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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】ラベルプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B65H 41/00 20060101AFI20231113BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
B65H41/00 C
B41J15/04
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019111058
(22)【出願日】2019-06-14
(65)【公開番号】P2020203739
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】高野 豊
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-036334(JP,A)
【文献】特開2018-002210(JP,A)
【文献】特開2015-160323(JP,A)
【文献】特開2008-273568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 41/00
B41J 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な第1ローラと、
回転可能であり、前記第1ローラに対向配置される支持表面と、前記支持表面よりも前記第1ローラから離れる方向に退避する退避部と、を有し、前記第1ローラとの間にシート状の搬送物を挟む第2ローラと、
前記第2ローラの搬送方向下流側に配され、前記搬送物に対向する表面の前記退避部の前記搬送方向下流側の位置において前記搬送物に向けて突出するリブを有し、前記搬送物の搬送方向を案内するガイド部材と、を備え、
前記リブは前記退避部に対応する位置に配置され
前記退避部は前記第2ローラの表面に形成され前記第2ローラの周方向に沿う溝を有し、
前記第1ローラは回転駆動される駆動ローラであり、
前記第2ローラは前記第1ローラに向けて付勢され前記第1ローラの回転に伴い回転する従動ローラであり、
前記第1ローラよりも前記搬送方向上流側において、ラベルが貼付けられたラベルシートを収容する用紙収容部と、前記ラベルに印刷する印字ヘッドと、前記ラベルシートから前記ラベルを剥離する剥離部と、が配され、
前記搬送物は、前記剥離部において前記ラベルが剥離された剥離シートである、ラベルプリンタ。
【請求項2】
回転可能な第1ローラと、
回転可能であり、前記第1ローラに対向配置される支持表面と、前記支持表面よりも前記第1ローラから離れる方向に退避する退避部と、を有し、前記第1ローラとの間にシート状の搬送物を挟む第2ローラと、
前記第2ローラの搬送方向下流側に配され、前記搬送物に対向する表面の前記退避部の前記搬送方向下流側の位置において前記搬送物に向けて突出するリブを有し、前記搬送物の搬送方向を案内するガイド部材と、を備え、
前記リブは前記退避部に対応する位置に配置され、
前記リブは前記搬送方向に沿って延び、
前記第1ローラは回転駆動される駆動ローラであり、
前記第2ローラは前記第1ローラに向けて付勢され前記第1ローラの回転に伴い回転する従動ローラであり、
前記第1ローラよりも前記搬送方向上流側において、ラベルが貼付けられたラベルシートを収容する用紙収容部と、前記ラベルに印刷する印字ヘッドと、前記ラベルシートから前記ラベルを剥離する剥離部と、が配され、
前記搬送物は、前記剥離部において前記ラベルが剥離された剥離シートである、ラベルプリンタ。
【請求項3】
回転可能な第1ローラと、
回転可能であり、前記第1ローラに対向配置される支持表面と、前記支持表面よりも前記第1ローラから離れる方向に退避する退避部と、を有し、前記第1ローラとの間にシート状の搬送物を挟む第2ローラと、
前記第2ローラの搬送方向下流側に配され、前記搬送物に対向する表面の前記退避部の前記搬送方向下流側の位置において前記搬送物に向けて突出するリブを有し、前記搬送物の搬送方向を案内するガイド部材と、
前記第1ローラと、前記ガイド部材と、が設けられるとともに開口を有する本体下部と、
前記本体下部の開口を開閉可能に構成されるとともに前記第2ローラを備えるカバーと、
を備え
前記リブは前記退避部に対応する位置に配置される、ラベルプリンタ。
【請求項4】
回転可能な第1ローラと、
回転可能であり、前記第1ローラに対向配置される支持表面と、前記支持表面よりも前記第1ローラから離れる方向に退避する退避部と、を有し、前記第1ローラとの間にシート状の搬送物を挟む第2ローラと、
