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特許7383374無線識別装置の位置決定機器の自動較正のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】無線識別装置の位置決定機器の自動較正のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/00 20060101AFI20231113BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20231113BHJP
   G06K 17/00 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
G06K7/00 095
G06K7/10 176
G06K7/10 184
G06K7/10 240
G06K7/10 288
G06K17/00 022
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018183499
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2019079507
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-09-24
(31)【優先権主張番号】15/720,105
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シャー, パヤル
(72)【発明者】
【氏名】シング, ナヴプリート
(72)【発明者】
【氏名】マキニス, マイケル ディー.
【審査官】北村 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-124321(JP,A)
【文献】特開2007-221304(JP,A)
【文献】特開2010-225127(JP,A)
【文献】国際公開第2006/030477(WO,A1)
【文献】米国特許第06566997(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0180223(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G06K 7/00 - 7/14
G06K 17/00
G06K 19/00 - 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線識別(無線ID)送受信機又は受信機(120、121、221)のシステムベースライン正常性試験を行って、前記複数の無線ID送受信機又は受信機の各々に付属する無線IDアンテナ(110、112、111、113)に隣接するエリア内での無線IDタグ(160-165)の交差受信を防止するための方法であって、
試験無線IDタグ(160-165)を、前記無線IDアンテナ(110、112、111、113)の各々に関連付けられる無線信号受信エリア(170、171)の内部に配置するステップ、
前記試験無線IDタグを用いてシステムベースライン正常性試験を実施するステップ、
各無線ID送受信機又は受信機(120、121、221)のコンフィギュレーションパラメータを、その無線ID送受信機又は受信機に付属する前記無線IDアンテナの前記無線信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータのみがその無線ID送受信機又は受信機によって受信され、その試験無線IDタグに関して受信された前記データが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合するまで調節するステップ、及び
各無線ID送受信機又は受信機を、その無線ID送受信機又は受信機に付属する前記無線IDアンテナの前記無線信号受信エリア内部の前記試験無線IDタグからのデータのみがその無線ID送受信機又は受信機によって受信され、その試験無線IDタグに関して受信された前記データが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合するようになる前記コンフィギュレーションパラメータを用いて試験するステップ
を含む方法。
【請求項2】
各無線ID送受信機又は受信機について調節された前記コンフィギュレーションパラメータが、システム信号送信機のパワー、システム信号送信機変調選択、システムパケット送信数、無線IDタグパケット送信数、システム受信機感度閾値設定、無線IDタグ受信信号強度指標値、受信無線IDタグパケットフィルタ設定、無線ID送信期間率設定、グローバル低レベルリーダプロトコル制御パラメータ設定、及びアンテナポート選択のうちの一又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各無線ID送受信機又は受信機について調節された前記コンフィギュレーションパラメータが、試験無線IDタグパラメータ設定を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の無線ID送受信機又は受信機の各々の前記コンフィギュレーションパラメータを中央データベース(150、250)に記憶するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
複数の無線ID送受信機又は受信機(120、121)を試験して前記複数の無線ID送受信機又は受信機の各々に付属する無線IDアンテナ(110、112、111、113)に隣接するエリア内での無線IDタグ(160-165)の交差受信を防止するためのシステムであって、
各々が付属の無線IDアンテナ(110、112、111、113)を有する複数の無線ID送受信機又は受信機(120、121)であって、前記無線IDアンテナがそれに関連付けられる無線信号受信エリア(170、171)内部を通過する試験無線IDタグ(160-165)からのデータを受信する、前記複数の無線ID送受信機又は受信機(120、121)と、
前記複数の無線ID送受信機又は受信機の各々の動作を制御するために前記複数の無線ID送受信機又は受信機の各々に連結されたコントローラ(140)と
を備え、前記コントローラは、前記試験無線IDタグを用いてシステムベースライン正常性試験を実施し、各無線ID送受信機又は受信機のコンフィギュレーションパラメータを、前記付属の無線IDアンテナに関連付けられる前記無線信号受信エリア内部の前記試験無線IDタグからのデータがその無線ID送受信機又は受信機によって受信され、その試験無線IDタグに関して受信された前記データが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合し、複数の前記無線IDアンテナのうちの他の無線IDアンテナの各々の前記無線信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータがその無線ID送受信機又は受信機によって何も受信されなくなるまで調節し、且つ、各無線ID送受信機又は受信機を、その無線IDアンテナの前記無線信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータがその無線ID送受信機又は受信機によって受信され、その試験無線IDタグに関して受信された前記データが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合し、前記複数の無線IDアンテナのうちの他の無線IDアンテナの各々の前記無線信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータがその無線ID送受信機又は受信機によって何も受信されなくなる前記コンフィギュレーションパラメータを用いて試験する、システム。
