(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E05F 7/04 20060101AFI20231113BHJP
E06B 3/46 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
E05F7/04
E06B3/46
(21)【出願番号】P 2020093844
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】樹下 誠
(72)【発明者】
【氏名】原 和彦
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-017390(JP,A)
【文献】実開昭58-128290(JP,U)
【文献】特開2015-048600(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0151156(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B3/04-3/46
3/50-3/52
E05F7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉方向にスライドする障子を備えた建具であって、
前記障子が全閉位置に配置された状態で、開閉方向における前記障子の端部と対向する対向部と、
前記障子の端部と前記対向部に設けられて、前記対向部に対する前記障子の端部の室内外方向の変位を規制する一対の規制部と
、
前記障子の端部と前記対向部に設けられて、前記障子の端部と前記対向部の間で室内外方向において互いに対向して配置される煙返しと、を備え、
前記一対の規制部は、前記対向部に対して前記障子の端部が室内外方向に変位したときに互いに当接する当接部と、前記当接部のそれぞれに設けられて互いに係合する外れ止め部と、を有
し、
前記一対の規制部の前記当接部は、前記障子が閉方向にスライドして全閉位置に配置されたときに、室内外方向に互いに対向する対向位置に配置され、
前記一対の規制部は、前記障子の全閉位置に向かうスライドに伴い互いに接触したときに、前記当接部をそれぞれの前記対向位置に誘導するとともに、前記障子の端部と前記対向部に設けられた前記煙返しを互いに接触してスライドするように誘導する誘導部を有し、
前記障子の端部と前記対向部に設けられた前記煙返し同士が接触することで、前記一対の規制部の前記当接部同士が室内外方向に離隔する建具。
【請求項2】
請求項
1に記載された建具において、
前記一対の規制部の前記外れ止め部は、前記当接部のそれぞれに突出して設けられて、互いに引っ掛かる状態で係合する突起部であり、
前記一対の規制部の前記当接部は、それぞれ当接する前記当接部の前記外れ止め部が入った状態で、前記外れ止め部同士を係合させる係合孔を有する建具。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載された建具において、
前記一対の規制部は、前記当接部のそれぞれに、互いに係合する複数の前記外れ止め部を有する建具。
【請求項4】
請求項1ないし
3のいずれかに記載された建具において、
前記障子の端部の前記規制部は、前記障子の端部に取り付けられる取付部と、前記取付部と前記当接部を連結して、前記当接部を前記取付部から離隔した位置に配置する連結部と、を有し、前記取付部が、前記当接部と前記障子の端部の間に位置する箇所に空所を有する形状に形成され、
前記対向部の前記規制部は、前記対向部に取り付けられる取付部と、前記取付部と前記当接部を連結して、前記当接部を前記取付部から離隔した位置に配置する連結部と、を有し、前記取付部が、前記当接部と前記対向部の間に位置する箇所に空所を有する形状に形成された建具。
【請求項5】
請求項1ないし
4のいずれかに記載された建具において、
引き違い状にスライドする一対の前記障子を備え、
前記障子の端部と前記対向部は、前記一対の障子の召合せ框である建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉方向にスライドする障子を備えた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
建具である引き違い窓では、一対の障子が開閉方向にスライドして、一対の障子により、枠体の開口部が開閉される。また、施錠装置(例えば、クレセント)が一対の障子の召合せ框に設けられて、障子を閉めた状態で、施錠装置により障子が室内側において施錠される。障子を施錠したときには、一対の障子の召合せ框の室内外方向の離隔を防ぐことで、障子の室外側の箇所から施錠装置が保護されて、防犯性が確保される。これに対し、従来、障子移動規制部と開き防止金具により、一対の障子を互いに拘束する建具が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された従来の建具では、障子移動規制部と開き防止金具が一対の障子の召合せ框に設けられている。障子の召合せ框が室内外方向に変位したときには、一対の障子の障子移動規制部が互いに当接し、一対の障子の開き防止金具が互いに当接する。しかしながら、障子の召合せ框に加えられる室内外方向の力の大きさによっては、障子移動規制部同士、及び、開き防止金具同士が外れることが懸念される。そのため、室内外方向における障子の拘束力の更なる向上が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、開閉方向にスライドする建具の障子を閉めた状態で、室内外方向における障子の拘束力を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、開閉方向にスライドする障子を備えた建具であって、
