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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】制御装置、プログラム、およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20231113BHJP
   H04W 12/06 20210101ALI20231113BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20231113BHJP
   H04W 4/80 20180101ALI20231113BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20231113BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20231113BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W12/06
H04W84/10 110
H04W4/80
H04W88/06
H04Q9/00 301B
E05B49/00 K
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020128974
(22)【出願日】2020-07-30
(65)【公開番号】P2022025848
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(72)【発明者】
【氏名】内木 一輝
(72)【発明者】
【氏名】古賀 健一
【審査官】新井 寛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/067105(WO,A1)
【文献】特表2019-528387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
H04Q 9/00
E05B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の通信装置との間においてBLE通信規格に準じた無線通信であるBLE通信を行う少なくとも1つのBLE通信部と、
前記他の通信装置との間においてUWB通信規格に準じた無線通信であるUWB通信を行う少なくとも1つのUWB通信部と、
前記BLE通信部による前記BLE通信、および前記UWB通信部による前記UWB通信を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記BLE通信が確立した場合に前記UWB通信が開始されるよう制御し、
前記制御部は、前記BLE通信において前記BLE通信部が送信した第1のBLE信号に対する応答として前記他の通信装置が送信する第2のBLE信号に基づいて、前記BLE通信が確立したか否かを判定し、
前記制御部は、少なくとも1つの前記BLE通信部が受信した前記第2のBLE信号の受信信号強度が規定の閾値を超える場合に前記BLE通信が確立したと判定する、
制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2のBLE信号に基づいて前記他の通信装置の真正性が認められる場合に前記BLE通信が確立したと判定する、
請求項に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第1のBLE信号および前記第2のBLE信号は、前記UWB通信を成立させるための共有情報を、当該制御装置と前記他の通信装置との間で共有するために用いられる信号であり、
前記制御部は、前記BLE通信が確立した場合に、前記共有情報を用いた前記UWB通信が開始されるよう制御する、
請求項1または請求項2のうちいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記BLE通信が確立した場合に、前記UWB通信において送受信される信号の送信または受信に関する処理を前記UWB通信部に開始させる、
請求項1から請求項までのうちいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記BLE通信が確立した場合に、当該制御装置および前記他の通信装置に係る位置関係の推定に用いられる第1のUWB信号を、前記UWB通信部に送信させる、
請求項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記BLE通信が確立した場合に、当該制御装置および前記他の通信装置に係る位置関係の推定に用いられる第1のUWB信号を、前記UWB通信部が受信可能となるように制御する、