【請求項6】
各無線ID送受信機又は受信機について調節された前記コンフィギュレーションパラメータが、システム信号送信機のパワー、システム信号送信機変調選択、システムパケット送信数、無線IDタグパケット送信数、システム受信機感度閾値設定、無線IDタグ受信信号強度指標値、受信無線IDタグパケットフィルタ設定、無線ID送信期間率設定、グローバル低レベルリーダプロトコル制御パラメータ設定、及びアンテナポート選択のうちの一又は複数を含む、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
各無線ID送受信機又は受信機について調節された前記コンフィギュレーションパラメータが、試験無線IDタグパラメータ設定を含む、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラを前記複数の無線ID送受信機又は受信機の各々に連結するためのネットワーク(130)をさらに備える、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
使用中のすべての試験無線IDタグの位置の追跡に使用するためのミドルウエア及びシステムベースライン正常性試験及び較正プロセス分析プログラム(141)をさらに備える、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
使用中のすべての試験無線IDタグの前記位置の情報を記憶するための、前記ミドルウエア及びシステムベースライン正常性試験及び較正プロセス分析プログラムに連結されたデータベース(150)をさらに備える、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記ミドルウエア及びシステムベースライン正常性試験及び較正プロセス分析プログラムを前記複数の無線ID送受信機又は受信機の各々に連結するためのネットワーク(130)をさらに備える、請求項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、能動的及び受動的無線識別(ID)装置(又は単純に無線ID)両方の、位置決定機器の自動較正及びコンフィギュレーション管理のためのシステムと方法に関する。特に、本発明は、受動的無線及び能動的無線ID信号装置又はタグを追跡する無線ID位置決定システム機器の、システム正常性ステータスの判定、パフォーマンス較正、及びコンフィギュレーションパラメータの設定の自動化に関する。能動的及び受動的無線信号識別(ID)位置決定システムの技術は、倉庫、工場、製造及びアセンブリエリアにおける部品、アセンブリ、及び輸送機関の在庫管理及び位置決定を含む、追跡及び識別のために広く使用されている。このようなエリアのいくつかは、サブアセンブリ、キット、カート、ビークルなどのアセットを追跡して位置を確認するために設置された大量の無線ID位置決定システムのインフラ設備を含みうる。いくつかの無線ID位置決定システムは、外部から動力供給され且つ位置確認システムインテロゲータから送信される無線信号により励起される受動的無線IDタグを使用し、他の能動的無線ID位置決定システムは、そのような信号を送信されるのではなく、超音波、可視光、赤外線、磁気、又は電波といった外部無線信号によりそれらのIDを送信するように励起されうる自己動力供給式能動的無線IDタグをサポートしている。両方の種類の無線IDタグは、信号送信、励起、又は自己動力供給されると識別データを提供する無線信号を送信する。無線ID位置決定システムは、超音波、可視光、赤外線、及び電波を含む超音波及び電磁スペクトルといった周波数スペクトルの多くの領域で動作することができる。位置決定システム機器は無線IDタグ識別データを受信することができ、この識別データは次いで、サポートミドルウエアと付属のコントローラとによって処理される。このミドルウエアと付属のコントローラは、位置確認システム機器と通信し、データの捕捉元である機器の位置情報データを含む受信(捕捉)無線IDタグ情報を、アセットID情報データと相関させるアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を提供することができる。このミドルウエアは、アセットの位置ステータスに関するシステムユーザへのアラート又はイベント通知といったビジネスロジックを適用することもできる。このような大規模な設備のいくつかに、これら位置確認機器システムの複数を、隣接エリア内のアセットの位置を確認するために設置することができる。このような状況では、第2のエリア内のアセットに関連付けられた無線IDタグが自己動力供給し、第1のエリア内の位置確認システム機器に無線信号を送信する又は同システム機器からの信号送信若しくはエキサイタ無線信号に応答しうる(又はその逆)同じ種類の位置確認システム間において、「交差受信(cross-reception)」が生じうる。これにより、例えばアセットの不正確な位置識別が起こりうる。
【0002】
したがって、交差受信に関連する問題を克服するシステム及び方法が必要である。
【発明の概要】
【0003】
第1の態様では、システムベースライン正常性試験を行い、複数の無線識別(無線ID)送受信機又は受信機を較正して、それら複数の無線ID送受信機又は受信機の各々に付属する無線IDアンテナに隣接するエリア内での無線IDタグの交差受信を防止するための方法が開示される。まず、試験無線IDタグを、無線IDアンテナの各々に関連付けられる無線信号受信エリア内に配置する。次に、コンフィギュレーションパラメータを、各無線ID送受信機又は受信機について、各無線ID送受信機又は受信機に付属する無線IDアンテナの無線信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータのみがその無線ID送受信機又は受信機によって受信され、その試験無線IDタグに関して受信されたデータが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合するまで調節する。最後に、各無線ID送受信機又は受信機を、その無線ID送受信機又は受信機に付属する無線IDアンテナの無線信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータのみがその無線ID送受信機又は受信機によって受信され、その試験無線IDタグに関して受信されたデータが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合するようになるコンフィギュレーションパラメータを用いて較正する。
【0004】
さらなる一実施例では、システムベースライン正常性試験は、各無線ID送受信機又は受信機を較正するステップに先立ち、試験無線IDタグを用いて実施される。好適には、各無線ID送受信機又は受信機について調節されたコンフィギュレーションパラメータは、システム信号送信機のパワー、システム信号送信機変調選択、システムパケット送信数、無線IDタグパケット送信数、システム受信機感度閾値設定、無線IDタグ受信信号強度指標値、受信無線IDタグパケットフィルタ設定、無線ID送信期間率設定、グローバル低レベルリーダプロトコル制御パラメータ設定、及びアンテナポート選択のうちの一又は複数を含みうる。また、各無線ID送受信機又は受信機について調節されたコンフィギュレーションパラメータは、無線IDタグパラメータ設定を含みうる。さらには、複数の無線ID送受信機又は受信機の各々のコンフィギュレーションパラメータは、中央データベースに記憶されうる。
