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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】ショベル
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/02 20060101AFI20231113BHJP
   B62D 55/14 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
E02F9/02 A
B62D55/14 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020023043
(22)【出願日】2020-02-14
(65)【公開番号】P2021127617
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】青木 芳昇
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-069525(JP,A)
【文献】実開平01-096385(JP,U)
【文献】実開昭52-137436(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/02
B62D 55/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クローラ式の下部走行体と、
旋回機構と、
前記旋回機構を介して前記下部走行体に搭載された上部旋回体と、を備え、
前記下部走行体は、
前記下部走行体の骨格を形成するフレームと、
複数のシュープレートのそれぞれに設けられたトラックリンクと、前記シュープレートに設けられたトラックリンク同士を連結させるトラックピンと、により構成されるクローラベルトと、
前記フレームと前記クローラベルトとの間に配置される複数のトラックローラと、を有し、
前記複数のトラックローラは、
第一のトラックローラの回転軸と、第二のトラックローラの回転軸との距離が、前記トラックリンクのピッチを整数倍した値と、前記トラックリンクのピッチ未満の値と、を加算した値とし、前記複数のトラックローラの全てが、それぞれ異なるタイミングで前記トラックリンク同士が前記トラックピンにより連結されている連結箇所を通過するように配置されている、ショベル
【請求項2】
前記第一のトラックローラと前記第二のトラックローラとは、隣り合うように配置されている、請求項1記載の、ショベル
【請求項3】
前記第一のトラックローラは、最も前側に設けられたトラックローラとし、
前記第二のトラックローラは、前記第一のトラックローラから後端に向かって間隔を空けて配置された各トラックローラである、請求項1又は2記載の、ショベル
【請求項4】
前記距離における前記トラックリンクのピッチ未満の値は、
前記第二のトラックローラとなるトラックローラ毎に異なる、請求項3記載の、ショベル
【請求項5】
前記距離における前記トラックリンクのピッチ未満の値は、
前記トラックリンクのピッチと、1から(n-1)までの整数をnで除した値と、を乗算した値であり、
前記nは、トラックローラの数であり、
前記(n-1)は、前記第二のトラックローラとなるトラックローラ毎に異なる、請求項1乃至3の何れか一項に記載の、ショベル
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、クローラ式の下部走行体を備えたショベル等の作業機械が知られている。この作業機械では、下部走行体が有するトラックローラに与えられる荷重が、走行中に車体を振動させる要因の1つと考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-205872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車体の振動は、トラックローラが、トラックリンクが連結している連結箇所を通過した際に、大きくなる。このため、作業機械では、トラックリンクの連結箇所を同じタイミングで通過するトラックローラの数が多いほど、車体の振動が大きくなり、運転者等の乗り心地に影響を与える。
【0005】
そこで、上記事情に鑑み、作業機械の乗り心地の向上を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係るショベルは、クローラ式の下部走行体と、旋回機構と、前記旋回機構を介して前記下部走行体に搭載された上部旋回体と、を備え、前記下部走行体は、前記下部走行体の骨格を形成するフレームと、複数のシュープレートのそれぞれに設けられたトラックリンクと、前記シュープレートに設けられたトラックリンク同士を連結させるトラックピンと、により構成されるクローラベルトと、前記フレームと前記クローラベルトとの間に配置される複数のトラックローラと、を有し、前記複数のトラックローラは、第一のトラックローラの回転軸と、第二のトラックローラの回転軸との距離が、前記トラックリンクのピッチを整数倍した値と、前記トラックリンクのピッチ未満の値と、を加算した値とし、前記複数のトラックローラの全てが、それぞれ異なるタイミングで前記トラックリンク同士が前記トラックピンにより連結されている連結箇所を通過するように配置されている、ショベルである。
