(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】外科用器具のための電力遮断モードを開始するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20231113BHJP
【FI】
A61B17/072
(21)【出願番号】P 2020517839
(86)(22)【出願日】2018-09-21
(86)【国際出願番号】 IB2018057313
(87)【国際公開番号】W WO2019064148
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-09-16
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ラインバック・リチャード・エル
(72)【発明者】
【氏名】パルフェット・レイモンド・イー
(72)【発明者】
【氏名】バコス・グレゴリー・ジェイ
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-513557(JP,A)
【文献】特開2014-176695(JP,A)
【文献】特表2014-517707(JP,A)
【文献】国際公開第2016/144679(WO,A2)
【文献】特開2010-075694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/03 - 17/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
非関節運動位置と関節運動位置との間で枢動可能であるエンドエフェクタと、
前記エンドエフェクタに結合された変位部材であって、前記変位部材が、前記エンドエフェクタを前記非関節運動位置と前記関節運動位置との間で駆動するように、
前記エンドエフェクタの前記非関節運動位置に対応する第1の位置と
前記エンドエフェクタの前記関節運動位置に対応する第2の位置との間で移動可能である、変位部材と、
未発射位置と発射位置との間で移動可能であるナイフバーと、
制御回路と、を備え、前記制御回路は、
前記ナイフバーが前記未発射位置と前記発射位置との間で移動しているかどうかに従って発射状態を判定し、
前記変位部材が前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動しているかどうかに従って
前記エンドエフェクタの関節運動状態を判定し、
前記ナイフバーが前記未発射位置にあり、前記変位部材が前記第1の位置にあり、調節可能である閾値持続時間を超過した場合に、前記外科用器具の電源から電力が引き出されることが停止される電力遮断モードを開始するように構成されている、外科用器具。
【請求項2】
前記外科用器具が前記電力遮断モードにある際に、操作が行われた場合に、前記外科用器具が、前記電力遮断モードからフル電源モードに再起動されるように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
更に、前記外科用器具が揺り動かされたことを検知する運動センサを備え、
前記外科用器具が前記電力遮断モードにある際に、前記運動センサが、前記外科用器具が揺り動かされたことを検知したときに、前記外科用器具が、前記電力遮断モードからフル電源モードに再起動されるように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記ナイフバーに結合された発射トリガを更に備え、前記発射トリガが、前記未発射位置と前記発射位置との間で前記ナイフバーを駆動するように構成されており、
前記制御回路は、前記ナイフバーが前記発射トリガの位置に従って移動しているかどうかを判定するように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記ナイフバーに結合されたモータを更に備え、前記モータが、前記未発射位置と前記発射位置との間で前記ナイフバーを駆動するように構成されており、
前記制御回路は、前記ナイフバーが前記モータの電圧に従って移動しているかどうかを判定するように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記ナイフバーの位置を検出し、前記位置を示す信号を提供するように構成されたセンサを更に備え、
前記制御回路は、前記ナイフバーが前記信号に従って移動しているかどうかを判定するように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項7】
前記変位部材の位置を検出し、前記位置を示す信号を提供するように構成されたセンサを更に備え、
前記制御回路は、前記変位部材が前記信号に従って移動しているかどうかを判定するように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項8】
外科用器具であって、
関節運動ホーム位置から枢動可能であるエンドエフェクタと、
ナイフホーム位置から移動可能であるナイフバーと、
制御回路と、を備え、前記制御回路は、
前記ナイフバーが移動しているかどうかを判定し、
前記エンドエフェクタが移動しているかどうかを判定し、
前記ナイフバーが前記ナイフホーム位置にあり、前記エンドエフェクタが前記関節運動ホーム位置にあり、調節可能である閾値持続時間を超過した場合に、前記外科用器具の電源から電力が引き出されることが停止される電力遮断モードを開始するように構成されている、外科用器具。
【請求項9】
前記外科用器具が前記電力遮断モードにある際に、操作が行われた場合に、前記外科用器具が、前記電力遮断モードからフル電源モードに再起動されるように構成されている、請求項8に記載の外科用器具。
【請求項10】
更に、前記外科用器具が揺り動かされたことを検知する運動センサを備え、
前記外科用器具が前記電力遮断モードにある際に、前記運動センサが、前記外科用器具が揺り動かされたことを検知したときに、前記外科用器具が、前記電力遮断モードからフル電源モードに再起動されるように構成されている、請求項8に記載の外科用器具。
【請求項11】
前記ナイフバーに結合された発射トリガを更に備え、前記発射トリガが、前記ナイフホーム位置から前記ナイフバーを駆動するように構成されており、
前記制御回路は、前記ナイフバーが前記発射トリガの位置に従って移動しているかどうかを判定するように構成されている、請求項8に記載の外科用器具。
【請求項12】
前記ナイフバーに結合されたモータを更に備え、前記モータが、前記ナイフホーム位置から前記ナイフバーを駆動するように構成されており、
前記制御回路は、前記ナイフバーが前記モータの電圧に従って移動しているかどうかを判定するように構成されている、請求項8に記載の外科用器具。
【請求項13】
前記ナイフバーの位置を検出し、前記位置を示す信号を提供するように構成されたセンサを更に備え、
前記制御回路は、前記ナイフバーが前記信号に従って移動しているかどうかを判定するように構成されている、請求項8に記載の外科用器具。
【請求項14】
前記エンドエフェクタの位置を検出し、前記位置を示す信号を提供するように構成されたセンサを更に備え、
前記制御回路は、前記エンドエフェクタが前記信号に従って移動しているかどうかを判定するように構成されている、請求項8に記載の外科用器具。
【請求項15】
非関節運動位置と関節運動位置との間で枢動可能であるエンドエフェクタと、前記エンドエフェクタに結合されており、
前記エンドエフェクタの前記非関節運動位置に対応する第1の位置と
前記エンドエフェクタの前記関節運動位置に対応する第2の位置との間で移動可能である、変位部材と、未発射位置と発射位置との間で移動可能であるナイフバーと、外科用器具が揺り動かされたことを検知する運動センサと、を備える外科用器具の動作を制御するための制御回路の作動方法であって、前記制御回路の作動方法が、
前記制御回路が、前記ナイフバーが前記未発射位置と前記発射位置との間で移動しているかどうかに従って発射状態を判定することと、
前記制御回路が、前記変位部材が前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動しているかどうかに従って
前記エンドエフェクタの関節運動状態を判定することと、
前記制御回路が、前記ナイフバーが前記未発射位置にあり、前記変位部材が前記第1の位置にあり、調節可能である閾値持続時間を超過した場合に、前記外科用器具の電源から電力が引き出されることが停止される電力遮断モードを開始することと、を含む、制御回路の作動方法。
【請求項16】
前記外科用器具が前記電力遮断モードにある際に、操作が行われた場合に、前記制御回路が、前記外科用器具を、前記電力遮断モードからフル電源モードに再起動する、請求項15に記載の制御回路の作動方法。
【請求項17】
前記外科用器具が前記電力遮断モードにある際に、前記運動センサが、前記外科用器具が揺り動かされたことを検知したときに、前記制御回路が、前記外科用器具を、前記電力遮断モードからフル電源モードに再起動する、請求項15に記載の制御回路の作動方法。
【請求項18】
前記制御回路が、前記ナイフバーに結合された発射トリガの位置に従って前記ナイフバーが移動しているかどうかを判定することを更に含む、請求項15に記載の制御回路の作動方法。
【請求項19】
前記制御回路が、前記ナイフバーに結合されたモータの電圧に従って前記ナイフバーが移動しているかどうかを判定することを更に含む、請求項15に記載の制御回路の作動方法。
【請求項20】
前記制御回路が、前記ナイフバーの位置を検出するように構成されたセンサに従って前記ナイフバーが移動しているかどうかを判定することを更に含む、請求項15に記載の制御回路の作動方法。
【請求項21】
前記制御回路が、前記変位部材の位置を検出するように構成されたセンサに従って前記変位部材が移動しているかどうかを判定することを更に含む、請求項15に記載の制御回路の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科用器具に関し、また様々な状況においては、組織を切断及びステープル留めするために設計された外科用ステープル留め及び切断器具に関する。
【背景技術】
【0002】
外科用ステープル留め及び切断器具において、器具のディスプレイ及び他の構成要素を制御して、器具を使用している臨床医に警告を与え、器具の電源を切り、また外科用器具の動作状態に応じて他のそのような措置を講じることが有用であり得る。外科用器具の動作状態(すなわち、器具が切断しているか、ステープル留めしているか、クランプしているか、関節運動しているか、又は他のそのような措置を講じているかどうか)は、1つ又は2つ以上のセンサによって検出することができ、そのセンサは、センサによって検出された器具の状態に応じて様々なプロセスを実行するように構成された制御回路に通信可能に結合されていてもよい。状況によっては、外科用器具が経験したエラーに関して臨床医に警告するために、臨床医に警告を与えることが、有用であり得る。他の状況では、器具がその外科用ステープル留め及び切断の動作を完了したときに、器具の電源を切ることが、有用であり得る。更に他の状況では、臨床医が切断進み具合を見ることを可能にするために、ナイフの発射ストロークの過程中のナイフの位置を表示することが、有用であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様では、外科用器具は、非関節運動位置と関節運動位置との間で枢動可能であるエンドエフェクタと、エンドエフェクタに結合された変位部材であって、変位部材が、エンドエフェクタを非関節運動位置と関節運動位置との間で駆動するように、第1の位置と第2の位置との間で移動可能である、変位部材と、未発射位置と発射位置との間で移動可能であるナイフバーと、制御回路と、を備え、制御回路は、ナイフバーが未発射位置と発射位置との間で移動しているかどうかに従って発射状態を判定し、変位部材が第1の位置と第2の位置との間で移動しているかどうかに従って関節運動状態を判定し、発射状態及び関節運動状態に従って電力遮断モードを開始するように構成されている。
【0004】
別の態様では、外科用器具は、関節運動ホーム位置から枢動可能であるエンドエフェクタと、ナイフホーム位置から移動可能であるナイフバーと、制御回路と、を備え、制御回路は、ナイフバーが移動しているかどうかを判定し、エンドエフェクタが移動しているかどうかを判定し、ナイフバー及びエンドエフェクタが移動していなときに電力遮断モードを開始するように構成されている。
【0005】
別の態様では、エンドエフェクタと、エンドエフェクタに結合された変位部材と、第1の位置と第2の位置との間で移動可能である変位部材と、未発射位置と発射位置との間で移動可能であるナイフバーと、を備える外科用器具を制御する方法であって、方法は、ナイフバーが未発射位置と発射位置との間で移動しているかどうかに従って発射状態を判定することと、変位部材が第1の位置と第2の位置との間で移動しているかどうかに従って関節運動状態を判定することと、発射状態及び関節運動状態に従って電力遮断モードを開始することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書に記載される態様の新規特徴は、添付の「特許請求の範囲」に具体的に記載される。しかしながら、これらの態様は、構成及び動作の方法のいずれに関しても、以下の説明文を添付の図面と共に参照することによってより深く理解され得る。
【
図1】本開示の一態様による、動作可能に結合された交換式シャフトアセンブリを有する外科用器具の斜視図である。
【
図2】本開示の一態様による、
図1の外科用器具の一部の分解組立図である。
【
図3】本開示の一態様による、交換式シャフトアセンブリの一部の分解組立図である。
【
図4】本開示の一態様による、
図1の外科用器具のエンドエフェクタの分解図である。
【
図5A】本開示の一態様による、2つの図面にまたがる、
図1の外科用器具の制御回路のブロック図である。
【
図5B】本開示の一態様による、2つの図面にまたがる、
図1の外科用器具の制御回路のブロック図である。
【
図6】本開示の一態様による、ハンドルアセンブリと電源アセンブリ、及びハンドルアセンブリと交換式シャフトアセンブリとの間のインターフェース接続を例証する、
図1の外科用器具の制御回路のブロック図である。
【
図7】本開示の一態様による、
図1の外科用器具の態様を制御するように構成された制御回路を示す。
【
図8】本開示の一態様による、
図1の外科用器具の態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路を示す。
【
図9】本開示の一態様による、
図1の外科用器具の態様を制御するように構成された順序論理回路を示す。
【
図10】
図1の外科用器具の絶対位置決めシステムの図であり、当該絶対位置決めシステムは、本開示の一態様による、センサ構成を含む制御モータ駆動回路を含む。
【
図11】本開示の一態様による、制御回路基板アセンブリ及びセンサ構成の各要素の相対的な整合を示す、絶対位置調整システム用のセンサ構成の分解斜視図である。
【
図12】本開示の一態様による、磁気回転式絶対位置決めシステムを含む位置センサの図である。
【
図13】本開示の一態様による、エンドエフェクタ内に把持された組織に対する発射部材ストロークを示す、
図1の外科用器具のエンドエフェクタの断面図である。
【
図14】本開示の一態様による、変位部材の遠位側並進運動を制御するようにプログラムされた外科用器具のブロック図を示す。
【
図15】本開示の一態様に従って実行された、2つの例示的な変位部材ストロークをプロットした図を示す。
【
図16】本開示の一態様による、明確にするためにその一部分が省略された、非関節運動配向にある細長いシャフトアセンブリを示す、外科用器具のエンドエフェクタの一部分の部分斜視図である。
【
図17】本開示の一態様による、非関節運動配向にある細長いシャフトアセンブリを示す、
図16のエンドエフェクタの別の斜視図である。
【
図18】本開示の一態様による、細長いシャフトアセンブリ態様を示す、
図16のエンドエフェクタの分解組立斜視図である。
【
図19】本開示の一態様による、非関節運動配向にある細長いシャフトアセンブリを示す、
図16のエンドエフェクタの上面図である。
【
図20】本開示の一態様による、第1の関節運動配向にある細長いシャフトアセンブリを示す、
図16のエンドエフェクタの別の上面図である。
【
図21】本開示の一態様による、第2の関節運動配向にある細長いシャフトアセンブリを示す、
図16のエンドエフェクタの別の上面図である。
【
図22】本開示の一態様による、従来の外科用ステープル/締結具カートリッジ及び高周波(RF、radio frequency)カートリッジと共に使用されるように構成された交換式外科用ツールアセンブリに結合されたハンドルアセンブリを含む外科用システムの斜視図である。
【
図23】本開示の一態様による、
図22の外科用システムの分解斜視組立図である。
【
図24】本開示の一態様による、エンドエフェクタが関節運動位置にある、
図22の交換式外科用ツールアセンブリの一部の上部断面図である。
【
図25】本開示の一態様による、オンボードの配線板構成及びRF発生器プラスを加えた構成の斜視図である。
【
図26】本開示の一態様による、外科用器具の低電力遮断をいつ開始すべきかを判定するプロセスの論理フロー図を示す。
【
図27】本開示の一態様による、外科用器具が低電力遮断モードにあることを示す画像を示す表示画面又はその一部の正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本願の出願人は、本願と一緒に同時に出願された以下の特許出願を所有しており、これらは、それぞれの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
2017年9月29日に、発明者Richard L.Leimbachらよって出願された、SYSTEMS AND METHODS FOR PROVIDING ALERTS ACCORDING TO THE OPERATIONAL STATE OF A SURGICAL INSTRUMENTと題する代理人整理番号END8312USNP/170177。
【0008】
2017年9月29日に、発明者Richard L.Leimbachらよって出願された、SYSTEMS AND METHODS OF DISPLAYING A KNIFE POSITION FOR A SURGICAL INSTRUMENTと題する代理人整理番号END8313USNP/170178。
【0009】
2017年9月29日に、発明者Richard L.Leimbachらよって出願された、SYSTEMS AND METHODS FOR LANGUAGE SELECTION OF A SURGICAL INSTRUMENTと題する代理人整理番号END8315USNP/170180。
【0010】
2017年9月29日に、発明者Tony C.Siebelらよって出願された、DISPLAY SCREEN OR PORTION THEREOF WITH ANIMATED GRAPHICAL USER INTERFACEと題する代理人整理番号END8316USDP/170181D。
【0011】
2017年9月29日に、発明者Tony C.Siebelらよって出願された、DISPLAY SCREEN OR PORTION THEREOF WITH ANIMATED GRAPHICAL USER INTERFACEと題する代理人整理番号END8317USDP/170182D。
【0012】
2017年9月29日に、発明者Tony C.Siebelらによって出願された、DISPLAY SCREEN OR PORTION THEREOF WITH ANIMATED GRAPHICAL USER INTERFACEと題する代理人整理番号END8318USDP/170183D。
【0013】
2017年9月29日に、発明者Tony C.Siebelらよって出願された、DISPLAY SCREEN OR PORTION THEREOF WITH ANIMATED GRAPHICAL USER INTERFACEと題する代理人整理番号END8319USDP/170184D。
【0014】
2017年9月29日に、発明者Richard L.Leimbachらよって出願された、SYSTEM AND METHODS FOR CONTROLLING A DISPLAY OF A SURGICAL INSTRUMENTと題する代理人整理番号END8320USNP/170176M。
【0015】
開示される装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の理解を提供するために、特定の態様が示され説明される。1つの実施例で示される又は説明される特徴は、他の実施例の特徴と組み合わされてもよく、修正形態及び変形形態は、本開示の範囲内にある。
【0016】
用語「近位」及び「遠位」は、外科用器具のハンドルを操作する臨床医に対する用語であり、「近位」は臨床医により近い部分を指し、「遠位」は、臨床医からより遠い部分を指す。外科用器具は様々な配向及び位置で使用され得るので、便宜上、図面に関して使用される空間的な用語「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」は、限定及び/又は絶対的であることを意図していない。
【0017】
腹腔鏡下及び低侵襲性の外科的処置を行うための、例示的な装置及び方法が提供される。しかしながら、そのような装置及び方法は、例えば開腹外科手術を含む、他の外科的処置及び用途に使用することができる。外科用器具は、自然開口部を通して、又は組織内に形成された切開又は穿刺穴を通して挿入することができる。器具の作用部分、すなわちエンドエフェクタ部分は、体内に直接に挿入することができ、又は、外科用器具のエンドエフェクタ及び細長いシャフトを前進させることが可能な作用通路を有するアクセス装置を通じて挿入することができる。
【0018】
いくつかの態様では、以下に更に詳細に説明するように、外科用器具は、切断(例えば、
図1及び22に見られるような)、ステープル留め(例えば、
図1に見られるような)、電気外科(例えば、
図22に見られるような)、及び/又は超音波動作を実行することができる装置を備えることができる。超音波外科用器具に関する更なる詳細は、METHOD OF BALANCING ASYMMETRIC ULTRASONIC SURGICAL BLADESと題する米国特許第6,283,981号、CURVED ULTRASONIC WAVEGUIDE HAVING A TRAPEZOIDAL CROSS SECTIONと題する米国特許第6,309,400号、及びBALANCED ULTRASONIC WAVEGUIDE INCLUDING A PLURALITY OF BALANCE ASYMMETRIESと題する米国特許第6,436,115号に見出すことができ、それらの開示は、その全体が、これによって、参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
図1~
