(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】診断支援システム、診断支援装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20231113BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20231113BHJP
G16H 15/00 20180101ALI20231113BHJP
【FI】
G16H10/00
A61B5/00 G
A61B5/00 D
G16H15/00
(21)【出願番号】P 2019182726
(22)【出願日】2019-10-03
【審査請求日】2022-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 優大
(72)【発明者】
【氏名】朴 龍勲
(72)【発明者】
【氏名】霜村 侑香
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-194712(JP,A)
【文献】国際公開第2014/006862(WO,A1)
【文献】特開2015-197737(JP,A)
【文献】特開2018-000232(JP,A)
【文献】特開2008-178635(JP,A)
【文献】特開2019-075012(JP,A)
【文献】国際公開第2016/103322(WO,A1)
【文献】特開平06-019984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の状態に関する患者情報と、前記患者への介入に関する介入情報とを含む医用情報を記憶する記憶部と、
前記医用情報における変化点を抽出する抽出部と、
前記変化点の前後での前記患者情報の変化を示す第1変化量と、前記変化点の前後での前記介入情報の変化を示す第2変化量とを算出
し、前記第1変化量を所定の数値範囲で規格化し、前記第2変化量を前記所定の数値範囲で規格化する算出部と、
規格化後の前記第1変化量と前記第2変化量との割合に応じて設定した表示態様で、前記第1変化量及び前記第2変化量に基づく表示を行なう表示制御部と
を備える、診断支援システム。
【請求項2】
前記抽出部は、前記変化点の前の第1期間と、前記変化点の後の第2期間とを抽出し、
前記算出部は、前記第1期間の前記患者情報と前記第2期間の前記患者情報とに基づいて前記第1変化量を算出し、前記第1期間の前記介入情報と前記第2期間の前記介入情報とに基づいて前記第2変化量を算出する、請求項1に記載の診断支援システム。
【請求項3】
前記算出部は、前記第1期間の前記介入情報を示すベクトルと、前記第2期間の前記介入情報を示すベクトルとに基づいて、前記第2変化量を算出する、請求項2に記載の診断支援システム。
【請求項4】
前記算出部は、前記第1期間の前記患者情報に基づく前記患者の容体と、前記第2期間の前記患者情報に基づく前記患者の容体とに基づいて、前記第1変化量を算出する、請求項2又は3に記載の診断支援システム。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記第1変化量と前記第2変化量との割合に応じた割合で2色を混合した混合色を用いて、前記第1変化量及び前記第2変化量に基づく表示を行なう、請求項
1~4のいずれか一項に記載の診断支援システム。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記患者情報に及び前記介入情報の少なくとも一方に基づく時系列表示を行なうとともに、前記混合色を用いて前記変化点を図示する、請求項
5に記載の診断支援システム。
【請求項7】
患者の状態に関する患者情報と前記患者への介入に関する介入情報とを含む医用情報における変化点を抽出する抽出部と、
前記変化点の前後での前記患者情報の変化を示す第1変化量と、前記変化点の前後での前記介入情報の変化を示す第2変化量とを算出
し、前記第1変化量を所定の数値範囲で規格化し、前記第2変化量を前記所定の数値範囲で規格化する算出部と、
規格化後の前記第1変化量と前記第2変化量との割合に応じて設定した表示態様で、前記第1変化量及び前記第2変化量に基づく表示を行なう表示制御部と
を備える、診断支援装置。
【請求項8】
患者の状態に関する患者情報と前記患者への介入に関する介入情報とを含む医用情報における変化点を抽出し、
前記変化点の前後での前記患者情報の変化を示す第1変化量と、前記変化点の前後での前記介入情報の変化を示す第2変化量とを算出
し、前記第1変化量を所定の数値範囲で規格化し、前記第2変化量を前記所定の数値範囲で規格化し、
規格化後の前記第1変化量と前記第2変化量との割合に応じて設定した表示態様で、前記第1変化量及び前記第2変化量に基づく表示を行なう
各処理をコンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、診断支援システム、診断支援装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医師は、患者の過去の検査情報や治療情報、その他患者に関する様々な医用情報をもとに、様々な意思決定を行なう。しかしながら、患者によっては大量の医用情報が記録されている場合もあり、その全てを把握することは容易でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-154564号公報
【文献】特開2014-194712号公報
【文献】特開2019-97828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、患者に関する医用情報の把握を容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の診断支援システムは、記憶部と、抽出部と、算出部と、表示制御部とを備える。記憶部は、患者の状態に関する患者情報と、前記患者への介入に関する介入情報とを含む医用情報を記憶する。抽出部は、前記医用情報における変化点を抽出する。算出部は、前記変化点の前後での前記患者情報の変化を示す第1変化量と、前記変化点の前後での前記介入情報の変化を示す第2変化量とを算出する。表示制御部は、前記第1変化量及び前記第2変化量の少なくとも一方に応じて設定した表示態様で、前記第1変化量及び前記第2変化量に基づく表示を行なう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る診断支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る診断支援装置による処理の概要を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る医用情報の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る変化点の抽出処理の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る変化点の抽出処理の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る第1期間及び第2期間の抽出処理の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る第1期間及び第2期間の抽出処理の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る第1変化量の算出処理の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態に係る第2変化量の算出処理の一例を示す図である。
【
図10A】
図10Aは、第1の実施形態に係る表示態様の設定処理の一例を示す図である。
【
図10B】
図10Bは、第1の実施形態に係る表示態様の設定処理の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、第1の実施形態に係る診断支援システムの処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。
【
図13】
