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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/42 20060101AFI20231113BHJP
   B65D 5/54 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
B65D5/42 F
B65D5/54 301J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019205619
(22)【出願日】2019-11-13
(65)【公開番号】P2021075323
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】松浦 積弥
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-124855(JP,A)
【文献】特開2018-002260(JP,A)
【文献】特開2008-222242(JP,A)
【文献】特開2018-150061(JP,A)
【文献】特開平05-032253(JP,A)
【文献】特開2007-045525(JP,A)
【文献】特開2012-051624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/42
B65D 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、前記天板に対向する底板と、前記天板及び前記底板に対してそれぞれ交差する方向に延び、互いに対向する一対の側板とを有する筒状の外周壁と、
前記外周壁の両端にそれぞれ設けられた一対の蓋壁と
を備え、
前記蓋壁は、
前記天板に第1屈曲部を介して連設された上側外フラップと、
前記第1屈曲部に沿って延びる第2屈曲部を介して前記底板に連設された下側外フラップと、
前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部に対して交差する方向に延びる第3屈曲部を介して前記一対の側板にそれぞれ連設され、前記上側外フラップ及び前記下側外フラップの内面側に配置され、前記上側外フラップに対して固着され、前記下側外フラップに対して取外可能に固着された一対の内フラップと
を有し、
前記天板は開封用の破断線を有し、
前記上側外フラップ及び前記下側外フラップはそれぞれ、前記一対の内フラップの先端間に位置し、前記第3屈曲部に沿って延びる第1折曲線を有し、
前記下側外フラップはさらに、前記下側外フラップの先端側から前記第2屈曲部側に向けて下広がりに傾斜する一対の第2折曲線を有し、
前記底板は、前記下側外フラップの前記第1折曲線と隣接するように、前記第2屈曲部に対して交差する方向に延びる底板折曲部を有し、
前記第2屈曲部上には、前記底板折曲部に対応するように切断線が設けられている、包装箱。
【請求項2】
前記下側外フラップと前記内フラップは、前記下側外フラップにおいて前記第2折曲線の上側で固着部によって固着されており、
前記下側外フラップの内面側又は前記内フラップの外面側には、前記固着部に隣接するように、前記蓋壁の厚み方向の一部だけを破断した部分カット線が設けられている、請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記底板折曲部は、前記第2屈曲部が延びる方向に間隔をあけて設けられた2本の折曲線を有し、
前記切断線は、前記第2屈曲部と前記2本の折曲線との交点のうち、一方から他方にかけて延びている、請求項1又は2に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
天板、底板、及び一対の側板を有する外周壁の両端を、一対の外フラップと一対の内フラップとを有する蓋壁によってそれぞれ封緘したラップアラウンド形式の包装箱が知られている。特許文献1の包装箱では、天板に開封用の第1破断線が設けられており、この第1破断線に沿って天板を破断することで外周壁の一面が開封される。
【0003】
