(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】画像生成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/393 20060101AFI20231113BHJP
H04N 1/387 20060101ALI20231113BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20231113BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
H04N1/393
H04N1/387 110
G09G5/00 520V
G09G5/36
(21)【出願番号】P 2020044189
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】岡田 広樹
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-246248(JP,A)
【文献】特開2003-338991(JP,A)
【文献】特開2009-159460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/38 - 1/393
G09G 5/00 - 5/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部に表示する表示画像を生成する画像生成装置であって、
外部から入力される入力画像の解像度を前記表示部の解像度に合わせて変換可能なスケーリング部と、
前記スケーリング部により解像度が変換された変換画像を処理し、前記表示画像を生成する画像処理部と、
前記入力画像に重畳させる重畳画像を保持する重畳画像保持部と、
前記重畳画像を、前記スケーリング部に入力される前記入力画像、または、前記スケーリング部から出力される前記変換画像に重畳させる重畳処理部と
を有
し、
前記重畳処理部は、
前記入力画像に重畳画像を重畳する第1重畳部と、
前記変換画像に重畳画像を重畳する第2重畳部と、
前記重畳画像保持部が保持する前記重畳画像を前記第1重畳部または前記第2重畳部に排他的に出力する第1出力制御部と、
前記入力画像を前記第1重畳部または前記第2重畳部に排他的に出力する第2出力制御部と
を有することを特徴とする画像生成装置。
【請求項2】
前記第1重畳部を介して前記入力画像を前記スケーリング部に供給し、前記第2重畳部により前記変換画像に前記重畳画像を重畳して前記画像処理部に供給する第1動作モードと、
前記第1重畳部により前記入力画像に前記重畳画像を重畳して前記スケーリング部に供給し、前記第2重畳部を介して前記変換画像を前記画像処理部に供給する第2動作モードと、
前記第1重畳部を介して前記重畳画像を前記スケーリング部に供給し、前記第2重畳部により前記入力画像に前記スケーリング部で変換された重畳画像を重畳して前記画像処理部に供給する第3動作モードと
を有することを特徴とする
請求項1に記載の画像生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置に表示する映像等の画像に、テロップ、字幕または表示装置の設定メニューなどのテキストを画像に重畳して表示するOSD(On Screen Display)機能が知られている。例えば、複数のIC(Integrated Circuit)を制御するマイクロコンピュータは、各ICの名称、状態、制御データ等のうち任意の情報を、OSD機能を使用して表示装置に表示する(例えば、特許文献1参照)。また、撮像装置は、複数の表示パターンから選択した表示パターンをOSD機能により表示装置に表示するとともに、操作手段で受け付けた操作と、操作の受け付け時にOSD機能により表示している情報とを対応付けて記憶する(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-274424号公報
【文献】特開2010-50690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、OSD機能を有する表示装置は、複数の大きさのテキストを含むフォントデータのいずれかを選択し、選択したフォントデータを使用してテキストを画像に重畳させる。しかしながら、フォントデータの画素数は、メモリ容量を節約するために最小限に設定されるため、OSD機能により画面に表示されるテキストは、サイズ(画素数)が大きいほどジャギーが目立つ低品位なものとなる。
【0005】
上記の課題に鑑み、本発明は、画像に重畳される重畳画像の品位を、コストの増加を抑えて向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの観点によれば、画像生成装置は、表示部に表示する表示画像を生成する画像生成装置であって、外部から入力される入力画像の解像度を前記表示部の解像度に合わせて変換可能なスケーリング部と、前記スケーリング部により解像度が変換された変換画像を処理し、前記表示画像を生成する画像処理部と、前記入力画像に重畳させる重畳画像を保持する重畳画像保持部と、前記重畳画像を、前記スケーリング部に入力される前記入力画像、または、前記スケーリング部から出力される前記変換画像に重畳させる重畳処理部とを有し、前記重畳処理部は、前記入力画像に重畳画像を重畳する第1重畳部と、前記変換画像に重畳画像を重畳する第2重畳部と、前記重畳画像保持部が保持する前記重畳画像を前記第1重畳部または前記第2重畳部に排他的に出力する第1出力制御部と、前記入力画像を前記第1重畳部または前記第2重畳部に排他的に出力する第2出力制御部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
