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特許7383300粉末冶金スパッタリングターゲット及びその製造方法
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  • 特許-粉末冶金スパッタリングターゲット及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】粉末冶金スパッタリングターゲット及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 1/14 20220101AFI20231113BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20231113BHJP
   B22F 3/11 20060101ALI20231113BHJP
   B22F 3/14 20060101ALI20231113BHJP
   B22F 3/15 20060101ALI20231113BHJP
   C23C 14/34 20060101ALI20231113BHJP
   C22C 27/02 20060101ALN20231113BHJP
【FI】
B22F1/14
B22F1/00 R
B22F3/11 Z
B22F3/14 N
B22F3/15 Z
C23C14/34 A
C22C27/02 103
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020546440
(86)(22)【出願日】2019-02-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 US2019019720
(87)【国際公開番号】W WO2019236160
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2020-09-10
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-06
(31)【優先権主張番号】62/638,328
(32)【優先日】2018-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/693,540
(32)【優先日】2018-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/793,418
(32)【優先日】2019-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512189233
【氏名又は名称】グローバル アドバンスト メタルズ ユー.エス.エー.,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(72)【発明者】
【氏名】スンガイ,クレイグ,エム.
(72)【発明者】
【氏名】アビッド,アーミル,ダウッド
(72)【発明者】
【氏名】クラウス,ステファン
【合議体】
【審判長】粟野 正明
【審判官】土屋 知久
【審判官】山本 佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-336617(JP,A)
【文献】特表2006-517612(JP,A)
【文献】米国特許第6551377(US,B1)
【文献】特表2009-527640(JP,A)
【文献】特表2008-533299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F1/00-12/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
球状金属粉末を、粉末冶金技術によって圧密体へと圧密して冶金物品を形成することを含む、圧密製品である、粉末冶金物品を形成する方法であって、
前記金属がタンタル又はタンタルが優位金属であるTa金属合金であり、
前記球状金属粉末が、
a.1.0~1.1の平均アスペクト比を有する球状形状を有し、
b.ガス不純物を除く該金属粉末の全重量に対して、少なくとも99重量%の金属純度を有し、
c.0.5ミクロン~10ミクロン、5ミクロン~25ミクロン、又は105~250ミクロンの平均粒径を有し、
d.9 g/cc~16.6 g/ccの見掛け密度を有し、
e.金属の±3%以内の真密度を有し、
f.20秒以下のホールフローレート、ここで前記ホールフローレートとは、ASTMB213規格に従い、前記球状金属粉末がホールフローメーターの漏斗口を通って流れる時間を測定したもの、を有し、
g.350ppm未満の酸素レベルを有し、かつ、
h.5ミクロン~25ミクロンのD10径若しくは20ミクロン~80ミクロンのD90径又はその両方を有する、方法。
【請求項2】
球状金属粉末及び非球状金属粉末を、粉末冶金技術によって圧密体へと圧密して冶金物品を形成することを含む、圧密製品である、粉末冶金物品を形成する方法であって、
前記金属がタンタル又はタンタルが優位金属であるTa金属合金であり、
75重量%~99重量%の前記球状金属粉末と1重量%~25重量%の前記非球状金属粉末が混合され、
前記球状金属粉末が、
a.1.0~1.4の平均アスペクト比を有する球状形状を有し、
b.ガス不純物を除く該金属粉末の全重量に対して、少なくとも99重量%の金属純度を有し、
c.0.5ミクロン~10ミクロン、5ミクロン~25ミクロン、又は105~250ミクロンの平均粒径を有し、
d.9 g/cc~16.6 g/ccの見掛け密度を有し、
e.金属の±3%以内の真密度を有し、
f.20秒以下のホールフローレート、ここで前記ホールフローレートとは、ASTMB213規格に従い、前記金属粉末がホールフローメーターの漏斗口を通って流れる時間を測定したもの、を有し、
g.350ppm未満の酸素レベルを有し、かつ、
h.5ミクロン~25ミクロンのD10径若しくは20ミクロン~80ミクロンのD90径又はその両方を有し、
前記非球状金属粉末は1.0~1.4以外の平均アスペクト比を有する非球状形状である、
方法。
【請求項3】
さらに前記圧密体を熱処理することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記熱処理を利用する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記熱処理は、1以上の焼結工程又は1以上の徐冷工程である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記圧密製品に対して、1以上の機械処理工程又は熱機械処理工程を行うことを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記圧密製品に対して、いかなる機械処理工程又は熱機械処理工程も行わない、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記球状金属粉末が、平均粒径に対して、少なくとも2つの異なるサイズ分画を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、
a.不活性雰囲気中で、出発金属粉末をプラズマ熱処理して、該出発金属粉末の少なくとも外表面を少なくとも部分的に溶融して、熱処理済金属粉末を得ることと、
b.不活性雰囲気中で、前記熱処理済金属粉末を冷却して、前記球状金属粉末を得ることと、を更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
前記球状金属粉末が、500 ppm以下の酸素含量と、少なくとも40 ppmの窒素含量とを有する、請求項1又は2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年3月5日に出願された先行する米国仮特許出願第62/638,328号、2019年1月17日に出願された米国仮特許出願第62/793,418号、及び2018年7月3日に出願された米国仮特許出願第62/693,540号の米国特許法第119条(e)項に基づく利益を主張するものであり、この出願の全体は引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本発明は、スパッタリングターゲット及び他の金属物品、並びにそれらの作製方法に関する。より詳細には、本発明は、球状金属粉末を含む金属粉末から作製される粉末冶金スパッタリングターゲット及び他の冶金物品を形成する方法、及び得られる製品に関する。
【背景技術】
【0003】
スパッタリングターゲットは、金属又は化合物の薄膜の製造を含む多くの用途に用いられている。スパッタリングプロセスにおいては、原材料にプラズマイオンを衝突させ、スパッタターゲットの表面から原子を追い出すか又は放出する。放出された原子は基板上に堆積し、典型的には数原子層の厚さを有する被膜を形成する。
【0004】
スパッタリングターゲットは、弁金属材料及び他の金属材料から作製することができる。弁金属は、一般的に、タンタル、ニオブ、及びこれらの合金を含み、第IVB族金属、第VB族金属、及び第VIB族金属、並びにこれらの合金を含む場合もある。弁金属は、例えば、Diggleによる"Oxides and Oxide Films",Vol. 1, pages 94-95, 1972, Marcel Dekker, Inc., New Yorkにおいて記載されており、その全体が、引用することにより本明細書の一部をなす。
【0005】
半導体技術は、タンタルスパッタリングターゲットの大きな市場である。半導体は、メインフレームコンピュータ、ワークステーション、及びPC中にあるマイクロプロセッサ、携帯電話及び通信機器用のデジタルシグナルプロセッサ、並びにデジタルオーガナイザー、カメラ、及び電子機器で使用される特定用途向け集積回路を含むマイクロ電子デバイスの類の構成要素である。
【0006】
コスト、デバイスサイズの絶え間ない縮小、及び性能の改善に迫られ、銅が、次世代半導体におけるインターコネクトとして使用するためアルミニウムに取って代わりつつある。インターコネクトの銅が、半導体デバイスを介して移動し、トランジスタ及び他の電子機器を「汚染」することを防ぐため、インターコネクトとデバイスとの間に拡散バリアを介在させるのが通例である。タンタル(Ta)、及び典型的には窒素の存在下でタンタルターゲットの反応性スパッタリングによって製造される窒化タンタル(TaN)が、銅インターコネクト用バリア材料としてよく使用される。例として、AMD社のAlthon及びIntel社のPentium 4等の1000MHzを超えるクロック速度で作動するマイクロプロセッサ、並びに現代のメインフレームシステム中にあるIBM社のI STARプロセッサ及びP-750プロセッサでは、各々、タンタル拡散バリア層と共に銅インターコネクトが使用されている。
【0007】
拡散バリア用途では、均一な化学構造及び厚さを有する膜が好ましい。均一な化学構造及び厚さを得るためには、高純度、細粒径、及び強い(001)組織バンドのない均質な組織を含む或る特定の望ましい性質を有するターゲットをスパッタすることが好ましい。例えば、米国特許第6,348,113号(Michaluk et al.)(その全体が、引用することにより本明細書の一部をなす)に記載されているような、インゴット冶金(ingot-met)技術で製造されるタンタル材料は、通常、スパッタリング用途に特化している。インゴット冶金タンタル材料では、拡散バリア用途において望ましい純度レベルと、最大粒径とを作り出すことができる。しかしながら、高純度の非合金化非ドープ化金属材料において、粒径及び組織の均質性を改良し、制御することは本来的に困難である。そのため、加工された高純度インゴット冶金タンタルターゲットにおいて達成できる最小平均再結晶化粒径は、約10ミクロンとなり得る。また、インゴット冶金タンタルターゲットは、組織バンディングも示すことがあり、その結果、厚さのばらつきが大きいスパッタ膜を生成することがある。
【0008】
