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特許7383602トルク制限機構を備える円形ステープル留め器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】トルク制限機構を備える円形ステープル留め器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/115 20060101AFI20231113BHJP
【FI】
A61B17/115
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020517510
(86)(22)【出願日】2018-09-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 IB2018057298
(87)【国際公開番号】W WO2019064141
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】15/717,343
(32)【優先日】2017-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】フォックス・ウィリアム・ディー
(72)【発明者】
【氏名】バコス・グレゴリー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウス・ジョシュア
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03108823(EP,A2)
【文献】国際公開第2006/004146(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0218813(US,A1)
【文献】国際公開第2015/077139(WO,A1)
【文献】特表2010-504806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/115
F16D 7/04
F16D 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
(a)本体と、
(b)環状配列のステープル成形ポケットを画定するアンビルと、
(c)発射アセンブリであって、
(i)ステープルドライバ、
(ii)デッキ部材、及び
(iii)環状配列のステープル、を備え、前記ステープルドライバが、未発射位置と発射位置との間で作動して、前記環状配列のステープルを、前記デッキ部材を貫通して、前記環状配列のステープル成形ポケットに対して駆動するように動作可能である、発射アセンブリと、
(d)閉鎖アセンブリであって、
(i)前記アンビルと選択的に連結し、前記本体に対して前記アンビルを作動させて、前記アンビルと前記デッキ部材との間に組織を捕捉するように構成されたトロカール、
(ii)前記本体と回転可能に連結されたノブであって、前記ノブの一部が前記本体の外側に位置しており、前記ノブは、前記本体に対して回転して、前記本体に対して前記トロカールを作動させるように構成されている、ノブ、及び
(iii)前記ノブに関連付けられた制限調節機構、を備え、前記制限調節機構は、前記アンビルと前記デッキ部材との間に捕捉された組織が所定の最大クランプ力下で圧縮されるまで、前記ノブを選択的に回転させて、前記トロカール及び前記アンビルを近位側に作動させるように構成され、前記制限調節機構は、前記アンビルと前記デッキ部材との間に捕捉された組織が前記所定の最大クランプ力を超えて圧縮されると、前記ノブに対して滑るように構成されており、前記ノブが前記本体および前記制限調節機構に対して回転するように構成されることによって、前記アンビルと前記デッキ部材との間に捕捉された組織が前記所定の最大クランプ力を超えて圧縮されるように前記本体に対して前記トロカールを作動させることが可能になる、閉鎖アセンブリと、を備える、装置。
【請求項2】
前記制限調節機構が、トルク制限調節ノブを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記トルク制限調節ノブが、前記ノブの近位端と関連付けられている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記トルク制限調節ノブが、近位把持本体と、遠位狭小本体と、を備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ノブが、近位開口部を画定し、前記トルク制限調節ノブの前記遠位狭小本体が、前記ノブの前記近位開口部内に収容されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ノブの前記近位開口部が、環状配列の凹部を画定する内側表面を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記遠位狭小本体が、前記環状配列の凹部のうちの凹部内へと付勢するように構成された接触先端部を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記遠位狭小本体が、バネを更に含み、前記バネが、前記接触先端部を前記環状配列の凹部のうちの前記凹部内へと付勢する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記バネが、変形するように構成されており、それにより、前記アンビルと前記デッキ部材との間に捕捉された組織が前記所定の最大クランプ力を超えて圧縮されると、前記接触先端部が前記環状配列の凹部から滑り出る、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ノブの前記近位開口部が、環状配列の突起部を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項11】
前記トルク制限調節ノブが、弾性アームと、係合タブと、を含み、前記弾性アームが、前記環状配列の突起部間で前記係合タブを付勢するように構成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記弾性アームが、変形するように構成されており、それにより、前記アンビルと前記デッキ部材との間に捕捉された組織が前記所定の最大クランプ力を超えて圧縮されると、前記係合タブが前記環状配列の突起部に対してカム駆動し得る、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記ノブが、タブを含む弾性外側部分を備え、前記制限調節機構が、突起部を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記突起部は、前記アンビルと前記デッキ部材との間に捕捉された組織が前記突起部と前記タブとの間のカム駆動を介して前記所定の最大クランプ力を超えて圧縮されると、前記弾性外側部分を外向きに屈曲させるように構成されている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記タブが、第1の傾斜面を有し、前記突起部が、第2の傾斜面を有する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記タブが、第1の平坦面を有し、前記突起部が、第2の平坦面を有する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
装置であって、
(a)本体と、
(b)環状配列のステープル成形ポケットを画定するアンビルと、
(c)発射アセンブリであって、
(i)ステープルドライバ、
(ii)デッキ部材、
(iii)環状配列のステープル、を備え、前記ステープルドライバが、未発射位置と発射位置との間で作動して、前記環状配列のステープルを、前記デッキ部材を貫通して、前記環状配列のステープル成形ポケットに対して駆動するように動作可能である、発射アセンブリと、
(d)閉鎖アセンブリであって、
(i)前記アンビルと選択的に連結し、前記本体に対して前記アンビルを作動させて、前記アンビルと前記デッキ部材との間に組織を捕捉するように構成されたトロカール、
(ii)前記本体に対して回転して、前記トロカールを作動させるように構成されたノブであって、前記ノブの一部が前記本体の外側に位置している、ノブ、及び
(iii)最大トルク値までの前記ノブの回転を駆動させるように構成されたトルク制限調節機構、を備え、前記トルク制限調節機構は、前記ノブを回転させるためのトルクが前記最大トルク値に到達したことに応答して、前記ノブに対して移動するように更に構成されている、閉鎖アセンブリと、を備え、
前記ノブが前記本体に対して回転するように構成されることによって、前記トルクが前記最大トルク値を上回るように前記トロカールを作動させることが可能になる、装置。
【請求項18】
前記トルク制限調節機構が、スリップクラッチを備える、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記スリップクラッチが、付勢部材を備える、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
装置であって、
(a)本体と、
(b)環状配列のステープル成形ポケットを画定するアンビルと、
(c)発射アセンブリであって、
(i)ステープルドライバ、
(ii)デッキ部材、
(iii)環状配列のステープル、を備え、前記ステープルドライバが、未発射位置と発射位置との間で作動して、前記環状配列のステープルを、前記デッキ部材を貫通して、前記環状配列のステープル成形ポケットに対して駆動するように動作可能である、発射アセンブリと、
(d)閉鎖アセンブリであって、
(i)前記アンビルと選択的に連結し、前記本体に対して前記アンビルを作動させて、前記アンビルと前記デッキ部材との間に組織を捕捉するように構成されたトロカール、
(ii)前記本体に対して回転して、前記トロカールを作動させるように構成されたノブであって、前記ノブの一部が前記本体の外側に位置している、ノブ、及び
(iii)最大トルク値までの前記ノブの回転を駆動させるように構成されたスリップクラッチ、を備え、前記スリップクラッチは、前記ノブを回転させるためのトルクが前記最大トルク値に到達したことに応答して、滑るように構成されている、閉鎖アセンブリと、を備え、
前記ノブが前記本体に対して回転するように構成されることによって、前記トルクが前記最大トルク値を上回るように前記トロカールを作動させることが可能になる、装置。
【請求項21】
前記本体の外側に位置している前記ノブの前記一部がユーザに把持可能に構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記ノブは、ユーザによって回転可能である、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
いくつかの外科手術(例えば、大腸外科手術、肥満外科手術、胸部外科手術など)において、患者の消化管の一部(例えば、胃腸管及び/又は食道など)は、望ましくない組織を除去するために又はその他の理由によって、切除される場合がある。組織を取り除いた後、端々吻合により、消化管の残りの部位を相互に結合させ得る。端々吻合により、吻合部位から、いかなる種類の漏れを生じることもなく、消化管の1つの部位から消化管の他の部位へ、実質的に遮るもののない流路が提供され得る。
【0002】
端々吻合を提供するために用いられ得る器具の1つの例としては、円形ステープラがある。いくつかのそのようなステープラは、組織の層をクランプし、クランプした組織の層を切断し、かつクランプした組織の層を貫通してステープルを駆動し、組織層の切断端部の近傍で組織の層を実質的に相互に封止して、解剖学的管腔の切断された2つの端部を一体に接合するように動作可能である。円形ステープラは、組織を切断し、かつ実質的に同時にその組織を封止するように構成され得る。例えば、円形ステープラは、吻合において環状配列のステープルに対して内側である余分な組織を切断して、吻合で接合される解剖学的管腔部間の実質的に滑らかな移行を提供し得る。円形ステープラは、開腹手術において、又は内視鏡手術において用いられ得る。いくつかの例では、円形ステープラの一部分は、患者の身体に元々ある開口部を通して挿入される。
【0003】
円形ステープラの例は、1993年4月27日に発行された米国特許第5,205,459号、発明の名称「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」;1993年12月21日に発行された米国特許第5,271,544号、発明の名称「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」;1994年1月4日に発行された米国特許第5,275,322号、発明の名称「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」;1994年2月15日に発行された米国特許第5,285,945号、発明の名称「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」;1994年3月8日に発行された米国特許第5,292,053号、発明の名称「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」;1994年8月2日に発行された米国特許第5,333,773号、発明の名称「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」;1994年9月27日に発行された米国特許第5,350,104号、発明の名称「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」;及び1996年7月9日に発行された米国特許第5,533,661号、発明の名称「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」;並びに2014年12月16日に発行された米国特許第8,910,847号、発明の名称「Low Cost Anvil Assembly for a Circular Stapler」に記載されている。上に引用した米国特許の各々の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
様々な種類の外科用ステープル留め器具及び関連構成要素が作製され使用されてきたが、本発明者(ら)以前には、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を誰も作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本明細書は、本技術を具体的に指摘し、かつ明確にこの技術を特許請求する、特許請求の範囲により完結するが、本技術は、以下のある特定の実施例の説明を添付図面と併せ読むことでよりよく理解されるものと考えられ、図面において同様の参照符号は同じ要素を特定する。
図1】例示的な外科用円形ステープル留め器具の側立面図である。
図2図1の外科用器具の例示的なアンビルの斜視図である。
図3図2のアンビルの別の斜視図である。
図4図2のアンビルの分解側立面図である。
図5図1の外科用器具のステープル留めヘッドアセンブリの斜視図である。
