(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】単一ばねを有する単一機構を備える2つの格納式ヘッドを有する手動装置
(51)【国際特許分類】
B43K 24/10 20060101AFI20231113BHJP
B43K 24/14 20060101ALI20231113BHJP
B43K 24/12 20060101ALI20231113BHJP
G06F 3/03 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
B43K24/10 100
B43K24/14 100
B43K24/12
G06F3/03 400E
(21)【出願番号】P 2020522000
(86)(22)【出願日】2018-11-13
(86)【国際出願番号】 FR2018052823
(87)【国際公開番号】W WO2019097153
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-10-22
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】501436665
【氏名又は名称】ソシエテ ビック
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE BIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロリオン,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ファグ,ルドヴィック
(72)【発明者】
【氏名】ミシュノー,エチエンヌ
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-225643(JP,A)
【文献】米国特許第06290413(US,B1)
【文献】特開2000-062389(JP,A)
【文献】実開平08-000175(JP,U)
【文献】国際公開第2016/121477(WO,A1)
【文献】特開2011-051358(JP,A)
【文献】特開2000-071683(JP,A)
【文献】特開2008-307803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 24/10
B43K 24/14
B43K 24/12
G06F 3/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向(X)に延びる手動筆記装置である手動装置(10、100、200)であって、第1の遠位端(12-1)および軸方向(X)において前記第1の遠位端(12-1)の逆の第2の遠位端(12-2)を有する筐体(12、112、212)と、軸方向に移動可能な第1のヘッド(16A)であって、前記第1の遠位端(12-1)より前記筐体(12、112、212)から前記第1のヘッド(16A)が突出している使用位置と前記筐体(12、112、212)内に前記第1のヘッド(16A)が格納されている格納位置との間で軸方向に移動可能な第1のヘッド(16A)と、軸方向に移動可能な第2のヘッド(16B)であって、前記第2の遠位端(12-2)より前記筐体(12、112、212)から前記第2のヘッド(16B)が突出している使用位置と前記筐体(12、112、212)内に第2のヘッド(16B)が格納されている格納位置との間で軸方向に移動可能な第2のヘッド(16B)と、前記第1のヘッド(16A)および前記第2のヘッド(16B)を前記格納位置から前記使用位置へ、およびその逆へ移動させるように構成された単一機構(14、114、214)であって、前記単一機構(14、114、214)が、前記第1のヘッド(16A)と前記第2のヘッド(16B)の内の少なくとも一方のヘッドを有する少なくとも1つのキャリッジ(14A)、(114A1、114A2)、(214A1、214A2)、および単一ばね(14B、114B、214B)を備える、単一機構(14、114、214)と、前記第2のヘッド(16B)が前記使用位置にあるときだけ、前記第2のヘッド(16B)が有するプッシュボタン(16B1)と位置が合うように構成された径方向ボタン(18)であって、前記径方向ボタン(18)と前記プッシュボタン(16B1)とは、前記径方向ボタン(18)が押下されることにより前記プッシュボタン(16B1)が前記径方向ボタン(18)によって間接的に押され