粉末冶金(powder-met)技術は、スパッタリングターゲット等の(但し、スパッタリングターゲットに限定されるものではない)物品を製造する代替的な方法を提供する。適切な処理によって、インゴット冶金ターゲットにおいて達成できるものよりも、より細かい粒径を有する粉末冶金スパッタリングターゲットを製造することができる。粉末冶金材料に固有のより多量の格子間不純物が、マトリックス中で微粒子が分散するように挙動することにより、加工硬化速度が上昇し、そのため、徐冷の際の新しい転位線長さの生成と以降の再結晶化応答の速度が上昇する。このため、商業的に生産される、粉末冶金細ゲージストリップ及びワイヤーでは、同様のゲージのインゴット冶金製品において達成できるものよりも、より小さく、より均質な粒子構造が達成される。
【0009】
金属粉末の(静水圧)圧密は、ランダムかつ均質な組織を有する或る特定の金属物品を製造するための、実行可能で確立された手段である。結晶配向のランダム分布と、細かい粒径とを組み合わせることによって、それに続く粉末冶金タンタルスパッタリングターゲットの変形処理における加工の均一性(例えば、全ての粒子の均質な歪み硬化)が促進されるため、粉末冶金スパッタリングターゲットにおいてシャープな組織バンドの形成が回避される。粉末冶金タンタルスパッタリングターゲットは、非常に優れた厚さ均一性を有する膜を堆積させると予想される。
【0010】
しかしながら、市販のタンタル粉末及び他の金属粉末は、通常、拡散バリア用途で使用するには許容できない高レベルの酸素を含有することがある。例えば、周囲条件下では、金属タンタルは、例えば、酸化タンタルと、吸収された酸素ガスとから構成され、約1 nm以下~約3 nm以上の厚さを有する酸化物膜等の不動態被膜を有する(L.A. Rozenberg and S.V. Shtel'makl, "State of Oxygen in Tantalum Powders,"Ivestiya Akademii Naut SSSR. Metally,(4) 1985, pp.163(その全体が、引用することにより本明細書の一部をなす))。脱酸素し、次いで酸素に曝露して、不動態酸化物被膜を改質した市販のタンタル粉末であっても、典型的には、100 ppmを超える酸素を含有している。
【0011】
したがって、反応性スパッタリングによって高品位の膜を堆積させるためのスパッタリングターゲット等の、金属粉末から作製されるスパッタリングターゲット又は他の金属物品を形成する更なる方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0012】
そのため、本発明の特徴は、球状金属粉末から作製される粉末冶金スパッタリングターゲット及び/又は他の金属物品を提供することである。
【0013】
更なる特徴は、粉末冶金スパッタリングターゲット及び/又は他の金属物品を形成する方法を提供することである。
【0014】
本発明の別の特徴は、圧密された球状金属粉末スパッタリングターゲットと、バッキングプレートとを有するか、又は含むスパッタリングターゲット組立体を提供することである。
【0015】
本発明の別の特徴は、約100ミクロン以下の平均粒径を有するスパッタリングターゲットを提供することである。
【0016】
本発明の別の特徴は、ランダム組織及び/又は均一結晶組織を有するスパッタリングターゲットを提供することである。
【0017】
本発明の別の特徴は、約100ミクロン以下の平均粒径と、マクスウェル標準配向三角形(Maxwell standard orientation triangle)の(111)&#8722;(100)対称線上又はその付近(例えば、10%以内)にある組織とを有し、bcc球状金属粉末から形成される、スパッタリングターゲット等の金属物品を提供することである。
【0018】
本発明の更なる特徴及び利点は、以下の明細書で一部説明され、本明細書から一部明らかとなるか、又は本発明の実施により認識することができる。本発明の目的及び他の利点は、本明細書及び添付の特許請求の範囲において具体的に指摘された要素及び組み合わせを用いて実現及び達成される。
【0019】
これらの利点及び他の利点を達成するために、並びに本発明の目的に従って、本明細書中で具体化され、かつ概説されるように、本発明は、スパッタリングターゲット等の粉末冶金法で形成された製品に関する。利用される粉末は、球状金属粉末であるか、又は球状金属粉末を含む。
【0020】
球状タンタル粉末等の球状金属粉末は、1.0~1.4の平均アスペクト比を有する球状形状を有し、ガス不純物を除く該金属粉末の全重量に対して少なくとも99重量%の金属純度を有し、約0.5ミクロン~約250ミクロンの平均粒径を有し、金属の±3%以内の真密度(例えば、タンタルの場合は、16 g/cc~16.7 g/ccの真密度)を有し、約4 g/cc~約19.3 g/ccの見掛け密度を有し、40秒以下のホールフローレートを有する。球状金属粉末は、プラズマ熱処理済粉末であってもよく、プラズマ熱処理済粉末であることが好ましい。
【0021】
さらに、本発明は、スパッタリングターゲット又は他の金属物品を形成する方法に関する。この方法は、粉末冶金技術によって球状金属粉末を圧密体に圧密することを含むことができる。この方法は、上記圧密体を焼結して、焼結圧密体を形成することを含むことができる。上記球状金属粉末は、任意で、粉末冶金技術によってスパッタリングターゲットの形状に直接圧密することができる。上記圧密体又は焼結圧密体に対して、更に任意で、従来の金属加工技術によって、機械加工又は処理を行うか、及び/又は金属仕上げ工程(複数の場合もある)を行うことができる。
【0022】
さらに、本発明は、約600 ppm以下の酸素含量と、任意で、少なくとも約10 ppmの窒素含量とを有する形成された冶金物品に関する。
【0023】
上記の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方が例示的及び説明的なものに過ぎず、請求項に記載の本発明を更に説明することを意図すると理解されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1A:実施例1で使用した出発基本ロットタンタル粉末のSEM画像である。図1B:実施例1のプラズマ処理後の完成タンタル粉末のSEM画像である。図2A:実施例2で使用した(破砕及び篩分け後の)出発基本ロットタンタル粉末のSEM画像である。図2B:実施例2のプラズマ処理後の完成タンタル粉末のSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、球状弁金属粉末等の球状金属粉末であるか、又は球状金属粉末を含む金属粉末から粉末冶金法で形成された製品を提供することに関する。
【0026】
球状金属粉末は、任意で、600 ppm(parts per million)以下、より好ましくは500 ppm以下、又は300 ppm以下(例えば、50 ppm~600 ppm、又は200 ppm~500 ppm)の酸素含量を有することができる。
【0027】
球状金属粉末は、任意で、少なくとも10 ppm、より好ましくは少なくとも50 ppm(例えば、10 ppm~1000 ppm以上、又は50ppm~1000 ppm)の窒素含量を有することができる。
【0028】
球状金属粉末は、BCC球状金属粉末又は耐火性球状金属粉末とすることができる。球状金属粉末は、タンタル、ニオブ、又はこれらの合金等の球状弁金属粉末とすることができる。他の球状金属粉末を使用することもできる。
【0029】
球状金属粉末の金属の種類の具体例としては、タンタル、ニオブ、アルミニウム、銅、チタン、マグネシウム、タングステン、金、銀、コバルト、ジルコニウム、シリコン、レニウム、モリブデン、及び/又はこれらの合金、及び/又はこれらの金属を1種以上含有する球状金属粉末が挙げられるが、これらに限定されるものではない。合金の例としては、AlZnO[AZO]、銅-クロム、銅-チタン、銅-ニッケル、チタン-タングステン、チタン-銅、チタン-鉄、チタン-ニッケル、チタン-アルミニウム、又はNiPtが挙げられるが、これらに限定されるものではない。以下、球状金属粉末をより詳細に説明する。
【0030】
さらに、本発明は、球状金属粉末からスパッタリングターゲット及び他の金属物品を形成する方法に関する。他の金属物品としては、加工品(例えば、プレート、ビレット、バー、ロール、成形形状品等)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
さらに、本発明は、粉末冶金法により形成されたスパッタリングターゲットをスパッタすることにより製造される金属膜に関する。
【0032】
本発明においては、スパッタリングターゲット等の成形冶金物品は、約600 ppm未満、例えば、500 ppm未満、又は400 ppm未満、又は300 ppm未満、200 ppm未満(例えば、50 ppm~600 ppm、又は100 ppm~500 ppm)の酸素含量を有することができる。これらの範囲外の他の酸素レベルであってもよい。
【0033】
本明細書に記載するように、球状金属粉末を含むか、又は球状金属粉末である金属粉末から粉末冶金製品を形成することにより、充填層に対する理論密度に近い密度で粉末充填する能力を得ることができ、粉末充填は、充填層に対する理論密度の少なくとも70%(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも98%)となる。このような望ましい充填密度を得ることによって、今度は、圧粉体ログ(green log)等の圧粉体製品(green product)へと粉末をより圧密することができる。
【0034】
圧密製品の形態であると考えられ得る圧粉体ログ等の圧粉体製品の形成において、圧粉体製品は、加熱等(例えば、真空下での抵抗加熱、又は焼結)によって更に緻密化することができ、これにより、緻密なビレット又は他の形状品等の緻密な圧密製品を提供することができる。
【0035】
圧密製品、例えば、ビレット又は他の形状品は、任意で、例えば、複数の分割圧密製品に分割することができる。例えば、ビレット等の圧密製品を、スパッタターゲット用又は他の用途用の複数のディスクへとスライスすることができる。
【0036】
一般的に、後機械処理(例えば、鍛造、圧延、又は他の物品加工、又は他の寸法変化工程等)を任意で行う。このような後機械処理は、1以上の熱機械処理工程とすることができる。圧延の具体例としては、熱間圧延、冷間圧延、クロス圧延、平圧延、鍛造圧延、クロック圧延、多方向圧延が挙げられるが、これに限定されるものではない。圧延によって、圧密製品の厚さを、出発厚さの1%~50%、例えば、約2%~40%、又は約3%~30%、又は約5%~25%、又は約5%~20%、又は約10%~20%低減することができ、この厚さの低減は、1回のパス又は複数回のパス(1回~20回のパス、又は1回~15回のパス、又は1回~15回のパス等)によって行うことができる。圧延機によって複数回のパスを行う場合、次の圧延に先立ち、圧延製品を、上下ひっくり返したり、90度向きを変えたり、又は他の角度向きを変えてもよい。冷間圧延は周辺温度で行い、温間又は熱間圧延は周辺温度を超え、通常は約500℃未満の温度で行う。鍛造の具体例としては、プレス鍛造、ロール鍛造、誘導鍛造、据え込み鍛造、多方向鍛造、熱間鍛造、冷間鍛造、サイド鍛造、ハンマー鍛造、円形鍛造、平鍛造、ラジアル鍛造等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。機械処理の他の例としては、熱間押出、冷間押出等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。機械処理工程又は技術の任意の組み合わせを利用することができる。(互いに同じであるか、又は異なる)1以上の鍛造工程を利用することができる。(互いに同じであるか、又は異なる)1以上の圧延工程を利用することができる。1以上の圧延工程と、1以上の鍛造工程との組み合わせ(例えば、圧延-鍛造-圧延、又は鍛造-圧延-鍛造、又は圧延-圧延-鍛造-圧延-圧延等)を利用することができる。任意の機械処理工程は、圧密製品を徐冷又は熱処理する1以上の前工程を含むことができる。任意の機械処理工程は、該機械処理工程後に、1以上の徐冷工程又は熱処理工程を含むことができる。徐冷温度は、圧密製品の融点未満の任意の温度とすることができる。典型的には、これらの徐冷温度は、約900℃~約1500℃であるが、900℃未満であっても、1500℃超であってもよい。任意の圧延工程及び/又は鍛造工程によって、少なくとも部分的な再結晶化又は結晶再配向を達成することができる。任意の徐冷又は熱処理によって、少なくとも部分的な再結晶化を達成することができる。任意の徐冷は、圧密製品を再結晶化させるのに十分な温度下、十分な時間の真空徐冷とすることができる。
