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  • 特許-積層体およびそれを用いた化粧シート 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】積層体およびそれを用いた化粧シート
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/18 20060101AFI20231113BHJP
【FI】
B32B27/18 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022074063
(22)【出願日】2022-04-28
(62)【分割の表示】P 2017152461の分割
【原出願日】2017-08-07
(65)【公開番号】P2022107598
(43)【公開日】2022-07-22
【審査請求日】2022-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】工藤 麻美
(72)【発明者】
【氏名】柴山 直之
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-076354(JP,A)
【文献】特開2013-203060(JP,A)
【文献】特開2014-240200(JP,A)
【文献】特開2005-319589(JP,A)
【文献】特開2014-037453(JP,A)
【文献】特表2012-527366(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0085402(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00 - 43/00
C08K 3/00 - 13/08
C08L 1/00 - 101/14
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の樹脂層からなる積層体であって、
上記積層体の最表面側に位置するトップコート層に、pKaが4.0から7.0の光安定剤を含有し、
上記トップコート層は、熱硬化層と光硬化層とを備え、
上記熱硬化層は、上記光硬化層に比べて紫外線吸収剤を多く含み、
前記紫外線吸収剤は酸性を示し、光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5であることを特徴とする積層体。
【請求項2】
上記光安定剤は、ヒンダードアミン系光安定剤であることを特徴とする請求項1に記載した積層体。
【請求項3】
上記トップコート層は、無機粒子からなる光沢調整剤を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した積層体。
【請求項4】
上記無機粒子は、分散時のpHが5.0より大きく且つ8.5以下の無機粒子であることを特徴とする請求項3に記載した積層体。
【請求項5】
上記光沢調整剤は、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレンワックス、又は界面活性剤で表面修飾された無機粒子であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載した積層体。
【請求項6】
樹脂の主成分がオレフィン系樹脂であり、且つpKaが7.0以下の化合物を、樹脂材料100質量部に対して0.3質量部以上含有した樹脂層であるオレフィン樹脂層を有し、
上記トップコート層は、上記オレフィン樹脂層の上に形成されていることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載した積層体。
【請求項7】
上記熱硬化層を構成する熱硬化性樹脂は、メチルメタクリレートと2-ヒドロキシエチルメタクリレートとを構成成分とする樹脂であることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか1項に記載した積層体。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載した積層体を備えた化粧シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂フィルムなどの樹脂製の積層体、およびこれを用いた建築内装材、玄関ドアなどの建築外装部材、建具の表面、家電品の表面材等に用いられる化粧シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、塩化ビニル製化粧シートに替わる化粧シートとして、オレフィン系樹脂を使用した化粧シートが多く提案されている。これらの化粧シートは、住宅や公共施設の建築内装材、玄関ドアなどの建築外装部材、建具の表面、家電品の表面材の保護に用いられる。そのため、日々直射日光や風雨に曝されることになり、極めて高い耐候性が要求される。(特許文献1参照)
特許文献1に記載の化粧シートは、いずれも光安定剤や紫外線吸収剤などを保護層やコート層に配合することで、耐候性向上を図っている。しかし、長期の使用により、オレフィン樹脂やコート表面からブリードアウトすることで光安定剤や紫外線吸収剤が消失することや酸素や光により各材料の化学構造が破壊されることで機能が消失することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4032829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、保護層やコート層などの対象とする層に十分な耐候性が得られる量の紫外線吸収剤や光安定剤を含有させると、各層を構成する樹脂組成物中において当該紫外線吸収剤や光安定剤の凝集が生じる場合がある。
さらに、樹脂組成物中において紫外線吸収剤や光安定剤の化学構造が壊れ、低分子化することで、各層の表面から紫外線吸収剤や光安定剤の分解した成分が浮き出す、所謂ブリードアウトが発生しやすくなる。そして、他の層との密着性が低下したり、表層に浮き出て、べたつき等の問題を生じたりすることとなる。
【0005】
本発明においては、上記のような点に着目してなされたもので、安定した耐候性を有する化粧シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明らは、経時的な紫外線吸収剤および光安定剤の分解を防ぎ、長期にわたって品質を低下させずに利用することを可能とする条件を種々検討して、好適なトップコート層の条件を見出した。
課題を解決するために、本発明の一態様の積層体は、複数の樹脂層からなる積層体であって、上記積層体の最表面側に位置するトップコート層に、pKaが4.0から7.0の光安定剤を含有したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、上記の積層体を用いることで、長期間に亘って安定した耐候性を有する化粧シートを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に基づく実施形態に係る積層体を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
ここで、図1に示す構成は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに限定されるものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0010】