画像に重畳される重畳画像の品位を、コストの増加を抑えて向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態における画像生成部を有する表示装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図1のスケーラーの一例を示すブロック図である。
【
図3】
図1の画像生成部の動作の一例を示す説明図である。
【
図4】他の表示装置に搭載される画像生成部の一例(比較例)を示すブロック図である。
【
図5】他の表示装置に搭載される画像生成部の別の例(比較例)を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施の形態の説明を行う。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
図1は、一実施形態における画像生成部を有する表示装置の一例を示すブロック図である。
図1に示す表示装置100は、画像生成部200、液晶ディスプレイ300、CPU(Central Processing Unit)400、タッチIC500およびタッチパネル600を有する。画像生成部200は、画像生成装置の一例であり、液晶ディスプレイ300は、表示画像を生成する表示部の一例である。例えば、表示装置100は、カーナビゲーション装置に搭載される。なお、表示装置100は、液晶ディスプレイ300の代わりに、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の他のディスプレイを有してもよい。
【0011】
画像生成部200は、入力部21、OSD部22、重畳部23、スケーラー24、重畳部25、画像処理部26、出力部27およびマスク部MASK(MASK1、MASK2、MASK3、MASK4)を有する。例えば、画像生成部200は、ICチップに搭載される。
【0012】
OSD部22は、重畳画像保持部の一例であり、スケーラー24は、スケーリング部の一例である。重畳部23、25およびマスク部MASK1~MASK4は、重畳処理部の一例である。また、重畳部23は、第1重畳部の一例であり、重畳部25は、第2重畳部の一例である。マスク部MASK2、MASK4は、OSD部22が保持する重畳画像を重畳部23、25のいずれかに排他的に出力する第1出力制御部の一例である。マスク部MASK1、MASK3は、入力画像を重畳部23、25のいずれかに排他的に出力する第2出力制御部の一例である。以下では、画像生成部200内で伝送される画像データおよび画像生成部200内で生成される画像データを、単に画像とも称する。例えば、入力画像データを入力画像とも称する。
【0013】
画像生成部200は、カーナビゲーション装置の本体部等から受信する入力画像を液晶ディスプレイ300に表示するために、CPU400の制御に基づいて、画像サイズおよび画像の品位等を調整し、液晶ディスプレイ300に出力する。画像生成部200は、画像中にテキストを埋め込むOSD(On Screen Display)機能を有する。
【0014】
入力部21は、入力画像を外部から受信する受信部であり、受信した入力画像を、マスク部MASK1、MASK3によるマスク動作に応じて、重畳部23、25のいずれかに出力する。例えば、入力部21は、液晶ディスプレイ300に表示させる1画面毎の画像データ(フレームデータ)を入力画像として受信する。
【0015】
OSD部22は、液晶ディスプレイ300上に表示される画像に重畳させるテキストデータ等を、マスク部MASK2、MASK4によるマスク動作に応じて、重畳部23、25のいずれかに出力する。例えば、OSD部22は、所定の大きさ(画素数)のテキストデータ群(フォントデータ)等を保持するフォントメモリを有する。以下では、OSD部22が生成するテキストデータ等を重畳画像データ(重畳画像)と称する。
【0016】
各マスク部MASKは、CPU400からマスク状態の設定を指示された場合、入力画像または重畳画像の出力を禁止する。各マスク部MASKは、CPU400からマスク状態の解除を指示された場合、入力画像または重畳画像を出力する。
【0017】
以下では、入力画像または重畳画像の出力を禁止する状態(マスク状態の設定)をON状態とも称し、入力画像または重畳画像を出力する状態(マスク状態の解除)をOFF状態とも称する。マスク部MASK1~MASK4のオン状態/オフ状態は、画像生成部200の動作モードに応じて設定される。画像生成部200の動作モードは、
図3で説明する。
【0018】