【0037】
任意で、圧密製品若しくは分割圧密製品の後機械処理又は加工は回避するか、又はスキップすることができる。これは、粉末冶金法で形成された製品の品質が、均一な粒径及び/又は組織という点においてすでに許容可能な品質となり得るため、可能な選択肢である。
【0038】
上述のように、圧密される金属粉末に関して、該金属粉末は、球状金属粉末を1種以上含む。以下、球状金属粉末を作製する方法、及び球状金属粉末のその他の詳細について説明する。2種以上の金属粉末を使用する場合、通常、粉末配合工程(例えば、乾式粉末配合)を行って、粉末を配合又は混合することができる。
【0039】
圧密製品を形成する圧密に関しては、任意の粉末冶金圧密プロセス及び装置を使用することができる。圧密は、金属圧縮成形工程又は金型圧縮成形工程とすることができる。
【0040】
圧密は、室温(例えば、20℃~25℃)で行うことができ、又は昇温下(例えば、100℃~1200℃)で行うことができる。
【0041】
圧密は、大気圧下、又は真空下、又は不活性雰囲気中、又は他のガス雰囲気(例えば、窒素)中で行うことができる。
【0042】
金属製品の形成に用いられる粉末冶金技術の例を以下にまとめる。本発明では、以下の技術の任意の1つ以上を使用して、粉末冶金製品を形成することができる:
冷間静水圧プレス
熱間静水圧プレス
押出
粉末鍛造(例えば、熱間鍛造)
金属射出成形
通電活性化焼結(ECAS)技術(例えば、熱間プレス、スパークプラズマ焼結、電気焼結鍛造)
真空熱プレス。
【0043】
これら技術の組み合わせを使用することができ、これらの技術は、焼結工程、封入工程、及び機械処理工程又は熱機械処理工程と組み合わせて、粉末冶金製品を形成することができる。工程の組み合わせの例を以下に挙げる:
1.冷間静水圧プレス、焼結、封入、熱間静水圧プレス、及び熱機械処理;
2.冷間静水圧プレス、焼結、熱間静水圧プレス、及び熱機械処理;
3.冷間静水圧プレス、封入、熱間静水圧プレス、及び熱機械処理;
4.冷間静水圧プレス、封入、及び熱間静水圧プレス;
5.封入及び熱間静水圧プレス;
6.冷間静水圧プレス、焼結、封入、押出、及び熱機械処理;
7.冷間静水圧プレス、焼結、押出、及び熱機械処理;
8.冷間静水圧プレス、焼結、及び押出;
9.冷間静水圧プレス、封入、押出、及び熱機械処理;
10.冷間静水圧プレス、封入、及び押出;
11.封入及び押出;
12.機械プレス、焼結、及び押出;
13.冷間静水圧プレス、焼結、封入、鍛造、及び熱機械処理;
14.冷間静水圧プレス、封入、鍛造、及び熱機械処理;
15.冷間静水圧プレス、封入、及び鍛造;
16.冷間静水圧プレス、焼結、及び鍛造;
17.冷間静水圧プレス、焼結、及び圧延;
18.封入及び鍛造;
19.封入及び圧延;
20.冷間静水圧プレス、焼結、及び熱機械処理;
21.噴霧析出;
22.機械プレス及び焼結;及び、
23.機械プレス、焼結、再プレス、及び再焼結。
【0044】
圧密、加熱、及び変形の他の組み合わせを使用することもできる。粉末冶金技術の例は、例えば、米国特許第5,580,516号(Kumar)に記載されており、その全体が、引用することにより本明細書の一部をなす。
【0045】
上記の冶金物品、すなわち、粉末冶金法で形成された物品は、2つの構成要素、すなわち、バッキングプレートと、スパッタターゲットとを含むスパッタリングターゲット組立体であることが好ましい。
【0046】
スパッタターゲット及びバッキングプレートは、任意の好適なターゲットグレード材料及びバッキングプレートグレード材料とすることができる。
【0047】
スパッタリングターゲット等の冶金物品を作製するのに用いられる粉末、及び結果として得られるスパッタリングターゲット等の冶金物品は、金属に関して任意の純度を有することができる。例えば、純度は、99(重量)%以上、例えば、約99.5%以上、より好ましくは99.95%以上、更に好ましくは99.99%以上(例えば、約99.95%~99.995%、又は99.99%~99.995%)とすることができる。
【0048】
スパッタターゲット等の冶金物品は、任意の好適な粒径及び/又は組織を有することができる。例えば、物品は、約300ミクロン以下の平均粒径、より好ましくは100ミクロン以下の平均粒径、更に好ましくは約50ミクロン以下の平均粒径、最も好ましくは約10ミクロンの平均粒径を有することができる。平均粒径の好適な範囲としては、約10ミクロン~約100ミクロンが挙げられる。
【0049】
本発明の冶金物品の最大粒径は、任意で、300ミクロン以下、又は250ミクロン以下、200ミクロン以下、又は150ミクロン以下、又は100ミクロン以下とすることができる。
【0050】
また、冶金物品の組織は、金属物品を構成する粒子が、好ましい結晶配向を最小限示すか、又は示さないようなランダム組織であってもよい。
【0051】
或いは、金属物品は、マクスウェル標準配向三角形の(111)&#8722;(100)対称線上又はその付近の配向を有することができる。配向の例としては、冶金物品の表面上であることができるか又は厚さ全体に及ぶことができる一次(111)組織又は一次(100)組織が挙げられる。
【0052】
組織又は結晶配向は、均一又は実質的に均一(例えば、均一性の25%以内又は10%以内であるか、他の方法では、組織が、冶金物品の厚さ全体にわたり、25%超又は10%超で変動しない)であることが好ましい。
【0053】
物品は、冶金物品の表面又は厚さ全体にわたり、(111):(110)混合組織を有することができる。
【0054】
冶金物品は、実質的に組織バンディングがなく、例えば、実質的に(100)組織バンディングがなくてもよい。
【0055】
冶金物品では、延伸、伸張、又は押出して(110)組織を作り出すことができる。体心立方格子(BCC)金属における(110)結晶面は、最も高い原子面密度を有し、(110)を有するスパッタリングターゲットは、他の一次配向を有するスパッタリングターゲットと比べてより高いスパッタ収率を有することができる。
【0056】
本発明の方法において使用するターゲット材料に関して、その例としては、タンタル、ニオブ、コバルト、タングステン、チタン、銅、アルミニウム、及びこれらの合金、例えば、上述の合金が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
バッキングプレートの例としては、銅又は銅合金、タンタル、ニオブ、コバルト、チタン、アルミニウム、及びTaW、NbW、TaZr、NbZr、TaNb、NbTa、TaTi、NbTi、TaMo、NbMo等のそれらの合金が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
スパッタリングターゲット及びバッキングプレートにおいて使用される材料の種類は限定されるものではない。
【0059】
バッキング及びターゲット材料の厚さは、スパッタリングターゲットを形成するのに好適な任意の厚さとすることができる。
【0060】
代替的には、バッキングプレート及びターゲット材料、又はバッキングプレートに接着する他の金属プレートは、望ましい用途に好適な任意の厚さを有することができる。バッキングプレート及びターゲット材料の好適な厚さの例としては、約0.25インチ以下~約2インチ以上の厚さを有するバッキングプレート、及び約0.06インチ~約1インチ以上の範囲の厚さを有するターゲットが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
スパッタリングターゲットは、この産業において通常行われるように中間層を有することもできる。さらに、スパッタリングターゲットは、中空陰極マグネトロンスパッタリングターゲットであってもよく、他の形態のスパッタリングターゲットであってもよい。
【0062】
本明細書で記載したものを除いては、純度、組織及び/又は粒径、及びサイズ等を含む他の性質は、本発明にとって極めて重要というわけではない。
【0063】
本発明は、任意の種類のスパッタターゲットとバッキングプレートとを用いて粉末冶金スパッタリングターゲット組立体を作製する方法も提供する。
【0064】
本発明の一例としては、圧密は、金属粉末を、約30000 psi~約90000 psiの圧縮力又は相当量の圧縮力で、理論密度の約80%~約100%に圧縮することを含むことができる。
【0065】
本発明の方法において、1種以上の添加剤を金属粉末と混合して、配合物を形成することができる。添加剤の例としては、滑剤及び/又はバインダーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。その例としては、特に、ワックス、プラスチック(例えば、ポリエチレン)、又は界面活性剤、又はカンファー、カーボネート(例えば、QPAC等のポリ(プロピレンカーボネート))等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。添加剤(複数の場合もある)が存在する場合、圧密される配合物の全重量に対して約0.1重量%~約25重量%の量で使用することができる。
【0066】
更なる例においては、本発明のスパッタリングターゲットは、ASTM E8に準拠したASTM E8規格サブスケール引張試験において、歪速度毎分0.005インチの張力で試験した場合に、約18000 psi~約40000 psiの降伏強度、及び/又は、20%超の破断伸びを有することができる。
【0067】
高速マイクロプロセッサにおける銅インターコネクト用拡散バリアとして、TaN薄膜を使用することができ、通常、窒素の存在下でのタンタルの反応性スパッタリングによって堆積させる。本発明によるスパッタリングターゲットは、形成されるスパッタリングターゲットにおいて達成できる窒素含量レベルを考慮すれば、窒化物膜スパッタ用途に用いることができる。
【0068】
粉末冶金製品を形成するのに用いる球状金属粉末の更なる詳細に関しては、以下の通りである。
【0069】
球状金属粉末を形成するために、球状化プロセスを使用する。プラズマ球状化により、金属を迅速に溶融するのに必要なエネルギーが提供され、高純度、及び/又は低酸素、及び/又は最小ガス封入、及び/又は制御された粒度分布(PSD)を有する真球状金属粉末が作り出されることが分かったため、好ましいプロセスとしては、プラズマ球状化が挙げられる。
【0070】
より詳細には、本発明の金属粉末は、1.0~1.4の平均アスペクト比を有する球状形状;ガス不純物を除く金属粉末の全重量に対して、少なくとも99重量%の金属純度;約0.5ミクロン~約250ミクロンの平均粒径;1.7 g/cc~21 g/cc、例えば、2 g/cc~20g/cc、又は4.5 g/cc~20 g/cc、又は10 g/cc~20 g/cc、又は6.5g/cc~20 g/cc、又は9 g/cc~20 g/cc、16 g/cc~16.7g/ccの真密度;約4 g/cc~約19.3 g/ccの見掛け密度;及び、40秒以下のホールフローレートを含む(comprises)、本質的にこれらからなるか、これらからなるか、又はこれらを含む(includes)。「真密度」に言及すると、金属粉末の実密度の測定結果である。大部分の材料は、多孔性や他の理由によって、その金属の理論密度を有してはいない。本発明で使用する金属粉末では、該金属粉末における金属は、その金属の理論密度の3%以内、又は2%以内、又は1%以内の実密度(真密度と見なす)を有している。例えば、タンタルは16.6 g/cc の理論密度を有しており、本発明で使用するタンタル球状粉末は、16.6g/cc又は16.6 g/ccの3%以内の真(すなわち、実)密度を有することができる。
