(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
H04L 41/122 20220101AFI20231110BHJP
H04W 48/18 20090101ALI20231110BHJP
H04W 28/084 20230101ALI20231110BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20231110BHJP
【FI】
H04L41/122
H04W48/18
H04W28/084
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2023055887
(22)【出願日】2023-03-30
【審査請求日】2023-06-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】小峯 敏彦
【審査官】和平 悠希
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/170692(WO,A1)
【文献】特開2023-005205(JP,A)
【文献】国際公開第2019/064542(WO,A1)
【文献】特表2019-511179(JP,A)
【文献】特表2022-539650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-12/66
H04L 41/00-101/695
H04W 48/18
H04W 28/084
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが使用するユーザ端末の位置を特定する位置特定部と、
前記ユーザ端末の位置において利用可能な無線通信ネットワークを仮想的に分割し
たスライスネットワークであって、前記ユーザ端末に適用可能なスライスネットワークである適用可能ネットワークを特定する
とともに、前記ユーザ端末の位置の周辺に存在する一以上の周辺エリアそれぞれにおける一以上の適用可能ネットワークを特定する特定部と、
前記ユーザ端末の位置に対して特定
された適用可能ネットワークの選択を受け付けるための情報を前記ユーザ端末に提示する
とともに、一以上の周辺エリアそれぞれに対して特定された適用可能ネットワークを示す情報を前記ユーザ端末に提示する提示部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記ユーザ端末から、一以上の通信品質の少なくともいずれかの選択を受け付ける受付部を有し、
前記提示部は、前記受付部が選択を受け付けた通信品質に対応する前記適用可能ネットワークが特定された周辺エリアを示す情報を前記ユーザ端末に提示する、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記提示部は、前記受付部が選択を受け付けた通信品質に対応する前記適用可能ネットワークが特定されなかった周辺エリアに対応付けて、前記適用可能ネットワークが特定されなかった理由を示す情報を提示する、
請求項
2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ユーザ端末から、特定した一以上の適用可能ネットワークのうち、いずれかの選択を受け付ける受付部と、
前記受付部が選択を受け付けた適用可能ネットワークを前記ユーザ端末の通信に適用する適用部と、
を有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記特定部は、前記ユーザ端末の無線通信ネットワークを利用した通信に対して所定期間に適用される通信品質を特定し、特定した通信品質よりも高い通信品質を有する適用可能ネットワークを特定する、
請求項
4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
所定期間の前記スライスネットワークの利用に対する対価の支払として、ポイント又は電子マネーによる支払が行われ、
前記提示部は、特定した一以上の適用可能ネットワークそれぞれに対応する通信品質の選択を受け付ける受付画面であって、一以上の適用可能ネットワークそれぞれの通信品質と、ユーザが保有しているポイント又は電子マネーの残高を用いて一以上の適用可能ネットワークそれぞれを利用可能な期間の長さとを関連付けて表示するとともに、前記ユーザが保有しているポイント又は電子マネーの残高を表示する受付画面を前記ユーザ端末に表示させ、
前記受付部は、前記受付画面において通信品質の選択を受け付けることにより、特定した適用可能ネットワークのいずれかの選択を受け付ける、
請求項
4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記提示部は、特定した一以上の適用可能ネットワークのうち、いずれかの選択を受け付けるための情報として、特定した一以上の適用可能ネットワークそれぞれに対応する通信品質と、当該適用可能ネットワークに対して適用可能な残りのユーザ数とを関連付けた情報を前記ユーザ端末に提示する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータが実行する、
