(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】画像読取装置、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20231113BHJP
【FI】
H04N1/00 350
(21)【出願番号】P 2020048251
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】森田 飛祐馬
(72)【発明者】
【氏名】長澤 美波
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-027509(JP,A)
【文献】特開2010-238142(JP,A)
【文献】特開2014-113731(JP,A)
【文献】特開2014-232931(JP,A)
【文献】特開2011-187051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置と通信可能な通信部と、
記憶部と、
表示部と、
媒体から画像を読み取る読取部と、
前記通信部を制御して情報処理装置から複数の階層に分けて設けられた複数の画面データを受信し、前記受信した複数の画面データを前記記憶部に記憶する第1プロセッサと、
前記読取部を制御して媒体から画像を読み取るとともに、前記複数の画面データに基づく画面を前記表示部に表示する第2プロセッサと、を有し、
前記第2プロセッサは、前記複数の画面データの内の所定の階層の画面データに基づく画面が前記表示部に表示されている状態で、他の階層の画面データに基づく画面の表示が要求された場合、前記第1プロセッサに要求信号を送信し、
前記第1プロセッサは、前記要求信号に基づいて、前記他の階層の画面データを前記記憶部から読み出して前記第2プロセッサに送信する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
第2記憶部をさらに有し、
前記第2プロセッサは、
前記第2プロセッサのプロセッサ使用率を監視し、
前記プロセッサ使用率が所定値以下である場合、前記複数の画面データを前記第1プロセッサから取得して前記第2記憶部に記憶し、
前記複数の画面データの内の所定の階層の画面データに基づく画面が前記表示部に表示されている状態で、他の階層の画面データの表示が要求された場合、前記他の階層の画面データを前記第2記憶部から読み出して当該画面データに基づく画面を前記表示部に表示する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
第2記憶部をさらに有し、
前記第2プロセッサは、
前記複数の画面データの総数が所定数以下である場合、前記複数の画面データを前記第1プロセッサから取得して前記第2記憶部に記憶し、
前記複数の画面データの内の所定の階層の画面データに基づく画面が前記表示部に表示されている状態で、他の階層の画面データの表示が要求された場合、前記他の階層の画面データを前記第2記憶部から読み出して当該画面データに基づく画面を前記表示部に表示する、請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
情報処理装置と通信可能な通信部と、記憶部と、表示部と、媒体から画像を読み取る読取部と、第1プロセッサと、第2プロセッサと、を有する画像読取装置の制御方法であって、
前記第1プロセッサが、前記通信部を制御して情報処理装置から複数の階層に分けて設けられた複数の画面データを受信し、前記受信した複数の画面データを前記記憶部に記憶し、
前記第2プロセッサが、前記読取部を制御して媒体から画像を読み取るとともに、前記複数の画面データに基づく画面を前記表示部に表示し、
前記第2プロセッサが、前記複数の画面データの内の所定の階層の画面データに基づく画面が前記表示部に表示されている状態で、他の階層の画面データに基づく画面の表示が要求された場合、前記第1プロセッサに要求信号を送信し、
前記第1プロセッサが、前記要求信号に基づいて、前記他の階層の画面データを前記記憶部から読み出して前記第2プロセッサに送信する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項5】
情報処理装置と通信可能な通信部と、記憶部と、表示部と、媒体から画像を読み取る読取部と、前記通信部を制御して情報処理装置から複数の階層に分けて設けられた複数の画面データを受信し、前記受信した複数の画面データを前記記憶部に記憶する第1プロセッサと、第2プロセッサと、を有する画像読取装置の制御プログラムであって、
前記読取部を制御して媒体から画像を読み取るとともに、前記複数の画面データに基づく画面を前記表示部に表示し、
前記複数の画面データの内の所定の階層の画面データに基づく画面が前記表示部に表示されている状態で、他の階層の画面データに基づく画面の表示が要求された場合、前記他の階層の画面データを前記記憶部から読み出して前記第2プロセッサに送信することを前記第1プロセッサに実行させるための要求信号を前記第1プロセッサに送信する、
ことを前記第2プロセッサに実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、制御方法及び制御プログラムに関し、特に、複数のプロセッサを有する画像読取装置、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
媒体から画像を読み取るスキャナ等の画像読取装置は、様々な用途に対応するために、複数の画面データに基づく画面を表示部に表示する。画像読取装置では、媒体から画像を読み取りながら、複数の画面データの中から、新たに要求された画面データに基づく画面を適切に表示することが求められている。
【0003】
2画面分のイメージデータを展開するための第1のメモリと、1画面分のイメージデータを展開するための第2のメモリとを有する表示装置が開示されている(特許文献1を参照)。この表示装置は、現在表示される画面用の1画面分の第1のイメージデータと、次の表示候補の画面用の1画面分の第2のイメージデータと、を第1のメモリに展開し、第1のイメージデータを第2のメモリに転送することにより画面に表示させる。表示装置は、次の表示候補の画面が選択された場合に第2のイメージデータを第2のメモリに転送することにより、画面の表示を更新させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像読取装置では、複数の画面データの内の、要求された画面データに基づく画面をより効率良く表示することが求められている。
【0006】
