IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 東京ウエルズの特許一覧

特許7383294キャリアテープの熱圧着装置、キャリアテープの熱圧着装置システムおよびキャリアテープの熱圧着方法
<>
  • 特許-キャリアテープの熱圧着装置、キャリアテープの熱圧着装置システムおよびキャリアテープの熱圧着方法 図1
  • 特許-キャリアテープの熱圧着装置、キャリアテープの熱圧着装置システムおよびキャリアテープの熱圧着方法 図2
  • 特許-キャリアテープの熱圧着装置、キャリアテープの熱圧着装置システムおよびキャリアテープの熱圧着方法 図3
  • 特許-キャリアテープの熱圧着装置、キャリアテープの熱圧着装置システムおよびキャリアテープの熱圧着方法 図4
  • 特許-キャリアテープの熱圧着装置、キャリアテープの熱圧着装置システムおよびキャリアテープの熱圧着方法 図5
  • 特許-キャリアテープの熱圧着装置、キャリアテープの熱圧着装置システムおよびキャリアテープの熱圧着方法 図6
  • 特許-キャリアテープの熱圧着装置、キャリアテープの熱圧着装置システムおよびキャリアテープの熱圧着方法 図7
  • 特許-キャリアテープの熱圧着装置、キャリアテープの熱圧着装置システムおよびキャリアテープの熱圧着方法 図8
  • 特許-キャリアテープの熱圧着装置、キャリアテープの熱圧着装置システムおよびキャリアテープの熱圧着方法 図9
  • 特許-キャリアテープの熱圧着装置、キャリアテープの熱圧着装置システムおよびキャリアテープの熱圧着方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】キャリアテープの熱圧着装置、キャリアテープの熱圧着装置システムおよびキャリアテープの熱圧着方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 15/04 20060101AFI20231113BHJP
【FI】
B65B15/04 K
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020146106
(22)【出願日】2020-08-31
(65)【公開番号】P2022041083
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】591009705
【氏名又は名称】株式会社 東京ウエルズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(72)【発明者】
【氏名】小寺 克義
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-137426(JP,A)
【文献】特開2004-106947(JP,A)
【文献】実開平04-013501(JP,U)
【文献】特開2006-182418(JP,A)
【文献】特開2006-168754(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0324835(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にワークが収納されたキャビティを含むとともに、搬送方向に延びるキャリアテープに対して、トップテープを熱圧着するキャリアテープの熱圧着装置において、
前記キャリアテープと前記トップテープを重ね合わせた状態で保持するとともに下端部を含む搬送レールと、前記搬送レールの上方に前記搬送レールに対向して平行に配置され、前記トップテープを加熱して押圧する加熱装置と、前記搬送レールの下端部を支持する上端部を有するとともに、前記搬送レールを上下動させる空気圧駆動の駆動部とを備え、前記駆動部の上端部は搬送方向からみて湾曲する凹状面をもち、前記搬送レールの下端部は搬送方向からみて湾曲する凸状面をもち、前記凹状面と前記凸状面との間に複数のローラが介在される、キャリアテープの熱圧着装置。
【請求項2】
前記駆動部は前記搬送レールを上昇させて、前記搬送レールと前記加熱装置との間で前記キャリアテープと前記トップテープを熱圧着し、前記駆動部による加圧力および加圧時間は可変となる、請求項1記載のキャリアテープの熱圧着装置。
【請求項3】
前記加熱装置は、その下端部に、前記キャビティの両側に位置する一対の加熱体を含み、各加熱体の下端面は0.3mm~0.6mmの幅をもつ、請求項1または2記載のキャリアテープの熱圧着装置。
