(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】包装容器およびその組み立て方法
(51)【国際特許分類】
B65D 5/36 20060101AFI20231113BHJP
B65D 5/40 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
B65D5/36 C
B65D5/40
(21)【出願番号】P 2020030621
(22)【出願日】2020-02-26
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000141886
【氏名又は名称】株式会社京都製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 規行
(72)【発明者】
【氏名】能瀬 駿介
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-038584(JP,A)
【文献】特開2001-122221(JP,A)
【文献】実開昭54-046628(JP,U)
【文献】特開2019-142552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/36
B65D 5/32
B31B 50/78
B31B 50/80
B31B 50/76
B65B 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材で形成された、略平坦な状態と箱型の状態との間で変形可能な包装容器であって、
前記略平坦な状態において、互いに重なる第1の部分および第2の部分を備え、
前記第1の部分および前記第2の部分がそれぞれ、凸多角形状の凸多角形面と、前記凸多角形面の各辺から延出し、前記各辺を平行な2辺のうちの一辺とする台形状の台形面と、隣接する各前記台形面の間に設けられた複数の折り返し面と、外縁の全周にわたって形成された帯状の周縁部とを有し、前記周縁部の全周において互いに接続され、
前記第1の部分と前記第2の部分との間に空隙を形成するとともに前記折り返し面を折り畳んで折り返し片を形成して、前記包装容器を、前記第1の部分の前記凸多角形面である上面と、前記第2の部分の前記凸多角形面であり前記上面に対向する下面と、前記台形面により形成される側面とを含む箱型とすることができ、
前記略平坦な状態において、前記第1の部分および前記第2の部分のそれぞれの前記周縁部以外の部分は平面状に重なり、前記周縁部は、全周にわたって平面
状に重なった前記周縁部以外の部分に対して同じ側に傾斜し、平面
状に重なった前記周縁部以外の部分に沿った状態からの折り返し角が1°以上90°未満である、
包装容器。
【請求項2】
請求項1に記載の包装容器の組み立て方法であって、
略平坦な状態の前記包装容器を、水平面を有する載置台上に前記第1の部分が前記載置台の前記水平面に面するように置き、前記第1の部分および前記第2の部分それぞれの前記凸多角形面の少なくともいずれかを厚み方向において互いに離れるように移動させる分離機構を、前記第1の部分および前記第2の部分を前記厚み方向から挟むように配置し、前記周縁部に当接して、前記周縁部を所定の方向に向かって押圧する複数の押圧治具を、前記周縁部を取り囲むように配置する工程と、
前記分離機構により、前記第1の部分および前記第2の部分それぞれの前記凸多角形面を前記厚み方向において互いに離れるように移動させながら、
前記複数の押圧治具により、前記第1の部分および前記第2の部分のそれぞれの前記周縁部以外の部分を含む平面に沿った方向に前記周縁部の外端を押圧することにより、
前記第1の部分と前記第2の部分との間に空隙を形成するとともに前記折り返し面を折り畳んで折り返し片を形成して、前記包装容器を、前記第1の部分の前記凸多角形面である上面と、前記第2の部分の前記凸多角形面であり前記上面に対向する下面と、前記台形面により形成される側面とを含む箱型とする工程とを含む、
