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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】電子機器およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0488 20220101AFI20231113BHJP
   G06F 3/04812 20220101ALI20231113BHJP
   G06F 3/0484 20220101ALI20231113BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20231113BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20231113BHJP
   G03B 17/18 20210101ALI20231113BHJP
   H04N 23/63 20230101ALI20231113BHJP
   H04N 23/67 20230101ALI20231113BHJP
【FI】
G06F3/0488
G06F3/04812
G06F3/0484
G06F3/041 532
G06F3/041 534
G03B17/02
G03B17/18
H04N23/63 100
H04N23/63 330
H04N23/67 100
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2020063832
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021163182
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】武市 辰哉
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/085983(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/188035(WO,A1)
【文献】特開2018-036802(JP,A)
【文献】特開2017-102626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/033-3/039
G06F 3/041
G06F 3/048-3/04895
G03B 7/00-7/30
G03B 17/02
G03B 17/18-7/20
G03B 17/36
H04N 23/63
H04N 23/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作面に対するタッチ操作を検出可能なタッチ検出手段と、
前記操作面に対してタッチして移動する移動操作が、前記操作面のうち第1の領域で行われたことに応じて、表示手段に表示される選択位置を前記移動操作に応じた量、前記選択位置を移動し、前記操作面のうち前記第1の領域と隣り合う第2の領域への前記移動操作が行われても前記選択位置を移動しないように制御する制御手段と、
前記第1の領域において所定のタッチ操作が行われたことに応じて、
前記第1の領域と前記第2の領域の境界と、前記所定のタッチ操作のタッチ位置との距離にかかわらず、前記移動操作によって前記選択位置を移動可能な範囲を示すインジケーターを前記表示手段に表示するように制御する表示制御手段と、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記インジケーターは、前記操作面への1回のタッチ操作で前記選択位置を移動できる範囲を示すことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記インジケーターの形状は、前記第1の領域に基づいた形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記表示制御手段は、
前記所定のタッチ操作が行われた際の条件に応じて、異なる位置に前記インジケーターを表示するように制御することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記表示制御手段は、
前記所定のタッチ操作のタッチが開始された位置に応じて、異なる位置に前記インジケーターを表示するように制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記操作面のうち、前記第1の領域をどの領域にするかを設定可能な領域設定手段を更に有し、
前記表示制御手段は、
前記領域設定手段に設定した前記第1の領域の位置に応じて、異なる位置に前記インジケーターを表示するように制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記表示制御手段は、
前記操作面への前記所定のタッチ操作が行われる前の前記選択位置の表示位置に応じて、異なる位置に前記インジケーターを表示するように制御することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記操作面に対して前記所定のタッチ操作が行われたことに応じて、前記選択位置を前記操作面におけるタッチされた位置に対応した位置に移動することなく、前記操作面へのタッチ操作の前の位置に基づいて、当該タッチ操作の前の位置から所定の量だけ移動する第1の設定と、
前記操作面に対してタッチ操作が行われたことに応じて、前記タッチ操作の前の前記選択位置に関わらず、前記選択位置を前記操作面へのタッチ操作が開始されたタッチ位置に対応した位置に移動する第2の設定と、
を含む複数の設定のいずれかに設定する設定手段を更に有し、
前記表示制御手段は、前記設定手段が前記第2の設定の場合は、前記所定のタッチ操作が行われたことに応じて、あらかじめ定められた位置に前記インジケーターを表示するように制御することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項9】
前記表示制御手段は、前記インジケーターは前記表示手段の表示領域を示すことを特徴とする請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記表示制御手段は、前記インジケーターは前記選択位置で選択可能な領域の全体を示すことを特徴とする請求項8または9に記載の電子機器。
【請求項11】
前記所定のタッチ操作は、前記操作面に対するタッチの開始であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項12】
前記所定のタッチ操作は、前記操作面に対してタッチして移動する移動操作の開始であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項13】
前記選択位置は、焦点検出領域の選択位置であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項14】
前記表示制御手段は、
前記操作面の前記第1の領域への前記所定のタッチ操作が終了したあと、所定時間経過した場合には、前記選択位置においてオートフォーカスの処理を実行するように制御することを特徴とする請求項13に記載の電子機器。
【請求項15】
前記表示制御手段は、
前記操作面の前記第1の領域への前記所定のタッチ操作が終了したあと、所定時間が経過する前に再び前記操作面に対する前記所定のタッチ操作が開始した場合は、前記オートフォーカスの処理を実行しないように制御することを特徴とする請求項14に記載の電子機器。
【請求項16】
前記表示制御手段は、
前記操作面の前記第1の領域への前記所定のタッチ操作が開始され、前記移動操作により前記第1の領域から前記第2の領域に移動した場合は、
前記所定のタッチ操作が継続されていても、前記第2の領域に移動した時点もしくは前記第2の領域に移動する直前の前記選択位置で
前記オートフォーカスの処理を実行するように制御することを特徴とする請求項14または15に記載の電子機器。
【請求項17】
前記表示制御手段は、
前記第1の領域において前記所定のタッチ操作が行われたことに応じて、前記選択位置を前記表示手段に表示し、
前記第2の領域において前記所定のタッチ操作が開始された場合は、前記選択位置と前記インジケーターのいずれも前記表示手段に表示しないように制御することを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項18】
前記表示制御手段は、
前記操作面の前記第1の領域への前記所定のタッチ操作が終了したことに応じて、前記インジケーターを非表示にするように制御することを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項19】
物体の接近を検知する接近検知手段を更に有し、
前記表示制御手段は、
前記接近検知手段が接近を検知した状態で、前記操作面への前記タッチ操作が行われたことに応じて前記インジケーターを表示し、
