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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】スイッチ回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/0412 20060101AFI20231113BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20231113BHJP
   H03K 17/04 20060101ALI20231113BHJP
   H03K 17/10 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
H03K17/0412
H03K17/687 G
H03K17/04 E
H03K17/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020159604
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022053029
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉智 聡
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0234095(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0149142(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0302259(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0300552(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0187698(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0009206(US,A1)
【文献】国際公開第2019/009087(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/00-17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波信号の送受信を切り替える高周波スイッチと、
前記高周波スイッチに供給する第1電圧及び第2電圧を生成する第1チャージポンプ回路と、
第1ブースト信号が入力され際のみ動作する第2チャージポンプ回路と、
制御回路から出力された制御信号を前記第1電圧または前記第2電圧にレベルシフトし、フィルタ回路を介して前記高周波スイッチに出力するレベルシフタ回路と、
前記制御信号のエッジを検出すると、前記第1チャージポンプ回路と前記第2チャージポンプ回路を合わせた電流供給能力を一時的に上げるための前記第1ブースト信号を生成するブースト信号発生回路と、
前記第1電圧を第1基準電圧と比較し、前記第1電圧が前記第1基準電圧より低下した場合に第2ブースト信号を発生する第1コンパレータと、
前記第2電圧を第2基準電圧と比較し、前記第2電圧が前記第2基準電圧より上昇した場合に第3ブースト信号を発生する第2コンパレータと、
前記第1ブースト信号、前記第2ブースト信号及び前記第3ブースト信号の論理和を演算する論理和回路と、
を有するスイッチ回路。
【請求項2】
前記高周波スイッチに入力される信号から雑音を分離するための抵抗と、
前記抵抗に並列接続され、前記第1ブースト信号に応じて前記抵抗を一時的にショートさせるスイッチと、
を有する請求項1に記載のスイッチ回路。
【請求項3】
前記ブースト信号発生回路は、前記制御信号を所定時間遅延する遅延回路と、
前記制御信号と、前記遅延回路により遅延された遅延制御信号と、の排他的論理和を演算する排他的論理和回路と、
を有する請求項1または請求項2に記載のスイッチ回路。
【請求項4】
所定の周波数のクロック信号を生成し、前記第1ブースト信号が入力されると、前記所定の周波数よりも高い周波数のクロック信号を生成するオシレータを有する請求項1に記載のスイッチ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、スイッチ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波スイッチ(以下、RFスイッチという)は、携帯の基地局などにおいて無線信号の送受信のときにオン・オフ(送受信の切り替えのため)の切り替え、インピーダンスチューニングの切り替え、周波数バンド変更の切り替えのために用いられる。