包装容器の組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器およびその組み立て方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シート材を箱型に折り曲げ、端部を重ね合わせてシールすることにより形成される包装容器が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1は、ゲーブルトップ型(切妻屋根型)の屋根板にスパウトを設けて、内容液の注出を可能にした包装容器を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような包装容器の製造工程は、従来、典型的には、シート材の対向する2側縁が重なるようにシート材を折り、重なった2側縁をシールしてスリーブを製造する工程と、嵩張らない平坦な状態でスリーブを輸送する工程と、内容物の充填の際に、スリーブの各端部をシールして折り畳みそれぞれ底部と頂部とを形成して包装容器を完成させる工程とに分けられる。包装容器を完成させる工程は、一般にスリーブを製造する工程とは別の設備で行われ、各設備においてシール加工等のための装置が必要となる。
【0006】
そこで、シート材のシールが必要な部分を予め全てシールして、シール性が付与された包装容器を製造し、平坦な形態としておけば、従来と同様嵩張らない状態で輸送でき、また、内容物の充填の際には、シール加工を行わなくても、箱型に組み立てるだけでよく、内容物の充填の際の設備コストを低減できる。しかし、包装容器を平坦な状態から箱型の状態に組み立てる方法が十分検討されておらず際にシワ等の成形不良を抑制することが課題であった。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、平坦な状態の包装容器を好適に箱型に組み立てる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の一局面は、シート材で形成された、略平坦な状態と箱型の状態との間で変形可能な包装容器であって、略平坦な状態において、互いに重なる第1の部分および第2の部分を備え、第1の部分および第2の部分がそれぞれ、凸多角形状の凸多角形面と、凸多角形面の各辺から延出し、各辺を平行な2辺のうちの一辺とする台形状の台形面と、隣接する各台形面の間に設けられた複数の折り返し面と、外縁の全周にわたって形成された帯状の周縁部とを有し、周縁部の全周において互いに接続され、第1の部分と第2の部分との間に空隙を形成するとともに折り返し面を折り畳んで折り返し片を形成して、包装容器を、第1の部分の凸多角形面である上面と、第2の部分の凸多角形面であり上面に対向する下面と、台形面により形成される側面とを含む箱型とすることができ、略平坦な状態において、第1の部分および第2の部分のそれぞれの周縁部以外の部分は平面状に重なり、周縁部は、全周にわたって平面状に重なった周縁部以外の部分に対して同じ側に傾斜し、平面状に重なった前記周縁部以外の部分に沿った状態からの折り返し角が、1°以上90°未満である、包装容器である。
【0009】
また、本発明の他の局面は、上述の包装容器の組み立て方法であって、略平坦な状態の包装容器を、水平面を有する載置台上に第1の部分が載置台の水平面に面するように置き、第1の部分および第2の部分それぞれの凸多角形面の少なくともいずれかを厚み方向において互いに離れるように移動させる分離機構を、第1の部分および第2の部分を厚み方向から挟むように配置し、周縁部に当接して、周縁部を所定の方向に向かって押圧する複数の押圧治具を、周縁部を取り囲むように配置する工程と、分離機構により、第1の部分および第2の部分それぞれの凸多角形面を厚み方向において互いに離れるように移動させながら、複数の押圧治具により、第1の部分および第2の部分のそれぞれの周縁部以外の部分を含む平面に沿った方向に周縁部の外端を押圧することにより、第1の部分と第2の部分との間に空隙を形成するとともに折り返し面を折り畳んで折り返し片を形成して、包装容器を、第1の部分の凸多角形面である上面と、第2の部分の凸多角形面であり上面に対向する下面と、台形面により形成される側面とを含む箱型とする工程とを含む、包装容器の組み立て方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、平坦な状態の包装容器を好適に箱型に組み立てる方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る包装容器の箱型の状態を示す斜視図
【
図2】本発明の一実施形態に係る包装容器の平坦な状態を示す斜視図
【
図4】本発明の一実施形態に係る包装容器の部分断面図
【
図5】本発明の一実施形態に係る包装容器のブランクの平面図
【
図6】本発明の一実施形態に係る包装容器の組み立て方法の各工程を示す図
【
図7】本発明の一実施形態に係る包装容器の組み立て方法を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0012】
[包装容器]
初めに、本発明の実施形態に係る包装容器である包装容器100について、図を参照して説明する。また、以下の包装容器についての説明では、便宜上、包装容器を箱型の状態として正立させた状態での上下を上下方向と定義する。
