(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】ダイナミックパワー測位方法及びそのダイナミックパワー測位システム
(51)【国際特許分類】
G01S 5/14 20060101AFI20231113BHJP
【FI】
G01S5/14
(21)【出願番号】P 2020116220
(22)【出願日】2020-07-06
【審査請求日】2020-07-06
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-16
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】513018143
【氏名又は名称】グニテック コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ユ-チー テン
(72)【発明者】
【氏名】ティン-フュイ チャン
(72)【発明者】
【氏名】カイ-チェン ファン
(72)【発明者】
【氏名】ファン-リュエイ シュウ
(72)【発明者】
【氏名】シン-イ カオ
(72)【発明者】
【氏名】チャン-リャン シュ
【合議体】
【審判長】岡田 吉美
【審判官】濱本 禎広
【審判官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】特許第6597918(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2018/213356(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2469298(EP,A1)
【文献】特開2010-239331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/02,5/14
G01S 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間内の測位対象物の機器位置を見つけ出すため、ダイナミックパワー測位システムで使用され、空間において複数の既知点にある機器をさらに含むダイナミックパワー測位方法であって、
測位対象物を制御して複数の送信電力で複数の測位信号を送信するステップと、
複数の既知点にある機器に前記複数の測位信号を受信させ、複数の測位信号強度、複数の対応する受信時間及び前記複数の既知点にある機器の座標をデータベースに記録するステップと、
受信した前記複数の測位信号の中で信号強度が比較的強い前記既知点にある機器を見つけ出すステップと、
前記データベース内から信号強度-距離関数及び信号強度-距離標準偏差関数を取り出すステップと、
前記複数の測位信号の強度、前記複数の対応する受信時間及び前記強度が比較的強い前記既知点にある機器に応じて、前記信号強度-距離関数及び前記信号強度-距離標準偏差関数を照会し、前記既知点にある機器の固定点座標を円心とし、前記信号強度-距離関数に従って前記信号強度下での距離を求めて得られ、すなわち、前記距離をベース半径として設定し、さらに、前記信号強度-距離標準偏差関数で前記信号強度下での距離標準偏差を求めて得られ、すなわち、前記距離標準偏差を半径調整の準拠として設定することより、異なる電力における前記既知点にある機器の複数の確率分布平面を算出するステップと、
前記複数の確率分布平面を乗算した後、最終的な確率分布平面を得るステップと、
前記測位対象物の前記機器位置として設定するため、前記最終的な確率分布平面から最大確率位置を見つけ出すステップと、
を含む、
ダイナミックパワー測位方法。
【請求項2】
信号強度が比較的強い3台の前記既知点にある機器を見つけ出すステップをさらに含む、請求項1に記載のダイナミックパワー測位方法。
【請求項3】
前記測位対象物の識別子を受信するステップをさらに含む、請求項1に記載のダイナミックパワー測位方法。
【請求項4】
データ設定フローを実行するステップをさらに含み、前記データ設定フローは、
試験用送信機の複数の送信電力を設定し、前記試験用送信機が対応する複数距離で複数の試験信号を受信機に送信させ、異なる試験信号が異なる送信電力に対応することと、
前記受信機が受信した複数の試験信号強度を検出することと、