【0005】
第2の態様では、複数の無線ID送受信機又は受信機を較正して、それら複数の無線ID送受信機又は受信機の各々に付属する無線IDアンテナに隣接するエリア内での無線IDタグの交差受信を防止するためのシステムが開示される。複数の無線ID送受信機又は受信機が提供される。複数の無線ID送受信機又は受信機の各々は付属の無線IDアンテナを有し、このアンテナは、それに関連付けられた無線信号受信エリア内部を通過する無線IDタグからのデータを受信する。加えて、コントローラが、複数の無線ID送受信機又は受信機の各々に、その動作を制御するために連結される。このコントローラは、各無線ID送受信機又は受信機のコンフィギュレーションパラメータを、付属の無線IDアンテナの無線信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータがその無線ID送受信機又は受信機によって受信され、その試験無線IDタグに関して受信されたデータが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合し、複数の無線IDアンテナのうちの他の無線IDアンテナの各々の無線信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータがそのRFID送受信機又は受信機によって何も受信されなくなるまで調節する。このコントローラは、各無線ID送受信機又は受信機を、その無線IDアンテナの無線信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータがその無線ID送受信機又は受信機によって受信され、その試験無線IDタグに関して受信されたデータが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合し、複数の無線IDアンテナのうちの他の無線IDアンテナの各々の無線信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータがその無線ID送受信機又は受信機によって何も受信されなくなるコンフィギュレーションパラメータを用いて較正する。
【0006】
さらなる一実施例では、コントローラは、各無線ID送受信機又は受信機の較正に先立ち、試験無線IDタグを用いてシステムベースライン正常性試験を実施する。また、各無線ID送受信機又は受信機について調節されたコンフィギュレーションパラメータは、システム信号送信機のパワー、システム信号送信機変調選択、システムパケット送信数、無線IDタグパケット送信数、システム受信機感度閾値設定、無線IDタグ受信信号強度指標値、受信無線IDタグパケットフィルタ設定、無線ID送信期間率設定、グローバル低レベルリーダプロトコル制御パラメータ設定、及びアンテナポート選択のうちの一又は複数を含みうる。各無線ID送受信機又は受信機について調節されたコンフィギュレーションパラメータは、無線IDタグパラメータ設定も含みうる。システムは、コントローラを複数の無線ID送受信機又は受信機の各々に連結するためのネットワークをさらに含みうる。システムは、使用中のすべての無線IDタグの位置の追跡に使用するためのミドルウエア及びシステムベースライン正常性試験プロセス及び較正プロセス分析プログラムも含みうる。システムは、使用中のすべての無線IDタグの位置情報を記憶するための、ミドルウエア及びシステムベースライン正常性試験プロセス及び較正プロセス分析プログラムに連結されたデータベースをさらに含みうる。さらには、システムは、ミドルウエア及びシステムベースライン正常性試験プロセス及び較正プロセス分析プログラムを複数の無線ID送受信機又は受信機の各々に連結するためのネットワークを含みうる。
【0007】
第3の態様では、複数の無線ID送受信機又は受信機を較正して、それら複数の無線ID送受信機又は受信機の各々に付属する無線IDアンテナに隣接するエリア内での無線IDタグの交差受信を防止するためのシステムが開示される。システムは、各々が付属の無線IDアンテナを有する複数の無線ID送受信機又は受信機を含み、前記付属のアンテナは、それに関連付けられた信号受信エリア内部を通過する無線IDタグを受信する。システムはまた、複数の無線ID送受信機又は受信機のうちの一つの内部にコントローラを含み、このコントローラは複数の無線ID送受信機又は受信機のうちの他の送受信機又は受信機の各々に連結されてその動作を制御する。コントローラは、各無線ID送受信機又は受信機のコンフィギュレーションパラメータを、付属の無線IDアンテナに関連付けられた信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータがその無線ID送受信機又は受信機によって受信され、その試験無線IDタグに関して受信されたデータが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合し、複数の無線IDアンテナのうちの他の無線IDアンテナの各々の信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータがその無線ID送受信機又は受信機によって何も受信されなくなるまで調節する。コントローラは、各無線ID送受信機又は受信機を、その試験無線IDタグに関して受信されたデータが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合するまでその無線IDアンテナの信号受信エリア内部の試験無線IDタグがその無線ID送受信機又は受信機によって受信され、複数の無線IDアンテナのうちの他の無線IDアンテナの各々の信号受信エリア内部の試験無線IDタグがその無線ID送受信機又は受信機によって何も受信されなくなるコンフィギュレーションパラメータを用いて較正する。
【0008】
さらなる一実施例では、コントローラは、各無線ID送受信機又は受信機の較正に先立ち、試験無線IDタグを用いてシステムベースライン正常性試験を実施する。また、各無線ID送受信機又は受信機について調節されたコンフィギュレーションパラメータは、システム信号送信機のパワー、システム信号送信機変調選択、システムパケット送信数、無線IDタグパケット送信数、システム受信機感度閾値設定、無線IDタグ受信信号強度指標値、受信無線IDタグパケットフィルタ設定、無線ID送信期間率設定、グローバル低レベルリーダプロトコル制御パラメータ設定、及びアンテナポート選択のうちの一又は複数を含みうる。さらに、各無線ID送受信機又は受信機について調節されたコンフィギュレーションパラメータは、無線IDタグパラメータ設定も含みうる。システムは、複数の無線ID送受信機又は受信機を互いに対して連結するためのネットワークをさらに含みうる。システムは、使用中のすべての無線IDタグの位置の追跡に使用されるミドルウエア及びシステムベースライン正常性試験プロセス及び較正プロセス分析プログラムも含みうる。さらにシステムは、使用中のすべての無線IDタグの位置を記憶するための、ミドルウエア及びシステムベースライン正常性試験プロセス及び較正プロセス分析プログラムに連結されたデータベースを含みうる。
【0009】
