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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】ハッチ用安全柵
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/16 20060101AFI20231113BHJP
【FI】
E04H17/16 102A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019187717
(22)【出願日】2019-10-11
(65)【公開番号】P2021063355
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】592134125
【氏名又は名称】阿南電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】柿久保 則夫
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-073365(JP,U)
【文献】特開平09-256658(JP,A)
【文献】特開2008-057145(JP,A)
【文献】実開昭53-079726(JP,U)
【文献】特開平10-299333(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0112413(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/00,17/16
E04G 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の床に開口部が形成されたハッチの周囲に配置される安全柵と、前記ハッチの開口部に開閉可能に取り付けられた床蓋を開閉するウィンチと、前記安全柵の下部に複数取り付けられるキャスタとを備え、前記ウィンチが前記安全柵に取り付けられているハッチ用安全柵において、
前記安全柵が、相互に対向する一対の第一柵体と、それぞれの前記第一柵体の幅方向同じ側の外側部同士を、第一ヒンジ部を介して揺動可能に連結する一対の第二柵体とを有し、前記一対の第二柵体が、2枚の柵部材を相互に第二ヒンジ部を介して折り畳み可能に連結したものであり、
前記一対の第一柵体のうち、一方の第一柵体には、上下方向に立ち上がり、前記ウィンチを支持する支柱が固定され、前記支柱の上部が前記一方の第一柵体よりも上方に突出し、その突出部分に前記ウィンチが取り付けられており、前記一対の第一柵体の下部に前記床に対する固定片が取り付けられ、
前記安全柵は、前記一対の第二柵体の2枚の柵部材が同一直線上に位置している展開状態と、前記第二ヒンジ部が前記第一柵体の幅方向内側に位置し、前記一対の第二柵体の2枚の柵部材が折り畳まれている折り畳み状態とを採るものであることを特徴とするハッチ用安全柵。
【請求項2】
前記一対の第一柵体が、その幅方向両側部に設けられる第一突出部を有し、前記第一突出部が、前記一対の第一柵体の対向方向の内向きに突き出しており、前記第一突出部と前記第二柵体の柵部材とが前記第一ヒンジ部を介して連結されており、
前記第二柵体のそれぞれの柵部材が、その前記第二ヒンジ部側の端部に設けられる第二突出部を有し、前記第二突出部は、前記安全柵が前記展開状態を採るとき、前記第一柵体の幅方向外向きに突き出しており、前記第二柵体の2枚の柵部材の第二突出部が前記第二ヒンジ部を介して連結されていることを特徴とする請求項1に記載されたハッチ用安全柵。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、変電所や工場など、比較的大型の機器を使用する建物において、その機器を施設に搬入出する際に使用するハッチの周囲に設置されるハッチ用安全柵に関する。
【背景技術】
【0002】
変電所や工場など、比較的大型の機器を使用する建物には、その上層階側の床に形成される開口部から異なる階層へ機器や資材を搬入出するハッチが設けられている。
【0003】
