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特許7383383プラント設備の管理方法及びプラント設備の経過観察装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】プラント設備の管理方法及びプラント設備の経過観察装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20231113BHJP
【FI】
G05B23/02 V
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019025751
(22)【出願日】2019-02-15
(65)【公開番号】P2020135220
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】507036050
【氏名又は名称】住友重機械エンバイロメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 茂
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-088373(JP,A)
【文献】特開2007-042014(JP,A)
【文献】特開2014-165889(JP,A)
【文献】特開2009-273113(JP,A)
【文献】特開2014-191536(JP,A)
【文献】特開2000-259239(JP,A)
【文献】特開2017-135436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水処理プラント設備の管理方法であって、
経過観察が必要な対象に対し、経過観察に必要な情報を取得するための経過観察装置を設置する経過観察装置設置ステップと、
経過観察期間が完了した後に、前記経過観察装置を回収する経過観察装置回収ステップとを備え、
前記経過観察が必要な対象は、既に不調の傾向を示している機器、又は、不具合の発生が予測される機器であり、
前記経過観察期間は、対象に不具合が発生し、対象の交換又は修理が決定あるいは実行されるまでの期間であって、
前記経過観察装置は、経過観察に必要な臭い又は水位を含むパラメータに係る情報を取得可能であり、当該情報を送信する頻度が設定されることが可能であることを特徴とする、水処理プラント設備の管理方法。
【請求項2】
前記経過観察装置が、経過観察が必要な対象に対し、経過観察に必要な情報を取得し、情報を解析して前記対象の状態を判断することを特徴とする、請求項1に記載の水処理プラント設備の管理方法。
【請求項3】
前記経過観察装置設置ステップの前段に、経過観察が必要な対象を探知する経過観察対象探知ステップを備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の水処理プラント設備の管理方法。
【請求項4】
前記経過観察装置は、経過観察に必要な複数のパラメータに係る情報を取得可能であることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の水処理プラント設備の管理方法。
【請求項5】
水処理プラント設備の経過観察装置であって、
経過観察を行うために必要な臭い又は水位を含むパラメータに係る情報を取得する情報取得部と、
経過観察が必要な対象に対して設置を行うための設置部を有し、
前記設置部は、前記対象に対する設置及び撤去が容易な構造を有し、
前記経過観察が必要な対象は、既に不調の傾向を示している機器、又は、不具合の発生が予測される機器であり、
経過観察期間は、対象に不具合が発生し、対象の交換又は修理が決定あるいは実行されるまでの期間であり、
前記情報を送信する頻度が設定されることが可能であることを特徴とする、水処理プラント設備の経過観察装置。
【請求項6】
前記経過観察装置は、取得した情報を解析する解析部と、解析結果にもとづいて、対象の状態を判断する判断部を有することを特徴とする、請求項5に記載の水処理プラント設備の経過観察装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラント設備の管理方法及びプラント設備の経過観察装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プラントでは、設けられた設備や機器の維持管理において、機器の部品ごとに耐用年数や耐用時間を設定し、故障の有無にかかわらず交換するという予防保全が行われている。この場合、計画的な作業が可能となる一方、設定した耐用年数や耐用時間よりも前に機器が故障した場合、大規模事故につながる可能性がある。また、まだ十分に使用可能な部品を無駄に交換することになるという課題もある。
【0003】
一方、プラント設備及び機器の長寿命化と維持管理コストの観点から、設備及び機器の状態に係る情報を把握し、最適な時期に修理・交換などの対応を行う予知保全が求められている。このため、プラント設備の維持管理においては、設備及び機器の状態に係る情報を得るための点検に要する負荷が増大している。
【0004】
