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特許7383618放射標識オリゴヌクレオチドおよびその調製のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】放射標識オリゴヌクレオチドおよびその調製のための方法
(51)【国際特許分類】
   C07H 21/04 20060101AFI20231113BHJP
   C07H 21/02 20060101ALI20231113BHJP
   C07H 21/00 20060101ALI20231113BHJP
   A61K 51/04 20060101ALI20231113BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20231113BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALI20231113BHJP
   A61K 47/54 20170101ALN20231113BHJP
【FI】
C07H21/04 Z CSP
C07H21/02
C07H21/00
A61K51/04 320
C12N15/11 Z ZNA
C12Q1/68
A61K47/54
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020536858
(86)(22)【出願日】2019-01-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-30
(86)【国際出願番号】 EP2019051682
(87)【国際公開番号】W WO2019145384
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2022-01-21
(31)【優先権主張番号】18153591.5
(32)【優先日】2018-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】エ-デルマン マルティン ロベルト
【審査官】松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-521422(JP,A)
【文献】特表2005-518201(JP,A)
【文献】Nucleoside, Nucleotide & Nucleic Acids,1999年,Vol.18, No2,pp.277-289
【文献】REACTIVE AND FUNCTIONAL POLYMERS,2007年10月16日,Vol.67, No.11,pp.1373 - 1380,http://dx.doi.org/10.1016/j.reactfunctpolym.2007.07.036
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H
A61K
C12N
C12Q
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iaまたは式Ibの放射標識オリゴヌクレオチド:
式中
X 1およびX2は、互いに独立して、SまたはOであり;
リンカー1は、C2~12アルキレン架橋、1~10個のエチレングリコール単位を含むエチレングリコール架橋、または下記式
のグリセロールベースの架橋であり、ここでmは1~6の整数であり;
リンカー2は、任意でアミノ基保護されたアミノC2~12アルキレン架橋、1~10個のエチレングリコール単位を含むアミノエチレングリコール架橋であり;
の残基を表し、ここでR 2*は、3H-または14C-で標識されたC1~6アルキルであり;かつ
受容体標的指向部分は、式VII
、その対応する塩、鏡像異性体、および/または立体異性体を有するGalNAc部分であり、式中、R3は水素またはアシル基であり、かつnは0~10の整数であり、かつ
は、オリゴヌクレオチドであって、該オリゴヌクレオチドの3’末端または5’末端のどちらかで上記式Iaまたは式Ib
なる部分と結合している。
【請求項2】
式Ibである、請求項1記載の放射標識オリゴヌクレオチド:
式中、R2*、X2 リンカー1および
は請求項1で定義された通りである。
【請求項3】
式Icである、請求項1記載の放射標識オリゴヌクレオチド:
式中、受容体標的指向部分、R2*、X1およびX2、リンカー1およびリンカー2は請求項1で定義された通りであり、かつ