【0003】
RFスイッチは、携帯の基地局などにおいて使用されるため、高耐圧化及びスイッチの切り替え時間の高速化が求められているが、高耐圧化及びスイッチの切り替え時間の高速化を両立させることが難しいという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-12536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、実施形態は、RFスイッチの高耐圧化及び切り替えを高速化することができるスイッチ回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のスイッチ回路は、高周波スイッチと、第1チャージポンプ回路と、第2チャージポンプ回路と、レベルシフタ回路と、ブースト信号発生回路と、第1コンパレータと、第2コンパレータと、論理和回路とを有する。高周波スイッチは、高周波信号の送受信を切り替える。第1チャージポンプ回路は、高周波スイッチに供給する第1電圧及び第2電圧を生成する。第2チャージポンプ回路は、第1ブースト信号が入力され際のみ動作する。レベルシフタ回路は、制御回路から出力された制御信号を第1電圧または第2電圧にレベルシフトし、フィルタ回路を介して高周波スイッチに出力する。ブースト信号発生回路は、制御信号のエッジを検出すると、第1チャージポンプ回路と第2チャージポンプ回路を合わせた電流供給能力を一時的に上げるための第1ブースト信号を生成する。第1コンパレータは、第1電圧を第1基準電圧と比較し、第1電圧が第1基準電圧より低下した場合に第2ブースト信号を発生する。第2コンパレータは、第2電圧を第2基準電圧と比較し、第2電圧が第2基準電圧より上昇した場合に第3ブースト信号を発生する。論理和回路は、第1ブースト信号、第2ブースト信号及び第3ブースト信号の論理和を演算する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係わるスイッチ回路を含むスイッチ装置の構成の一例を示す構成図である。
図2】スイッチ回路の構成の一例を示す構成図である。
図3】スイッチ回路のフィルタ回路及びRFスイッチの構成の一例を示す構成図である。
図4】OSCの回路構成の一例を示す回路図である。
図5】チャージポンプ部の構成の一例を示す構成図である。
図6】チャージポンプ回路の回路構成の一例を示す回路図である。
図7】ブースト信号発生回路の回路構成の一例を示す回路図である。
図8】ブースト信号発生回路の入出力信号の波形の一例を示す波形図である。
図9】レベルシフタ回路の回路構成の一例を示す回路図である。
図10】チャージポンプ部の出力電圧、ブースト信号及びOSCの出力信号のシミュレーション結果を示す波形図である。
図11】ブースト信号発生回路を有していない場合のシミュレーション結果を示す波形図である。
図12】ブースト信号発生回路を有している場合のシミュレーション結果を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
図1は、一実施形態に係わるスイッチ回路を含むスイッチ装置の構成の一例を示す構成図である。
【0009】
スイッチ装置1は、スイッチ回路10と、送受信回路11と、制御回路12とを有して構成されている。また、スイッチ装置1には、アンテナANTが接続されている。制御回路12は、スイッチ回路10及び送受信回路11に接続されている。制御回路12がスイッチ回路10及び送受信回路11を制御することで、高周波信号(以下、RF信号と呼ぶ)の送受信を制御する。これにより、スイッチ装置1は、RF信号の送受信などを行うことができる。
【0010】
制御回路12は、スイッチ回路10に後述する制御信号CTRLを出力する。制御回路12からの制御信号CTRLに応じて、スイッチ回路10の切り換えが行われる。
【0011】
図2は、スイッチ回路の構成の一例を示す構成図である。
スイッチ回路10は、ブースト信号発生回路20と、OR回路21と、オシレータ(以下、OSCと呼ぶ)22と、チャージポンプ回路24及び25を備えるチャージポンプ部23と、レベルシフタ回路26と、フィルタ回路27と、RFスイッチ28と、コンパレータ29、30とを有して構成されている。
【0012】