請求項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記UWB通信に基づいて当該制御装置および前記他の通信装置が規定の位置関係にあると判定した場合、被制御装置に規定の動作を実行させる、
請求項1から請求項までのうちいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
移動体に搭載される、
請求項1から請求項までのうちいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
コンピュータに
他の通信装置との間においてBLE通信規格に準じた無線通信であるBLE通信を行う少なくとも1つのBLE通信機能と、
前記他の通信装置との間においてUWB通信規格に準じた無線通信であるUWB通信を行う少なくとも1つのUWB通信機能と、
前記BLE通信機能による前記BLE通信、および前記UWB通信機能による前記UWB通信を制御する制御機能と、
を実現させ、
前記制御機能に、前記BLE通信が確立した場合に前記UWB通信が開始されるよう制御させ、
前記制御機能に、前記BLE通信において前記BLE通信機能が送信した第1のBLE信号に対する応答として前記他の通信装置が送信する第2のBLE信号に基づいて、前記BLE通信が確立したか否かを判定させ、
前記制御機能に、少なくとも1つの前記BLE通信機能が受信した前記第2のBLE信号の受信信号強度が規定の閾値を超える場合に前記BLE通信が確立したと判定させる、
プログラム。
【請求項10】
制御装置と、通信装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記通信装置との間においてBLE通信規格に準じた無線通信であるBLE通信を行う少なくとも1つのBLE通信部と、
前記通信装置との間においてUWB通信規格に準じた無線通信であるUWB通信を行う少なくとも1つのUWB通信部と、
前記BLE通信部による前記BLE通信、および前記UWB通信部による前記UWB通信を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記BLE通信が確立した場合に前記UWB通信が開始されるよう制御し、
前記制御部は、前記BLE通信において前記BLE通信部が送信した第1のBLE信号に対する応答として前記通信装置が送信する第2のBLE信号に基づいて、前記BLE通信が確立したか否かを判定し、
前記制御部は、少なくとも1つの前記BLE通信部が受信した前記第2のBLE信号の受信信号強度が規定の閾値を超える場合に前記BLE通信が確立したと判定する、
システム。
【請求項11】
他の通信装置との間においてBLE通信規格に準じた無線通信であるBLE通信を行う少なくとも1つのBLE通信部と、
前記他の通信装置との間においてUWB通信規格に準じた無線通信であるUWB通信を行う少なくとも1つのUWB通信部と、
前記BLE通信部による前記BLE通信、および前記UWB通信部による前記UWB通信を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記BLE通信が確立した場合に前記UWB通信が開始されるよう制御し、
前記制御部は、前記BLE通信において前記BLE通信部が送信した第1のBLE信号に対する応答として前記他の通信装置が送信する第2のBLE信号に基づいて、前記BLE通信が確立したか否かを判定し、
前記制御部は、少なくとも2つ以上の前記BLE通信部が前記第2のBLE信号を受信した場合に前記BLE通信が確立したと判定する、
制御装置。
【請求項12】
コンピュータに
他の通信装置との間においてBLE通信規格に準じた無線通信であるBLE通信を行う少なくとも1つのBLE通信機能と、
前記他の通信装置との間においてUWB通信規格に準じた無線通信であるUWB通信を行う少なくとも1つのUWB通信機能と、
前記BLE通信機能による前記BLE通信、および前記UWB通信機能による前記UWB通信を制御する制御機能と、
を実現させ、
前記制御機能に、前記BLE通信が確立した場合に前記UWB通信が開始されるよう制御させ、
前記制御機能に、前記BLE通信において前記BLE通信機能が送信した第1のBLE信号に対する応答として前記他の通信装置が送信する第2のBLE信号に基づいて、前記BLE通信が確立したか否かを判定させ、
前記制御機能に、少なくとも2つ以上の前記BLE通信機能が前記第2のBLE信号を受信した場合に前記BLE通信が確立したと判定させる、
プログラム。
【請求項13】
制御装置と、通信装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記通信装置との間においてBLE通信規格に準じた無線通信であるBLE通信を行う少なくとも1つのBLE通信部と、
前記通信装置との間においてUWB通信規格に準じた無線通信であるUWB通信を行う少なくとも1つのUWB通信部と、