前記第2ローラの搬送方向下流側に配され、前記搬送物に対向する表面の前記退避部の前記搬送方向下流側の位置において前記搬送物に向けて突出するリブを有し、前記搬送物の搬送方向を案内するガイド部材と、を備え、
前記リブは前記退避部に対応する位置に配置され、
前記退避部と前記リブとが前記搬送物を挟んで対向している、ラベルプリンタ。
【請求項5】
回転可能な第1ローラと、
回転可能であり、前記第1ローラに対向配置される支持表面と、前記支持表面よりも前記第1ローラから離れる方向に退避する退避部と、を有し、前記第1ローラとの間にシート状の搬送物を挟む第2ローラと、
前記第2ローラの搬送方向下流側に配され、前記搬送物に対向する表面の前記退避部の前記搬送方向下流側の位置において前記搬送物に向けて突出するリブを有し、前記搬送物の搬送方向を案内するガイド部材と、を備え、
前記リブは前記退避部に対応する位置に配置され、
前記退避部は前記第2ローラの表面に形成され前記第2ローラの周方向に沿う溝を有し、
前記第2ローラは、軸体と、前記軸体の一部に設けられる複数のローラ片と、を備え、
前記ローラ片は、前記支持表面と、前記溝と、を有し、
前記溝と、前記軸体の前記ローラ片が形成されていない部位と、が前記退避部となる、ラベルプリンタ。
【請求項6】
前記印字ヘッドに対向配置され、前記ラベルシートを支持するプラテンローラと、
前記剥離部の前記搬送方向下流側に配されるガイドローラと、
を備える、請求項1または2に記載のラベルプリンタ。
【請求項7】
記退避部と前記リブとの位置が揃っている、請求項1乃至6のいずれかに記載のラベルプリンタ。
【請求項8】
前記退避部は前記第2ローラの表面に形成され前記第2ローラの周方向に沿う溝を有する、請求項3または4に記載のラベルプリンタ。
【請求項9】
前記リブは前記搬送方向に沿って延びる、請求項3または4に記載のラベルプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ラベルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
ラベルプリンタにおいて、複数のラベルが台紙に貼付されたラベルシートに、印字処理を行い、ラベルシートからラベルを剥離して発行する剥離発行方式が採用されている。ラベルプリンタは、ロール状のラベルシートを保持する収容部と、印字ヘッドを有する画像形成部と、剥離部と、を通ってラベルをラベル発行口に送るラベル搬送部と、剥離部においてラベルが剥離された剥離シートをシート排出口に送るシート搬送部と、を備える。
【0003】
例えばシート搬送部は、ラベルが剥離された剥離シートの進行方向を案内するガイド部材や、剥離シートを挟持して搬送する複数のローラを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-076790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、剥離シートの糊の付着による搬送不良を抑制できるラベルプリンタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態にかかるラベルプリンタは、回転可能な第1ローラと、回転可能であり、前記第1ローラに対向配置される支持表面と、前記支持表面よりも前記第1ローラから離れる方向に退避する退避部と、を有し、前記第1ローラとの間にシート状の搬送物を挟む第2ローラと、前記第2ローラの搬送方向下流側に配され、前記搬送物に対向する表面の前記退避部の前記搬送方向下流側の位置において前記搬送物に向けて突出するリブを有し、前記搬送物の搬送方向を案内するガイド部材と、を備え、前記リブは前記退避部に対応する位置に配置され、前記退避部は前記第2ローラの表面に形成され前記第2ローラの周方向に沿う溝を有し、前記第1ローラは回転駆動される駆動ローラであり、前記第2ローラは前記第1ローラに向けて付勢され前記第1ローラの回転に伴い回転する従動ローラであり、前記第1ローラよりも前記搬送方向上流側において、ラベルが貼付けられたラベルシートを収容する用紙収容部と、前記ラベルに印刷する印字ヘッドと、前記ラベルシートから前記ラベルを剥離する剥離部と、が配され、前記搬送物は、前記剥離部において前記ラベルが剥離された剥離シートである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態にかかるラベルプリンタの斜視図。
図2】同ラベルプリンタの断面図
図3】同ラベルプリンタの一部を示す斜視図。
図4】同ラベルプリンタの一部を示す正面図。
図5】同ラベルプリンタの一部を示す斜視図。