図6図5のステープル留めヘッドアセンブリの分解斜視図である。
図7A】未発射位置にあるトリガ、及びロック位置にあるロックアウト機構を示す、本体の一部を取り除いた、図1の外科用器具の例示的なアクチュエータハンドルアセンブリの拡大側立面図である。
図7B】発射位置にあるトリガ、及びロック解除位置にあるロックアウト機構を示す、図7Aのアクチュエータハンドルアセンブリの拡大側立面図である。
図8】表示窓及び表示レバーを示す、図1の外科用器具の例示的な表示器アセンブリの拡大部分斜視図である。
図9】例示的な表示バー及び例示的な対応するステープルを描いた図を示す、図10の表示窓の線図である。
図10A】アンビルが組織の第1の管状部分内にあり、ステープル留めヘッドアセンブリが組織の第2の管状部分内にある、第1の開放位置にある図2のアンビルを示す、図5のステープル留めヘッドアセンブリの拡大長手方向断面図である。
図10B】アンビルが組織の第1の管状部分内にあり、ステープル留めヘッドアセンブリが組織の第2の管状部分内にある、閉鎖位置にある図2のアンビルを示す、図5のステープル留めヘッドアセンブリの拡大長手方向断面図である。
図10C】余分な組織が切断されて、組織の第1の管状部分及び組織の第2の管状部分が一緒にステープル留めされるように、例示的なステープルドライバ及びブレードが第1の位置にある、閉鎖位置にある図2のアンビルを示す、図5のステープル留めヘッドアセンブリの拡大長手方向断面図である。
図10D】組織の第1の管状部分及び組織の第2の管状部分が取り付けられている、第2の開放位置にある図2のアンビルを示す、図5のステープル留めヘッドアセンブリの拡大長手方向断面図である。
図10E図5のステープル留めヘッドアセンブリ及び図2のアンビルが取り外された後の、完成した端々吻合を残している、第1の管状部分及び第2の管状部分の拡大長手方向断面図である。
図11図2のアンビルに対して形成された例示的なステープルの拡大部分断面図である。
図12】例示的な代替の円形ステープル留め外科用器具の斜視図を示す。
図13図12の外科用器具の分解斜視図である。
図14図12の外科用器具の閉鎖システムの斜視図である。
図15図14の閉鎖システムの分解斜視図である。
図16図14の閉鎖システムのトルク制限機構の断面側面図である。
図17A】トルク制限機構が第1の位置にある、図16の線17-17に沿ってとられた、図16のトルク制限機構の断面図である。
図17B】トルク制限機構が第2の位置にある、図16の線17-17に沿ってとられた、図16のトルク制限機構の断面図である。
図18A】トルク制限機構が第1の位置にある、図14の閉鎖システムに容易に組み込まれ得る代替的なトルク制限機構の断面背面図である。
図18B】トルク制限機構が第2の位置にある、図18Aのトルク制限機構の断面背面図である。
図18C】トルク制限機構が第3の位置にある、図18Aのトルク制限機構の断面背面図である。
図19A】トルク制限機構が第1の位置にある、図14の閉鎖システムに容易に組み込まれ得る代替的なトルク制限機構の断面背面図である。
図19B】トルク制限機構が第2の位置にある、図19Aのトルク制限機構の断面背面図である。
図19C】トルク制限機構が第3の位置にある、図19Aのトルク制限機構の断面背面図である。
【0006】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本技術の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、その他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなす添付の図面は、本技術のいくつかの態様を示しており、その説明と共に本技術の原理を説明するのに役立つものであるが、本技術は、示される厳密な配置に限定されないことが理解される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本技術の特定の実施例の以下の説明は、その範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本技術の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、実例として、本技術を実施する上で想到される最良の態様の1つである以下の説明により、当業者には明らかとなるであろう。理解されるように、本明細書に記載される技術は、いずれもその技術から逸脱することなく、その他の異なる、かつ明らかな態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものとみなされるべきである。
【0008】
I.例示的な円形ステープル留め外科用器具の概要
図1図11は、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)、シャフトアセンブリ(60)、及びアクチュエータハンドルアセンブリ(70)を有する例示的な外科用円形ステープル留め器具(10)を示し、それぞれについては、以下により詳細に説明する。シャフトアセンブリ(60)は、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)から遠位側に延在し、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)は、シャフトアセンブリ(60)の遠位端に連結される。端的には、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)のステープルドライバ部材(250)を作動させて、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)から複数のステープル(66)を駆動するように動作可能である。ステープル(66)は曲げられて、器具(10)の遠位端に選択的に取り付けられるアンビル(40)によって完成したステープルを形成する。したがって、器具(10)を利用して、図10A図10Eに示されるように、組織(2)をステープル留めすることができる。
【0009】
本実施例では、器具(10)は閉鎖システム及び発射システムを備える。以下により詳細に記載されるように、閉鎖システム及びアンビル(40)は、アンビル(40)とステープル留めヘッドアセンブリ(200)との間に組織をクランプするように動作可能である。また、以下により詳細に記載されるように、発射システム及びアンビル(40)は、アンビル(40)とステープル留めヘッドアセンブリ(200)との間にクランプされた組織を切断してステープル留めするように動作可能である。
【0010】
閉鎖システムは、トロカール(230)、トロカールアクチュエータ(231)、及び調節ノブ(98)を備える。アンビル(40)は、トロカール(230)の遠位端に連結されてもよい。以下により詳細に記載されるように、調節ノブ(98)は、トロカール(230)をステープル留めヘッドアセンブリ(200)に対して長手方向に並進移動させ、これにより、アンビル(40)がトロカール(230)に適切に連結されたときに、アンビル(40)を並進移動させて、アンビル(40)とステープル留めヘッドアセンブリ(200)との間で組織を更にクランプするように動作可能である。
【0011】
発射システムは、トリガ(74)、トリガ作動アセンブリ(84)、ドライバアクチュエータ(64)、及びステープルドライバ部材(250)を備える。ステープルドライバ部材(250)は、ステープルドライバ部材(250)が長手方向に作動したときに組織を切断するように構成されたナイフ部材(240)を含む。加えて、ステープルドライバ部材(250)を長手方向に作動させると、ステープルドライバ部材(250)がステープル(66)も遠位に駆動するように、ステープル(66)は、ステープルドライバ部材(250)の複数のステープルドライバに対して遠位側に位置付けられる。それ故、トリガ(74)が作動し、トリガ作動アセンブリ(84)がドライバアクチュエータ(64)を介してステープルドライバ部材(250)を作動させたとき、ナイフ部材(240)及びステープルドライバ(252)は、組織(2)を切断することと、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)に対して遠位側に組織内へとステープル(66)を駆動させることとを実質的に同時に行う。次に、閉鎖システム及び発射システムの構成要素と機能性について、より詳細に説明する。
【0012】
A.例示的なアンビル
アンビル(40)についての以後の議論では、「遠位」及び「近位」という用語(並びにそれらの変形形態)は、アンビル(40)が器具(10)のシャフトアセンブリ(60)に連結された場合のアンビル(40)の向きを指して用いられる。したがって、アンビル(40)の近位側特徴部は、器具(10)の操作者により近い側にある一方で、アンビル(40)の遠位特徴部は、器具(10)の操作者からより遠い側にある。
【0013】
図2図4に最もよく見られるように、本実施例のアンビル(40)は、ヘッド(48)及び近位シャフト(44)を備える。上記したように、かつ以下でより詳細に記載されるように、本実施例のアンビル(40)は、連結されると、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)に対するトロカール(230)の移動もまた、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)に対してアンビル(40)を移動させるように、トロカール(230)に選択的に連結することができる。
【0014】
ヘッド(48)は、複数のステープル成形ポケット(52)を画定する近位表面(50)を含む。ステープル成形ポケット(52)は、同心の2列の環状配列で配置される。一部の他の変形例では、ステープル成形ポケット(52)は、同心の3列又はそれより多くの列の環状配列で配置される。ステープル成形ポケット(52)は、ステープルがステープル成形ポケット(52)内に駆動されるにつれてステープルを変形させるように構成されている。したがって、アンビル(40)が閉鎖位置にあり、ステープル(66)がステープル留めヘッドアセンブリ(200)からステープル成形ポケット(52)内に駆動されると、各ステープル成形ポケット(52)は、当該技術分野において既知のように、概ね「U」字形のステープル(66)を「B」形状に変形させることができる。図4に最もよく見られるように、近位表面(50)は内縁部(54)で終端し、それによって近位シャフト(44)の周りを囲む環状凹部(56)の外側の境界線が画定される。
【0015】
近位シャフト(44)は穴(46)を画定し、穴(46)内に位置付けられた一対の回動ラッチ部材(30)を含む。図4に最もよく見られるように、各ラッチ部材(30)は、T字形の遠位端(32)と、丸みのある近位端(34)と、近位端(34)に対して遠位に位置するラッチシェルフ(36)とを含む。T字形の遠位端(32)が、ラッチ部材(30)を穴(46)内に固定する。ラッチ部材(30)は、遠位端(34)が近位シャフト(44)の側壁を貫通して形成される横方向開口部(42)の近位端に位置付けられるように、穴(46)内に位置付けられる。このようにして横方向開口部(42)は、遠位端(34)とラッチシェルフ(36)に対して、近位シャフト(44)によって画定される長手方向軸から径方向外向きに反るようにするクリアランスを提供する。しかしながら、ラッチ部材(30)は、遠位端(34)とラッチシェルフ(36)とを径方向内向きに、近位シャフト(44)によって画定される長手方向軸に向かって弾性的に付勢するように構成されている。したがって、ラッチ部材(30)は、アンビル(40)をステープル留めヘッドアセンブリ(200)のトロカール(230)に選択的に固定することを可能にする保持クリップとして機能する。しかしながら、ラッチ部材(36)は、任意で設けられるものにすぎないということが理解されるはずである。アンビル(40)は、他の任意の好適な構成要素、特徴部、又は技法を用いて、トロカール(230)に取り外し可能に固定され得る。
【0016】
上記のものに加えて又はその代わりに、アンビル(40)は、下記特許文献の教示のうちの少なくとも一部に従って、更に構築され、かつ動作可能であってもよい。米国特許第5,205,459号;米国特許第5,271,544号;米国特許第5,275,322号;米国特許第5,285,945号;米国特許第5,292,053号;米国特許第5,333,773号;米国特許第5,350,104号;米国特許第5,533,661号;米国特許第8,910,847号;米国特許出願公開第2016/037471号;及び/又は米国特許出願公開第2016/0374684号(これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)。更に他の好適な構成については、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0017】
B.例示的なステープル留めヘッドアセンブリ
図5図6に最もよく見られるように、本実施例のステープル留めヘッドアセンブリ(200)は、シャフトアセンブリ(60)の遠位端に結合されており、摺動可能なステープルドライバ部材(250)を収容する管状ケーシング(210)を備える。円筒状内側芯部材が、管状ケーシング(210)内を遠位側に延在している。管状ケーシング(210)は、管状ケーシング(210)がステープル留めヘッドアセンブリ(200)にとって機械的土台として機能するように、シャフトアセンブリ(60)の外部シース(62)にしっかりと固定されている。
【0018】
トロカール(230)は、管状ケーシング(210)の内側芯部材(212)内に同軸的に位置付けられている。上記したように、及び以下により詳しく記載するように、トロカール(230)は、調節ノブ(98)がハンドルアセンブリ(100)のケーシング(110)に対して回転するのに反応して管状ケーシング(210)に対して遠位側及び近位側に並進移動するよう動作可能である。トロカール(230)は、シャフト(232)とヘッド(234)とを備える。ヘッド(234)は、尖形状の先端部(236)と、内向きに延在する近位表面(238)とを含む。したがって、シャフト(232)は、ヘッド(234)のちょうど近位で外径が小さくなっていて、表面(238)が、シャフト(232)のその小さくなった外径部分とヘッド(234)の外径との間の移行部を提供する。本実施例では、先端部(236)が尖形状であるが、先端部(236)は鋭利ではない。したがって、先端部(236)は、組織との不注意な接触による組織への外傷を容易には引き起こさない。ヘッド(234)、及びシャフト(232)の遠位部分は、アンビル(40)の穴(46)に挿入されるように構成されている。近位表面(238)とラッチシェルフ(36)とは、アンビル(40)の近位シャフト(44)がトロカール(230)上に完全に着座した場合に、ラッチシェルフ(36)が近位表面(238)に係合するような、補完的な位置と構成とを有する。したがって、アンビル(40)は、ラッチ部材(30)とヘッド(234)との間のスナップ嵌めを介してトロカール(230)に固定することができる。それに加えて、又はその代わりに、トロカール(230)は、アンビル(40)をトロカール(230)の方へ引き付けることができる磁性部分(図示せず)を備えていてもよい。アンビル(40)及びトロカール(230)に関するなお更なる構成及び配置が、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0019】