図13は、第2の実施形態に係る表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して、診断支援システム、診断支援装置及びプログラムの実施形態について詳細に説明する。なお、本願に係る診断支援システム、診断支援装置及びプログラムは、以下に示す実施形態によって限定されるものではない。
【0008】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。第1の実施形態では、診断支援装置10及びデータベース20を含んだ診断支援システム1について説明する。
【0009】
図1は、第1の実施形態に係る診断支援システム1の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る診断支援システム1は、診断支援装置10及びデータベース20を備える。また、
図1に示すように、診断支援装置10及びデータベース20は、ネットワークNWを介して相互に接続される。
【0010】
データベース20は、患者に関する医用情報を記憶する記憶装置である。なお、データベース20は、記憶部の一例である。
【0011】
一例を挙げると、データベース20は、病院等で導入されている電子カルテシステムの一部として設置された電子カルテ保管装置である。また、一例を挙げると、データベース20は、電子カルテシステムやPACS(Picture Archiving and Communication System)、放射線部門システム、検体検査システムといった種々の医療情報システムから種々の医用情報を取得し、取得した医用情報をプラットフォームとして管理する統合管理装置である。なお、
図1においてはデータベース20を1つ示すが、データベース20は、物理的に分離した複数の記憶装置を組み合わせて構成されても構わない。また、これら複数の記憶装置は、互いに異なる施設に設置されるものであっても構わない。
【0012】
ここで、患者に関する医用情報には、例えば、患者の状態に関する患者情報や、患者への介入に関する介入情報が含まれる。例えば、データベース20は、各種の医用情報を、その医用情報が取得された日時の情報及び患者IDに関連付けて記憶する。
【0013】
例えば、患者情報には、検査によって収集された検査情報が含まれる。具体的には、検査情報の例としては、患者について計測されたバイタルデータ(例えば、脈拍数や心拍数、呼吸数、血圧、体温、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)等)、患者から収集された検体(血液等)の検査データ、患者から収集された医用画像データ、医用画像データの計測データ(血管径、血流量等)等が挙げられる。その他、患者情報には、患者の食事量や排尿量、患者が訴えた症状(痛みやかゆみ等)といった、患者の状態に関する種々の情報が含まれる。
【0014】
また、介入情報には、例えば、患者に対して行なわれた治療に関する治療情報が含まれる。具体的には、治療情報の例としては、患者に対して行なわれた投薬の情報(投薬された薬剤の種類や量など)、手術や放射線治療、マッサージといった治療的処置の情報が挙げられる。その他、介入情報には、患者への介入に関する種々の情報が含まれる。一例を挙げると、データベース20は、患者の回復に伴ってギプスが包帯に変更されたイベントを、介入情報として、変更された日時の情報及び患者IDに関連付けて記憶する。また、一例を挙げると、データベース20は、患者が痛みを訴えた部位に湿布を貼付したイベントを、介入情報として、変更された日時の情報及び患者IDに関連付けて記憶する。
【0015】
なお、医用情報は、病院に限らず、診療所や介護施設、検診施設等の医療施設において記録された情報であってもよい。或いは、医用情報は、患者の自宅等、医療施設外で記録された情報であってもよい。例えば、医用情報は、患者に装着されたウェアラブルデバイスにより任意の場所で記録された情報であってもよい。
【0016】
診断支援装置10は、データベース20から取得した医用情報に基づく各種の表示を行なうことで、ユーザによる診断を支援する装置である。例えば、診断支援装置10は、
図1に示すように、入力インターフェース101と、ディスプレイ102と、記憶回路103と、処理回路104とを有する。
【0017】
入力インターフェース101は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路104に出力する。例えば、入力インターフェース101は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、入力インターフェース101は、診断支援装置10本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インターフェース101は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、診断支援装置10とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路104へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース101の例に含まれる。
【0018】
ディスプレイ102は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ102は、入力インターフェース101を介してユーザから各種指示や各種設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示する。また、ディスプレイ102は、後述する第1変化量及び第2変化量に基づく表示を行なう。例えば、ディスプレイ102は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。ディスプレイ102は、デスクトップ型でもよいし、診断支援装置10本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0019】
記憶回路103は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、記憶回路103は、診断支援装置10に含まれる回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。なお、記憶回路103は、診断支援装置10とネットワークNWを介して接続されたサーバ群(クラウド)により実現されることとしてもよい。
【0020】
処理回路104は、抽出機能104a、算出機能104b、表示制御機能104c及び制御機能104dを実行することで、診断支援装置10全体の動作を制御する。ここで、抽出機能104aは、抽出部の一例である。また、算出機能104bは、算出部の一例である。また、表示制御機能104cは、表示制御部の一例である。
【0021】
例えば、処理回路104は、抽出機能104aに対応するプログラムを記憶回路103から読み出して実行することにより、ネットワークNWを介してデータベース20から医用情報を取得し、取得した医用情報における変化点を抽出する。また、例えば、処理回路104は、算出機能104bに対応するプログラムを記憶回路103から読み出して実行することにより、変化点の前後での患者情報の変化を示す第1変化量と、変化点の前後での介入情報の変化を示す第2変化量とを算出する。また、例えば、処理回路104は、表示制御機能104cに対応するプログラムを記憶回路103から読み出して実行することにより、ディスプレイ102において第1変化量及び第2変化量に基づく表示を行なう。また、例えば、処理回路104は、制御機能104dに対応するプログラムを記憶回路103から読み出して実行することにより、入力インターフェース101を介してユーザから受け付けた操作に基づいて、診断支援装置10全体の動作を制御する。なお、処理回路104の各機能による処理については後に詳述する。
【0022】
図1に示す診断支援装置10においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路103へ記憶されている。処理回路104は、記憶回路103からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路104は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