【発明の効果】
【0007】
作業機械の乗り心地を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ショベルの側面図である。
図2】ショベルの正面図である。
図3】下側から見たときのクローラベルトの構成の概略を示す図である。
図4】下部走行体におけるトラックローラの配置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、実施形態について説明する。
【0010】
最初に、図1乃至図3を参照し、本発明の実施例に係るショベル(作業機械)について説明する。図1は、ショベルの側面図である。図2は、ショベルの正面図である。図3は、トラックローラを領域R1の下側から見た構成の概略を示す図である。
【0011】
ショベル100はクローラ式の下部走行体1を備えている。下部走行体1には旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載されている。上部旋回体3にはブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはバケット6が取り付けられている。
【0012】
ブーム4、アーム5、及び、バケット6は、アタッチメントの一例である掘削アタッチメントを構成している。ブーム4、アーム5、バケット6は、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。上部旋回体3にはエンジン11等の動力源が搭載されている。上部旋回体3の左側(-Y側)の前端(+X側端)にはキャビン10が設置されている。図2は、明瞭化のため、アーム5、バケット6、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9等の図示を省略している。
【0013】
下部走行体1は、主に、フレーム1a、クローラベルト1b、キャリアローラ1c、トラックローラ1d、走行用油圧モータ1M、従動車輪1S等で構成されている。図2は、下部走行体1に関しては、図1の一点鎖線Qを含む平面を+X側から見たときの部分断面図を示している。
【0014】
フレーム1aは、下部走行体1の骨格を形成する部材である。フレーム1aは、左フレーム部1a-L、右フレーム部1a-R、及び、左フレーム部1a-Lと右フレーム部1a-Rを連結する中央フレーム部1a-Cを有する。
【0015】
クローラベルト1bは、走行用油圧モータ1Mによって回転駆動される無限軌道(履帯)である。クローラベルト1bは、左クローラベルト1b-L及び右クローラベルト1b-Rを含む。
【0016】
キャリアローラ1cは、フレーム1aの上側でフレーム1aとクローラベルト1bとの間に配置される従動ローラである。トラックローラ1dは、フレーム1aの下側でフレーム1aとクローラベルト1bとの間に配置される従動ローラである。キャリアローラ1cは、複数の左キャリアローラ1c-L及び複数の右キャリアローラ1c-Rを含む。
【0017】
トラックローラ1dは、複数の左トラックローラ1d-L及び複数の右トラックローラ1d-Rを含む。
【0018】
走行用油圧モータ1Mは、フレーム1aの後端(-X側端)に取り付けられている。走行用油圧モータ1Mは、左走行用油圧モータ1M-L及び右走行用油圧モータ1M-R(図示せず。)を含む。左走行用油圧モータ1M-Lは、左フレーム部1a-Lの後端に取り付けられ、右走行用油圧モータ1M-Rは、右フレーム部1a-Rの後端に取り付けられている。
【0019】
従動車輪1Sは、フレーム1aの前端(+X側端)に取り付けられている。従動車輪1Sは、左従動車輪1S-L及び右従動車輪1S-R(図示せず。)を含む。左従動車輪1S-Lは、左フレーム部1a-Lの前端に取り付けられ、右従動車輪1S-Rは、右フレーム部1a-Rの前端に取り付けられている。
【0020】
左クローラベルト1b-Lは、左走行用油圧モータ1M-Lの回転軸に結合された駆動スプロケット、及び、左従動車輪1S-Lのそれぞれに支持されて回る。右クローラベルト1b-Rは、右走行用油圧モータ1M-Rの回転軸に結合された駆動スプロケット、及び、右従動車輪1S-Rのそれぞれに支持されて回る。尚、本実施形態では、左従動車輪1S-L、右従動車輪1S-Rの代わりにスプロケットが設けられていても良い。
【0021】
この構成により、図1において走行用油圧モータ1Mが反時計回りに回転するとクローラベルト1bも反時計回りに回転してショベル100が前進する。反対に、走行用油圧モータ1Mが時計回りに回転するとクローラベルト1bも時計回りに回転してショベル100が後退する。
【0022】
本実施形態のクローラベルト1bは、図3に示すように、複数のシュープレート80を有する。図3では、図2に示す領域R1の範囲を下側から見たときのクローラベルト1bの構成の概略を示している。また、図3では、シュープレート80と、トラックリンク81と、トラックピン82と、トラックローラ1dとの関係を明確にするために、シュープレート80と、トラックリンク81と、トラックピン82と、トラックローラ1d以外の構成を省いている。
【0023】