は、オリゴヌクレオチドであって、該オリゴヌクレオチドの3’末端で上記式Icの
なる部分と結合している。
【請求項4】
R 2*が、3H-または14C-で標識されたC1~4アルキルである、請求項1~3のいずれか一項記載の放射標識オリゴヌクレオチド。
【請求項5】
R 2*が、3H-または14C-で標識されたメチルまたはエチルである、請求項1~3のいずれか一項記載の放射標識オリゴヌクレオチド。
【請求項6】
放射標識が、3H標識である、請求項1~3のいずれか一項記載の放射標識オリゴヌクレオチド。
【請求項7】
任意で修飾されたDNA、RNA、もしくはLNAヌクレオシド単量体またはそれらの組み合わせからなる7~30ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含む、請求項1~6のいずれか一項記載の放射標識オリゴヌクレオチド。
【請求項8】
37 GBq/mmol(1 Ci/mmol)~3.7 TBq/mmol(100 Ci/mmol)の比放射能を有する、請求項1~7のいずれか一項記載の放射標識オリゴヌクレオチド。
【請求項9】
請求項1記載の式Iaまたは式Ibの放射標識オリゴヌクレオチドの調製のための方法であって、以下の工程を含む、方法:
下記式Vaまたは式Vb:
(式中
X 1およびX2は、互いに独立して、SまたはOであり;
リンカー1は、C2~12アルキレン架橋、1~10個のエチレングリコール単位を含むエチレングリコール架橋、または下記式
のグリセロールベースの架橋であり、ここでmは1~6の整数であり;
リンカー2は、任意でアミノ基保護されたアミノC2~12アルキレン架橋、1~10個のエチレングリコール単位を含むアミノエチレングリコール架橋であり;
受容体標的指向部分は、式VII
、その対応する塩、鏡像異性体、および/または立体異性体を有するGalNAc部分であり、式中、R3は水素またはアシル基であり、かつnは0~10の整数であり、かつ
は、オリゴヌクレオチドであって、該オリゴヌクレオチドの3’末端または5’末端のどちらかで上記式Vaまたは式Vb
なる部分と結合している)
のチオールを、式VI
(式中、R2*は請求項1で定義された通りである)
の放射標識マレイミド化合物とコンジュゲートさせる工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式I
(式中、n、X1およびX2、リンカー1および2、Q、ならびに受容体標的指向部分は、本明細書において後述される)の新規の放射標識オリゴヌクレオチド、その調製のための方法、ならびに組織または体液中でのオリゴヌクレオチドの生体内分布および薬物動態の決定のためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アンチセンス治療アプローチが効果を発揮するには、オリゴヌクレオチドが患者に導入されなければならず、かつ処置する特定の組織に到達しなければならない。治療薬の生体内分布および薬物動態は、その薬物を用いる処置の前の工程として決定されなければならない。そのため、体液または組織中でオリゴヌクレオチドを検出できることが必要となる。Agrawal et al., Clin. Pharmacokinetics 28, 7 (1995)(非特許文献1)は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの薬物動態の特定の局面を解説している。薬理学的化合物、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドのインビボ薬物動態研究において使用される別の十分に確立されているアプローチは、その化合物を検出できるよう放射標識することを伴う。動物モデルにおいて、放射標識オリゴヌクレオチドがその動物に投与され、体液および組織内でのそれらの分布が、オリゴヌクレオチドの抽出およびその後のオートラジオグラフィーによって評価された(Agrawal et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 88, 7595-7599 (1991)(非特許文献2)を参照のこと)。
【0003】
35S標識は、確立され広く普及している技術である。生物学研究のために、H-ホスホネート化学を用いて35S標識オリゴヌクレオチドホスホロチオエートが調製された(Garegg et al., Chem. Scr. 25, 280-282 (1985)(非特許文献3)を参照のこと)。
【0004】
