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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】磁気ヘッド及び磁気記録装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/31 20060101AFI20231113BHJP
   G11B 5/02 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
G11B5/31 A
G11B5/31 E
G11B5/02 R
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020113972
(22)【出願日】2020-07-01
(65)【公開番号】P2022012263
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】高岸 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】成田 直幸
(72)【発明者】
【氏名】前田 知幸
(72)【発明者】
【氏名】永澤 鶴美
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 仁志
(72)【発明者】
【氏名】首藤 浩文
【審査官】中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-147540(JP,A)
【文献】特開2010-040126(JP,A)
【文献】特開2017-147007(JP,A)
【文献】特開2020-030871(JP,A)
【文献】特開2017-059690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/31
G11B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた積層体と、
を備え、
前記積層体は、
第1磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第2磁性層と前記第3磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第3非磁性層と、
を含み、
前記第1磁性層から前記第2磁性層への第1方向に対して垂直で前記第1磁極の媒体対向面に沿う第2方向に沿う、前記第1磁極の第1磁極長さは、前記第2方向に沿う前記第2磁極の第2磁極長さよりも短く、
前記第1方向に対して垂直な第3方向に沿う前記第1磁性層の第1磁性層長さは、前記第3方向に沿う前記第2磁性層の第2磁性層長さよりも長い、磁気ヘッド。
【請求項2】
前記第3方向は、前記第2方向と交差した、請求項1記載の磁気ヘッド。
【請求項3】
前記第1方向は、前記媒体対向面に対して傾斜した、請求項2記載の磁気ヘッド。
【請求項4】
前記第3方向は、前記第2方向に沿う、請求項1記載の磁気ヘッド。
【請求項5】
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた積層体と、
を備え、
前記積層体は、
第1磁性層と、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第2磁性層と、
前記第1磁極と前記第2磁性層との間に設けられた第3磁性層と、
前記第2磁性層と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第3磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3非磁性層と、
を含み、
前記第2磁性層から前記第1磁性層への第1方向に対して垂直で前記第1磁極の媒体対向面に沿う第2方向に沿う、前記第1磁極の第1磁極長さは、前記第2方向に沿う前記第2磁極の第2磁極長さよりも短く、
前記第1方向に対して垂直な第3方向に沿う前記第2磁性層の第2磁性層長さは、前記第3方向に沿う前記第1磁性層の第1磁性層長さよりも長い、磁気ヘッド。
【請求項6】
前記第3方向は、前記第2方向と交差した、請求項5記載の磁気ヘッド。
【請求項7】
前記第1方向は、前記媒体対向面に対して傾斜した、請求項6記載の磁気ヘッド。
【請求項8】
前記第3方向は、前記第2方向に沿う、請求項5記載の磁気ヘッド。
【請求項9】
前記第1非磁性層は、Ru、Ir、Ta及びWよりなる群から選択された少なくとも1つの第1元素を含み、
前記第1方向に沿う前記第1非磁性層の厚さは、0.2nm以上3nm以下である、請求項1~8のいずれか1つに記載の磁気ヘッド。
【請求項10】
前記第3磁性層の前記第1方向に沿う第3磁性層厚さは、前記第1方向に沿う前記第1磁性層の第1磁性層厚さの0.7倍以下であり、前記第1方向に沿う前記第2磁性層の第2磁性層厚さの0.7倍以下である、請求項1~9のいずれか1つに記載の磁気ヘッド。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1つに記載の磁気ヘッドと、
電気回路と、
を備え、
前記電気回路は、前記積層体に電流を供給可能であり、
前記電流は、前記第1磁性層から前記第2磁性層への向きを有する、磁気記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気ヘッド及び磁気記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ヘッドを用いて、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記録媒体に情報が記録される。磁気ヘッド及び磁気記録装置において、記録密度の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-277586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、記録密度の向上が可能な磁気ヘッド及び磁気記録装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、磁気ヘッドは、第1磁極と、第2磁極と、前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた積層体と、を含む。前記積層体は、第1磁性層と、前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3磁性層と、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、前記第2磁性層と前記第3磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第3非磁性層と、を含む。前記第1磁性層から前記第2磁性層への第1方向に対して垂直で前記第1磁極の媒体対向面に沿う第2方向に沿う、前記第1磁極の第1磁極長さは、前記第2方向に沿う前記第2磁極の第2磁極長さよりも短い。前記第1方向に対して垂直な第3方向に沿う前記第1磁性層の第1磁性層長さは、前記第3方向に沿う前記第2磁性層の第2磁性層長さよりも長い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1(a)及び図1(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図2図2は、第1実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
図3図3は、参考例の磁気ヘッドにおける特性を例示するグラフ図である。
図4図4(a)及び図4(b)は、磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図5図5(a)及び図5(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図6図6は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図7図7は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図8図8は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的平面図である。