本実施形態の化粧シート1は、図1に示すように、基材層を構成する原反層6の上にインキ層5、接着剤層4、表面保護層である透明樹脂層3及びトップコート層2がこの順に配置されて構成されている。透明樹脂層3の上面には凹凸模様を構成するエンボス模様3aが形成されている。凹凸模様は、エンボス以外の方法で形成されても良い。透明樹脂層3はオレフィン樹脂層により構成される。なお、図1の例では、接着性を向上させるために、透明樹脂層3と接着剤層4との間に接着性樹脂層7が設けられているが、接着性樹脂層7は設けなくても良い。
【0011】
この化粧シート1は、例えば、原反層6の一方の面にインキ層5が形成されてなる原反樹脂シートに接着剤層4を形成して第1の積層体とすると共に、透明樹脂層3と接着性樹脂層7とを共押しした樹脂シートに、光安定剤と光沢調整剤を含有するトップコート層2を形成して第2の積層体とし、第1の積層体と第2の積層体とをドライラミネートまたは押出ラミネートなどで貼り合わせることによって製造される。
各層の詳細を以下に説明する。
【0012】
<トップコート層>
化粧シート1の最表層には、表面の保護や艶の調整としての役割を果たすトップコート層2が設けられている。上記トップコート層2には、少なくとも光安定剤が配合されている。トップコート層2には、光安定剤の他、紫外線吸収剤が配合されていることが好ましい。
また本実施形態のトップコート層2には、光沢調整剤としての無機粒子が配合されている。
【0013】
ここで、図1では、トップコート層2が透明樹脂層3の全面に対し、透明樹脂層3の表面に沿って形成される場合を例示しているがこれに限定されない。トップコート層2は、透明樹脂層3に形成されたエンボス模様3aの凹部に対して、樹脂組成物を塗布し、塗液をスキージなどで掻き取ることで、凹部のみに当該樹脂組成物を埋め込むワイピングによって埋設されて設けられてもよい。又、トップコート層2の表面が、エンボス模様3aの凹部に関係なく、平坦であっても良い。トップコート層2は、少なくともエンボス模様3aの凹部に埋め込まれて設けられていればよく、エンボス模様3aを形成することにより層厚が薄くなっている凹部においても、埋設されたトップコート層2によって高い耐候性を維持することができる。なお、透明樹脂層3の全面を覆うようにトップコート層2を設けることで、より優れた耐候性を備えた化粧シート1を提供することができる。
【0014】
(樹脂材料)
トップコート層2の主成分の樹脂材料としては、ポリウレタン系、アクリルシリコン系、フッ素系、エポキシ系、ビニル系、ポリエステル系、メラミン系、アミノアルキッド系、尿素系などの樹脂材料から適宜選択して用いることができる。樹脂材料の形態は、水性、エマルジョン、溶剤系など特に限定されるものではない。硬化法についても1液タイプ、2液タイプ、紫外線硬化法など適宜選択して行うことができる。
ここで、本明細書における主成分とは、対象の層を構成する材料の70質量%以上、好ましくは90質量%以上含まれる樹脂材料を指す。
【0015】
トップコート層2の主成分として用いる樹脂材料としては、イソシアネートを用いたウレタン系のものが作業性、価格、樹脂自体の凝集力などの観点から好適である。イソシアネートには、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(HXDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)などの誘導体であるアダクト体、ビュレット体、イソシアヌレート体などの硬化剤より適宜選定して用いることができるが、耐候性を考慮すると、直鎖状の分子構造を有するヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)もしくはイソホロンジイソシアネート(IPDI)をベースとする硬化剤が好適である。
【0016】
この他にも、表面硬度の向上を図る場合には、紫外線や電子線などの活性エネルギー線で硬化する樹脂を用いることが好ましい。主な材料として、各種モノマーや市販されているオリゴマーなど、公知のものを用いることができるが、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PET3A)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PET4A)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)等の多官能モノマーや、紫光UV-1700B(日本合成化学製)のような多官能オリゴマー、もしくはこれらの混合物を用いることが好ましい。
【0017】
なお、これらの樹脂は相互に組み合わせて用いることが可能であり、例えば、熱硬化型と光硬化型とのハイブリッド型とすることにより、表面硬度の向上、硬化収縮の抑制および密着性の向上を図ることができる。
またこのとき、トップコート層2を複数の層、例えば、熱硬化樹脂を主成分とした熱硬化層と、紫外線硬化樹脂などの光硬化樹脂を主成分とした光硬化層の2層から構成しても良い。このように2層の硬化層から構成することで、化粧シート1の表面硬度を向上することができる。このとき、光硬化層を表層側とすることが好ましい。
【0018】
(光安定剤)
本実施形態では、トップコート層2は、pKaが4.0以上7.0以下の光安定剤を含有する。ここで、トップコート層2が複数層の場合には、その各層に対し、pKaが4.0以上7.0以下の光安定剤を含有することが好ましいが、トップコート層2を構成する少なくとも1層に、pKaが4.0以上7.0以下の光安定剤を含有させればよい。
光安定剤は、ヒンダードアミン系光安定剤であることが好ましい。特に、アミノエーテル基を有し、分子量が600以上のヒンダードアミン系光安定剤であることがより好ましい。光安定剤の分子量は、例えば数平均分子量で測定すればよい。
【0019】
上記の光安定剤の数平均分子量を測定する方法は特に限定されないが、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いることが好ましい。そのGPCの測定装置については特に限定されるものではないが、GPCカラムの充填材はポリスチレンゲルが好ましく、溶離液としてはテトラヒドロフラン(THF)を用いることが好ましい。また、GPCの標準物質にはポリスチレンポリマーを用いれば良い。
もっとも、上記の光安定剤が単体で構成されている場合、その構造が既知であれば、光安定剤の分子量は、構造式から算出される値を用いてもよい。
光安定剤は、例えば下記ヒンダードアミン系の化合物(1)であり、上記ヒンダードアミン系の化合物は、反応式(2)の反応によりラジカルを捕捉することができる。
【0020】
【化1】
【0021】
【化2】
【0022】
ヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート;ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)スクシネート;ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)セバケート;ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート;ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)n-ブチル3,5-ジ-tert-ブチル4-ヒドロキシベンジルマロネート;1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジンおよびコハク酸の縮合物;2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イルステアレート;2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イルドデカネート;1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イルステアレート;1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イルドデカネート;N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンおよび4-tert-オクチルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンの縮合物;トリス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ニトリロトリアセテート;テトラキス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート;4-ベンゾイル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン;4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン;ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)-2-n-ブチル2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジル)マロン酸;3-n-オクチル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン;ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)セバケート;ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)スクシネート;N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンおよび4-モルホリノ2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンの縮合物;2-クロロ-4,6-ビス(4-n-ブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)-1,3,5-トリアジンおよび1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンの縮合物;2-クロロ-4,6-ビス(4-n-ブチルアミノ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)-1,3,5-トリアジンおよび1,2-ビス-(3-アミノプロピルアミノ)エタンの縮合物;8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン;3-ドデシル-1-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ピロリジン-2,5-ジオン;3-ドデシル-1-(1-エタノイル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ピロリジン-2,5-ジオン;3-ドデシル-1-(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)ピロリジン-2,5-ジオン;4-ヘキサデシルオキシ-および4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンの混合物;N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンおよび4-シクロヘキシルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンの縮合物;1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタン,2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンおよび4-ブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンの縮合物;2-ウンデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1-オキサ-3,8-ジアザ-4-オキソスピロ[4.5]デカン;オキソ-ピペランジニル-トリアジン;7,7,9,9-テトラメチル-2-シクロウンデシル-1-オキサ-3,8-ジアザ-4-オキソスピロ[4.5]デカンおよびエピクロロヒドリンの反応生成物等が挙げられる。
【0023】
また、N-アルコキシヒンダードアミン系光安定剤として、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート;1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)エステル;1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニルトリデシルエステル;1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニルトリデシルエステル;1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6-テトラメチル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]-ウンデカン3,9-ジエタノールの重合体の1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニルエステル;1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6-テトラメチル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]-ウンデカン3,9-ジエタノールの重合体の2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニルエステル;炭酸ビス(1-ウンデカンオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)等が挙げられる。
【0024】
また、ヒドロキシル置換N-アルコキシHALSとして、1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール;1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-4-オクタデカノイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン;1-(4-オクタデカノイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イルオキシ)-2-オクタデカノイルオキシ-2-メチルプロパン;1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール;1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノールおよびジメチルスクシネートの反応生成物等が挙げられる。