ステープルドライバ部材(250)は、以下により詳しく説明するように、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)のトリガ(74)の回転に反応して管状ケーシング(210)内で長手方向に作動するよう動作可能である。ステープルドライバ部材(250)は、遠位に向けられた2列の同心環状配列のステープルドライバ(252)を含む。ステープルドライバ(252)は、上記のステープル成形ポケット(52)の配置に対応するように配置されている。図10A図10Bに最もよく見られるように、各ステープルドライバ(252)は、対応するステープル(66)の下に位置する。ステープルドライバ(252)の配置は、上記のように、ステープル成形ポケット(52)の配置とちょうど同じように修正され得る。ステープルドライバ部材(250)はまた、管状ケーシング(210)の芯部材(212)を同軸的に受容するように構成されている穴(254)を画定する。環状配列のスタッド(256)が、穴(254)を取り囲む遠位に向けられた表面から遠位側に突き出している。
【0020】
円筒状ナイフ部材(240)が、ステープルドライバ部材(250)内に、同軸的に位置付けられている。ナイフ部材(240)は、遠位に向けられた、鋭利な円形の刃先(242)を含む。ナイフ部材(240)は、内側の環状配列のステープルドライバ(252)により画定される直径よりも小さい外径をナイフ部材(240)が画定するようなサイズになっている。ナイフ部材(240)はまた、管状ケーシング(210)の芯部材(212)を同軸的に受容するように構成されている開口部を画定する。ナイフ部材(240)に形成された環状配列の開口部(246)は、ステープルドライバ部材(250)の環状配列のスタッド(256)を補完するように構成され、ナイフ部材(240)が、スタッド(256)と開口部(346)とを介してステープルドライバ部材(250)にしっかりと固定されるようになっている。したがって、ステープル留めドライバ部材(250)が管状ケーシング(210)に対して作動されると、同様にナイフ部材(240)も作動される。ナイフ部材(240)とステープルドライバ部材(250)との間の他の好適な構造的関係については、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0021】
デッキ部材(220)が、管状ケーシング(210)にしっかりと固定されている。デッキ部材(220)は、同心の2列の環状配列のステープル開口部(224)を画定する遠位に向けられたデッキ表面(222)を含み、各ステープル開口部(224)は、ステープル(66)を収容するそれ自体のステープルポケット(226)を有する。ステープル開口部(224)及びステープルポケット(226)は、上記のステープルドライバ(252)及びステープル成形ポケット(52)の配置に対応するように配置されている。したがって、ステープルドライバ部材(250)が、トリガ(74)の回転に反応して管状ケーシング(210)に対して遠位側に作動されると、各ステープルドライバ(252)は、対応するステープル(66)をそのステープルポケット(226)から、デッキ部材(220)の対応するステープル開口部(224)を介して駆動する。アンビル(40)が閉鎖位置にあるとき、ステープル(66)は、対応するステープル成形ポケット(52)の中へと駆動され、ステープル(66)の脚部(68)を曲げ、それによって、アンビル(40)とステープル留めヘッドアセンブリ(200)との間に位置する物質をステープル留めする。
【0022】
ステープル開口部(224)の配置は、上記のように、ステープル成形ポケット(52)の配置とちょうど同じように修正され得る。また、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)が作動される前に、ステープル(66)をステープル留めヘッドアセンブリ(200)内に収容するために、様々な構造及び技法が用いられ得るということも理解されたい。ステープルをステープル留めヘッドアセンブリ(200)内に収容するために用いられ得るそのような構造及び技法は、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)が作動される前に、意図に反してステープルが、ステープル開口部(224)を通して脱落するのを防ぎ得る。このような構造及び技法が取り得る様々な好適な形態については、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0023】
図6に最もよく見られるように、ナイフ部材(240)が画定する外径よりも、ちょうどわずかに大きい内径を、デッキ部材(220)は画定する。かくしてデッキ部材(220)は、ナイフ部材(240)が遠位方向に、刃先(242)がデッキ表面(222)の遠位側に位置する点まで移動するのを可能にするように構成されている。
【0024】
上記のものに加えて又はその代わりに、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)が、下記の特許文献の教示の少なくとも一部に従って更に構築され、かつ動作可能であってもよい。米国特許第5,205,459号;米国特許第5,271,544号;米国特許第5,275,322号;米国特許第5,285,945号;米国特許第5,292,053号;米国特許第5,333,773号;米国特許第5,350,104号;米国特許第5,533,661号;米国特許第8,910,847号;米国特許出願公開第2016/037471号;及び/又は米国特許出願公開第2016/0374684号(これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)。更に他の好適な構成については、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0025】
C.代表的なシャフトアセンブリ
図10A図10Dに示したように、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)及びトロカール(230)は、シャフトアセンブリ(60)の遠位端に位置付けられる。本実施例のシャフトアセンブリ(60)は、外側管状部材(62)及びドライバアクチュエータ(64)を備える。外側管状部材(62)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)の管状ケ-シング(210)に、かつアクチュエータハンドルアセンブリ(70)の本体(72)に連結され、それによって、外側管状部材の中で作動する構成要素に対して機械的な基盤を提供する。図7A図7Bに見られるように、ドライバアクチュエータ(64)の近位端は、以下に説明するように、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)のトリガ作動アセンブリ(84)に連結される。ドライバアクチュエータ(64)の遠位端は、トリガ(74)の回転でステープルドライバ部材(250)が長手方向に作動するように、ステープルドライバ部材(250)に連結される。図10A図10Dに示したように、ドライバアクチュエータ(64)は、トロカール(230)に連結されたトロカールアクチュエータ(231)が、ドライバアクチュエータ(64)内で、かつドライバアクチュエータ(64)に対して、長手方向に作動できるように、開放した長手軸を有する管状部材を備える。本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるように、ドライバアクチュエータ(64)内に他の構成要素を配設してもよい。
【0026】
本実施例では、シャフトアセンブリ(60)は、実質的に真っ直ぐである。しかしながら、シャフトアセンブリ(60)は、予め形成された屈曲部を有するアクチュエータハンドルアセンブリ(70)から遠位側に延在してもよい。一部の変形例では、予め形成された屈曲部は、患者の大腸内にステープル留めヘッドアセンブリ(200)を位置付けるのを容易にするように構成されている。使用できる様々な好適な曲げ角度又は曲げ半径が、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。シャフトアセンブリ(60)が予め形成された屈曲部を含む実施例では、アクチュエータ(231)は、可撓性バンド部分(図示せず)を介してトロカール(230)と連結されてもよい。可撓性バンド部分(図示せず)は、予め形成された屈曲部の近位に位置するアクチュエータ(231)の遠位端から延在して、予め形成された屈曲部の遠位に位置するトロカール(230)と連結することができる。可撓性バンド部分(図示せず)は、シャフトアセンブリ(60)の予め形成された屈曲部の長手方向輪郭に沿った並進移動の間に屈曲するように寸法決めされてもよい。そのような場合、トロカールアクチュエータ(231)は、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)内に摺動可能に収容されてもよく、一方で、トロカール(230)は、管状ケーシング(210)内に摺動可能に収容される。可撓性バンド部分(図示せず)は、ピンを介してトロカール(230)及びアクチュエータ(231)の両方に接続されてもよい。
【0027】
シャフトアセンブリ(60)は、以下の特許文献の少なくとも一部の教示に従って:米国特許第5,205,459号;米国特許第5,271,544号;米国特許第5,275,322号;米国特許第5,285,945号;米国特許第5,292,053号;米国特許第5,333,773号;米国特許第5,350,104号;米国特許第5,533,661号;米国特許出願公開第2012/0292372号;及び/又は米国特許出願公開第2015/0083773号(これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)、及び/又は本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるような他の構成に従って、更に構築されてもよい。
【0028】
D.例示的なアクチュエータハンドルアセンブリ
次に、図7A図8を参照すると、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)は、本体(72)、トリガ(74)、ロックアウト機構(82)、トリガ作動アセンブリ(84)、及びトロカール作動アセンブリ(90)を備える。本実施例のトリガ(74)は、トリガ(74)が未発射位置(図7Aに図示)から発射位置(図7Bに図示)に回転することで上記したドライバアクチュエータ(64)が作動するように、本体(72)に回動可能に取り付けられ、トリガ作動アセンブリ(84)に連結される。バネ(78)は、本体(72)及びトリガ(74)に連結され、未発射位置に向かってトリガ(74)を付勢する。ロックアウト機構(82)は、本体(72)に連結された回動可能な部材である。図7Aに示すように、第1のロック位置では、ロックアウト機構(82)がトリガ(74)と係合してユーザによるトリガ(74)の作動に機械的に抵抗するように、ロックアウト機構(82)は上方へと本体(72)から離れるように回動される。図1及び図7Bに示されているような第2のロック解除位置では、ロックアウト機構(82)は、ユーザがトリガ(74)を作動できるように下方へ回動される。したがって、ロックアウト機構(82)が第2の位置にある状態では、トリガ(74)は、トリガ作動アセンブリ(84)と係合して器具Fを発射させることができる。
【0029】
図7A図7Bに示したように、本実施例のトリガ作動アセンブリ(84)は、ドライバアクチュエータ(64)の近位端と係合する摺動可能なトリガ運搬部(86)を備える。運搬部(86)は、運搬部(86)の近位端上に、トリガ(74)から延びる一対のトリガアーム(76)を保持し係合するための一組のタブ(88)を備える。したがって、トリガ(74)が回動するとき、運搬部(86)は、長手方向に作動し、長手方向への動きをドライバアクチュエータ(64)に伝達する。図示されている実施例では、運搬部(86)は、ドライバアクチュエータ(64)の近位端に固定して連結されているが、これは単に任意選択のものである。実際には、1つの単なる例示的な代替例では、遠位のバネ(図示せず)がドライバアクチュエータ(64)を、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)に対して近位側に付勢した状態で、運搬部(86)がドライバアクチュエータ(64)に当接するだけでよい。
【0030】
トリガ作動アセンブリ(84)は、以下の特許文献の少なくとも一部の教示に従って:米国特許第5,205,459号;米国特許第5,271,544号;米国特許第5,275,322号;米国特許第5,285,945号;米国特許第5,292,053号;米国特許第5,333,773号;米国特許第5,350,104号;米国特許第5,533,661号;米国特許出願公開第2012/0292372号;及び/又は米国特許出願公開第2015/0083773号(それらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)、及び/又は本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるような他の構成に従って、更に構築されてもよい。
【0031】
本体(72)はまた、調節ノブ(98)の回転に反応してトロカール(230)を長手方向に作動するように構成されたトロカール作動アセンブリ(90)を収容する。図7A図8に最もよく示されているように、本実施例のトロカール作動アセンブリ(90)は、調節ノブ(98)、溝付きシャンク(94)、及びスリーブ(92)を備える。本実施例の溝付きシャンク(94)は、トロカールアクチュエータ(231)の近位端に位置する。他の変形例では、溝付きシャンク(94)及びトロカールアクチュエータ(231)は、その代わりに、長手方向の移動を伝達するように係合する別個の構成要素であってもよい。溝付きシャンク(94)は本体(72)の内部で並進移動するように構成されているが、溝付きシャンク(94)は本体(72)の内部で回転しない。調節ノブ(98)は、本体(72)の近位端によって回転可能に支持され、内部タブ(図示せず)を介して溝付きシャンク(94)と係合するスリーブ(92)を回転させるように動作可能である。調節ノブ(98)はまた、以下により詳細に説明するように、雌ねじ(図示せず)を画定する。本実施例の溝付きシャンク(94)は、溝付きシャンク(94)の外表面に形成された連続的な溝(96)を備える。したがって、調節ノブ(98)を回転させると、スリーブ(92)の内部タブが溝(96)内に載り、溝付きシャンク(94)はスリーブ(92)に対して長手方向に作動する。溝付きシャンク(94)はトロカールアクチュエータ(231)の近位端に位置するため、調節ノブ(98)が第1の方向に回転することによって、トロカールアクチュエータ(231)がアクチュエータハンドルアセンブリ(70)に対して遠位側に前進する。トロカール(230)がアンビル(40)と連結されると、アンビル(40)もまたステープル留めヘッドアセンブリ(200)に対して遠位側に前進することによって、間隙距離dとして知られる、アンビル(40)の近位表面(50)とデッキ部材(220)の遠位に向けられたデッキ表面(222)との間の距離を増加させる。調節ノブ(98)を反対方向に回転させることにより、トロカールアクチュエータ(231)は、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)に対して近位側に作動して、トロカール(230)がアンビル(40)と連結されると、アンビル(40)とステープル留めヘッドアセンブリ(200)との間の間隙距離dを縮小させる。このように、トロカール作動アセンブリ(90)は、調節ノブ(98)の回転に反応してトロカール(230)を作動させるように動作可能である。トロカール作動アセンブリ(90)のための他の好適な構成は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0032】
