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特許7383341ダイレクト露光装置および基板の露光方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】ダイレクト露光装置および基板の露光方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20231113BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20231113BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
H01L21/68 A
H01L21/68 N
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019213987
(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公開番号】P2021085960
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000128496
【氏名又は名称】株式会社オーク製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 正知
(72)【発明者】
【氏名】緑川 悟
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-265220(JP,A)
【文献】特開2009-122597(JP,A)
【文献】特開2009-229721(JP,A)
【文献】特開2012-058446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を間に対向して配置された一対の露光ユニットと、
前記基板を間に対向して配置された一対の吸着部とを備え
前記吸着部は、前記基板の露光領域の反対面をそれぞれ吸着保持する複数の露光領域保持部と、該露光領域保持部に隣接し、露光光が通過する複数の帯状の開口部とをそれぞれ有するダイレクト露光装置。
【請求項2】
前記一対の露光ユニットのうちの一の露光ユニットの露光領域と他の露光ユニットの露光領域が副走査方向(Y)においてオフセットして配置される請求項1に記載のダイレクト露光装置。
【請求項3】
それぞれの前記露光ユニットは、間隔をあけて副走査方向(Y)に配列された複数の露光領域を有し、前記一の露光ユニットの複数の露光領域と前記他の露光ユニットの複数の露光領域とが互い違いに位置するように配列される請求項2に記載のダイレクト露光装置。
【請求項4】
前記露光領域に対して前記基板を走査方向(X)に相対移動させ露光するために、前記露光ステージを前記走査方向(X)に移動させる第1移動部を備える請求項に記載のダイレクト露光装置。
【請求項5】
前記基板と前記露光領域を副走査方向(Y)に相対移動させる第2移動部を備え、前記吸着部の基板吸着位置をそれぞれ副走査方向(Y)に移動させる第3移動部を備える請求項4に記載のダイレクト露光装置。
【請求項6】
前記基板吸着位置を移動させる際は、基板の少なくとも一部を吸着した状態を維持する請求項に記載のダイレクト露光装置。
【請求項7】
基板を間に対向して配置された一対の露光ユニットと、前記基板を間に対向して配置された一対の吸着部とを備え、前記吸着部は、前記基板の露光領域の反対面をそれぞれ吸着保持する複数の露光領域保持部と、該露光領域保持部に隣接し、露光光が通過する複数の帯状の開口部とをそれぞれ有するダイレクト露光装置による基板の露光方法であって、
前記一対の露光ユニットと前記吸着部に吸着した基板とを、主走査方向(X)に相対移動させて前記基板の両面の一部分を露光するステップと、
前記基板と前記一対の露光ユニットとを副走査方向(Y)に相対的にシフトさせるステップと、
前記吸着部の前記基板を吸着する位置を副走査方向(Y)にシフトさせるステップと、
前記一対の露光ユニットと前記吸着部に吸着した前記基板とを、主走査方向(X)に相対移動させて、前記基板の両面の他の部分を露光するステップとを備えた基板の露光方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表裏に所定のパターンを描画するダイレクト露光装置および基板の露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板、半導体ウエハ、LCDガラス基板、LED基板、有機EL基板等の基板を製造するフォトリソグラフィ工程にて、フォトマスクを用いないダイレクト露光装置(マスクレス露光装置)が知られている。かかるダイレクト露光方式によれば、フォトマスクが不要となるため、コスト的に有利であり、また、高精度露光が可能であるとされている。