【0023】
なお、
図1においては単一の処理回路104にて、抽出機能104a、算出機能104b、表示制御機能104c及び制御機能104dが実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路104を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路104が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0024】
なお、ネットワークNWを介して接続可能であれば、診断支援装置10及びデータベース20が設置される場所は任意である。例えば、診断支援装置10は、データベース20と異なる病院に設置されてもよい。即ち、ネットワークNWは、院内で閉じたローカルネットワークにより構成されてもよいし、インターネットを介したネットワークでもよい。
【0025】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路103に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0026】
なお、
図1においては、単一の記憶回路103が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、複数の記憶回路103を分散して配置し、処理回路104は、個別の記憶回路103から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。また、記憶回路103にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは、回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0027】
また、処理回路104は、ネットワークNWを介して接続された外部装置のプロセッサを利用して、機能を実現することとしてもよい。例えば、処理回路104は、記憶回路103から各機能に対応するプログラムを読み出して実行するとともに、診断支援装置10とネットワークNWを介して接続されたサーバ群(クラウド)を計算資源として利用することにより、
図1に示す各機能を実現する。
【0028】
以上、診断支援装置10及びデータベース20を含んだ診断支援システム1について説明した。かかる構成のもと、診断支援システム1における診断支援装置10は、処理回路104による処理により、患者に関する医用情報の把握を容易にする。なお、以下では、ユーザが患者P1の医用情報を把握するための処理を一例として説明する。
【0029】
まず、
図2を用いて、診断支援装置10による処理の概要を説明する。例えば、診断支援装置10は、まず、データベース20から、患者P1に関する医用情報を取得する。例えば、診断支援装置10は、患者P1の患者IDに基づいて、患者P1に関する患者情報及び介入情報を含んだ医用情報を取得する。なお、
図2は、第1の実施形態に係る診断支援装置10による処理の概要を示す図である。
【0030】
次に、診断支援装置10は、医用情報における変化点を抽出する。次に、診断支援装置10は、変化点前後での患者情報の変化を示す第1変化量と、変化点前後での介入情報の変化を示す第2変化量とを算出する。次に、診断支援装置10は、第1変化量及び第2変化量の少なくとも一方に応じて表示態様を設定する。そして、診断支援装置10は、設定した表示態様で、第1変化量及び第2変化量に基づく表示を行なう。
【0031】
次に、診断支援装置10による処理についてより詳細に説明する。まず、
図3を用いて、データベース20から取得する医用情報について説明する。
図3は、第1の実施形態に係る医用情報の一例を示す図である。例えば、抽出機能104aは、ネットワークNWを介して、
図3に示す介入情報及び患者情報を取得する。例えば、抽出機能104aは、患者P1に関する診断を行なう旨の指示をユーザから受け付けたことをトリガとして、データベース20から、
図3に示す介入情報及び患者情報を取得する。
【0032】
図3に示す介入情報は、「2019.5.17」から「2019.5.24」までの各日における利尿剤及び強心剤の投薬の記録である。換言すると、
図3に示す介入情報は、利尿剤及び強心剤の投薬に関する時系列情報である。
【0033】
具体的には、
図3は、「2019.5.17」には、利尿剤及び強心剤が投薬されなかったことを示す。また、
図3は、「2019.5.18」には、利尿剤が「10」投薬され、強心剤は投薬されなかったことを示す。また、
図3は、「2019.5.19」には、利尿剤が「10」投薬され、強心剤が「20」投薬されたことを示す。また、
図3は、「2019.5.20」には、利尿剤及び強心剤が投薬されなかったことを示す。また、
図3は、「2019.5.21」には、利尿剤が「10」投薬され、強心剤は投薬されなかったことを示す。また、
図3は、「2019.5.22」、「2019.5.23」及び「2019.5.24」には、利尿剤及び強心剤が投薬されなかったことを示す。
【0034】
また、
図3に示す患者情報は、「2019.5.17」から「2019.5.24」までの各日におけるNT-proBNP、及び、単位時間当たりの呼吸数の記録である。換言すると、
図3に示す患者情報は、NT-proBNP及び呼吸数に関する時系列情報である。
【0035】
具体的には、
図3は、「2019.5.17」には、NT-proBNPが「192」で、呼吸数が「8」だったことを示す。また、
図3は、「2019.5.18」には、NT-proBNPが「185」で、呼吸数が「12」だったことを示す。また、
図3は、「2019.5.19」には、NT-proBNPが「200」で、呼吸数が「14」だったことを示す。また、
図3は、「2019.5.20」には、NT-proBNPが「180」で、呼吸数が「13」だったことを示す。また、
図3は、「2019.5.21」には、NT-proBNPが「92」で、呼吸数が「23」だったことを示す。また、
図3は、「2019.5.22」には、NT-proBNPが「100」で、呼吸数が「21」だったことを示す。また、
図3は、「2019.5.23」には、NT-proBNPが「89」で、呼吸数が「20」だったことを示す。また、
図3は、「2019.5.24」には、NT-proBNPが「102」で、呼吸数が「19」だったことを示す。
【0036】
次に、抽出機能104aは、医用情報における変化点を抽出する。例えば、抽出機能104aは、
図3に示した時系列情報について複数の時点を設定し、各時点の前後で医用情報の特徴を比較し、変化の程度が大きい時点を変化点として抽出する。
【0037】
一例を挙げると、抽出機能104aは、
図4に示すように、「2019.5.17~2019.5.19」の3日間である期間x
tと、「2019.5.20~2019.5.22」の3日間である期間x
t+1とを設定する。なお、
図4は、第1の実施形態に係る変化点の抽出処理の一例を示す図である。
【0038】
次に、抽出機能104aは、
図5に示すように、期間x
tの医用情報を示す特徴ベクトルと、期間x
t+1の医用情報を示す特徴ベクトルとを比較することで、変化の程度を評価する。例えば、抽出機能104aは、期間x
tの医用情報を示す特徴ベクトルと期間x
t+1の医用情報を示す特徴ベクトルとで引き算をし、算出したベクトルの大きさ(ノルム)を、変化の程度として評価することができる。なお、
図5は、第1の実施形態に係る変化点の抽出処理の一例を示す図である。説明の便宜のため、
図5においては2次元のベクトルを示すが、各特徴ベクトルは、利尿剤、強心剤、NT-proBNP及び呼吸数に対応した次元を有する4次元ベクトルとなる。
【0039】
更に、抽出機能104aは、
図4に示すように、「2019.5.18~2019.5.20」の3日間である期間x
uと、「2019.5.21~2019.5.23」の3日間である期間x
u+1との間で変化の程度を評価する。同様に、抽出機能104aは、「2019.5.19~2019.5.21」の3日間と、「2019.5.22~2019.5.24」の3日間との間で変化の程度を評価する。即ち、抽出機能104aは、対象の時点をずらしながら、各時点について変化の程度を評価する。そして、抽出機能104aは、変化の程度が大きい時点を変化点として抽出する。例えば、抽出機能104aは、変化の程度が閾値よりも大きい時点を変化点として抽出する。