従来の点検においては、プラントの運転において特に重要となる一部の設備や機器に対しては、センサー類の指示値や運転データに係る情報を自動で収集する機能を設け、得られた情報は中央監視室などに集積し、解析を行い、必要に応じて作業者が現場に赴き対応することが行われている。また、その他の設備や機器については、作業者による巡回点検が行われている。
【0005】
例えば、特許文献1には、プラントに設けられたセンサー類、バルブ類、機器類を含むフィールド機器に固有の識別情報を保持した識別情報保持体と、フィールド機器の点検の際に作業者が用いる点検用の携帯情報端末とを備えるフィールドデータ収集システムが記載されている。このフィールドデータ収集システムは、作業者による巡回点検時に、携帯情報端末が指示計の指示値の読み取りと記憶を行うため、作業者による指示値の読み間違いや誤入力の問題が解消するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-106389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のように、機器ごとに識別情報保持体を設け、作業員による巡回点検時に携帯情報端末にデータ読み取りと記憶を行う場合、各機器の状態に係る情報を見落としなく得ることが可能となる。一方、多種かつ多数な機器に対してそれぞれ識別情報を付与し、さらに識別情報保持体を設置するという作業が必要であり、その作業に係る費用が高額となるという問題がある。
【0008】
また、予知保全の観点からプラント設備の維持管理を行う場合、故障など機能の即時停止には至らないものの、不調の傾向を示す機器の状態に係る情報が確認された場合、機器の状態を継続的に把握する必要が生じる。同様に、応急処置を施した機器においても、機器の状態を継続的に把握する必要が生じる。
しかし、特許文献1に記載されるように、機器の状態を把握するために、作業者がプラント内を巡回してデータ収集を行う必要がある場合、機器の状態を継続的に把握するためには作業者による巡回点検の回数を増やすことになる。近年の人口減による人手不足、人的コストを鑑みると、作業者による巡回点検の回数は減らすことが好ましい。
【0009】
したがって、プラント設備の維持管理においては、不調の傾向を示す機器や応急処置後の機器など、継続的に状態を把握する必要が一時的に生じた機器に対して、低コストで、かつ作業者による巡回点検回数を増やすことなく、適切な対応を行うことが求められている。
【0010】
本発明の課題は、プラント設備の維持管理において、継続的に状態を把握する必要が一時的に生じた対象に対して、低コストで、かつ作業者による巡回点検の回数増加を伴うことなく、対象の状態の把握を必要な期間のみ行う経過観察が可能なプラント設備の管理方法及びプラント設備の経過観察装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、不調の傾向を示す機器や応急処置後の機器など、経過観察が必要な対象に対して、経過観察に必要な情報を取得するための装置を設置し、所定期間後、設置した装置を回収することで、低コストで、かつ作業者による巡回点検の負荷を増加させることなく、対象の状態の把握を行うことが可能となることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下のプラント設備の管理方法及びプラント設備の経過観察装置である。以下、本発明のプラント設備の経過観察装置は、単に経過観察装置と呼ぶこともある。
【0012】
上記課題を解決するための本発明のプラント設備の管理方法は、経過観察が必要な対象に対し、経過観察に必要な情報を取得するための経過観察装置を設置する経過観察装置設置ステップと、経過観察期間が完了した後に、前記経過観察装置を回収する経過観察装置回収ステップとを備えたことを特徴とする。
このプラント設備の管理方法によれば、経過観察が必要な対象に対し、経過観察に必要な情報を取得する経過観察装置を必要な期間だけ設置した後、回収することで、対象の状態に係る情報を取得する装置を常設する必要がなく、低コスト化が可能になる。また、経過観察を行うための経過観察装置を一時的に設置することで、対象の状態に係る情報を取得できるため、作業者が巡回点検回数を増やす必要がなく、対象に対する適切な対応を行うことが可能となる。
【0013】
また、本発明のプラント設備の管理方法の一実施態様としては、経過観察装置設置ステップの前段に、経過観察が必要な対象を探知する経過観察対象探知ステップを備えるという特徴を有する。
この特徴によれば、経過観察が必要な対象を事前に探知することで、既に不調の傾向を示している機器以外にも、経過観察が必要な対象を選定することができ、この対象に対しても経過観察装置の設置及び回収による経過観察を行うことで、プラント設備の維持管理における点検の作業負荷を低減させることが可能となる。
【0014】
また、本発明のプラント設備の管理方法の一実施態様としては、経過観察装置は、経過観察に必要な複数のパラメータに係る情報を取得可能であるという特徴を有する。
この特徴によれば、経過観察装置に複数のパラメータに係る情報を取得させることで、経過観察装置を一度設置することにより、対象の状態に係る十分な情報を取得することができるため、作業者が巡回点検回数を増やす必要がなく、点検の作業負荷を低減させることが可能となる。また、経過観察が必要な対象の範囲を広げることができ、プラント設備の管理方法としての汎用性を高めることができる。
【0015】