図9図9は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的平面図である。
図10図10(a)及び図10(b)は、第2実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図11図11(a)及び図11(b)は、第2実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図12図12は、第2実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図13図13は、第2実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図14図14は、第2実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的平面図である。
図15図15は、第2実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的平面図である。
図16図16は、参考例の磁気ヘッドを例示する模式的平面図である。
図17図17は、磁気ヘッドの特性を例示するグラフ図である。
図18図18は、磁気ヘッドの特性を例示するグラフ図である。
図19図19は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
図20図20は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図21図21は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
図22図22(a)及び図22(b)は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)及び図1(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図1(a)は、断面図である。図1(b)は、図1(a)の矢印AR1から見た平面図である。
図2は、第1実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
図2に示すように、実施形態に係る磁気記録装置210は、磁気ヘッド110と、電気回路20Dと、を含む。磁気記録装置210は、磁気記録媒体80を含んでも良い。磁気記録装置210において、少なくとも記録動作が行われる。記録動作において、磁気ヘッド110を用いて磁気記録媒体80に情報が記録される。
【0009】
磁気ヘッド110は、記録部60を含む。後述するように、磁気ヘッド110は、再生部を含んでも良い。記録部60は、第1磁極31と、第2磁極32と、積層体20と、を含む積層体20は、第1磁極31と第2磁極32との間に設けられる。
【0010】
例えば、第1磁極31及び第2磁極32は、磁気回路を形成する。第1磁極31は、例えば、主磁極である。第2磁極32は、例えば、トレーリングシールドである。
【0011】
磁気記録媒体80から磁気ヘッド110への方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。Z軸方向は、例えばハイト方向に対応する。X軸方向は、例えば、ダウントラック方向に対応する。Y軸方向は、例えば、クロストラック方向に対応する。ダウントラック方向に沿って、磁気記録媒体80と磁気ヘッド110とが相対的に移動する。磁気記録媒体80の所望の位置に、磁気ヘッド110から生じる磁界(記録磁界)が印加される。磁気記録媒体80の所望の位置の磁化が、記録磁界に応じた方向に制御される。これにより、磁気記録媒体80に情報が記録される。
【0012】
第1磁極31から第2磁極32への方向を第1方向D1とする。第1方向D1は、実質的にX軸方向に沿う。実施形態において、第1方向D1は、X軸方向に対して、小さい角度で傾斜しても良い。
【0013】
図2に示すように、コイル30cが設けられる。この例では、コイル30cの一部は、第1磁極31と第2磁極32との間にある。この例では、シールド33が設けられている。X軸方向において、シールド33と第2磁極32との間に第1磁極31がある。コイル30cの別の一部が、シールド33と第1磁極31との間にある。これらの複数の要素の間に、絶縁部30iが設けられる。シールド33は、例えば、リーディングシールドである。磁気ヘッド110は、サイドシールド(図示しない)を含んでも良い。
【0014】
図2に示すように、記録回路30Dから、コイル30cに記録電流Iwが供給される。第1磁極31から、記録電流Iwに応じた記録磁界が磁気記録媒体80に印加される。
【0015】
図2に示すように、第1磁極31は、媒体対向面30Fを含む。媒体対向面30Fは、例えば、ABS(Air Bearing Surface)である。媒体対向面30Fは、例えば、磁気記録媒体80に対向する。媒体対向面30Fは、例えば、X-Y平面に沿う。
【0016】
図2に示すように、電気回路20Dが、積層体20に電気的に接続される。この例では、積層体20は、第1磁極31及び第2磁極32と電気的に接続される。磁気ヘッド110に、第1端子T1及び第2端子T2が設けられる。第1端子T1は、第1配線W1及び第1磁極31を介して積層体20と電気的に接続される。第2端子T2は、第2配線W2及び第2磁極32を介して積層体20と電気的に接続される。電気回路20Dから、例えば、電流(例えば、直流電流)が積層体20に供給される。
【0017】
図1(a)及び図1(b)に示すように、積層体20は、第1磁性層21、第2磁性層22、第3磁性層23、第1非磁性層41、第2非磁性層42、第3非磁性層43及び第4非磁性層44を含む。図1(a)及び図1(b)においては、絶縁部30iは省略されている。
【0018】
第2磁性層22は、第1磁性層21と第2磁極32との間に設けられる。第3磁性層23は、第2磁性層22と第2磁極32との間に設けられる。第1非磁性層41は、第1磁性層21と第2磁性層22との間に設けられる。第2非磁性層42は、第2磁性層22と第3磁性層23との間に設けられる。第3非磁性層43は、第1磁極31と第1磁性層21との間に設けられる。第4非磁性層44は、第3磁性層23と第2磁極32との間に設けられる。
【0019】
第1非磁性層41は、例えば、第1磁性層21と第2磁性層22と接して良い。第2非磁性層42は、例えば、第2磁性層22と第3磁性層23と接して良い。第3非磁性層43は、例えば、第1磁極31と第1磁性層21と接して良い。第4非磁性層44は、例えば、第3磁性層23と第2磁極32と接して良い。
【0020】
図1(a)に示すように、この例では、第1磁性層21から第2磁性層22への第1方向D1は、第1磁極31の媒体対向面30Fに対して傾斜する。第1方向D1は、積層体20の積層方向に対応する。
【0021】
第1方向D1に対して垂直で、第1磁極31の媒体対向面30Fに沿う方向を第2方向D2とする。第2方向D2は、例えば、Y軸方向(クロストラック方向)である。
【0022】
図1(b)に示すように、第2方向D2に沿う第1磁極31の長さを第1磁極長さw1とする。第2方向D2に沿う第2磁極32の長さを第2磁極長さw2とする。これらの長さは、幅でも良い。第1磁極長さw1は、第2磁極長さw2よりも短い。
【0023】
第1磁極長さw1は、実用的に、第1磁極31のX軸方向の中心位置における、第1磁極31の第2方向D2(Y軸方向)に沿う長さとして良い。第2磁極長さw2は、実用的に、第2磁極32のX軸方向の中心位置における、第2磁極32の第2方向D2(Y軸方向)に沿う長さとして良い。
【0024】
第1磁極長さw1が第2磁極長さw2よりも短いことで、第1磁極31からの磁界が、第2磁極32に入り易くなり、第2磁極32がトレーリングシールドとして機能し易い。
【0025】