【0013】
包装容器100は、シート材を所定の形状に裁断したブランクの端部を重ね合わせてシールすることにより形成された、略平坦な状態と箱型の状態との間で変形可能な容器である。
【0014】
(箱型の状態)
図1に、箱型の状態にある包装容器100の斜視図を示す。
図1に示すように、箱型の状態にある包装容器100は、上面110と、下面130と、側面120と、シート材の端部を重ね合せてシールしたサイドシール部140と、シート材を折り畳んで形成された折り返し片150とを含む。包装容器100は、上面110と、下面130と、側面120とにより空隙(収容空間)が形成される。折り返し片150は、側面120の角から外方に延出し、側面120の外周面に沿うように折り曲げられている。サイドシール部140は、側面120および折り返し片150の上下方向中央から外方に延出し、側面120およびサイドシール部140の外周面に沿うように折り曲げられている。包装容器100では、一例としてサイドシール部140は、端縁が下面130側に向いた状態で側面120および折り返し片150に沿っている。上面110には、開口111が形成され、開口111には一例としてスパウト112が、溶着により取り付けられている。
【0015】
(略平坦な状態)
図2に、略平坦な状態にある包装容器100の斜視図を示し、
図3に、
図2のA-A’線で切断した包装容器100の断面図を示し、
図4に、
図3において点線で囲ったB部の拡大図を示し、
図5に、包装容器100のブランクの平面図を示す。
図2、
図3に示すように、略平坦な状態にある包装容器100は、互いに平面状に重なる第1の部分170aおよび第2の部分170bにより構成される。
図5に示すように、包装容器100を形成するためのブランクは、第1の部分170aに対応するブランク101aと、第2の部分170bに対応するブランク101bとにより構成される。なお、
図2の(a)は、包装容器100を上面110側から見た図であり、
図2の(b)は、包装容器100を下面130側から見た図である。また、
図5の(a)は、ブランク101aの平面図であり、
図5の(b)は、ブランク101bの平面図である。
【0016】
第1の部分170aは、開口111の形成された上側凸多角形面110aと、上側凸多角形面110aの各辺から延出する複数の上側台形面120aと、隣接する各上側台形面120aの間に形成された複数の上側折り返し面150aと、上側台形面120aおよび上側折り返し面150aの上側凸多角形面110aと反対側の端縁に沿って、第1の部分170aの外縁の全周にわたる周縁部を構成する帯状の上側シール代140aとを含む。
【0017】
第2の部分170bは、下側凸多角形面130aと、下側凸多角形面130aの各辺から延出する複数の下側台形面120bと、隣接する各下側台形面120bの間に形成された複数の下側折り返し面150bと、下側台形面120bおよび下側折り返し面150bの下側凸多角形面130aと反対側の端縁に沿って、第2の部分170bの外縁の全周にわたる周縁部を構成する下側シール代140bとを含む。
【0018】
上側凸多角形面110aおよび下側凸多角形面130aはそれぞれ、箱型の状態にある包装容器100の上面110および下面130となる面である。上側凸多角形面110aおよび下側凸多角形面130aは凸多角形状の面であれば形状は限定されず、包装容器100では一例として、合同な矩形状である。上側凸多角形面110aと下側凸多角形面130aとは、一例として面積が異なる互いに相似な形状であってもよい。
【0019】
複数の上側台形面120aおよび複数の下側台形面120bは、箱型の状態にある包装容器100の側面120となる面である。上側台形面120aおよび下側台形面120bは、台形状であれば形状は限定されず、包装容器100では一例として上側台形面120aおよび下側台形面120bは矩形状である。上側台形面120aおよび下側台形面120bの少なくともいずれかは、矩形ではない台形状であってもよい。上側台形面120aおよび下側台形面120bは、上側凸多角形面110aおよび下側凸多角形面130aの辺の数に対応して設けられるためその数は上側凸多角形面110aおよび下側凸多角形面130aの形状によって決まる。包装容器100では、上側台形面120aおよび下側台形面120bはそれぞれ、4つずつ設けられる。
【0020】
図2、
図5に示すように、上側台形面120aは、上側凸多角形面110aの各辺から延出し、平行な2辺のうちの1辺を上側凸多角形面110aの各辺とする。また、下側台形面120bは、下側凸多角形面130aの各辺から延出し、平行な2辺のうちの1辺を下側凸多角形面130aの各辺とする。