【0025】
これらのヒンダードアミン系の光安定剤の中でも、市販されている代表的なものとして、例えば、BASFジャパン(株)製Tinuvin 123、Tinuvin 152、Tinuvin NOR 371 FF、Tinuvin XT850 FF、Tinuvin XT855 FF、TINUVIN 5100、TINUVIN 622SF、Flamestab NOR 116 FF、(株)ADEKA製アデカスタブLA-81などが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
光安定剤をトップコート層2へ配合する場合、配合する層の樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下配合することが好ましい。より好ましくは、0.3質量部以上3.0質量部以下である。光安定剤の配合量が0.1質量部よりも少ないと発生したラジカルに対する樹脂の安定性の効果が低いおそれがある。一方、5.0質量部よりも多いとブリードアウトが生じる可能性が高くなる。
【0026】
(紫外線吸収剤)
トップコート層2へ紫外線吸収剤を配合する場合には、光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5の紫外線吸収剤を配合することが好ましい。ここで、トップコート層2が複数層の場合には、各層に対し、光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5の紫外線吸収剤を配合することが好ましい。
紫外線吸収剤をトップコート層2へ配合する場合、配合する層の樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上15.0質量部以下配合することが好ましい。より好ましくは、2.5質量部以上8.0質量部以下である。紫外線吸収剤の配合量が1.0質量部よりも少ないと紫外線に対する樹脂の安定性の効果が低いおそれがある。一方、15.0質量部よりも多いとブリードアウトが生じる可能性が高くなる。
【0027】
なお、トップコート層2として、上述のように熱硬化層と光硬化層を有する場合には、相対的に、熱硬化層側に上記の紫外線吸収剤を多く配合することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系のうち少なくとも1種類から選択して用いることができる。
特に、ベンゾトリアゾール系またはトリアジン系の有機系紫外線吸収剤は、紫外線吸収能が高く、耐熱性、耐揮発性および樹脂相溶性に優れるため、少なくとも一方から選択して用いることが好ましい。更に、紫外線吸収剤は、トリアジン骨格もしくはベンゾトリアゾール骨格を有し、分子量が400以上である紫外線吸収剤であることが好ましい。紫外線吸収剤の分子量は、その構造式から算出しても良いし、公知の方法で測定した数平均分子量であっても良い。
【0028】
紫外線吸収剤は、下記ヒドロキシフェニルトリアジン骨格を有する化合物(3)またはベンゾトリアゾール骨格を有する化合物(4)であり、これらは極大吸収を270nmから400nmに有する化合物が好ましい。上記の紫外線吸収剤は、光を吸収することで励起し、骨格に応じて、分子内で水素原子の移動が生じる。基底状態には、熱を放出して戻ることができる。これらは、それぞれ、反応式(5)、反応式(6)で示すことができる。
【0029】
【化3】
【0030】
【化4】
【0031】
【化5】
【0032】
【化6】
【0033】
上記ヒドロキシフェニルトリアジン骨格を有する化合物の例としては、2-(2-ヒドロキシ-4-オクトキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-s-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-4,6-ジフェニル-s-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-プロポキシ-5-メチルフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-s-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(3-ドデシルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-s-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(3-トリデシルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-s-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-[3-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシプロピルオキシ]フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-s-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-4,6-ジビフェニル-s-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-[1-(i-オクチルオキシカルボニル)エチルオキシ]フェニル]-4,6-ジビフェニル-s-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-オクトキシフェニル)-6-(2,4-ジメチルフェニル)-s-トリアジン、2,4-ビス(4-ブトキシ-2-ヒドロキシフェニル)-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-オクトキシフェニル)-s-トリアジン、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(商品名CYASORB(登録商標)UV-1164)、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン(商品名LA-F70)が挙げられる。
【0034】
また、上記ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物の例としては、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-(2-(オクチルオキシカルボニル)エチル)フェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-ドデシル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-(ジメチルベンジル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-4’-オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレン-ビス(2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-(3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミジルメチル)-5’-メチルベンジル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェノール(商品名LA-36)、2-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)-6-tert-ブチル-p-クレゾール(商品名tinuvin(登録商標)326)等が挙げられる。