例えば、OSD部22は、重畳画像をCPU400から指示される所定の倍率に拡大し、拡大した重畳画像を出力する。OSD部22で設定可能な倍率は、1倍、2倍、4倍等の固定の倍率である。重畳画像は、ビットマップデータあるため、重畳画像を拡大する際にジャギーが発生する。
【0019】
重畳部23は、マスク部MASK1を介して受信する入力画像とマスク部MASK2を介して受信する重畳画像とを重畳し、重畳した画像をスケーラー24に出力する。以下では、重畳部23から出力される重畳画像を重畳させた画像データ(画像)を画像データ(画像)とも称する。重畳部23は、マスク部MASK1、MASK2の両方がOFF状態に設定されている場合、入力画像に重畳画像を重畳した画像をスケーラー24に出力する。
【0020】
重畳部23は、マスク部MASK1がOFF状態に設定され、マスク部MASK2がON状態に設定されている場合、入力画像のみをスケーラー24に出力する。重畳部23は、マスク部MASK1がON状態に設定され、マスク部MASK2がOFF状態に設定されている場合、重畳画像のみをスケーラー24に出力する。重畳部23は、マスク部MASK1、MASK2の両方がON状態に設定されている場合、スケーラー24への画像の出力を停止する。
【0021】
スケーラー24は、入力画像の解像度を液晶ディスプレイ300の解像度に合わせるために、CPU400からの制御に基づいて、入力画像の解像度を変換(拡大または縮小)して変換画像データ(変換画像)を生成する機能を有する。なお、スケーラー24は、マスク部MASK1、MASK2の少なくともいずれかがOFF状態に設定されている期間に、入力部21からの入力画像の解像度を変換可能である。
【0022】
例えば、スケーラー24は、画像の解像度を他の解像度に変更する場合、着目画素のデータを、着目画素の周辺の画素データを使用して補間するアンチエイリアス処理を実施する。アンチエイリアス処理により、例えば、スケーラー24により拡大された画像を、ジャギーのない滑らかな画像にすることができる。
【0023】
重畳部25は、スケーラー24からの変換画像、マスク部MASK3を介して受信する入力画像およびマスク部MASK4を介して受信する重畳画像の少なくともいずれかを重畳し、重畳した画像を画像処理部26に出力する。重畳部25は、マスク部MASK3、MASK4の両方がOFF状態に設定されている場合、入力部21からの入力画像にOSD部22からの重畳画像を重畳した画像を画像処理部26に出力する。なお、重畳部25は、スケーラー24から画像が出力される場合、スケーラー24からの画像を重畳してもよい。
【0024】
重畳部25は、マスク部MASK3がOFF状態に設定され、マスク部MASK4がON状態に設定されている場合、入力部21からの入力画像とスケーラー24からの変換画像を重畳した画像を画像処理部26に出力する。重畳部25は、マスク部MASK3がON状態に設定され、マスク部MASK4がOFF状態に設定されている場合、OSD部22からの重畳画像とスケーラー24からの変換画像を重畳した画像を画像処理部26に出力する。重畳部25は、マスク部MASK3、MASK4の両方がON状態に設定されている場合、スケーラー24からの変換画像を画像処理部26に出力する。
【0025】
画像処理部26は、CPU400からの制御に基づいて、重畳部25から受信する画像のコントラスト、輝度および色度等の少なくともいずれかを調整し、または、画像のガンマ補正等を実施する。例えば、液晶ディスプレイ300に表示される画像は、図示しないバックライト(LEDまたは蛍光管)により色度がずれる場合がある。画像処理部26により色度を調整することで、バックライトによる色度のずれを補正することができる。
【0026】
画像処理部26は、画像処理を実施した画像データ(表示画像)を出力部27に出力する。出力部27は、画像処理部26から受信する表示画像を、液晶ディスプレイ300に出力する。そして、画像生成部200で生成された表示画像(映像)が液晶ディスプレイ300に表示される。
【0027】
CPU400は、画像生成部200、液晶ディスプレイ300、タッチIC500の動作を制御する。なお、CPU400は、表示装置100が搭載されるカーナビゲーション装置の動作を制御してもよい。
【0028】
タッチIC500は、出力信号Txをタッチパネル600に出力し、出力信号Txに応答してタッチパネル600から受信する入力信号Rxに応じて、タッチパネル600においてタッチ操作された位置を検出する。タッチパネル600は、液晶ディスプレイ300の画面に対向して配置される。
【0029】
図2は、
図1のスケーラー24の一例を示すブロック図である。スケーラー24は、水平補間係数を保持する係数保持部241、水平拡縮部242、ラインバッファ243、垂直補間係数を保持する係数保持部244および垂直拡縮部245を有する。
【0030】
水平拡縮部242は、
図1の重畳部23から受信する画像データのうちの数ライン分を、係数保持部241に保持された水平補間係数を用いて水平方向(横方向)に拡大または縮小し、ラインバッファ243に出力する。水平拡縮部242が一度に処理するライン数は、1~4ライン程度である。例えば、水平補間係数は、CPU400から係数保持部241に転送され、拡大率(2倍、3.5倍、0.4倍など)を示す。