本発明の目的は、複数の画面データの内の、要求された画面データに基づく画面をより効率良く表示することが可能な画像読取装置、制御方法及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る画像読取装置は、情報処理装置と通信可能な通信部と、記憶部と、表示部と、媒体から画像を読み取る読取部と、通信部を制御して情報処理装置から複数の階層に分けて設けられた複数の画面データを受信し、受信した複数の画面データを記憶部に記憶する第1プロセッサと、読取部を制御して媒体から画像を読み取るとともに、複数の画面データに基づく画面を表示部に表示する第2プロセッサと、を有し、第2プロセッサは、複数の画面データの内の所定の階層の画面データに基づく画面が表示部に表示されている状態で、他の階層の画面データに基づく画面の表示が要求された場合、第1プロセッサに要求信号を送信し、第1プロセッサは、要求信号に基づいて、他の階層の画面データを記憶部から読み出して第2プロセッサに送信する。
【0008】
また、本発明の一側面に係る制御方法は、情報処理装置と通信可能な通信部と、記憶部と、表示部と、媒体から画像を読み取る読取部と、第1プロセッサと、第2プロセッサと、を有する画像読取装置の制御方法であって、第1プロセッサが、通信部を制御して情報処理装置から複数の階層に分けて設けられた複数の画面データを受信し、受信した複数の画面データを記憶部に記憶し、第2プロセッサが、読取部を制御して媒体から画像を読み取るとともに、複数の画面データに基づく画面を表示部に表示し、第2プロセッサが、複数の画面データの内の所定の階層の画面データに基づく画面が表示部に表示されている状態で、他の階層の画面データに基づく画面の表示が要求された場合、第1プロセッサに要求信号を送信し、第1プロセッサが、要求信号に基づいて、他の階層の画面データを記憶部から読み出して第2プロセッサに送信する。
【0009】
また、本発明の一側面に係る制御プログラムは、情報処理装置と通信可能な通信部と、記憶部と、表示部と、媒体から画像を読み取る読取部と、通信部を制御して情報処理装置から複数の階層に分けて設けられた複数の画面データを受信し、受信した複数の画面データを記憶部に記憶する第1プロセッサと、第2プロセッサと、を有する画像読取装置の制御プログラムであって、読取部を制御して媒体から画像を読み取るとともに、複数の画面データに基づく画面を表示部に表示し、複数の画面データの内の所定の階層の画面データに基づく画面が表示部に表示されている状態で、他の階層の画面データに基づく画面の表示が要求された場合、他の階層の画面データを記憶部から読み出して第2プロセッサに送信することを第1プロセッサに実行させるための要求信号を第1プロセッサに送信することを第2プロセッサに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像読取装置、制御方法及び制御プログラムは、複数の画面データの内の、要求された画面データに基づく画面をより効率良く表示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に従った画像処理システム1の一例の構成図である。
【
図2】画像読取装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【
図3】画像読取装置100の概略構成を示すブロック図である。
【
図4】画面データテーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】第1記憶装置130及び第1処理回路150の概略構成を示す図である。
【
図6】第2記憶装置140及び第2処理回路160の概略構成を示す図である。
【
図7】データ管理処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図8】表示制御処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図9】表示装置106に表示される画面について説明するための模式図である。
【
図10】画像読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図11】設定処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図12】他の表示制御処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図13】他の第1処理回路250等の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一側面に係る画像読取装置について図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0013】
図1は、実施形態に従った画像処理システム1の一例の構成図である。
【0014】
画像処理システム1は、画像読取装置100及び情報処理装置200を備える。画像読取装置100は、イメージスキャナ等である。画像読取装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、厚紙、カード、冊子又はパスポート等である。画像読取装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。情報処理装置200は、サーバ等である。情報処理装置200は、画像読取装置100に表示される画面を生成するための複数の画面データを記憶している。画像読取装置100及び情報処理装置200は、相互に通信接続されている。情報処理装置200と通信接続する画像読取装置100は複数でもよい。
【0015】
画像読取装置100は、下側筐体101、上側筐体102、載置台103、排出台104、操作装置105及び表示装置106等を備える。
【0016】
上側筐体102は、画像読取装置100の上面を覆う位置に配置され、媒体つまり時、画像読取装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより下側筐体101に係合している。
【0017】
載置台103は、搬送される媒体を載置可能に下側筐体101に係合している。排出台104は、排出された媒体を保持可能に下側筐体101に係合している。
【0018】
操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。
【0019】
表示装置106は、表示部の一例であり、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0020】
図2は、画像読取装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0021】
画像読取装置100内部の搬送経路は、センサ111、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第1撮像装置116a、第2撮像装置116b、第3搬送ローラ117及び第4搬送ローラ118等を有している。なお、各ローラの数は一つに限定されず、各ローラの数はそれぞれ複数でもよい。
【0022】
