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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】光学ガラスおよび光学素子
(51)【国際特許分類】
   C03C 3/062 20060101AFI20231113BHJP
   C03C 3/097 20060101ALI20231113BHJP
   G02B 1/00 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
C03C3/062
C03C3/097
G02B1/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018189911
(22)【出願日】2018-10-05
(65)【公開番号】P2019112292
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2021-04-19
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-05
(31)【優先権主張番号】P 2017246621
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】庄司 昂浩
(72)【発明者】
【氏名】金子 将士
【合議体】
【審判長】宮澤 尚之
【審判官】増山 淳子
【審判官】金 公彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0315066(US,A1)
【文献】特開2009-203134(JP,A)
【文献】特開2006-219365(JP,A)
【文献】国際公開第2016/076180(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C1/00-14/00
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈折率ndが1.69~1.87、アッベ数νdが24~36であって、
SiO2の含有量が10~50質量%であり、
TiO2の含有量が13.68~21.74質量%であり、
Nb25の含有量が8.25~21.11質量%であり、
BaOの含有量が10質量%以下であり、
GeO2の含有量が2質量%以下であり、
Ta25の含有量が3質量%以下であり、
La23、Y23、Gd23、Yb23およびLu23の合計含有量が13.5質量%以下であり、
Nb25およびTiO2の合計含有量に対するNb25の含有量の質量比[Nb25/(Nb25+TiO2)]が0.6以下であり、
Li2O、Na2OおよびK2Oからなる群から選択される1以上のガラス成分を含み、
MgO、CaO、SrOおよびBaOのからなる群から選択される1以上のガラス成分を含み、
MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oに対するCaOの含有量の質量比(CaO/R’O)と、Li2O、Na2OおよびK2Oの合計含有量R2Oに対するNa2Oの含有量の質量比(Na2O/R2O)との合計[(CaO/R’O)+(Na2O/R2O)]が1.2以上であり、
上記合計含有量R2Oおよび上記合計含有量R’Oの合計含有量に対するCaOの含有量の質量比[CaO/(R2O+R’O)]が0.303以上であり、
上記合計含有量R’Oに対するMgOおよびCaOの合計含有量の質量比[(MgO+CaO)/R’O]が0.44~1.0である、光学ガラス。
【請求項2】
屈折率ndが1.69~1.87、アッベ数νdが24~36であって、
SiO2の含有量が10~50質量%であり、
TiO2の含有量が13.68~21.74質量%であり、
Nb25の含有量が8.25~21.11質量%であり、
BaOの含有量が10質量%以下であり、
GeO2の含有量が2質量%以下であり、
Ta25の含有量が3質量%以下であり、
La23、Y23、Gd23、Yb23およびLu23の合計含有量が13.5質量%以下であり、
Nb25およびTiO2の合計含有量に対するNb25の含有量の質量比[Nb25/(Nb25+TiO2)]が0.6以下であり、
Li2O、Na2OおよびK2Oの合計含有量R2OおよびMgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oの合計含有量に対するNa2Oの含有量の質量比[Na2O/(R2O+R’O)]が0より大きく、
上記合計含有量R2Oおよび上記合計含有量R’Oの合計含有量に対するCaOの含有量の質量比[CaO/(R2O+R’O)]が0.303以上であり、
上記合計含有量R’Oに対するMgOおよびCaOの合計含有量の質量比[(MgO+CaO)/R’O]が0.44~1.0である、光学ガラス。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学ガラスからなる光学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ガラスおよび光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、屈折率ndが1.79以上、アッベ数νdが27以上の光学ガラスが開示されている。特許文献1に記載されている光学ガラスは、再加熱試験においてガラス内部が失透しないことを特徴としている。そして、特許文献1に記載のガラスは、上記の光学特性を得るため、Laなどの希土類酸化物成分を含有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-219365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、希土類酸化物は他のガラス成分と比べ、原料の価格が変動しやすくまた供給量が限られているため、ガラスの安定を安定供給する観点から、その使用量を削減することが望ましい。
さらに、希土類酸化物成分は他のガラス成分と比べ、ガラスの比重を高める作用があり、ガラスの低比重化には好ましい成分とは言えない。
オートフォーカス方式の光学系に搭載する光学素子には、オートフォーカス機能を駆動する際の消費電力を低減するために軽量化が求められている。ガラスの比重を低減することができれば、レンズ等の光学素子の重量を減少できる。
【0005】
そこで、本発明は、所望の光学恒数を有し、安定供給が可能であって、比較的比重が小さい光学ガラス、ならびに前記光学ガラスからなる光学素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)屈折率ndが1.69~1.87、アッベ数νdが24~36であって、
SiOの含有量が10~50質量%であり、
TiOの含有量が40質量%以下であり、
Nbの含有量が5~60質量%であり、
BaOの含有量が10質量%以下であり、
La、Y、Gd、YbおよびLuの合計含有量が13.5質量%以下であり、
NbおよびTiOの合計含有量に対するNbの含有量の質量比[Nb/(Nb+TiO)]が0.6以下であり、
LiO、NaOおよびKOからなる群から選択される1以上のガラス成分を含み、
MgO、CaO、SrOおよびBaOのからなる群から選択される1以上のガラス成分を含み、
MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oに対するCaOの含有量の質量比(CaO/R’O)と、LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROに対するNaOの含有量の質量比(NaO/RO)との合計[(CaO/R’O)+(NaO/RO)]が1.1より大きく、
上記合計含有量R’Oに対するMgOおよびCaOの合計含有量の質量比[(MgO+CaO)/R’O]が0.44~1.0である、光学ガラス。
【0007】
(2)屈折率ndが1.69~1.87、アッベ数νdが24~36であって、
SiOの含有量が10~50質量%であり、
TiOの含有量が40質量%以下であり、
Nbの含有量が5~60質量%であり、
BaOの含有量が10質量%以下であり、
La、Y、Gd、YbおよびLuの合計含有量が13.5質量%以下であり、
NbおよびTiOの合計含有量に対するNbの含有量の質量比[Nb/(Nb+TiO)]が0.6以下であり、
LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROおよびMgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oの合計含有量に対するNaOの含有量の質量比[NaO/(RO+R’O)]が0より大きく、
上記合計含有量ROおよび上記合計含有量R’Oの合計含有量に対するCaOの含有量の質量比[CaO/(RO+R’O)]が0.1以上であり、
上記合計含有量R’Oに対するMgOおよびCaOの合計含有量の質量比[(MgO+CaO)/R’O]が0.44~1.0である、光学ガラス。
【0008】
(3)屈折率ndが1.69~1.87、アッベ数νdが24~36であって、
SiOの含有量が10~50質量%であり、
TiOの含有量が40質量%以下であり、
Nbの含有量が5~60質量%であり、
BaOの含有量が10質量%以下であり、
La、Y、Gd、YbおよびLuの合計含有量が13.5質量%以下であり、
NbおよびTiOの合計含有量が30質量%以上であり、
NbおよびTiOの合計含有量に対するNbの含有量の質量比[Nb/(Nb+TiO)]が0.7以下であり、
LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROおよびMgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oの合計含有量に対する上記合計含有量R’Oの質量比[R’O/(RO+R’O)]が0.7~1.0であり、
上記合計含有量R’Oに対するMgOおよびCaOの合計含有量の質量比[(MgO+CaO)/R’O]が0.26~1.0である、光学ガラス。
【0009】
(4)屈折率ndが1.69~1.87、アッベ数νdが24~36であって、
SiOの含有量が10~50質量%であり、
TiOの含有量が40質量%以下であり、
Nbの含有量が5~60質量%であり、
の含有量が5質量%以下であり、
BaOの含有量が10質量%以下であり、
La、Y、Gd、YbおよびLuの合計含有量が13.5質量%以下であり、
NbおよびTiOの合計含有量に対するNbの含有量の質量比[Nb/(Nb+TiO)]が0.5以下であり、
LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROおよびMgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oの合計含有量に対する上記合計含有量R’Oの質量比[R’O/(RO+R’O)]が0.71~1.0であり、
上記合計含有量R’Oに対するMgOおよびCaOの合計含有量の質量比[(MgO+CaO)/R’O]が0.26~1.0である、光学ガラス。
【0010】
(5)上記(1)~(4)のいずれかに記載の光学ガラスからなる光学素子。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、所望の光学恒数を有し、比較的比重が小さい光学ガラス、ならびに前記光学ガラスからなる光学素子を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明および本明細書において、光学ガラスのガラス組成は、特記しない限り、酸化物基準で表示する。ここで「酸化物基準のガラス組成」とは、ガラス原料が熔融時にすべて分解されて光学ガラス中で酸化物として存在するものとして換算することにより得られるガラス組成をいい、各ガラス成分の表記は慣習にならい、SiO、TiOなどを記載する。ガラス成分の含有量および合計含有量は、特記しない限り質量基準であり、「%」は「質量%」を意味する。
【0013】
ガラス成分の含有量は、公知の方法、例えば、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)等の方法で定量することができる。また、本明細書および本発明において、構成成分の含有量が0%とは、この構成成分を実質的に含まないことを意味し、該成分が不可避的不純物レベルで含まれることを許容する。
【0014】
また、本明細書では、屈折率は、特記しない限り、ヘリウムのd線(波長587.56nm)における屈折率ndをいう。
【0015】
アッベ数νdは、分散に関する性質を表す値として用いられるものであり、下式で表される。ここで、nFは青色水素のF線(波長486.13nm)における屈折率、nCは赤色水素のC線(656.27nm)における屈折率である。
νd=(nd-1)/(nF-nC)
【0016】
部分分散比Pg,Fは、g線、F線、c線における各屈折率ng、nF、nCを用いて次のように表される。
Pg,F=(ng-nF)/(nF-nC)
横軸をアッベ数νd、縦軸を部分分散比Pg,Fとする平面において、ノーマルラインは下式により表される。
Pg,F(0)=0.6483-(0.0018×νd)
さらに、ノーマルラインからの部分分散比Pg,Fの偏差ΔPg,Fは次のように表される。
ΔPg,F=Pg,F-Pg,F(0)
【0017】
以下に、本発明の光学ガラスを、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態および第4実施形態として説明する。なお、第2、第3、第4実施形態における各ガラス成分の作用、効果は、第1実施形態における各ガラス成分の作用、効果と同様である。したがって、第2、第3、第4実施形態において、第1実施形態に関する説明と重複する事項については適宜省略する。
【0018】
第1実施形態
第1実施形態に係る光学ガラスは、
屈折率ndが1.69~1.87、アッベ数νdが24~36であって、
SiOの含有量が10~50質量%であり、
TiOの含有量が40質量%以下であり、
Nbの含有量が5~60質量%であり、
BaOの含有量が10質量%以下であり、
La、Y、Gd、YbおよびLuの合計含有量が13.5質量%以下であり、
NbおよびTiOの合計含有量に対するNbの含有量の質量比[Nb/(Nb+TiO)]が0.6以下であり、
LiO、NaOおよびKOからなる群から選択される1以上のガラス成分を含み、
MgO、CaO、SrOおよびBaOのからなる群から選択される1以上のガラス成分を含み、
MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oに対するCaOの含有量の質量比(CaO/R’O)と、LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROに対するNaOの含有量の質量比(NaO/RO)との合計[(CaO/R’O)+(NaO/RO)]が1.1より大きく、
上記合計含有量R’Oに対するMgOおよびCaOの合計含有量の質量比[(MgO+CaO)/R’O]が0.44~1.0である。
【0019】
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、SiOの含有量は10~50%である。SiOの含有量の下限は、好ましくは12%であり、さらには15%、17%、20%の順により好ましい。また、SiOの含有量の上限は、好ましくは45%であり、さらには40%、37%、35%の順により好ましい。
SiOの含有量が少なすぎると、熱的安定性が低下するおそれがある。また、SiOの含有量が多すぎると、屈折率が低下するおそれがある。SiOの含有量を上記範囲とすることで、熱的安定性に優れる光学ガラスが得られる。
【0020】
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、TiOの含有量は40%以下である。TiOの含有量の上限は、好ましくは35%であり、さらには30%、28%、25%の順により好ましい。TiOの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには5%、8%、10%の順により好ましい。TiOの含有量は0%でもよい。
TiOの含有量が多すぎると、部分分散比Pg,Fが増加するおそれがある。また、TiOの含有量が少なすぎると、所望の光学恒数が得られないおそれがある。TiOの含有量を上記範囲とすることで、比重を低減し、またガラスの原料コストの増加を抑制できる。
【0021】
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Nbの含有量は5~60%である。Nbの含有量の下限は、好ましくは7%であり、さらには8%、9%、10%の順により好ましい。また、Nbの含有量の上限は、好ましくは45%であり、さらには40%、35%、30%の順により好ましい。
Nbの含有量が少なすぎると、所望の屈折率nd、アッベ数νdおよび部分分散比Pg,Fが得られないおそれがある。また、Nbの含有量が多すぎると、熱的安定性が低下し、また高分散化するおそれがある。Nbの含有量を上記範囲とすることで、部分分散比Pg,Fを低減し、またガラスの原料コストの増加を抑制できる。
【0022】
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、BaOの含有量は10%以下である。BaOの含有量の上限は、好ましくは9%であり、さらには8%、7%の順により好ましい。BaOの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには1%、2%、3%、3.5%の順により好ましい。BaOの含有量は0%でもよい。
BaOの含有量が多すぎると、比重が増大するおそれがある。BaOの含有量が少なすぎると、熱的安定性が低下するおそれがある。BaOの含有量を上記範囲とすることで熱的安定性に優れる光学ガラスが得られる。
【0023】
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、La、Y、Gd、YbおよびLuの合計含有量[La+Y+Gd+Yb+Lu]は13.5%以下である。合計含有量[La+Y+Gd+Yb+Lu]の上限は、好ましくは12%であり、さらには11%、10%、9%の順により好ましい。また、合計含有量[La+Y+Gd+Yb+Lu]の下限は、好ましくは0%であり、さらには0.5%、1%、1.5%の順により好ましい。
合計含有量[La+Y+Gd+Yb+Lu]が大きすぎると、比重が増大するおそれがある。また、合計含有量[La+Y+Gd+Yb+Lu]が小さすぎると、所望の光学恒数が得られないおそれがある。合計含有量[La+Y+Gd+Yb+Lu]を上記範囲とすることで、所望の光学恒数を有する光学ガラスが得られる。
【0024】
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、NbおよびTiOの合計含有量に対するNbの含有量の質量比[Nb/(Nb+TiO)]は0.6以下である。質量比[Nb/(Nb+TiO)]上限は、好ましくは0.60であり、さらには0.55、0.52、0.50の順により好ましい。また、質量比[Nb/(Nb+TiO)]は、好ましくは0より大きく、その下限は0.10、0.20、0.30の順により好ましい。
質量比[Nb/(Nb+TiO)]が大きすぎると、比重が増大するおそれがある。質量比[Nb/(Nb+TiO)]が小さすぎると、部分分散比Pg,Fが増加するおそれがある。質量比[Nb/(Nb+TiO)]を上記範囲とすることで、比重を低減し、またガラスの原料コストの増加を抑制できる。
【0025】
第1実施形態に係る光学ガラスは、LiO、NaOおよびKOからなる群から選択される1以上のガラス成分を含み、好ましくはNaOを含み、より好ましくはNaOおよびKOを含む。
光学ガラスが、LiO、NaOおよびKOからなる群から選択される1以上のガラス成分を含むことで、ガラスの熔解性を高めることができる。
【0026】
第1実施形態に係る光学ガラスは、MgO、CaO、SrOおよびBaOのからなる群から選択される1以上のガラス成分を含み、好ましくはCaOを含み、より好ましくはCaOおよびBaOを含む。
光学ガラスが、MgO、CaO、SrOおよびBaOのからなる群から選択される1以上のガラス成分を含むことで、屈折率ndの低下を抑制できる。
【0027】
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oに対するCaOの含有量の質量比(CaO/R’O)と、LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROに対するNaOの含有量の質量比(NaO/RO)との合計[(CaO/R’O)+(NaO/RO)]は1.1より大きい。[(CaO/R’O)+(NaO/RO)]の下限は、好ましくは1.2であり、さらには1.3、1.35、1.4の順により好ましい。[(CaO/R’O)+(NaO/RO)]の上限は、好ましくは1.9であり、さらには1.85、1.8の順により好ましい。