【0040】
なお、
図4においては、変化の程度を評価する際に3日間の期間(期間x
t、期間x
t+1、期間x
u、期間x
u+1等)を設定する場合について説明したが、設定する期間の長さについては特に限定されるものではない。また、抽出機能104aは、設定する期間の長さを変化させながら変化の程度を評価してもよい。
【0041】
例えば、抽出機能104aは、「2019.5.17~2019.5.19」の3日間である期間xtと、「2019.5.20~2019.5.22」の3日間である期間xt+1との間で変化の程度を評価する。また、抽出機能104aは、「2019.5.18~2019.5.19」の2日間と、「2019.5.20~2019.5.21」の2日間との間で変化の程度を評価する。また、抽出機能104aは、「2019.5.19」の1日間と、「2019.5.20」の1日間との間で変化の程度を評価する。そして、抽出機能104aは、これら3つの評価に基づいて、「2019.5.19」と「2019.5.20」との間の時点を変化点として抽出するか否かを判定する。例えば、抽出機能104aは、これら3つの評価について平均値を算出し、平均値が閾値を超えるか否かに応じて、「2019.5.19」と「2019.5.20」との間の時点を変化点として抽出するか否かを判定する。また、抽出機能104aは、「2019.5.17~2019.5.24」における他の各時点について同様に、変化点として抽出するか否かを判定する。このように、設定する期間の長さを変化させながら変化の程度を評価することで、抽出機能104aは、瞬間的な変化及び滑らかな変化の双方を変化点として抽出することができる。
【0042】
或いは、抽出機能104aは、部分空間法を用いて変化点の抽出を行なってもよい。例えば、抽出機能104aは、まず、期間xtから複数の特徴ベクトルを取得する。具体的には、抽出機能104aは、期間xtから、「2019.5.17~2019.5.19」の3日間に基づく特徴ベクトル、「2019.5.17~2019.5.18」の2日間に基づく特徴ベクトル、「2019.5.18~2019.5.19」の2日間に基づく特徴ベクトル、「2019.5.17」の1日間に基づく特徴ベクトル、「2019.5.18」の1日間に基づく特徴ベクトル、「2019.5.19」の1日間に基づく特徴ベクトルといった複数の特徴ベクトルを取得する。また、抽出機能104aは、これら複数の特徴ベクトルに基づいて部分空間を算出する。
【0043】
同様に、抽出機能104aは、期間xt+1から複数の特徴ベクトルを取得し、取得した複数の特徴ベクトルに基づいて部分空間を算出する。そして、抽出機能104aは、期間xtに基づく部分空間と期間xt+1に基づく部分空間とを比較して、「2019.5.19」と「2019.5.20」との間の時点を変化点として抽出するか否かを判定する。また、抽出機能104aは、「2019.5.17~2019.5.24」における他の各時点についても同様に、変化点として抽出するか否かを判定する。
【0044】
或いは、抽出機能104aは、密度比を用いて変化点の抽出を行なってもよい。例えば、抽出機能104aは、期間xtにおける医用情報の分布と期間xt+1における医用情報の分布とを比較する。一例を挙げると、抽出機能104aは、期間xtにおける医用情報の分布と期間xt+1における医用情報の分布との間で、分布のずれや形状に関する統計値を比較する。なお、分布のずれに関する統計値は、例えば、各分布の平均値である。また、分布の形状に関する統計値は、例えば、各分布の分散値である。そして、抽出機能104aは、分布同士の比較結果に基づいて、「2019.5.19」と「2019.5.20」との間の時点を変化点として抽出するか否かを判定する。また、抽出機能104aは、「2019.5.17~2019.5.24」における他の各時点についても同様に、変化点として抽出するか否かを判定する。
【0045】
なお、抽出機能104aは、機械学習の手法により、変化点の抽出を行なっても構わない。例えば、抽出機能104aは、医用情報における変化点を抽出するように機能付けられた学習済みモデルM1を用いて、変化点の抽出を行なう。なお、学習済みモデルM1は、例えば、抽出機能104aによって事前に生成され、記憶回路103において記憶される。
【0046】
例えば、抽出機能104aは、まず、学習済みモデルM1の生成に用いる学習データを収集する。例えば、抽出機能104aは、学習データとして、医用情報と変化点との対を取得する。なお、学習データとして用いる医用情報は、患者P1に関する医用情報であってもよいし、他の患者に関する医用情報であってもよい。
【0047】
また、学習データとして用いる変化点については、例えば、医師等のユーザが設定することができる。或いは、抽出機能104aは、学習データとして用いる変化点を自動で設定することもできる。例えば、抽出機能104aは、医用情報を参照した際にユーザが着目した時点を、変化点として設定することができる。一例を挙げると、抽出機能104aは、長時間表示されていた医用情報に対応する時点や、詳細を表示するようユーザにより指定された医用情報に対応する時点を、変化点として設定することができる。
【0048】
次に、抽出機能104aは、収集した学習データに基づく機械学習を実行し、学習済みモデルM1を生成する。ここで、学習済みモデルM1は、例えば、ニューラルネットワーク(Neural Network)により構成することができる。ニューラルネットワークとは、層状に並べた隣接層間が結合した構造を有し、情報が入力層側から出力層側に伝播するネットワークである。例えば、抽出機能104aは、上述した学習データを用いて多層のニューラルネットワークについて深層学習(ディープラーニング)を実行することで、学習済みモデルM1を生成する。なお、多層のニューラルネットワークは、例えば、入力層と、複数の中間層(隠れ層)と、出力層とにより構成される。
【0049】
一例を挙げると、抽出機能104aは、ある患者に関する医用情報を、入力側データとしてニューラルネットワークに入力する。この場合、ニューラルネットワークにおいては、入力層側から出力層側に向かって一方向に隣接層間でのみ結合しながら情報が伝播し、出力層からは、入力された医用情報における変化点の推定結果が出力される。なお、入力層側から出力層側に向かって一方向に情報が伝播するニューラルネットワークについては、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convlutional Neural Network)とも呼ばれる。なお、CNNを例として説明したが、抽出機能104aは、CNNと異なる種類のニューラルネットワークを使用しても構わない。例えば、抽出機能104aは、全結合ニューラルネットワークや、回帰型ニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)等のニューラルネットワークにより、学習済みモデルM1を構成することとしても構わない。
【0050】
抽出機能104aは、入力側データを入力した際にニューラルネットワークが好ましい結果を出力することができるよう、ニューラルネットワークのパラメータを調整することで、学習済みモデルM1を生成する。例えば、抽出機能104aは、ニューラルネットワークから出力される変化点の推定結果と、出力側の学習データとして入力した変化点との差が閾値を下回るまで、ニューラルネットワークのパラメータを調整しながら処理を繰り返す。これにより、抽出機能104aは、医用情報の入力を受け付けて、入力された医用情報における変化点を抽出するように機能付けられた学習済みモデルM1を生成する。また、抽出機能104aは、生成した学習済みモデルM1を記憶回路103に記憶させる。
【0051】
そして、抽出機能104aは、学習済みモデルM1に対して患者P1に関する医用情報を入力する。例えば、抽出機能104aは、患者P1に関する診断を行なう旨の指示をユーザから受け付けたことをトリガとして、データベース20から医用情報を取得するとともに記憶回路103から学習済みモデルM1を読み出し、学習済みモデルM1に対して医用情報を入力する。また、学習済みモデルM1は、入力された医用情報における変化点を出力する。即ち、抽出機能104aは、学習済みモデルM1を用いて、患者P1に関する医用情報における変化点を抽出することができる。