下側筐体101の上面は、媒体の搬送路の下側ガイド107aを形成し、上側筐体102の下面は、媒体の搬送路の上側ガイド107bを形成する。
図2において矢印A1は媒体搬送方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A1の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A1の下流のことをいう。
【0023】
センサ111は、給送ローラ112及びブレーキローラ113の上流側に配置される。センサ111は、接触検出センサを有し、載置台103に媒体が載置されているか否かを検出する。センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する媒体信号を生成して出力する。
【0024】
第1撮像装置116aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。また、第1撮像装置116aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置116aは、読取部の一例であり、搬送された媒体の表面から画像を読み取り、入力画像を生成して出力する。
【0025】
同様に、第2撮像装置116bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有する。また、第2撮像装置116bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置116bは、読取部の一例であり、搬送された媒体の裏面から画像を読み取り、入力画像を生成して出力する。
【0026】
なお、画像読取装置100は、第1撮像装置116a及び第2撮像装置116bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。以下では、第1撮像装置116a及び第2撮像装置116bを総じて撮像装置116と称する場合がある。
【0027】
載置台103に載置された媒体は、給送ローラ112が
図2の矢印A2の方向、即ち媒体給送方向に回転することによって、下側ガイド107aと上側ガイド107bの間を媒体搬送方向A1に向かって搬送される。ブレーキローラ113は、媒体搬送時、矢印A3の方向、即ち媒体給送方向の反対方向に回転する。給送ローラ112及びブレーキローラ113の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ112と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限されるように動作する(重送の防止)。
【0028】
媒体は、下側ガイド107aと上側ガイド107bによりガイドされながら、第1搬送ローラ114と第2搬送ローラ115の間に送り込まれる。媒体は、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115がそれぞれ矢印A4及び矢印A5の方向に回転することによって、第1撮像装置116aと第2撮像装置116bの間に送り込まれる。撮像装置116により読み取られた媒体は、第3搬送ローラ117及び第4搬送ローラ118がそれぞれ矢印A6及び矢印A7の方向に回転することによって排出台104上に排出される。給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115及び第3搬送ローラ117及び第4搬送ローラ118は、搬送部の一例である。
【0029】
図3は、画像読取装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0030】
画像読取装置100は、前述した構成に加えて、モータ121、通信装置122、第1記憶装置130、第2記憶装置140、第1処理回路150及び第2処理回路160等をさらに有する。
【0031】
モータ121は、1つ又は複数のモータを含む。モータ121は、第2処理回路160からの制御信号によって給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115及び第3搬送ローラ117及び第4搬送ローラ118を回転させて媒体を搬送させる。
【0032】
通信装置122は、通信部の一例であり、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有する。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。通信装置122は、情報処理装置200と通信可能であり、情報処理装置200と通信接続して各種の画像及び情報を送受信する。また、通信装置122として、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有する通信部が用いられてもよい。
【0033】
第1記憶装置130は、記憶部の一例であり、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、第1記憶装置130には、画像読取装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて第1記憶装置130にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。また、第1記憶装置130は、データとして、画面データテーブルを記憶する。画面データテーブルの詳細については後述する。
【0034】
第2記憶装置140は、第2記憶部の一例であり、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、第2記憶装置140には、画像読取装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて第2記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM、DVD-ROM等である。
【0035】
なお、第1記憶装置130及び第2記憶装置140は、共通の記憶装置で構成されてもよい。その場合、共通の記憶装置内で、第1記憶装置130の記憶領域に相当する記憶領域と、第2記憶装置140の記憶領域に相当する記憶領域とが分割されて管理される。
【0036】
第1処理回路150は、第1プロセッサの一例であり、予め第1記憶装置130に記憶されているプログラムに基づいて動作する。第1処理回路150は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。第1処理回路150として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0037】