ユーザが使用するユーザ端末の位置を特定するステップと、
前記ユーザ端末の位置において利用可能な無線通信ネットワークを仮想的に分割し
たスライスネットワークであって、前記ユーザ端末に適用可能なスライスネットワークである適用可能ネットワークを特定する
とともに、前記ユーザ端末の位置の周辺に存在する一以上の周辺エリアそれぞれにおける一以上の適用可能ネットワークを特定するステップと、
特定した適用可能ネットワークの選択を受け付けるための情報を前記ユーザ端末に提示する
とともに、一以上の周辺エリアそれぞれに対して特定した適用可能ネットワークを示す情報を前記ユーザ端末に提示するステップと、
を有する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークを仮想的に分割する技術であるネットワークスライシングが知られている。例えば、特許文献1には、無線通信ネットワークを仮想的に分割したネットワークである複数のスライスネットワークそれぞれの帯域情報や混雑度合を示す通信品質情報を取得し、優先度の高いユーザを品質が保証されるスライスネットワークに振り分けるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、無線通信ネットワークは通信容量が有限であることから、一つのエリアにおいて、スライスネットワークを提供する場合、スライスネットワークに対応する通信品質を保証可能な端末の台数が限定される。このため、スライスネットワークの利用状況によっては、当該スライスネットワークをユーザ端末の通信に適用できない場合がある。これに対し、ユーザが使用するユーザ端末に適用可能なスライスネットワークをユーザが選択できるようにすることが求められる。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ユーザ端末に適用可能なスライスネットワークを選択できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、ユーザが使用するユーザ端末の位置を特定する位置特定部と、前記ユーザ端末の位置において利用可能な無線通信ネットワークを仮想的に分割した、通信品質が保証されたスライスネットワークであって、前記ユーザ端末に適用可能なスライスネットワークである適用可能ネットワークを特定する特定部と、特定した適用可能ネットワークの選択を受け付けるための情報を前記ユーザ端末に提示する提示部と、を有する。
【0007】
前記特定部は、前記ユーザ端末の位置の周辺に存在する一以上の周辺エリアそれぞれにおける一以上の適用可能ネットワークを特定し、前記提示部は、一以上の周辺エリアそれぞれに対して特定した適用可能ネットワークを示す情報を前記ユーザ端末に提示してもよい。
【0008】
前記情報処理装置は、前記ユーザ端末から、一以上の通信品質の少なくともいずれかの選択を受け付ける受付部を有し、前記提示部は、前記受付部が選択を受け付けた通信品質に対応する前記適用可能ネットワークが特定された周辺エリアを示す情報を前記ユーザ端末に提示してもよい。
【0009】
前記提示部は、前記受付部が選択を受け付けた通信品質に対応する前記適用可能ネットワークが特定されなかった周辺エリアに対応付けて、前記適用可能ネットワークが特定されなかった理由を示す情報を提示してもよい。
【0010】
前記情報処理装置は、前記ユーザ端末から、特定した一以上の適用可能ネットワークのうち、いずれかの選択を受け付ける受付部と、前記受付部が選択を受け付けた適用可能ネットワークを前記ユーザ端末の通信に適用する適用部と、を有してもよい。
【0011】
前記特定部は、前記ユーザ端末の無線通信ネットワークを利用した通信に対して所定期間に適用される通信品質を特定し、特定した通信品質よりも高い通信品質を有する適用可能ネットワークを特定してもよい。
【0012】
所定期間の前記スライスネットワークの利用に対する対価の支払として、ポイント又は電子マネーによる支払が行われ、前記提示部は、特定した一以上の適用可能ネットワークそれぞれに対応する通信品質の選択を受け付ける受付画面であって、一以上の適用可能ネットワークそれぞれの通信品質と、ユーザが保有しているポイント又は電子マネーの残高を用いて一以上の適用可能ネットワークそれぞれを利用可能な期間の長さとを関連付けて表示するとともに、前記ユーザが保有しているポイント又は電子マネーの残高を表示する受付画面を前記ユーザ端末に表示させ、前記受付部は、前記受付画面において通信品質の選択を受け付けることにより、特定した適用可能ネットワークのいずれかの選択を受け付けてもよい。
【0013】
前記提示部は、特定した一以上の適用可能ネットワークのうち、いずれかの選択を受け付けるための情報として、特定した一以上の適用可能ネットワークそれぞれに対応する通信品質と、当該適用可能ネットワークに対して適用可能な残りのユーザ数とを関連付けた情報を前記ユーザ端末に提示してもよい。