前記障子が全閉位置に配置された状態で、開閉方向における前記障子の端部と対向する対向部と、
前記障子の端部と前記対向部に設けられて、前記対向部に対する前記障子の端部の室内外方向の変位を規制する一対の規制部と、
前記障子の端部と前記対向部に設けられて、前記障子の端部と前記対向部の間で室内外方向において互いに対向して配置される煙返しと、を備え、
前記一対の規制部は、前記対向部に対して前記障子の端部が室内外方向に変位したときに互いに当接する当接部と、前記当接部のそれぞれに設けられて互いに係合する外れ止め部と、を有し、
前記一対の規制部の前記当接部は、前記障子が閉方向にスライドして全閉位置に配置されたときに、室内外方向に互いに対向する対向位置に配置され、
前記一対の規制部は、前記障子の全閉位置に向かうスライドに伴い互いに接触したときに、前記当接部をそれぞれの前記対向位置に誘導するとともに、前記障子の端部と前記対向部に設けられた前記煙返しを互いに接触してスライドするように誘導する誘導部を有し、
前記障子の端部と前記対向部に設けられた前記煙返し同士が接触することで、前記一対の規制部の前記当接部同士が室内外方向に離隔する建具である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、開閉方向にスライドする建具の障子を閉めた状態で、室内外方向における障子の拘束力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】第1実施形態の建具を
図1のX2-X2線で切断した横断面図である。
【
図7】第1実施形態の一対の規制部の当接部同士が当接したときの建具を示す横断面図である。
【
図8】第1実施形態の一対の規制部の当接部同士が当接したときの建具を示す横断面図である。
【
図9】第1実施形態の建具の障子が閉じるときの例を示す横断面図である。
【
図10】第1実施形態の建具の障子が閉じたときの例を示す横断面図である。
【
図11】第2実施形態の建具に設けられた規制部を示す図である。
【
図12】第3実施形態の建具に設けられた規制部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の建具の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の建具は、開閉方向にスライドして開閉するスライド式の障子を備えた建具であり、建物の開口部に取り付けられて、建物の室内(屋内)と室外(屋外)の間に設置される。以下、建具の複数の実施形態について順に説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の建具1の正面図であり、室内側からみた建具1の概略構成を示している。
図2は、第1実施形態の建具1の縦断面図である。
図3は、第1実施形態の建具1の横断面図であり、
図1のX1-X1線で切断した建具1の断面を示している。
図示のように、建具1は、引き違い窓であり、引き違い障子である開閉可能な一対の障子2、3(第1障子2、第2障子3)を備えている。また、建具1は、障子2、3に取り付けられた施錠装置4と、障子2、3を囲む枠体5と、障子2、3の室外側でスライドする網戸6と、障子2、3の室内外方向Sの変位を規制する規制機構7(
図1では、規制機構7の位置を鎖線で示す)を備えている。障子2、3により、枠体5の開口部5Aが開閉される。
【0011】
なお、建物に設けた建具1を正面からみたときに(
図1参照)、上下となる方向が上下方向であり、左右となる方向が左右方向である。
図1では、上下方向は鉛直方向であり、左右方向は水平方向である。室内外方向S(
図2、
図3参照)は、建物に設けた建具1における室内外方向(屋内外方向)である。このように、建具1に関する方向は、建物に設けた状態での方向で特定する。また、建具1に関して室内側、室外側とは、建物に設けた状態での室内側、室外側である。室内外方向Sは、建具1の奥行方向、及び、障子2、3の厚み方向である。
【0012】
枠体5は、方形状の開口枠(窓枠)であり、建物の開口部に設置される。また、枠体5は、互いに組み合わされた4つの枠10~13(上枠10、下枠11、一対の縦枠12、13)を有し、4つの枠10~13により、方形状の開口部5Aを形成する。枠10~13は、枠体5を構成する枠材であり、例えば、押出成形により形成された形材からなる。上枠10と下枠11は、枠体5の上下の横枠であり、枠体5の上部と下部で左右方向(横方向)に沿って延びる。一対の縦枠12、13は、枠体5の左右の側部で上下方向(縦方向)に沿って延びる。上枠10、下枠11、及び、左右の縦枠12、13が枠組みされて、枠10~13の端部同士が接続されている。
【0013】
上枠10と下枠11(
図2参照)は、それぞれ枠体5の開口部5Aの内側に向かって突出する複数のレール10A、10B、11A、11B(第1レール10A、11A、第2レール10B、11B)を有している。上枠10と下枠11のそれぞれで、レール10A、10B、11A、11Bは、互いに並列に形成されて、枠10、11の長手方向(左右方向)に沿って延びる。第1レール10A、11Aは、室外側に位置する室外側レールであり、第2レール10B、11Bは、室内側に位置する室内側レールである。