【0071】
球状形状、純度、平均粒径、密度、及びホールフローレートに関して金属粉末について上述した性質を除いては、本明細書において記載される本発明の方法で使用することのできる金属粉末の種類について重大な他の制約はないと理解される。
【0072】
球状金属粉末に形成する金属粉末は、ナトリウム還元金属粉末であると考えられるもの、若しくは還元金属粉末とすることができ、又は気相還元金属、若しくはインゴット誘導金属粉末とすることができる。
【0073】
圧密する金属粉末は、球状形状を含むか、又は球状形状を有する。その形状は、平均アスペクト比によって定義される。本明細書において、金属粉末の平均アスペクト比、すなわち、アスペクト比は、50個の粒子若しくは100個の粒子をランダムに測定するか、又は粉末バッチの約1重量%~約2重量%をランダムに測定することに基づいて、粒子(すなわち、金属粉末)の最大直線寸法の、同粒子(すなわち、金属粉末)の最小直線寸法に対する比率であると定義される。金属粒子の測定は、走査型電子顕微鏡(SEM)画像を用いて行う。真球状粒子は、1.0のアスペクト比を有する。本発明の目的のため、金属粉末は、1.0~1.4、又は1.0~1.3、又は1.0~1.25、又は1.0~1.2、又は1.0~1.15、又は1.0~1.1、又は1.0~1.05、又は約1.05~約1.25、又は1.05~約1.2、又は1.05~約1.1、又は約1.0の平均アスペクト比を有していれば球状であると考える。
【0074】
利用する球状金属粉末は、高純度金属粉末を有しており、これは、金属粉末が、ガス不純物を除く該金属粉末の全重量に対して、少なくとも99重量%の純度を有することを意味する。純度レベルは、X線蛍光法、誘導結合プラズマ原子発光分析法(ICP-AES)、すなわち、ICP原子発光分析法、又は誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)、すなわち、ICP質量分析法、又はグロー放電質量分析法(GDMS)、スパーク源質量分析法(SSMS)、又はこれらの任意の組み合わせによって測定することができる。金属純度は、少なくとも99.9重量%、少なくとも99.95重量%、少なくとも99.99重量%、少なくとも99.995重量%、又は約99.9重量%~99.9995重量%、又は約99.95重量%~99.9995重量%、又は約99.99重量%~99.9995重量%、又は他の純度値若しくは範囲とすることができる。これらの望ましい純度レベルは、圧密製品において更に存在する。例えば、タンタルの例の場合、金属純度は、少なくとも99.95重量%Ta、少なくとも99.99重量%Ta、少なくとも99.995重量%Ta、又は約99.9重量%Ta~99.9995重量%Ta、又は約99.95重量%Ta~99.9995重量%Ta、又は約99.99重量%Ta~99.9995重量%Ta、又は他の純度値若しくは範囲とすることができる。
【0075】
球状金属粉末は、約0.5ミクロン~約250ミクロンの平均粒径を有する。この平均粒径は、HORIBA LA-960レーザー粒径分布測定装置、又はHORIBA LA-300レーザー粒径分布測定装置、又はHORIBA SZ-100ナノ粒子解析装置、又はHORIBA Camsizer動的画像解析装置、又はHORIBA Camsizer X2動的画像解析装置等のレーザー回折技術、又は動的光散乱技術、又は動的画像解析技術を用いて、50個の粒子をランダムに測定することによって求める。平均粒径は、約0.5ミクロン~約10ミクロン、又は約5ミクロン~約25ミクロン、又は約15ミクロン~約45ミクロン、又は約35ミクロン~約75ミクロン、又は約55ミクロン~約150ミクロン、又は約105ミクロン~約250ミクロンとすることができる。
【0076】
球状金属粉末は、約4 g/cc~約19.3 g/cc、例えば、約4 g/cc~12.6 g/cc、又は約4g/cc~約17 g/cc、又は約4.5 g/cc~約12 g/cc、又は約5 g/cc~約10g/cc、又は約6 g/cc~約12.5 g/ccの見掛け密度、又はこれらの範囲内の他の見掛け密度数値を有する。見掛け密度は、ASTM B212規格に従って測定する。
【0077】
球状金属粉末は、40秒以下のホールフローレートを有する。ホールフロー試験は、ASTM B213規格に従って行い、この規格では、金属粉末がホールフローメーターの漏斗口を通って流れる時間を測定する。本発明の金属粉末のホールフローレートは、35秒以下、又は30秒以下、又は25秒以下、又は20秒以下、又は19秒以下、15秒以下、10秒以下、又は4秒~20秒、又は5秒~20秒、又は6秒~20秒、又は4秒~15秒、又は4秒~12秒、又は5秒~15秒、又はこれらの範囲内の他の値とすることができる。
【0078】
上述の通り、球状金属粉末は、プラズマ熱処理されていてもよく、プラズマ熱処理されていることが好ましい。
【0079】
球状金属粉末は、様々な酸素レベルを有することができる。例えば、この粉末は、2500 ppm以下、又は1000 ppm以下、又は500 ppm未満、又は400 ppm未満、又は300 ppm未満、又は250 ppm未満、又は200 ppm未満、例えば、約100 ppm~495 ppm、又は約150 ppm~約400ppmの酸素レベルを有することができる。
【0080】
球状金属粉末は、任意で、合金とすることができる。例えば、金属粉末は、Ta-Ti合金、又はTa-Si合金、又はTa-W合金、又はTa-Mo合金、又はTa-Nb合金、又は他のTa-金属合金とすることができる。合金での割合は、合金の全重量に対して、Taが30重量%~99.9重量%とすることができ、合金中の他の非Ta金属では、その重量%は、0.1重量%~70重量%とすることができる。Ta-金属合金は、他の金属が1種、2種、又は3種以上存在する(但し、不純物としてではない)タンタルとすることができる。Ta-金属合金におけるタンタルは、優位金属(例えば、タンタルが、合金の重量に対して、最も高い割合で存在する金属である)であってもよい。Ta-金属合金の更なる一例は、Ta-Nb-Tiである。
【0081】
球状金属粉末は、以下から選択される1つ以上の他の性質を有することができる:
約5ミクロン~約25ミクロンのD10径;及び/又は、
約20ミクロン~約80ミクロンのD90径。
【0082】
球状金属粉末は、非強凝集(non-aggregated)粉末とすることができ、ここで、本明細書において記載される性質/パラメータは非強凝集粉末に対するものである。
【0083】
球状金属粉末は、非弱凝集(non-agglomerated)粉末とすることができ、ここで、本明細書において記載される性質/パラメータは非弱凝集粉末に対するものである。
【0084】
金属粉末は、任意で、リンでドープされていてもよい。例えば、リンドープレベルは、少なくとも50 ppm、又は少なくとも100 ppm、又は、例えば、約50 ppm~約500 ppm等とすることができる。リンの形態としては、リン酸又はヘキサフルオロリン酸アンモニウム等が提案される。
【0085】
金属粉末は、任意で、イットリウム、シリカ等の他の元素、又はガスドーパント及び/又は金属ドーパント等の1種以上の他のドーパントでドープすることができる。ドープレベルは、少なくとも5 ppm、少なくとも10 ppm、少なくとも25 ppm、少なくとも50 ppm、又は少なくとも100 ppm、又は、例えば、約5 ppm~約500 ppm等とすることができる。粉末、又は粉末から作製される物品の粒子安定性のため、及び/又は他の性質を高めるために、1種以上のドーパントを使用することができる。
【0086】
本発明においては、スパッタターゲットを形成するのに利用する金属粉末は、任意で、1種以上の非球状金属粉末を更に含むことができる。
【0087】
非球状金属粉末は、以下の粉末であるか、以下の粉末を含むか、以下の粉末からなるか、本質的に以下の粉末からなるか、又は以下の粉末を含むことができる:角状金属粉末、フレーク状金属粉末、及び/又は団塊状(nodular)金属粉末、又はこれらの任意の組み合わせ。
【0088】
金属粉末は、以下の粉末であるか、以下の粉末を含むか、以下の粉末からなるか、本質的に以下の粉末からなるか、又は以下の粉末を含むことができる:1重量%~99重量%の球状金属粉末及び1重量%~99重量%の非球状金属粉末、又は25重量%~75重量%の球状金属粉末及び25重量%~75重量%の非球状金属粉末、又は50重量%~99重量%の球状金属粉末及び1重量%~50重量%の非球状金属粉末、又は75重量%~99重量%の球状金属粉末及び1重量%~25重量%の非球状金属粉末。
【0089】
圧密する球状金属粉末は、任意で、少なくとも2つの異なるサイズ分画であるか、該サイズ分画を含むか、該サイズ分画からなるか、本質的に該サイズ分画からなるか、又は該サイズ分画を含むことができ、ここで、サイズ分画は、該サイズ分画の平均粒径に基づくものである。例えば、球状金属粉末は、以下の分画であるか、以下の分画を含むか、以下の分画からなるか、本質的に以下の分画からなるか、又は以下の分画を含むことができる:約10ミクロン~約25ミクロンの平均粒径を有する第1のサイズ分画、及び約26ミクロン~約45ミクロンの平均粒径を有する第2のサイズ分画。
【0090】
本発明の球状金属粉末は、プラズマ熱処理プロセスを使用して、作製することができる。例えば、本発明の金属粉末を作製するプロセスは、以下の工程を含むか、本質的に以下の工程からなるか、以下の工程からなるか、又は以下の工程を含むことができる:不活性雰囲気中で、出発金属粉末をプラズマ熱処理して、出発金属粉末の少なくとも外表面を少なくとも部分的に溶融し、熱処理済金属粉末を得る工程a、及びそれに次ぐ、不活性雰囲気中で、熱処理済金属粉末を冷却して、本発明の金属粉末を得る工程b。出発金属粉末は、プラズマ処理によって(例えば、プラズマ反応器のプラズマトーチ領域において)、完全に溶融することもできるし、少なくとも90重量%溶融することもできる。
【0091】
このプロセスにおいて、出発金属粉末は、ナトリウム還元弁金属粉末、又は他の還元弁金属粉末であってもよく、本明細書において記載される他の任意の弁金属粉末源であってもよい。このプロセスにおいて、出発弁金属粉末は、基本ロット弁金属粉末とすることができる。
【0092】
本発明の弁金属粉末を作製するために、このプロセスで使用する出発弁金属粉末は、基本ロット弁金属等の基本ロット粉末であると考えられるものとすることができる。使用できる出発弁金属粉末は、プラズマ処理済弁金属粉末の二次粒子であると考えられるものとすることができる。
【0093】
このプロセスにおいて、出発金属粉末は、インゴット誘導金属とすることができる。このプロセスにおいて、出発金属粉末は、粉末冶金(powder-met)誘導金属粉末とすることができる。
【0094】
出発金属粉末は、任意で、非水素化であってもよく、プラズマ処理に導入する前に水素化してもよい。
【0095】
金属粉末を作製するプロセスにおいて、工程aに先立って、第1の金属粉末を焼結して焼結粉末(圧粉体ログ又は他の形状品等の焼結塊の形態であってもよい)を得て、次いで、焼結粉末、又は焼結塊を電子ビーム溶融してインゴットを得て、次いで、インゴットを出発金属粉末へと粉末化することにより、出発金属粉末を形成することができる。焼結は、従来の金属粉末用焼結温度で行うことができる。例えば、単なる一例として、金属粉末を、約700℃~約1450℃(又は約800℃~約1400℃、又は約900℃~約1300℃)の温度で焼結することができる。焼結時間は、1分~数時間、例えば、約10分~4時間、又は10分~3時間、又は約15分~約2時間、又は約20分~約1時間、又は他の時間とすることができる。任意で、熱処理又は焼結を1回以上行うことができ、これらは、同じ温度、同じ時間、又は異なる温度、及び/又は異なる熱処理時間であってもよい。焼結は、アルゴン雰囲気等の不活性雰囲気中で行うことができる。焼結は、金属粉末の焼結に使用される従来の炉内で行うことができる。