本実施例の溝(96)は、軸方向の距離当たりの溝のピッチ又は数が様々である複数の異なる部分(96A、96B、96C)を備える。この溝(96)は、遠位部分(96A)、中間部分(96B)、及び近位部分(96C)に分けられている。図5に示したように、遠位部分(96A)は、溝付きシャンク(94)の短い軸方向距離にわたって細かいピッチ又は多くの溝を備える。中間部分(96B)は、スリーブ(92)の内部タブが軸方向距離に沿って通過するために必要な回転が比較的少なくなるように、軸方向長さ当たりに比較的粗いピッチ又は数少ない溝を有する区分を備える。(図10Aに示すように)アンビル(40)がステープル留めヘッドアセンブリ(200)に対して最初の遠位位置にあるとき、スリーブ(92)の内部タブは中間部分(96B)に位置している。したがって、間隙距離dは、スリーブ(92)の内部タブが中間部分(96B)を通過する間に、調節ノブ(98)の比較的少ない回転によって急速に縮小してよい。本実施例の近位部分(96C)は、遠位部分(96A)と実質的に同様であり、短い軸方向距離を通過するために必要な回転数が多くなるように、溝付きシャンク(94)の短い軸方向距離にわたって細かいピッチ又は数多くの溝を備える。本実施例の近位部分(96C)は、(図10Bに示されるように)アンビル(40)がステープル留めヘッドアセンブリ(200)に実質的に近いときは、ノブ(98)によって画定される雌ねじと係合し、その結果、以下により詳細に説明するように、表示バー(110)は表示窓(120)内を目盛り(130)に沿って移動して、アンビルの間隙が所望の動作範囲内にあることを示す。したがって、溝(96)の近位部分(96C)がノブ(98)の雌ねじと係合する近位位置に溝付きシャンク(94)が到達すると、調節ノブ(98)が回転するたびに比較的少量だけ間隙距離dが縮小して、微調節ができる。近位部分(96C)がノブ(98)の雌ねじと係合したとき、スリーブ(92)の内部タブは溝(96)から係脱し得る。
【0033】
トロカール作動アセンブリ(90)は、以下の特許文献の少なくとも一部の教示に従って:米国特許第5,205,459号;米国特許第5,271,544号;米国特許第5,275,322号;米国特許第5,285,945号;米国特許第5,292,053号;米国特許第5,333,773号;米国特許第5,350,104号;米国特許第5,533,661号;及び/又は米国特許出願公開第2015/0083773号(それらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)、及び/又は本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるような他の構成に従って、更に構築されてもよい。
【0034】
上記したように、間隙距離dは、アンビル(40)とステープル留めヘッドアセンブリ(200)との間の距離に相当する。器具(10)が患者の体内に挿入されるとき、この間隙距離dは容易に視認できないことがある。したがって、トリガ(74)の反対側に位置する表示窓(120)を通して視認できるように、図8図9に示す可動式の表示バー(110)が提供される。以下に更に詳細に説明されるように、表示バー(110)は、調節ノブ(98)の回転に反応して動くように動作可能であり、これにより、表示バー(110)の位置が間隙距離dを表すようにする。図9に示すように、表示窓(120)は、目盛り(130)を更に備え、その目盛り(130)は、アンビルの間隙が所望の動作範囲(例えば、緑色の領域つまり「グリーンゾーン」)内にあることと、目盛り(130)のそれぞれの端部に対応するステープルの圧縮の表現と、を示す。単なる一例として、図9に示したように、第1のステープル画像(132)は高さの高いステープルを示し、第2のステープル画像(134)は高さの低いステープルを示している。したがって、ユーザは、連結されたアンビル(40)のステープル留めヘッドアセンブリ(200)に対する位置を、表示バー(110)及び目盛り(130)を介して視認できる。したがって、その後、ユーザは、調節ノブ(98)を介してアンビル(40)の配置をそれに合わせて調節することができる。
【0035】
図7A図8に示す例では、溝付きシャンク(94)の遠位側に位置するトロカールアクチュエータ(231)の中間部分に、U字クリップ(100)が取り付けられる。本実施例では、トロカールアクチュエータ(231)の延長部が、ハンドルアセンブリ(70)のハウジング内にあるスロットと係合し、調節ノブ(98)を回転させたときにトロカールアクチュエータ(231)がその軸周りに回転するのを防ぐ。
【0036】
トロカールアクチュエータ(231)及びトロカール(230)は、組み立て中に一緒に接合された2つの別個の構成要素であるため、トロカール(230)及びトロカールアクチュエータ(231)が組み立てられ、器具(10)に適切に組み込まれると、許容差スタックが生じ得る。この潜在的な許容差スタックに適応するために、表示バー(110)が例示的な使用中に適切な間隙距離dを示し得るように、器具(10)内のトロカールアクチュエータ(231)の適切な配置を較正する必要があり得る。本実施例のU字クリップ(100)は、その対向する側面それぞれに、ねじ、ボルト、ピンなどの取り付け部材を受け入れるための細長いスロット(102)を更に備え、目盛り(130)に対して表示バー(110)を較正する目的で、U字クリップ(100)の細長いスロット(102)の長手方向の位置をトロカールアクチュエータ(231)に対して選択的に調節する。変形例によっては、取り付け部材(例えば、ねじ、ボルト、ピンなど)は、本体(72)の一部分と係合して、調節ノブ(98)を回転させたときにトロカールアクチュエータ(231)がその軸周りに回転するのを実質的に防ぐ。
【0037】
図8に示したように、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)は、表示器(104)と係合して回動させるように構成された表示器ブラケット(140)を更に含む。本実施例の表示器ブラケット(140)は、本体(72)に形成された一対のスロットに沿って、本体(72)に対して摺動可能である。表示器ブラケット(140)は、長方形のプレート(144)、表示器アーム(146)、及び角度付きのフランジ(142)を備える。角度付きフランジ(142)は、長方形のプレート(144)の近位端に形成され、トロカールアクチュエータ(231)及び/又は溝付きシャンク(94)上に摺動可能に取り付けるための孔(図示せず)を備える。フランジ(142)をU字クリップ(100)に対して付勢するために、フランジ(142)とボス(152)との間にコイルバネ(150)が介在している。したがって、U字クリップ(100)がトロカールアクチュエータ(231)及び/又は溝付きシャンク(94)により遠位側に作動するとき、コイルバネ(150)は、表示器ブラケット(140)を付勢して、U字クリップ(100)と共に遠位側へ移動させる。それに加えて、U字クリップ(100)は、トロカールアクチュエータ(231)及び/又は溝付きシャンク(94)が近位側に並進移動するときに、表示器ブラケット(140)をボス(152)に対して近位側に付勢し、これによってコイルバネ(150)を圧縮する。変形例によっては、表示器ブラケット(140)は、トロカールアクチュエータ(231)及び/又は溝付きシャンク(94)に固定して取り付けられてもよい。
【0038】
本実施例では、表示器ブラケット(140)が、間隙距離dが所望の動作範囲(例えば、緑色の領域つまり「グリーンゾーン」)内にあるときには該当しない長手方向の位置にあるとき、ロックアウト機構(82)の一部分が表示器ブラケット(140)の表面(141)に当接する。間隙距離dが所望の動作範囲(例えば、緑色の領域つまり「グリーンゾーン」)内にあるとき、表示器ブラケット(140)が狭くなって、表示器アーム(146)のどちらかの側に一対の間隙(145)ができ、ロックアウト機構(82)が回動することが可能になり、それによってトリガ(74)が解放される。したがって、ロックアウト機構(82)及び表示器ブラケット(140)は、アンビル(40)が所定の動作範囲に来るまでにユーザがトリガ(74)を解除して動作させてしまうことを実質的に防ぐことができる。ロックアウト機構(82)は、変形例によっては完全に省略され得る。
【0039】
この動作範囲は、簡潔に上述したとおり、目盛り(130)に対して示された表示器(104)の表示バー(110)を介して、ユーザに視覚的に伝達されてよい。表示器ブラケット(140)の遠位端には、表示器(104)の移動を制御するために横方向に突出するフィンガ(148)で終端する、遠位側に突出する表示器アーム(146)がある。図5に最もよく示されている、表示器アーム(146)及びフィンガ(148)は、表示器(104)のタブ(106)と係合するように構成され、これにより、表示器ブラケット(140)が長手方向に作動したときに表示器(104)が回動するようになっている。本実施例では、表示器(104)は、表示器(104)の第1の端部で本体(72)に回動可能に連結されているが、これは単に任意選択のものであり、表示器(104)のための他の枢軸点が、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。表示バー(110)は、表示バー(110)が表示器ブラケット(140)の作動に反応して移動するように、表示器(104)の第2の端部に位置付けられている。したがって、上述したように、表示バー(110)は、アンビル(40)の近位表面(50)とデッキ部材(220)の遠位に向けられたデッキ表面(222)との間の相対的な間隙距離dを示すために、表示窓(120)を通して目盛り(130)(図6に図示)に対して表示される。
【0040】
当然のことながら、表示器ブラケット(140)、表示器(104)、及び/又はアクチュエータハンドルアセンブリ(70)は、以下の特許文献の少なくとも一部の教示に従って:米国特許第5,205,459号;米国特許第5,271,544号;米国特許第5,275,322号;米国特許第5,285,945号;米国特許第5,292,053号;米国特許第5,333,773号;米国特許第5,350,104号;米国特許第5,533,661号;及び/又は米国特許出願公開第2012/0292372号;及び/又は米国特許出願公開第2015/0083773号(それらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)、及び/又は本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるような他の構成に従って、更に構築されてもよい。
【0041】
E.円形ステープル留め外科用器具の例示的な使用
図7A図7B及び図10A図10Eは、上記の説明に従って、円形ステープル留め外科用器具(10)の例示的な使用を示す。上述のように、アンビル(40)は、管状ケーシング(210)及びデッキ部材(220)に対するトロカール(230)の移動が、管状ケーシング(210)及びデッキ部材(220)に対するアンビル(40)の移動をもたらすように、トロカール(230)と選択的に連結することができる。別個の構成要素としてのアンビル(40)の場合は、アンビル(40)は、トロカール(230)と連結される前に、最初に、組織(2)の一部分に挿入され、固定されてよいことを理解すべきである。例示的なものにすぎないが、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)が組織(2)の第2の管状部分に挿入され、固定された状態で、アンビル(40)が、組織(2)の第1の管状部分に挿入され、固定されてもよい。例えば、組織(2)の第1の管状部分は、アンビル(40)の一部分に対して、又はアンビル(40)の一部分の周囲に縫合されてもよく、組織(2)の第2の管状部分は、トロカール(230)に対して、又はトロカール(230)の周囲に縫合されてもよい。
【0042】
図10Aに示したように、次に、アンビル(40)は、アンビル(40)のラッチ部材(30)とトロカール(230)のヘッド(234)との間のスナップ嵌めなどの、上記の説明に従ってトロカール(230)に連結されてもよい。図10Aでは、トロカール(230)は、最も遠位の作動位置に示されている。トロカール(230)は、上記の説明に従ってノブ(98)の回転によって、最も遠位の作動位置に作動されてもよい。このようにトロカール(230)が伸長した位置にくることで、アンビル(40)を取り付ける前に組織(2)が連結され得る面積をより広く提供することができる。トロカール(230)が伸長した位置にくることで、アンビル(40)のトロカール(230)に対する取り付けをより容易にすることもできる。図10Aに示す位置では、ロックアウト機構(82)は、上記の説明に従って表示器ブラケット(140)の表面(141)によって引き起こされる干渉によってトリガ(74)をロック解除するように回動できないため、ロックアウト機構(82)によって図7Aに示す位置にトリガ(74)がロックされる。
【0043】
上述したように、アンビル(40)がトロカール(230)に連結されると、調節ノブ(98)の回転により、トロカール(230)及びアンビル(40)の両方を並進移動させ、それによって間隙距離dを拡大又は低減することができる。例えば、図10A図10Bに順次示されるように、アンビル(40)は、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)に対して、初期の開放位置(図10A)から閉鎖位置(図10B)へと近位側に作動することが示されており、間隙距離dは適切な所定の範囲内にある。間隙距離dが適切な所定の範囲内にあると、上記の説明に従って、表示バー(110)は、表示窓(120)内で移動することができ、相対間隙距離dが所望の動作範囲(例えば、緑色の領域つまり「グリーンゾーン」)内にあることを示す。加えて、図7A図7Bの間に示される、間隙距離dが適切な所定の範囲内にあると、上記の説明に従って、ロックアウト機構(82)は、本体(72)に対してロック解除位置へと回動することができ、トリガ(74)は、本体(72)に対して回動して、トリガ作動アセンブリ(84)と係合することができる。
【0044】