[(CaO/R’O)+(NaO/RO)]が小さすぎると、比重が低下し、所望の光学恒数が得られないおそれがある。[(CaO/R’O)+(NaO/RO)]を上記範囲とすることで、低比重で所望の光学恒数を有する光学ガラスが得られる。
【0028】
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oに対するMgOおよびCaOの合計含有量の質量比[(MgO+CaO)/R’O]は0.44~1.0である。質量比[(MgO+CaO)/R’O]の下限は、好ましくは0.5であり、さらには0.55、0.6の順により好ましい。また、質量比[(MgO+CaO)/R’O]の上限は、好ましくは0.9であり、さらには0.85、0.8、0.78の順により好ましい。
質量比[(MgO+CaO)/R’O]が小さすぎると、比重が増大するおそれがある。質量比[(MgO+CaO)/R’O]が大きすぎると、熱的安定性が低下するおそれがある。質量比[(MgO+CaO)/R’O]を上記範囲とすることで、比重が低減された光学ガラスを得ることができる。
【0029】
次に、第1実施形態に係る光学ガラスにおける、ガラス成分の含有量および比率の好ましい態様を以下に詳述する。
【0030】
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROおよびMgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oの合計含有量に対するNaOの含有量の質量比[NaO/(RO+R’O)]は、好ましくは0より大きく、その下限は、0.1、0.13、0.15の順により好ましい。質量比[NaO/(RO+R’O)]の上限は、好ましくは0.8であり、さらには0.7、0.6、0.5の順により好ましい。
質量比[NaO/(RO+R’O)]が小さすぎると、ガラスの熔解性が低下するおそれがある。質量比[NaO/(RO+R’O)]が大きすぎると、熱的安定性が低下するおそれがある。
【0031】
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記合計含有量ROおよび上記合計含有量R’Oの合計含有量に対するCaOの含有量の質量比[CaO/(RO+R’O)]は、好ましくは0.1以上であり、その下限は0.15、0.18、0.2の順により好ましい。質量比[CaO/(RO+R’O)]の上限は、好ましくは0.95であり、さらには0.90、0.87、0.85の順により好ましい。
質量比[CaO/(RO+R’O)]が小さすぎると、屈折率が低下し、比重が増加するおそれがある。質量比[CaO/(RO+R’O)]が大きすぎると、熱的安定性が低下するおそれがある。
【0032】
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、NbおよびTiOの合計含有量[Nb+TiO]の下限は、好ましくは5%であり、さらには10%、15%、20%、22%の順により好ましい。また、合計含有量[Nb+TiO]の上限は、好ましくは60%であり、さらには50%、45%、40%の順により好ましい。
合計含有量[Nb+TiO]を上記範囲とすることで、所望の光学恒数を有する光学ガラスが得られる。
【0033】
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’OとLiO、NaOおよびKOの合計含有量ROとの合計含有量に対する合計含有量R’Oの質量比[R’O/(R’O+RO)]の下限は、好ましくは0.50、さらには0.55、0.60、0.65の順により好ましい。また、質量比[R’O/(R’O+RO)]の上限は、好ましくは0.99、さらには0.98、0.97の順により好ましい。
質量比[R’O/(R’O+RO)]が小さすぎると、屈折率ndが低下するおそれがある。質量比[R’O/(R’O+RO)]が大きすぎると、熱的安定性が低下するおそれがある。質量比[R’O/(R’O+RO)]を上記範囲とすることで、高屈折率の光学ガラスを得ることができる。
【0034】
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Bの含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4.5%、4.2%、4%の順により好ましい。また、Bの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには0.5%、0.7%、1%の順により好ましい。Bの含有量は0%であってもよい。
の含有量が多すぎると屈折率ndが低下するおそれがある。Bの含有量を上記範囲とすることで、ガラスの熱的安定性を改善できる。
【0035】
第1実施形態に係る光学ガラスにおける、上記以外のガラス成分の含有量および比率の好ましい態様を以下に詳述する。
【0036】
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Pの含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4.5%、4%、3.5%の順により好ましい。また、Pの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには0.5%、1%、1.5%の順により好ましい。Pの含有量は0%であってもよい。Pの含有量を上記範囲とすることで、部分分散比Pg,Fの増加を抑制し、ガラスの熱的安定性を保持できる。
【0037】
第1実施形態に係るガラスにおいて、Alの含有量の上限は、好ましくは3%であり、さらには2%、1.5%、1%の順により好ましい。Alの含有量は0%であってもよい。Alの含有量を上記範囲とすることで、ガラスの耐失透性および熱的安定性を保持できる。
【0038】
第1実施形態に係るガラスにおいて、ZrOの含有量の下限は、好ましくは3%であり、さらには4%、5%、6%の順により好ましい。また、ZrOの含有量の上限は、好ましくは15%であり、さらには13%、11%、10%の順により好ましい。ZrOの含有量を上記範囲とすることで、所望の光学恒数を実現し、また部分分散比Pg,Fを低減できる。
【0039】
第1実施形態に係るガラスにおいて、WOの含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには3%、1%、0%の順により好ましい。WOの含有量を上記範囲とすることで、透過率を高めることができ、また、部分分散比Pg,Fおよび比重を低減できる。
【0040】
第1実施形態において、Biの含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには3%、1%、0%の順により好ましい。Biの含有量を上記範囲とすることで、ガラスの熱的安定性を改善し、また、部分分散比Pg,Fおよび比重を低減できる。
【0041】
第1実施形態に係るガラスにおいて、LiOの含有量の上限は、好ましくは10%であり、さらには8%、6%、5%の順により好ましい。LiOの含有量は少ない方が好ましく、その下限は好ましくは0%である。
【0042】
第1実施形態に係るガラスにおいて、NaOの含有量の上限は、好ましくは15%であり、さらには12%、10%、8%の順により好ましい。NaOの含有量の下限は、好ましくは1%であり、さらには2%、3%、4%の順により好ましい。
【0043】
第1実施形態に係るガラスにおいて、KOの含有量の上限は、好ましくは15%であり、さらには12%、10%、8%の順により好ましい。KOの含有量の下限は、好ましくは0.05%であり、さらには0.1%、0.15%の順により好ましい。
【0044】
LiO、NaOおよびKOは、部分分散比Pg,Fを低減する成分であり、液相温度を下げ、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有するが、これらの含有量が多くなると、化学的耐久性、耐候性が低下する。そのため、LiO、NaOおよびKOの各含有量は、それぞれ上記範囲であることが好ましい。
【0045】
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROの下限は、好ましくは1.05%であり、さらには1.5%、2%、2.5%の順により好ましい。また、合計含有量ROの上限は、好ましくは15%であり、さらには13%、11%、10%の順により好ましい。合計含有量ROを上記範囲とすることで、ガラスの比重を低減し、またガラスの熱的安定性を維持できる。
【0046】
第1実施形態に係るガラスにおいて、CsOの含有量の上限は、好ましくは10%であり、さらには5%、3%、1%の順により好ましい。CsOの含有量の下限は、好ましくは0%である。
【0047】
CsOは、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有するが、これらの含有量が多くなると、化学的耐久性、耐候性が低下する。そのため、CsOの各含有量は、上記範囲であることが好ましい。
【0048】
第1実施形態に係るガラスにおいて、MgOの含有量の上限は、好ましくは25%であり、さらには23%、21%、20%の順により好ましい。また、MgOの含有量の下限は、好ましくは0%である。
【0049】
第1実施形態に係るガラスにおいて、CaOの含有量の上限は、好ましくは25%であり、さらには23%、21%、20%の順により好ましい。また、CaOの含有量の下限は、好ましくは0%である。
【0050】
第1実施形態に係るガラスにおいて、SrOの含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには10%、5%、3%の順により好ましい。また、SrOの含有量の下限は、好ましくは0%である。
【0051】
MgO、CaO、SrO、BaOは、いずれもガラスの熱的安定性および耐失透性を改善させる働きを有し、屈折率を高め所望の恒数を達成しやすくするガラス成分である。しかし、これらガラス成分の含有量が多くなると、比重が増加し、高分散性が損なわれ、また、ガラスの熱的安定性および耐失透性が低下する。そのため、これらガラス成分の各含有量は、それぞれ上記範囲であることが好ましい。
【0052】
第1実施形態に係るガラスにおいて、MgOおよびCaOの合計含有量[MgO+CaO]の下限は、好ましくは0%であり、さらには5%、8%、10%の順により好ましい。また、合計含有量[MgO+CaO]の上限は、好ましくは30%であり、さらには28%、25%、22%の順により好ましい。比重増大および熱的安定性の低下を抑制する観点から、合計含有量[MgO+CaO]は上記範囲であることが好ましい。