て、それによって前記第2のヘッド(16B)が作動することとなるように、互いに位置が合うようになされている、径方向ボタン(18)と、を備え、前記第1のヘッド(16A)および前記第2のヘッド(16B)がそれぞれ前記手動装置の共通の軸部にわたって部分的に延びる、手動装置(10、100、200)。
【請求項2】
2つのキャリッジ(114A1、114A2)、(214A1、214A2)と、前記2つのキャリッジ(114A1、114A2)、(214A1、214A2)間を軸方向に延びて前記2つのキャリッジ(114A1、114A2)、(214A1、214A2)と協働する前記ばね(114B、214B)とを備える、請求項1に記載の手動装置(100、200)。
【請求項3】
前記単一機構(214)が、単一側面ボタン(214D)を備える、請求項1または2に記載の手動装置(200)。
【請求項4】
単一側面ボタン(214D)が、前記2つのキャリッジ(214A1、214A2)それぞれと協働する、請求項2または3に記載の手動装置(200)。
【請求項5】
前記単一側面ボタン(214D)が、前記2つのキャリッジの内の第1のキャリッジ(214A1)を並進移動で第1の軸方向(X1)に動かすとき、一方で前記ばね(214B)が、前記第1のキャリッジ(214A1)を並進移動で前記第1の軸方向(X1)と逆の第2の軸方向(X2)に動かそうとするように構成され、また前記単一側面ボタン(214D)が、前記2つのキャリッジの内の前記第2のキャリッジ(214A2)を並進移動で前記第2の軸方向(X2)に動かすとき、一方で前記ばね(214B)が、前記第2のキャリッジ(214A2)を並進移動で前記第1の軸方向(X1)に動かそうとするように構成される、請求項4に記載の手動装置(200)。
【請求項6】
前記単一機構(214)が、前記少なくとも1つのキャリッジ(214A1、214A2)と協働する、回転カム(214C1、214C2)を形成する少なくとも1つの歯付き環を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の手動装置(200)。
【請求項7】
前記単一機構(14、114)が、少なくとも1つの螺旋状カム軌道(14C)、(114C1、114C2)を備える機構である、請求項1または2に記載の手動装置(10、100)。
【請求項8】
前記第1のヘッド(16A)は筆記体であるが、前記第2のヘッド(16B)は、タッチスクリーンと協働するように構成された要素である、請求項1~7のいずれか一項に記載の手動装置(10、100、200)。
【請求項9】
前記
第2のヘッド(16B)が前記使用位置にあるときだけ、前記径方向ボタン(18)が押下されて前記第2のヘッド(16B)
の前記プッシュボタン(16B1)が押されることにより、前記
第2のヘッド(16B)
が作動して、前記第2のヘッド(16B)がタッチスクリーンと協働するように
、前記プッシュボタン(16B1)が構成され
ている、請求項8に記載の手動装置(10、100、200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動装置の端にそれぞれ格納式に取り付けられる2つのヘッドを備える長手方向手動装置に関する。詳細には、本発明は筆記用具に関するが、それに限定されない。
【背景技術】
【0002】
2つの格納式ヘッドを有する既知の手動装置は、一般に人間工学、サイズおよび信頼性の点から完全に満足のいくものではない。したがって、この意味においてニーズがある。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態は手動装置に関し、詳細には、第1の遠位端および軸方向に第1の遠位端の逆の第2の遠位端を有する筐体と、第1のヘッドが第1の端の筐体から突出する使用位置と第1のヘッドが筐体内に格納される格納位置との間で軸方向に移動可能な第1のヘッドと、第2のヘッドが第2の端の筐体から突出する使用位置と第2のヘッドが筐体内に格納される格納位置との間で軸方向に移動可能な第2のヘッドと、ならびに第1のヘッドおよび第2のヘッドを格納位置から使用位置に移動させるように構成され、またその逆であってもよい、第1のヘッドと第2のヘッドの内の少なくとも一方のヘッドおよび単一ばねを有する少なくとも1つのキャリッジを備える単一機構と、を備える、軸方向に延びる手動筆記装置に関する。
【0004】