【0014】
本発明の第2の態様に係る情報処理方法は、コンピュータが実行する、ユーザが使用するユーザ端末の位置を特定するステップと、前記ユーザ端末の位置において利用可能な無線通信ネットワークを仮想的に分割した、通信品質が保証されたスライスネットワークであって、前記ユーザ端末に適用可能なスライスネットワークである適用可能ネットワークを特定するステップと、特定した適用可能ネットワークの選択を受け付けるための情報を前記ユーザ端末に提示するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ユーザ端末に適用可能なスライスネットワークを選択できるようにすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図4】情報処理装置に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】第2の実施の形態に係る受付画面の一例(その1)を示す図である。
【
図6】第2の実施の形態に係る受付画面の一例(その2)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1の実施の形態>
[情報処理装置1の概要]
図1は、情報処理装置1の概要を説明する図である。情報処理装置1は、無線通信ネットワークを仮想的に分割したネットワークであって、所定の通信品質が保証されたスライスネットワークのユーザ端末2への適用を制御するコンピュータである。
【0018】
無線通信ネットワークは、例えば、第5世代通信(5G)専用の通信設備と5Gの基地局とにより無線通信を行う方式(5G SA方式)の携帯電話ネットワークである。無線通信ネットワークを利用するユーザ端末の通信に割り当てられるリソースブロックの割当を制御することにより、当該ユーザ端末の通信に対して、所定の通信品質が保証されたスライスネットワークが適用される。ここで、通信品質は、スループットであるが、これに限らず、通信遅延時間、パケットエラー率、パケットの到達間隔のゆらぎ、無線リソース利用率、無線リソースの混雑度合い等であってもよい。
【0019】
本実施の形態では、1つの無線通信ネットワークにおいて、通信品質が異なる一以上のスライスネットワークのいずれかが適用可能であるものとする。また、ユーザは、スライスネットワークを提供する通信事業者に所定の対価としてのポイントを支払うことにより、ユーザが使用するユーザ端末2の通信にスライスネットワークの適用を受けることができるものとする。なお、スライスネットワークの適用に対してユーザが支払う対価はポイントに限らず、電子マネーや法定通貨であってもよい。
【0020】
情報処理装置1は、例えば、ユーザが使用するユーザ端末2と通信可能に接続されている。情報処理装置1は、ユーザ端末2から、ユーザ端末2の位置を特定するための位置特定用情報を取得する(
図1における(1))。情報処理装置1は、取得した位置特定用情報に基づいてユーザ端末2の位置を特定する(
図1における(2))。
【0021】
情報処理装置1は、特定したユーザ端末2の位置においてユーザ端末2に適用可能なスライスネットワークを特定し(
図1における(3))、特定したスライスネットワークの選択を受け付けるための情報を含む受付画面をユーザ端末2に提示する(
図1における(4))。このようにすることで、情報処理装置1は、ユーザ端末2に適用可能なスライスネットワークをユーザが選択できるようにすることができる。
【0022】
その後、情報処理装置1は、受付画面においてスライスネットワークが選択されたことに応じて、選択されたスライスネットワークのユーザ端末2の通信への適用を要求する適用要求をユーザ端末2から取得する(
図1における(5))。情報処理装置1は、適用要求をユーザ端末2から取得すると、ユーザ端末2の通信に、選択されたスライスネットワークを適用する(
図1における(6))。このようにすることで、情報処理装置1は、ユーザ端末2の通信にユーザが選択したスライスネットワークを適用することができる。
【0023】
[情報処理装置1の機能構成]
続いて、情報処理装置1の機能構成について説明する。
図2は、情報処理装置1の機能構成を示す図である。情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。
【0024】
通信部11は、ユーザ端末2や、無線通信ネットワークを管理する通信制御装置(不図示)等の外部装置とデータを送受信するための通信インターフェースである。
記憶部12は、各種のデータを記憶する記憶媒体であり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及びハードディスク等を有する。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶する。記憶部12は、制御部13を、位置特定部131、スライスネットワーク特定部132、提示部133、受付部134、適用部135、及び支払管理部136として機能させるプログラムを記憶する。