上記課題を解決するための本発明のプラント設備の経過観察装置は、経過観察を行うために必要なパラメータに係る情報を取得する情報取得部と、経過観察が必要な対象に対して設置を行うための設置部を有し、設置部は、対象に対する設置及び撤去が容易な構造を有することを特徴とする。
このプラント設備の経過観察装置によれば、経過観察が必要な対象に対する設置及び撤去を容易とすることで、経過観察に必要な情報を取得する装置を常設する必要がなくなるため、低コスト化が可能になる。また、経過観察が必要な対象の状態に係る情報を取得できるため、作業者が巡回点検回数を増やす必要がなく、対象に対する適切な対応を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、プラント設備の維持管理において、継続的に状態を把握する必要が一時的に生じた対象に対して、低コストで、かつ作業者による巡回点検の回数増加を伴うことなく、対象の状態の把握を必要な期間のみ行う経過観察が可能なプラント設備の管理方法及びプラント設備の経過観察装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施態様の経過観察装置を適用するプラント設備を示す概略説明図である。
図2】本発明の第1の実施態様の経過観察装置の構造を示す概略説明図である。
図3】本発明の第1の実施態様のプラント設備の管理方法における経過観察装置設置ステップに係る工程説明図である。
図4】本発明の第1の実施態様のプラント設備の管理方法における経過観察装置設置ステップに係る他の工程説明図である。
図5】本発明の第1の実施態様のプラント設備の管理方法における経過観察装置設置ステップに係る他の工程説明図である。
図6】本発明の第1の実施態様のプラント設備の管理方法における経過観察装置回収ステップに係る工程説明図である。
図7】本発明の第2の実施態様の経過観察装置の構造を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る好適な実施態様について、添付図面を参照して詳細に説明する。
なお、実施態様に記載するプラント設備の経過観察装置については、本発明に係るプラント設備の経過観察装置を説明するために例示したに過ぎず、これに限定されるものではない。また、実施態様に記載するプラント設備の管理方法についても、本発明に係るプラント設備の経過観察装置を用いたプラント設備の管理方法を説明するために例示したに過ぎず、これに限定されるものではない。
【0019】
本発明のプラント設備の管理方法及び経過観察装置は、プラント設備の維持管理に係るものである。維持管理対象であるプラント設備は、特に限定されないが、広い敷地の中に設備や機器が配置されているプラント設備が特に好適である。例えば、化学プラント、水処理プラントや発電プラントなどが挙げられる。
なお、実施態様に記載するプラント設備については、本発明を説明するための例示であって、これに限定されるものではない。
【0020】
〔第1の実施態様〕
(プラント設備の経過観察装置)
図1は、本発明の第1の実施態様における経過観察装置を適用するプラント設備を示す概略説明図である。
本発明の第1の実施態様の経過観察装置1aは、図1に示すように、プラント100内の経過観察が必要な対象110に設置されるものである。
【0021】
本実施態様におけるプラント100は、複数の機器101a~101i、監視室102を備えている。なお、プラント100及び機器101a~101iの種類は、特に限定されない。また、本実施態様においては、9台の機器101a~101iを示しているが、機器の台数も特に限定されるものではない。
図1は、プラント100が3系列を有する水処理プラントである場合を例示するものである。図1において、機器101a~101cは最初沈殿池、機器101d~101fは反応槽、機器101g~101iは最終沈殿池を示している。
【0022】
監視室102は、プラントの維持管理に係る判断及びプラントの維持管理に伴う作業を行う場所であり、プラントの維持管理に係る判断を主として行う管理者やプラントの維持管理に伴う現場作業(巡回点検や機器に対する処置)を主として行う作業者(以下、管理者と作業者を併せて「作業者等」という。)が在室するところである。また、監視室102は、プラント100内の設備及び機器に係る制御装置を備えるものであってもよい。
なお、監視室102は、プラント100内に設けるものであってもよく、プラント100とは別敷地に設けられたものであってもよい。また、作業者等には、管理者と作業者の両方が含まれるが、管理者と作業者を明確に区別し、それぞれの業務(判断又は現場作業)に当たるものであってもよく、管理者と作業者を明確に区別せず、それぞれの業務を同一人物が行うものであってもよい。
【0023】
また、経過観察が必要な対象110は、プラント100内の設備や機器のうち、不調の傾向を示す機器や応急処置・更新直後の機器など、状態に係る情報を継続的に必要とするが、情報を必要とする期間が一時的であるものを指す。
なお、対象110は、プラント100内の設備及び機器に関するものであれば、特に限定されない。図1においては、機器101f内の一部を対象110として示している。
【0024】
図2は、本発明の第1の実施態様における経過観察装置1aの構造を示す概略説明図である。なお、図2A及び図2Bは、それぞれ設置部3の係止部31に係る実施態様が異なるものを示すものである。