特許文献1の包装箱には、収容した物品を全て取り出した後に平坦に折り畳むために、蓋壁を構成する下側の外フラップに第2破断線がそれぞれ設けられ、上側の外フラップと底板に折曲線がそれぞれ設けられている。第2破断線に沿って下側外フラップを破断し、折曲線に沿って上側外フラップ及び底板を折り曲げることで、包装箱を平坦に折畳むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-2260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の包装箱では、平坦に折畳む際、第2破断線に沿って下側外フラップを破断する必要があるため、折畳み作業性について改善の余地がある。
【0006】
本発明は、平坦に折畳み可能とした包装箱における折畳み作業性の向上を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、天板と、前記天板に対向する底板と、前記天板及び前記底板に対してそれぞれ交差する方向に延び、互いに対向する一対の側板とを有する筒状の外周壁と、前記外周壁の両端にそれぞれ設けられた一対の蓋壁とを備え、前記蓋壁は、前記天板に第1屈曲部を介して連設された上側外フラップと、前記第1屈曲部に沿って延びる第2屈曲部を介して前記底板に連設された下側外フラップと、前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部に対して交差する方向に延びる第3屈曲部を介して前記一対の側板にそれぞれ連設され、前記上側外フラップ及び前記下側外フラップの内面側に配置され、前記上側外フラップに対して固着され、前記下側外フラップに対して取外可能に固着された一対の内フラップとを有し、前記天板は開封用の破断線を有し、前記上側外フラップ及び前記下側外フラップはそれぞれ、前記一対の内フラップの先端間に位置し、前記第3屈曲部に沿って延びる第1折曲線を有し、前記下側外フラップはさらに、前記下側外フラップの先端側から前記第2屈曲部側に向けて下広がりに傾斜する一対の第2折曲線を有し、前記底板は、前記下側外フラップの前記第1折曲線と隣接するように、前記第2屈曲部に対して交差する方向に延びる底板折曲部を有し、前記第2屈曲部上には、前記底板折曲部に対応するように切断線が設けられている、包装箱を提供する。
【0008】
本態様では、破断線に沿った天板の破断によって外周壁の一面を開封できるため、収容した物品の取出作業性は良好である。開封部分から全ての物品を取り出した後、包装箱を平坦に折畳む際には、底板側から一対の第2屈曲部を持ち、一対の第2折曲線と第2屈曲部で囲まれた部分を内向きに押しこむ。これにより、第1折曲線及び第2折曲線に沿って一対の下側外フラップがそれぞれ谷折りされ、底板折曲部に沿って底板が山折りされる。また、第1折曲線に沿って上側外フラップが谷折される。その結果、包装箱を平坦に折り畳むことができる。
【0009】
下側外フラップを押し込むと、下側外フラップと一対の内フラップとが相対的に移動する。これにより、下側外フラップと内フラップを固着した固着部から、下側外フラップ及び内フラップのうちのいずれかが剥離し、内フラップに対して下側外フラップが取り外される。このように、下側外フラップを破断する必要がないため、折畳み時の作業性を向上できる。また、第2屈曲部上に底板折曲部と対応するように切断線が設けられているため、底板折曲部に沿った底板の折り曲げによる弾性的な反発力を低減できる。
【0010】
前記下側外フラップと前記内フラップは、前記下側外フラップにおいて前記第2折曲線の上側で固着部によって固着されており、前記下側外フラップの内面側又は前記内フラップの外面側には、前記固着部に隣接するように、前記蓋壁の厚み方向の一部だけを破断した部分カット線が設けられている。
【0011】
本態様では、内フラップと下側外フラップが相対移動すると、部分カット線によって下側外フラップの内面側又は内フラップの外面側が捲れるため、内フラップに対する下側外フラップの取り外しが促進される。よって、包装箱の折畳み作業性を向上できる。
【0012】
前記底板折曲部は、前記第2屈曲部が延びる方向に間隔をあけて設けられた2本の折曲線を有し、前記切断線は、前記第2屈曲部と前記2本の折曲線4との交点のうち、一方から他方にかけて延びている。
【0013】