前記BLE通信部による前記BLE通信、および前記UWB通信部による前記UWB通信を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記BLE通信が確立した場合に前記UWB通信が開始されるよう制御し、
前記制御部は、前記BLE通信において前記BLE通信部が送信した第1のBLE信号に対する応答として前記通信装置が送信する第2のBLE信号に基づいて、前記BLE通信が確立したか否かを判定し、
前記制御部は、少なくとも2つ以上の前記BLE通信部が前記第2のBLE信号を受信した場合に前記BLE通信が確立したと判定する、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、プログラム、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、装置間で信号を送受信した結果に従って認証を行う技術が開発されている。例えば、下記特許文献1では、車載器が携帯機との間で信号を送受信することで携帯機の認証を行い、当該認証の結果に従って車両の制御を行うシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-71190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記システムでは、超広帯域(UWB:Ultra Wide Band)の無線通信により車載器と携帯機10との間の距離を算出する測距を行い、取得した測距値を認証に用いている。このような測距を行うためには、車載器または携帯機のうち一方を、信号が受信可能な状態で待機させておくことが求められる。しかし、上記のような待機時間が長くなるほど消費電力が増加してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、UWB通信に要する消費電力を効果的に抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、他の通信装置との間においてBLE通信規格に準じた無線通信であるBLE通信を行う少なくとも1つのBLE通信部と、前記他の通信装置との間においてUWB通信規格に準じた無線通信であるUWB通信を行う少なくとも1つのUWB通信部と、前記BLE通信部による前記BLE通信、および前記UWB通信部による前記UWB通信を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記BLE通信が確立した場合に前記UWB通信が開始されるよう制御する、制御装置が提供される。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータに他の通信装置との間においてBLE通信規格に準じた無線通信であるBLE通信を行う少なくとも1つのBLE通信機能と、前記他の通信装置との間においてUWB通信規格に準じた無線通信であるUWB通信を行う少なくとも1つのUWB通信機能と、前記BLE通信機能による前記BLE通信、および前記UWB通信機能による前記UWB通信を制御する制御機能と、を実現させ、前記制御機能に、前記BLE通信が確立した場合に前記UWB通信が開始されるよう制御させる、プログラムが提供される。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、制御装置と、通信装置と、を備え、前記制御装置は、前記通信装置との間においてBLE通信規格に準じた無線通信であるBLE通信を行う少なくとも1つのBLE通信部と、前記通信装置との間においてUWB通信規格に準じた無線通信であるUWB通信を行う少なくとも1つのUWB通信部と、前記BLE通信部による前記BLE通信、および前記UWB通信部による前記UWB通信を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記BLE通信が確立した場合に前記UWB通信が開始されるよう制御する、システムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明によれば、UWB通信に要する消費電力を効果的に抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るシステム1の構成例を示すブロック図である。
図2】同実施形態に係るシステム1による処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図3】同実施形態に係るシステム1による処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
<1.実施形態>
<<1.1.システム構成例>>
まず、本発明の一実施形態に係るシステム1の構成例について説明する。図1は、本実施形態に係るシステム1の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係るシステム1は、携帯機10および車載器20を備える。