前記複数の試験信号強度及び前記対応する複数距離を前記データベースに記録することと、
信号強度-距離関数及び信号強度-距離標準偏差関数を算出すると共に前記データベースにリストアすることと、
を含む、請求項1に記載のダイナミックパワー測位方法。
【請求項5】
空間内で測位対象物の機器位置を見つけ出すために用いられ、空間において複数の既知点にある機器をさらに含むダイナミックパワー測位システムであって、
前記測位対象物を制御して複数の送信電力で複数の測位信号を送信し、前記複数の既知点にある機器に前記複数の測位信号を受信させるための処理モジュールと、
前記処理モジュールに電気的に接続され、信号強度-距離関数及び信号強度-距離標準偏差関数を保存し、かつ前記複数の既知点にある機器が前記複数の測位信号を受信した後、データベースが複数の測位信号強度、複数の対応する受信時間及び前記複数の既知点にある機器の座標を記録することで、前記処理モジュールが受信した前記複数の測位信号の中で信号強度が比較的強い既知点にある機器を見つけ出すためのデータベースと、
前記データベースに電気的に接続され、前記測位対象物の前記機器位置を見つけ出すためのコンピューティングモジュールと、を含み、
前記処理モジュールは、
前記複数の測位信号の強度、前記複数の対応する受信時間及び前記強度が比較的強い前記既知点にある機器に応じて、前記信号強度-距離関数及び前記信号強度-距離標準偏差関数を照会し、前記既知点にある機器の固定点座標を円心とし、前記信号強度-距離関数に従って前記信号強度下での距離を求めて得られ、すなわち、前記距離をベース半径として設定し、さらに、前記信号強度-距離標準偏差関数で前記信号強度下での距離標準偏差を求めて得られ、すなわち、前記距離標準偏差を半径調整の準拠として設定することより、異なる電力における前記既知点にある機器の複数の確率分布平面を算出し、したがって、コンピューティングモジュールが前記複数の確率分布平面を乗算した後、最終的な確率分布平面を得、前記測位対象物の前記機器位置として設定するため、前記最終的な確率分布平面から最大確率位置を見つけ出す、
ダイナミックパワー測位システム。
【請求項6】
前記処理モジュールは、信号強度が比較的強い3台の前記既知点にある機器を見つけ出す、請求項5に記載のダイナミックパワー測位システム。
【請求項7】
前記測位対象物の識別子を受信することをさらに含む、請求項5に記載のダイナミックパワー測位システム。
【請求項8】
前記処理モジュールは、複数の試験信号を送信するため、試験用送信機の複数の送信電力を設定し、受信機に前記試験用送信機から対応する複数距離で、前記複数の試験信号を受信させ、異なる試験信号が異なる送信電力に対応し;これにより、前記処理モジュールは、前記受信機が受信した複数の試験信号強度を検出することで、前記複数の試験信号強度及び前記対応する複数距離を前記データベースに記録し、前記コンピューティングモジュールが前記信号強度-距離関数及び前記信号強度-距離標準偏差関数を算出すると共に前記データベース内にリストアさせる、請求項5に記載のダイナミックパワー測位システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイナミックパワー測位方法及びそのダイナミックパワー測位システムに関し、特に、異なる電力の信号を利用して測位するダイナミックパワー測位方法及びそのダイナミックパワー測位システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の屋内機器の測位方法は、3点測位が使用されることが多く、3点測位に必要な距離は通常、信号強度又は到達時間(ToA,Time of Arrivial)を使用して算出される。したがって、信号強度又は到達時間の計算の精度は、推定された距離に影響を与え、3点測位の精度に影響を及ぼしていた。従来技術における測位方法は、定電力送信信号に依存している。定電力送信信号に基づく測位方法は、測位精度が単一電力信号の減衰形式に制限される。
【0003】