【0052】
なお、学習済みモデルM1の入力側データが医用情報であるものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、抽出機能104aは、医用情報に代えて、医用情報に基づいて算出された部分空間又は密度比を入力側データとして、学習済みモデルM1を生成することとしても構合わない。この場合、抽出機能104aは、患者P1に関する医用情報から部分空間又は密度比を算出し、算出した部分空間又は密度比を学習済みモデルM1に対して入力することにより、患者P1に関する医用情報における変化点を抽出することができる。
【0053】
また、学習済みモデルM1がニューラルネットワークにより構成されるものとして説明したが、抽出機能104aは、ニューラルネットワーク以外の機械学習手法により、学習済みモデルM1を生成してもよい。また、抽出機能104aが学習済みモデルM1を生成するものとして説明したが、学習済みモデルM1は、診断支援装置10と異なる他の装置において生成されるものであっても構わない。
【0054】
次に、抽出機能104aは、変化点の前の第1期間と、変化点の前の第2期間とを抽出する。例えば、抽出機能104aは、変化点の前後のプリセットされた長さの期間を、第1期間及び第2期間として抽出する。以下、期間の長さとして「3日間」がプリセットされた場合を例として説明する。例えば、
図6に示すように、変化点として「2019.5.19」と「2019.5.20」との間の時点である変化点V1が抽出された場合、抽出機能104aは、変化点V1の前の3日間である期間R11を第1期間として抽出し、変化点V1の後の3日間である期間R12を第2期間として抽出する。なお、
図6は、第1の実施形態に係る第1期間及び第2期間の抽出処理の一例を示す図である。
【0055】
或いは、抽出機能104aは、抽出した複数の変化点の間の期間を、第1期間及び第2期間として抽出してもよい。例えば、変化点として、「2019.5.19」と「2019.5.20」との間の時点である変化点V1、「2019.5.16」と「2019.5.17」との間の時点である変化点V2及び「2019.5.23」と「2019.5.24」との間の時点である変化点V3が抽出された場合、抽出機能104aは、変化点V1に対して、
図7に示すように期間R21及び期間R22を抽出する。即ち、抽出機能104aは、変化点V1と変化点V2との間の期間R21を、変化点V1の前の第1期間として抽出する。また、抽出機能104aは、変化点V1と変化点V3との間の期間R22を、変化点V1の後の第2期間として抽出する。なお、
図7は、第1の実施形態に係る第1期間及び第2期間の抽出処理の一例を示す図である。抽出機能104aは、期間の長さについて上限値を設け、変化点の間の期間が長い場合には当該上限値に基づいて第1期間及び第2期間を抽出することとしても構わない。
【0056】
次に、算出機能104bは、変化点の前後での患者情報の変化を示す第1変化量と、変化点の前後での介入情報の変化を示す第2変化量とを算出する。例えば、算出機能104bは、第1期間の患者情報と第2期間の患者情報とに基づいて第1変化量を算出し、第1期間の介入情報と第2期間の介入情報とに基づいて第2変化量を算出する。なお、以下では一例として、抽出機能104aにより、変化点V1の前後の期間として
図6に示した期間R11及び期間R12が抽出された場合について説明する。
【0057】
まず、第1変化量の算出について、
図8を用いて説明する。
図8は、第1の実施形態に係る第1変化量の算出処理の一例を示す図である。
図8に示すように、算出機能104bは、期間R11の容体と期間R12の容体とをそれぞれ算出し、容体の差を第1変化量として算出する。
【0058】
具体的には、算出機能104bは、期間R11の患者情報に基づいて、期間R11の容体を算出する。即ち、算出機能104bは、「2019.5.17~2019.5.19」における患者P1のNT-proBNP及び呼吸数に基づいて、期間R11の容体を算出する。なお、算出機能104bは、期間R11の容体として、容体を示す数値を算出してもよいし、容体を示す複数のランクへの振り分けを行なってもよい。なお、これら容体を示す数値やランクの設定方法については特に限定されるものではなく、例えば、ユーザが設定したものであってもよいし、病院ごとに設定されるものであってもよいし、一般に使用されるガイドライン等に沿って設定されるものであってもよい。
【0059】
例えば、算出機能104bは、NT-proBNP及び呼吸数それぞれの値と容体とを対応付けた所定のテーブルに従って、期間R11の容体を算出する。また、例えば、算出機能104bは、NT-proBNP及び呼吸数の組み合わせと容体とを対応付けた所定のテーブルに従って、期間R11の容体を算出する。
【0060】
また、例えば、算出機能104bは、所定の数式に従って期間R11の容体を算出することとしてもよい。一例を挙げると、算出機能104bは、期間R11におけるNT-proBNP及び呼吸数についての分散値を、期間R11の容体として算出する。
【0061】
或いは、算出機能104bは、機械学習の手法によって期間R11の容体を算出することとしてもよい。例えば、算出機能104bは、患者情報の入力を受け付けて容体を出力するように機能付けられた学習済みモデルM2を用いて、期間R11の容体を算出する。なお、学習済みモデルM2は、例えば、算出機能104bによって事前に生成され、記憶回路103において記憶される。
【0062】
例えば、算出機能104bは、まず、学習済みモデルM2の生成に用いる学習データを収集する。例えば、算出機能104bは、学習データとして、患者情報と容体との対を取得する。なお、学習データとして用いる患者情報は、患者P1に関する患者情報であってもよいし、他の患者に関する患者情報であってもよい。また、学習データとして用いる容体は、例えば、医師等のユーザが設定することができる。例えば、ユーザは、対となる患者情報が取得された時点において行なった問診等の結果に基づいて、容体を設定することができる。
【0063】
次に、算出機能104bは、収集した学習データに基づく機械学習を実行し、学習済みモデルM2を生成する。ここで、学習済みモデルM2は、例えば、ニューラルネットワークにより構成することができる。例えば、算出機能104bは、上述した学習データを用いて多層のニューラルネットワークについてディープラーニングを実行することで、学習済みモデルM2を生成する。また、算出機能104bは、生成した学習済みモデルM2を記憶回路103に記憶させる。
【0064】
そして、算出機能104bは、記憶回路103から読み出した学習済みモデルM2に対して、患者P1に関する患者情報を入力する。また、学習済みモデルM2は、入力された患者情報に基づいて、期間R11の容体を出力する。即ち、算出機能104bは、学習済みモデルM2を用いて、期間R11の容体を算出することができる。
【0065】
なお、学習済みモデルM2がニューラルネットワークにより構成されるものとして説明したが、算出機能104bは、ニューラルネットワーク以外の機械学習手法により、学習済みモデルM2を生成してもよい。また、算出機能104bが学習済みモデルM2を生成するものとして説明したが、学習済みモデルM2は、診断支援装置10と異なる他の装置において生成されるものであっても構わない。
【0066】
上述したように、算出機能104bは、期間R11の患者情報に基づいて、期間R11の容体を算出する。同様に、算出機能104bは、期間R12の患者情報に基づいて、期間R12の容体を算出する。そして、算出機能104bは、期間R11の容体と期間R12の容体とに基づいて第1変化量を算出する。例えば、容体として数値を算出していた場合、算出機能104bは、期間R11の容体と期間R12の容体との間での数値の差を、第1変化量として算出する。また、例えば、容体としてランクを算出していた場合、算出機能104bは、期間R11の容体と期間R12の容体との間でのランク数の差を、第1変化量として算出する。
【0067】