【請求項4】
前記搬送レールは、搬送方向からみて、横方向に延びる一対のバネ材を介してシリンダブロックに固定されている、請求項1乃至3のいずれか記載のキャリアテープの熱圧着装置。
【請求項5】
前記加熱装置は上下方向に移動可能な上部回転軸を有し、前記加熱装置は前記上部回転軸を中心に回動自在となる、請求項1乃至4のいずれか記載のキャリアテープの熱圧着装置。
【請求項6】
搬送方向に沿って配置された少なくとも一対の請求項1記載のキャリアテープの熱圧着装置を備え、
上流側のキャリアテープの熱圧着装置は、前記キャリアテープと前記トップテープに対して予熱を付与し、
下流側のキャリアテープの熱圧着装置は、前記キャリアテープと前記トップテープを加圧する、キャリアテープの熱圧着装置システム。
【請求項7】
内部にワークが収納されたキャビティを含むとともに、搬送方向に延びるキャリアテープに対して、トップテープを熱圧着するキャリアテープの熱圧着方法において、
前記キャリアテープと前記トップテープを重ね合わせた状態で搬送レール上に保持する工程と、
前記搬送レールの上方に前記搬送レールに対向して、前記トップテープを加熱する加熱装置を配置する工程と、
前記搬送レールを支持する上端部を有する駆動部により、前記搬送レールを上下動させる工程とを備え、
前記上端部は搬送方向からみて湾曲する凹状面をもち、前記搬送レールは搬送方向と直交からみて湾曲する凸状面をもつ下端部を有し、前記凹状面と前記凸状面との間に複数のローラが介在される、キャリアテープの熱圧着方法。
【請求項8】
前記駆動部は前記搬送レールを上昇させて、前記搬送レールと前記加熱装置との間で前記キャリアテープと前記トップテープを熱圧着し、前記駆動部による加圧力および加圧時間は可変となる、請求項7記載のキャリアテープの熱圧着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアテープの熱圧着装置、キャリアテープの熱圧着装置システムおよびキャリアテープの熱圧着方法に係り、とりわけ高速処理に適したキャリアテープの熱圧着装置、キャリアテープの熱圧着装置システムおよびキャリアテープの熱圧着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワークを搬送し、検査してキャリアテープのキャビティ内に移載するワークのテーピングシステムが知られている。このようにキャビティ内にワークが移載された後、キャリアテープ上にトップテープが配置され、キャリアテープに対してトップテープが熱圧着される。このような熱圧着装置は回転軸を中心に加熱体を振り下ろす構造をもち、加熱体を傾けることにより、加熱体の回転軸側で加圧を行い、先端側で予熱を付与している。しかしながら、このような熱圧着装置では、加圧力と予熱時間を独立して制御することができず、熱圧着の条件が限られてしまい、高速処理を行うことが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-40475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、このような考慮してなされたものであり、高速処理に適したキャリアテープの熱圧着装置、キャリアテープの熱圧着装置システムおよびキャリアテープの熱圧着方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、内部にワークが収納されたキャビティを含むとともに、搬送方向に延びるキャリアテープに対して、トップテープを熱圧着するキャリアテープの熱圧着装置において、前記キャリアテープと前記トップテープを重ね合わせた状態で保持するとともに下端部を含む搬送レールと、前記搬送レールの上方に前記搬送レールに対向して平行に配置され、前記トップテープを加熱して押圧する加熱装置と、前記搬送レールの下端部を支持する上端部を有するとともに、前記搬送レールを上下動させる空気圧駆動の駆動部とを備え、前記駆動部の上端部は搬送方向からみて湾曲する凹状面をもち、前記搬送レールの下端部は搬送方向からみて湾曲する凸状面をもち、前記凹状面と前記凸状面との間に複数のローラが介在される、キャリアテープの熱圧着装置である。
【0006】
本開示は、前記駆動部は前記搬送レールを上昇させて、前記搬送レールと前記加熱装置との間で前記キャリアテープと前記トップテープを熱圧着し、前記駆動部による加圧力および加圧時間は可変となる、キャリアテープの熱圧着装置である。
【0007】
