(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】少なくとも1つの発光ダイオード(LED)を駆動するよう構成されるLEDドライバ、並びに対応するLEDベースの照明デバイス、集積回路(IC)、及び方法
(51)【国際特許分類】
H05B 45/347 20200101AFI20231110BHJP
【FI】
H05B45/347
(21)【出願番号】P 2023505673
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(86)【国際出願番号】 EP2021070040
(87)【国際公開番号】W WO2022023088
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-03-22
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】カールマン ヘンリクス マリウス ヨセフ マリア
(72)【発明者】
【氏名】ザイルマン テオ ヘリット
(72)【発明者】
【氏名】ホンテレ ベルトラント ヨハン エドヴァルト
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-011466(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0265892(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102011088407(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0191506(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/347
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのLEDを駆動するよう構成されるLEDドライバであり、
AC電源電圧を受け取り、出力DC電圧を前記少なくとも1つのLEDに供給するよう構成される整流器と、
供給線を介して前記少なくとも1つのLEDに供給されるLED電圧を制御するよう構成される電圧調整ブランチであって、前記整流器から前記DC電圧を受け取るよう構成される電圧調整ブランチとを有するLEDドライバであって、前記電圧調整ブランチが、
前記少なくとも1つのLEDに前記LED電圧を供給するよう構成されるコンデンサと、
前記コンデンサと直列に接続され、前記コンデンサを充電し、それによって、前記LED電圧を供給するよう構成される電流リミッタと、
前記少なくとも1つのLEDと直列に接続されるLED電流リミッタであって、前記LED電流リミッタにわたって残留ヘッドルーム電圧が存在するようなLED電流リミッタと、
比較器ブロックであって、前記比較器ブロックの2つの入力端子の間の電位差に基づいて出力を供給するよう構成される比較器ブロックを含むフィードバック回路であって、前記2つの入力端子のうちの第1入力端子が、所定の
最小残留ヘッドルーム電圧に設定され、前記2つの入力端子のうちの第2入力端子が、前記LED電流リミッタに存在する
最小残留ヘッドルーム電圧の値を受け取るよう構成され、前記比較器ブロックの出力が、前記電流リミッタを制御するために使用されるフィードバック回路とを有し、
前記フィードバック回路が、前記LED電流リミッタに存在する
前記最小残留ヘッドルーム電圧を調整することにより、前記電流リミッタによる前記コンデンサの充電を制御し、それによって、前記少なくとも1つのLEDに供給される前記LED電圧を制御するよう構成されるLEDドライバ。
【請求項2】
前記フィードバック回路が、最小電圧検出器ブロックであって、
前記最小電圧検出器ブロックの2つの入力端子の間の電位差に基づいて出力を供給するための最小電圧検出器ブロックを更に有し、前記2つの入力端子のうちの第1入力端子が、所定の最小電圧に設定され、前記2つの入力端子のうちの第2入力端子が、前記LED電流リミッタに接続され、前記最小電圧検出器ブロックの前記出力が、前記比較器ブロックの前記2つの入力端子のうちの前記第2入力端子に接続される請求項1に記載のLEDドライバ。
【請求項3】
前記所定の最小残留ヘッドルーム電圧が、約1ボルトである請求項1に記載のLEDドライバ。
【請求項4】
前記LEDドライバが、複数の並列に接続されるLEDブランチを有し、各LEDブランチが、
少なくとも1つのLEDと、