図1(a)に示すように、第1方向D1に対して垂直な1つの方向を第3方向D3とする。この例では、第3方向D3は、第2方向D2と交差する。第3方向D3は、例えば、第2方向D2に対して垂直である。この例では、第1方向D1が媒体対向面30Fに対して傾斜しているため、第3方向D3は、媒体対向面30Fに対して傾斜する。
【0026】
第3方向D3に沿う第1磁性層21の長さを第1磁性層長さL21とする。第3方向D3に沿う第2磁性層22の長さを第2磁性層長さL22とする。第1磁性層長さL21は、第2磁性層長さL22よりも長い。後述するように、このような長さの関係により、積層体20において安定した発振が得やすくなる。
【0027】
図1(b)に示すように、このような積層体20に電流icが供給される。電流icは、例えば、上記の電気回路20Dから供給される。図1(b)に示すように、電流icは、第1磁性層21から第2磁性層22への向きを有する。図1(a)及び図1(b)に示すように、電流icに伴う電子流jeは、第2磁性層22から第1磁性層21への向きを有する。
【0028】
例えば、しきい値以上の電流icが積層体20を流れることで、積層体20の磁化が発振する。積層体20は、例えばSTO(Spin-Torque Oscillator)として機能する。発振に伴い、積層体20から交流磁界(例えば高周波磁界)が発生する。積層体20で発生した交流磁界が磁気記録媒体80に印加され、磁気記録媒体80への書き込みがアシストされる。例えば、MAMR(Microwave Assisted Magnetic Recording)が実施可能である。
【0029】
磁気ヘッド110においては、第1磁性層21及び第2磁性層22は、例えば、発振層として機能する。第3磁性層23は、スピン注入層として機能する。第3磁性層23の磁化は、特定の方向に固定されない。動作中において、第3磁性層23の磁化の向きは、変化可能である。
【0030】
例えば、第1磁極31で反射したスピントルクが第1磁性層21に作用する。例えば、第3磁性層23からの透過のスピントルクが第2磁性層22に注入される。第1磁性層21及び第2磁性層22において、互いに逆向きの磁化が生じ、これらの磁化が安定して発振し易くなると考えられる。
【0031】
以下、積層体20における発振の挙動の例について説明する。
図3は、参考例の磁気ヘッドにおける特性を例示するグラフ図である。
図3の横軸は、積層体20に流れる電流密度Jcである。縦軸は、発振強度OS(相対値)である。図3に例示する第1構成CF1及び第2構成CF2において、積層体20は、1つの発振層と、1つのスピン注入層と、を含む一般的なSTOである。第1構成CF1は、積層体20が主磁極とトレーリングシールドとの間に設けられない場合の測定結果を示しており、積層体20単体の特性に対応する。第2構成CF2は、第1構成CF1同じ積層体20が、主磁極とトレーリングシールドとの間に設けられた場合の測定結果に対応する。
【0032】
図3に示すように、積層体20が主磁極とトレーリングシールドとの間に設けられない第1構成CF1においては、低い電流密度Jcで発振が生じる。これに対して、積層体20が主磁極とトレーリングシールドとの間に設けられる第2構成CF2においては、電流密度Jcを高くしても、十分な発振が得られないことが分かった。
【0033】
積層体20が主磁極とトレーリングシールドとの間に設けられる第2構成CF2において十分な発振が得られないのは、積層体20の発振層の磁化と、主磁極またはトレーングシールドの磁化と、が相互作用することが原因であると考えられる。主磁極のクロストラック方向の幅は、トレーングシールドのクロストラック方向の幅よりも小さい。このことから、主磁極の磁化が、積層体20の磁化の影響を受け易いと考えられる。例えば、主磁極の磁化が、積層体20の磁化と、共振している可能性がある。一方、トレーリングシールドのサイズは大きいため、トレーングシールドにおける積層体20からの影響は小さく、無視できると考えられる。
【0034】
主磁極の磁化が積層体20の磁化と共振する場合、共振を利用することで、積層体20における発振を安定化させることができる。一方、トレーングシールドにおいて共振が生じない場合は、積層体20からトレーリングシールドの磁化に与える影響はノイズとなる。
【0035】
したがって、積層体20からトレーリングシールドの磁化に与える影響を小さくしつつ、積層体20から主磁極の磁化に与える影響を大きくすることで、ノイズを抑制しつつ、安定した発振が得やすくなる。
【0036】
図4(a)及び図4(b)は、磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図4(a)は、実施形態に係る磁気ヘッド110に対応する。磁気ヘッド110においては、第1磁性層21のサイズ(第1磁性層長さL21、図1(a)参照)は、第2磁性層22のサイズ(第2磁性層長さL22、図1(a)参照)よりも大きい。図4(b)は、参考例の磁気ヘッド118に対応する。磁気ヘッド118においては、第1磁性層21のサイズは、第2磁性層22のサイズと同じである。例えば、図4(a)及び図4(b)に示すように、第1磁性層21の磁化21Mと、第2磁性層22の磁化22Mが反平行である。
【0037】
図4(b)に示すように、第1磁性層21の影響による磁界31Mが、第1磁極31に生じる。第2磁性層22の影響による磁界32Mが、第2磁極32に生じる。参考例の磁気ヘッド118においては、第1磁性層21のサイズが第2磁性層22のサイズと同じであるため、磁界31Mは、磁界32Mと実質的に同じになる。
【0038】
これに対して、図4(a)に示すように、第1磁性層21のサイズが第2磁性層22のサイズよりも大きい磁気ヘッド110の場合、第1磁性層21の影響による磁界31Mが大きくなり、第2磁性層22の影響による磁界32Mが小さい、または、実質的に生じない。
【0039】
このように、実施形態に係る磁気ヘッド110においては、第1磁性層長さL21を第2磁性層長さL22よりも長くすることで、第1磁極31における磁界31Mを大きくできる。そして、第2磁極32における磁界32Mを抑制できる。これにより、第1磁極31と積層体20との相互作用を大きくできる。第2磁極32で生じるノイズを抑制できる。
【0040】
実施形態においては、積層体20おいて安定した発振が得やすい。これにより、安定したMAMRが実施できる。実施形態によれば、記録密度の向上が可能な磁気ヘッドを提供できる。
【0041】
実施形態において、第1非磁性層41は、例えば、Ru、Ir、Ta及びWよりなる群から選択された少なくとも1つの第1元素を含む。第1方向D1に沿う第1非磁性層41の厚さを第1非磁性層厚さt41(図1(b)参照)とする。実施形態において、第1非磁性層厚さt41は、例えば、0.2nm以上3nm以下である。このような構成により、第1磁性層21及び第2磁性層22は、反強磁性結合し易い。
【0042】
第1磁性層21及び第2磁性層22が反強磁性結合することで、例えば、積層体20から発生する交流磁界の垂直成分(Z軸方向に沿う成分)が抑制される。一方、交流磁界の面内成分(X-Y平面に沿う成分)は、強まる。実施形態において、積層体20から発生する交流磁界の垂直成分(Z軸方向に沿う成分)が抑制されることで、例えば、SNRが向上する。
【0043】
実施形態において、第1磁性層21の磁気厚さは、第2磁性層22の磁気厚さと実質的に同じで良い。例えば、第1方向D1に沿う第1磁性層21の厚さ(第1磁性層厚さt21)と、第1磁性層21の飽和磁化と、の第1積は、第1方向D1に沿う第2磁性層22の厚さ(第2磁性層厚さt22)と、第2磁性層22の飽和磁化と、の第2積と実質的に同じで良い。例えば、第1積は、第2積の0.8倍以上1.25倍以下で良い。
【0044】
例えば、第2磁性層厚さt22は、第1磁性層厚さt21の0.8倍以上1.25倍以下で良い。
【0045】
実施形態において、第1磁性層厚さt21は、例えば、5nm以上15nm以下である。1つの例において、第1磁性層厚さt21は、例えば、8nm以上10nm以下である。第2磁性層厚さt22は、例えば、5nm以上15nm以下である。1つの例において、第2磁性層厚さt22は、例えば、8nm以上10nm以下である。
【0046】