【0035】
そして、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤としては、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ第三ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ第三ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-第三ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス(4-第三オクチル-6-ベンゾトリアゾリル)フェノールなどが挙げられる。
【0036】
トリアジン系の紫外線吸収剤としては、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス[2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル]-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(2'-エチル)ヘキシル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンなどが挙げられる。
【0037】
ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤としては、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、5,5’-メチレンビス(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)などが挙げられる。
ベンゾエート系の紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4-ジ第三ブチルフェニル-3’,5’-ジ第三ブチル-4’-ヒドロキシベンゾエート、2,4-ジ第三アミルフェニル-3’,5’-ジ第三ブチル-4’-ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル-3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
シアノアクリレート系の紫外線吸収剤としては、エチル-α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート、メチル-2-シアノ-3-メチル-3-(p-メトキシフェニル)アクリレートなどが挙げられる。
【0038】
(光沢調整剤)
トップコート層2は、光沢調整剤としての無機粒子を含む。無機粒子としては、例えば、シリカ、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、水酸化アルミニウム、タルク、ベントナイト、酸化チタン等、コロイダルシリカ等で知られる無水ケイ酸、含水ケイ酸、含水ケイ酸カルシウム、含水ケイ酸アルミニウム等のホワイトカーボン、アルミナゾルなどが挙げられる。また、ポリジメチルシロキサンやポリエチレンワックス、界面活性剤などで表面修飾をすると、分散性や耐汚染性が向上するため好ましい。
【0039】
無機粒子の粒子径は1μm以上20μm以下であることが好ましい。より好ましくは、3μm以上10μm以下である。粒子径が1μmより小さいと光沢調整の効果が低いおそれがある。一方、20μmより大きいと、フィラーがコート表面から欠落する可能性が高くなる。
配合する無機粒子のpHは、5.0より大きく且つ8.5以下の中性近傍であることが望ましい。5.0以下や8.5よりも大きいpHとなる無機粒子を用いると、光安定剤のpKaによって副生成物を生じる可能性がある。
上記無機粒子は、化粧シートの意匠(光沢度)に寄与するため、それに応じた量を配合(添加)する。無機粒子の配合量としては、トップコート層2の主成分の樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下の配合とすればよい。
【0040】
<透明樹脂層>
透明樹脂層3は、トップコート層2の基材を構成し、インキ層5を設ける場合にはインキ層5を保護する保護層となる。透明樹脂層3の透明性は、インキ層5が視認可能なだけの透明性があれば良い。なお、積層体としては、最低限、透明樹脂層3とトップコート層2を備えていればよい。インキ層5を設けない場合には、透明樹脂層3は透明である必要はない。
透明樹脂層3は、樹脂の主成分がオレフィン系樹脂であり且つpKaが7.0以下の化合物を樹脂材料100質量部に対して0.3質量部以上含有した樹脂層であることが好ましい。配合するpKaが7.0以下の化合物は、15.0質量部以下が好ましい。
pKaが7.0以下の化合物は、例えば上述のようなトップコート層2に配合するのと同じ光安定剤や紫外線吸収剤である。
【0041】
本実施形態の透明樹脂層3では、図1のように、エンボス模様が形成されている。
エンボス模様3aは、意匠性を向上させるために形成される。エンボス模様3aは、トップコート層2を形成する前に、凹凸模様を有するエンボス版を用いて熱および圧力を付与することによってエンボス模様3aを形成する方法や、押出機を用いて製膜する際に凹凸模様を有する冷却ロールを用いてシートの冷却と同時にエンボス模様3aを形成する方法などによって形成することができる。
【0042】
透明樹脂層3の主成分として用いる樹脂材料は、オレフィン系樹脂からなることが好適であり、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテンなどの他に、αオレフィン(例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4、4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、9-メチル-1-デセン、11-メチル-1-ドデセン、12-エチル-1-テトラデセンなど)を単独重合あるいは2種類以上を共重合させたものや、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・エチルメタクリレート共重合体、エチレン・ブチルメタクリレート共重合体、エチレン・メチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ブチルアクリレート共重合体などのように、エチレンまたはαオレフィンとそれ以外のモノマーとを共重合させたものが挙げられる。また、化粧シート1の表面強度の向上を図る場合には、高結晶性のポリプロピレンを用いることが好ましい。
【0043】