本実施態様における経過観察装置1aは、対象110の状態に係る情報を得るものであって、情報取得部2と設置部3と情報送受信部4を有する。なお、図2において、一点鎖線で示された矢印は、制御又は入力可能に接続されていることを示す。
【0025】
情報取得部2は、対象110を経過観察するために必要な情報を取得するためのものである。
経過観察に必要な情報については、特に限定されない。例えば、画像(静止画・動画)、温度、音(振動)、におい、水位などが挙げられる。また、経過観察に必要な情報は、対象110自体を情報取得対象とするものであってもよく、対象110近傍を情報取得対象とするものであってもよい。
【0026】
情報取得部2としては、上述した経過観察に必要な情報を取得可能なセンサー、検出器や記録装置が挙げられる。例えば、静止画や動画の記録が可能なカメラ、温度センサー、音センサー、においセンサー、水位計などが挙げられる。
また、情報取得部2は、複数のセンサー、検出器や記録装置を組み合わせ、複数のパラメータに係る情報を取得可能となるようにすることが好ましい。これにより、対象110に対して経過観察装置1aを一度設置するだけで、経過観察に必要な情報を十分に得ることが可能となるとともに、経過観察装置1により必要な情報を収集することが可能な対象110の範囲を広げることができる。したがって、作業者等が巡回点検回数を増やす必要がなく、点検の作業負荷を低減させることが可能となる。また、プラント設備の維持管理における汎用性を高めることができる。
【0027】
画像撮影・記録装置であるカメラは、静止画・動画を記録することができるものであればよい。また、カメラの種類は、対象110の特性だけではなく、対象110のある周辺環境に応じて選択することが好ましい。例えば、対象110の周囲に光源がない場合、赤外線カメラや暗視カメラのように、暗い場所でも記録が可能であるものを用いることが好ましい。また、作業者等の目視に近い状況下で、対象110の経過観察に必要な情報を得る必要がある場合、可視光カメラを用いることが好ましい。
【0028】
温度センサーは、対象110自体の温度を測定するものであってもよく、対象110周辺の温度を測定するものであってもよい。また、温度センサーの種類は特に限定されない。温度センサーとしては、例えば、バイメタル式や熱膨張式の温度計、熱電対や測温抵抗体を用いた温度センサー、赤外線の検知による温度センサー、サーモカメラなどが挙げられる。
【0029】
音センサーは、音質(周波数)、音量など、音に関する情報を検出することができるものであればよく、音センサーの種類は特に限定されない。なお、検出対象となる音は、人間が聞くことのできる音だけではなく、振動、超音波なども含むものである。音センサーとしては、例えば、マイクロホン、超音波検出器、振動センサーなどが挙げられる。
【0030】
においセンサーは、対象110の異常時に発生することが想定される臭気を検出対象とすることが好ましい。例えば、プラント100が下水処理場などの水処理プラントである場合、被処理水である下水に含まれるアンモニアや硫黄系化合物に由来する臭気成分を検出することが挙げられる。また、プラント100が火力発電やバイオマス発電などの発電プラントである場合、燃料やタービンの潤滑油等に用いられる炭化水素系化合物に由来する臭気成分を検出することが挙げられる。
【0031】
においセンサーとしては、例えば、特定の単成分(例えば、アンモニア、メチルメルカプタン等の特定悪臭物質)を測定する臭気測定器や、複合成分(例えば、硫黄系化合物類、炭化水素系化合物類、アルデヒド類、低級脂肪酸類等)を測定する臭気測定器が挙げられる。また、成分を特定せず、広義の臭気を検出するものとして、脂質膜や半導体を利用したにおいセンサーが挙げられる。
【0032】
設置部3は、対象110に対して、経過観察装置1aを設置するためのものである。設置部3は、筐体30と係止部31を備えている。
【0033】
筐体30は、情報取得部2を収容するためものである。筐体30は、対象110自体又は対象110近傍に設置することができるものであればよく、筐体30の形状、大きさは適宜選択することができる。例えば、筐体30を持ち運び容易な形状、大きさとすることが好ましい。これにより、経過観察装置1aとしての利便性が向上する。
また、筐体30は、情報取得部2の設置を容易とするとともに、情報取得部2の保護部材を兼ねるものである。したがって、経過観察装置1aの設置箇所や設置環境に応じて、筐体30を省略するものとしてもよい。
【0034】
係止部31は、筐体30を対象110自体又は対象110近傍に係止するためのものである。係止部31は、対象110自体又は対象110近傍に対して筐体30を固定するとともに、筐体30を容易に撤去することができる構造を有する。
【0035】
係止部31としては、図2Aに示すように、筐体30を対象110自体に安定して係止するためのものが挙げられる。例えば、磁力、吸着力などを利用したものや、固定用部材を使用したものなどが挙げられる。具体的には、例えば、マグネットシート、吸盤、ねじ、結束バンド、ビニールテープなどが挙げられる。
また、係止部31としては、図2Bに示すように、筐体30を対象110近傍に安定して係止するためのものが挙げられる。例えば、筐体30を積載して固定する三脚や架台、筐体30に対する重りなどが挙げられる。