第4の態様では、複数の無線ID送受信機又は受信機を較正して、それら複数の無線ID送受信機又は受信機の各々に付属する無線IDアンテナに隣接するエリア内での無線IDタグの交差受信を防止するためのシステムが開示される。複数の無線ID送受信機又は受信機が提供される。複数の無線ID送受信機又は受信機の各々は付属の無線IDアンテナを有し、このアンテナは、それに関連付けられた信号受信エリア内部を通過する無線IDタグを受信する。加えて、複数の無線ID送受信機又は受信機のうちの一つの内部の第1のコントローラ及び第2のコントローラが提供される。第1のコントローラと第2のコントローラは互いに対して連結され、且つ複数の無線ID送受信機又は受信機のうちの他の送受信機又は受信機の各々に、その動作を制御するために連結される。第1のコントローラ及び第2のコントローラは、各無線ID送受信機又は受信機のコンフィギュレーションパラメータを、付属の無線IDアンテナに関連付けられた信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータがその無線ID送受信機又は受信機によって受信され、その無線IDタグに関して受信されたデータが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合し、複数の無線IDアンテナのうちの他の無線IDアンテナの各々の信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータがその無線ID送受信機又は受信機によって何も受信されなくなるまで調節する。第1のコントローラ及び第2のコントローラは、各無線ID送受信機又は受信機を、その無線IDアンテナの信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータがその無線ID送受信機又は受信機によって受信され、その無線IDタグに関して受信されたデータが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合し、複数の無線IDアンテナのうちの他の無線IDアンテナの各々の信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータがその無線ID送受信機又は受信機によって何も受信されなくなるコンフィギュレーションパラメータを用いて較正する。
【0010】
さらなる一実施例では、第1のコントローラ及び第2のコントローラは、各無線ID送信機又は受信機の較正に先立ち、試験無線IDタグを用いてシステムベースライン正常性試験を実施する。また、各無線ID送受信機又は受信機について調節されたコンフィギュレーションパラメータは、システム信号送信機のパワー、システム信号送信機変調選択、システムパケット送信数、無線IDタグパケット送信数、システム受信機感度閾値設定、無線IDタグ受信信号強度指標値、受信無線IDタグパケットフィルタ設定、無線ID送信期間率設定、グローバル低レベルリーダプロトコル制御パラメータ設定、及びアンテナポート選択のうちの一又は複数を含みうる。各無線ID送受信機又は受信機について調節されたコンフィギュレーションパラメータは、試験無線IDタグパラメータ設定も含みうる。システムは、複数の無線ID送受信機又は受信機を互いに対して及び第2のコントローラに対して連結するためのネットワークも含みうる。システムは、使用中のすべての試験無線IDタグの位置の追跡に使用するためのミドルウエア及びシステムベースライン正常性試験プロセス及び較正プロセス分析プログラムをさらに含みうる。さらに、システムは、使用中のすべての試験無線IDタグの位置を記憶するための、ミドルウエア及びシステムベースライン正常性試験プロセス及び較正プロセス分析プログラムに連結されたデータベースを含みうる。
【0011】
前述の特徴、機能、及び利点は、様々な実施例において個別に実現可能であるか、又はさらに別の実施例において組み合わされうる。下記の説明及び図面を参照することで、これらの特徴、機能、及び利点のさらなる詳細が理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
下記の詳細な説明は、例として示されており、本開示をこの説明のみに限定することを意図したものではなく、添付図面を併用することで最もよく理解されよう。
【0013】
図1】本発明による複数の無線ID位置決定システムの自動化構成のためのシステムの第1の実施例の線図である。
図2】本発明による複数の無線ID位置決定システムの自動化構成のためのシステムの第2の実施例の線図である。
図3】二つの隣接する無線ID位置決定システムの設置を示す概略平面図である。
図4】本発明の一実施例による複数の無線ID位置決定システムの自動化構成のための方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示では、図面全体を通じて類似の参照番号が類似の要素を指しており、これらの図面は本開示の様々な実施例を示している。
【0015】
無線ID位置決定システム送信機/受信機(送受信機)又は受信機は、一般に、無線ID位置タグ信号送信を受信するために使用される。無線ID送受信機又は受信機は、埋め込みアンテナを含むことができる。場合によっては、無線IDシステムポータル又はゾーンは、その間に無線IDタグ信号受信エリアを画定するゲートウェイが形成されるように物理的に位置する適合するアンテナの組からなっていてよい。この種類の構成は、外部から動力供給される無線IDタグに広く使用されている。他の事例では、単一の無線IDシステムアンテナが利用され、無線IDタグ無線信号受信エリアは、使用のための選択された無線IDアンテナの種類及び配向によって画定される。いずれの構成においても、隣接する位置決定システムのアンテナは、時々交差受信が生じるように設置されうる。サプライチェーン管理に使用されるID位置決定システムにおける交差受信は、識別が困難であることがあり、在庫管理の問題を招いた入り不要な再作業を生じたりすることがある。
【0016】
ここで図1を参照すると、システムベースライン正常性試験と、送受信機又は受信機の性能に合わせて無線IDタグを最適化するため及び無線IDタグの交差受信を最小化又は排除するための個々の無線ID位置決定システムの較正とに使用されるシステム100の第1の実施例が示されている。このような個々の無線ID位置決定システムは、受動的無線信号ポータル又は能動的無線信号ゾーン用のものでよい。システム100は、少なくとも二つの同じ技術型の無線ID位置決定システム101、102を含む。図1には無線ID位置決定システム101、102が二つだけ示されているが、本明細書に開示されるシステム及び方法は、それよりも多くの別個の無線ID位置決定システムを有する実装態様に適用することができる。無線ID位置決定システム101は、受動的無線信号エリアのポータル又は能動的無線信号エリアのゾーンを形成する二つの無線IDアンテナ110、112に連結された無線ID送受信機又は受信機120を含む。上述のように、場合によっては各無線IDシステムにもっと多数の無線IDアンテナが必要となるであろう。単一の無線IDアンテナだけで十分な場合もあるであろう。無線IDシステム101は、無線IDタグ(例えば試験無線IDタグ160、162、及び163)用の無線信号受信エリア170を有する。同様に、無線IDシステム102は、二つの無線IDアンテナ111、113に連結された無線ID送受信機又は受信機121を含む。無線IDシステム102は、無線IDタグ(例えば試験無線IDタグ161、164、及び165)用の無線信号受信エリア171を有する。無線ID送受信機又は受信機120、121の各々は、ローカルエリアネットワーク130といった通信リンクを介してコントローラ140に連結される。図1にはローカルエリアネットワーク130が示されているが、無線ID送受信機又は受信機120、121をコントローラ140に連結するために他の種類の通信リンクが使用されてもよい。コントローラ140は、ミドルウエア及びシステムベースライン正常性試験及び較正プロセス分析プログラム141に関連付けられる。プログラム141は、好適には、性能分析アプリケーションと、無線ID位置決定システムの機器較正プロセスの間の試験無線IDタグ信号の挙動を学習するパターン認識技術又はアルゴリズムを含む。コントローラ140はデータベース150にも連結される。
