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特許7383582アルミニウム-セラミックス接合基板およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】アルミニウム-セラミックス接合基板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/14 20060101AFI20231113BHJP
   C22C 21/00 20060101ALI20231113BHJP
   B22D 19/00 20060101ALI20231113BHJP
   B22D 21/04 20060101ALI20231113BHJP
   H01L 23/15 20060101ALI20231113BHJP
   C04B 37/02 20060101ALI20231113BHJP
   B22D 18/02 20060101ALN20231113BHJP
【FI】
H01L23/14 M
C22C21/00 E
B22D19/00 E
B22D21/04 A
H01L23/14 C
C04B37/02 C
B22D18/02 L
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020128068
(22)【出願日】2020-07-29
(65)【公開番号】P2022025317
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】506365131
【氏名又は名称】DOWAメタルテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107548
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 浩一
(72)【発明者】
【氏名】小林 幸司
(72)【発明者】
【氏名】坪田 卓真
(72)【発明者】
【氏名】小山内 英世
(72)【発明者】
【氏名】大宅 大介
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-163995(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0086790(US,A1)
【文献】特開2005-103560(JP,A)
【文献】特開2019-141879(JP,A)
【文献】特開平09-036540(JP,A)
【文献】特開2011-166122(JP,A)
【文献】特開2012-199452(JP,A)
【文献】特開平08-208359(JP,A)
【文献】米国特許第06224987(US,B1)
【文献】国際公開第2017/217221(WO,A1)
【文献】特開2003-031720(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0044424(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/14
C22C 21/00
B22D 19/00
B22D 21/04
H01L 23/15
C04B 37/02
B22D 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス基板の一方の面にアルミニウム合金からなるアルミニウム板が直接接合するとともに、他方の面にアルミニウム合金からなるアルミニウムベース板が直接接合したアルミニウム-セラミックス接合基板において、アルミニウムベース板より強度が高い板状の強化部材がアルミニウムベース板の内部に配置されてアルミニウムベース板に直接接合するとともに、アルミニウム合金が、0.01~0.2質量%のマグネシウムと0.01~0.1質量%の珪素を含有し、残部がアルミニウムと不可避不純物からなるアルミニウム合金であることを特徴とする、アルミニウム-セラミックス接合基板。
【請求項2】
前記アルミニウム合金が0.01~0.1質量%のチタンを含有することを特徴とする、請求項1に記載のアルミニウム-セラミックス接合基板。
【請求項3】
前記アルミニウム板の表面の平均結晶粒径が7mm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のアルミニウム-セラミックス接合基板。
【請求項4】
前記アルミニウム板のビッカース硬さHVが23以下であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載のアルミニウム-セラミックス接合基板。
【請求項5】
前記アルミニウム-セラミックス接合基板に-40℃×30分→25℃×10分→150℃×30分→25℃×10分のヒートサイクルを繰り返し1000回加えた後の前記アルミニウム板のビッカース硬さHVが25以下であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載のアルミニウム-セラミックス接合基板。
【請求項6】