第1処理回路150は、通信装置122、第1記憶装置130、第2記憶装置140及び第2処理回路160等と接続され、これらの各部を制御する。なお、第1処理回路150は、操作装置105、表示装置106、センサ111、撮像装置116及びモータ121とさらに接続されて、これらの各部を制御してもよい。第1処理回路150は、通信装置122の通信制御等を行い、通信装置122を介して情報処理装置200から受信した各種データを第1記憶装置130に記憶する。
【0038】
第2処理回路160は、第2プロセッサの一例であり、予め第2記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。第2処理回路160は、例えばCPUである。第2処理回路160として、DSP、LSI、ASIC、FPGA等が用いられてもよい。例えば、第2処理回路160として、第1処理回路150より、処理能力が低いプロセッサが使用される。なお、第2処理回路160として、第1処理回路150と処理能力が同等のプロセッサ又は第1処理回路150より処理能力が高いプロセッサが使用されてもよい。
【0039】
第2処理回路160は、操作装置105、表示装置106、センサ111、撮像装置116、モータ121、第1記憶装置130、第2記憶装置140及び第1処理回路150等と接続され、これらの各部を制御する。なお、第2処理回路160は、通信装置122とさらに接続されて、通信装置122を制御してもよい。第2処理回路160は、操作装置105の制御、表示装置106の表示制御等を行い、利用者からの要求を受け付ける。また、第2処理回路160は、センサ111からの出力信号に従って、モータ121の駆動制御、撮像装置116の撮像制御等を行い、入力画像を生成する。さらに、第2処理回路160は、搬送中の媒体のジャム、重送、スリップ、スキュー等の異常の発生の監視、生成した入力画像の補正、又は、画像読取装置100の温度監視等を実行する。
【0040】
図4は、画面データテーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【0041】
画面データテーブルには、情報処理装置200から受信した複数の画面データが記憶される。各画面データは、表示装置106に表示される画面を生成するためのデータであり、複数の階層に分けて設けられる。画面データの階層は、表示装置106に表示される各画面の階層に対応する。第1階層の画面データは、表示装置106に最初に表示される初期画面を生成するためのデータであり、画面データテーブルには、第1階層の画面データとして単一の画面データが記憶される。第2階層以上の画面データは、上位階層の画面データから生成された画面から遷移する画面を生成するためのデータであり、画面データテーブルには、第2階層以上の画面データとして一又は複数の画面データが記憶される。
【0042】
各画面データから生成される画面には、一又は複数の項目が利用者に選択可能に表示される。各項目は、ジョブ又は画面遷移等である。ジョブは、画像読取装置100の画像読取処理に関する設定であり、例えば画像読取装置100に読み取らせる媒体の種類(一般用紙/名刺/写真等)毎に設定される。ジョブには、生成される入力画像の色設定(カラー/グレースケール/白黒等)、解像度(200dpi/300dpi/600dpi等)及び読取面(両面/片面)等の設定が含まれる。画面遷移は、現在、表示装置106に表示されている画面から、他の階層の画面データに基づく画面への遷移(移動)である。各項目には、利用者の識別情報の指定又は画像読取処理のスケジュール情報の指定等、ジョブ又は画面遷移以外の項目が含まれてもよい。
【0043】
各画面データには、その画面データの識別情報(データID)、インデックス情報、階層情報、一又は複数の項目情報等が含まれる。インデックス情報は、各画面データの索引を示す情報であり、予め定められた規則に従って、インデックス情報内の予め定められた各ビットが、各画面データが属する階層及び各階層内の位置を示すように設定される。階層情報は、各画面データが属する階層を示す。各項目情報は、その画面データにより表示される各項目に関する情報を示し、各項目情報には、各項目情報の識別情報(項目ID)、種別情報、文字情報、遷移先情報及び設定情報等が含まれる。種別情報は、各項目が画面遷移であるかジョブであるかを示す。文字情報は、その画面データに従って表示される文字を示す。遷移先情報は、各項目が画面遷移である場合に、遷移先の画面を生成するための画面データのインデックス情報を示す。設定情報は、各項目がジョブである場合に、そのジョブに対応する各設定(色設定、解像度及び読取面等)を示す。
【0044】
図5は、第1記憶装置130及び第1処理回路150の概略構成を示す図である。
【0045】
図5に示すように、第1記憶装置130には、通信制御プログラム131及びデータ管理プログラム132等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。第1処理回路150は、第1記憶装置130に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、第1処理回路150は、通信制御部151及びデータ管理部152として機能する。
【0046】
図6は、第2記憶装置140及び第2処理回路160の概略構成を示す図である。
【0047】
図6に示すように、第2記憶装置140には、表示制御プログラム141、読取制御プログラム142及び監視プログラム143等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。第2処理回路160は、第2記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、第2処理回路160は、表示制御部161、読取制御部162及び監視部163として機能する。
【0048】
図7は、画像読取装置100のデータ管理処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0049】
以下、
図7に示したフローチャートを参照しつつ、画像読取装置100のデータ管理処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め第1記憶装置130に記憶されているプログラムに基づき主に第1処理回路150により画像読取装置100の各要素と協働して実行される。
図7に示す動作のフローは、画像読取装置100の装置起動時に実行される。
【0050】
最初に、通信制御部151は、通信装置122を制御して情報処理装置200から複数の画面データを受信する(ステップS101)。例えば、通信制御部151は、通信装置122を介して情報処理装置200に、複数の画面データの取得を要求する画面データ要求信号を送信し、通信装置122を介して情報処理装置200から画面データを受信する。なお、情報処理装置200が、画面データを画像読取装置100に自発的に送信してもよい。
【0051】