図4は、再使用されてもよく又はされなくてもよい、切断及び締結用のモータ駆動式外科用器具10を示す。図示した実施例では、外科用器具10は、臨床医が把持し、操作し、作動させるように構成されたハンドルアセンブリ14を備えるハウジング12を含む。ハウジング12は、1つ又は2つ以上の外科的タスク又は処置を行うように構成されたエンドエフェクタ300が動作可能に結合されている、交換式シャフトアセンブリ200に動作可能に取り付けられるように構成されている。本開示によると、様々な形態の交換式シャフトアセンブリが、ロボット制御された外科用システムと関連させて効果的に使用され得る。したがって、「ハウジング」という用語は、交換式シャフトアセンブリを作動させるために利用できる少なくとも1つの制御運動を生成及び加えるように構成された少なくとも1つの駆動システムを収容するか又は動作可能に支持する、ロボットシステムのハウジング又は類似部分を包含することができる。「フレーム」という用語は、手持ち式外科用器具の一部分を指してもよい。「フレーム」という用語はまた、ロボット制御式の外科用器具の一部分、及び/又は外科用器具を動作可能に制御するために使用され得るロボットシステムの一部分を表す場合もある。交換式シャフトアセンブリは、SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTSと題する米国特許第9,072,535号に開示された様々なロボットシステム、器具、構成要素、及び方法を用いて使用することができ、この開示は、それによって、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0020】
図1は、本開示の一態様による、動作可能に結合された交換式シャフトアセンブリ200を有する外科用器具10の斜視図である。ハウジング12はエンドエフェクタ300を含み、エンドエフェクタ300は、外科用ステープルカートリッジ304を動作可能に支持するように構成された外科用切断及び締結装置をその中に備える。ハウジング12は、交換式シャフトアセンブリと接続して使用するように構成されていてもよく、交換式シャフトアセンブリは、様々なサイズ及び種類のステープルカートリッジを支持するように適合されたエンドエフェクタを含み、様々なシャフト長さ、サイズ及び種類を有する。ハウジング12は、様々な交換式シャフトアセンブリと共に用いられてもよく、交換式シャフトアセンブリは、様々な外科的用途及び処置に関連して用いるように適合されたエンドエフェクタ構成に対して、高周波(RF)エネルギー、超音波エネルギー、及び/又は運動などの、他の運動及びエネルギー形態を印加するように構成されたアセンブリを含む。エンドエフェクタ、シャフトアセンブリ、ハンドル、外科用器具、及び/又は外科用器具システムは、組織を締結するために任意の好適な締結具を利用できる。例えば、中に着脱可能に格納された複数の締結具を備える締結具カートリッジが、シャフトアセンブリのエンドエフェクタに着脱可能に挿入及び/又は装着され得る。
【0021】
ハンドルアセンブリ14は、ねじ、スナップ機構、接着剤などで相互接続され得る一対の相互接続可能なハンドルハウジングセグメント16、18を備え得る。ハンドルハウジングセグメント16、18は協働して、臨床医によって把持及び操作され得るピストルグリップ部分19を形成する。ハンドルアセンブリ14は複数の駆動システムを動作可能に支持し、駆動システムは、ハンドルアセンブリに動作可能に取り付けられた交換式シャフトアセンブリの対応部分に、制御運動を生成及び適用するように構成されている。ディスプレイはカバー45の下方に設けられてもよい。
【0022】
図2は、本開示の一態様による、
図1の外科用器具10の一部分の分解組立図である。ハンドルアセンブリ14は、複数の駆動システムを動作可能に支持するフレーム20を含んでもよい。フレーム20は、閉鎖駆動システム30を動作可能に支持することができ、その閉鎖駆動システムは、交換式シャフトアセンブリ200に対して閉鎖及び開放運動を適用することができる。閉鎖駆動システム30は、フレーム20によって枢動可能に支持される閉鎖トリガ32などのアクチュエータを含んでもよい。閉鎖トリガ32は、枢動ピン33によってハンドルアセンブリ14に枢動可能に結合されて、閉鎖トリガ32が臨床医によって操作されることを可能にする。臨床医がハンドルアセンブリ14のピストルグリップ部分19を把持する場合に、閉鎖トリガ32は、開始位置又は「非作動」位置から「作動」位置へ、より具体的には完全圧縮位置又は完全作動位置へと枢動できる。
【0023】
ハンドルアセンブリ14及びフレーム20は発射駆動システム80を動作可能に支持してもよく、発射駆動システム80は、それに取り付けられた交換式シャフトアセンブリの対応する部分に対して発射運動を適用するように構成されていてもよい。発射駆動システム80は、ハンドルアセンブリ14のピストルグリップ部分19に設置された電気モータ82を用いてもよい。電気モータ82は、例えば約25,000RPMの最大回転スピードを有するブラシ付きDCモータであってもよい。その他の構成では、モータとしては、ブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又はその他の任意の好適な電気モータを挙げてもよい。電気モータ82は、取り外し可能な電源パック92を備え得る電源90によって給電されてもよい。取り外し可能な電源パック92は、遠位側ハウジング部分96に取り付けるように構成された、近位側ハウジング部分94を備えてもよい。近位側ハウジング部分94及び遠位側ハウジング部分96は、その中で複数の電池98を動作可能に支持するように構成される。電池98はそれぞれ、例えば、リチウムイオン(LI、Lithium Ion)又は他の好適な電池を含んでもよい。遠位側ハウジング部分96は、制御回路基板100に取り外し可能かつ動作可能に取り付けられるように構成され、制御回路基板100は電気モータ82に動作可能に結合されている。直列に接続されたいくつかの電池98は、外科用器具10に給電することができる。電源90は、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。カバー45の下方に位置するディスプレイ43は、制御回路基板100に電気的に結合されている。ディスプレイ43を暴露させるために、カバー45を取り除いてもよい。
【0024】
電気モータ82は、長手方向に移動可能な駆動部材120上にある駆動歯122の組又はラックと噛合係合して装着されるギヤ減速機アセンブリ84と動作可能にインターフェースする、回転式シャフト(図示せず)を含み得る。長手方向に移動可能な駆動部材120は、ギヤ減速機アセンブリ84の対応する駆動ギヤ86と噛合係合するための、その上に形成された駆動歯122のラックを有する。
【0025】
使用の際、電源90によって提供される電圧極性によって電気モータ82を時計方向に動作させることができるが、電池によって電気モータに印加される電圧極性は、電気モータ82を反時計方向に動作させるために反転させることができる。電気モータ82が一方向に回転されると、長手方向に移動可能な駆動部材120は、遠位方向「DD(distal direction)」に軸方向駆動されることになる。電気モータ82が反対の回転方向に駆動されると、長手方向に移動可能な駆動部材120は、近位方向「PD(proximal direction)」に軸方向駆動されることになる。ハンドルアセンブリ14は、電源90によって電気モータ82に印加される極性を反転させるように構成され得るスイッチを含むことができる。ハンドルアセンブリ14は、長手方向に移動可能な駆動部材120の位置、及び/又は長手方向に移動可能な駆動部材120が動かされている方向を検出するように構成されたセンサを含んでもよい。
【0026】
電気モータ82の作動は、ハンドルアセンブリ14上に枢動可能に支持される発射トリガ130によって制御され得る。発射トリガ130は、非作動位置と作動位置との間を枢動してもよい。
【0027】
図1に戻ると、交換式シャフトアセンブリ200はエンドエフェクタ300を含み、エンドエフェクタ300はその中に、外科用ステープルカートリッジ304を動作可能に支持するように構成された細長いチャネル302を備える。エンドエフェクタ300は、細長いチャネル302に対して枢動可能に支持されるアンビル306を含んでもよい。交換式シャフトアセンブリ200は、関節運動継手270を含んでもよい。エンドエフェクタ300及び関節運動継手270の構築及び動作は、ARTICULATABLE SURGICAL INSTRUMENT COMPRISING AN ARTICULATION LOCKと題する米国特許出願公開第2014/0263541号に記述されており、これは、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる。交換式シャフトアセンブリ200は、ノズル部分202、203から構成される近位ハウジング又はノズル201を含んでもよい。交換式シャフトアセンブリ200は、シャフト軸線SA(shaft axis)に沿って延びる閉鎖管260を含んでもよく、閉鎖管260はエンドエフェクタ300のアンビル306を閉鎖及び/又は開放するために利用され得る。
【0028】
図1に戻ると、前述の参考文献である米国特許出願公開第2014/0263541号に記載されている方法で、例えば、閉鎖トリガ32の作動に応じて、閉鎖管260を遠位方向(方向「DD」)に並進運動させてアンビル306が閉鎖される。アンビル306は、閉鎖管260を近位側に並進運動させることによって開かれる。アンビル開位置において、閉鎖管260は、その近位位置へと動かされる。
【0029】
図3は、本開示の一態様による、交換式シャフトアセンブリ200の一部分の別の分解組立図である。交換式シャフトアセンブリ200は、スパイン210内部で軸方向移動するように支持される発射部材220を含んでもよい。発射部材220は、遠位側切断部分又はナイフバー280に取り付けるように構成された中間発射シャフト222を含む。中間発射シャフト222は、ナイフバー280の近位端282上にタブ284を収容するように構成された、遠位端にある長手方向スロット223を含むことができる。長手方向スロット223及び近位端282は、それらの間の相対移動が可能なように構成されてもよく、スリップ継手286を備えることができる。スリップ継手286は、ナイフバー280を動かさずに、又は少なくとも実質的に動かさずに、発射部材220の中間発射シャフト222が、エンドエフェクタ300を関節運動継手270の周りに関節運動させることを可能にし得る。一旦、エンドエフェクタ300が適切に配向されると、中間発射シャフト222は、長手方向スロット223の近位側の側壁がタブ284に接触するまで遠位方向に前進され得、ナイフバー280を前進させ、そして細長いチャネル302内部に位置付けられたステープルカートリッジを発射させることができる。スパイン210は内部に細長い開口部又は窓213を有して、スパイン210の中への中間発射シャフト222の組み付け及び挿入を容易にしている。一旦、中間発射シャフト222が挿入されたら、頂部フレームセグメント215がシャフトフレーム212と係合されて、中間発射シャフト222及びナイフバー280を中に囲い込んでもよい。発射部材220の動作は、米国特許出願第2014/0263541号に見出すことができる。スパイン210は、発射部材220と、スパイン210の周りに延びる閉鎖管260とをスライド可能に支持するように構成され得る。スパイン210は、関節運動ドライバ230をスライド可能に支持してもよい。
【0030】
交換式シャフトアセンブリ200は、関節運動ドライバ230を発射部材220に選択的かつ取り外し可能に結合させるように構成されたクラッチアセンブリ400を含み得る。クラッチアセンブリ400は、発射部材220の周りに位置付けられるロックカラー又はロックスリーブ402を含み、ロックスリーブ402は、ロックスリーブ402が関節運動ドライバ230を発射部材220に結合する係合位置と、関節運動ドライバ230が発射部材220に動作可能に結合されない係合解除位置との間で回転され得る。ロックスリーブ402がその係合位置にある場合は、発射部材220の遠位側移動によって、関節運動ドライバ230を遠位側に動かすことができ、それに対応して、発射部材220の近位側移動によって、関節運動ドライバ230を近位側に動かすことができる。ロックスリーブ402がその係合解除位置にある場合は、発射部材220の移動は関節運動ドライバ230に伝達されず、その結果、発射部材220を関節運動ドライバ230とは無関係に動かすことができる。ノズル201は、米国特許出願公開第2014/0263541号に記載されている様々な方式で、関節運動駆動システムと発射駆動システムとを動作可能に係合及び係合解除させるために用いることができる。
【0031】
交換式シャフトアセンブリ200は、スリップリングアセンブリ600を備えることができ、スリップリングアセンブリ600は、例えば、エンドエフェクタ300に及び/若しくはエンドエフェクタ300から電力を伝え、並びに/又は、エンドエフェクタ300に及び/若しくはエンドエフェクタ300から信号を通信するように構成することができる。スリップリングアセンブリ600は、ノズル部分202、203内に画定されたスロットの内部に位置付けられた近位側コネクタフランジ604及び遠位側コネクタフランジ601を備え得る。近位側コネクタフランジ604は第1の面を備えることができ、遠位側コネクタフランジ601は、第1の面に隣接して位置付けられ、第1の面に対して移動可能である第2の面を備えることができる。遠位側コネクタフランジ601は、シャフト軸SA-SA(
図1)を中心に近位側コネクタフランジ604に対して回転することができる。近位側コネクタフランジ604は、その第1の面に画定される、複数の同心の、又は少なくとも実質的に同心の導体602を備えることができる。コネクタ607は、遠位側コネクタフランジ601の近位側に装着することができ、複数の接点を有してもよく、各接点は、導体602のうちの1つに対応し、それと電気的に接触している。係る構成により、近位側コネクタフランジ604と遠位側コネクタフランジ601とが、それらの間の電気的接触を維持したまま相対回転することが可能になる。近位側コネクタフランジ604は、例えば、導体602をシャフト回路基板と通信させることができる、電気コネクタ606を含み得る。少なくとも一事例では、複数の伝導体を含むワイヤハーネスが、電気コネクタ606とシャフト回路基板との間に延び得る。電気コネクタ606は、シャーシ取り付けフランジに画定されたコネクタ開口部を通って近位側に延びてもよい。スリップリングアセンブリ600に関する更なる詳細が、米国特許出願公開第2014/0263541号に見出され得る。
【0032】
交換式シャフトアセンブリ200は、ハンドルアセンブリ14に固定可能に取り付けられている近位部分と、長手方向軸を中心に回転可能である遠位部分とを含み得る。回転可能な遠位側シャフト部分は、スリップリングアセンブリ600を中心にして近位部分に対して回転させることができる。スリップリングアセンブリ600の遠位側コネクタフランジ601は、回転可能な遠位側シャフト部分内に位置付けることができる。
【0033】
図4は、本開示の一態様による、
図1の外科用器具10のエンドエフェクタ300の一態様の分解図である。エンドエフェクタ300は、アンビル306及び外科用ステープルカートリッジ304を含んでもよい。アンビル306は、細長いチャネル302に結合されてもよい。アンビル306から延びるピン152を収容するように、細長いチャネル302内にアパーチャ199を画定することができて、細長いチャネル302及び外科用ステープルカートリッジ304に対してアンビル306を開位置から閉位置まで枢動させることができる。発射バー172が、エンドエフェクタ300の中へと長手方向に並進運動するように構成される。発射バー172は、1つの中実部分から構築されてもよく、又は鋼板のスタックを含む積層材料を含んでもよい。発射バー172は、Iビーム178と、その遠位端にある切断縁部182とを備える。発射バー172の遠位側に突出する端部は、Iビーム178に取り付けることができて、アンビル306が閉位置にある場合に、細長いチャネル302内に位置付けられた外科用ステープルカートリッジ304から間隔を空けてアンビル306を配置する手助けをすることができる。Iビーム178は、Iビーム178を発射バー172によって遠位側に前進させながら組織を切るための鋭利な切断縁部182を含んでもよい。動作時に、Iビーム178は、外科用ステープルカートリッジ304を発射してもよい。外科用ステープルカートリッジ304は、ステープルドライバ192上に載置された複数のステープル191を、対応する上向きに開いたステープルキャビティ195内に保持する成形されたカートリッジ本体194を含むことができる。楔形スレッド190は、Iビーム178によって遠位側に駆動され、外科用ステープルカートリッジ304のカートリッジトレイ196上をスライドする。Iビーム178の切断縁部182がクランプされた組織を切る間に、楔形スレッド190はステープルドライバ192を上向きにカム駆動して、ステープル191を追い出して変形させてアンビル306と接触させる。
【0034】
Iビーム178は、発射の間に、アンビル306に係合する上部ピン180を含むことができる。Iビーム178は、カートリッジ本体194、カートリッジトレイ196、及び細長いチャネル302の一部分に係合するために、中央ピン184及び底部フット186を含んでもよい。外科用ステープルカートリッジ304が細長いチャネル302内に位置付けられる場合、カートリッジ本体194内に画定されたスロット193を、カートリッジトレイ196内に画定された長手方向スロット197、及び細長いチャネル302内に画定されたスロット189と位置合わせすることができる。使用時は、Iビーム178は、位置合わせされた長手方向スロット193、197、及び189を通ってスライドすることができ、
図4に示されるように、Iビーム178の底部フット186は、スロット189の長さに沿って細長いチャネル302の底面に沿って通っている溝に係合することができ、中央ピン184は、長手方向スロット197の長さに沿ってカートリッジトレイ196の上面に係合することができ、上部ピン180は、アンビル306に係合することができる。発射バー172が遠位側へと前進して、外科用ステープルカートリッジ304からステープルを発射し、及び/又はアンビル306と外科用ステープルカートリッジ304との間に捕捉された組織を切開する際に、Iビーム178は、アンビル306と外科用ステープルカートリッジ304との間の間隔を空けるか、又はそれらの相対移動を制限することができる。発射バー172及びIビーム178を近位側へと後退させ、それによりアンビル306が開かれ、ステープル留めされ切られた2つの組織部分を解放することが可能になる。
【0035】
図5A及び
図5Bは、本開示の一態様による、2つの図面にまたがる、
図1の外科用器具10の制御回路700のブロック図である。主に
図5A及び
図5Bを参照すると、ハンドルアセンブリ702は、モータドライバ715によって制御され、外科用器具10の発射システムによって使用され得るモータ714を含むことができる。様々な形態において、モータ714は、約25,000RPMの最大回転速度を有する、ブラシ付きDC駆動モータであってよい。別の構成において、モータ714はブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又は任意の他の好適な電動モータを含んでよい。モータドライバ715は、例えば、電界効果トランジスタ(FET)719を含むHブリッジドライバを含むことができる。モータ714は、制御電力を外科用器具10に供給するために、ハンドルアセンブリ14に解放可能に搭載された電源アセンブリ706によって給電され得る。電源アセンブリ706は、外科用器具10に給電するための電源として使用され得る、直列に接続された複数の電池を備えてもよい。特定の状況下では、電源アセンブリ706の電池セルは、交換可能及び/又は再充電可能であってよい。少なくとも1つの例では、電池セルは、電源アセンブリ706に別個に結合可能であり得るリチウムイオン電池であってよい。
【0036】
シャフトアセンブリ704は、シャフトアセンブリ704と電源アセンブリ706がハンドルアセンブリ702に結合されている間に、インターフェースを介して安全コントローラ及び電力管理コントローラ716と通信可能である、シャフトアセンブリコントローラ722を含むことができる。例えば、インターフェースは、シャフトアセンブリ704及び電源アセンブリ706がハンドルアセンブリ702に結合されている間にシャフトアセンブリコントローラ722と電力管理コントローラ716との間の電気通信を可能にするために、対応するシャフトアセンブリ電気コネクタとの結合係合のために1つ又は2つ以上の電気コネクタを含み得る第1のインターフェース部分725、及び、対応する電源アセンブリ電気コネクタとの結合係合のために1つ又は2つ以上の電気コネクタを含み得る第2のインターフェース部分727を備え得る。インターフェースを介して1つ又は2つ以上の通信信号を送信して、取り付けられて交換式シャフトアセンブリ704の1つ又は2つ以上の電力要件を電力管理コントローラ716に送信することができる。それに応じて、電力管理コントローラは、取り付けられたシャフトアセンブリ704の電力要件に従って、以下に更に詳細に記載されているように、電源アセンブリ706の電池の電力出力を変調し得る。コネクタは、ハンドルアセンブリ702の、シャフトアセンブリ704及び/又は電源アセンブリ706への機械的結合係合の後に活性化して、シャフトアセンブリコントローラ722と電力管理コントローラ716との電気的通信を可能にすることができるスイッチを備えることができる。
【0037】
インターフェースは、例えば、ハンドルアセンブリ702に収められたメインコントローラ717を通して、通信信号の経路指定を行うことにより、電力管理コントローラ716とシャフトアセンブリコントローラ722との1つ又は2つ以上のこのような通信信号の伝達を容易にすることができる。他の状況下では、シャフトアセンブリ704及び電源アセンブリ706がハンドルアセンブリ702に結合されている間、インターフェースは、ハンドルアセンブリ702を介した電力管理コントローラ716とシャフトアセンブリコントローラ722との間の直接線の通信を容易にし得る。
【0038】
メインコントローラ717は、Texas Instrumentsの商標名ARM Cortexとして知られるものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってよい。一態様では、メインコントローラ717は、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、1つ又は2つ以上のパルス幅変調(PWM)モジュール、1つ又は2つ以上の直交エンコーダ入力(QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ又は2つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(ADC)を含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0039】
安全コントローラは、やはりTexas Instrumentsの商標名Hercules ARM Cortex R4として知られている、TMS570及びRM4xなど、2つのコントローラベースファミリを備える安全コントローラプラットフォームであってよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0040】