本態様では、底板折曲部が1本の折曲線で構成されている場合と比較して、底板の折り曲げに連動する下側外フラップの移動量が少なくなるため、下側外フラップの縁が内フラップの縁に干渉する。これにより、下側外フラップ及び底板の弾性による復元を抑制できる。また、底板折曲部が1本の折曲線で構成されている場合と比較して、折り曲げによる底板の弾性による復元力を低減できる。具体的には、底板折曲部が2本以上の折曲線を有するため、1本の折曲線の場合と比較して、折り曲げた底板の第1部分と第2部分の間に許容される隙間が広くなる。よって、折り曲げた底板の復元力を低減できるため、包装箱の折畳み状態を確実に維持できる。また、第2屈曲部と2本の折曲線との交点のうち、一方から他方にかけて延びるように切断線が設けられているため、底板折曲部に沿った底板の折り曲げによる弾性的な反発力を低減できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、平坦に折畳み可能とした包装箱における折畳み時の作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る包装箱の斜視図。
図2図1の包装箱の開封状態を示す斜視図。
図3図1の包装箱の折畳み状態を示す斜視図。
図4図1の包装箱のブランクを示す平面図。
図5図4のV部分の拡大図。
図6図1の包装箱の折畳み過程を示す正面図。
図7】第1変形例の包装箱のブランクを示す部分拡大図。
図8】第2変形例の包装箱のブランクを示す部分拡大図。
図9】第3変形例の包装箱のブランクを示す部分拡大図。
図10】第4変形例の包装箱のブランクを示す部分拡大図。
図11】第5変形例の包装箱のブランクを示す部分拡大図。
図12】第6変形例の包装箱のブランクを示す部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る包装箱1を示す。図1に示すように、包装箱1は、多角筒状の外周壁10と、外周壁10の軸線が延びる方向の両端をそれぞれ塞ぐ蓋壁20とを備えるラップアラウンド形式である。
【0018】
包装箱1は、図4に示す一枚のブランクを、所定部位で折り曲げて固着することで形成されている。ブランクは、周知の紙器打抜装置によって、紙製の段ボールシートを打ち抜いて形成されている。段ボールシートは、表ライナ(包装箱の外面)と裏ライナ(包装箱の内面)の間に波状の中しんを配設した周知の構成である。
【0019】
図4に一点鎖線で記載した部分は、段ボールシートの肉厚を部分的に圧縮するように、裏ライナの方から罫を入れて形成した汎用罫線である。図4に二点鎖線で記載した部分は、段ボールシートの肉厚を部分的に圧縮するように、表ライナの方から罫を入れて形成した逆罫線である。図4に破線で記載した部分は、段ボールシートの厚み方向において、裏ライナのみ、又は裏ライナと中しんの一部分のみを切断した部分カット線である。図4に実線で記載した部分は、裏ライナから表ライナにかけて刃を入れて形成した切断線、及び打ち抜きによる形状線(辺)である。
【0020】
図1に示すように、外周壁10を構成する天板11には、開封用の破断線30が設けられている。図1に示す包装箱1の封緘状態で、破断線30に沿って天板11を破断することによって、図2に示すように外周壁10の一面を開封できる。
【0021】
使用後の包装箱1を平坦に折り畳むために、蓋壁20には2種の折曲線40a,40b,41が設けられ、外周壁10を構成する底板12には1つの底板折曲部42が設けられている。図2に示す包装箱1の開封状態で、折曲線40a,40b,41に沿って蓋壁20を折り曲げ、底板折曲部42に沿って底板12を折り曲げることによって、図3に示すように包装箱1を平坦に折り畳むことができる。
【0022】
以下、包装箱1の具体的構成について説明する。
【0023】
図1に示すように、外周壁10は、天板11、底板12、及び一対の側板13を備え、全体として四角筒状である。本実施形態の天板11は、天板本体14と付代部15とで構成されている。付代部15が天板本体14の内面(裏ライナ)に貼着されることで、一枚の天板11を形成されるとともに、外周壁10が筒状に一体化されている。
【0024】
天板11と底板12とは、概ね同一の四角形状であり、互いに平行に位置するように対向して配置されている。一対の側板13は、同一の四角形状であり、天板11及び底板12に対して直交する方向に延び、互いに平行に位置するように対向して配置されている。一対の側板13のうち、一方の上端は天板本体14に屈曲部16aを介して連なり、他方の上端は付代部15に屈曲部16bを介して連なっている。一対の側板13の下端はそれぞれ、底板12の両側に屈曲部17を介して連なっている。
【0025】