なお、算出機能104bは、第1変化量について規格化を行なってもよい。例えば、算出機能104bは、任意の数値範囲で算出した第1変化量、又はランクとして算出した第1変化量を、「0~1」の数値となるように規格化してもよい。或いは、算出機能104bは、第1変化量と、後述する第2変化量との和が「1」となるように、第1変化量を規格化してもよい。また、以下では、規格化された第1変化量を、容体変化度とも記載する。
【0068】
次に、第2変化量の算出について、
図9を用いて説明する。
図9は、第1の実施形態に係る第2変化量の算出処理の一例を示す図である。
図9に示すように、算出機能104bは、期間R11の介入情報と期間R12の介入情報とをそれぞれベクトル化し、ベクトル間の比較を行なうことで、第2変化量を算出する。
【0069】
例えば、算出機能104bは、期間R11及び期間R12の介入情報を、各期間における代表値(例えば、最大値や変化点近傍の値など)を用いて、ベクトル化することができる。具体的には、期間R11の介入情報は、(利尿剤,強心剤)=(10,20)となるベクトルで表現することができる。また、期間R12の介入情報は、(利尿剤,強心剤)=(10,0)となるベクトルで表現することができる。そして、算出機能104bは、これら2つのベクトルを比較することで、第2変化量を算出する。例えば、算出機能104bは、
図9に示すように、これら2つのベクトルの間で引き算を行なうことにより、第2変化量を算出する。
【0070】
なお、算出機能104bは、期間R11及び期間R12の介入情報を、各期間における他の統計値(例えば平均値など)を用いてベクトル化することとしても構わない。また、介入情報として手術等の実施の有無を用いる場合、算出機能104bは、例えば、「有」を「1」とし、「無」を「0」として数値化することにより、
図9に示す場合と同様に第2変化量を算出することができる。また、
図9においては説明の便宜のため、2次元のベクトルについて説明を行なったが、ベクトルの次元数については特に限定されるものではない。
【0071】
また、算出機能104bは、第2変化量について規格化を行なってもよい。例えば、算出機能104bは、任意の数値範囲で算出した第2変化量を、「0~1」の数値となるように規格化してもよい。或いは、算出機能104bは、第1変化量と第2変化量との和が「1」となるように、第2変化量を規格化してもよい。また、以下では、規格化された第2変化量を、介入変化度とも記載する。
【0072】
次に、表示制御機能104cは、第1変化量及び第2変化量の少なくとも一方に応じて表示態様を設定する。例えば、表示制御機能104cは、第1変化量と第2変化量との割合に応じて表示態様を設定する。以下、表示態様の設定処理について、
図10A及び
図10Bを用いて説明する。
図10A及び
図10Bは、第1の実施形態に係る表示態様の設定処理の一例を示す図である。
【0073】
まず、算出機能104bは、
図10Aに示すように、第1変化量と第2変化量との和が「1」となるように、第1変化量及び第2変化量を規格化する。なお、
図10Aは、規格化された第1変化量である容体変化度が「0.6」であり、規格化された第2変化量である介入変化度が「0.4」である場合を示す。
【0074】
次に、表示制御機能104cは、第1変化量と第2変化量との割合に応じた割合で2色を混合した混合色を設定する。具体的には、表示制御機能104cは、
図10Bに示すように、容体変化度「0.6」と介入変化度「0.4」との割合に応じて、「赤:青=6:4」となるように赤色と青色とを混合した混合色を設定する。即ち、表示制御機能104cは、介入の変化に対して容体の変化が大きい場合には赤色に近くなるように混合色を設定し、容体の変化に対して介入の変化が大きい場合には青色に近くなるように混合色を設定し、容体と介入との両方が同程度に変化した場合には中間色(紫色)となるように混合色を設定する。
【0075】
そして、表示制御機能104cは、設定した混合色を用いて、第1変化量及び第2変化量に基づく表示を行なう。例えば、表示制御機能104cは、患者情報及び介入情報の少なくとも一方に基づく時系列表示を行なうとともに、設定した混合色を用いて変化点を図示する。
【0076】
例えば、表示制御機能104cは、
図11Aに示すように、NT-proBNP及び呼吸数のそれぞれをグラフで時系列表示するとともに、変化点を棒線で図示する。ここで、
図11Aにおいて変化点を示す棒線は、第1変化量と第2変化量との割合に応じて設定された混合色で表示される。より具体的には、
図11Aは、介入の変化に対して容体の変化が大きい場合において、赤色に近くなるように設定された混合色を用いて変化点を図示する場合を示す。なお、
図11Aは、第1の実施形態に係る表示例を示す図である。
【0077】
図11Aの表示を参照したユーザは、「2019.5.20」と「2019.5.21」との間に変化点があり、且つ、介入の変化に対して容体の変化が大きかったことを一見して把握することができる。即ち、ユーザは、「2019.5.20」と「2019.5.21」との間に行われた介入により、患者P1の容体が比較的大きく変化したことを容易に把握することができる。換言すると、ユーザは、「2019.5.20」と「2019.5.21」との間に行われた介入について、患者P1の容体に対する影響が大きかったことを容易に把握することができる。
【0078】
また、例えば、表示制御機能104cは、
図11Bに示すように、NT-proBNP及び呼吸数のそれぞれをグラフで時系列表示するとともに、変化点を棒線で図示する。ここで、
図11Bにおいて変化点を示す棒線は、第1変化量と第2変化量との割合に応じて設定された混合色で表示される。より具体的には、
図11Bは、介入の変化に対して容体の変化が小さい場合において、青色に近くなるように設定された混合色を用いて変化点を図示する場合を示す。なお、
図11Bは、第1の実施形態に係る表示例を示す図である。
【0079】
図11Bの表示を参照したユーザは、「2019.5.20」と「2019.5.21」との間に変化点があり、且つ、介入の変化に対して容体の変化が小さかったことを一見して把握することができる。即ち、ユーザは、「2019.5.20」と「2019.5.21」との間に行われた介入により、患者P1の容体が比較的変化しなかったことを容易に把握することができる。換言すると、ユーザは、「2019.5.20」と「2019.5.21」との間に行われた介入について、患者P1の容体に対する影響が小さかったことを容易に把握することができる。
【0080】
また、例えば、表示制御機能104cは、
図11Cに示すように、NT-proBNP及び呼吸数のそれぞれをグラフで時系列表示するとともに、変化点を棒線で図示する。ここで、
図11Cにおいて変化点を示す棒線は、第1変化量と第2変化量との割合に応じて設定された混合色で表示される。より具体的には、
図11Cは、容体と介入との両方が同程度に変化した場合において、中間色(紫色)となるように設定された混合色を用いて変化点を図示する場合を示す。なお、
図11Cは、第1の実施形態に係る表示例を示す図である。
【0081】
図11Cの表示を参照したユーザは、「2019.5.20」と「2019.5.21」との間に変化点があり、且つ、介入の変化に対する容体の変化が並程度であったことを一見して把握することができる。即ち、ユーザは、「2019.5.20」と「2019.5.21」との間に行われた介入により、介入の大きさに対して一般に期待される程度に患者P1の容体が変化したことを容易に把握することができる。
【0082】
なお、
図11A、
図11B及び
図11Cにおいては、時系列表示の例として、NT-proBNP及び呼吸数をグラフで表示する場合を示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、表示制御機能104cは、NT-proBNP及び呼吸数以外の患者情報をグラフで表示してもよいし、介入情報をグラフで表示してもよい。
【0083】
また、表示制御機能104cは、
図11Dに示すように、テーブルを用いて時系列表示を行なってもよい。この場合、表示制御機能104cは、テーブル上に棒線を表示することで、変化点を図示することができる。なお、
図11Dは、容体と介入との両方が同程度に変化した場合において、中間色(紫色)となるように設定された混合色を用いて変化点を図示する場合を示す。また、