前記少なくとも1つのLEDと直列に接続されるLED電流リミッタであって、前記LED電流リミッタにわたって複数の残留ヘッドルーム電圧が存在するようなLED電流リミッタとを有し、前記フィードバック回路が、前記LED電流リミッタのうちのいずれかにわたって存在する
最も低い最小残留ヘッドルーム電圧を調整することにより、前記電流リミッタによる前記コンデンサの充電を制御し、それによって、各LEDブランチの前記少なくとも1つのLEDに供給される前記LED電圧を制御するよう構成される請求項1乃至3のいずれか一項に記載のLEDドライバ。
【請求項5】
光を発するための少なくとも1つのLEDと、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のLEDドライバとを有するLEDベースの照明デバイス。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のLEDドライバを動作させる方法であって、
前記電圧調整ブランチによって、前記少なくとも1つのLEDと直列に結合される前記LED電流リミッタに存在する前記最小残留ヘッドルーム電圧を調整することにより、前記少なくとも1つのLEDに供給される前記LED電圧を制御するステップと、
前記フィードバック回路によって、前記LED電流リミッタに存在する前記
最小残留ヘッドルーム電圧と、前記所定の
最小残留ヘッドルーム電圧との間の増幅差に基づいて、前記電流リミッタを制御するステップとを有する方法。
【請求項7】
前記調整するステップが、前記電圧調整ブランチによって、前記最小残留ヘッドルーム電圧を
前記所定の最小残留ヘッドルーム電圧に安定させることによって、前記少なくとも1つのLEDに供給される前記LED電圧を調整するステップを更に有する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記所定の最小残留ヘッドルーム電圧が、約1ボルトである請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは、照明の分野に関し、より具体的には、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)を駆動するために交流(AC)電圧供給を直流(DC)電圧に変換するよう構成されるLEDドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
直接主電源リニア発光ダイオード(LED)ドライバは、当技術分野においては知られている。これらのタイプのドライバは、交流(AC)主電源電圧(Alternating Current, AC, mains supply voltage)に直接接続される。AC主電源電圧は、例えば全波整流器を利用して整流される。
【0003】
整流された電圧は、次いで、コンデンサによって更にピーク整流され、LEDに供給される。このコンデンサの充電電流は、電流リミッタによって制御される。電流リミッタは、IEC 61000-3-2のような規制ガイドラインを満たすために、充電電流の幅が増大され、従って、主電源の入力電流も増大されるような、固定振幅を有する。
【0004】
直接主電源リニアLEDドライバにおける損失は、少なくとも部分的には、LEDと直列に配置されるLED電流リミッタに寄与される可能性がある。LED電流リミッタにわたる電圧は、AC電源電圧とLEDの順方向電圧とに線形比例し、従って、付随する損失も、AC電源電圧とLEDの順方向電圧とに線形比例する。
【0005】
一般に、これらのドライバは、最も低い主電源電圧とLEDの最も高い順方向電圧降下とを有する状況に対応するチューニングポイントにおいて動作される。この状況においては、LED電流リミッタにおける損失は、チューニングポイントより上では直線的に増加し、かなり小さな動作ウィンドウ(operating window)をもたらす。
【0006】
以上のことから、上記の既知の発光ダイオード(LED)ドライバと比較して低減された損失を有するLEDドライバが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
少なくとも1つの発光ダイオード(LED)を駆動するよう構成されるLEDドライバであって、上記の既知のLEDドライバと比較して低減された損失を有するLEDドライバを実現することは、有利であるだろう。
【0008】
更に、対応するLEDベースの照明デバイス、LEDドライバを動作させる方法、及び集積回路(IC)を実現することは、有利であるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1態様においては、上述の及び他の目的は、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)を駆動するよう構成されるLEDドライバによって達成される。前記LEDドライバは、