【0096】
次いで粉末へと粉末化される金属インゴットを形成する選択肢として、金属インゴットは、任意の体積、又は直径、又は形状を含むか、又は有することができる。電子ビーム処理は、約1×10-3 Torr~約1×10-6 Torrの真空下、20000ボルト~28000ボルト及び15アンペア~40アンペアで、1時間当たり、約300 lbs.~約800 lbs.の溶融速度で行うことができる。溶融速度は、約1×10-4 Torr~1×10-5 Torrの真空下、24000ボルト~26000ボルト及び17アンペア~36アンペアで、1時間当たり、約400lbs.~約600 lbs.であることがより好ましい。VAR処理に関して、溶融速度は、2×10-2 Torr~1×10-4 Torrの真空下、25ボルト~45ボルト及び12000アンペア~22000アンペアで、1時間当たり、500lbs.~2000 lbs.であることが好ましく、2×10-2 Torr~1×10-4 Torrの真空下、30ボルト~60ボルト及び16000アンペア~18000アンペアで、1時間当たり、800 lbs.~1200lbs.であることがより好ましい。
【0097】
金属インゴットは、少なくとも4インチ、又は少なくとも8インチの直径を有することができ、又は少なくとも9&frac12;インチ、少なくとも11インチ、少なくとも12インチ以上の直径を有することができる。例えば、金属インゴットは、約10インチ~約20インチ、又は約9&frac12;インチ~約13インチ、又は10インチ~15インチ、又は9&frac12;インチ~15インチ、又は11インチ~15インチの直径を有することができる。インゴットの高さ、すなわち、長さは、少なくとも5インチ、又は少なくとも10インチ、又は少なくとも20インチ、少なくとも30インチ、少なくとも40インチ、少なくとも45インチ等の任意の大きさとすることができる。例えば、インゴットの長さ、すなわち、高さは、約20インチ~約120インチ、又は約30インチ~約45インチとすることができる。インゴットは、円筒形状を有することができるが、他の形状も使用することができる。インゴットの形成後、従来技術を用いて、インゴットを任意で機械洗浄することができる。例えば、(表面の)機械洗浄によって、インゴットの直径を減少することができ、例えば、約1%~約10%の直径減少が達成される。具体例としては、インゴットは、12インチの鋳放し呼び径を有することができ、機械洗浄により、機械洗浄後には10.75インチ~11.75インチの直径を有することができる。
【0098】
インゴットを脆くし、次いで、インゴットを破砕するか、又はインゴットに、ミリング、ジョークラッシャー破砕、ロールクラッシャー破砕、クロスビート等の粒子粉末化工程を行うことによって、金属インゴットを出発金属粉末へと粉末化することができる。インゴットを脆くするために、インゴットを、水素雰囲気の炉内へと投入する等により、水素化することができる。
【0099】
プラズマ熱処理に関して、これは、プラズマ処理(plasma treatment)又はプラズマプロセシング(plasmaprocessing)としても知られている。本発明において、RFプラズマ処理又は誘導プラズマ処理を使用することができる。例えば、カナダのケベック州、シャーブルックにあるTekna社のPL-35LS、又はPL-50、又はTEK-15、又は他のモデル等のRF熱プラズマシステム又は誘導プラズマ反応器を使用することができる。プラズマ用の中心ガスは、アルゴン、又はアルゴンと他のガスとの混合物、又はヘリウム等の他のガス等とすることができる。中心ガスの供給速度は、約10 L/min~約100 L/min、又は約15 L/min~約60 L/min、又は他の流速等の好適な流速とすることができる。プラズマ用のシースガスは、アルゴン、又はアルゴンと他のガスとの混合物、又は他の不活性ガス若しくはヘリウム等の他のガス等とすることができる。シースガスの供給速度は、約10 L/min~約120 L/min、又は約10 L/min~約100 L/min、又は他の流速等の好適な流速とすることができる。出発金属粉末用のキャリアガスは、アルゴン、又はアルゴンと他のガスとの混合物(例えば、水素を添加してプラズマ強度を高めることができる)、又は他の不活性ガス若しくはヘリウム等の他のガス等とすることができる。キャリアガスの供給速度は、約1 L/min~約15 L/min、又は約2 L/min~約10 L/min、又は他の流速等の好適な流速とすることができる。出発金属粉末をプラズマトーチ領域へと供給する速度は、任意の流速とすることができ、例えば、約1 g/min~約120 g/minの金属粉末、又は約5 g/min~約80 g/minの出発金属粉末である。一般的に、出発金属粉末の供給速度が小さい程、出発金属粉末を、より均一で、より完全に球状化する処理が確保される。プラズマトーチ領域を出た後、1つ以上の冷却口を介する等して、冷却ガスを任意で使用することができる。冷却ガスは、ヘリウム又はアルゴン等の任意の好適な非反応性ガスとすることができる。冷却ガスを使用する場合は、様々な流速で供給することができる。例えば、冷却ガスの流速は、約25 L/min~300 L/min、又は約50 L/min~約200 L/min、又は他の大きさとすることができる。冷却ガスを使用する代わりに、又は冷却ガスを使用することに加えて、重力及び/又は水冷冷却ジャケットを任意で使用することができる。米国特許第5,200,595号及び国際公開第92/19086号に記載の設計を使用することができる。粉末を冷却した後、又は粉末を冷却し始めた後、不動態ガスを任意で使用することができる。不動態ガスは、酸素、空気、又は空気と酸素との組み合わせとすることができる。不動態ガスの流速は、約0.1 L/min~約1 L/min、又は他大きさ等の任意の流速とすることができる。プラズマトーチのチャンバー圧は、約0.05 MPa~約0.15 MPa等の任意の好適な圧力とすることができる。陽極電圧は、約5 kV~約7.5 kVとすることができる。RFプラズマシステムの周波数は、3 MHz、又は他の値とすることができる。陽極電流は、約2.5 A~約4.5 Aとすることができる。電力は、約15 kW~約35 kWとすることができる。プラズマトーチから供給ノズル又はプローブ位置までの距離は、調節又は変化させることができる。この距離は、0 cm、又は約0 cm、又は約0 cm~約8 cmとすることができる。距離が大きくなる程、出発粉末の表面蒸発が少なくなる。よって、出発金属粉末が非常に不規則な形状で、2超又は3超のアスペクト比を有する場合は、供給ノズルの距離を0 cmに近づけるという選択肢がある。出発金属粉末が約1.3~2のアスペクト比を有する等、より規則的な形状である場合は、供給ノズルの距離を、任意でプラズマトーチからより離すことができる。また、より不規則な形状の出発金属粉末を扱うために、より高いプラズマ粉末設定を使用することもできる。
【0100】
プラズマ処理した粉末を、任意で、回収すること、例えば、アルゴンのような不活性ガス等の保護雰囲気下で回収することができる。回収した粉末は、水槽を使用する等して、不動態化することができる。回収した粉末は、水槽に導入する(例えば、水槽に沈める)ことができる。
【0101】
金属球の金属表面に堆積したナノ材料等の小さい粒子を除去するために(例えば、球上の付随物及び他の遊離材料を除去するために)、回収した粉末に対して、任意で、超音波処理法又は他の粉末振動法を行うことができる。回収した金属球は、例えば、アルゴンのような不活性ガス等の保護ガス下で、任意で乾燥することができる。この乾燥は、任意の温度、例えば、50℃~100℃の温度で、10分~24時間、又は1時間~5時間等行うことができる。回収した粉末は、更なる使用のために、アルミニウムで裏打ちした帯電防止バッグ等の密封バッグに入れることができる。
【0102】
本発明で使用するプラズマ処理によって、出発金属粉末の粒度分布及び/又は他の形態を作り出す努力を、プラズマプロセスを出る完成金属粉末まで遂行することができる。他の方法によると、鋭端を除去するか、及び/又は表面粗さを除去するか、及び/又は出発金属粉末を球状にするか、若しくはより球状にすることを除いては、粒子のサイズを実質的に維持することができる。よって、出発金属粉末をプラズマ処理へと導入することに先立ち、望ましい粒度分布及び/又は他の粒子特性を達成する1以上の工程を、出発金属粉末に対して行うことができる。例えば、出発金属粉末の粒度分布は、そのD10及び/又はD90が、出発金属粉末のD50の50%以内、又は40%以内、又は30%以内、又は25%以内、又は20%以内、又は15%以内、又は10%以内、又は5%以下になるようなものとすることができる。
【0103】
プラズマ処理に導入する前の出発金属粉末に、1以上の篩分け工程又は他の粒子スクリーニング工程を行って、例えば、上述の粒度分布を得たり、又は他の篩分をカットしたりすることができる。他の篩分のカットとしては、例えば、200以下のメッシュカット、225以下のメッシュカット、250以下のメッシュカット、275以下のメッシュカット、300以下のメッシュカット等(メッシュはUSメッシュサイズである)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0104】
プラズマ処理前の出発金属粉末は、以下の粒径範囲の1つを有することができる:平均粒径を、約0.5ミクロン~約10ミクロン、又は約5ミクロン~約25ミクロン、又は約15ミクロン~約45ミクロン、又は約35ミクロン~約75ミクロン、又は約55ミクロン~約150ミクロン、又は約105ミクロン~約250ミクロンとすることができる。
【0105】
金属粉末を作製するプロセスにおいて、出発金属粉末は、第1の粒度分布を有することができ、得られた(すなわち、完成した)金属粉末(例えば、プラズマ処理後)は、第2の粒度分布を有することができる。第1の粒度分布と、第2の粒度分布とは、互いに15%以内、互いに10%以内、又は互いに5%以内、又は互いに2.5%以内、又は互いに1%以内である。
【0106】
プラズマ処理に導入する前の出発金属粉末を、脱酸素処理して、金属粉末から酸素を除去することができる。
【0107】
プラズマ処理前の出発金属粉末を、分級又は篩分けして、様々なサイズを除去、例えば、20ミクロン未満、15ミクロン未満、10ミクロン未満、又は5ミクロン未満の粒子を除去することができる。
【0108】
プラズマ処理を出た後は、プラズマ処理済金属粉末に対して、1以上の後処理工程を行うことができる。
【0109】
例えば、1つの後処理工程として、プラズマ処理済金属粉末を1つ以上の篩に通して、或る特定のサイズのプラズマ処理済金属粉末を除去することができる。
【0110】
例えば、1つの後処理工程として、超音波処理又は他の振動技術を用いて、金属球から不完全なものを除去することができる。例えば、プラズマ処理で得た金属球を、水槽に入れて、超音波処理し、金属球上のナノ材料を除去し、次いで、金属球を回収することができる。
【0111】
例えば、1つの後処理工程として、プラズマ処理済金属に対して、任意で、少なくとも1つの脱酸素工程、すなわち、「deox」工程を行うことができる。脱酸素は、プラズマ処理済金属を、少なくとも1種の酸素ゲッターの存在下で、約500℃~約1000℃の温度にすることを含み得る。例えば、酸素ゲッターは、金属マグネシウム又はマグネシウム化合物とすることができる。金属マグネシウムは、板状、ペレット状、又は粉末状とすることができる。他の酸素ゲッター材料を使用することもできる。
【0112】