図4を参照すると、外周壁10は、天板本体14、一方の側板13、底板12、他方の側板13、及び付代部15の順で上から下へと連設されている。図4において上側に位置する側板13と天板本体14とは、屈曲部16aを構成する折曲線16a’を介して連設されている。図4において下側に位置する側板13と付代部15とは、屈曲部16bを構成する折曲線16b’を介して連設されている。底板12と一対の側板13はそれぞれ、屈曲部17を構成する折曲線17’を介して連設されている。折曲線16a’及び折曲線17’は汎用罫線からなる。折曲線16b’は、汎用罫線上に間隔をあけて複数の切断線を設けたリード罫からなる。
【0026】
図1に示すように、個々の蓋壁20は、一対の外フラップ21,22、及び一対の内フラップ23,23を備える。一対の外フラップ21,22は上下に間隔をあけて位置し、一対の内フラップ23は互いの先端が突き合うように左右に位置している。外フラップ21,22は内フラップ23,23の外面(表ライナ)側に重ねられ、互いの重畳部分が固着部27によって固着されている。固着部27とは、一般に熱溶融樹脂(ホットメルト)等の接着剤が硬化した部分である。
【0027】
一対の蓋壁20は、それぞれ全体として四角形状の板体であり、互いに平行に位置するように対向して配置されている。一対の上側外フラップ21はそれぞれ、天板本体14(天板11)の両端に屈曲部(第1屈曲部)24を介して連設されている。一対の下側外フラップ22はそれぞれ、底板12の両端に屈曲部(第2屈曲部)25を介して連設されている。二対の内フラップ23はそれぞれ、一対の側板13の両端に屈曲部(第3屈曲部)26を介して連設されている。屈曲部24と屈曲部25は平行に延び、これらに対して屈曲部26は直交する方向に延びる。
【0028】
図4を参照すると、上側外フラップ21は、屈曲部24を構成する破断線30の第3部分33及び第4部分34を介して天板本体14に連設されている。下側外フラップ22は、屈曲部25を構成する折曲線25’を介して底板12に連設されている。内フラップ23はそれぞれ、屈曲部26を構成する折曲線26’を介して側板13に連設されている。折曲線25’,26’は汎用罫線からなる。破断線30については後で詳述する。
【0029】
折曲線26’から内フラップ23の先端までの突出寸法は、図1に示すように組立状態で隣り合う内フラップ23の先端と突き合う長さに設定されている。破断線30から上側外フラップ21の先端までの突出寸法、及び折曲線25’から下側外フラップ22の先端までの突出寸法は、ブランクの状態で内フラップ23の先端と直線上に位置する長さに設定されている。本実施形態では、天板11から底板12までの寸法である包装箱1の全高が、一対の側板13のうちの一方から他方までの寸法である包装箱1の横幅よりも大きい。よって、一対の内フラップ23は互いに突き合い、一対の外フラップ21,22は互いに間隔をあけて位置する。
【0030】
図1及び図2に示すように、本実施形態の包装箱1には、持ち運び用の把持部28が一対設けられている。個々の把持部28は、上側外フラップ21に設けられた押込部21aと、一対の内フラップ23にそれぞれ設けられた切欠部23aとで構成されている。押込部21aは、上側外フラップ21の中央に設けられ、汎用罫線からなる一対の折曲線と、3本の切断線とで画定されている。切欠部23aは、内フラップ23において押込部21aと対応する位置に設けられ、先端縁から内フラップ23が連なる側板13に向けて切り欠かれている。
【0031】
以上のような基本構成を有する包装箱1は、例えば以下のように封緘される。
【0032】
ブランクの状態で底板12の上に物品を配置した後、底板12に対して一対の側板13をそれぞれ折り曲げる。続いて、側板13に対して付代部15を折り曲げた後、側板13に対して天板本体14を折り曲げ、重畳した付代部15の外面と天板本体14の内面とを接着剤で固着する。次に、一対の側板13に対して内フラップ23をそれぞれ折り曲げる。続いて、天板11に対して上側外フラップ21を折り曲げるとともに、底板12に対して下側外フラップ22を折り曲げる。そして、重畳した内フラップ23と外フラップ21,22とをそれぞれ接着剤で固着する。
【0033】
必要に応じて押込部21aを外側から内向きに押圧することで、包装箱1の外部から内部に貫通した把持部28が形成される。一対の把持部28にそれぞれ手を差し込むことにより、包装箱1を安定して持ち運ぶことができる。
【0034】
このように封緘した包装箱1を図2に示すように開封するために、外周壁10には破断線30が設けられている。
【0035】
