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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】就職辞退対策システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/1053 20230101AFI20231110BHJP
【FI】
G06Q10/1053
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023073851
(22)【出願日】2023-04-27
【審査請求日】2023-05-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517156698
【氏名又は名称】株式会社シンミドウ
(74)【代理人】
【識別番号】100097548
【弁理士】
【氏名又は名称】保立 浩一
(72)【発明者】
【氏名】笹田 知弘
(72)【発明者】
【氏名】染谷 裕貴
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-082085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
就職を希望する求職者が操作する求職者端末と、従業員を雇用する採用活動を行っている求人企業における採用担当者が操作する求人企業端末とからのアクセスを受け付けることが可能なサーバーと、
記憶部と
を備えた就職辞退対策システムであって、
サーバーは、求職者端末に対して、就職を希望したものの選考で採用候補とされた後又は内定後に就職を辞退した場合に当該就職の辞退に関する情報を入力する辞退情報入力ページを提供するサーバーであり、
辞退情報入力ページには、当該就職を辞退した求人企業の情報を入力する辞退先企業情報入力欄と、当該就職を辞退した理由を入力する辞退理由入力欄とが設けられており、
記憶部には、辞退情報ファイルが記憶されており、
サーバーには、辞退情報入力ページで入力された辞退先企業情報と辞退理由とを辞退情報ファイルに記録する辞退情報記録プログラムが実装されており、
辞退情報入力ページには、報酬受取情報入力欄が設けられており、報酬受取情報入力欄は、辞退先企業情報入力欄及び辞退理由入力欄において各入力を行った求職者が報酬を受け取るための情報を入力するであり、
さらに、
サーバーは、求人企業端末に対して辞退情報閲覧ページを提供するサーバーであり、
辞退情報閲覧ページは、少なくとも辞退理由を表示して閲覧可能とするページであることを特徴する就職辞退対策システム。
【請求項2】
前記辞退情報閲覧ページは、就職を辞退した求職者が特定されない状態で前記辞退理由を表示して閲覧可能とするページであることを特徴とする請求項1記載の就職辞退対策システム。
【請求項3】
前記辞退情報入力ページには、選考で採用候補とされたこと又は内定が出されたことを示す証明を取得可能な情報である証明情報を入力する証明情報入力欄が設けられており、前記辞退情報記録プログラムは、入力された証明情報を前記記憶部に記憶するプログラムであることを特徴とする請求項1又は2記載の就職辞退対策システム。
【請求項4】
前記求人企業に対しては求人企業IDが付与されており、前記辞退情報閲覧ページは、求人企業IDを求人企業端末で入力して前記サーバーにアクセスすることで当該求人企業端末に表示されるページであり、
前記辞退情報ファイルに記録された辞退先企業情報には、求人企業IDに関連づけられた企業IDを含んでおり、
前記辞退情報閲覧ページは、アクセスの際に入力された求人企業IDに従い、当該求人企業IDで特定される求人企業への応募における就職辞退理由を表示し、当該求人企業IDで特定される求人企業以外に求人企業への応募における就職辞退理由を表示しないページであることを特徴とする請求項1又は2に記載の就職辞退対策システム。
【請求項5】
前記求人企業に対しては求人企業IDが付与されており、前記辞退情報閲覧ページは、求人企業IDを求人企業端末で入力して前記サーバーにアクセスすることで当該求人企業端末に表示されるページであり、
前記辞退情報ファイルに記録された辞退先企業情報には、求人企業IDに関連づけられた企業IDを含んでおり、
前記辞退情報閲覧ページは、アクセスの際に入力された求人企業IDに従い、当該求人企業IDで特定される求人企業への応募における就職辞退理由を表示することができ、当該求人企業IDで特定される求人企業以外に求人企業への応募における就職辞退理由を表示することができるページであることを特徴とする請求項1又は2に記載の就職辞退対策システム
【請求項6】
前記辞退情報閲覧ページは、就職を辞退した求人企業が特定されない状態で前記辞退理由を表示して閲覧可能とするページであることを特徴とする請求項5記載の就職辞退対策システム。
【請求項7】
前記辞退情報閲覧ページは、アクセスの際に入力された求人企業IDで特定される求人企業以外の求人企業への応募における就職辞退理由を表示する際、就職が辞退された求人企業である辞退先企業が所属する業界又は辞退先企業の本社所在地で絞り込んで就職辞退理由を表示することが可能なページであることを特徴とする請求項5記載の就職辞退対策システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の発明は、従業員の採用活動において使用されるシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
企業が将来に亘って成長を続けるには、優秀な人材を多く確保することが何よりも重要である。しかしながら、少子高齢化の時代、新卒採用は売り手市場の状況が続いており、内定率は高い値で推移している。このため、優秀な学生を確保するための企業間の競争は一層激しくなってきている。