クローラベルト1bは、複数のシュープレート80-1、80-2、80-3を有する。尚、図3に示すシュープレート80-1、80-2、80-3は、クローラベルト1bが有するシュープレート80の一部である。尚、以下の説明では、シュープレート80-1、80-2、80-3を区別しない場合は、シュープレート80と呼ぶ。
【0024】
シュープレート80-1、80-2、80-3のそれぞれには、一対のトラックリンク81-1、81-2、81-3が取り付けられている。以下の説明では、一対のトラックリンク81-1、81-2、81-3を区別しない場合には、トラックリンク81と呼ぶ。
【0025】
また、シュープレートに取り付けられた一対のトラックリンク81-0は、その1つ手前(+X側の隣)のシュープレート80-1に取り付けられた一対のトラックリンク81-1とトラックピン82-1で連結されている。
【0026】
また、シュープレート80-1に取り付けられた一対のトラックリンク81-1は、その1つ手前(+X側の隣)のシュープレート80-2に取り付けられた一対のトラックリンク81-2とトラックピン82-2で連結されている。同様に、シュープレート80-2に取り付けられた一対のトラックリンク81-2は、その1つ手前(+X側の隣)のシュープレート80-3に取り付けられた一対のトラックリンク81-3とトラックピン82-3で連結されている。以下の説明では、トラックピン82-1、82-2、82-3を区別しない場合には、トラックピン82と呼ぶ。
【0027】
つまり、トラックピン82は、シュープレート80に取り付けられた一対のトラックリンク81と、その1つ手前(+X側の隣)のシュープレート80に取り付けられた一対のトラックリンク81とを連結させるための部材である。言い換えれば、トラックピン82は、トラックリンク81同士を連結させる機能を有する連結部材である。
【0028】
また、本実施形態の以下の説明では、クローラベルト1bにおいて、一対のトラックリンク81と、他の一対のトラックリンク81と、がトラックピン82によって連結されている部分を連結箇所83と呼ぶ。
【0029】
したがって、クローラベルト1bにおいて、シュープレートに取り付けられた1対のトラックリンク81-0と、その1つ手前(+X側の隣)のシュープレート80-1に取り付けられた一対のトラックリンク81-1と、がトラックピン82-1によって連結されている部分は、連結箇所83-1となる。
【0030】
また、トラックリンク81-2と、トラックリンク81-1とがトラックピン82-2によって連結されている部分は、連結箇所83-2となる。同様に、トラックリンク81-3と、トラックリンク81-2とがトラックピン82-3によって連結されている部分は、連結箇所83-3となる。以下の説明では、連結箇所83-1、83-2、83-3を区別しない場合には、連結箇所83と呼ぶ。
【0031】
本実施形態では、ショベル100の走行中において、同時に複数のトラックローラ1dが複数の連結箇所83を通過することがないように、トラックローラ1dを配置する。
【0032】
言い換えれば、本実施形態では、複数のトラックローラ1dのそれぞれが異なるタイミングでトラックリンク81の対応する連結箇所83を通過するように、複数のトラックローラ1dを配置する。
【0033】
本実施形態では、このように、複数のトラックローラ1dを適切に配置することで、トラックローラ1dがトラックリンク81の対応する連結箇所83を通過する際に生じる車体の振動を低減させることができる。したがって、本実施形態によれば、ショベル100の走行中の車体の振動を低減することができ、乗り心地を向上させることができる。
【0034】
尚、図3に示すトラックリンク81の形状は、一例であり、この形状に限定されない。
【0035】
次に、本実施形態のトラックローラ1dの配置について説明する。本実施形態では、ショベル100が有するトラックローラ1dにおける第一のトラックローラ1dの回転軸と、第二のトラックローラ1dの回転軸との距離が、トラックリンク81のピッチの整数倍の値に、トラックリンク81のピッチ未満の値を加算した値となるようにする。つまり、第一のトラックローラ1dの回転軸と、第二のトラックローラ1dの回転軸との距離は、トラックリンク81のピッチで割り切れない値となるようにする。
【0036】
ここで、トラックリンク81のピッチについて説明する。トラックリンク81のピッチとは、トラックピン82の中心軸と、このトラックピン82の1つ手前(+X側の隣)のトラックピン82の中心軸との間の距離を示す。
【0037】
具体的には、トラックリンク81のピッチとは、トラックピン82-1の中心軸P1とトラックピン82-2の中心軸P2との距離を示す。
【0038】
図4は、下部走行体におけるトラックローラの配置を説明する図である。本実施形態では、下部走行体1が有するトラックローラ1dの数をnとし、トラックリンク81のピッチをPとし、トラックローラ1d間の距離をLiとした場合に、Liは以下の式で決められる。
【0039】
Li=P(Ai+j/n) 式(1)
ここで、Aiは任意の整数であり、jは、1~n-1までの整数である。
【0040】
図4に示すショベル100の下部走行体1は、7つのトラックローラ1d-1、1d-2、1d-3、1d-4、1d-5、1d-6、1d-7を有する。したがって、図4の例では、n=7であり、jは1~6の整数となる。つまり、j/nは小数値となる。
【0041】