一般的に、軸方向は、筐体の軸の方向に対応し、径方向は、本体の軸に垂直な方向である。方位方向または周方向は軸方向を回る環を説明する方向に対応することを理解されたい。さらに、別段の指示がない限り、形容詞「内部の」/「外部の」または「内側の」/「外側の」は、内側(すなわち、径方向側)部が、外側(すなわち、径方向外側)部より本体の軸に近くなるように径方向に関して使用される。
【0005】
ヘッドは、手動装置内で互いに軸方向に逆に配置されることを理解されたい。もちろん、筐体は、1つおよび同じ部品として、または複数の部品として形成され得る。筐体は、手動装置の外部を形成する。例えば、筆記用具の場合、例えば、ペンの場合、筐体は、ペンの外胴をなす。
【0006】
ヘッドは、任意の手動装置工具ビット、例えば、スパナまたはドライバビット、刃、パンチ、筆記体(フェルト、ボールまたはインクリザーバと共に設けられるその他の先端、シャープペンシル、鉛筆芯、チョークまたは下地に書くことができる任意の他の手段)、ブラシ、字消し、摩擦体、タッチスクリーンと協働するように構成された要素(能動または受動)(例えば、容量性、抵抗性、誘導性、赤外線、光学、静電画面など)、化粧品塗布器具(ブラシ、クレヨン、マスカラブラシ、ボール塗布具、リップスティックまたは化粧品を塗布する任意の他の手段)などによって形成され得ることを理解されたい。
【0007】
「単一機構」は、第1のヘッドを戻す/押し出すことができる1つまたは複数の要素および第2のヘッドを戻す/押し出すことができる1つまたは複数の要素が共通であることを意味する。言い換えると、単一機構は、例えば、2つのサブ機構、すなわち、各ヘッド用に1つのサブ機構を備えることができ、これらのサブ機構は、少なくとも1つの共通の部品、例えば、単一ばねを有する。第1の変形によれば、単一機構は、第1のヘッドおよび第2のヘッドを互いに独立して戻す/筐体から押し出すことができる。第2の変形によれば、単一機構ではヘッドが同時に動くことができ、したがって、他方のヘッドが押し出されている間、一方が戻され、その逆であってもよく、一方で明らかに両方のヘッドが格納される中間位置が備えられ得る。以下、別段の指示がない限り、「機構」は「単一機構」を意味する。
【0008】
機構は、2つのヘッド(例えば、上記第2の変形の場合)を有する単一キャリッジまたは代替で2つのキャリッジを備え、各キャリッジは異なるヘッドを有する(必ずしもそうではないが、例えば上記第1または第2の変形の場合に)。単一ばねはキャリッジと協働して、ヘッドが、使用位置と格納位置の間に進む場合、その移動を助ける。以下、別段の指示がない限り、「ばね」は「単一ばね」を意味する。もちろん、機構は、任意の種類、例えば、つめ、歯止めまたは螺旋状カム機構、回転カムを形成する歯付き環などであってよい。
【0009】
したがって、この種類の手動装置は、2つのヘッドを戻す/押し出すことができるその単一機構により人間工学的である。単一機構内の単一ばねの存在により、機構を小さいサイズにすることも可能になり、それにより、手動装置は、確実にほとんどのユーザの手に適合される寸法を有する小さいサイズになる。最後に、少数のばねにより単一機構が可能になるので、特に詰まり、摩耗および疲労に関して手動装置はより信頼できるようになる。
【0010】
実施形態によっては、手動装置は2つのキャリッジを備え、ばねが2つのキャリッジの間を軸方向に延び、両方のキャリッジと協働する。
【0011】
機構は、2つのキャリッジを絶対に備えることを理解されたい。例えば、ばねは、ヘリコイドばね(すなわち、螺旋形ばね)、例えば、2つのキャリッジの間を軸方向に延び、各キャリッジと当接して協働する圧縮ばねである。
【0012】
この種類の構成は、2つのキャリッジの相対的な軸方向位置と同様にばねの変形能につながった一部の自由を可能にしながら、キャリッジの軸方向移動の一部の連結を可能にする。これにより、機構のサイズ、特にばねの内側および外側の径方向サイズを低減し、その結果、手動装置のサイズを低減できる。例えば、これにより、ヘッドの一部をばねの近くに収容できる。
【0013】
実施形態によっては、機構は単一の側面ボタンを備える。
【0014】
単一のボタンにより、2つのヘッドを戻す/押し出すことができることを理解されたい。この種類のボタンは、ユーザにとって特に人間工学的であり、機構のサイズを最適化し、その結果手動装置のサイズを最適化する手助けになる。
【0015】
実施形態によっては、ボタンは2つのキャリッジそれぞれと協働する。
【0016】