売り手市場の状況では、一人の新卒学生が複数企業について内定を勝ち取ることも珍しくなく、中には3~4社又はそれ以上の企業から内定を受けることもある。そのように複数の企業から内定を受けた新卒学生は、当然ながらそのうちの1社を決めて入社するから、他の企業に対しては内定辞退の申し入れをすることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-175022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように企業の従業員採用活動においては、求職者に内定を出した後にその求職者が内定を辞退する(採用されることを辞退する)ことがあるが、辞退された求人企業にとっては、期待していた人材を失ったことになるので、残念な結果である。とはいえ、その残念な結果を今後の採用活動に活かす取り組みが、企業の姿勢として望まれる。
本願の発明は、このような採用活動における企業の望まれる姿勢を考慮して為されたものであり、就職辞退という結果をその後の採用活動に活かすのに好適に利用されるシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、この明細書において、就職辞退対策システムの発明が開示される。開示された発明に係る就職辞退対策システムは、就職を希望する求職者が操作する求職者端末と、従業員を雇用する採用活動を行っている求人企業における採用担当者が操作する求人企業端末とからのアクセスを受け付けることが可能なサーバーと、記憶部とを備えている。
サーバーは、求職者端末に対して、就職を希望したものの選考で採用候補とされた後又は内定後に就職を辞退した場合に当該就職の辞退に関する情報を入力する辞退情報入力ページを提供するサーバーである。
辞退情報入力ページには、当該就職を辞退した求人企業の情報を入力する辞退先企業情報入力欄と、当該就職を辞退した理由を入力する辞退理由入力欄とが設けられている。
記憶部には、辞退情報ファイルが記憶されている。
サーバーには、辞退情報入力ページで入力された辞退先企業情報と辞退理由とを辞退情報ファイルに記録する辞退情報記録プログラムが実装されている。
辞退情報入力ページには、報酬受取情報入力欄が設けられており、報酬受取情報入力欄は、辞退先企業情報入力欄及び辞退理由入力欄において各入力を行った求職者が報酬を受け取るための情報を入力するである。
そして、サーバーは、求人企業端末に対して辞退情報閲覧ページを提供するサーバーであり、辞退情報閲覧ページは、少なくとも辞退理由を表示して閲覧可能とするページである。
また、上記課題を解決するため、開示された発明に係る就職辞退対策システムにおいて、辞退情報閲覧ページは、就職を辞退した求職者が特定されない状態で辞退理由を表示して閲覧可能とするページであり得る。
また、上記課題を解決するため、開示された発明に係る就職辞退対策システムは、辞退情報入力ページには、選考で採用候補とされたこと又は内定が出されたことを示す証明を取得可能な情報である証明情報を入力する証明情報入力欄が設けられており、辞退情報記録プログラムは、入力された証明情報を記憶部に記憶するプログラムであるという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、開示された発明に係る就職辞退対策システムは、求人企業に対しては求人企業IDが付与されており、辞退情報閲覧ページは、求人企業IDを求人企業端末で入力してサーバーにアクセスすることで当該求人企業端末に表示されるページであり、辞退情報ファイルに記録された辞退先企業情報には、求人企業IDに関連づけられた企業IDを含んでおり、辞退情報閲覧ページは、アクセスの際に入力された求人企業IDに従い、当該求人企業IDで特定される求人企業への応募における就職辞退理由を表示し、当該求人企業IDで特定される求人企業以外に求人企業への応募における就職辞退理由を表示しないページであるという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、開示された発明に係る就職辞退対策システムは、求人企業に対しては求人企業IDが付与されており、辞退情報閲覧ページは、求人企業IDを求人企業端末で入力して前記サーバーにアクセスすることで当該求人企業端末に表示されるページであり、辞退情報ファイルに記録された辞退先企業情報には、求人企業IDに関連づけられた企業IDを含んでおり、辞退情報閲覧ページは、アクセスの際に入力された求人企業IDに従い、当該求人企業IDで特定される求人企業への応募における就職辞退理由を表示することができ、当該求人企業IDで特定される求人企業以外に求人企業への応募における就職辞退理由を表示することができるページであるという構成を持ち得る。
上記構成を有する就職辞退対策システムにおいて、辞退情報閲覧ページは、就職を辞退した求人企業が特定されない状態で前記辞退理由を表示して閲覧可能とするページであり得る。
上記構成を有する就職辞退対策システムにおいて、辞退情報閲覧ページは、アクセスの際に入力された求人企業IDで特定される求人企業以外の求人企業への応募における就職辞退理由を表示する際、就職が辞退された求人企業である辞退先企業が所属する業界又は辞退先企業の本社所在地で絞り込んで就職辞退理由を表示することが可能なページであり得る。
【発明の効果】
【0006】
以下に説明する通り、開示された発明に係る就職辞退対策システムによれば、当初は志望したにもかかわらず就職を辞退した求職者についてその辞退理由が収集されて記録され、各辞退理由が求人企業の採用担当者によって閲覧が可能となっているので、就職辞退の理由を次の採用活動に活かすことができ、就職辞退を防止してより良い人材を多く獲得することができるようになる。