【0053】
第1実施形態に係るガラスにおいて、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oの上限は、好ましくは30%であり、さらには28%、25%、22%の順により好ましい。また、合計含有量R’Oの下限は、好ましくは0%であり、さらには5%、8%、10%の順により好ましい。合計含有量R’Oは0%であってもよい。合計含有量R’Oを上記範囲とすることで、比重の増加を抑制し、所望の屈折率を達成し、また高分散化を妨げることなく熱的安定性を維持できる。
【0054】
第1実施形態に係るガラスにおいて、ZnOの含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには10%、5%、3%の順により好ましい。また、ZnOの含有量の下限は、好ましくは0%である。
【0055】
ZnOは、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有するガラス成分である。しかし、ZnOの含有量が多すぎると比重が上昇する。そのため、ガラスの熱的安定性を改善し、所望の光学恒数を維持する観点から、ZnOの含有量は上記範囲であることが好ましい。
【0056】
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Laの含有量の上限は、好ましくは15%であり、さらには14.5%、14%、13.5%の順により好ましい。また、Laの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには1%、1.5%、2%の順により好ましい。Laの含有量は0%であってもよい。Laの含有量を上記範囲とすることで、所望の光学恒数を実現し、比重の増大を抑えることができ、また部分分散比Pg,Fを低減できる。
【0057】
第1実施形態に係るガラスにおいて、Yの含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには10%、5%、3%の順により好ましい。また、Yの含有量の下限は、好ましくは0%である。
【0058】
の含有量が多くなり過ぎるとガラスの熱的安定性が低下し、製造中にガラスが失透しやすくなる。したがって、ガラスの熱的安定性の低下を抑制する観点から、Yの含有量は上記範囲であることが好ましい。
【0059】
第1実施形態に係るガラスにおいて、Taの含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには10%、5%、3%の順により好ましい。また、Taの含有量の下限は、好ましくは0%である。
【0060】
Taは、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有するガラス成分であり、部分分散比Pg,Fを低下させる成分である。一方、Taの含有量が多くなると、ガラスの熱的安定性が低下し、ガラスを熔融するときに、ガラス原料の熔け残りが生じやすくなる。また、比重が上昇する。そのため、Taの含有量は上記範囲であることが好ましい。
【0061】
第1実施形態に係るガラスにおいて、Scの含有量は、好ましくは2%以下である。また、Scの含有量の下限は、好ましくは0%である。
【0062】
第1実施形態に係るガラスにおいて、HfOの含有量は、好ましくは2%以下である。また、HfOの含有量の下限は、好ましくは0%である。
【0063】
Sc、HfOは、ガラスの高分散性を高める働きを有するが、高価な成分である。そのため、Sc、HfOの各含有量は上記範囲であることが好ましい。
【0064】
第1実施形態に係るガラスにおいて、Luの含有量は、好ましくは2%以下である。また、Luの含有量の下限は、好ましくは0%である。
【0065】
Luは、ガラスの高分散性を高める働きを有するが、分子量が大きいことから、ガラスの比重を増加させるガラス成分でもある。そのため、Luの含有量は上記範囲であることが好ましい。
【0066】
第1実施形態に係るガラスにおいて、GeOの含有量は、好ましくは2%以下である。また、GeOの含有量の下限は、好ましくは0%である。
【0067】
GeOは、ガラスの高分散性を高める働きを有するが、一般的に使用されるガラス成分の中で、突出して高価な成分である。したがって、ガラスの製造コストの増加を抑制する観点から、GeOの含有量は上記範囲であることが好ましい。
【0068】
第1実施形態に係るガラスにおいて、Gdの含有量は、好ましくは2%以下である。また、Gdの含有量の下限は、好ましくは0%である。
【0069】
Gdの含有量が多くなり過ぎるとガラスの熱的安定性が低下する。また、Gdの含有量が多くなり過ぎるとガラスの比重が増大する。したがって、ガラスの熱的安定性を良好に維持しつつ、比重の増大を抑制する観点から、Gdの含有量は上記範囲であることが好ましい。
【0070】
第1実施形態に係るガラスにおいて、Ybの含有量は、好ましくは2%以下である。また、Ybの含有量の下限は、好ましくは0%である。
【0071】
Ybは、La、Gd、Yと比べて分子量が大きいため、ガラスの比重を増大させる。ガラスの比重が増大すると、光学素子の質量が増大する。例えば、質量の大きいレンズをオートフォーカス式の撮像レンズに組み込むと、オートフォーカス時にレンズの駆動に要する電力が増大し、電池の消耗が激しくなる。したがって、Ybの含有量を低減させて、ガラスの比重の増大を抑えることが望ましい。
【0072】
また、Ybの含有量が多すぎるとガラスの熱的安定性が低下する。ガラスの熱的安定性の低下を防ぎ、比重の増大を抑制する観点から、Ybの含有量は上記範囲であることが好ましい。
【0073】
第1実施形態に係るガラスは、主として上述のガラス成分、すなわち、必須成分としてSiOおよびNb、任意成分としてTiO、BaO、B、P、Al、ZrO、WO、Bi、LiO、NaO、KO、CsO、MgO、CaO、SrO、ZnO、La、Y、Ta、Sc、HfO、Lu、GeO、GdおよびYbで構成されていることが好ましく、上述のガラス成分の合計含有量は、95%よりも多くすることが好ましく、98%よりも多くすることがより好ましく、99%よりも多くすることがさらに好ましく、99.5%よりも多くすることが一層好ましい。
【0074】
なお、本実施形態に係るガラスは、基本的に上記ガラス成分により構成されることが好ましいが、本発明の作用効果を妨げない範囲において、その他の成分を含有することも可能である。また、本発明において、不可避的不純物の含有を排除するものではない。
【0075】
(その他の成分)
上記成分の他に、上記光学ガラスは、清澄剤としてSb、CeO等を少量含有することもできる。清澄剤の総量(外割添加量)は0%以上、1%未満とすることが好ましく、0%以上0.5%以下とすることがより好ましい。
【0076】
外割添加量とは、清澄剤を除く全ガラス成分の合計含有量を100%としたときの清澄剤の添加量を重量百分率で表したものである。
【0077】
Pb、Cd、As、Th等は、環境負荷が懸念される成分である。そのため、それぞれPbO、CdO、ThOの含有量は、いずれも0~0.1%であることが好ましく、0~0.05%であることがより好ましく、0~0.01%であることが一層好ましく、PbO、CdO、ThOを実質的に含まないことが特に好ましい。
【0078】
Asの含有量は、0~0.1%であることが好ましく、0~0.05%であることがより好ましく、0~0.01%であることが一層好ましく、Asを実質的に含まないことが特に好ましい。
【0079】
更に、上記光学ガラスは、可視領域の広い範囲にわたり高い透過率が得られる。こうした特長を活かすには、着色性の元素を含まないことが好ましい。着色性の元素としては、Cu、Co、Ni、Fe、Cr、Eu、Nd、Er、V等を例示することができる。いずれの元素とも、100質量ppm未満であることが好ましく、0~80質量ppmであることがより好ましく、0~50質量ppm以下であることが更に好ましく、実質的に含まれないことが特に好ましい。
【0080】
また、Ga、Te、Tb等は、導入が不要な成分であり、高価な成分でもある。そのため、質量%表示によるGa、TeO、TbOの含有量の範囲は、いずれも、それぞれ0~0.1%であることが好ましく、0~0.05%であることがより好ましく、0~0.01%であることが更に好ましく、0~0.005%であることが一層好ましく、0~0.001%であることがより一層好ましく、実質的に含まれないことが特に好ましい。
【0081】
(ガラス特性)
<屈折率nd>
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、屈折率ndは1.69~1.87である。屈折率ndは、1.70~1.865、または1.75~1.860とすることもできる。屈折率ndは、SiO、TiO、Nb等の含有量を調整することで制御できる。
【0082】
<アッベ数νd>
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、アッベ数νdは24~36である。アッベ数νdは、25~35、または26~34とすることもできる。アッベ数νdは、SiO、TiO、Nb等の含有量を調整することで制御できる。
【0083】
<ガラスの比重>
第1実施形態に係る光学ガラスの比重は、好ましくは3.95以下であり、さらには3.80以下、3.70以下、3.67以下、3.65以下の順により好ましい。比重は小さいほど好ましく、その下限は好ましくは2.60である。比重は、SiO、B、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZrO、La、Gd、Nb、TiOの含有量を調整することで制御できる。
【0084】
<部分分散比Pg,F>
第1実施形態に係る光学ガラスの部分分散比Pg,Fの上限は、好ましく0.6095であり、さらには0.6050、0.6030、0.6025、0.6020の順により好ましい。また、部分分散比Pg,Fは小さいほど好ましく、その下限は好ましく0.5800である。部分分散比Pg,Fを上記範囲とすることで、高次の色収差補正に好適な光学ガラスが得られる。
【0085】
また、第1実施形態に係る光学ガラスの部分分散比Pg,Fの偏差ΔPg,Fの上限は、好ましく0.0150であり、さらには0.0100、0.0070、0.0065の順により好ましい。また、偏差ΔPg,Fは小さいほど好ましく、その下限は好ましく-0.0050である。
【0086】
<ガラス転移温度Tg>