第1方向D1に沿う第3磁性層23の厚さを第3磁性層厚さt23(図1(b)参照)とする。第3磁性層厚さt23は、例えば、第1磁性層厚さt21よりも薄く、第2磁性層厚さt22よりも薄い。第3磁性層厚さt23は、例えば、第1磁性層厚さt21の0.7倍以下であり、第2磁性層厚さt22の0.7倍以下である。第3磁性層厚さt23は、例えば、1nm以上6nm以下である。第3磁性層厚さt23は、例えば、1nm以上5nm以下でも良い。
【0047】
第1方向D1に沿う第2非磁性層42の厚さを第2非磁性層厚さt42(図1(b)参照)とする。第2非磁性層厚さt42は、例えば、1nm以上5nm以下である。第1方向D1に沿う第3非磁性層43の厚さを第3非磁性層厚さt43(図1(b)参照)とする。第3非磁性層厚さt43は、例えば、1nm以上5nm以下である。第1方向D1に沿う第4非磁性層44の厚さを第4非磁性層厚さt44(図1(b)参照)とする。第4非磁性層厚さt44は、例えば、1nm以上5nm以下である。このような厚さにより、例えば、層間のスピン伝導が容易になる。例えば、と第3磁性層23の磁化の変化が容易になる。例えば、安定した発振が得やすくなる。
【0048】
実施形態において、第1磁性層21は、Fe、Co及びNiの少なくとも1つを含む。第2磁性層22は、Fe、Co及びNiの少なくとも1つを含む。第3磁性層23は、Fe、Co及びNiの少なくとも1つを含む。これらの磁性層は、例えば、正のスピン分極を有する。
【0049】
実施形態において、第2非磁性層42及び第3非磁性層43は、例えば、Cu、Au及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2非磁性層42及び第3非磁性層43において、例えば、高いスピン透過率が得られる。例えば、安定した発振が得やすくなる。
【0050】
実施形態において、第4非磁性層44は、例えば、Ta、Ru、Ir及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第4非磁性層44において、例えば、スピン伝導を抑制する効果が得られる。例えば、安定した発振が得やすくなる。
【0051】
磁気ヘッド110において、第1方向D1と媒体対向面30Fとの間の角度θ1(図1(a)参照)は、例えば、10度以上30度以下でよい。
【0052】
図5(a)及び図5(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図5(a)は、断面図である。図5(b)は、図5(a)の矢印AR1から見た平面図である。
図5(a)に示すように、磁気ヘッド111の記録部60も、第1磁極31と、第2磁極32と、第1磁極31と第2磁極32との間に設けられた積層体20と、を含む。図5(a)及び図5(b)に示すように、積層体20は、第1~第3磁性層21~23、及び、第1~第3非磁性層41~43を含む。第2磁性層22は、第1磁性層21と第2磁極32との間に設けられる。第3磁性層23は、第2磁性層22と第2磁極32との間に設けられる。第1非磁性層41は、第1磁性層21と第2磁性層22との間に設けられる。第2非磁性層42は、第2磁性層22と第3磁性層23との間に設けられる。第3非磁性層43は、第1磁極31と第1磁性層21との間に設けられる。例えば、第3磁性層23は、第2磁極32と接して良い。
【0053】
磁気ヘッド111においては、第1磁性層21は、Fe、Co及びNiの少なくとも1つを含む。第2磁性層22は、Fe、Co及びNiの少なくとも1つを含む。第3磁性層23は、Fe、Co及びNiの少なくとも1つを含む第1元素と、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第2元素と、を含む。第1磁性層21及び第2磁性層22は、上記の第2元素を含まない。または、第1磁性層21及び第2磁性層22における第2元素の濃度は、第3磁性層23における第2元素の濃度よりも低い。
【0054】
例えば、第1磁性層21及び第2磁性層22は、正のスピン分極を有する。第3磁性層23は、負のスピン分極を有する。
【0055】
磁気ヘッド111における上記以外の構成として、磁気ヘッド110に関して説明した構成を適用して良い。例えば、第1磁性層長さL21は、第2磁性層長さL22よりも長い。磁気ヘッド111においても、安定した発振が得られる。
【0056】
例えば、図5(b)に示すように、積層体20に電流icが供給される。電流icは、電気回路20D(図2参照)から供給される。電流icは、第1磁性層21から第2磁性層22への向きを有する。電流icに伴う電子流jeは、第2磁性層22から第1磁性層21への向きを有する。
【0057】
図6は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図6に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド112においては、第1方向D1(積層方向)は、媒体対向面30Fに沿っている。磁気ヘッド112においても、例えば、第1磁性層長さL21は、第2磁性層長さL22よりも長い。磁気ヘッド112におけるこれ以外の構成は、磁気ヘッド110と同様で良い。
【0058】
図7は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図7に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド113においては、第1方向D1(積層方向)は、媒体対向面30Fに沿っている。磁気ヘッド113においても、例えば、第1磁性層長さL21は、第2磁性層長さL22よりも長い。磁気ヘッド113におけるこれ以外の構成は、磁気ヘッド111と同様で良い。
【0059】
図8は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的平面図である。
図8は、図1(a)の矢印AR1から見た平面図に対応する。図8に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド114において、積層体20は、第1~第3磁性層21~23、及び、第1~第4非磁性層41~44を含む。図8に示すように、第3方向D3は、第2方向D2(Y軸方向であり、クロストラック方向)に沿っている。第3方向D3に沿う第1磁性層21の第1磁性層長さL21は、第3方向D3に沿う第2磁性層22の第2磁性層長さL22よりも長い。磁気ヘッド114におけるこれ以外の構成は、磁気ヘッド110と同様で良い。
【0060】
図9は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的平面図である。
図9は、図5(a)の矢印AR1から見た平面図に対応する。図9に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド115において、積層体20は、第1~第3磁性層21~23、及び、第1~第3非磁性層41~43を含む。図9に示すように、第3方向D3は、第2方向D2(Y軸方向であり、クロストラック方向)に沿っている。第3方向D3に沿う第1磁性層21の第1磁性層長さL21は、第3方向D3に沿う第2磁性層22の第2磁性層長さL22よりも長い。磁気ヘッド115におけるこれ以外の構成は、磁気ヘッド111と同様で良い。
【0061】
磁気ヘッド112~115においても、安定した発振が得られる。
【0062】
(第2実施形態)
図10(a)及び図10(b)は、第2実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図10(a)は、断面図である。図10(b)は、図10(a)の矢印AR1から見た平面図である。
図10(a)に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド120も、第1磁極31と、第2磁極32と、第1磁極31と第2磁極32との間に設けられた積層体20と、を含む。磁気ヘッド120において、積層体20に含まれる複数の層の順番が、磁気ヘッド110における複数の層の順番と異なる。磁気ヘッド120におけるこれ以外の構成は、磁気ヘッド110の構成と同様で良い。
【0063】
