(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】昇降可能な車椅子
(51)【国際特許分類】
A61G 5/08 20060101AFI20231113BHJP
A61G 1/056 20060101ALI20231113BHJP
A61G 5/12 20060101ALI20231113BHJP
B62B 3/06 20060101ALI20231113BHJP
B62B 5/00 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
A61G5/08 705
A61G1/056 702
A61G5/12 701
A61G5/12 705
B62B3/06 C
B62B5/00 J
(21)【出願番号】P 2022112184
(22)【出願日】2022-07-13
【審査請求日】2023-05-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523155009
【氏名又は名称】イープラス合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097700
【氏名又は名称】増田 恒則
(72)【発明者】
【氏名】矢口 良一
【審査官】瀧本 絢奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-153515(JP,A)
【文献】中国実用新案第209713435(CN,U)
【文献】特開2001-070350(JP,A)
【文献】特開平11-137608(JP,A)
【文献】米国特許第4613151(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 5/00-5/14
A61G 1/056
B62B 3/06
B62B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平に配置される座フレームの前端部に第1支点を設け、該第1支点に第1リンクアームの上端部及び第2リンクアームの上端部をそれぞれ回動可能に連結し、第1リンクアームの下端部の第2支点に前輪を第2リンクアームの下端部の第3支点に後輪をそれぞれ回転自在に連結し、第1リンクアームの中間部に第4支点を第2リンクアームの中間部に第5支点をそれぞれ設け、第4支点から第3リンクアームを第5支点から第4リンクアームをそれぞれ回動可能に連結し、第3リンクアームと第4リンクアームの下端部の第6支点で第3リンクアームと第4リンクアームとを回動可能に連結して、第1支点と第4支点と第6支点と第5支点とで平行リンク機構を形成し、第4リンクアームを第6支点から第5支点を通って座フレームまで延伸し、その上端部の第7支点を座フレームに水平にスライド可能に連結したことを特徴とする昇降可能な車椅子。
【請求項2】
第4支点を第1支点と第2支点との中点とし、第5支点を第1支点と第3支点との中点として、第2支点と第6支点と第3支点を同一の水平位置とし、第6支点から第2支点に向けて水平にスライド可能に伸びる足受け台を設けた請求項1に記載の昇降可能な車椅子。
【請求項3】
座フレームの第1支点より後方かつ下方位置に第8支点を設け、第2支点に回動可能に連結される足受け台を設けるとともに該足受け台の第2支点より後方かつ下方位置に第9支点を設け、第8支点と第9支点とを第5リンクアームで回動可能に連結し、第1支点と第2支点と第9支点と第8支点とで平行リンク機構を形成してなる請求項1に記載の昇降可能な車椅子。
【請求項4】
第6支点に前後輪と同径の中間輪を回転自在に連結した請求項2に記載の昇降可能な車椅子。
【請求項5】
前輪と後輪とをそれぞれキャスターとした請求項4に記載の昇降可能な車椅子。
【請求項6】
前輪をキャスターとするとともに該キャスターの上に足受け台を設けた請求項1に記載の昇降可能な車椅子。
【請求項7】