第1実施形態に係る光学ガラスのガラス転移温度Tgの上限は、好ましくは740℃であり、さらには700℃、690℃、685℃、680℃の順により好ましい。また、ガラス転移温度Tgの下限は、好ましくは430℃であり、さらには460℃、490℃、520℃の順により好ましい。ガラス転移温度Tgは、LiO、NaO、KO等の含有量を調整することにより制御できる。
【0087】
<ガラスの光線透過性>
第1実施形態に係る光学ガラスの光線透過性は、着色度λ80、λ70およびλ5により評価できる。
厚さ10.0mm±0.1mmのガラス試料について波長200~700nmの範囲で分光透過率を測定し、外部透過率が80%となる波長をλ80、外部透過率が70%となる波長をλ70、外部透過率が5%となる波長をλ5とする。
【0088】
第1実施形態に係る光学ガラスのλ80は、好ましくは520nm以下であり、より好ましくは500nm以下であり、さらに好ましくは475nm以下であり、一層好ましくは455nm以下である。また、λ70は、好ましくは500nm以下であり、より好ましくは480nm以下であり、さらに好ましくは465nm以下であり、一層好ましくは450nm以下である。さらに、λ5は、好ましくは390nm以下であり、より好ましくは380nm以下であり、さらに好ましくは370nm以下である。
【0089】
(光学ガラスの製造)
第1実施形態に係る光学ガラスは、上記所定の組成となるようにガラス原料を調合し、調合したガラス原料により公知のガラス製造方法に従って作製すればよい。例えば、複数種の化合物を調合し、十分混合してバッチ原料とし、バッチ原料を石英坩堝や白金坩堝中に入れて粗熔解(ラフメルト)する。粗熔解によって得られた熔融物を急冷、粉砕してカレットを作製する。さらにカレットを白金坩堝中に入れて加熱、再熔融(リメルト)して熔融ガラスとし、さらに清澄、均質化した後に熔融ガラスを成形し、徐冷して光学ガラスを得る。熔融ガラスの成形、徐冷には、公知の方法を適用すればよい。
【0090】
なお、ガラス中に所望のガラス成分を所望の含有量となるように導入することができれば、バッチ原料を調合するときに使用する化合物は特に限定されないが、このような化合物として、酸化物、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、フッ化物等が挙げられる。
【0091】
(光学素子等の製造)
第1実施形態に係る光学ガラスを使用して光学素子を作製するには、公知の方法を適用すればよい。例えば、上記光学ガラスの製造において、熔融ガラスを鋳型に流し込んで板状に成形し、本発明に係る光学ガラスからなるガラス素材を作製する。得られたガラス素材を適宜、切断、研削、研磨し、プレス成形に適した大きさ、形状のカットピースを作製する。カットピースを加熱、軟化して、公知の方法でプレス成形(リヒートプレス)し、光学素子の形状に近似する光学素子ブランクを作製する。光学素子ブランクをアニールし、公知の方法で研削、研磨して光学素子を作製する。
【0092】
作製した光学素子の光学機能面には使用目的に応じて、反射防止膜、全反射膜などをコーティングしてもよい。
【0093】
本発明の一態様によれば、上記光学ガラスからなる光学素子を提供することができる。光学素子の種類としては、球面レンズ、非球面レンズ等のレンズ、プリズム、回折格子等を例示することができる。レンズの形状としては、両凸レンズ、平凸レンズ、両凹レンズ、平凹レンズ、凸メニスカスレンズ、凹メニスカスレンズ等の諸形状を例示することができる。光学素子は、上記光学ガラスからなるガラス成形体を加工する工程を含む方法により製造することができる。加工としては、切断、切削、粗研削、精研削、研磨等を例示することができる。こうした加工を行う際、上記ガラスを使用することにより、破損を軽減することができ、高品質の光学素子を安定して供給することができる。
【0094】
第2実施形態
第2実施形態に係る光学ガラスは、
屈折率ndが1.69~1.87、アッベ数νdが24~36であって、
SiOの含有量が10~50質量%であり、
TiOの含有量が40質量%以下であり、
Nbの含有量が5~60質量%であり、
BaOの含有量が10質量%以下であり、
La、Y、Gd、YbおよびLuの合計含有量が13.5質量%以下であり、
NbおよびTiOの合計含有量に対するNbの含有量の質量比[Nb/(Nb+TiO)]が0.6以下であり、
LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROおよびMgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oの合計含有量に対するNaOの含有量の質量比[NaO/(RO+R’O)]が0より大きく、
上記合計含有量ROおよび上記合計含有量R’Oの合計含有量に対するCaOの含有量の質量比[CaO/(RO+R’O)]が0.1以上であり、
上記合計含有量R’Oに対するMgOおよびCaOの合計含有量の質量比[(MgO+CaO)/R’O]が0.44~1.0である。
【0095】
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、SiOの含有量は10~50%である。SiOの含有量の下限は、好ましくは12%であり、さらには15%、17%、20%の順により好ましい。また、SiOの含有量の上限は、好ましくは45%であり、さらには40%、37%、35%の順により好ましい。
【0096】
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、TiOの含有量は40%以下である。TiOの含有量の上限は、好ましくは35%であり、さらには30%、28%、25%の順により好ましい。TiOの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには5%、8%、10%の順により好ましい。TiOの含有量は0%でもよい。
【0097】
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、Nbの含有量は5~60%である。Nbの含有量の下限は、好ましくは7%であり、さらには8%、9%、10%の順により好ましい。また、Nbの含有量の上限は、好ましくは45%であり、さらには40%、35%、30%の順により好ましい。
【0098】
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、BaOの含有量は10%以下である。BaOの含有量の上限は、好ましくは9%であり、さらには8%、7%の順により好ましい。BaOの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには1%、2%、3%、3.5%の順により好ましい。BaOの含有量は0%でもよい。
【0099】
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、La、Y、Gd、YbおよびLuの合計含有量[La+Y+Gd+Yb+Lu]は13.5%以下である。合計含有量[La+Y+Gd+Yb+Lu]の上限は、好ましくは12%であり、さらには11%、10%、9%の順により好ましい。また、合計含有量[La+Y+Gd+Yb+Lu]の下限は、好ましくは0%であり、さらには0.5%、1%、1.5%の順により好ましい。
【0100】
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、NbおよびTiOの合計含有量に対するNbの含有量の質量比[Nb/(Nb+TiO)]は0.6以下である。質量比[Nb/(Nb+TiO)]上限は、好ましくは0.60であり、さらには0.55、0.52、0.50の順により好ましい。また、質量比[Nb/(Nb+TiO)]は、好ましくは0より大きく、その下限は0.10、0.20、0.30の順により好ましい。
【0101】
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROおよびMgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oの合計含有量に対するNaOの含有量の質量比[NaO/(RO+R’O)]は、0より大きい。く、質量比[NaO/(RO+R’O)]の下限は、好ましくは0.1であり、さらには0.13、0.15の順により好ましい。質量比[NaO/(RO+R’O)]の上限は、好ましくは0.8であり、さらには0.7、0.6、0.5の順により好ましい。
質量比[NaO/(RO+R’O)]が小さすぎると、ガラスの熔解性が低下するおそれがある。質量比[NaO/(RO+R’O)]が大きすぎると、熱的安定性が低下するおそれがある。
【0102】
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記合計含有量ROおよび上記合計含有量R’Oの合計含有量に対するCaOの含有量の質量比[CaO/(RO+R’O)]は、0.1以上である。質量比[CaO/(RO+R’O)]の下限は、好ましくは0.15であり、さらには0.18、0.2の順により好ましい。質量比[CaO/(RO+R’O)]の上限は、好ましくは0.95であり、さらには0.90、0.87、0.85の順により好ましい。
質量比[CaO/(RO+R’O)]が小さすぎると、屈折率が低下し、比重が増加するおそれがある。質量比[CaO/(RO+R’O)]が大きすぎると、熱的安定性が低下するおそれがある。
【0103】
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oに対するMgOおよびCaOの合計含有量の質量比[(MgO+CaO)/R’O]は0.44~1.0である。質量比[(MgO+CaO)/R’O]の下限は、好ましくは0.5であり、さらには0.55、0.6の順により好ましい。また、質量比[(MgO+CaO)/R’O]の上限は、好ましくは0.9であり、さらには0.85、0.8、0.78の順により好ましい。
【0104】
次に、第2実施形態に係る光学ガラスにおける、ガラス成分の含有量および比率の好ましい態様を以下に詳述する。
【0105】
第2実施形態に係る光学ガラスは、好ましくは、LiO、NaOおよびKOからなる群から選択される1以上のガラス成分を含み、より好ましくはNaOを含み、さらに好ましくはLiO、NaOおよびKOを含む。
光学ガラスが、LiO、NaOおよびKOからなる群から選択される1以上のガラス成分を含むことで、ガラスの溶解性を高めることができる。
【0106】
第2実施形態に係る光学ガラスは、好ましくは、MgO、CaO、SrOおよびBaOのからなる群から選択される1以上のガラス成分を含み、より好ましくはCaOを含み、さらに好ましくはCaOおよびBaOを含む。