- 交流(AC)電源電圧を受け取り、出力直流(DC)電圧を前記少なくとも1つのLEDに供給するよう構成される整流器と、
- 供給線を介して前記少なくとも1つのLEDに供給されるLED電圧を制御するよう構成される電圧調整ブランチ(voltage regulating branch)であって、前記整流器から前記DC電圧を受け取るよう構成される電圧調整ブランチとを有し、前記電圧調整ブランチは、
- 前記少なくとも1つのLEDに前記LED電圧を供給するよう構成されるコンデンサと、
- 前記コンデンサと直列に接続され、前記コンデンサを充電し、それによって、前記LED電圧を供給するよう構成される電流リミッタと、
- 前記少なくとも1つのLEDと直列に接続されるLED電流リミッタであって、前記LED電流リミッタにわたって前記残留ヘッドルーム電圧が存在するようなLED電流リミッタと、
- 比較器ブロックであって、前記比較器ブロックの2つの入力端子の間の電位差に基づいて出力を供給するよう構成される比較器ブロックを含むフィードバック回路であって、前記2つの入力端子のうちの第1入力端子が、所定の残留ヘッドルーム電圧に設定され、前記2つの入力端子のうちの第2入力端子が、前記少なくとも1つのLEDの前記LED電流リミッタに存在する前記残留ヘッドルーム電圧の値を受け取るよう構成され、前記比較器ブロックの出力が、前記電流リミッタを制御するために使用されるフィードバック回路とを有し、
前記フィードバック回路は、前記LED電流リミッタに存在する残留ヘッドルーム電圧を調整することにより、前記電流リミッタによる前記コンデンサの充電を制御し、それによって、前記少なくとも1つのLEDに供給される前記LED電圧を制御するよう構成される。
【0010】
本発明者は、前記コンデンサの充電を、前記少なくとも1つのLEDと直列に結合されるLED電流リミッタに存在する、測定される前記残留ヘッドルーム電圧に結びつけることは有益であり得ることを見出した。これは、前記電圧調整ブランチによって達成される。従って、前記電圧調整ブランチは、前記LED電流リミッタに存在する前記最小残留ヘッドルーム電圧に基づいて前記電流リミッタを制御するように構成され得る。
【0011】
より具体的には、本開示によるLEDドライバは、実際の主電源電圧及び前記LEDの順方向電圧とは無関係に、実質的に、前記最小残留ヘッドルーム電圧を所定の値に安定させるよう構成され得る。
【0012】
これは、前記ヘッドルーム電圧は、前記主電源電圧と同じサイクルに従うかもしれないが、前記最小ヘッドルーム電圧は、特定の値に制御されることを意味する。前記最小ヘッドルーム電圧は、主電源の1サイクルの間に前記LED電流リミッタに存在する最小電圧と定義され得る。
【0013】
本開示によるLEDドライバの利点のうちの1つは、前記LEDドライバが、使用されている実際のLEDに依存せず、従って、前記LEDの実際の順方向電圧にも依存しないことである。別の利点は、前記LEDは温度依存性の係数を有することがあり、これもまた本開示によるLEDドライバによって補償されることである。
【0014】
以上のことから、もはや、前記電流リミッタの充電電流を、所定の値、即ち、所定の充電電流に「設定」することは必要とされない。前記電流リミッタは、通常、前記電流リミッタが主電源の最も低い電圧及び前記LEDの最大順方向電圧に対して最適化されるように、設定されていた。これは、LEDドライバの正しい動作を保証するために考慮に入れられなければならない最悪のシナリオであった。
【0015】
本LEDドライバは、前記電圧調整ブランチが、前記電流リミッタが、適切に、即ち、前記LED電流リミッタにおける特定の最小ヘッドルーム電圧を保証するよう、制御されることを確実にするので、このような特定のポイント(即ち、前記主電源の最低電圧及び前記LEDの最大順方向電圧)に合わせて調整される必要がない。
【0016】
前記コンデンサの充電電流、即ち、前記電流リミッタによって制御される電流は、経時的に一定ではないことがあることに留意されたい。この充電電流は、変調されることがあり、実際の整流されたAC主電源電圧との依存関係を有することがある。これについて、図に関してより詳細に説明する。
【0017】
前記コンデンサによって供給される電圧は、前記少なくとも1つのLEDのアノードに供給される。前記LED電流リミッタに存在する電圧は、前記少なくとも1つのLEDのカソードにおける電圧に等しくてもよい。従って、これは、前記コンデンサによって供給される電圧から前記少なくとも1つのLEDの順方向電圧が差し引かれるときに残される残留電圧とみなされ得る。