図1及び図4に示すように、破断線30は、外周壁10において天板11が位置する一面を開口させる。具体的には、破断線30は、天板11において、一対の蓋壁20間の中央に位置する第1部分31、第1部分31の両側に位置する一対の第2部分32、及び屈曲部24上に位置するそれぞれ一対の第3部分33と第4部分34を備える。
【0036】
第1部分31は、一対の側板13のうち、天板本体14が連なる方の近傍に設けられている。第1部分31は、屈曲部24に対して交差する方向に延びる屈曲部16aに沿って延びている。第1部分31は、は、断続的に設けられた複数の切断線31aによって構成され、全体として円弧状の凹凸を繰り返す波形状に形成されている。
【0037】
第1部分31の両端には、屈曲部16aに対して直交する方向に延びる一対の破断線35がそれぞれ設けられている。個々の破断線35は、断続的に設けられた2本の切断線にからなる。第1部分31、破断線35、及び屈曲部16aによって画定された部分は、天板11の破断起点となる操作部36を構成する。
【0038】
第2部分32は、第1部分31の両端から屈曲部24(蓋壁20)にかけて、屈曲部16aに沿って延びている。第2部分32の一端(内端)は、第1部分31に対して破断可能な間隔をあけて位置している。第2部分32の他端(外端)は、第2部分32の内端よりも付代部15側に位置し、かつ、屈曲部24の中央よりも天板本体14と連なる側板13側に位置している。第2部分32は、ミシン目状をなすように断続的に設けられた複数の切断線32aと、個々の切断線32aの一端に設けられた切断線32bとを備える片ジッパーからなる。複数の切断線32aは、全体として直線状に形成されている。切断線32bは、個々の切断線32aにおいて第1部分31側の端に連なるように設けられ、付代部15側に延びている。
【0039】
第3部分33は、天板本体14と上側外フラップ21の境界に設けられ、屈曲部24の一部を構成する。第3部分33の一端は、第2部分32の外端と破断可能な間隔をあけて位置している。第3部分33の他端は、天板本体14の先端(屈曲部16b)と破断可能な間隔をあけて位置している。第3部分33は、第2部分32と同様の片ジッパーからなる。切断線33aは、ミシン目状をなすように断続的に複数設けられている。切断線33bは、切断線33aにおいて第2部分32側の端に連なるように設けられ、天板11側に延びている。
【0040】
第4部分34は、天板11と上側外フラップ21の境界に設けられ、屈曲部24における第3部分33以外の残りの部分を構成する。つまり、第3部分33と第4部分34によって屈曲部24が構成されている。第4部分34の一端は、第2部分32の外端及び第3部分33の一端と破断可能な間隔をあけて位置している。第4部分34の他端は、屈曲部16aと破断可能な間隔をあけて位置している。第4部分34は、ミシン目状をなすように断続的に設けられた複数の切断線34aからなる。
【0041】
操作部36を内向きに押しこむことで、破断線35及び破断線30の第1部分31に沿って天板11が破断される。続いて、天板11のうち、第1部分31による破断縁を把持し、天板11を付代部15の方へ引き上げる。これにより、天板11は、第2部分32に沿って破断され、引き続いて第3部分33に沿って破断される。続いて、天板11のうち、操作部36の両側の残り部分を把持し、天板本体14と連なる側板13の方へ引き上げる。これにより、天板11の残りの部分が第4部分34に沿って破断され、図2に示す開封状態になる。
【0042】
この開封状態では、四角筒状の外周壁10の一面が開放されている。よって、包装箱1内に収容された物品を開封部分から取り出す作業性は良好である。
【0043】
開封状態の包装箱1を図3に示すように平坦に折畳むために、図1に示すように、蓋壁20には2種の折曲線40a,40b,41が設けられ、底板12には1つの底板折曲部42が設けられている。
【0044】
折曲線(第1折曲線)40a,40bは、一対の外フラップ21,22にそれぞれ設けられている。折曲線40a,40bはそれぞれ、一対の内フラップ23の先端間と対応する位置、つまり外フラップ21,22の中央に設けられ、これらを内フラップ23間の隙間に沿って折り曲げる。上側外フラップ21の折曲線40a及び下側外フラップ22の折曲線40bは、互いに直線上に位置し、それぞれ屈曲部26に沿って上下方向へ延びている。本実施形態の折曲線40a,40bは逆罫線からなる。上側外フラップ21の押込部21a内には、折曲線40a上に位置する切断線40cが設けられている。
【0045】