前記アルミニウムベース板の熱伝導率が180W/m・K以上であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載のアルミニウム-セラミックス接合基板。
【請求項7】
前記強化部材が、前記アルミニウムベース板の前記セラミックス基板との接合面と平行に延びていることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載のアルミニウム-セラミックス接合基板。
【請求項8】
前記強化部材が、前記アルミニウム合金より融点が高い金属またはセラミックスからなることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載のアルミニウム-セラミックス接合基板。
【請求項9】
前記セラミックス基板が、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素および炭化珪素からなる群から選ばれる1種以上からなることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載のアルミニウム-セラミックス接合基板。
【請求項10】
鋳型内にセラミックス基板と強化部材とを離間して配置させ、鋳型内のセラミックス基板の両面と強化部材の表面に接触するようにアルミニウム合金の溶湯を流し込んで冷却することによって、アルミニウム合金からなるアルミニウム板をセラミックス基板の一方の面に形成してセラミックス基板に直接接合させ、アルミニウム合金からなるアルミニウムベース板をセラミックス基板の他方の面に形成してセラミックス基板に直接接合させるとともに、強化部材をアルミニウムベース板に取り囲まれるように配置してアルミニウムベース板に直接接合させて、アルミニウム-セラミックス接合基板を製造する方法において、アルミニウム合金が、0.01~0.2質量%のマグネシウムと0.01~0.1質量%の珪素を含有し、残部がアルミニウムと不可避不純物からなるアルミニウム合金であることを特徴とする、アルミニウム-セラミックス接合基板の製造方法。
【請求項11】
前記アルミニウム合金が0.01~0.1質量%のチタンを含有することを特徴とする、請求項10に記載のアルミニウム-セラミックス接合基板の製造方法。
【請求項12】
前記強化部材が、前記アルミニウム合金より融点が高い金属またはセラミックスからなることを特徴とする、請求項10または11に記載のアルミニウム-セラミックス接合基板の製造方法。
【請求項13】
前記セラミックス基板が、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素および炭化珪素からなる群から選ばれる1種以上からなることを特徴とする、請求項10乃至12のいずれかに記載のアルミニウム-セラミックス接合基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム-セラミックス接合基板およびその製造方法に関し、特に、珪素含有するアルミニウム合金からなるアルミニウム部材がセラミックス基板に接合したアルミニウム-セラミックス接合基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車や工作機械などの大電流を制御する高信頼性パワーモジュール用の絶縁基板として、セラミックス基板にアルミニウム部材が接合したアルミニウム-セラミックス接合基板が使用されている。このようなアルミニウム-セラミックス接合基板では、半田を介してアルミニウム部材を銅板などの放熱板に接合すると、アルミニウム部材と半田の熱膨張係数の相違のために、ヒートサイクルによって接合界面に応力が発生し、この応力により比較的弱い半田層にクラックが発生して放熱性が低下する場合がある。このような問題を解消するため、アルミニウム部材として(0.2~5重量%の)珪素を含有するアルミニウム合金(アルミニウム-珪素系合金)からなるアルミニウム部材を使用することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、アルミニウム-珪素系合金、特に0.1~1.5重量%の珪素を含有するアルミニウム合金からなるアルミニウム部材を溶湯接合法によりセラミックス基板に接合する場合には、通常の冷却条件の最適化による結晶粒の微細化が難しく、珪素が結晶粒界に過度に析出したり、アルミニウム部材中に珪素の濃縮部が存在してしまうという問題がある。そのため、冷却過程においてアルミニウム部材の熱間割れが生じ、アルミニウム-セラミックス接合基板として機能しない場合がある。また、アルミニウム部材に回路を形成するためにエッチングを行うと、セラミック基板の表面に珪素の濃縮部が溶けずに残ってしまい、アルミニウム-セラミックス接合基板の所望の絶縁特性を得ることができない場合がある。
【0004】