【0003】
さらに、基板の表裏両面を描画する必要がある場合は、先ず、一方の面を描画した後、基板を反転させ、他方の面を描画する。特にプリント配線板においては、基板の両面に回路パターンを作成することが一般的に行われている。しかしながら、基板の表裏両面を描画する場合、基板を反転させる工程が必要であるため、加工能率を向上させることができなかった。また、基板表裏の位置合わせ精度が低下するおそれがあった。
【0004】
したがって,ダイレクト露光装置で基板両面を同時に露光したいというニーズが高まっている。例えば特許文献1では、上側保持枠と下側保持枠によって被描画体(基板)を保持し、貫通穴のガラスを通じてレーザビームを両面に照射して露光を行なう装置が記載されている。また、特許文献2には、上下の挟持部によって基板を挟持した状態で両面露光を行なうことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-122597号公報
【文献】特開2014-190987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ダイレクト露光装置は、露光するパターンが高解像度になるにつれ、露光光学系の焦点深度が浅くなる傾向にある。そのため、数μm以内の露光領域の高低差(平面度)が求められる。特許文献1に記載のものは、中空方形の枠状である保持枠によって基板を保持しているので、基板表面からだけではなく基板裏面からも露光することが可能である。しかしながら、中空方形の枠では基板の露光領域の平面度を保つことができず、特に基板中央部の垂れ下がりに関しては全く対処することができない問題があった。
【0007】
特許文献2は、光透過性の部材で形成されるとともに平坦面を有する透過部を備えた第1の挟持部と第2の挟持部によって基板を挟持することで、基板の垂れ下がりを防止しつつ基板裏面側からの露光が可能なようにされている。しかしながら、配管等により光が遮られるため光透過性の部材に基板吸着機構を設けることができないので、基板を吸着保持することができない。そのため、挟持するだけでは基板の反り、うねりは完全には解消できず、平面度を保つことができない。また、光透過性の部材の局所的な微小厚み誤差によって、露光光学系の焦点面に収差が生じる。以上のように、従来技術では高解像度化するダイレクト露光装置の焦点深度に対応できず、製品化が困難であった。
【0008】
したがって、本発明は、露光領域の平面度を良好に保ち、焦点深度が浅い露光光学系であっても解像度の高いパターン露光が可能な基板両面を同時露光するダイレクト露光装置および基板の露光方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、基板を間に対向して配置された一対の露光ユニットと、
基板を間に対向して配置された一対の吸着部とを備え
吸着部は、基板の露光領域の反対面をそれぞれ吸着保持する複数の露光領域保持部と、該露光領域保持部に隣接し、露光光が通過する複数の帯状の開口部とをそれぞれ有するダイレクト露光装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の少なくとも一の実施形態によれば、基板の露光している一面と反対面が吸着部によって吸着、保持されているので、基板の平面度を良好に保って基板両面を同時に露光することができる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本発明中に記載されたいずれの効果であってもよい。また、例示された効果により本発明の内容が限定して解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態のブロック図である。
図2図2A図2B及び図2Cは、本発明の一実施形態の露光ユニットに含まれる露光ヘッドの略線図、第1吸着部から下方を見た平面図、並びに図2BのA-A線断面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に露光位置切替動作を説明するための断面図である。
図4図4は、本発明の一実施形態の吸着位置切替動作の第1ステップを説明するための断面図である。
図5図5は、本発明の一実施形態の吸着位置切替動作の第2ステップを説明するための断面図である。