ブースト信号発生回路20には、制御回路12からの制御信号CTRLが入力される。制御信号CTRLは、Lレベルが0V、Hレベルが1.8Vの信号である。ブースト信号発生回路20は、制御信号CTRLがLレベルからHレベルに遷移する立ち上がりエッジ、及び、HレベルからLレベルに遷移する立ち下がりエッジの一方を検出すると、Hレベルのブースト信号(第1ブースト信号)をOR回路21に出力する。
【0013】
OR回路21には、ブースト信号発生回路20からのブースト信号に加え、後述するように、コンパレータ29及び30からHレベルの信号ブースト信号(第2及び第3ブースト信号)が入力される。OR回路21は、ブースト信号発生回路20、コンパレータ29及び30からのブースト信号のいずれか1つがHレベルの場合、Hレベルのブースト信号をOSC22、チャージポンプ回路25及びフィルタ回路27に出力する。
【0014】
OSC22は、所定の周波数のクロック信号(パルス信号)CLKを生成することができる。OSC22は、生成した所定の周波数のクロック信号CLKをチャージポンプ回路24、25に出力する。OSC22は、後述するブースト信号が入力されると、所定の周波数よりも一時的に周波数を上げたクロック信号CLKを生成し、チャージポンプ回路24、25に出力する。
【0015】
第1チャージポンプ回路を構成するチャージポンプ回路24は、例えば3Vの電源VDDまたは0VのグランドGNDが入力されている。チャージポンプ回路24は、クロック信号CLKに応じて電源VDDまたはグランドGNDを昇圧または降圧し、+4.3V(第1電圧)または-3V(第2電圧)を出力する。+4.3Vの出力は、レベルシフタ回路26及びコンパレータ29に入力される。-3Vの出力は、レベルシフタ回路26及びコンパレータ30に入力される。
【0016】
第2チャージポンプ回路を構成するチャージポンプ回路25は、ブースト信号が入力された際のみ動作する。すなわち、チャージポンプ回路25は、チャージポンプ回路24の駆動能力が低下して+4.3V及び-3Vの出力が出せない場合に、電流供給能力を増加させて駆動能力を上げている。
【0017】
レベルシフタ回路26には、制御回路12からLレベルが0V、Hレベルが1.8Vの制御信号CTRLが入力される。レベルシフタ回路26は、制御信号CTRLとして1.8Vが入力されると、+4.3Vにレベルシフトしてフィルタ回路27に出力し、制御信号CTRLとして0Vが入力されると、-3Vにレベルシフトしてフィルタ回路27に出力する。
【0018】
フィルタ回路27は、入力された信号から雑音等をアイソレーションして(分離して)RFスイッチ28に出力する。また、フィルタ回路27は、詳細は後述するが、Hレベルのブースト信号が入力されると、入力された信号をアイソレーションせずにRFスイッチ28に出力する。
【0019】
RFスイッチ28は、入力された信号に基づきスイッチの切り替えを行う。 RFスイッチ28の一端は、アンテナANTに接続され、他端は、送受信回路11に接続されている。このような構成により、スイッチ回路10は、アンテナANTを介して受信したRF信号を送受信回路11に出力したり、送受信回路11から入力されたRF信号をアンテナANTを介して送信したりすることができる。
【0020】
コンパレータ29は、チャージポンプ回路24の+4.3Vの出力電圧と基準電圧ref1とを比較し、出力電圧が基準電圧ref1より低下するとブースト信号(Hレベルの信号)をOR回路21に出力する。
【0021】
コンパレータ30は、チャージポンプ回路24の-3Vの出力電圧と基準電圧ref2とを比較し、出力電圧が基準電圧ref2より上昇するとブースト信号(Hレベルの信号)をOR回路21に出力する。
【0022】
スイッチ回路10は、SOI(Silicon on Insulator)上に形成されてもよい。スイッチ回路10をSOI上に形成することで、高耐圧化を実現することができる。さらに、スイッチ回路10をSOI上に形成することで、バルクCMOSに比べて寄生容量が小さくなる、或いは、シリコン基板に比べてRFスイッチの高速な切り替えを実現することができる。
【0023】
図3は、スイッチ回路のフィルタ回路及びRFスイッチの構成の一例を示す構成図である。
フィルタ回路27は、アイソレーション用の抵抗Rと、抵抗Rに並列接続されたスイッチSWとにより構成されている。アイソレーション用の抵抗Rは、フィルタ回路27側からRFスイッチ28に雑音等が入力されないようにしている。
【0024】
スイッチSWは、ブースト信号に応じてON/OFFを切り替える。スイッチSWは、Hレベルのブースト信号が入力されるとONされ、レベルシフタ回路26の出力をRFスイッチ28に直接入力する。