このようなハッチの開口部からの人の転落を防止するための安全対策として、ハッチを取り囲むように配置するハッチ用安全柵が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のハッチ用安全柵は、4枚の柵体をヒンジを介して角形となるように連結した安全柵と、ウィンチを備えた複数個に分解可能に設けた門状のアームとを有し、前面側の柵体に開閉扉を設け、アームの一方の脚を柵体の一隅に設けた柱に着脱可能に取り付けたものである。
【0004】
このハッチ用安全柵は、ハッチの開口部を取り囲むように安全柵を設置することで、ハッチの開口部からの人の転落を防止することができ、安全柵を構成する4枚の柵体を1枚ずつヒンジを介して扁平状に折り畳むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭53-79726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のハッチ用安全柵の安全柵は、折り畳む際、4枚の柵体を1枚ずつ折り畳む必要があり、展開する際には、4枚の柵体を1枚ずつ開く必要があるため、折り畳み、および展開の作業性が悪いという問題があった。
【0007】
そこで、この発明の課題は、折り畳みおよび展開の作業性の良好なハッチ用安全柵を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、この発明に係るハッチ用安全柵は、建物の床に開口部が形成されたハッチの周囲に配置される安全柵と、前記ハッチの開口部に開閉可能に取り付けられた床蓋を開閉するウィンチと、前記安全柵の下部に複数取り付けられるキャスタとを備え、前記ウィンチが前記安全柵に取り付けられているハッチ用安全柵において、前記安全柵が、相互に対向する一対の第一柵体と、それぞれの前記第一柵体の幅方向同じ側の外側部同士を、第一ヒンジ部を介して揺動可能に連結する一対の第二柵体とを有し、前記一対の第二柵体が、2枚の柵部材を相互に第二ヒンジ部を介して折り畳み可能に連結したものであり、前記安全柵は、前記一対の第二柵体の2枚の柵部材が同一直線上に位置している展開状態と、前記第二ヒンジ部が前記第一柵体の幅方向内側に位置し、前記一対の第二柵体の2枚の柵部材が折り畳まれている折り畳み状態とを採るものである構成を採用することができる。
【0009】
この構成においては、安全柵は、前記展開状態から一対の第一柵体を相互に対向する方向(対向方向)内向きに移動させながら、第二柵体の2枚の柵部材を折り畳むようにして前記折り畳み状態にすることができる。また、安全柵は、前記折り畳み状態から、一対の第一柵体を対向方向外向きに移動させながら、第二柵体の2枚の柵部材を開くようにして前記展開状態にすることができる。
【0010】
前記一対の第一柵体が、その幅方向両側部に設けられる第一突出部を有し、前記第一突出部が、前記一対の第一柵体の対向方向の内向きに突き出しており、前記第一突出部と前記第二柵体の柵部材とが前記第一ヒンジ部を介して連結されており、前記第二柵体のそれぞれの柵部材が、その前記第二ヒンジ部側の端部に設けられる第二突出部を有し、前記第二突出部は、前記安全柵が前記展開状態を採るとき、前記第一柵体の幅方向外向きに突き出しており、前記第二柵体の2枚の柵部材の第二突出部が前記第二ヒンジ部を介して連結されている構成を採用することができる。
【0011】
この構成により、折り畳み状態の安全柵は第一柵体の第一突出部と2枚の柵部材の第二突出部との突出長さを加えた距離分だけ、一対の第一柵体の間隔が大きくなり、折り畳み状態で安全柵を自立させることができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係るハッチ用安全柵は、一対の第一柵体を対向方向内向きに移動させながら、第二柵体の2枚の柵部材を折り畳むことにより、展開状態の安全柵を容易に折り畳み状態とすることができるので、安全柵の折り畳みの作業性が良好となる。
【0013】
また、一対の第一柵体を対向方向外向きに移動させながら、第二柵体の2枚の柵部材を一直線上に位置させることにより、折り畳み状態の安全柵を容易に展開状態にすることができるので、安全柵の展開の作業性が良好となる。