前記接近検知手段が接近を検知しない場合は、前記操作面への前記タッチ操作が行われても前記インジケーターを表示しないように制御することを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項20】
前記表示制御手段は、
前記インジケーターを、閉区間であることを識別可能に表示するように制御することを特徴とする請求項1乃至19のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項21】
前記インジケーターは、前記移動操作が第1の速度より大きい場合は第1のインジケーターで表示し、前記移動操作が前記第1の速度より大きいかつ第2の速度より小さい場合は前記移動操作の速度に応じて前記インジケーターの大きさを変化し、前記移動操作が前記第2の速度より大きい場合は前記第1のインジケーターよりも大きな第2のインジケーターで表示するように制御することを特徴とする請求項1乃至20のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項22】
前記電子機器は、撮像手段と、ファインダーと、ファインダー内の表示手段を更に有し、
前記ファインダーの外の前記操作面に対する前記所定のタッチ操作が行われたことに応じて、前記インジケーターを前記ファインダー内の表示手段に表示するように制御することを特徴とする請求項1乃至21のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項23】
操作面に対するタッチ操作を検出可能なタッチ検出手段を有する電子機器の制御方法であって、
前記操作面に対してタッチして移動する移動操作が、前記操作面のうち第1の領域で行われたことに応じて、表示手段に表示される選択位置を前記移動操作に応じた量、前記選択位置を移動し、前記操作面のうち前記第1の領域と隣り合う第2の領域への前記移動操作が行われても前記選択位置を移動しないように制御する制御ステップと、
前記第1の領域において所定のタッチ操作が行われたことに応じて、
前記第1の領域と前記第2の領域の境界と、前記所定のタッチ操作のタッチ位置との距離にかかわらず、前記移動操作によって前記選択位置を移動可能な範囲を示すインジケーターを前記表示手段に表示するように制御する表示制御ステップと、
を有することを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項24】
コンピュータを請求項1乃至22のいずれか1項に記載の電子機器の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項25】
コンピュータを請求項1乃至22のいずれか1項に記載の電子機器の各手段として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記録媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ操作によって選択位置の移動が可能な電子機器、および電子機器の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、表示画面とは別の場所に設けられたタッチ操作可能なタッチパネルを操作することで、画面上に表示されているポインターを移動させることが可能な装置が多く知られている。特許文献1には、ユーザーがファインダーを覗きながら、撮像装置の背面にあるタッチパネルを操作することでAF枠位置を指定する方法が開示されている。AF枠位置の変更を行う際に、タッチ有効領域からタッチ位置が外れそうになった(タッチ有効領域の境界に近づいた)場合に、AF枠の表示形態を変化させてユーザーに報知することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017―102626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし特許文献1では、ユーザーがタッチパネルではなく表示画面を見ながらタッチパネルを操作した際に、操作している指がタッチ有効領域の境界に近づかないと表示画面に表示されているAF枠の表示形態が変化しない。そのため、境界から遠い位置では、ユーザーは、どこまでタッチ操作を行うことができるのか、どこからタッチ操作が行えなくなるのか、タッチパネル上でのタッチ操作が可能な範囲を把握することができない。
【0005】
そこで本発明は、ユーザーがタッチ操作により選択位置の移動が可能な範囲を、より把握しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の電子機器は、操作面に対するタッチ操作を検出可能なタッチ検出手段と、前記操作面に対してタッチして移動する移動操作が、前記操作面のうち第1の領域で行われたことに応じて、表示手段に表示される選択位置を前記移動操作に応じた量、前記選択位置を移動し、前記操作面のうち前記第1の領域と隣り合う第2の領域への前記移動操作が行われても前記選択位置を移動しないように制御する制御手段と、前記第1の領域において所定のタッチ操作が行われたことに応じて、前記第1の領域と前記第2の領域の境界と、前記所定のタッチ操作のタッチ位置との距離にかかわらず、前記移動操作によって前記選択位置を移動可能な範囲を示すインジケーターを前記表示手段に表示するように制御する表示制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、ユーザーはタッチ操作が可能な範囲の把握がしやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態における、デジタルカメラ100の外観図である。
図2】本実施形態における、デジタルカメラ100のハードウェア構成例を示す概略ブロック図である。
図3】本実施形態における、タッチ操作によってEVF29に表示するAFポインターの表示制御フローチャートである。
図4】本実施形態における、タッチパネル70aのタッチ有効領域に関する設定メニュー画面である。
図5】本実施形態における、タッチパネル70aでの操作例とEVF29での表示例を示した図である。
図6】本実施形態における、タッチパネル70aでの操作例とEVF29での表示例の変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0010】
図1(a)、(b)に本発明を適用可能な装置の一例としてのデジタルカメラ100の外観図を示す。図1(a)はデジタルカメラ100の前面斜視図であり、図1(b)はデジタルカメラ100の背面斜視図である。図1において、表示部28は画像や各種情報を表示する、カメラ背面に設けられた表示部である。タッチパネル70aは、表示部28の表示面(操作面)に対するタッチ操作を検出することができる、タッチ操作を検出可能なタッチ検出手段である。ファインダー外表示部43は、カメラ上面に設けられた表示部であり、シャッター速度や絞りをはじめとするカメラの様々な設定値が表示される。シャッターボタン61は撮影指示を行うための操作部である。モード切替スイッチ60は各種モードを切り替えるための操作部である。端子カバー40は外部機器との接続ケーブルとデジタルカメラ100とを接続するコネクタ(不図示)を保護するカバーである。メイン電子ダイヤル71は操作部70に含まれる回転操作部材であり、このメイン電子ダイヤル71を回すことで、シャッター速度や絞りなどの設定値の変更等が行える。電源スイッチ72はデジタルカメラ100の電源のON及びOFFを切り替える操作部材である。サブ電子ダイヤル73は操作部70に含まれる回転操作部材であり、選択枠の移動や画像送りなどを行える。十字キー74は操作部70に含まれ、上、下、左、右部分をそれぞれ押し込み可能な4方向に押し込み可能な押しボタンを有する十字キー操作部材(4方向キー)である。十字キー74の押下した方向に押した部分に応じた操作が可能である。SETボタン75は操作部70に含まれ、押しボタンであり、主に選択項目の決定などに用いられる。動画ボタン76は、動画撮影(記録)の開始、停止の指示に用いられる。AEロックボタン77は操作部70に含まれ、撮影待機状態で押下することにより、露出状態を固定することができる。拡大ボタン78は操作部70に含まれ、撮影モードのライブビュー表示において拡大モードのON、OFFを行うための操作ボタンである。拡大モードをONとしてからメイン電子ダイヤル71を操作することにより、ライブビュー画像の拡大、縮小を行える。再生モードにおいては再生画像を拡大し、拡大率を増加させるための拡大ボタンとして機能する。再生ボタン79は操作部70に含まれ、撮影モードと再生モードとを切り替える操作ボタンである。撮影モード中に再生ボタン79を押下することで再生モードに移行し、記録媒体200に記録された画像のうち最新の画像を表示部28に表示させることができる。メニューボタン81は、操作部70に含まれ、押下することにより各種の設定可能なメニュー画面が表示部28に表示される。ユーザーは、表示部28に表示されたメニュー画面と、十字キー74やSETボタン75、またはマルチコントローラー(以下、MC)65を用いて直感的に各種設定を行うことができる。MC65は、八方向への方向指示と、中央部分の押し込み操作を受け付け可能である。通信端子10はデジタルカメラ100が後述するレンズユニット150(着脱可能)と通信を行う為の通信端子である。接眼部16は、接眼ファインダー(覗き込み型のファインダー)の接眼部であり、ユーザーは、接眼部16を介して内部のEVF(Electric View Finder)29に表示された映像を視認することができる。接眼検知部57は接眼部16に撮影者が接眼しているか否かを検知する接眼検知センサーである。蓋202は記録媒体200を格納したスロットの蓋である。グリップ部90は、ユーザーがデジタルカメラ100を構えた際に右手で握りやすい形状とした保持部である。グリップ部90を右手の小指、薬指、中指で握ってデジタルカメラを保持した状態で、右手の人差指で操作可能な位置にシャッターボタン61、メイン電子ダイヤル71が配置されている。また、同じ状態で、右手の親指で操作可能な位置に、サブ電子ダイヤル73が配置されている。