このような問題を解消するため、アルミニウム-珪素系合金にホウ素を添加したアルミニウム-珪素-ホウ素系合金を溶湯接合法によりセラミックス基板に接合することにより、結晶粒を微細化して粒界を増加させて、珪素のマクロ的な偏析を防止し、セラミックス基板の表面に珪素が残留するのを防止し、アルミニウム-セラミックス接合基板の絶縁性を向上させるとともに、放熱板を半田付けした場合にも、ヒートサイクルによる半田クラックの発生を防止し、放熱性の低下を防止することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかし、アルミニウム-珪素-ホウ素系合金からなるアルミニウム部材を溶湯接合法によりセラミックス基板に接合すると、結晶粒が微細化するものの、凝固の際にアルミニウム-ホウ素化合物が晶出して、このアルミニウム-ホウ素化合物が、珪素を固溶したアルミニウムの核として残存し、あるいはデンドライト間隙に残存するため、アルミニウム部材に回路を形成するためにエッチングを行うと、セラミックス基板の表面にアルミニウム-ホウ素化合物が溶けずに残ってしまう場合がある。また、その後に回路にめっきを施すと、その残留したアルミニウム-ホウ素化合物上にめっきが施されて、パタ-ン間の絶縁抵抗不良や外観不良が生じるという問題がある。また、アルミニウム部材の表面に析出したアルミニウム-ホウ素化合物によって、めっき性が低下するという問題もある。
【0006】
このような問題を解消するため、珪素とホウ素を含有するアルミニウム合金からなるアルミニウム部材がセラミックス基板に接合したアルミニウム-セラミックス接合基板において、アルミニウム合金の結晶粒を微細化して粒界を増加させるとともに、アルミニウム-ホウ素化合物の析出を効果的に抑制し、良好にエッチングを行うことができ且つめっき性を向上させることができる、アルミニウム-セラミックス接合基板として、アルミニウム合金からなるアルミニウム部材がセラミックス基板に接合されたアルミニウム-セラミックス接合基板において、アルミニウム合金が、珪素0.1~1.5重量%とホウ素0.02~0.1重量%を含有し、鉄0.005~0.2重量%と、亜鉛、銅、銀およびマグネシウムからなる群から選ばれる1種以上の元素0.005~0.3重量%と、チタン、バナジウムおよびマンガンからなる群から選ばれる1種以上の元素0.001~0.05重量%とのうちのいずれか1種以上の元素を含有し、残部がアルミニウムと不可避不純物とからなるアルミニウム-セラミックス接合基板が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2002-329814号公報(段落番号0010-0021)
【文献】特開2005-252136号公報(段落番号0010-0012)
【文献】特開2007-92159号公報(段落番号0009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献3のアルミニウム-セラミックス接合基板では、アルミニウム合金からなるアルミニウム部材とセラミックス基板との間に接合欠陥となる未接合部が生じたり、接合時や接合後にヒートサイクルが繰り返し加えられたときに、アルミニウム合金とセラミックスの間の熱膨張差による応力の発生によりセラミックス基板にクラックが発生して、耐ヒートサイクル性に劣る場合がある。
【0009】
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、セラミックス基板の一方の面にアルミニウム合金からなるアルミニウム板が直接接合するとともに、他方の面にアルミニウム合金からなるアルミニウムベース板が直接接合したアルミニウム-セラミックス接合基板において、アルミニウム板およびアルミニウムベース板とセラミックス基板との間の接合欠陥が少なく、耐ヒートサイクル性に優れたアルミニウム-セラミックス接合基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、セラミックス基板の一方の面にアルミニウム合金からなるアルミニウム板が直接接合するとともに、他方の面にアルミニウム合金からなるアルミニウムベース板が直接接合したアルミニウム-セラミックス接合基板において、アルミニウムベース板より強度が高い板状の強化部材をアルミニウムベース板の内部に配置してアルミニウムベース板に直接接合させるとともに、アルミニウム合金として、0.01~0.2質量%のマグネシウムと0.01~0.1質量%の珪素を含有し、残部がアルミニウムと不可避不純物からなるアルミニウム合金を使用することにより、アルミニウム板およびアルミニウムベース板とセラミックス基板との間の接合欠陥が少なく、耐ヒートサイクル性に優れたアルミニウム-セラミックス接合基板およびその製造方法を提供することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明によるアルミニウム-セラミックス接合基板は、セラミックス基板の一方の面にアルミニウム合金からなるアルミニウム板が直接接合するとともに、他方の面にアルミニウム合金からなるアルミニウムベース板が直接接合したアルミニウム-セラミックス接合基板において、アルミニウムベース板より強度が高い板状の強化部材がアルミニウムベース板の内部に配置されてアルミニウムベース板に直接接合するとともに、アルミニウム合金が、0.01~0.2質量%のマグネシウムと0.01~0.1質量%の珪素を含有し、残部がアルミニウムと不可避不純物からなるアルミニウム合金であることを特徴とする。
【0012】