第4支点を第1支点と第2支点との中点とし、第5支点を第1支点と第3支点との中点とし、第6支点に車輪を回転自在に連結し、前輪と後輪とをそれぞれキャスターとし、前輪側キャスターの上に足受け台を設けた請求項1に記載の昇降可能な車椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リンク機構により座席の昇降を可能とした昇降可能な車椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、座席が通常の高さから昇降可能となった昇降機能付きの車椅子として、特許文献1がある。係る昇降機能付きの車椅子は、下端部が前輪に回転自在に連結された後倒ロッドと、下端部が後輪に回転自在に連結された前倒ロッドとを中間位置で交差させて枢着し、前倒ロッドの上端部に着座部を枢着すると共に、背当て部に上端部を枢着したリンクロッドの下端部を後倒ロッドの上端部に枢着し、リンクロッドの枢着位置及び長さが、後倒ロッド及び前倒ロッドの開脚角度の変化に連動して着座部を水平状態に保持されて昇降させ得るように設定されたものである。
また、下端部が前輪に回転自在に連結された後倒ロッドと、下端部が後輪に回転自在に連結された前倒ロッドとを中間位置で交差させて枢着し、前倒ロッドの上端部に着座部を枢着すると共に、この枢着位置よりも前方領域に形成した前後方向のガイド溝に前倒ロッドの上端部に突設したスライドピンをスライド可能にガイドさせ、ガイド溝の形状が、後倒ロッド及び前倒ロッドの開脚角度の変化に連動して着座部を水平状態に保持されて昇降させ得るように設定されたものである。
【0003】
しかし、下端部が前輪に回転自在に連結された後倒ロッドと、下端部が後輪に回転自在に連結された前倒ロッドとを中間位置で交差させて枢着しており、着座部が常に交差位置の直上に位置するとは限らず、このため、前後のバランスに欠ける場合がある。また、昇降に伴って足受け台の角度が変化するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、リンク機構により昇降可能であって座部が前後のバランスに優れた車椅子、また、座部と足受け台とが共に水平を維持しつつ昇降可能な車椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に係る昇降可能な車椅子は、水平に配置される座フレームの前端部に第1支点を設け、該第1支点に第1リンクアームの上端部及び第2リンクアームの上端部をそれぞれ回動可能に連結し、第1リンクアームの下端部の第2支点に前輪を第2リンクアームの下端部の第3支点に後輪をそれぞれ回転自在に連結し、第1リンクアームの中間部に第4支点を第2リンクアームの中間部に第5支点をそれぞれ設け、第4支点から第3リンクアームを第5支点から第4リンクアームをそれぞれ回動可能に連結し、第3リンクアームと第4リンクアームの下端部の第6支点で第3リンクアームと第4リンクアームとを回動可能に連結して、第1支点と第4支点と第6支点と第5支点とで平行リンク機構を形成し、第4リンクアームを第6支点から第5支点を通って座フレームまで延伸し、その上端部の第7支点を座フレームに水平にスライド可能に連結したこと、を特徴としている。
請求項2に係る発明は、第4支点を第1支点と第2支点との中点とし、第5支点を第1支点と第3支点との中点として、第2支点と第6支点と第3支点を同一の水平位置とし、第6支点から第2支点に向けて水平にスライド可能に伸びる足受け台を設けたものである。
請求項3に係る発明は、座フレームの第1支点より後方かつ下方位置に第8支点を設け、第2支点に回動可能に連結される足受け台を設けるとともに該足受け台の第2支点より後方かつ下方位置に第9支点を設け、第8支点と第9支点とを第5リンクアームで回動可能に連結し、第1支点と第2支点と第9支点と第8支点とで平行リンク機構を形成してなるものである。
請求項4に係る発明は、第6支点に前後輪と同径の中間輪を回転自在に連結したものである。
請求項5に係る発明は、前輪と後輪とをそれぞれキャスターとしたものである。
請求項6に係る発明は、前輪をキャスターとするとともに該キャスターの上に足受け台を設けたものである。
請求項7に係る発明は、第4支点を第1支点と第2支点との中点とし、第5支点を第1支点と第3支点との中点とし、第6支点に車輪を回転自在に連結し、前輪と後輪とをそれぞれキャスターとし、前輪側キャスターの上に足受け台を設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明によれば、水平に配置される座フレームの前端部に第1支点を設け、該第1支点に第1リンクアームの上端部及び第2リンクアームの上端部をそれぞれ回動可能に連結し、第1リンクアームの下端部の第2支点に前輪を第2リンクアームの下端部の第3支点に後輪をそれぞれ回転自在に連結し、第1リンクアームの中間部に第4支点を第2リンクアームの中間部に第5支点をそれぞれ設け、第4支点から第3リンクアームを第5支点から第4リンクアームをそれぞれ回動可能に連結し、第3リンクアームと第4リンクアームの下端部の第6支点で第3リンクアームと第4リンクアームとを回動可能に連結して、第1支点と第4支点と第6支点と第5支点とで平行リンク機構を形成し、第4リンクアームを第6支点から第5支点を通って座フレームまで延伸し、その上端部の第7支点を座フレームに水平にスライド可能に連結したので、座フレームの基点となる第1支点は昇降に際して常に前輪と後輪との中点上に位置し、座部は前後のバランスが保たれることになる。
