他の実施例では、第1の制御可能な電源ユニット1021は、N個の第1の制御可能な電流源1023を含む。各第1の制御可能な電流源1023には、制御端、第1端及び第2端が設けられている。各第1の制御可能な電流源1023の第2端が第1の制御可能な電源ユニット1021の出力端になり、各第1の制御可能な電流源1023の制御端が第1の制御可能な電源ユニット1021の制御端になっている。第1の制御可能な電流源1023の第1端が第1の給電端に接続され、第1の制御可能な電流源1023の第2端が増幅モジュール101の第1端に接続される。第1の制御可能な電流源1023の制御端が制御ユニット1025に接続され、Nが正の整数である。
【0043】
第2の制御可能な電源ユニット1022は、N個の第2の制御可能な電流源1024を含み、第2の制御可能な電流源1024には、制御端、第1端及び第2端が設けられている。各第2の制御可能な電流源1024の第2端が第2の制御可能な電源ユニット1022の出力端になり、各第2の制御可能な電流源1024の制御端が第2の制御可能な電源ユニット1022の制御端になっている。第2の制御可能な電流源1024の第1端が第2の給電端に接続され、第2の制御可能な電流源1024の第2端が増幅モジュール101の第2端に接続される。第2の制御可能な電流源1024の制御端が制御ユニット1025に接続される。
【0044】
制御ユニットは、定格補償電圧範囲に従って第1の駆動電流範囲と第2の駆動電流範囲とを決定し、N個の第1の制御可能な電流源から少なくとも1つの第1の目標電流源を選択し、N個の第2の制御可能な電流源から少なくとも1つの第2の目標電流源を選択するために使用される。ここで、少なくとも1つの第1の目標電流源により提供される合計電流が第1の駆動電流範囲内にあり、少なくとも1つの第2の目標電流源により提供される合計電流が第2の駆動電流範囲内にある。制御ユニットは、さらに、第1の目標電流源の動作を制御するための第1の制御信号を生成し、第2の目標電流源の動作を制御するための第2の制御信号を生成することにより、第1の制御可能な電源ユニットは、オフセットキャンセル段階でビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとの電圧を調整するように増幅モジュールを制御し、第2の制御可能な電源ユニットは、オフセットキャンセル段階でビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとの電圧を調整するように増幅モジュールを制御し、それによって、オフセットキャンセル段階でビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとの間の補償電圧は定格補償電圧まで調整される。
【0045】
他の実施例では、第i個の第1の制御可能な電流源1023により提供される駆動電流が
【数4】
で、第j個の第2の制御可能な電流源1024により提供される駆動電流が
【数5】
で、
【数6】
が単位電流を表す。N個の第1の制御可能な電流源1023及びN個の第2の制御可能な電流源1024の両方とも、
【数7】
個のレベルの駆動電流を供給することができ、単位電流の範囲値を調整することにより、増幅モジュール101がビットライン電圧とリファレンスビットライン電圧とを調整するレートは精確に調整されることができ、さらに、ビットライン電圧とリファレンスビットライン電圧との調整範囲値は制御され、オフセットキャンセル段階では、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとの間の補償電圧が定格補償電圧範囲内にあるように精確に制御される。
【0046】
上記実施例では、第1の制御可能な電流源と第2の制御可能な電流源との動作状態を制御することにより、第1の制御可能な電源ユニットと第2の制御可能な電源ユニットとの駆動パラメータを制御し、増幅モジュールがビットラインBLとリファレンスビットライン電圧とを調整するレートを制御し、さらに、ビットライン電圧とリファレンスビットライン電圧との調整範囲を制御し、その結果、オフセットキャンセル段階でビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとの間の補償電圧を定格補償電圧まで調整するように増幅モジュールを制御し、素子製造上の差異によるビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとの電圧オフセットは、定格補償電圧によって消去又は部分的に相殺され、かつ、補償電圧も干渉要素として導入されることがなくなり、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとには、記憶ユニットにおける論理データが正確に示されることができ、外部読み取り回路は、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBでのデータを正確に読み取ることができる。
【0047】