電源アセンブリ706は、電力管理回路を含んでよく、電力管理回路は、電力管理コントローラ716、電力変調器738、及び電流検知回路736を含み得る。シャフトアセンブリ704及び電源アセンブリ706がハンドルアセンブリ702に結合されている間に、電力管理回路は、シャフトアセンブリ704の電力要件に基づいて電池の電力出力を変調するように構成され得る。電力管理コントローラ716は、電源アセンブリ706の電力出力の電力変調器738を制御するようにプログラムされ得、電流検知回路736は、電源アセンブリ706の電力出力を監視して、電池の電力出力に関するフィードバックを電力管理コントローラ716に提供するように用いられ得るため、電力管理コントローラ716は、電源アセンブリ706の電力出力を調節して、所望の出力を維持することができる。電力管理コントローラ716及び/又はシャフトアセンブリコントローラ722はそれぞれ、多数のソフトウェアモジュールを記憶可能な1つ又は2つ以上のプロセッサ、及び/又はメモリユニットを備えることができる。
【0041】
外科用器具10(
図1~
図4)は、ユーザに感覚フィードバックを提供するための装置を含み得る、出力装置742を備えてもよい。このような装置は、例えば、視覚的フィードバック装置(例えば、LCD表示画面、LEDインジケータ)、可聴フィードバック装置(例えば、スピーカー、ブザー)又は触覚フィードバック装置(例えば、触覚作動装置)を含んでもよい。特定の状況下では、出力装置742は、ハンドルアセンブリ702に含まれ得るディスプレイ743を備えてよい。シャフトアセンブリコントローラ722及び/又は電力管理コントローラ716は、出力装置742を介して外科用器具10のユーザにフィードバックを提供し得る。インターフェースは、シャフトアセンブリコントローラ722及び/又は電力管理コントローラ716を出力装置742に接続するように構成することができる。出力装置742は代わりに、電源アセンブリ706と一体化することができる。このような状況下では、シャフトアセンブリ704がハンドルアセンブリ702に結合されている一方で、出力装置742とシャフトアセンブリコントローラ722との間の通信はインターフェースを介して成し遂げられ得る。
【0042】
制御回路700は、電動外科用器具10の動作を制御するように構成された回路セグメントを備える。安全コントローラセグメント(セグメント1)は、安全コントローラ、及びメインコントローラ717セグメント(セグメント2)を備える。安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717は、加速度セグメント、ディスプレイセグメント、シャフトセグメント、エンコーダセグメント、モータセグメント、及び電力セグメントなどの1つ又は2つ以上の追加の回路セグメントと相互作用するように構成されている。回路セグメントのそれぞれは、安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に結合されてよい。メインコントローラ717もまた、フラッシュメモリに結合される。メインコントローラ717は、シリアル通信インターフェースもまた備える。メインコントローラ717は、例えば、1つ又は2つ以上の回路セグメント、電池、及び/又は複数のスイッチに結合された、複数の入力を備える。セグメント化回路は、例えば、電動外科用器具10内のプリント回路基板アセンブリ(PCBA)など、任意の好適な回路によって実装されてもよい。プロセッサという用語は、本明細書で使用するとき、任意のマイクロプロセッサ、プロセッサ、1つ若しくは複数のコントローラ、又は、コンピュータの中央処理装置(CPU)の機能を1つの集積回路又は最大で数個の集積回路上に組み込んだ、他の基本コンピューティング装置を含むと理解されるべきである。メインコントローラ717は、デジタルデータを入力として受理し、メモリに記憶された命令に従ってそのデータを処理し、結果を出力として提供する、多目的のプログラム可能装置である。これは、内部メモリを有するので、逐次的デジタル論理の一例である。制御回路700は、本明細書で記載される1つ又は2つ以上のプロセスを実装するように構成されてもよい。
【0043】
加速度セグメント(セグメント3)は加速度計を備える。加速度計は、電動外科用器具10の移動又は加速度を検出するように構成されている。加速度計からの入力は、スリープモードとの間での遷移、電動外科用器具の配向の識別、及び/又は外科用器具が落下したときの識別に使用されてもよい。いくつかの例では、加速度セグメントは安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に結合される。
【0044】
ディスプレイセグメント(セグメント4)は、メインコントローラ717に結合されたディスプレイコネクタを備える。表示コネクタは、メインコントローラ717を、ディスプレイの1つ又は2つ以上の集積回路ドライバを通して、ディスプレイに結合している。ディスプレイの集積回路ドライバは、ディスプレイと一体化されてよく、かつ/又はディスプレイとは別個に配置されてよい。ディスプレイは、例えば、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、及び/又は任意の他の好適なディスプレイなど、任意の好適なディスプレイを含んでもよい。いくつかの例では、ディスプレイセグメントは安全コントローラに結合される。
【0045】
シャフトセグメント(セグメント5)は、外科用器具10(
図1~
図4)に結合されている、交換式シャフトアセンブリ200(
図1及び
図3)用の制御部、及び/又は、交換式シャフトアセンブリ200に結合されたエンドエフェクタ300用の1つ又は2つ以上の制御部を備える。シャフトセグメントは、メインコントローラ717をシャフトPCBAに結合するように構成された、シャフトコネクタを備える。シャフトPCBAは、強誘電性ランダムアクセスメモリ(FRAM)、関節運動スイッチ、シャフト解放ホール効果スイッチ、及びシャフトPCBA EEPROMを有する低電力マイクロコントローラを備える。シャフトPCBA EEPROMは、交換式シャフトアセンブリ200及び/又はシャフトPCBAに固有の1つ又は2つ以上のパラメータ、ルーチン、及び/又はプログラムを含む。シャフトPCBAは、交換式シャフトアセンブリ200に結合されてもよく、かつ/又は外科用器具10と一体化されてもよい。いくつかの例では、シャフトセグメントは、第2のシャフトEEPROMを備える。第2のシャフトEEPROMは、電動外科用器具10とインターフェース接続され得る1つ又は2つ以上のシャフトアセンブリ200及び/若しくはエンドエフェクタ300に対応する複数のアルゴリズム、ルーチン、パラメータ、並びに/又は他のデータを含む。
【0046】
位置エンコーダセグメント(セグメント6)は、1つ又は2つ以上の磁気式角度回転位置エンコーダを備える。1つ又は2つ以上の磁気回転位置エンコーダは、外科用器具10(
図1~
図4)のモータ714、交換式シャフトアセンブリ200(
図1及び
図3)、及び/又はエンドエフェクタ300の回転位置を識別するように構成されている。いくつかの例では、磁気式角度回転位置エンコーダは、安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に結合されてよい。
【0047】
モータ回路セグメント(セグメント7)は、電動外科用器具10(
図1~
図4)の移動を制御するように構成されたモータ714を備える。モータ714は、1つ又は2つ以上のHブリッジ電界効果トランジスタ(FET)、及びモータコントローラを含むHブリッジドライバによってメインコントローラ717に結合されている。Hブリッジドライバはまた、安全コントローラにも結合される。モータ電流センサは、モータの引き込み電流を測定するため、モータと直列に結合している。モータ電流センサは、メインコントローラ717及び/又は安全コントローラと信号通信している。いくつかの例では、モータ714は、モータ電磁干渉(EMI)フィルタに結合されている。
【0048】
モータコントローラは、第1のモータフラグ及び第2のモータフラグを制御して、モータ714のステータス及び位置をメインコントローラ717に示す。メインコントローラ717は、パルス幅変調(PWM)高信号、PWM低信号、方向信号、同期信号及びモータリセット信号をモータコントローラに、バッファを介して供給する。電力セグメントは、セグメント電圧を回路セグメントのそれぞれに提供するように構成される。
【0049】
電力セグメント(セグメント8)は、安全コントローラ、メインコントローラ717、及び追加の回路セグメントに結合された電池を備える。電池は、電池コネクタ及び電流センサによってセグメント化回路に結合されている。電流センサは、セグメント化回路の合計引き込み電流を測定するように構成されている。いくつかの例では、1つ又は2つ以上の電圧変換器が、所定の電圧値を1つ又は2つ以上の回路セグメントに提供するように構成されている。例えば、いくつかの例では、セグメント化回路は、3.3V電圧変換器及び/又は5V電圧変換器を備えてもよい。ブースト変換器は、例えば13V以下など、既定量以下のブースト電圧を提供するように構成されている。ブースト変換器は、電力集約的な動作の間、追加の電圧及び/又は電流を提供し、電圧低下又は低電力状態を防止するように構成されている。
【0050】
複数のスイッチが、安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に結合されている。スイッチは、外科用器具10(
図1~
図4)、及びセグメント化回路の動作を制御し、及び/又は外科用器具10の状態を示すように構成されてもよい。緊急離脱ドアスイッチ、及び緊急離脱用のホール効果スイッチは、緊急離脱ドアのステータスを示すように構成される。例えば、左側関節運動左スイッチ、左側関節運動右スイッチ、左側関節運動中央スイッチ、右側関節運動左スイッチ、右側関節運動右スイッチ、及び右側関節運動中央スイッチなどの複数の関節運動スイッチは、交換式シャフトアセンブリ200(
図1及び3)及び/又はエンドエフェクタ300(
図1及び4)の関節運動を制御するように構成されている。左側反転スイッチ及び右側反転スイッチは、メインコントローラ717に結合される。左側関節運動左スイッチ、左側関節運動右スイッチ、左側関節運動中央スイッチ、及び左側反転スイッチを備える左側スイッチは、左側屈曲コネクタによってメインコントローラ717に結合されている。右側関節運動左スイッチ、右側関節運動右スイッチ、右側関節運動中央スイッチ、及び右側反転スイッチを備える右側スイッチは、右側可撓コネクタによってメインコントローラ717に結合されている。発射スイッチ、クランプ解放スイッチ、及びシャフト係合スイッチは、メインコントローラ717に結合されている。
【0051】
任意の好適な機械的スイッチ、電気機械的スイッチ、又は固体スイッチを用いて、任意の組み合わせで、複数のスイッチを実装してよい。例えば、スイッチは、外科用器具10(
図1~
図4)に関連付けられた構成要素の動きによって、又は物体の存在によって操作されるリミットスイッチであってもよい。このようなスイッチを用いて、外科用器具10と関連した様々な機能を制御することができる。制限スイッチは、一組の接触部と機械的につながったアクチュエータからなる、電気機械装置である。対象体がアクチュエータと接触すると、装置はその接触部を操作して、電気的接続を作成する、又は破壊する。リミットスイッチは、それらの耐久性、取り付けやすさ、及び動作の信頼性という理由から、様々な用途及び環境で使用されている。制限スイッチは、対象体の有無、通過、配置、及び移動の終了を判定することができる。他の実装形態においては、スイッチは、とりわけホール効果装置、磁気抵抗性(MR)装置、巨大磁気抵抗性(GMR)装置、磁力計などの、磁場の影響下にて稼働する、固体スイッチであってもよい。他の実装形態では、スイッチは、とりわけ光センサ、赤外線センサ、紫外線センサなどの光の影響下で動作する固体スイッチであってもよい。更に、スイッチは、例えばトランジスタ(例えば、FET、接合FET、金属酸化物半導体FET(MOSFET)、バイポーラなど)などの固体装置であってもよい。他のスイッチは、とりわけ、無線スイッチ、超音波スイッチ、加速度計、慣性センサを含んでもよい。
【0052】
図6は、本開示の一態様による、ハンドルアセンブリ702と電源アセンブリ706との間のインターフェース、及びハンドルアセンブリ702と交換式シャフトアセンブリ704との間のインターフェースを示す、
図1の外科用器具の制御回路700の別のブロック図である。ハンドルアセンブリ702は、メインコントローラ717、シャフトアセンブリコネクタ726、及び電源アセンブリコネクタ730を備えることができる。電源アセンブリ706は、電源アセンブリコネクタ732、電力管理コントローラ716を備え得る電力管理回路734、電力変調器738、及び電流検知回路736を含むことができる。電源アセンブリコネクタ730、732は、インターフェース727を形成する。交換式シャフトアセンブリ704及び電源アセンブリ706がハンドルアセンブリ702に結合されている間、電力管理回路734は、交換式シャフトアセンブリ704の電力要件に基づいて電池707の電力出力を変調するように構成され得る。例えば、電力管理コントローラ716は、電源アセンブリ706の電力出力の電力変調器738を制御するようにプログラムされ得、電流検知回路736は、電池707の電力出力に関するフィードバックを電力管理コントローラ716に提供するため、電源アセンブリ706の電力出力を監視するように用いられ得、そのため、電力管理コントローラ716は、電源アセンブリ706の電力出力を調節して、所望の出力を維持することができる。シャフトアセンブリ704は、不揮発性メモリ721に結合されるシャフトアセンブリコントローラ722、及びシャフトアセンブリ704をハンドルアセンブリ702に電気的に結合するためのシャフトアセンブリコネクタ728を含む。シャフトアセンブリコネクタ726、728は、インターフェース725を形成する。メインコントローラ717、シャフトアセンブリコントローラ722、及び/又は電力管理コントローラ716は、本明細書に記載されたプロセスのうちの1つ又は2つ以上を実施するように構成され得る。
【0053】
外科用器具10(
図1~
図4)は、ユーザに感覚フィードバックを与える出力装置742を備えてもよい。このような装置は、視覚的フィードバック装置(例えば、LCD表示画面、LEDインジケータ)、可聴フィードバック装置(例えば、スピーカー、ブザー)又は触覚フィードバック装置(例えば、触覚作動装置)を含んでもよい。特定の状況下では、出力装置742は、ハンドルアセンブリ702に含まれ得るディスプレイ743を備えてもよい。シャフトアセンブリコントローラ722及び/又は電力管理コントローラ716は、出力装置742を介して外科用器具10のユーザにフィードバックを提供し得る。インターフェース727は、シャフトアセンブリコントローラ722及び/又は電力管理コントローラ716を出力装置742に接続するように構成され得る。出力装置742は電源アセンブリ706と一体化されてもよい。交換式シャフトアセンブリ704がハンドルアセンブリ702に結合されている間に、出力装置742とシャフトアセンブリコントローラ722との通信が、インターフェース725を介して成し遂げられ得る。外科用器具10(
図1~
図4)の動作を制御するための制御回路700(
図5A、
図5B及び
図6)について説明したので、ここで本開示は、外科用器具10(
図1~
図4)の様々な構成及び制御回路700に移る。
【0054】
図7は、本開示の一態様による、外科用器具10(
図1~
図4)の態様を制御するように構成された制御回路800を示す。制御回路800は、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するように構成することができる。制御回路800は、少なくとも1つのメモリ回路804に結合された1つ又は2つ以上のプロセッサ802(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ)を備えるコントローラを備えることができる。メモリ回路804は、プロセッサ802によって実行されると、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するための機械命令をプロセッサ802に実行させる、機械実行可能命令を記憶する。プロセッサ802は、当該技術分野で既知の多数のシングル又はマルチコアプロセッサのうち任意の1つであってよい。メモリ回路804は、揮発性及び不揮発性の記憶媒体を含むことができる。プロセッサ802は、命令処理ユニット806及び演算ユニット808を含むことができる。命令処理ユニットは、メモリ回路804から命令を受信するように構成されてもよい。
【0055】
図8は、本開示の一態様による、外科用器具10(
図1~
図4)又はツールの態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路810を示す。組み合わせ論理回路810は、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するように構成することができる。回路810は、外科用器具10と関連付けられたデータを入力814において受信し、組み合わせ論理812によってデータを処理し、出力816を提供するように構成された組み合わせ論理回路812を含む有限状態マシンを含み得る。
【0056】
図9は、本開示の一態様による、外科用器具10(
図1~
図4)の態様を制御するように構成された順序論理回路820を示す。順序論理回路820又は組み合わせ論理回路822は、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するように構成することができる。回路820は、有限状態マシンを含んでもよい。順序論理回路820は、例えば、組み合わせ論理回路822、少なくとも1つのメモリ回路824、及びクロック829を含んでもよい。少なくとも1つのメモリ回路820は、有限状態マシンの現在の状態を保存することができる。特定の例では、順序論理回路820は、同期式又は非同期式であってもよい。組み合わせ論理回路822は、外科用器具10と関連付けられたデータを入力826において受信し、組み合わせ論理回路822によってデータを処理し、出力828を提供するように構成される。他の態様では、回路は、プロセッサ802と、本明細書の様々なプロセスを実装する有限状態マシンと、の組み合わせを含んでもよい。他の態様では、有限状態マシンは、組み合わせ論理回路810及び順序論理回路820の組み合わせを含むことができる。
【0057】
態様は、製造物品として実装されてもよい。製造物品は、1つ又は2つ以上の態様の様々な動作を行うための論理、命令、及び/又はデータを格納するように構成されたコンピュータ可読記憶媒体を含んでもよい。例えば、製造物品は、汎用プロセッサ又は特定用途向けプロセッサによって実行するために好適なコンピュータプログラム命令を含む磁気ディスク、光学ディスク、フラッシュメモリ、又はファームウェアを含んでもよい。
【0058】
図10は、絶対位置決めシステム1100が、本開示の一態様によるセンサ装置1102を備える制御モータ駆動回路構成を備える、外科用器具10(
図1~
図4)の絶対位置決めシステム1100の図である。絶対位置決めシステム1100のためのセンサ構成1102は、変位部材1111の場所に対応する固有の位置信号を提供する。
図2~
図4を簡単に参照すると、一態様では、変位部材1111は、ギヤ減速機アセンブリ84の対応する駆動ギヤ86と噛合係合するための駆動歯122のラックを備える長手方向可動駆動部材120(
図2)を表す。他の態様では、変位部材1111は、駆動歯のラックを含むように適合及び構成され得る発射部材220(
図3)を表す。更に別の態様では、変位部材1111は、発射バー172(
図4)及びIビーム178(
図4)を表し、これらの各々が駆動歯のラックを含むように適合され構成され得る。それに応じて、本明細書で使用する場合、変位部材という用語は、駆動部材120、発射部材220、発射バー172、Iビーム178、又は変位され得る任意の要素など、外科用器具10の任意の移動可能な部材を総称して指すために使用される。一態様では、長手方向に移動可能な駆動部材120は、発射部材220、発射バー172、及びIビーム178に結合される。したがって、絶対位置決めシステム1100は、実際には、長手方向可動駆動部材120の直線変位を追跡することによって、I型梁178の直線変位を追跡することができる。様々な他の態様では、変位部材1111は、直線変位を測定するために好適な任意のセンサに結合されてもよい。したがって、長手方向可動駆動部材120、発射部材220、発射バー172、又はI型梁178、又は組み合わせは、任意の好適な直線変位センサに結合され得る。直線変位センサは、接触式又は非接触式変位センサを含んでよい。直線変位センサは、線形可変差動変圧器(linear variable differential transformers、LVDT)、差動可変磁気抵抗型変換器(differential variable reluctance transducers、DVRT)、スライドポテンショメータ、移動可能な磁石及び一連の直線上に配置されたホール効果センサを備える磁気検知システム、固定された磁石及び一連の移動可能な直線上に配置されたホール効果センサを備える磁気検知システム、移動可能な光源及び一連の直線上に配置された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学検出システム、又は固定された光源及び一連の移動可能な直線上に配置された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学検出システム、あるいはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0059】
電気モータ1120は、変位部材1111上の駆動歯の組又はラックと噛合係合で装着されるギヤアセンブリ1114と動作可能にインターフェースをとる、回転可能なシャフト1116を含んでもよい。センサ要素1126は、センサ要素1126の単一回転が、変位部材1111のいくらかの直線的な長手方向の並進運動に対応するように、ギヤアセンブリ1114に動作可能に結合され得る。ギヤ装置及びセンサの構成は、ラックアンドピニオン式構成を介した直線アクチュエータ、又は平歯車若しくは他の接続を介した回転式アクチュエータに接続され得る。電源1129は、絶対位置決めシステム1100に電力を供給し、出力インジケータ1128は、絶対位置決めシステム1100の出力を表示することができる。
図2において、変位部材1111は、ギヤ減速機アセンブリ84の対応する駆動ギヤ86と噛合係合するように、その上に形成された駆動歯122のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材120を表す。変位部材1111は、長手方向に移動可能な発射部材220、発射バー172、Iビーム178、又はこれらの組み合わせを表す。
【0060】
位置センサ1112と関連付けられたセンサ素子1126の1回転は、変位部材1111の長手方向直線変位d1に相当し、d1は、変位部材1111に結合されたセンサ素子1126の1回転後に、変位部材1111が点「a」から点「b」まで移動する、長手方向の直線距離である。センサ構成1102は、位置センサ1112が変位部材1111のフルストロークの間に1回又は2回以上の回転を完了することになるギヤ減速装置を介して接続されてもよい。位置センサ1112は、変位部材1111のフルストロークの間に複数回の回転を完了してもよい。