請求項2に係る発明によれば、第4支点を第1支点と第2支点との中点とし、第5支点を第1支点と第3支点との中点として、第2支点と第6支点と第3支点を同一の水平位置とし、第6支点から第2支点に向けて水平にスライド可能に伸びる足受け台を設けたので、第1支点と第2支点と第6支点と第7支点とで平行リンク機構が形成され、座フレームと足受け台とを水平を維持しつつ昇降させることができる。
請求項3に係る発明によれば、座フレームの第1支点より後方かつ下方位置に第8支点を設け、第2支点に回動可能に連結される足受け台を設けるとともに該足受け台の第2支点より後方かつ下方位置に第9支点を設け、第8支点と第9支点とを第5リンクアームで回動可能に連結し、第1支点と第2支点と第9支点と第8支点とで平行リンク機構を形成してなるので、座フレームと足受け台とを水平を維持しつつ昇降させることができる。
請求項4に係る発明によれば、第6支点に前後輪と同径の中間輪を回転自在に連結したので、前後輪に加えて中間輪でも支持されることとなり、接地面積が増して、不整地(砂浜、ぬかるみ、デコボコ道、雪道など)での走行が安定する。
請求項5に係る発明によれば、前輪と後輪とをそれぞれキャスターとしたので、中間輪を駆動輪とし、左右一対の中間輪の一方と他方の回転方向を変えれば、その場での回転も可能となり、小回りのきく車椅子となる。
請求項6に係る発明によれば、前輪をキャスターとするとともに該キャスターの上に足受け台を設けたので、平行リンク機構を介することなく構造簡単に足受け台を設けることができる。
請求項7に係る発明によれば、第4支点を第1支点と第2支点との中点とし、第5支点を第1支点と第3支点との中点とし、第6支点に車輪を回転自在に連結し、前輪と後輪とをそれぞれキャスターとしたので、中間輪を駆動輪とし、左右一対の中間輪の一方と他方の回転方向を変えれば、その場での回転も可能となり、小回りのきく車椅子となる。また、前輪側キャスターの上に足受け台を設けので、平行リンク機構を介することなく構造簡単に足受け台を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施例による車椅子を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図2】第1実施例による車椅子の動作を説明する側面図である。
【
図3】第2実施例による車椅子の動作を説明する側面図である。
【
図4】第3実施例の1による車椅子の動作を説明する側面図である。
【
図5】第3実施例の2による車椅子の動作を説明する側面図である。
【
図6】第4実施例による車椅子の動作を説明する側面図である。
【
図7】第5実施例による車椅子の動作を説明する側面図である。
【
図8】第6実施例による車椅子を示し、(a)は平面図、(b)(c)は動作を説明する側面図である。
【
図9】第7実施例による車椅子の動作を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1及び
図2に示す本発明の第1実施例による昇降可能な車椅子1は、座フレーム2と前輪3と後輪4とこれらを連結する第1~第4リンクアームL1~L4を主な構成要素とする。
具体的には、水平に配置される座フレーム2の前端部に第1支点P1を設け、該第1支点P1に第1リンクアームL1の上端部及び第2リンクアームL2の上端部をそれぞれ回動可能に連結し、第1リンクアームL1の下端部の第2支点P2に前輪3を第2リンクアームL2の下端部の第3支点P3に後輪4をそれぞれ回転自在に連結する。