図10(a)及び図10(b)に示すように、磁気ヘッド120において、積層体20は、第1~第3磁性層21~23、及び、第1~第4非磁性層41~44を含む。第2磁性層22は、第1磁極31と第1磁性層21との間に設けられる。第3磁性層23は、第1磁極31と第2磁性層2との間に設けられる。第1非磁性層41は、第2磁性層22と第1磁性層21との間に設けられる。第2非磁性層42は、第3磁性層23と第2磁性層22との間に設けられる。第3非磁性層43は、第1磁性層21と第2磁極32の間に設けられる。第4非磁性層44は、第1磁極31と第3磁性層23との間に設けられる。
【0064】
図10(b)に示すように、積層体20に電流icが供給される。電流icは、電気回路20D(図2参照)から供給される。電流icは、第1磁性層21から第2磁性層22への向きを有する。電流icに伴う電子流jeは、第2磁性層22から第1磁性層21への向きを有する。
【0065】
例えば、第2磁極32で反射したスピントルクが第1磁性層21に作用する。例えば、第3磁性層23からの透過のスピントルクが第2磁性層22に注入される。第1磁性層21及び第2磁性層22において、互いに逆向きの磁化が生じ、これらの磁化が安定して発振し易くなると考えられる。第1磁性層21及び第2磁性層22は、例えば、発振層として機能する。第3磁性層23は、スピン注入層として機能する。第3磁性層23の磁化は、特定の方向に固定されない。磁気ヘッド120において、MAMRが実施可能である。
【0066】
第2磁性層22から第1磁性層21への方向を第1方向D1とする。第1方向D1に対して垂直で第1磁極31の媒体対向面30Fに沿う方向を第2方向D2とする。第2方向D2は、例えば、Y軸方向(クロストラック方向)である。図10(b)に示すように、第2方向D2に沿う第1磁極31の第1磁極長さw1は、第2方向D2に沿う第2磁極32の第2磁極長さw2よりも短い。
【0067】
図10(a)に示すように、第1方向D1に対して垂直な1つの方向を第3方向D3とする。この例では、第3方向D3は第2方向D2と交差する。この例では、第1方向D1は、媒体対向面30Fに対して傾斜している。第3方向D3は、媒体対向面30Fに対して傾斜している。第3方向D3に沿う第2磁性層22の第2磁性層長さL22は、第3方向D3に沿う第1磁性層21の第1磁性層長さL21よりも長い。
【0068】
このような構成により、第1磁極31における磁界31Mを大きくできる。そして、第2磁極32における磁界32Mを抑制できる。これにより、第1磁極31と積層体20との相互作用を大きくできる。第2磁極32で生じるノイズを抑制できる。
【0069】
実施形態においては、積層体20おいて安定した発振が得やすい。これにより、安定したMAMRが実施できる。実施形態によれば、記録密度の向上が可能な磁気ヘッドを提供できる。
【0070】
磁気ヘッド120において、磁気ヘッド110に関して説明した構成が適用できる。例えば、磁気ヘッド120において、第1非磁性層41は、Ru、Ir、Ta及びWよりなる群から選択された少なくとも1つの第1元素を含む。第1方向D1に沿う第1非磁性層41の第1非磁性層厚さt41(図10(b)参照)は、例えば、0.2nm以上3nm以下である。第1磁性層21及び第2磁性層22が反強磁性結合することで、例えば、第1磁性層21の磁化による磁界と、第2磁性層22の磁化による磁界と、が実質的にキャンセルされる。これにより、積層体20から発生する交流磁界の垂直成分(Z軸方向に沿う成分)が抑制される。一方、交流磁界の面内成分(X-Y平面に沿う成分)は、強まる。実施形態において、積層体20から発生する交流磁界の垂直成分(Z軸方向に沿う成分)が抑制されることで、例えば、SNRが向上する。
【0071】
図11(a)及び図11(b)は、第2実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図11(a)は、断面図である。図11(b)は、図11(a)の矢印AR1から見た平面図である。
図11(a)に示すように、磁気ヘッド121の記録部60も、第1磁極31と、第2磁極32と、第1磁極31と第2磁極32との間に設けられた積層体20と、を含む。図11(a)及び図11(b)に示すように、積層体20は、第1~第3磁性層21~23、及び、第1~第3非磁性層41~43を含む。第2磁性層22は、第1磁性層21と第2磁極32との間に設けられる。第3磁性層23は、第2磁性層22と第2磁極32との間に設けられる。第1非磁性層41は、第1磁性層21と第2磁性層22との間に設けられる。第2非磁性層42は、第2磁性層22と第3磁性層23との間に設けられる。第3非磁性層43は、第1磁極31と第1磁性層21との間に設けられる。例えば、第3磁性層23は、第2磁極32と接して良い。
【0072】
磁気ヘッド121においては、第1磁性層21は、Fe、Co及びNiの少なくとも1つを含む。第2磁性層22は、Fe、Co及びNiの少なくとも1つを含む。第3磁性層23は、Fe、Co及びNiの少なくとも1つを含む第1元素と、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第2元素と、を含む。第1磁性層21及び第2磁性層22は、上記の第2元素を含まない。または、第1磁性層21及び第2磁性層22における第2元素の濃度は、第3磁性層23における第2元素の濃度よりも低い。
【0073】
例えば、第1磁性層21及び第2磁性層22は、正のスピン分極を有する。第3磁性層23は、負のスピン分極を有する。
【0074】
磁気ヘッド121における上記以外の構成として、磁気ヘッド120に関して説明した構成を適用して良い。例えば、第1磁性層長さL21は、第2磁性層長さL22よりも長い。磁気ヘッド121においても、安定した発振が得られる。
【0075】
例えば、図11(b)に示すように、積層体20に電流icが供給される。電流icは、電気回路20D(図2参照)から供給される。電流icは、第1磁性層21から第2磁性層22への向きを有する。電流icに伴う電子流jeは、第2磁性層22から第1磁性層21への向きを有する。
【0076】
図12は、第2実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図12に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド122においては、第1方向D1(積層方向)は、媒体対向面30Fに沿っている。磁気ヘッド122においても、例えば、第1磁性層長さL21は、第2磁性層長さL22よりも長い。磁気ヘッド122におけるこれ以外の構成は、磁気ヘッド120と同様で良い。
【0077】
図13は、第2実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図13に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド123においては、第1方向D1(積層方向)は、媒体対向面30Fに沿っている。磁気ヘッド123においても、例えば、第1磁性層長さL21は、第2磁性層長さL22よりも長い。磁気ヘッド123におけるこれ以外の構成は、磁気ヘッド121と同様で良い。
【0078】
図14は、第2実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的平面図である。
図14は、図10(a)の矢印AR1から見た平面図に対応する。図14に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド124において、積層体20は、第1~第3磁性層21~23、及び、第1~第4非磁性層41~44を含む。図14に示すように、第3方向D3は、第2方向D2(Y軸方向であり、クロストラック方向)に沿っている。第3方向D3に沿う第1磁性層21の第1磁性層長さL21は、第3方向D3に沿う第2磁性層22の第2磁性層長さL22よりも長い。磁気ヘッド124におけるこれ以外の構成は、磁気ヘッド120と同様で良い。
【0079】
図15は、第2実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的平面図である。