図5に示すように、本願の実施例は、センスアンプ10を提供し、センスアンプ10は、増幅モジュール101と制御可能な電源モジュール102とを含み、増幅モジュール101と制御可能な電源モジュール102とが接続される。
【0048】
増幅モジュール101は、少なくとも1つのクロスカップリング増幅回路を含み、各クロスカップリング増幅回路には、第1端、第2端、第3端及び第4端が設けられており、クロスカップリング増幅回路の第1端が第1の制御可能な電源ユニット1021の出力端に接続され、クロスカップリング増幅回路の第2端が第2の制御可能な電源ユニット1022の出力端に接続され、クロスカップリング増幅回路の第3端がビットラインBLに接続され、クロスカップリング増幅回路の第4端がリファレンスビットラインBLBに接続される。
【0049】
ここで、クロスカップリング増幅回路は、オフセットキャンセル機能付きのシングルクロスカップリング増幅回路であり、クロスカップリング回路は、具体的に、第1のトランジスタT1、第2のトランジスタT2、第3のトランジスタT3、第4のトランジスタT4、第1のスイッチK1、第2のスイッチK2、第3のスイッチK3、及び第4のスイッチK4を含む。
【0050】
第1のトランジスタT1の第1端がクロスカップリング増幅回路の第1端になり、第2のトランジスタT2の第2端がクロスカップリング増幅回路の第2端になり、第1のトランジスタT1の第2端がクロスカップリング増幅回路の第3端になり、第3のトランジスタT3の第2端がクロスカップリング増幅回路の第4端になっている。
【0051】
第1のトランジスタT1の第2端が第2のトランジスタT2の第1端に接続され、第3のトランジスタT3の第2端が第4のトランジスタT4の第1端に接続され、第1のトランジスタT1の第1端が第3のトランジスタT3の第1端に接続され、第2のトランジスタT2の第2端が第4のトランジスタT4の第2端に接続される。
【0052】
第1のトランジスタT1の制御端が第3のトランジスタT3の第2端に接続され、第2のトランジスタT2の制御端が第1のスイッチK1を介して第3のトランジスタT3の第2端に接続され、第2のトランジスタT2の制御端が第3のスイッチK3を介して第2のトランジスタT2の第1端に接続される。
【0053】
第3のトランジスタT3の制御端が第1のトランジスタT1の第2端に接続され、第4のトランジスタT4の制御端が第2のスイッチK2を介して第1のトランジスタT1の第2端に接続され、第4のトランジスタT4の制御端が第4のスイッチK4を介して第4のトランジスタT4の第1端に接続される。
【0054】
ここで、第1のトランジスタT1と第3のトランジスタT3はP型トランジスタであり、第2のトランジスタT2と第4のトランジスタT4はN型トランジスタである。
【0055】
制御可能な電源モジュール102は、第1の制御可能な電源ユニット1021と第2の制御可能な電源ユニット1022とを含み、第1の制御可能な電源ユニット1021は、N個の第1の制御可能な電流源1023を含み、第2の制御可能な電源ユニット1022は、N個の第2の制御可能な電流源1024を含む。ここで、第1の制御可能な電流源1023がP型トランジスタであり、第2の制御可能な電流源1024がN型トランジスタである。
【0056】
以下、第1の記憶アレイ20のうちの1つの記憶ユニット21からデータ「1」を読み取る過程について説明する。説明の便宜上、第1のトランジスタT1の第2端と第2のトランジスタT2の第1端との間の接続線は、第1の記憶アレイ20の内ビットラインnBLと呼ばれ、第3のトランジスタT3の第2端と第4のトランジスタT4の第1端との間の接続線は、第1の記憶アレイ20の内リファレンスビットラインnBLBと呼ばれる。
【0057】
図6に示すように、データ読み取りには、アイドル段階、オフセットキャンセル段階、プリチャージ段階、アクセス段階、増幅段階及び復元段階が含まれる。
【0058】
アイドル段階では、第1のスイッチK1から第4のスイッチK4が導通される。第2のトランジスタT2の制御端が第3のトランジスタT3の第2端に接続され、第2のトランジスタT2の制御端がその第1端に接続され、第4のトランジスタT4の制御端が第1のトランジスタT1の第2端に接続され、第4のトランジスタT4の制御端がその第1端に接続される。充電スイッチCK1とCK2とは導通され、充電電源を介して内ビットラインnBLと内リファレンスビットラインnBLBとを充電する。このとき、1つの実施例では、ビットラインBL、リファレンスビットラインBLB、内ビットラインnBL、及び内リファレンスビットラインnBLBは、いずれも
【数8】
まで充電される。
【0059】
オフセットキャンセル段階では、第1のスイッチK1と第2のスイッチK2とが切断され、第3のスイッチK3と第4のスイッチK4とが切断されるままである。