【0031】
ラインバッファ243は、水平拡縮部242から転送される数ライン分の画像を保持する記憶容量を有する。ラインバッファ243は、保持した数ライン分の画像を垂直拡縮部245に出力する。垂直拡縮部245は、ラインバッファ243から受信する数ライン分の画像を、係数保持部244に保持された垂直補間係数を用いて垂直方向(縦方向)に拡大または縮小し、画像データ(変換画像)として
図1の重畳部25を介して画像処理部26に出力する。
【0032】
スケーラー24により、元の画像による画像は、水平補間係数に対応する拡大率で水平方向に拡縮された後、垂直補間係数に対応する拡大率で垂直方向に拡縮される。そして、画像生成部200に接続される液晶ディスプレイ300の画素数に合わせた画像が生成される。例えば、元の画像が横320画素、縦240画素で、水平補間係数および垂直補間係数がともに2.0の場合、スケーラー24は、横640画素、縦480画素の画像に対応する画像データを出力する。
【0033】
上述したように、スケーラー24による画像の拡縮は、着目画素と、着目画素の周辺の画素データを使用して補間するアンチエイリアス処理を行うため、例えば、拡大時の画像をジャギーのない滑らかな画像にすることができる。
【0034】
図3は、
図1の画像生成部200の動作の一例を示す説明図である。
図3では、マスク部MASK1~MASK4のオン状態ON/オフ状態OFFにより画像が伝送される経路を太い破線の矢印で示す。また、
図3では、3つの動作モードMD(MD1、MD2、MD3)について説明するが、動作モードMDは、
図3に示す例に限定されない。動作モードMD1は、第1動作モードの一例であり、動作モードMD2は、第2動作モードの一例であり、動作モードMD3は、第3動作モードの一例である。
【0035】
図3に示すように、マスク部MASK1~MASK4のオン状態ON/オフ状態OFFの切り替えにより、1つの画像生成部200で複数の動作モードMDを実現できる。このため、
図1の表示装置100を含む複数種の表示装置に共通の画像生成部200を設計することができ、画像生成部200のコストおよび表示装置のコストを低減することができる。すなわち、量産効果を得やすくすることができる。
【0036】
動作モードMD1では、入力部21からの入力画像は、スケーラー24に入力され、スケーラー24により任意の倍率に拡縮される。OSD部22からの重畳画像は、スケーラー24を通ることなく重畳部25に入力される。重畳部25に入力される重畳画像は、指定されたフォントの倍率(OSD倍率)で拡縮されている。
【0037】
そして、重畳部25は、スケーラー24により拡縮された変換画像(入力画像)と、OSD部22からの重畳画像とを重畳部25で重畳し、画像処理部26に出力する。画像処理部26は、重畳画像を含む画像の画像処理を実施し、画像処理を実施した表示画像を、出力部27を介して液晶ディスプレイ300に出力する。
【0038】
動作モードMD1では、重畳画像は、指定されたOSD倍率(2倍、4倍等)で拡大したビットマップフォントであるため、スケーラー24により拡縮する場合に比べて品位が低い。しかしながら、重畳画像は、画像処理部26により画像とともに画像処理が実施される。このため、入力部21からの画像の色度およびコントラスト等に合わせることができ、液晶ディスプレイ300に表示される画像に含まれる重畳画像の違和感を軽減することができる。
【0039】
動作モードMD2では、入力部21からの入力画像およびOSD部22からの重畳画像は、重畳部23で重畳された後、スケーラー24に入力される。スケーラー24は、重畳画像を含む画像を拡縮することで画像の解像度を変換し、変換した変換画像を画像処理部26に出力する。画像処理部26は、重畳画像を含んで拡縮された画像の画像処理を実施し、画像処理により生成した表示画像を、出力部27を介して液晶ディスプレイ300に出力する。
【0040】
例えば、動作モードMD2では、重畳画像もスケーラー24で拡縮されるため、重畳画像として大きさが1倍のフォントがOSD部22から出力される。例えば、スケーラー24により2倍に拡大された重畳画像は、OSD部22から出力される大きさが2倍のフォントに比べて品位が高い。
【0041】
動作モードMD3では、入力部21からの入力画像は、スケーラー24を通ることなく重畳部25に入力され、OSD部22からの重畳画像は、重畳部23を介してスケーラー24に入力される。すなわち、スケーラー24は、重畳画像のみを拡縮して重畳部25に出力する。そして、スケーラー24により拡縮された変換画像(重畳画像)と、入力部21からの入力画像とが、重畳部25で重畳され、画像処理部26で処理された後、出力部27から出力される。
【0042】
例えば、動作モードMD3は、入力部21に入力される入力画像の解像度の変換(拡縮)が不要な場合(すなわち、入力画像の解像度と、液晶ディスプレイ300の解像度とが等しい場合)に使用される。重畳画像をスケーラー24により拡縮することで、OSD部22は、大きさが1倍のフォントを出力すればよく、フォントを拡大する機能を持たなくてもよい。これにより、複数種の大きさのフォントを生成する場合に比べて、OSD部22の回路規模を小さくすることができる。さらに、スケーラー24は、重畳画像の拡大時にアンチエイリアス処理を実施するため、OSD部22でフォントを拡大する場合に比べて、スケーラー24で拡大された重畳画像(変換画像)の品位を向上することができる。