【0061】
一連のスイッチ1122a~1122nが、ここで、nは1より大きい整数であるが、単独で、又はギヤ減速装置との組み合わせで使用され、位置センサ1112の2回以上の旋回の間に固有の位置信号を提供することができる。スイッチ1122a~1122nの状態は、コントローラ1104にフィードバックされ、そのコントローラは、論理を適用して、変位部材1111の長手方向の直線変位d1+d2+...dnに対応する固有の位置信号を判定する。位置センサ1112の出力1124は、コントローラ1104に提供される。センサ構成1102の位置センサ1112は、磁気センサ、ポテンショメータと同様のアナログ回転式センサ、アナログ式ホール効果アレイを含んでもよく、それらは、位置信号又は値の固有の組み合わせを出力する。
【0062】
絶対位置調整システム1100は、モータ1120が単に前方又は後方に経たステップの数をカウントして装置アクチュエータ、駆動バー、ナイフなどの位置を推測する従来の回転エンコーダで必要となり得るような、リセット(ゼロ又はホーム)位置への変位部材1111の後退又は前進なしで、器具の電源投入時点で、変位部材1111の絶対位置を提供する。
【0063】
コントローラ1104は、ナイフ及び関節運動システムの速度及び位置よりも正確な制御などの様々な機能を実行するようにプログラムされ得る。一態様では、コントローラ1104は、プロセッサ1108及びメモリ1106を含む。電気モータ1120は、関節運動又はナイフシステムへのギヤボックス及び機械的連結部を有するブラシ付きDCモータであってもよい。一態様では、モータドライバ1110は、Allegro Microsystems,Inc.から入手可能であるA3941であってもよい。他のモータドライバが、絶対位置決めシステム1100で使用するために、容易に置き換えられ得る。絶対位置決めシステム1100に関するより詳細な説明は、SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENTと題する米国特許出願第15/130,590号に記載されており、この開示は、それによって、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0064】
コントローラ1104は、変位部材1111及び関節運動システムの速度及び位置よりも正確な制御を提供するようにプログラムされ得る。コントローラ1104は、コントローラ1104のソフトウェア内で応答を計算するように構成され得る。計算された応答は、実際のシステムの測定された応答と比較されて「観測された」応答が得られ、これが実際のフィードバックの判定に用いられる。観測された応答は、シミュレーションによる応答の滑らかで連続的な性質を、測定による応答と釣り合わせる好適な同調された値であり、これはシステムに及ぼす外部の影響を検出することができる。
【0065】
絶対位置決めシステム1100は、PID、状態フィードバック、及び適応コントローラなどのフィードバックコントローラを含み得、かつ/又は同コントローラを実施するようにプログラムされ得る。電源1129が、フィードバックコントローラからの信号を、システムへの物理的な入力、この場合には、電圧に変換する。他の例としては、電圧、電流、及び力のパルス幅変調(pulse width modulation、PWM)が挙げられる。他のセンサ(複数可)1118が、位置センサ1112により測定された位置に加えて物理的なシステムの物理的なパラメータを測定するために、提供されてもよい。いくつかの態様では、他のセンサ(複数可)1118としては、開示によってその全体が参照により本明細書に組み込まれる、STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEMと題する米国特許第9,345,481号、開示によってその全体が参照により本明細書に組み込まれる、STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEMと題する米国特許出願公報第2014/0263552号、及び開示によってその全体が参照により本明細書に組み込まれる、TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENTと題する米国特許出願第15/628,175号に記載されているセンサ構成などのセンサ構成を挙げることができる。デジタル信号処理システムでは、絶対位置決めシステム1100は、デジタルデータ獲得システムに結合され、そこでは、絶対位置決めシステム1100の出力は、有限の解像度及びサンプリング周波数を有することとなる。絶対位置決めシステム1100は、加重平均、及び計算された応答を測定された応答に向けて駆動する理論的な制御ループなどのアルゴリズムを使用して、計算された応答を測定された応答と組み合わせるための比較及び組み合わせ回路を含むことができる。入力を知ることによって物理的システムの状態及び出力がどうなるかを予測するために、物理的システムの計算された応答は、質量、慣性、粘性摩擦、誘導抵抗などの特性を考慮に入れる。コントローラ1104は、制御回路700であってもよい(
図5A及び
図5B)。
【0066】
モータドライバ1110は、Allegro Microsystems,Inc.から入手可能であるA3941であってもよい。A3941ドライバ1110は、ブラシ付きDCモータなどの誘導負荷用に特に設計された外部N形電力金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)と一緒に使用するためのフルブリッジコントローラである。ドライバ1110は、固有のチャージポンプレギュレータを含み、7Vまでのバッテリー電圧降下のための全(>10V)ゲート駆動を提供し、A3941が5.5Vまで低減ゲート駆動で動作することを可能にする。ブートストラップコンデンサを使用して、N形MOSFETに必要とされる上記のバッテリー供給電圧を提供することができる。ハイサイド駆動用の内部チャージポンプにより、DC(100%デューティサイクル)動作が可能となる。フルブリッジは、ダイオード又は同期整流を用いて高速又は低速減衰モードで駆動され得る。低速減衰モードにおいて、電流の再循環は、ハイサイドのFETによっても、ローサイドのFETによっても可能である。電力FETは、抵抗器で調節可能なデッドタイムによって、シュートスルーから保護される。統合診断は、低電圧、温度過昇、及びパワーブリッジの異常を指示するものであり、ほとんどの短絡状態下でパワーMOSFETを保護するように構成され得る。他のモータドライバが、絶対位置決めシステム1100で使用するために、容易に代用することができる。
【0067】
センサ構成1102用の絶対位置調整システム1100の態様を実装するための全般的なアーキテクチャについて説明したので、ここで、絶対位置調整システム1100のセンサ構成1102の一態様について説明するために、本開示は
図11及び
図12を参照する。
図11は、一態様による、回路1205及びセンサ構成1102の各要素の相対的な整列を示す、絶対位置調整システム1100用のセンサ構成1102の分解斜視図である。絶対位置決めシステム1100用のセンサ構成1102は、位置センサ1200と、磁石1202のセンサ要素と、変位部材1111のフルストローク毎に1回転する磁石ホルダ1204と、ギヤの減速を提供するギヤアセンブリ1206と、を備える。
図2を簡単に参照すると、変位部材1111は、ギヤ減速機アセンブリ84の対応する駆動ギヤ86と噛合係合するための駆動歯のラック122を備える、長手方向可動駆動部材120を表し得る。
図11を参照すると、ギヤアセンブリ1206、磁石ホルダ1204、及び磁石1202を支持するために、ブラケット1216などの構造要素が提供されている。位置センサ1200は、ホール素子などの磁気検知素子を備え、磁石1202に近接して定置されている。磁石1202が回転するにつれて、位置センサ1200の磁気検知素子は、1旋回にわたって磁石1202の絶対角度位置を判定する。
【0068】
センサ構成1102は、例えば、全磁場を測定するか又は磁場のベクトル成分を測定するかどうかに基づいて分類される磁気センサなどの、任意の数の磁気検知素子を含んでもよい。両タイプの磁気センサを生産するために用いられる技術は、物理学及び電子工学の多数の側面を含んでいる。磁場検出に用いられる技術として、とりわけ、探りコイル、フラックスゲート、光ポンピング、核摂動、SQUID、ホール効果、異方性磁気抵抗、巨大磁気抵抗、磁気トンネル接合、巨大磁気インピーダンス、磁歪/圧電複合材、磁気ダイオード、磁気トランジスタ、光ファイバ、光磁気、及び微小電気機械システム系の磁気センサが挙げられる。
【0069】
ギヤアセンブリは、噛合係合し3:1のギヤ比接続を提供する第1のギヤ1208及び第2のギヤ1210を備える。第3のギヤ1212は、シャフト1214の周りを回転する。第3のギヤ1212は、変位部材1111(又は
図2に示すように120)と噛合係合しており、変位部材1111が遠位方向Dに前進するにつれて第1の方向に回転し、変位部材1111が近位方向Pに後退するにつれて第2の方向に回転する。第2のギヤ1210もまた、シャフト1214の周りに回転し、したがって、シャフト1214の周りの第2のギヤ1210の回転は、変位部材1111の長手方向の並進運動に対応する。したがって、遠位方向D又は近位方向Pのいずれかにおける変位部材1111のフルストロークの1つが、第2のギヤ1210の3回転、及び第1のギヤ1208の1回転に対応する。磁石ホルダ1204は、第1のギヤ1208に結合されているので、磁石ホルダ1204は、変位部材1111の各フルストロークに対して完全に1回転する。
【0070】
位置センサ1200は、アパーチャ1220を画定する位置センサホルダ1218によって支持されており、アパーチャ1220は、位置センサ1200を、下にある磁石ホルダ1204内部で回転している磁石1202に正確に整列させて収容するのに好適である。固定具が、ブラケット1216及び回路1205に結合されており、磁石1202が磁石ホルダ1204と共に回転する間、静止したままである。ハブ1222が、第1のギヤ1208及び磁石ホルダ1204と嵌合するように設けられている。シャフト1214に結合された第2のギヤ1210及び第3のギヤ1212も示されている。
【0071】
図12は、本開示の一態様による、磁気回転絶対位置決めシステムを備える、絶対位置決めシステム1100のための位置センサ1200の図である。位置センサ1200は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装されてもよい。位置センサ1200は、コントローラ1104とインターフェース接続されて絶対位置決めシステム1100を提供する。位置センサ1200は、低電圧低電力の構成要素であり、磁石1202(
図15及び
図16)の上方に位置する位置センサ1200の領域1230に、4つのホール効果素子1228A、1228B、1228C、1228Dを含む。また、高解像度ADC1232及びスマート電力管理コントローラ1238がチップ上に設けられている。加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算するための簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実施するために、1桁毎の方法とボルダーのアルゴリズム(Volder’s algorithm)でも知られる、CORDIC(座標回転デジタルコンピュータの略)プロセッサ1236が提供されている。角度位置、アラームビット、及び磁場情報が、SPIインターフェース1234など標準的なシリアル通信インターフェースを介してコントローラ1104に伝送される。位置センサ1200は、12ビット又は14ビットの解像度を提供する。位置センサ1200は、小型のQFN16ピン4×4×0.85mmパッケージで提供されるAS5055チップであってもよい。
【0072】
ホール効果素子1228A、1228B、1228C、1228Dは、回転磁石1202(
図11)の真上に配置されている。ホール効果は、周知の効果であり、便宜上、本明細書では詳細に説明されないが、一般に、ホール効果は、導体内の電流を横断する電気導体と、電流に直交する磁場との間の電圧差(ホール電圧)を生成する。ホール係数は、誘導電場と、電流密度に印加磁場を掛けたものとの比として定義される。その値は、電流を構成する電荷キャリアの種類、個数、及び特性に依存するので、ホール係数は、導体を作る材料の特徴を示す。AS5055位置センサ1200において、ホール効果素子1228A、1228B、1228C、1228Dは、磁石1202の絶対位置を磁石1202の1回転にわたって角度で示す電圧信号を発生させることが可能である。この角度値は、固有の位置信号であり、CORDICプロセッサ1236によって計算され、オンボードで搭載されたAS5055位置センサ1200のレジスタ又はメモリ内に格納される。1回転にわたる磁石1202の位置を示す角度値は、様々な技術で、例えば、電源投入時に、又はコントローラ1104によって要求されたときに、コントローラ1104に提供される。
【0073】
AS5055位置センサ1200は、コントローラ1104に接続されているときに動作するため、少数の外部構成要素のみを必要とする。単一電源を使用する単純な用途には、6本のワイヤが必要とされ、すなわち、電力用に2本のワイヤ、コントローラ1104とのSPIインターフェース1234用に4本のワイヤ1240を必要とする。コントローラ1104に割込を送信して、新規の有効な角度を読み取り得ることを知らせるために、第7の接続を追加することができる。電源を投入すると、AS5055位置センサ1200は、1回の角度測定を含むすべての電源投入シーケンスを実行する。このサイクルの完了は、INT出力1242として示され、その角度値は、内部レジスタ内に格納される。一旦、この出力が設定されると、AS5055位置センサ1200は、一時停止してスリープモードに移る。コントローラ1104は、AS5055位置センサ1200からSPIインターフェース1234を介して角度値を読み取ることによって、INT出力1242においてINTリクエストに応答することができる。角度値がコントローラ1104によって読み取られると、INT出力1242は、再度消去される。また、コントローラ1104によってSPIインターフェース1234による「角度を読み取れ」というコマンドを位置センサ1200に送信することにより、チップを自動的に電源投入し、別の角度測定を開始する。コントローラ1104が角度値を読み取ることを完了するとすぐに、INT出力1242は、消去され、新規の結果が、角度レジスタ内に格納される。角度測定の完了は、再び、INT出力1242及びステータスレジスタの対応するフラグを設定することによって示される。
【0074】
AS5055位置センサ1200の測定原理に起因して、単一の角度測定のみが、各電力投入シーケンス後の極めて短い時間(~600μs)内に実行される。1つの角度の測定が完了するとすぐに、AS5055位置センサ1200は、一時停止して電源オフ状態に移る。デジタル平均化による角度値のオンチップフィルタリングは、複数回の角度測定を必要とし、その結果、電源投入時間がより長くなり、低電力用途には望ましくないため、このオンチップフィルタリングは実施されない。角度のジッターは、コントローラ1104においていくつかの角度サンプルを平均することによって低減することができる。例えば、4つのサンプルを平均化すると、ジッターは、6dB(50%)低減する。
【0075】
図13は、本開示の一態様による、エンドエフェクタ2502内に把持された組織2526に対するIビーム2514の発射ストロークを示す、外科用器具10(
図1~
図4)のエンドエフェクタ2502の断面図である。エンドエフェクタ2502は、
図1~
図4に示す外科用器具10と共に動作するように構成されている。エンドエフェクタ2502は、アンビル2516及び細長い溝2503を備え、ステープルカートリッジ2518が、細長い溝2503内に位置付けられている。発射バー2520は、エンドエフェクタ2502の長手方向軸2515に沿って遠位側及び近位側に並進運動可能である。エンドエフェクタ2502が関節運動していないとき、エンドエフェクタ2502は、器具のシャフトと一直線になっている。切刃2509を含むIビーム2514は、発射バー2520の遠位部分に例示されている。楔形スレッド2513は、ステープルカートリッジ2518内に位置付けられている。Iビーム2514が遠位側に並進運動すると、切刃2509は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に位置付けられた組織2526に接触し、それを切断し得る。また、Iビーム2514は、楔形スレッド2513に接触し、それを遠位側に押し、楔形スレッド2513をステープルドライバ2511に接触させる。ステープルドライバ2511は、ステープル2505内に上昇させられて、ステープル2505を、組織を通って、ステープル2505を形状決めするアンビル2516内に画定されたポケット2507内へ前進させ得る。
【0076】
例示的なIビーム2514の発射ストロークは、エンドエフェクタ2502と並べられてチャート2529によって例示されている。例示的な組織2526もまた、エンドエフェクタ2502と並べられて示されている。発射部材ストロークは、ストローク開始位置2527及びストローク終了位置2528を含み得る。Iビーム2514の発射ストロークの間、Iビーム2514は、ストローク開始位置2527からストローク終了位置2528まで遠位側に前進し得る。Iビーム2514は、ストローク開始位置2527の1つの例示的な場所で示されている。Iビーム2514の発射部材ストロークチャート2529は、5つの発射部材ストローク領域2517、2519、2521、2523、2525を例示する。第1の発射ストローク領域2517では、Iビーム2514は、遠位側に前進し始め得る。第1の発射ストローク領域2517では、Iビーム2514は、楔形スレッド2513に接触し、それを遠位側に移動させ始め得る。しかしながら、第1の領域にある間、切刃2509は、組織に接触しない場合があり、楔形スレッド2513は、ステープルドライバ2511に接触しない場合がある。静止摩擦が克服された後、第1の領域2517内のIビーム2514を駆動する力は、実質的に一定であり得る。
【0077】
第2の発射部材ストローク領域2519では、切刃2509は、組織2526に接触して切断し始め得る。また、楔形スレッド2513は、ステープル2505を駆動するためにステープルドライバ2511に接触し始め得る。Iビーム2514を駆動する力は、上昇し始め得る。図示のように、最初に遭遇する組織は、アンビル2516がステープルカートリッジ2518に対して枢動する方式のため、圧縮され得る、及び/又はより薄くなり得る。第3の発射部材ストローク領域2521では、切刃2509は、組織2526と連続的に接触及び切断し得、楔形スレッド2513は、ステープルドライバ2511に繰り返し接触し得る。Iビーム2514を駆動する力は、第3の領域2521内で一定であり得る。第4の発射ストローク領域2523によって、Iビーム2514を駆動する力は、低下し始め得る。例えば、第4の発射領域2523に対応するエンドエフェクタ2502の部分の組織は、アンビル2516の枢動点により近い組織よりも圧縮されない場合があり、切断するために少ない力を必要とする。また、切刃2509及び楔形スレッド2513は、第4の領域2523にある間、組織2526の端に到達し得る。Iビーム2514が第5の領域2525に到達すると、組織2526は、完全に切断され得る。楔形スレッド2513は、組織の端又はその近くで1つ又は2つ以上のステープルドライバ2511に接触し得る。Iビーム2514を第5の領域2525を通して前進させる力は、低減され得、いくつかの例では、第1の領域2517内のIビーム2514を駆動する力と同様であり得る。発射部材のストロークの終わりに、Iビーム2514は、ストローク終了位置2528に到達し得る。
図18の発射部材ストローク領域2517、2519、2521、2523、2525の位置決めは、単なる一例である。いくつかの例では、異なる領域は、例えば、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間の組織の位置決めに基づいて、エンドエフェクタの長手方向軸2515に沿った異なる位置で開始してもよい。
【0078】
上で論じたように、及び
図10~
図13を参照すると、エンドエフェクタ2502内に捕捉された組織をステープル留め及び/又は切開するために、外科用器具10(
図1~
図4)のハンドルアセンブリ内部に位置付けられた電気モータ1122を利用して、Iビーム2514を含む、シャフトアセンブリの発射システムを、シャフトアセンブリのエンドエフェクタ2502に対して前進及び/又は後退させることができる。Iビーム2514は、所望の速度で、又は所望の速度の範囲内で前進又は後退させられ得る。制御回路1104は、Iビーム2514の速度を制御するように構成され得る。コントローラ1104は、例えば、電圧及び/若しくは電流などの電気モータ1122に供給される電力の様々なパラメータ、並びに/又は電気モータ1122若しくは外部作用の他の動作パラメータに基づいて、Iビーム2514の速度を予測するように構成することができる。コントローラ1104は、電気モータ1122に供給される電流及び/若しくは電圧の以前の値、並びに/又は速度、加速度、及び/若しくは位置などのシステムの以前の状態に基づいて、Iビーム2514の現在の速度を予測するように構成することができる。コントローラ1104は、本明細書に記載された絶対位置決めセンサシステムを利用してIビーム2514の速度を検知するように構成することができる。コントローラは、Iビーム2514の予測速度とIビーム2514の検知速度とを比較して、Iビーム2514の速度を増加させるために電気モータ1122への電力を増やし、かつ/又はIビーム2514の速度を減少させるために減らすべきかどうかを判定するように構成されることができる。更に、電気モータ1122によって駆動される外科用器具10に関しては、MOTOR-DRIVEN SURGICAL CUTTING INSTRUMENTと題する米国特許第8,210,411号において見出され得、この内容は、それによって、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。センサ構成を含む外科用器具10に関する更なる詳細は、SURGICAL INSTRUMENT HAVING RECORDING CAPABILITIESと題する米国特許第7,845,537号において見出され得、この内容は、それによって、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0079】
Iビーム2514に作用する力は、様々な技術を使用して決定され得る。Iビーム2514の力は、モータ2504の電流を測定することによって決定され得、モータ2504の電流は、遠位側に前進するときのIビーム2514が受ける負荷に基づく。Iビーム2514の力は、歪みゲージを、駆動部材120(
図2)、発射部材220(
図2)、Iビーム2514(Iビーム178、