図5を併せて参照すると、折曲線(第2折曲線)41は、個々の下側外フラップ22に一対設けられている。一対の折曲線41は、下側外フラップ22の先端から下広がりに傾斜している。つまり、折曲線41は、下側外フラップ22の先端から底板12に向かうに従って、折曲線40bから離れる向きに傾斜している。本実施形態では、個々の折曲線41の外端が屈曲部25の端に配置され、折曲線41と折曲線40bとがなす角が45度に設定されている。また、折曲線41は逆罫線からなる。
【0046】
引き続いて図1及び図5を参照すると、底板折曲部42は、底板12に設けられ、一対の側板13間の中央に沿って底板12を折り曲げる。底板折曲部42は、屈曲部25が延びる方向に間隔をあけて位置し、屈曲部25に対して直交する方向に延びる2本の折曲線42aを備える。これらの折曲線42aは、底板12の中心線(図示せず)、つまり折曲線40bの延長線を基準として対称に設けられている。折曲線42aの両端はそれぞれ、屈曲部25上に配置されているが、屈曲部25に対して間隔をあけて配置されてもよい。本実施形態の折曲線42aは汎用罫線からなる。
【0047】
一対の折曲線42aの間隔は、10mm以上20mm以下の範囲に設定することが好ましく、本実施形態では15mmとしている。なお、包装箱1を構成する段ボールシートの厚みは4mmであり、この厚みに比例して上記範囲は変わる。一対の折曲線42aの間隔を過度に小さくすると、折り曲げた底板12の第1部分12aと第2部分12bの間の反発力(復元力)が大きくなるため、折畳み状態の包装箱1に膨らみが生じる。一方、一対の折曲線42aの間隔を過度に大きくすると、折り曲げた底板12の第1部分12aと第2部分12bの間に許容される隙間が広くなり過ぎるため、やはり折畳み状態の包装箱1に膨らみが生じる。折畳み状態の包装箱1に膨らみを低減するために、底板折曲部42の間隔は、上記定められた範囲に設定することが好ましい。
【0048】
本実施形態では、底板折曲部42に沿った底板12の折り曲げによる弾性的な反発力を低減するために、屈曲部25上に切断線43が更に設けられている。切断線43は、屈曲部25と2本の折曲線42aとの交点のうち、一方から他方にかけて延びている。
【0049】
折曲線40b、折曲線41、及び底板折曲部42は、内フラップ23と下側外フラップ22の固着を解除し、内フラップ23から下側外フラップ22を取り外す機能を兼ね備えている。具体的には、折曲線41は、下側外フラップ22と内フラップ23との固着部27に接することなく、下方を通るように設けられている。つまり、下側外フラップ22と内フラップ23は、折曲線41の上側で固着部27によって固着されている。
【0050】
折曲線40b及び一対の折曲線41に沿って下側外フラップ22を谷折りすることで、連動して底板折曲部42に沿って底板12が山折れする。これにより、内フラップ23に対して下側外フラップ22が相対的に移動することで、固着部27から下側外フラップ22が剥離し、内フラップ23から下側外フラップ22が取り外される(図6参照)。
【0051】
上側外フラップ21には折曲線41のような補助的な折曲線は設けられていない。そのため、固着部27による内フラップ23と上側外フラップ21の固着は、通常の使用環境で外れることはない。
【0052】
引き続いて図1及び図5を参照すると、固着部27からの下側外フラップ22の剥離を促進するために、下側外フラップ22には、固着部27に対して折曲線40b側に隣接して部分カット線44が設けられている。前述のように、部分カット線44は、裏ライナのみ、又は裏ライナと中しんの一部分のみを切断した構成、つまり蓋壁20の厚み方向の一部だけを破断した構成である。
【0053】
部分カット線44は、固着部27及び折曲線41に交差及び接することなく、これらの間に設けられている。部分カット線44は、折曲線40bに沿って上下方向に延びる直線部44aと、直線部44aの下端から円弧状に延びる第1湾曲部44bと、直線部44aの上端から円弧状に延びる第2湾曲部44cとを備える。第1湾曲部44bは、直線部44aに接する四分円状であり、固着部27のうちの折曲線41に最も近接した部分と折曲線41との間を通過するように、外向きに湾曲している。第2湾曲部44cは、第1湾曲部44bよりも小径の四分円状であり、下側外フラップ22の過度の破れを防ぐため設けられ、外向きに湾曲している。
【0054】