【0017】
コントローラ140と、ミドルウエア及びシステムベースライン正常性試験及び較正プロセス分析プログラム141とは、無線IDシステム101、102の各々の正常動作を制御し、通常のサプライチェーン管理の機能を管理し、データベース150内の無線IDシステム101、102の各々から収集された情報を記憶する。コントローラ140(ミドルウエア及びシステムベースライン正常性試験及び較正プロセス分析プログラム141を含む)はまた、無線ID送受信機又は受信機120、121のシステムベースライン正常性試験及び較正プロセスの動作を制御する。加えて、構成モードでは、コントローラ140は、各無線IDシステム101、102にとって最適なコンフィギュレーションパラメータを決定する較正プロセス分析プログラム141の指示によって要求されるように、無線ID送受信機又は受信機120、121のコンフィギュレーションパラメータを変更し、これにより、それぞれの無線IDシステムに関連付けられた無線信号受信エリア内部の無線IDタグの受信が可能になり、しかし他の無線IDシステムの無線信号受信エリア内部の無線IDタグがそれらそれぞれの無線信号受信エリア外から受信されることが防止される。例えば、無線ID送受信機又は受信機120、121の最終的なコンフィギュレーションパラメータが決定された後では、無線ID送受信機又は受信機120は、試験無線IDタグ160、162、及び163を受信することはできるが試験無線IDタグ161、164、又は165を受信することができず、無線ID送受信機又は受信機121も、試験無線IDタグ161、164、及び165を受信することはできるが試験無線IDタグ160、162、又は163を受信することができない。特に、システムベースライン正常性試験の間、コントローラ140は、無線ID送受信機又は受信機120のコンフィギュレーションパラメータを、関連付けられた無線信号受信エリア(例えば、無線信号受信エリア170)内部で付属の無線IDアンテナ110、112の近傍に配置されているか又はそれらに取り付けられている試験無線IDタグ162、163がその無線ID送受信機又は受信機(例えば、無線ID送受信機又は受信機120)によって読み取られるまで連続的に調節及びステップスルーする、較正プロセス分析プログラム141によって指示されるシステムベースライン正常性試験プロセスに従う。試験無線IDタグ162及び163から受け取られるデータが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合しない場合、システムベースライン正常性試験は終了する。試験無線IDタグ162及び163から受け取られるデータが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合する場合、ミドルウエア及びシステムベースライン正常性試験プロセス及び較正プロセス分析プログラム141は、無線ID送受信機又は受信機120の最終的なコンフィギュレーションパラメータを決定するための較正試験プロセスを開始する。特に、コントローラ140は、無線ID送受信機又は受信機120のコンフィギュレーションパラメータを、付属の無線IDアンテナ(例えば、無線IDアンテナ110及び112)の関連付けられた無線信号受信エリア(例えば、無線信号受信エリア170)内部に配置されたすべての試験無線IDタグ160、162、163がその無線ID送受信機又は受信機(例えば、無線ID送受信機又は受信機120)によって読み取られ、他の無線IDアンテナ(例えば、無線IDアンテナ111、113)の各々の無線信号受信エリア(例えば、無線信号受信エリア171)内部の試験無線IDタグ(例えば、試験無線IDタグ161、164、165)がその無線ID送受信機又は受信機(例えば、無線ID送受信機又は受信機120)によって何も受信されなくなるまで、連続的に調節及びステップスルーする。試験無線IDタグ160、162及び163から受け取られるデータが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合しない場合、又は隣接する無線信号受信エリア171内部の試験無線IDタグ161、164、又は165からデータが受け取られる場合、較正試験プロセスは終了する。試験無線IDタグ160、162、及び163の各々から受け取られるデータが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合し、無線信号受信エリア171から試験無線IDタグ161、164、165が何も受け取られない場合、較正試験プロセスが完了し、コントローラ140は、動作構成の間に識別されたコンフィギュレーションパラメータを用いて各無線ID送受信機又は受信機120を構成するか、又は代わりに各送受信機又は受信機のコンフィギュレーションパラメータをデータベース150に送信する。このプロセスは、多くの場合多数の異なる種類の無線IDシステムが単一の設備(例えば工場の異なる部品)に使用されているため特に効果的であり、別個の無線IDシステムの各々を別々に且つ連続的に較正及び構成することにより、通常の動作の間に交差受信が生じないことを保証することができる。
【0018】
各無線IDシステム101、102、コントローラ140の構成の間に、ミドルウエア及びシステムベースライン正常性試験プロセス及び較正プロセス分析プログラム141は、限定しないが、各無線ID送受信機又は受信機120、121の以下のコンフィギュレーションパラメータのうちの一又は複数を、捕捉、分析又は調節することができる:システム送信機のパワー、システム信号送信機の変調選択、システムパケット送信数、無線IDタグのパケット送信数、システム受信機の感度閾値設定、無線IDタグの受信信号強度指標値、受信無線IDタグパケットのフィルタ設定、無線IDタグの送信期間率設定、無線IDタグの配向、無線ID位置決定システムの受動的無線信号受信ポータルのアンテナ又は能動的無線信号受信エリアゾーンのアンテナ間の距離、及び隣接する受動的ポータル又は能動的ゾーンのアンテナまでの距離、GS1 EPCグローバル低レベルリーダプロトコル(LLRP)標準コンフィギュレーションパラメータ、無線IDの機器製造者のカスタムコンフィギュレーションパラメータ、並びにアンテナポートの選択。コントローラ140、ミドルウエア及びシステムベースライン正常性試験プロセス及び較正プロセス分析プログラム141はまた、複数の無線ID送受信機又は受信機120、121の各々のコンフィギュレーションパラメータをデータベース150に記憶することができる。
【0019】