図7Bに示されるように、ロックアウト機構(82)がロック解除位置へと回動すると、トリガ(74)は、本体(72)に向かって回動して、トリガアーム(76)が、タブ(88)に対して駆動し、摺動可能なトリガ運搬部(86)及びドライバアクチュエータ(64)を遠位側に作動させるようにする。図10Cに示すように、ドライバアクチュエータ(64)の遠位作動は、摺動可能なステープルドライバ部材(250)、ステープルドライバ(252)、及び円筒状ナイフ部材(240)を遠位側に駆動する。ステープルドライバ9352)の遠位前進は、ステープル(66)を対応するステープル成形ポケット(52)に対して駆動し、それによってアンビル(40)とステープル留めヘッドアセンブリ(200)との間で組織(2)をステープル留めして、組織(2)の連続的な管状部分を形成する。加えて、円筒状ナイフ部材(240)の遠位前進は、新たに形成されたステープル(66)の径方向内側に位置する余分な組織を切断する。ステープル留めヘッドアセンブリ(200)は、以下により詳細に説明するように、ユーザがアクチュエータハンドルアセンブリ(70)のトリガ(74)を回動させることによって、組織(2)をステープル留めして切断するように動作可能である。
【0045】
図10Dに最もよく示されるように、トリガ(74)が組織(2)をステープル留めして切断するように作動されると、ユーザは次に回転可能なノブ(98)を回してアンビル(40)を遠位側に前進させ、それによって、アンビル(40)の近位表面(50)とデッキ部材(220)の遠位に向けられたデッキ表面(222)との間に把持された組織(2)の部分を解放することができる。図10Eに最もよく示されるように、以前に把持された組織(2)が解放された状態で、ユーザは次に器具(10)を取り外し、それによって、組織(2)の連続的な管状部分を残すことができる。
【0046】
II.例示的な代替の円形ステープル留め外科用器具
場合によっては、アンビル(40)及びステープル留めヘッドアセンブリ(200)が、所定の最大クランプ力を提供することによって、クランプされた組織(2)に与え得る、クランプ力の量を選択的に制限することが望しい場合がある。所定の最大クランプ力を提供することによって、アンビル(40)及びステープル留めヘッドアセンブリ(200)が、端々吻合の構造的一体性に悪影響を及ぼし得る過剰なクランプ力によって、クランプされた組織(2)を不注意に損傷することを防止することができる。加えて、操作者が過剰に厚い組織をクランプする状況に遭遇した場合などに、操作者が所定の最大クランプ力よりも大きい力でアンビル(40)とステープル留めヘッドアセンブリ(200)との間に組織(20)をクランプすることができるように、オーバーライド機構を提供することが望ましい場合もある。以下の実施例は、アンビル(40)及びステープル留めヘッドアセンブリ(200)がクランプされた組織(2)に与え得るクランプ力の量を選択的に制限するための機構を含む、器具(10)の変形形態に関する。
【0047】
A.例示的な円形ステープル留め外科用器具の概要
図12図13は、上記の器具(10)の代わりに使用することができる、例示的な円形ステープル留め外科用器具(310)を示す。したがって、器具(310)は、以下に説明される相違点を伴って、上記の器具(10)と実質的に同様に機能し得る。器具(310)は、アンビル(320)と、発射システム(360)と、閉鎖システム(400)と、ケーシングアセンブリ(500)と、を含む。簡潔に言えば、閉鎖システム(400)及びアンビル(320)は、アンビル(320)と発射システム(360)のデッキ部材(364)との間に組織をクランプするように動作可能であり、一方で、発射システム(360)及びアンビル(40)は、アンビル(320)とデッキ部材(364)との間にクランプされた組織を切断してステープル留めするように動作可能である。以下により詳細に記載されるように、閉鎖システム(400)は、アンビル(320)及びデッキ部材(364)が、所定の最大クランプ力を超えることなく、所定の最大クランプ力まで組織をクランプすることを可能にするように構成されたトルク制限調節ノブ(600)を含む。加えて、以下により詳細に記載されるように、閉鎖システム(400)は、操作者が所定の最大クランプ力を上回るクランプ力を提供することを可能にし得るオーバーライド機構を含む。
【0048】
アンビル(320)は、上記のアンビル(40)と実質的に同様である。したがって、アンビル(320)は、近位シャフト(324)と、アンビルヘッド(328)と、一対の回動ラッチ部材(334)と、を含み、これらは、上記の近位シャフト(44)、アンビルヘッド(48)、及び回動ラッチ部材(30)のそれぞれと実質的に同様である。したがって、近位シャフト(44)は、上記の横方向開口部(42)及び穴(46)とそれぞれ実質的に同様である、一対の横方向開口部(322)及び穴(326)を画定する。アンビルヘッド(328)は、複数のステープル成形ポケット(332)を画定する近位表面(330)を含み、これらは、上記の近位表面(50)及びステープル留め成形ポケット(52)と実質的に同様である。
【0049】
閉鎖システム(400)は、モノリシック閉鎖ロッド(402)と、間隙表示器アセンブリ(450)と、調節ノブ(460)と、を含む。調節ノブ(460)は、ケーシングアセンブリ(500)の近位端上に回転可能に支持され、その結果、調節ノブ(460)は、ケーシングアセンブリ(500)に対して長手方向に静止したままで、それ自体の長手方向軸を中心に回転し得る。調節ノブ(460)は、上記のスリーブ(92)と実質的に同様のスリーブ(461)を含む。図15に最もよく見られるように、調節ノブ(460)は、遠位開放チャネル(464)を画定する。遠位開放チャネル(464)は、モノリシック閉鎖ロッド(402)の近位溝付き区分(430)を摺動可能に受容するように寸法決めされている。調節ノブ(460)は、遠位開放チャネル(464)内に延在する内部タブ(462)、並びに雌ねじ部分(466)を含み、これらは、上記の調節ノブ(98)の内部タブ及び雌ねじとそれぞれ実質的に同様であってもよい。したがって、上記の調節ノブ(98)及び溝(96A、96B)と同様に、内部タブ(462)は、内部タブ(462)の回転により、ケーシングアセンブリ(500)に対してモノリシック閉鎖ロッド(402)を並進移動させるように、近位溝付き区分(430)の溝(432A、432B)と噛み合うことができる。加えて、上記の調節ノブ(98)及び溝(96C)と同様に、雌ねじ(466)の回転により、ケーシングアセンブリ(500)に対してモノリシック閉鎖ロッド(402)を作動させることができるように十分に近位に、モノリシック閉鎖ロッド(402)が並進移動されるとき、雌ねじ(466)は、溝(432C)と選択的に係合し得る。調節ノブはまた、近位開放チャネル(468)を含む。近位開放チャネル(468)はまた、環状配列の凹部(470)を画定する内側表面(472)を含む。以下により詳細に記載されるように、近位開放チャネル(468)は、トルク制限調節ノブ(600)の一部分を受容するように寸法決めされる。
【0050】
間隙表示器アセンブリ(450)は、器具(310)の使用中に、アンビル(320)とデッキ部材(364)との間の間隙距離dを表示窓(506)を通して示すように構成される。間隙表示器アセンブリ(450)は、バネ(451)、表示器ブラケット(440)、U字クリップ(458)、及び表示器(452)を含み、これらは、上記のバネ(150)、表示器ブラケット(140)、U字クリップ(100)、及び表示器(104)とそれぞれ実質的に同様である。したがって、表示器ブラケット(440)は、角度付きフランジ(442)と、表面(441)を有する長方形のプレート(444)と、間隙(445)を画定する表示器アーム(446)と、横方向に突出するフィンガ(448)と、を含み、これらは、上記の角度付きフランジ(142)、表面(141)を有する長方形のプレート(144)、間隙(145)を画定する表示器アーム(146)、及び横方向に突出するフィンガ(148)と実質的に同様である。更に、表示器(452)は、ケーシングアセンブリ(500)に回動可能に取り付けられる。表示器(452)は、タブ(454)と、表示バー(456)と、を含み、これらは、上記のタブ(106)及び表示バー(110)と実質的に同様である。
【0051】
上記のバネ(150)、U字クリップ(100)、及び表示器ブラケット(140)と同様に、バネ(451)は、U字クリップ(458)に対して角度付きフランジ(442)を付勢し、一方、U字クリップ(458)は、ピン(455)を介してモノリシック閉鎖ロッド(402)に取り付けられる。角度付きフランジ(442)は、長方形のプレート(444)の近位端に形成されており、モノリシック閉鎖ロッド(402)上に摺動可能に取り付けるための孔を含む。したがって、モノリシック閉鎖ロッド(402)が遠位側に作動されると、バネ(451)は、角度付きフランジ(442)を遠位側に付勢して、U字クリップ(458)と係合したままとなる。反対に、モノリシック閉鎖ロッド(402)が近位側に作動されると、U字クリップ(458)は、角度付きフランジ(442)を更に近位側に押し、それによってバネ(451)を圧縮する。換言すれば、バネ(451)及びU字クリップ(458)は、角度付きフランジ(442)と相互作用し、その結果、表示器ブラケット(440)がモノリシック閉鎖ロッド(402)と共に作動する。本実施例では、表示器ブラケット(440)は、ケーシングアセンブリ(500)に摺動可能に取り付けられる。しかしながら、いくつかの変形例では、表示器ブラケット(440)は、モノリシックな閉鎖ロッド(402)に固定的に取り付けられてもよい。
【0052】
本実施例では、表示器ブラケット(440)が、間隙距離dが所望の動作範囲(例えば、緑色の領域つまり「グリーンゾーン」)内にあるときには該当しない長手方向の位置にあるとき、ロックアウト機構(371)の一部分が表示器ブラケット(440)の表面(441)に当接する。間隙距離dが所望の動作範囲(例えば、緑色の領域つまり「グリーンゾーン」)内にあるとき、表示器ブラケット(440)が狭くなって、表示器アーム(446)のどちらかの側に一対の間隙(445)ができ、ロックアウト機構(371)が回動することが可能になり、それによってトリガ(370)がロック解除される。したがって、ロックアウト機構(371)及び表示器ブラケット(440)は、アンビル(320)が所定の動作範囲に来るまでにユーザがトリガ(370)をロック解除して動作させてしまうことを実質的に防ぐことができる。ロックアウト機構(371)は、変形例によっては完全に省略され得る。
【0053】
間隙距離dに関連付けられたこの動作範囲は、簡潔に上記したとおり、表示窓(506)の目盛り(図示せず)に対して示された表示器(452)の表示バー(456)を介して、ユーザに視覚的に伝達されてよい。表示器ブラケット(440)の遠位端には、表示器(452)の移動を制御するために横方向に突出するフィンガ(448)で終端する、遠位側に突出する表示器アーム(446)がある。表示器アーム(446)及びフィンガ(448)は、表示器(452)のタブ(454)と係合するように構成されており、その結果、表示器ブラケット(440)が長手方向に作動したときに表示器(452)が回動する。本実施例では、表示器(452)は、表示器(452)の第1の端部でケーシングアセンブリ(500)に回動可能に連結されているが、これは単に任意選択のものであり、表示器(452)のための他の枢軸点が、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。表示バー(456)が表示器ブラケット(440)の作動に反応して移動するように、表示バー(456)は表示器(452)の第2の端部に位置付けられている。したがって、上記の表示バー(110)と同様に、表示バー(456)は、アンビル(320)の近位表面(330)とデッキ部材(364)の遠位に向けられたデッキ表面との間の相対間隙距離dを示すために、目印のセット(図示せず)に対して表示窓(506)を介して表示される。
【0054】
図14及び図15に最もよく見られるように、モノリシック閉鎖ロッド(402)は、近位シャンク部分(420)と、接続バンド部分(404)と、遠位トロカール部分(410)と、を含む。遠位トロカール部分(410)は、上記のトロカール(230)のシャフト(232)及びヘッド(234)と実質的に同様であり得るシャフト(412)及びヘッド(414)を含む。遠位トロカール部分(410)は、管状ケーシング(512)の内側芯部材(520)内に摺動可能に収容される。遠位トロカール部分(410)は、上記のトロカール(230)及びアンビル(40)と実質的に同様の様式でアンビル(320)と相互作用し得る。ヘッド(414)は、尖形状の先端部(416)と、内向きに延在する近位表面(418)とを含む。したがって、シャフト(412)は、ヘッド(414)のちょうど近位で外径が小さくなっていて、表面(418)が、シャフト(412)のその小さくなった外径とヘッド(414)の外径との間の移行部を提供する。本実施例では、先端部(416)が尖形状であるが、先端部(416)は鋭利ではない。したがって、先端部(416)は、組織との不注意な接触による組織への外傷を容易には引き起こさない。
【0055】
ヘッド(414)の近位表面(418)と回動ラッチ部材(334)のラッチシェルフ(340)とは、アンビル(320)の近位シャフト(324)が遠位トロカール部分(410)上に完全に着座した場合に、ラッチシェルフ(図示せず)が近位表面(418)に係合するような、補完的な位置と構成とを有する。したがって、アンビル(320)は、ラッチ部材(334)とヘッド(414)との間のスナップ嵌めを介して遠位トロカール部分(410)に固着することができる。それに加えて、又はその代わりに、遠位トロカール部分(410)は、アンビル(320)を遠位トロカール部分(410)の方へ引き付けることができる磁性部分(図示せず)を含んでもよい。アンビル(320)及び遠位トロカール部分(410)に関する更に他の構成及び配置が、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0056】
近位シャンク部分(420)は、近位溝付き区分(430)及びロッド(422)を含む。近位シャンク部分(420)は、ケーシングアセンブリ(500)のハンドル部分(502)内に摺動可能に収容される。ロッド(422)は、ピン(455)を受容するピン孔(428)を画定する。上述したように、ピン(455)は、間隙表示器アセンブリ(450)のU字クリップ(458)をロッド(422)に連結する。加えて、ピン(455)の一部分は、ロッド(422)、したがってモノリシック閉鎖ロッド(402)が、モノリシック閉鎖ロッド(402)によって画定される長手方向軸を中心に回転方向に拘束されるように、ただしまた、モノリシック閉鎖ロッド(402)が、ケーシングアセンブリ(500)に対して並進移動し得るように、ケーシングアセンブリ(500)によって画定されるスロット内に摺動可能に収容されてもよい。
【0057】