なお、透明樹脂層3を構成する樹脂組成物には、必要に応じて熱安定剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、触媒捕捉剤、着色剤、光散乱剤および艶調整剤などの各種機能性添加剤を含有させてもよい。これらの各種機能性添加剤は、周知のものから適宜選択して用いることができる。
透明樹脂層3に対して非極性のポリプロピレンを用いた場合、当該透明樹脂層3と下面に配置される樹脂層との密着性が低い場合には、接着性樹脂層7を設けることが好ましい。接着性樹脂層7としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル系などの樹脂に酸変性を施したものが好ましく、層厚は接着性や耐熱性の観点から2μm以上20μm以下が望ましい。また、当該接着性樹脂層7は、接着強度向上の観点から、透明樹脂層3と共押出ラミネート法によって形成されることが好ましい。
【0044】
<インキ層及び接着剤層>
透明樹脂層3の下面側には、図1に示すように、さらに下面側のインキ層5と透明樹脂層3との密着性を向上させるための接着剤層4が設けられている。
接着剤層4の材質は特に限定されるものではないが、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系などから適宜選択して用いることができる。塗工方法は接着剤の粘度などに応じて適宜選択することができるが、一般的には、グラビアコートが用いられ、インキ層5が施された原反層6側にグラビアコートによって塗布された後、透明樹脂層3及び接着性樹脂層7とラミネートするようにされている。なお、接着剤層4は、透明樹脂層3とインキ層5との接着強度が十分に得られる場合には、省略することができる。
【0045】
接着剤層4の下面側には、インキ層5が設けられている。インキ層5は、少なくとも光安定剤を含有することが好ましい。光安定剤としては、ヒンダードアミン系の材料を用いることが好ましい。インキ層5に対して光安定剤を含有させることにより、インキ層5を形成するバインダー樹脂自体や他層の樹脂劣化により発生したラジカルがインキ内の顔料の化学成分を還元することによる顔料の退色を抑制し、長期間に亘って色鮮やかな絵柄を保持することができる。
本実施形態のインキ層5は、絵柄模様層5aとベタインキ層5bとを備える。そして、少なくとも絵柄模様層5aに対し、上述の目的で光安定剤を含有している。また、絵柄模様層5aの下面側にベタインキ層5bを設けることにより、隠蔽性をもたせることができる。
【0046】
絵柄模様層5aのインキには、バインダーとしての硝化綿、セルロース、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、アクリル、ポリエステル系などの単独もしくは各変性物から適宜選択して用いることができる。当該バインダーは、水性、溶剤系、エマルジョン系など特に限定されるものではなく、硬化方法についても、1液タイプでも硬化剤を使用した2液タイプでもよい。さらに、紫外線や電子線などの活性エネルギー線照射によりインキを硬化させる方法を用いてもよい。特に、一般的な方法は、ウレタン系のインキを用いるもので、イソシアネートによって硬化させる方法である。これらのバインダー以外には、通常のインキに含まれている顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、各種添加剤などが含まれている。汎用性の高い顔料としては、縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母などのパール類が挙げられる。
【0047】
ベタインキ層5bにおいては、基本的には絵柄模様層5aに用いるインキと同じ材料を用いることができるが、当該インキが透明な材料の場合には、不透明な顔料、酸化鉄、酸化チタンなどを用いることができる。この他にも、銀、銅、アルミなどの金属を配合することで隠蔽性をもたせることも可能である。一般的には、フレーク状のアルミが用いられる。なお、ベタインキ層5bが無くても良い。
これらのインキ層5は、原反層6に対して直接、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、静電印刷、インクジェット印刷などにより形成することができる。また、金属によって隠蔽性を付与する場合には、コンマコーター、ナイフコーター、リップコーター、金属蒸着あるいはスパッタ法などを用いることが好ましい。
なお、樹脂材料やインキが積層される界面に対しては、その接着性を考慮して、当該樹脂材料やインキを施す前に、積層される表面にコロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、電子線処理、紫外線処理、重クロム酸処理などの表面処理を施すことにより表面を活性化した後に積層工程を経ると層同士の接着性を向上させることができる。
【0048】
<原反層>
インキ層5の下面側には、基材層となる原反層6が設けられている。原反層6は、薄葉紙、チタン紙、樹脂含浸紙などの紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、アクリルなどの合成樹脂、あるいはこれら合成樹脂の発泡体、エチレン-プロピレン共重合ゴム、エチレン-プロピレン-ジエン共重合ゴム、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合ゴム、ポリウレタンなどのゴム、有機もしくは無機系の不織布、合成紙、アルミニウム、鉄、金、銀などの金属箔などから任意に選択することができる。
【0049】
また、原反層6としてオレフィン系の樹脂を用いる場合には、表面が不活性な状態となっていることが多いので、原反層6と化粧シート1を貼り付ける基材(不図示)との間にプライマー層(不図示)を設けることが好ましい。この他にも、オレフィン系樹脂からなる原反層6と上記基材との接着性を向上させるために、原反層6の裏面に対して、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、電子線処理、紫外線処理または重クロム酸処理などが施されていることが好ましい。
なお、プライマー層としては、インキ層5と同じ材料を適用することができるが、化粧シート1をウェブ状で巻き取ることを考慮すると、ブロッキングを避けるとともに、接着剤との密着性を高めるために、シリカ、アルミナ、マグネシア、酸化チタンまたは硫酸バリウムなどの無機充填剤を含有させることが好ましい。
本実施形態の化粧シート1においては、原反層6は印刷作業性、コストなどを考慮して20μm~150μm、接着剤層4は1μm~20μm、透明樹脂層3は20μm~200μm、トップコート層2は3μm~20μmとすることが望ましく、化粧シート1の総厚は45μm~400μmの範囲内とすることが好適である。
【0050】
<作用その他について>
紫外線吸収剤と光安定剤は分子間相互作用を必要とするため近接して存在するほうが好ましい。ここで、トリアジン骨格もしくはベンゾトリアゾール骨格の紫外線吸収剤とヒンダードアミン骨格の光安定剤を用いた場合の相互作用について見てみる。一般に紫外線吸収剤と光安定剤の分子間相互作用は、紫外線吸収剤の共役系と光安定剤のヒンダードアミン骨格の間で生じる。紫外線吸収剤は、光吸収した際に、トリアジン骨格もしくはベンゾトリアゾール骨格の窒素上に分子内水素結合を生じている存在確立が高い。言い換えると、ヒドロキシル基上の水素が解離しやすい状態にある。
【0051】