図7に示すように、第2のトランジスタT2の第1端が制御端に接続され、第4のトランジスタT4の第1端が制御端に接続され、2つのN型トランジスタは、いずれもダイオードを用いて接続されており、2つのP型トランジスタがクロスカップリングインバータを構成する。ダイオードを用いて接続された2つのトランジスタは、製造上の差異が存在するため、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとには、補償電圧が発生し、そして、当該補償電圧は、N型トランジスタペア内のトランジスタ製造上の差異を相殺することができる。N11、N12及びN13のうちの少なくとも1つのN型トランジスタは図に示す波形に従って制御され、N21、N22及びN23のうちの少なくとも1つのN型トランジスタは図に示す波形に従って制御され、第1の制御可能な電源ユニット1021と第2の制御可能な電源ユニット1022との駆動パラメータは制御されることができ、それによって、クロスカップリング増幅回路がオフセットキャンセル段階でビットラインBLとリファレンスビットライン電圧との調整範囲値は制御され、さらに、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとの間の補償電圧は定格補償電圧まで調整される。
【0060】
プリチャージ段階では、第1のスイッチK1から第4のスイッチK4がいずれも切断される。つまり、一方の2つのN型トランジスタがクロスカップリングインバータを構成し、他方の2つのトランジスタの制御端がフローティングのままであり、第1の記憶アレイ20の内ビットラインnBLの電圧と内リファレンスビットラインnBLBの電圧とは、いずれも基準電圧まで上げて調整され、基準電圧がストレージコンデンサCに接続されている固定電源の電圧である。1つの実施例では、固定電源の電圧が
【数9】
である。
【0061】
アクセス段階では、第1のスイッチK1と第2のスイッチK2とが導通され、第3のスイッチK3と第4のスイッチK4とが依然として切断されるままである。増幅モジュール内には、ダブルクロスカップリング回路が構成されており、つまり、一方の2つのトランジスタがクロスカップリングインバータを構成し、他方の2つのトランジスタもクロスカップリングインバータを構成する。内ビットラインnBLにより、ビットライン電圧が調整され、内リファレンスビットラインnBLBにより、リファレンスビットライン電圧が調整され、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとには、補償電圧が保持されたままである。例えば、オフセットキャンセル段階では、ビットラインBLでの電圧がリファレンスビットラインBLBの電圧よりも高く、その差の値が補償電圧Vosである。アクセス段階では、ビットラインBLでの電圧が依然としてリファレンスビットラインBLBの電圧よりも高く、その差の値も補償電圧Vosであり、T2とT4とのしきい値電圧間のオフセットがVosである場合、または、T1とT3とのしきい値電圧間のオフセットがVosである場合、または、T2、T1、T4、及びT3によって生成されるしきい値電圧のオフセットがVosである場合、当該アクセス段階では、Vosのセンスアンプに対する影響がなくなるか、少なくとも弱められる。
【0062】
アクセスされる記憶ユニット21に対応するワードライン内の信号を制御することにより、アクセスされる記憶ユニット21内のアクセストランジスタTが導通され、ストレージコンデンサCがビットラインBLの電圧を増加させ、その結果、ビットラインの電圧が基準電圧よりも高くなる。
【0063】
増幅段階では、第1のスイッチK1と第2のスイッチK2とが導通されるままであり、第3のスイッチK3と第4のスイッチK4とが切断されるままである。N11、N12及びN13のうちの少なくとも1つのP型トランジスタは図に示す波形に従って制御され、N21、N22及びN23のうちの少なくとも1つのN型トランジスタは図に示す波形に従って制御され、第1の制御可能な電源ユニット1021と第2の制御可能な電源ユニット1022との駆動パラメータが制御されることができ、クロスカップリング増幅回路が増幅段階でビットラインBLとリファレンスビットライン電圧との調整範囲値は制御される。ビットラインBLの電圧が基準電圧よりも高くなるため、センスアンプ10はビットラインBLの電圧を上げて調整し、また、センスアンプはリファレンスビットラインBLBの電圧を下げて調整する。ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとには、補償電圧が保持されているため、増幅段階では、センスアンプ内のN型トランジスタの製造上の差異が相殺され、その結果、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとの間の電圧差で、アクセスされる記憶ユニット21におけるデータが「1」であることを反映することができる。
【0064】
