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特許7383217チューブ肩口およびその製造方法、並びにバリアチューブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】チューブ肩口およびその製造方法、並びにバリアチューブ
(51)【国際特許分類】
   B65D 35/10 20060101AFI20231113BHJP
   B29C 43/02 20060101ALI20231113BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20231113BHJP
   C08L 77/00 20060101ALI20231113BHJP
   C08L 51/00 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
B65D35/10 A
B29C43/02
C08L23/00
C08L77/00
C08L51/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019042461
(22)【出願日】2019-03-08
(65)【公開番号】P2020142845
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 健太郎
【審査官】永田 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-177208(JP,A)
【文献】特開2017-159927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/10
B29C 43/02
C08L 23/00
C08L 77/00
C08L 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の口部と、
前記口部の一方の端部に接続する肩部と、
を備え、
前記口部および前記肩部は、ベースポリオレフィンと、メタキシリレン基を含有するポリアミドであるポリアミドAと、直鎖脂肪族から構成されるポリアミドであり、前記ポリアミドAとは別に準備されるポリアミドBと、接着性ポリオレフィンとを含む樹脂組成物で形成され、
前記ポリアミドAおよび前記ポリアミドBにより、層状に連続するバリア層が全周にわたり形成されている、
チューブ肩口。
【請求項2】
前記樹脂組成物における前記ポリアミドBの含有率が、10%以上40%未満である、
請求項1に記載のチューブ肩口。
【請求項3】
前記ベースポリオレフィンがポリエチレンである、請求項1に記載のチューブ肩口。
【請求項4】
ベースポリオレフィンと、メタキシリレン基を含有するポリアミドであるポリアミドAと、直鎖脂肪族から構成されるポリアミドであり、前記ポリアミドAとは別に準備されるポリアミドBと、接着性ポリオレフィンとを含む混合物を準備するステップAと、
前記混合物を加熱しながら攪拌し、前記ポリアミドAおよび前記ポリアミドBが分散された樹脂組成物を得るステップBと、
前記樹脂組成物を成形空間内に供給して圧縮成型し、前記ポリアミドAおよび前記ポリアミドBにより層状に連続するバリア層を形成するステップCと、
を備える、
チューブ肩口の製造方法。
【請求項5】
前記ステップBにおいて、前記混合物が前記ポリアミドAおよび前記ポリアミドBのいずれの融点よりも低く、かつ前記ポリアミドAおよび前記ポリアミドBの溶融開始温度以上の温度に加熱される、
請求項4に記載のチューブ肩口の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載のチューブ肩口と、
バリア性を有して筒状に形成され、一方の端部が前記肩部の外縁と接合されたチューブ胴部と、
を備える、
バリアチューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ肩口、およびその製造方法、並びにこのチューブ肩口を備えたバリアチューブに関する。
【背景技術】
【0002】
食品、医薬品等を保護するためのラミネートチューブとして、中身が外気中の酸素により酸化し劣化することを防ぐために、酸素バリア材を使用することがある。従来の酸素バリア材としては、一般的なプラスチックフィルムに酸素バリア性能のある物質をコーティングしたものが知られている。さらに、高度の酸素バリア性を発揮させるため、アルミ、シリカやアルミナ等をフィルムに蒸着した酸素バリア材も知られている。
【0003】
バリア性を有するチューブとして、特許文献1に記載のものが知られている。このチューブは、バリア層としてアルミ箔をインサート成形した肩口パーツを胴部パーツと接合して形成されている。
特許文献1に記載のチューブは、金属を使用しているため、金属検出器やX線検査装置による異物検査ができないという問題がある。
【0004】
特許文献2には、ポリオレフィンと、メタキシリレン基含有ポリアミドと、変性ポリオレフィンとを溶融混合した樹脂組成物を成形して肩口パーツを形成することが記載されている。この肩口パーツは、バリア性を発揮する一方、金属を使用しないため、上述した異物検査にも対応できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第2886966号公報