図6】同ラベルプリンタのローラの構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、第1実施形態にかかるラベルプリンタ1について図1乃至図6を参照して説明する。図1は、本実施形態にかかるラベルプリンタ1の斜視図であり、図2はラベルプリンタ1の内部構成を示す断面図である。図3及び図4はラベルプリンタ1の一部を示す斜視図及び正面図である。図5はラベルプリンタ1の一部を示す斜視図である。図6は第2ローラの一部の斜視図である。図中x、y、zは互いに直交する3方向を示す。本実施形態において、Xはラベルプリンタ1の幅方向、Yは奥行き方向、Zは高さ方向に沿っている。
【0009】
図1及び図2に示すように、ラベルプリンタ1は、筐体12と、操作表示部13と、画像形成部14と、剥離部15と、搬送部16と、制御部18と、を備える。ラベルプリンタ1は、感熱紙で構成されたラベルS1に直接印字するダイレクトサーマル方式である。
【0010】
筐体12は、上方及び前方に開口する本体下部21と、本体下部21の上方の開口を開閉する上カバー22と、本体下部21の前方の開口を開閉する前カバー23と、を備え、内部に収容空間を形成する。筐体12の正面部はラベルS1を排出するラベル発行口12aと、剥離シートS2を排出するシート排出口12bが形成される。ラベル発行口12aは、上カバー22と前カバー23との間の隙間により形成され、シート排出口12bは、前カバー23の下縁部と本体下部21との間の隙間により形成されている。
【0011】
本体下部21の内壁には、ラベルシートが配される用紙収容部24が形成されている。ラベルシートは、帯状の剥離シートS2に複数のラベルS1が貼付けられ、ロール状に巻廻されている。
【0012】
また、本体下部21内の前方の空間には、画像形成部14の一部を構成するプラテンローラ42や搬送部16の一部を構成する第1ローラ64が設けられている。
【0013】
図1乃至図6に示すように、上カバー22は、本体下部21の開口の後縁部に水平に配される軸を中心に回動可能に構成され、前縁部が上下に移動して上カバー22を開閉する。上カバー22の表面には操作表示部13が設けられている。操作表示部13は、表示部としての液晶モニタ31と、操作部としてのタッチパネル32と、を備える。例えば液晶モニタ31は上カバー22を閉めた状態において、筐体12の上面において傾斜する表示画面を有する。タッチパネル32は表示画面上に設けられている。上カバー22と前カバー23との間に、ラベル発行口12aが形成される。上カバー22の下側に画像形成部14を構成する印字ヘッド41が支持されている。上カバー22を開くと、印字ヘッド41が上昇し、用紙収容部24やプラテンローラ42の上面が開放され、ユーザは用紙収容部24からプラテンローラ42上を通って剥離部15に至る搬送経路A1に用紙をセットすることが可能となる。
【0014】
前カバー23は、本体下部21の開口の下縁部に配される軸体23aを中心として回動可能であり、本体下部21の開口を開閉可能に構成される。前カバー23の内側の面に、剥離部15、搬送部16の一部を構成するガイドローラ63、第2ローラ65が回転可能に設けられている。前カバー23の下縁部と本体下部21との間にシート排出口12bが形成されている。前カバー23を開くと、剥離部15、ガイドローラ63、及び第2ローラ65が前カバー23とともに前方に退避し、プラテンローラ42及び第1ローラ64の前側を通ってシート排出口12bに至る搬送経路A1の前側が開放されるため、ユーザは剥離部15からシート排出口12bに至る搬送経路A1に剥離シートをセットすることができる。
【0015】
画像形成部14は、ラベルシートの表面に対向する印字ヘッド41と、プラテンローラ42と、を備える。
【0016】
印字ヘッド41は、例えば発熱体列を有するラインサーマル方式のサーマルヘッドであり、対向配置されたラベルシートのラベルS1に文字や画像を印刷する。
【0017】
プラテンローラ42は、ラベルシートを挟んで印字ヘッド41に対向配置される。プラテンローラ42は本体下部21に支持されている。プラテンローラは軸方向が幅方向に沿って延びる円柱状のローラであり、ラベルシートを裏側から支持し、印字ヘッド41に向けて押圧する。
【0018】
剥離部15は、画像形成部14の下流側に配される。剥離部15は、画像形成部14の下流側の所定位置に配される剥離プレート51を備えるとともに、剥離プレート51から前方に向かって延びるラベル排出経路A2を有する。剥離プレート51は、先端が搬送経路A1に向けて配される。ラベル排出経路A2は剥離プレート51の上側を通って前方に延び、筐体12の前面に形成されたラベル発行口12aに至る。搬送経路A1は剥離プレート51の下側を通って後下方に屈曲して延びる。剥離部15は、剥離プレート51によって、搬送経路A1から、ラベルS1のみを分離させる。
【0019】