携帯電話などの現在のモバイルデバイスには、往々にしてさまざまな機能を備えた他のセンサーが装備されていることが多く、ジャイロスコープや電子コンパスなどを搭載したセンサーは、測位精度を支援又は改善できる。ただし、デバイスのコストを考慮すると、屋内測位機器にはさまざまなセンサーが搭載されていない場合がある。他のセンサーを使用しない屋内測位では、信号強度のみに依存して距離を推定し、このデータを使用して測位する。しかしながら、従来の技術では、ブルートゥース(登録商標)装置の信号強度は大きく変化することで、大きな測位誤差が生じる。
【0004】
したがって、従来技術の欠陥を解決するため、ダイナミックパワー測位方法及びそのダイナミックパワー測位システムを発明する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、異なる電力信号を利用して測位する効果を奏するダイナミックパワー測位方法を提供することにある。
【0006】
本発明の別の目的は、上記方法に使用されるダイナミックパワー測位システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のダイナミックパワー測位方法は、空間内の測位対象物の機器位置を見つけ出すため、ダイナミックパワー測位システムで使用され、空間において複数の既知点にある機器をさらに含む。方法は、測位対象物を制御して複数の送信電力で複数の測位信号を送信するステップと、複数の既知点にある機器に複数の測位信号を受信させ、前記複数の測位信号強度、複数の対応する受信時間及び前記複数の既知点にある機器の座標をデータベースに記録するステップと、受信した複数の測位信号の中で信号強度が比較的強い既知点にある機器を見つけ出すステップと、データベース内から信号強度-距離関数及び信号強度-距離標準偏差関数を取り出すステップと、信号強度-距離関数及び信号強度-距離標準偏差関数に基づいて測位対象物の機器位置を見つけ出すステップと、を含む。
【0008】
本発明のダイナミックパワー測位システムは、処理モジュールと、データベースと、コンピューティングモジュールと、を含む。処理モジュールは、測位対象物を制御して複数の送信電力で複数の測位信号を送信し、複数の既知点にある機器に複数の測位信号を受信させるために用いられる。データベースは、処理モジュールに電気的に接続され、信号強度-距離関数及び信号強度-距離標準偏差関数を保存するために用いられ、かつ複数の既知点にある機器が複数の測位信号を受信した後、データベースが前記複数の測位信号強度、複数の対応する受信時間及び前記複数の既知点にある機器の座標を記録することで、処理モジュールが受信した前記複数の測位信号の中で信号強度が比較的強い既知点にある機器を見つけ出す。コンピューティングモジュールは、データベースに電気的に接続され、複数の測位信号の強度、複数の対応する受信時間及び強度が比較的強い既知点にある機器により、信号強度-距離関数及び信号強度-距離標準偏差関数を照会して測位対象物の機器位置を見つけ出すために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係るダイナミックパワー測位システムで設定するシステム構成図である。
【
図2】本発明に係るデータ設定フローを示すフローチャートである。
【
図3】本発明に係るダイナミックパワー測位システムで測位するシステム構成図である。
【
図4】本発明に係るダイナミックパワー測位方法のフローチャートである。
【
図5A】
図4に基づき、本発明に係るダイナミックパワー測位方法の確率分布関連を示す模式図である。
【
図5B】
図4に基づき、本発明に係るダイナミックパワー測位方法の確率分布関連を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
審査官に本発明の技術内容をより理解してもらうため、以下、好ましい実施例を挙げて説明する。
【0011】
まず
図1を参照すると、本発明に係るダイナミックパワー測位システムで設定するシステム構成図である。
【0012】
本発明の一実施例では、ダイナミックパワー測位システム1は、互いに電気的に接続された処理モジュール11と、データベース12と、コンピューティングモジュール13と、を含む。ダイナミックパワー測位システム1は、空間内で既知点にある機器50(