図2に示すように、全ての物品を取り出した包装箱1を平坦に折畳む際には、底板12側から一対の屈曲部25を持ち、一対の折曲線41と屈曲部25で囲まれた部分を内向きに押しこむ。これにより、折曲線40b,41に沿って一対の下側外フラップ22がそれぞれ谷折りされ、底板折曲部42に沿って底板12が山折りされる。また、折曲線40aに沿って上側外フラップ21が谷折される。その結果、図3に示すように、包装箱1を平坦に折り畳むことができる。
【0055】
より具体的には、図6に示すように、下側外フラップ22を押し込むと、下側外フラップ22と一対の内フラップ23とが相対的に移動する。これにより、下側外フラップ22と内フラップ23を固着した固着部27から、下側外フラップ22及び内フラップ23のうちのいずれかが剥離し、内フラップ23に対して下側外フラップ22が取り外される。本実施形態では、下側外フラップ22に部分カット線44が設けられているため、下側外フラップ22の内面(裏ライナ)が捲れ、固着部27から下側外フラップ22が剥離する。これにより、下側外フラップ22を破断することなく、図3に示すように平坦な状態に包装箱1を折畳むことができる。
【0056】
以上のように構成した包装箱1は以下の特徴を有する。
【0057】
外フラップ21,22に折曲線40a,40bがそれぞれ設けられ、下側外フラップ22に一対の折曲線41が設けられ、底板12に底板折曲部42が設けられている。これにより、破断線30による開封後には、前述のように、下側外フラップ22を含むいずれの部分も破断することなく、包装箱1をワンアクションで折畳むことができる。よって、包装箱1の折畳み時の作業性を向上できる。
【0058】
下側外フラップ22の内面側には、固着部27に隣接するように部分カット線44が設けられている。よって、包装箱1の折畳み時、内フラップ23と下側外フラップ22が相対移動すると、部分カット線44によって下側外フラップ22の内面側が捲れるため、内フラップ23に対する下側外フラップ22の取り外しが促進される。よって、包装箱1の折畳み作業性をより向上できる。
【0059】
底板折曲部42は、屈曲部25が延びる方向に間隔をあけて設けられた2本の折曲線42aを有する。これにより、底板折曲部42が1本の折曲線で構成されている場合と比較して、底板12の折り曲げに連動する下側外フラップ22の移動量が少なくなるため、下側外フラップ22の縁が内フラップ23の縁に干渉する。この干渉が抵抗になるため、下側外フラップ22及び底板12の弾性による復元(膨らみ)を抑制できる。
【0060】
また、底板折曲部42が1本の折曲線で構成されている場合と比較して、折り曲げによる底板12の弾性による復元力を低減できる。具体的には、底板折曲部42が2本の折曲線42aを有するため、1本の折曲線の場合と比較して、折り曲げた底板12の第1部分12aと第2部分12bの間に許容される隙間が広くなる。よって、折り曲げた底板12の復元力を低減できるため、包装箱1の折畳み状態を確実に維持できる。
【0061】
なお、本発明の包装箱1は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0062】
例えば、底板12に形成する底板折曲部42は、図7から図12のようにしてもよい。
【0063】
図7に示す第1変形例では、部分カット線44を設けていない点で前記実施形態と相違する。なお、他の変形例においても部分カット線44は設けていない。このようにしても、下側外フラップ22を押し込むと、下側外フラップ22及び内フラップ23のうちのいずれかが固着部27から剥離し、内フラップ23に対して下側外フラップ22が取り外される。よって、前記実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0064】
図8に示す第2変形例では、一対の折曲線42aを、側板13から離れる向きに湾曲する曲線とした点で、前記実施形態と相違する。また、第2変形例では、下側外フラップ22において、固着部27が位置する折曲線(第2折曲線)41の外側に、複数の折曲線45を設けた点で、前記実施形態と相違する。折曲線45は、逆罫線からなり、折曲線25’(屈曲部25)に沿って延び、折曲線(第1折曲線)40aが延びる方向に間隔をあけて複数設けられている。このようにしても、前記実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。しかも、複数の折曲線45によって下側外フラップ22の変形が促進されるため、固着部27からの剥離性を向上できる。
【0065】