【0011】
図2は、本実施形態によるデジタルカメラ100の構成例を示すブロック図である。図2において、レンズユニット150は、交換可能な撮影レンズを搭載するレンズユニットである。レンズ103は通常、複数枚のレンズから構成されるが、ここでは簡略して一枚のレンズのみで示している。通信端子6はレンズユニット150がデジタルカメラ100と通信を行う為の通信端子である。レンズユニット150は、この通信端子6と前述の通信端子10を介してシステム制御部50と通信し、内部のレンズシステム制御回路4によって絞り駆動回路2を介して絞り1の制御を行う。その後、AF駆動回路3を介して、レンズ103を変位させることで焦点を合わせる。
【0012】
シャッター101は、システム制御部50の制御で撮像部22の露光時間を自由に制御できるフォーカルプレーンシャッターである。
【0013】
撮像部22は光学像を電気信号に変換するCCDやCMOS素子等で構成される撮像素子である。A/D変換器23は、撮像部22から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するために用いられる。
【0014】
画像処理部24は、A/D変換器23からのデータ、または、後述するメモリ制御部15からのデータに対し所定の画素補間、縮小といったリサイズ処理や色変換処理を行う。また、画像処理部24では、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行う。画像処理部24により得られた演算結果に基づいてシステム制御部50が露光制御、測距制御を行う。これにより、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(自動焦点調節)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理が行われる。画像処理部24では更に、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理を行う。
【0015】
メモリ制御部15は、A/D変換器23、画像処理部24、メモリ32間のデータ送受を制御する。A/D変換器23からの出力データは、画像処理部24およびメモリ制御部15を介して、あるいは、メモリ制御部15を介してメモリ32に直接書き込まれる。メモリ32は、撮像部22によって得られA/D変換器23によりデジタルデータに変換された画像データや、表示部28、EVF29(ファインダー内の表示部)に表示するための画像データを格納する。メモリ32は、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像および音声を格納するのに十分な記憶容量を備えている。
【0016】
また、メモリ32は画像表示用のメモリ(ビデオメモリ)を兼ねている。メモリ32に書き込まれた表示用の画像データはメモリ制御部15を介して表示部28、EVF29により表示される。表示部28、EVF29は、LCDや有機EL等の表示器上に、メモリ制御部15からの信号に応じた表示を行う。A/D変換器23によってA/D変換されメモリ32に蓄積されたデータを、表示部28またはEVF29に逐次転送して表示することで、ライブビュー表示(LV表示)を行える。以下、ライブビューで表示される画像をライブビュー画像(LV画像)と称する。
【0017】
ファインダー外表示部43には、ファインダー外表示部駆動回路44を介して、シャッター速度や絞りをはじめとするカメラの様々な設定値が表示される。
【0018】
不揮発性メモリ56は、電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばFlash-ROM等が用いられる。不揮発性メモリ56には、システム制御部50の動作用の定数、プログラム等が記憶される。ここでいう、プログラムとは、本実施形態にて後述する各種フローチャートを実行するためのコンピュータープログラムのことである。
【0019】
システム制御部50は、少なくとも1つのプロセッサーまたは回路からなる制御部であり、デジタルカメラ100全体を制御する。前述した不揮発性メモリ56に記録されたプログラムを実行することで、後述する本実施形態の各処理を実現する。システムメモリ52には、例えばRAMが用いられ、システム制御部50の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ56から読み出したプログラム等が展開される。また、システム制御部50はメモリ32、表示部28等を制御することにより表示制御も行う。
【0020】
システムタイマー53は各種制御に用いる時間や、内蔵された時計の時間を計測する計時部である。
【0021】
モード切替スイッチ60、第1シャッタースイッチ62、第2シャッタースイッチ64、操作部70はシステム制御部50に各種の動作指示を入力するための操作手段である。モード切替スイッチ60は、システム制御部50の動作モードを静止画撮影モード、動画撮影モード等のいずれかに切り替える。静止画撮影モードに含まれるモードとして、オート撮影モード、オートシーン判別モード、マニュアルモード、絞り優先モード(Avモード)、シャッター速度優先モード(Tvモード)、プログラムAEモード(Pモード)、がある。また、撮影シーン別の撮影設定となる各種シーンモード、カスタムモード等がある。モード切替スイッチ60により、ユーザーは、これらのモードのいずれかに直接切り替えることができる。あるいは、モード切替スイッチ60で撮影モードの一覧画面に一旦切り換えた後に、表示された複数のモードのいずれかを選択し、他の操作部材を用いて切り替えるようにしてもよい。同様に、動画撮影モードにも複数のモードが含まれていてもよい。
【0022】
第1シャッタースイッチ62は、デジタルカメラ100に設けられたシャッターボタン61の操作途中、いわゆる半押し(撮影準備指示)でONとなり第1シャッタースイッチ信号SW1を発生する。第1シャッタースイッチ信号SW1により、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の撮影準備動作を開始する。
【0023】
第2シャッタースイッチ64は、シャッターボタン61の操作完了、いわゆる全押し(撮影指示)でONとなり、第2シャッタースイッチ信号SW2を発生する。システム制御部50は、第2シャッタースイッチ信号SW2により、撮像部22からの信号読み出しから撮像された画像を画像ファイルとして記録媒体200に書き込むまでの一連の撮影処理の動作を開始する。
【0024】
操作部70は、ユーザーからの操作を受け付ける入力部としての各種操作部材である。操作部70には、少なくとも以下の操作部が含まれる。シャッターボタン61、マルチコントローラー65、タッチパネル70a、メイン電子ダイヤル71、電源スイッチ72を含む。また、サブ電子ダイヤル73、十字キー74、SETボタン75、動画ボタン76、AEロックボタン77、拡大ボタン78、再生ボタン79、メニューボタン81を含む。
【0025】
電源制御部80は、電池検出回路、DC-DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成され、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行う。また、電源制御部80は、その検出結果及びシステム制御部50の指示に基づいてDC-DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体200を含む各部へ供給する。電源部30は、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプター等からなる。
【0026】
記録媒体I/F18は、メモリカードやハードディスク等の記録媒体200とのインターフェースである。記録媒体200は、撮影された画像を記録するためのメモリカード等の記録媒体であり、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される。
【0027】