ボタンは、直接または間接的に(すなわち、中間部品を介して)キャリッジと協働することを理解されたい。例えば、中間部品は、組み立てを容易にし、圧力の分散を最適化する助けになる。
【0017】
実施形態によっては、ボタンは、2つのキャリッジの内の第1のキャリッジを並進移動で第1の軸方向に動かすように構成されると同時に、ばねは、第1のキャリッジを並進移動で第1の軸方向と逆の第2の軸方向に動かしやすく、ボタンは、2つのキャリッジの内の第2のキャリッジを並進移動で第2の軸方向に動かすように構成されると同時に、ばねは、第2のキャリッジを並進移動で第1の軸方向に動かしやすい。
【0018】
言い換えると、ボタンは、第1のキャリッジから第2の軸方向に少なくとも所定の軸方向の移動にわたって連結を解かれ、第2のキャリッジから第1の軸方向に少なくとも所定の軸方向の移動にわたって連結を解かれる。したがって、ボタンは、第1のキャリッジを第1の軸方向にだけ動かすことができ、第2のキャリッジを第2の軸方向にだけ動かすことができるのが理解されよう。例えば、この種類の構成により、機構を作動させて、ヘッドを互いに独立して戻させる/押し出させることができる。この種類の構成は、ユーザにとって特に人間工学的であり、機構のサイズを最適化し、その結果手動装置のサイズを最適化する手助けになる。
【0019】
実施形態によっては、機構は、少なくとも1つのキャリッジと協働する回転カムを形成する少なくとも1つの歯付き環を備える。
【0020】
さらに、回転カムを形成する歯付き環機構は、同業者には既知である。一般に、ピストンが、同じ方向に連続して移動する場合、この種類の環の歯は、ピストンの相補的な歯と交互に協働するので、環は、ピストンを交互に2つの異なる軸方向位置で保持する。本発明の文脈では、キャリッジはピストンを形成し、環は、キャリッジによって担持されるヘッドの格納位置に対応する第1の位置および上記ヘッドの使用位置に対応する第2の位置でキャリッジを交互に保持できる。この種類の歯付き環機構は、歯付き環が、機構の径方向サイズ、および結果として手動装置のサイズを最適化することができる間、特に信頼できる。例えば、これにより、ヘッドは環を軸方向に貫通することができる。
【0021】
実施形態によっては、機構は、少なくとも1つの螺旋状カム軌道を備える機構である。
【0022】
さらに、螺旋状カム軌道機構は、同業者には既知である。もちろん、カム軌道は、螺旋の一部だけを形成してもよい。カムは、螺旋状カム軌道に従い、それにより、カムは、第1の軸方向位置と第2の軸方向位置との間で移動する。例えば、本発明の文脈では、カムはキャリッジによって形成され、したがって、カムは、キャリッジによって担持されるヘッドの格納位置に対応する第1の位置から上記ヘッドの使用位置に対応する第2の位置に交互に進む。この種類の螺旋状カム軌道は、機構の径方向サイズ、それによる結果として手動装置のサイズを最適化することができる。例えば、カム軌道は、筐体の内部面上を延び、ヘッドが延びることができる内部径方向空間を解放する。
【0023】
実施形態によっては、第1のヘッドおよび第2のヘッドはそれぞれ、手動装置の共通の軸部に部分的にわたって延びる。
【0024】
したがって、筐体の軸方向部は、第1のヘッドの一部および第2のヘッドの一部を受けることが理解されよう。この種類の構成は、2つのヘッドそれぞれを収容する十分な空間を残しながら、手動装置の全体的なサイズを最適化することができる。
【0025】
実施形態によっては、第1のヘッドは筆記体であるが、第2のヘッドは、タッチスクリーンと協働するように構成された要素である。
【0026】
以下、別段の指示がない限り、「タッチスクリーン用の要素」または「要素」は、「タッチスクリーンと協働するように構成された要素」を意味する。もちろん、タッチスクリーン要素は、能動的(すなわち、電源を備える)または受動的(すなわち、電源を備えていない)であり得る。この種類の要素は、タッチスクリーンと相互作用するように構成され、言い換えると、タッチスクリーンによって検出されるように構成される。
【0027】
実施形態によっては、手動装置は、要素が使用位置にあるときだけタッチスクリーンと協働するように構成される要素と協働するように構成されたボタンを備える。
【0028】