図3)を利用して測位対象物40の機器位置を見つけ出す。測位対象物40を見つけ出す前、前記ダイナミックパワー測位システム1は、先に試験用送信機20及び受信機30を利用して必要なデータを確立することもできるが、本発明はそれに限定されない。試験用送信機20、受信機30、測位対象物40及び既知点にある機器50は、いずれも無線信号を送信及び受信でき、この無線信号がブルートゥース信号であってもよく、かつ試験用送信機20、受信機30、測位対象物40及び既知点にある機器50が同じ又は異なる家電製品、コンピュータ或いはモバイルデバイスなどであってもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【0013】
ダイナミックパワー測位システム1が備えた各モジュールは、ハードウェアデバイス、ハードウェアデバイスと組み合わされたソフトウェア、ハードウェアデバイスと組み合わされたファームウェアなどの方式によって構築できることに留意されたい。例えば、コンピュータプログラム製品をコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納し、読み取って実行して本発明の様々な機能を達成することができるが、本発明は上記方式に限定されない。またこの実施形態は、本発明の好ましい実施例を例示するのみであり、冗長な説明を避けるため、変更のすべての可能な組み合わせは詳細に説明されない。しかしながら、上記の各モジュール又は構成要素は必ずしも必要ではないことを当業者は理解すべきである。かつ本発明を実施するために、他のより詳細な従来のモジュール又は構成要素も含めることができる。各モジュール又は構成要素は、必要に応じて省略或いは変更する可能性があり、かつ任意の2つのモジュール間に他のモジュール又は構成要素が存在する場合がある。処理モジュール11、データベース12又はコンピューティングモジュール13は、同じデバイ内にインストール或いは異なるデバイス内にそれぞれインストールされてもよいし、若しくは試験用送信機20、受信機30、測位対象物40又は既知点にある機器50のうちのいずれか機器内にインストールさせることができるが、本発明はそれに限定されない。
【0014】
したがって、本発明の一実施例では、前記処理モジュール11は、前記試験用送信機20の複数の送信電力を設定するため、試験用送信機20が複数の試験信号を送信できる。次に、受信機30に前記試験用送信機20から対応する複数距離で、複数の試験信号を受信させ、例えば10cm、20cm又は1m~6m範囲の異なる距離で、それぞれ異なる送信電力で異なる試験信号を送信する。ただし、本発明はこの値に限定されない。これにより、前記処理モジュール11は、前記受信機30が受信した複数の試験信号強度を検出することで、前記複数の試験信号強度及び前記対応する複数距離を前記データベース12に記録する。最後に前記コンピューティングモジュール13は、データベース12の数値計算により信号強度-距離関数及び信号強度-距離標準偏差関数を得ると共に前記データベース12内にリストアする。
【0015】
次に、
図2を参照すると、本発明に係るデータ設定フローを示すフローチャートである。ここで、上記ダイナミックパワー測位システム1を例として本発明に係るデータ設定フローを説明したが、本発明に係るデータ設定フローは、上記と同じ構造で使用されるダイナミックパワー測位システム1に限定されないことに留意されたい。
【0016】
まず、試験用送信機の複数の送信電力を設定し、前記試験用送信機が対応する複数距離で複数の試験信号を受信機に送信させるステップ201を実行する。
【0017】
まず、前記処理モジュール11は、前記試験用送信機20の複数の送信電力を設定する。したがって、試験用送信機20は、複数の試験信号を送信でき、次に受信機30に前記試験用送信機20から対応する複数距離(例:10cm、20cm又は1m~6m範囲の異なる距離)で、前記複数の試験信号を受信させる。
【0018】
次に、前記受信機が受信した複数の試験信号強度を検出するステップ202を実行する。
【0019】
次に、処理モジュール11は、受信機30が受信したすべての信号強度を検出する。
【0020】
さらに、前記複数の試験信号強度及び前記対応する複数距離をデータベースに記録するステップ203を実行する。
【0021】
