(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】レンズ鏡筒及びカメラ
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20231113BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20231113BHJP
G02B 7/10 20210101ALI20231113BHJP
【FI】
G02B7/02 E
G02B7/04 D
G02B7/10 C
(21)【出願番号】P 2019227567
(22)【出願日】2019-12-17
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】藤原 和正
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-010024(JP,A)
【文献】特開2005-316394(JP,A)
【文献】特開2014-021201(JP,A)
【文献】特開平10-111448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02 - 7/16
G03B 13/32
G03B 17/00 - 17/14
H04N 23/50 - 23/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転運動可能な操作リングであって、その回転運動がレンズ群の並進運動と相互に連動した操作リングと、
前記操作リングが使用者に握られていることを検知するセンサと、
前記センサからの出力信号に応じて前記操作リングの回転抵抗を調整する回転抵抗調整機構と、を備えており、
前記操作リングが前記使用者に握られていないときの前記回転抵抗が、前記操作リングが前記使用者に握られているときの前記回転抵抗よりも大きい、
レンズ鏡筒であって、
前記操作リングの内側に配置された中間筒を更に備えており、
前記回転抵抗調整機構は、前記センサからの出力信号に応じて前記操作リングに作用する摩擦力を調整する機構であって、前記中間筒と前記操作リングとの間に配置された摩擦部材と、前記中間筒と前記摩擦部材との間に配置された伸縮部材と、を有しており、
前記伸縮部材は、前記操作リングが前記使用者に握られていないとき、伸長状態となって前記摩擦部材を前記操作リングに接触させ、前記操作リングが前記使用者に握られているとき、委縮状態となって前記摩擦部材を前記操作リングから離間させる、
ことを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項2】
回転運動可能な操作リングであって、その回転運動がレンズ群の並進運動と相互に連動した操作リングと、
前記操作リングが使用者に握られていることを検知するセンサと、
前記センサからの出力信号に応じて前記操作リングの回転抵抗を調整する回転抵抗調整機構と、を備えており、
前記操作リングが前記使用者に握られていないときの前記回転抵抗が、前記操作リングが前記使用者に握られているときの前記回転抵抗よりも大きい、レンズ鏡筒であって、
前記操作リングの内側に配置された中間筒を更に備えており、
前記回転抵抗調整機構は、前記センサからの出力信号に応じて前記操作リングに作用する摩擦力を調整する機構であって、前記中間筒と前記操作リングとの間に配置された伸縮部材と、を有しており、
前記伸縮部材は、前記操作リングが前記使用者に握られていないとき、伸長状態となって前記操作リングに接触し、前記操作リングが前記使用者に握られているとき、委縮状態となって前記操作リングから離間する、
ことを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項3】
前記センサは、前記操作リングの内側に配置された圧力センサである、
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載のレンズ鏡筒。
【請求項4】
前記レンズ群は、ズーム動作において並進運動する単一の又は複数のレンズからなり、
前記操作リングは、ズームリングである、
ことを特徴とする請求項1~
3の何れか一項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項5】
請求項1~
4の何れか一項に記載のレンズ鏡筒を備えている、
ことを特徴とするカメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作リングを備えたレンズ鏡筒に関する。また、本発明は、そのようなレンズ鏡筒を備えたカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