この種類のボタンは、要素の物理パラメータを修正することができることを理解されたい。ボタンは、格納位置から使用位置に進むとき、および逆であっても、要素の移動に従わないことも理解されよう。要素は使用位置にあるとき、ボタンの相補的な部分と位置を合わせ、それによりユーザはボタンを作動して、タッチスクリーン要素の物理パラメータを修正することができる。この種類の構成は、手動装置のサイズを最適化できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明およびその利点は、非限定的な例として与えられる本発明の異なる実施形態の以下の詳細な説明を読むことでより良く理解されるであろう。本記述は、添付図面のページを参照する。
【
図6】
図5の平面VIに沿った第3の実施形態の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
第1の実施形態による手動装置10を、
図1および2を参照して説明する。手動装置10は、軸方向Xに延び、第1の遠位端12-1および軸方向Xに第1の遠位端12-1と逆の第2の遠位端12-2を有する筐体12を備える。
【0031】
筐体12は、この例では、第1の遠位端12-1を有する第1の筐体部12Aおよび第2の遠位端12-2を有する第2の筐体部12Bを有する。第1の部分12Aおよび第2の部分12Bは、軸方向Xの周りを互いに対して回転可能であり、この例では、レリーフ12A1および環状リブ12B1を備えるスナップ嵌めシステムによって一緒に組み立てられる。筐体12は、この例では、ボールペンの筆記体である第1のヘッド16Aおよびこの例では、タッチスクリーンおよびヘッド16A、16Bを筐体12から戻す/押し出す単一機構14と協働するように構成された能動要素である第2のヘッド16Bを受け入れる。
図1では、第1のヘッド16Aは、格納位置にあるが、第2のヘッド16Bは、使用位置にある。
【0032】
機構14は、単一キャリッジ14Aおよび単一ばね14Bを備える。単一キャリッジ14Aは、この例では、第1のヘッド16Aに対する圧入および第2のヘッド16Bに対するスナップ嵌めによってキャリッジ14に固定された第1のヘッド16Aおよび第2のヘッド16Bを有する。第1のヘッド16Aおよび第2のヘッド16Bは、キャリッジ14にヘッドトゥーテールで取り付けられる。第1のヘッド16Aは、キャリッジ14の軸方向長さの約95%にわたって延びるが、第2のヘッド16Bは、キャリッジ14の軸方向長さ全体にわたって延びる。したがって、手動装置10内に取り付けられると、第1のヘッド16Aおよび第2のヘッド16Bは、手動装置10の共通の軸部にわたって延びる。
【0033】
キャリッジ14Aは、その外面に、第1の筐体部12Aの内部面上に形成された軸方向リブの軸方向端14Cによって形成されたカムと協働する螺旋状カム軌道14A1を有する。キャリッジ14Aは、第1の筐体部12Aに対して軸方向Xの周りを自由に回転し、カム14Cに当接して軸方向に協働する。キャリッジ14Aは、軸方向Xの周りを回転して第2の筐体部12Bと連結し、この例では、キャリッジ14Aの溝14A2にそれぞれ係合する第1の部分12Bの2つの軸方向リブ12B2により、第2の筐体部12Bに対して軸方向Xに自由に並進移動する。このリブ12B2/溝14A2のシステムは、軸方向Xに並進移動で軸方向にキャリッジ14Aを案内するスライドを形成する。
【0034】
単一ばね14Bは、キャリッジ14Aと第2の筐体部12Bとの間を軸方向に延びる螺旋形圧縮ばねであり、キャリッジ14Aと第2の筐体部12Bとの間で圧縮される。したがって、ばね14Bは、キャリッジ14を押し、より具体的にはカム軌道14A1をカム14Cに押して寄せる。第1の筐体部12Aを第2の筐体部12Bに対して径方向Xの周りに回転させることによって、キャリッジ14Aは、第1の筐体部12Aに対して回転させられ、したがって、カム14Cは、カム軌道14A1に沿って移動し、キャリッジ14Aの軸方向位置は、手動装置10内で変更され、同時に第1のヘッド16Aおよび第2のヘッド16Bをそれぞれの使用位置と格納位置との間で軸方向に動かす。したがって、この例では、それ自体で閉ループを形成するカム軌道14A1が、
図1に示す位置から始めて完全な回転を行う際、第2のヘッド16Bは、まず使用位置から格納位置に動かされ、第1のヘッド16Aは第1の遠位端12-1に近づくが格納位置に留まる(この位置は、両方のヘッドが格納される中間位置に対応する)。この回転運動を続けると、第1のヘッド16Aは使用位置に動かされ、第2のヘッド16Bは、第1の遠位端12-1に近づくが格納位置に留まる。さらにこの回転運動を続けると、第1のヘッド16Aは、使用位置から元の格納位置に戻り、一方で第2のヘッド16Bは、第2の遠位端12-2に近づくが格納位置のままである(中間位置に戻る)。最後に、回転を終えると、第2のヘッド16Bは、格納位置から使用位置に戻り、一方で第1のヘッド16Aは、