【0025】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、位置特定部131、スライスネットワーク特定部132、提示部133、受付部134、適用部135、及び支払管理部136として機能する。
【0026】
位置特定部131は、ユーザが使用するユーザ端末2から、スライスネットワークの適用に係る受付画面の表示要求を取得したことに応じて、ユーザ端末2の位置を特定する。表示要求には、ユーザ端末2のユーザを識別するためのユーザID(Identification)と、位置特定用情報としての、ユーザ端末2が接続されている無線通信ネットワークの基地局がカバーするセルを識別するためのセルIDとが含まれている。
【0027】
位置特定部131は、取得したセルIDに基づいて、ユーザが使用するユーザ端末2の位置を特定する。例えば、記憶部12には、セルIDと、セルIDに対応する基地局の位置を示す位置情報とが関連付けて記憶されている。位置特定部131は、取得したセルIDに関連付けられて記憶部12に記憶されている基地局の位置情報が示す位置をユーザ端末2の位置と特定する。
【0028】
なお、位置特定部131は、セルIDを位置特定用情報として取得したがこれに限らず、ユーザ端末2の位置を示す端末位置情報を位置特定用情報として取得してもよい。この場合、位置特定部131は、取得した端末位置情報が示す位置をユーザ端末2の位置と特定する。
【0029】
また、表示要求にユーザIDとセルIDとが含まれることとしたが、これに限らずユーザIDのみが含まれていてもよい。この場合、位置特定部131は、表示要求を取得すると、表示要求に含まれているユーザIDに基づいて、当該ユーザIDに対応するユーザ端末2と接続されている無線通信ネットワークを提供する基地局を特定する。そして、位置特定部131は、特定した基地局に対応するセルIDを位置特定用情報として取得する。
【0030】
スライスネットワーク特定部132は、ユーザ端末2の位置において利用可能な無線通信ネットワークを仮想的に分割した、通信品質が保証された一以上のスライスネットワークであって、ユーザ端末2に適用可能な一以上のスライスネットワークである適用可能ネットワークを特定する。
【0031】
例えば、スライスネットワーク特定部132は、ユーザ端末2の位置において利用可能な無線通信ネットワークを提供するとともに、スライスネットワークを提供する通信制御装置に対し、スライスネットワークを適用しているユーザ端末の数を問い合わせる。無線通信ネットワークにおいて異なる通信品質の複数のスライスネットワークが利用可能である場合、スライスネットワーク特定部132は、通信制御装置に対し、複数のスライスネットワークそれぞれを適用しているユーザ端末の数を問い合わせる。スライスネットワーク特定部132は、通信制御装置から、一以上のスライスネットワークそれぞれを適用しているユーザ端末の数を示す情報を取得することにより、一以上のスライスネットワークそれぞれを適用しているユーザ端末の数を特定する。
【0032】
一以上のスライスネットワークそれぞれには、適用可能なユーザ端末の数である適用可能数が設定されている。スライスネットワーク特定部132は、一以上のスライスネットワークのうち、特定したユーザ端末の数が適用可能数よりも少ないスライスネットワークを、適用可能ネットワークとして特定する。また、スライスネットワーク特定部132は、適用可能ネットワークに対応する適用可能数から、特定したユーザ端末の数を減算することにより、適用可能な残りのユーザ数を特定してもよい。なお、スライスネットワーク特定部132は、適用可能数に基づいて適用可能ネットワークを特定したが、これに限らない。スライスネットワーク特定部132は、スライスネットワークを適用している通信のセッション数、スライスネットワークに対応するリソースブロックの使用量若しくは使用率、又は無線通信ネットワークにおいてスライスネットワークに対応する通信品質が実現できているユーザ端末の数若しくは比率等に基づいて、適用可能ネットワークを特定してもよい。
【0033】
ここで、特定された適用可能ネットワークの中には、ユーザ端末2に対して所定期間に適用される通信品質よりも低い通信品質のスライスネットワークが存在することがある。所定期間は、ユーザが無線通信ネットワーク及びスライスネットワークを提供する通信事業者との間で合意したスライスネットワークの利用に関する料金プランに対応する契約において規定されている利用期間である。料金プランは、例えば月額の料金プランであり、所定期間は、例えば1カ月である。
【0034】
スライスネットワーク特定部132は、受付画面の表示要求に含まれるユーザIDに基づいて、ユーザ端末2に対して所定期間に適用される通信品質を特定する。そして、特定した通信品質よりも高い通信品質を有する一以上の適用可能ネットワークを特定し、特定した通信品質以下のスライスネットワークを適用可能ネットワークとして特定しないように制御する。このようにすることで、情報処理装置1は、ユーザ端末2に対して所定期間に適用される通信品質よりも低く、ユーザが選択する必要がないスライスネットワークを適用可能ネットワークから除外することができる。