図15は、図11(a)の矢印AR1から見た平面図に対応する。図15に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド125において、積層体20は、第1~第3磁性層21~23、及び、第1~第3非磁性層41~43を含む。図15に示すように、第3方向D3は、第2方向D2(Y軸方向であり、クロストラック方向)に沿っている。第3方向D3に沿う第1磁性層21の第1磁性層長さL21は、第3方向D3に沿う第2磁性層22の第2磁性層長さL22よりも長い。磁気ヘッド125におけるこれ以外の構成は、磁気ヘッド121と同様で良い。
【0080】
磁気ヘッド122~125においても、安定した発振が得られる。
【0081】
磁気ヘッド111~115、及び、磁気ヘッド120~125において、第1~第3磁性層21~23、及び、第1~第3非磁性層41~43には、磁気ヘッド110に関して説明した構成が適用されても良い。
【0082】
例えば、磁気ヘッド111~115、及び、磁気ヘッド120~125において、第1磁性層21の磁気厚さは、第2磁性層22の磁気厚さの0.8倍以上1.25倍以下で良い。例えば、第2磁性層厚さt22は、第1磁性層厚さt21の0.8倍以上1.25倍以下で良い。第1磁性層厚さt21は、例えば、5nm以上15nm以下である。第2磁性層厚さt22は、例えば、5nm以上15nm以下である。
【0083】
第3磁性層厚さt23は、例えば、第1磁性層厚さt21よりも薄く、第2磁性層厚さt22よりも薄い。第3磁性層厚さt23は、例えば、第1磁性層厚さt21の0.7倍以下であり、第2磁性層厚さt22の0.7倍以下である。第1~第3磁性層21~23は、Fe、Co及びNiの少なくとも1つを含む。
【0084】
磁気ヘッド111~115、及び、磁気ヘッド120~125において、第2非磁性層42及び第3非磁性層43は、例えば、Cu、Au及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2非磁性層厚さt42は、例えば、1nm以上5nm以下である。第3非磁性層厚さt43は、例えば、1nm以上5nm以下である。
【0085】
実施形態に係る磁気ヘッド111~115、及び、120~125は、既に説明した電気回路20D(図2参照)と共に用いられても良い。実施形態に係る磁気ヘッド及び電気回路20Dは、実施形態に係る磁気記録装置210(図2参照)に含まれる。磁気記録装置210は、磁気記録媒体80を含んでも良い。
【0086】
図16は、参考例の磁気ヘッドを例示する模式的平面図である。
図16に示すように、参考例の磁気ヘッド119においては、積層体20は、磁性層25a、磁性層25b、及び、磁性層25cを含む。磁性層25bは、第1磁極31と、磁性層25aとの間に設けられる。磁性層25cは、磁性層25aと第2磁極32との間に設けられる。第1磁極31と磁性層25bとの間に、非磁性層45aが設けられる。磁性層25bと磁性層25aとの間に、非磁性層45bが設けられる。磁性層25aと磁性層25cとの間に、非磁性層45cが設けられる。磁性層25cと第2磁極32との間に、非磁性層45dが設けられる。磁気ヘッド119においては、磁性層25aは、発振層として機能する。磁性層25b及び磁性層25cは、スピン注入層として機能する。磁気ヘッド119においては、磁性層25b及び磁性層25cの両方からスピンが磁性層25aに注入される。
【0087】
以下、参考例の磁気ヘッド119と、実施形態に係る磁気ヘッド120と、の特性のシミュレーション結果の例について説明する。磁気ヘッド119のシミュレーションのモデルにおいて、磁性層25aの厚さは9nmであり、磁性層25b及び磁性層25cのそれぞれの厚さは、6nmである。第1磁極31と第2磁極32との間の距離(記録ギャップ)は、27nmである。
【0088】
磁気ヘッド120のシミュレーションのモデルにおいて、第1磁性層21の厚さ(第1磁性層厚さt21)は9nmであり、第2磁性層22の厚さ(第2磁性層厚さt22)は9nmである。第3磁性層23の厚さ(第3磁性層厚さt23)は、2nmである。磁気ヘッド120において、第1磁極31と第2磁極32との間の距離(記録ギャップ)は、27nmである。
【0089】
図17は、磁気ヘッドの特性を例示するグラフ図である。
図17の横軸は、X軸方向における位置DXである。0nmの位置DXは、第1磁極31のX軸方向における端(第2磁極32に対向する側の端)に対応する。図1の縦軸は、SN比SNR(signal to noise ratio)である。この例では、線記録密度が2800kFCI(Flux Change per Inch)で「2T」の記録におけるSN比SNRが示されている。図1において、位置DXが約10nm以上約17.5nm以下の範囲において、実用的な記録が可能である。
【0090】
図17に示すように、参考例の磁気ヘッド119においては、位置DXに関する実用的な範囲において、SN比SNRは、2以上4以下程度である。これに対して、実施形態に係る磁気ヘッド120においては、位置DXに関する実用的な範囲において、SN比SNRは、8以上9.5以下程度である。このように、実施形態においては、参考例と比べて、高いSN比SNRが得られる。
【0091】
実施形態において高いSN比SNRが得られるのは、回転磁界(交流磁界)のZ軸方向に沿う成分が抑制されることが原因であると考えられる。
【0092】
図18は、磁気ヘッドの特性を例示するグラフ図である。
図18の横軸は、X軸方向における位置DXである。0nmの位置DXは、第1磁極31のX軸方向における端(第2磁極32に対向する側の端)に対応する。図1の縦軸は、記録幅WWである。この例では、線記録密度が2800kFCI(Flux Change per Inch)で「2T」の記録における記録幅WWが示されている。記録幅WWは、記録再生において得られる信号強度がピーク強度の50%以上である範囲に対応する。
【0093】
図18に示すように、参考例の磁気ヘッド119においては、位置DXに関する実用的な範囲において、記録幅WWは、66nm以上68nm以下程度である。これに対して、実施形態に係る磁気ヘッド120においては、位置DXに関する実用的な範囲において、記録幅WWは、46nm以上48nm以下程度である。このように、実施形態においては、参考例と比べて、小さい記録幅WWが得られる。
【0094】
実施形態において小さい記録幅WWが得られるのは、回転磁界(交流磁界)のZ軸方向に沿う成分が抑制されることが原因であると考えられる。
【0095】
以下、実施形態に係る磁気記録装置210に含まれる磁気ヘッド及び磁気記録媒体80の例について説明する。以下の説明は、第1実施形態及び第2実施形態に係る磁気ヘッド(磁気ヘッド110~115及び120~125など)及びその変形に適用できる。
【0096】
図19は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
図19に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド(例えば、磁気ヘッド110)は、磁気記録媒体80と共に用いられる。この例では、磁気ヘッド110は、記録部60及び再生部70を含む。磁気ヘッド110の記録部60により、磁気記録媒体80に情報が記録される。再生部70により、磁気記録媒体80に記録された情報が再生される。
【0097】
磁気記録媒体80は、例えば、媒体基板82と、媒体基板82の上に設けられた磁気記録層81と、を含む。磁気記録層81の磁化83が記録部60により制御される。
【0098】
再生部70は、例えば、第1再生磁気シールド72a、第2再生磁気シールド72b、及び磁気再生素子71を含む。磁気再生素子71は、第1再生磁気シールド72aと第2再生磁気シールド72bとの間に設けられる。磁気再生素子71は、磁気記録層81の磁化83に応じた信号を出力可能である。
【0099】
図19に示すように、磁気記録媒体80は、媒体移動方向85の方向に、磁気ヘッド110に対して相対的に移動する。磁気ヘッド110により、任意の位置において、磁気記録層81の磁化83に対応する情報が制御される。磁気ヘッド110により、任意の位置において、磁気記録層81の磁化83に対応する情報が再生される。
【0100】
図20は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図20は、ヘッドスライダを例示している。