このため、距離Liは、トラックリンク81のピッチPの整数倍の値に、トラックリンク81のピッチPの小数倍の値を加算した値となる。言い換えれば、トラックローラ1d間の距離Liは、トラックリンク81のピッチPの整数倍の値に、トラックリンク81のピッチ未満の値を加算した値となる。つまり、トラックローラ1d間の距離Liは、トラックリンク81のピッチPの整数倍ではない値となる。
【0042】
また、図4では、トラックローラ1d-1の回転軸をT1とし、トラックローラ1d-2の回転軸をT2とし、回転軸T1と回転軸T2との距離をL1とする。また、図4では、トラックローラ1d-3の回転軸をT3、回転軸T1と回転軸T3との距離をL2とし、トラックローラ1d-4の回転軸をT4、回転軸T1と回転軸T4との距離をL3とする。
【0043】
また、図4では、トラックローラ1d-5の回転軸をT5、回転軸T1と回転軸T5との距離をL4とし、トラックローラ1d-6の回転軸をT6、回転軸T1と回転軸T6との距離をL5とし、トラックローラ1d-7の回転軸をT7、回転軸T1と回転軸T7との距離をL6とする。
【0044】
つまり、最も前側のトラックローラ1d-1を基準となる第一のトラックローラとし、第一のトラックローラ1dの回転軸T1と、第一のトラックローラ1dから後端に向かって、間隔を空けて順に配置された各トラックローラ1dの回転軸との距離を、L1、L2、L3、L4、L5、L6とする。また、第一のトラックローラ1dから後端に向かって配置される各トラックローラ1dは、第一のトラックローラ1dとの距離が決められる第二のトラックローラ1dとなる。
【0045】
尚、基準となるトラックローラ1dは、最も前側のトラックローラ1dでなくても良い。例えば、最も後側のトラックローラ1dを基準としても良いし、それら以外のトラックローラ1dを基準としても良い。
【0046】
距離L1~L6を式(1)で表すと、
L1=P(A1+4/7) 式(1-1)
L2=P(A2+1/7) 式(1-2)
L3=P(A3+5/7) 式(1-3)
L4=P(A4+2/7) 式(1-4)
L5=P(A5+6/7) 式(1-5)
L6=P(A6+3/7) 式(1-6)
となる。ここで、式(1-1)の整数A1は、距離L1に含まれるトラックリンクのピッチの数を示し、P×A1は、トラックリンクのピッチの整数倍の値である。また、式(1-1)のP×(4/7)は、トラックリンクのピッチ未満の値である。
【0047】
式(1-2)の整数A2は、距離L2に含まれるトラックリンクのピッチの数であり、P×A2は、トラックリンクのピッチの整数倍の値である。式(1-2)のP×1/7は、トラックリンクのピッチ未満の値である。
【0048】
同様に、整数A3~整数A6は、各距離に含まれるトラックリンクのピッチの数を示す。また、P×j/nは、トラックリンクのピッチ未満の値である。つまり、整数Aiは、距離Liをトラックリンクのピッチで除算したときの商であり、P×j/nは、距離Liをトラックリンクのピッチで除算したときの余りである。
【0049】
本実施形態では、j/nの値は、トラックローラ1dの数nを用いてランダムに決められる小数値とする。また、本実施形態では、j/nの値は、第二のトラックローラとされるトラックローラ毎に異なるように、jの値が決められる。
【0050】
言い換えれば、本実施形態では、式(1-1)、(1-2)、(1-3)、(1-4)、(1-5)、(1-6)において、j/nの値が全て異なる値となるように、jの値を決定する。
【0051】
本実施形態では、このように、トラックローラ1d間の距離を、トラックリンク81のピッチの整数倍の値に、トラックリンク81のピッチ未満の値を加算した値となるようにすることで、トラックローラ1d-1~1d-7のそれぞれが対応する連結箇所83を通過するタイミングを、全て異なるタイミングとする。
【0052】
言い換えれば、本実施形態では、どのタイミングにおいても、対応する連結箇所83を通過しているトラックローラ1dは、1つとなる。
【0053】
このように、本実施形態によれば、ショベル100の走行中において、トラックローラ1dが対応する連結箇所83を通過するタイミングを分散させることができる。したがって、本実施形態によれば、トラックローラ1dがトラックリンク81の連結箇所83を通過する際に発生する車体の振動を低減することができ、ショベル100の乗り心地を向上させることができる。
【0054】
また、本実施形態では、走行中の車体の振動が低減されることで、ショベル100の機械構造物に対する荷重が低減されるため、ショベル100の耐久性を向上させることができる。
【0055】
尚、上述した実施形態では、作業機械の一例をショベル100として説明したが、本実施形態では、クローラ式の走行体であれば、どのような作業機械にも適用することができる。具体的には、例えば、本実施形態は、クローラ式のクレーン、アスファルトフィニッシャ等に適用されても良い。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0057】
1 下部走行体
1a フレーム
1b クローラベルト
1c キャリアローラ
1d トラックローラ
1M 走行用油圧モータ
1S 従動車輪
4 ブーム
5 アーム
6 バケット
10 キャビン
80 シュープレート
81 トラックリンク
82 トラックピン
83 連結箇所
100 ショベル
図1
図2
図3
図4