このアルミニウム-セラミックス接合基板において、アルミニウム合金が0.01~0.1質量%のチタンを含有してもよい。アルミニウム板の表面の平均結晶粒径は7mm以下であるのが好ましい。アルミニウム板のビッカース硬さHVは23以下であるのが好ましく、アルミニウム-セラミックス回路基板に-40℃×30分→25℃×10分→150℃×30分→25℃×10分のヒートサイクルを繰り返し1000回加えた後のアルミニウム板のビッカース硬さHVは25以下であるのが好ましい。アルミニウムベース板の熱伝導率は180W/m・K以上であるのが好ましい。強化部材は、アルミニウムベース板のセラミックス基板との接合面と平行に延びているのが好ましく、アルミニウム合金より融点が高い金属またはセラミックスからなるのが好ましい。セラミックス基板は、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素および炭化珪素からなる群から選ばれる1種以上からなるのが好ましい。
【0013】
また、本発明によるアルミニウム-セラミックス接合基板の製造方法は、鋳型内にセラミックス基板と強化部材とを離間して配置させ、鋳型内のセラミックス基板の両面と強化部材の表面に接触するようにアルミニウム合金の溶湯を流し込んで冷却することによって、アルミニウム合金からなるアルミニウム板をセラミックス基板の一方の面に形成してセラミックス基板に直接接合させ、アルミニウム合金からなるアルミニウムベース板をセラミックス基板の他方の面に形成してセラミックス基板に直接接合させるとともに、強化部材をアルミニウムベース板に取り囲まれるように配置してアルミニウムベース板に直接接合させて、アルミニウム-セラミックス接合基板を製造する方法において、アルミニウム合金が、0.01~0.2質量%のマグネシウムと0.01~0.1質量%の珪素を含有し、残部がアルミニウムと不可避不純物からなるアルミニウム合金であることを特徴とする。
【0014】
このアルミニウム-セラミックス接合基板の製造方法において、アルミニウム合金が0.01~0.1質量%のチタンを含有してもよい。強化部材は、アルミニウム合金より融点が高い金属またはセラミックスからなるのが好ましく、セラミックス基板は、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素および炭化珪素からなる群から選ばれる1種以上からなるのが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、セラミックス基板の一方の面にアルミニウム合金からなるアルミニウム板が直接接合するとともに、他方の面にアルミニウム合金からなるアルミニウムベース板が直接接合したアルミニウム-セラミックス接合基板において、アルミニウム板およびアルミニウムベース板とセラミックス基板との間の接合欠陥が少なく、耐ヒートサイクル性に優れたアルミニウム-セラミックス接合基板およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明によるアルミニウム-セラミックス接合基板の実施の形態の平面図である。
図2図1のII-II線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明によるアルミニウム-セラミックス接合基板の実施の形態は、図1および図2に示すように、(図示した実施の形態では平面形状が略矩形の)アルミニウム合金からなるアルミニウムベース板10と、このアルミニウムベース板10に一方の面が直接接合した(図示した実施の形態では平面形状が略矩形の)セラミックス基板12と、このセラミックス基板12の他方の面に直接接合した(図示した実施の形態では平面形状が略矩形の)アルミニウム合金からなる回路パターン用のアルミニウム板14とを備えている。また、アルミニウムベース板10の内部には、(図示した実施の形態では平面形状が略矩形の)板状の強化部材16が、アルミニウムベース板10のセラミックス基板12との接合面と略平行な(仮想)平面上に配置され、強化部材16の表面はアルミニウムベース板10に直接接合している。このようにアルミニウムベース板10の内部に配置された強化部材16により、アルミニウム-セラミックス接合基板の反りおよびそのばらつき、特に長手方向の反りおよびそのばらつきを小さくすることができる。
【0018】
なお、アルミニウムベース板10およびアルミニウム板14のアルミニウム合金は、0.01~0.2質量%(好ましくは0.02~0.15質量%)のマグネシウムと0.01~0.1質量%(好ましくは0.02~0.08質量%)の珪素を含有し、残部がアルミニウムと不可避不純物からなるアルミニウム合金(Al-Mg-Si合金)であり、さらに0.01~0.1質量%のチタンを含有するアルミニウム合金(Al-Mg-Si-Ti合金)でもよい。このアルミニウム合金は、純度99.9質量%(3N)のアルミニウムからなる母材にマグネシウムと珪素(さらにチタン)を添加して得られた合金でもよい。
【0019】
(回路パターン用の)アルミニウム板14の表面の平均結晶粒径は、7mm以下であるのが好ましく、6mm以下であるのがさらに好ましい。
【0020】