【0036】
筐体30を省略する場合、係止部31を情報取得部2に直接設けるものとしてもよい。また、情報取得部2のみ、あるいは筐体30を設けることのみで、情報取得部2が安定して対象110自体又は対象110近傍に係止することができる場合、係止部31を省略するものとしてもよい。
【0037】
情報送受信部4は、情報取得部2において得られた情報について、外部と送受信を行うためのものである。図2に示すように、情報取得部2と情報送受信部4は、お互いに入出力可能となるように接続されている。また、図2に示すように、情報送受信部4も、設置部3の筐体30内に収容するものとすることが好ましい。これにより、情報取得部2と情報送受信部4を一体として扱うことが可能となる。
【0038】
情報送受信部4が情報の送受信を行う手段は、特に限定されず、公知の技術を用いることができる。なお、情報の送受信先は、監視室102内の制御装置であってもよく、作業者等が携帯する情報端末であってもよい。これにより、作業者等はプラント100内の巡回点検回数を増やすことなく、監視室102に在室したままであっても対象110の状態に係る情報を得ることが可能となる。
【0039】
情報送受信部4から送信される情報は、情報取得部2において得られたデータを直接送信するものであってもよく、情報取得部2において得られたデータのうち、あらかじめ設定した設定値を超えた場合など、不具合発生が懸念される内容のものについてのみを送信するものであってもよい。情報取得部2において得られたデータを直接送信する場合、作業者等や監視室102の制御装置により対象110の状態を判断し、適切な対応を行うことが可能となる。また、情報取得部2において得られたデータのうち、不具合発生が懸念される内容のものについてのみ送信する場合、その後の対応を速やかに実施することが可能となる。
【0040】
情報送受信部4から情報を送信する頻度については、適宜選択することができる。例えば、常時情報を送信するものや、所定時間ごとに情報を送信するものが挙げられる。また、作業者等が携帯する情報端末や監視室102の制御装置を介して、送信すべき情報の種類の選択及び指示と、情報の送信に係る命令が発信され、情報送受信部4がその命令を受信したときに、当該情報を送信すること等が挙げられる。
【0041】
(プラント設備の管理方法)
図3図6は、本実施態様におけるプラント設備の管理方法に係る工程説明図である。なお、図1及び図2における説明と同一の構造については、同じ符号を使用しており、説明を省略する。
本実施態様におけるプラント設備の管理方法は、上述した経過観察装置1aを用い、経過観察が必要な対象110に対して、経過観察装置1aを設置する経過観察装置設置ステップと、経過観察期間が完了した後に、経過観察装置1aを回収する経過観察装置回収ステップを含むものである。
【0042】
図3図5は、経過観察装置設置ステップに係る工程を示す。
まず、図3に示すように、経過観察が必要な対象110(機器101fの一部)に対し、経過観察装置1aを設置する。このとき、経過観察装置1aの設置工程としては、例えば、作業者等が経過観察装置1aをプラント100内に持ち込み、係止部31により対象110自体又は対象110近傍に設置することや、経過観察装置1aを移動体に積載し、移動体を操作することによって、プラント100内に持ち込み、係止部31により対象110自体又は対象110近傍に設置することなどが挙げられる。
そして、図4に示すように、経過観察装置1aを対象110自体又は対象110近傍に設置後、経過観察装置1aの電源を入れ、対象110の状態に係る情報の取得を開始する。
【0043】
次に、図5に示すように、作業者等による巡回点検の回数を増やすことなく、監視室102の制御装置又は作業者等が携帯する情報端末が経過観察装置1aからの情報を受信し、対象110の状態に係る情報を必要に応じて作業者等又は監視室102の制御装置によって確認する。また、情報の確認後、対象110の状態に係る情報の取得を継続するものとしてもよく、対象110に対する対応を行うものとしてもよい。
対応の内容としては、例えば、経過観察装置1aが情報取得部2として水位計、音センサーを備え、対象110が機器101f(反応槽)の一部である場合、水位が基準値を下回ったことや異音が発生したことに係る情報が経過観察装置1aから送信された場合、作業者等は機器101fの部品の不具合が生じたものと判断し、機器101fの部品の修理や交換に係る作業を行うことが挙げられる。また、管理室102の制御装置により、機器101fの稼働を停止することが挙げられる。他の対応例としては、経過観察装置1aから送信される情報の内容から、熟練作業者等の経験や過去の記録に基づき、対象110に対する対応を行うことなどが挙げられる。
【0044】
経過観察装置設置ステップにおいて、設置する経過観察装置1aの台数は特に限定されない。対象110が複数箇所に点在した場合においても、それぞれの対象110ごとに経過観察装置1を設置することで、作業者等の巡回点検の回数を増やすことなく複数の対象110に対する対応を行うことが可能となる。また、それぞれの対象110に応じた情報取得部2を備えた経過観察装置1aを設置するものとしてもよい。これにより、対象110の状態に係る情報の精度を向上させることが可能となる。
【0045】