14Cおよび3Hによる合成オリゴヌクレオチドの放射性同位体標識は、現在、十分に確立されている固相自動合成を用いることによって達成される。このアプローチにおいて、14Cまたは3Hヌクレオシドホスホロアミダイトのアセンブリは、US 5,847,104(特許文献1)の図1に示される2工程プロセスを必要とする。しかし、この方法には様々な不利益が伴う。放射性同位体は一番最初の工程で導入されるので、(a)2工程後の放射化学的収量は限定的であり、(b)この作業はしばしば希釈問題に悩まされる、すなわち、運用可能な合成規模を維持するために、通常、自然界で豊富な同位体がキャリアとしてブレンドされ、それによって最終オリゴの比放射能が低下し、(c)ホスホロアミダイト3(図1)は、分解しやすい反応性種であり、そのため最終放射性前駆体として厳格な貯蔵および輸送要件が必要となる。
【0005】
先行技術の方法の欠点に鑑みて、高い比放射能を有する放射標識オリゴヌクレオチドを得るための他のアプローチが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】US 5,847,104
【非特許文献】
【0007】
【文献】Agrawal et al., Clin. Pharmacokinetics 28, 7 (1995)
【文献】Agrawal et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 88, 7595-7599 (1991)
【文献】Garegg et al., Chem. Scr. 25, 280-282 (1985)
【発明の概要】
【0008】
したがって本発明の目的は、オリゴヌクレオチドの放射標識に関する新規のアプローチを提供することである。
【0009】
この目的は、新たに開発された式I
の放射標識オリゴヌクレオチドによって達成することができ、式中、
nは0または1であり;
X1およびX2は、互いに独立して、SまたはOであり;
リンカー1は、C2~12アルキレン架橋、1~10個のエチレングリコール単位を含むエチレングリコール架橋、または下記式
のグリセロールベースの架橋であり、ここでmは1~6の整数であり;
リンカー2は、任意でアミノ基保護されたアミノC2~12アルキレン架橋、1~10個のエチレングリコール単位を含むアミノエチレングリコール架橋であり;
Qは、式2aまたは2b
の残基を表し、ここでR1*およびR2*は、放射標識C1~6アルキル基であり;かつ
受容体標的指向部分は、該オリゴヌクレオチドにさらなる機能を追加する部分である。
[本発明1001]
式Iの放射標識オリゴヌクレオチド:
式中、
nは0または1であり;
X 1 およびX 2 は、互いに独立して、SまたはOであり;
リンカー1は、C 2~12 アルキレン架橋、1~10個のエチレングリコール単位を含むエチレングリコール架橋、または下記式
のグリセロールベースの架橋であり、ここでmは1~6の整数であり;
リンカー2は、任意でアミノ基保護されたアミノC 2~12 アルキレン架橋、1~10個のエチレングリコール単位を含むアミノエチレングリコール架橋であり;
Qは、式2aまたは2b
の残基を表し、ここでR 1* およびR 2* は、放射標識C 1~6 アルキル基であり;かつ
受容体標的指向部分は、該オリゴヌクレオチドにさらなる機能を追加する部分である。
[本発明1002]
Qが式2bを有し、かつコンジュゲーションがオリゴヌクレオチドの3’または5’末端に存在する、本発明1001の放射標識オリゴヌクレオチド。
[本発明1003]
Qが式2aを有し、かつコンジュゲーションがオリゴヌクレオチドの3’または5’末端に存在する、本発明1001または1002の放射標識オリゴヌクレオチド。
[本発明1004]
R 1* およびR 2* が、放射標識C 1~4 アルキル基、好ましくは放射標識メチルまたはエチル基である、本発明1001~1003のいずれかの放射標識オリゴヌクレオチド。
[本発明1005]
放射標識が、 3 Hまたは 14 C標識、好ましくは 3 H標識である、本発明1001~1004のいずれかの放射標識オリゴヌクレオチド。
[本発明1006]
任意で修飾されたDNA、RNA、もしくはLNAヌクレオシド単量体またはそれらの組み合わせからなる7~30ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含む、本発明1001~1005のいずれかの放射標識オリゴヌクレオチド。
[本発明1007]
式Ibである、本発明1001~1008のいずれかの放射標識オリゴヌクレオチド:
式中、R 2* 、X 2 、およびリンカー1は前記の通りである。
[本発明1008]
式Icである、本発明1001~1008のいずれかの放射標識オリゴヌクレオチド:
式中、R 2* 、X 1 およびX 2 、リンカー1およびリンカー2は前記の通りである。
[本発明1009]
受容体標的指向部分が、非ヌクレオチド部分、好ましくはアシアル糖タンパク質受容体標的指向部分、より好ましくは式VII
のGalNAc部分、その対応する塩、鏡像異性体、および/または立体異性体であり、式中、R 3 は水素またはヒドロキシ保護基であり、かつnは0~10、好ましくは0~5、より好ましくは1~3の整数であるが、最も好ましくは2である、本発明1001~1008のいずれかの放射標識オリゴヌクレオチド。
[本発明1010]
式Idである、本発明1001~1010のいずれかの放射標識オリゴヌクレオチド:
式中、R 1* 、X 2 、およびリンカー1は前記の通りである。
[本発明1011]
37 GBq/mmol(1 Ci/mmol)~3.7 TBq/mmol(100 Ci/mmol)、好ましくは111 GBq/mmol(3 Ci/mmol)~1.85 TBq/mmol(50 Ci/mmol)、より好ましくは185 GBq/mmol(5 Ci/mmol)~740 GBq/mmol(20 Ci/mmol)の比放射能を有する、本発明1001~1010のいずれかの放射標識オリゴヌクレオチド。
[本発明1012]
Qが式2aの残基を表す式Iの放射標識オリゴヌクレオチドの調製のための方法であって、以下の工程を含む、方法:
式III
(式中、
nは0または1であり;
X 1 およびX 2 は、互いに独立して、SまたはOであり;
リンカー1は、C 2~12 アルキレン架橋、1~10個のエチレングリコール単位を含むエチレングリコール架橋、または下記式
のグリセロールベースの架橋であり、ここでmは1~6の整数であり;
リンカー2は、任意でアミノ基保護されたアミノC 2~12 アルキレン架橋、1~10個のエチレングリコール単位を含むアミノエチレングリコール架橋であり;
受容体標的指向部分は、該オリゴヌクレオチドにさらなる機能を追加する非ヌクレオチド部分、特にアシアル糖タンパク質受容体標的指向部分、好ましくはGalNAc部分である)
のアミンを、式IV
(式中、R 1* は前記の通りである)
の放射標識スクシンイミド化合物とコンジュゲートさせる工程。
[本発明1013]
Qが式2bの残基を表す式Iの放射標識オリゴヌクレオチドの調製のための方法であって、以下の工程を含む、方法:
式V
(式中、
nは0または1であり;
X 1 およびX 2 は、互いに独立して、SまたはOであり;
リンカー1は、C 2~12 アルキレン架橋、1~10個のエチレングリコール単位を含むエチレングリコール架橋、または下記式
のグリセロールベースの架橋であり、ここでmは1~6の整数であり;
リンカー2は、任意でアミノ基保護されたアミノC 2~12 アルキレン架橋、1~10個のエチレングリコール単位を含むアミノエチレングリコール架橋であり;
受容体標的指向部分は、該オリゴヌクレオチドにさらなる機能を追加する非ヌクレオチド部分、特にアシアル糖タンパク質受容体標的指向部分、好ましくはGalNAc部分である)
のチオールを、式VI
(式中、R 2* は前記の通りである)
の放射標識マレイミド化合物とコンジュゲートさせる工程。
[本発明1014]
組織または体液中でのオリゴヌクレオチドの生体内分布および薬物動態の決定のための、本発明1001~1011のいずれかの放射標識オリゴヌクレオチドの使用。
[本発明1015]
以下の工程を含む、組織または体液中でのオリゴヌクレオチドの生体内分布および薬物動態の決定のための方法:
a)有効量の本発明1001~1011のいずれかの放射標識オリゴヌクレオチドを、試験する組織または体液へと投与する工程、ならびに
b)組織または体液中の本発明1001~1011のいずれかの放射標識オリゴヌクレオチドの生体内分布および薬物動態を測定する工程、ならびに任意で、
c)試験する組織または体液中の本発明1001~1011のいずれかの放射標識オリゴヌクレオチドをオートラジオグラフィーにより画像化する工程。
[本発明1016]
式Xのオリゴヌクレオチド:
式中、
nは0または1であり;
X 1 およびX 2 は、互いに独立して、SまたはOであり;
リンカー1は、C 2~12 アルキレン架橋、1~10個のエチレングリコール単位を含むエチレングリコール架橋、または下記式