搬送部16は、搬送経路A1に沿って配置されるガイドローラ63、第1ローラ64、第2ローラ65、及びガイド部材であるガイドプレート66、を備える。ガイドローラ63は、前カバー23に支持されている。ガイドローラ63は円柱状に構成され、軸方向がラベルプリンタ1の幅方向に沿う姿勢で、前カバー23に回転可能に支持される。ガイドローラ63は、剥離プレート51の後下方に配置され、剥離シートの搬送方向を案内する。
【0020】
第1ローラ64は駆動ローラである。第1ローラ64は、円柱状に構成され、軸方向がラベルプリンタ1の幅方向に沿う姿勢で、本体下部21に回転可能に支持される。第1ローラ64は、駆動モータを介して制御部18に接続され、制御部18の制御によって回転駆動される。第1ローラ64の表面は剥離シートS2の、ラベルS1が貼付けられていた面とは反対側の裏面に対向し、剥離シートS2の裏面に当接する。
【0021】
第2ローラ65は、従動ローラであり、第1ローラ64の回転に伴って回転する。第2ローラ65は円柱状に構成され、軸方向がラベルプリンタ1の幅方向に沿う姿勢で、前カバー23に回転可能に支持される。第2ローラ65は、前カバー23を閉じた状態において、剥離シートS2を挟んで第1ローラ64に対して付勢される。
【0022】
第2ローラ65は、前カバー23の幅方向に延びる軸体65aと、軸方向において、中央と両端を回避して、軸方向に2箇所にそれぞれ設けられた一対のローラ片65bを有している。第2ローラ65の軸方向の一部に、ローラ片65b、65bが形成されている。第2ローラ65の一対のローラ片65b、65bの表面には回転方向(周方向)に沿って延びる溝65dが形成されている。溝65dは、例えば所定の間隔で複数本配列されている。第2ローラ65は、剥離シートS2の、ラベルS1が貼付けられていた面である表面に対向し、剥離シートS2の表面に当接して第1ローラ64に押しつけられる支持表面65cを有する。第2ローラ65において、ローラ片65bの溝65dやローラ片65bが形成されていない部位は、支持表面65cよりも第1ローラ64から離れる方向、すなわち第2ローラ65の軸中心に向かって退避する、退避部65eとなる。すなわち、支持表面65cの軸方向の長さは、第1ローラの外周面の軸方向の長さよりも小さく、剥離シートS2の表面との接触面積が小さく抑えられる。支持表面65cは、粘着性の低い材料でコーティングされている。以上のように構成された第2ローラ65の軸方向の全長のうち、支持表面65cの軸方向の寸法は、例えば50%以下である。
【0023】
ガイドプレート66は第1ローラ64と第2ローラ65とのニップ部の下流側から、シート排出口12bに向かって下方及び前方に向かって湾曲して延びるガイド面66aと、ガイド面66aの前側の表面から突出する突条である複数のガイドリブ66bと、を備える。
【0024】
複数のガイドリブ66bは、例えば搬送方向に沿って複数本平行に延びている。ガイドリブ66bの端面が剥離シートS2の裏面に接触し、剥離シートS2をシート排出口12bに至る搬送経路A1に沿って案内する。複数のガイドリブ66bは、それぞれ、支持表面65cを除く箇所の下流側に対応する位置に設けられている。具体的には、軸方向の中央部や両端部のローラ片65bが配されていない箇所や、溝65dが形成された箇所の下流側に対応する位置に配置されている。言い換えると、第2ローラ65の退避部65eの搬送方向下流側に連続してガイドリブ66bが延びている。
【0025】
制御部18は、操作表示部13に入力された情報や、各種のプログラムに従って、画像形成部14や搬送部16などの各要素の動作を制御する。
【0026】
例えば制御部18は、所定の条件で第1ローラ64を駆動して、ラベルシート(剥離シートS2)を所定の搬送経路A1に沿って搬送する。また、制御部18は、画像信号を印字ヘッド41の駆動回路に送り、印字ヘッド41を駆動して、ラベルに印字処理を行う。
【0027】
ラベルプリンタ1において、ラベルシートは、筐体12内の用紙収容部24から画像形成部14を通って剥離部15に送られ、剥離部15においてラベルS1が剥離される。具体的には、剥離シートS2が剥離プレート51の前側先端で折り返された状態で、搬送部16により搬送経路A1に沿って下流側へ引っ張られることで、剥離シートS2からラベルS1が剥離する。剥離されたラベルS1は、ラベル発行口12aに至るラベル排出経路A2に案内され、ラベル発行口12aから排出される。一方、ラベルS1が剥離された剥離シートS2は、搬送経路A1の下流側においてガイドローラ63、第1ローラ64、第2ローラ65、及びガイドプレート66に案内され、シート排出口12bまで送られて、シート排出口12bから排出される。このとき、剥離シートS2は第1ローラ64と第2ローラ65とのニップ部において、ラベルS1が貼ってあった表面が第2ローラ65に当接し、裏面が第1ローラ64に当接する。
【0028】