【0013】
(携帯機10)
まず、本実施形態に係る携帯機10の機構構成について述べる。本実施形態に係る携帯機10は、車載器20が搭載される車両等の移動体を利用するユーザにより携帯される情報処理装置である。本実施形態に係る携帯機10は、例えば、スマートフォンや専用機器であってもよい。
【0014】
また、本実施形態に係る携帯機10は、本発明における制御装置および通信装置の一例である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る携帯機10は、BLE通信部110、UWB通信部120、および制御部130を備える。
【0016】
(BLE通信部110)
本実施形態に係るBLE通信部110は、車載器20との間においてBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)通信規格に準じた無線通信であるBLE通信を行う。本実施形態に係るBLE通信については別途詳細に説明する。
【0017】
(UWB通信部120)
本実施形態に係るUWB通信部120は、車載器20との間においてUWB通信規格に準じた無線通信であるUWB通信を行う。
【0018】
(制御部130)
本実施形態に係る制御部130は、携帯機10が備える各構成を制御する。
【0019】
例えば、本実施形態に係る制御部130は、BLE通信部110によるBLE通信、およびUWB通信部120によるUWB通信を制御する。
【0020】
この際、本実施形態に係る制御部130は、BLE通信が確立した場合にUWB通信が開始されるよう制御を行うこと、を特徴の一つとする。
【0021】
このような制御によれば、UWB通信部120を常にUWB通信が可能な状態とすることを回避し、UWB通信に要する消費電力を効果的に抑制することが可能となる。
【0022】
なお、より具体的には、本実施形態に係る制御部130は、BLE通信が確立した場合に、UWB通信において送受信される信号の送信または受信に関する処理をUWB通信部120に開始させてもよい。
【0023】
上記UWB通信において送受信される信号には、例えば、携帯機10および車載器20の位置関係の推定に用いられる第1のUWB信号および第2のUWB信号が挙げられる。
【0024】
また、上記の携帯機10および車載器20に位置関係には、例えば、携帯機10と車載器20との距離が挙げられる。
【0025】
携帯機10と車載器20との距離は、一方の装置が送信する第1のUWB信号と、他方の装置が第1のUWB信号への応答として送信する第2のUWB信号とに基づく測距により取得される。
【0026】
上記測距においては、一方の装置が第1のUWB信号を送信した時刻から第2のUWB信号を受信する時刻までの時間ΔT1と、他方の装置が第1のUWB信号を受信した時刻から第2のUWB信号を送信する時刻までの時間ΔT2が用いられる。
【0027】
具体的には、時間ΔT1から時間ΔT2を差し引くことによりUWB信号(第1のUWB信号および第2のUWB信号)の往復の通信に要した時間が算出される。また、当該時間を2で割ることによりUWB信号の片道の通信に要した時間が算出される。さらには、(時間ΔT1-時間ΔT2)/2の値に信号の速度を掛けることで、携帯機10と車載器20との間の距離(以下、測距値、とも称する)を得ることが可能である。
【0028】
なお、上記のような測距においては、携帯機10のUWB通信部120が第1のUWB信号を送信し、当該第1のUWB信号への応答として第2のUWB信号を受信してもよい。
【0029】
この場合、制御部130は、車載器20から時間ΔT2に関する情報を取得することで、測距値を取得することができる。なお、この場合、制御部130は、UWB通信部120に測距値を車載器20に対して送信させる。
【0030】
このため、例えば、本実施形態に係る制御部130は、BLE通信が確立した場合、第1のUWB信号を、UWB通信部120に送信させてもよい。
【0031】
上記のような制御によれば、BLE通信が確立され、UWB通信も同様に確立可能なことが推定される状況において、UWB通信部120に第1のUWB信号を送信させることができ、UWB通信の成立が困難な状況において不必要に第1のUWB信号を送信する事態を回避することが可能となる。
【0032】
一方で、携帯機10のUWB通信部120が第1のUWB信号を受信し、当該第1のUWB信号への応答として第2のUWB信号を送信してもよい。
【0033】
なお、この場合、制御部130が、UWB通信部120に時間ΔT2に関する情報を車載器20に対して送信させることで、車載器20が測距値を取得することが可能である。
【0034】
このため、例えば、本実施形態に係る制御部130は、BLE通信が確立した場合、第1のUWB信号を、UWB通信部120が受信可能となるように制御してもよい。