本開示は、前記加熱装置は、その下端部に、前記キャビティの両側に位置する一対の加熱体を含み、各加熱体の下端面は0.3mm~0.6mmの幅をもつ、キャリアテープの熱圧着装置である。
【0008】
本開示は、前記搬送レールは、搬送方向からみて、横方向に延びる一対のバネ材を介してシリンダブロックに固定されている、キャリアテープの熱圧着装置である。
【0009】
本開示は、前記加熱装置は上下方向に移動可能な上部回転軸を有し、前記加熱装置は前記上部回転軸を中心に回動自在となる、キャリアテープの熱圧着装置である。
【0010】
本開示は、搬送方向に沿って配置された少なくとも一対のキャリアテープの熱圧着装置を備え、上流側のキャリアテープの熱圧着装置は、主として前記キャリアテープと前記トップテープに対して予熱を付与し、下流側のキャリアテープの熱圧着装置は主として前記キャリアテープと前記トップテープを加圧する、キャリアテープの熱圧着装置システムである。
【0011】
本開示は、内部にワークが収納されたキャビティを含むとともに、搬送方向に延びるキャリアテープに対して、トップテープを熱圧着するキャリアテープの熱圧着方法において、前記キャリアテープと前記トップテープを重ね合わせた状態で搬送レール上に保持する工程と、前記搬送レールの上方に前記搬送レールに対向して配置され、前記トップテープを加熱する加熱装置を配置する工程と、前記搬送レールを支持する上端部を有する駆動部により、前記搬送レールを上下動させる工程とを備え、前記上端部は搬送方向からみて湾曲する凹状面をもち、前記搬送レールは搬送方向からみて湾曲する凸状面をもつ下端部を有し、前記凹状面と前記凸状面との間に複数のローラが介在される、キャリアテープの熱圧着方法である。
【0012】
本開示は、前記駆動部は前記搬送レールを上昇させて、前記搬送レールと前記加熱装置との間で前記キャリアテープと前記トップテープを熱圧着し、前記駆動部による加圧力および加圧時間は可変となる、キャリアテープの熱圧着方法である。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本開示によれば、高速処理に適したキャリアテープの熱圧着装置、キャリアテープの熱圧着装置システムおよびキャリアテープの熱圧着方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本実施の形態によるキャリアテープの熱圧着装置を示す正面図。
図2図2は、本実施の形態によるキャリアテープの熱圧着装置システムを示す側面図。
図3図3は、本実施の形態によるキャリアテープの熱圧着装置システムを示す斜視図。
図4図4は、本実施の形態によるキャリアテープの熱圧着装置を示す概略正面図。
図5図5は、本実施の形態によるキャリアテープの熱圧着装置システムを示す拡大した側面図。
図6図6は、加熱装置の一対の加熱体を示す正面図。
図7図7は、キャリアテープを示す平面図。
図8図8は、キャリアテープを示す側断面図。
図9図9は、ワークのテーピングシステム全体を示す側面図。
図10図10は、ワークのテーピングシステム全体を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず図9および図10により、キャリアテープの熱圧着装置およびキャリアテープの熱圧着装置システムが組み込まれたワークのテーピングシステム全体について説明する。
【0016】
図9および図10に示すように、ワークのテーピングシステム1Aは、供給されたワークW(図6参照)の向きを揃えて整列させるパーツフィーダ1と、パーツフィーダ1から整列したワークを受け取り一列状態で搬送する機能を有するリニアフィーダ2と、円形で水平に設置されるとともにリニアフィーダ2からのワークWを受け取り、図示されない動力源の作用により、鉛直方向の回転軸5を中心として図2の矢印の方向に間歇回転するインデックステーブル3とを備えている。またインデックステーブル3はその外周部に、外側向きに開孔して設けられた図示されないワーク収納孔を有し、リニアフィーダ2により搬送されたワークWはこのワーク収納孔に個別に収容される。またリニアフィーダ2とインデックステーブル3との間に、リニアフィーダ2からのワークWをインデックステーブル3のワーク収納孔に移載する機能を有する分離供給部4が設けられている。
【0017】
またインデックステーブル3の外方に、インデックステーブル3のワーク収納孔内のワークWをキャリアテープ7に移載するワーク挿入部6が設けられている。
【0018】