光学ガラスが、MgO、CaO、SrOおよびBaOのからなる群から選択される1以上のガラス成分を含むことで、屈折率ndの低下を抑制できる。
【0107】
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oに対するCaOの含有量の質量比(CaO/R’O)と、LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROに対するNaOの含有量の質量比(NaO/RO)との合計[(CaO/R’O)+(NaO/RO)]は、好ましくは1.1より大きく、その下限は、1.2、1.3、1.35、1.4の順により好ましい。[(CaO/R’O)+(NaO/RO)]の上限は、好ましくは1.9であり、さらには1.85、1.8の順により好ましい。
【0108】
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’OとLiO、NaOおよびKOの合計含有量ROとの合計含有量に対する合計含有量R’Oの質量比[R’O/(R’O+RO)]の下限は、好ましくは0.50、さらには0.55、0.60、0.65の順により好ましい。また、質量比[R’O/(R’O+RO)]の上限は、好ましくは0.99、さらには0.98、0.97の順により好ましい。
【0109】
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、NbおよびTiOの合計含有量[Nb+TiO]の下限は、好ましくは5%であり、さらには20%、22%、24%、25%の順により好ましい。また、合計含有量[Nb+TiO]の上限は、好ましくは60%であり、さらには50%、45%、40%の順により好ましい。
【0110】
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、Bの含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4.5%、4.2%、4%の順により好ましい。また、Bの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには0.5%、0.7%、1%の順により好ましい。Bの含有量は0%であってもよい。
【0111】
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記以外のガラス成分の含有量および比率については、第1実施形態と同様とすることができる。また、第2実施形態におけるガラス特性、光学ガラスの製造および光学素子等の製造についても、第1実施形態と同様とすることができる。
【0112】
第3実施形態
第3実施形態に係る光学ガラスは、
屈折率ndが1.69~1.87、アッベ数νdが24~36であって、
SiOの含有量が10~50質量%であり、
TiOの含有量が40質量%以下であり、
Nbの含有量が5~60質量%であり、
BaOの含有量が10質量%以下であり、
La、Y、Gd、YbおよびLuの合計含有量が13.5質量%以下であり、
NbおよびTiOの合計含有量が30質量%以上であり、
NbおよびTiOの合計含有量に対するNbの含有量の質量比[Nb/(Nb+TiO)]が0.7以下であり、
LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROおよびMgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oの合計含有量に対する上記合計含有量R’Oの質量比[R’O/(RO+R’O)]が0.7~1.0であり、
上記合計含有量R’Oに対するMgOおよびCaOの合計含有量の質量比[(MgO+CaO)/R’O]が0.26~1.0である。
【0113】
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、SiOの含有量は10~50%である。SiOの含有量の下限は、好ましくは12%であり、さらには15%、17%、20%の順により好ましい。また、SiOの含有量の上限は、好ましくは45%であり、さらには40%、37%、35%の順により好ましい。
【0114】
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、TiOの含有量は40%以下である。TiOの含有量の上限は、好ましくは35%であり、さらには30%、28%、25%の順により好ましい。TiOの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには5%、8%、10%の順により好ましい。TiOの含有量は0%でもよい。
【0115】
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、Nbの含有量は5~60%である。Nbの含有量の下限は、好ましくは7%であり、さらには8%、9%、10%の順により好ましい。また、Nbの含有量の上限は、好ましくは45%であり、さらには40%、35%、30%の順により好ましい。
【0116】
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、BaOの含有量は10%以下である。BaOの含有量の上限は、好ましくは9%であり、さらには8%、7%の順により好ましい。BaOの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには1%、2%、3%、3.5%の順により好ましい。BaOの含有量は0%でもよい。
【0117】
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、La、Y、Gd、YbおよびLuの合計含有量[La+Y+Gd+Yb+Lu]は13.5%以下である。合計含有量[La+Y+Gd+Yb+Lu]の上限は、好ましくは12%であり、さらには11%、10%、9%の順により好ましい。また、合計含有量[La+Y+Gd+Yb+Lu]の下限は、好ましくは0%であり、さらには0.5%、1%、1.5%の順により好ましい。
【0118】
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、NbおよびTiOの合計含有量[Nb+TiO]は30%以上である。合計含有量[Nb+TiO]の下限は、好ましくは30.05%であり、さらには30.1%、30.15%、30.2%の順により好ましい。また、合計含有量[Nb+TiO]の上限は、好ましくは60%であり、さらには50%、45%、40%の順により好ましい。
合計含有量[Nb+TiO]を上記範囲とすることで、所望の光学恒数を有する光学ガラスが得られる。
【0119】
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、NbおよびTiOの合計含有量に対するNbの含有量の質量比[Nb/(Nb+TiO)]は0.7以下である。質量比[Nb/(Nb+TiO)]上限は、好ましくは0.70、であり、さらには0.65、0.60、0.55、0.50の順により好ましい。また、質量比[Nb/(Nb+TiO)]は、好ましくは0より大きく、その下限は0.10、0.20、0.30の順により好ましい。
【0120】
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’OとLiO、NaOおよびKOの合計含有量ROとの合計含有量に対する合計含有量R’Oの質量比[R’O/(R’O+RO)]は0.7~1.0である。質量比[R’O/(R’O+RO)]の下限は、好ましくは0.71、さらには0.72、0.73、0.74の順により好ましい。また、質量比[R’O/(R’O+RO)]の上限は、好ましくは0.99、さらには0.98、0.97の順により好ましい。
質量比[R’O/(R’O+RO)]が小さすぎると、屈折率ndが低下するおそれがある。質量比[R’O/(R’O+RO)]が大きすぎると、熱的安定性および熔解性が低下し、低分散化し、また比重が上昇するおそれがある。質量比[R’O/(R’O+RO)]を上記範囲とすることで、高屈折率の光学ガラスを得ることができる。
【0121】
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oに対するMgOおよびCaOの合計含有量の質量比[(MgO+CaO)/R’O]は0.26~1.0である。質量比[(MgO+CaO)/R’O]の下限は、好ましくは0.35であり、さらには0.4、0.45、0.5の順により好ましい。また、質量比[(MgO+CaO)/R’O]の上限は、好ましくは0.98であり、さらには0.96、0.94、0.92の順により好ましい。
質量比[(MgO+CaO)/R’O]が小さすぎると、比重が増大するおそれがある。質量比[(MgO+CaO)/R’O]が大きすぎると、熱的安定性が低下するおそれがある。質量比[(MgO+CaO)/R’O]を上記範囲とすることで、比重が低減された光学ガラスを得ることができる。
【0122】
次に、第3実施形態に係る光学ガラスにおける、ガラス成分の含有量および比率の好ましい態様を以下に詳述する。
【0123】
第3実施形態に係る光学ガラスは、好ましくは、LiO、NaOおよびKOからなる群から選択される1以上のガラス成分を含み、より好ましくはNaOを含み、さらに好ましくはLiO、NaOおよびKOを含む。
光学ガラスが、LiO、NaOおよびKOからなる群から選択される1以上のガラス成分を含むことで、ガラスの溶解性を高めることができる。
【0124】
第3実施形態に係る光学ガラスは、好ましくは、MgO、CaO、SrOおよびBaOのからなる群から選択される1以上のガラス成分を含み、より好ましくはCaOを含み、さらに好ましくはCaOおよびBaOを含む。
光学ガラスが、MgO、CaO、SrOおよびBaOのからなる群から選択される1以上のガラス成分を含むことで、屈折率ndの低下を抑制できる。
【0125】
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oに対するCaOの含有量の質量比(CaO/R’O)と、LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROに対するNaOの含有量の質量比(NaO/RO)との合計[(CaO/R’O)+(NaO/RO)]は、好ましくは1.1より大きく、その下限は1.2、1.3、1.35、1.4の順により好ましい。[(CaO/R’O)+(NaO/RO)]の上限は、好ましくは1.9であり、さらには1.85、1.8の順により好ましい。
【0126】