図6図6は、本発明の一実施形態の吸着位置切替動作の第3ステップを説明するための断面図である。
図7図7は、本発明の一実施形態の吸着位置切替動作の第4ステップを説明するための断面図である。
図8図8A及び図8Bは、本発明の一実施形態により露光された基板の第1面及び第2面を示す平面図である。
図9図9は、本発明の変形例を説明するための略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態等について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態等は本発明の好適な具体例であり、本発明の内容がこれらの実施形態等に限定されるものではない。
【0013】
図1を参照して本発明の一実施形態の全体の構成について説明する。ダイレクト露光装置には、基板Wの第1面及び第1面と反対面である第2面をそれぞれ露光するために、第1の露光ユニットEU1及び第2の露光ユニットEU2が設けられている。露光ユニットEU1及びEU2は、基板Wを間に対向して配置されている。
【0014】
露光ユニットEU1は、光源1(例えば、LED(light emitting diode)、レーザーダイオード、超高圧水銀灯、キセノンランプ、フラッシュランプ等)と、光源1から出射された光を調整する照明光学系(不図示)と、照明光学系からの照明光を変調してパターン光とするDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)2と、パターン光を基板Wに投影する投影光学系3と、投影光学系3の焦点位置を調整する焦点調整部(クサビプリズム等)4を備える。露光ユニットEU2は、EU1と同様に、光源11、DMD12、投影光学系13と、焦点調整部14を備える。
【0015】
本実施形態のダイレクト露光装置には、基板Wをハンドリングするための露光ステージSTが設けられている。露光ステージSTには、基板Wの第1面を吸着する第1吸着部5と、基板Wの第2面を吸着する第2吸着部15が設けられている。吸着は、真空吸着、静電吸着等によって基板Wを吸着/離間(吸着解除)する。第1吸着部5及び第2吸着部15は、後述するように、1又は複数の帯状の開口部と、開口部に隣接し、平坦な吸着面を有する露光領域保持部を有する。
【0016】
光源1,11に対して光源駆動部6,16からの電力が供給される。DMD2,12に対して画面生成部7,17からの制御信号が供給され、制御信号に応じた所定のパターンをDMD2,12が表示する。
【0017】
ダイレクト露光装置には、基板Wを移動させるために、基板移動部8が設けられている。基板移動部8は、不図示のリニアアクチュエーターによって構成され、露光ステージSTを主走査方向(+/-X)に移動させる。
【0018】
露光位置切替部9は、不図示のリニアアクチュエーターによって構成され、第1吸着部5及び第2吸着部15をそれぞれ独立して副走査方向(+/-Y)に移動させる。また、第1吸着部5及び第2吸着部15をそれぞれ独立して基板Wに対して接近/離間方向(+/-Z)に移動させる。
【0019】
ダイレクト露光装置には、露光装置全体を制御するためのコントローラ20が設けられている。コントローラ20と関連してメモリ21が設けられている。コントローラ20は、メモリ21から呼び出したレシピデータや、露光パターンデータ等にしたがって、光源駆動部6,16、画像生成部7,17、基板移動部8、露光位置切替部9を制御する。また、露光装置の外部からCAD(computer aided design)/CAM(computer aided manufacturing)データやレシピデータ等を受信してメモリ21に保存する。
【0020】
図2A図2B及び図2Cは、本発明の一実施形態の露光ユニットEU1、EU2に含まれる露光ヘッドの略線図、第1吸着部5から下方を見た平面図、並びに図2BのA-A線断面図である。基板Wの第1面(例えば上面)を露光するために、露光ユニットEU1には、例えば3個の露光ヘッドH1,H2,H3が含まれており、基板Wの第2面(例えば下面)を露光するために、露光ユニットEU2には、4個の露光ヘッドH11,H12,H13,H14が含まれている。各露光ヘッドには、DMD2,12が設けられている。図2Aにおいて、グレーで塗られた領域が露光ヘッドH1,H2,H3の露光範囲EA1,EA2,EA3を示している。露光ヘッドの露光範囲EA1,EA2,EA3は、Y方向に所定の間隔をあけて配列されている。なお、露光範囲は必ずしも直線上に配列されなくてよく、例えばX方向にオフセットした千鳥配列が可能である。なお、図示しないが露光ヘッドH11,H12,H13,H14においても同様の露光領域が存在している。露光ヘッドの個数は、一例であって、各露光ユニットに含まれる露光ヘッドが共に3個であってもよく、3個以外の個数であってもよい。