フォーカスリング等の操作リングを備えたレンズ鏡筒が広く用いられている。操作リングの回転運動は、レンズ鏡筒の内部に設けられたレンズ群の並進運動と相互に連動している。このようなレンズ鏡筒において、良好な操作感を使用者に提供するためには、操作リングの回転抵抗を小さくすることが好ましい。
【0003】
しかしながら、操作リングの回転抵抗を小さくすると、レンズ鏡筒を上又は下に向けたときに操作リングが使用者の意図に反して回転してしまい、その結果、レンズ群が自重落下してしまうという問題が生じる。このような問題に対する対策としては、摩擦力によって操作リングの回転抵抗を増加させる、特許文献1~2に記載の技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-327875号
【文献】特開2012-194338号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に記載の技術においては、操作リングの意図せぬ回転に伴うレンズ群の自重落下を抑制することはできるものの、操作リングの滑らかな又は軽快な操作が阻害されるなど、操作感の悪化が生じるという問題があった。
【0006】
実際、特許文献1に記載の技術においては、操作リングに作用する摩擦力を使用者が調整でるようになっていない。このため、レンズ群の自重落下を防止するべく、製造者が操作リングに作用する摩擦力を大きめに設定すると、以後、使用者は、操作リングの滑らかな又は軽快な操作感を得ることができない。
【0007】
一方、特許文献2に記載の技術においては、操作リングに作用する摩擦力を使用者がドライバを用いて調整できるようになっている。しかしながら、レンズ群の自重落下を防止するべく、使用者が操作リングに作用する摩擦力を大きめに調整すると、その使用者は、再びドライバを用いて操作リングに作用する摩擦力を調整し直さない限り、操作リングの滑らかな又は軽快な操作感を得ることができない。
【0008】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、操作感の悪化を招来することなく、操作リングの意図せぬ回転に伴うレンズ群の自重落下を抑制することが可能なレンズ鏡筒を実現することを目的とする。また、本発明の一態様は、そのようなレンズ鏡筒を備えたカメラを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係るレンズ鏡筒は、回転運動可能な操作リングであって、その回転運動がレンズ群の並進運動と相互に連動した操作リングと、前記操作リングが使用者に握られていることを検知するセンサと、前記センサからの出力信号に応じて前記操作リングの回転抵抗を調整する回転抵抗調整機構と、を備えており、前記操作リングが前記使用者に握られていないときの前記回転抵抗が、前記操作リングが前記使用者に握られているときの前記回転抵抗よりも大きい。
【0010】
また、本発明の一態様に係るカメラは、上記のレンズの鏡筒を備えている。
【0011】
上記の構成によれば、操作リングが使用者に握られていないときには、操作リングの回転抵抗が自動的に大きくなるため、操作リングの意図せぬ回転を抑制し、レンズ群の自重落下を抑制することができる。また、操作リングが使用者に握られているときには、操作リングの回転抵抗が自動的に小さくなるので、操作リングの回転抵抗に起因する操作感の悪化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、操作感の悪化を招来することなく、操作リングの意図せぬ回転に伴うレンズ群の自重落下を抑制することが可能なレンズ鏡筒を実現することができる。また、本発明の一態様によれば、そのようなレンズ鏡筒を備えたカメラを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係るレンズ鏡筒の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示すレンズ鏡筒の内部構成を示す断面図である。
【
図3】
図1に示すレンズ鏡筒の要部構成を示す分解斜視図である。
【
図4】
図1に示すレンズ鏡筒の要部の、使用者が操作リングを握っていないときの状態を示す断面図である。
【
図5】
図1に示すレンズ鏡筒の要部の、使用者が操作リングを握っていないときの状態を示す断面図である。
【
図6】
図1に示すレンズ鏡筒の要部の、使用者が操作リングを握ったときの動作を示すフロー図である。
【
図7】
図1に示すレンズ鏡筒を備えたカメラの外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.レンズ鏡筒の構成
本発明の一実施形態に係るレンズ鏡筒1の構成について、
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、レンズ鏡筒1の外観を示す斜視図である。