次に、キャリアテープ7について、図7および図8により説明する。ここで、図7は、キャリアテープを示す平面図であり、図8はその側面図である。キャリアテープ7は、その縁部近傍にキャリアテープ7の搬送方向Lに沿って等間隔Tで規則的に配置された円形の送り穴12を有する。また、キャリアテープ7上には、ワーク挿入部6においてワークWを収納するための凹部であるキャビティ13が等間隔で配置されている。送り穴12はキャビティ13にワークWを収納する際の位置決めに用いられるため、キャビティ13の配置と相関関係を有し、等間隔Tをもって配置されている。なお、図7には、キャビティ2個に対して送り穴1個を設けた例を示してある。
【0019】
キャリアテープ7は全体として紙製となっており、紙製のキャリアテープ7にパンチングを施すことにより、キャリアテープ7上にキャビティ13が形成される。
【0020】
このような構成からなるキャリアテープ7は供給リール8から供給されてワーク挿入部6に達する。そしてワーク挿入部6において、上述のようにキャリアテープ7のキャビティ13内にワークWが移載されて収納される。ワークWがキャビティ13内に収納されたキャリアテープ7はその後下流側へ搬送される(図9および図10)。
【0021】
次にキャビティ13内にワークWが収納されたキャリアテープ7に対してトップテープ供給部から案内ローラ17A、17Bを介して合成樹脂製のトップテープ17が供給される。そしてキャビティ13内にワークWが収納されたキャリアテープ7に対し、トップテープ17が本実施の形態によるキャリアテープの熱圧着装置20およびキャリアテープの熱圧着装置システム20Aにより熱圧着される。
【0022】
次にキャリアテープの熱圧着装置20およびキャリアテープの熱圧着装置システム20Aによりトップテープ17が熱圧着されたキャリアテープ7は、その後、ARC(オートリールチェンジャ)10へ送られる。
【0023】
なお、図9および図10において、ワーク挿入部6の直下には、キャリアテープ7を案内するテープ送り歯車9が設けられている。
【0024】
次に本実施の形態によるキャリアテープの熱圧着装置20およびキャリアテープの熱圧着装置システム20Aについて、図1乃至図6により説明する。
【0025】
図1乃至図6に示すように、キャリアテープの熱圧着装置20はキャビティ13内にワークWが収納されたキャリアテープ7に対してトップテープ17を熱圧着するものである。このようなキャリアテープの熱圧着装置20は搬送方向に並んで同一構造のものが2個配置される(図5参照)。
【0026】
このうち上流側のキャリアテープの熱圧着装置20は、キャリアテープ7とトップテープ17に対して主として予熱を付与するものであり、下流側のキャリアテープの熱圧着装置20は主としてキャリアテープ7に対してトップテープ17を加圧するものである。そして上流側のキャリアテープの熱圧着装置20と、下流側のキャリアテープの熱圧着装置20とによりキャリアテープの熱圧着装置システム20Aが構成される。
【0027】
このような構成からなるキャリアテープの熱圧着装置20は、後述するベース板30Aに連結されたシリンダブロック30Bと、シリンダブロック30Bに後述のように上下方向に移動自在に設けられ、キャリアテープ7とトップテープ17を重ね合わせた状態で保持する搬送レール21と、搬送レール21の上方に搬送レール21と対向して平行に配置され、トップテープ17を加熱して押圧する加熱装置40と、搬送レール21を支持するとともに、この搬送レール21を上下動させる駆動シリンダ23とを備えている。また、シリンダブロック30Bは、下部シリンダブロック30C上にシリコンゴム52を介して設けられており、ベース板30Aと、シリンダブロック30Bと下部シリンダブロック30Cは固定側構造物となる。
【0028】
このうち加熱装置40はその下部に形成された一対の加熱体41、41を有している。加熱装置40の一対の加熱体41、41はトップテープ17に対してキャビティ13の幅方向両側に位置しており、各加熱体41、41の下端面41a、41aは0.3mm~0.6mmの幅をもっている(図6参照)。
【0029】
本実施の形態において、上流側のキャリアテープの熱圧着装置20は主としてキャリアテープ7とトップテープ17に対して予熱を付与するものであり、各加熱体41、41の下端面41a、41aの幅は0.3mm~0.6mmとなる。
【0030】
また下流側のキャリアテープの熱圧着装置20は、キャリアテープ7とトップテープ17を主として加圧するものであり、各加熱体41、41の下端面41a、41aの幅は0.3mm~0.6mmとなっている。