のグリセロールベースの架橋であり、ここでmは1~6の整数であり;
リンカー2は、任意でアミノ基保護されたアミノC 2~12 アルキレン架橋、1~10個のエチレングリコール単位を含むアミノエチレングリコール架橋であり;
Qは、式2a’または2b’
の残基を表し、ここでR 1 およびR 2 は、C 1~6 アルキル基であり;かつ
受容体標的指向部分は、該オリゴヌクレオチドにさらなる機能を追加する部分である。
[本発明1017]
Qが式2b’を有し、かつコンジュゲーションがオリゴヌクレオチドの3’または5’末端に存在する、本発明1016のオリゴヌクレオチド。
[本発明1018]
Qが式2a’を有し、かつコンジュゲーションがオリゴヌクレオチドの3’または5’末端に存在する、本発明1016または1017のオリゴヌクレオチド。
[本発明1019]
R 1 およびR 2 が、C 1~4 アルキル基、好ましくはメチルまたはエチル基である、本発明1016~1018のいずれかのオリゴヌクレオチド。
[本発明1020]
任意で修飾されたDNA、RNA、もしくはLNAヌクレオシド単量体またはそれらの組み合わせからなる7~30ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含む、本発明1016~1019のいずれかのオリゴヌクレオチド。
[本発明1021]
式Xbである、本発明1016~1020のいずれかのオリゴヌクレオチド:
式中、R 2 、X 2 、およびリンカー1は前記の通りである。
[本発明1022]
式Xcである、本発明1016~1021のいずれかのオリゴヌクレオチド:
式中、R 2 、X 1 およびX 2 、リンカー1およびリンカー2は前記の通りである。
[本発明1023]
受容体標的指向部分が、非ヌクレオチド部分、好ましくはアシアル糖タンパク質受容体標的指向部分、より好ましくは式VII
のGalNAc部分、その対応する塩、鏡像異性体、および/または立体異性体であり、式中、R 3 は水素またはヒドロキシ保護基であり、かつnは0~10、好ましくは0~5、より好ましくは1~3の整数であるが、最も好ましくは2である、本発明1016~1022のいずれかのオリゴヌクレオチド。
[本発明1024]
式Xdである、本発明1016~1023のいずれかのオリゴヌクレオチド:
式中、R 1 、X 2 、およびリンカー1は前記の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図面は、以下を示すものである。
【0011】
図1】LC-MS/MSを用いて、GalNAc試験化合物A(点線)およびGalNAcなしの試験化合物A(実線)の肝臓中濃度を比較した。
図2】LSCを用いて、実施例3b(点線)および実施例3c(実線)のトリチウム標識化合物の肝臓中濃度を比較した。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の定義は、本明細書において本発明を解説するために使用される様々な用語の意味および範囲を説明および定義するために示されている。
【0013】
「C1~6アルキル」という用語は、1~6個の炭素原子、より具体的な態様では1~4個の炭素原子の一価の直鎖状または分枝状の飽和炭化水素基を表す。C1~6アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチルまたはt-ブチルを含み、好ましくはメチルまたはエチル、より好ましくはエチルである。
【0014】
同様に、「C2~12アルキル」という用語は、2~12個の炭素原子、より具体的な態様では4~8個の炭素原子、さらにより具体的な態様では6個の炭素原子の一価の直鎖状または分枝状の飽和炭化水素基を表す。具体例は、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチル、およびその異性体であるが、好ましくはn-ヘキシルである。
【0015】
「C2~12アルキレン架橋」という用語は、2~12個の炭素原子、より具体的な態様では4~8個の炭素原子、さらにより具体的な態様では6個の炭素原子の二価の直鎖状または分枝状の飽和炭化水素基を表す。具体例は、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、またはオクチレン、およびその異性体であるが、好ましくはn-ヘキシレンである。
【0016】