【0035】
提示部133は、特定した適用可能ネットワークの選択を受け付けるための情報をユーザ端末2に提示する。例えば、提示部133は、特定した適用可能ネットワークの選択を受け付けるための受付画面をユーザ端末2に送信し、当該受付画面をユーザ端末2に表示させる。受付画面は、特定した一以上の適用可能ネットワークそれぞれに対応する通信品質の選択を受け付けることにより、適用可能ネットワークの選択を受け付けるための画面である。
【0036】
図3は、受付画面の一例を示す図である。
図3に示すように、受付画面には、一以上の適用可能ネットワークそれぞれの通信品質と、通信品質を選択するための選択ボタンと、ユーザが保有しているポイントの残高を用いて一以上の適用可能ネットワークそれぞれを利用可能な期間の長さとが関連付けて表示されるとともに、ユーザが保有しているポイントの残高が表示されていることが確認できる。
【0037】
また、
図3に示す受付画面では、通信品質「品質保証なし」に対応し、スライスネットワークの適用を受けないことを選択するための選択ボタンが表示されていることが確認できる。また、
図3に示す受付画面では、通信品質「40Mbps」に対応する選択ボタンが破線で表示されている。破線の選択ボタンは、選択することができないことを示しており、通信品質「40Mbps」に対応するスライスネットワークをユーザが選択できないことを示している。このようにすることで、ユーザは、通信品質が「40Mbps」のスライスネットワークが存在するものの、自身の位置においてユーザ端末2の通信に適用できないことを認識することができる。
【0038】
また、
図3に示す受付画面では、スライスネットワークを適用するサービスを選択する選択ボタンが表示されていることが確認できる。受付画面を介して、スライスネットワークの適用を受けるサービスの選択を受け付けることにより、ユーザ端末2の通信のうち、所定のサービスに対応する通信に限定してスライスネットワークを適用することができる。
【0039】
なお、提示部133は、特定した一以上の適用可能ネットワークのうち、いずれかの選択を受け付けるための情報として、特定した一以上の適用可能ネットワークそれぞれに対応する通信品質と、当該適用可能ネットワークに対して適用可能な残りのユーザ数とを関連付けた情報をユーザ端末2に提示してもよい。例えば、提示部133は、受付画面において、特定した一以上の適用可能ネットワークそれぞれに対応する通信品質に対し、適用可能ネットワークに対して適用可能な残りのユーザ数を表示させるようにしてもよい。このようにすることで、ユーザは、適用可能ネットワークの混雑状況を把握することができると共に、適用可能ネットワークの適用を受けるかの検討材料とすることができる。
【0040】
受付部134は、特定した一以上の適用可能ネットワークのうち、いずれかの選択をユーザ端末2から受け付ける。具体的には、受付部134は、提示部133がユーザ端末2に表示させた受付画面を介して通信品質を受け付けることにより、スライスネットワーク特定部132が特定した一以上の適用可能ネットワークのいずれかの選択、又は、スライスネットワークの適用を受けないことをユーザ端末2から受け付ける。
【0041】
受付部134は、受付画面において通信品質が選択されたことに応じて、ユーザ端末2から、ユーザ端末2に対応するユーザIDと、選択された通信品質を示す選択情報とを含むスライスネットワークの適用を指示する適用指示情報を取得することにより、適用可能ネットワークの選択、又は、スライスネットワークの適用を受けないことを受け付ける。
【0042】
適用部135は、受付部134が選択を受け付けた適用可能ネットワークであるスライスネットワークをユーザ端末2の通信に適用する。適用部135は、スライスネットワークを提供する通信制御装置に対し、ユーザ端末2から取得した適用指示情報に含まれるユーザIDに対応するユーザ端末2の通信に、選択された通信品質に対応するスライスネットワークを適用する指示を行うことにより、当該ユーザ端末2の通信にスライスネットワークを適用する。
【0043】
また、適用部135は、ユーザ端末2の通信にスライスネットワークを適用している場合に、受付部134がスライスネットワークの適用を受けないことを受け付けた場合、スライスネットワークを提供する通信制御装置に対し、ユーザ端末2の通信に対するスライスネットワークの適用を中止する指示を行う。
【0044】
また、適用部135は、受付部134がスライスネットワークを適用するサービスの選択を受け付けた場合、スライスネットワークを提供する通信制御装置に対し、ユーザ端末2の通信のうち、選択されたサービスに対応する通信に限定してスライスネットワークを適用する指示を行う。
【0045】