第1リンクアームL1の中間部に第4支点P4を第2リンクアームL2の中間部に第5支点P5をそれぞれ設け、第4支点P4から第3リンクアームL3を第5支点P5から第4リンクアームL4をそれぞれ回動可能に連結し、第3リンクアームL3と第4リンクアームL4の下端部の第6支点P6で第3リンクアームL3と第4リンクアームL4とを回動可能に連結して、第1支点P1と第4支点P4と第6支点P6と第5支点P5とで平行リンク(菱形リンク)機構を形成する。
そして、第4リンクアームL4を第6支点P6から第5支点P5を通って座フレーム2まで延伸し、その上端部の第7支点P7を座フレーム2に水平にスライド可能に連結したものである。これにより、第1支点P1と第4支点P4と第5支点P5と第7支点P7とで平行リンク機構が形成されることになる。
なお、第1リンクアームL1の第1支点P1第2支点P2間と第2リンクアームL2の第1支点P1第3支点P3間の寸法は同寸としてある。
【0010】
第4リンクアームL4上端部の第7支点P7を座フレーム2に水平にスライド可能に連結するには、例えば、第4リンクアームL4上端部の第7支点P7にガイドピン5を設けるとともに、座フレーム2にガイドピン5が案内される水平に伸びるガイド溝6を形成して、第4リンクアームL4の第7支点P7を座フレーム2に水平にスライド可能に連結する。左右第4リンクアームL4の第7支点P7,P7に設けるガイドピン5,5に替えて左右第7支点P7,P7間をシャフトS7(図示せず)で連結するようにしてもよい。
なお、第4リンクアームL4の第7支点P7を座フレーム2に水平にスライド可能に連結する手段は、上記のガイドピン5又はシャフトS7とガイド溝6による機構に限られるものではない。
【0011】
第2支点P2と第3支点P3間の距離(ホイルベース)を何らかの駆動手段により伸縮することにより、座フレームが水平状態を維持しつつ上下に昇降し、昇降可能な車椅子となる。駆動手段としては、例えば、第4支点P4と第5支点P5間を伸縮する如くアクチュエータ等で連結する等の手段がある。
図2(a)はホイールベースを短くして座フレーム2を上昇させた状態、同図(b)は通常の状態、同図(c)は、下方まで降下させた状態で、座フレーム2が前輪3と後輪4の回転中心付近まで降下させた状態を示す。
【0012】
このように、第1リンクアームL1と第2リンクアームL2とをその上端部の第1支点P1で回動可能に連結するようにしたので、第1支点P1と第2支点P2と第3支点P3とは第1支点P1を頂点とする二等辺三角形を形成し、前輪3と後輪4のホイールベースの中点の直上に第1支点P1が常に位置することになる。第1支点P1は座フレーム2の基点となるもので、その位置が昇降に伴って常にホイールベースの中点の直上に位置するため、座フレーム2は前後のバランスが保たれることになる。
【0013】
なお、各リンクアームL1~L4、前輪3及び後輪4は、それぞれ左右一対配置され、各支点P1~P6でシャフトS1~S6を介して回動又は回転自在に連結される(
図1(a))。
【0014】
図3に示す第2実施例による昇降可能な車椅子1は、第1リンクアームL1の第4支点P4を第1支点P1と第2支点P2との中点とし、第2リンクアームL2の第5支点P5を第1支点P1と第3支点P3との中点としたもので、これにより、第2支点P2と第6支点P6と第3支点P3は同一の水平位置に位置することになる。そして、第6支点P6から第2支点P2に向けて水平にスライド可能に伸びる足受け台7を設けたものである。これにより、第1支点P1と第2支点P2と第6支点P6と第7支点P7とで平行リンク機構が形成され、座フレーム2が昇降しても座フレーム2と足受け台7とは水平状態が保持されることとなる。
第6支点P6から第2支点P2に向けて水平にスライド可能に伸びる足受け台7は、具体的には、足受け台7に第2支点P2のシャフトS2がスライド可能に案内される水平に伸びるガイド溝8を形成してある。なお、足受け台7が第6支点P6から第2支点P2に向けて水平にスライド可能であれば、他の機構であってもよい。
その他は、第1実施例と同様の構成であるため、図面上において同一の符号を付して説明は省略する。後述する各実施例においても同様である。
【0015】
図4と
図5に示す第3実施例(第3実施例の1、第3実施例の2)による昇降可能な車椅子1は、座フレーム2の第1支点P1より後方かつ下方位置に第8支点P8を設け、第1リンクアームL1の第2支点P2に回動可能に連結される足受け台9を設けるとともに該足受け台9の第2支点P2より後方かつ下方位置に第9支点P9を設け、座フレーム2の第8支点P8と足受け台9の第9支点P9とを第5リンクアームL5で回動可能に連結し、第1支点P1と第2支点P2と第9支点P9と第8支点P8とで平行リンク機構を形成してなるものである。これにより、座フレーム2が昇降しても座フレーム2と足受け台9は水平状態が保持されることとなる。座フレーム2と足受け台9は水平を維持しつつ座フレーム2が昇降することになる。