【0025】
すなわち、Hレベルのブースト信号が入力されると、アイソレーション用の抵抗Rが一時的にショートする。これにより、フィルタ回路27の抵抗値とRFスイッチ28の容量との積で決まるRC時定数を小さくし、RFスイッチ28の切り替え時間を早くしている。
【0026】
RFスイッチ28は、ソース・ドレインが直列に接続された複数のトランジスタTr1を含む。各トランジスタTr1のゲートには、RF信号がフィルタ回路27側に漏れないようにするための耐圧用の抵抗R1の一端が接続されている。複数の抵抗R1の他端は、アイソレーション用の抵抗Rに接続されている。
【0027】
RF信号は、アンテナANTから入力されたり、アンテナANTへ出力されたりする。上述したように、RFスイッチ28の一端はアンテナANTに接続され、他端は送受信回路11に接続される。スイッチ回路10がインピーダンスチューニング時の切り替えに使用される場合は、RFスイッチ28の他端には、キャパシタ、インダクタなどのチューニング用素子が接続される。
【0028】
図4は、OSCの回路構成の一例を示す回路図である。
OSC22は、遅延量を可変することができる複数のインバータINVをリング状に接続して構成されている。OSC22は、ブースト信号が入力されると、複数のトランジスタTr2を介して各インバータINVに供給する電流を増加させ、クロック信号CLKの周波数を上げる構成になっている。
【0029】
なお、OSC22は、複数のインバータINVがリング状に接続されたリングオシレータに限定されるものではなく、所望の周波数のクロック信号CLKを生成することができる構成であれば、他の種類のオシレータであってもよい。
【0030】
図5は、チャージポンプ部の構成の一例を示す構成図である。図6は、チャージポンプ回路の回路構成の一例を示す回路図である。
チャージポンプ回路24は、電源VDDまたはグランドGNDを昇圧または降圧して+4.3Vまたは-3Vを出力する。チャージポンプ回路24は、1つのチャージポンプ回路24によって+4.3Vまたは-3Vに昇圧または降圧できない場合、複数のチャージポンプ回路24aを直列に接続する構成でもよい。チャージポンプ回路25も複数のチャージポンプ回路25aを直列に接続する構成でもよい。
【0031】
チャージポンプ回路24及び25には、OSC22からのクロック信号CLK(+)と、例えばインバータ回路により反転された反転クロック信号CLK(-)が入力される。チャージポンプ回路25には、クロック信号CLK(+)及び反転クロック信号CLK(-)の信号ラインに切替回路25bが設けられている。
【0032】
切替回路25bは、Hレベルのブースト信号が入力された場合、クロック信号CLK及び反転クロック信号CLK(-)をチャージポンプ回路25(又は25a)に入力するように切り替える。これにより、ブースト信号が入力された場合のみ、チャープポンプ25(又は25a)が動作し、チャージポンプ回路24の駆動能力を増強させる。
【0033】
図6に示すように、チャージポンプ回路24は、p型のトランジスタTr3、Tr4、n型のトランジスタTr5、Tr6、及び、コンデンサC1、C2を有して構成されている。クロック信号CLK(+)及び反転クロック信号CLK(-)によりトランジスタTr3~Tr6のON/OFFを制御し、コンデンサC1及びC2に電荷を蓄電またはコンデンサC1及びC2から電荷を放電することで、チャージポンプ回路24は入力信号を昇圧または降圧した出力信号を出力する。
【0034】
チャージポンプ回路25の構成は、図6に示すチャージポンプ回路24の構成と同じである。なお、チャージポンプ回路24及び25の構成は、図6のp型のトランジスタTr3、Tr4、n型のトランジスタTr5、Tr6、及び、コンデンサC1、C2を有する構成に限定されるものではなく、他の構成であってもよい。
【0035】
図7は、ブースト信号発生回路の回路構成の一例を示す回路図である。図8は、ブースト信号発生回路の入出力信号の波形の一例を示す波形図である。
図7に示すように、ブースト信号発生回路20は、遅延回路31と、XOR回路32とを有して構成されている。
【0036】
ブースト信号発生回路20に入力された入力信号(制御信号CTRL)は、遅延回路31と、XOR回路32の一方の端子とに入力される。遅延回路31は、入力信号を所定時間遅延してXOR回路32に出力する。遅延回路31によって所定時間遅延された遅延入力信号は、XOR回路32の他方の端子に入力される。
【0037】