支払管理部136は、ユーザ端末2の通信にスライスネットワークが適用された時間の長さに基づいて、ユーザから、スライスネットワークの使用に伴う対価を徴収する。本実施の形態では、所定期間のスライスネットワークの利用に対する対価の支払として、ポイントによる支払が行われる。例えば、記憶部12には、無線通信ネットワークに対応する複数のスライスネットワークそれぞれを所定時間適用することに対してユーザが支払う対価の額である単位時間あたりの消費ポイントが記憶されている。支払管理部136は、ユーザ端末2の通信に対するスライスネットワークの適用が所定時間(単位時間)経過したことに応じて、ユーザが保有しているポイントから、当該スライスネットワークの適用に係る単位時間当たりの消費ポイントを減算する。
【0046】
[動作フロー]
続いて、情報処理装置1に係る処理の流れについて説明する。
図4は、情報処理装置1に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、位置特定部131は、ユーザ端末2から、スライスネットワークの適用に係る受付画面の表示要求を取得する(S1)。表示要求には、ユーザ端末2に対応するユーザのユーザIDと、ユーザ端末2が接続されている無線通信ネットワークの基地局がカバーするセルのセルIDとが含まれている。
【0047】
位置特定部131は、表示要求を取得すると、表示要求に含まれるセルIDに基づいてユーザ端末2の位置を特定する(S2)。続いて、スライスネットワーク特定部132は、特定したユーザ端末2の位置において利用可能なスライスネットワークである適用可能ネットワークを特定する(S3)。
【0048】
続いて、提示部133は、特定した適用可能ネットワークの選択を受け付けるための受付画面をユーザ端末2に表示させる。受付部134は、受付画面を介して、適用可能ネットワークの選択を受け付ける(S4)。
【0049】
続いて、適用部135は、受付部134が選択を受け付けた適用可能ネットワーク(スライスネットワーク)をユーザ端末2の通信に適用する(S5)。
続いて、支払管理部136は、ユーザ端末2の通信にスライスネットワークが適用された時間の長さに基づいて、ユーザから、スライスネットワークの使用に伴う対価を徴収する(S6)。
【0050】
[情報処理装置1による効果]
以上説明したように、本実施の形態に係る情報処理装置1は、ユーザが使用するユーザ端末2の位置を特定し、特定したユーザ端末2の位置において利用可能なスライスネットワークである適用可能ネットワークを特定し、特定した適用可能ネットワークの選択を受け付けるための情報をユーザ端末2に提示する。このようにすることで、情報処理装置1は、ユーザ端末2に適用可能なスライスネットワークを選択できるようにすることができる。
【0051】
<第2の実施の形態>
続いて、第2の実施の形態について説明する。スライスネットワークの使用を検討するユーザの中には、自身の現在位置とは異なるエリアにおいてスライスネットワークを使用することを希望するユーザも存在する。これに対し、第2の実施の形態に係る情報処理装置1は、ユーザ端末2の位置の周辺に存在する周辺エリアにおける適用可能ネットワークを示す情報をユーザ端末2に提示する点で第1の実施の形態と異なる。以下に、第2の実施の形態に係る情報処理装置1について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ部分については適宜説明を省略する。
【0052】
第2の実施の形態において、スライスネットワーク特定部132は、位置特定部131が特定したユーザ端末2の位置の周辺に存在する一以上の周辺エリアそれぞれにおける一以上の適用可能ネットワークを特定する。例えば、スライスネットワーク特定部132は、位置特定部131が位置特定用情報として取得したセルIDが示すセルに対応するエリアを特定する。例えば、スライスネットワーク特定部132は、取得したセルIDが示すセルのカバー範囲を、セルに対応するエリアとして特定する。そして、スライスネットワーク特定部132は、特定したエリアから所定範囲内に存在する、取得したセルとは異なる一以上のセルに対応する一以上のエリアを周辺エリアとする。
【0053】
なお、スライスネットワーク特定部132は、メッシュ状に区切られた複数のエリアのうち、位置特定部131が位置特定用情報として取得したセルIDに対応するセルの位置を含むエリアから所定範囲内の一以上のエリアを周辺エリアとしてもよい。
【0054】
スライスネットワーク特定部132は、例えば、周辺エリアそれぞれにおいて無線通信ネットワークを提供するとともに、スライスネットワークを提供する通信制御装置に対し、スライスネットワークを適用しているユーザ端末の数を問い合わせ、スライスネットワークそれぞれを適用しているユーザ端末の数を特定する。そして、スライスネットワーク特定部132は、周辺エリアそれぞれにおいて、特定したユーザ端末の数が、スライスネットワークの適用可能数よりも少ないスライスネットワークを、適用可能ネットワークとして特定する。
【0055】