通信部54は、無線または有線ケーブルによって接続し、映像信号や音声信号の送受信を行う。通信部54は無線LAN(Local Area Network)やインターネットとも接続可能である。また、通信部54は、Bluetooth(登録商標)やBluetooth Low Energyでも外部機器と通信可能である。通信部54は撮像部22で撮像した画像(ライブビュー画像を含む)や、記録媒体200に記録された画像を送信可能であり、また、外部機器から画像やその他の各種情報を受信することができる。
【0028】
姿勢検知部55は重力方向に対するデジタルカメラ100の姿勢を検知する。姿勢検知部55で検知された姿勢に基づいて、撮像部22で撮影された画像が、デジタルカメラ100を横に構えて撮影された画像であるか、縦に構えて撮影された画像であるかを判別可能である。システム制御部50は、姿勢検知部55で検知された姿勢に応じた向き情報を撮像部22で撮像された画像の画像ファイルに付加したり、画像を回転して記録したりすることが可能である。姿勢検知部55としては、加速度センサーやジャイロセンサーなどを用いることができる。姿勢検知部55である、加速度センサーやジャイロセンサーを用いて、デジタルカメラ100の動き(パン、チルト、持ち上げ、静止しているか否か等)を検知することも可能である。
【0029】
接眼検知部57はファインダーの接眼部16に対する目(物体)161の接近(接眼)および離脱(離眼)を検知する(接近検知)、接眼検知センサーである。システム制御部50は、接眼検知部57で検知された状態に応じて、表示部28とEVF29の表示(表示状態)/非表示(非表示状態)を切り替える。より具体的には、少なくともデジタルカメラ100が撮影待機状態、かつ、撮像部22で撮像されたライブビュー画像の表示先の切替設定が自動切替設定である場合において、非接眼中は表示先を表示部28として表示をオンとし、EVF29は非表示とする。また、接眼中は表示先をEVF29として表示をオンとし、表示部28は非表示とする。接眼検知部57は、例えば赤外線近接センサーを用いることができ、EVF29を内蔵するファインダーの接眼部16への何らかの物体の接近を検知することができる。物体が接近した場合は、接眼検知部57の投光部(不図示せず)から投光した赤外線が反射して赤外線近接センサーの受光部(不図示せず)に受光される。受光された赤外線の量によって、物体が接眼部16からどの距離まで近づいているか(接眼距離)も判別することができる。このように、接眼検知部57は、接眼部16への物体の近接距離を検知する接眼検知を行う。なお、本実施形態では接眼検知部57の投光部および受光部は前述の赤外発光ダイオード166および視線検知センサー164とは別体のデバイスであるものとする。ただし、接眼検知部57の投光部を赤外発光ダイオード166で兼ねてもよい。また、受光部を視線検知センサー164で兼ねてもよい。非接眼状態(非接近状態)から、接眼部16に対して所定距離以内に近づく物体が検出された場合に、接眼されたと検出するものとする。接眼状態(接近状態)から、接近を検知していた物体が所定距離以上離れた場合に、離眼されたと検出するものとする。接眼を検出する閾値と、離眼を検出する閾値は例えばヒステリシスを設けるなどして異なっていてもよい。また、接眼を検出した後は、離眼を検出するまでは接眼状態であるものとする。離眼を検出した後は、接眼を検出するまでは非接眼状態であるものとする。なお、赤外線近接センサーは一例であって、接眼検知部57には、接眼とみなせる目や物体の接近を検知できるものであれば他のセンサーを採用してもよい。
【0030】
タッチパネル70aと表示部28とは一体的に構成することができる。例えば、タッチパネル70aは光の透過率が表示部28の表示を妨げないように構成され、表示部28の表示面の上層に取り付けられる。そして、タッチパネル70aにおける入力座標と、表示部28の表示画面上の表示座標とを対応付ける。これにより、あたかもユーザーが表示部28上に表示された画面を直接的に操作可能であるかのようなGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を提供できる。システム制御部50はタッチパネル70aへの以下の操作、あるいは状態を検出できる。
【0031】
・タッチパネル70aにタッチしていなかった指やペンが新たにタッチパネル70aにタッチしたこと。すなわち、タッチの開始(以下、タッチダウン(Touch-Down)と称する)。
【0032】
・タッチパネル70aを指やペンでタッチしている状態であること(以下、タッチオン(Touch-On)と称する)。
【0033】
・タッチパネル70aを指やペンでタッチしたまま移動していること(以下、タッチムーブ(Touch-Move)と称する)。
【0034】
・タッチパネル70aへタッチしていた指やペンを離したこと。すなわち、タッチの終了(以下、タッチアップ(Touch-Up)と称する)。
【0035】
・タッチパネル70aに何もタッチしていない状態(以下、タッチオフ(Touch-Off)と称する)。
【0036】
タッチダウンが検出されると、同時にタッチオンであることも検出される。タッチダウンの後、タッチアップが検出されない限りは、通常はタッチオンが検出され続ける。タッチムーブが検出されるのもタッチオンが検出されている状態である。タッチオンが検出されていても、タッチ位置が移動していなければタッチムーブは検出されない。タッチしていた全ての指やペンがタッチアップしたことが検出された後は、タッチオフとなる。
【0037】
これらの操作・状態や、タッチパネル70a上に指やペンがタッチしている位置座標は内部バスを通じてシステム制御部50に通知される。システム制御部50は通知された情報に基づいてタッチパネル70a上にどのような操作(タッチ操作)が行なわれたかを判定する。タッチムーブについてはタッチパネル70a上で移動する指やペンの移動方向についても、位置座標の変化に基づいて、タッチパネル70a上の垂直成分・水平成分毎に判定できる。所定距離以上をタッチムーブしたことが検出された場合はスライド操作が行なわれたと判定するものとする。タッチパネル上に指をタッチしたままある程度の距離だけ素早く動かして、そのまま離すといった操作をフリックと呼ぶ。フリックは、言い換えればタッチパネル70a上を指ではじくように素早くなぞる操作である。所定距離以上を、所定速度以上でタッチムーブしたことが検出され、そのままタッチアップが検出されるとフリックが行なわれたと判定できる(スライド操作に続いてフリックがあったものと判定できる)。更に、複数箇所(例えば2点)を同時にタッチして、互いのタッチ位置を近づけるタッチ操作をピンチイン、互いのタッチ位置を遠ざけるタッチ操作をピンチアウトと称する。ピンチアウトとピンチインを総称してピンチ操作(あるいは単にピンチ)と称する。タッチパネル70aは、抵抗膜方式や静電容量方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、画像認識方式、光センサー方式等、様々な方式のタッチパネルのうちいずれの方式のものを用いても良い。方式によって、タッチパネルに対する接触があったことでタッチがあったと検出する方式や、タッチパネルに対する指やペンの接近があったことでタッチがあったと検出する方式があるが、いずれの方式でもよい。
【0038】
接眼状態でタッチムーブ操作が行われると、ユーザーはタッチムーブ操作に応じた位置指標の位置の指定方法を、絶対位置指定と相対位置指定のいずれかに設定することができる。例えば位置指標がAF枠とすると、絶対位置指定の場合、タッチパネル70aがタッチされると、タッチされた位置(座標入力された位置)に対応付けられたAF位置が設定される。つまり、タッチ操作が行われた位置座標と、表示部28の位置座標とが対応づけられる。一方相対位置指定の場合は、タッチ操作が行われた位置座標と表示部28の位置座標とは対応付けられない。相対位置指定では、タッチパネル70aに対するタッチダウン位置に関わらず、現在設定されているAF位置からタッチムーブの移動方向にタッチムーブの移動量に応じた距離だけ、タッチ位置を移動させる。
【0039】
本実施形態では、デジタルカメラ100におけるタッチ操作によるAFポインターの制御処理について説明する。
【0040】
図3は、本実施形態における、ファインダーを覗きながら(接眼部16に接眼した状態で)ファインダー外のタッチパネルへタッチ操作を行う際の、AFポインターの移動可能範囲を表示する制御処理のフローチャートである。本実施形態でのAFポインターとは、AF実行位置を決定する(AF枠を表示する)ための仮の位置を示すものである。具体的には、AFポインターは図5(a)のAFポインター500のように円に見えるように四カ所の指標によって表し、AF枠(焦点検出領域を示す枠)は横長の長方形の四隅を二重かぎ括弧で表すような表示にする(不図示)。AFポインターが表示されている間はAFは実行されず、AF枠の表示になってからAFが実行される。この制御処理は、デジタルカメラ100において、不揮発性メモリ56に記録されたプログラムをシステムメモリ52に展開してシステム制御部50が実行することで実現する。図3のフローチャートは、デジタルカメラ100を撮影モードで起動(電源をオン)し、撮影待機状態において、ユーザーがファインダーを覗いている場合、つまり接眼部16へ接眼状態であるときに開始される。本実施形態は、ユーザーがファインダーを覗きながらタッチパネル70aを操作する際に、タッチ操作でAFポインターを移動することができる移動可能範囲をユーザーが視認しやすくするものである。