アルミニウム板のビッカース硬さHVは、23以下であるのが好ましく、20以下であるのがさらに好ましい。また、アルミニウム-セラミックス回路基板に-40℃×30分→25℃×10分→150℃×30分→25℃×10分のヒートサイクルを繰り返し1000回加えた後のアルミニウム板のビッカース硬さHVは25以下であるのが好ましい。
【0021】
アルミニウムベース板の熱伝導率は、180W/m・K以上であるのが好ましく、200W/m・K以上であるのがさらに好ましい。
【0022】
セラミックス基板12は、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素および炭化珪素からなる群から選ばれる1種以上からなるのが好ましい。
【0023】
強化部材16は、アルミニウムベース合金より融点および強度が高い金属やセラミックスからなるのが好ましく、窒化アルミニウムからなるのがさらに好ましい。
【0024】
上記の実施の形態のアルミニウム-セラミックス接合基板は、鋳型内にセラミックス基板12と強化部材16とを離間して配置させ、鋳型20内のセラミックス基板12の両面と強化部材16の表面に接触するようにアルミニウム合金の溶湯を流し込んで冷却することによって製造することができる。
【実施例
【0025】
以下、本発明によるアルミニウム-セラミックス接合基板およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
【0026】
[実施例1]
まず、カーボン製の鋳型内に、120mm×92mm×1mmの大きさのAlNからなるセラミックス基板と126mm×94mm×1mmの大きさのAlNからなる強化部材とを2.6mm離間して配置させ、この鋳型を炉内に入れ、炉内を窒素雰囲気にして酸素濃度を4ppm以下まで低下させた。この状態でヒーターの温度制御によって鋳型を720℃まで加熱した後、720℃まで加熱した(0.025質量%のマグネシウムと0.04質量%の珪素と0.02質量%のチタンを含有し、残部がアルミニウムと不可避不純物(0.04質量%未満の鉄と0.02質量%未満のホウ素)からなる)アルミニウム合金の溶湯を、鋳型の注湯口に取り付けられた注湯ノズルから、窒素ガスによって加圧して、溶湯の表面の酸化皮膜を取り除きながら、鋳型内に流し込んで充填した後、注湯ノズルから注湯口に窒素ガスを吹き込むことによって、鋳型内の溶湯を加圧したまま約20℃/分の冷却速度で冷却して溶湯を凝固させ、その後、約50℃/分の冷却速度で冷却した。このようにして、所謂溶湯接合法により、126mm×94mm×1mmの大きさの強化部材が内部に配置されて直接接合した140mm×100mm×4mmの大きさのアルミニウムベース板が120mm×92mm×1mmの大きさのセラミックス基板の一方の面に直接接合するとともに、セラミックス基板の他方の面に114mm×86mm×0.4mmの大きさの回路パターン用のアルミニウム板が直接接合した金属-セラミックス接合基板を製造した。
【0027】
このようにして得られたアルミニウム-セラミックス接合基板の回路パターン用のアルミニウム板の表面を苛性ソーダで洗浄し、バフ研磨し、塩化第二鉄溶液によってエッチング処理を行った後、その表面を光学顕微鏡により観察して、その表面の平均結晶粒径をJIS H0501の切断法に準じた方法により求めたところ、1mm以下であった。また、このアルミニウム-セラミックス接合基板のアルミニウムベース板(のアルミニウム合金)の熱伝導率をレーザーフラッシュ法により求めたところ、206W/m・Kであった。
【0028】
また、得られた金属-セラミックス接合基板の回路パターン用のアルミニウム板の表面を苛性ソーダで洗浄し、バフ研磨した後、その回路パターン用のアルミニウム板の表面にレジストを形成し、塩化第二鉄溶液によってエッチング処理を行うことにより、回路パターン用のアルミニウム板の不要部分を除去して所望の回路パターンのアルミニウム回路板を形成し、その後、レジスト剥離液によりレジストを剥離して、アルミニウム-セラミックス回路基板を作製した。
【0029】
このようにして作製したアルミニウム-セラミックス回路基板のアルミニウム回路板の表面の一部に厚さ5μmのニッケルめっき皮膜を形成した後、窒素雰囲気中において280℃で3分間加熱した後に360℃で3分間加熱する耐熱試験を行って、肉眼で観察したところ、ニッケルめっき皮膜の膨れはなかった。また、ニッケルめっき皮膜上にチップ部品を半田付けした後、アルミニウム-セラミックス回路基板に-40℃×30分→25℃×10分→150℃×30分→25℃×10分のヒートサイクルを繰り返し1000回加えた後でも、チップ部品の割れはなかった。
【0030】
また、作製したアルミニウム-セラミックス回路基板について、セラミックス基板とアルミニウム回路板との接合部を超音波探傷装置(SAT)(日立建機ファインテック株式会社製のFS100II)により観察したところ、未接合部はなく、また、外観を肉眼で観察したところ、引け巣や粒界割れなどの接合欠陥がなく良好に接合されていた。
【0031】
また、作製したアルミニウム-セラミックス回路基板について、アルミニウム回路板のビッカース硬さHVをマイクロビッカース硬度計(株式会社ミツトヨ製のHM-210)により試験荷重10gfを5秒間加えて測定したところ、ビッカース硬さHVは16.7であった。また、アルミニウム回路板の表面の表面粗さとして算術平均粗さRaを求めたところ、算術平均粗さRaは0.50μmであった。