なお、スライスネットワーク特定部132は、所定時間おきに、複数のエリアそれぞれにおける適用可能ネットワークを特定し、エリアを識別するエリアIDと、適用可能ネットワークを示す情報とを関連付けて適用可能情報として記憶部12に記憶させてもよい。そして、スライスネットワーク特定部132は、適用可能情報を参照して、ユーザ端末2の位置の周辺に存在する一以上の周辺エリアそれぞれにおける一以上の適用可能ネットワークを特定してもよい。
【0056】
提示部133は、スライスネットワーク特定部132が一以上の周辺エリアそれぞれに対して特定した適用可能ネットワークを示す情報をユーザ端末2に提示する。例えば、提示部133は、ユーザ端末2が位置するエリアを示す位置アイコンを含むとともに、一以上の周辺エリアそれぞれを、周辺エリアに対して特定された適用可能ネットワークの通信品質のうち、最も高い通信品質を示す色で色付けしたヒートマップを地図情報として含む受付画面をユーザ端末2に表示させる。
【0057】
図5は、第2の実施の形態に係る受付画面の一例を示す図である。
図5に示すように、受付画面には、地図情報Maが含まれていることが確認できる。また、地図情報Maには、ユーザ端末2が位置するエリアを示す位置アイコンPが含まれていることが確認できる。また、地図情報Maでは、ユーザ端末2の位置の周辺エリアそれぞれが、周辺エリアにおける適用可能ネットワークの通信品質のうち、最も高い通信品質に対応して色付けされていることが確認できる。
【0058】
なお、提示部133は、受付画面において受付部134が選択を受け付けた通信品質に対応する適用可能ネットワークが特定された周辺エリアを示す情報をユーザ端末2に提示してもよい。また、提示部133は、受付画面において受付部134が選択を受け付けた通信品質に対応する適用可能ネットワークが特定されなかった周辺エリアに対応付けて、適用可能ネットワークが特定されなかった理由を示す情報を提示してもよい。
【0059】
例えば、ある周辺エリアにおいて、選択された通信品質のスライスネットワークを適用しているユーザ端末の数と、当該スライスネットワークの適用可能数とが等しい場合、当該スライスネットワークが混雑しており、適用可能ネットワークとして特定されない。この場合、適用可能ネットワークが特定されなかった理由は「混雑」となる。また、ある周辺エリアにおいて、選択された通信品質のスライスネットワークに対応するスライスネットワークが提供されていない場合、適用可能ネットワークが特定されなかった理由は「エリア外」となる。
【0060】
なお、スライスネットワーク特定部132は、スライスネットワークを適用しているユーザ端末2の通信品質を特定し、所定数のユーザ端末2の通信品質が、スライスネットワークが保証する通信品質を得られていない場合に、当該スライスネットワークを適用可能ネットワークとして特定しないようにしてもよい。この場合、適用可能ネットワークが特定されなかった理由を「弱電界」としてもよい。
【0061】
図6は、第2の実施の形態に係る受付画面の一例を示す図である。
図6に示すように、受付画面には、地図情報Mbが含まれていることが確認できる。また、地図情報Mbには、ユーザが選択した通信品質に対応する適用可能ネットワークが特定された周辺エリアが、当該通信品質に対応する色で表示されていることが確認できる。また、地図情報Mbには、ユーザが選択した通信品質に対応する適用可能ネットワークが特定されなかった周辺エリアに、特定されなかった理由を示すパターンを示すパネルが表示されていることが確認できる。
【0062】
このようにすることで、第2の実施の形態に係る情報処理装置1は、ユーザ端末2の位置の周辺エリアにおけるスライスネットワークの状況をユーザに確認させることができる。これにより、ユーザは、地図情報を確認しながら、自身の現在位置のエリアにおけるスライスネットワークを使用可能なエリアに移動して、スライスネットワークを使用し続けることができる。
【0063】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0064】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0065】
1 情報処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 位置特定部
132 スライスネットワーク特定部
133 提示部
134 受付部
135 適用部
136 支払管理部
2 ユーザ端末
【要約】
【課題】ユーザ端末に適用可能なスライスネットワークを選択できるようにする。
【解決手段】情報処理装置1は、ユーザが使用するユーザ端末2の位置を特定する位置特定部131と、ユーザ端末2の位置において利用可能な無線通信ネットワークを仮想的に分割した、通信品質が保証されたスライスネットワークであって、ユーザ端末2に適用可能なスライスネットワークである適用可能ネットワークを特定するスライスネットワーク特定部132と、特定した適用可能ネットワークの選択を受け付けるための情報をユーザ端末2に提示する提示部133と、を有する。
【選択図】
図2