【0021】
上側折り返し面150aおよび下側折り返し面150bは、箱型の状態にある包装容器100の折り返し片150となる面であり、後述する変形の過程において折り畳まれる面である。上側折り返し面150aおよび下側折り返し面150bはそれぞれ、隣接する各上側台形面120aおよび各下側台形面120bの間に形成されるためその数は、上側台形面120aおよび下側台形面120bの数によって決まる。包装容器100では、上側折り返し面150aおよび下側折り返し面150bはそれぞれ、4つずつ設けられる。包装容器100では、一例として上側凸多角形面110aおよび下側凸多角形面130aの各頂点から、第1の部分170aおよび第2の部分170bの周縁部に向かって延出する折り返し罫線151を上側折り返し面150aおよび下側折り返し面150bに設けている。折り返し罫線151を設けることにより、上側折り返し面150aおよび下側折り返し面150bを所望の位置で容易に折り畳むことが可能になる。
【0022】
上側シール代140aおよび下側シール代140bは、第1の部分170aと第2の部分170bとを周縁部において接続するために設けられる帯状の面である。第1の部分170aと第2の部分170bとを接続する際には、第1の部分170aと第2の部分170bとを互いに重ね合せて、上側シール代140aおよび下側シール代140bそれぞれの互いに対向する面をシール、接着等して包装容器100の周縁部であるサイドシール部140を形成する。上側シール代140aおよび下側シール代140bの形状は、重ね合せてサイドシール部140を形成するための、互いに重なるシール代があればよく、任意に設定できる。包装容器100では、一例として、後述する変形の過程においてサイドシール部140の折り曲げを容易にするために、下側シール代140bと下側台形面120bおよび下側折り返し面150bとの間に罫線160を設けている。上側シール代140aと下側シール代140bと互いにシールして形成された包装容器100は、開口111を除いて密閉性を有している。
【0023】
図3、
図4に示すように、包装容器100が略平坦な状態において、第1の部分170aおよび第2の部分170bのそれぞれの周縁部(上側シール代140a、下側シール代140b)以外の部分は平面状に重なる。また、上側シール代140aおよび下側シール代140bは全周にわたって、上側シール代140aおよび下側シール代140b以外の平面状の領域に対して第2の部分170b側に所定の傾斜角度θで傾斜するように形成されている。傾斜角度θは、上側シール代140aおよび下側シール代140bの、当該平面に沿った平坦なシート材の状態からのシート材の内側への折り返し角であり、0°から180°の範囲で折り返しの程度が大きいほど大きな値となる。傾斜角度θは、1°以上90°未満とすることが好ましい。傾斜角度θは、この範囲内であれば全周にわたって一定でなくてもよい。また、上側シール代140aおよび下側シール代140bが傾斜する方向は、
図3、
図4とは反対の、第1の部分170a側であってもよい。
【0024】
ブランク101a、101bは、シート材を所定形状に裁断して形成される。ブランク101a、101bには、一例として、
図5に細線で示す各面を区画する境界線に沿って、折り返し罫線151や罫線160以外にも適宜罫線を設けてもよい。
【0025】
ブランク101a、101bに用いるシート材としては、特に限定されないが、例えば紙製の基材層に、熱可塑性樹脂層やシーラント層を積層した積層フィルムを好適に用いることができる。積層フィルムの層構成は、一例として、包装容器100の外方となる層から順に、ポリエチレン(30μm)/紙(300g/m2)/ポリエチレン(25μm)/ポリエチレンテレフタレート(12μm)/ポリエチレン(50μm)とすることができる。これ以外にも、必要な機能に応じて、バリア層や機能性フィルム等を適宜追加してもよい。また、スパウト112は、ポリエチレンなどの樹脂材料を用いて形成することができる。
【0026】
(変形方法)
次に、略平坦な状態にある包装容器100を箱型の状態へ変形させる方法の一例を、包装容器100を用いて説明する。
図6の(a)から
図6の(d)に、包装容器100の変形方法の一例を説明する図を示す。
【0027】
初めに、