本実施例の近位溝付き区分(430)は、近位溝付き区分(430)の外表面に形成された連続的な溝(432)を備える。したがって、調節ノブ(460)が回転されると、内部タブ(462)は、連続溝(432)内に載り、それによって、モノリシック閉鎖ロッド(402)は、調節ノブ(460)に対して長手方向に作動される。調節ノブ(460)を第1の方向に回転させると、モノリシック閉鎖ロッド(402)は、ケーシングアセンブリ(500)に対して遠位側に前進する。遠位トロカール部分(410)がアンビル(320)と連結されると、アンビル(320)もまた、ケーシングアセンブリ(500)の管状ケーシング(512)に対して遠位側に前進し、それによって、間隙距離dとして知られる、アンビル(320)の近位表面(330)とデッキ部材(364)の遠位に向けられたデッキ表面との間の距離を増加させる。調節ノブ(460)を反対方向に回転させることによって、モノリシック閉鎖ロッド(402)は、遠位トロカール部分(410)がアンビル(320)と連結されているときにアンビル(320)とデッキ部材(364)との間の間隙距離dを低減するように、ケーシングアセンブリ(500)に対して近位側に作動される。このように、閉鎖システム(400)は、調節ノブ(460)の回転に反応してモノリシック閉鎖ロッド(402)を作動させるように動作可能である。閉鎖システム(400)のための他の構成は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0058】
本実施例の連続溝(432)は、軸方向の距離当たりの溝のピッチ又は数が様々である複数の異なる部分(432A、432B、432C)を備える。本溝(432)は、遠位部分(432A)、中間部分(432B)、及び近位部分(432C)に分けられている。遠位部分(432A)は、近位溝付き区分(430)の軸方向の短い長さにわたって細かいピッチ又は数多くの溝を備える。中間部分(432B)は、調節ノブ(460)の内部タブ(462)が軸方向距離に沿って通過するために必要な回転が比較的少なくなるように、軸方向の長さ当たりに比較的粗いピッチ又は数少ない溝を有する区分を備える。アンビル(320)が管状ケーシング(512)に対して最初の遠位位置にあるとき、ノブ(460)の内部タブ(462)は中間部分(432B)に位置付けられている。したがって、間隙距離dは、内部タブ(462)が中間部分(432B)を通過する間に、調節ノブ(460)の比較的少ない回転によって急速に縮小し得る。本実施例の近位部分(432C)は、遠位部分(432A)と実質的に同様であり、軸方向に短い距離を通過するために必要な回転数が多くなるように、近位溝付き区分(430)の短い軸方向距離にわたって細かいピッチ又は数多くの溝を備える。本実施例の近位部分(432C)は、アンビル(320)がデッキ部材(364)に実質的に近いとき、ノブ(460)によって画定される近位雌ねじ(466)によって係合され、その結果、表示バー(456)は表示窓(506)内を目印のセット(図示せず)に沿って移動して、アンビル(320)の間隙距離dが所望の動作範囲内にあることを示す。したがって、溝(432)の近位部分(432C)がノブ(460)の近位雌ねじ(466)と係合する近位位置に溝付き近位区分(430)が到達すると、調節ノブ(460)が回転するたびに比較的少量だけ間隙距離dが縮小して、微調節ができる。
【0059】
接続バンド部分(404)は、近位シャンク部分(420)と遠位トロカール部分(410)との間に延在して、ロッド(422)の遠位端とシャフト(412)の近位端とを接続する。接続バンド部分(404)は、モノリシック閉鎖ロッド(402)がケーシングアセンブリ(500)に対して並進移動するにつれて、ケーシングアセンブリ(500)の予め形成された屈曲シャフト部分(504)の長手方向輪郭に沿ったモノリシック閉鎖ロッド(402)の動力学的変形を提供するように十分に可撓性である。
【0060】
発射システム(360)は、以下に記載される相違点を伴って、上記の発射システムと実質的に同様である。発射システム(360)は、トリガ(370)と、摺動可能なトリガ運搬部(367)と、ドライバアクチュエータ(365)と、穴(366)を画定する摺動可能なステープルドライバ部材(362)と、円筒状ナイフ部材(363)と、デッキ部材(364)と、を含み、これらは、以下に記載される相違点を伴って、上記のトリガ(74)と、摺動可能なトリガ運搬部(86)と、ドライバアクチュエータ(64)と、穴(254)を画定する摺動可能なステープルドライバ部材(250)と、円筒状ナイフ部材(240)と、デッキ部材(220)とそれぞれ実質的に同様である。
【0061】
摺動可能なステープルドライバ部材(362)は、上記のステープラドライバ(252)と実質的に同様の複数のステープルドライバ(368)を含む。デッキ部材(364)は、それぞれのステープルドライバ(368)と整列するステープルポケット(図示せず)内に複数のステープルを収容する。ステープルドライバ(368)は、上記の原理に従って、デッキ部材(364)のステープルポケットから、デッキ部材(368)の環状配列のステープル開口部(図示せず)を通って、かつアンビル(320)の複数のステープル成形ポケット(332)に対して、ステープルを駆動するように動作可能である。円筒状ナイフ部材(240)と同様に、円筒状ナイフ部材(363)は、上記の原理に従って、摺動可能なステープルドライバ部材(362)を用いて作動して、新たに形成されたステープルの径方向に内側の過剰な組織を切断するために、摺動可能なステープルドライバ部材(362)と連結されている。
【0062】
トリガ(370)は、上記の原理に従って、ケーシングアセンブリ(500)と回動可能に連結され、摺動可能なステープルドライバ部材(362)及び円筒状ナイフ部材(363)を作動させて、使用中にアンビル(320)とデッキ部材(364)との間に捕捉された組織をステープル留めして切断するために、開放位置から閉鎖位置へとケーシングアセンブリ(500)に対して回動するように構成されている。トリガ(370)は、上記のロックアウト機構(82)と実質的に同様であり得るロックアウト機構(371)により、開放位置に選択的に固定されてもよい。トリガ(370)は、ハンドル(372)を含む。しかしながら、上記のように別個のバネ(78)を有するトリガ(74)とは異なり、ハンドル(372)は、トリガ(370)をケーシングアセンブリ(500)に対して開放位置に向かって付勢するように構成された一体型板バネ(374)を含む。ハンドル(372)は、上記のタブ(88)と同様であり得る一対のタブ(376)を含む。したがって、トリガ(370)が、トリガ運搬部(367)、ドライバアクチュエータ(365)、摺動可能なステープルドライバ部材(362)、及び円筒状ナイフ部材(363)を遠位側に作動させるために閉鎖位置に回動されると、タブ(376)は、摺動可能なトリガ運搬部(367)と相互作用するように構成されている。上記のドライバアクチュエータ(64)と同様に、ドライバアクチュエータ(365)は、モノリシック閉鎖ロッド(402)の隣接部分がドライバアクチュエータ(365)の内部で及び当該ドライバアクチュエータに対して長手方向に作動し得るように、開放通路を有する管状部材を備える。
【0063】
ケーシングアセンブリ(500)は、発射システム(360)及び閉鎖システム(400)のための機械的基盤を形成する。ケーシングアセンブリ(500)は、発射システム(360)及び閉鎖システム(400)の部分を収容するために互いに連結するように構成された第1の部分(510)及び第2の部分(560)を含む。器具(10)とは異なり、ケーシングアセンブリ(500)は、ハンドル部分(502)、予め形成された屈曲シャフト部分(504)、及び管状ケーシング(512)を形成する。シャフトアセンブリ(60)と同様に、予め形成された屈曲シャフト部分(504)は、閉鎖システム(400)及び発射システム(360)の一部分を摺動可能に収容する。シャフトアセンブリ(60)とは異なり、予め形成された屈曲シャフト部分(504)は、予め形成された屈曲部を含む。
【0064】
上記の管状ケーシング(210)と同様に、管状ケーシング(512)はまた、閉鎖システム(400)のトロカール部分(410)を摺動可能に受容する円筒状の内側芯部材(図示せず)を含む。一緒に連結されると、第1の部分(510)及び第2の部分(560)は、表示窓(506)及び近位開口部(508)を画定する。上記の表示窓(120)と同様に、表示窓(506)は、目盛り(図示せず)を有し、操作者が、間隙距離dを決定するために表示バー(110)を目盛り(図示せず)に照らして視認し得るように寸法決めされる。加えて、一体に連結されると、第1の部分(510)及び第2の部分(560)は、閉鎖システム(400)の調節ノブ(460)を回転可能に支持する近位開口部(508)を画定する。
【0065】
B.例示的なトルク制限機構
上述したように、所定の最大クランプ力を提供することによって、アンビル(320)及びデッキ部材(364)がクランプされた組織(2)に与え得るクランプ力の量を選択的に制限することが望しい場合がある。組織がアンビル(320)の近位表面(330)とデッキ部材(364)との間にクランプされ、操作者が間隙距離dを低減しようと試みると、アンビル(320)及びデッキ部材(364)は、クランプされた組織に圧縮力を与える。これに応答して、組織は、圧縮力に反発力を与え、デッキ部材(364)に対するアンビル(320)の更なる閉鎖に抵抗する。ノブ(460)の回転は、モノリシック閉鎖ロッド(400)及びアンビル(320)を長手方向に作動させて間隙距離dを低減させるため、アンビル(320)とデッキ部材(364)との間に捕捉された組織は、ノブ(460)の回転に抵抗し得る。したがって、操作者がアンビル(320)とデッキ部材(364)との間に捕捉された組織を圧縮するために間隙距離dを低減しようとすればするほど、ノブ(460)を回転させるためにより多くのトルクが必要になる場合がある。換言すれば、ノブ(460)を回転させ、閉鎖ロッド(400)を作動させるのに必要なトルクは、クランプされている組織の内臓の弾力に応じて、アンビル(320)及びデッキ部材(364)がクランプされた組織に与える圧縮力に相関し得る。
【0066】
上述したように、閉鎖システム(400)は、トルク制限調節ノブ(600)を含む。以下により詳細に記載されるように、トルク制限調節ノブ(600)は、ノブ(460)を所定のトルクレベルまで回転させるように構成され、これにより、アンビル(320)及びデッキ部材(364)が組織を所定の最大クランプ力までクランプすることを可能にし得る。操作者がトルク制限調節ノブ(600)を、所定の最大クランプ力に関連付けられた所定のトルクレベルまで回転させると、トルク制限調節ノブ(600)は、それ以上ノブ(460)を回転させることはできない。具体的に言えば、トルク制限調節ノブ(600)は、所定の最大トルクに到達した後に操作者がノブ(600)を回転させ続けると、ノブ(460)の回転に対して滑り始める。したがって、トルク制限調節ノブ(600)を使用して、閉鎖ステム(400)が、所定の最大クランプ力を超えることなく、組織を所定の最大クランプ力までクランプすることを可能にすることができる。しかしながら、操作者が、所定の最大クランプ力を超えるより大きなクランプ力を提供することを望む場合、操作者は、トルク制限調節ノブ(600)を回転させる代わりに、ノブ(460)を直接回転させて、所定の最大クランプ力を上回るクランプ力を提供することができる。
【0067】
図16図17Bに最もよく示されるように、トルク制限調節ノブ(600)は、近位把持本体(602)及び遠位狭小本体(604)を含む。トルク制限調節ノブ(600)は、ケーシングアセンブリ(500)に対して回転可能である。加えて、トルク制限調節ノブ(600)は、ノブ(460)の近位端と連結され、それにより、トルク制限調節ノブ(600)は、トルク制限調節ノブ(600)がノブ(460)を回転させるのに必要なトルクに応じて、ノブ(460)と回転方向に固定されるか、又はノブ(460)に対して回転可能である。
【0068】
近位把持本体(602)は、トルク制限調節ノブ(600)をケーシングアセンブリ(500)に対して回転させるために、操作者によって把持され得る。近位把持本体(602)は、遠位狭小本体(604)へと遷移する。上述したように、調節ノブ(460)は、近位開放チャネル(468)を画定し、近位開放チャネル(468)は、角度の付いた状態で離間配置された凹部(470)の配列を画定する内側表面(472)を含む。遠位狭小本体(604)は、近位開放チャネル(468)内に収容される。遠位狭小本体(604)は、外側表面(606)に向かって延在する複数の径方向に延在する空洞(608)を画定する。付勢バネ(612)は、各々が径方向に延在する空洞(608)内に少なくとも部分的に収容される。付勢バネ(612)は、接触先端部(610)に接続される。付勢バネ(612)は、接触先端部(610)を付勢して対応する凹部(470)と係合させるように寸法決めされる。付勢バネ(612)は、接触先端部(610)を付勢して対応する凹部(470)と係合させるのに十分なバネ定数を有し、それにより、ケーシングアセンブリ(500)に対するトルク制限調節ノブ(600)の回転は、接触先端部(610)と対応する凹部(470)との間に提供される摩擦制動力によって、ケーシングアセンブリ(500)に対するノブ(460)の回転を駆動することができる。
【0069】
図17Aに最もよく見られるように、アンビル(320)とデッキ部材(364)との間にクランプされた組織が、所定の最大クランプ力を下回ってクランプされると、接触先端部(610)を凹部(470)へと付勢する付勢バネ(612)によって提供される摩擦制動力は、トルク制限調節ノブ(600)がノブ(460)を回転させることを可能にし、それによって、上記の原理に従って間隙距離dを低減させ得る。換言すれば、接触先端部(610)は、先端部(610)が対応する凹部(470)内に係合されているときにノブ(460、600)が一緒に回転するように、ノブ(600)からノブ(460)へと回転運動を伝達する。
【0070】
しかしながら、図17Bに示されるように、アンビル(320)とデッキ部材(364)との間にクランプされた組織が所定の最大クランプ力を上回ってクランプされると、付勢バネ(612)はもはや、接触先端部(610)を対応する凹部(470)と係合させ続けるのに十分な付勢力を提供することはできない。操作者が、間隙距離dを低減することに関連付けられた方向にトルク制限調節ノブ(600)を更に回転させようと試みた場合、接触先端部(610)と凹部(470)との間の接触により、接触先端部(610)がノブ(460)の内側表面(472)に対して滑るように、付勢バネ(612)を径方向内向きに付勢することができる。したがって、トルク制限調節ノブ(600)は、間隙距離dを低減することに関連付けられた回転方向へのトルク制御調節ノブ(600)の更なる回転により間隙距離dが更に低減しないように、ノブ(460)に対して回転方向に滑ることができる。この時点で、クランプされている組織が過剰に厚いことを操作者が知っている場合などに操作者が間隙距離dを更に低減することを望む場合、操作者は、トルク制限調節ノブ(600)を把持する代わりに、ノブ(460)を直接把持して、所定の最大クランプ力を手動でオーバーライドすることができる。
【0071】