図20)、発射バー172(
図2)上に、及び/又は切断縁部2509の近位端上に配置することによって決定されてもよい。Iビーム2514の力は、所定の経過期間T
1後にモータ2504の現在の設定速度に基づいて予測速度で移動するIビーム2514の実際の位置を監視し、Iビーム2514の実際の位置を、期間T
1終了時のモータ2504の現在の設定速度に基づくIビーム2514の予測位置に対して比較することによって決定されてもよい。したがって、Iビーム2514の実際の位置が、Iビーム2514の予期される位置未満である場合、Iビーム2514上の力は、公称力よりも大きい。逆に、Iビーム2514の実際の位置が、Iビーム2514の予期される位置を超過する場合、Iビーム2514上の力は、公称力よりも小さい。Iビーム2514の実際の位置と予期される位置との間の差は、公称力からのIビーム2514上の力の偏差に比例する。そのような技術は、SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENTと題する米国特許出願第15/628,075号に記載されており、この内容は、それによって、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0080】
図14は、本開示の一態様による、変位部材の遠位側並進運動を制御するようにプログラムされた外科用器具2500のブロック図を示す。一態様では、外科用器具2500は、Iビーム2514などの変位部材1111の遠位側並進運動を制御するようにプログラムされている。外科用器具2500は、アンビル2516、Iビーム2514(鋭い切断縁部2509を含む)、及び取り外し可能なステープルカートリッジ2518を備え得るエンドエフェクタ2502を備える。エンドエフェクタ2502、アンビル2516、Iビーム2514、及びステープルカートリッジ2518は、例えば、
図1~
図13に関して本明細書に記載されているように構成されてもよい。
【0081】
図10~
図12に示し、
図14の位置センサ2534として表されるように、Iビーム2514などのライナー変位部材1111の位置、移動、変位、及び/又は並進運動は、絶対位置調整システム1100、センサ構成1102、及び位置センサ1200によって測定できる。Iビーム2514が、長手方向に移動可能である駆動部材120に結合されているため、Iビーム2514の位置は、位置センサ2534を使用する長手方向に移動可能である駆動部材120の位置を測定することによって判定することができる。したがって、以下の説明では、本明細書に記載されているように、Iビーム2514の位置、変位、及び/又は並進運動は、位置センサ2534によって達成することができる。
図5A及び
図5Bに記載される制御回路700などの制御回路2510は、
図10~
図12に関連して記載されているように、Iビーム2514などの変位部材1111の並進運動を制御するようにプログラムされてもよい。いくつかの例では、制御回路2510は、プロセッサ又はプロセッサが、変位部材、例えば、Iビーム2514を、記載された方法で制御することを可能にする命令を実行するための、1つ又は2つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又は他の好適なプロセッサを含むことができる。一態様では、タイマー/カウンタ回路2531は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路2510に提供して、位置センサ2534によって判定されたIビーム2514の位置を、タイマー/カウンタ回路2531の出力と相関させ、その結果、制御回路2510は、開始位置に対して特定の時間(t)におけるIビーム2514の位置を判定することができる。タイマー/カウンタ回路2531は、経過時間を測定するか、外部事象をカウントするか、又は外部事象の時間を測定するように構成することができる。
【0082】
制御回路2510は、モータ設定点信号2522を生成することができる。モータ設定値信号2522は、モータコントローラ2508に提供され得る。モータコントローラ2508は、本明細書に記載されているように、モータ駆動信号2524をモータ2504に提供してモータ2504を駆動するように構成された1つ又は2つ以上の回路を含むことができる。いくつかの例では、モータ2504は、
図1、
図5B、
図10に示すモータ82、714、1120などのブラシ付きDC電気モータであってもよい。例えば、モータ2504の速度は、モータ駆動信号2524に比例してもよい。いくつかの例では、モータ2504は、ブラシレス直流(DC)電気モータであってもよく、モータ駆動信号2524は、モータ2504の1つ又は2つ以上の固定子巻線に与えられるパルス幅変調(PWM)信号を含んでもよい。また、いくつかの例では、モータコントローラ2508は、省略されてもよく、制御回路2510は、モータ駆動信号2524を直接生成してもよい。
【0083】
モータ2504は、エネルギー源2512から電力を受け取ることができる。エネルギー源2512は、バッテリー、スーパーキャパシタ、又は任意の他の好適なエネルギー源2512であっても、又はそれらを含んでもよい。モータ2504は、動力伝達装置2506を介してIビーム2514に機械的に結合されてもよい。動力伝達装置2506は、モータ2504をIビーム2514に結合するための1つ又は2つ以上のギヤ又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ2534は、Iビーム2514の位置を検知することができる。位置センサ2534は、Iビーム2514の位置を示す位置データを生成することができる任意のタイプのセンサであっても、又はそれらを含んでもよい。いくつかの例では、位置センサ2534は、Iビーム2514が遠位側及び近位側に並進運動するにつれて、一連のパルスを制御回路2510に提供するように構成されたエンコーダを含むことができる。制御回路2510は、パルスを追跡してIビーム2514の位置を判定することができる。例えば、近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他のタイプの位置センサは、Iビーム2514の運動を示す他の信号を提供してもよい。また、いくつかの例では、位置センサ2534は省略されてもよい。モータ2504がステッパモータである場合、制御回路2510は、モータ2504が実行するように指示されたステップの数及び方向を集計することによって、Iビーム2514の位置を追跡することができる。位置センサ2534は、エンドエフェクタ2502内、又は器具の任意の他の部分に設置されてもよい。
【0084】
制御回路2510は、1つ又は2つ以上のセンサ2538と通信してもよい。センサ2538は、エンドエフェクタ2502上に位置付けられ、外科用器具2500と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合され得る。センサ2538は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、圧力センサ、力センサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光センサ、及び/又はエンドエフェクタ2502の1つ又は2つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを含むことができる。センサ2538は、1つ又は2つ以上のセンサを含んでもよい。
【0085】
1つ又は2つ以上のセンサ2538は、クランプされた状態中にアンビル2516内の歪みの大きさを測定するように構成されたマイクロ歪みゲージなどの歪みゲージを含んでもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ2538は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間で圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを含んでもよい。センサ2538は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0086】
センサ2538は、閉鎖駆動システム30によってアンビル2516に及ぼされる力を測定するように構成され得る。例えば、1つ又は2つ以上のセンサ2538は、閉鎖管260によってアンビル2516に印加される閉鎖力を検出するために、閉鎖管260(
図3)とアンビル2516との間の相互作用点に位置することができる。アンビル2516上に作用した力は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に捕捉された組織部分によって経験される組織圧縮を表し得る。1つ又は2つ以上のセンサ2538は、閉鎖駆動システム30によってアンビル2516に印加される閉鎖力を検出するために、閉鎖駆動システム30(
図2)に沿った様々な相互作用点に位置付けられてもよい。1つ又は2つ以上のセンサ2538は、
図5A又は5Bに記載されているように、クランプ動作中に、プロセッサによってリアルタイムでサンプリングされてもよい。制御回路2510は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して、分析時間ベースの情報を提供し、アンビル2516に加えられた閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0087】
電流センサ2536を用いて、モータ2504によって引き出される電流を測定することができる。Iビーム2514を前進させるために必要とされる力は、モータ2504によって引き出される電流に相当する。その力は、デジタル信号に変換されて、制御回路2510に提供される。
【0088】
図1~
図13に関連して、また
図14を参照すると、本明細書に開示された器具の物理的な性質を使用して、制御回路2510は、コントローラのソフトウェア内で器具の実際のシステムの応答をシミュレートするように構成することができる。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ2502内のIビーム2514を目標速度又はその付近で移動させることができる。外科用器具2500は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PID、状態フィードバック、LQR、及び/又は適応コントローラを含むが、これらに限定されない任意のフィードバックコントローラのうちの1つであってもよい。外科用器具2500は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、パルス幅変調(PWM)電圧、周波数変調電圧、電流、トルク、及び/又は力などの、物理的入力に変換するための電源を含むことができる。
【0089】
外科用器具2500の実際の駆動システムは、ギヤボックス、並びに関節運動及び/又はナイフシステムへの機械的連結部を備えるブラシ付きDCモータによって、変位部材、切断部材、又はIビーム2514を駆動するように構成されている。別の例は、交換式シャフトアセンブリの、例えば、変位部材及び関節運動ドライバを操作する電気モータ2504である。外部影響とは、組織、周囲体、及び物理系上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。こうした外部影響は、電気モータ2504に反して作用する障害と呼ばれることがある。障害などの外部影響は、物理系の動作を物理系の所望の動作から逸脱させることがある。
【0090】
外科用器具2500の態様を詳細に説明する前に、例示的態様が、適用又は使用において、添付の図面及び明細書に示される部品の構造及び構成の詳細に限定されないことに留意されたい。例示的な態様は、他の態様、変形形態、及び修正形態に実装されるか又は組み込まれてもよく、様々な方式で実施又は実行されてもよい。更に、特に明記しない限り、本明細書で用いられる用語及び表現は、読者の便宜のために例示的態様を説明する目的で選択されたものであり、それらを限定するためのものではない。また、以下に記述される態様、態様の具現、及び/又は実施例のうち1つ又は2つ以上を、以下に記載される他の態様、態様の具現、及び/又は実施例のうちの任意の1つ又は2つ以上と組み合わせることができることを理解されたい。
【0091】
様々な例示的態様は、モータ駆動の外科用ステープル留め及び切断手段を有するエンドエフェクタ2502を備える外科用器具2500を対象とする。例えば、モータ2504は、エンドエフェクタ2502の長手方向軸線に沿って遠位側及び近位側に変位部材を駆動してもよい。エンドエフェクタ2502は、枢動可能なアンビル2516と、使用のために構成される場合は、アンビル2516の反対側に位置付けられたステープルカートリッジ2518とを備えてもよい。本明細書に記載されているように、臨床医は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に組織を把持することができる。器具2500を使用する準備が整った場合、臨床医は、例えば器具2500のトリガを押すことによって発射信号を提供してもよい。発射信号に応答して、モータ2504は、変位部材をエンドエフェクタ2502の長手方向軸線に沿って、近位側のストローク開始位置からストローク開始位置の遠位側にあるストローク終了位置まで遠位側に駆動することができる。変位部材が遠位側に並進運動するにつれて、遠位端に配置された切断要素を有するIビーム2514は、ステープルカートリッジ2518とアンビル2516との間の組織を切断することができる。
【0092】
様々な例において、外科用器具2500は、例えば、1つ又は2つ以上の組織状態に基づいて、Iビーム2514などの変位部材の遠位側並進運動を制御するようにプログラムされた制御回路2510を含むことができる。制御回路2510は、本明細書に説明されるように、直接的又は間接的のいずれかで厚さなどの組織状態を検知するようにプログラムされてもよい。制御回路2510は、組織状態に基づいて発射制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。発射制御プログラムは、変位部材の遠位側運動を記述することができる。様々な組織状態をより良好に処理するために様々な発射制御プログラムを選択することができる。例えば、より厚い組織が存在する場合、制御回路2510は、変位部材をより低速で、かつ/又はより低電力で並進運動させるようにプログラムされてもよい。より薄い組織が存在する場合、制御回路2510は、変位部材をより高速で、かつ/又はより高電力で並進運動させるようにプログラムされてもよい。
【0093】
いくつかの例では、制御回路2510は、初期に、変位部材のストロークの第1の開ループ部分に対して開ループ構成でモータ2504を動作することができる。ストロークの開ループ部分間の器具2500の応答に基づいて、制御回路2510は、発射制御プログラムを選択することができる。器具の応答には、開ループ部分間の変位部材の並進運動距離、開ループ部分間の経過時間、開ループ部分間にモータ2504に提供されるエネルギー、モータ駆動信号のパルス幅の合計等が含まれる。開ループ部分の後、制御回路2510は、変位部材ストロークの第2の部分に対して、選択された発射制御プログラムを実施することができる。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路2510は、変位部材の位置を記述する並進運動データに基づいて、モータ2504を閉ループ方式で変調して、一定の速度で変位部材を並進運動させることができる。
【0094】
図15は、本開示の一態様に従って実行された、2つの例示的な変位部材ストロークをプロットした
図2580を示す。
図2580は2つの軸を含む。横軸2584は経過時間を示す。縦軸2582は、ストローク開始位置2586とストローク終了位置2588との間のIビーム2514の位置を示す。横軸2584上で、制御回路2510は、t
0において発射信号を受信し初期モータ設定を提供し始めてもよい。変位部材ストロークの開ループ部分は、t
0とt
1との間で経過し得る初期期間である。
【0095】
第1の実施例2592は、厚い組織がアンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に配置された場合の外科用器具2500の応答を示す。変位部材ストロークの開ループ部分の間、例えば、t0~t1の初期期間の間に、Iビーム2514は、ストローク開始位置2586から位置2594まで横断することができる。制御回路2510は、位置2594が、t1の後の(例えば、閉ループ部分内で)例2592の勾配によって示される、選択された一定の速度(Vslow)でIビーム2514を前進させる発射制御プログラムに対応すると判定することができる。制御回路2510は、Iビーム2514の位置をモニタリングし、モータ設定値信号2522及び/又はモータ駆動信号2524を変調することによって、Iビーム2514を速度Vslowに駆動して、Vslowを維持することができる。
【0096】
第2の例2590は、薄い組織がアンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に位置されたときの外科用器具2500の応答を示す。t0~t1の初期期間(例えば、開ループ期間)の間に、Iビーム2514は、ストローク開始位置2586から位置2596まで横断することができる。制御回路は、位置2596が、選択された一定の速度(Vfast)で変位部材を前進させる発射制御プログラムに対応すると判定することができる。例2590の組織は例2592の組織よりも薄いので、Iビーム2514の動きに対する抵抗がより小さくなり得る。その結果、Iビーム2514は、初期期間中に、ストロークのより大きな部分を横断し得る。また、いくつかの実施例では、より薄い組織(例えば、初期期間中に変位部材ストロークのより大きい部分を横断する)は、初期期間後の、より速い変位部材速度に対応し得る。
【0097】
図16~
図21は、本開示の一態様による、エンドエフェクタ2300が、どのように関節継手2270を中心に細長シャフトアセンブリ2200に対して関節運動させ得るのかを示す、外科用器具2010のエンドエフェクタ2300を示す。
図16は、明確にするためにその一部分が省略された、非関節運動配向にある細長いシャフトアセンブリ2200を示す、エンドエフェクタ2300の一部分の部分斜視図である。
図17は、非関節運動配向にある細長いシャフトアセンブリ2200を示す、
図16のエンドエフェクタ2300の斜視図である。
図18は、細長いシャフトアセンブリ2200を示す、
図16のエンドエフェクタ2300の分解組立斜視図である。
図19は、非関節運動配向にある細長いシャフトアセンブリ2200を示す、
図16のエンドエフェクタ2300の上面図である。
図20は、第1の関節運動配向にある細長いシャフトアセンブリ2200を示す、
図16のエンドエフェクタ2300の上面図である。
図21は、第2の関節運動配向にある細長いシャフトアセンブリ2200を示す、
図16のエンドエフェクタ2300の上面図である。
【0098】
ここで、
図16~
図21を参照すると、エンドエフェクタ2300は、組織を切断及びステープル留めするように適合され、外科用ステープルカートリッジ2304を内部で動作可能に支持するように構成された細長いチャネル2302の形態で第1の顎部を含む。エンドエフェクタ2300は、更に、細長いチャネル2302上でそれに対して移動するように支持されるアンビル2310の形態で第2の顎部を含む。細長シャフトアセンブリ2200は、関節運動ロック2810を用いる関節運動システム2800を含む。関節運動ロック2810は、様々な関節運動位置に外科用エンドエフェクタ2300を選択的にロックするように構成されて、操作され得る。係る構成により、関節運動ロック2810がそのロック解除状態にあるときに、外科用エンドエフェクタ2300が、シャフト閉鎖管260に対して回転又は関節運動することを可能にする。具体的には、
図18を参照すると、細長いシャフトアセンブリ2200は、スパイン210を含み、このスパインは、(1)内部で発射部材220をスライド可能に支持し、(2)スパイン210の周りに延在する閉鎖管260(
図16)をスライド可能に支持するように構成されている。シャフト閉鎖管260は、二重枢動閉鎖スリーブアセンブリ271によって閉鎖管260に枢動可能に取り付けられるエンドエフェクタ閉鎖スリーブ272に取り付けられている。
【0099】
スパイン210はまた、近位側関節運動ドライバ230をスライド可能に支持する。近位側関節運動ドライバ230は、関節運動ロック2810と動作可能に係合するように構成された遠位端231を有する。関節運動ロック2810は、本明細書に開示される様々な方式でスパイン210に取り付けられるシャフトフレーム2812を更に備えている。シャフトフレーム2812は、その中で遠位側関節運動ドライバ2820の近位部分2821を移動可能に支持するように構成されている。遠位側関節運動ドライバ2820は、そのドライバに適用された関節制御運動に応答して、シャフト軸SA-SAに対して横方向にオフセットされ、かつ平行である関節運動作動軸AAAに沿って、遠位方向DD及び近位方向PDに選択的に長手方向に進行させるために、細長いシャフトアセンブリ2200内で移動可能に支持されている。
【0100】
図17及び18では、シャフトフレーム2812は、枢動ピン2818を上部に形成された遠位端部分2814を含んでいる。枢動ピン2818は、エンドエフェクタ装着アセンブリ2390の枢動ベース部分2395に形成された枢動孔2397内に枢動可能に受容されるように適合されている。エンドエフェクタ装着アセンブリ2390は、ばねピン2393又は同等物によって、細長いチャネル2302の近位端2303に取り付けられている。枢動ピン2818は、シャフト軸SA-SAに対して横方向の関節運動軸B-Bを画定して、シャフトフレーム2812に対して関節運動軸B-Bを中心とする、エンドエフェクタ2300の枢動進行(すなわち、関節運動)を容易にする。
【0101】
図18に示すように、リンクピン2825が、遠位側関節運動ドライバ2820の遠位端2823上に形成され、クロスリンク2900の近位端2902での孔2904内に受容されるように構成されている。クロスリンク2900は、シャフト軸SA-SAを横切って延在し、遠位端部分2906を含む。遠位側リンク孔2908が、クロスリンク2900の遠位端部分2906を貫通して設けられ、エンドエフェクタ装着アセンブリ2390の枢動ベース部分2395の底部から延在するベースピン2398を内部で枢動可能に受容するように構成されている。ベースピン2398は、関節運動軸B-Bに平行であるリンク軸LAを画定する。
図17及び20は、非関節運動位置における外科用エンドエフェクタ2300を例証する。エンドエフェクタ軸EAは、細長いチャネル2302によって画定され、シャフト軸SA-SAと整列される。「と整列される」という用語は、シャフト軸SA-SAと「同軸上に整列される」か、又はシャフト軸SA-SAと平行であることを意味し得る。近位方向PDへの遠位側関節運動ドライバ2820の移動により、クロスリンク2900が、
図19に示すように、関節運動軸B-Bを中心として時計回りのCW方向に外科用エンドエフェクタ2300を引き出すことを可能にすることとなる。遠位方向DDへの遠位側関節運動ドライバ2820の移動により、クロスリンク2900が、