図6の(a)に示すように、略平坦な状態にある包装容器100の第1の部分170aまたは第2の部分170bを周縁部において(詳細には、上側シール代140aと上側台形面120aおよび上側折り返し面150aとの間、または下側シール代140bと下側台形面120bおよび下側折り返し面150bとの間において)折り曲げて、第1の部分170aと第2の部分170bとを引き離す。これにより、第1の部分170aと第2の部分170bとの間に空隙を形成するとともに、上側凸多角形面110aが上面110となり、下側凸多角形面130aが下面130となり、上側台形面120aおよび下側台形面120bが側面120となり、上側シール代140aおよび下側シール代140bがサイドシール部140となる。
【0028】
また、
図6の(b)に示すように、複数の上側折り返し面150aは隣接する上側台形面120aと共有する辺どうしが近づき、複数の下側折り返し面150bは隣接する下側台形面120bと共有する辺どうしが近づく。これにより、上側折り返し面150aおよび下側折り返し面150bは、折り畳まれて折り返し片150となる。同時に、矢印で示すように、サイドシール部140を罫線160に沿って端縁が下面130に向くように折り曲げて側面120に沿わせる。なお、サイドシール部140は、端縁が上面110に向くように折り曲げて側面120に沿わせてもよい。この場合、罫線160を第1の部分170aに形成することによりサイドシール部140の折り曲げが容易になる。
【0029】
次に、
図6の(c)に示すように、折り返し片150を側面120の外周面に沿うように折り曲げる。折り返し片150を沿わせる方向は限定されず、一例として
図6の(c)に示すように、2つの折り返し片150を1つの側面120に沿わせてもよいし、折り返し片150のそれぞれを異なる側面120へ沿わせてよい。
【0030】
この際、折り返し片150を、側面120の表面へ貼り付けてもよい。折り返し片150を側面120へ貼り付ける方法としては、例えば、ヒートシール、ホットメルト接着剤等を用いる方法がある。また、面ファスナー、スナップボタン等の着脱可能な接合部材によって貼り付けることで、箱型の状態から略平坦な状態へ変形させた包装容器100を再び箱型の状態として使用することができるため、略平坦な状態にした包装容器100の再使用が可能となる。
【0031】
以上の手順により、
図6の(d)に示すように、略平坦な状態であった包装容器100を箱型の状態へ変形させることができる。
【0032】
箱型の状態の包装容器100は、上述の手順と反対の手順により略平坦な状態にすることができる。具体的には、初めに、箱型の状態の包装容器100の折り返し片150を側面120から離脱させる。次に、周縁部において(詳細には、サイドシール部140と側面120との間に沿って)第1の部分170aと第2の部分170bとを伸展させる。次に、第1の部分170aと第2の部分170bとの間の空隙を解消し、第1の部分170aと第2の部分170bとを互いに重ねることにより、包装容器100を略平坦な状態に変形することができる。
【0033】
以上で説明したように、包装容器100は、略平坦な状態から容易に箱型の状態に変形できるため、一度略平坦な状態に潰した後でも再び箱型の状態に戻して再使用することが可能である。また、包装容器100を略平坦な状態にし、必要に応じて箱型の状態に変形できるため、運搬に際しての積載効率がよく、運搬、保管費用を低減することができる。
【0034】
[包装容器の組み立て方法]
次に、包装容器100の組み立て方法について、図を参照して説明する。
【0035】
一例として組み立て装置300を用いた、包装容器100の組み立て方法について説明する。
図7に、包装容器100の組み立て方法を説明する断面図および平面図を示す。組み立て装置300は、分離機構310と、複数の押圧治具320とを含んで構成される。なお、以下の説明における平面図では、便宜上、後述する吸着部310bの図示は省略する。また、以下では、断面図に矢印で示す方向を上下の方向と定義して説明する。
【0036】
分離機構310は、包装容器100の上側凸多角形面110aおよび下側凸多角形面130aの少なくともいずれかを厚み方向において互いに離れるように移動させるための機構であり、載置台310aと、吸着部310bとを含む。
【0037】
載置台310aは、第2の部分170bを上方に向けた状態で包装容器100を固定するための台状の機構である。載置台310aは、第1の部分170aを対向させて包装容器100を載せるための水平面と、この水平面に形成された、スパウト112を挿入するための孔310cと、孔310cの内部に設けられ、包装容器100を固定するために挿入されたスパウト112を把持するための把持機構(不図示)とを含む。
【0038】