そして、辞退情報入力ページが報酬受取情報入力欄を有しており、辞退理由を入力した求職者に対し、報酬受取情報入力欄に入力された報酬受取情報により報酬を供与することができるので、就職辞退理由の収集が促進される。このため、上記効果がより高まる。
また、辞退情報閲覧ページが、就職を辞退した求職者が特定されない状態で辞退理由を表示して閲覧可能とするページである構成によれば、求職者が安心して辞退情報を提供することになり、より多くの辞退情報が送信されて辞退情報ファイルに記録されることにつながる。このため、就職辞退対策としての上記効果がより高められる。
また、辞退情報入力ページには、採用候補とされたこと又は内定が出されたことを示す証明を取得可能な情報である証明情報を入力する証明情報入力欄が設けられており、辞退情報記録プログラムは、入力された証明情報を記憶部に記憶するプログラムである構成によれば、採用候補とされたこと又は内定が出たことを証明によって確認することができるので、虚偽の辞退情報の提供により不正に報酬を得ることを防止することができるようになる。
また、辞退情報閲覧ページが、アクセスの際に入力した会員企業IDで特定される求人企業以外の求人企業への応募における就職辞退理由を表示することができるページである構成によれば、他社への応募における就職辞退理由がわかるので、それを自社の採用活動に活かすことができる。このため、上記効果がより高められる。
この際、辞退情報閲覧ページが、就職を辞退した求人企業が特定されない状態で辞退理由を表示して閲覧可能とするページである構成によれば、より多くの辞退情報が送信されて辞退情報ファイルに記録されることにつながる。このため、就職辞退対策としての上記効果がより高められる。
またこの際、他社である求人企業について業種や地域で絞り込ん上で辞退理由を閲覧できる構成によれば、業種や地域性を踏まえた上で辞退理由を分析することができる。このため、業種や地域性を考慮した上での採用活動に充実に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る就職辞退対策システムの概略図である。
図2】辞退情報入力ページの一例を示した概略図である。
図3】辞退者情報ファイルの構造の一例を示した概略図である。
図4】辞退先企業情報ファイルの構造の一例を示した概略図である。
図5】辞退情報ファイルの構造の一例を示した概略図である。
図6】企業会員IDでログインした後に最初に表示される辞退情報閲覧トップページの概略図である。
図7】自社情報閲覧ボタンが押された際に求人企業端末に表示される自社情報閲覧ページの一例を示した概略図である。
図8】他社情報閲覧ボタンが押された際に求人企業端末に表示される他社情報閲覧ページの一例を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本願発明を実施するための形態(以下、実施形態)について説明する。図1は、実施形態に係る就職辞退対策システムの概略図である。
図1に示す就職辞退対策システムは、企業が求職者を従業員として雇用する採用活動において、求職者が就職を辞退することについての対策を取る際に好適に使用されるシステムである。「就職を辞退する」とは、就職内定後に辞退する場合の他、一回又は複数回の段階的な選考を経て内定に至る場合の少なくも一次選考で採用候補とされた後に就職を辞退する場合を含む。
【0009】
図1にように、就職辞退対策システムは、サーバー1と、記憶部2とを備えている。サーバー1は、就職を希望する求職者が操作する求職者端末3と、採用活動を行っている求人企業における採用担当者が操作する求人企業端末4とからのアクセスをネットワークを介して受け付けることが可能なサーバー1である。この例では、ネットワークはインターネット100であり、したがってサーバー1はウェブサーバーである。
【0010】
サーバー1は、就職辞退対策サービスを提供する事業者(以下、対策提供業者)によって運営・管理されている。サーバー1は、単独の(1個の)サーバーである必要はなく、複数のサーバーが協働するものであっても良く、複数のサーバーにより後述の機能を果たすものであっても良い。
記憶部2は、サーバー1に設けられたハードディスク等のストレージであるが、ストレージサーバーのようにサーバー1とは別のサーバー上に設けられている場合もある。記憶部2についても、1個のみである必要はなく、複数のストレージが記憶部2として使用されることもあり、それらは異なる場所に設けられている場合もある。
【0011】
尚、図1の例では、求職者端末3はスマートフォンとなっており、求人企業端末4はPCとなっているが、他の種類の情報端末も適宜使用され得る。例えば求職者端末3はデスクトップPC、タブレットPC、ノートパソコン等でも良く、求人企業端末4はスマートフォン等でも良い。
また、対策事業者における担当者が操作する端末である管理用端末5が用意されている。管理用端末5は特別のアクセス権限を有してサーバー1や記憶部2にアクセス可能となっている。
【0012】
サーバー1は、求職者端末3に対して辞退情報入力ページを提供するものとなっている。図2は、辞退情報入力ページの一例を示した概略図である。
辞退情報入力ページは、就職を辞退した求職者(以下、辞退者という。)に対して辞退に関する情報を入力させるためのページである。図2に示す例の辞退情報入力ページは、一つのページであってスクロールして各情報を入力するものとなっているが、複数のリンクされたページであっても良い。図2(1)~(3)は、順に下の方にスクロールした状態を示している。
【0013】