【0041】
S300では、システム制御部50は、不揮発性メモリ56を参照し、タッチ&ドラッグAFに関する設定が入であるか否かを判定する。入であった場合は、S301へ進み、切であった場合は、S325へ進む。タッチ&ドラッグAFとは、ユーザーがファインダーを覗いている状態でタッチパネル70aへタッチ操作を行った際に、AFポインターを移動する機能のことである。タッチ&ドラッグAFの設定について、ユーザーは任意に設定可能である。タッチ&ドラッグAFの設定を入にすると、ユーザーは接眼部16に接眼しEVF29を見ながらタッチパネル70aをタッチ操作することで、AFポインターを任意の位置に移動させることができる。タッチ&ドラッグAFの設定を切にすると、ユーザーがEVF29を見ながらタッチパネル70aへタッチ操作を行ってもタッチ操作に応じたAF枠位置の移動は行われない。
【0042】
S301では、システム制御部50は、不揮発性メモリ56を参照し、タッチ有効領域の設定を取得する。タッチ有効領域とは、ユーザーがタッチパネル70aへのタッチ操作を行った際に、タッチ操作が有効な領域を指す。タッチ有効領域は、図4に示すような設定メニュー画面において任意に設定することができる。設定項目401に示すタッチ有効領域に関する設定メニュー画面において、候補402や候補403のような、領域設定が可能な候補が表示される。アイコン401aは、候補403を設定した際の、タッチパネル70aでのタッチ操作が可能な範囲を図示しているものである。候補403に限らず、他の候補についても同様にそれぞれのアイコンを表示する。アイコン403aのような表示を行うことで、ユーザーは表示されている候補を設定すると、タッチパネル70aのどの辺りの範囲を操作できるかを視認することができる。図4では、タッチ有効領域の設定を示す設定項目401が候補403である、タッチパネル70aの右上に設定されていることを示している。候補403が示すタッチパネル70aの右上がタッチ有効領域であると、ユーザーは右手でグリップ部90を把持し、シャッターボタン61へ右手の人差し指をかけながら、つまりシャッターチャンスを伺いながら、AFポインターの位置を移動することができる。そのため、ユーザーはシャッターチャンスを逃す可能性を低減できる。なおかつ、鼻がタッチパネル70aの右上領域以外の領域にタッチしても誤操作が起こらない。なお、設定項目401の候補は、図4に示すように、タッチパネル70aを縦方向に区切った場合の右側もしくは左側、横方向に区切った場合の上側もしくは下側のみに限らない。すなわち、設定項目401の候補として、タッチパネル70aを四区画に分割し、候補403の右上のほかに、右下、左上、左下の候補があってもよい。例えば、手の大きなユーザーにとっては、タッチパネル70aの右上のみではタッチ操作可能な領域が小さすぎて、スムーズに指を移動させることができない場合がある。このような場合は、タッチ有効領域が右下や右のほうが指の移動がしやすく、AFポインターをスムーズに移動させやすい。また、左利きのユーザーにとっては、グリップ部90を右手で把持しシャッターボタン61に右手の人差し指をかけた状態で、左手の指でタッチパネル70a上の左半分の領域を操作したほうが、操作しやすいことが想定できる。
【0043】
S302では、システム制御部50は、タッチパネル70aへのタッチダウンがあったか否かを判定する。タッチダウンがあった場合は、S303へ進み、そうでない場合は、S325進む。
【0044】
S303では、システム制御部50は、タッチ有効領域内であるか否かを判定する。S302でのタッチダウンがタッチ有効領域内であれば、S304へ進み、そうでない場合は、S325へ進む。本ステップでは、S301において取得したタッチ有効領域の設定内容と、S302において取得したタッチダウン位置とから判定する。
【0045】
S304では、システム制御部50は、不揮発性メモリ56を参照し、タッチ&ドラッグAFの設定内容について判定する。タッチ&ドラッグAFの設定内容が、相対位置指定である場合は、S305へ進み、絶対位置指定である場合は、S307へ進む。
【0046】
S305では、システム制御部50は、S302におけるタッチダウンに応じて、システムメモリ52を参照し、タッチダウン位置ではなく、前回にAF枠が表示、もしくは、AFが実行された位置にAFポインターを表示する。
【0047】
S306では、システム制御部50は、タッチ&ドラッグAFによってAFポインターを移動可能な範囲を示すインジケーターを表示する。S304の判定結果から、本ステップで表示するインジケーターの表示位置や大きさは、ユーザーによるタッチパネル70aへのタッチダウン位置やタッチダウンに応じて表示した現在のAF枠の表示位置、タッチ有効領域の設定によって変化する。インジケーターの表示位置や大きさの算出方法については、図5(a)、(b),図6(a)~(c)を用いて後述する。
【0048】
S307では、システム制御部50は、S302におけるタッチダウンに応じて、タッチダウン位置に対応する位置にAFポインターを表示する。
【0049】
S308では、システム制御部50は、EVF29の表示領域全体、あるいはその一部であるAF枠の設定可能範囲を示すインジケーターを表示する。S304においてタッチ&ドラッグAFの設定が絶対位置指定であると判定されたことから、本ステップで表示するインジケーターの表示位置や大きさは、ユーザーによるタッチダウン位置やAF枠の表示位置、タッチ有効領域の設定によって変化しない。つまり、予め決められた(可変でない)範囲をインジケーターとして表示する。このときのインジケーターの表示位置や大きさについては、図5(c)を用いて後述する。なお、本実施形態では、S302でのタッチパネル70aへのタッチダウンがあったことに応じてインジケーターを表示(S306、S308)するようにしたが、表示のタイミングはこれに限らない。タッチパネル70aへのタッチムーブ操作(S309)があったことに応じて、インジケーターを表示するようにしてもよい。
【0050】
S309では、システム制御部50は、タッチパネル70aに対するタッチムーブがあったか否かを判定する。タッチムーブがあった場合は、S310へ進み、そうでない場合は、S320へ進む。
【0051】
S310では、S304と同様に、システム制御部50は、タッチ&ドラッグAFの設定内容を判定する。設定内容が、相対位置指定である場合は、S311へ進み、絶対位置指定である場合は、S312へ進む。
【0052】
S311では、システム制御部50は、S309におけるタッチムーブ操作量に応じた量、AFポインターを相対位置移動する。すなわち、タッチ位置の位置座標によらず、タッチムーブ操作量に応じた量だけ、AFポインターを移動する。タッチムーブ操作量に応じた量とは、タッチムーブ操作量に任意の係数、例えばα(α:正の実数)を掛けた量である。この係数αは、ユーザーが任意に設定することができる。S311での挙動については、図5(b)を用いて後述する。
【0053】
S312では、システム制御部50は、タッチパネル70aへのタッチムーブによるタッチ位置座標の移動量分、AFポインターを絶対位置移動する。すなわち、タッチムーブにおいて移動した位置座標に対応した座標分、AFポインターを移動する。S312では、S311と異なり、タッチムーブにより移動した位置座標に対応した分移動する。具体的には、S306で表示したインジケーターを算出した際に求めた、タッチ有効領域とEVF29の縮尺の違いから、対応する位置座標を求め、AFポインターを移動させる。S312での挙動については、図5(c)を用いて後述する。
【0054】
S313では、システム制御部50は、S301で取得したタッチ有効領域の外へのタッチムーブがあったか否かを判定する。タッチ有効領域外へのタッチムーブがあった場合は、S314へ進み、そうでない場合は、S320へ進む。
【0055】
S314では、システム制御部50は、AFポインターを、移動可能な領域の境界で停止する。具体的には、図5(a)において指520が点R0~点R3を頂点とする領域内から点R0と点R1を結ぶ辺を通ってタッチ有効領域外へ出た場合には、領域外へ出た時点、もしくは、領域外へ出る直前の位置でAFポインターが停止する。すなわち、図5(a)のEVF29において、AFポインター500の一辺が点S0と点S1を結ぶ辺に接するように、移動可能範囲内でAFポインターが停止する。ユーザーは引き続きタッチ有効領域外でのタッチムーブを行ったとしても、AFポインターが動かないため、ユーザーは自身のタッチムーブ操作がタッチ有効領域内から外へ行ってしまったことを認識できる。
【0056】
S315では、システム制御部50は、S314においてAFポインターが移動可能範囲の境界で停止してから、すなわち、ユーザーのタッチ位置がタッチ有効領域外へ移動してから所定時間経過したか否かを判定する。所定時間経過した場合は、S316へ進み、そうでない場合は、S317へ進む。
【0057】