復元段階では、センスアンプ10は、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとの電圧を論理データ「1」に安定させ、さらに、ビットラインBLはさらにストレージコンデンサCを充電し、ストレージコンデンサCの電荷は、一定時間充電した後、読み取り操作前の状態に復元される。さらに列選択ライン内の信号を制御することにより、外部読み取り回路は、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとから、アクセスされる記憶ユニット21内に記憶されたデータを読み取ることができる。
【0065】
他の実施例では、第1の制御可能な電源ユニット1021には、第i個のP型トランジスタにより提供可能な駆動電流が
【数10】
であり、第2の制御可能な電源ユニット1022には、第j個のN型トランジスタにより提供可能な駆動電流が
【数11】
であり、
【数12】
が単位電流を表す。第1の制御可能な電源ユニット1021と第2の制御可能な電源ユニット1022とは、
【数13】
個のレベルの駆動電流を供給することができ、
【数14】
個のレベルの補償電圧を取得できる。
【0066】
以下、具体例を参照しながら、制御可能な電源モジュール102により提供可能な駆動電流のレベルについて説明する。第1の制御可能な電源ユニット1021は、3つのP型トランジスタを含み、第1個のP型トランジスタにより提供可能な駆動電流が
【数15】
であり、第2個のP型トランジスタにより提供可能な駆動電流が
【数16】
であり、第3個のP型トランジスタにより提供可能な駆動電流が
【数17】
である。第2の制御可能な電源ユニット1022は、3つのN型トランジスタを含み、第1個のN型トランジスタにより提供可能な駆動電流が
【数18】
であり、第2個のN型トランジスタにより提供可能な駆動電流が
【数19】
であり、第3個のN型トランジスタにより提供可能な駆動電流が
【数20】
である。
【0067】
制御可能な電源モジュール102は、7個のレベルの駆動電流を供給することができ、各レベルでのN型トランジスタとP型トランジスタとの制御信号は、以下の表1及び表2に示される。ここで、「1」が高レベル制御信号を表し、「0」が低レベル制御信号を表す。
【0068】
【0069】
【0070】
上記技術案において、P型トランジスタの導通状態とN型トランジスタの導通状態を制御することにより、制御可能な電源モジュールから増幅モジュールに提供された駆動電流のレベルを制御することにより、増幅モジュールがオフセットキャンセル段階でビットライン電圧とリファレンスビットライン電圧との調整範囲値は制御され、オフセットキャンセル段階でビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとの間の補償電圧を定格補償電圧まで調整するように増幅モジュールを制御し、その結果、素子製造上の差異によるビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとの電圧オフセットは、定格補償電圧によって消去又は部分的に相殺され、かつ、補償電圧も干渉要素として導入されることがなくなり、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBとには、記憶ユニットにおける論理データが正確に示されることができ、外部読み取り回路は、ビットラインBLとリファレンスビットラインBLBでのデータを正確に読み取ることができる。
【0071】
図8に示すように、本願は、センスアンプの制御方法を提供し、センスアンプの構造については上記実施例で詳細に説明したため、ここで繰り返して説明しない。当該制御方法は、具体的に、以下のステップを含む。
【0072】
S1001において、ビットラインとリファレンスビットラインとの間の定格補償電圧範囲を取得する。
【0073】
ここで、センスアンプ設計段階では、シミュレーションによって定格補償電圧範囲を取得することができ、センスアンプ製造段階では、テストによって定格補償電圧範囲を取得することができ、ビットラインとリファレンスビットラインとの間の補償電圧が当該定格補償電圧範囲内にあると、ビットラインとリファレンスビットラインでのデータを正確に読み取ることができる。つまり、素子製造上の差異によるビットラインとリファレンスビットラインでの電圧オフセットは、定格補償電圧によって消去又は部分的に相殺され、かつ、補償電圧も干渉要素として導入されることがなくなり、ビットラインとリファレンスビットラインとには、記憶ユニットにおける論理データが正確に示されることができ、外部読み取り回路はビットラインとリファレンスビットラインでのデータを正確に読み取ることができる。
【0074】
S1002において、定格補償電圧範囲に従って駆動パラメータを決定する。
【0075】
ここで、センスアンプをテストして、ビットラインとリファレンスビットラインとの間の補償電圧と、制御可能な電源モジュールの駆動パラメータと、の間のマッピング関係を取得し、その後、マッピング関係及び定格補償電圧範囲に従って制御可能な電源モジュールの駆動パラメータを決定する。
【0076】
S1003において、駆動パラメータに従って増幅モジュールを制御するための制御信号を生成する。
【0077】