なお、通信制御部151は、情報処理装置200から複数の画面データを一括して受信することが望ましい。これにより、画像読取装置100は、情報処理装置200における送信処理にかかる処理負荷を低減させるとともに、画像読取装置100と情報処理装置200の間のネットワークにおける通信処理にかかるオーバーヘッドを低減させることが可能となる。但し、通信制御部151は、定期的に情報処理装置200から画面データを受信し、受信した画面データを画面データテーブルに記憶して画面データテーブルを更新してもよい。
【0052】
次に、通信制御部151は、受信した複数の画面データを画面データテーブルに記憶する(ステップS102)。
【0053】
次に、データ管理部152は、第1階層の画面データを第2処理回路160の表示制御部161に送信する(ステップS103)。データ管理部152は、公知のプロセッサ間通信により、第1階層の画面データを表示制御部161に送信する。例えば、データ管理部152は、第1階層の画面データを第2記憶装置140に書き込み、その旨を示す信号を第2処理回路160(表示制御部161)に送信することにより、第1階層の画面データを表示制御部161に送信する。
【0054】
次に、データ管理部152は、表示制御部161から要求信号を受信したか否かを判定する(ステップS104)。要求信号は、表示制御部161がデータ管理部152に対して画面データの取得を要求するための信号である。即ち、要求信号は、第2処理回路160が第1処理回路150に、要求された階層の画面データを第1記憶装置130から読み出して第2処理回路160に送信することを実行させるための信号である。要求信号には、取得を要求する画面データのインデックス情報(遷移先情報)が含まれる。表示制御部161は、公知のプロセッサ間通信により、要求信号をデータ管理部152に送信する。例えば、表示制御部161は、取得を要求する画面データのインデックス情報(遷移先情報)を第1記憶装置130に書き込み、その旨を示す信号を第1処理回路150(データ管理部152)に送信することにより、要求信号をデータ管理部152に送信する。データ管理部152は、表示制御部161から要求信号を受信するまで待機する。
【0055】
次に、データ管理部152は、表示制御部161から要求信号を受信した場合、画面データテーブルを参照して要求信号に含まれるインデックス情報(遷移先情報)に対応する画面データを特定し、画面データテーブルから読み出す(ステップS105)。
【0056】
次に、データ管理部152は、ステップS103の処理と同様にして、読み出した画面データを表示制御部161に送信し(ステップS106)、処理をステップS104へ戻す。以降、データ管理部152は、ステップS104~S106の処理を繰り返す。このように、データ管理部152は、要求信号に基づいて、表示制御部161によって要求された他の階層の画面データを画面データテーブルから読み出して表示制御部161に送信する。
【0057】
図8は、画像読取装置100の表示制御処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0058】
以下、
図8に示したフローチャートを参照しつつ、画像読取装置100の表示制御処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め第2記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に第2処理回路160により画像読取装置100の各要素と協働して実行される。
図8に示す動作のフローは、画像読取装置100の装置起動時に実行される。
【0059】
最初に、表示制御部161は、データ管理部152から第1階層の画面データを受信したか否かを判定する(ステップS201)。第1階層の画面データは、
図7のステップS103において、データ管理部152から表示制御部161へ送信される。表示制御部161は、データ管理部152から第1階層の画面データを受信するまで待機する。
【0060】
次に、表示制御部161は、データ管理部152から画面データを受信した場合、受信した画面データに基づく画面を生成し、表示装置106に表示する(ステップS202)。表示制御部161は、受信した画面データに含まれる項目情報毎に各項目情報に含まれる文字情報を抽出し、抽出した各文字情報を利用者により指定可能に並べて配置した画面を、画面データに基づく画面として生成する。
【0061】
次に、表示制御部161は、操作装置105を用いて利用者から、表示装置106に表示された画面に含まれる項目の内の何れかの項目に対応する要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS203)。表示制御部161は、操作装置105を用いて利用者から、表示装置106に表示された何れかの項目が指定された場合に、指定された項目に対応する要求を受け付ける。
【0062】
次に、表示制御部161は、指定された項目が画面遷移であるかジョブであるかを判定する(ステップS204)。表示制御部161は、指定された項目に対応する種別情報に基づいて、指定された項目が画面遷移であるかジョブであるかを判定する。
【0063】
指定された項目がジョブである場合、読取制御部162は、指定されたジョブに従って、画像読取処理を開始し(ステップS205)、処理をステップS203へ戻す。読取制御部162は、指定された項目に対応する設定情報に基づいて、指定されたジョブに対応する設定を特定する。読取制御部162は、画像読取処理において、撮像装置116を制御して媒体から画像を読み取る。画像読取処理の詳細については後述する。以降、表示制御部161は、画像読取処理が完了するまで画像読取処理と並行して表示制御処理を実行する。
【0064】
一方、指定された項目が画面遷移である場合、表示制御部161は、指定された項目に対応する遷移先情報を含む要求信号をデータ管理部152に送信する(ステップS206)。
【0065】
次に、表示制御部161は、データ管理部152から、要求信号で要求した画面データを受信したか否かを判定する(ステップS207)。表示制御部161は、データ管理部152から画面データを受信するまで待機する。一方、データ管理部152から画面データを受信した場合、表示制御部161は、処理をステップS202へ移行し、受信した画面データに基づく画面を生成し、表示装置106に表示する。以降、表示制御部161は、ステップS203~S207の処理を繰り返す。
【0066】
これにより、ステップS202において、表示制御部161は、複数の画面データに基づく画面を表示装置106に表示する。ステップS206において、表示制御部161は、複数の画面データの内の所定の階層の画面データに基づく画面が表示装置106に表示されている状態で、他の階層の画面データに基づく画面の表示が要求された場合、データ管理部152に要求信号を送信する。表示制御部161は、画像読取処理が実行されている状態で、他の階層の画面データに基づく画面の表示が要求された場合にも、データ管理部152に要求信号を送信する。
【0067】