【0014】
一対の障子2、3は、スライドにより移動するパネル状の可動障子(パネル体)であり、枠体5の開口部5Aで引き違い状にスライドする。また、障子2、3は、枠体5の開口部5Aにスライド可能(移動可能)に配置されて、開口部5A内で水平方向にスライドして移動する。障子2、3のそれぞれのスライドにより、枠体5の開口部5Aが開閉される。一対の障子2、3が閉じた状態で、施錠装置4により、一対の障子2、3が施錠される。施錠装置4による施錠が解除された状態で、障子2、3は、それぞれ開閉方向(開方向K1、K2、閉方向H1、H2)に引き違いにスライドして開閉する。
【0015】
障子2、3の開閉方向は、障子2、3を開閉するときの障子2、3のスライド方向(ここでは、左右方向)である。障子2、3の開方向K1、K2は、障子2、3を開くときに障子2、3がスライドする方向であり、障子2、3の閉方向H1、H2は、障子2、3を閉じるときに障子2、3がスライドする方向である。従って、開方向K1、K2と閉方向H1、H2は、それぞれ障子2、3のスライド方向(開閉方向)の一方側と他方側である。また、第1障子2の開方向K1と第2障子3の開方向K2は、互いに反対方向であり、第1障子2の閉方向H1と第2障子3の閉方向H2は、互いに反対方向である。
【0016】
第1障子2は、室内外方向Sの一方側に位置する一方側障子であり、第2障子3は、室内外方向Sの他方側に位置する他方側障子である。ここでは、室内外方向Sの一方側は、室外側であり、室内外方向Sの他方側は、室内側である。従って、第1障子2は、室外側障子であり、第2障子3は、室内側障子である。第1障子2は、第1レール10A、11Aにスライド可能に連結されて、第1レール10A、11Aに沿ってスライドする。第2障子3は、第2レール10B、11Bにスライド可能に連結されて、第2レール10B、11Bに沿ってスライドする。
【0017】
第1障子2は、第2障子3の室外側で、開方向K1と閉方向H1とにスライドして開閉するとともに、閉方向H1へのスライドにより全閉位置F1に配置される。第2障子3は、第1障子2の室内側で、開方向K2と閉方向H2とにスライドして開閉するとともに、閉方向H2へのスライドにより全閉位置F2に配置される。
【0018】
障子2、3の全閉位置F1、F2は、障子2、3を完全に閉じたときに障子2、3のそれぞれが配置される位置である。障子2、3は、それぞれ開状態から閉方向H1、H2にスライドして、全閉位置F1、F2に配置される。一対の障子2、3がそれぞれの全閉位置F1、F2に配置されたときに、枠体5の開口部5Aが一対の障子2、3により閉鎖される。また、障子2、3は、それぞれ全閉位置F1、F2から開方向K1、K2にスライドして、開状態になり、全開位置に配置される。
【0019】
障子2、3のそれぞれは、方形状の框体20、30と、框体20、30内に配置されたパネル21、31を有している。第1障子2の框体20は、方形状に枠組みされた4つの框22~25(上框22、下框23、戸先框24、召合せ框25)を有し、第2障子3の框体30は、方形状に枠組みされた4つの框32~35(上框32、下框33、戸先框34、召合せ框35)を有している。框22~25、32~35は、框体20、30を構成する框材であり、例えば、押出成形により形成された形材からなる。パネル21、31は、例えば、複数のガラス板を有する複層ガラスであり、それぞれ框体20、30に嵌め込まれている。
【0020】
上框22、32と下框23、33は、框体20、30のそれぞれの上下の横框であり、框体20、30の上部と下部で左右方向(横方向)に沿って延びる。戸先框24、34と召合せ框25、35は、框体20、30のそれぞれの左右の縦框であり、框体20、30の左右の側部で上下方向(縦方向)に沿って延びる。框22~25と框32~35がそれぞれ枠組みされて、框22~25と框32~35のそれぞれの端部同士が接続されている。
【0021】
戸先框24、34と召合せ框25、35は、開閉方向における障子2、3の端部(縁部)である。また、戸先框24、34は、障子2、3の戸先部であり、障子2、3の閉方向H1、H2側の端部に位置している。召合せ框25、35は、障子2、3の召合せ部であり、障子2、3の開方向K1、K2側の端部に位置している。一対の障子2、3を全閉位置F1、F2に配置したときに、一対の障子2、3の召合せ框25、35は、互いの間に隙間をあけて、室内外方向Sにおいて重なり合う。
【0022】
施錠装置4は、クレセントであり、第2障子3に設けられたクレセント錠4Aと、第1障子2に設けられてクレセント錠4Aと係合するクレセント受け4Bを有している。クレセント錠4Aは、第2障子3の召合せ框35に取り付けられた施錠部品であり、クレセント受け4Bは、第1障子2の召合せ框25に取り付けられた錠受けである。
【0023】
一対の障子2、3(
図3参照)は、召合せ框25、35に設けられた煙返し26、36を有している。障子2、3が全閉位置F1、F2に配置された状態で、煙返し26、36は、一対の障子2、3の召合せ框25、35の間に配置される。また、煙返し26、36は、ヒレ状の突片(煙返し片)であり、室内外方向Sにおいて互いに対向して配置される。第1障子2では、召合せ框25の煙返し26は、第1障子2の閉方向H1に突出して、第2障子3の召合せ框35と煙返し36の間に配置される。第2障子3では、召合せ框35の煙返し36は、第2障子3の閉方向H2に突出して、第1障子2の召合せ框25と煙返し26の間に配置される。