【0035】
すなわち、制御部130は、UWB通信部120を常に受信待機状態(信号を受信するための状態)にさせるのではなく、BLE通信が確立した場合に、UWB通信部120を受信待機状態に遷移させてよい。
【0036】
上記のような制御によれば、UWB通信部120に受信待機状態を取らせるタイミングを車載器20から第1のUWB信号が送信されるタイミングに限定することができ、消費電力を効果的に抑制することが可能となる。
【0037】
なお、本実施形態に係る制御部130が有する機能は、各種のプロセッサにより実現される。
【0038】
以上、本実施形態に係る携帯機10の機能構成例について述べた。なお、上記で説明した機能構成はあくまで一例であり、本実施形態に係る携帯機10の機能構成は係る例に限定されない。例えば、携帯機10は、ユーザによる操作を受け付ける操作部や、各種の情報を表示する表示部などをさらに備えてもよい。本実施形態に係る携帯機10の機能構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0039】
(車載器20)
次に、本実施形態に係る車載器20の機能構成について述べる。本実施形態に係る車載器20は、車両などの移動体に搭載される情報処理装置である。
【0040】
また、本実施形態に係る車載器20は、本発明における制御装置および通信装置の一例である。
【0041】
図1に示すように、本実施形態に係る車載器20は、BLE通信部210、UWB通信部220、および制御部230を備える。
【0042】
(BLE通信部210)
本実施形態に係るBLE通信部210は、携帯機10との間においてBLE通信規格に準じた無線通信であるBLE通信を行う。本実施形態に係る車載器20は、少なくとも1つのBLE通信部210を備える。
【0043】
(UWB通信部220)
本実施形態に係るUWB通信部220は、携帯機10との間においてUWB通信規格に準じた無線通信であるUWB通信を行う。本実施形態に係る車載器20は、少なくとも1つのUWB通信部220を備える。
【0044】
(制御部230)
本実施形態に係る制御部230は、車載器20が備える各構成を制御する。
【0045】
例えば、本実施形態に係る制御部230は、BLE通信部210によるBLE通信、およびUWB通信部220によるUWB通信を制御する。
【0046】
この際、本実施形態に係る制御部230は、BLE通信が確立した場合にUWB通信が開始されるよう制御を行うこと、を特徴の一つとする。
【0047】
このような制御によれば、UWB通信部220を常にUWB通信が可能な状態とすることを回避し、UWB通信に要する消費電力を効果的に抑制することが可能となる。
【0048】
なお、より具体的には、本実施形態に係る制御部230は、BLE通信が確立した場合に、UWB通信において送受信される信号の送信または受信に関する処理をUWB通信部220に開始させてもよい。
【0049】
例えば、上述したように、第1のUWB信号および第2のUWB信号に基づく測距が実施される場合を想定する。
【0050】
この場合、例えば、本実施形態に係る制御部230は、BLE通信が確立した場合、第1のUWB信号を、UWB通信部220に送信させてもよい。
【0051】
上記のような制御によれば、BLE通信が確立され、UWB通信も同様に確立可能なことが推定される状況において、UWB通信部220に第1のUWB信号を送信させることができ、UWB通信の成立が困難な状況において不必要に第1のUWB信号を送信する事態を回避することが可能となる。
【0052】
また、例えば、本実施形態に係る制御部230は、BLE通信が確立した場合、第1のUWB信号を、UWB通信部220が受信可能となるように制御してもよい。
【0053】
上記のような制御によれば、UWB通信部220に受信待機状態を取らせるタイミングを携帯機10から第1のUWB信号が送信されるタイミングに限定することができ、消費電力を効果的に抑制することが可能となる。
【0054】
一方、本実施形態に係る携帯機10および車載器20に位置関係は、携帯機10と車載器20との距離に限定されない。上記位置関係には、例えば、例えば、車載器20を基準とした携帯機10の方向が含まれる。
【0055】
例えば、本実施形態に係る車載器20が2つ以上のUWB通信部220(アンテナ素子)を備える場合、制御部230は、2つ以上のUWB通信部220が受信した携帯機10からの第1のUWB信号の位相差に基づいて当該第1のUWB信号の到来角(AoA:Angle of Arrival)を推定してもよい。
【0056】
この場合、本実施形態に係る制御部230は、BLE通信が確立した場合、第1のUWB信号を、UWB通信部220が受信可能となるように制御してもよい。
【0057】