本実施例では4つの接触先端部(410)及び4つの凹部(470)が使用されたが、本明細書の教示を考慮することにより当業者には明らかとなるように、任意の好適な数の接触先端部(410)及び凹部(470)を使用することができる。接触先端部(410)を付勢してノブ(460)と係合させる付勢力を提供するためにバネ(612)が使用されたが、本明細書の教示を考慮することにより当業者には明らかとなるように、十分な弾性特性を有する任意の他の好適な付勢機構を使用することができる。更に、接触先端部(410)はトルク制限調節ノブ(600)に関連付けられ、凹部(470)はノブ(460)に関連付けられているが、本明細書の教示を考慮することにより当業者には明らかとなるように、接触先端部(410)と凹部(470)との間の任意の好適な配置関係を用いることができる。加えて、接触先端部(410)と相互作用するために凹部(470)が使用されたが、本明細書の教示を考慮することにより当業者には明らかとなるように、バンプなどの任意の他の好適な幾何学形状を使用することができる。当然のことながら、凹部(470)は完全に省略されてもよい。
【0072】
図18A図18Cは、代替的なトルク制限調節ノブ(700)及び代替的なオーバーライド調節ノブ(760)を示しており、これらは、上記のトルク制限調節ノブ(600)及びノブ(460)の代わりにそれぞれ使用され得る。したがって、トルク制限調節ノブ(700)及びオーバーライド調節ノブ(760)は、以下に詳述される相違点を伴って、上記のトルク制限調節ノブ(600)及びノブ(460)と同様である。
【0073】
オーバーライド調節ノブ(760)は、内側表面(762)を有する近位開放チャネル(766)を画定し、これらは、上記の近位開放チャネル(468)及び内側表面(472)と同様である。しかしながら、凹部(470)を画定する代わりに、内側表面(472)は、角度の付いた状態で離間配置された径方向突起部(464)の配列を含む。トルク制限調節ノブ(700)の遠位狭小本体(730)は、突起部(736)を含む。ラチェットポール(572)が調節ノブ(700)と共に回転するように構成されるように、突起部(736)は、ラチェットポール(752)のチャネル(753)と連結するように寸法決めされる。ラチェットポール(752)は、遠位狭小本体(730)から延在する複数の弾性アーム(754)を含む。各弾性アーム(754)は、嵌合タブ(756)内で終端する。嵌合タブ(756)は、オーバーライド調節ノブ(460)の径方向突起部(764)同士の間に収容されるように寸法決めされる。
【0074】
弾性アーム(754)は、嵌合タブ(756)を付勢して、径方向突起部(764)同士の間に位置する内側表面(762)の部分と係合するように寸法決めされる。弾性アーム(754)は、嵌合タブ(756)を付勢して径方向突起部(764)の横方向部分と係合させるのに十分なバネ定数を有し、それにより、ケーシングアセンブリ(500)に対するトルク制限調節ノブ(700)の回転は、ケーシングアセンブリ(500)に対するノブ(760)の回転を駆動することができる。
【0075】
図18Aに最もよく見られるように、アンビル(320)とデッキ部材(364)との間にクランプされた組織が所定の最大クランプ力を下回る力でクランプされるとき、嵌合タブ(756)と径方向突起部(764)の横方向部分との間の接触により、トルク制限調節ノブ(700)がノブ(760)を回転させることが可能となり、それによって、上記の原理に従って間隙距離dを低減することができる。弾性アーム(754)は、径方向突起部(764)の横方向部分の間で対応する嵌合タブ(756)を付勢して、トルク制限調節ノブ(700)がノブ(760)を回転させることを可能にするのに十分な弾力性を有する。しかしながら、図18B及び図18Cに示されるように、弾性アーム(754)は十分に可撓性であるので、アンビル(320)とデッキ部材(364)との間にクランプされた組織が所定の最大クランプ力を上回る力でクランプされると、トルク制限調節ノブ(700)の更なる回転が弾性アーム(754)を径方向内向きに反らして、嵌合タブ(756)が径方向突起部(764)に対して滑るようになっている。したがって、トルク制限調節ノブ(700)は、間隙距離dを低減することに関連付けられた回転方向へのトルク制御調節ノブ(700)の更なる回転により間隙距離dが更に低減しないように、ノブ(760)に対して回転方向に滑ることができる。この時点で、クランプされている組織が過剰に厚いことを操作者が知っている場合などに操作者が間隙距離dを更に低減することを望む場合、操作者は、トルク制限調節ノブ(700)を把持する代わりに、ノブ(760)を直接把持して、所定の最大クランプ力を手動でオーバーライドすることができる。
【0076】
本実施例では4つの弾性アーム(754)が使用されたが、本明細書の教示を考慮することにより当業者には明らかとなるように、任意の好適な数の弾性アーム(754)を使用することができる。更に、弾性アーム(754)はトルク制限調節ノブ(700)に関連付けられ、径方向突起部(764)はノブ(760)に関連付けられているが、本明細書の教示を考慮することにより当業者には明らかとなるように、弾性アーム(754)と径方向突起部(764)との間の任意の好適な配置及び関係を用いることができる。
【0077】
図19A図19Cは、別の代替的なトルク制限調節ノブ(800)及び代替的なオーバーライド調節ノブ(860)を示しており、これらは、上記のトルク制限調節ノブ(600、700)及びノブ(460、760)の代わりにそれぞれ使用され得る。したがって、トルク制限調節ノブ(800)及びオーバーライド調節ノブ(860)は、以下に詳述される相違点を伴って、上記の調節ノブ(600、700)及びノブ(460、760)と同様に機能し得る。トルク制限調節ノブ(800)は、角度の付いた状態で離間配置された突起部(836)の配列を有する遠位狭小本体(830)を含む。各突起部(836)は、傾斜面(836A)及び平坦面(836B)を含む。
【0078】
オーバーライド調節ノブ(850)は、遠位狭小本体(830)を収容する近位開放チャネル(858)を一緒に画定する2つの弾性外側部分(854)を含む。弾性外側部分(854)はまた、間隙(852)を画定する。弾性外側部分(854)は、各々が傾斜面(856A)及び平坦面(856B)を有する複数のタブ(856)を含む。弾性外側部分(854)は、突起部(836)に対して対応するタブ(856)を付勢して、トルク制限調節ノブ(800)がノブ(860)を回転させることを可能にするのに十分な弾力性を有する。図19Aに最もよく見られるように、アンビル(320)とデッキ部材(364)との間にクランプされた組織が所定の最大クランプ力を下回る力でクランプされるとき、嵌合タブ(856)と径方向突起部(836)の横方向部分との間の接触により、トルク制限調節ノブ(800)がノブ(850)を回転させることが可能となり、それによって、上記の原理に従って間隙距離dを低減することができる。
【0079】
しかしながら、図19B及び図19Cに示されるように、弾性外側部分(854)は、アンビル(320)とデッキ部材(364)との間にクランプされた組織が所定の最大クランプ力を上回る力でクランプされると、突起部(836)及びタブ(856)の傾斜面(836A、856A)間の相互作用に応答して、互いに対して反るように構成されている。したがって、アンビル(320)とデッキ部材(364)との間にクランプされた組織が所定の最大クランプ力を上回る力でクランプされると、トルク制限調節ノブ(800)の更なる回転により、嵌合タブ(856)が突起部(864)に対して滑るように、弾性外側部分(854)が径方向外向きに反る。したがって、トルク制限調節ノブ(800)は、間隙距離dを低減することに関連付けられた回転方向へのトルク制御調節ノブ(800)の更なる回転により間隙距離dが更に低減しないように、ノブ(860)に対して回転方向に滑ることができる。
【0080】
操作者が間隙距離dを増加させることを望む場合、操作者は、平坦面(836B、856B)が互いに当接し得るように、トルク制限調節ノブ(800)を反対方向に回転させることができる。平坦面(836、856)は、弾性外側部分(856)が弾性外側部分(854)を径方向外向きに反らさないように寸法決めされ得る。したがって、操作者は、トルク制限調節ノブ(800)が間隙距離dを更に低減するように構成されていない場合であっても、トルク制限調節ノブ(800)を利用して間隙距離dを増加させることができる。加えて、この時点で、クランプされている組織が過剰に厚いことを操作者が知っている場合などに操作者が間隙距離dを更に低減することを望む場合、操作者は、所定の最大クランプ力を手動でオーバーライドするために、トルク制限調節ノブ(800)を把持する代わりに、ノブ(860)を直接把持することができる。
【0081】
III.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の出願におけるどの時点でも提示され得る、いずれの特許請求の範囲の適用範囲をも限定することを目的としたものではないと理解されたい。一切の棄権を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものにすぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で配置及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形形態では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者ら又は本発明者らの利益の継承者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴のいずれも重要なものとしてみなされるべきではない。以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む特許請求の範囲が本出願において、又は本出願に関連する後の出願において示される場合、それらの更なる特徴は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0082】
装置であって、(a)本体と、(b)環状配列のステープル成形ポケットを画定するアンビルと、(c)発射アセンブリであって、(i)ステープルドライバ、(ii)デッキ部材、及び(iii)環状配列のステープル、を備え、ステープルドライバが、未発射位置と発射位置との間で作動して、環状配列のステープルを、デッキ部材を貫通して、環状配列のステープル成形ポケットに対して駆動するように動作可能である、発射アセンブリと、(d)閉鎖アセンブリであって、(i)アンビルと選択的に連結し、本体に対してアンビルを作動させて、アンビルとデッキ部材との間に組織を捕捉するように構成されたトロカール、(ii)本体と回転可能に連結されたノブであって、本体に対して回転して、本体に対してトロカールを作動させるように構成されている、ノブ、及び(iii)ノブに関連付けられた制限調節機構、を備え、制限調節機構は、アンビルとデッキ部材との間に捕捉された組織が所定の最大クランプ力下で圧縮されるまで、ノブを選択的に回転させて、トロカール及びアンビルを近位側に作動させるように構成され、制限調節機構は、アンビルとデッキ部材との間に捕捉された組織が所定の最大クランプ力を超えて圧縮されると、ノブに対して滑るように構成されている、閉鎖アセンブリと、を備える、装置。
【実施例2】
【0083】
制限調節機構が、トルク制限調節ノブを備える、実施例1に記載の装置。
【実施例3】
【0084】
トルク制限調節ノブが、ノブの近位端と関連付けられている、実施例2に記載の装置。
【実施例4】
【0085】
トルク制限調節ノブが、近位把持本体と、遠位狭小本体と、を備える、実施例3に記載の装置。
【実施例5】
【0086】
ノブが、近位開口部を画定し、トルク制限調節ノブの遠位狭小本体が、ノブの近位開口部内に収容されている、実施例4に記載の装置。
【実施例6】
【0087】
ノブの近位開口部が、環状配列の凹部を画定する内側表面を含む、実施例5に記載の装置。
【実施例7】
【0088】
遠位狭小本体が、環状配列の凹部のうちの凹部内へと付勢するように構成された接触先端部を含む、実施例6に記載の装置。
【実施例8】
【0089】
遠位狭小本体が、バネを更に含み、バネが、接触先端部を環状配列の凹部のうちの凹部内へと付勢する、実施例7に記載の装置。
【実施例9】
【0090】
バネが、変形するように構成されており、それにより、アンビルとデッキ部材との間に捕捉された組織が所定の最大クランプ力を超えて圧縮されると、接触先端部が環状配列の凹部から滑り出る、実施例8に記載の装置。
【実施例10】
【0091】
ノブの近位開口部が、環状配列の突起部を含む、実施例5~9のうちのいずれか1つ又は2つ以上に記載の装置。
【実施例11】
【0092】
トルク制限調節ノブが、弾性アームと、係合タブと、を含み、弾性アームが、環状配列の突起部の間で係合タブを付勢するように構成されている、実施例10に記載の装置。
【実施例12】
【0093】
弾性アームが、変形するように構成されており、それにより、アンビルとデッキ部材との間に捕捉された組織が所定の最大クランプ力を超えて圧縮されると、接触先端部が環状配列の突起部に対してカム駆動し得る、実施例11に記載の装置。
【実施例13】
【0094】
ノブが、タブを含む弾性外側部分を備え、トルク制限調節機構が、突起部を備える、実施例1~12のうちのいずれか1つ又は2つ以上に記載の装置。
【実施例14】
【0095】
突起部は、アンビルとデッキ部材との間に捕捉された組織が突起部とタブとの間のカム駆動を介して所定の最大クランプ力を超えて圧縮されると、弾性外側部分を外向きに屈曲させるように構成されている、実施例1~13のうちのいずれか1つ又は2つ以上に記載の装置。
【実施例15】
【0096】
タブが、第1の傾斜面を有し、突起部が、第2の傾斜面を有する、実施例14に記載の装置。
【実施例16】
【0097】
タブが、第1の平坦面を有し、突起部が、第2の平坦面を有する、実施例15に記載の装置。
【実施例17】
【0098】
装置であって、(a)本体と、(b)環状配列のステープル成形ポケットを画定するアンビルと、(c)発射アセンブリであって、(i)ステープルドライバ、(ii)デッキ部材、(iii)環状配列のステープル、を備え、ステープルドライバが、未発射位置と発射位置との間で作動して、環状配列のステープルを、デッキ部材を貫通して、環状配列のステープル成形ポケットに対して駆動するように動作可能である、発射アセンブリと、(d)閉鎖アセンブリであって、(i)アンビルと選択的に連結し、本体に対してアンビルを作動させて、アンビルとデッキ部材との間に組織を捕捉するように構成されたトロカール、(ii)本体に対して回転して、トロカールを作動させるように構成されたノブ、及び(iii)ノブを最大トルク値まで回転させるように構成されたトルク制限調節機構、を備え、トルク制限調節機構は、トルクが最大トルク値に到達したことに応答して、ノブに対して移動するように更に構成されている、閉鎖アセンブリと、を備える、装置。
【実施例18】
【0099】
トルク制限調節機構が、スリップクラッチを備える、実施例17に記載の装置。
【実施例19】
【0100】
スリップクラッチが、付勢部材を備える、実施例18に記載の装置。
【実施例20】
【0101】