なお、画面データテーブルに記憶される各画面データには、表示装置106に表示される画面(イメージ)自体が含まれてもよい。その場合、各画面データに文字情報は含まれなくてもよい。その場合、ステップS202において、表示制御部161は、データ管理部152から受信した画面データに含まれる画面を表示装置106に表示する。また、
図7のステップS106において、データ管理部152が、画面データに基づく画面を生成して表示制御部161に送信してもよい。その場合、ステップS202において、表示制御部161は、データ管理部152から受信した画面を表示装置106に表示する。これらにより、画像読取装置100は、第2処理回路160による処理負荷をより低減させることが可能となり、画像読取処理をより良好に実行することが可能となる。
【0068】
図9は、表示装置106に表示される画面について説明するための模式図である。
【0069】
図9に示すように、表示装置106に最初に表示される初期画面900には、第1階層の画面データに含まれる各項目情報に含まれる文字情報が利用者により選択可能に並べて配置される。
図9に示す初期画面900では、第2項目と第4項目にジョブが選択可能に配置され、第1項目と第3項目に第2階層に遷移させるための画面遷移が選択可能に配置されている。第2項目又は第4項目に配置されたジョブが選択されると、選択されたジョブに従って画像読取処理が実行される。一方、第1項目又は第3項目に配置された画面遷移が選択されると、選択された項目に対応する遷移先情報に示される第2階層の画面データに基づく画面901又は902が表示される。
【0070】
同様に、画面901及び902には、対応する画面データに含まれる各項目情報に含まれる文字情報が利用者により選択可能に並べて配置される。画面901又は902に配置されたジョブが選択されると、選択されたジョブに従って画像読取処理が実行される。一方、画面901に配置された画面遷移が選択されると、選択された項目に対応する遷移先情報に示される第3階層の画面データに基づく画面903又は904が表示される。
【0071】
利用者は、表示装置106に表示される画面を、所望のジョブが選択可能に配置された画面に遷移させて、所望のジョブを選択することにより、所望のジョブを容易に選択することができる。したがって、画像読取装置100は、利用者の利便性を向上させることが可能となる。
【0072】
図10は、画像読取装置100の画像読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0073】
以下、
図10に示したフローチャートを参照しつつ、画像読取装置100の画像読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め第2記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に第2処理回路160により画像読取装置100の各要素と協働して実行される。
図10に示す動作のフローは、
図8に示すフローチャートのステップS205で画像読取処理が開始された場合に実行される。
【0074】
最初に、読取制御部162は、モータ121を駆動し、給送ローラ112、ブレーキローラ113及び第1~第4搬送ローラ114、115、117、118を回転させて媒体を搬送させる(ステップS301)。読取制御部162は、
図8のステップS203で指定された項目に対応する設定情報に応じた速度(媒体の搬送速度)で回転させるようにモータ121を制御する。
【0075】
次に、読取制御部162は、撮像装置116を制御して媒体から画像を読み取り、撮像装置116から入力画像を取得し、通信装置122を介して情報処理装置200又は他の情報処理装置へ送信する(ステップS302)。読取制御部162は、
図8のステップS203で指定された項目に対応する設定情報に応じた設定(色設定、解像度、読取面等)に従って媒体から画像を読み取るように撮像装置116を制御する。なお、読取制御部162は、公知のプロセッサ間通信により入力画像を第1処理回路150に送信し、第1処理回路150が、入力画像を通信装置122を介して情報処理装置200又は他の情報処理装置へ送信してもよい。
【0076】
次に、読取制御部162は、センサ111から媒体信号を取得し、取得した媒体信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS303)。載置台103に媒体が残っている場合、読取制御部162は、ステップS301へ処理を戻し、ステップS301~S303の処理を繰り返す。一方、載置台103に媒体が残っていない場合、読取制御部162は、一連のステップを終了する。
【0077】
以上詳述したように、画像読取装置100は、読取制御用の第2処理回路160が画面データの表示制御を行いつつ、通信制御用の第1処理回路150が、階層構造化された画面データの中から表示すべき画面データを選択して第2処理回路160に送信する。これにより、画像読取装置100は、第1処理回路150と第2処理回路160とで必要な処理を適切に分担し、画像読取処理中でも、利用者に要求された画面を適切に表示することが可能となった。したがって、画像読取装置100は、複数の画面データの内の、要求された画面データに基づく画面をより効率良く表示することが可能となった。
【0078】
スキャナ装置のような組込型の装置では、装置コストの低減化を図るために、処理性能が低いプロセッサが使用される場合がある。そのため、そのような組込型の装置では、画像読取処理中のようにプロセッサの処理負荷が高い状態では、表示制御処理を実行するための時間が十分に得られない可能性がある。画像読取装置100は、第1処理回路150と第2処理回路160とで必要な処理を適切に分担することにより、処理性能が低いプロセッサを使用する場合でも、表示制御処理を良好に実行することが可能となった。
【0079】
また、画像読取装置100では、読取制御用の第2処理回路160とは別個の第1処理回路150が、情報処理装置200から受信した複数の画面データの中から必要な画面データを選択する。そのため、情報処理装置200から受信した画面データの数が多い場合でも、画像読取装置100は、必要な画面データを選択するために十分な時間をかけることが可能となり、要求された画面データに基づく画面を良好に表示させることが可能となった。
【0080】
また、情報処理装置200から第1処理回路150へは全ての画面データがまとめて送信されるが、第1処理回路150から第2処理回路160へは全ての画面データがまとめて送信されず、画面を生成するために必要な画面データのみが個々に送信される。そのため、画像読取装置100では、画面データの送受信処理によって他の処理が実行できない状態が長時間にわたって発生することがなく、画像読取装置100は画像読取処理を良好に実行することが可能となった。
【0081】