さらに、処理モジュール11は、受信機30が受信した全ての試験信号の強度及び前記試験信号に対応する距離をデータベース12内に保存される。
【0022】
最後に、信号強度-距離関数及び信号強度-距離標準偏差関数を算出すると共に前記データベースにリストアするステップ204を実行する。
【0023】
最後に、前記コンピューティングモジュール13は、上記のすべての信号の強度及び前記信号の対応する距離によって計算すると、異なる送信電力ごとについて計算して信号強度-距離関数及び信号強度-距離標準偏差関数を得ることで、受信機30が受信した信号強度と試験用送信機20との間の距離関係及びその標準偏差を知ることができる。これにより前記データベース12内にリストアする。このようにして、本発明に係るデータ設定フローを完了することができる。
【0024】
次に
図3を参照すると、本発明に係るダイナミックパワー測位システムで測位するシステム構成図である。
【0025】
信号強度-距離関数及び信号強度-距離標準偏差関数がデータベース12に確立された後、ダイナミックパワー測位システム1は既知点にある機器50を利用して空間内において測位対象物40の機器位置を見つけ出すことができる。本発明の一実施形態では、先にデータ設定フローを直接実行する方式により信号強度-距離関数及び信号強度-距離標準偏差関数を得るが、本発明は毎回データ設定フローを実行してデータベース12内で信号強度-距離関数及び信号強度-距離標準偏差関数を確立することに限定されないことに留意されたい。これらの信号強度-距離関数及び信号強度-距離標準偏差関数は、測位対象物40又は既知点にある機器50に予め設定することができる。
【0026】
このように、前記処理モジュール11は、前記測位対象物40を制御して複数の送信電力で複数の測位信号を送信し、前記複数の既知点にある機器50に前記複数の測位信号を受信させると共に前記複数の測位信号強度、複数の対応する受信時間及び複数の既知点にある機器50の位置を前記データベース12に記録する。複数の既知点にある機器50は、測位対象物40を識別するため、前記測位対象物40の識別子も受信する。この識別子はデータベース12にも保存される。これを介して前記処理モジュール11は、受信した前記複数の測位信号の中で信号強度が比較的強い機器、例えば既知点にある機器51、52、53を見つけ出す。最後に前記コンピューティングモジュール13は、既知点にある機器51、52、53の位置から前記信号強度-距離関数及び前記信号強度-距離標準偏差関数に基づいて測位対象物40の機器位置を見つけ出すことができる。
【0027】
測位対象物40の機器位置を見つけ出す詳細方法は、
図4の本発明に係る機器測位フローを示すフローチャートを参照のこと。
【0028】
まず、前記測位対象物を制御し、複数の送信電力で複数の測位信号を送信して前記複数の既知点にある機器に前記複数の測位信号を受信させるステップ401を実行する。
【0029】
まず、測位対象物40が空間に入ると、処理モジュール11は、先に測位対象物40を制御して異なる送信電力で測位信号を送信し、このようにして異なる既知点にある機器50が測位対象物40の測位信号を受信できる。複数の既知点にある機器50は、前記測位対象物40の識別子も受信できる。
【0030】
次に、前記複数の測位信号強度、複数の対応する受信時間及び前記複数の既知点にある機器の座標を記録するステップ402を実行する。
【0031】
測位対象物40は、異なる送信電力で測位信号を送信するため、既知点にある機器50が測位信号を受信した後、すべての測位信号、対応する受信時間及び既知点にある機器50の座標をデータベース12に送り返す。
【0032】
さらに、受信した前記複数の測位信号の中で信号強度が比較的強い前記既知点にある機器を見つけ出すステップ403を実行する。
【0033】
処理モジュール11は、データベース12のデータから複数の測位信号の中で受信した信号強度が比較的強い前記既知点にある機器51、52、53を見つけ出す。
【0034】
次に、前記信号強度-距離関数及び前記信号強度-距離標準偏差関数に基づいて複数異なる電力における機器の複数の確率分布平面を得るステップ404を実行する。
【0035】