また、本実施形態に係る制御部230は、携帯機10と車載器20との距離や、車載器20を基準とした携帯機10の方向等の、携帯機10と車載器20との位置関係に基づいて、被制御装置の制御を行う。
【0058】
例えば、本実施形態に係る制御部230は、UWB通信に基づいて携帯機10と車載器20が規定の位置関係にあると判定した場合、被制御装置に規定の動作を実行させてもよい。
【0059】
一例として、制御部230は、UWB通信に基づく測距により取得された携帯機10と車載器20との距離が規定の範囲内にあると判定した場合に、被制御装置に規定の動作を実行させてもよい。
【0060】
また、一例として、制御部230は、UWB通信に基づいて推定した携帯機10の方向が規定の範囲内にあると判定した場合に、被制御装置に規定の動作を実行させてもよい。
【0061】
また、一例としては、制御部230は、携帯機10と車載器20との距離が規定の範囲内にあり、かつ車載器20を基準とした携帯機10の方向が規定の範囲内にあると判定した場合に、被制御訴追に規定の動作を実行させてもよい。
【0062】
上記のような制御によれば、例えば、LF(Low Frequency)帯の信号およびUHF(Ultra High
Frequency)帯の信号を用いた認証に基づき被制御装置を制御する場合と比較して、リレーアタックの懸念を排除することができ、よりセキュアな認証を実現することが可能となる。
【0063】
なお、本実施形態に係る被制御装置としては、例えば、車載器20が搭載される移動体が備えるドアの施錠および解錠を行う錠装置、エンジン、アクセル、ブレーキ、操舵装置、照明装置などが挙げられる。
【0064】
例えば、本実施形態に係る制御部230は、携帯機10および車載器20が規定の位置関係にあると判定した場合、錠装置にドアの解除を指示してもよい。
【0065】
また、例えば、本実施形態に係る制御部230は、携帯機10および車載器20が規定の位置関係にあると判定した場合、エンジンの始動を許可してもよい。
【0066】
また、例えば、本実施形態に係る制御部230は、携帯機10および車載器20が規定の位置関係にあると判定した場合、移動体が自動で駐車スペースに駐車するよう制御を行ってもよい。
【0067】
また、例えば、本実施形態に係る制御部230は、携帯機10および車載器20が規定の位置関係にあると判定した場合、移動体が備えるドアの下方に設けられる照明装置を点灯させることで、ユーザの移動体への搭乗を補助してもよい。
【0068】
上記のような制御によれば、携帯機10および車載器20の位置関係に応じて各種の処理を制御することができ、利便性を高めることが可能となる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態に係る制御部230は、BLE通信が確立した場合に、UWB通信を開始させ、また当該UWB通信に基づいて推定した携帯機10および車載器20の位置関係に基づいて、被制御瀬装置の制御を行ってもよい。
【0070】
また、この際、本実施形態に係る制御部230は、BLE通信においてBLE通信部210が送信した第1のBLE信号に対する応答として携帯機10が送信する第2のBLE信号に基づいて、BLE通信が確立したか否かを判定してもよい。
【0071】
例えば、本実施形態に係る制御部230は、少なくとも1つのBLE通信部210が受信した第2のBLE信号の受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)が規定の閾値を超える場合にBLE通信が確立したと判定してもよい。
【0072】
BLE通信において十分な受信信号強度を得られる環境では、同様にUWB通信においても十分な受信信号強度を得られることが期待でき、より安定したUWB通信、および当該UWB通信に基づく被制御装置の制御を実現することができる。
【0073】
また、例えば、本実施形態に係る制御部230は、少なくとも2つ以上のBLE通信部210が携帯機10からの第2のUWB信号を受信した場合にBLE通信が確立したと判定してもよい。
【0074】
複数のBLE通信部210が携帯機10と通信可能な環境では、同様にUWB通信においても通信が可能なことが期待でき、より安定したUWB通信、および当該UWB通信に基づく被制御装置の制御を実現することができる。
【0075】
また、例えば、本実施形態に係る制御部230は、BLE通信部210が受信した第2のBLE信号に基づいて携帯機10の真正性が認められる場合にBLE通信が確立したと判定してもよい。
【0076】
この場合、例えば、BLE通信部210が送信する第1のBLE信号は、携帯機10のID等の識別子を要求する信号であり、当該第1のBLE信号に対する応答として携帯機10が送信する第2のBLE信号は、上記識別子を含む信号であってもよい。
【0077】