S316では、システム制御部50は、EVF29でのAFポインターの表示位置でAFを実行する。S314、S315においてAFポインターが停止、すなわちユーザーのタッチ位置がタッチ有効領域外へ出たことから、タッチ操作によるAFポインターの移動が終了したと考え、AFポインターの表示位置でAFを実行する。表示形態を変化させることで、ユーザーはAFポインターの選択が終了(解除)されてしまったことが視認できる。さらにAFポインターを移動させたい場合に、タッチアップを行い、再度タッチ有効領域内へのタッチダウンを行う必要があるか否かを判断することもできる。なお、AFを実行する際に、AFの設定が1点に固定される1点AFの場合は、AF枠(不図示)が表示された位置でAFを実行し、AFを固定する。AFの設定が追尾AFである場合は、AF枠が表示された位置で追尾対象を決定し、追尾を開始する。
【0058】
S317では、システム制御部50は、タッチ有効領域内へのタッチムーブがあったか否かを判定する。タッチ有効領域内へのタッチムーブがあった場合は、S310へ戻り、なかった場合は、S315へ戻る。S314において移動可能範囲の境界でAFポインターを停止することで、ユーザーはタッチパネル70aでのタッチムーブ操作が、タッチ有効領域外へ出たことを認識することができる。これにより、ユーザーはタッチムーブ操作により、タッチ有効領域内へ戻ってくることが考えられる。
【0059】
S318では、システム制御部50は、タッチパネル70aからタッチアップがあったか否かを判定する。タッチアップがあった場合は、S319へ進み、そうでない場合は、S318へ戻る。
【0060】
S319では、システム制御部50は、S306において表示したインジケーターを非表示にする。タッチアップに応じてインジケーターを非表示にすることで、EVF29に表示されているLV画像、例えば図5(a)のLV521を観察する際にユーザーが煩わしく感じることが低減できる。また、タッチ操作を行っていないにもかかわらずタッチ操作の移動可能範囲が表示されることによる、ユーザーの混乱を低減することができる。
【0061】
S320では、S315と同様に、システム制御部50は、タッチパネル70aからのタッチアップがあったか否かを判定する。タッチアップがあった場合は、S321へ進み、なかった場合は、S309へ戻る。
【0062】
S321では、S316と同様に、システム制御部50は、S306において表示したインジケーターを非表示にする。
【0063】
S322では、S315と同様に、システム制御部50は、所定時間の経過があったか否かを判定する。所定時間の経過があった場合は、S323へ進み、そうでない場合はS324へ進む。S322での所定時間は、S315と同じ時間でもよいし、異なる時間でもよい。
【0064】
S323では、システム制御部50は、EVF29に表示されているAFポインターの表示位置でAFを実行する。
【0065】
S324では、S302と同様に、システム制御部50は、タッチパネル70aへのタッチダウンがあったか否かを判定する。タッチダウンがあった場合は,S303へ戻り、なかった場合は、S322へ戻る。
【0066】
S325では、システム制御部50は、シャッターボタン61が半押し、すなわち第1シャッタースイッチ62がオンになったか否かを判定する。第1シャッタースイッチ62がオンになった場合は、S326へ進み、そうでない場合はS332へ進む。
【0067】
S326では、システム制御部50は、フォーカスモードがAFモードに設定されているか否かを判定する。AFモードに設定されている場合は、S327へ進み、そうでない場合はS328へ進む。
【0068】
S327では、システム制御部50は、S316もしくはS323においてAFが実行された位置(AFポインターの表示位置)に基づいてAF処理を行う。AFの設定が1点に固定される1点AFの場合は、AF枠(不図示)が表示された位置でAFを実行する。
【0069】
S328では、システム制御部50は、AEやAWB等のその他の撮影準備処理を行う。
【0070】
S329では、システム制御部50は、撮影指示があったか否かを判定する。撮影指示があった場合は、S330へ進み、そうでない場合はS332へ進む。撮影指示とは、第2シャッタースイッチ64がオン(すなわちシャッターボタン61への全押し)、もしくは、表示部28に表示された撮影ボタンへのタッチ操作などを指す。
【0071】
S330では、システム制御部50は、撮像された画像を画像ファイルとして記録媒体200に記録するまでの一連の撮影処理を行う。なお、図3の制御フローチャートの途中(すなわち、S330以外のステップ)であっても、撮影待機状態で撮影指示があった場合は撮影処理を実行、撮影待機状態以外でシャッターボタン61への操作があった場合は撮影待機状態へ遷移をする。
【0072】
S331では、システム制御部50は、シャッターボタン61の半押し、すなわち第1シャッタースイッチ62のオンが継続しているか否かを判定する。第1シャッタースイッチ62がオンである場合は、S329へ戻り、そうでない場合はS332へ進む。
【0073】
S332では、システム制御部50は、処理が終了したか否かを判定する。処理が終了した場合は、図3の制御フローチャートを終了し、そうでない場合は、S302へ戻る。処理の終了とは、例えば、撮影モードから再生モード(画像を再生する再生画面)への遷移やデジタルカメラ100の電源をオフすることを指す。
【0074】
図5は、本実施形態における、ファインダーを覗きながらタッチ操作を行う際の、タッチ操作可能範囲を表示する表示例である。図5は、図4に示すようにタッチ有効領域の設定が右上に設定されている場合の表示例である。図5(a)、(b)に、タッチパネル70aへのタッチ操作に応じた位置指標の位置の指定方法が相対位置指定、図5(c)にタッチパネル70aへのタッチ操作に応じた位置指標の位置の指定方法が絶対位置指定の場合の表示例を示す。
【0075】
図5(a)~(c)のタッチパネル70aにおいて、タッチ有効領域ではない領域(タッチ操作による指示を行えない部分)を斜線で示す。EVF29にはLV521が表示され、被写体522と被写体523が表示されている。
【0076】
図5(a)は、図3のS302において、ユーザーがタッチパネル70aへタッチダウンを行った(図3のS302においてYes)場合の、EVF29に表示されるAFポインターとインジケーターについての表示例である。図5(a)のタッチパネル70aに示す点R0~点R3は、図3において上述したタッチ有効領域の4頂点を示す点である。本実施形態では、タッチ有効領域が右上(図4の候補403)に設定されており、4頂点の座標をそれぞれ、
点R0:(Xr0、Yr0)
点R1:(Xr0、Yr1)
点R2:(Xr1、Yr1)
点R3:(Xr1、Yr0)
とする。また、図5(a)のタッチパネル70aに対して指520で行われたタッチダウン(図3のS302もしくはS324におけるタッチダウン)位置を点P0とし、
点P0:(Xp0、Yp0)
と表す。このとき、点P0はタッチ有効領域内(点R0~点R3を頂点とする領域内)に存在するため、Xr0≦Xp0≦Xr1、Yr0≦Yp0≦Yr1となる。
【0077】
図5(a)のEVF29において、AFポインターの移動可能な範囲を示すインジケーター510を表示する。インジケーター510を構成する領域の4頂点を点S0~点S3とし、ユーザーのタッチダウンに応じて表示される、AFポインター(図3のS305)の位置を点F0とし、
点F0:(Xf0、Yf0)
と表す。AFポインター500は、点F0を中心とする円のように表示される。なお、本実施形態ではAFポインターは円を閉区間として表示するのではなく、四カ所のみを表示して円を示すような表示にしているが、表示形態はこれに限らない。上述したように、図5(a)はタッチ操作に応じた位置の指定方法が相対位置指定であるため、ユーザーのタッチダウン位置を示す点P0と、タッチダウンに応じてEVF29にAFポインターを表示するための点F0には、関連性がない。つまり、EVF29に表示されるAFポインターは、タッチダウン位置の位置座標によらない。なお、相対位置指定の場合にユーザーのタッチダウンに応じて表示されるAFポインターは、システムメモリ52に保存されている前回のAFポインター位置もしくはAF実行位置に表示される。
【0078】
図5(a)のタッチパネル70aにおいて、点P0からユーザーがタッチムーブ操作を行う(図3のS310においてYesと判定された)場合を考える。このときのタッチパネル70aでのタッチムーブ操作量を(ΔXr、ΔYr)とし、そのタッチムーブ操作量で移動したAFポインターの移動量を(ΔXf、ΔYf)としたときの、両者の移動量の関係を
ΔXf=kx×ΔXr
ΔYf=ky×ΔY
【0079】
(kx、kyは正の実数)
と表すことができる。kx、kyはユーザーが設定メニュー画面において設定できるようにしてもよいし、予め決められた値でもよい。kx、kyの値が1よりも小さければ、タッチムーブ操作量に対して表示されるAFポインターの移動量は小さくなる。例えば、タッチパネル70aの端から端までタッチムーブ操作を行ったとしても、AFポインターは表示される範囲の端から端まで移動しない。一方で、kx、kyの値が1よりも大きければ、小さなタッチムーブ操作で、大きくAFポインターが移動する。例えば、タッチパネル70aの端から中央付近までのタッチムーブ量で、EVF29に表示されるAFポインターを、インジケーターの端から端まで移動させることができる。