【0014】
さらに、折り畳み状態の安全柵では、一対の第一柵体の間隔が大きくなるため、折り畳み状態で安全柵を自立させることができ、自立する安全柵をキャスタにより移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明に係る第一実施形態のハッチ用安全柵の展開状態を示す正面図
図2】第一実施形態のハッチ用安全柵の展開状態を示す平面図
図3】第一実施形態のハッチ用安全柵の展開状態を示す側面図
図4】第一実施形態のハッチ用安全柵の折り畳み状態を示す平面図
図5】この発明に係る第二実施形態のハッチ用安全柵の展開状態を示す正面図
図6】第二実施形態のハッチ用安全柵の展開状態を示す平面図
図7】第二実施形態のハッチ用安全柵の展開状態を示す側面図
図8】第二実施形態のハッチ用安全柵の折り畳み状態を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明に係る第一実施形態のハッチ用安全柵を図面に基づいて説明する。ハッチ用安全柵1は、例えば、変電所や工場などの建物の上層階側の床Fに設けられるハッチ30の周囲に配置されるものである。図1に示すように、このハッチ30は、床Fを貫通する横断面矩形の縦孔であり、床Fに開口部31が形成されている。ハッチ30の開口部31には、この開口部31を開閉するようにヒンジ33を介して床蓋32が開閉可能に取り付けられている。
【0017】
図1図4に示すように、ハッチ用安全柵1は、ハッチ30の開口部31の周囲に配置される安全柵2と、床蓋32を開閉するウィンチ3と、安全柵2の下部に複数取り付けられるキャスタ4とを備えている。
【0018】
図1、2に示すように、安全柵2は、相互に対向する一対の第一柵体10、11と、一対の第一柵体10、11の幅方向同じ側の外側部同士を、第一ヒンジ部5を介して揺動可能に連結された一対の第二柵体12、13とを有している。図3に示すように、一対の第一柵体10、11のうち、一方の第一柵体10は矩形の枠体から形成され、幅方向中央位置に配置される1本の縦桟10aと、上下方向に間隔をおいて配置される2本の横桟10bとを有する。
【0019】
縦桟10aの下部に床Fに対する固定片10cが取り付けられている。固定片10cは上下方向の位置を調整可能となっている。第一柵体10には、上下方向に立ち上がり、ウィンチ3を支持する支柱3aが固定されている。支柱3aの上部が第一柵体10よりも上方に突出し、その突出部分にウィンチ3が取り付けられている。
【0020】
ウィンチ3は、ワイヤ3bを巻回したドラム3cと、ドラム3cに回転力を付与するハンドル3dと、ドラム3cから引き出されるワイヤ3bの向きを変える滑車3eと、図示しないブレーキ機構を有する。ワイヤ3bの先端には、フック3fが取り付けられている。フック3fは、床蓋32のヒンジ33側と反対側部分に設けられた係合ピン32aに係合可能となっている。ウィンチ3の支柱3aには規制チェーン9が取り外し可能に吊り下げられている。
【0021】
第一柵体10は、上端部に着脱可能に取り付けられるロックバー7と、下端部に取り付けられるキャスタ4とを有する。ロックバー7は両端部が同方向へ直角に屈曲しており、一方の屈曲部に支持軸部7aが形成され、他方の屈曲部に係合軸部7bが形成されている。係合軸部7bは支持軸部7aよりも短い。
【0022】
図4に示すように、支持軸部7aおよび係合軸部7bが第一柵体10の上部に上方から貫通し、支持軸部7aの下端部にストッパリング7cが固定されている(図3参照)。ストッパリング7cにより、ロックバー7が第一柵体10の上部から抜け出ない状態となっている。ロックバー7は、係合軸部7bが第一柵体10の上部よりも上方に位置する状態で、支持軸部7aにより第一柵体10の上部で揺動可能に支持されている。
【0023】