【文献】特開2017-159927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2は、本願発明者によるものである。発明者は、さらに検討を重ね、より確実にバリア機能を発揮する構成および製造プロセスを見出し、今回の発明に至った。
本発明は、より確実にバリア性を発揮するチューブ肩口およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、より確実にバリア性を発揮するバリアチューブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、筒状の口部と、口部の一方の端部に接続する肩部とを備えるチューブ肩口である。
口部および肩部は、ベースポリオレフィンと、メタキシリレン基を含有するポリアミドであるポリアミドAと、直鎖脂肪族から構成されるポリアミドであり、前記ポリアミドAとは別に準備されるポリアミドBと、接着性ポリオレフィンとを含む樹脂組成物で形成され、ポリアミドAおよびポリアミドBにより、層状に連続するバリア層が全周にわたり形成されている。
【0008】
本発明の第二の態様は、ベースポリオレフィンと、メタキシリレン基を含有するポリアミドであるポリアミドAと、直鎖脂肪族から構成されるポリアミドであり、前記ポリアミドAとは別に準備されるポリアミドBと、接着性ポリオレフィンとを含む混合物を準備するステップAと、混合物を加熱しながら攪拌し、ポリアミドAおよびポリアミドBが分散された樹脂組成物を得るステップBと、樹脂組成物を成形空間内に供給して圧縮成型し、ポリアミドAおよびポリアミドBにより層状に連続するバリア層を形成するステップCとを備えるチューブ肩口の製造方法である。
【0009】
本発明の第三の態様は、本発明のチューブ肩口と、バリア性を有して筒状に形成され、一方の端部が肩部の外縁と接合されたチューブ胴部とを備えるバリアチューブである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より確実にバリア性を発揮するチューブ肩口およびバリアチューブを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第一実施形態に係るチューブ肩口を示す図である。
図2】同チューブ肩口の製造に用いる混練装置を示す図である。
図3】同チューブ肩口の製造時の一過程を示す図である。
図4】本発明の第一実施形態に係るバリアチューブを示す図である。
図5】実験例1の肩口チューブの一断面を示す顕微鏡像である。
図6】実験例1の肩口チューブの他の断面を示す顕微鏡像である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態について、図1から図6を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るチューブ肩口1を示す図であり、上側が側面図、下側が平面図である。チューブ肩口1は、蓋が装着される口部10と、口部10と接続された肩部20とを備えている。
【0013】
口部10は、筒状に形成されている。口部10の外周面の形状は、口部10に装着される蓋との係合構造等に応じて、適宜決定できる。口部10に蓋を取り付けない構造としてもよく、その場合は、バリア性を有する薄体で開口を封止してもよい。薄体としては、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミニウム箔、ポリプロピレン系樹脂を順に積層した構成のシール材等を例示できる。
肩部20は、略ドーナツ状に形成され、内縁20aが口部10の下端部10aと接続されている。肩部20の面は傾斜しているため、外縁20bは、下端部10aよりも下方に位置している。
【0014】
口部10と肩部20とは、樹脂組成物を用いて一体成型されている。チューブ肩口1の外縁20bと、別途作製したチューブ胴部(後述)とを接合すると、ペースト状あるいはゲル状の内容物を押し出し可能に収容できるチューブが完成する。充填済みのチューブとするときは、両端が開口した筒状のチューブ胴部とチューブ肩口とを接合し、胴部の肩口のない側の端部開口から内容物を充填した後に胴部を封止する。
【0015】
チューブ肩口1を構成する樹脂組成物は、ベースポリオレフィンと、メタキシリレン基含有ポリアミド(以下、「ポリアミドA」と称する。)と、直鎖脂肪族から構成されるポリアミド(以下、「ポリアミドB」と称する。)と、接着性ポリオレフィンとを含有する。
【0016】
ポリアミドAは、特許文献2でも使用されており、高いバリア性を有する。しかしながら、発明者の検討過程において、ポリアミドAを含む樹脂組成物を層状に成型してもバリア性が高くならない場合が認められた。発明者が安定したバリア性を発揮させるための検討を重ねた結果、成形物においてポリアミドAが層状であるものの不均一に分布し、ポリアミドAが少ない部位や全く存在しない部位があることが大きな要因の一つであることが分かった。さらに、分布を均一にする過程でポリアミドAが微細な粒子状になってしまうとバリア性そのものが失われてしまうことも分かった。