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROおよびMgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oの合計含有量に対するNaOの含有量の質量比[NaO/(RO+R’O)]は、好ましくは0より大きく、その下限は、0.1、0.13、0.15の順により好ましい。質量比[NaO/(RO+R’O)]の上限は、好ましくは0.8であり、さらには0.7、0.6、0.5の順により好ましい。
【0127】
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記合計含有量ROおよび上記合計含有量R’Oの合計含有量に対するCaOの含有量の質量比[CaO/(RO+R’O)]は、好ましくは0.1以上であり、その下限は0.15、0.18、0.2の順により好ましい。質量比[CaO/(RO+R’O)]の上限は、好ましくは0.95であり、さらには0.90、0.87、0.85の順により好ましい。
【0128】
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、Bの含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4.5%、4.2%、4%の順により好ましい。また、Bの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには0.5%、0.7%、1%の順により好ましい。Bの含有量は0%であってもよい。
【0129】
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記以外のガラス成分の含有量および比率については、第1実施形態と同様とすることができる。
【0130】
したがって、第3実施形態に係る光学ガラスは、
屈折率ndが1.69~1.87、
アッベ数νdが24~36であって、
SiOの含有量が10~50%であり、
TiOの含有量が40%以下であり、
Nbの含有量が5~60%であり、
BaOの含有量が10%以下であり、
La、Y、Gd、YbおよびLuの合計含有量が13.5%以下であり、
NbおよびTiOの合計含有量が30%以上であり、
NbおよびTiOの合計含有量に対するNbの含有量の質量比[Nb/(Nb+TiO)]が0.7以下であり、
LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROおよびMgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oの合計含有量に対する上記合計含有量R’Oの質量比[R’O/(RO+R’O)]が0.7~1.0であり、
上記合計含有量R’Oに対するMgOおよびCaOの合計含有量の質量比[(MgO+CaO)/R’O]が0.26~1.0であ
LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROおよびMgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oの合計含有量に対するNaOの含有量の質量比[NaO/(RO+R’O)]が0.1以上であってもよい。
【0131】
また、第3実施形態に係る光学ガラスは、
屈折率ndが1.69~1.87、
アッベ数νdが24~36であって、
SiOの含有量が10~50%であり、
TiOの含有量が40%以下であり、
Nbの含有量が5~60%であり、
BaOの含有量が3.5%以上10%以下であり、
La、Y、Gd、YbおよびLuの合計含有量が13.5%以下であり、
NbおよびTiOの合計含有量が30%以上であり、
NbおよびTiOの合計含有量に対するNbの含有量の質量比[Nb/(Nb+TiO)]が0.60以下であり、
LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROおよびMgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oの合計含有量に対する上記合計含有量R’Oの質量比[R’O/(RO+R’O)]が0.7~0.97であり、
上記合計含有量R’Oに対するMgOおよびCaOの合計含有量の質量比[(MgO+CaO)/R’O]が0.26~1.0であってもよい。
【0132】
第3実施形態におけるガラス特性、光学ガラスの製造および光学素子等の製造についても、第1実施形態と同様とすることができる。
【0133】
第4実施形態
第4実施形態に係る光学ガラスは、
屈折率ndが1.69~1.87、アッベ数νdが24~36であって、
SiOの含有量が10~50質量%であり、
TiOの含有量が40質量%以下であり、
Nbの含有量が5~60質量%であり、
の含有量が5質量%以下であり、
BaOの含有量が10質量%以下であり、
La、Y、Gd、YbおよびLuの合計含有量が13.5質量%以下であり、
NbおよびTiOの合計含有量に対するNbの含有量の質量比[Nb/(Nb+TiO)]が0.5以下であり、
LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROおよびMgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oの合計含有量に対する上記合計含有量R’Oの質量比[R’O/(RO+R’O)]が0.71~1.0であり、
上記合計含有量R’Oに対するMgOおよびCaOの合計含有量の質量比[(MgO+CaO)/R’O]が0.26~1.0である。
【0134】
第4実施形態に係る光学ガラスにおいて、SiOの含有量は10~50%である。SiOの含有量の下限は、好ましくは12%であり、さらには15%、17%、20%の順により好ましい。また、SiOの含有量の上限は、好ましくは45%であり、さらには40%、37%、35%の順により好ましい。
【0135】
第4実施形態に係る光学ガラスにおいて、TiOの含有量は40%以下である。TiOの含有量の上限は、好ましくは35%であり、さらには30%、28%、25%の順により好ましい。TiOの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには5%、8%、10%の順により好ましい。TiOの含有量は0%でもよい。
【0136】
第4実施形態に係る光学ガラスにおいて、Nbの含有量は5~60%である。Nbの含有量の下限は、好ましくは7%であり、さらには8%、9%、10%の順により好ましい。また、Nbの含有量の上限は、好ましくは45%であり、さらには40%、35%、30%の順により好ましい。
【0137】
第4実施形態に係る光学ガラスにおいて、Bの含有量は5%以下である。Bの含有量の上限は、好ましくは4.5%であり、さらには4.2%、4%の順により好ましい。また、Bの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには0.5%、0.7%、1%の順により好ましい。Bの含有量は0%であってもよい。
の含有量が多すぎると屈折率ndが低下するおそれがある。Bの含有量を上記範囲とすることで、ガラスの熱的安定性を改善できる。
【0138】
第4実施形態に係る光学ガラスにおいて、BaOの含有量は10%以下である。BaOの含有量の上限は、好ましくは9%であり、さらには8%、7%の順により好ましい。BaOの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには1%、2%、3%、3.5%の順により好ましい。BaOの含有量は0%でもよい。
【0139】
第4実施形態に係る光学ガラスにおいて、La、Y、Gd、YbおよびLuの合計含有量[La+Y+Gd+Yb+Lu]は13.5%以下である。合計含有量[La+Y+Gd+Yb+Lu]の上限は、好ましくは12%であり、さらには11%、10%、9%の順により好ましい。また、合計含有量[La+Y+Gd+Yb+Lu]の下限は、好ましくは0%であり、さらには0.5%、1%、1.5%の順により好ましい。
【0140】
第4実施形態に係る光学ガラスにおいて、NbおよびTiOの合計含有量に対するNbの含有量の質量比[Nb/(Nb+TiO)]は0.5以下である。質量比[Nb/(Nb+TiO)]上限は、好ましくは0.50、であり、さらには0.48、0.47、0.46、0.45、0.44の順により好ましい。また、質量比[Nb/(Nb+TiO)]は、好ましくは0より大きく、その下限は0.10、0.20、0.30の順により好ましい。
質量比[Nb/(Nb+TiO)]が大きすぎると、比重が増大するおそれがある。質量比[Nb/(Nb+TiO)]が小さすぎると、部分分散比Pg,Fが増加するおそれがある。質量比[Nb/(Nb+TiO)]を上記範囲とすることで、比重を低減し、またガラスの原料コストの増加を抑制できる。
【0141】
第4実施形態に係る光学ガラスにおいて、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’OとLiO、NaOおよびKOの合計含有量ROとの合計含有量に対する合計含有量R’Oの質量比[R’O/(R’O+RO)]は0.71~1.0である。質量比[R’O/(R’O+RO)]の下限は、好ましくは0.72、さらには0.73、0.74の順により好ましい。また、質量比[R’O/(R’O+RO)]の上限は、好ましくは0.99、さらには0.98、0.97の順により好ましい。
質量比[R’O/(R’O+RO)]が小さすぎると、屈折率ndが低下するおそれがある。質量比[R’O/(R’O+RO)]が大きすぎると、熱的安定性および熔解性が低下し、低分散化し、また比重が上昇するおそれがある。質量比[R’O/(R’O+RO)]を上記範囲とすることで、高屈折率の光学ガラスを得ることができる。
【0142】
第4実施形態に係る光学ガラスにおいて、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oに対するMgOおよびCaOの合計含有量の質量比[(MgO+CaO)/R’O]は0.26~1.0である。質量比[(MgO+CaO)/R’O]の下限は、好ましくは0.35であり、さらには0.4、0.45、0.5の順により好ましい。また、質量比[(MgO+CaO)/R’O]の上限は、好ましくは0.98であり、さらには0.96、0.94、0.92の順により好ましい。
【0143】
次に、第4実施形態に係る光学ガラスにおける、ガラス成分の含有量および比率の好ましい態様を以下に詳述する。
【0144】