図6は、経過観察装置回収ステップに係る工程を示す。
図6に示すように、経過観察が必要である期間(経過観察期間)経過後、作業者等による作業又は移動体の操作により、経過観察装置1aを対象110から回収する。このとき、経過観察装置1aの回収工程としては、例えば、係止部31が対象110自体に対して経過観察装置1aを固定する固定部材であった場合、作業者等が固定部材を取り外すことで経過観察装置1aを回収することや、係止部31が対象110近傍に経過観察装置1aを配置するための架台であった場合、移動体に架台ごと積載し、移動体を操作することによって、経過観察装置1aを回収することなどが挙げられる。
経過観察期間は、作業者等があらかじめ定めた期間(単位:時間、日、月など)であってもよく、対象110に何らかの不具合が発生し、対象110の交換又は修理が決定あるいは実行されるまでの期間であってもよい。
【0046】
以上のように、本実施態様におけるプラント設備の管理方法及び経過観察装置は、経過観察が必要な対象に対し、経過観察に必要な情報を取得する経過観察装置を必要な期間だけ設置、回収を行うことで、対象の状態に係る情報を取得する装置を常設する必要がなく、低コスト化が可能になる。また、経過観察装置を一時的に設置することで、対象の状態に係る情報を取得することができるため、作業者等の巡回点検の回数増加を伴うことなく、対象の状態の把握を必要な期間のみ行う経過観察が可能となる。
【0047】
〔第2の実施態様〕
図7は、本発明の第2の実施態様における経過観察装置1bの構造を示す概略説明図である。
本発明の第2の実施態様のプラント設備の経過観察装置1bは、第1の実施態様のプラント設備の経過観察装置1aにおいて、情報判断部5及び保守作業部6をさらに備えるものである。
また、本発明の第2の実施態様のプラント設備の管理方法は、第1の実施態様のプラント設備の管理方法において、経過観察装置設置ステップと経過観察装置回収ステップの間に、経過観察装置による現場対応ステップを備えるものである。
なお、第1の実施態様における説明と同一の構造については、説明を省略する。
【0048】
情報判断部5は、情報取得部2において得られた情報に基づき、対象110の状態を判断するためのものである。図7に示すように、情報判断部5は、情報取得部2及び情報送受信部4と、お互いに入出力可能となるように接続されている。また、図7に示すように、情報判断部5も、設置部3の筐体30内に収容するものとすることが好ましい。これにより、情報取得部2、情報送受信部4及び情報判断部5を一体として扱うことが可能となる。
【0049】
情報判断部5は、解析部51と判断部52を備えるものである。
解析部51は、情報取得部2において得られた測定データを基に解析を行うものである。
判断部52は、解析部51の解析結果に基づき、対象110の状態を判断し、判断結果を後述する保守作業部6に入力するものである。
解析部51及び判断部52は、例えば、数値、画像データの比較に必要なプログラムをCPU等のプロセッサにより実行する計算装置である。
【0050】
解析部51における解析の内容は特に限定されない。例えば、情報取得部2からの測定データの経時変化についての演算、また、測定データの経時変化の傾向を予測する演算などが挙げられる。また、他の例としては、通常時(正常稼働時)におけるデータと情報取得部2からの測定データの比較などが挙げられる。なお、比較による解析を行う場合、比較対象となる通常時におけるデータは、データベースに保管されたものであってもよく、作業者等が設定するものであってもよい。
【0051】
また、解析部51における演算又は比較結果に基づき、判断部52において対象110の状態を判断する。判断の内容としては、例えば、演算結果により、情報取得部2からの測定データにおける経時変化が誤差範囲以内で一定であれば、対象110の状態に変化がなく、経過観察を継続するという判断を行うことが挙げられる。また、演算結果により情報取得部2からの測定データにおける経時変化が誤差範囲以上で生じており、かつ許容範囲以上である場合や、比較結果が許容又は誤差範囲以上に異なるものとなった場合、対象110に不具合が発生したものと判断し、判断結果を保守作業部6に入力することが挙げられる。
【0052】
情報判断部5により対象110の状態を判断した結果を、情報送受信部4から送信する情報としてもよい。これにより、情報送受信部4から送信される情報の内容を、作業者等又は監視室102の制御装置による判断に係る負担を低減させる内容とすることができる。
【0053】
保守作業部6は、情報判断部5から入力された対象110の状態に応じ、保守作業を行うものである。図7に示すように、保守作業部6は、情報判断部5とお互いに入出力可能となるように接続されている。
【0054】
保守作業部6による保守作業の内容は特に限定されないが、保守作業を実施するにあたり、作業者等又は移動体により設置及び回収が容易なものを用いる内容であることが好ましい。保守作業の内容としては、例えば、対象110の稼働に係る電源のオンオフ、流路の切り換え・堰き止め、加温・冷却など、対象110に係る不具合を一時的に回避または解消するものが挙げられる。また、保守作業部6は、保守作業の内容に応じ、設置部3の筐体30内に収容するものとしてもよく、筐体30外に設けるものとしてもよい。
【0055】