図11Dは、第1の実施形態に係る表示例を示す図である。
【0084】
また、表示制御機能104cは、
図11A、
図11B、
図11C及び
図11Dに示した棒線の他に、追加の情報を表示してもよい。例えば、表示制御機能104cは、棒線の近傍にテキストの注釈を付して、第1変化量や第2変化量、NT-proBNP及び呼吸数以外の患者情報、介入情報等を表示させてもよい。一例を挙げると、表示制御機能104cは、ユーザが棒線に対するクリック操作を行なうごとに表示内容を変化させながら、第1変化量や第2変化量、患者情報、介入情報等を順次表示させてもよい。また、一例を挙げると、表示制御機能104cは、ユーザが棒線に対するクリック操作を行なうごとに、より詳細な情報を追加的に表示させてもよい。
【0085】
次に、診断支援システム1による処理の手順の一例を、
図12を用いて説明する。
図12は、第1の実施形態に係る診断支援システム1の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。ステップS101、ステップS102及びステップS103は、抽出機能104aに対応するステップである。また、ステップS104は、算出機能104bに対応するステップである。また、ステップS105及びステップS106は、表示制御機能104cに対応するステップである。
【0086】
まず、処理回路104は、データベース20から、患者P1の状態に関する患者情報と、患者P1への介入に関する介入情報とを含む医用情報を取得する(ステップS101)。次に、処理回路104は、医用情報における変化点を抽出する(ステップS102)。次に、処理回路104は、変化点の前の第1期間と、変化点の後の第2期間とを抽出する(ステップS103)。
【0087】
次に、処理回路104は、第1期間の患者情報と第2期間の患者情報とに基づいて第1変化量を算出し、第1期間の介入情報と第2期間の介入情報とに基づいて第2変化量を算出する(ステップS104)。次に、処理回路104は、第1変化量及び第2変化量の少なくとも一方に応じて表示態様を設定する(ステップS105)。そして、処理回路104は、設定した表示態様で第1変化量及び第2変化量に基づく表示を行ない(ステップS106)、処理を終了する。
【0088】
上述したように、第1の実施形態によれば、データベース20は、患者P1の状態に関する患者情報と、患者P1への介入に関する介入情報とを含む医用情報を記憶する。また、抽出機能104aは、医用情報における変化点を抽出する。また、算出機能104bは、変化点の前後での患者情報の変化を示す第1変化量と、変化点の前後での介入情報の変化を示す第2変化量とを算出する。また、表示制御機能104cは、第1変化量及び第2変化量の少なくとも一方に応じて設定した表示態様で、第1変化量及び第2変化量に基づく表示を行なう。従って、第1の実施形態に係る診断支援システム1は、患者P1に関する医用情報の把握を容易にすることができる。
【0089】
例えば、
図11A~Dの表示を参照したユーザは、棒線の位置によって医用情報における変化点を把握するともに、棒線の色によって、各変化点における第1変化量及び第2変化量を把握することができる。即ち、第1の実施形態に係る診断支援システム1によれば、ユーザは、変化点が大量に抽出される場合であっても、医用情報の概要を容易に把握することができる。更に、ユーザは、先に概要を把握しておくことで、目的に応じた詳細な医用情報を効率的に展開させ、順次把握していくことができる。
【0090】
なお、ユーザが医用情報を把握するための他の手法としては、ユーザが自らデータベース20にアクセスし、医用情報を参照することが考えられる。しかしながら、データベース20には大量の医用情報が記憶されている場合もあるため、ユーザは医用情報を取捨選択しながら参照することとなり、この作業はユーザにとっての負担となる。
【0091】
また、ユーザが医用情報を把握するための他の手法として、サマリを参照することが考えられる。サマリは、過去に作成されたカルテを基に作成されるファイルであり、例えば、転院時や退院時において作成される。即ち、サマリは、転院や退院までの間の患者に関する医用情報をまとめたものである。しかしながら、患者によってはサマリに大量の情報が記載されることもあり、記載された医用情報の全てをユーザが把握することは容易でない。また、例えば、医用情報の細かい変化を把握したい場合には、サマリに記載された情報では不十分な場合もある。
【0092】
また、ユーザが医用情報を把握するための他の手法として、データベース20が記憶する医用情報のうちの一部を自動で抽出し、ユーザに提示することが考えられる。例えば、医用情報の変化点を自動で抽出し、変化点に関する医用情報のみを抽出することで、ユーザに提示する医用情報の量を低減することが考えられる。しかしながら、患者によっては、変化点が大量に特定される場合がある。この場合には大量の医用情報が抽出され、医用情報を把握するユーザの負担も増大することとなる。
【0093】
これに対し、診断支援システム1は、抽出した変化点に基づいて第1変化量及び第2変化量を算出し、第1変化量及び第2変化量の少なくとも一方に応じて設定した表示態様で、第1変化量及び第2変化量に基づく表示を行なう。即ち、診断支援システム1は、変化点に応じて医用情報を抽出するのみならず、これを抽象化して表示する。これにより、ユーザは、医用情報における変化を直感的且つ容易に把握することができる。
【0094】
(第2の実施形態)
さて、これまで第1の実施形態について説明したが、上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0095】
例えば、
図11A~Dにおいては、第1変化量と第2変化量との割合に応じて表示態様を設定する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、表示制御機能104cは、第1変化量と第2変化量との割合に加え、第1変化量及び第2変化量それぞれの大きさに応じて、表示態様を設定してもよい。
【0096】
例えば、算出機能104bは、第1変化量と第2変化量のそれぞれを「0~1」の数値範囲となるように規格化する。即ち、算出機能104bは、容体変化度を「0~1」の数値範囲で算出し、介入変化度を「0~1」の数値範囲で算出する。次に、表示制御機能104cは、容体変化度と介入変化度との割合と、容体変化度及び介入変化度それぞれの大きさとに応じて、表示態様を設定する。
【0097】
一例を挙げると、表示制御機能104cは、容体変化度と介入変化度との割合に応じた割合で2色を混合するとともに、容体変化度と介入変化度との和の大きさに応じて彩度を設定した混合色を設定する。例えば、表示制御機能104cは、容体変化度と介入変化度との和が大きいほど彩度が高くなるように、混合色を設定する。
【0098】
そして、表示制御機能104cは、
図11A~Dに示した場合と同様、患者情報及び介入情報の少なくとも一方に基づく時系列表示を行なうとともに、設定した混合色を付した棒線で変化点を図示する。この場合、ユーザは、棒線の位置によって医用情報における変化点を把握するともに、棒線の色によって、第1変化量と第2変化量との割合、及び、それぞれの大きさを把握することができる。例えば、
図10Bと同様に赤色及び青色を使用した場合において棒線が明るい赤色だった場合、ユーザは、介入の変化に対して容体の変化が大きく、且つ、その容体の変化が大幅な変化であったことを把握することができる。また、例えば、棒線が暗い赤色だった場合、ユーザは、介入の変化に対して容体の変化が大きかったものの、その容体の変化は小さな変化であったことを把握することができる。
【0099】
別の例を挙げると、表示制御機能104cは、容体変化度と介入変化度との割合に応じた割合で2色を混合した混合色を設定するとともに、容体変化度と介入変化度との和の大きさに応じて棒線の形態を設定する。例えば、表示制御機能104cは、容体変化度と介入変化度との和が大きいほど棒線が太くなるように、棒線の太さを設定する。また、例えば、表示制御機能104cは、棒線を点線とし、容体変化度と介入変化度との和が大きいほど点と点との間隔が狭くなるように、間隔を設定する。また、例えば、表示制御機能104cは、容体変化度と介入変化度との和が大きいほど透明度が低くなるように、棒線の透明度を設定する。