図11は、他の実施形態に係る画像読取装置100の設定処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0082】
以下、
図11に示したフローチャートを参照しつつ、画像読取装置100の設定処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め第2記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に第2処理回路160により画像読取装置100の各要素と協働して実行される。
図11に示す動作のフローは、定期的に実行される。本実施形態において、第2処理回路160は、CPU又はDSP等のプロセッサである。
【0083】
最初に、監視部163は、第2処理回路160のプロセッサ使用率を測定する(ステップS401)。監視部163は、プロセッサ使用率の測定期間に対する、その測定期間内で第2処理回路160が有する各部の動作時間の割合をプロセッサ使用率として測定する。なお、第2処理回路160は、第2処理回路160が有する各部が動作していない時に動作させるアイドルスレッドを有し、アイドルスレッドの稼働率に基づいて、プロセッサ使用率を測定してもよい。このように、監視部163は、第2処理回路160のプロセッサ使用率を定期的に測定して監視する。
【0084】
次に、監視部163は、測定したプロセッサ使用率が所定値以下であるか否かを判定する(ステップS402)。所定値は、例えば第2処理回路160が画像読取処理を実行している時のプロセッサ使用率と、第2処理回路160が画像読取処理を実行していない時のプロセッサ使用率との間の値に予め設定される。
【0085】
プロセッサ使用率が所定値より大きい場合、監視部163は、動作モードを第1モードに設定し(ステップS403)、処理をステップS401へ戻す。第1モードでは、複数の画面データの中から要求された画面データを特定して読み出す処理は、第1処理回路150により実行される。
【0086】
一方、プロセッサ使用率が所定値以下である場合、監視部163は、情報処理装置200から受信した複数の画面データの総数を算出する(ステップS404)。
【0087】
次に、監視部163は、算出した複数の画面データの総数が所定数以下であるか否かを判定する(ステップS405)。所定数は、例えば十分に短い時間で全ての画面データの中から特定の画面データを抽出することができる数に予め設定される。
【0088】
複数の画面データの総数が所定数より大きい場合、監視部163は、動作モードを第1モードに設定し(ステップS403)、処理をステップS401へ戻す。
【0089】
一方、複数の画面データの総数が所定数以下である場合、表示制御部161は、情報処理装置200から受信した全ての画面データの取得を要求する要求信号をデータ管理部152に送信する(ステップS406)。即ち、この要求信号には、画面データテーブルに記憶された全ての画面データのインデックス情報が含まれる。
【0090】
次に、表示制御部161は、データ管理部152から、要求信号で要求した画面データ、即ち情報処理装置200から受信した全ての画面データを受信したか否かを判定する(ステップS407)。表示制御部161は、データ管理部152から全ての画面データを受信するまで待機する。
【0091】
一方、データ管理部152から全ての画面データを受信した場合、表示制御部161は、受信した全ての画面データを第2記憶装置140に記憶する(ステップS408)。表示制御部161は、第2記憶装置140に画面データテーブルを設けて、全ての画面データを画面データテーブルに記憶する。このように、表示制御部161は、情報処理装置200から受信した複数の画面データの全てを第1処理回路150から取得して第2記憶装置140に記憶する。
【0092】
次に、監視部163は、動作モードを第2モードに設定し(ステップS409)、処理をステップS401へ戻す。第2モードでは、複数の画面データの中から要求された画面データを特定して読み出す処理は、第2処理回路160により実行される。
【0093】
なお、ステップS401~S404において、監視部163は、プロセッサ使用率が所定値以下であり且つ画面データの総数が所定数より大きい場合、ステップS406~S409の処理を実行し、動作モードを第2モードに設定してもよい。また、監視部163は、プロセッサ使用率が所定値より大きく且つ画面データの総数が所定数以下である場合、ステップS406~S409の処理を実行し、動作モードを第2モードに設定してもよい。また、ステップS401~S402の処理を省略し、監視部163は、画面データの総数が所定数以下であるか否かのみに基づいて動作モードを設定してもよい。また、ステップS404~S405の処理を省略し、監視部163は、プロセッサ使用率が所定値以下であるか否かのみに基づいて動作モードを設定してもよい。
【0094】
また、データ管理部152は、ステップS406において送信された要求信号に従って全ての画面データを表示制御部161に送信した場合、第1記憶装置130に記憶された各画面データを消去してもよい。その場合、ステップS403において、監視部163が動作モードを第1モードに設定したときに、表示制御部161は全ての画面データをデータ管理部152に送信し、データ管理部152は受信した全ての画面データを第1記憶装置130に再記憶する。これにより、第2モードで動作中に、データ管理部152は、第1記憶装置130の空き容量を増大させることが可能となり、情報処理装置200から新たな情報を受信した場合等に、第1記憶装置130に一時的に記憶させることが可能となる。
【0095】
図12は、他の実施形態に係る画像読取装置100の表示制御処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0096】
図12に示す表示制御処理は、
図11に示した設定処理が実行される場合に、
図8に示した表示制御処理の代わりに実行される。
図12に示すフローチャートのステップS501~S505の処理は、
図8に示したフローチャートのステップS201~S205の処理と同様であるため、詳細な説明を省略し、以下では、ステップS506~S509の処理について説明する。
【0097】
ステップS504において、指定された項目が画面遷移であった場合、表示制御部161は、現在設定されている動作モードが第1モードであるか第2モードであるかを判定する(ステップS506)。
【0098】
現在設定されている動作モードが第1モードである場合、表示制御部161は、
図8のステップS206の処理と同様に、指定された項目に対応する遷移先情報を含む要求信号をデータ管理部152に送信する(ステップS507)。
【0099】
次に、表示制御部161は、
図8のステップS207の処理と同様に、データ管理部152から、要求信号で要求した画面データを受信したか否かを判定する(ステップS508)。表示制御部161は、データ管理部152から画面データを受信するまで待機する。一方、データ管理部152から画面データを受信した場合、表示制御部161は、処理をステップS502へ移行し、受信した画面データに基づく画面を生成し、表示装置106に表示する。以降、表示制御部161は、ステップS503~S509の処理を繰り返す。