例えば、1つの後処理工程として、プラズマ処理済金属に対して、任意で、1以上の熱処理工程又は徐冷工程を行うことができる。プラズマ処理済金属の熱処理工程に関して、この熱処理は、真空下又は不活性温度下で、従来の炉内で行うことができる。熱処理温度は、通常、少なくとも800℃、又は少なくとも1000℃、又は約800℃~約1450℃、又は約1000℃~約1450℃等である。任意の熱処理時間を用いることができるが、その例としては、少なくとも10分、少なくとも30分、約10分~約2時間以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。任意で、熱処理を1回以上行うことができ、これらは、同じ温度、同じ時間、又は異なる温度、及び/又は異なる熱処理時間であってもよい。熱処理を用いる場合には、熱処理後に、プラズマ処理済金属は、熱処理前に達成したホールフローレートを維持するか、又は該ホールフローレートの20%以内、又は10%以内、又は5%以内とすることができる。
【0113】
例えば、1つの後処理工程として、プラズマ処理済金属に対して、従来技術又は他の好適な方法を用いる等して、酸浸出を行うことができる。米国特許第6,312,642号及び米国特許第5,993,513号に記載の様々なプロセスは、例えば、本明細書において使用することができ、その全体が、引用することにより本明細書の一部をなす。酸浸出は、主な酸として、強鉱酸、例えば、硝酸、硫酸、塩酸等を含む酸水溶液を用いて行うことができる。また、フッ酸(例えば、HF)を少量(例えば、酸の全重量に対して、10重量%未満、又は5重量%未満、又は1重量%未満)で使用することができる。鉱酸濃度(例えば、HNO3濃度)は、酸溶液中、約20重量%~約75重量%の範囲とすることができる。酸浸出は、例えば、米国特許第6,312,642号に示されるような酸組成物及び技術を用いて、昇温下(室温超~約100℃)又は室温下で行うことができる。酸浸出工程は、典型的に、標準大気条件下(例えば、約760 mm Hg)で行われる。上述のような従来の酸組成物及び圧力条件を使用して行う酸浸出工程により、これらの条件に合わせて、脱酸素粉末から可溶性金属酸化物を除去することができる。
【0114】
プラズマ処理済金属を、任意で窒素ドープすることができる。窒素に関して、該窒素は、気体、液体、又は固体等の任意の状態であってもよい。本発明の粉末は、ドーパントとして存在するか、又は他の形態で存在する窒素を任意の量で有することができる。窒素は、結晶形態及び/又は固溶体形態で、任意の割合で存在することができる。窒素ドープレベルは、5 ppm~5000 ppm以上とすることができる。
【0115】
以下、出発金属粉末、プラズマ処理済金属粉末、金属粉末から形成される構成要素の更なる詳細を説明する。この更なる詳細は、本発明の選択的な態様を更に成す。
【0116】
本発明によると、球状弁金属粉末(例えば、球状タンタル粉末)、及び/又は、追加的な任意の非球状金属粉末(例えば、非球状タンタル粉末)は、以下の性質の1つ以上又は全てを有することができる:
a)約4 g/cc~約19.3 g/ccの見掛け密度、
b)約5ミクロン~約25ミクロンのD10粒径、
c)約20ミクロン~約50ミクロンのD50粒径、
d)約30ミクロン~約100ミクロンのD90粒径、及び/又は、
e)約0.05 m2/g~約20 m2/gのBET表面積。
【0117】
本発明によると、球状金属粉末(例えば、球状タンタル粉末)、及び/又は、追加的な任意の非球状金属粉末(例えば、非球状タンタル粉末)は、以下の性質の1つ以上又は全てを有することができる:
a)約9 g/cc~19.3 g/cc又は約9 g/cc~約16.6 g/ccの見掛け密度、
b)約12ミクロン~約25ミクロンのD10粒径、
c)約20ミクロン~約40ミクロンのD50粒径、
d)約30ミクロン~約70ミクロンのD90粒径、及び/又は、
e)約0.1 m2/g~約15 m2/gのBET表面積。
【0118】
本発明の目的のために、これらの性質の少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、又は5つ全ての性質が存在することができる。
【0119】
本発明の少なくとも1つの実施形態においては、プラズマ処理済金属粉末(又は出発金属粉末)は、以下の特性の1つ以上を有することができるが、この粉末はこれらの範囲外の特性を有することもできると理解される:
純度レベル:
酸素含量は、約100 ppm~約60000 ppm、例えば、約250 ppm~約50000 ppm、又は約500 ppm~約30000 ppm、又は約1000 ppm~約20000 ppmである。BET(m2/g)に対する酸素(ppm)の割合は、約2000~約4000、例えば、約2200~約3800、約2400~約3600、約2600~約3400、又は約2800~約3200等とすることができる。
炭素含量は、約1 ppm~約100 ppmであり、より好ましくは約10 ppm~約50 ppm、又は約20ppm~約30 ppmである。
窒素含量は、約100 ppm~約20000 ppm以上であり、より好ましくは約1000 ppm~約5000 ppm、又は約3000 ppm~約4000 ppm、又は約3000 ppm~約3500 ppmである。
水素含量は、約10 ppm~約1000 ppmであり、より好ましくは約300 ppm~約750 ppm、又は約400ppm~約600 ppmである。
鉄含量は、約1 ppm~約50 ppmであり、より好ましくは約5 ppm~約20 ppmである。
ニッケル含量は、約1 ppm~約150 ppmであり、より好ましくは約5 ppm~約100 ppm、又は約25ppm~約75 ppmである。
クロム含量は、約1 ppm~約100 ppmであり、より好ましくは約5 ppm~約50 ppm、又は約5ppm~約20 ppmである。
ナトリウム含量は、約0.1 ppm~約50 ppmであり、より好ましくは約0.5 ppm~約5 ppmである。
カリウム含量は、約0.1 ppm~約100 ppmであり、より好ましくは約5 ppm~約50 ppm、又は約30ppm~約50 ppmである。
マグネシウム含量は、約1 ppm~約50 ppmであり、より好ましくは約5 ppm~約25 ppmである。
リン(P)含量は、約5 ppm~約500ppmであり、より好ましくは約100 ppm~約300 ppmである。
フッ化物(F)含量は、約1 ppm~約500ppmであり、より好ましくは約25 ppm~約300 ppm、又は約50 ppm~約300 ppm、又は約100ppm~約300 ppmである。
【0120】
プラズマ処理済粉末(又は出発金属粉末)(一次、二次、又は三次)は、メッシュサイズに基づき、以下のような(全体の%に対する)粒度分布を有することができる:
+60#が、約0.0%~約1%、好ましくは約0.0%~約0.5%、より好ましくは0.0%又は約0.0%である。
60/170が、約45%~約70%、好ましくは約55%~約65%、又は約60%~約65%である。
170/325が、約20%~約50%、好ましくは約25%~約40%、又は約30%~約35%である。
325/400が、約1.0%~約10%、好ましくは約2.5%~約7.5%、例えば、約4%~約6%である。
-400が、約0.1%~約2.0%、好ましくは約0.5%~約1.5%である。
【0121】
本発明のプラズマ処理済金属粉末は、単峰性、又は二峰性等の複峰性であり得る細孔径分布を有することもできる。
【0122】
本発明のプラズマ処理済金属粉末は、約0.01 m2/g~約20 m2/g、より好ましくは約0.05 m2/g~約5 m2/g、例えば、約0.1 m2/g~約0.5 m2/gのBET表面積を有することができる。
【0123】
出発金属粉末は、金属粉末を得るのに用いられる様々なプロセスによって得ることができる。上述の通り、プラズマ処理する出発金属粉末は、原料金属粉末とすることができる。原料金属粉末(例えば、基本ロット粉末)は、少なくとも0.1 m2/g、又は少なくとも0.5 m2/gの表面積を有する粉末を提供することのできるプロセスによって得ることができるか、又は製造することができる。この点、任意の金属粉末を使用することができる。原料タンタル製造プロセスの具体例としては、ナトリウム/ハロゲン化物フレームカプセル化(sodium/halide flame encapsulation)(SFE)、フッ化タンタル酸カリウムのナトリウム還元プロセス、酸化タンタルのマグネシウム還元プロセス、五塩化タンタルの気相水素還元プロセス、及び金属タンタルの粉砕プロセスが挙げられる。本発明の原料金属粉末(例えば、原料タンタル粉末)の調製に適用可能な、SFEプロセスに採用される技術は、米国特許第5,498,446号及び米国特許第7,442,227号に記載されており、その全体が、引用することにより本明細書の一部をなす。このプロセスは、タンタルに加えて、他の金属にも適用可能である。カプセルは、プラズマ処理済タンタル粉末の製造にタンタル粉末を使用する前に、真空昇華及び/又は水洗等の既知の方法で除去することができる。
【0124】
タンタルの場合、出発タンタル粉末は、代替的に、フッ化タンタル酸ナトリウムの希釈塩等のタンタル塩のナトリウム還元、又は他の化学処理法、又はインゴット処理法によって得ることもできる。
【0125】
原料又は出発金属粉末は、1 nm~約500 nm、又は10 nm~300 nm、又は15 nm~175nm、又は20 nm~150 nm、又は25 nm~100 nm、又は30 nm~90 nm、又は他のサイズの範囲の平均粒径を有する一次粒子を含んでもよい。一次粒子の平均粒径及び粒度分布は、調製法に依存し得る。一次粒子は、一次粒子よりも粒径の大きな塊(clusters or agglomerates)を形成する傾向を有し得る。原料又は出発金属粉末粒子の形状としては、フレーク状、角状、団塊状、若しくは球状、及びこれらの任意の組み合わせ、又はこれらの変化形を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。本発明を実施するのに使用する原料粉末は、金属に関して、任意の純度を有することができるが、純度はより高い方が好ましい。例えば、原料又は出発粉末のタンタル純度(例えば、重量%)は、95%Ta以上、又は99%Ta以上、例えば、約99.5%Ta以上、より好ましくは99.95%Ta以上、更に好ましくは99.99%Ta以上、又は99.995%Ta以上、又は99.999%Ta以上とすることができる。
【0126】
本発明のプラズマ処理済金属粉末製造プロセスの一部として、プラズマ処理の前後の任意の段階で、空気等の酸素含有ガスを用いて、金属粉末を不動態化することができる。不動態化は、典型的には、処理の際、かつ、粉末を使用した焼結体形成の前に、粉末上に安定した酸化物膜を形成するために用いられる。そのため、本発明の粉末製造プロセスは、水素ドープ及び不動態化操作を含み得る。
【0127】
金属粉末の不動態化は、任意の好適な方法によって達成することができる。不動態化は、任意の好適な容器、例えば、レトルト、炉、真空チャンバー、又は真空炉において達成することができる。不動態化は、熱処理、脱酸素、窒化、脱油化(delubing)、造粒、ミリング、及び/又は焼結等の金属粉末の処理に使用した任意の設備において達成することができる。金属粉末の不動態化は、真空下で達成することができる。不動態化は、特定のガス圧まで、酸素含有ガスで容器を充填すること、及び特定の時間、容器内でガスを保持することを含み得る。粉末の不動態化に用いられるガスの酸素含量レベルは、1重量%~100重量%、又は1重量%~90重量%、又は1重量%~75重量%、又は1重量%~50重量%、又は1重量%~30重量%、又は20重量%~30重量%、又は空気若しくは大気と同じか、それ以上の酸素含量、又は他の含量レベルとすることができる。酸素を、窒素、アルゴン、若しくはこれらの組み合わせ等の不活性ガス、又は他の不活性ガスと組み合わせて使用することができる。不活性ガスは、不動態化プロセスの際に、金属と反応しない。窒素ガス及び/又はアルゴンガス等の不活性ガスは、酸素を除く不動態化ガスの残りの部分の全て又は本質的に全て(例えば、98%超)を構成し得ることが好ましい。空気を、不動態化ガスとして使用することができる。空気とは、大気又は乾燥空気を指し得る。乾燥空気の組成は、典型的には、窒素(約75.5重量%)、酸素(約23.2重量%)、アルゴン(約1.3重量%)、及び全量で約0.05%未満の残部である。乾燥空気における水素含量レベルは、約0.00005体積%である。