保守作業部6としては、例えば、対象110の稼働に係る電源のオンオフを行うためのものとして、機械的に電源スイッチや電源ボタンを押すものや、電源回路に対する電気信号を送信するものなどが挙げられる。また、他の例としては、流路の切り換え・堰き止めに係るものとして、流路を切り換える切換弁の駆動・停止を行うものや流路を堰き止める堰き止め部材の挿入・排出を行うものなどが挙げられる。さらに、他の例としては、対象110の加温又は冷却を行う加熱・冷却装置が挙げられる。
【0056】
保守作業部6による保守作業が完了したことを情報判断部5に入力し、対応済みの箇所に関しての累積データを必要としないものについては、情報判断部5における解析・判断に係るデータや演算結果をリセットするものとしてもよい。これにより、対応後の対象110に関して、対応後からの情報のみを扱うものとすればよいため、データの解析・演算に係る負荷が減少する。
また、保守作業部6による保守作業が完了したことを情報送受信部4から送信するものとしてもよい。保守作業部6による保守作業は不具合に対する一時的な対応となるため、情報送受信部4から保守作業の完了を作業者等や監視室102の制御装置に通知することで、作業者等や監視室102の制御装置による対象110への対応に移行させることが好ましい。
【0057】
なお、情報判断部5の判断結果及び保守作業部6による保守作業の完了について、情報送受信部4から送信せず、経過観察装置1bのみで対象の状態に係る判断と対象への対応を完了させるものであってもよい。これにより、対象に対する経過観察を作業者等の負荷を増やすことなく、かつ低コストで行うことが可能となる。また、対象に対する現場での判断及び対応を迅速に行うことが可能となる。
【0058】
本実施態様におけるプラント設備の管理方法は、上述した経過観察装置1bを用い、経過観察が必要な対象110に対して、経過観察装置1bを設置する経過観察装置設置ステップと、経過観察装置1bを回収する経過観察装置回収ステップの間に、経過観察装置による現場対応ステップを含むものである。
【0059】
経過観察装置設置ステップ及び経過観察装置回収ステップは、図3図6により説明した第1の実施態様と同様である。
【0060】
以下、現場対応ステップについて説明する。
現場対応ステップとしては、経過観察装置設置ステップにより経過観察装置1bを設置した後、情報取得部2による経過観察を実施し、情報判断部5により対象110の状態に係る判断を行う。このとき、情報判断部5の判断結果は、情報送受信部4を介して作業者等や管理室102の制御装置に送信するものとしてもよく、判断結果を外部に送信しないものとしてもよい。
次に、情報判断部5により、対象110に不具合が生じていると判断された場合、保守作業部6を制御し、対象110への対応を行うものとする。このとき、保守作業部6による保守作業が完了したことを情報判断部5及び情報送受信部4に入力することで、対応後の経過観察及び作業員等による現場作業に係る工程をスムーズに進めることが可能となる。
これにより、対象110に不具合が生じたときに、作業者等が現場に急行することができない場合や、対象110に対して監視室102の制御装置による制御が及ばない場合などにおいて、経過観察装置1bにより現場での対応が可能となる。
【0061】
本実施態様の経過観察装置1bは、情報判断部と保守作業部を設けることで、経過観察装置のみで対象の状態に係る判断及び応急的な対応が可能となる。
【0062】
また、本実施態様のプラント設備の管理方法は、作業者等や監視室の制御装置による判断を介することなく、現場での判断及び対応を行うことが可能となるため、対象での状態変動が急激である場合や、対象が監視室の制御装置による制御が及ばない範囲にある場合、特に好適に用いることができる。
【0063】
〔第3の実施態様〕
本発明の第3の実施態様のプラント設備の管理方法は、第1の実施態様のプラント設備の管理方法において、経過観察装置設置ステップの前段に、経過観察が必要な対象を探知する経過観察対象探知ステップを備える。
なお、第1の実施態様における説明と同一の構造については、説明を省略する。
【0064】
経過観察装置設置ステップ及び経過観察装置回収ステップにおける工程は、図3図6により説明した第1の実施態様と同様である。
【0065】
本実施態様におけるプラント設備の管理方法は、経過観察装置1aの設置を行う前に、経過観察対象探知ステップによって経過観察が必要な対象110を事前に探知することで、経過観察が必要な対象110を正確に把握し、効果的に経過観察を行うことが可能となる。
【0066】
以下、経過観察対象探知ステップについて説明する。
まず、経過観察が必要な対象110の探知手段により、対象110の候補となるものを選定する。このとき、経過観察が必要な対象110の探知手段の内容については、状態に係る情報を継続的に必要とするが、情報を必要とする期間が一時的であるものを選定できるものであればよく、特に限定されない。例えば、作業者等による通常の巡回点検を行うことで、不調の傾向を示している機器を選定し、対象110の候補とすることが挙げられる。また、機器を構成する部品の耐用年数を調査することで、部品の耐用年数上、不具合が生じる可能性が高い機器を選定し、対象110の候補とすることが挙げられる。また、プラント100の維持管理に係る過去の日誌などの記録から、応急処置を行った機器や交換・更新を行った機器を選定し、対象110の候補とすることが挙げられる。