吸着部310bは、下側凸多角形面130aを厚み方向に、上側凸多角形面110aから離れるように移動させるための機構である。吸着部310bは、下側凸多角形面130aを吸着部310bに固定するための機構と、厚み方向に上側凸多角形面110aから離れるようにして移動するための機構とを含む。下側凸多角形面130aを吸着部310bに対して固定する方法は限定されないが、組み立て装置300では、一例として、吸着部310bに設けた吸盤310dを下側凸多角形面130aに吸着させる。
【0039】
複数の押圧治具320は、第1の部分170aおよび第2の部分170bの周縁部である上側シール代140aおよび下側シール代140bに当接して、これらを所定の方向に向かって押圧するための治具である。複数の押圧治具320は、一例として、上側シール代140aおよび下側シール代140bの外端を取り囲むことが可能なように4つの押圧治具320により構成されるが、複数の押圧治具320の数は4つに限定されず、組み立てる包装容器100の形状に合わせて適宜調整可能である。
【0040】
各押圧治具320は、
図7に示すように、第1の面320aと、平面視において第1の面320aの両端から所定の角度で外方に拡がる第2の面320bとを含む。第1の面320aは、周縁部を押圧するために設けられ、第2の面320bは、隣接する押圧治具320の第2の面320bとともに、周縁部および折り返し片150を挟み込むために設けられる。
【0041】
第1の実施形態に係る包装容器の組み立て方法は、略平坦な状態の包装容器100を用意し、分離機構310および複数の押圧治具320を所定の位置に配置する第1の工程(
図7の(a))と、分離機構310および複数の押圧治具320により包装容器100を箱型とする第2の工程(
図7の(b))とを含む。以下で、各工程について具体的に説明する。
【0042】
(第1の工程)
第1の工程では、略平坦な状態の包装容器100を用意し、分離機構310が第1の部分170aおよび第2の部分170bを厚み方向から挟むように配置されるとともに、複数の押圧治具320が上側シール代140aおよび下側シール代140bの外端を取り囲むように配置される。この際、包装容器100は、第1の部分170aが載置台310aの水平面に面するとともに、スパウト112が孔310cに挿入されて把持機構により固定された状態で、載置台310aの上に固定される。吸着部310bは、第2の部分170bに面するように配置された後、吸盤310dにより第2の部分170bの下側多角形面130bを吸着する。各押圧治具320は、平面視において上側シール代140aおよび下側シール代140bの外端に第1の面320aが対向するように配置される。
【0043】
(第2の工程)
第2の工程では、分離機構310の吸着部310bが載置台310aから離れるように上方に向かって移動するとともに、載置台310aが吸着部310bから離れるように下方に向かって移動する。これにより、上側凸多角形面110aおよび下側凸多角形面130aは互いに厚み方向において離れるように移動する。同時に、複数の押圧治具320の第1の面320aが互いに接近して、これにより、上側シール代140aおよび下側シール代140b以外の平面に沿った方向に上側シール代140aおよび下側シール代140bを押圧することで、上側台形面120aおよび下側台形面120bをそれぞれ、罫線を境にして上側凸多角形面110aおよび下側凸多角形面130aに対して折り曲げる。この際、上側シール代140aおよび下側シール代140bの外端は、包装容器100の変形にともなって、各押圧治具320の表面を移動してもよい。
【0044】
この結果、第1の部分170aと第2の部分170bとの間に空隙が形成される。また同時に、隣接する複数の押圧治具320が互いに接近することで、隣接する複数の押圧治具320のいずれか2つの第2の面320bが互いに接近して、上側折り返し面150aと上側台形面120aとの連接部近傍および下側折り返し面150bと下側台形面120bとの連接部近傍をそれぞれ挟み込む。これにより、上側折り返し面150aおよび下側折り返し面150bが折り返し罫線151に沿って折り畳まれて折り返し片150が形成される。
【0045】
各押圧治具320が上側凸多角形面110aおよび下側凸多角形面130aの端縁まで移動することにより、包装容器100を、第1の部分170aの上側凸多角形面110aである上面110と、第2の部分170bの下側凸多角形面130aであり上面110に対向する下面130と、上側台形面120aおよび下側台形面120bにより形成される側面120とを含む箱型とすることができる。このとき、
図7の(b)に示すように、サイドシール部140は、各押圧治具320により端縁が下面130を向くように折り曲げられて側面120に沿う。