【0128】
米国特許第7,803,235号に開示された技術から、不動態化プロセスに採用し得る追加的な技術を適用することができる。該文献は、その全体が、引用することにより本明細書の一部をなす。
【0129】
本発明を以下の実施例により更に明らかにするが、これは本発明を純粋に例示するものであることが意図される。
【実施例
【0130】
実施例1
市販のKTa2F7(KTAF)とナトリウムとを使用して、標準工業プロセスを利用するKTAFのナトリウム還元を用いて、タンタル粉末を得た。副生成塩は、洗浄工程、及び酸浸出工程、及び乾燥工程によって除去した。得られたタンタル粉末は、約0.1 m2/gのBET表面積を有していた。このタンタルは、基本ロットタンタル粉末とした。図1Aに、この出発タンタル粉末のSEM画像を示す。出発タンタル粉末を、3つの粉末ロット、すなわち、ロットA、ロットB、及びロットCに分割し、以下の通り、各々別々に、プラズマ処理した。
【0131】
次いで、基本ロットタンタル粉末をプラズマ処理した。特に、基本ロットタンタル粉末をフィーダーに導入することにより、該基本ロットタンタル粉末を球状化した。フィーダーは、プラズマ球状化反応器(カナダのTekna社のTEK15)へと粉末をエアロゾル散布するアルゴン供給機(5 LPM)を備えていた。粉末の供給速度は、フィーダーを調節することにより、0.75kg/hrに維持した。エアロゾル化した粉末を、プラズマ反応器のプラズマ熱源に導入した。プラズマ反応器は、同心管を用いる米国特許第5,200,595号及び国際公開第92/19086号に記載された設計を使用した誘導プラズマトーチを備えていた。粉末を球状化するのに使用するプラズマエネルギーは、陽極電圧を6.5 V、陽極電流を2.3 A、及び格子電流を0.4 Aに設定した場合に、15 KWであった。キャリアガス流速を5 LPM、シースガス流速を30 LPM、中心ガス流速を10 LPM、及びノズルガス流速を1 LPMに設定して、アルゴンガス流を用いて反応器を不活性化した。水素ガスを(4 LPMの流速を用いて)添加することにより、プラズマ強度を高めた。運転条件を表1にまとめる。プラズマトーチに導入した基本ロットタンタル粉末は、少なくとも部分的に溶融し、次いで球状化した。タンタル液滴は、プラズマトーチから下流へと運ばれ、そこで、プラズマ反応器上の活性水冷ジャケットによって急冷した。この例では、冷却した球状タンタル粉末が、重力によって、プラズマ反応器の底部に落下し、球状粉末をアルゴンガスブランケット下で回収し、水槽内で不動態化した。水に入れてすぐ、スラリーを(150 W/gal.未満のエネルギーで)超音波処理して、球状粉末の表面に堆積している可能性のあるナノ材料を除去した。洗浄後のタンタル球を、次いで、アルゴン下、80℃で4時間乾燥した。次いで、乾燥粉末を、性質を試験するまで、Alで裏打ちした帯電防止バッグに充填した。
【0132】
不純物レベルの結果を表2に、粒度分布及び見掛け密度及びホールフローレートの結果を表3に示す。ロットAのプラズマ処理済粉末のSEM画像を図1Bに示す。ロットA、ロットB、及びロットCの各々において、アスペクト比は約1.0~1.1であった。
【0133】
【表1】
【0134】
【表2】
【0135】
【表3】
【0136】
実施例2
この例では、実施例1と同様の基本ロットタンタル粉末(ナトリウム還元粉末)を使用した。この基本ロットタンタル粉末は、0.1 m2/gのBET表面積を有していた。基本ロットタンタル粉末をプレスし、約1000℃の焼結温度で、1時間、圧粉体ログへと焼結した。圧粉体ログを、電子ビーム炉へと供給し、そこで、坩堝を用いて金属を溶融した。金型を通して溶融物を延伸し、これにより、タンタルが凝固し、インゴットを形成した。水素雰囲気を有する高温炉を用いて、タンタルインゴットを水素化し、水素化後は室温まで冷却した。次いで、水素化したインゴットを(ジョークラッシャー、次いで、ロールクラッシャーを用いて)破砕し、-20 #の篩サイズ(正:size)にスクリーニングした。破砕後のインゴットを、望ましいサイズカット、すなわち、ロットAでは10ミクロン~25ミクロン(又は、ロットBでは35ミクロン~75ミクロン)にスクリーニングした。次いで、スクリーニング後の各ロット用の粉末を酸浸出した。次いで、粉末を、マグネシウムを用いて脱酸素化し、酸素レベルを500 ppm未満に低減した。この出発タンタル粉末のSEM画像を図2Aに示す。次いで、ロットA及びロットBを、各々別々に、実施例1と同様の方法で、プラズマ処理した。
【0137】
不純物レベルの結果を表4に、粒度分布及び見掛け密度及びホールフローレートの結果を表5に示す。ロットAのプラズマ処理済粉末のSEM画像を図2Bに示す。ロットA及びロットBの各々において、アスペクト比は約1.0~1.1であった。
【0138】
【表4】
【0139】
【表5】
【0140】
作製した球状粉末は、上述の方法に従って、例えばスパッタリングターゲットの形状を有する圧密粉末冶金物品を形成するのに使用することができる。
【0141】
本発明は以下の態様/実施形態/特徴を任意の順序及び/又は任意の組み合わせで包含する:
1. 球状金属粉末を含む金属粉末を、粉末冶金技術によって圧密体へと圧密して、冶金物品を形成することと、
前記圧密体を任意で熱処理することと、
を含む、粉末冶金物品を形成する方法であって、
前記球状金属粉末が、
a.1.0~1.4の平均アスペクト比を有する球状形状を有し、
b.ガス不純物を除く該金属粉末の全重量に対して、少なくとも99重量%の金属純度を有し、
c.約0.5ミクロン~約250ミクロンの平均粒径を有し、
d.約4 g/cc~約19.3 g/ccの見掛け密度を有し、
e.金属の±3%以内の真密度を有し、かつ、
f.40秒以下のホールフローレートを有する、方法。
2. 前記熱処理を利用する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
3. 前記熱処理は、1以上の焼結工程又は1以上の徐冷工程である、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
4. 前記圧密製品がスパッタリングターゲットである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
5. 前記圧密製品を機械加工することを更に含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
6. 前記圧密製品に対して、1以上の機械処理工程又は熱機械処理工程を行うことを更に含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
7. いかなる機械処理工程又は熱機械処理工程も行わずに、前記方法を行う、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
8. 前記金属粉末が、350 ppm未満の酸素レベルを有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
9. 前記金属粉末が、200 ppm未満の酸素レベルを有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
10. 前記平均アスペクト比が1.0~1.25である、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
11. 前記平均アスペクト比が1.0~1.1である、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
12. 前記純度が少なくとも99.995重量%である、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
13. 前記平均粒径が約0.5ミクロン~約10ミクロンである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
14. 前記平均粒径が約5ミクロン~約25ミクロンである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
15. 前記平均粒径が約15ミクロン~約45ミクロンである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
16. 前記平均粒径が約35ミクロン~約75ミクロンである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
17. 前記平均粒径が約55ミクロン~約150ミクロンである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
18. 前記平均粒径が約105ミクロン~約250ミクロンである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
19. 前記金属粉末が、以下の性質のうち少なくとも1つを有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法:
a.約5ミクロン~25ミクロンのD10径、又は、
b.約20ミクロン~80ミクロンのD90径。
20. 前記金属粉末が、タンタル、ニオブ、アルミニウム、銅、チタン、マグネシウム、タングステン、金、銀、コバルト、ジルコニウム、シリコン、レニウム、モリブデン、又はこれらの合金、又はこれらの任意の組み合わせから選ばれる、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
21. 前記金属粉末がBBC金属を含むか、又はBBC金属から選ばれる、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
22. 前記金属粉末が、非球状金属粉末を更に含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
23. 前記非球状金属粉末が、角状金属粉末、フレーク状金属粉末、又は団塊状金属粉末を含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
24. 前記金属粉末が、1重量%~99重量%の前記球状金属粉末と、1重量%~99重量%の前記非球状金属粉末とを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
25. 前記金属粉末が、25重量%~75重量%の前記球状金属粉末と、25重量%~75重量%の前記非球状金属粉末とを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
26. 前記金属粉末が、50重量%~99重量%の前記球状金属粉末と、1重量%~50重量%の前記非球状金属粉末とを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
27. 前記金属粉末が、75重量%~99重量%の前記球状金属粉末と、1重量%~25重量%の前記非球状金属粉末とを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
28. 前記球状金属粉末が、平均粒径に対して、少なくとも2つの異なるサイズ分画を有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
29. 前記球状金属粉末が、約10ミクロン~約25ミクロンの平均粒径を有する第1のサイズ分画と、約26ミクロン~約45ミクロンの平均粒径を有する第2のサイズ分画とを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
30. 前記圧密製品がビレット形状を有しており、前記方法が、前記ビレットをスパッタリングターゲットの形状をそれぞれが有する複数のディスクに分割することを更に含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
31. 前記方法が、