そして、pKaが7.0よりも大きい光安定剤を共存させることで、光を吸収し励起状態にある紫外線吸収剤は、光安定剤と酸塩基反応を経た、副反応を生じやすくなる。つまりは、紫外線吸収剤や光安定剤が本来生じている反応式(2)、反応式(5)及び反応式(6)の反応を経ることができず副反応が増加する。言い換えると、光により分解しやすくなり、耐候性の低下に繋がる。一方で、pKaが7.0以下の光安定剤を用いた場合、光を吸収し励起状態にある紫外線吸収剤のヒドロキシル基上の水素と酸塩基反応を生じにくいため、紫外線吸収剤や光安定剤が反応式(2)、反応式(5)及び反応式(6)の反応を経やすい。そのため、光に対する耐候性を向上させることができる。
【0052】
このような事に鑑み、本実施形態では、トップコート層2を構成する樹脂組成物中に、pKaが4.0から7.0の光安定剤を配合することで、長期に亘って安定した耐候性を有する積層体や化粧シート1を提供することができる。
また、本実施形態のように、pKaが4.0から7.0の光安定剤をトップコート層2の樹脂組成物中に含有することで、トップコート層2中に光沢調整剤としての無機粒子を配合することによる、耐候性の低下を防ぐことができる。これは、光安定剤のpKaが7.0よりも大きい場合は、無機粒子表面に接するトップコート層2近傍が酸塩基反応により、副反応を生じやすくなり、トップコート層2中の光安定剤の割合が減少しやすくなるためである。そのため、トップコート層2に配合する光安定剤としては、pKaが7.0以下の光安定剤を用いることが好ましい。
【0053】
また、本実施形態のように、pKaが4.0から7.0の光安定剤をトップコート層2の樹脂組成物中に含有することで、トップコート層2中に材料原料由来の残存モノマー等があった場合、耐候性の低下を防ぐことができる。これは、光安定剤のpKaが7.0よりも大きい場合は、残存モノマー近傍での酸塩基反応により、副反応を生じやすくなり、トップコート層2中の光安定剤の割合が減少しやすくなるためである。そのため、pKaが7.0以下の光安定剤を用いることが好ましい。
【0054】
(光安定剤のpKaの測定法)
水系で既知のpKa値を有する有機参照物質に、0.1N過塩素酸/ジオキサンのアセトニトリル:クロロホルム=1:1溶液を滴下し、非水系における半中和電位(HNP)を滴定した。その際、pKaに対するHNP検量線のプロットを作成した。次いで同様にして光安定剤を滴定し、検量線プロットから相当するpKaを求めた。
【0055】
(紫外線吸収剤の光吸収時のpKaの測定法)
ここで、紫外線吸収剤を極大吸収波長での吸光度が1となるようにアセトニトリルに溶解させ、窒素により15分間バブリングを行った。その後、この溶液に70%過塩素酸を滴下し、溶液のpHを変化させていった。その際、溶液の吸収スペクトルを測定し、λmaxにおける吸光度から各pHにおける紫外線吸収剤と紫外線吸収剤のベンゾトリアゾール骨格もしくはトリアジン骨格の窒素に水素イオンが付加したものを計算した。その値が等しくなる点より、紫外線吸収剤の光吸収時のpKaを求めた。吸収スペクトルの測定には、日立ハイテク製U-4000分光光度計を用いた。
【0056】
(シリカ粒子のpH測定法)
JISに則って測定を実施した。まず大気下170℃で2時間乾燥したシリカ粒子10gに精製水200gを加え、時計皿で覆う。その後、80±3℃で1時間加熱・攪拌した後、室温に冷却して上澄液を回収する。上澄液を25℃まで冷却した後、JISZ8802に準拠したアナログpHメーターHM-7J(東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて測定した。
【実施例
【0057】
以下に、本発明に基づく積層体及び化粧シートの具体例について説明する。
<実施例1>
高結晶性ホモポリプロピレン樹脂100質量部に対して、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010;BASF社製)を0.5質量部、トリアジン系紫外線吸収剤(CYASORB UV-1164;SUNCHEM製)を0.5質量部、NOR型光安定剤(Tinuvin XT850 FF;BASF社製)を0.5質量部それぞれ配合した樹脂を、押出機を用いて溶融押出しして、厚さ100μmの透明な高結晶性ポリプロピレンシートとしてのシート状の透明樹脂層3を製膜した。そして、得られた透明樹脂層3の両面にコロナ処理を施し、シート表面の濡れ張力を40dyn/cm以上とした。
【0058】
他方、隠蔽性のある80μmのポリエチレンシート(原反層6)の一方の面に、2液型ウレタンインキ(V180;東洋インキ(株)製)を用いてグラビア印刷方式にて絵柄印刷を施して絵柄模様層5aを設け、また、該原反層6の他方の面にプライマーコートを施した。
しかる後、上記原反層6の絵柄模様層5aの面上に、透明樹脂層3をドライラミネート用接着剤(タケラックA540;三井化学(株)製;塗布量2g/m2)を介してドライラミネート法にて貼り合わせた。この貼り合わせたシートの透明樹脂層3の表面にエンボス模様3aを施した。
エンボス模様3aを施した透明樹脂層3に、以下のトップコート層形成用組成物を塗布厚3g/m2にて塗布乾燥することで、トップコート層2を形成し、総厚185μmからなる実施例1の化粧シート1を得た。
【0059】
(トップコート層A形成用組成物)
トップコート層A形成用組成物は、下記のポリマー溶液Aに、下記の硬化剤、光沢調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤を配合して構成した。
・ポリマー溶液A
撹拌機、窒素導入管および還流冷却管を備えた4つ口フラスコ内に、メチルメタクリレートを80g、2-ヒドロキシエチルメタクリレートを20g導入し、酢酸エチル70gを加えて溶解し、油浴上で窒素雰囲気下撹拌した。これに0.2gのα, α’-アゾビスイソブチロニトリルを配合することで重合を開始し、60℃の油浴上で5時間加熱撹拌を続けて、無色、粘ちょうなポリマー溶液Aを得た。
・硬化剤
品名:デュラネート 24A-100
配合:5質量部
・光沢調整剤(無機粒子)
品名:P-801(水澤化学工業(株)製)
性状:不定形状、平均粒子径6.0μm、pH6.8
配合:10質量部
・紫外線吸収剤
品名:Tinuvin 329(BASF社製)
配合:2.5質量部
・光安定剤
品名:Tinuvin 123(BASF社製)
配合:1.5質量部
【0060】
<実施例2>
実施例1の光沢調整剤をC-402(水澤化学工業(株))に置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして実施例2の化粧シート1を得た。
<実施例3>
実施例1の光沢調整剤をNP-8(水澤化学工業(株))に置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして、実施例3の化粧シート1を得た。
【0061】
<実施例4>
実施例1の光安定剤の種類をTinuvin 152(BASF社製)とした以外は、全て実施例1と同様にして実施例4の化粧シート1を得た。
<実施例5>
実施例2の光安定剤の種類をTinuvin 152(BASF社製)とした以外は、全て実施例2と同様にして実施例5の化粧シート1を得た。
【0062】
<実施例6>
実施例3の光安定剤の種類をTinuvin 152(BASF社製)とした以外は、全て実施例3と同様にして実施例6の化粧シート1を得た。
<実施例7>