【0021】
図2Bにおいて基板Wの第1面を吸着する第1吸着部5は、全体として金属の矩形板に走査方向に延びる帯状の3個の開口部31a,31b,31c(これらを区別する必要がない場合は単に開口部31と称する)が平行して形成されたもので、露光ヘッドH1,H2,H3からの露光光が開口部31を通じて基板Wの第1面を露光する。図2Cにおいて、L1,L2,L3が各露光ヘッドから出射された露光光を表している。
【0022】
第1吸着部5は、基板Wと対向する面で、開口部31が形成されていない領域に平行して角柱状の4本の露光領域保持部を有し、露光領域保持部の基板に接する部分に形成された帯状吸着領域(斜線領域で示す)によって基板Wが吸着/離間自在とされている。帯状吸着領域は微細な多数の通気孔(例えばポーラス体)によって形成され、面精度を保ちながら基板Wを吸着する機能を備える。なお、帯状吸着領域のみで基板Wを吸着することを意味するものではなく、第1吸着部5の他の部分においても帯状吸着領域と協働して基板Wを吸着してもよい。
【0023】
図2Cに示すように、基板Wの第2面を吸着する第2吸着部15も第1吸着部5と同様の形状とされている。すなわち、矩形の金属板に走査方向に延びる帯状の3個の開口部が形成されている。露光ヘッドH11,H12,H13,H14からの露光光がこの開口部を通じて基板Wの第2面を露光する。図2Cにおいて、L11,L12,L13,L14が各露光ヘッドから出射された露光光を表している。また、基板Wと対向する面で、開口部が形成されていない領域に平行して角柱状の4本の露光領域保持部が設けられ、露光領域保持部によって基板Wが吸着/離間自在とされている。
【0024】
第1吸着部5及び第2吸着部15のそれぞれの開口部の開口幅は、露光ヘッドの露光範囲の幅と等しいか、又はそれよりやや大とされている。また、第1吸着部5及び第2吸着部15のそれぞれの露光領域保持部の幅は、露光ヘッドのピッチによって規定されるが、露光領域の幅にほぼ等しいように設定される。
【0025】
図2Cに示すように、第1吸着部5及び第2吸着部15によって基板Wが吸着された状態で開口部31に対応する第1面の露光領域が露光ヘッドH1~H3の露光光L1~L3により露光されると共に、第2吸着部の開口部に対応する第2面の露光領域が露光ヘッドH11~H13の露光光L11~L13により露光される。なお、露光ヘッドH14は基板Wの露光予定範囲外にあるため、図2Cでは露光光を投影していない。露光ヘッドH1~H3の露光領域と、露光ヘッドH11~H14の露光領域が副走査方向(Y)においてオフセットして配置される。換言すれば、主走査方向(X)から見たとき、露光ヘッドH1~H3の露光領域と、露光ヘッドH11~H14の露光領域が、副走査方向(Y)において互い違いに位置するように配列される。露光時に基板Wが第1吸着部5の複数の露光領域保持部と、第2吸着部15の複数の露光領域保持部によって挟持されているので、基板Wの平面度を良好に保つことができる。
【0026】
本発明の一実施形態では、露光ユニットが固定され、第1移動部としての基板移動部8によって露光ステージST(基板W)を主走査方向(X)に移動させているが、基板Wを固定し、露光ユニットを移動させるようにしてもよい。本発明では、基板Wと露光領域を副走査方向(+/-Y)に相対移動させる第2移動部が設けられる。また、本発明では一対の吸着部(露光ステージST)の基板吸着位置を副走査方向(+/-Y)に移動させる第3移動部が設けられている。第2移動部と第3移動部を同じ機構によって兼ねるようにしてもよく、一実施形態では、第1吸着部5及び第2吸着部15は、露光位置切替部9によって独立して副走査方向(+/-Y)に移動される。なお、第2移動部を露光ユニット側に設け、露光ユニットを基板に対して移動させるようにしてもよい。
【0027】
以下、本発明の一実施形態の露光動作について順次説明する。ダイレクト露光装置は周知の方法にて基板にパターンを露光する。一実施形態では、露光ユニットと基板とを主走査方向(X)に相対移動させながら、画面生成部が相対移動量に応じて露光ユニットの光変調素子アレイ(DMD)を変調することにより、露光領域に応じた幅で主走査方向に伸長する帯状の範囲に対して多重露光方式によりパターンをダイレクト露光する。本発明では、露光を複数回行うことによって、基板Wの全面を露光している。この露光方法をマルチパス露光と呼ぶ。一実施形態では、2回の露光によって基板全面を露光している。この方式を2パス露光という。但し、2パス露光は、一例であって、3パス露光又はそれ以上のパスにより基板全面を露光してもよい。この場合、2パス露光の場合と比べ露光ヘッドの個数を少なくできる。