図2(1)~(3)に示すように、辞退情報入力ページは、個人情報入力欄61と、辞退先企業情報入力欄62と、選考状況入力欄63と、証明情報入力欄64と、辞退理由入力欄65とを有している。個人情報入力欄61は、辞退者の個人情報を入力させる欄である。辞退先企業情報入力欄62は、辞退者が就職を辞退した企業の情報を入力させる欄である。選考状況入力欄63は、一次選考通過、内定等の辞退した時点での選考状況を入力させる欄である。証明情報入力欄64は、そのような選考通過や内定を確認できる証明を取得可能な情報を入力させる欄である。辞退理由入力欄65は、就職を辞退した理由を入力させる欄である。
【0014】
図2(1)に示すように、個人情報入力欄61は、氏名入力欄611、住所入力欄612、出身校入力欄613、卒業年入力欄614、年齢入力欄615、性別入力欄616等を含んでいる。卒業年入力欄614は、新卒の場合には卒業予定年を入力し、既卒者の場合には卒業した年を入力する。この他、出身地等を入力させる場合もある。
辞退先企業情報入力欄62は、辞退した企業の名前を入力する企業名入力欄621と、当該企業の本社所在地を入力する本社所在地入力欄622と、当該企業が属する業界の名称を入力させる業界情報入力欄623等を含んでいる。
選考状況入力欄63は、選考年度(選考が行われた年度)を入力する欄と、一次以上の選考通過であるか内定に達したかを選択する欄とを有している。
【0015】
証明情報入力欄64は、この実施形態では、選考通過や内定の通知をイメージ化したイメージファイルを転送させるための情報を入力させる欄となっている。選考通過や内定の通知が書面で届いている場合、辞退者はそれを辞退者端末で撮影してイメージファイルを保存し、そのイメージファイルのリソース情報を証明情報入力欄64で入力する。通知が電子メールで届いている場合、そのメールを表示した情報のスクリーンショットのファイルを求職者端末3に保存し、そのリソース情報を証明情報入力欄64で入力する。証明情報入力欄64には、それらファイルを指定するページを表示するコマンドボタンが設けられており、そのページでファイルを指定することでリソース情報が入力される。尚、証明ファイル(証明のイメージファイル)は、求職者がクラウドサービスを利用している場合、クラウドサーバー上に保存されている場合もある。この場合、そのクラウドサーバーにおける当該求職者用のリソース情報が証明情報入力欄64で入力される。
【0016】
辞退理由入力欄65は、この例では、幾つかの典型的な辞退理由から選んで入力するか、テキストで入力するかの欄である。選んで入力する部分は、この例ではラジオボタンとなっているが、プルダウンリスト等でも良い。
【0017】
このような辞退情報入力ページで入力された情報を記録するファイルとして、記憶部2には辞退者情報ファイル21、辞退先企業情報ファイル22、辞退情報ファイル23等が記憶されている。各ファイルはデータベースファイルであるが、データベースファイル以外のファイル形式であっても良い。
【0018】
図3は、辞退者情報ファイル21の構造の一例を示した概略図である。図3に示すように、辞退者情報ファイル21は、「辞退者ID」、「氏名」、「住所」、「出身校」等のフィールドから成るレコードを記録したデータベースファイルとなっている。
「辞退者ID」は、各辞退者を識別するIDが記録されるフィールドであり、辞退者情報ファイル21の各レコードを一意に識別する情報が記録される。
「氏名」は辞退情報入力ページの氏名入力欄611で入力された情報が記録されるフィールド、「住所」は辞退情報入力ページの住所入力欄612で入力された情報が記録されるフィールド、「出身校」は辞退情報入力ページの出身校入力欄613で入力された情報が記録されるフィールドである。「卒業年」は卒業年入力欄614で入力された情報が記録されるフィールドであり、「性別」、「年齢」も同様である。
【0019】
図4は、辞退先企業情報ファイル22の構造の一例を示した概略図である。図4に示すように、辞退先企業情報ファイル22は、「企業ID」、「企業名」、「本社所在地」、「業界ID」等のフィールドから成るデータベースファイルである。「業界ID」は、当該レコードに記録された企業が所属する業界の識別情報が記録されるフィールドである。各業界について予めIDが設定されており、それが記録される。
【0020】
図5は、辞退情報ファイル23の構造の一例を示した概略図である。辞退情報ファイル23は、各就職辞退の情報を記録したデータベースファイルである。図5に示すように、辞退情報ファイル23は、「辞退ID」、「辞退者ID」、「辞退先企業ID」、「証明ファイル名」、「辞退理由種別」、「辞退理由テキスト」等から成るレコードを記録したデータベースファイルである。
辞退理由種別は、辞退理由入力欄65でラジオボタンから選択された場合には、どの理由が選択されたのかを特定する値が記録される。テキスト入力された場合にはそれを種別として特定する値が記録される。例えば、ラジオボタンでの選択に対して数字の1~9が割り当てられており、テキスト入力した場合には0が割り当てられ、これらいずれかの値が「辞退理由種別」に記録される。
「辞退ID」は、辞退情報ファイル23の各レコードを一意に識別する情報が記録されるフィールドである。辞退IDは、一人の求職者が求人企業一社の就職を辞退したのに対して付与されるIDであるから、一人の求職者が二社以上に対して就職を辞退して辞退情報を送信した場合、一人の求職者に対して二以上の辞退IDが与えられることになる。
【0021】