ここで図2を参照する。図2には、無線ID送受信機又は受信機のコンフィギュレーションパラメータを較正し、隣接する無線IDシステム内での交差受信を最小化又は排除するためのシステム200の第2の実施例が示されている。システム200においては、ローカルエリアネットワーク230によって連結された二つの無線IDシステム101、202が提供されているが、図1の実施例と同様に、本発明の原理は、三つ以上の異なる無線IDシステムを有するシステムに適用されうる。無線IDシステム101は図1のものと同一である。しかしながら、システム200において、無線IDシステム202は、コントローラ240、ミドルウエア及びシステムベースライン正常性試験プロセス及び較正プロセス分析プログラム241、並びにデータベース250が組み込まれた無線ID送受信機又は受信機221を含んでいる。コントローラ240、ミドルウエア及びシステムベースライン正常性試験プロセス及び較正プロセス分析プログラム241、並びにデータベース250は、図1に示された実施例のコントローラ140、ミドルウエア及びシステムベースライン正常性試験プロセス及び較正プロセス分析プログラム141、並びにデータベース150と同じように動作し、それらと同じ機能を提供するが、無線IDシステム202の一部として提供される。第3の実施例では、無線ID送受信機又は受信機のコンフィギュレーションパラメータを較正し、隣接する無線IDシステム内での交差受信を最小化又は排除するためのシステムは、ローカルエリアネットワーク130(例えば図1のコントローラ140)に連結されたリモートコントローラと無線ID送受信機又は受信機のうちの一又は複数に組み込まれたローカルコントローラの両方を含むことができる。この第3の実施例では、図1の実施例のコントローラ140及び図2の実施例のコントローラ240の機能性は、二つのコントローラ間で共有される。
【0020】
ここで図3を参照する。図3には、二つの隣接する受動的無線信号のポータルエリア又は能動的無線信号エリア310、311を含む工場のフロア300が示されている。無線信号エリア310は無線IDアンテナ320、321によって形成され、無線信号エリア311は無線IDアンテナ322、323によって形成されている。試験無線IDタグ360、361、362は無線信号エリア310内部に位置しており、試験無線IDタグ363、364、365は無線信号エリア311内部に位置している。本発明のシステム及び方法によって提供される利点がない場合、状況によっては、試験無線IDタグ360、361又は362が、無線信号エリア311内部の無線IDタグ信号送信を受信するように構成された無線ID送受信機又は受信機によって意図せず受信されてしまうことがあり、また、試験無線IDタグ363、364、又は365が、無線信号エリア310内部の無線IDタグ信号送信を受信するように構成された無線ID送受信機又は受信機によって意図せず受信されてしまうことがある。しかし、本発明のシステム及び方法によって提供される利点を適用することにより、試験無線IDタグ360、361、362が無線信号エリア310内のタグを受信するように構成された無線ID送受信機又は受信機によってのみ受信され、試験無線IDタグ363、364、365が無線信号エリア311内のタグを受信するように構成された無線ID送受信機又は受信機によってのみ受信されることを保証することができる。
【0021】
次に図4を参照する。図4には、複数の無線ID送受信機又は受信機120、121、221を較正して、それら複数の無線識別(ID)送受信機又は受信機の各々に付属する無線IDアンテナ110、111、112、113に隣接するエリア内の試験無線IDタグ160、161、162、163、164、165の交差受信を防止するための方法400が示されている。まず、ステップ410において、試験無線IDタグ162、163、164、165が、無線信号受信エリア170、171内部の各無線IDアンテナ110、111、112、113の可能な限り近くに配置されるか、又はそれらアンテナ上に取り付けられ、次いで各無線タグ識別子情報がコントローラデータベースに入力される。ステップ420では、システムベースライン正常性試験が各試験無線IDタグ162、163、164、165について実施される。このようにして、無線ID送受信機又は受信機コンフィギュレーションパラメータが連続的に調節及びステップスルーされ、各試験無線IDタグからの受信データが各ステップの間に受け取られる。ステップ430では、試験無線IDタグ162、163、164、165から受け取られたデータが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合しない場合、システムベースライン正常性試験が終了する。試験無線IDタグ162、163、164、165から受け取られたデータが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合する場合、処理は較正プロセス分析プログラム141によって進行し、較正試験プロセスが開始される。ステップ440では、試験無線IDタグ160、161が、無線IDアンテナ110、111、112、113の各々に関連付けられた読み取りエリア内部に配置される。特に、試験無線IDタグ160、161は、各ID位置決定機器タグ信号受信エリア内部において、特定のアセット上に又は同アセットから離れて、アンテナに対して選択された距離、高さ及び試験無線IDタグの物理的偏波に配置され、各試験無線IDタグ識別子情報が、システム較正試験のためにコントローラデータベースに入力される。次に、ステップ450において、無線ID送受信機又は受信機のコンフィギュレーションパラメータが、連続的に調節及びステップスルーされ、受信データが各試験無線IDタグから受け取られる。特に、コンフィギュレーションパラメータは、各無線ID送受信機又は受信機120、121、221のためのステップにおいて、付属の無線IDアンテナ(例えば、無線IDアンテナ110、111、112、113)の関連付けられた無線信号受信エリア(例えば、無線信号受信エリア170、171)内部に位置するすべての試験無線IDタグ(例えば、試験無線IDタグ160、161、162、163、164、165)がその無線ID送受信機又は受信機(例えば、無線ID送受信機又は受信機120、121、221)によって読み取られるまで、連続的に調節され、入力され、試験される。好適には、各無線ID送受信機又は受信機について調節されたコンフィギュレーションパラメータは、システム送信機のパワー、システム信号送信機の変調選択、システムパケット送信数、無線IDタグのパケット送信数、システム受信機の感度閾値設定、無線IDタグの受信信号強度指標値、受信無線IDタグパケットのフィルタ設定、無線IDタグの送信期間率設定、無線IDタグの配向、無線ID位置決定システムの受動的無線信号受信ポータルのアンテナ又は能動的無線信号受信エリアゾーンのアンテナ間の距離、及び隣接する受動的ポータル又は能動的ゾーンのアンテナまでの距離、GS1 EPCグローバル低レベルリーダプロトコル(LLRP)標準コンフィギュレーションパラメータ、無線IDの機器製造者のカスタムコンフィギュレーションパラメータ、並びにアンテナポートの選択のうちの一又は複数を含みうる。ステップ460では、試験無線IDタグから受け取られるデータが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合しないか、又は試験無線IDタグデータが隣接する無線信号受信エリア内の無線ID試験タグから受け取られる場合、較正試験プロセスが終了する。各無線ID試験タグから受け取られるデータが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合し、隣接する無線信号受信エリア由来の試験無線IDタグからのデータが何も受信されない場合、較正試験プロセスは完了し、処理が進行する。最後に、ステップ470において、コントローラ140は、動作較正の間に識別されたコンフィギュレーションパラメータを用いて各無線ID送受信機又は受信機120、121を構成すること、及び/又は各送受信機又は受信機のコンフィギュレーションパラメータをデータベース150(又は250)へと送信することにより、そのようなコンフィギュレーションパラメータを保存する。この後、処理は終了する。