【0024】
規制機構7(
図1参照)は、一対の障子2、3の召合せ框25、35に設けられて、室内外方向Sに互いに離隔するように召合せ框25、35が変位するのを規制する。また、規制機構7は、召合せ框25、35の長手方向(上下方向)の1箇所又は複数箇所に設けられる。ここでは、規制機構7は、施錠装置4の上側と下側に設けられており、召合せ框25、35の長手方向の2箇所(施錠装置4と上端部の間の箇所、施錠装置4と下端部の間の箇所)に設けられている。規制機構7を設ける箇所では、煙返し26、36を切り欠いて、召合せ框25、35から煙返し26、36を除去し、規制機構7の配置空間を召合せ框25、35の間に形成する。召合せ框25、35の間で、規制機構7は、上下の煙返し26、36の間に配置される。
【0025】
図4は、第1実施形態の建具1を
図1のX2-X2線で切断した横断面図であり、一対の障子2、3の召合せ框25、35における規制機構7が設けられた箇所を示している。
図示のように、規制機構7は、障子2、3の召合せ框25、35に設けられた一対の規制部8、9(第1規制部8、第2規制部9)を有している。規制部8、9は、金属製の規制部材であり、それぞれ取付具であるビス8A、9Aにより、召合せ框25、35に取り付けられている。障子2、3が全閉位置F1、F2に配置された状態で、規制機構7の一対の規制部8、9は、一対の障子2、3の召合せ框25、35の間に配置されて、室内外方向Sにおいて互いに対向する。
【0026】
一対の障子2、3の召合せ框25、35は、障子2、3が全閉位置F1、F2に配置された状態で、室内外方向Sにおいて互いに対向する壁部27、37(対向壁部)を有している。第1障子2では、壁部27は、召合せ框25の室内側に位置する室内側壁部であり、室内側に向けて配置されて、壁部37の室外側に位置する。第2障子3では、壁部37は、召合せ框35の室外側に位置する室外側壁部であり、室外側に向けて配置されて、壁部27の室内側に位置する。第1規制部8は、第1障子2の召合せ框25の壁部27に取り付けられて、壁部27の室内側に配置される。第2規制部9は、第2障子3の召合せ框35の壁部37に取り付けられて、壁部37の室外側に配置される。
【0027】
障子2、3の召合せ框25、35は、障子2、3の開閉方向の一方側(開方向K1、K2側)に位置する端部(一方側端部)である。また、一対の障子2、3の召合せ框25、35のうち、一方の障子2、3の召合せ框25、35は、他方の障子2、3の召合せ框25、35と対向する対向部である。このように、建具1は、1つの障子の開閉方向における端部と、障子が全閉位置に配置された状態で、開閉方向における障子の端部と対向する対向部と、障子の端部と対向部に設けられた一対の規制部を備えている。
【0028】
開閉方向における障子の端部と対向部は、一対の障子2、3のそれぞれの召合せ框25、35である。ここでは、第1障子2の召合せ框25(壁部27)が開閉方向における第1障子2の端部であり、第2障子3の召合せ框35(壁部37)が対向部である。障子2、3が全閉位置F1、F2に配置された状態で、召合せ框25、35は、室内外方向S(障子2、3の厚み方向)において互いに対向して配置される。第2障子3の召合せ框35は、第1障子2の召合せ框25を拘束する箇所に位置する拘束部であり、規制機構7の一対の規制部8、9を介して、第1障子2の召合せ框25を室内外方向Sにおいて拘束する。一対の規制部8、9は、障子2、3が全閉位置F1、F2に配置された状態で、第2障子3の召合せ框35(対向部)に対する第1障子2の召合せ框25(端部)の室内外方向Sの変位(ここでは、室外側の変位)を規制する。
【0029】
図5は、第1実施形態の規制部8、9を示す斜視図であり、規制部8、9を2つの方向からみて示している。
図6は、第1実施形態の規制部8、9を示す図であり、
図6Aは、
図5の矢印X3方向からみた規制部8、9の平面図である。
図6Bは、
図6Aの矢印X4方向からみた規制部8、9の側面図であり、
図6Cは、
図6AのX5-X5線で切断した規制部8、9の断面図である。
図示のように、第1障子2の召合せ框25の第1規制部8と第2障子3の召合せ框35の第2規制部9は、互いに同じ形状に形成された同じ部品である。
【0030】
一対の規制部8、9のそれぞれは、障子2、3の召合せ框25、35に取り付けられる取付部8B、9Bと、互いに当接可能な板状の当接部8C、9Cと、取付部8B、9Bと当接部8C、9Cを連結する連結部8D、9Dと、当接部8C、9Cのそれぞれに設けられた外れ止め部8E、9Eと、当接部8C、9Cを誘導する誘導部8F、9Fを有している。取付部8B、9Bは、凹形状に形成されたベース部であり、2つの取付片8G、9Gと、2つの取付片8G、9Gの間に形成された空所8H、9Hを有している。取付部8B、9Bの取付片8G、9Gが召合せ框25、35の壁部27、37(
図4参照)に当接し、取付片8G、9Gの孔を挿通するビス8A、9Aにより、取付片8G、9Gが召合せ框25、35の壁部27、37に取り付けられている。
【0031】