本実施形態に係るラベルプリンタ1において、第2ローラ65に退避部65eを設け、ガイドプレート66にガイドリブ66bを設けることにより、剥離シートS2の糊が第2ローラ65に付着するのを抑制でき、糊によって剥離シートS2が各種部材に付着することを防止でき、搬送不良を回避できる。例えば剥離後の剥離シートS2の搬送経路A1において、第2ローラ65は支持表面65cが剥離シートS2の表面に接触するが、退避部65eは剥離シートS2の表面には接触しないため、第2ローラ65と剥離シートS2との接触面積を小さくできることから、剥離シートS2から第2ローラ65への糊の付着が抑制できる。
【0029】
プリンタの休止時など第1ローラ64と第2ローラ65の間に用紙が介在していない状態で前カバー23を閉めた場合、第1ローラ64と第2ローラ65が接触し、第2ローラ65に堆積した糊が第1ローラ64へ転写することがある。その結果、次回剥離シートS2を搬送した際に、糊がさらに第1ローラ64から剥離シートS2の裏面に転写する可能性がある。搬送経路A1において、剥離シートS2がガイドプレート66で案内されるが、ガイドプレート66にはガイドリブ66bを設けているため、ガイドプレート66と剥離シートS2裏面との接触面積が小さくでき、剥離シートS2裏面に糊が付着しても、ガイドプレート66への貼り付きを抑制でき、搬送不良を防止できる。また第2ローラ65の退避部65eとガイドリブ66bとの位置が揃っているため、剥離シートS2裏面におけるガイドリブ66bとの接触部分には糊が全く付着していないか、付着していても少量であるので、ガイドプレート66と剥離シートS2裏面との貼り付きリスクをさらに軽減できる。加えて、この効果として、剥離シートS2裏面に転写した糊の大部分はガイドプレート66と接触されずに剥離シートS2と共に外へ排出されるので、ガイドプレート66への糊の堆積を抑制することもできる。
【0030】
なお、上記実施形態においては、感熱紙を用いたダイレクトサーマル方式を例示したがこれに限られるものではない。例えばインクリボンを挟んで印字する方式でもよい。
【0031】
また、上記実施形態において剥離発行タイプのラベルプリンタ1を例示したが、これに限られるものではなく、例えば剥離発行モードと、連続発行モードの両方を切替えることが可能なプリンタであってもよい。このような装置であっても、剥離部15の下流側に配されるローラに退避部を設け、あるいはガイド部材にリブを設けることにより、糊の付着を防止でき、搬送不良を回避できる。さらに溝とリブとの位置を揃えることで、糊の付着をより抑制できる。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
(1)
回転可能な第1ローラと、
回転可能であり、前記第1ローラに対向配置される支持表面と、前記支持表面よりも前記第1ローラから離れる方向に退避する退避部と、を有し、前記第1ローラとの間にシート状の搬送物を挟む第2ローラと、
前記第2ローラの搬送方向下流側に配され、前記搬送物に対向する表面の前記退避部の前記搬送方向下流側の位置において前記搬送物に向けて突出するリブを有し、前記搬送物の搬送方向を案内するガイド部材と、
を備える、ラベルプリンタ。
(2)
前記退避部は前記第2ローラの表面に形成され前記第2ローラの周方向に沿う溝を有する、(1)に記載のラベルプリンタ。
(3)
前記リブは前記搬送方向に沿って延びる、(1)または(2)に記載のラベルプリンタ。
(4)
前記第1ローラは回転駆動される駆動ローラであり、
前記第2ローラは前記第1ローラに向けて付勢され前記第1ローラの回転に伴い回転する従動ローラであり、
前記第1ローラよりも前記搬送方向上流側において、ラベルが貼付けられたラベルシートを収容する用紙収容部と、前記ラベルに印刷する印字ヘッドと、前記ラベルシートから前記ラベルを剥離する剥離部と、が配され、
前記搬送物は、前記剥離部において前記ラベルが剥離された剥離シートである、(2)または(3)に記載のラベルプリンタ。
(5)
前記第1ローラと、前記ガイド部材と、が設けられるとともに開口を有する本体下部と、
前記本体下部の開口を開閉可能に構成されるとともに前記第2ローラを備えるカバーと、
を備える、(1)乃至(4)のいずれかに記載のラベルプリンタ。
【符号の説明】
【0033】
1…ラベルプリンタ、12…筐体、12a…ラベル発行口、12b…シート排出口、13…操作表示部、14…画像形成部、15…剥離部、16…搬送部、18…制御部、21…本体下部、22…上カバー、23…前カバー、23a…軸体、24…用紙収容部、31…液晶モニタ、32…タッチパネル、41…印字ヘッド、42…プラテンローラ、51…剥離プレート、64…第1ローラ、65…第2ローラ、65a…軸体、65b…ローラ片、65c…支持表面、65d…溝、65e…退避部、66…ガイドプレート、66a…ガイド面、66b…ガイドリブ、A1…搬送経路、S1…ラベル、S2…剥離シート。
図1
図2
図3
図4
図5
図6