【0031】
また図2および図3に示すように、加熱装置40はその上端部に設けられた上部回転軸42を有し、加熱装置40は上部回転軸42を介して保持装置43により保持されている。そして保持装置43はベース板30Aの下方に設けられた加熱装置シリンダ45により上下方向に移動可能となっている。
【0032】
キャリアテープの熱圧着装置20を保守点検する際、加熱装置シリンダ45により保持装置43を上方へ移動させる。そして、加熱装置40を搬送レール21から上方へ引き離した後、上部回転軸42を介して加熱装置40を90°回転させる。
【0033】
このことにより加熱装置40の一対の加熱体41、41の下端面41a、41aを横方向に向け、この下端面41a、41aに対して目視点検および清掃作業を行うことができる。
【0034】
また搬送レール21は上述のように駆動シリンダ23により上下動するようになっている。また搬送レール21の上方表面には、WPC処理およびDLC処理(Diamond-Like-Carbon処理)が施され、搬送レール21の上方表面は平滑化されている。ここでWPC処理とは、表面に平滑なマイクロディンプル面(空気が潤滑剤となる面)を形成すると同時に、素材の表面硬度を上げる処理をいう。駆動シリンダ23はシリンダブロック30Bに設置され、エアにより上下方向に駆動して搬送レール21を高速で、例えば8000回/分で上下動させる。本実施の形態において、駆動シリンダ23には、図示しない高速バルブを介してエアが供給される。また駆動シリンダ23には圧力センサ23aが接続されている。さらに駆動シリンダ23の駆動ストロークは0.1mm~0.3mmとなっている。この場合、駆動シリンダ23の加圧力は2kgf~6kgfとなっている。
【0035】
ところで、搬送レール21はその下端に下端部22を有し、また駆動シリンダ23はその上端に上端部24を有する。
【0036】
そして駆動シリンダ23の上端部24は搬送方向からみて湾曲するとともに下方へ引っ込む凹状面24aを有し、搬送レール21の下端部22は搬送方向からみて湾曲するとともに下方へ突出する凸状面22aを有する(図1参照)。
【0037】
そして上端部24の凹状面24aと、下端部22の凸状面22aとの間に複数のローラ27が介在されている。このことにより駆動シリンダ23の上端部24に対して搬送レール21の下端部22はローラ27により仮想中心点21aを中心に回動する。また上端部24の凹状面24aと、下端部22の凸状面22aにはバフ研磨が施され、凹状面24aと凸状面22aの平滑性を高めている。
【0038】
このように駆動シリンダ23の上端部24に対して搬送レール21の下端部22が、仮想中心点21aを中心に回動可能となる。本実施の形態において、キャリアテープの熱圧着装置20によりトップテープ17を熱圧着する際、加熱装置40は固定され、搬送レール21が駆動シリンダ23により上下動する。この場合、例えばキャリアテープ7の厚みと密度が幅方向(搬送方向と直交する図1の横方向)に異なる場合、搬送レール21と加熱装置40の一対の加熱体41、41との間でキャリアテープ7とトップテープ17に対する加圧力が幅方向に変化することも考えられる。
【0039】
本実施の形態によれば、キャリアテープ7の厚みと密度が幅方向(搬送方向と直交する図1の左右方向)に異なる場合、駆動シリンダ23の上端部24に対して搬送レール21の下端部22が仮想中心点21aを中心に回動する。このことにより搬送レール21と加熱装置40の一対の加熱体41、41との間でキャリアテープ7とトップテープ17に対して幅方向に渡って均一な加圧力を付与することができる。
【0040】
なお、図1において紙面に垂直な方向がキャリアテープ7の搬送方向であり、図1横方向がキャリアテープ7の幅方向となる。
【0041】
ところで、搬送レール21は駆動シリンダ23の上端部24にローラ27を介して支持されているが、同時に搬送レール21はシリンダブロック30Bに図1において、横方向に配置された一対のバネ材25を介して支持されている。
【0042】
すなわち図1および図4に示すように、シリンダブロック30Bの上方部に支持体31が設けられ、各バネ材25の一端が支持体31にボルト31aにより固定されている。そして各バネ材25の他端は、搬送レール21と、搬送レール21の下面に取り付けられた支持体21bとの間に挟持され、支持体21bは搬送レール21にボルト21cにより固定されている。
【0043】