「辞退者ID」に記録される情報は、辞退者情報ファイル21と同様の情報が記録されるフィールドであり、辞退者IDによって辞退者情報ファイル21と辞退情報ファイル23とは関連づけられる。「辞退先企業ID」は、辞退先企業情報ファイル22と同様の情報が記録されるフィールドであり、辞退先企業IDによって辞退先企業情報ファイル22と辞退情報ファイル23とが関連づけられる。「証明ファイル名」は、選考通過又は内定を証明する証明ファイルのファイル名が記録されるフィールドである。
【0022】
辞退情報入力ページで入力された情報をこのような各ファイルに記録するためのプログラムとして、サーバー1には辞退情報記録プログラム11が実装されている。図2(3)に示すように、辞退情報入力ページは、OKボタン60が設けられている。OKボタン60には、入力された各情報の確認ページがリンクしており、確認ページに設けられた送信ボタンは、辞退情報記録プログラム11の実行ボタンとなっている。辞退情報記録プログラム11は、各ファイル21,22,23に新規レコードを追加し、各情報を記録する。
【0023】
より具体的には、辞退情報記録プログラム11は、個人情報入力欄61に入力された辞退者の氏名及び住所で辞退者情報ファイル21を検索し、辞退者の情報が記録されているかどうか判断する。記録されていれば、辞退者IDを取得する。記録されていなければ、辞退者IDを新規に生成するとともに新規レコードを追加し、辞退者IDと個人情報入力欄61に入力された各情報とを記録する。
【0024】
次に、辞退情報記録プログラム11は、辞退先企業情報ファイル22に入力された企業名及び本社所在地で辞退先企業情報ファイル22を検索し、辞退先企業の情報が記録されているかどうか判断する。記録されていれば、辞退先企業IDを取得する。記録されていなければ、辞退先企業IDを新規に生成するとともに新規レコードを追加し、辞退先企業IDと辞退先企業情報入力欄62に入力された各情報とを記録する。
【0025】
次に、辞退情報記録プロプログラム11は、辞退IDを新規に生成するとともに辞退情報ファイル23に新規レコードを追加する。そして、辞退ID、辞退者ID、辞退先企業IDをそれぞれ記録するとともに、辞退理由入力欄65で入力された情報を「辞退理由種別」、「辞退理由テキスト」に入力する。即ち、ラジオボタンでいずれかの辞退理由が選択されている場合には辞退理由種別を示す値が記録され、「その他」が選択されてテキスト入力されている場合には、そのテキストを「辞退理由テキスト」に記録する。
【0026】
また、辞退情報記録プログラム11は、求職者端末3上のFTP(ファイル転送プロトコル)の機能により証明ファイルを転送させ、記憶部2上の所定のパスに記憶する。そして、そのパスを含む証明ファイルのファイル名を辞退情報ファイル23の「証明ファイル名」に記録する。
【0027】
このような辞退情報の各ファイルへの記録は、辞退者が提供した辞退情報をシステムに登録する、即ちシステム上の記憶部2に記憶するものであるが、実施形態のシステムの大きな特徴点は、辞退理由を提供してくれた辞退者に対してその報酬を支払うことを前提にし、報酬の受取のための情報(以下、報酬受取情報という。)を記憶部2に記憶するものとなっている点である。
【0028】
具体的に説明すると、辞退情報入力ページには、報酬受取情報入力欄66が設けられている。この実施形態では、報酬は、主としてBtoC送金サービスを利用して支払われるようになっている。このため、報酬受取情報入力欄66は、BtoC送金サービス等の受取方法を選択する受取方法選択欄661と、選択された受取方法において必要とされる受取先に関する情報の入力欄(以下、受取先情報入力欄)662とを含んでいる。BtoC送金サービスとしては幾つかの異なる種類のサービスが知られているが、例えばモバイル決済サービスの事業者が提供しているサービスが利用できる。例えば、LINE Pay(LINE株式会社の登録商標)では、LINE Payナンバーを使用してBtoCの送金が可能である。したがって、LINE Payを選択した場合、受取先情報入力欄662にはLINE Payナンバーを入力する。
【0029】
また、大手インターネットショッピングサイトはデジタルギフト券を発行しており、デジタルギフト券の形で報酬を受け取ることもできるようになっている。この種のギフト券は電子メールで受け取るので、受取先情報入力欄662には電子メールアドレスを入力する。この他、コンビニ端末を操作してチケットを発券してもらい、そのチケットで現金を受け取るサービスも利用可能である。この場合も、コンビニ端末で入力する受取情報は電子メールで送信されるので、受取先情報入力欄662には電子メールアドレスを入力する。
【0030】
図3に示すように、辞退者情報ファイル21は、報酬受取情報入力欄66で入力された情報を記録するフィールドも有している。即ち、受取方法選択欄661で入力された情報が記録されるフィールドとして「受取方法種別」が設けられている。また、受取先情報入力欄662で入力された情報が記録されるフィールドとして「受取先情報」が設けられている。辞退情報記録プログラム11は、受取方法選択欄661での選択に従って「受取方法種別」に値を記録し、受取先情報入力欄662に入力された値を「受取先情報」に記録する。
【0031】
尚、図5に示すように、辞退情報ファイル23は、「検証済み」のフィールドを有している。このフィールドは、証明情報入力欄64で入力されて送信された証明ファイルの内容に従って検査を行った結果を示す値が記録されるフィールドである。このフィールドのデフォルト値は偽値であるが、選考通過又は内定が真正なものであると判断された場合、このフィールドには真値が記録される。
【0032】
より具体的には、真正であるかの検査は対策事業者において行われ、真正であると判断された場合、担当者が管理用端末5を操作して辞退情報ファイル23の「検証済み」に真値を記録する。尚、辞退情報ファイル23における情報が不足していたり、間違っていたりした場合も、担当者が管理用端末5を操作して追加したり修正したりする。例えば、辞退先企業の業界について間違って業界IDが記録されていた場合、管理用端末5からの入力で修正される。