【0016】
図4の第3実施例の1は、第2支点P2と第9支点P9間(第1支点P1と第8支点P8間)の距離を第4支点P4と第6支点P6間(第1支点P1と第5支点P5間)の距離より長くした場合を示し、足受け台9は前後幅が広くなるため、広い足受け台9にバッテリーなどの部品を載せて有効利用できる。
一方、
図5の第3実施例の2は、第2支点P2と第9支点P9間(第1支点P1と第8支点P8間)の距離を第4支点P4と第6支点P6間(第1支点P1と第5支点P5間)の距離より短くした場合を示し、足受け台9は前後幅を狭くすることが可能で、コンパクトな足受け台9とすることができる。
【0017】
図6に示す第4実施例による昇降可能な車椅子1は、第2実施例において、第6支点P6に前後輪3,4と同径の中間輪10を回転自在に連結したものである。このように、前後輪3,4と同径の中間輪10を設けることにより、前後輪3,4に加えて中間輪10でも支持されることとなり、接地面積が増して、砂浜、ぬかるみ、デコボコ道、雪道など不整地での走行が安定する。
【0018】
図7に示す第5実施例による昇降可能な車椅子1は、第4実施例において、前輪3と後輪4とをそれぞれキャスター11,12に替えたものである。ここで、中間輪10を駆動輪とし、左右一対の中間輪10,10の内一方の車輪10と他方の車輪10との回転方向を逆向きに変えれば、その場で車椅子1を回転させることも可能となり、小回りのきく車椅子となる。
【0019】
図8に示す第6実施例による昇降可能な車椅子1は、第1実施例において、後輪4はそのままにして前輪3をキャスター11とするとともに該キャスター11の上に足受け台13を設けたものである。平行リンク機構を介することなく構造簡単に足受け台13を設けることができ、コスト的に有利である。なお、キャスター11が路面の凹凸によって第2支点P2を中心に揺動し、これに伴って足受け台13も揺動することになる。
【0020】
図9に示す第7実施例による昇降可能な車椅子1は、第1実施例において、第4支点P4を第1支点P1と第2支点P2との中点とし、第5支点P5を第1支点P1と第3支点P3との中点とし、第6支点P6に中間輪10を回転自在に連結し、前輪3と後輪4とをそれぞれキャスター11,12としたものである。これにより、中間輪10を駆動輪とし、左右一対の中間輪10,10の内一方の車輪10と他方の車輪10との回転方向を逆向きに変えれば、その場で車椅子1を回転させることも可能となり、小回りのきく車椅子となる。また、前輪側キャスター11の上に足受け台13を設けてある。これにより、平行リンク機構を介することなく構造簡単に足受け台13を設けることができる。コスト的にも有利である。
【0021】
なお、本発明における昇降可能な車椅子の構成は、手動による車椅子に適用してもよく、電動車椅子に適用してもよい。
【符号の説明】
【0022】
1 昇降可能な車椅子
2 座フレーム
3 前輪
4 後輪
5 ガイドピン
6 ガイド溝
7 足受け台
8 ガイド溝
9 足受け台
10 中間輪
11 前輪側キャスター
12 後輪側キャスター
13 足受け台
P1~P9 第1支点~第9支点
L1~L5 第1リンクアーム~第5リンクアーム
S1~S9 第1シャフト~第9シャフト
【要約】 (修正有)
【課題】リンク機構により昇降可能であって座部が前後のバランスに優れた車椅子を提供する。
【解決手段】座フレームの前端部に第1支点P1を設け、スライド溝6に第7支点P7をスライド可能に設け、第1支点P1に第1リンクアームL1、第2リンクアームL2を回動可能に設け、第7支点P7に第4リンクアームL4を回動可能に設け、第1リンクアームL1の第4支点P4と、第4リンクアークの第6支点P6との間に第3リンクアームL3を設ける。第1リンクアームL1の支点P2に前輪3を、第2リンクアームの支点P3に後輪4を設ける。第1リンクアームL1、第2リンクアームL2、第3リンクアームL3、第4リンクアーム、支点P1、支点P4、支点P5、P6とで平行リンク機構を形成する。前輪3と後輪4の間隔を伸縮することで座フレーム2が水平を維持しつつ昇降する。
【選択図】
図1