【0080】
タッチパネル70aにおいて点P0から点R0へタッチムーブ操作を行うと、EVF29上では点F0から点S0へとAFポインターが動く。同様に点P0から点R1,点R2、点R3へタッチムーブ操作を行うと考えると、点F0から点S1、点S2、点S3へとAFポインターが動く。すなわち、点S0~点S3は、タッチムーブ量とAFポインター移動量の関係の計算式から、以下のように求められる点である。
点S0:(Xf-kx×(Xp0-Xr0)、Yf-ky×(Yp-Yr0))
点S1:(Xf-kx×(Xp0-Xr0)、Yf-ky×(Yp-Yr1))
点S2:(Xf-kx×(Xp0-Xr1)、Yf-ky×(Yp-Yr1))
点S3:(Xf-kx×(Xp0-Xr1)、Yf-ky×(Yp-Yr0))
この位置座標に基づいて、インジケーター510を表示する。
【0081】
点S0~点S3を頂点とするインジケーター510は、ユーザーがタッチパネル70aにおいてどの程度タッチムーブ操作を行えるかを視覚的に表しているものである。すなわち、タッチパネル70aへタッチしてから離すまでの1回のタッチ操作におけるタッチムーブ操作で、AFポインターを移動可能な範囲も示している。例えば、図5(a)に示すように、タッチパネル70aにおいて点P0にタッチダウンを行うと、EVF29では点F0の位置にAFポインターが表示され、同様にインジケーター510が表示される。インジケーター510を表示することにより、ユーザーは指520を、タッチパネル70aにおいて点R2の方向に大きくタッチムーブでき、点R0の方向には大きくタッチムーブできないことを視認できる。また、タッチパネル70aでの点P0にタッチダウンを行うとEVF29において点F0にAFポインターが表示される。点F0は、インジケーター510の点S0と点S1を結んだ辺に近く、現在のタッチダウンから開始するタッチムーブ操作では、LV521の被写体522までAFポインターを移動させられないことがわかる。このように、ユーザーがタッチダウンを行った時点で、現在タッチダウンしている位置から、所望の位置へAFポインターを動かすには、再度別の位置でタッチダウンを行ったほうが良いのか否か、を判断することができる。
【0082】
さらに上記で求めたように、タッチパネル70aへのタッチダウンが行われた際のいくつかの条件よって、インジケーター510の頂点である点S0~点S3の位置座標が変化し、位置座標の変化によりインジケーター510の表示位置が変化する。具体的には、タッチパネル70aへのタッチダウン位置座標、設定されているタッチ有効領域の各頂点の位置座標、タッチダウンに応じてEVF29に表示されるAFポインターの位置座標(すなわち、タッチ前のAF枠の位置)、の3つである。これらの位置座標のうち少なくとも1つが変化すると、表示位置が変化する。本実施形態では、点S0~点S3を頂点とする矩形で表示したが、ユーザーがインジケーターを識別可能であれば、表示方法はこれに限らない。例えば、直線で矩形を表示するのではなく矩形内部を半透過の色で塗りつぶしてもよいし、4頂点に鍵括弧上の図形のみを表示して範囲がわかるようにしてもよい。
【0083】
なお、上述した計算式で求めた結果、点S0、点S3のX座標やY座標が0未満になる場合は、0未満になった座標を0に補正する。すなわち、ユーザーがタッチパネル70aでのタッチダウン位置とAFポインターの表示位置との関係によって、インジケーター510の形が必ずしもタッチパネル70aのタッチ有効領域に基づいたような形にならない場合がある。インジケーターの補正を行うことで、ユーザーは現在タッチダウンしている位置から、どの程度タッチムーブを行うことができるのか。AFポインターの表示位置とインジケーターの境界とが近ければ、タッチムーブできる範囲が小さいことを認識でき、大きなタッチムーブ操作を行いたければ、再度タッチダウンをし直すことができる。AFポインターの表示位置とインジケーターの境界とが遠ければ、大きなタッチムーブ操作を行うことができることを認識できる。
【0084】
図5(b)は、図3のS311において、ユーザーがタッチパネル70aへのタッチムーブ操作を行った場合のEVF29に表示されるAFポインターの移動についての表示例を示している。
【0085】
図5(b)のタッチパネル70aにおいて、ユーザーが点P0から点P1へとタッチムーブ操作を行った場合である。点P1は
点P1(Xp1、Yp1)
とする。このとき、タッチムーブ操作による移動量は
ΔXp=Xp1-Xp0
ΔYp=Yp1-Yp0
と表せる。点P0から点P1へのタッチムーブ操作が行われた場合に、EVF29上ではAFポインターが点F0から点F1へと移動する。これを上述した、インジケーター510を算出した計算式に適用すると、
点F1:(Xf+kx×(Xp-Xp),Yf+ky×(Yp-Yp))
と表すことができる。求めた点F1の位置座標へAFポインターを移動させる。上述したように、図5(a)、(b)においてはタッチ操作による位置指定方法が相対位置指定であるため、図5(b)のタッチパネル70a上でのタッチムーブ操作量505と、EVF29上でのAFポインター移動量506は一致しない。一方で、図3のS302で行われたタッチダウンによって表示されたAFポインター500と、上述した計算式から算出した図3のS306で表示するインジケーター510との位置関係は変化しない。これは、タッチムーブしている間の、AFポインターとインジケーターの相対的な位置関係は、タッチアップされない限り変化しないためである。
【0086】
なお、ユーザーが図5(b)のタッチパネル70a上での点P1でタッチムーブを終えてタッチアップを行うと、タッチアップに応じてインジケーター510を非表示にする(図3のS321)。AFポインター501は図5(b)のEVF29に示す点F1で所定時間表示を継続し、所定時間経過後に表示形態を変化させてAFを実行する(図3のS323)。ユーザーが再度タッチパネル70aに対してタッチダウンを行うとAFポインターを表示し、タッチムーブにより移動可能な範囲を示すインジケーターを表示し、ユーザーへ移動操作が行える範囲を報知する。これにより、ユーザーはタッチパネル70aにおけるタッチ有効領域外へタッチムーブしてしまうことを低減でき、ユーザーの意図しない位置でのAF実行が行われる可能性を低減することができる。また、ユーザーがタッチパネル70aへタッチダウンする度にAFポインターの移動可能範囲を表示するため、ユーザーはタッチパネル70aのタッチ有効領域の範囲のうち、どのあたりをタッチしているかを大まかに把握することができるようになる。これにより、ユーザーの意図に反したAFの実行がされる可能性を低減できる。
【0087】
図5(c)では、タッチパネル70aでのタッチ有効領域が右上に設定され、タッチ操作による位置の指定方法の設定が絶対位置指定である場合の、タッチパネル70aとEVF29の表示例である。図5(c)に示すタッチパネル70aでのタッチダウン位置座標、タッチムーブ位置座標は、図5(b)のタッチパネル70aでの位置座標と同じである。ユーザーによって、図5(c)のタッチパネル70a上の点P0から点P1へのタッチムーブ操作が行われると、EVF29上ではAFポインターが点F2から点F3へと移動する。このときのタッチによる移動操作の可能範囲は点S4~点S7を頂点にした領域で表される。図5(c)ではタッチ操作による位置指定方法が絶対位置指定であるため、点S4~点S7によって示される領域はEVF29の表示領域全体である。本実施形態では、EVF29の表示領域全体においてAFポインターを移動可能(AF実行可能)としたため、点S4~点S7によって示される領域をEVF29の表示領域全体としたが、これに限らない。すなわち、AFポインターを移動可能(AFポインターで選択可能)な範囲がEVF29の表示領域よりも小さい領域の場合は、点S4~点S7によって示される領域もそれにともなって、EVF29の表示領域よりも小さい領域とする。位置座標の位置の指定方法が絶対位置指定であるため、タッチ位置座標とAFポインターの表示位置座標は対応した位置になる。点R0~点R3を頂点とする領域と点S4~点S7を頂点とする領域の縮尺は異なる。そのため、点R0が点S4,点R1が点S5、点R2が点S6、点R3が点S7となるように縮尺を算出し、タッチ位置に対応したAFポインター位置を算出し、表示する。タッチパネル70a上でタッチ有効領域の各頂点を点R4~点R7とすると、以下のように表すことができる。
点R4:(Xr4、Yr4)
点R5:(Xr4、Yr5)
点R6:(Xr5、Yr5)
点R7:(Xr5、Yr4)
このとき、EVF29のうち、AF枠を設定可能な全範囲(本実施形態ではEVF29の表示領域全体)を幅Xe、高さYeであると考えると、点S4~点S7は
点S4:(0,0)
点S5:(0,Ye)
点S6:(Xe,Ye)
点S7:(Xe,0)