また、例えば、BLE通信部210が送信する第1のBLE信号は、乱数等を含む信号であり、当該第1のBLE信号に対する応答として携帯機10が送信する第2のBLE信号は、上記乱数と予め共有された鍵情報とを用いて計算された計算結果(例えば、ハッシュ関数を用いて算出されたハッシュ値)を含むものであってもよい。
【0078】
上記のような制御によれば、BLE通信において携帯機10の真正性を確かめたうえで、正規の相手とよりセキュアなUWB通信を実現することが可能となる。
【0079】
また、例えば、本実施形態に係る制御部230は、第1のBLE信号および第2のBLE信号の位相差に基づく測距を実行し、取得した測距値が規定の範囲内にある場合にBLE通信が確立したと判定してもよい。
【0080】
携帯機10と車載器20との距離が規定の範囲内である場合、UWB通信がより安定化すること期待でき、当該UWB通信に基づく精度の高い被制御装置の制御を実現することができる。
【0081】
以上、本実施形態に係る制御部230によるBLE通信の確立判定について具体例を挙げて説明した。本実施形態に係る制御部230は、上記で挙げたような判定を単独あるいは組み合わせて行うことで、携帯機10と車載器20との間におけるBLE通信の確立を精度高く判定することができる。
【0082】
なお、制御部230は、BLE通信が確立したと判定した場合、BLE通信部210を制御し、BLE通信が確立したことを示す確立報告を携帯機10のBLE通信部110に対して送信させてもよい。
【0083】
上記の制御によれば、携帯機10の制御部130が、BLE通信が確立したことを把握し、UWB通信部120を制御することが可能となる。
【0084】
一方、携帯機10の制御部130は、上述したような各条件に基づいて、独自にBLE通信が確立したか否かの判定を行ってもよい。
【0085】
ただし、判定の条件として測距値を用いる場合、携帯機10は、送信したBLE信号への応答を車載器20から受信し測距を行う必要がある。このため、車載器20のBLE通信部210は、第2のBLE信号を受信した場合、当該第2のBLE信号への応答として第3のBLE信号を携帯機10に送信してよい。
【0086】
また、本実施形態に係る第1のBLE信号および第2のBLE信号は、UWB通信を成立させるための共有情報を、携帯機10と車載器20との間で共有するために用いられる信号であってもよい。
【0087】
上記共有情報には、例えば、UWB通信に用いる信号のフレーム構成、信号の送信速度に係るレート等に係る情報が挙げられる。また、上記共有情報には、UWB通信における測距信号やデータ信号の暗号化に用いられる暗号鍵(あるいは暗号鍵生成に用いられる乱数等)が含まれてもよい。
【0088】
上記のような第1のBLE信号および第2のBLE信号によれば、BLE通信を用いてUWB通信に要する消費電力を低下させるためだけではなく、UWB通信の確立に必要な共有情報をBLE通信を用いて共有することができ、より効率的な通信が実現可能となる。
【0089】
<<1.2.処理の流れ>>
次に、本実施形態に係るシステム1による処理の流れについて詳細に説明する。図2および図3は、本実施形態に係るシステム1による処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0090】
図1に示す一例の場合、まず、車載器20のBLE通信部210がアドバタイズを送信する(S102)。
【0091】
次に、ステップS102において受信した携帯機10のBLE通信部110が、車載器20のBLE通信部210に対して接続要求を送信する(S104)。
【0092】
次に、ステップS104において接続要求を受信した車載器20のBLE通信部210が、携帯機10のBLE通信部110に対して第1のBLE信号を送信する(S106)。
【0093】
次に、ステップS106において第1のBLE信号を受信した携帯機10のBLE通信部110が、第1のBLE信号への応答として第2のBLE信号を送信する(S108)。
【0094】
次に、車載器20の制御部230が、ステップS108において受信した第2のBLE信号に基づいて、BLE通信の確立に係る判定を行う(S110)。
【0095】
この際、例えば、制御部230は、第2のBLE信号に係る受信信号強度に基づいて、BLE通信の確立を判定してもよい。
【0096】
また、例えば、制御部230は、第2のBLE信号を受信したBLE通信部210の数に基づいて、BLE通信の確立を判定してもよい。
【0097】
また、制御部230は、第2のBLE信号に基づいて携帯機10の真正性を判定し、当該判定の結果に基づいてBLE通信を確立してもよい。
【0098】
制御部230は、ステップS110において、BLE通信が確立したと判定した場合、第1のBLE信号および第2のBLE信号により共有された共有情報を用いたUWB通信が開始されるように制御を行う。
【0099】
例えば、制御部230はBLE通信部210を制御し、BLE通信が確立したことを示す確立報告を携帯機10のBLE通信部110に対して送信させてもよい(S112)。