図2は、レンズ鏡筒1の内部を示すA-A’断面図である。
【0015】
レンズ鏡筒1は、
図2に示すように、固定筒11と、移動筒12と、レンズ群13と、レンズ枠14と、中間筒15と、操作リング16と、センサ17と、センサ押え18と、回転抵抗調整機構19と、を備えている。
【0016】
レンズ群13は、単一の又は複数のレンズからなり、移動筒12の内側にレンズ枠14を介して取り付けられている。移動筒12は、固定筒11の内側に、中間筒15を介して取り付けられている。操作リング16は、中間筒15の外側に取り付けられており、使用者が握って操作することができるようにレンズ鏡筒1の外部に露出している。移動筒12、レンズ群13、及びレンズ枠14は、レンズ鏡筒1の中心軸に沿って並進運動(固定筒11に対する並進移動)可能である。操作リング16は、レンズ鏡筒1の中心軸を回転軸として回転運動(固定筒11に対する回転運動)可能である。
【0017】
移動筒12、レンズ群13、及びレンズ枠14の並進運動と操作リング16の回転運動とは、公知の機構(例えば、カム機構)によって相互に連動している。このため、例えば、使用者操作により操作リング16が時計周りに回転すると、レンズ群13が対物側に並進する。逆に、例えば、使用者操作により操作リング16が反時計周りに回転すると、レンズ群13が像面側に並進する。また、例えば、重力によりレンズ群13が対物側に並進すると、操作リング16が時計周りに回転する。逆に、例えば、重力によりレンズ群13が像面側に並進すると、操作リング16が反時計回りに回転する。
【0018】
レンズ鏡筒1の要部(中間筒15、操作リング16、センサ17、センサ押え18、及び回転抵抗調整機構19)について、
図3を参照してより詳細に説明する。
図3は、レンズ鏡筒1の要部構成を示す分解斜視図である。
【0019】
本実施形態においては、操作リング16として、内側に突出した突出部16aが像面側の端部に設けられた円筒状の部材を用いている。また、本実施形態においては、中間筒15として、外側に突出した返し部15aが像面側の端部に設けられた円筒状の部材を用いている。中間筒15は、対物側から操作リング16の内部に挿嵌される。この際、中間筒15の返し部15aの像面側の面が操作リング16の突出部16aの対物側の面と対向する。
【0020】
また、センサ17は、操作リング16が使用者に握られていることを検知するための構成である。本実施形態においては、センサ17として、筒状の圧力センサを用いている。センサ17は、対物側から中間筒15の外側に挿嵌される。この際、センサ17の像面側の端部が中間筒15の返し部15aの内部に収容される。また、本実施形態においては、センサ押え18として、内側に突出した突出部18aが対物側の端部に設けられた筒状の部材を用いている。センサ押え18は、対物側からセンサ17の外側に挿嵌される。この際。センサ押え18の突出部18aの像面側の面がセンサ17の対物側の端面と対向し、センサ17が対物側に移動することを防止する。
【0021】
また、回転抵抗調整機構19は、センサ17からの出力信号に応じて操作リング16の回転抵抗を調整するための構成である。本実施形態において、回転抵抗調整機構19は、摩擦部材19aと、伸縮部材19bと、により構成されている。摩擦部材19aは、円環状の部材であり、操作リング16の突出部16aの対物側の面と中間筒15の返し部15aの像面側の面との間に配置される。摩擦部材19aとしては、例えば、摩擦布を用いることができる。伸縮部材19bは、円筒状の部材であり、摩擦部材19aの対物側の面と中間筒15の返し部15aの像面側の面との間に配置される。伸縮部材19bとしては、例えば、導電性アクチュエータを用いることができる。後述するように、伸縮部材19bは、伸長状態において摩擦部材19aを操作リング16に接触させ、委縮状態において摩擦部材19aを操作リング16から離間させる。
【0022】
2.レンズ鏡筒の動作
本実施形態に係るレンズ鏡筒1の動作について、
図4、
図5、及び
図6を参照して説明する。
図4は、使用者が操作リング16を握っていないときのレンズ鏡筒1の要部の状態を示す断面図である。
図5は、使用者が操作リング16を握っているときのレンズ鏡筒1の要部の状態を示す断面図である。
図6は、使用者が操作リング16を握っているとき、及び、使用者が操作リング16を握っていないときのレンズ鏡筒1の要部の動作を示すフロー図である。
【0023】
使用者が操作リング16を握っていないとき、
図4に示すように、伸縮部材19bは、伸長状態にあり、摩擦部材19aは、操作リング16に接触している。このため、操作リング16に摩擦部材19aからの摩擦力が作用し、その結果、操作リング16の回転抵抗が大きくなっている。したがって、レンズ群13が自重落下しないように操作リング16の意図せぬ回転を抑制できる。