当接部8C、9Cは、それぞれ障子2、3の開閉方向に沿って突出する突片(当接片)である。連結部8D、9Dは、取付部8B、9Bと当接部8C、9Cに接続して、取付部8B、9Bから室内外方向Sに突出している。取付部8B、9Bと当接部8C、9Cは、それぞれ連結部8D、9Dの室内外方向Sにおける一方側の端部と他方側の端部から障子2、3の開閉方向(ここでは、閉方向H1、H2)に突出して、室内外方向Sに並置される。連結部8D、9Dにより、当接部8C、9Cは、取付部8B、9B及び召合せ框25、35から室内外方向Sに離隔した位置に配置される。
【0032】
外れ止め部8E、9Eは、室内外方向Sに突出する突起部であり、当接部8C、9Cのそれぞれに突出して設けられている。また、外れ止め部8E、9Eは、召合せ框25、35の長手方向に延びるブリッジ状の段部(ブリッジ部)であり、当接部8C、9Cの先端側に形成されている。誘導部8F、9Fは、障子2、3の閉方向H1、H2に対して傾斜する傾斜部であり、当接部8C、9Cの突出方向(閉方向H1、H2)の先端部に設けられている。誘導部8F、9Fは、外れ止め部8E、9Eに連続して形成されて、外れ止め部8E、9Eから当接部8C、9Cの突出方向に突出している。
【0033】
当接部8C、9Cは、外れ止め部8E、9Eに対して当接部8C、9Cの突出方向の反対側(連結部8D、9D側)に形成された係合孔8I、9Iを有している。係合孔8I、9Iは、外れ止め部8E、9Eよりも大きく形成されており、外れ止め部8E、9Eは、係合孔8I、9I内に配置可能になっている。係合孔8I、9Iは、当接部8C、9Cにおいて、外れ止め部8E、9Eと連結部8D、9Dの間に位置しており、外れ止め部8E、9Eと係合孔8I、9Iは、当接部8C、9Cの突出方向において隣り合う。
【0034】
取付部8B、9Bは、当接部8C、9Cと召合せ框25、35の間に位置する箇所に空所8H、9Hを有する形状に形成されている。召合せ框25、35の長手方向における空所8H、9Hの寸法は、召合せ框25、35の長手方向における当接部8C、9Cの寸法よりも大きい。取付部8B、9Bの空所8H、9Hは、障子2、3の閉方向H1、H2に向かって開放されており、当接部8C、9Cが配置可能な大きさに形成されている。
【0035】
障子2、3が全閉位置F1、F2に配置された状態(
図4参照)で、空所8H、9Hは、室内外方向Sにおいて当接部8C、9Cと対向する位置に配置される。また、第1障子2の規制部8の当接部8Cは、第2障子3の規制部9の空所9Hの箇所で当接部9Cと第2障子3の召合せ框35の間に配置される。第2障子3の規制部9の当接部9Cは、第1障子2の規制部8の空所8Hの箇所で当接部8Cと第1障子2の召合せ框25の間に配置される。当接部8C、9Cは、互いの間に隙間をあけて、室内外方向Sに並置される。
【0036】
当接部8C、9Cは、障子2、3の開閉方向において互いに反対方向に突出している。第1規制部8の当接部8Cは、第1障子2の閉方向H1に突出し、第2規制部9の当接部9Cは、第2障子3の閉方向H2に突出している。障子2、3が閉方向H1、H2にスライドして全閉位置F1、F2に配置されたときに、一対の規制部8、9の当接部8C、9Cは、室内外方向Sに互いに対向する対向位置T1、T2に配置される。当接部8C、9Cの対向位置T1、T2は、当接部8C、9C同士が室内外方向Sにおいて当接可能な位置であり、対向位置T1、T2の当接部8C、9Cは、室内外方向Sの一方側からみて互いに重なる位置に配置される。
【0037】
第1規制部8の当接部8Cの対向位置T1は、第2規制部9の当接部9Cの室内側の位置であり、第1規制部8の当接部8Cは、第2規制部9の当接部9Cの室内側に配置される。第2規制部9の当接部9Cの対向位置T2は、第1規制部8の当接部8Cの室外側の位置であり、第2規制部9の当接部9Cは、第1規制部8の当接部8Cの室外側に配置される。第1規制部8の外れ止め部8Eは、相対向する第2規制部9の当接部9Cに向かって室外側に突出し、室内外方向Sにおいて第2規制部9の当接部9Cと対向する。第2規制部9の外れ止め部9Eは、相対向する第1規制部8の当接部8Cに向かって室内側に突出し、室内外方向Sにおいて第1規制部8の当接部8Cと対向する。
【0038】
図7、
図8は、第1実施形態の一対の規制部8、9の当接部8C、9C同士が当接したときの建具1を示す横断面図であり、
図4と同様に、一対の障子2、3を示している。
図7では、一対の規制部8、9を
図6Bと同様の側面図で示しており、
図8では、一対の規制部8、9を
図6Cと同様の断面図で示している。
図示のように、障子2、3が全閉位置F1、F2に配置された状態で、第2障子3の召合せ框35に対して第1障子2の召合せ框25が室内外方向Sに変位したときに、一対の規制部8、9の当接部8C、9Cが互いに当接する。その際、第1障子2の召合せ框25は、室内外方向Sにおける第2障子3の召合せ框35から離隔する方向(ここでは、室外側)の力を受けて、通常位置(正常位置)から室外側に移動又は変形する。これにより、第1障子2の召合せ框25は、第2障子3の召合せ框35に対して室外側に相対的に変位して離隔する。
【0039】
一対の規制部8、9の当接部8C、9Cは、相対向する召合せ框25、35が室内外方向Sに離隔したときに、互いに当接して引っ掛かり、召合せ框25、35同士を拘束する。互いに当接する当接部8C、9Cにより、第1障子2の召合せ框25が第2障子3の召合せ框35に対して室内外方向Sの一方側(ここでは、室外側)に変位するのが停止するとともに、召合せ框25、35同士の室内外方向Sの離隔が停止する。一対の規制部8、9は、当接部8C、9Cにより、第1障子2の召合せ框25が第2障子3の召合せ框35に対して室外側に変位するのを規制するとともに、相対向する召合せ框25、35の室内外方向Sへの離隔を規制する。