第4実施形態に係る光学ガラスは、好ましくは、LiO、NaOおよびKOからなる群から選択される1以上のガラス成分を含み、より好ましくはNaOを含み、さらに好ましくはLiO、NaOおよびKOを含む。
光学ガラスが、LiO、NaOおよびKOからなる群から選択される1以上のガラス成分を含むことで、ガラスの溶解性を高めることができる。
【0145】
第4実施形態に係る光学ガラスは、好ましくは、MgO、CaO、SrOおよびBaOのからなる群から選択される1以上のガラス成分を含み、より好ましくはCaOを含み、さらに好ましくはCaOおよびBaOを含む。
光学ガラスが、MgO、CaO、SrOおよびBaOのからなる群から選択される1以上のガラス成分を含むことで、屈折率ndの低下を抑制できる。
【0146】
第4実施形態に係る光学ガラスにおいて、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oに対するCaOの含有量の質量比(CaO/R’O)と、LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROに対するNaOの含有量の質量比(NaO/RO)との合計[(CaO/R’O)+(NaO/RO)]は、好ましくは1.1より大きく、その下限は、1.2、1.3、1.35、1.4の順により好ましい。[(CaO/R’O)+(NaO/RO)]の上限は、好ましくは1.9であり、さらには1.85、1.8の順により好ましい。
【0147】
第4実施形態に係る光学ガラスにおいて、LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROおよびMgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oの合計含有量に対するNaOの含有量の質量比[NaO/(RO+R’O)]は、好ましくは0より大きく、その下限は、0.1、0.13、0.15の順により好ましい。質量比[NaO/(RO+R’O)]の上限は、好ましくは0.8であり、さらには0.7、0.6、0.5の順により好ましい。
【0148】
第4実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記合計含有量ROおよび上記合計含有量R’Oの合計含有量に対するCaOの含有量の質量比[CaO/(RO+R’O)]は、好ましくは0.1以上であり、その下限は0.15、0.18、0.2の順により好ましい。質量比[CaO/(RO+R’O)]の上限は、好ましくは0.95であり、さらには0.90、0.87、0.85の順により好ましい。
【0149】
第4実施形態に係る光学ガラスにおいて、NbおよびTiOの合計含有量[Nb+TiO]の下限は、好ましくは5%であり、さらには20%、22%、24%、25%の順により好ましい。また、合計含有量[Nb+TiO]の上限は、好ましくは60%であり、さらには50%、45%、40%の順により好ましい。
【0150】
第4実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記以外のガラス成分の含有量および比率については、第1実施形態と同様とすることができる。
【0151】
したがって、第4実施形態に係る光学ガラスは、
屈折率ndが1.69~1.87、
アッベ数νdが24~36であって、
SiOの含有量が10~50%であり、
TiOの含有量が40%以下であり、
Nbの含有量が5~60%であり、
の含有量が5%以下であり、
BaOの含有量が10%以下であり、
La、Y、Gd、YbおよびLuの合計含有量が13.5%以下であり、
NbおよびTiOの合計含有量に対するNbの含有量の質量比[Nb/(Nb+TiO)]が0.5以下であり、
LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROおよびMgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oの合計含有量に対する上記合計含有量R’Oの質量比[R’O/(RO+R’O)]が0.71~1.0であり、
上記合計含有量R’Oに対するMgOおよびCaOの合計含有量の質量比[(MgO+CaO)/R’O]が0.26~1.0であり、
LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROおよびMgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量R’Oの合計含有量に対するNaOの含有量の質量比[NaO/(RO+R’O)]が0.1以上であってもよい。
【0152】
また、第4実施形態におけるガラス特性、光学ガラスの製造および光学素子等の製造についても、第1実施形態と同様とすることができる。
【実施例
【0153】
以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明する。ただし、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
【0154】
(実施例1)
表1-1~1-10および表2-1~2-10に示すガラス組成を有するガラスサンプルを以下の手順で作製し、各種評価を行った。
【0155】
[光学ガラスの製造]
まず、ガラスの構成成分に対応する酸化物、水酸化物、炭酸塩、および硝酸塩を原材料として準備し、得られる光学ガラスのガラス組成が、表1-1~1-10に示す各組成となるように上記原材料を秤量、調合して、原材料を十分に混合した。こうして得られた調合原料(バッチ原料)を、白金坩堝に投入し、1350℃~1450℃で2~5時間加熱して熔融ガラスとし、攪拌して均質化を図り、清澄してから、熔融ガラスを適当な温度に予熱した金型に鋳込んだ。鋳込んだガラスを、ガラス転移温度TgからTgより100℃低い温度の間で30分間熱処理し、炉内で室温まで放冷することにより、ガラスサンプルを得た。
【0156】
[ガラス成分組成の確認]
得られたガラスサンプルについて、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)で各ガラス成分の含有量を測定し、表1-1~1-10に示す各組成のとおりであることを確認した。
【0157】
[光学特性の測定]
得られたガラスサンプルを、さらにガラス転移温度Tg付近で約30分から約2時間アニール処理した後、炉内で降温速度-30℃/時間で室温まで冷却してアニールサンプルを得た。得られたアニールサンプルについて、屈折率nd、ng、nFおよびnC、アッベ数νd、部分分散比Pg,F、比重、ガラス転移温度Tg、λ80、λ70およびλ5を測定した。結果を表3-1~3-10に示す。
(i)屈折率nd、ng、nF、nCおよびアッベ数νd
上記アニールサンプルについて、JIS規格 JIS B 7071-1の屈折率測定法により、屈折率nd、ng、nF、nCを測定し、下式に基づきアッベ数νdを算出した。
νd=(nd-1)/(nF-nC)
【0158】
(ii)部分分散比Pg,F
g線、F線、c線における各屈折率ng、nF、nCを用いて、下記式に基づき部分分散比Pg,Fを算出した。
Pg,F=(ng-nF)/(nF-nC)
【0159】
(iii)部分分散比Pg,Fの偏差ΔPg,F
部分分散比Pg,Fおよびアッベ数νdを用いて、下記式に基づき算出した。
ΔPg,F=Pg,F+(0.0018×νd)-0.6483
【0160】
(iv)比重
比重は、アルキメデス法により測定した。
【0161】
(v)ガラス転移温度Tg
ガラス転移温度Tgは、NETZSCH JAPAN社製の示差走査熱量分析装置(DSC3300SA)を使用し、昇温速度10℃/分にて測定した。
【0162】
(vi)λ80、λ70、λ5
上記アニールサンプルを、厚さ10mmで、互いに平行かつ光学研磨された平面を有するように加工し、波長280nmから700nmまでの波長域における分光透過率を測定した。光学研磨された一方の平面に垂直に入射する光線の強度を強度Aとし、他方の平面から出射する光線の強度を強度Bとして、分光透過率B/Aを算出した。分光透過率が80%になる波長をλ80とし、分光透過率B/Aを算出した。分光透過率が70%になる波長をλ70とし、分光透過率が5%になる波長をλ5とした。なお、分光透過率には試料表面における光線の反射損失も含まれる。
【0163】
【表1-1】
【0164】
【表1-2】
【0165】
【表1-3】
【0166】
【表1-4】
【0167】
【表1-5】
【0168】
【表1-6】
【0169】
【表1-7】
【0170】
【表1-8】
【0171】
【表1-9】
【0172】
【表1-10】
【0173】
【表2-1】
【0174】
【表2-2】
【0175】
【表2-3】
【0176】
【表2-4】
【0177】
【表2-5】
【0178】
【表2-6】
【0179】
【表2-7】
【0180】
【表2-8】
【0181】
【表2-9】
【0182】
【表2-10】
【0183】
【表3-1】
【0184】
【表3-2】
【0185】
【表3-3】
【0186】
【表3-4】
【0187】
【表3-5】
【0188】
【表3-6】
【0189】
【表3-7】
【0190】
【表3-8】
【0191】
【表3-9】
【0192】
【表3-10】
【0193】
(実施例2)
実施例1において作製した各光学ガラスを用いて、公知の方法により、レンズブランクを作製し、レンズブランクを研磨等の公知方法により加工して各種レンズを作製した。
作製した光学レンズは、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズ、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ等の各種レンズである。
各種レンズは、他種の光学ガラスからなるレンズと組合せることにより、二次の色収差を良好に補正することができた。
【0194】
また、ガラスが低比重であるため、各レンズとも同等の光学特性、大きさを有するレンズよりも重量が小さく、各種撮像機器、特に省エネ可能という理由等によりオートフォーカス式の撮像機器用として好適である。同様にして、実施例1で作製した各種光学ガラスを用いてプリズムを作製した。
【0195】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0196】
例えば、上記に例示されたガラス組成に対し、明細書に記載の組成調整を行うことにより、本発明の一態様にかかる光学ガラスを作製することができる。
また、明細書に例示または好ましい範囲として記載した事項の2つ以上を任意に組み合わせることは、もちろん可能である。