【0018】
電流リミッタは様々なやり方で実施され得ることに留意されたい。電流リミッタは、1つ以上のトランジスタ又は電界効果トランジスタ(FET)を、1つ以上の抵抗器と組み合わせて有する回路として実施されてもよい。
【0019】
例においては、前記LEDドライバは、前記少なくとも1つのLEDを有し、
- 前記少なくとも1つのLEDと直列に接続されるLED電流リミッタであって、前記LED電流リミッタにわたって前記残留ヘッドルーム電圧が存在するようなLED電流リミッタを更に有する。
【0020】
前記LED電流リミッタは、抵抗器、線形電流調整器(linear current regulator)又は同様のものとして実施され得ることに留意されたい。
【0021】
更なる例においては、前記フィードバック回路は、
- 比較器ブロックであり、前記比較器ブロックの2つの入力端子の間の電位差に基づいて出力を供給するよう構成される比較器ブロックであって、前記2つの入力端子のうちの第1入力端子が、所定の最小残留ヘッドルーム電圧に設定され、前記2つの入力端子のうちの第2入力端子が、前記少なくとも1つのLEDの前記LED電流リミッタに存在する前記残留ヘッドルーム電圧の最小値を受け取るよう構成され、前記比較器ブロックの出力が、前記電流リミッタを制御するために使用される比較器ブロックを有する。
【0022】
前記フィードバック回路は、前記電流リミッタによる前記コンデンサの充電を制御するよう構成されることに留意されたい。最初は、前記フィードバック回路は、前記電流リミッタの充電電流が最初は高すぎるよう設定されるように、設定され得る。これは、前記LEDドライバの通常の又は正常な動作が損なわれることを防止する。
【0023】
これは、前記LEDドライバの損失が最初は高すぎ得るという作用を有し得る。その後、前記フィードバック回路が前記最小ヘッドルーム電圧を所定の電圧に調整するよう構成されているので、前記損失は低減される。従って、これはまた、最初、前記最小ヘッドルーム電圧は高すぎる可能性が最も高く、前記最小ヘッドルーム電圧は所定の最小電圧に徐々に制御されることを意味する。
【0024】
前記フィードバック回路には、様々な種類の制御機構、例えば、PI制御、PID制御、又は同様のものが可能であることに留意されたい。
【0025】
別の例においては、前記フィードバック回路は、
最小電圧検出器ブロックであり、前記第2最小電圧検出器ブロックの2つの入力端子の間の電位差に基づいて出力を供給するための最小電圧検出器ブロックであって、前記2つの入力端子のうちの第1入力端子が、所定の最小電圧に設定され、前記2つの入力端子のうちの第2入力端子が、前記少なくとも1つのLEDと直列に結合される、前記LED電流リミッタに接続され、前記最小電圧検出器ブロックの前記出力が、前記比較器ブロックの前記2つの入力端子のうちの前記第2入力端子に接続される最小電圧検出器ブロックを更に有する。
【0026】
前記所定の最小電圧は、別個のコンデンサを使用して設定されてもよく、前記別個のコンデンサは、前記LED電流リミッタに存在する最小電圧レベルまで充電される。
【0027】
例においては、前記所定の最小残留ヘッドルーム電圧は、約1ボルトである。
【0028】
更なる例においては、前記LEDドライバは、複数の並列に接続されるLEDブランチを有し、各LEDブランチは、
少なくとも1つのLEDと、
前記少なくとも1つのLEDと直列に接続されるLED電流リミッタであって、前記LED電流リミッタにわたって複数の残留ヘッドルーム電圧が存在するようなLED電流リミッタとを有し、前記フィードバック回路は、前記LED電流リミッタのうちのいずれかにわたって存在する最小残留ヘッドルーム電圧を調整することにより、前記電流リミッタによる前記コンデンサの充電を制御し、それによって、各LEDブランチの前記少なくとも1つのLEDに供給される前記LED電圧を制御するよう構成される。
【0029】
上記で提供した例は、前記LEDドライバが、複数の並列LEDブランチに給電するよう構成され、各LEDブランチは、それ自身のLED電流リミッタに関連付けられる状況を説明している。その場合、前記LED電流リミッタの各々は、互いに等しくてもよく、又は互いに等しくなくてもよい特定の残留ヘッドルーム電圧に関連付けられる。その場合、提示されているLEDドライバは、残留ヘッドルーム電圧の各々の最も低いものを、前記最小残留ヘッドルーム電圧が前記最も低いものの最小残留ヘッドルーム電圧に等しくなるように、調整するよう構成され得る。
【0030】
本開示の第2態様においては、
- 光を発するための少なくとも1つのLEDと、