a.不活性雰囲気中で、出発金属粉末をプラズマ熱処理して、該出発金属粉末の少なくとも外表面を少なくとも部分的に溶融して、熱処理済金属粉末を得ることと、
b.不活性雰囲気中で、前記熱処理済金属粉末を冷却して、前記金属粉末を得ることと、
を更に含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
32. 前記出発金属粉末がタンタル粉末である、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
33. 前記金属粉末が、500 ppm以下の酸素含量と、少なくとも約40 ppmの窒素含量とを有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
34. 前記圧密を、前記金属粉末の0.7 THを超えない温度で行う、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
35. 前記圧密が、前記金属粉末を、約30000 psi~約90000 psiの圧縮力で、理論密度の約80%~約100%まで圧縮することを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
36. 前記粉末冶金技術が、熱間静水圧プレス、又は冷間静水圧プレス、又は真空熱プレスを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
37. 前記粉末冶金技術が押出を含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
38. 理論密度の少なくとも75%の密度を有する圧密体へと圧密された金属粉末を含む粉末冶金物品であって、
前記金属粉末が球状金属粉末を含み、該球状金属粉末が、
a.1.0~1.4の平均アスペクト比を有する球状形状を有し、
b.ガス不純物を除く該金属粉末の全重量に対して、少なくとも99重量%の金属純度を有し、
c.約0.5ミクロン~約250ミクロンの平均粒径を有し、
d.約4 g/cc~約19.3 g/ccの見掛け密度を有し、
e.金属の±3%以内の真密度を有し、かつ、
f.40秒以下のホールフローレートを有する、粉末冶金物品。
39. 前記球状金属粉末がプラズマ熱処理されている、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の粉末冶金物品。
40. 350 ppm未満の酸素レベルを有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の粉末冶金物品。
41. 200 ppm未満の酸素レベルを有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の粉末冶金物品。
42. 前記平均アスペクト比が1.0~1.25である、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の粉末冶金物品。
43. 前記平均アスペクト比が1.0~1.1である、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の粉末冶金物品。
44. 前記純度が少なくとも99.995重量%である、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の粉末冶金物品。
45. 前記平均粒径が約0.5ミクロン~約10ミクロンである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の粉末冶金物品。
46. 前記平均粒径が約5ミクロン~約25ミクロンである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の粉末冶金物品。
47. 前記平均粒径が約15ミクロン~約45ミクロンである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の粉末冶金物品。
48. 前記平均粒径が約35ミクロン~約75ミクロンである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の粉末冶金物品。
49. 前記平均粒径が約55ミクロン~約150ミクロンである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の粉末冶金物品。
50. 前記平均粒径が約105ミクロン~約250ミクロンである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の粉末冶金物品。
51. 前記金属粉末が、以下の性質のうち少なくとも1つを有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の粉末冶金物品:
a.約5ミクロン~25ミクロンのD10径、又は、
b.約20ミクロン~80ミクロンのD90径。
52. ニオブ、タンタル、又はその組み合わせを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の粉末冶金物品。
53. BBC金属を含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の粉末冶金物品。
54. 前記金属粉末が、非球状金属粉末を更に含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の粉末冶金物品。
55. 前記非球状金属粉末が、角状金属粉末、フレーク状金属粉末、又は団塊状金属粉末を含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の粉末冶金物品。
56. 前記金属粉末が、1重量%~99重量%の前記球状金属粉末と、1重量%~99重量%の前記非球状金属粉末とを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の粉末冶金物品。
57. 前記金属粉末が、25重量%~75重量%の前記球状金属粉末と、25重量%~75重量%の前記非球状金属粉末とを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の粉末冶金物品。
58. 前記金属粉末が、50重量%~99重量%の前記球状金属粉末と、1重量%~50重量%の前記非球状金属粉末とを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の粉末冶金物品。
59. 前記金属粉末が、75重量%~99重量%の前記球状金属粉末と、1重量%~25重量%の前記非球状金属粉末とを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の粉末冶金物品。
60. 前記球状金属粉末が、平均粒径に対して、少なくとも2つの異なるサイズ分画を有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の粉末冶金物品。
61. 前記球状金属粉末が、約10ミクロン~約25ミクロンの平均粒径を有する第1のサイズ分画と、約26ミクロン~約45ミクロンの平均粒径を有する第2のサイズ分画とを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の粉末冶金物品。
62. スパッタターゲットとしての任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の粉末冶金物品と、バッキングプレートとを含むスパッタリングターゲット組立体。
63. 前記スパッタターゲットが、約18000 psi~約40000 psiの降伏強度と、約20%以上の破断伸びとを有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のスパッタリングターゲット組立体。
64. 前記スパッタターゲットが、約99.5%以上の純度を有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のスパッタリングターゲット組立体。
65. 前記スパッタターゲットが、約300ミクロン以下の平均粒径を有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のスパッタリングターゲット組立体。
66. 前記スパッタターゲットが、100ミクロン以下の平均粒径を有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のスパッタリングターゲット組立体。
67. 前記スパッタターゲットが、約50ミクロン以下の平均粒径を有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のスパッタリングターゲット組立体。
68. 前記スパッタターゲットが、約10ミクロン以下の平均粒径を有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のスパッタリングターゲット組立体。
69. 前記スパッタターゲットが、前記金属の表面において、又は前記金属の厚さ全体にわたって、ランダム組織を有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のスパッタリングターゲット組立体。
70. 前記スパッタターゲットが、前記金属の表面において、又は前記金属の厚さ全体にわたって、均一な一次組織を有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のスパッタリングターゲット組立体。
71. 前記スパッタターゲットが、前記金属の表面において、又は前記金属の厚さ全体にわたって、(111)の均一な一次組織を有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のスパッタリングターゲット組立体。
72. 前記スパッタターゲットが、前記金属の表面において、又は前記金属の厚さ全体にわたって、ランダム組織を有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のスパッタリングターゲット組立体。
73. 前記スパッタターゲットが、前記金属の表面において、又は前記金属の厚さ全体にわたって、(110)の均一な一次組織を有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のスパッタリングターゲット組立体。
【0142】
本発明は文及び/又は段落に記載される上記及び/又は下記のこれらの様々な特徴又は実施形態の任意の組み合わせを包含し得る。本明細書に開示される特徴の任意の組み合わせが本発明の一部であるとみなされ、組み合わせることができる特徴に関しては何ら限定を意図しない。
【0143】
出願人らはこの開示における全ての引用文献の全内容を具体的に援用する。さらに、量、濃度又は他の値若しくはパラメータが範囲、好ましい範囲、又は好ましい上限値と好ましい下限値とのリストのいずれかとして与えられる場合、これは範囲が別々に開示されているかに関わらず、任意の範囲上限又は好ましい値と任意の範囲下限又は好ましい値との任意の対からなる全ての範囲を具体的に開示するものと理解される。数値の範囲が本明細書で言及されている場合、特に指定のない限り、範囲はその端点、並びに範囲内の全ての整数及び端数を含むことが意図される。本発明の範囲は、範囲を規定する場合に言及された特定の値に限定されることは意図されない。
【0144】
本発明の他の実施形態は、本明細書の考察及び本明細書に開示される本発明の実施から当業者にとって明らかであろう。本明細書及び本実施例は単なる例示とみなされ、本発明の真の範囲及び趣旨は添付の特許請求の範囲及びその均等物により示されることが意図される。
【符号の説明】
【0145】
図面訳
図1B
Spherical TantalumPowder 球状タンタル粉末

図2A
T-Powder T粉末

図2B
Spherical TantalumPowder 球状タンタル粉末

図1