図1に示すように、第2の遠位端12-2に近づき、格納されたままである。もちろん、第2の部分12Aは、一方向または他方向に第2の部分12Bに対して回転して、第1のヘッド16Aおよび第2のヘッド16Bを戻させる/押し出させることができる。
【0035】
第2の筐体部12Bは、第2のヘッド16Bが使用位置にある場合だけ、第2のヘッド16Bのプッシュボタン16B1と位置を合わせる径方向ボタン18を有することに留意されたい。この例では、プッシュボタン16B1は、押された場合に第2のヘッド16Bを作動し、そうでない場合、第2のヘッド16Bを作動しない。第2のヘッド16Bが使用位置にあるとき、ボタン18が押された場合、プッシュボタン16B1が間接的に押されて、第2のヘッド16Bが作動するように、ボタン18およびプッシュボタン16B1は位置を合わせる。もちろん、第2のヘッド16Bが格納される場合、ボタン18およびプッシュボタン16B1は、位置を合わせず、第2のヘッド16Bを作動することはできない。もちろん、ボタン18は、ヘッドが能動的か受動的かその簡単な作動以外に第2のヘッド16Bの物理パラメータを変更することができる。
【0036】
第2の実施形態による手動装置100を、
図3および4を参照して説明する。手動装置100のこの第2の実施形態は、手動装置10の第1の実施形態と類似し、単一キャリッジの代わりに2つのキャリッジを備え、筐体が異なる構造を持つ点だけが異なる。第1の実施形態と第2の実施形態の間の共通の要素は、同じ参照記号を持ち、再度説明しない。
【0037】
図3では、第1のヘッド16Aは、筐体112に格納されているが、第2のヘッド16Bは、使用位置にある。筐体112は、この例では、3つの部分、具体的には、第1の部分112A、第2の部分112Bおよび第1の部分112Aに嵌合される第3の部分112Cを備える。単一機構114は、第1のキャリッジ114A1、第2のキャリッジ114A2、単一ばね114Bならびに平行する2つの螺旋状カム軌道114C1および114C2を備える。
【0038】
第1のヘッド16Aおよび第2のヘッド16Bは、例えば、スナップ嵌めまたは圧入によってそれぞれ第2のキャリッジ114A2および第1のキャリッジ114A1に取り付けられ、それぞれ、他方のキャリッジを軸方向に貫通する。それぞれのキャリッジを有するヘッドは、ヘッドトゥーテールで取り付けられる。したがって、上記ヘッドは、手動装置100内に取り付けられると、手動装置100の共通の軸部にわたって延びる。
【0039】
第3の筐体部112Cは、この例では、第1の部分112Cの軸方向溝112A1に係合された第3の部分112Cの軸方向リブ112C1を用いて、軸方向Xの周りを回転して第1の部分112Aと連結する。さらに、第1の実施形態と同様の方法で、第1の部分112A(および第3の部分112Cも)は、第1の部分112Aの第2の部分112Bの環状リブ112B1とのレリーフスナップ嵌めシステム(図示せず)により、第2の部分112Bに対して軸方向Xの周りを自由に回転する。
【0040】
第1の部分112Aは、その内部壁に第1の螺旋状カム軌道114C1を有するが、第1のカム軌道114C1に面する第3の部分112Cの軸端は、第2の螺旋状カム軌道114C2を形成する。この例では、第1のカム軌道114C1は、第2の遠位端12-2に面する軸方向カラーを形成する一方、第2のカム軌道114C2は、第1の遠位端12-1に面する軸方向カラーを形成する。
【0041】
第1のキャリッジ114A1および第2のキャリッジ114A2は、第1のカム軌道114C1および第2のカム軌道114C2とそれぞれ協働する第1のカム114A11および114A21をそれぞれ有する。ばね114Bは、第1のキャリッジ114A1と第2のキャリッジ114A2との間を軸方向に延びる螺旋形圧縮ばねであり、第1のキャリッジ114A1と第2のキャリッジ114A2との間で圧縮される。したがって、ばね114Bは、各キャリッジを押し、より具体的には各キャリッジのカムを対応するカム軌道に押して寄せる。したがって、カム軌道によって強いられたキャリッジの軸方向の移動は、ばねを介して他方のキャリッジに伝えられ、またその逆であってもよい。2つのカム軌道114C1および114C2は平行なので、2つのキャリッジ114A1および114A2は、確実に一致して軸方向に移動する。第1のキャリッジ114A1および第2のキャリッジ114A2は、この例では、軸方向に摺動するカム114A11および114A21を受け入れる第2の部分112Bの軸方向溝112B2および第1のキャリッジ114A1および第2のキャリッジ114A2の軸方向溝114A12および114A22に係合する第2の部分112Bの軸方向リブ112B3により、回転して第2の筐体部112Bと連結することに留意されたい。したがって、2つのキャリッジ114A1および114A2は、確実に、一致して軸方向Xの周りを回転するそれぞれのカム軌道に従う。