【0100】
そして、表示制御機能104cは、
図11A~Dに示した場合と同様、患者情報及び介入情報の少なくとも一方に基づく時系列表示を行なうとともに、設定した混合色及び形態の棒線で、変化点を図示する。この場合、ユーザは、棒線の位置によって医用情報における変化点を把握するともに、棒線の色によって第1変化量と第2変化量との割合を把握し、更に、棒線の形態によって第1変化量及び第2変化量それぞれの大きさを把握することができる。
【0101】
また、
図11A~Dにおいては、棒線を用いて変化点を図示するものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、表示制御機能104cは、棒線以外の他の図形を用いて変化点を図示してもよいし、テキストにより変化点を図示してもよい。一例を挙げると、表示制御機能104cは、第1変化量と第2変化量との割合に応じた混合色を付した矢印や三角形等の図形を用いて、変化点を図示してもよい。別の例を挙げると、表示制御機能104cは、第1変化量と第2変化量との割合に応じた混合色を文字色としたテキストを用いて、変化点を図示してもよい。
【0102】
また、これまで、第1変化量と第2変化量との割合に応じた割合で2色を混合した混合色を設定するものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。即ち、表示態様として色の設定を行なうのはあくまで一例であり、表示制御機能104cは、色以外の他の表示態様を設定することとしても構わない。例えば、表示制御機能104cは、第1変化量及び第2変化量を表示する順序を表示態様として設定し、設定した順序で第1変化量及び第2変化量を表示することとしても構わない。
【0103】
例えば、算出機能104bは、第1変化量と第2変化量のそれぞれを「0~1」の数値範囲となるように規格化する。即ち、算出機能104bは、容体変化度を「0~1」の数値範囲で算出し、介入変化度を「0~1」の数値範囲で算出する。次に、表示制御機能104cは、容体変化度及び介入変化度に応じて、容体変化度及び介入変化度を表示する順序を設定する。
【0104】
一例を挙げると、表示制御機能104cは、
図13に示すように、介入変化度が大きく且つ容体変化度が小さいほど優先度が高くなるように、容体変化度及び介入変化度を表示する順序を設定する。即ち、表示制御機能104cは、介入変化度を降順とするとともに容体変化度を昇順とするように、順序を決定する。なお、
図13は、第2の実施形態に係る表示例を示す図である。
【0105】
具体的には、
図13に示す場合、変化点「2019.5.20 23.34.24」の前後での患者情報の変化を示す容体変化度「0.9」及び介入情報の変化を示す介入変化度「0.1」の優先度が「1」である。また、変化点「2019.5.19 08.54.23」の前後での患者情報の変化を示す容体変化度「0.8」及び介入情報の変化を示す介入変化度「0.2」の優先度が「2」である。また、変化点「2019.5.23 12.12.11」の前後での患者情報の変化を示す容体変化度「0.2」及び介入情報の変化を示す介入変化度「0.2」の優先度が「3」である。また、変化点「2019.5.20 11.12.11」の前後での患者情報の変化を示す容体変化度「0.1」及び介入情報の変化を示す介入変化度「0.6」の優先度が「4」である。また、変化点「2019.5.21 14.43.21」の前後での患者情報の変化を示す容体変化度「0.1」及び介入情報の変化を示す介入変化度「0.7」の優先度が「5」である。また、変化点「2019.5.17 11.32.43」の前後での患者情報の変化を示す容体変化度「0.2」及び介入情報の変化を示す介入変化度「0.9」の優先度が「6」である。
【0106】
図13に示す場合、表示制御機能104cは、介入の変化に対して容体の変化が小さいほど優先度が高くなるように表示を行なうことができる。これにより、ユーザは、例えば効果のなかった治療や効果の小さい治療を容易に発見することができる。なお、表示制御機能104cは、
図13に示すように、変化点の前後における患者情報や介入情報を更に表示することとしても構わない。
【0107】
なお、表示制御機能104cは、介入変化度が小さく且つ容体変化度が大きいほど優先度が高くなるように、容体変化度及び介入変化度を表示する順序を設定することとしても構わない。この場合、表示制御機能104cは、介入の変化に対して容体の変化が大きいほど優先度が高くなるように表示を行なうことができる。これにより、ユーザは、例えば効果的な治療を容易に発見することができる。
【0108】
或いは、表示制御機能104cは、容体変化度が大きいほど優先度が高くなるように、容体変化度及び介入変化度を表示する順序を設定することとしても構わない。即ち、表示制御機能104cは、第1変化量のみに基づいて、容体変化度及び介入変化度を表示する順序を設定してもよい。或いは、表示制御機能104cは、介入変化度が大きいほど優先度が高くなるように、容体変化度及び介入変化度を表示する順序を設定することとしても構わない。即ち、表示制御機能104cは、第2変化量のみに基づいて、容体変化度及び介入変化度を表示する順序を設定してもよい。
【0109】
また、上述した実施形態では、変化点の前の第1期間と変化点の後の第2期間とを抽出し、第1期間の患者情報と第2期間の患者情報とに基づいて第1変化量を算出し、第1期間の介入情報と第2期間の介入情報とに基づいて第2変化量を算出する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、抽出機能104aによる第1期間及び第2期間の抽出については省略することとしても構わない。この場合、算出機能104bは、変化点の前の患者情報と変化点の後の患者情報とに基づいて第1変化量を算出することができる。また、算出機能104bは、変化点の前の介入情報と変化点の後の介入情報とに基づいて第2変化量を算出することができる。
【0110】
また、患者P1に関して第1変化量及び第2変化量を算出した後、抽出機能104aは、第1変化量及び第2変化量が類似する他の患者P2を抽出してもよい。例えば、抽出機能104aは、時間軸上の変化点の分布、及び、各変化点について算出された第1変化量及び第2変化量の値が患者P1に類似する患者P2を抽出し、患者P2に関する医用情報をデータベース20から取得する。
【0111】
ここで、例えば患者P1が入院中であって患者P2が退院済みである場合、抽出機能104aは、患者P2に関する医用情報のうち、退院に至るまでの全期間の医用情報を取得する。また、表示制御機能104cは、患者P2に関する医用情報をディスプレイ102に表示させる。これにより、ユーザは、患者P2の状態に関する患者情報を参照して患者P1の今後の容体変化を予測したり、患者P2への介入に関する介入情報を参照して患者P1への介入の計画を立てたりすることができる。
【0112】
また、上述した実施形態では、患者情報と介入情報とを含む医用情報をデータベース20が記憶するものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、医用情報については、診断支援装置10の記憶回路103が記憶する場合であってもよい。
【0113】
上述した実施形態に係る各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。即ち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
【0114】
また、上述した実施形態で説明した診断支援方法は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0115】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、患者に関する医用情報の把握を容易にすることができる。
【0116】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0117】
1 診断支援システム
10 診断支援装置
101 入力インターフェース
102 ディスプレイ
103 記憶回路
104 処理回路
104a 抽出機能
104b 算出機能
104c 表示制御機能
104d 制御機能
20 データベース