【0024】
図5及び
図6に示すように、使用者が操作リング16を握ると、その握力を操作リング16が受力する。そうすると、操作リング16が、その内側にある中間筒15の返し15aとレンズ押え18とを内側に押し、更に、中間筒15の返し15aとレンズ押え18とが、その内側にあるセンサ17を押す。そうすると、センサ17が、使用者の握力を検知して、所定の信号(例えば、所定の電圧信号)を出力する。伸縮部材19bは、この信号を受けて萎縮状態に遷移し、その結果、摩擦部材19aは、操作リング16から離間する。このため、操作リング16に摩擦部材19aからの摩擦力が作用せず、その結果、操作リング16の回転抵抗が減少する。この状態は、使用者が操作リング16を握ることを止めるまで継続する。したがって、操作リング16の滑らかな又は軽快な操作が阻害されるなど、操作リング16の回転抵抗に起因する操作感の悪化を抑制することができる。
【0025】
3.レンズ鏡筒の特徴と効果
以上のように、本実施形態に係るレンズ鏡筒1は、レンズ群13と、操作リング16と、を備えており、操作リング16の回転運動とレンズ群13の並進運動とは、相互に連動している。また、本実施形態に係るレンズ鏡筒1は、操作リング16が使用者に握られていることを検知するセンサ17と、センサ17からの出力信号に応じて操作リング16の回転抵抗を調整する回転抵抗調整機構19と、を備えており、操作リング16が使用者に握られていないときの操作リング16の回転抵抗は、操作リング16が使用者に握られているときの操作リング16の回転抵抗よりも大きい。
【0026】
このため、操作リング16が使用者に握られていないときには、操作リング16の回転抵抗が自動的に大きくなるので、操作リング16の意図せぬ回転に伴うレンズ群13の自重落下を抑止することができる。また、操作リング16が使用者に握られているときには、操作リング16の回転抵抗が自動的に小さくなるので、操作リング16の回転抵抗に起因する操作感の悪化を抑制することができる。
【0027】
また、本実施形態に係るレンズ鏡筒1において、センサ17は、操作リング16の内側に配置された圧力センサである。
【0028】
このため、操作リング16が使用者に握られているか否かを正確に検知することができる。したがって、操作リング16の回転抵抗を大きくして操作リング16の意図せぬ回転を抑制するか、操作リング16の回転抵抗を小さくして操作感の悪化を抑制するかの切替えを、正確に行うことができる。
【0029】
また、本実施形態に係るレンズ鏡筒1において、回転抵抗調整機構19は、センサ17からの出力信号に応じて操作リング16に作用する摩擦力を調整する。
【0030】
このため、操作リング16がどのポジションにあっても、そのポジションを正確に保ったまま、操作リング16の回転抵抗を増加させたり減少させたりすることができる。これは、爪等を用いて操作リング16の回転を阻害する構成では得ることのできない効果である。
【0031】
また、本実施形態に係るレンズ鏡筒1は、操作リング16の内側に配置された中間筒15を更に備えている。また、本実施形態に係るレンズ鏡筒1において、回転抵抗調整機構19は、中間筒15と操作リング16との間に配置された摩擦部材19aと、中間筒15と摩擦部材19aとの間に配置された伸縮部材19bと、を有している。また、本実施形態に係るレンズ鏡筒1において、伸縮部材19bは、操作リング16が使用者に握られていないとき、伸長状態となって摩擦部材19aを操作リング16に接触させ、操作リング16が使用者に握られているとき、委縮状態となって摩擦部材19aを操作リング16から離間させる。
【0032】
このため、使用者が操作リング16を握り終えたことに直ちに応答して、操作リング16の回転抵抗を速やかに大きくすることができる。したがって、使用者が操作リング16を握り終えたときのポジションを、再び使用者が操作リング16を握り始めるまで正確に保つことができる。また、使用者が操作リング16を握り始めたことに直ちに応答して、操作リング16の回転抵抗を速やかに小さくすることができる。操作リング16の回転抵抗を速やかに小さくすることができない場合、操作リング16を操作し始めときに使用者が回転抵抗を感得する事態が生じ得る。これに対して、本実施形態に係る操作リング16によれば、このような事態を避けることができる。
【0033】
なお、摩擦部材19aを省略しても上記の効果と同等の効果を得ることができる。摩擦部材19aを省略しない構成には、操作リング16が使用者に握られていないときに操作リング16の回転抵抗を、摩擦部材19aを省略する構成よりも大きくすることができるというメリットがある。逆に、摩擦部材19aを省略する構成には、レンズ鏡筒1の製造コストを、摩擦部材19aを省略しない構成よりも小さくすることができるというメリットがある。