【0042】
この例では、ばね114Bは、第1のヘッド16Aに円筒形に嵌合することに留意されたい。この種類の取り付けは、機構114のサイズおよびばね114Bの支持を最適化でき、ばね114Bの第1のキャリッジ114A1および第2のキャリッジ114A2の軸方向の位置合わせに高い信頼性をもたらす。
【0043】
したがって、第1の実施形態と同様の方法で、第1の筐体部112Aを第2の提携部112Bに対して回転させることによって、カム軌道114C1および114C2がそれぞれ閉ループを形成して、第1のヘッド16Aを格納位置から使用位置に連続して移動させ、同時に第2のヘッド16Bを使用位置から格納位置に移動させながら、両方のヘッドが格納される中間位置を貫通する。
【0044】
第1の実施形態と同様の方法で、第2の筐体部112Bは、第2のヘッド16Bが使用位置にある場合だけ、第2のヘッド16Bのプッシュボタン16B1(
図3および4に図示せず)と位置を合わせる径方向ボタン18を有する。
【0045】
第3の実施形態による手動装置200を、
図5、6および7を参照して説明する。手動装置200のこの第3の実施形態は、手動装置100の第2の実施形態と類似し、単一機構が螺旋状カム軌道の代わりに回転カムを形成する2つの歯付き環を備える点、および筐体が異なる構造を持つ点だけが異なる。第1の実施形態、第2の実施形態および第3の実施形態の間の共通の要素は、同じ参照記号を持ち、再度説明しない。
【0046】
図5では、第1のヘッド16Aおよび第2のヘッド16Bは、使用位置にある。筐体212は、この例では、3つの部分、具体的には、第1の部分212A、第2の部分212Bおよび第1の部分212Aと第2の部分212Bの間で軸方向に配置される第3の部分212Cを備える。単一機構214は、第1のキャリッジ214A1、第2のキャリッジ214A2、単一ばね214B、回転カム214C1および214C2を形成する第1の歯付き環および第2の歯付き環、および単一側面ボタン214D(すなわち、軸方向Xに延びる筐体の側面に配置される)を備える。
【0047】
第1の筐体部212Aは、第3の筐体部212Cの第1の軸側のねじ切りによって取り付けられ、一方、第2の部分212Bは、軸方向に第1の軸側と逆の第3の筐体部212Cの第2の軸側のスナップ嵌めによって取り付けられる。第2の部分212Bの確実なガイド212B1は、第3の部分212Cの相補的部(図示せず)と協働し、第3の部分212Cに対する第2の部分212Bの正しい位置およびプッシュボタン16B1と第2の部分212Bの径方向ボタン18の周方向での位置合わせを確実にする。
【0048】
第1のヘッド16Aおよび第2のヘッド16Bは、例えば、スナップ嵌めまたは圧入によってそれぞれ第2のキャリッジ114A2および第1のキャリッジ14A1に貫通して取り付けられ、それぞれ、他方のキャリッジを軸方向に貫通する。それぞれのキャリッジを有するヘッドは、ヘッドトゥーテールで取り付けられる。したがって、上記ヘッドは、手動装置200内に取り付けられると、手動装置200の共通の軸部にわたって延びる。
【0049】
第1の環214C1は、第1のキャリッジ214A1に円筒形に嵌合し、第1の部分212Aのカラーおよび第3の部分212Cのカラーにより筐体212内で軸方向に閉じられる。同様に、第2の環14C2は、第2のキャリッジ214A2に円筒形に嵌合し、第2の部分212Bのカラーおよび第3の部分212Cのカラーにより筐体212内で軸方向に閉じられる。第1の環214C1の内側に配置された第1の環214C1の歯(図示せず)は、第1のキャリッジ214A1の歯214A11および214A12と協働し、交互に2つの異なる軸方向位置で第1のキャリッジ214A1を閉じる。同様に、第2の環214C2の内側に配置された第2の環214C2の歯(図示せず)は、第2のキャリッジ214A2の歯214A21および214A22と協働し、交互に2つの異なる軸方向位置で第2のキャリッジ214A2を閉じる。