【0040】
一対の規制部8、9の外れ止め部8E、9Eは、係合可能な係合部であり、当接部8C、9C同士が当接した状態で、互いに係合して、当接部8C、9C同士が外れるのを防止する。第2障子3の召合せ框35に対して第1障子2の召合せ框25が室外側に変位したときには、まず、一対の規制部8、9の当接部8C、9Cが互いに当接する。その状態で、第1障子2の召合せ框25の変位に伴い、当接部8C、9Cが互いに外れる方向にずれたときに、一対の規制部8、9の外れ止め部8E、9Eが互いに噛み合って係合する。その際、当接部8C、9Cは、それぞれの突出方向に沿ってスライドして、互いに外れる方向に相対的にずれる。
【0041】
一対の規制部8、9の外れ止め部8E、9Eは、障子2、3の開閉方向において互いに当接可能な突起部であり、当接により、互いに引っ掛かる状態で係合する。その際、外れ止め部8E、9Eは、それぞれの当接部8C、9Cが当接する当接部8C、9Cの係合孔8I、9Iに入った状態(
図8参照)で、互いに係合する。第1規制部8の当接部8Cの外れ止め部8Eは、第2規制部9の当接部9Cの係合孔9Iに入り、第2規制部9の外れ止め部9Eに引っ掛かり係合する。第2規制部9の当接部9Cの外れ止め部9Eは、第1規制部8の当接部8Cの係合孔8Iに入り、第1規制部8の外れ止め部8Eに引っ掛かり係合する。外れ止め部8E、9Eの一部又は全体が係合孔8I、9Iに入った状態で、外れ止め部8E、9Eが互いに引っ掛かり係合する。
【0042】
互いに係合する外れ止め部8E、9Eにより、一対の規制部8、9の当接部8C、9Cが互いに拘束されて、相対向する召合せ框25、35が一対の規制部8、9を介して互いに拘束される。また、当接部8C、9C及び召合せ框25、35は、それぞれ障子2、3の開方向K1、K2において拘束される。障子2、3の戸先框24、34を中心に召合せ25、35が回動するように変位するときにも、召合せ框25、35が拘束される。一対の障子2、3は、施錠装置4により施錠された状態に維持される。
【0043】
障子2、3の召合せ框25、35が変位前の位置(通常位置)に復帰するときに(
図4参照)、第1障子2の召合せ框25は、第2障子3の召合せ35に対して接近する方向(ここでは、室内側)に変位して、第2障子3の召合せ35に接近する。これに伴い、外れ止め部8E、9Eが互いに離隔して、外れ止め部8E、9E同士の係合が解除される。また、当接部8C、9Cが室内外方向Sに互いに離隔して、当接部8C、9C同士が外れる。その状態で、障子2、3の開方向K1、K2のスライドにより、障子2、3が開き、障子2、3の閉方向H1、H2のスライドにより、障子2、3が閉じる。
【0044】
図9は、第1実施形態の建具1の障子2、3が閉じるときの例を示す横断面図である。
図示のように、召合せ框25、35の熱変形等により、召合せ框25、35同士の室内外方向Sの間隔が広がることがある。この場合には、障子2、3を閉めるときに、一対の規制部8、9の誘導部8F、9Fは、次第に接近して互いに接触する。誘導部8F、9Fは、障子2、3の全閉位置F1、F2に向かうスライドに伴い互いに接触したときに、それぞれ傾斜方向にスライドして、当接部8C、9Cをそれぞれの対向位置T1、T2に誘導する。一対の規制部8、9の当接部8C、9Cは、誘導部8F、9Fの誘導により、それぞれの対向位置T1、T2に向かって室内外方向Sに相対的に変位して、対向位置T1、T2に配置される。その状態で、一対の障子2、3は、全閉位置F1、F2に配置される。
【0045】
誘導部8F、9Fの誘導により、一対の障子2、3の煙返し26、36(
図3参照)は、互いに接触してスライドし、室内外方向Sにおいて対向する位置に配置される。煙返し26、36同士が接触することで、一対の規制部8、9の当接部8C、9C同士が室内外方向Sに離隔する。障子2、3を開くときには、煙返し26、36同士が接触することで、当接部8C、9Cが室内外方向Sに互いに離隔した状態に維持されて、外れ止め部8E、9E同士が係合せずに、障子2、3が開方向K1、K2にスライドする。
【0046】
図10は、第1実施形態の建具1の障子2、3が閉じたときの例を示す横断面図である。
図示のように、召合せ框25、35の熱変形等により、召合せ框25、35同士の室内外方向Sの間隔が狭まることがある。この場合には、障子2、3を閉めるときに、一対の規制部8、9の当接部8C、9Cは、室内外方向Sに隣接する召合せ框25、36に接近して、対をなす規制部8、9の空所8H、9H内に配置される。当接部8C、9Cは、規制部8、9の取付部8B、9Bに接触せずに、対向位置T1、T2に配置される。
【0047】
以上説明した建具1では、互いに係合する外れ止め部8E、9Eにより、一対の規制部8、9の当接部8C、9C同士が外れるのを防止することができる。そのため、障子2、3を閉めた状態で、室内外方向Sにおける障子2、3の拘束力を向上させることができる。また、障子2、3の拘束力を高くして、建具1の防犯性及び防火性を向上させることができる。一対の障子2、3の召合せ框25、35同士の室内外方向Sにおける拘束力を向上させて、召合せ框25、35同士の室内外方向Sの離隔を抑制することもできる。