装置であって、(a)本体と、(b)環状配列のステープル成形ポケットを画定するアンビルと、(c)発射アセンブリであって、(i)ステープルドライバ、(ii)デッキ部材、(iii)環状配列のステープル、を備え、ステープルドライバが、未発射位置と発射位置との間で作動して、環状配列のステープルを、デッキ部材を貫通して、環状配列のステープル成形ポケットに対して駆動するように動作可能である、発射アセンブリと、(d)閉鎖アセンブリであって、(i)アンビルと選択的に連結し、本体に対してアンビルを作動させて、アンビルとデッキ部材との間に組織を捕捉するように構成されたトロカール、(ii)本体に対して回転して、トロカールを作動させるように構成されたノブ、及び(iii)ノブを最大トルク値まで回転させるように構成されたスリップクラッチ、を備え、スリップクラッチは、トルクが最大トルク値に到達したことに応答して、滑るように構成されている、閉鎖アセンブリと、を備える、装置。
【0102】
IV.その他
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上は、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わされてもよい。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、本明細書の教示を考慮することで当業者には容易に明らかとなるであろう。このような改変及び変形形態は、「特許請求の範囲」の範囲内に含まれるものとする。
【0103】
本明細書の教示の少なくとも一部は、米国特許第7,794,475号、2010年9月14日発行、発明の名称「Surgical Staples Having Compressible or Crushable Members for Securing Tissue Therein and Stapling Instruments for Deploying the Same」(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる);米国特許出願第13/693,430号、2012年12月4日出願、発明の名称「Trans-Oral Circular Anvil Introduction System with Dilation Feature」(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる);米国特許出願第13/688,951号、2012年11月29日出願、発明の名称「Surgical Staple with Integral Pledget for Tip Deflection」(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる);米国特許出願第13/706,827号、2012年12月6日出願、発明の名称「Surgical Stapler with Varying Staple Widths along Different Circumferences」(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる);米国特許出願第13/688,992号、2012年11月29日出願、発明の名称「Pivoting Anvil for Surgical Circular Stapler」(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる);米国特許出願第13/693,455号、2012年12月4日出願、発明の名称「Circular Anvil Introduction System with Alignment Feature」(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる);米国特許出願米国特許出願第13/716,313号、2012年12月17日出願、発明の名称「Circular Stapler with Selectable Motorized and Manual Control,Including a Control Ring」(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる);米国特許出願米国特許出願第13/716,318号、2012年12月17日出願、発明の名称「Motor Driven Rotary Input Circular Stapler with Modular End Effector」(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる);及び/又は米国特許出願第13/176,323号、2012年12月17日出願、発明の名称「Motor Driven Rotary Input Circular Stapler with Lockable Flexible Shaft」(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)のうちの1つ又は2つ以上の教示と容易に組み合わせることができる。このような教示を組み合わせることができる種々の適切な方法が当業者に明らかになるであろう。
【0104】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるいかなる特許、公報、又は他の開示内容も、全体的に又は部分的に、組み込まれる内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載される他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれると理解されるべきである。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載された開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。現行の定義、見解、又は本明細書に記載されたその他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は本明細書に参考として組み込まれるものとするが、参照内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、参照されるものとする。
【0105】
上記のデバイスの変形例は、医療専門家により行われる従来の医療処置及び手術における用途のみではなく、ロボット支援された医療処置(treatment)及び処置(procedure)における用途をも有することができる。単なる例として、本明細書の様々な教示は、ロボット外科用システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムなどに容易に組み込むことができる。
【0106】
上述の変形例は、1回の使用後に廃棄するように設計することができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。変形例は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組み立て工程の、任意の組み合わせを含み得る。特に、デバイスのいくつかの変形例は分解することができ、また、デバイスの任意の数の特定の部分若しくは部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換の際、デバイスの一部の変形例は、再調整用の施設で、又は処置の直前に操作者のいずれかによって、その後の使用のために再組み立てされてもよい。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。こうした技術の使用、及び結果として得られる再調整された装置は、全て本出願の範囲内にある。
【0107】
単なる例として、本明細書に記載される変形例は、処置の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、装置をプラスチック製又はTYVEK製のバックなど、閉鎖及び封止された容器に入れる。次いで、容器及びデバイスを、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置いてもよい。放射線は、デバイス上及び容器内の細菌を死滅させ得る。次に、滅菌されたデバイスを、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で既知の任意の他の技術を用いて、デバイスを滅菌してもよい。
【0108】
以上、本発明の様々な実施形態を示し、記載したが、当業者による適切な改変により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかとなるであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面において図示され、説明された構造及び動作の細部に限定されないものとして、理解されたい。
【0109】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
(a)本体と、
(b)環状配列のステープル成形ポケットを画定するアンビルと、
(c)発射アセンブリであって、
(i)ステープルドライバ、
(ii)デッキ部材、及び
(iii)環状配列のステープル、を備え、前記ステープルドライバが、未発射位置と発射位置との間で作動して、前記環状配列のステープルを、前記デッキ部材を貫通して、前記環状配列のステープル成形ポケットに対して駆動するように動作可能である、発射アセンブリと、
(d)閉鎖アセンブリであって、
(i)前記アンビルと選択的に連結し、前記本体に対して前記アンビルを作動させて、前記アンビルと前記デッキ部材との間に組織を捕捉するように構成されたトロカール、
(ii)前記本体と回転可能に連結されたノブであって、前記本体に対して回転して、前記本体に対して前記トロカールを作動させるように構成されている、ノブ、及び
(iii)前記ノブに関連付けられた制限調節機構、を備え、前記制限調節機構は、前記アンビルと前記デッキ部材との間に捕捉された組織が所定の最大クランプ力下で圧縮されるまで、前記ノブを選択的に回転させて、前記トロカール及び前記アンビルを近位側に作動させるように構成され、前記制限調節機構は、前記アンビルと前記デッキ部材との間に捕捉された組織が前記所定の最大クランプ力を超えて圧縮されると、前記ノブに対して滑るように構成されている、閉鎖アセンブリと、を備える、装置。
(2) 前記制限調節機構が、トルク制限調節ノブを備える、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記トルク制限調節ノブが、前記ノブの近位端と関連付けられている、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記トルク制限調節ノブが、近位把持本体と、遠位狭小本体と、を備える、実施態様3に記載の装置。
(5) 前記ノブが、近位開口部を画定し、前記トルク制限調節ノブの前記遠位狭小本体が、前記ノブの前記近位開口部内に収容されている、実施態様4に記載の装置。
【0110】
(6) 前記ノブの前記近位開口部が、環状配列の凹部を画定する内側表面を含む、実施態様5に記載の装置。
(7) 前記遠位狭小本体が、前記環状配列の凹部のうちの凹部内へと付勢するように構成された接触先端部を含む、実施態様6に記載の装置。
(8) 前記遠位狭小本体が、バネを更に含み、前記バネが、前記接触先端部を前記環状配列の凹部のうちの前記凹部内へと付勢する、実施態様7に記載の装置。
(9) 前記バネが、変形するように構成されており、それにより、前記アンビルと前記デッキ部材との間に捕捉された組織が前記所定の最大クランプ力を超えて圧縮されると、前記接触先端部が前記環状配列の凹部から滑り出る、実施態様8に記載の装置。
(10) 前記ノブの前記近位開口部が、環状配列の突起部を含む、実施態様5に記載の装置。
【0111】
(11) 前記トルク制限調節ノブが、弾性アームと、係合タブと、を含み、前記弾性アームが、前記環状配列の突起部間で前記係合タブを付勢するように構成されている、実施態様10に記載の装置。
(12) 前記弾性アームが、変形するように構成されており、それにより、前記アンビルと前記デッキ部材との間に捕捉された組織が前記所定の最大クランプ力を超えて圧縮されると、前記接触先端部が前記環状配列の突起部に対してカム駆動し得る、実施態様11に記載の装置。
(13) 前記ノブが、タブを含む弾性外側部分を備え、前記トルク制限調節機構が、突起部を備える、実施態様1に記載の装置。
(14) 前記突起部は、前記アンビルと前記デッキ部材との間に捕捉された組織が前記突起部と前記タブとの間のカム駆動を介して前記所定の最大クランプ力を超えて圧縮されると、前記弾性外側部分を外向きに屈曲させるように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(15) 前記タブが、第1の傾斜面を有し、前記突起部が、第2の傾斜面を有する、実施態様14に記載の装置。
【0112】
(16) 前記タブが、第1の平坦面を有し、前記突起部が、第2の平坦面を有する、実施態様15に記載の装置。
(17) 装置であって、
(a)本体と、
(b)環状配列のステープル成形ポケットを画定するアンビルと、
(c)発射アセンブリであって、
(i)ステープルドライバ、
(ii)デッキ部材、
(iii)環状配列のステープル、を備え、前記ステープルドライバが、未発射位置と発射位置との間で作動して、前記環状配列のステープルを、前記デッキ部材を貫通して、前記環状配列のステープル成形ポケットに対して駆動するように動作可能である、発射アセンブリと、
(d)閉鎖アセンブリであって、
(i)前記アンビルと選択的に連結し、前記本体に対して前記アンビルを作動させて、前記アンビルと前記デッキ部材との間に組織を捕捉するように構成されたトロカール、
(ii)前記本体に対して回転して、前記トロカールを作動させるように構成されたノブ、及び
(iii)前記ノブを最大トルク値まで回転させるように構成されたトルク制限調節機構、を備え、前記トルク制限調節機構は、前記トルクが前記最大トルク値に到達したことに応答して、前記ノブに対して移動するように更に構成されている、閉鎖アセンブリと、を備える、装置。
(18) 前記トルク制限調節機構が、スリップクラッチを備える、実施態様17に記載の装置。
(19) 前記スリップクラッチが、付勢部材を備える、実施態様18に記載の装置。
(20) 装置であって、
(a)本体と、
(b)環状配列のステープル成形ポケットを画定するアンビルと、
(c)発射アセンブリであって、
(i)ステープルドライバ、
(ii)デッキ部材、
(iii)環状配列のステープル、を備え、前記ステープルドライバが、未発射位置と発射位置との間で作動して、前記環状配列のステープルを、前記デッキ部材を貫通して、前記環状配列のステープル成形ポケットに対して駆動するように動作可能である、発射アセンブリと、
(d)閉鎖アセンブリであって、
(i)前記アンビルと選択的に連結し、前記本体に対して前記アンビルを作動させて、前記アンビルと前記デッキ部材との間に組織を捕捉するように構成されたトロカール、
(ii)前記本体に対して回転して、前記トロカールを作動させるように構成されたノブ、及び
(iii)前記ノブを最大トルク値まで回転させるように構成されたスリップクラッチ、を備え、前記スリップクラッチは、前記トルクが前記最大トルク値に到達したことに応答して、滑るように構成されている、閉鎖アセンブリと、を備える、装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18A
図18B
図18C
図19A
図19B
図19C