実施例1の光安定剤の配合量を0.5質量部とした以外は、全て実施例1と同様にして実施例7の化粧シート1を得た。
【0063】
<実施例8>
実施例1の光安定剤の配合量を3.0質量部とした以外は、全て実施例1と同様にして実施例8の化粧シート1を得た。
<実施例9>
実施例1の光安定剤の配合量を15.0質量部とした以外は、全て実施例1と同様にして実施例9の化粧シート1を得た。
【0064】
<比較例1~3>
実施例1~3の光安定剤をTinuvin 292(BASF社製)に置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして比較例1~3の化粧シート1を得た。
<比較例4>
実施例1の光安定剤を配合しない以外は、全て実施例1と同様にして比較例4の化粧シート1を得た。
【0065】
表1に使用した光安定剤および光沢調整剤について表示する。併せて、表1には評価結果についても記載する。
【0066】
【表1】
【0067】
また、実施例1をベースとして、トップコート層を変えて、以下の実施例10~実施例18の化粧シートを作製した。
<実施例10>
実施例1のトップコート層形成用組成物を、下記に変更したトップコート層Bからなる実施例10の化粧シートを得た。
(トップコート層B形成用組成物)
トップコート層B形成用組成物は、下記の樹脂液Aに、下記の開始剤、光沢調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤を配合して構成した。
・樹脂液A
品名:M405(東亞合成)
・開始剤
品名:Irgcure184(BASF社製)
配合:5質量部
・光沢調整剤(無機粒子) 実施例1と同様
・紫外線吸収剤 実施例1と同様
・光安定剤 実施例1と同様
【0068】
<実施例11>
実施例1のトップコート層A上に、実施例1のポリマー溶液Aをポリマー溶液Bに置き換えた以外は、全て実施例1と同様にしたトップコート層Cをコートし、2層からなる実施例11の化粧シートを得た。ポリマー溶液Bの調製方法は下記に記載した。
・ポリマー溶液B
撹拌機、窒素導入管および還流冷却管を備えた4つ口フラスコ内に、メチルメタクリレートを50g、2-ヒドロキシエチルメタクリレートを50g導入し、酢酸エチル70gを加えて溶解し、油浴上で窒素雰囲気下撹拌した。これに0.2gのα, α’-アゾビスイソブチロニトリルを配合することで重合を開始し、60℃の油浴上で5時間加熱撹拌を続けて、無色、粘ちょうなポリマー溶液Bを得た。
【0069】
<実施例12>
実施例1のトップコート層A上に、実施例10で用いたトップコート層Bをコートし、2層からなる実施例12の化粧シートを得た。
【0070】
<実施例13>
実施例1のトップコート層形成用組成物を、下記に変更したトップコート層Dからなる実施例13の化粧シートを得た。
(トップコート層D形成用組成物)
トップコート層D形成用組成物は、下記の樹脂液Bに、下記の硬化剤、開始剤、光沢調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤を配合して構成した。
・樹脂液B
ポリマー液Aと樹脂液Aを50質量部ずつ配合して、樹脂液Bを得た。
・開始剤
品名:Irgcure184(BASF社製)
配合:5質量部
・硬化剤
品名:デュラネート 24A-100
配合:5質量部
・光沢調整剤(無機粒子) 実施例1と同様
・紫外線吸収剤 実施例1と同様
・光安定剤 実施例1と同様
【0071】
<実施例14>
実施例1のトップコート層A上に、実施例13で用いたトップコート層Dをコートし、2層からなる実施例14の化粧シートを得た。
【0072】
<実施例15>
実施例13のトップコート層D上に、実施例13のトップコート層形成用組成物を、下記に変更したトップコート層Eをコートし、2層からなる実施例15の化粧シートを得た。
(トップコート層E形成用組成物)
トップコート層E形成用組成物は、下記の樹脂液Cに、下記の硬化剤、開始剤、光沢調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤を配合して構成した。
・樹脂液C
ポリマー液B20質量部と樹脂液A80質量部を配合して、樹脂液Cを得た。
・開始剤 実施例10と同様
・硬化剤 実施例10と同様
・光沢調整剤(無機粒子) 実施例1と同様
・紫外線吸収剤 実施例1と同様
・光安定剤 実施例1と同様
【0073】
<実施例16>
実施例13のトップコート層D上に、実施例10で用いたトップコート層Bをコートし、2層からなる実施例16の化粧シートを得た。
<実施例17>
実施例1のトップコート層上に、実施例13、実施例10で用いたコートを順次積層し、3層からなる実施例17の化粧シートを得た。
<実施例18>
実施例11のトップコート層上に、実施例10で用いたコートをし、3層からなる実施例18の化粧シートを得た。
【0074】
表2に、実施例1,実施例10~18のトップコート層の層構成、使用した光安定剤及び光沢調整剤について表示する。併せて、表2には評価結果についても記載する。
ここで、層構成における、「熱」は熱硬化層を、「UV」は光硬化層を、「UV/熱」は、光硬化樹脂と熱硬化樹脂の混合層を表す。
【0075】
【表2】
【0076】
<評価>
(耐候性(外観))
実施例及び比較例で得られた化粧シートを、ダイプラ・ウィンテス株式会社製メタルウェザーにセットし、ライト条件(照度:60mW/cm2、ブラックパネル温度63℃、層内湿度50%RH)で20時間、結露条件(照度:0mW/cm2、ブラックパネル温度30℃、層内湿度98%RH)で4時間、水噴霧条件(結露条件の前後10秒間)の条件で500または1000時間放置する耐候性試験を行った。上記試験後、25℃50%RHの条件下で2日間保持してから、板表面のクラックや黄変などの外観を目視で下記の基準により評価した。
【0077】
(塗膜外観)
○ :外観変化は全くなかった。
△ :表面に微細なクラックがあった。
× :表面に無数のクラックがあった。
(基材黄変)
○ :外観変化は全くなかった。
△ :若干の黄変がみられた。
× :著しく黄変した。
【0078】
各実施例の化粧シートにおいては、表1に示すように、pKaが4.0から7.0の光安定剤を組み合わせて樹脂に配合することで、ヘイズを生じることなく、耐候試験後の光沢度変化を抑制することができると共に、外観変化を生じにくくした化粧シートを作製することができた。
表1及び表2から分かるように、pKaが7.0よりも大きい値をもつ光安定剤を表面保護層に配合した場合は、塗膜外観、基材黄変ともに、pKaが4.0から7.0の光安定剤を使用した場合と比較して悪かった。また、光安定剤を15.0質量部配合した場合は、作製した時点で塗膜にヘイズを生じたが、耐候性試験前後での外観変化や樹脂黄変は見られなかった。これは、紫外線吸収剤や光安定剤が表面保護層上にブリードアウトし、ヘイズ値が高くなったためであるが、十分な耐候剤が含まれていたために性能が発揮されたと考えられる。
【0079】
以上の結果から、本発明に基づく実施例の化粧シート1は、耐候性に優れていることが分かる。
なお、本発明の化粧シート1は、上記の実施形態および実施例に限定されるものではなく、発明の特徴を損なわない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 化粧シート
2 トップコート層
3 透明樹脂層
3a エンボス模様
4 接着剤層
5 インキ層
5a 絵柄模様層
5b ベタインキ層
6 原反層(基材層)
7 接着性樹脂層
図1