他方の第一柵体11は、一方の第一柵体10と同じ大きさの矩形の枠体から形成され、幅方向中央位置に配置される1本の縦桟11aと、上下方向に間隔をおいて配置される2本の横桟11bとを有する。縦桟11aの下部に床Fに対する固定片11cが取り付けられている。固定片11cは上下方向の位置を調整可能となっている。他方の第一柵体11は、一方の第一柵体10と同様に、上部に着脱可能に取り付けられるロックバー7と、下端部に取り付けられるキャスタ4とを有する。
【0024】
一方の第二柵体12は、2枚の柵部材14と柵部材15とを相互に第二ヒンジ部6を介して水平方向に揺動可能に連結したものである。柵部材14および柵部材15は、同じ大きさの矩形の枠体から形成され、第一柵体10と同じ高さであって、第一柵体10の半分の幅寸法を有する。
【0025】
柵部材14および柵部材15は、上下方向に間隔をおいて配置される2本の横桟14a、14aおよび横桟15a、15aを有する。柵部材14、15のそれぞれの上部には、ロックバー7の係合軸部7bが挿通される貫通孔14b、15bを有する(図2参照)。
【0026】
柵部材14の上部には、ロックフレーム8が柵部材14の幅方向に移動可能に取り付けられている。ロックフレーム8は、断面コ字状の枠部材から形成されている。ロックフレーム8は、安全柵2が展開状態で、柵部材14の上部のみに嵌合する位置と、柵部材14の上部および柵部材15の上部に嵌合する位置との間で移動可能となっている。ロックフレーム8は、柵部材14の上部および柵部材15の上部に嵌合する位置にあるとき、柵部材14と柵部材15との折り畳みを規制する。
【0027】
第二柵体13は、2枚一対の柵部材16、17を相互に第二ヒンジ部6を介して水平方向に揺動可能に連結したものである。一対の柵部材16、17は、第一柵体10と同じ高さであり、第一柵体10の半分の幅寸法を有する矩形の枠部材からなる。柵部材16は、上下方向に間隔をおいて配置される2本の横桟を有する。柵部材17は、上下方向に間隔をおいて配置される2本の横桟を有する。柵部材16および柵部材17のそれぞれの上部には、ロックバー7の係合軸部7bが挿通される貫通孔16b、17bが設けられている(図2参照)。
【0028】
第二柵体13の柵部材16には、第二柵体12の柵部材14と同様に、ロックフレーム8が柵部材16の幅方向に移動可能に取り付けられている。柵部材16のロックフレーム8は、柵部材14のロックフレーム8と同様に、柵部材16および柵部材17の上部に嵌合されることにより、柵部材16と柵部材17間での折り畳みを規制する。
【0029】
第一柵体10の幅方向一方の外側部には、第二柵体13の柵部材17が第一ヒンジ部5を介して水平方向に揺動可能に連結されている。第一柵体10の幅方向他方側の端部には、第二柵体12の柵部材15が第一ヒンジ部5を介して水平方向に揺動可能に連結されている。
【0030】
第一柵体11の幅方向一方の外側部には、第二柵体13の柵部材16が第一ヒンジ部5を介して水平方向に揺動可能に連結されている。第一柵体11の幅方向他方の外側部には、第二柵体12の柵部材14が第一ヒンジ部5を介して水平方向に揺動可能に連結されている。
【0031】
第一ヒンジ部5は、トップヒンジ部5aおよびボトムヒンジ部5bとからなる。トップヒンジ部5aおよびボトムヒンジ部5bのヒンジ軸は、上下方向の同一直線上に配置されている。第一ヒンジ部5は、公知の上下一対のバタフライヒンジを使用することができる。
【0032】
第二ヒンジ部6は、トップヒンジ部6aおよびボトムヒンジ部6bとからなる。トップヒンジ部6aおよびボトムヒンジ部6bのヒンジ軸は、上下方向の同一直線上に配置されている。第二ヒンジ部6は、公知の上下一対のバタフライヒンジを使用することができる。
【0033】
図2に示すように、安全柵2は、第二柵体12の柵部材14と柵部材15とが同一直線上に位置し、かつ第二柵体13の柵部材16と柵部材17とが同一直線上に位置する状態、すなわち、平面視矩形をなす展開状態を採る。また、図4に示すように、安全柵2は、一方の第二柵体12の柵部材14と柵部材15とが相互に折り畳まれ、かつ他方の第二柵体13の柵部材16と柵部材17とが相互に折り畳まれる折り畳み状態とを採る。
【0034】
この発明の第一実施形態のハッチ用安全柵1は、以上のように構成される。次に、この実施形態のハッチ用安全柵1の使用方法を説明する。