【0033】
このようにして辞退者によって入力されて各ファイル21~23に記録された情報は、就職辞退対策の一環として求人企業が閲覧できるようになっている。以下、この点について説明する。
対策事業者は、一又は複数の求人企業に対して就職辞退対策サービスを提供する。このサービスは有償・会員制となっており、サービス提供について契約した各求人企業に企業会員ID及びパスワードが発行される。サーバー1は、就職辞退対策用のサイト(以下、対策サイトと略称する。)を提供するものとなっており、求人企業端末4において企業会員ID及びパスワードを入力することで対策サイトの各ページを閲覧することができるようになっている。
【0034】
記憶部2には、会員である各求人企業の情報を記録した企業会員情報ファイル24が記憶されている。企業会員情報ファイル24は、会員ID、パスワード、企業名、本社所在地等を記録したデータベースファイルである。辞退先企業情報ファイル22に登録されている求人企業と、会員情報ファイルにおける会員企業とが同一の企業である場合、相互に同一のIDが付与されてそれぞれのファイル22,24に記録されている。同一企業に対して同一IDを付与しない場合、求人企業IDと会員IDとを紐付けるデータベースファイルを別に設けることで関連づけが行われる。
【0035】
尚、企業会員情報ファイル24には、「会員種別」のフィールドが設けられている。この実施形態では、企業会員には、自社の就職辞退情報は閲覧できるが他社の就職辞退情報は閲覧できない自社限定会員と、自社の就職辞退情報も他社の就職辞退情報も閲覧できる限定無し会員とがある。このどちらの種別なのかを識別する情報が「会員種別」のフィールドに記録されている。ちなみに、限定無し会員については自社限定会員に比べて会費(料金)が高額に設定される。
【0036】
就職辞退対策サービスには、就職辞退情報を閲覧させる辞退情報閲覧サービスが含まれている。図6は、企業会員IDでログインした後に最初に表示される辞退情報閲覧トップページの概略図である。
図6に示すように、辞退情報閲覧トップページには、自社の採用活動における就職辞退情報のみを閲覧するボタン(以下、自社情報閲覧ボタン)71と、他社の採用活動における就職辞退情報を閲覧するボタン(以下、他社情報閲覧ボタン)72とが設けられている。
【0037】
図7は、自社情報閲覧ボタン71が押された際に求人企業端末4に表示される自社情報閲覧ページの一例を示した概略図である。図7に示すように、自社情報閲覧ページは、自社に就職を希望したものの途中で辞退した求職者の情報をリスト表示するページとなっている。リストの各行には、選考年度、出身校、卒業年、年齢、性別、辞退理由が表示されるようになっている。
サーバー1には、自社情報閲覧ページを求人企業端末4に表示する自社情報閲覧ページプログラム12が実装されている。自社情報閲覧ボタン71は、自社情報閲覧ページプログラム12の実行ボタンである。記憶部2には、自社情報閲覧ページ用のHTMLファイルが記憶されている。自社情報閲覧ページプログラム12は、このHTMLファイルに組み込まれているスクリプトやコードを含む。
【0038】
自社情報閲覧ページプログラム12は、ログインの際に保持された企業会員IDで辞退情報ファイル23を検索し、「検証済み」が真値であって「企業ID」の値が企業会員IDに一致する全てのレコードの選考年度、出身校、卒業年、年齢、性別、辞退理由を読み出し、一時的に配列変数に格納する。その上で、配列変数から値を読み出し、HTMLファイルに組み込んで求人企業端末4に送信し、求人企業端末4上のブラウザによって求人企業端末4に表示する。
尚、図7において図示が省略されているが、出身校で絞り込んだり、卒業年で絞り込んだり、年齢で絞り込んだり、性別で絞り込んだりするための各ボタンが設けられている。各ボタンには、辞退情報ファイル23を検索し直して結果を表示するためのプログラムの実行コードが埋め込まれている。
【0039】
図8は、図6における他社情報閲覧ボタン72が押された際に求人企業端末4に表示される他社情報閲覧ページの一例を示した概略図である。図8に示すように、他社情報閲覧ページは、選考年度、業界、本社所在地、出身校、卒業年、年齢、性別、辞退理由がリスト表示されるようになっている。
他社情報閲覧ボタン72には、サーバー1に実装された他社情報閲覧ページプログラム13の実行コードが埋め込まれている。他社情報閲覧ページプログラム13は、ログインの際に保持された企業会員IDで企業会員情報ファイル24を検索し、該当レコードの「会員種別」の値を取得する。この値が自社限定会員を意味する値であった場合、他社情報閲覧ボタン72はエラーメッセージを求人企業端末4に表示してプログラムを終了する。
【0040】
会員種別が限定無し会員であった場合、他社情報閲覧ページプログラム13は、ログインの際に保持された会員企業IDで辞退情報ファイル23をNOT検索し、「検証済み」が真値であって「辞退先企業ID」の値が企業会員IDに一致しない全てのレコードについて各フィールドの情報を取得し、図6に示すようにリスト表示する。図8に示すように、他社情報閲覧ページには、業界で絞り込んだり、本社所在地で絞り込んだり、出身校で絞り込んだりするための入力欄73~76が設けられている。図示は省略されているが、卒業年や年齢、性別でも絞り込みができるように入力欄が設けられている。他社情報閲覧ページには再表示ボタン77が設けられており、これら入力欄に入力がされて再表示ボタン77がクリックされると、他社情報閲覧ページプログラム13が再実行され、入力された条件で絞り込みが行われた状態で辞退情報がリスト表示される。尚、出身校について、テキスト入力された値に基づいて一部一致検索を行うことで絞り込みが行われる。さらに、リストの各行をいずれかの項目で並べ替えるソート機能も必要に応じて実装される。