次に、コンピューティングモジュール13は、前記複数の測位信号の強度、前記複数の対応する受信時間及び前記強度が比較的強い前記既知点にある機器に応じて、前記信号強度-距離関数及び前記信号強度-距離標準偏差関数を照会し、既知点にある機器51、52、53の固定点座標を円心とし、信号強度-距離関数に従ってこの信号強度下での距離を求めて得られ、すなわち、この距離をベース半径として設定する。さらに、信号強度-距離標準偏差関数でこの信号強度下での距離標準偏差を求めて得られ、すなわち、この標準偏差を半径調整の準拠として設定する。これにより、異なる電力における既知点にある機器51、52、53の複数の確率分布平面を算出する。
【0036】
図5A乃至5Bを同時参照すると、
図4に基づき、本発明に係るダイナミックパワー測位方法の確率分布関連を示す模式図である。
【0037】
例えばこの実施形態では、高、中、低電力下で既知点にある機器51、52、53が受信した測位信号に可能な9つの確率分布平面A1~A9を得ることができる。確率分布平面A1~A3は、各々高電力下での既知点にある機器51、52、53の確率分布であり、確率分布平面A4~A6が各々中電力下での既知点にある機器51、52、53の確率分布であり、確率分布平面A7~A9が各々低電力下での既知点にある機器51、52、53確率分布である。
【0038】
さらに、前記複数の確率分布平面を乗算した後、最終的な確率分布平面を得るステップ405を実行する。
【0039】
次に、コンピューティングモジュール13は、9つの確率分布平面A1~A9を乗算する、すなわち、確率分布平面A1~A3を先に乗算して計算の確率分布平面B1が得られ、確率分布平面A4~A6を乗算して計算の確率分布平面B2が得られ、確率分布平面A7~A9を乗算して計算の確率分布平面B3が得られる。最後に、計算の確率分布平面B1~B3を乗算すると、最終的な確率分布平面C1が得られる。
【0040】
最後に、前記測位対象物の前記機器位置として設定するため、前記最終的な確率分布平面から最大確率位置を見つけ出すステップ406を実行する。
【0041】
最後に、コンピューティングモジュール13は、最終的な確率分布平面C1から最大確率位置を見つけ出して最大確率位置を前記測位対象物40の前記機器位置41として設定すると、測位対象物40の座標を知ることができる。
【0042】
ここで、本発明のダイナミックパワー測位方法は、上記のステップ順序に限定されず、本発明の目的が達成される限り、上記のステップ順序を変更することもできることに留意されたい。
【0043】
本発明に係るダイナミックパワー測位方法及びダイナミックパワー測位システム1を通じると、多くの追加の検知モジュールを設置することなく、測位対象物40の位置を見つけ出すことができる。
【0044】
上記をまとめて、本発明は、目的、手段及び効果を問わず、従来の技術とは全く異なるその特性を示す。審査官は、何卒ご審理の上、速やかに特許査定賜りますようお願いする次第である。上記の実施形態は説明の便宜上の例に過ぎず、本発明の権利の範囲は、上記実施例に限定されるのではなく、特許請求の範囲に基づくべきであることに留意されたい。
〔付記1〕
空間内の測位対象物の機器位置を見つけ出すため、ダイナミックパワー測位システムで使用され、空間において複数の既知点にある機器をさらに含むダイナミックパワー測位方法であって、
測位対象物を制御して複数の送信電力で複数の測位信号を送信するステップと、
複数の既知点にある機器に前記複数の測位信号を受信させ、前記複数の測位信号強度、複数の対応する受信時間及び前記複数の既知点にある機器の座標をデータベースに記録するステップと、
受信した前記複数の測位信号の中で信号強度が比較的強い前記既知点にある機器を見つけ出すステップと、
前記データベース内から信号強度-距離関数及び信号強度-距離標準偏差関数を取り出すステップと、
前記信号強度-距離関数及び前記信号強度-距離標準偏差関数に基づいて前記測位対象物の前記機器位置を見つけ出すステップと、
を含む、ダイナミックパワー測位方法。
〔付記2〕
前記信号強度-距離関数及び前記信号強度-距離標準偏差関数に基づいて信号強度が比較的強い複数の前記既知点にある機器及びその機器の複数異なる電力における機器の複数の確率分布平面を得るステップと、
前記複数の確率分布平面を乗算した後、最終的な確率分布平面を得るステップと、