【0048】
障子2、3の召合せ框25、35同士の室内外方向Sの間隔が広くなったときには、誘導部8F、9Fの誘導により、一対の規制部8、9の当接部8C、9Cを互いに当接可能な対向位置T1、T2に容易に配置しつつ、障子2、3を閉めることができる。当接部8C、9Cの外れ止め部8E、9Eが係合孔8I、9Iに入ることで、外れ止め部8E、9E同士の掛かり代(外れ止め部8E、9E同士の重なり合う寸法)を大きくして、外れ止め部8E、9Eを強固に係合することができる。これにより、障子2、3の召合せ框25、35の拘束力を高くすることができる。
【0049】
障子2、3が全閉位置F1、F2に配置されるときに、一方の規制部8、9の当接部8C、9Cが他方の規制部8、9の当接部8C、9Cの空所8H、9H側の位置で移動することで、一方の規制部8、9の当接部8C、9Cが他方の規制部8、9の取付部8B、9Bに当たり難くなる。これにより、障子2、3の開閉を円滑に行うことができる。
【0050】
次に、他の実施形態の建具1について、第1実施形態の建具1と相違する事項を説明する。以下の各実施形態の建具1に関し、第1実施形態の建具1の構成に相当する構成には、第1実施形態の建具1の構成と同じ名称を用い、第1実施形態の建具1と同じ事項の説明は省略する。
【0051】
(第2実施形態)
図11は、第2実施形態の建具1に設けられた規制部8、9を示す図である。
図11Aは、規制部8、9の平面図であり、
図11Bは、
図11AのX6-X6線で切断した規制部8、9の断面図である。
図示のように、ここでは、規制部8、9の一部が、第1実施形態の建具1の規制部8、9と相違している。規制部8、9は、誘導部8F、9Fと係合孔8I、9Iを有していない。また、当接部8C、9Cに打ち抜き加工を施すことで、突起部である外れ止め部8E、9Eが当接部8C、9Cに形成される。
【0052】
(第3実施形態)
図12は、第3実施形態の建具1に設けられた規制部8、9を示す図である。
図12Aは、1つの規制部8、9を示し、
図12Bは、当接部8C、9C同士が当接した一対の規制部8、9を示している。
図示のように、ここでは、規制部8、9の一部が、第1実施形態の建具1の規制部8、9と相違している。規制部8、9は、誘導部8F、9F、取付片8G、9G、空所8H、9H、及び、係合孔8I、9Iを有していない。また、一対の規制部8、9は、当接部8C、9Cのそれぞれに、互いに係合する複数の外れ止め部8E、9Eを有している。複数の外れ止め部8E、9Eの係合により、当接部8C、9C同士が外れるのを抑制して、障子2、3の拘束力を向上させることができる。
【0053】
規制部8、9は、例えば、押出成形により形成された形材からなる。当接部8C、9C同士が当接した状態で、複数の外れ止め部8E、9Eの一部又は全部が互いに引っ掛かり係合する。規制部8、9は、召合せ框25、35の長手方向の一部に設けてもよい。これに対し、規制部8、9を召合せ框25、35の長手方向の全体にわたって設けるようにしてもよい。この場合には、煙返し26、36を召合せ框25、35に設けずに、規制部8、9を召合せ框25、35に取り付ける。
【0054】
(第4実施形態)
図13は、第4実施形態の建具1の横断面図であり、
図4と同様に、一対の障子2、3を示している。
図示のように、ここでは、規制部8、9の一部が、第1実施形態の建具1の規制部8、9と相違している。規制部8、9は、取付部8B、9B、空所8H、9H、及び、係合孔8I、9Iを有していない。また、煙返し26、36が召合せ框25、35に設けられずに、規制部8、9が召合せ框25、35に一体に形成されている。規制部8、9は、召合せ框25、35の長手方向の全体にわたって設けられて、召合せ框25、35に沿って延びる。規制部8、9を召合せ框25、35に一体に形成することで、規制部8、9を召合せ框25、35に容易に設けることができる。
【0055】
(第5実施形態)
図14は、第5実施形態の建具1の横断面図であり、規制部8、9の箇所で切断した建具1を示している。
図示のように、建具1は、片引き窓であり、枠体5の開口部5Aは、縦骨(方立)14により、左右に区画されている。縦骨14は、上下方向に沿って配置されて、上枠10と下枠11に取り付けられている。第1障子2は、枠体5に固定された固定障子であり、上枠10、下枠11、縦枠12、及び、縦骨14に固定されたパネル28を有している。第2障子3は、第1障子2の室内側で開閉方向にスライドして開閉する。
【0056】
一対の規制部8、9は、第2障子3の召合せ框35と縦骨14に設けられるとともに、第2障子3の戸先框34と縦枠13の対向部13Aに設けられている。縦枠13の対向部13Aは、縦枠13において戸先框34と対向する部分である。第2障子3の召合せ框35側では、召合せ框35は、開閉方向における第2障子3の一方側(開方向K2側)の端部であり、縦骨14は、召合せ框35と対向する対向部である。第2障子3の戸先框34側では、戸先框34は、開閉方向における第2障子3の他方側(閉方向H2側)の端部であり、縦枠13の対向部13Aは、戸先框34と対向する対向部である。
【0057】
第2障子3が全閉位置F2に配置された状態で、召合せ框35と縦骨14は、室内外方向Sにおいて互いに対向し、戸先框34と縦枠13の対向部13Aは、第2障子3の開閉方向において互いに対向する。一対の規制部8、9は、召合せ框35と縦骨14の間に配置されて、縦骨14に対する召合せ框35の室内外方向Sの変位(ここでは、室内側の変位)を規制する。また、一対の規制部8、9は、戸先框34と縦枠13の対向部13Aの間に配置されて、縦枠13の対向部13Aに対する戸先框34の室内外方向Sの変位(ここでは、室内側の変位)を規制する。