「アミノC2~12アルキレン架橋」という用語は、2~12個の炭素原子、より具体的な態様では4~8個の炭素原子、さらにより具体的な態様では6個の炭素原子の分枝状の飽和炭化水素基に付加されたアミノ基を含む二価基を表す。具体例は、アミノブチレン、アミノペンチレン、アミノヘキシレン、アミノヘプチレン、またはアミノオクチレン、およびその異性体であるが、好ましくはアミノn-ヘキシレン(-NH-(CH2)6-)である。
【0017】
「エチレングリコール単位」という用語は、架橋単位として1~10個のエチレングリコール単位、好ましくは2~6個のエチレングリコール単位を含み得る式-(CH2)2-O-の単位を表す。
【0018】
「グリセロール単位グリセロールベースの架橋」という用語は、式
により特徴づけられ、ここでmは1~6、好ましくは1~3の整数、より好ましくは1である。
【0019】
「アミノ保護基」という用語は、アミノ基を保護することが意図されている基を表し、ベンゾイル、ベンジルオキシカルボニル、カルボベンジルオキシ(CBZまたはZ)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルカルボニル、t-ブトキシカルボニル(BOC)、およびトリフルオロアセチルを含む。これらの基のさらなる例は、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, “Protective Groups in Organic Synthesis”, 2nd ed., John Wiley & Sons, Inc., New York, NY, 1991, chapter 7;E. Haslam, “Protective Groups in Organic Chemistry”, J. G. W. McOmie, Ed., Plenum Press, New York, NY, 1973, Chapter 5およびT.W. Greene, “Protective Groups in Organic Synthesis”, John Wiley and Sons, New York, NY, 1981において見い出される。
【0020】
オリゴヌクレオチドという用語は、本明細書で使用される場合、当業者に一般的に理解されているように、2つまたはそれ以上の共有結合により連結されたヌクレオチドを含む分子と定義される。治療上有益なオリゴヌクレオチドとして使用される場合、オリゴヌクレオチドは典型的に、7~30ヌクレオチド長で合成される。
【0021】
オリゴヌクレオチドは、任意に修飾されたDNA、RNA、もしくはLNAヌクレオシド単量体またはそれらの組み合わせからなり得る。
【0022】
LNAヌクレオシド単量体は、ヌクレオチドのリボース糖環のC2'とC4'の間にリンカー基(ビラジクル(biradicle)または架橋と称される)を含む、修飾されたヌクレオシドである。これらのヌクレオシドは、文献において架橋核酸または二環式核酸(BNA)とも称される。
【0023】
任意に修飾されたとは、本明細書で使用される場合、同等のDNA、RNA、またはLNAヌクレオシドと比較して、糖部分または核酸塩基部分の1つまたは複数の修飾の導入によって修飾されたヌクレオシドを表す。好ましい態様において、修飾されたヌクレオシドは、修飾された糖部分を含み、例えば、1つもしくは複数の2’置換ヌクレオシドおよび/または1つもしくは複数のLNAヌクレオシドを含み得る。修飾されたヌクレオシドという用語はまた、本明細書において、「ヌクレオシドアナログ」または修飾された「単位」もしくは修飾された「単量体」という用語と言い換え可能に使用され得る。
【0024】
DNA、RNA、またはLNAヌクレオシドは、一般に、2つのヌクレオシドを共有結合により一つに結合するホスホジエステル(P=O)および/またはホスホロチオエート(P=S)ヌクレオシド間連結により連結される。
【0025】
したがって、いくつかのオリゴヌクレオチドにおいては、すべてのヌクレオシド間連結がホスホジエステル(P=O)からなり得、他のオリゴヌクレオチドにおいては、すべてのヌクレオシド間連結がホスホロチオエート(P=S)からなり得、またはさらに他のオリゴヌクレオチドにおいては、ヌクレオシド間連結の配列は様々であり、ホスホジエステル(P=O)ヌクレオシド間およびホスホロチオエート(P=S)ヌクレオシド間の両方を含む。
【0026】