【0046】
上述のように、略平坦な状態にある包装容器100は、上側シール代140aおよび下側シール代140bが全周にわたって第2の部分170b側に所定の傾斜角度θで傾斜するように形成されている。このため、第2の工程おいて、複数の押圧治具320により上側シール代140aおよび下側シール代140bの外端を平面に沿って押圧することで、上側シール代140aおよび下側シール代140bは、全周にわたって確実に第2の部分170b側(下面130側)に向かって折り曲げられる。
【0047】
傾斜角度θが、周方向の少なくとも一部において1°未満であると、複数の押圧治具320により上側シール代140aおよび下側シール代140bを平面に沿った方向へ押圧した際に折り曲がる方向が定まらず、上側シール代140aおよび下側シール代140bを確実に所望する方向へ折り曲げることが困難となるおそれがある。
【0048】
また、傾斜角度θが、周方向の少なくとも一部において90°以上の場合は、シート材を折り曲げすぎることにより、上側シール代140aおよび下側シール代140bや、これらに接続する上側台形面120a、下側台形面120b等にシワが発生し、美観を損なうおそれがある。
【0049】
なお、
図7の(b)において、上側シール代140aおよび下側シール代140bは下側台形面120bに沿うようにして折り曲げられているが、上側台形面120aに沿うようにして折り曲げられてもよい。この場合、包装容器100が略平坦な状態において、上側シール代140aおよび下側シール代140bが全周にわたって、上側シール代140aおよび下側シール代140b以外の平面状の領域に対して第1の部分170a側に所定の傾斜角度θで傾斜するように形成すればよい。
【0050】
このように、包装容器100は、上側シール代140aおよび下側シール代140bが傾斜角度θで傾斜するように形成されているため、本製造方法を用いて組み立てた場合に、上側シール代140aおよび下側シール代140bを確実に所望の方向へ折り曲げて、容易に変形させることができる。
【0051】
なお、第2の工程において、第1の部分170aと第2の部分170bとの間に空隙を形成することを容易にするために、第1の工程および第2の工程の少なくともいずれかにおいて、第1の部分170aの開口111を介して第1の部分170aと第2の部分170bとの間に気体(エアー)を吹き込むようにしてもよい。具体的には、
図7に示すように、載置台310aの孔310cを通して気体を吹き出すことができるノズル310eをスパウト112に挿入して、ノズル310eから気体を吹き出す。これにより、吹き出した気体により第1の部分170aと第2の部分170bとを引き離すことができるため、複数の押圧治具320が周縁部を押圧する力を比較的小さくしても、すばやく第1の部分170aと第2の部分170bとの間に空隙を形成することが可能になる。
【0052】
(変形例)
以上の説明では、包装容器100を例にして、各実施形態に係る包装容器の組み立て方法を説明したが、包装容器は、互いに重なる平坦板形状の第1の部分および第2の部分を備え、第1の部分および第2の部分がそれぞれ、凸多角形状の凸多角形面と、凸多角形面の各辺から延出し、各辺を平行な2辺のうちの一辺とする台形状の台形面と、隣接する各台形面の間に設けられた複数の折り返し面と、外縁の全周にわたる周縁部とを有し、周縁部の全周において互いに接続する包装容器であれば、包装容器100に限定されない。
【0053】
以上のように、本発明によれば、平坦な状態の包装容器を、箱型の状態に、成形不良を抑制して好適に組み立てることができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、シート材を箱型に折り曲げ、端部を重ね合わせてシールすることにより形成される包装容器およびその製造に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0055】
100 包装容器
101a、101b ブランク
110 上面
110a 上側凸多角形面
111 開口
120 側面
120a 上側台形面
120b 下側台形面
130 下面
130a 下側凸多角形面
140 サイドシール部
140a 上側シール代
140b 下側シール代
150 折り返し片
150a 上側折り返し面
150b 下側折り返し面
151 折り返し罫線
170a 第1の部分
170b 第2の部分
300 組み立て装置
310 分離機構
310a 載置台
310b 吸着部
310c 孔
310d 吸盤
310e ノズル
320 押圧治具