磁気ヘッド110は、ヘッドスライダ159に設けられる。ヘッドスライダ159は、例えばAl/TiCなどを含む。ヘッドスライダ159は、磁気記録媒体の上を、浮上または接触しながら、磁気記録媒体に対して相対的に運動する。
【0101】
ヘッドスライダ159は、例えば、空気流入側159A及び空気流出側159Bを有する。磁気ヘッド110は、ヘッドスライダ159の空気流出側159Bの側面などに配置される。これにより、磁気ヘッド110は、磁気記録媒体の上を浮上または接触しながら磁気記録媒体に対して相対的に運動する。
【0102】
図21は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
図22(a)及び図22(b)は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図21に示すように、実施形態に係る磁気記録装置150においては、ロータリーアクチュエータが用いられる。記録用媒体ディスク180は、スピンドルモータ180Mに装着される。記録用媒体ディスク180は、スピンドルモータ180Mにより矢印ARの方向に回転する。スピンドルモータ180Mは、駆動装置制御部からの制御信号に応答する。本実施形態に係る磁気記録装置150は、複数の記録用媒体ディスク180を備えても良い。磁気記録装置150は、記録媒体181を含んでもよい。記録媒体181は、例えば、SSD(Solid State Drive)である。記録媒体181には、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリが用いられる。例えば、磁気記録装置150は、ハイブリッドHDD(Hard Disk Drive)でも良い。
【0103】
ヘッドスライダ159は、記録用媒体ディスク180に記録する情報の、記録及び再生を行う。ヘッドスライダ159は、薄膜状のサスペンション154の先端に設けられる。ヘッドスライダ159の先端付近に、実施形態に係る磁気ヘッドが設けられる。
【0104】
記録用媒体ディスク180が回転すると、サスペンション154による押し付け圧力と、ヘッドスライダ159の媒体対向面(ABS)で発生する圧力と、がバランスする。ヘッドスライダ159の媒体対向面と、記録用媒体ディスク180の表面と、の間の距離が、所定の浮上量となる。実施形態において、ヘッドスライダ159は、記録用媒体ディスク180と接触しても良い。例えば、接触走行型が適用されても良い。
【0105】
サスペンション154は、アーム155(例えばアクチュエータアーム)の一端に接続されている。アーム155は、例えば、ボビン部などを有する。ボビン部は、駆動コイルを保持する。アーム155の他端には、ボイスコイルモータ156が設けられる。ボイスコイルモータ156は、リニアモータの一種である。ボイスコイルモータ156は、例えば、駆動コイル及び磁気回路を含む。駆動コイルは、アーム155のボビン部に巻かれる。磁気回路は、永久磁石及び対向ヨークを含む。永久磁石と対向ヨークとの間に、駆動コイルが設けられる。サスペンション154は、一端と他端とを有する。磁気ヘッドは、サスペンション154の一端に設けられる。アーム155は、サスペンション154の他端に接続される。
【0106】
アーム155は、ボールベアリングによって保持される。ボールベアリングは、軸受部157の上下の2箇所に設けられる。アーム155は、ボイスコイルモータ156により回転及びスライドが可能である。磁気ヘッドは、記録用媒体ディスク180の任意の位置に移動可能である。
【0107】
図22(a)は、磁気記録装置の一部の構成を例示しており、ヘッドスタックアセンブリ160の拡大斜視図である。
図22(b)は、ヘッドスタックアセンブリ160の一部となる磁気ヘッドアセンブリ(ヘッドジンバルアセンブリ:HGA)158を例示する斜視図である。
【0108】
図22(a)に示すように、ヘッドスタックアセンブリ160は、軸受部157と、ヘッドジンバルアセンブリ158と、支持フレーム161と、を含む。ヘッドジンバルアセンブリ158は、軸受部157から延びる。支持フレーム161は、軸受部157から延びる。支持フレーム161の延びる方向は、ヘッドジンバルアセンブリ158の延びる方向とは逆である。支持フレーム161は、ボイスコイルモータ156のコイル162を支持する。
【0109】
図22(b)に示すように、ヘッドジンバルアセンブリ158は、軸受部157から延びたアーム155と、アーム155から延びたサスペンション154と、を有している。
【0110】
サスペンション154の先端には、ヘッドスライダ159が設けられる。ヘッドスライダ159に、実施形態に係る磁気ヘッドが設けられる。
【0111】
実施形態に係る磁気ヘッドアセンブリ(ヘッドジンバルアセンブリ)158は、実施形態に係る磁気ヘッドと、磁気ヘッドが設けられたヘッドスライダ159と、サスペンション154と、アーム155と、を含む。ヘッドスライダ159は、サスペンション154の一端に設けられる。アーム155は、サスペンション154の他端と接続される。
【0112】
サスペンション154は、例えば、信号の記録及び再生用のリード線(図示しない)を有する。サスペンション154は、例えば、浮上量調整のためのヒーター用のリード線(図示しない)を有しても良い。サスペンション154は、例えばスピントランスファトルク発振子用などのためのリード線(図示しない)を有しても良い。これらのリード線と、磁気ヘッドに設けられた複数の電極と、が電気的に接続される。
【0113】
磁気記録装置150において、信号処理部190が設けられる。信号処理部190は、磁気ヘッドを用いて磁気記録媒体への信号の記録及び再生を行う。信号処理部190は、信号処理部190の入出力線は、例えば、ヘッドジンバルアセンブリ158の電極パッドに接続され、磁気ヘッドと電気的に接続される。
【0114】
実施形態に係る磁気記録装置150は、磁気記録媒体と、実施形態に係る磁気ヘッドと、可動部と、位置制御部と、信号処理部と、を含む。可動部は、磁気記録媒体と磁気ヘッドとを離間させ、または、接触させた状態で相対的に移動可能とする。位置制御部は、磁気ヘッドを磁気記録媒体の所定記録位置に位置合わせする。信号処理部は、磁気ヘッドを用いた磁気記録媒体への信号の記録及び再生を行う。
【0115】
例えば、上記の磁気記録媒体として、記録用媒体ディスク180が用いられる。上記の可動部は、例えば、ヘッドスライダ159を含む。上記の位置制御部は、例えば、ヘッドジンバルアセンブリ158を含む。
【0116】
実施形態は、以下の構成(例えば技術案)を含んでも良い。
(構成1)
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた積層体と、
を備え、
前記積層体は、
第1磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第2磁性層と前記第3磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第3非磁性層と、
を含み、
前記第1磁性層から前記第2磁性層への第1方向に対して垂直で前記第1磁極の媒体対向面に沿う第2方向に沿う、前記第1磁極の第1磁極長さは、前記第2方向に沿う前記第2磁極の第2磁極長さよりも短く、
前記第1方向に対して垂直な第3方向に沿う前記第1磁性層の第1磁性層長さは、前記第3方向に沿う前記第2磁性層の第2磁性層長さよりも長い、磁気ヘッド。
【0117】
(構成2)
前記第3方向は、前記第2方向と交差した、構成1記載の磁気ヘッド。
【0118】
(構成3)
前記第1方向は、前記媒体対向面に対して傾斜した、構成2記載の磁気ヘッド。
【0119】
(構成4)
前記第3方向は、前記第2方向に沿う、構成1記載の磁気ヘッド。
【0120】
(構成5)
前記積層体は、前記第3磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第4非磁性層をさらに含み、
前記第1磁性層は、Fe、Co及びNiの少なくとも1つを含み、
前記第2磁性層は、Fe、Co及びNiの少なくとも1つを含み、