- 上記で提供した例のいずれかによるLEDドライバとを有する発光ダイオード(LED)ベースの照明デバイスが提供される。
【0031】
本発明の第1態様に関連する本開示の利点は、LEDベースの照明でバイスである、本発明の第2態様にも当てはまることに留意されたい。
【0032】
前記LEDベースの照明デバイスは、複数のLED、例えば、温白色(warm white)のLED、冷白色(cool white)のLED又は任意のタイプのカラーLEDを含み得る。前記LEDは、直列に接続されてもよく、複数のブランチを有してもよく、又は同様のものであってもよい。特定の例においては、前記LEDは複数のブランチに分けられ、各ブランチは、特定の色を発するよう指示される。後者においては、特定の量の電流がそれぞれのブランチを流れていることを確実にするために、複数のLED電流リミッタが存在し得る。
【0033】
複数の残留ヘッドルーム電圧は、複数のブランチがあるシナリオにおいて、即ち、前記LED電流リミッタの各々にわたって、存在し得る。このような場合には、前記最も低いものである前記残留ヘッドルーム電圧に基づいて、前記電流リミッタの充電電流を制御することが決定され得る。即ち、互いに比較したときに絶対最小ヘッドルーム電圧を持つヘッドルーム電圧である。
【0034】
第3態様においては、上記で提供した例のいずれかによるLEDドライバを動作させる方法であって、
- 前記電圧調整ブランチによって、前記少なくとも1つのLEDと直列に結合されるLED電流リミッタに存在する前記最小残留ヘッドルーム電圧を調整することにより、前記少なくとも1つのLEDに供給される前記LED電圧を制御するステップを有する方法が提供される。
【0035】
例においては、前記調整するステップは、
- 前記電圧調整ブランチによって、前記最小残留ヘッドルーム電圧を所定の最小残留ヘッドルーム電圧に安定させることによって、前記少なくとも1つのLEDに供給される前記LED電圧を調整するステップを更に有する。
【0036】
更なる例においては、前記方法は、
- 前記フィードバック回路によって、前記LED電流リミッタに存在する前記残留ヘッドルーム電圧と、所定の残留ヘッドルーム電圧との間の増幅差に基づいて、前記電流リミッタを制御するステップを更に有する。
【0037】
更に他の例においては、前記所定の残留ヘッドルーム電圧は、約1ボルトである。
【0038】
本開示の第4態様においては、上記で提供した例のいずれかによる方法を実施するよう構成される集積回路(IC)が提供される。
【0039】
下記の実施形態を参照して、本発明のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】従来技術による一般的な直接主電源リニアLEDドライバの機能ブロック図を開示する。
【
図2】従来技術による一般的な直接主電源リニアLEDドライバを用いた最小残留ヘッドルーム電圧を図示するグラフを開示する。
【
図4】本開示によるLEDドライバを用いた最小残留ヘッドルーム電圧を図示するグラフを開示する。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図面は、概略的なものにすぎず、非限定的なものである。図面において、要素のうちの幾つかのサイズは、説明の目的のために、誇張されており、縮尺通りには描かれていない場合がある。
【0042】
図1は、従来技術による一般的な直接主電源リニアLEDドライバ100を図示している機能ブロック図を開示している。
【0043】
LEDドライバ100は、交流(AC)主電源電圧V1に直接接続される。主電源電圧は、230Vac若しくは110Vacの電圧、又は同様のものであってもよい。AC主電源電圧は、例えば全波整流器D1を利用して整流される。全波整流器は、AC主電源電圧の各サイクルの両半分を脈動直流(DC)信号に変換するよう構成される。
【0044】
DC信号は、ダイオードD2を介してコンデンサC1に供給される。コンデンサC1は、少なくとも1つのLED D4にDC電圧を供給するよう構成される。
【0045】
コンデンサC1は、コンデンサC1と直列に接続される線形電流リミッタ(linear current limiter)B2を使用して充電されることに留意されたい。線形電流リミッタB2によって供給される充電電流は、一度設定され、特定のチューニングポイントに合わせて調整されることに留意されたい。チューニングポイントは、最も低いAC主電源電圧、及び少なくとも1つのLEDの最大順方向電圧に対して決定される。これは、電流リミッタB2の充電電流を決定するときに考慮に入れられる最悪のシナリオである。
【0046】
ヘッドルーム電圧は、LED電流リミッタB1にわたって存在する。
【0047】