【0034】
また、本実施形態に係るレンズ鏡筒1において、レンズ群13は、ズーム動作において並進運動する単一の又は複数のレンズからなる。また、本実施形態に係るレンズ鏡筒1において、操作リング16は、ズームリングである。
【0035】
このため、ズームリングが使用者に握られていないときには、ズームリングの回転抵抗が自動的に大きくなるので、ズーム操作によって並進運動するレンズ群13の、ズームリングの意図せぬ回転に伴う自重落下を抑制することができる。また、ズームリングが使用者に握られているときには、ズームリングの回転抵抗が自動的に小さくなるので、ズームリングの回転抵抗に起因する操作感の悪化を抑制することができる。
【0036】
4.レンズ鏡筒の変形例
本実施形態においては、第1レンズ群(最も対物側に位置するレンズ)であるレンズ群13が操作リング16の回転運動に連動して並進運動する構成を採用している。しかしながら、本発明はこれに限定されない。すなわち、レンズ鏡筒1は、複数のレンズ群を備えていてもよく、その場合、第1レンズ群に加えて、或いは、第1レンズ群に代えて、第1レンズ群以外のレンズ群が操作リング16の回転運動に連動して並進運動する構成を採用してもよい。
【0037】
また、本実施形態においては、ズームレンズ群(ズーム動作において固定筒11に対して並進運動するレンズ群)であるレンズ群13が操作リング16の回転に連動して並進する構成を採用している。換言すれば、操作リング16がズームリングとして機能する構成を採用している。しかしながら、本発明はこれに限定されない。すなわち、レンズ鏡筒1は、複数のレンズ群を備えていてもよく、その場合、ズームレンズ群に代えて、フォーカスレンズ群(フォーカス動作において固定筒11に対して並進運動するレンズ群)が操作リング16の回転と連動して並進する構成を採用してもよい。すなわち、操作リング16がフォーカスリングとして機能する構成を採用してもよい。
【0038】
また、本実施形態においては、伸縮部材19bと操作リング16との間に摩擦部材19aを設け、伸縮部材19bが伸長したときに摩擦部材19aを操作リング16に接触させる構成を採用している。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、伸縮部材19bと操作リング16との間に摩擦部材19aを設けずに、伸縮部材19bが伸長したときに伸縮部材19b自身を操作リング16に接触させる構成を採用してもよい。
【0039】
また、本実施形態においては、センサ17の出力信号と回転抵抗調整機構19の入力信号とが同一であり、センサ17の出力信号をそのまま回転抵抗調整機構19に入力する構成を採用している。しかしながら、本発明はこれに限定されない。すなわち、センサ17の出力信号と回転抵抗調整機構19の入力信号とが異なっていてもよい。例えば、センサ17の出力信号が制御部に入力され、この制御部の出力信号が回転抵抗調整機構19に入力される構成を採用してもよい。この制御部は、レンズ鏡筒1に内蔵されていてもよいし、カメラボディに内蔵されていてもよい。制御部がカメラボディに内蔵されている場合、レンズ鏡筒1には、センサ17の出力信号をレンズ鏡筒1からカメラボディに出力するための出力端子と、制御部の出力信号をカメラボディからレンズ鏡筒1に入力するための入力端子とが設けられることになる。
【0040】
また、本実施形態においては、操作リング16が使用者に握られていることを検知するためのセンサ17として、圧力センサを用いている。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、圧力センサの代わりにタッチセンサをセンサ17として用いてもよい。
【0041】
5.レンズ鏡筒を備えたカメラ
なお、本実施形態に係るレンズ鏡筒1は、カメラボディと共にカメラを構成することができる。
図7は、レンズ鏡筒1と、カメラボディ2と、を備えたカメラ10の外観を示す斜視図である。レンズ鏡筒1は、交換可能なレンズ鏡筒としてカメラボディ2に取り付けられていてもよいし、交換不可能なレンズ鏡筒としてカメラボディ2と一体化されていてもよい。
【0042】
(付記事項)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、上述した実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる他の実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1 レンズ鏡筒
11 固定筒
12 移動筒
13 レンズ群
14 レンズ枠
15 中間筒
16 操作リング
17 センサ
18 センサ押え
19 回転抵抗調整機構
19a 摩擦部材
19b 伸縮部材
2 カメラボディ
10 カメラ