【0050】
ばね214Bは、第1のキャリッジ214A1と第2のキャリッジ214A2との間を軸方向に延びる螺旋形圧縮ばねであり、第1のキャリッジ214A1と第2のキャリッジ214A2との間で圧縮される。したがって、ばね114Bは、各キャリッジを押し、より具体的には、歯214A12および214A21をそれぞれ第1の環214C1および第2の環214C2の方に、より具体的には第1の環214C1および第2の環214C2の歯の方に押す。したがって、キャリッジの第1の軸方向への移動は、ばねを介して他のキャリッジによって閉じられ、一方、同じキャリッジの第1の軸方向と逆の第2の軸方向への軸方向移動は、対応する環によって閉じられ、また逆であってもよい。
【0051】
この例では、ばね214Bは、第1のヘッド16Aに円筒形に嵌合することに留意されたい。この種類の取り付けは、機構214のサイズおよびばね214の支持を最適化でき、ばね214Bの第1のキャリッジ214A1および第2のキャリッジ214A2の軸方向の位置合わせに高い信頼性をもたらす。
【0052】
第1のキャリッジ214A1および第2のキャリッジ214A2はそれぞれ、ボタン214Dと協働する径方向突出部214A14および214A24を有する。ボタン214Dは、第1の軸方向X1に径方向突出部214A14と当接して協働するように構成された第1の軸方向カラー214D1および第1の軸方向X1と逆の第2の軸方向X2に径方向突出部214A24と当接して協働するように構成された第2の軸方向カラー214D2を有する。したがって、ボタン214Dは、第1のキャリッジ214A1を並進移動で第1の軸方向X1に動かすように構成されると同時に、ばね214Bは、第1のキャリッジ214A1を並進移動で第2の軸方向X2に動かしやすい。ボタン214Dはまた、第2のキャリッジ214A2を並進移動で第2の軸方向X2に動かすように構成されると同時に、ばね214Bは、第2のキャリッジ214A2を並進移動で第1の軸方向X1に動かしやすい。第1のキャリッジ214A1および第2のキャリッジ214A2は、リブ/溝システム(図示せず)を介して第3の部分と協働して軸方向Xの周りを回転して閉じられることに留意されたい。
【0053】
したがって、ボタン214Dを第1の軸方向X1に移動することによって、第1のキャリッジ214A1は、第1の軸方向X1に移動され(ばね214Bによる第2の軸方向X2への復帰運動を有して)、それにより歯214A11および214A12は、第1の環214C1の歯と協働し、第2のヘッド16Bは、格納位置から使用位置に移動するようになされ、その逆も同様である。同様に、ボタン214Dを第2の軸方向X2に移動することによって、第2のキャリッジ214A2は、第1の軸方向X2に移動され(ばね214Bによる第1の軸方向X1への復帰運動を有して)、それにより、歯214A21および214A22は、第2の環214C1と協働し、第1のヘッド16Aは、格納位置から使用位置に移動するようになされ、その逆も同様である。
【0054】
第1および第2の実施形態と同様の方法で、径方向ボタン18は、第2のヘッド16Bが使用位置にある場合だけ、第2のヘッド16Bのプッシュボタン16B1と位置を合わせる。
【0055】
キャリッジ、それにより、ヘッドが、一致して軸方向に移動される第1の実施形態および第2の実施形態とは異なり、第3の実施形態では、キャリッジの軸方向移動、それによりヘッドの軸方向移動は独立しており、したがって、各ヘッドは、格納位置または使用位置を互いに独立して取ることができることに留意されたい。したがって、第1の実施形態および第2の実施形態では、一方のヘッドが使用位置にあるとき、他方のヘッドは、格納位置にあるが、第3の実施形態では、両方のヘッドが同時に使用位置にあってもよく、2つのヘッドのうちの一方だけが使用位置にあることができ、一方、他方のヘッドは、格納位置にあるか、代替で、両方のヘッドが同時に格納位置にあることができる(この最後の構成は、第1および第2の実施形態出も可能である)。
【0056】
本発明を特定の実施形態を参照して説明してきたが、特許請求の範囲によって定義される本発明の全体的な範囲から逸脱しない限り、修正および変形がこれらの例になされてもよいことは明らかである。特に、図示の/上述の異なる実施形態の個別の特徴は、追加の実施形態に組み込まれてもよい。その結果、その記述および図面は、制限的な意味ではなく例示的な意味に考えられるべきでる。