【0035】
使用前のハッチ用安全柵1は、通常、図4に示す安全柵2が折り畳み状態で保管されている。この折り畳み状態の安全柵2に対して、第一柵体10の固定片10cと第一柵体11の固定片11cとの間に規制チェーン9が掛け渡されている。
【0036】
次に、安全柵2が折り畳み状態のハッチ用安全柵1をキャスタ4によりハッチ30付近まで移動させ、安全柵2を展開状態とする。この展開状態において、第一柵体10の2本のロックバー7のそれぞれを回動し、係合軸部7bを柵部材15の貫通孔15bと柵部材17の貫通孔17bのそれぞれに差し込む。同様に、第一柵体11の2本のロックバー7を回動して係合軸部7bを、柵部材14の貫通孔14bと柵部材16の貫通孔16bのそれぞれに差し込む。
【0037】
また、第二柵体12のロックフレーム8を柵部材14および柵部材15の上部に嵌め合わせ、第二柵体13のロックフレーム8を柵部材16および柵部材17の上部に嵌め合わせる。このロックバー7とロックフレーム8の操作により、ハッチ用安全柵1を展開状態で保持する。
【0038】
続いて、安全柵2が展開状態のハッチ用安全柵1をキャスタ4により移動し、床蓋32の周囲にハッチ用安全柵1を配置する。このとき、床蓋32のヒンジ33側の辺部の外側に、ハッチ用安全柵1の第一柵体10が位置する状態とする。なお、上述のロックバー7とロックフレーム8の操作は、床蓋32の周囲にハッチ用安全柵1を配置した後に行っても良い。
【0039】
床蓋32の周囲にハッチ用安全柵1を配置した後、第一柵体10の固定片10cおよび第一柵体11の固定片11cに挿通されたボルトを、予めハッチ30の周縁に形成されている雌ねじ(図示省略)にねじ結合する。これにより、ハッチ用安全柵1が床蓋32の周囲に固定される。
【0040】
この固定状態で、ウィンチ3のワイヤ3bに固定されたフック3fを、床蓋32の係合ピン32aに係合する。その後、ハンドル3dを回転してドラム3cにワイヤ3bを巻き取り、床蓋32をヒンジ33を介して開いて、ハッチ30の開口部31を開放する。ハッチ30の開口部31を開放した状態で、ハッチ30を通して上層階と下層階の間で必要な機器や資材をクレーン(図示省略)により搬入出作業を開始する。
【0041】
機器や資材の搬入出作業の完了後、ウィンチ3のハンドル3dを操作して、ワイヤ3bをドラム3cから送り出し、床蓋32をヒンジ33を介して閉じて、ハッチ30の開口部31を閉じる。ワイヤ3bのフック3fを床蓋32の係合ピンか32aから外し、ワイヤ3bをドラム3cに巻き取る。
【0042】
続いて、4本のロックバー7を持ち上げ、2本のロックバー7の係合軸部7bを第一柵体10の上部に差し込み、残りの2本のロックバー7の係合軸部7bを第一柵体11の上部に差し込む。さらに、ロックフレーム8を柵部材14(柵部材16)の幅方向に移動して、柵部材14と柵部材15との間、および柵部材16と柵部材17との間の嵌合状態を解除する。
【0043】
そして、第一柵体10と第一柵体11とを対向方向内向きに移動させつつ、第二柵体12の柵部材14と柵部材15とを相互に折り畳み、かつ第二柵体13の柵部材16と柵部材17とを相互に折り畳んで、安全柵2を折り畳み状態とする。最後に、第一柵体10の固定片10cと第一柵体11の固定片11cとの間に規制チェーン9を掛け渡し、安全柵2を折り畳み状態に保持させる。
【0044】
以上のように、この実施形態のハッチ用安全柵1は、安全柵2の展開および折り畳みの作業性が良いものとなる。
【0045】
次に、この発明の第二実施形態に係るハッチ用安全柵1を図面の図5~8に基づいて説明する。
この第二実施形態は、第一実施形態に対して、第一柵体10の幅方向両端部に設けられる第一突出部20、20と、第一柵体11の幅方向両側部に設けられる第一突出部21、21とを有する点、第二柵体12の柵部材14および柵部材15の第二ヒンジ部6側に設けられる第二突出部24および第二突出部25と、第二柵体13の柵部材16および柵部材17の第二ヒンジ部6側に設けられる第二突出部26および第二突出部27とを有する点、並びに、ロックフレーム8がロックバー7である点で異なり、その他の構成は第一実施形態と同様である。そのため、以下においては、第一実施形態と相違する構成のみを説明し、第一実施形態と同じ構成のものは、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0046】