図21に示すように、関節運動軸B-Bを中心として反時計回りのCCW方向に外科用エンドエフェクタ2300を移動させることを可能にすることとなる。
図21に示すように、クロスリンク2900は、湾曲形状を有しており、この湾曲形状は、外科用エンドエフェクタ2300が湾曲方向に関節運動されるときに、クロスリンク2900を枢動ピン2818を中心として湾曲させることを可能にする。外科用エンドエフェクタ2300が、シャフト軸SA-SAの両側において回し切った関節運動位置にある場合、エンドエフェクタ軸EAとシャフト軸SA-SAとの間の関節運動角度2700は、約65度(65°)である。したがって、シャフト軸の当該いずれかの関節運動の範囲は、1度(1°)~65度(65°)である。
【0102】
図19は、一態様による、直線位置にある、すなわち、シャフト軸SAとして図示してある長手方向に対してゼロ角度θ
0をなす関節運動継手2270を示す。
図20は、一態様による、シャフト軸SAとエフェクタ軸EAとの間に規定される第1の角度θ
1をなして一方向に関節運動した、
図19の関節継手2270を示している。
図21は、シャフト軸SAとエンドエフェクタ軸EAとの間で画定される第2の角度θ
2をなして別の方向に関節運動する、
図19の関節運動継手2270を例証する。
【0103】
図16~
図21の外科用エンドエフェクタ2300は、本明細書で説明した様々なタイプ及び構成の発射部材220を用いた外科用切断及びステープル留め装置を備えている。ただし、外科用エンドエフェクタ2300は、組織を切断及び/又はステープル留めしない他の形態の外科用エンドエフェクタを備えてもよい。中央支持部材2950がスパイン210に対して枢動可能にまたスライド可能に支持されている。
図18では、中央支持部材2950はスロット2952を含んでおり、このスロットは、スパイン210から突出するピン2954をその中に受容するように適合されている。これにより、中央支持部材2950は、外科用エンドエフェクタ2300が関節運動するときに、ピン2954に対して枢動及び並進運動することが可能となる。枢動ピン2958が、中央支持部材2950の下側から突き出しており、エンドエフェクタ装着アセンブリ2390のベース部分2395内に設けられた対応する枢動孔2399内に枢動可能に受容される。中央支持部材2950は、それを通じて発射部材220を受容するためのスロット2960を更に含む。中央支持部材2950は、発射部材220が外科用エンドエフェクタ2300の関節運動に適応するように屈曲するときに、発射ビームに側方支持をもたらすように働く。
【0104】
外科用器具は、エンドエフェクタ2300が方向付けられる角度を決定するように更に構成され得る。様々な態様では、センサ装置1102の位置センサ1112は例えば、とりわけ、1つ又は2つ以上の磁気センサ、アナログ回転センサ(電位差計など)、アナログホール効果センサのアレイを備えてもよく、アナログホール効果センサは、位置信号又は値の固有の組み合わせを出力するものである。一態様では、
図16~
図21に示される態様の関節継手2270は、エンドエフェクタ2300の角度位置すなわち関節運動角度を決定し、それに対応する固有の位置信号を提供するように構成された関節運動センサ装置を更に備えることができる。
【0105】
関節運動センサ装置は、上記で説明し、
図10~
図12に示されるセンサ装置1102と同様であり得る。この態様では、関節運動センサ装置は、位置センサと、関節継手2270に動作可能に結合された磁石と、を備えることができ、それにより、関節継手2270の回転と一致する様式で回転する。磁石は、例えば、ピボットピン2818に結合することができる。位置センサは、ホール効果センサなどの1つ又は2つ以上の磁気検知素子を含み、関節継手2270内又はそれに隣接して磁石に近接して配置される。したがって、磁石が回転すると、位置センサの磁気検知素子は、磁石の絶対角度位置を決定する。磁石が関節継手2270に結合されると、位置センサに対する磁石の角度位置は、エンドエフェクタ2300の角度位置に対応する。したがって、関節運動センサ装置は、エンドエフェクタが関節運動するときのエンドエフェクタの角度位置を決定することができる。
【0106】
別の態様では、外科用器具は、関節運動ドライバ230(
図3)の絶対位置を監視することによって、エンドエフェクタ2300が間接的に位置付けられる角度を決定するように構成される。関節運動ドライバ230の位置が、エンドエフェクタ2300が既知の方法で方向付けられる角度に対応するため、関節運動ドライバ230の絶対位置を追跡し、次いでエンドエフェクタ2300の角度位置に並進運動させることができる。この態様では、外科用器具は、関節運動ドライバ230の絶対直線位置を決定し、それに対応する固有の位置信号を提供するように構成された関節運動センサ装置を備える。いくつかの態様では、関節運動センサ装置又は関節運動センサ装置に動作可能に結合されたコントローラは、固有の位置信号からエンドエフェクタ2300の角度位置を並進運動又は計算するように更に構成される。
【0107】
この態様における関節運動センサ装置は、同じく、上記で説明し、
図10~
図12に示されるセンサ装置1102と同様であり得る。変位部材1111に関して
図10に示される態様と同様の一態様では、関節運動センサ装置は、位置センサと、長手方向に移動可能な関節運動ドライバ230の全ストローク毎に1回転する磁石と、を備える。位置センサは、ホール効果センサなどの1つ又は2つ以上の磁気検知素子を備え、磁石に近接して定置されている。したがって、磁石が回転すると、位置センサの磁気検知素子は、1回転にわたって磁石の絶対角度位置を判定する。
【0108】
一態様では、位置センサに関連付けられたセンサ要素の1回転は、長手方向に移動可能な関節運動ドライバ230の長手方向の線形変位d1と等価である。換言すれば、d1は、長手方向に移動可能な関節運動ドライバ230に結合されたセンサ要素が1回転した後の、長手方向に移動可能な関節運動ドライバ230が点「a」から点「b」まで移動した長手方向の直線距離である。関節運動センサ装置は、ギヤ減速機を介して接続されてもよく、これにより、位置センサは、長手方向に移動可能な関節運動ドライバ230の全ストロークに対して1回転のみすることになる。換言すれば、d1は、関節運動ドライバ230の完全なストロークに等しくなり得る。位置センサは、次いで、
図10に図示したそれらの態様などのように、関節運動ドライバ230の絶対位置に対応する固有の位置信号をコントローラ1104に送信するように構成されている。
【0109】
固有の位置信号を受信すると、次いで、コントローラ1104は、例えば、事前に計算されたエンドエフェクタ2300の角度位置の値を送り返す参照テーブルに問い合わせること、関節運動ドライバ230の直線位置を入力として利用する、エンドエフェクタ2300の角度位置を、アルゴリズムを介して計算すること、又は当技術分野で既知の任意の他のそのような方法によって、関節運動ドライバ230の直線位置に対応する、エンドエフェクタの角度位置を判定するための論理を実行するように構成されている。
【0110】
様々な態様において、例えば、全磁場を測定するか磁場のベクトル成分を測定するかによって分類される磁気センサなどの、任意の個数の磁気検知素子が関節運動センサ装置に用いられてよい。利用される磁気検知素子の数は、関節運動センサ装置によって検知される所望の分解能に対応する。換言すれば、使用される磁気検知素子の数が多いほど、関節運動センサ装置によって検知することができる、関節運動の程度がより細かくなる。両タイプの磁気センサを生産するために用いられる技術は、物理学及び電子工学の多数の側面を含んでいる。磁場検出に用いられる技術として、とりわけ、探りコイル、フラックスゲート、光ポンピング、核摂動、SQUID、ホール効果、異方性磁気抵抗、巨大磁気抵抗、磁気トンネル接合、巨大磁気インピーダンス、磁歪/圧電複合材、磁気ダイオード、磁気トランジスタ、光ファイバ、光磁気、及び微小電気機械システム系の磁気センサが挙げられる。
【0111】
一態様では、関節運動センサ装置の様々な態様の位置センサは、変位部材1111の位置を追跡するための
図12に示す位置決めシステムと同様の方法で実装されてもよい。一態様では、関節運動センサ装置は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装されてもよい。位置センサは、コントローラと連係して、直接的又は間接的にエンドエフェクタ2300の絶対角度位置を決定するための絶対位置決めシステムを提供している。位置センサは、低電圧低電力の構成要素であり、磁石1202(
図11)の上方に位置する位置センサ1200の領域1230に、4つのホール効果素子1228A、1228B、1228C、1228Dを有している。また、高解像度ADC1232及びスマート電力管理コントローラ1238がチップ上に設けられている。加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算するための簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実施するために、1桁毎の方法とボルダーのアルゴリズム(Volder’s algorithm)でも知られる、CORDIC(座標回転デジタルコンピュータの略)プロセッサ1236が提供されている。角度位置、アラームビット、及び磁場情報が、SPIインターフェース1234など標準的なシリアル通信インターフェースを介してコントローラ1104に伝送される。位置センサ1200は、12ビット又は14ビットの解像度を提供する。位置センサ1200は、小型のQFN16ピン4×4×0.85mmパッケージで提供されるAS5055チップであってもよい。
【0112】
図1~
図4及び
図10~
図12を参照すると、関節継手2270の位置、及びIビーム178(
図4)の位置は、絶対位置決めシステム1100からの絶対位置フィードバック信号/値を用いて判定することができる。一態様において、関節運動角度θは、外科用器具10の駆動部材120に基づいて判定することができる。上で説明したように、長手方向に移動可能な駆動部材120(
図2)の移動は、絶対位置決めシステム1100によって追跡されることができ、例えば、関節運動駆動部がクラッチアセンブリ400(
図3)によって発射部材220(
図3)に動作可能に結合されると、絶対位置決めシステム1100は実質的に、駆動部材120を介して関節運動システムの移動を追跡することができる。関節運動システムの移動を追跡した結果として、外科用器具のコントローラは、エンドエフェクタ2300の関節運動角度θを追跡することができる。様々な状況において、結果として、関節運動角度θは、駆動部材120の長手方向変位の関数として判定され得る。駆動部材120の長手方向変位は、絶対位置決めシステム1100によって提供される絶対位置信号/値に基づいて正確に判定することができるため、関節運動角度θは、長手方向変位の関数として判定することができる。
【0113】
別の態様では、関節運動角度θは、センサを関節運動継手2270に設置することによって判定することができる。上述したように、センサは、駆動部材120の長手方向変位ではなく、関節運動継手2270の絶対的な回転を測定するように適合された方法で、絶対位置決めシステム1100を使用して関節運動継手2270の回転を検知するように構成することができる。例えば、センサ装置1102は、位置センサ1200と、磁石1202と、関節継手2270の回転を検知するように適合された磁石ホルダ1204と、を備える。位置センサ1200は、ホール素子などの1つ又は2つ以上の磁気検知素子を備え、磁石1202に近接して定置されている。
図12に記載される位置センサ1200は、関節継手2270の回転角度を測定するように適合され得る。したがって、磁石1202が回転すると、位置センサ1200の磁気検知素子は、関節継手2270上に位置する磁石1202の絶対角度位置を判定する。この情報は、コントローラ1104に提供されて、関節運動継手2270の関節運動角度を計算する。したがって、エンドエフェクタ2300の関節運動角度は、関節継手2270の絶対回転を測定するように適合された絶対位置決めシステム1100によって判定され得る。
【0114】
一態様では、Iビーム178の発射率、つまり速度は、エンドエフェクタ2300の関節運動角度の関数として変化し、発射駆動システム80上の発射に対する力、具体的には、本明細書で論じられる発射駆動システム80の他の構成要素の中でも、Iビーム178の発射に対する力を低減させることができる。エンドエフェクタ2300の関節運動角度の関数としてIビーム178の可変発射力に適合させるために、モータ82に可変モータ制御電圧を印加してモータ82の速度を制御することができる。モータ82の速度は、Iビーム178の発射力を、エンドエフェクタ2300の関節運動角度に基づく異なる最大閾値と比較することによって制御することができる。電動モータ82の速度は、例えばモータ82に印加される電圧、電流、パルス幅変調(PWM)、又はデューティサイクル(0~100%)を調節することによって変化させることができる。
【0115】
図22及び23は、様々な異なる外科手技を実行するために使用され得るモータ駆動式外科用器具10を図示している。外科用器具10は、エンドエフェクタ3602を備えることができ、そのエンドエフェクタは、1つ又は2つ以上の電極を含むことができる。エンドエフェクタ3602は、電流が組織の中に導入され得るように、組織に対して位置決めすることができる。外科用器具10は、単極性動作又は双極性動作を行うように構成することができる。単極性動作の間、電流は、エンドエフェクタ3602上の活性(又は電源)電極によって組織中に導入され、リターン電極を通じて戻すことができる。リターン電極は接地パッドであってよく、患者の身体の上で別個に配置されてもよい。双極性動作の間、電流は、それぞれエンドエフェクタの活性電極により組織に導入され、リターン電極により組織から戻され得る。
【0116】
エンドエフェクタ3602は、第1の顎部材3604及び第2の顎部材3608を含むことができる。顎部材3604、3608のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの電極を有することができる。顎部材3604、3608のうちの少なくとも1つは、顎部材3604、3608の間の間隔が第1の位置の間隔よりも小さい位置に組織を収容するために、反対側の顎部から離間された位置から移動可能であってもよい。この移動可能な顎部の動きにより、その間に保持された組織が圧縮され得る。組織を通じて流れる電流によって発生する熱が、顎部の移動によって達成される圧縮と組み合わさって、組織内及び/又は組織間に止血封止を形成してもよく、したがって、例えば、血管を封止するために特に有用となり得る。外科用器具10は、エンドエフェクタ3602を通って延在可能であるナイフ部材3628を含むことができる。このナイフ部材3628は、組織及び電極に対して移動可能であり、組織を横切することができる。
【0117】
外科用器具10は、ステープル留め装置などの、組織を一緒にクランプするための機構、及び組織ナイフなどの、組織を切断するための機構を含むことができる。電気外科用器具10は、治療を受けている組織に近接してエンドエフェクタ3602を配置するためのシャフトを含むことができる。シャフトは、直線状であっても曲線状であってもよく、屈曲可能であっても屈曲不能であってもよい。直線状の屈曲可能なシャフトを含む電気外科用器具10では、シャフトは、シャフトの制御された屈曲を可能にするための1つ又は2つ以上の関節継手を有することができる。係る継手は、直線状の非屈曲式シャフトを有する電気外科用装置を使用して、治療されている組織に容易にアクセスできない場合に、電気外科用装置10のユーザが、シャフトに対してある角度をなしてエンドエフェクタを組織と接触させて配置することを可能にすることができる。
【0118】
電気外科用装置によって印加される電気エネルギーは、ハンドルアセンブリ3500と通信している発電機3400によって、器具に伝送することができる。電気エネルギーは、高周波(「RF」)エネルギーの形態であってもよい。RFエネルギーは、200キロヘルツ(kHz)~1メガヘルツ(MHz)の周波数範囲であり得る電気エネルギーの一形態である。印加中、電気外科用器具は、組織を通じて低周波数RFエネルギーを伝送することができ、これはイオン撹拌又は摩擦、即ち抵抗加熱を生じさせ、これによって組織の温度を増加させることができる。罹患組織と周囲組織との間にはっきりとした境界が作り出されるため、外科医は、隣接する非標的組織を犠牲にすることなく、高レベルの正確性及び制御で手術することができる。RFエネルギーの低動作温度は、軟組織を除去、収縮、又は成形しながら、同時に血管を封止するために有用である。RFエネルギーは、主にコラーゲンから構成されかつ熱に接触した際に収縮する、結合組織に対して特に良好に作用する。
【0119】
RFエネルギーは、EN 60601-2-2:2009+A11:2011,Definition 201.3.218-HIGH FREQUENCYに記載される周波数範囲であり得る。例えば、モノポーラRF用途における周波数は、典型的には、5MHz未満に制限され得る。しかしながら、バイポーラRF用途において、周波数は、ほぼどのような周波数であってもよい。200kHz超の周波数は、典型的には、低周波数の電流の使用から生じる神経及び筋肉の不必要な刺激を避けるために、モノポーラ用途に使用され得る。神経筋刺激の可能性が許容可能なレベルにまで緩和されたことをリスク分析が示す場合、より低い周波数がバイポーラ用途に使用され得る。高周波数漏洩電流に関連する問題を最小限に抑えるために、5MHz超の周波数は、通常使用されない。しかしながら、より高い周波数は、バイポーラ用途の場合には使用され得る。一般に、10mAが、組織への熱効果の下側閾値であると認識されている。
【0120】
例証した構成において、外科用器具10は、ハンドルアセンブリ3500に動作可能に結合されている交換式外科用ツールアセンブリ3600を備える。別の外科用システムの態様では、交換式外科用ツールアセンブリ3600はまた、ロボット制御又は自動化された外科用システムのツール駆動アセンブリと共に有効に使用することもできる。例えば、本明細書に開示された外科用ツールアセンブリ3600は、以下に限定されないが、SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTSと題する米国特許第9,072,535号に開示されたものなどの様々なロボットシステム、器具、構成要素、及び方法を用いて使用することができ、この開示は、それによって、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0121】
例証した態様において、ハンドルアセンブリ3500は、臨床医が把持及び操作することができるピストルグリップ部分を含むハンドルハウジング3502を含むことができる。以下に簡潔に論じるように、ハンドルアセンブリ3500は、様々な制御運動を交換式外科用ツールアセンブリ3600の対応する部分に生成及び適用するように構成されている複数の駆動システムを動作可能に支持する。
図22に示すように、ハンドルアセンブリ3500は、複数の駆動システムを動作可能に支持するハンドルフレーム3506を更に含むことができる。例えば、ハンドルフレーム3506は、一般に3510として指定された「第1の」又は閉鎖駆動システムを動作可能に支持することができ、その閉鎖駆動システムを使用して交換式外科用ツールアセンブリ3600に閉鎖及び開放運動を適用することができる。少なくとも1つの形態では、閉鎖駆動システム3510は、ハンドルフレーム3506が枢動可能に支持する閉鎖トリガ3512の形態のアクチュエータを含むことができる。係る構成により、閉鎖トリガ3512が臨床医によって操作されるのを可能にし、その結果、臨床医がハンドルアセンブリ3500のピストルグリップ部分504を把持するときに、閉鎖トリガ3512は、開始位置又は「非作動」位置から「作動」位置まで、より詳細には、完全圧縮位置又は完全作動位置まで容易に枢動され得る。使用中、閉鎖駆動システム3510を作動させるため、臨床医は、ピストルグリップ部分に向けて閉鎖トリガ3512を押し下げる。SURGICAL INSTRUMENT COMPRISING A SENSOR SYSTEMと題する米国特許出願公開第2015/0272575号に更に詳細に記載されているように、この開示は、それによって、その全体が、参照により本明細書に組み込まれるのだが、臨床医が閉鎖トリガ3512を完全に押し下げ、完全な閉鎖ストロークを達成するとき、閉鎖駆動システム3510は、閉鎖トリガ3512を完全な押し下げ位置又は完全な作動位置にロックするように構成されている。臨床医が、非作動位置に付勢させている閉鎖トリガ3512をロック解除したい場合には、臨床医は、閉鎖トリガを非作動位置に戻すことができる閉鎖解放ボタンアセンブリ3518を単純に作動させる。閉鎖解放ボタンアセンブリ3518はまた、閉鎖トリガ3512の位置を追跡するために、ハンドルアセンブリ3500内のマイクロコントローラと通信する様々なセンサと相互作用するように構成することもできる。閉鎖解放ボタンアセンブリ3518の構成及び動作に関する更なる詳細は、米国特許出願公開第2015/0272575号の中に見出すことができる。
【0122】
少なくとも1つの形態では、ハンドルアセンブリ3500及びハンドルフレーム3506は、本明細書において発射駆動システム3530と呼ばれる別の駆動システムを動作可能に支持することができ、その駆動システムは、その駆動システムに取り付けられている、交換式外科用ツールアセンブリの対応する部分に発射運動を適用するように構成されている。米国特許出願公開第2015/0272575号に詳細に記載されているように、発射駆動システム3530は、ハンドルアセンブリ3500のピストルグリップ部分内に置かれている電気モータ3505を使用することができる。様々な形態では、モータ3505は、最大回転数が、例えば約25,000RPMのDCブラシ付き駆動モータであってもよい。他の構成において、モータ3505は、ブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又は任意の他の好適な電気モータを含んでもよい。モータ3505は、一形態では、着脱可能なパワーパックを含むことができる電源3522によって給電されてもよい。パワーパックは、その中にある複数のリチウムイオン(「LI」)電池又は他の好適な電池を支持してもよい。直列に接続され得る多数の電池が、外科用器具10のための電源3522として使用されてもよい。更に、電源3522は、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。
【0123】