このように搬送レール21をシリンダブロック30Bに一対のバネ材25を介して支持することにより、キャリアテープ7の厚みが幅方向に異なって、搬送レール21が駆動シリンダ23に対して回動した場合であっても搬送レール21が加熱装置40の一対の加熱体41、41から下方へ引き離された際、搬送レール21は一対のバネ材25により再び駆動シリンダ23に対して回動する。このことにより、搬送レール21はその姿勢を元の姿勢、すなわち図1において水平方向の姿勢に戻すことができる。
【0044】
なお、図1および図4に示すように、シリンダブロック30Bに対して駆動シリンダ23が上下方向に移動自在に設置され、シリンダブロック30Bには駆動シリンダ23を駆動させる空気管35が配置されている。
【0045】
またシリンダブロック30Bには駆動シリンダ23の降下移動を係止するための樹脂ストッパ33が設けられている。
【0046】
なお、搬送レール21の初期位置は一対のバネ材25により規定されて水平方向位置をとるが、搬送レール21の高さ位置を変化させたい場合は、搬送レール21の下面とバネ材25との間にスペーサ(図示せず)を挿入することにより、搬送レール21の高さを上昇させ、加熱装置40側へより接近させることができる。
【0047】
ところで、図5に示すように、上述したキャリアテープの熱圧着装置20は搬送方向に並んで一対設置されてキャリアテープの熱圧着装置システム20Aが構成される。
【0048】
この場合、各キャリアテープの熱圧着装置20は、共通のシリンダブロック30Bと、共通のシリンダブロック30Bに上下方向に移動自在に設けられ、キャリアテープ7とトップテープ17を重ね合わせた状態で保持する搬送レール21と、搬送レール21の上方に搬送レール21と対向して配置され、トップテープ17を加熱して押圧する加熱装置40と、搬送レール21を支持するとともに、この搬送レール21を上下動させる駆動シリンダ23とを備えている。
【0049】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0050】
図9および図10に示すように、パーツフィーダ1に供給されたワークWは、パーツフィーダ1の作用により向きを揃えて整列し、リニアフィーダ2に移載される。そして、リニアフィーダ2の作用により一列となって搬送され、インデックステーブル3に到達する。さらにワークWは、分離供給部4の作用により、インデックステーブル3に設けられた図示されないワーク収納孔に個別に収容される。
【0051】
ワーク収納孔に収容されたワークWは、インデックステーブル3が図10の矢印の方向に間歇回転することにより、図示されない特性測定部に搬送され、各種特性の測定が行われる。測定の結果、不良と判断されたワークWは、図示されない排出機能によりワーク収納孔から排出される。測定の結果、良品と判断されたワークは、ワーク収納孔に収容されたまま、インデックステーブル3の間歇回転によりワーク挿入部6に到達する。
【0052】
供給リール8に巻かれたキャリアテープ7は、ワーク挿入部6の直下に設置されたテープ送り歯車9からARC10側へ搬送される。この場合、テープ送り歯車9はその外周に設けられた歯形部を有し、歯形部はキャリアテープ7の送り穴12内に挿入され、供給リール8に巻かれたキャリアテープ7が搬送される。
【0053】
テープ送り歯車9の間歇回転により、キャリアテープ7がワーク挿入部6に到達して停止する。次にワークWを移載できる状態になると、ワークWをキャリアテープ7のキャビティ13に移載するためのキャリアテープ7の位置決めを行う。位置決めが行われると、インデックステーブル3のワーク収納孔内のワークWがキャリアテープ7のキャビティ13に移載される。
【0054】
次にキャビティ13内にワークWが収納されたキャリアテープ7に対して、トップテープ供給部から案内ローラ17A、17Bを介して合成樹脂製のトップテープ17が供給される。次にキャリアテープの熱圧着装置システム20Aにおいて、キャリアテープ7に対してトップテープ17が熱圧着される。
【0055】
まず上流側のキャリアテープの熱圧着装置20において、搬送レール21上でキャリアテープ7とトップテープ17が重ね合わされた状態で保持されながら搬送される。
【0056】
このとき搬送レール21上のトップテープ17と加熱装置40の一対の加熱体41、41との間は、0.1mm程度の距離を保っている。
【0057】
次に制御部50により駆動シリンダ23が制御され、駆動シリンダ23が上方へ駆動されて搬送レール21が上昇する。このことにより搬送レール21と加熱装置40の一対の加熱体41、41との間でキャリアテープ7とトップテープ17が挟持されて加圧され、同時にトップテープ17が加熱装置40の加熱体41、41により加熱される。