前述のように、このような直接主電源リニアLEDドライバにおける損失は、少なくとも部分的には、少なくとも1つのLEDと直列に配置されるLED電流リミッタB1に寄与される可能性がある。LED電流リミッタB1にわたる電圧は、AC電源電圧と少なくとも1つのLEDの順方向電圧とに線形比例し、従って、付随する損失も、AC電源電圧と少なくとも1つのLEDの順方向電圧とに線形比例する。コンデンサの充電電流は固定されるので、損失はAC主電源電圧に線形比例する。
【0048】
更に、B1にわたる電圧、即ち、ヘッドルーム電圧は、静的ではないことに留意されたい。B1にわたる電圧は、AC主電源電圧によって供給される変動に従って変動する。
【0049】
本開示によれば、最小残留ヘッドルーム電圧は、特定のAC主電源電圧サイクルにおけるB1にわたる最小電圧として定義され得る。
【0050】
図2は、上記のような従来技術による一般的な直接主電源リニアLEDドライバを用いた最小残留ヘッドルーム電圧を図示しているグラフ200を開示している。
【0051】
参照符号201で示されているような線は、コンデンサの充電電流、即ち、電流リミッタB2によって供給される電流を図示している。参照符号202で示されているような線は、コンデンサC1によって少なくとも1つのLED D4に供給される電圧を図示している。
【0052】
図2おいて示されているように、充電電流は、脈動しており、経時的に固定されている。コンデンサC1は、充電電流が有効になっているときに、充電される。充電電流は、この特定の例においては、約63mAである。コンデンサC1によって供給される電圧は、コンデンサが充電されているときはいつでも、増加している。コンデンサC1によって供給される電圧は、約282Vから約324Vまで上昇する。
【0053】
更に、コンデンサによって供給される電圧は、充電電流が存在しないときはいつでも、直線的に減少していることが示されている。これは、LED電流リミッタによって供給される静電流によって引き起こされる。
【0054】
この特定の例においては、最小残留ヘッドルーム電圧は、
図2において開示されているような282Vから少なくとも1つのLEDの順方向電圧を減算することによって決定され得る。
【0055】
提示されているLEDドライバは、最小残留ヘッドルーム電圧を、AC主電源電圧及び少なくとも1つのLEDの順方向電圧と無関係であり得る所定の値に安定させることによって、チューニングポイント以外でのLEDドライバ効率の低下という問題を改善することができることがあるので、従来技術より有利である。LED電流リミッタB1と電流リミッタの充電電流との間の熱負荷も、より均等に分散される。
【0056】
上記について、
図3及び4に関してより詳細に説明する。
【0057】
図3は、本開示によるLEDドライバ300を開示している。
【0058】
本開示のアイデアのうちの1つは、電流リミッタGを介してコンデンサC1の充電電流を変調することによって、LED電流リミッタB1の最小残留ヘッドルーム電圧を安定させるというものである。
【0059】
最小残留ヘッドルーム電圧は、AC主電源電圧の1サイクルの間のLED電流リミッタB1の両端の最小電圧として定義され得る。実際には、LED電流リミッタは、線形領域において動作し、少なくとも1つのLEDによって必要とされる予め設定されたLED電流に調整するために、約1Vの最小ヘッドルーム電圧を必要とし得る。しかしながら、本開示によれば、任意の最小ヘッドルーム電圧が設定され得る。
【0060】
図3において示されているLEDドライバ300は、以下でより詳細に説明する複数の新しい態様を有する。
【0061】
LEDドライバ300は、供給線を介して少なくとも1つのLEDに供給されるLED電圧を制御するよう構成される電圧調整ブランチを有し、前記電圧調整ブランチは、前記整流器から前記DC電圧を受け取るよう構成される。
【0062】
供給線は、コンデンサC1と少なくとも1つのLED D4との間の線とみなされ得る。
【0063】
電圧調整ブランチは、コンデンサC1と、電流リミッタGと、フィードバック回路とを有する。
【0064】
電流リミッタGは、C1の充電電流が設定され得るという点で、制御可能である。従って、充電電流は、固定されないかもしれず、前記電流リミッタGが受信する制御信号に依存し得る。電流リミッタGは、コンデンサC1と直列に接続される。
【0065】
フィードバック回路は、前記少なくとも1つのLEDと直列に結合されるLED電流リミッタに存在する最小残留ヘッドルーム電圧を調整することにより、前記電流リミッタGによる前記コンデンサC1の充電を制御し、それによって、前記少なくとも1つのLEDに供給されるLED電圧を制御するよう構成される。