前記測位対象物の前記機器位置として設定するため、前記最終的な確率分布平面から最大確率位置を見つけ出すステップと、
をさらに含む、付記1に記載のダイナミックパワー測位方法。
〔付記3〕
信号強度が比較的強い3台の前記既知点にある機器を見つけ出すステップをさらに含む、付記1又は2に記載のダイナミックパワー測位方法。
〔付記4〕
前記測位対象物の識別子を受信するステップをさらに含む、付記1に記載のダイナミックパワー測位方法。
〔付記5〕
データ設定フローを実行するステップをさらに含み、前記データ設定フローは、
試験用送信機の複数の送信電力を設定し、前記試験用送信機が対応する複数距離で複数の試験信号を受信機に送信させ、異なる試験信号が異なる送信電力に対応することと、
前記受信機が受信した前記複数の試験信号強度を検出することと、
前記複数の試験信号強度及び前記対応する複数距離を前記データベースに記録することと、
信号強度-距離関数及び信号強度-距離標準偏差関数を算出すると共に前記データベースにリストアすることと、
を含む、付記1に記載のダイナミックパワー測位方法。
〔付記6〕
空間内で測位対象物の機器位置を見つけ出すために用いられ、空間において複数の既知点にある機器をさらに含むダイナミックパワー測位システムであって、
前記測位対象物を制御して複数の送信電力で複数の測位信号を送信し、前記複数の既知点にある機器に前記複数の測位信号を受信させるための処理モジュールと、
前記処理モジュールに電気的に接続され、信号強度-距離関数及び信号強度-距離標準偏差関数を保存し、かつ前記複数の既知点にある機器が前記複数の測位信号を受信した後、データベースが前記複数の測位信号強度、複数の対応する受信時間及び前記複数の既知点にある機器の座標を記録することで、前記処理モジュールが受信した前記複数の測位信号の中で信号強度が比較的強い既知点にある機器を見つけ出すためのデータベースと、
前記データベースに電気的に接続され、前記複数の測位信号の強度、前記複数の対応する受信時間及び前記強度が比較的強い前記既知点にある機器により、前記信号強度-距離関数及び前記信号強度-距離標準偏差関数を照会して前記測位対象物の前記機器位置を見つけ出すためのコンピューティングモジュールと、
を含む、ダイナミックパワー測位システム。
〔付記7〕
前記処理モジュールは、前記信号強度-距離関数及び前記信号強度-距離標準偏差関数に基づいて信号強度が比較的強い複数の前記既知点にある機器、及びその機器の複数異なる電力における機器の複数の確率分布平面を得、したがって、コンピューティングモジュールが前記複数の確率分布平面を乗算した後、最終的な確率分布平面を得、前記測位対象物の前記機器位置として設定するため、前記最終的な確率分布平面から最大確率位置を見つけ出す、付記6に記載のダイナミックパワー測位システム。
〔付記8〕
前記処理モジュールは、信号強度が比較的強い3台の前記既知点にある機器を見つけ出す、付記6又は7に記載のダイナミックパワー測位システム。
〔付記9〕
前記測位対象物の識別子を受信することをさらに含む、付記6に記載のダイナミックパワー測位システム。
〔付記10〕
前記処理モジュールは、複数の試験信号を送信するため、試験用送信機の複数の送信電力を設定し、受信機に前記試験用送信機から対応する複数距離で、前記複数の試験信号を受信させ、異なる試験信号が異なる送信電力に対応し;これにより、前記処理モジュールは、前記受信機が受信した複数の試験信号強度を検出することで、前記複数の試験信号強度及び前記対応する複数距離を前記データベースに記録し、前記コンピューティングモジュールが前記信号強度-距離関数及び前記信号強度-距離標準偏差関数を算出すると共に前記データベース内にリストアさせる、付記6に記載のダイナミックパワー測位システム。
【符号の説明】
【0045】
1 ダイナミックパワー測位システム
11 処理モジュール
12 データベース
13 コンピューティングモジュール
20 試験用送信機
30 受信機
40 測位対象物
41 機器位置
50、51、52、53 既知点にある機器
A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9 確率分布平面
B1、B2、B3 計算の確率分布平面
C1 最終的な確率分布平面