前記第3磁性層は、Fe、Co及びNiの少なくとも1つを含む、構成1~4のいずれか1つに記載の磁気ヘッド。
【0121】
(構成6)
前記第1磁性層は、Fe、Co及びNiの少なくとも1つを含み、
前記第2磁性層は、Fe、Co及びNiの少なくとも1つを含み、
前記第3磁性層は、Fe、Co及びNiの少なくとも1つを含む第1元素と、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第2元素と、を含み、前記第1磁性層及び前記第2磁性層は、前記第2元素を含まない、または、前記第1磁性層及び前記第2磁性層における前記第2元素の濃度は、前記第3磁性層における前記第2元素の濃度よりも低い、構成1~4のいずれか1つに記載の磁気ヘッド。
【0122】
(構成7)
前記第3磁性層は、前記第2磁極と接した、構成6記載の磁気ヘッド。
【0123】
(構成8)
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた積層体と、
を備え、
前記積層体は、
第1磁性層と、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第2磁性層と、
前記第1磁極と前記第2磁性層との間に設けられた第3磁性層と、
前記第2磁性層と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第3磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3非磁性層と、
を含み、
前記第2磁性層から前記第1磁性層への第1方向に対して垂直で前記第1磁極の媒体対向面に沿う第2方向に沿う、前記第1磁極の第1磁極長さは、前記第2方向に沿う前記第2磁極の第2磁極長さよりも短く、
前記第1方向に対して垂直な第3方向に沿う前記第2磁性層の第2磁性層長さは、前記第3方向に沿う前記第1磁性層の第1磁性層長さよりも長い、磁気ヘッド。
【0124】
(構成9)
前記第3方向は、前記第2方向と交差した、構成8記載の磁気ヘッド。
【0125】
(構成10)
前記第1方向は、前記媒体対向面に対して傾斜した、構成9記載の磁気ヘッド。
【0126】
(構成11)
前記第3方向は、前記第2方向に沿う、構成8記載の磁気ヘッド。
【0127】
(構成12)
前記積層体は、前記第1磁極と前記第3磁性層との間に設けられた第4非磁性層をさらに含み、
前記第1磁性層は、Fe、Co及びNiの少なくとも1つを含み、
前記第2磁性層は、Fe、Co及びNiの少なくとも1つを含み、
前記第3磁性層は、Fe、Co及びNiの少なくとも1つを含む、構成8~11のいずれか1つに記載の磁気ヘッド。
【0128】
(構成13)
前記第1磁性層は、Fe、Co及びNiの少なくとも1つを含み、
前記第2磁性層は、Fe、Co及びNiの少なくとも1つを含み、
前記第3磁性層は、Fe、Co及びNiの少なくとも1つを含む第1元素と、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第2元素と、を含み、前記第1磁性層及び前記第2磁性層は、前記第2元素を含まない、または、前記第1磁性層及び前記第2磁性層における前記第2元素の濃度は、前記第3磁性層における前記第2元素の濃度よりも低い、構成8~11のいずれか1つに記載の磁気ヘッド。
【0129】
(構成14)
前記第3磁性層は、前記第1磁極と接した、構成13記載の磁気ヘッド。
【0130】
(構成15)
前記第1非磁性層は、Ru、Ir、Ta及びWよりなる群から選択された少なくとも1つの第1元素を含み、
前記第1方向に沿う前記第1非磁性層の厚さは、0.2nm以上3nm以下である、構成1~14のいずれか1つに記載の磁気ヘッド。
【0131】
(構成16)
前記第1方向に沿う前記第1磁性層の第1磁性層厚さと、前記第1磁性層の飽和磁化と、の第1積は、前記第1方向に沿う前記第2磁性層の第2磁性層厚さと、前記第2磁性層の飽和磁化と、の第2積の0.8倍以上1.25倍以下である、構成1~15のいずれか1つに記載の磁気ヘッド。
【0132】
(構成17)
前記第3磁性層の前記第1方向に沿う第3磁性層厚さは、前記第1方向に沿う前記第1磁性層の第1磁性層厚さの0.7倍以下であり、前記第1方向に沿う前記第2磁性層の第2磁性層厚さの0.7倍以下である、構成1~15のいずれか1つに記載の磁気ヘッド。
【0133】
(構成18)
前記第2磁性層厚さは、前記第1磁性層厚さの0.8倍以上1.25倍以下である、構成17記載の磁気ヘッド。
【0134】
(構成19)
前記第2非磁性層及び前記第3非磁性層は、Cu、Au及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成1~17のいずれか1つに記載の磁気ヘッド。
【0135】
(構成20)
構成1~19のいずれか1つに記載の磁気ヘッドと、
電気回路と、
を備え、
前記電気回路は、前記積層体に電流を供給可能であり、
前記電流は、前記第1磁性層から前記第2磁性層への向きを有する、磁気記録装置。
【0136】
実施形態によれば、記録密度の向上が可能な磁気ヘッド及び磁気記録装置が提供できる。
【0137】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0138】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、磁気ヘッドに含まれる、磁極、積層体、磁性層、非磁性層、及び配線などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0139】
各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0140】
その他、本発明の実施の形態として上述した磁気ヘッド及び磁気記録装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての磁気ヘッド及び磁気記録装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0141】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0142】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0143】
20…積層体、 20D…電気回路、 21~23…第1~第3磁性層、 21M、22M…磁化、 25a~25c…磁性層、 30D…記録回路、 30F…媒体対向面、 30c…コイル、 30i…絶縁部、 31、32…第1、第2磁極、 31M、32M…磁界、 33…シールド、 41~44…第1~第4非磁性層、 45a~45d…非磁性層、 60…記録部、 70…再生部、 71…磁気再生素子、 72a、72b…第1、第2再生磁気シールド、 80…磁気記録媒体、 81…磁気記録層、 82…媒体基板、 83…磁化、 85…媒体移動方向、 θ1…角度、 110~115、118、119、120~125…磁気ヘッド、 150…磁気記録装置、 154…サスペンション、 155…アーム、 156…ボイスコイルモータ、 157…軸受部、 158…ヘッドジンバルアセンブリ、 159…ヘッドスライダ、 159A…空気流入側、 159B…空気流出側、 160…ヘッドスタックアセンブリ、 161…支持フレーム、 162…コイル、 180…記録用媒体ディスク、 180M…スピンドルモータ、 181…記録媒体、 190…信号処理部、 210…磁気記録装置、 AR、AR1…矢印、 CF1、CF2…第1、第2構成、 D1~D3…第1~第3方向、 DX…位置、 Iw…記録電流、 Jc…電流密度、 L21、L22…第1、第2磁性層長さ、 OS…発振強度、 SNR…SN比、 T1、T2…第1、第2端子、 W1、W2…第1、第2配線、 WW…記録幅、 ic…電流、 je…電子流、 t21~t23…第1~第3磁性層厚さ、 t41~t44…第1~第4非磁性層厚さ、 w1、w2…第1、第2磁極長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
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