【0022】
さらに、本開示は以下の条項による実施例を含む。
条項1. システムベースライン正常性試験を行い、複数の無線識別(無線ID)送受信機又は受信機を較正して、それら複数の無線ID送受信機又は受信機の各々に付属する無線IDアンテナに隣接するエリアにおける無線IDタグの交差受信を防止するための方法であって、無線IDアンテナの各々に関連付けられた無線信号受信エリア内部に試験無線IDタグを配置するステップ;各無線ID送受信機又は受信機のコンフィギュレーションパラメータを、その無線ID送受信機又は受信機に付属する無線IDアンテナの無線信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータのみがその無線ID送受信機又は受信機によって受信され、その試験無線IDタグに関して受信されたデータが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合するまで調節するステップ;並びに、各無線ID送受信機又は受信機を、その無線ID送受信機又は受信機に付属する無線IDアンテナの無線信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータのみがその無線ID送受信機又は受信機によって受信され、その試験無線IDタグに関して受信されたデータが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合するようになるコンフィギュレーションパラメータを用いて較正するステップを含む方法。
条項2. 各無線ID送受信機又は受信機を較正するステップに先立ち、試験無線IDタグを用いてシステムベースライン正常性試験を実施するステップをさらに含む、条項1の方法。
条項3. 各無線ID送受信機又は受信機について調節されたコンフィギュレーションパラメータが、システム信号送信機のパワー、システム信号送信機変調選択、システムパケット送信数、無線IDタグパケット送信数、システム受信機感度閾値設定、無線IDタグ受信信号強度指標値、受信無線IDタグパケットフィルタ設定、無線ID送信期間率設定、グローバル低レベルリーダプロトコル制御パラメータ設定、及びアンテナポート選択のうちの一又は複数を含む、条項1の方法。
条項4. 各無線ID送受信機又は受信機について調節されたコンフィギュレーションパラメータが、試験無線IDタグパラメータ設定を含む、条項1の方法。
条項5. 複数の無線ID送受信機又は受信機の各々のコンフィギュレーションパラメータを中央データベースに記憶するステップをさらに含む、条項1の方法。
条項6. 複数の無線ID送受信機又は受信機を較正してそれら複数の無線ID送受信機又は受信機に付属の無線IDアンテナに隣接したエリア内での無線IDタグの交差受信を防止するためのシステムであって、各々が付属の無線IDアンテナを有する複数の無線ID送受信機又は受信機であって、無線IDアンテナがそれに関連付けられる無線信号受信エリア内部を通過する無線IDタグからのデータを受信する、複数の無線ID送受信機又は受信機と、複数の無線ID送受信機又は受信機の各々に、その動作を制御するために連結されたコントローラとを備え、コントローラは、各無線ID送受信機又は受信機のコンフィギュレーションパラメータを、付属の無線IDアンテナに関連付けられた無線信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータがその無線ID送受信機又は受信機によって受信され、その無線IDタグに関して受信されたデータが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合し、複数の無線IDアンテナのうちの他の無線IDアンテナの各々の無線信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータがそのRFID送受信機又は受信機によって何も受信されなくなるまで調節し、且つ、各無線ID送受信機又は受信機を、その無線IDアンテナの無線信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータがその無線ID送受信機又は受信機によって受信され、その無線IDタグに関して受信されたデータが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合し、前記複数の無線IDアンテナのうちの他の無線IDアンテナの各々の無線信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータがその無線ID送受信機又は受信機によって何も受信されなくなるコンフィギュレーションパラメータを用いて較正する、システム。
条項7. コントローラが、各無線送受信機又は受信機の較正に先立ち、試験無線IDタグを用いてシステムベースライン正常性試験を実施する、条項6のシステム。
条項8. 各無線ID送受信機又は受信機について調節されたコンフィギュレーションパラメータが、システム信号送信機のパワー、システム信号送信機変調選択、システムパケット送信数、無線IDタグパケット送信数、システム受信機感度閾値設定、無線IDタグ受信信号強度指標値、受信無線IDタグパケットフィルタ設定、無線ID送信期間率設定、グローバル低レベルリーダプロトコル制御パラメータ設定、及びアンテナポート選択のうちの一又は複数を含む、条項6のシステム。
条項9. 各無線ID送受信機又は受信機について調節されたコンフィギュレーションパラメータが、試験無線IDタグパラメータ設定を含む、条項6のシステム。
条項10. コントローラを複数の無線ID送受信機又は受信機の各々に連結するためのネットワークをさらに備える、条項6のシステム。
条項11. 使用中のすべての無線IDタグの位置の追跡に使用するためのミドルウエア及びシステムベースライン正常性試験及び較正プロセス分析プログラムをさらに備える、条項6のシステム。
条項12. 使用中のすべての無線IDタグの位置情報を記憶するための、ミドルウエア及びシステムベースライン正常性試験及び較正プロセス分析プログラムに連結されたデータベースをさらに備える、条項11のシステム。
条項13. ミドルウエア及びシステムベースライン正常性試験及び較正プロセス分析プログラムを複数の無線ID送受信機又は受信機の各々に連結するためのネットワークをさらに備える、条項11のシステム。