【0028】
図2Cに示すように、露光(第1回目の露光)が完了すると、露光位置切替動作がなされる。すなわち、吸着状態を保持したまま第1吸着部5及び第2吸着部15(すなわち露光ステージST全体)が+Y方向に1ピッチ移動して図3に示す状態とされる。例えば、第1吸着部5及び第2吸着部15のそれぞれの露光領域保持部の幅と、露光領域の幅(開口部の幅)とが等しいように設定され、等しく設定された幅が1ピッチとされている。
【0029】
次に、吸着位置切替動作の第1ステップがなされる。この第1ステップでは、第1吸着部5が、吸着を解除し、+Z方向(上方向)に移動し、-Y方向に1ピッチ移動する。その結果の状態が図4に示される。
【0030】
次に、吸着位置切替動作の第2ステップがなされる。この第2ステップでは、第1吸着部5が、-Z方向(下方向)に移動し、基板Wに接触し、基板Wを吸着する。その結果の状態が図5に示される。
【0031】
次に、吸着位置切替動作の第3ステップがなされる。この第3ステップでは、第2吸着部15が、吸着を解除し、-Z方向(下方向)に移動し、+Y方向に1ピッチ移動する。その結果の状態が図6に示される。
【0032】
次に、吸着位置切替動作の第4ステップがなされる。この第4ステップでは、第2吸着部15が、+Z方向(上方向)に移動し、基板Wに接触し、基板Wを吸着する。そして、図7に示すように、露光ヘッドH1、H2、H3からの露光光L1、L2、L3によって第1面の残りの領域が露光され、露光ヘッドH12、H13、H14からの露光光L12、L13、L14によって第2面の残りの領域が露光される。なお、露光ヘッドH11は基板Wの露光予定範囲外にあるため、図7では露光光を投影していない。
【0033】
以上の処理の結果、基板Wの第1面(上面)は、図8Aに示すように、露光がなされ、基板Wの第2面(下面)は、図8Bに示すように、露光がなされる。図8A及び図8Bにおいて、Iを付した領域は、第1回目の露光により露光された領域であり、IIを付した領域は、第2回目の露光により露光された領域である。
【0034】
本発明によれば、露光領域の反対面を吸着する一対の吸着部を備えることによって露光領域の平面度を良好に保つことが可能で、焦点深度が浅い露光光学系であっても解像度の高いパターン露光が可能な基板両面を同時露光するダイレクト露光装置を提供できる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば露光位置を切り替えるために、露光ユニット(露光ヘッド)を移動させるようにしてもよい。
【0036】
図9は、本発明の変形例である。基板吸着部51及び52は、移動機構を持たず、露光ユニットEU1、EU2に対して(またはベース部に対して)固定され、基板搬送手段53によって基板Wが走査方向に移動しながら露光する。このとき、基板吸着部51及び52は基板Wを吸着するとともに、部分的に少量のエアブローを行うようにして、基板Wを吸着しながら滑らすようにする。このような構成の両面同時ダイレクト露光装置にあっても、各露光ユニットの露光領域において基板の反対面を基板吸着部が吸着することで、露光領域の平面度を良好に保つことが可能である。
【0037】
また、本発明は、パネル状基板に限らず、長尺基板(フィルム状基板)に対しても適用することができる。さらに、吸着部を間欠的に入り切りしながらステップ移動させて露光してもよい。あるいは、吸着部が吸着すると同時に圧気を噴射することで、基板の摩擦を減少させて走査露光することも可能である。
【0038】
例えば、上述の実施形態において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値などを用いてもよい。
【0039】
また、上述の実施形態の構成、方法、工程、形状、材料および数値などは、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。また、本発明は、装置、システム等に限らず、任意の形態により実現することができる。
【符号の説明】
【0040】
EU1,EU2・・・露光ユニット、H1~H3、H11~H14・・・露光ヘッド、
W・・・基板、5・・・第1吸着部、15・・・第2吸着部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9