【0041】
このような構成である実施形態の就職辞退対策システムの動作(利用例)について、以下に説明する。
対策事業者は、求職者に対して、選考通過又は内定の後に就職を辞退した場合にその理由を提供してもらえれば報酬を供与する旨の告知をする。例えば、対策事業者として、企業の採用活動や新卒者の就職をサポートするサービス(いわゆる就活サービス)を展開する事業者が挙げられる。実施形態における対策事業者も、このような就活サービスを展開する事業者の場合がある。就活サービスを展開する事業者は、卒業予定の学生を含む求職者に対し、自社サイトへの登録を募っており、自社サイトに登録した求職者に対し、各種就職情報の提供や合同就職説明会の開催等のサービスを提供している。そして、このような就活サービス事業者は、自社サイトや登録した求職者に対するメール配信等において、上記告知をする。
【0042】
尚、上記告知には、少なくとも一次選考を通過したこと又は内定を得たことの証明の提供が必要であること、提供してもらった情報の利用に関するポリシー(プライバシーポリシー)、さらには報酬はBtoC送金サービスを利用して供与される旨が含まれる。
告知を見た求職者は、自分がある求人企業に対して就職を辞退した場合、告知に応じて求職者端末3を操作してサーバー1にアクセスし、辞退情報入力ページを求職者端末3に表示する。例えば、就活サービスのサイトに貼られたリンクボタンをタップしたり、登録した求職者に配信されているメールマガジンに貼られたURLをタップしたりして辞退情報入力ページを表示する。
【0043】
求職者は、辞退情報入力ページで個人情報や辞退先企業の情報、辞退理由を入力する。また、証明情報入力欄64のボタンをタップし、予め保存しておいた証明ファイル(選考通過又は内定を示す書面を写した写真や通知メールを表示したスクリーンショットのファイル)を指定する。
その上で、求職者は、OKボタン60をタップし、表示される確認ページで内容を確認した後に送信ボタンをタップする。これにより、サーバー1上の辞退情報記録プログラム11が実行され、各情報が辞退者情報ファイル21、辞退先企業情報ファイル22、辞退情報ファイル23に記録される。また、証明ファイルが求職者端末3から転送され、記憶部2の所定の場所に記憶されてパス名を含むそのファイル名が辞退情報ファイル23に記録される。就職を辞退した複数の求職者がこのように各情報を入力して送信し、証明ファイルを転送する。
【0044】
対策事業者における担当者は、管理用端末5を操作し、辞退情報ファイル23に記録された各辞退情報について証明情報に従って証明ファイルを確認し、選考通過又は内定が真正であるかどうか検査する。そして、真正であると判断された場合、「検証済み」に真値を記録する。また、対策事業者における担当者は、選考通過又は内定が真正であると判断された辞退情報について、「受取方法種別」、「受取先情報」の各値に従ってBtoC送金サービスにより報酬を供与する。
【0045】
一方、対策事業者は、各求人企業に対して就職辞退対策システムの利用を募る。就活サービスの事業において取引のある求人企業等に就職辞退対策サービスを紹介し、そのメリットを説明する。これに応じた各求人企業は、対策事業者と契約する。これにより、各求人企業に企業会員ID及びパスワードが発行される。
対策事業者における担当者は、管理用端末5を操作し、契約した各求人企業の情報を入力して企業会員情報ファイル24に記録する。契約には、自社限定会員、限定無し会員のどちらかであるかが含まれ、それに応じて「会員種別」にも値が記録される。
【0046】
各求人企業における採用担当者は、求人企業端末4を操作し、企業会員ID及びパスワードを入力して対策サイトにログインする。そして、表示される辞退情報閲覧トップページにおいて、自社限定会員である場合には、担当者は、自社情報閲覧ボタン71をクリック又はタップする。これにより、自社を志望したものの途中で辞退をした求職者の情報が求人企業端末4に表示される。そして、辞退理由を参照し、今後の採用活動に活かす。
例えば、「将来性に疑問を感じたため」というような辞退理由が多かった場合、将来性についてポジティブな印象を持ってもらえるような採用広告を展開するようにする。「福利厚生がもの足りないように感じた。」というような辞退理由が多かった場合、福利厚生を充実させる施策を行って翌年の採用活動に活かすようにする。
【0047】
また、限定無し会員の場合、担当者は、上記のように自社の就職辞退情報を閲覧する他、他社情報閲覧ボタン72をクリック又はタップし、他社における就職辞退の情報を閲覧する。この際、自社と同じ業界における就職辞退の情報を把握したり、これから進出しようとしている業界における就職辞退の情報を把握したりするため、業界での絞り込みを行う。これにより、当該業界を志望している求職者がどのような理由で就職を辞退するのか、どのようなことを重視して就職先を選んでいるのかを把握することができる。このため、業界に適した採用活動や採用広告等を展開することができる。
【0048】
さらに、他社情報を閲覧する場合、地域で絞り込んで就職辞退の情報を閲覧することができる。これは、地域性が影響して就職を辞退するような状況がどの程度あるかを把握するのに非常に役立つ。例えば、ある地域に本社を移転しようとしる求人企業があり、その地域で人材を獲得しようとしている場合、その地域に本社がある他の企業はどのような理由で就職辞退がされているかを把握することができ、当該地域での採用活動に活かすことができる。
【0049】