電気モータ3505は、モータの極性に応じて、遠位側及び近位側の長手方向に移動可能である駆動部材3540を軸方向に駆動するように構成されている。例えば、モータ3505が一方の回転方向に駆動されるとき、長手方向に移動可能である駆動部材は、遠位方向「DD」の軸方向に駆動されることになる。モータ3505が反対の回転方向に駆動されるとき、長手方向に移動可能である駆動部材3540は、近位方向「PD」の軸方向に駆動されることになる。ハンドルアセンブリ3500は、電源3522によって電気モータ3505に適用される極性を逆転させるか、又はそれ以外の方法でモータ3505を制御するように構成され得るスイッチ3513を含むことができる。ハンドルアセンブリ3500はまた、駆動部材の位置、及び/又は駆動部材が移動している方向を検出するように構成されている1つ又は複数のセンサ(図示せず)を含むこともできる。モータ3505の作動は、閉鎖トリガ3512に隣接し、かつハンドルアセンブリ3500上で枢動可能に支持される発射トリガ(図示せず)によって制御され得る。発射トリガは、非作動位置と作動位置との間で枢動されてよい。発射トリガは、ばね若しくはその他の付勢構成により非作動位置へと付勢されてもよく、これにより、臨床医が発射トリガを解放する場合に、それがばね若しくは付勢構成により非作動位置へと枢動する、又は別の方法で戻されてもよい。少なくとも1つの形態では、発射トリガは、閉鎖トリガ3512の「外付け」で配置され得る。米国特許出願公開第2015/0272575号に記載されているように、ハンドルアセンブリ3500は、発射トリガ安全ボタン(図示せず)を装備し、発射トリガの不注意による作動を防止することができる。閉鎖トリガ3512が非作動位置にある場合、安全ボタンは、ハンドルアセンブリ3500内に包含され、その場合には、臨床医は、安全ボタンに安易にアクセスすることができず、かつ発射トリガの作動を防止する安全な位置と、発射トリガが発射され得る発射位置との間で安全ボタンを動かすことができない。臨床医が閉鎖トリガを押し下げる際に、安全ボタン及び発射トリガが下方に枢動し、次に、臨床医による操作が可能になる。
【0124】
少なくとも1つの形態では、長手方向に移動可能である駆動部材3540は、モータと整合する対応する駆動ギヤ構成(図示せず)と噛み合い係合するために、上部に形成された歯形ラックを有してもよい。これらの特徴に関する更なる詳細は、米国特許出願公開第2015/0272575号に見出すことができる。しかしながら、少なくとも1つの構成において、長手方向に移動可能な駆動部材は、不注意によるRFエネルギーからその構成を保護するために絶縁されている。また、少なくとも1つの形態は、手動で作動可能な「緊急離脱」アセンブリを含むこともでき、そのアセンブリは、臨床医が、動作不能になったモータ3505の、長手方向に移動可能である駆動部材を手動で後退させることができるように構成されている。この緊急脱出アセンブリは、解放可能なドア3550の下のハンドルアセンブリ3500内に格納されるレバー又は緊急離脱ハンドルアセンブリを含んでもよい。レバーは、駆動部材内の歯とラチェット係合するように、手動で枢動するように構成されてもよい。したがって、臨床医は、緊急離脱ハンドルアセンブリを使用して駆動部材3540を手動で後退させ、駆動部材を近位方向「PD」にラチェットさせることができる。POWERED SURGICAL CUTTING AND STAPLING APPARATUS WITH MANUALLY RETRACTABLE FIRING SYSTEMと題する米国特許第8,608,045号は、その開示全体が本明細書に参照により組み込まれるのだが、本明細書にて開示した様々な交換式外科用ツールアセンブリのいずれか1つと共に使用することもできる、緊急離脱構成、並びに他の構成要素、構成、及びシステムについて開示している。
【0125】
図22に示すように、少なくとも1つの構成において、交換式外科用ツールアセンブリ3600は、上部にノズルアセンブリ3612を動作可能に支持するツールシャーシを含むツールフレームアセンブリ3610を含む。更に、SURGICAL INSTRUMENT WITH AXIALLY MOVABLE CLOSURE MEMBERと題する米国特許出願第15/635,631号に詳細に記載されているように、これは、その開示全体が本明細書に参照により組み込まれるのだが、ツールシャーシ及びノズルアセンブリ3612は、ツールシャーシに対するシャフト軸SAを中心とした外科用エンドエフェクタ3602の回転を容易にする。係る回転移動は、
図22において、矢印Rにより示されている。交換式外科用ツールアセンブリ3600は、近位側閉鎖管3622を動作可能に支持し、外科用エンドエフェクタ3602に結合されているスパインアセンブリ3630(
図3及び24を参照)を含む。様々な状況において、アセンブリを容易にするため、スパインアセンブリ3630は、スナップ形成体、接着剤、溶接などにより互いに接続された上部スパインセグメント及び下部スパインセグメントから作製することができる。組み立てられた形態において、スパインアセンブリ3630は、ツールシャーシ内に回転可能に支持されている近位端を含む。一構成では、例えば、スパインアセンブリ3630の近位端は、ツールシャーシ内に支持されるように構成されているスパインベアリング(図示せず)に取り付けられている。係る構成により、スパインアセンブリ3630のツールシャーシへの回転可能な取り付けが容易になり、その結果、スパインアセンブリは、ツールシャーシに対してシャフト軸SAを中心に選択的に回転することができる。
【0126】
例証した態様において、交換式外科用ツールアセンブリ3600は、第1の顎部3604及び第2の顎部3608を備える外科用エンドエフェクタ3602を含む。一構成において、第1の顎部は、内部に従来の(機械式)外科用ステープル/締結具カートリッジ304(
図4)又は高周波(RF)カートリッジ3606(
図22及び23)を動作可能に支持するように構成されている細長いチャネル3614を含む。第2の顎部3608は、細長いチャネル3614に対して枢動可能に支持されているアンビル3616を含む。アンビル3616は、閉鎖駆動システム3510を作動させることによって、開放位置と閉鎖位置との間を、細長いチャネル3614内に支持された外科用カートリッジに向かってかつ離間して選択的に移動することができる。例証した構成において、アンビル3616は、シャフト軸SAに対して横方向の枢動軸を中心とした選択的な枢動進行のために、細長いチャネル3614の近位端部分上に枢動可能に支持されている。閉鎖駆動システム3510の作動によって、関節運動コネクタ3618に取り付けられている近位側閉鎖部材又は近位側閉鎖管3622の遠位側の軸方向の移動を引き起こすことができる。近位側閉鎖管3622の作動は、遠位側閉鎖管セグメント3620の遠位側進行を生み出し、最終的に閉鎖運動をアンビル3616に適用することになる。
【0127】
少なくとも1つの構成において、RFエネルギーは、供給リード線3402を通じて従来のRF発生器3400により外科用ツールアセンブリ3600に供給される。少なくとも1つの構成において、供給リード線3402は、オンボード配線板3654上のセグメント化されたRF回路3656に取り付けられている対応する雌型コネクタ3410の中に差し込まれるように構成された雄型プラグアセンブリ3406を含む。
図25を参照せよ。係る構成は、発生器3400から供給リード線3402を巻き取らずにノズルアセンブリ3612を回転させることによって、ツールシャーシに対してシャフト軸SAを中心とする、シャフト及びエンドエフェクタ3602の回転進行を容易にする。オンボードのオン/オフ電源スイッチ3420が、RF発生器をオン及びオフするために、ラッチアセンブリ3624及びツールシャーシ上で支持されている。ツールアセンブリ3600がハンドルアセンブリ3500又はロボットシステムに動作可能に結合されている場合、オンボードのセグメント化されたRF回路3656は、コネクタ3668を通じて、及びいくつかの構成では、ハウジングコネクタ(図示せず)を通じてマイクロプロセッサ3560と通信する。
図22に示すように、ハンドルアセンブリ3500はまた、封止、ステープル留め、ナイフの場所、カートリッジのステータス、組織、温度等の進行についての情報を閲覧するための表示画面3430も含み得る。
図25からもわかるように、スリップリングアセンブリ3652は、遠位側コネクタ3658と整合する近位側コネクタ3666を含み、その遠位側コネクタは、ステープル留め関連活動のための複数の狭い導電体3662と、RFを目的に使用される広い導電体3664とを含み得るフレキシブルシャフト回路細片又はアセンブリ3646を含む。
図24及び25に示すように、フレキシブルシャフト回路細片3646は、ナイフバー3626を形成する積層された板又はバー3636の間の中央に支持されている。係る構成により、ナイフ部材3628が、クランプ留めされた組織を通って遠位側に前進することを可能にするのに十分な硬さを残したまま、エンドエフェクタ3602の関節運動中にナイフバー3626及びフレキシブルシャフト回路細片3646の十分なフレキシブル性を容易にする。
【0128】
少なくとも1つの構成において、細長いチャネル3614は、細長いチャネル3614の近位端から細長いチャネル3614の底部内の遠位側の場所まで延在する凹部内に支持されたチャネル回路3642を含む。チャネル回路3642は、電気接触のために、フレキシブルシャフト回路細片3646の遠位側接触部分3644と接触する近位側接触部分を含む。少なくとも1つの構成において、チャネル回路3642の遠位端は、細長いチャネル3614の壁のうちの一方に形成された対応する壁凹部内に受容され、細長いチャネル3614の壁の上部の縁端部の上に折り重ねられ、かつそれに取り付けられている。一連の対応する露出した接点が、チャネル回路3642の遠位端に設けられている。それに応じて、カートリッジ3606は、遠位側マイクロチップに取り付けられ、カートリッジ3606本体の遠位端部分に取り付けられたフレキシブルカートリッジ回路を含み得る。フレキシブルカートリッジ回路の端部が、カートリッジ3606のデッキ表面の縁端部上に折り重ねられ得、チャネル回路3642の露出した接点と電気的な接触を行うように構成された露出した接点を含む。したがって、RFカートリッジ3606が細長いチャネル3614内に装着されると、電極、並びにRFカートリッジ3606の遠位側マイクロチップは、給電され、そしてフレキシブルカートリッジ回路、フレキシブルチャネル回路3642、フレキシブルシャフト回路3646と、スリップリングアセンブリ3652との間の接点を通じてオンボードの配線板3654と通信する。RFカートリッジ3606、並びにRFカートリッジ3606と通信及び/又は相互作用する、外科用器具10の対応する回路及びセンサ構成に関する更なる詳細については、SURGICAL SYSTEM COUPLABLE WITH STAPLE CARTRIDGE AND RADIO FREQUENCY CARTRIDGE,AND METHOD OF USING SAMEと題する米国特許出願第15/636,096号の中に見出され得、この開示は、それによって、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0129】
図26は、本開示の一態様による、コントローラ1104(
図10)が実行する、外科用器具10(
図1、22)の低電力遮断をいつ開始すべきかを判定するプロセス6000の論理フロー図を例証する。様々な態様において、外科用器具10は、プロセス6000などのプロセスを実行するように構成することができ、このプロセスは、外科用器具10の様々な動作状態をモニタリングし、次いでそれらの判定された動作状態に応じて、低電力又は低電力遮断モードを開始するように構成されている。係る機能性は、例えば、外科用器具10の動作状態が完了したとプロセス6000が判定したときに、エネルギー源2512(
図14)から引き出される電力を低減するために有用であり得、これにより、外科用器具10が一般にエネルギーを節約することが可能になる。プロセス4000についての以下の説明では、
図3、
図10、及び
図16~
図23もまた、参照されたい。本明細書で使用されるとき、「ナイフ」という用語は、ナイフバー280(また、発射バー172とも呼ばれる)、切断縁端部182、及び組織を横切するために遠位側に前進する他の関連する構成要素を集合的に指し得る。
【0130】
しかるべく、コントローラ1104は、外科用器具10のナイフ状態を点検する6002。発射又はナイフ状態は、ナイフバー280が、エンドエフェクタ2300で捕捉された組織を横切するように並進運動されている、外科用器具10の動作状態である。コントローラ1104は、例えば、位置センサ1112を介してナイフシステムの構成要素の位置を検知すること、電圧がモータ1120に印加されているかどうかを検出すること、発射トリガの位置を検出すること、閉鎖駆動システム3510が作動されたかどうかを検出すること、エンドエフェクタ2300の顎部3604、3608(又はアンビル3616及びカートリッジ3606)の相対位置を検出することによって、又はこれらの組み合わせによって、ナイフバー280が発射されているかどうかを判定することができる。1つの一般的な態様において、ナイフのための発射システムが作動し、エンドエフェクタ2300がクランプされていることをコントローラ1104が検出した場合、プロセス5000は、外科用器具10が発射状態にあると判定する。
【0131】
コントローラ1104は、ナイフのための発射システムが様々な異なる方法で作動したことを検出することができる。一態様では、コントローラ1104は、ナイフバー280の並進運動を直接検知するように構成されている。この態様において、位置センサ1112によって追跡される変位部材1111は、ナイフバー280を表す。他の態様において、コントローラ1104は、代わりに、ナイフバー280に結合された構成要素の並進運動を検知することによって、ナイフバー280の並進運動を間接的に検知するように構成されている。これらの態様において、位置センサ1112によって追跡される変位部材1111は、長手方向に移動可能である駆動部材120(
図2)、Iビーム178(
図4)、又はナイフシステム若しくは発射駆動システム80の別の構成要素を表す。これらの態様のいずれにおいても、位置センサ1112が、変位部材1111が第1の(すなわち、近位側又はホーム)位置から第2の(すなわち、遠位側)位置まで前進していることを検出するとき、コントローラ1104は、それによって、ナイフバー280が発射していると判定することができる。別の態様では、コントローラ1104は、電流センサ2536(
図14)と通信可能に結合することができ、その電流センサは、モータ2504がエネルギー源2512から電力をいつ引き出しているかを検出するように構成されている。モータ2504が電力を引き出している(すなわち、電圧がモータ2504に印加されている)ことを、電流センサ2536が検出すると、コントローラ1104は、その検出によって、モータ2504が電圧印加時にナイフバー280を駆動しているため、ナイフバー280が発射していると判定することができる。更に別の態様において、他のセンサ(複数可)1118は、発射トリガ(図示せず)がいつ作動したかを判定するように構成された発射トリガセンサを含むことができる。発射トリガがナイフシステムを発射させると、発射トリガが作動されたかどうかを検出し、したがって、外科用器具10の発射状態を判定するための代理の役割を果たす。発射トリガセンサは、例えば、ハンドルアセンブリ3500に対する発射トリガの位置を検出するように構成された位置センサを含むことができる。他の様々な態様には、ナイフシステム又は発射駆動システム80がいつ作動したかを検出するように構成された前述のセンサ構成、及び/又は様々な追加のセンサが含まれる。
【0132】
コントローラ1104は、エンドエフェクタ2300が様々な異なる方法でクランプされていることを検出することができる。一態様では、他のセンサ(複数可)1118は、閉鎖トリガ3512がいつ作動したかを判定するように構成された閉鎖トリガセンサを含むことができる。閉鎖トリガ3512が閉鎖駆動システム3510を作動させると、閉鎖トリガ3512が作動したかどうかを検出することが、その結果として、エンドエフェクタ2300がクランプされた位置又はクランプ解除されていない位置にあるかどうかを判定するための代理の役割を果たす。閉鎖トリガセンサは、例えば、ハンドルアセンブリ3500に対する閉鎖トリガ3512の位置を検出するように構成された位置センサを含むことができる。他の態様は、発射制御の作動を検出するための発射トリガセンサ又は発射ボタンセンサを含むことができる。他のセンサ(複数可)1118は、閉鎖駆動システム3510の作動を検出するように構成された閉鎖駆動システムセンサを更に含むことができる。例えば、他のセンサ(複数可)1118は、閉鎖管3620によってアンビル3616上に作用する力を測定するように構成されたセンサ、若しくは閉鎖管3620の相対的な位置を測定するように構成されたセンサ、又は第1の位置と第2の位置との間を並進運動してエンドエフェクタ2300の閉鎖に影響を及ぼす、閉鎖駆動システムの別の移動可能な構成要素を含むことができる。他のセンサ(複数可)1118は、エンドエフェクタ2300の顎部3604、3608がクランプされた位置、又はクランプ解除されていない位置にあるかどうかを判定するように構成された顎部センサを更に含むことができる。例えば、他のセンサ(複数可)1118は、第1の顎部3604と第2の顎部3608との間の距離を検出するように構成されたセンサを含むことができる。第1の顎部3604及び/又は第2の顎部3608のうちの少なくとも1つの上に配設された圧力センサであって、エンドエフェクタ2300が物体(例えば、組織)上にクランプされたときを検出するように構成された圧力センサ、又は第1の顎部3604と第2の顎部3608との間に位置する組織のインピーダンスを検出するように構成されたインピーダンスセンサと、を備える。
【0133】
次いで、コントローラ1104によって実行されるプロセス6000は、ナイフ状態が能動的か又は非能動的であるとプロセス6000が判定するどうかに従って、ナイフバー280が発射しているかどうかを判定する6004。1つの具体的な例において、外科用器具10は、上述したような発射トリガセンサ、及び上述したような顎部センサを備える。コントローラ1104が、発射トリガが作動されたこと、及びエンドエフェクタ2300の顎部3604、3608が前述のセンサを介してクランプされたことを検出した場合、そのとき、プロセス6000は、外科用器具10が発射状態にあること、すなわち、ナイフバー280が、組織を横切するために前進していると判定する6004。他の様々な態様は、外科用器具10が発射状態にあるかどうかを判定するために、個別に又は組み合わせて上記のセンサ構成を含むことができる。様々なセンサ構成に関する更なる情報については、TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENTと題する米国特許出願第15/628,175号の中に見出すことができ、この開示は、それによって、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0134】
ナイフバー280が発射している場合、そのとき、プロセス6000は、YES分岐に沿って続行し、ナイフバー280がホーム位置にあるかどうかを判定する6006に進む。上述したように、ナイフバー280の位置は、直接的又は間接的に検知することができる。変位部材1111が、ナイフバー280、長手方向に移動可能である駆動部材120(
図2)、又はナイフシステム若しくは発射駆動システム80の係る長手方向に移動可能である別の構成要素を表すかどうかにかかわらず、プロセス6000は、変位部材1111の初期の位置に対する現在の位置を検出することによって、ナイフバー280がホーム位置にあるかどうかを判定することができる6004。変位部材1111が、ナイフバー280を直接表していない場合であっても、変位部材1111の位置は、それら両者が動作可能に共に結合されているため、ナイフバー280の位置に対応する。言い替えると、上述したように、例えば、長手方向に移動可能である駆動部材120の並進運動は、ナイフバー280における対応する並進運動を引き起こす。したがって、変位1111がその第1の位置又は未発射位置に位置している場合、ナイフバー280も、同様にその未発射位置に位置している。コントローラ1104は、例えば、メモリ1106から変位部材1111のホーム位置を検索し、次いで、変位部材1111の現在位置を、変位部材1111の検索されたホーム位置と比較して、変位部材1111がホーム位置にあるかどうかを判定するように構成することができる。
【0135】
ナイフバー280がそのホーム位置に位置していない場合、プロセス6000は、NO分岐に沿って続行し、ナイフバー280に横切(すなわち、発射、又は組織の切断)を継続させること6008に進む。ナイフバー280に横切を継続させた6008後に、次いで、プロセス6000は、折り返してナイフバー280がホーム位置にあるかどうかを再判定する6006。様々な態様において、プロセス6000は、ナイフバー280がホーム位置にあると判定する6006まで、このループを連続的に継続することができる。ナイフバー280に横切を継続させるステップ6008は、ナイフバー280がホーム位置に位置しているかどうかを再判定する6006前に、例えば、時間遅延を含むことができる。
【0136】
一旦、プロセス6000が、ナイフバー280がホーム位置にあると判定すると6006、プロセス6000は、YES分岐に沿って進み、次いで、外科用器具10の関節運動状態を点検する6010。一態様では、プロセス6000は、同様に進み、ナイフバー280が発射したかどうかを判定するステップ6004からのNO分岐に沿って進んだ場合、プロセス6000は、外科用器具10の関節運動状態を点検する6010。別の態様では、プロセス6000によって判定されたように6004、ナイフバー280が発射しているか否かにかかわらず、プロセス6000は、ナイフバー280がホーム位置にあるかどうかを判定する6006。この態様において、ひとたびプロセス6000が、ナイフバー280がホーム位置にあると判定すると6006、プロセス6000は、関節運動状態を点検すること6010に単に進むだけである。言い替えると、この態様において、プロセス6000は、ナイフバー280がホーム位置にあるときにのみ、続行する。
【0137】
関節運動状態は、エンドエフェクタ2300が関節運動しているか、又は静止位置にあるかどうかに対応する。エンドエフェクタ2300が関節運動しているとき、アクティブ動作状態にあると言うことができる。エンドエフェクタ2300が関節運動していないとき、非アクティブ動作状態にあると言うことができる。コントローラ1104は、例えば、位置センサ1112を介して関節運動システム2800内の構成要素の位置を検知すること、エンドエフェクタ2300の角度位置を検知すること、又はそれらの組み合わせによって、関節運動状態を判定することができる。一態様では、位置センサ1112によって追跡される変位部材1111は、関節運動ドライバ230、又は関節運動システム2800若しくは発射駆動システム80の別の構成要素を表す。別の態様では、外科用器具10は、関節運動センサ構成を含むことができ、この関節運動センサ構成は、位置センサ、及び関節運動継手2270に動作可能に結合されている磁石を交互に含むことができ、その結果、外科用器具は、関節運動継手2270の回転と一致する方法で回転する。上述したように、磁石が回転すると、位置センサの磁気検知素子は、磁石の絶対角度位置を判定し、そのとき、その絶対角度位置は、エンドエフェクタ2300の角度位置(すなわち、関節運動位置)に対応する。
【0138】