【0058】
なお、以上の各実施形態では、規制部8、9の外れ止め部8E、9Eが突起部である例について説明したが、外れ止め部8E、9Eは、突起部以外の係合可能な部分(例えば、突起部と突起部が入る孔部、突起部と突起部が入る凹部)であってもよい。また、本発明は、引き違い窓に限定されず、開閉方向にスライドする1つ又は複数の障子を備えた種々の建具に適用することができる。障子は、框体を有しない障子であってもよい。開閉方向における障子のいずれか一方側の端部のみに規制部を設けてもよく、開閉方向における障子の両側の端部に規制部を設けてもよい。障子の端部と対向する対向部は、他の障子の一部であってもよく、障子以外の建具の一部(例えば、枠体の一部)であってもよい。
【0059】
以上のとおり、建具は、開閉方向にスライドする障子を備えた建具であって、
前記障子が全閉位置に配置された状態で、開閉方向における前記障子の端部と対向する対向部と、
前記障子の端部と前記対向部に設けられて、前記対向部に対する前記障子の端部の室内外方向の変位を規制する一対の規制部と、を備え、
前記一対の規制部は、前記対向部に対して前記障子の端部が室内外方向に変位したときに互いに当接する当接部と、前記当接部のそれぞれに設けられて互いに係合する外れ止め部と、を有する建具である。
従って、開閉方向にスライドする建具の障子を閉めた状態で、室内外方向における障子の拘束力を向上させることができる。
【0060】
前記一対の規制部の前記当接部は、前記障子が閉方向にスライドして全閉位置に配置されたときに、室内外方向に互いに対向する対向位置に配置され、
前記一対の規制部は、前記障子の全閉位置に向かうスライドに伴い互いに接触したときに、前記当接部をそれぞれの前記対向位置に誘導する誘導部を有する。
誘導部の誘導により、一対の規制部の当接部を互いに当接可能な対向位置に容易に配置しつつ、障子を閉めることができる。
【0061】
前記一対の規制部の前記外れ止め部は、前記当接部のそれぞれに突出して設けられて、互いに引っ掛かる状態で係合する突起部であり、
前記一対の規制部の前記当接部は、それぞれ当接する前記当接部の前記外れ止め部が入った状態で、前記外れ止め部同士を係合させる係合孔を有する。
当接部の外れ止め部が係合孔に入ることで、外れ止め部同士の掛かり代を大きくして、外れ止め部を強固に係合することができる。これにより、障子の拘束力を高くすることができる。
【0062】
前記一対の規制部は、前記当接部のそれぞれに、互いに係合する複数の前記外れ止め部を有する。
複数の外れ止め部の係合により、当接部同士が外れるのを抑制して、障子の拘束力を向上させることができる。
【0063】
前記障子の端部の前記規制部は、前記障子の端部に取り付けられる取付部と、前記取付部と前記当接部を連結して、前記当接部を前記取付部から離隔した位置に配置する連結部と、を有し、前記取付部が、前記当接部と前記障子の端部の間に位置する箇所に空所を有する形状に形成され、
前記対向部の前記規制部は、前記対向部に取り付けられる取付部と、前記取付部と前記当接部を連結して、前記当接部を前記取付部から離隔した位置に配置する連結部と、を有し、前記取付部が、前記当接部と前記対向部の間に位置する箇所に空所を有する形状に形成される。
障子が全閉位置に配置されるときに、一方の規制部の当接部が他方の規制部の当接部の空所側の位置で移動することで、一方の規制部の当接部が他方の規制部の取付部に当たり難くなる。これにより、障子の開閉を円滑に行うことができる。
【0064】
建具は、引き違い状にスライドする一対の前記障子を備え、
前記障子の端部と前記対向部は、前記一対の障子の召合せ框である。
一対の障子の召合せ框同士の室内外方向における拘束力を向上させて、召合せ框同士の室内外方向の離隔を抑制することができる。
【符号の説明】
【0065】
1・・・建具、2・・・第1障子、3・・・第2障子、4・・・施錠装置、4A・・・クレセント錠、4B・・・クレセント受け、5・・・枠体、5A・・・開口部、6・・・網戸、7・・・規制機構、8・・・第1規制部、8A・・・ビス、8B・・・取付部、8C・・・当接部、8D・・・連結部、8E・・・外れ止め部、8F・・・誘導部、8G・・・取付片、8H・・・空所、8I・・・係合孔、9・・・第2規制部、9A・・・ビス、9B・・・取付部、9C・・・当接部、9D・・・連結部、9E・・・外れ止め部、9F・・・誘導部、9G・・・取付片、9H・・・空所、9I・・・係合孔、10・・・上枠、10A・・・第1レール、10B・・・第2レール、11・・・下枠、11A・・・第1レール、11B・・・第2レール、12・・・縦枠、13・・・縦枠、13A・・・対向部、14・・・縦骨、20・・・框体、21・・・パネル、22・・・上框、23・・・下框、24・・・戸先框、25・・・召合せ框、26・・・煙返し、27・・・壁部、28・・・パネル、30・・・框体、31・・・パネル、32・・・上框、33・・・下框、34・・・戸先框、35・・・召合せ框、36・・・煙返し、37・・・壁部、F1・・・全閉位置、F2・・・全閉位置、K1・・・開方向、K2・・・開方向、H1・・・閉方向、H2・・・閉方向、S・・・室内外方向、T1・・・対向位置、T2・・・対向位置。