【0066】
この特定のシナリオにおいては、フィードバック回路は、比較器ブロック及び最小電圧検出器ブロックを有し、これらの両方について、以下で、より詳細に説明する。
【0067】
最小電圧検出器ブロックは、前記第2最小電圧検出器ブロックの2つの入力端子の間の電位差に基づいて出力を供給するために使用され、前記2つの入力端子のうちの第1入力端子は、所定の最小電圧に設定され、前記2つの入力端子のうちの第2入力端子は、前記少なくとも1つのLEDと直列に結合される、前記LED電流リミッタに接続され、前記最小電圧検出器ブロックの前記出力は、前記比較器ブロックの前記2つの入力端子のうちの前記第2入力端子に接続される。
【0068】
最小電圧検出器ブロックは、オペアンプU2を使用して実施され得る。ここでは、コンデンサC4は、LED電流リミッタB1の両端の最小電圧、即ち、最小残留ヘッドルーム電圧まで充電され得る。第1端子は、コンデンサC4、即ち、LED電流リミッタB1の両端の最小電圧に接続され、他方の端子、即ち、第2端子は、LED電流リミッタに接続される。LED電流リミッタには残留ヘッドルーム電圧が存在することに留意されたい。従って、オペアンプU2は、LED電流リミッタB1の両端の最小電圧を検出するために使用される。
【0069】
最小電圧検出器ブロックの出力は、比較器ブロックに供給される。
【0070】
比較器ブロックは、前記比較器ブロックの2つの入力端子の間の電位差に基づいて出力を供給するよう構成されることができ、前記2つの入力端子のうちの第1入力端子は、所定の最小残留ヘッドルーム電圧に設定され、前記2つの入力端子のうちの第2入力端子は、前記少なくとも1つのLEDと直列に結合される前記LED電流リミッタに存在する前記残留ヘッドルーム電圧の最小値を受け取るよう構成され、前記比較器ブロックの出力は、前記電流リミッタを制御するために使用される。
【0071】
比較器ブロックは、オペアンプU1を使用して実施され得る。ここでは、オペアンプU2の出力は、オペアンプU1の2つの入力端子のうちの第2入力端子に接続される。オペアンプU1はまた、雑音増幅器とみなされ得る。オペアンプU1の出力は、電流リミッタGの充電電流を制御するための制御入力として使用され、前記充電電流は、オペアンプU1の出力電圧に比例し得る。
【0072】
図4は、本開示によるLEDドライバを用いた最小残留ヘッドルーム電圧を図示しているグラフを開示している。
【0073】
グラフ310は、
図2において示されているグラフ、即ち、参考符号200で示されているようなグラフと比較され得る。
【0074】
両方の場合において、同じ条件、即ち、同じAC主電源電圧と、少なくとも1つのLEDの同じ順方向電圧とが適用されている。
【0075】
相違点は、参照符号310を有するグラフは、本開示によるLEDドライバに基づいているが、参照符号200を有するグラフは、従来技術によるLEDドライバに基づいていることである。
【0076】
図4において、参照符号312で示されている線は、コンデンサC1によって供給される電圧であり、参照符号311で示されている線は、電流リミッタGによって供給される充電電流である。
【0077】
ここでは、充電電流は、
図2において示されているような充電電流からずれることが示されている。
【0078】
充電電流におけるこのようなずれは、LED電流リミッタに存在する最低ヘッドルーム電圧における差をもたらす。即ち、参照符号312を有する線は、
図10において示されているような約282Vではなく約272Vに低下する。本質的に、最小ヘッドルーム電圧は、この特定の場合においては、約10V低減される。
【0079】
提示されているLEDドライバは、複数の理由で有益である。理由のうちの1つは、LEDドライバが、LED電流リミッタにわたって存在する最小ヘッドルーム電圧を低減することによって、LED電流リミッタにおいて生じる全体的な損失を低減することである。提示されているLEDドライバは、LED電流リミッタにわたる最小ヘッドルーム電圧に基づいて、C1の充電電流を調整、調節又は制御することによって、これを達成する。
【0080】
特許請求の範囲において、「有する」という単語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数性を除外しない。単に、或る特定の手段が、相互に異なる従属請求項において挙げられているという事実は、これらの手段の組み合わせは有利になるようには使用されることができないことを示すものではない。特許請求の範囲における如何なる参照符号も、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。