【0100】
一方、現在設定されている動作モードが第2モードである場合、表示制御部161は、第2記憶装置140に記憶された画面データテーブルから、指定された項目に対応する遷移先情報(インデックス情報)に対応する画面データを読み出す(ステップS509)。表示制御部161は、第2記憶装置140に記憶された画面データテーブルを参照して、指定された項目に対応する遷移先情報(インデックス情報)に対応する画面データを特定し、その画面データテーブルから読み出す。そして、表示制御部161は、処理をステップS502へ移行し、読み出した画面データに基づく画面を生成し、表示装置106に表示する。以降、表示制御部161は、ステップS503~S509の処理を繰り返す。
【0101】
このように、プロセッサ使用率が所定値以下である場合、表示制御部161は、複数の画面データの内の所定の階層の画面データに基づく画面が表示装置106に表示されている状態で、他の階層の画面データに基づく画面の表示が要求されたか否かを判定する。表示制御部161は、他の階層の画面データに基づく画面の表示が要求された場合、他の階層の画面データを第2記憶装置140から読み出し、その画面データに基づく画面を表示装置106に表示する。即ち、表示制御部161は、画像読取処理が実行されていない時のように、第2処理回路160の処理負荷が低い時には、階層構造化された画面データの中から表示すべき画面データを自ら選択する。したがって、画像読取装置100は、情報処理装置200との通信処理中のように第1処理回路150の処理負荷が高い状態でも、複数の画面データの内の、要求された画面データに基づく画面をより効率良く表示することが可能となった。
【0102】
同様に、複数の画面データの総数が所定数以下である場合、表示制御部161は、複数の画面データの内の所定の階層の画面データに基づく画面が表示装置106に表示されている状態で、他の階層の画面データに基づく画面の表示が要求されたか否かを判定する。表示制御部161は、他の階層の画面データに基づく画面の表示が要求された場合、他の階層の画面データを第2記憶装置140から読み出し、その画面データに基づく画面を表示装置106に表示する。即ち、表示制御部161は、情報処理装置200から受信した複数の画面データの総数が十分に小さい場合には、階層構造化された画面データの中から表示すべき画面データを自ら選択する。したがって、画像読取装置100は、情報処理装置200との通信処理中のように第1処理回路150の処理負荷が高い状態でも、複数の画面データの内の、要求された画面データに基づく画面をより効率良く表示することが可能となった。
【0103】
以上詳述したように、画像読取装置100は、第2処理回路160のプロセッサ使用率に基づいて動作モードを設定する場合も、複数の画面データの内の、要求された画面データに基づく画面をより効率良く表示することが可能となった。また、画像読取装置100は、情報処理装置200から受信した複数の画面データの総数に基づいて動作モードを設定する場合も、複数の画面データの内の、要求された画面データに基づく画面をより効率良く表示することが可能となった。
【0104】
図13は、他の実施形態に係る画像読取装置における第1処理回路250及び第2処理回路260の概略構成を示す図である。第1処理回路250は、画像読取装置100の第1処理回路150の代わりに使用され、第1処理回路150の代わりに、データ管理処理を実行する。第2処理回路260は、画像読取装置100の第2処理回路160の代わりに使用され、第2処理回路160の代わりに、表示制御処理、画像読取処理又は設定処理を実行する。第1処理回路250は、通信制御回路251及びデータ管理回路252等を有する。第2処理回路260は、表示制御回路261、読取制御回路262及び監視回路263等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0105】
通信制御回路251は、通信制御部の一例であり、通信制御部151と同様の機能を有する。通信制御回路251は、通信装置122を介して情報処理装置200から複数の画面データを受信し、第1記憶装置130に記憶する。
【0106】
データ管理回路252は、データ管理部の一例であり、データ管理部152と同様の機能を有する。データ管理回路252は、第2処理回路260から要求信号を受信し、受信した要求信号で指定された画面データを第1記憶装置130から読み出して第2処理回路260に送信する。
【0107】
表示制御回路261は、表示制御部の一例であり、表示制御部161と同様の機能を有する。表示制御回路261は、第1処理回路250から受信した画面データに基づく画面を生成して表示装置106に表示するとともに、操作装置105を用いて利用者からの要求を受け付ける。表示制御回路261は、他の画面の表示が要求された場合、第1処理回路250に要求信号を送信し、第1処理回路250から受信した画面データに基づく画面を生成して表示装置106に表示する。表示制御回路261は、画像読取処理の実行が要求された場合、画像読取処理の実行を指示する信号を読取制御回路262に送信する。表示制御回路261は、第2記憶装置140から画像読取装置100の動作モードを読み出す。表示制御回路261は、動作モードが第2モードである場合、第1処理回路250に全ての画面データの取得を要求する要求信号を送信し、受信した画面データを第2記憶装置140に記憶し、以降、第2記憶装置140に記憶された画面データから画面を生成する。
【0108】
読取制御回路262は、読取制御部の一例であり、読取制御部162と同様の機能を有する。読取制御回路262は、表示制御回路261から画像読取処理の実行を指示する信号を受信した場合、センサ111からの媒体信号に従ってモータ121及び撮像装置116を制御して入力画像を取得する。読取制御回路262は、取得した入力画像を第1処理回路250及び通信装置122を介して情報処理装置へ送信する。
【0109】
監視回路263は、監視部の一例であり、監視部163と同様の機能を有する。監視回路263は、第2処理回路260のプロセッサ使用率及び/又は情報処理装置200から受信した画面データの総数を算出し、算出した結果に従って動作モードを決定し、第2記憶装置140に記憶する。
【0110】
以上詳述したように、画像読取装置は、第1処理回路250及び第2処理回路260を用いる場合においても、複数の画面データの内の、要求された画面データに基づく画面をより効率良く表示することが可能となった。
【符号の説明】
【0111】
100 画像読取装置
106 表示装置
116 撮像装置
122 通信装置
130 第1記憶装置
140 第2記憶装置
150 第1処理回路
160 第2処理回路