外科用器具10の関節運動状態を点検した6010の後に、プロセス6000は、次いで、エンドエフェクタ2300がホーム位置にあるかどうかを判定する6012。一態様では、プロセス6000は、変位部材1111が並進運動する間の近位側限界及び遠位側限界に対して、変位部材1111の位置(長手方向に移動可能であるドライバ部材3540、関節運動ドライバ230、又は関節運動システム2800内で移動可能である別の構成要素に対応し得る)を判定することによって、エンドエフェクタ2300がホーム位置にあるかどうかを判定する。エンドエフェクタ2300の関節運動が変位部材1111によって駆動されるため、変位部材1111の並進運動範囲の限界は、エンドエフェクタ2300の関節運動範囲の限界に対応する。このため、変位部材1111の近位側位置は、エンドエフェクタ2300の関節運動範囲の第1の限界に対応し、したがって、変位部材1111の遠位側位置は、エンドエフェクタ2300の関節運動範囲の第2の限界に対応する。それゆえに、コントローラ1104によって実行されるプロセス6000は、変位部材1111の並進運動範囲の限界に対する変位部材1111の位置に応じて、エンドエフェクタ2300がそのホーム位置にあるかどうかを判定することができる6012。エンドエフェクタ2300のホーム位置は、その関節運動範囲の限界、その関節運動範囲の限界の間の中間点、又はそれらの限界の間の任意の他の位置のうちの1つに対応することができる。一態様では、エンドエフェクタ2300のホーム位置は、その関節運動範囲内の位置に対応し、その位置で、エンドエフェクタ2300は、外科用器具10のシャフトの長手方向軸と整列される。変位部材1111の近位側位置及び遠位側位置は、例えば、メモリ1106に格納され得、コントローラ1104によって読み出されて、エンドエフェクタ2300の相対的な角度位置を計算することができる。別の態様では、プロセス4000は、関節運動継手2270及び/又はエンドエフェクタ2300が、例えば、関節運動センサ構成によって配向される角度を直接検出することによって、エンドエフェクタ2300の相対的な関節運動位置を判定する。エンドエフェクタ2300の検出された関節運動角度は、その関節運動範囲の限界と比較することができ、その限界は、例えば、メモリ1106に格納され、コントローラ1104によって読み出されて、エンドエフェクタ2300の相対位置を計算することができる。
【0139】
エンドエフェクタ2300がそのホーム位置に位置していない場合、プロセス6000は、NO分岐に沿って続行し、エンドエフェクタ2300に関節運動を継続させること6014に進む。エンドエフェクタ2300に関節運動を継続させた6014の後に、プロセス6000は、次いで、再び戻ってエンドエフェクタ2300がホーム位置にあるかどうかを再判定する6012。様々な態様において、プロセス6000は、エンドエフェクタ2300の角度位置がホーム位置であると判定する6012まで、このループを連続的に継続することができる。エンドエフェクタ2300に関節運動を継続させるステップ6014は、エンドエフェクタ2300がホーム位置に位置しているかどうかを再判定する6012の前に、例えば、時間遅延を含むことができる。
【0140】
プロセス6000が、エンドエフェクタ2300がホーム位置に位置していると判定した場合6012、プロセス6000は、YES分岐に沿って続行し、電力遮断モードを開始する6016。電力遮断モードにより、コントローラ1104がコントローラによって実行されている1つ又は2つ以上のプロセスを停止させ、かつ/又は位置センサ1112、他のセンサ(複数可)1118、表示画面3430(
図23)、及びモータ2504(
図14)などの、電源(例えば、エネルギー源2512)から電力を引き出す、外科用器具10の様々な構成要素を停止させることが可能になる。
図27に図示してある一態様において、コントローラ1104により、外科用器具10が電力遮断モードに入ったことを臨床医に視覚的に示すための画像6032を、表示画面6030に表示させることができる。画像6032は、無期限に、又は設定期間のみの間、表示することができる。要するに、ナイフバー280及びエンドエフェクタ2300が両方ともそれらのそれぞれのホーム位置にあることを、プロセス6000が検出したときに、コントローラ1104が実行するプロセス6000によって、外科用器具10が低電源モード又は電力遮断モードに入ることを可能にする。一態様において、プロセス6000は、電力遮断モードを開始する6016の前に、調節可能である又は所定の期間の間待機する追加のステップを含む。言い替えると、いくつかの態様において、ナイフ及びエンドエフェクタ2300が、特定の閾値持続時間を超過する期間の間、それらのそれぞれのホーム位置に位置されている場合、プロセス6000は、低電源モードを開始するだけである6016。
【0141】
様々な態様において、臨床医が静電容量式画面(例えば、表示画面3430)を介してコマンドを入力したとき、又は外科用器具10が揺り動かされたか、又は別の方法で操作されたかを、運動センサが検出したときに、外科用器具10は、電力遮断モードからフル電源モードに再起動するように構成されている。
【0142】
本明細書に記載された外科用器具の動作状態に応じて電力遮断モードを開始するために、外科用器具を制御するための機能又はプロセスは、
図5A~
図6に関連して説明した制御回路700、
図7~
図9で説明した回路800、810、820、
図10及び12に関連して説明したコントローラ1104、及び/又は
図14で説明した制御回路2510などの、本明細書に記載された処理回路のいずれかによって実行することができる。
【0143】
電動外科用器具の態様は、本明細書に開示される具体的な詳細を伴わずに実施されてもよい。いくつかの態様は、詳細ではなくブロック図として示されている。本開示の一部は、コンピュータメモリに格納されたデータ上で動作する命令として、表されてもよい。アルゴリズムとは、所望の結果につながる工程の自己無撞着シーケンスを指し、「工程」とは、記憶、伝達、結合、比較及び別様に操作されることが可能な電気又は磁気信号の形態をとることができる物理量の操作を指す。これらの信号は、ビット、値、要素、記号、文字、用語、数字と称され得る。これらの及び類似の用語は、適切な物理量と関連付けられてもよく、またこれらの量に適用される好都合な標識であるに過ぎない。
【0144】
一般に、広範囲のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせによって、個々にかつ/又は集合的に実装することができる、本明細書で説明する様々な態様を、様々な種類の「電気回路」から構成されるものと見なすことができる。結果として、「電気回路」は、少なくとも1つの個々の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムで構成された汎用コンピューティング装置(例えば、汎用コンピュータ、又は、本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムで構成されたプロセッサ)を形成する電気回路、メモリ装置を形成する(例えば、ランダムアクセスメモリの形態)電気回路、及び/又は、通信装置(例えばモデム、通信スイッチ、又は光学電気機器)を形成する電気回路を含む。これらの態様はアナログ形態若しくはデジタル形態、又はこれらの組み合わせで実装することができる。
【0145】
前述の説明は、1つ又は2つ以上の機能及び/又は動作を含み得る、ブロック図、フローチャート、及び/又は実施例の使用による、装置及び/又はプロセスの態様を説明している。このようなブロック図、フローチャート、又は実施例における各機能及び/又は動作は、広範囲のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は実質上これらの任意の組み合わせにより、個別に、かつ/又は集合的に実装することができる。一態様では、本明細書で記載される主題のいくつかの部分は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラマブルロジック装置(PLD)、回路、レジスタ並びに/又はソフトウェア構成要素(例えばプログラム、サブルーチン、論理並びに/若しくはハードウェア及びソフトウェア構成要素の組み合わせ)、論理ゲート、又は他の一体化フォーマットにより実装されてもよい。その全部か一部かを問わず、本明細書で開示される形態のいくつかの態様は、1台以上のコンピュータ上で稼働する1つ又は2つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1台以上のコンピュータシステム上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、1つ又は2つ以上のプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして(例えば、1つ又は2つ以上のマイクロプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、あるいは、それらの実質的に任意の組み合わせとして、集積回路において等価に実装することができ、また、回路を設計すること、並びに/又はソフトウェア及び/若しくはファームウェアのコードを記述することは、本開示を鑑みれば当業者の技能の範囲内に含まれることが、当業者には理解されよう。
【0146】
開示される主題のメカニズムは、多様な形式でプログラム製品として配布されることが可能であり、本明細書に記載される主題の例示的な態様は、配布を実際に行うために使用される特定の種類の信号搬送媒体に関係なく用いられる。信号搬送媒体の例としては以下:記録可能型の媒体、フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、デジタルテープ、コンピュータメモリなど、並びに伝送型の媒体、例えば、デジタル及び/又はアナログ通信媒体(例えば、光ファイバケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンク(例えば、送信機、受信機、送信論理、受信論理など)が挙げられる。
【0147】
これらの態様の前述の説明は、記載及び説明を目的として提示されている。包括的であることも、開示された厳密な形態に限定することも意図されていない。上記の教示を鑑みて、修正又は変形が可能である。これら態様は、原理及び実際の応用について例示し、それによって、様々な態様を様々な修正例と共に、想到される特定の用途に適するものとして当業者が利用できるようにするために、選択され記載されるものである。本明細書と共に提示される特許請求の範囲が全体的な範囲を定義することが意図される。
【0148】
本明細書に記載される主題の様々な態様は、以下の番号付けされた実施例において説明される。
実施例1。非関節運動位置と関節運動の位置との間で枢動可能であるエンドエフェクタと、エンドエフェクタに結合された変位部材であって、変位部材が、エンドエフェクタを非関節運動位置と関節運動位置との間で駆動するように、第1の位置と第2の位置との間で移動可能である、変位部材と、未発射位置と発射位置との間で移動可能であるナイフバーと、制御回路と、を備え、制御回路は、ナイフバーが未発射位置と発射位置との間で移動しているかどうかに従って発射状態を判定し、変位部材が第1の位置と第2の位置との間で移動しているかどうかに従って関節運動状態を判定し、発射状態及び関節運動状態に従って電力遮断モードを開始するように構成されている、外科用器具。
【0149】
実施例2。制御回路は、ナイフバーが未発射位置にない限り、電力遮断モードを開始しないように構成されている、実施例1に記載の外科用器具。
【0150】
実施例3。制御回路は、変位部材が第1の位置にない限り、電力遮断モードを開始しないように構成されている、実施例1又は実施例2に記載の外科用器具。
【0151】
実施例4。ナイフバーに結合された発射トリガを更に備え、発射トリガが、未発射位置と発射位置との間でナイフバーを駆動するように構成されており、その制御回路は、ナイフバーが発射トリガの位置に従って移動しているかどうかを判定するように構成されている、実施例1~実施例3のうちの少なくとも1つに記載の外科用器具。
【0152】
実施例5。ナイフバーに結合されたモータを更に備え、モータが、未発射位置及び発射位置との間でナイフバーを駆動するように構成されており、その制御回路は、ナイフバーがモータの電圧に従って移動しているかどうかを判定するように構成されている、実施例1~実施例4のうちの少なくとも1つに記載の外科用器具。
【0153】
実施例6。ナイフバーの位置を検出し、位置を示す信号を提供するように構成されたセンサを更に備え、その制御回路は、ナイフバーが信号に従って移動しているかどうかを判定するように構成されている、実施例1~実施例5のうちの少なくとも1つに記載の外科用器具。
【0154】
実施例7。変位部材の位置を検出し、位置を示す信号を提供するように構成されたセンサを更に備え、その制御回路は、変位部材が信号に従って移動しているかどうかを判定するように構成されている、実施例1~実施例6のうちの少なくとも1つに記載の外科用器具。
【0155】
実施例8。関節運動ホーム位置から枢動可能であるエンドエフェクタと、ナイフホーム位置から移動可能であるナイフバーと、制御回路と、を備え、制御回路は、ナイフバーが移動しているかどうかを判定し、エンドエフェクタが移動しているかどうかを判定し、ナイフバー及びエンドエフェクタが移動していないときに、電力遮断モードを開始するように構成されている、外科用器具。
【0156】
実施例9。制御回路は、ナイフバーがナイフホーム位置にない限り、電力遮断モードを開始しないように構成されている、実施例8に記載の外科用器具。
【0157】
実施例10。制御回路は、エンドエフェクタが関節運動ホーム位置にない限り、電力遮断モードを開始しないように構成されている、実施例8又は実施例9に記載の外科用器具。
【0158】
実施例11。ナイフバーに結合された発射トリガを更に備え、その発射トリガが、ナイフホーム位置からナイフバーを駆動するように構成されており、その制御回路は、ナイフバーが発射トリガの位置に従って移動しているかどうかを判定するように構成されている、実施例8~実施例10のうちの少なくとも1つに記載の外科用器具。
【0159】
実施例12。ナイフバーに結合されたモータを更に備え、そのモータが、ナイフホーム位置からナイフバーを駆動するように構成されており、その制御回路は、ナイフバーがモータの電圧に従って移動しているかどうかを判定するように構成されている、実施例8~実施例11のうちの少なくとも1つに記載の外科用器具。
【0160】
実施例13。ナイフバーの位置を検出し、位置を示す信号を提供するように構成されたセンサを更に備え、その制御回路は、ナイフバーが信号に従って移動しているかどうかを判定するように構成されている、実施例8~実施例12のうちの少なくとも1つに記載の外科用器具。
【0161】
実施例14。エンドエフェクタの位置を検出し、位置の信号を提供するように構成されたセンサを更に備え、その制御回路は、エンドエフェクタが信号に従って移動しているかどうかを判定するように構成されている、実施例8~実施例13のうちの少なくとも1つに記載の外科用器具。
【0162】
実施例15。エンドエフェクタと、エンドエフェクタに結合されており、第1の位置と第2の位置との間で移動可能である、変位部材と、未発射位置と発射位置との間で移動可能であるナイフバーと、を備える外科用器具を制御する方法であって、その方法は、ナイフバーが未発射位置及び発射位置との間で移動しているかどうかに従って発射状態を判定することと、変位部材が第1の位置と第2の位置との間で移動しているかどうかに従って関節運動状態を判定することと、発射状態及び関節運動状態に従って電力遮断モードを開始することと、を含む、方法。
【0163】
実施例16。電力遮断モードは、ナイフバーが未発射位置にない限り、開始されない、実施例15に記載の方法。
【0164】
実施例17。電力遮断モードは、変位部材が第1の位置にない限り、開始されない、実施例15又は実施例16に記載の方法。
【0165】
実施例18。ナイフバーに結合された発射トリガの位置に従ってナイフバーが移動しているかどうかを判定することを更に含む、実施例15~実施例17のうちの少なくとも1つに記載の方法。
【0166】
実施例19。ナイフバーに結合されたモータの電圧に従ってナイフバーが移動しているかどうかを判定することを更に含む、実施例15~実施例18のうちの少なくとも1つに記載の方法。
【0167】
実施例20。ナイフバーの位置を検出するように構成されたセンサに従ってナイフバーが移動しているかどうかを判定することを更に含む、実施例15~実施例19のうちの少なくとも1つに記載の方法。
【0168】
実施例21。変位部材の位置を検出するように構成されたセンサに従って変位部材が移動しているかどうかを判定することを更に含む、実施例15~実施例20のうちの少なくとも1つに記載の方法。
【0169】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具であって、
非関節運動位置と関節運動位置との間で枢動可能であるエンドエフェクタと、
前記エンドエフェクタに結合された変位部材であって、前記変位部材が、前記エンドエフェクタを前記非関節運動位置と前記関節運動位置との間で駆動するように、第1の位置と第2の位置との間で移動可能である、変位部材と、
未発射位置と発射位置との間で移動可能であるナイフバーと、
制御回路と、を備え、前記制御回路は、
前記ナイフバーが前記未発射位置と前記発射位置との間で移動しているかどうかに従って発射状態を判定し、
前記変位部材が前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動しているかどうかに従って関節運動状態を判定し、
前記発射状態及び前記関節運動状態に従って、電力遮断モードを開始するように構成されている、外科用器具。
(2) 前記制御回路は、前記ナイフバーが前記未発射位置にない限り、前記電力遮断モードを開始しないように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(3) 前記制御回路は、前記変位部材が前記第1の位置にない限り、前記電力遮断モードを開始しないように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(4) 前記ナイフバーに結合された発射トリガを更に備え、前記発射トリガが、前記未発射位置と前記発射位置との間で前記ナイフバーを駆動するように構成されており、
前記制御回路は、前記ナイフバーが前記発射トリガの位置に従って移動しているかどうかを判定するように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(5) 前記ナイフバーに結合されたモータを更に備え、前記モータが、前記未発射位置と前記発射位置との間で前記ナイフバーを駆動するように構成されており、
前記制御回路は、前記ナイフバーが前記モータの電圧に従って移動しているかどうかを判定するように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
【0170】
(6) 前記ナイフバーの位置を検出し、前記位置を示す信号を提供するように構成されたセンサを更に備え、
前記制御回路は、前記ナイフバーが前記信号に従って移動しているかどうかを判定するように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(7) 前記変位部材の位置を検出し、前記位置を示す信号を提供するように構成されたセンサを更に備え、
前記制御回路は、前記変位部材が前記信号に従って移動しているかどうかを判定するように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(8) 外科用器具であって、
関節運動ホーム位置から枢動可能であるエンドエフェクタと、
ナイフホーム位置から移動可能であるナイフバーと、
制御回路と、を備え、前記制御回路は、
前記ナイフバーが移動しているかどうかを判定し、
前記エンドエフェクタが移動しているかどうかを判定し、
前記ナイフバー及び前記エンドエフェクタが移動していないときに、電力遮断モードを開始するように構成されている、外科用器具。
(9) 前記制御回路は、前記ナイフバーが前記ナイフホーム位置にない限り、前記電力遮断モードを開始しないように構成されている、実施態様8に記載の外科用器具。
(10) 前記制御回路は、前記エンドエフェクタが前記関節運動ホーム位置にない限り、前記電力遮断モードを開始しないように構成されている、実施態様8に記載の外科用器具。
【0171】
(11) 前記ナイフバーに結合された発射トリガを更に備え、前記発射トリガが、前記ナイフホーム位置から前記ナイフバーを駆動するように構成されており、
前記制御回路は、前記ナイフバーが前記発射トリガの位置に従って移動しているかどうかを判定するように構成されている、実施態様8に記載の外科用器具。
(12) 前記ナイフバーに結合されたモータを更に備え、前記モータが、前記ナイフホーム位置から前記ナイフバーを駆動するように構成されており、
前記制御回路は、前記ナイフバーが前記モータの電圧に従って移動しているかどうかを判定するように構成されている、実施態様8に記載の外科用器具。
(13) 前記ナイフバーの位置を検出し、前記位置を示す信号を提供するように構成されたセンサを更に備え、
前記制御回路は、前記ナイフバーが前記信号に従って移動しているかどうかを判定するように構成されている、実施態様8に記載の外科用器具。
(14) 前記エンドエフェクタの位置を検出し、前記位置を示す信号を提供するように構成されたセンサを更に備え、
前記制御回路は、前記エンドエフェクタが前記信号に従って移動しているかどうかを判定するように構成されている、実施態様8に記載の外科用器具。
(15) エンドエフェクタと、前記エンドエフェクタに結合されており、第1の位置と第2の位置との間で移動可能である、変位部材と、未発射位置と発射位置との間で移動可能であるナイフバーと、を備える外科用器具を制御する方法であって、前記方法が、
前記ナイフバーが前記未発射位置と前記発射位置との間で移動しているかどうかに従って発射状態を判定することと、
前記変位部材が前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動しているかどうかに従って関節運動状態を判定することと、
前記発射状態及び前記関節運動状態に従って、電力遮断モードを開始することと、を含む、方法。
【0172】
(16) 前記電力遮断モードは、前記ナイフバーが前記未発射位置にない限り、開始されない、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記電力遮断モードは、前記変位部材が前記第1の位置にない限り、開始されない、実施態様15に記載の方法。
(18) 前記ナイフバーに結合された発射トリガの位置に従って前記ナイフバーが移動しているかどうかを判定することを更に含む、実施態様15に記載の方法。
(19) 前記ナイフバーに結合されたモータの電圧に従って前記ナイフバーが移動しているかどうかを判定することを更に含む、実施態様15に記載の方法。
(20) 前記ナイフバーの位置を検出するように構成されたセンサに従って前記ナイフバーが移動しているかどうかを判定することを更に含む、実施態様15に記載の方法。
【0173】
(21) 前記変位部材の位置を検出するように構成されたセンサに従って前記変位部材が移動しているかどうかを判定することを更に含む、実施態様15に記載の方法。