図9に示す第3変形例では、一対の折曲線42aを、側板13に近づく向きに湾曲する曲線とした点で、前記実施形態と相違する。また、第3変形例では、第2変形例と同様に、下側外フラップ22に複数の折曲線45を設けた点で、前記実施形態と相違する。このようにしても、前記第2変形例と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0066】
第2変形例及び第3変形例に示す折曲線45は、前記実施形態及び他の変形例の包装箱1に設けても、固着部27からの下側外フラップ22の剥離性を向上できる。
【0067】
図10に示す第4変形例では、底板折曲部42を細長い六角形状に形成した点で、前記実施形態と相違する。詳しくは、一対の折曲線42aの両端は、折曲線25’(屈曲部25)に対して間隔をあけて配置されている。一対の折曲線42aのうち、一方の端から他方の端にかけて延びる切断線42bが設けられている。切断線42bの両端には、折曲線25’に向かうに従って違いに近づく向きに傾斜する一対の折曲線42cが設けられている。また、一対の折曲線42cの交点から折曲線25’の中央に向けて延びる折曲線42dが設けられている。このようにしても、前記実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0068】
図11に示す第5変形例では、底板折曲部42を細長い2つの六角形状に形成した点で、前記実施形態と相違する。詳しくは、一対の折曲線42aを不連続な汎用罫線によって構成し、それぞれに第4変形例と同様の切断線42b、一対の折曲線42c、及び折曲線42dを設けている。また、底板12の長手方向に隣接した折曲線42cの交点間には、折曲線42dが設けられている。このようにしても、前記実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0069】
図12に示す第6変形例では、底板折曲部42を1本の折曲線42aによって構成している。この場合でも図示のように切断線43を設けることで、折り曲げた底板12の膨らみを抑制できる。
【0070】
底板折曲部42は、屈曲部25に対して交差する方向に延びる3本以上の折曲線42aによって構成されてもよく、その数及び形状は必要に応じて変更が可能である。また、折曲線42aは、汎用罫線のみならず、リード罫で構成されてもよい。
【0071】
部分カット線44は、内フラップ23の外面側に設けてもよい。この場合、部分カット線44は、段ボールシートの厚み方向において、表ライナのみ、又は表ライナと中しんの一部分のみを切断して形成される。
【0072】
蓋壁20は、一対の内フラップ23の間と一対の外フラップ21,22の間とに、隙間を有するショートフラップであってもよい。
【0073】
破断線30は、4種の部分31~34を備える構成に限られず、必要に応じて変更が可能である。
【0074】
外周壁10は、天板11と一対の側板13との間、及び/又は底板12と一対の側板13との間に面取り板を備えていてもよい。また、外周壁10の画数は、必要に応じて変更が可能である。
【0075】
包装箱1は、紙製の段ボールシートに限らず、樹脂製の段ボールシートによって形成されてもよい。また、包装箱1は、段ボールシートに限られず、単層の厚紙や樹脂シートで形成されてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…包装箱
10…外周壁
11…天板
12…底板
12a…第1部分
12b…第2部分
13…側板
14…天板本体
15…付代部
16a,16b…屈曲部
16a’,16b’…折曲線
17…屈曲部
17’…折曲線
20…蓋壁
21…上側外フラップ
21a…押込部
22…下側外フラップ
23…内フラップ
23a…切欠部
24…屈曲部(第1屈曲部)
25…屈曲部(第2屈曲部)
25’…折曲線
26…屈曲部(第3屈曲部)
26’…折曲線
27…固着部
28…把持部
30…破断線
31…第1部分
31a…切断線
32…第2部分
32a,32b…切断線
33…第3部分
33a,33b…切断線
34…第4部分
34a…切断線
35…破断線
36…操作部
40a,40b…折曲線(第1折曲線)
40c…切断線
41…折曲線(第2折曲線)
42…底板折曲部
42a…折曲線
42b…切断線
42c,42d…折曲線
43…切断線
44…部分カット線
44a…直線部
44b…第1湾曲部
44c…第2湾曲部
45…折曲線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12