となる。図5(c)ではタッチ操作による位置指定方法が絶対位置指定であるため、点S4~点S7の位置座標は上述したように、予め定められた範囲となる。すなわち、図5(a)、(b)の点S0~点S3および点S0~点S3による領域と異なり、計算式を用いて算出することなく、EVF29の大きさによって一意的に決まる。これらにより、図5(c)のEVF29に示す点F2、点F3は
点F2:((Xp0-Xr4)×Xe/(Xr5-Xr4)、(Yp0-Yr0)×Ye/(Yr5-Yr0))
点F3:((Xp1-Xr4)×Xe/(Xr5-Xr4)、(Yp1-Yr0)×Ye/(Yr5-Yr0))
と表せる。
【0088】
タッチ操作による位置の指定方法の設定が絶対位置指定である場合も、タッチによる移動操作が可能な範囲を示す、インジケーター511を表示する。上述したように、インジケーター511はEVF29の表示領域全体と範囲が一致する。インジケーター511を表示することにより、ユーザーはタッチパネル70aへのタッチ操作が絶対位置指定で行われる旨を視認することができる。これにより、タッチパネル70aを直接見ていなくても、タッチ操作を何度も繰り返すうちに、ユーザーは感覚的に、タッチパネル70aのどの辺りの位置が、EVF29上のどの辺りの位置に対応しているか、を把握できるようになる。これにより、ユーザーはより正確に所望の位置を指定できるようになる可能性が高い。
【0089】
また、係数kx、kyについてはユーザーが設定できるようにしてもよいし、予め設定しておいても良いと説明したが、デジタルカメラ100に接続されたレンズユニット150の情報に基づいて変更するようにしてもよい。例えば接続されたレンズユニット150が望遠レンズであれば、kx、kyの値を小さくするように構成してもよい。接続する望遠レンズによっては、標準レンズや広角レンズと比較して、ユーザーが選択できる測距点の領域が狭くなるものがある。このようなレンズの場合、測距点の領域が狭くなる前の通常の領域の設定のままにしてしまうと、細かな測距点の選択が難しくなる可能性が生じる。そのため、より細かな測距点の選択、すなわち、AFポインターの移動が求められることから、タッチムーブの操作量に対してAFポインターの移動量を小さくしたほうが使い勝手が良い。
【0090】
また、タッチムーブ操作の操作速度に応じて、係数kx、kyの値を可変にするようにしてもよい。すなわち、タッチムーブ操作の速度が速い場合は、ユーザーが大きく素早くAFポインターを移動させたいと考えていると想定し、係数kx、kyの値を大きくし、よりAFポインターの移動量を大きくする。一方で、タッチムーブ操作の速度が遅い場合は、ユーザーは慎重に細かなAFポインターの調整をしたいと考えていると想定し、係数kx、kyの値を小さくする。このような場合の具体例を、図6(a)~(c)を用いて説明する。図6(a)、(c)のEVF29にはLV621が表示されている。
【0091】
図6(a)に、タッチダウン位置を示す点P0を表示する。この点P0は図5(a)の点P0と同じ位置座標である。ユーザーが点P0にタッチダウンすると、図6(b)に示すように、インジケーター612をEVF29に表示する。図6(a)ではタッチダウンが行われたのみであるため、図6(c)のグラフにおいては、タッチムーブ速度は0であるため、係数はkaとなる。係数kaを用いて、上述した算出方法で点Sa~点Sdを求め、インジケーター612を求める。ユーザーがタッチムーブを開始すると、タッチムーブ速度と図6(c)のグラフに基づいて係数を決定し、決定した係数に基づいてインジケーターの大きさを変化させる。
【0092】
タッチムーブ速度が0~Aの(A以下)場合は、図6(c)のグラフから、係数はkaであるため、タッチダウンを行ったのみの場合のインジケーターと同じものとなる(図6(b)のインジケーター612)。
【0093】
タッチムーブ速度がA~Bの間(A以上B以下)である場合は、図6(c)の比例グラフ直線に基づいて係数を変化させ、インジケーターを変化させる。インジケーターの大きさは、速度A~B間(B以上)ではインジケーター612、613の間で可変となる。
【0094】
タッチムーブ速度がB以上の場合は、図6(c)のグラフから、係数はkbとなり、インジケーター613で表される。インジケーター612と同様に、点Se~点Shを求め、インジケーター613を算出する。
【0095】
図6(c)のグラフに基づいて決定した係数により、タッチムーブ速度に応じてAFポインターの移動可能範囲を変化させることで、素早く大きくAFポインターを移動させたい場合や細かなAFポインターの調整を行いたい場合のユーザーのニーズに対応できる。これにより、より操作性を向上させることができる。
【0096】
図6(d)は、タッチパネル70aへのタッチ有効領域が円形であった場合の表示例である。図6(d)はタッチパネル70aへのタッチ操作例、図6(e)はEVF29へのインジケーターの表示例を示す。S301で取得されるタッチ有効領域が中心が点C(Xc,Yc)、半径rの円であり、領域601で示される。S302でのタッチダウンによるタッチ座標を
点P5:(Xp5,Yp5)
とし、タッチダウンにより求められる位置を
点F5:(Xf5,Yf5)
とする。点F5に基づいて、AFポインターである指標600をEVF29に表示する。図5(a)~(f)において上述した計算式を用いて、AFポインターの移動可能範囲を示すインジケーター605を求めてEVF29に表示し、タッチムーブに応じてAFポインターの移動を求める。インジケーター605は、中心が
点C’(Xf5+kx×(Xc-Xp5),Yf5+ky×(Yc-Yp5))
長軸がX軸に平行で長半径がkx×r、短軸がY軸に平行で短半径がky×r
となる楕円形となる(kx>ky>0の場合)。このようにすることで、タッチ有効領域が矩形以外の閉図形であってもインジケーターを生成することができる。図6(c)、(d)では、タッチパネル70a、EVF29共に横長の形状であること、また、デジタルカメラ100を把持した状態での人間の指の動かしやすさを考慮すると、インジケーター605をX軸方向に長い楕円形としたほうが操作性が良いと考えた。しかし、楕円形に限らず、円形でもよい。
【0097】
また、一方向のみ検出するデバイスを用いたとき、例えばライン状のタッチ操作部材(ラインタッチセンサ)であっても適用することが可能である。ラインタッチセンサでは、図5を用いて上述した、タッチダウン位置と表示インジケーターの求め方を、Y軸方向の位置座標を0にすれば、適用可能である。
【0098】
また、本実施形態ではタッチパネル70aへのタッチ操作によりAFに関する処理を行う例を説明したが、他の処理、例えばAEやWBに関する処理をタッチパネル70aへのタッチ操作によって制御できるようにしても構わない。
【0099】
なお、ユーザーがファインダーを覗かずに(接眼検知部57による接眼部16への接眼が検知されない状態で)タッチパネル70aを操作した場合は、AFポインターを移動可能な範囲を示すインジケーターをEVF29に表示しない。ファインダーを覗いていないことから、ユーザーはタッチパネル70aを直接視認することができるため、インジケーターを表示する必要がないからである。
【0100】
図3図5(a)~(c),図6(a)~(c)を用いて説明したように、ユーザーによるタッチパネル70aへのタッチ操作に応じて、ユーザーが設定したタッチパネル70aのタッチ有効領域に対応した、AFポインターの移動可能範囲をEVF29に表示する。これにより、ユーザーはEVF29を覗きながらタッチパネル70aを操作した場合に、タッチパネル70aを視認しなくともタッチ有効領域に対応した、AFポインターの移動可能範囲をEVF29で視認することができる。そのため、タッチダウンした時点でタッチダウンした位置からどの程度、タッチムーブを行うことができるかを認識できる。また、ユーザーがタッチダウン、タッチムーブを行うたびにAFポインターの移動可能範囲を表示するため、何度も移動可能範囲を視認することで、ユーザーは自身で設定したタッチ有効領域の大きさを大まかに把握することができる可能性が高くなる。これにより、ファインダーを覗きながらタッチパネルを操作するユーザーが、タッチ操作によりAFポインターの移動可能範囲の把握がしやすくなり、操作性が向上する。
【0101】
なお、システム制御部50が行うものとして説明した上述の各種制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェア(例えば、複数のプロセッサーや回路)が処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0102】
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0103】
なお、上述した実施形態においては、本発明をデジタルカメラに適用した場合を例にして説明したが、これはこの例に限定されず移動操作により表示制御が可能な電子機器であれば適用可能である。すなわち、パーソナルコンピュータやPDA、携帯電話端末や携帯型の画像ビューワ、ディスプレイを備えるプリンタ装置、デジタルフォトフレーム、音楽プレーヤー、ゲーム機、電子ブックリーダーなどに適用可能である。
【0104】
(他の実施形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6