これにより、XOR回路32には、図8に示す入力信号及び遅延入力信号が入力される。入力信号は、時間t1にLレベルからHレベルに切り替わり、時間t3にHレベルからLレベルに切り替わっている。また、遅延入力信号は、遅延回路31によって遅延され、時間t2にLレベルからHレベルに切り替わり、時間t4にHレベルからLレベルに切り替わっている。
【0038】
XOR回路32は、入力された信号レベルが異なる場合にHレベルの信号を出力する。そのため、XOR回路32は、時間t1から時間t2までの間、及び、時間t3から時間t4までの間にHレベルの出力信号(ブースト信号)をOR回路21に出力する。
【0039】
このように、ブースト信号発生回路20は、制御信号CTRLがLレベルからHレベルまたはHレベルからLレベルに切り替わると直ちに出力信号(ブースト信号)をOR回路21に出力する。言い換えると、ブースト信号発生回路20は、制御信号CTRLの立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジを検出すると、直ちにHレベルの出力信号(ブースト信号)をOR回路21に出力する。出力信号のパルス幅は、遅延回路31が入力信号を遅延させる時間(遅延量)によって任意に決めることができる。なお、ブースト信号発生回路20の構成は、制御信号CTRLのエッジを検出することができる構成であれば図7の構成に限定されるものではなく、他の構成であってもよい。
【0040】
図9は、レベルシフタ回路の回路構成の一例を示す回路図である。
レベルシフタ回路26は、複数のトランジスタを有して構成されている。レベルシフタ回路26には、入力として制御信号CTRLと、反転入力として反転された制御信号CTRLとが入力される。
【0041】
レベルシフタ回路26は、Hレベル(1.8V)の制御信号CTRLが入力されると、p型のトランジスタTr7、Tr8がONされ、+4.3Vにレベルシフトした出力信号を出力する。
【0042】
一方、レベルシフタ回路26は、Lレベル(0V)の制御信号CTRLが入力されると、n型のトランジスタTr9、Tr10がONされ、-3Vにレベルシフトした出力信号を出力する。
【0043】
なお、レベルシフタ回路26の構成は、Hレベル及びLレベルの制御信号CTRLを+4.3V及び-3Vにレベルシフトする構成であれば図9の構成に限定されるものではなく、他の構成であってもよい。
【0044】
図10は、チャージポンプ部の出力電圧、ブースト信号及びOSCの出力信号のシミュレーション結果を示す波形図である。
【0045】
制御信号CTRLがHレベルからLレベル(オフからオン)、または、LレベルからHレベル(オンからオフ)に変化するとき、レベルシフタ回路26に貫通電流が流れ、チャージポンプ部23のチャージポンプ回路24の出力電圧が低下する。
【0046】
ブースト信号発生回路20は、制御信号CTRLの信号レベルの変化(立ち上がりまたは立ち下がりエッジ)を検出すると、ブースト信号をOR回路21に出力することで、ブースト信号が直ちにHレベルとなる。
【0047】
また、コンパレータ29及び30は、チャージポンプ部23の出力電圧を基準電圧ref1及びref2と比較し、チャージポンプ部23の出力電圧が低下(または上昇)したことを検出すると、ブースト信号をOR回路21に出力する。これにより、制御信号CTRLの信号レベルの変化の直後以外でもブースト信号がHレベルとなる。
【0048】
ブースト信号は、OSC22及びチャージポンプ部23のチャージポンプ回路25に入力される。ブースト信号がOSC22に入力されることにより、OSC22の出力信号(クロック信号CLK)の周波数が上がり、チャージポンプ部23の出力電圧が上がる。さらに、ブースト信号がチャージポンプ回路25に入力されることにより、チャージポンプ回路25が動作し、チャージポンプ部23の出力電圧が上がる。
【0049】
なお、ブースト信号は、OSC22及びチャージポンプ部23に入力されているが、ブースト信号をOSC22及びチャージポンプ部23のいずれか一方に入れる構成であってもよい。OSC22及びチャージポンプ部23のいずれか一方に入力される構成であっても、チャージポンプ部23の出力電圧を上げることができる。
【0050】
ブースト信号発生回路20は、制御信号CTRLの立ち上がりまたは立ち下がりエッジを検出するとブースト信号をOR回路21に出力する。これにより、OR回路21からブースト信号がOSC22及びチャージポンプ部23に入力される。この結果、RFスイッチ28のゲート電圧を生成するチャージポンプ部23の駆動能力を上げることができるため、RFスイッチ28の切り替え時間を早くすることができる。