【0017】
すなわち、ポリアミドAを用いてバリア性を有するチューブ肩口を形成する場合、ポリアミドAが微細な粒子になることなく、均一かつ連続性を保持して層状に分布している必要があるが、加工条件のみでこれを達成することは非常に困難であった。
【0018】
発明者は、ポリアミドAに加えてポリアミドBを樹脂組成物に加えることにより、この問題を解決した。ポリアミドBは、ポリアミドAには劣るものの一定のバリア性を有する。また、ポリアミドBは、ポリアミドAと溶融粘度が近く、混練時に同様の挙動を示す。
したがって、ポリアミドAの分布が少ない箇所が生じても、追従したポリアミドBが当該箇所を覆うように分布することで、全体として連続したバリア層が保持され、成形物が安定してバリア性を発揮することに寄与する。
【0019】
ベースポリオレフィンとしては、特に限定されず、広範囲な溶融粘度の材料を使用することができる。具体的には、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、超高分子量高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、あるいはエチレン、プロピレン、ブテン等から選ばれる2種類以上のオレフィンの共重合体からなる樹脂、およびそれらの混合体を用いることができる。
【0020】
ポリアミドAは、ジアミン単位とジカルボン酸単位とを有する。
ジアミン単位としては、特に限定されず、具体的には、例えば、メタキシレンジアミンや、パラキシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナンメチレンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン等を用いることができる。
ジカルボン酸単位としては、特に限定されず、具体的には、例えば、α,ω-脂肪族ジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸や1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、キシリレンジカルボン酸、及びナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸等を用いることができる。これらの中でも、イソフタル酸や2,6-ナフタレンジカルボン酸などは、ポリアミドAを製造する際における重縮合反応を阻害することなく、バリア性に優れるポリアミドを容易に得ることができるために好ましい。
【0021】
ポリアミドBは、ε-カプロラクタムと水とを含有する原料組成物を、加熱装置を備えた重合装置に供給して開環重合させた樹脂である。
【0022】
接着性ポリオレフィンとしては、ベースポリオレフィンを不飽和カルボン酸またはその無水物でグラフト変性したものを使用できる。
不飽和カルボン酸またはその無水物としては、具体的には、例えば、アクリル酸や、メタクリル酸、α-エチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、クロロマレイン酸、ブテニルコハク酸など、およびこれらの酸無水物が挙げられる。これらの中でも、マレイン酸および無水マレイン酸等を用いることが好ましい。
【0023】
不飽和カルボン酸またはその無水物をポリオレフィンにグラフト共重合して接着性ポリオレフィンを得る方法としては、特に限定されず、従来公知の種々の方法を用いることができる。具体的には、例えば、押出機等を用いてポリオレフィンを溶融させ、グラフトモノマーを添加して共重合させる方法や、ポリオレフィンを溶媒に溶解させてグラフトモノマーを添加して共重合させる方法、ポリオレフィンを水懸濁液とした後グラフトモノマーを添加して共重合させる方法等が挙げられる。
【0024】
本実施形態に係るチューブ肩口1の製造方法、および本実施形態に係るバリアチューブの製造方法について説明する。
【0025】
まず、ベースポリオレフィン、ポリアミドA、ポリアミドB、および接着性ポリオレフィンの混合物を準備する(ステップA)。次に、この混合物を加熱しながら攪拌する(ステップB)。チューブ肩口1をコンプレッション成型で製造する場合、ステップAは、図2に示すような、スクリュー110を備えた混練装置100で行う。
【0026】
上述したポリアミドAの分布状態をより確実に得るためには、ステップAにおける混合物の加熱温度が重要である。詳細については後述するが、混合物が、ポリアミドAの融点を超える温度に加熱されると、ポリアミドAがスクリュー110の攪拌により微細な粒子状となる。その結果、得られる樹脂組成物で製造されたチューブ肩口はバリア性を十分発揮しない。一方、混合物が、ポリアミドAの溶融開始温度未満の温度までしか加熱されないと、ポリアミドAが十分柔軟にならず、混合物内に均一に分散できない。
したがって、ステップAにおいては、混合物をポリアミドAの溶融開始温度以上融点以下の温度に加熱する。これにより、ポリアミドAが微細な粒子状になることを抑制しつつ、混合物内に均一に分散させて、得られる樹脂組成物内にポリアミドAを均一かつ連続性を保持して分布させることができる。