【0032】
また、作製したアルミニウム-セラミックス回路基板に-40℃×4分→常温×30秒→125℃×4分→常温30秒のヒートショックを繰り返し500回加えた後、1000回加えた後、1500回加えた後、2000回加えた後に、上記と同様の方法により、アルミニウム回路板のビッカース硬さHVを測定したところ、それぞれ17.8、18.3、18.5および18.7であった。また、上記のヒートショックを繰り返し500回加えた後、1000回加えた後に、上記と同様の方法により、アルミニウム回路板の表面の算術平均粗さRaを求めたところ、それぞれ0.84μmおよび1.24μmであった。
【0033】
また、作製したアルミニウム-セラミックス回路基板に-40℃×30分→25℃×10分→150℃×30分→25℃×10分のヒートサイクルを繰り返し100回加えた後、300回加えた後、500回加えた後、1000回加えた後に、上記と同様の方法により、アルミニウム回路板のビッカース硬さHVを測定したところ、それぞれ18.0、18.5、18.6および19.8であり、アルミニウム回路板の表面の算術平均粗さRaを求めたところ、それぞれ0.67μm、0.91μm、1.13μmおよび1.80μmであった。このヒートサイクル1000回後にセラミックス基板にクラックの発生はなかった。
【0034】
[実施例2]
アルミニウム合金中のマグネシウムの含有量を0.05質量%にした以外は、実施例1と同様の方法により、金属-セラミックス接合基板を製造し、回路パターン用のアルミニウム板の表面の平均結晶粒径を求めたところ、1mm以下であった。また、このアルミニウム-セラミックス接合基板のアルミニウムベース板の熱伝導率を、実施例1と同様の方法により求めたところ、204W/m・Kであった。
【0035】
また、実施例1と同様の方法により、アルミニウム-セラミックス回路基板を作製し、そのアルミニウム回路板の表面の一部に形成したニッケルめっき皮膜を耐熱試験後に肉眼で観察したところ、ニッケルめっき皮膜の膨れはなく、ニッケルめっき皮膜上に半田付けしたチップ部品には(ヒートサイクル1000回後でも)割れはなかった。
【0036】
また、実施例1と同様の方法により、セラミックス基板とアルミニウム回路板との接合部を観察したところ、未接合部はなく、引け巣や粒界割れなどの接合欠陥がなく良好に接合されていた。
【0037】
また、実施例1と同様の方法により、アルミニウム-セラミックス回路基板のアルミニウム回路板のビッカース硬さHVを測定し、算術平均粗さRaを求めたところ、ビッカース硬さHVは16.7であり、算術平均粗さRaは0.66μmであった。
【0038】
また、実施例1と同様の方法により、アルミニウム-セラミックス回路基板にヒートショックを繰り返し500回加えた後、1000回加えた後に、アルミニウム回路板のビッカース硬さHVを測定したところ、それぞれ19.1および20.1であり、アルミニウム回路板の表面の算術平均粗さRaを求めたところ、それぞれ0.72μmおよび0.96μmであった。
【0039】
また、実施例1と同様の方法により、アルミニウム-セラミックス回路基板にヒートサイクルを繰り返し100回加えた後、300回加えた後、500回加えた後、1000回加えた後に、アルミニウム回路板のビッカース硬さHVを測定したところ、それぞれ18.8、19.2、20.6および22.2であり、アルミニウム回路板の表面の算術平均粗さRaを求めたところ、それぞれ0.64μm、0.83μm、1.19μmおよび1.91μmであった。このヒートサイクル1000回後にセラミックス基板にクラックの発生はなかった。
【0040】
[実施例3]
アルミニウム合金として、0.025質量%のマグネシウムと0.04質量%の珪素を含有し、残部がアルミニウムと不可避不純物(0.04質量%未満の鉄)からなるアルミニウム合金を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、金属-セラミックス接合基板を製造し、回路パターン用のアルミニウム板の表面の平均結晶粒径を求めたところ、2~5mmであった。
【0041】
また、実施例1と同様の方法により、アルミニウム-セラミックス回路基板を作製し、そのアルミニウム回路板の表面の一部に形成したニッケルめっき皮膜を耐熱試験後に観察したところ、ニッケルめっき皮膜の膨れはなく、ニッケルめっき皮膜上に半田付けしたチップ部品には(ヒートサイクル1000回後でも)割れはなかった。
【0042】
また、実施例1と同様の方法により、セラミックス基板とアルミニウム回路板との接合部を観察したところ、未接合部はなく、引け巣や粒界割れなどの接合欠陥がなく良好に接合されていた。
【0043】
また、実施例1と同様の方法により、アルミニウム-セラミックス回路基板にヒートサイクルを繰り返し1000回加えた後にセラミックス基板にクラックの発生はなかった。
【0044】
[実施例4]