【0051】
ここで、スイッチ回路10がブースト信号発生回路20を有していない場合と、ブースト信号発生回路20を有している場合とのシミュレーション結果を図11及び図12を用いて説明する。
【0052】
図11は、ブースト信号発生回路を有していない場合のシミュレーション結果を示す波形図である。図12は、ブースト信号発生回路を有している場合のシミュレーション結果を示す波形図である。
【0053】
スイッチ回路10がブースト信号発生回路20を有していない場合、チャージポンプ回路24の出力電圧の低下(または上昇)が発生した後、コンパレータ29又は30からブースト信号が入力される。そのため、スイッチ回路10がブースト信号発生回路20を有していない場合、制御信号CTRLの信号レベルの切り替わりからT1(nsec)後にブースト信号が発生している。
【0054】
これに対し、スイッチ回路10がブースト信号発生回路20を有している場合、制御信号CTRLのエッジを検出すると直ちにブースト信号が発生する。そのため、スイッチ回路10がブースト信号発生回路20を有している場合、制御信号CTRLの信号レベルの切り替わりからT2(nsec)後にブースト信号が発生している。
【0055】
また、スイッチの切り替えが完了するゲート電圧を-V1(V)に仮定すると、スイッチ回路10がブースト信号発生回路20を有していない場合、T3(usec)でスイッチの切り替えが完了している。これに対して、スイッチ回路10がブースト信号発生回路20を有している場合、T4(usec)でスイッチの切り替えが完了している。
【0056】
スイッチ回路10がブースト信号発生回路20を有している場合は、ブースト信号発生回路20を有していない場合に比べて、スイッチの切り替え時間が所定の時間早くなっており、RFスイッチ28を高速に切り替えることができる。
【0057】
従来、RFスイッチは、携帯の基地局などにおいて使用されるため、高耐圧化及びスイッチの切り替え時間の高速化が求められている。高耐圧化は、RFスイッチを直列接続することで解決することができるが、切り替え時間は、フィルタ回路の抵抗値とRFスイッチの容量との積によるRC時定数で決まるため、高速化には限界がある。
【0058】
従来では、スイッチの切り替えの高速化を図るため、RFスイッチのゲート電圧を決めているチャージポンプ回路の出力電圧の低下または上昇を検出すると、チャージポンプ回路の出力電圧を上昇または低下させるためのブースト信号がチャージポンプ回路に出力されていた。チャージポンプ回路は、ブースト信号に応じてブースト動作を行い、一時的に電流供給能力を上げることで、スイッチの切り替えの高速化を図っていた。
【0059】
しかしながら、チャージポンプ回路の出力電圧の低下または上昇を検出した後にブースト信号を出力することになるため、検出までの時間が必要となり、RFスイッチの切り替えを高速化することができなかった。
【0060】
これに対して、本実施形態のスイッチ回路10は、制御信号CTLRのエッジを検出するブースト信号発生回路20を設け、制御信号CTLRのエッジを検出すると直ちにブースト信号をOSC22及びチャージポンプ回路25に出力する構成となっている。これにより、チャージポンプ回路24及び25の電流供給能力を上げることでRFスイッチ28の切り替えを高速化している。
【0061】
よって、本実施形態のスイッチ回路10によれば、RFスイッチ28の高耐圧化及び切り替を高速化することができる。
【0062】
また、本実施形態では、フィルタ回路27のアイソレーション用の抵抗Rと並列にスイッチSWを設け、ブースト信号が入力された際にアイソレーション用の抵抗Rを一時的にショートさせている。これにより、フィルタ回路27の抵抗値とRFスイッチ28の容量との積で決まるRC時定数を小さくし、RFスイッチ28の切り替え時間を早くしている。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として例示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1…スイッチ装置、10…スイッチ回路、11…送受信回路、12…制御回路、20…ブースト信号発生回路、21…OR回路、22…OSC、23…チャージポンプ部、24,25…チャージポンプ回路、26…レベルシフタ回路、27…フィルタ回路、28…RFスイッチ、29,30…コンパレータ、31…遅延回路、32…XOR回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12