【0058】
この間、加熱装置40は上下動することなく、所定の高さ位置に留まる。また加熱装置40の加熱温度が熱電対47により測定され、熱電対47により測定された加熱温度は制御部50へ送られる。制御部50は測定された加熱温度に基づいて、加熱装置40の加熱温度を調整する。また制御部50は駆動シリンダ23に接続された圧力センサ23aからの信号に基づいて、駆動シリンダ23へ供給されるエア圧(空気圧)を調整して、駆動シリンダ23による加圧力および加圧時間を制御する。
【0059】
上流側のキャリアテープの熱圧着装置20は主として、キャリアテープ7およびトップテープ17に対して予熱を付与するものであり、加熱装置40の加熱温度140°C~190°C、駆動シリンダ23の加圧力は2kgf~6kgf、加圧時間は1ミリ秒~10ミリ秒となっている。その後制御部50により駆動シリンダ23が下方へ駆動され、搬送レール21が降下する。
【0060】
このようにして、上流側のキャリアテープの熱圧着装置20による、キャリアテープ7およびトップテープ17に対する熱圧着作用が終了し、キャリアテープ7は下流側のキャリアテープの熱圧着装置20へ搬送される。
【0061】
キャリアテープ7およびトップテープ17を搬送レール21と加熱装置40の一対の加熱体41、41間で熱圧着する際、キャリアテープ7が幅方向にその厚みと密度が変化することがある。この場合、駆動シリンダ23の上端部24に対して搬送レール21の下端部22が仮想中心点21aを中心として回動するため、搬送レール21と加熱装置40の一対の加熱体41、41との間で、キャリアテープ7とトップテープ17に対して幅方向に渡って均一な加圧力を付与することできる。
【0062】
駆動シリンダ23が下方へ駆動され、搬送レール21が降下すると、搬送レール21は一対のバネ材25により再び駆動シリンダ23に対して回動し、搬送レール21はその姿勢を元の姿勢に戻す。
【0063】
次に、下流側のキャリアテープの熱圧着装置20において、搬送レール21上でキャリアテープ7とトップテープ17が重ね合わされた状態で保持されながら搬送される。
【0064】
このとき搬送レール21上のトップテープ17と加熱装置40の一対の加熱体41、41との間は、0.1mm程度の距離を保っている。
【0065】
次に制御部50により駆動シリンダ23が制御され、駆動シリンダ23が上方へ駆動され搬送レール21が上昇する。このことにより搬送レール21と加熱装置40の一対の加熱体41、41との間でキャリアテープ7とトップテープ17が挟持されて加圧され、同時にトップテープ17が加熱装置40の加熱体41、41により加熱される。
【0066】
この間、加熱装置40は上下動することなく、所定の高さ位置に留まる。また加熱装置40の加熱温度が熱電対47により測定され、熱電対47により測定された加熱温度は制御部50へ送られる。制御部50は加熱装置40の加熱温度を調整する。また制御部50は駆動シリンダ23に接続された圧力センサ23aからの信号に基づいて、駆動シリンダ23へ供給されるエア圧を調整して、駆動シリンダ23により加圧力および加圧時間を制御する。
【0067】
下流側のキャリアテープの熱圧着装置20は主として、キャリアテープ7およびトップテープ17に対して加圧を行うものであり、加熱装置40の加熱温度140°C~190°C、駆動シリンダ23の加圧力は2kgf~6kgf、加圧時間は1秒~10秒となっている。その後制御部50により駆動シリンダ23が下方へ駆動され、搬送レール21が降下する。
【0068】
このようにして、キャリアテープ7およびトップテープ17に対する熱圧着作用が終了し、キャリアテープ7は更に下流側へ搬送される。
【0069】
キャリアテープ7およびトップテープ17を搬送レール21と加熱装置40の一対の加熱体41、41間で熱圧着する際、キャリアテープ7が幅方向にその厚みと密度が変化することがある。この場合、駆動シリンダ23の上端部24に対して搬送レール21の下端部22が仮想中心点21aを中心として回動するため、搬送レール21と加熱装置40の一対の加熱体41、41との間で、キャリアテープ7とトップテープ17に対して幅方向に渡って均一な加圧力を付与することできる。
【0070】
駆動シリンダ23が下方へ駆動され、搬送レール21が降下すると、搬送レール21は一対のバネ材25により再び駆動シリンダ23に対して回動し、搬送レール21はその姿勢を元の姿勢に戻す。