アルミニウム合金として、0.05質量%のマグネシウムと0.04質量%の珪素を含有し、残部がアルミニウムと不可避不純物(0.04質量%未満の鉄)からなるアルミニウム合金を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、金属-セラミックス接合基板を製造し、回路パターン用のアルミニウム板の表面の平均結晶粒径を求めたところ、2~5mmであった。また、このアルミニウム-セラミックス接合基板のアルミニウムベース板の熱伝導率を、実施例1と同様の方法により求めたところ、204W/m・Kであった。
【0045】
また、実施例1と同様の方法により、アルミニウム-セラミックス回路基板を作製し、そのアルミニウム回路板の表面の一部に形成したニッケルめっき皮膜を耐熱試験後に観察したところ、ニッケルめっき皮膜の膨れはなく、ニッケルめっき皮膜上に半田付けしたチップ部品には(ヒートサイクル1000回後でも)割れはなかった。
【0046】
また、実施例1と同様の方法により、セラミックス基板とアルミニウム回路板との接合部を観察したところ、未接合部はなく、引け巣や粒界割れなどの接合欠陥がなく良好に接合されていた。
【0047】
また、実施例1と同様の方法により、アルミニウム-セラミックス回路基板にヒートサイクルを繰り返し1000回加えた後にセラミックス基板にクラックの発生はなかった。
【0048】
[実施例5]
アルミニウム合金として、純度99.9質量%(3N)のアルミニウムに、0.20~0.60質量%の珪素と0.45~0.90質量%のマグネシウムを含有し、残部がアルミニウムと不可避不純物(0.35質量%未満の鉄)からなるアルミニウム合金を添加して得られた合金(0.04質量%の珪素と0.025質量%のマグネシウムを含有し、残部がアルミニウムと不可避不純物(0.04質量%未満の鉄)からなるアルミニウム合金)を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、金属-セラミックス接合基板を製造し、回路パターン用のアルミニウム板の表面の平均結晶粒径を求めたところ、2~5mmであった。
【0049】
また、実施例1と同様の方法により、アルミニウム-セラミックス回路基板を作製し、そのアルミニウム回路板の表面の一部に形成したニッケルめっき皮膜を耐熱試験後に肉眼で観察したところ、ニッケルめっき皮膜の膨れはなく、ニッケルめっき皮膜上に半田付けしたチップ部品には(ヒートサイクル1000回後でも)割れはなかった。
【0050】
また、実施例1と同様の方法により、セラミックス基板とアルミニウム回路板との接合部を観察したところ、未接合部はなく、引け巣や粒界割れなどの接合欠陥がなく良好に接合されていた。
【0051】
また、実施例1と同様の方法により、アルミニウム-セラミックス回路基板のアルミニウム回路板のビッカース硬さHVを測定したところ、19.8であった。
【0052】
また、実施例1と同様の方法により、アルミニウム-セラミックス回路基板にヒートショックを繰り返し500回加えた後、1000回加えた後、1500回加えた後に、アルミニウム回路板のビッカース硬さHVを測定したところ、それぞれ20.4、21.6および21.5であった。
【0053】
また、実施例1と同様の方法により、アルミニウム-セラミックス回路基板にヒートサイクルを繰り返し1000回加えた後にセラミックス基板にクラックの発生はなかった。
【0054】
[実施例6]
アルミニウム合金として、純度99.9質量%(3N)のアルミニウムに、0.20~0.60質量%の珪素と0.45~0.90質量%のマグネシウムを含有し、残部がアルミニウムと不可避不純物(0.35質量%未満の鉄)からなるアルミニウム合金を添加して得られた合金(0.04質量%の珪素と0.05質量%のマグネシウムを含有し、残部がアルミニウムと不可避不純物(0.04質量%未満の鉄)からなるアルミニウム合金)を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、金属-セラミックス接合基板を製造し、回路パターン用のアルミニウム板の表面の平均結晶粒径を求めたところ、2~5mmであった。また、このアルミニウム-セラミックス接合基板のアルミニウムベース板の熱伝導率を、実施例1と同様の方法により求めたところ、195W/m・Kであった。
【0055】
また、実施例1と同様の方法により、アルミニウム-セラミックス回路基板を作製し、そのアルミニウム回路板の表面の一部に形成したニッケルめっき皮膜を耐熱試験後に肉眼で観察したところ、ニッケルめっき皮膜の膨れはなく、ニッケルめっき皮膜上に半田付けしたチップ部品には(ヒートサイクル1000回後でも)割れはなかった。
【0056】
また、実施例1と同様の方法により、セラミックス基板とアルミニウム回路板との接合部を観察したところ、未接合部はなく、引け巣や粒界割れなどの接合欠陥がなく良好に接合されていた。
【0057】
また、実施例1と同様の方法により、アルミニウム-セラミックス回路基板のアルミニウム回路板のビッカース硬さHVを測定したところ、21.4であった。
【0058】
また、実施例1と同様の方法により、アルミニウム-セラミックス回路基板にヒートショックを繰り返し500回加えた後、1000回加えた後、1500回加えた後に、アルミニウム回路板のビッカース硬さHVを測定したところ、それぞれ22.1、24.2および21.4であった。