このように、実施形態の就職辞退対策システムによれば、当初は志望したにもかかわらず就職を辞退した求職者についてその辞退理由が収集されて記録され、各辞退理由が求人企業の採用担当者によって閲覧が可能となっているので、就職辞退の理由を次の採用活動に活かすことができ、就職辞退を防止してより良い人材を多く獲得することができるようになる。
そして、辞退情報入力ページが報酬受取情報入力欄66を有しており、辞退理由を入力した求職者に対し、報酬受取情報入力欄66に入力された報酬受取情報により報酬を供与することができるので、より多くの就職辞退理由が入力されて就職辞退情報ファイル23に記録される。このため、上記効果がより高まる。
【0050】
上記実施形態の構成において、就職辞退した求職者が特定される情報は辞退情報閲覧ページには表示されない。したがって、辞退情報を提供した求職者が求人企業によって特定されることはない。この点は、自社への就職を辞退した者であっても同様である。この場合、ある出身校について内定(又は選考通過)を出した者が一人のみである場合、氏名を伏せておいても出身校が閲覧されることによって求職者が特定されてしまうことがあり得る。このような場合を考慮し、出身校についても辞退情報閲覧ページに掲載されないよう自社情報閲覧ページプログラム12を実装する場合があり得る。
【0051】
また、上記実施形態の構成において、他社情報閲覧ページでは、業界は表示されるものの、当該求人企業が特定される情報は辞退情報閲覧ページには表示されない。本社所在地は、都道府県のレベルのみの情報とし、市区町村は表示されない。これについては、他社情報閲覧ページを表示する際、辞退先企業情報ファイル22の「本社所在地」のうち都道府県の情報のみを抽出し、他は捨象して表示するよう他社情報閲覧ページプログラム13を実装することで実現できる。
【0052】
これらの配慮は、辞退情報の提供元である求職者との取決めに基づくものである。辞退情報の提供に際し、対策事業者はプライバシーポリシーを公表しており、そこには、求職者が特定されないこと及び求人企業が特定されないことを条件に辞退情報を提供してもらっており、その取決めに違反しないようにするためである。これらの情報が秘匿される構成は、求職者が安心して辞退情報を提供することにつながり、より多くの辞退情報が送信されて辞退情報ファイル23に記録されることにつながる。このため、就職辞退対策としての上記効果がより高められる。
【0053】
また、実施形態の就職辞退対策システムでは、上述したように、辞退情報入力ページに証明情報入力欄64が設けられていて辞退情報記録プログラム11は証明情報を記憶部2に記憶するプログラムであるので、採用候補とされたこと又は内定が出たことを証明によって確認することができる。このため、虚偽の辞退情報の提供により不正に報酬を得ることを防止することができるようになる。
【0054】
尚、上記説明では、証明はイメージファイルであり、求職者端末3から転送されるものであったが、他の構成もあり得る。例えば、求職者が応募した求人企業がファイル共有システムを使用しており、ファイル共有の形で選考通過書類又は内定書類を求職者に提供している場合、ファイル共有システムから選考追加書類又は内定書類をダウンロードするための情報(URL等)が証明情報入力欄64で入力される場合もあり得る。他の構成として、求人企業がサーバーを運営しており、このサーバーにアクセスすることで選考通過や内定が確認できるようになっている場合、そのアクセス情報が証明情報入力欄64で入力される場合もあり得る。したがって、証明はイメージファイルである必要はなく、ファイルである必要もない。選考を通過したこと又は内定が出たことが確認できる情報であれば足りる。
【0055】
また、実施形態の就職辞退対策システムは、自社への応募における就職辞退理由に加え、他社への応募における就職辞退理由も閲覧できるので、他社の採用活動における辞退理由を自社の採用活動に活かすことができ、この点で上記効果がより高められる。この際、業種や地域で絞り込ん上で辞退理由を閲覧できるので、業種や地域性を踏まえた上で辞退理由を分析することができ、業種や地域性を考慮した上での採用活動に充実に貢献することができる。
【0056】
尚、辞退情報を提供した求職者に対する報酬としては、送金サービスを利用して送金を行う場合の他、商品購入の際に減額がされるポイントが供与される場合もある。送金を行う場合も、BtoC送金サービスの他、銀行振込や郵便為替等の方法が採用されることもあり得る。
【符号の説明】
【0057】
1 サーバー
11 辞退情報記録プログラム
12 自社情報閲覧ページプログラム
13 他社情報閲覧ページプログラム
2 記憶部
21 辞退者情報ファイル
22 辞退先企業情報ファイル
23 辞退情報ファイル
24 企業会員情報ファイル
3 求職者端末
4 求人企業端末
5 管理用端末
61 個人情報入力欄
62 辞退先企業情報入力欄
64 証明情報入力欄
65 辞退理由入力欄
66 報酬受取情報入力欄
71 自社情報閲覧ボタン
72 他社情報閲覧ボタン
【要約】
【課題】 就職辞退という結果をその後の採用活動に活かすのに好適に利用されるシステムを提供する。
【解決手段】 就職を希望したものの選考で採用候補とされた後又は内定後に就職を辞退した場合に当該就職の辞退に関する情報を入力する辞退情報入力ページがサーバー1によって求職者端末3上に表示され、辞退理由を含む情報がサーバー1に送信されて記憶部2上の辞退情報ファイル23に記録される。サーバー1は、求人企業端末4に辞退情報閲覧ページを提供し、辞退した求職者が特定されない状態で辞退理由を表示して閲覧可能とする。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8