【0071】
次にキャリアテープの熱圧着装置システム20Aによりトップテープ17が熱圧着されたキャリアテープ7は、その後ARC10へ送られる。
【0072】
なお、キャリアテープの熱圧着装置20を保守点検する際、加熱装置シリンダ45により保持装置43を上方へ移動させ、加熱装置40を搬送レール21から上方へ引き離した後、上部回転軸42を介して加熱装置40を90°回転させる。このことにより加熱装置40の一対の加熱体41、41を横方向に向かわせることができ、横方向を向く一対の加熱体41、41の下端面41a、41aを容易かつ確実に清掃することができる。また熱圧着装置20、搬送レール21、キャリアテープ7及びトップテープ17は、お互いに平行に配置されている。
【0073】
以上のように本実施の形態によれば、キャリアテープの熱圧着装置システム20Aはキャリアテープ7の搬送方向に配置された一対のキャリアテープの熱圧着装置20を備え、上流側のキャリアテープの熱圧着装置20によりキャリアテープ7とトップテープ17に対して予熱を付与した後、下流側のキャリアテープの熱圧着装置20によりキャリアテープ7とトップテープ17を加圧する。このように上流側のキャリアテープの熱圧着装置20と、下流側のキャリアテープの熱圧着装置20に、各々予熱の付与と、加圧という別々の役割をもたせることにより、単一のキャリアテープの熱圧着装置20により加熱および加圧する構成に比較して高速でかつ精度良く熱圧着作業を実施することができる。また熱圧着装置20、搬送レール21、キャリアテープ7及びトップテープ17は、お互いに平行に配置されているため、熱圧着を繰り返しても均一に行うことができる。このため高速動作時の短時間の熱圧着でも繰り返すことにより所望の剥離強度を確保することが出来る。
【0074】
また、キャリアテープの熱圧着装置20の作用中、加熱装置40は上下動することなく、搬送レール21が上下動してキャリアテープ7に対してトップテープ17を熱圧着する。このため、加熱装置40が振り下ろされてキャリアテープ7とトップテープ17を熱圧着する構造に比べて、キャリアテープ7に対して大きな衝撃荷重を加える必要がなく、大きな衝撃音を生じさせることもない。
【0075】
またキャリアテープ7が幅方向に沿ってその厚みと密度が変化しても駆動シリンダ23の上端部24に対して搬送レール21の下端部22を、仮想中心点21aを中心として回動させることができ、搬送レール21と加熱装置40の一対の加熱体41、41との間でキャリアテープ7とトップテープ17に対して幅方向に渡って均一な加圧力を付与することができる。
【0076】
また駆動シリンダ23が下方へ駆動されて搬送レール21が降下した際、搬送レール21を一対のバネ材25によりその姿勢を元の姿勢に戻すことができる。
【0077】
さらにまた、制御部50により駆動シリンダ23の加圧力および加圧時間を制御することができ、上流側のキャリアテープの熱圧着装置20の駆動シリンダ23を予熱に適した条件で作動させ、かつ下流側のキャリアテープの熱圧着装置20の駆動シリンダ23を適切に加圧力を加えるような条件で作動させることができる。
【0078】
なお上記実施の形態において、キャリアテープ7として紙製のものを用い、このキャリアテープ7にパンチングを施してキャビティ13を形成した例を示したが、これに限らず紙製のキャリアテープ7に貫通孔を形成し、キャリアテープ7の下面に底材を貼り付けることにより、この貫通孔によりキャビティ13を形成してもよい。
【0079】
あるいはキャリアテープ7として合成樹脂製のものを用い、合成樹脂材をシート成形することによりエンボスと、エンボス上端に設けられたフランジとを有するものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 パーツフィーダ
2 リニアフィーダ
3 インデックステーブル
4 分離供給部
5 回転軸
6 ワーク挿入部
7 キャリアテープ
8 供給リール
9 テープ送り歯車
10 ARC
12 送り穴
13 キャビティ
20 キャリアテープの熱圧着装置
20A キャリアテープの熱圧着装置システム
21 搬送レール
22 下端部
22a 凸状面
23 駆動シリンダ
24 上端部
24a 凹状面
25 バネ材
27 ローラ
30A ベース板
30B シリンダブロック
40 加熱装置
41 加熱体
41a 下端面
42 上部回転軸
50 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10