図5図6示すように、第一柵体10の第一突出部20、20は、第一柵体10と第一柵体11の対向方向内向きに突き出している。また、第一突出部20、20は、第一柵体10を形成する枠体の上部および下部から突き出している。
【0047】
第一柵体10の幅方向一方側の第一突出部20と、第二柵体13の柵部材17とが第一ヒンジ部5を介して揺動可能に連結されている。第一柵体10の幅方向他方側の第一突出部20と、第二柵体12の柵部材15とが第一ヒンジ部5を介して揺動可能に連結されている。柵部材15および柵部材17の第一ヒンジ部5側の下部にキャスタ4が取り付けられている。
【0048】
第一柵体11の第一突出部21、21は、第一柵体10と第一柵体11の対向方向内向きに突き出している。第一突出部21、21は、第一柵体11を形成する枠体の上部および下部から突き出している。
【0049】
第一柵体11の幅方向一方側の第一突出部21と、第二柵体13の柵部材16とが第一ヒンジ部5を介して揺動可能に連結されている。第一柵体11の幅方向他方側の第一突出部21と、第二柵体12の柵部材14とが第一ヒンジ部5を介して揺動可能に連結されている。柵部材14および柵部材16の第一ヒンジ部5側の下部にキャスタ4が取り付けられている。
【0050】
第二柵体12の第二突出部24および第二突出部25は、安全柵2が展開状態を採るとき、第一柵体10の幅方向外向きに突き出すものである。第二突出部24と第二突出部25とが、第二ヒンジ部6を介して連結されている。
【0051】
第二柵体13の第二突出部26および第二突出部27は、安全柵2が展開状態を採るとき、第一柵体10の幅方向外向きに突き出すものである。第二突出部26と第二突出部27とが、第二ヒンジ部6を介して連結されている。
【0052】
図6に示すように、第二突出部24と第二突出部25との間、および第二突出部26と第二突出部27との間に架け渡すように、ロックバー7が取り付けられている。このロックバー7は、柵部材15および柵部材17に支持軸部7aが貫通し、柵部材14および柵部材16に形成された貫通孔14cおよび貫通孔16cに係合軸部7bが係合するようになっている。このロックバー7により、柵部材14と柵部材15の相互間、および柵部材16と柵部材17の相互間での折り畳みが規制される。
【0053】
第二実施形態のハッチ用安全柵1は、安全柵2が折り畳み状態を採るとき、第一柵体10の第一突出部20、20、第一柵体11の第一突出部21、21、第二柵体12の第二突出部24と第二突出部25、および、第二柵体13の第二突出部26と第二突出部27の突出長さを加えた距離分だけ、一対の第一柵体10、11の間隔が大きくなる。これにより、安全柵2が折り畳み状態を採るときに、その安全柵2を自立させることができる。また、自立する安全柵2をキャスタ4により、容易に移動させることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 ハッチ用安全柵
2 安全柵
3 ウィンチ
3a 支柱
3b ワイヤ
3c ドラム
3d ハンドル
3e 滑車
3f フック
4 キャスタ
5 第一ヒンジ部
6 第二ヒンジ部
5a、6a トップヒンジ部
5b、6b ボトムヒンジ部
7 ロックバー
7a 支持軸部
7b 係合軸部
7c ストッパリング
8 ロックフレーム
9 規制チェーン
10、11 第一柵体
10a、11a 縦桟
10b、11b 横桟
10c、11c 固定片
12、13 第二柵体
14、15、16、17 柵部材
14a、15a 横桟
14b、14c、15b、16b、16c、17b 貫通孔
20、21 第一突出部
24,25、26、27 第二突出部
30 ハッチ
31 開口部
32 床蓋
32a 係合ピン
33 ヒンジ
F 床
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8