ステップAにおける混合物の加熱温度は、スクリュー110の温度を調節することにより変更できる。加熱温度は、ベースポリオレフィンの融点より高いことが好ましく、ポリアミドBの溶融開始温度以上融点以下であることが最も好ましい。
【0027】
スクリュー110で混練された混合物Cは、加熱された状態を保ちながら、アダプター120内を移動する。アダプター120から成形空間内に筒状に押し出された混合物が成形空間内でチューブ肩口1の形状に圧縮される(ステップC)。このとき、図3に示すように、チューブ肩口1が成形されると同時に、あらかじめ成形空間130内に進入させておいたチューブ胴部60の上縁60aと肩部20の外縁20bとが接合される。
【0028】
以上の工程を経て、図4に示すように、チューブ肩口1とチューブ胴部60と備える本実施形態のバリアチューブ51が完成する。図4に示すバリアチューブ51は、内容物充填前のものであるため、チューブ胴部60の下縁60bが開口している。下縁60bが開口した充填前のもの、内容物が充填されて下縁60bが封止されたもののいずれも、本実施形態のバリアチューブに含まれる。
【0029】
成形空間130内に供給された混合物Cにおいては、ポリアミドAおよびポリアミドBが、微細になりすぎずに均一に分散されている。これが成形空間130内で圧縮されることにより、ポリアミドAが口部10および肩部20において均一な層状に延ばされて配置される。さらに、延ばされたポリアミドAに微細な隙間が生じた場合も、隙間が高確率でポリアミドBにより覆われ、製造されるチューブ肩口1は高い信頼性でバリア性を発揮する。
バリア性を確実に発揮するチューブ肩口1と、バリア性を有するチューブ胴部60とが接合されることにより、バリアチューブ51も高い信頼性でバリア性を発揮する。
【0030】
以上説明したように、本実施形態のチューブ肩口1においては、ポリアミドAおよびポリアミドBが均一かつ層状に分散されて配置されている。その結果、バリア性を発揮する確実性が高まる。したがって、バリア性が低い、あるいはバリア性を有さない不良品の生じる可能性が低減され、歩留まりも高く維持される。
バリア性を有するチューブ胴部60とチューブ肩口1とを組み合わせることにより、バリアチューブ51を効率よく製造できる。
【0031】
本実施形態のチューブ肩口について、実験例を用いてさらに説明する。
ベースポリオレフィンとしてポリエチレンを使用し、接着性ポリオレフィンとして、アドマー(三井化学株式会社製)を使用した。混合物に占めるポリアミドAおよび接着性ポリオレフィンの比率を10%に固定したうえで、ベースポリオレフィンおよびポリアミドBの比率を様々に変化させて、上述した混練装置100を使用する方法で実験例1から5のチューブ肩口を作製した。スクリュー110の温度は215℃に設定した。この温度は、使用したポリアミドAおよびポリアミドBのいずれについても、溶融開始温度以上かつ融点未満の条件を満たす温度であり、ベースポリオレフィンの融点より高い温度である。
【0032】
各例のチューブ肩口について、モコン法を用いて酸素透過度を測定した。結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
ポリオレフィンのみで作製したバリア性のないチューブ肩口の酸素透過度は、約0.014cc/pkg・dayであった。実験例1から4の酸素透過度の平均値は、それぞれポリオレフィンのみで作製したチューブ肩口の約1/2~1/3であり、バリア性を発揮することが示された。実験例5のチューブ肩口は、強度が低く製造後容易に割れるため、酸素透過度を測定できなかった。
以上より、チューブ肩口を形成するための樹脂組成物におけるポリアミドBの含有率は40%未満が好ましいと考えられた。
【0035】
次に、実験例1および4のバリア肩口をそれぞれ20個作製し、酸素透過度のばらつきを検討した。実験例4の酸素透過度における母標準偏差σは0.0006であり、バリア性が安定していた。一方、実験例1のバリア肩口は、酸素透過度の平均値は実験例4よりも低いものの、母標準偏差σは0.0029であり、バリア性発揮について安定性に劣る結果であった。
【0036】
実験例1のうち高い酸素透過度を示したチューブ肩口について、平面視円形(図1参照)の肩部20を、中心角にして90度の間隔を空けて4か所切断し、各切断部の断面を顕微鏡で観察した。すると、図5に示すようにポリアミドAおよびポリアミドBを主成分とする大きな塊25が存在する断面Cs1がある一方、図6に示すように、ポリアミドAおよびポリアミドBが全く存在しない断面Cs2が認められた。
一方、実験例4のチューブ肩口について同様の観察を行ったところ、すべての断面にポリアミドAおよびポリアミドBの層状構造を認めた。
【0037】
以上より、ポリアミドAにポリアミドBを加えることにより、ポリアミドAおよびポリアミドBが形成するバリア性を発揮する層状構造をチューブ肩口の全周にわたり均一に配置できることが示された。
【0038】
以上、本発明の各実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせなども含まれる。
【符号の説明】
【0039】
1 チューブ肩口
10 口部
20 肩部
20b 外縁
51 バリアチューブ
60 チューブ胴部
図1
図2
図3
図4
図5
図6