【0043】
以上、この実施形態では、マスク部MASK1~MASK4により、入力部21からの入力画像とOSD部22からの重畳画像のそれぞれを、スケーラー24の入力または画像処理部26の入力に選択的に供給することができる。これにより、1つの画像生成部200で複数の動作モードMDを実現でき、複数種の表示装置に共通の画像生成部200を設計することができる。この結果、画像生成部200のコストおよび表示装置のコストを低減することができ、量産効果を得やすくすることができる。
【0044】
OSD部22からの重畳画像をスケーラー24に供給可能にすることで、OSD部22からフォントの拡大機能を省略することができ、OSD部22の回路規模を小さくすることができる。この場合にも、スケーラー24により重畳画像を任意の大きさに変更することができるため、ジャギーのない高品位な重畳画像を生成することができる。
【0045】
また、重畳画像が画像処理部26を常に通るため、例えば、重畳画像の色度を入力部21からの入力画像の色度に合わせることができ、液晶ディスプレイ300に表示される画像に含まれる重畳画像の違和感を軽減することができる。
【0046】
図4は、他の表示装置に搭載される画像生成部の一例(比較例)を示すブロック図である。
図1および
図2で説明した要素と同様の要素については、詳細な説明は省略する。
【0047】
図4に示す画像生成部202は、
図1の画像生成部200からマスク部MASK1~MASK4および重畳部23、25を削除し、重畳部28を追加している。すなわち、画像生成部202では、入力部21、スケーラー24、画像処理部26、重畳部28および出力部27が直列に接続され、OSD部22からの重畳画像は、重畳部28を介して出力部27のみに出力される。
【0048】
スケーラー24は、入力部21が受信した入力画像のみを拡縮し、画像処理部26は、スケーラー24から出力される解像度が変換された変換画像(入力画像)のみの画像処理を実施する。重畳部28は、解像度が変換され、かつ、画像処理が実施された、入力部21からの入力画像にOSD部22からの重畳画像を重畳し、出力部27を介して液晶ディスプレイ300に出力する。
【0049】
図4に示す画像生成部202では、OSD部22からの重畳画像は、スケーラー24による解像度の変換が実施されない。このため、拡大された重畳画像は、OSD部22がビットマップフォントを拡大したものであり、ジャギーを有する。
【0050】
また、OSD部22からの重畳画像は、画像処理部26による画像処理が実施されないため、重畳画像の色度等を調整することができない。したがって、重畳画像の色度等を入力部21からの入力画像の色度等に合わせることができず、液晶ディスプレイ300に表示される画像に含まれる重畳画像の違和感を軽減することができない。
【0051】
図5は、他の表示装置に搭載される画像生成部の別の例(比較例)を示すブロック図である。
図1、
図2および
図4で説明した要素と同様の要素については、詳細な説明は省略する。
【0052】
図5に示す画像生成部204は、
図4の画像生成部202に、OSD部22と重畳部28との間に直列に接続された重畳画像専用のスケーラー24Sおよび画像処理部26Sを追加している。すなわち、入力部21、スケーラー24、画像処理部26、重畳部28および出力部27は、直列に接続され、OSD部22からの重畳画像は、スケーラー24Sおよび画像処理部26Sを介して重畳部28に出力される。例えば、スケーラー24Sの回路規模は、スケーラー24と同等であり、画像処理部26Sの回路規模は、画像処理部26と同等である。
【0053】
図5に示す画像生成部204では、重畳画像専用のスケーラー24Sおよび画像処理部26Sを有するため、入力部21からの入力画像の処理とは独立に、重畳画像の解像度を変更することができ、重畳画像の色度等を調整することができる。また、OSD部22は、大きさが1倍のフォントを出力すればよく、フォントを拡大する機能を持たなくてもよい。しかしながら、画像生成部204にスケーラー24Sおよび画像処理部26Sを搭載するため、画像生成部204の回路規模が増大し、コストが増大してしまう。
【0054】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0055】
21 入力部
22 OSD部
23 重畳部
24、24S スケーラー
25 重畳部
26、26S 画像処理部
27 出力部
28 重畳部
100 表示装置
200、202、204 画像生成部
241 係数保持部
242 水平拡縮部
243 ラインバッファ
244 係数保持部
245 垂直拡縮部
300 液晶ディスプレイ
400 CPU
500 タッチIC
600 タッチパネル
MASK マスク部
MASK(MASK1、MASK2、MASK3、MASK4) マスク部
MD(MD1、MD2、MD3) 動作モード
Rx 入力信号
Tx 出力信号