【0059】
また、実施例1と同様の方法により、アルミニウム-セラミックス回路基板にヒートサイクルを繰り返し1000回加えた後にセラミックス基板にクラックの発生はなかった。
【0060】
[比較例1]
アルミニウム合金に代えて、純度99.9質量%(3N)のアルミニウムを使用した以外は、実施例1と同様の方法により、金属-セラミックス接合基板を製造し、回路パターン用のアルミニウム板の表面の平均結晶粒径を求めたところ、10mm以上であった。また、このアルミニウム-セラミックス接合基板のアルミニウムベース板の熱伝導率を、実施例1と同様の方法により求めたところ、210W/m・Kであった。
【0061】
また、実施例1と同様の方法により、アルミニウム-セラミックス回路基板を作製し、そのアルミニウム回路板の表面の一部に形成したニッケルめっき皮膜を耐熱試験後に肉眼で観察したところ、ニッケルめっき皮膜の膨れはなかったが、ニッケルめっき皮膜上に半田付けしたチップ部品には(ヒートサイクル1000回後に)割れがあった。
【0062】
また、実施例1と同様の方法により、セラミックス基板とアルミニウム回路板との接合部を観察したところ、未接合部はなく、引け巣や粒界割れなどの接合欠陥がなく良好に接合されていた。
【0063】
また、実施例1と同様の方法により、アルミニウム-セラミックス回路基板にヒートサイクルを繰り返し1000回加えた後に、このヒートサイクル1000回後にセラミックス基板にクラックの発生はなかった。
【0064】
[比較例2]
アルミニウム合金として、0.35~0.40質量%の珪素と0.035~0.045質量%のホウ素と0.004~0.015質量%の鉄を含有し、残部がアルミニウムからなるアルミニウム合金を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、金属-セラミックス接合基板を製造し、回路パターン用のアルミニウム板の表面の平均結晶粒径を求めたところ、約1.5mmであった。また、このアルミニウム-セラミックス接合基板のアルミニウムベース板の熱伝導率を、実施例1と同様の方法により求めたところ、190W/m・Kであった。
【0065】
また、実施例1と同様の方法により、アルミニウム-セラミックス回路基板を作製し、そのアルミニウム回路板の表面の一部に形成したニッケルめっき皮膜を耐熱試験後に肉眼で観察したところ、ニッケルめっき皮膜の膨れがあったが、ニッケルめっき皮膜上に半田付けしたチップ部品には(ヒートサイクル1000回後でも)割れはなかった。
【0066】
また、実施例1と同様の方法により、セラミックス基板とアルミニウム回路板との接合部を観察したところ、未接合部があり、引け巣や粒界割れなどの接合欠陥があり良好に接合されていなかった。
【0067】
また、実施例1と同様の方法により、アルミニウム-セラミックス回路基板のアルミニウム回路板のビッカース硬さHVを測定し、算術平均粗さRaを求めたところ、ビッカース硬さHVは20.6であり、算術平均粗さRaは0.73μmであった。
【0068】
また、実施例1と同様の方法により、アルミニウム-セラミックス回路基板にヒートショックを繰り返し1000回加えた後に、アルミニウム回路板のビッカース硬さHVを測定したところ、22.7であり、アルミニウム回路板の表面の算術平均粗さRaを求めたところ、2.11μmであった。
【0069】
また、実施例1と同様の方法により、アルミニウム-セラミックス回路基板にヒートサイクルを繰り返し1000回加えた後に、アルミニウム回路板の表面の算術平均粗さRaを求めたところ、2.23μmであった。このヒートサイクル1000回後にセラミックス基板にクラックの発生はなかった。
【0070】
[比較例3]
アルミニウム合金として、0.30質量%のマグネシウムと0.20質量%の珪素を含有し、残部がアルミニウムと不可避不純物(0.04質量%未満の鉄)からなるアルミニウム合金を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、金属-セラミックス接合基板を製造し、回路パターン用のアルミニウム板の表面の平均結晶粒径を求めたところ、約2mmであった。
【0071】
また、実施例1と同様の方法により、アルミニウム-セラミックス回路基板を作製し、そのアルミニウム回路板の表面の一部に形成したニッケルめっき皮膜を耐熱試験後に肉眼で観察したところ、ニッケルめっき皮膜の膨れがあったが、ニッケルめっき皮膜上に半田付けしたチップ部品には(ヒートサイクル1000回後でも)割れはなかった。
【0072】
また、実施例1と同様の方法により、アルミニウム-セラミックス回路基板のアルミニウム回路板のビッカース硬さHVを測定したところ、ビッカース硬さHVは26.5であった。
【0073】
また、実施例1と同様の方法により、アルミニウム-セラミックス回路基板にヒートサイクルを繰り返し1000回加えた後にセラミックス基板にクラックの発生があった。
【符号の説明】
【0074】
10 アルミニウムベース板
12 セラミックス基板
14 アルミニウム板
16 強化部材
図1
図2