ここで、制御可能な電源モジュールの駆動パラメータを取得した後、駆動パラメータに従って制御信号を生成し、駆動パラメータに従って増幅モジュールに給電するように制御可能な電源モジュールを制御し、それによって、オフセットキャンセル段階でビットラインとリファレンスビットラインとの間の補償電圧を定格補償電圧まで調整するように増幅モジュールを制御する。ここで、定格補償電圧が定格補償電圧範囲内にある。
【0078】
上記技術案において、制御可能な電源モジュールは定格補償電圧範囲に従って駆動パラメータを決定して、駆動パラメータに従って増幅モジュールに給電し、オフセットキャンセル段階でビットラインとリファレンスビットラインとの間の補償電圧を定格補償電圧まで調整するように増幅モジュールを制御することができ、素子製造上の差異によるビットラインとリファレンスビットラインとの電圧オフセットは、定格補償電圧によって消去又は部分的に相殺され、かつ、補償電圧も干渉要素として導入されることがなくなり、ビットラインとリファレンスビットラインとには、記憶ユニットにおける論理データが正確に示されることができ、外部読み取り回路は、ビットラインとリファレンスビットラインでのデータを正確に読み取ることができる。
【0079】
本願は、他のセンスアンプの制御方法も提供し、センスアンプの構造については上記実施例で詳細に説明したため、ここで繰り返して説明しない。当該制御方法は、具体的に、以下のステップを含む。
【0080】
S2001において、ビットラインとリファレンスビットラインとの間の定格補償電圧範囲を取得する。
【0081】
ここで、当該ステップは、上記実施例で詳細に説明したため、ここで繰り返して説明しない。
【0082】
S2002において、定格補償電圧範囲に従って第1の駆動電流範囲と第2の駆動電流範囲とを決定する。
【0083】
ここで、センスアンプをテストして、ビットラインとリファレンスビットラインとの間の補償電圧と、第1の制御可能な電源ユニットと第2の制御可能な電源ユニットとの駆動電流と、の間のマッピング関係を取得し、その後、マッピング関係及び定格補償電圧範囲に従って第1の制御可能な電源モジュールの第1の駆動電流範囲と第2の制御可能な電源モジュールの第2の駆動電流範囲とを決定する。
【0084】
S2003において、駆動パラメータに従って増幅モジュールを制御するための制御信号を生成する。
【0085】
ここで、第1の駆動電流範囲を決定した後、N個の第1の制御可能な電流源から少なくとも1つの第1の目標電流源を選択し、少なくとも1つの第1の目標電流源により提供される合計電流が第1の駆動電流範囲内にあるように確保する。また、第2の駆動電流範囲を決定した後、N個の第2の制御可能な電流源から少なくとも1つの第2の目標電流源を選択し、少なくとも1つの第2の目標電流源により提供される合計電流が第2の駆動電流範囲内にあるように確保する。そして、第1の目標電流源の動作を制御するための第1の制御信号を生成し、第2の目標電流源の動作を制御するための第2の制御信号を生成し、第1の制御可能な電源ユニット及び第2の制御可能な電源ユニットにより、オフセットキャンセル段階でビットラインとリファレンスビットラインとの間の補償電圧を定格補償電圧まで調整するように増幅モジュールを制御する。ここで、定格補償電圧が定格補償電圧範囲内にある。
【0086】
上記実施例では、第1の制御可能な電流源と第2の制御可能な電流源との動作状態を制御して、制御可能な電源モジュールから増幅モジュールに提供された駆動電流のレベルを制御することにより、増幅モジュールがオフセットキャンセル段階でビットライン電圧とリファレンスビットライン電圧との調整範囲値は制御され、オフセットキャンセル段階でビットラインとリファレンスビットラインとの間の補償電圧を定格補償電圧まで調整するように増幅モジュールを制御することができ、その結果、素子製造上の差異によるビットラインとリファレンスビットラインでの電圧オフセットは、定格補償電圧によって消去又は部分的に消去され、かつ、補償電圧も干渉要素として導入されることがなくなり、ビットラインとリファレンスビットラインとには、記憶ユニットにおける論理データが正確に示されることができ、外部読み取り回路は、ビットラインとリファレンスビットラインでのデータを正確に読み取ることができる。
【0087】
最後に説明すべきものとして、以上の各実施例は、本願の技術案を説明するためのものだけであり、これを制限するものではなく、前述の各実施例を参照しながら本願を詳細に説明したが、当業者であれば、依然として前述の各実施例に記載の技術案を修正するか、又はそのうちの一部又はすべての技術的特徴に対して等価置換を行うことができ、これらの修正又は置換は、対応する技術案の本質を本願の各実施例の技術案の主旨から逸脱させないと理解すべきである。
【0088】
本願は2021年03月24日に中国特許局に提出した、出願番号が202110313695.9で、発明の名称が「センスアンプ、メモリ及び制御方法」という中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は援用によって本願に組み合わせられる。