【0100】
この場合、携帯機10の制御部130は、ステップS112においてBLE通信部110が確立報告を受信したことに基づいて、UWB通信部120を、第1のUWB信号を受信するための受信待機状態へ遷移させる(S114)。
【0101】
また、車載器20の制御部230は、図3に示すように、UWB通信部220を制御し、第1のUWB信号を送信させる(S116)。
【0102】
次に、携帯機10のUWB通信部120が、ステップS116において受信した第1のUW信号への応答として第2のUWB信号を送信する(S118)。
【0103】
次に、車載器20の制御部230が、第1のUWB信号および第2のUWB信号に基づいて取得される携帯機10および車載器20の位置関係に係る判定を行う(S120)。なお、本実施形態に係る第1のUWB信号および第2のUWB信号は、位置関係取得用のパルス系列が暗号化された系列として実装されてもよい。
【0104】
この際、制御部230は、例えば、携帯機10と車載器20との距離が規定の範囲内にあるか否かを判定してもよいし、車載器20を基準とした携帯機10の方向が規定の範囲内にあるか否かを判定してもよい。また、制御部230は、上記距離と方向から計算される携帯機10の位置が規定の範囲内にあるか否かを判定してもよい。
【0105】
制御部230は、ステップS120において携帯機10および車載器20が規定の位置関係にあると判定した場合、続いて被制御装置を制御し規定の動作を実行させる(S122)。
【0106】
以上、本実施形態に係るシステム1による処理の流れについて一例を挙げて説明した。なお、上記で説明した処理の流れはあくまで一例であり、本実施形態に係るシステム1による処理は係る例に限定されない。
【0107】
例えば、上述したように、本実施形態に係る第1のUWB信号は携帯機10により送信されてもよいし、第2のUWB信号は車載器20により送信されてもよい。
【0108】
この場合、車載器20の制御部230は、ステップS110においてBLE通信が確立したと判定した後、UWB通信部220を受信待機状態へ遷移させる。また、携帯機10の制御部130は、ステップS112においてBLE通信部が確立報告を受信したことに基づいて、UWB通信部120に第1のUWB信号を送信させる。
【0109】
また、図3においては、ステップS116~S122における処理をそれぞれ一回ずつ記載しているが、当該各処理は繰り返し実行されてもよい。すなわち、本実施形態に係るシステム1は、BLE通信の確立後、携帯機10の位置補足を継続して実行してもよい。
【0110】
上記のような継続的な処理によれば、例えば、携帯機10が車載器20の搭載される車両のドアの外側付近に位置することが検出された場合に当該ドアを解錠し、その後、携帯機10が移動体の車室内に位置することが検出された場合にはエンジンの始動を許可するなど、携帯機10および車載器20の位置関係に応じた各種の制御を実現することが可能となる。
【0111】
なお、この場合、車載器20は、例えば、エンジンが始動されたこと等をトリガとして、携帯機10の位置補足に係る処理を終了してもよい。この際、当該処理の終了は、UWB通信またはBLE通信のいずれかを介して携帯機10に共有されればよい。
【0112】
一方、例えば、エンジンが停止された場合や、移動体のドアが開扉された場合等には、車載器20は、これらをトリガとして、携帯機10の位置補足を再開してもよい。この場合、車載器20は、図2に示すステップS102におけるアドバタイズの送信から処理を再開してもよい。
【0113】
なお、その後、移動体のドアの施錠が指示された場合や、携帯機10と車載器20との距離が所定距離以上離れた状態が所定時間以上継続した場合、車載器20は、これらをトリガとして携帯機10の位置補足に係る処理を終了してもよい。
【0114】
このように、本実施形態に係るシステム1による処理の流れは柔軟に変形が可能である。
【0115】
<2.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0116】
また、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記録媒体(非一時的な媒体:non-transitory media)に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、コンピュータによる実行時にRAMに読み込まれ、CPUなどのプロセッサにより実行される。上記記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【符号の説明】
【0117】
1:システム、10:携帯機、110:BLE通信部、120:UWB通信部、130:制御部、20:車載器、210:BLE通信部、220:UWB通信部、230:制御部
図1
図2
図3