条項14. 複数の無線ID送受信機又は受信機を較正してそれら複数の無線ID送受信機又は受信機に付属の無線IDアンテナに隣接したエリア内での無線IDタグの交差受信を防止するためのシステムであって、各々が付属の無線IDアンテナを有する複数の無線ID送受信機又は受信機であって、無線IDアンテナがそれに関連付けられる信号受信エリア内部を通過する無線IDタグを受信する、複数の無線ID送受信機又は受信機と、複数の無線ID送受信機又は受信機のうちの一つの内部にあって、複数の無線ID送受信機又は受信機のうちの他の無線ID送受信機又は受信機の各々に、その動作を制御するために連結されたコントローラとを備え、コントローラは、各無線ID送受信機又は受信機のコンフィギュレーションパラメータを、付属の無線IDアンテナに関連付けられた信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータがその無線ID送受信機又は受信機によって受信され、その無線IDタグに関して受信されたデータが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合し、複数の無線IDアンテナのうちの他の無線IDアンテナの各々の信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータがその無線ID送受信機又は受信機によって何も受信されなくなるまで調節し、且つ、各無線ID送受信機又は受信機を、その無線IDアンテナの信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータがその無線ID送受信機又は受信機によって受信され、その無線IDタグに関して受信されたデータが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合し、前記複数の無線IDアンテナのうちの他の無線IDアンテナの各々の信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータがその無線ID送受信機又は受信機によって何も受信されなくなるコンフィギュレーションパラメータを用いて較正及び構成する、システム。
条項15. コントローラが、各無線ID送信機又は受信機の較正に先立ち、試験無線IDタグを用いてシステムベースライン正常性試験を実施する、条項14のシステム。
条項16. 各無線ID送受信機又は受信機について調節されたコンフィギュレーションパラメータが、システム信号送信機のパワー、システム信号送信機変調選択、システムパケット送信数、無線IDタグパケット送信数、システム受信機感度閾値設定、無線IDタグ受信信号強度指標値、受信無線IDタグパケットフィルタ設定、無線ID送信期間率設定、グローバル低レベルリーダプロトコル制御パラメータ設定、及びアンテナポート選択のうちの一又は複数を含む、条項14のシステム。
条項17. 各無線ID送受信機又は受信機について調節されたコンフィギュレーションパラメータが、試験無線IDタグパラメータ設定を含む、条項14のシステム。
条項18. 複数の無線ID送受信機又は受信機を互いに対して連結するためのネットワークをさらに備える、条項14のシステム。
条項19. 使用中のすべての無線IDタグの位置の追跡に使用するためのミドルウエア及びシステムベースライン正常性試験プロセス及び較正プロセス分析プログラムをさらに備える、条項14のシステム。
条項20. 使用中のすべての無線IDタグの位置を記憶するための、ミドルウエア及びシステムベースライン正常性試験プロセス及び較正プロセス分析プログラムに連結されたデータベースをさらに備える、条項19のシステム。
条項21. 複数の無線ID送受信機又は受信機を較正してそれら複数の無線ID送受信機又は受信機の各々に付属する無線IDアンテナに隣接したエリア内での無線IDタグの交差受信を防止するためのシステムであって、各々が付属の無線IDアンテナを有する複数の無線ID送受信機又は受信機であって、無線IDアンテナがそれに関連付けられる信号受信エリア内部を通過する無線IDタグを受信する、複数の無線ID送受信機又は受信機、並びに複数の無線ID送受信機又は受信機のうちの一つの内部にある第1のコントローラと、第2のコントローラとを備え、第1のコントローラ及び第2のコントローラは、互いに連結され、且つ、複数の無線ID送受信機又は受信機の他の各々にその動作を制御するために連結されており、第1のコントローラ及び第2のコントローラは、各無線ID送受信機又は受信機のコンフィギュレーションパラメータを、付属の無線IDアンテナに関連付けられた信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータがその無線ID送受信機又は受信機によって受信され、その無線IDタグに関して受信されたデータが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合し、複数の無線IDアンテナのうちの他の無線IDアンテナの各々の信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータがその無線ID送受信機又は受信機によって何も受信されなくなるまで調節し、且つ、各無線ID送受信機又は受信機を、その無線IDアンテナの信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータがその無線ID送受信機又は受信機によって受信され、その無線IDタグに関して受信されたデータが事前に設定されたパフォーマンスパラメータに適合し、複数の無線IDアンテナのうちの他の無線IDアンテナの各々の信号受信エリア内部の試験無線IDタグからのデータがその無線ID送受信機又は受信機によって何も受信されなくなるコンフィギュレーションパラメータを用いて較正する、システム。
条項22. 第1のコントローラ及び第2のコントローラが、各無線ID送信機又は受信機の較正に先立ち、試験無線IDタグを用いてシステムベースライン正常性試験を実施する、条項21のシステム。
条項23. 各無線ID送受信機又は受信機について調節されたコンフィギュレーションパラメータが、システム信号送信機のパワー、システム信号送信機変調選択、システムパケット送信数、無線IDタグパケット送信数、システム受信機感度閾値設定、無線IDタグ受信信号強度指標値、受信無線IDタグパケットフィルタ設定、無線ID送信期間率設定、グローバル低レベルリーダプロトコル制御パラメータ設定、及びアンテナポート選択のうちの一又は複数を含む、条項21のシステム。
条項24. 各無線ID送受信機又は受信機について調節されたコンフィギュレーションパラメータが、試験無線IDタグパラメータ設定を含む、条項21のシステム。
条項25. 複数の無線ID送受信機又は受信機を互いに対して及び第2のコントローラに対して連結するためのネットワークをさらに備える、条項21のシステム。
条項26. 使用中のすべての試験無線IDタグの位置の追跡に使用されるミドルウエア及びシステムベースライン正常性試験プロセス及び較正プロセス分析プログラムをさらに備える、条項21のシステム。
条項27. 使用中のすべての試験無線IDタグの位置を記憶するための、ミドルウエア及びシステムベースライン正常性試験プロセス及びの較正プロセス分析プログラムに連結されたデータベースをさらに備える、条項26のシステム。
【0023】
本発明のシステム及び方法は、企業全体の無線IDインフラ設備の共通のコンフィギュレーションパラメータの試験、分析、構成及び確立を自動化するための解決法を提供する。多くの会社が、生産及び製造アセットの追跡をサポートするために、現在無線IDインフラ設備を企業全体に実装している。本発明のシステム及び方法の使用は、コンフィギュレーションパラメータを較正し、無線IDタグの交差受信を最小化又は排除し、さらには、無線IDインフラ設備のコンフィギュレーションパラメータの設定に含まれる当て推量を低減又は排除し、それにより、アセット追跡精度を改善し、無線IDポータル又はゾーンの位置精度を試験及び較正することにより、コスト高で不要な機器コンフィギュレーションパラメータ調節のやり直しを防止するであろう。
【0024】
本開示は、好ましい実施例及びそれらの様々な態様を参照して具体的に示され記載されているが、当業者であれば、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく様々な変更や修正が可能であることを理解するであろう。特許請求の範囲は、本明細書に記載の実施例、上述の代替例、及びそれらのすべての等価物を含むものと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4