【0067】
次に、対象110の候補として挙げられたものに対し、経過観察装置設置ステップ及び経過観察装置回収ステップを実行する対象110を選択する。このときの選択手段は特に限定されない。例えば、緊急性や重要性を鑑みて、作業者等の判断又は演算装置による演算結果などにより選択、決定することなどが挙げられる。なお、対象110の候補として挙げられたもの全てに対し、経過観察装置設置ステップ及び経過観察装置回収ステップを実行するものとしてもよい。
【0068】
本実施態様に係るプラント設備の管理方法は、事前に対象110の候補を選定するため、対象110を経過観察するために必要な情報の種類についても事前に把握することが可能となる。
したがって、本実施態様に係る経過観察装置は、第1の実施態様の経過観察装置1aの情報取得部2として、対象110の状態に係る情報を得るための最適な組み合わせを選択したものとしてもよい。これにより、経過観察に係る精度及び情報収集の効率を向上させることが可能となる。
【0069】
本実施態様におけるプラント設備の管理方法は、既に不調の傾向を示している機器以外にも、不具合の発生が予測される機器についても、事前に経過観察が必要な対象として挙げることができる。さらに、この対象に対しても経過観察装置の設置及び回収による経過観察を行うことで、プラント設備の維持管理における点検の作業負荷を低減させることが可能となる。また、本実施態様における経過観察装置は、経過観察が必要な対象に応じて最適な情報取得を行うことができる構造とすることが可能となる。
【0070】
本実施態様における経過観察対象探知ステップは、第2の実施態様のプラント設備の管理方法に対して適用するものであってもよい。このとき、本実施態様に係る経過観察装置は、第2の実施態様における経過観察装置1bの保守作業部6について、事前に経過観察が必要な対象として挙げられたものに応じて最適な構造を選択したものとすることが可能となる。
【0071】
なお、上述した実施態様はプラント設備の管理方法及び経過観察装置の一例を示すものである。本発明に係るプラント設備の管理方法及び経過観察装置は、上述した実施態様に限られるものではなく、請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、上述した実施態様に係るプラント設備の管理方法及び経過観察装置を変形してもよい。
【0072】
例えば、本実施態様の経過観察装置において、情報の送受信を行う情報送受信部を設ける代わりに、情報をデータとして蓄積を行うデータ保管部を設けるものとしてもよい。
これにより、情報の送受信が困難な条件下においても、経過観察装置内にデータが蓄積されることにより、作業者等が適宜データ回収を行うことができる。例えば、山間部や地下に設けられたプラント設備や機器を更新した後の経過観察など、緊急性は低いが、一定期間継続したデータ測定が求められるものに好適に用いることができる。
【0073】
また、本実施態様の経過観察装置において、情報送受信部とデータ保管部の両方を設けるものとしてもよい。
このとき、経過観察に必要な情報について、常時送受信を行う内容のもの、データとして蓄積し定期的に送受信を行う内容のものや、データとして保管して後に回収する内容のものなどに区別することで、作業者等又は監視室102の制御装置が把握して判断対象とする情報に優先順位をつけるものとしてもよい。これにより、作業者等又は監視室102の制御装置による判断に係る時間を短縮させ、かつ記録として必要な情報を取得し、保管することが可能となる。
【0074】
また、本実施態様の経過観察装置は、経過観察装置自身の位置情報を取得、送信する機能を有するものであってもよい。これにより、設置の現場に立ち会わなかった作業者等にも経過観察装置の設置箇所を把握することが可能となる。なお、経過観察装置の設置箇所に係る情報共有については、これに限定されるものではない。例えば、プラント設備の配置図に経過観察装置の設置箇所を記録することなどにより、作業者等の間で情報共有を行うものなどが挙げられる。
【0075】
また、本実施態様におけるプラント設備の管理方法は、同一敷地内に設置されたプラント設備の管理に限定されるものではなく、別敷地にあるプラント設備の管理にも適用するものとしてもよい。これにより、複数のプラント設備の管理を少数の作業者等により行うことが可能となる。
また、本実施態様においては、プラント内の機器が平面上に展開するものについて示しているが、これに限定されるものではない。例えば、プラント内に階層建ての構造物を有する場合においても、本実施態様における経過観察装置を適宜設置し、プラント設備の維持管理を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明のプラント設備の管理方法及びプラント設備の経過観察装置は、プラント設備の維持管理に好適に利用されるものである。
【符号の説明】
【0077】
1 経過観察装置、2 情報取得部、3 設置部、30 筐体、31 係止部、4 情報送受信部、5 情報判断部、51 解析部、52 判断部、6 保守作業部、100 プラント、101a~101i 機器、102 監視室、110 経過観察が必要な対象
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7