核酸塩基部分は、各々の対応する核酸塩基の文字コード、例えば、A、T、G、CまたはUによって示され得、ここで、各文字は、任意で、同等機能の修飾された核酸塩基を含み得る。例えば、例示のオリゴヌクレオチドにおいて、核酸塩基部分は、LNAヌクレオシドについては大文字のA、T、GおよびMeC(5-メチルシトシン)で、DNAヌクレオシドについては小文字のa、t、g、cおよびMecで表される。修飾された核酸塩基は、保護基、例えばt-ブチルフェノキシアセチル、フェノキシアセチル、ベンゾイル、アセチル、i-ブチリル、またはジメチルホルムアミジノを有する核酸塩基を含むがこれらに限定されない(2016年3月24日時点のWikipedia, Phosphoramidit-Synthese, https://de.wikipedia.org/wiki/Phosphoramidit-Syntheseを参照のこと)。
【0027】
好ましくは、オリゴヌクレオチドは、任意に修飾されたDNAもしくはLNAヌクレオシド単量体またはそれらの組み合わせからなり、10~25ヌクレオチド長である。
【0028】
オリゴヌクレオチド合成の原理は、当技術分野で周知であり、文献に十分に記載されており、Wikipedia等で公開されている(例えば、2016年3月15日時点のOligonucleotide synthesis; Wikipedia, the free encyclopedia; https://en.wikipedia.org/wiki/Oligonucleotide_synthesisを参照のこと)。
【0029】
大規模オリゴヌクレオチド合成は、今日、コンピュータ制御合成装置を用いて自動的に行われる。
【0030】
一般に、オリゴヌクレオチド合成は、固相合成であり、アセンブルされるオリゴヌクレオチドは、その3’末端のヒドロキシ基を介して固相物質に共有結合により結合され、鎖アセンブリの工程全体にわたってそれに付加された状態で維持される。適切な支持体は、GE Healthcare製のPrimer support 5GまたはKinovate製のNittoPhase(登録商標)HL支持体等の市販のマクロ多孔性ポリスチレン支持体である。
【0031】
オリゴヌクレオチド合成は、原理的に、所望の配列がアセンブルされるまで成長する鎖の5’末端への、ヌクレオチド残基の段階的付加である。
【0032】
一般に、各々の付加は、合成サイクルと称され、原理的に、
a1)固体支持体上の保護されたヒドロキシル基のブロック解除、
a2)活性化ホスホロアミダイトとしての第1のヌクレオシドと固体支持体上の遊離ヒドロキシル基の連結、
a3)各々のP連結ヌクレオシドの酸化または硫化による各々のホスホトリエステル(P=O)または各々のホスホロチオエート(P=S)の形成、
a4)任意で、固体支持体上の未反応ヒドロキシル基のキャップ、
a5)固体支持体に付加された第1のヌクレオシドの5’ヒドロキシル基のブロック解除、
a6)活性化ホスホロアミダイトとしての第2のヌクレオシドの連結による各々のP連結二量体の形成、
a7)各々のP連結ジヌクレオシドの酸化または硫化による各々のホスホトリエステル(P=O)または各々のホスホロチオエート(P=S)の形成、
a8)任意で、未反応5’ヒドロキシル基のキャップ、
a9)所望の配列がアセンブルされるまでの前工程a5~a8の反復
の化学反応からなる。
【0033】
本発明との関係で、「放射標識」という用語は、放射標識C1~6アルキル基、好ましくは放射標識C1~4アルキル基、より好ましくはメチルまたはエチル基である置換基R1*およびR2*で使用される。したがってこれらの基に適した放射標識は、その対応する放射性同位体14Cまたは3H、好ましくは3Hによる自然原子の置換を意味する。
【0034】
「受容体標的指向部分」という用語は、オリゴヌクレオチドにさらなる機能を追加する部分を表す。
【0035】
そのような部分は、オリゴヌクレオチドの機能を強化する能力を有する任意のタンパク質受容体標的部分から選択され得る。それらは、身体組織または体液へのオリゴヌクレオチドの送達を強化する能力を有するアプタマーまたは非ヌクレオチドタンパク質受容体標的部分等の、特定の分子を標的とする抗体もしくは機能性ペプチドまたはオリゴヌクレオチドを含むがこれらに限定されない。
【0036】
好ましい態様において、受容体標的指向部分は、アシアル糖タンパク質受容体標的指向部分、より好ましくはGalNAc部分である。
【0037】
GalNAc部分は、式VII
、その対応する塩、鏡像異性体、および/または立体異性体を有し、式中、R3は水素またはヒドロキシ保護基であり、かつnは0~10、好ましくは0~5、より好ましくは1~3の整数であるが、最も好ましくは2である。
【0038】
適当なヒドロキシ保護基は、アシル、特にC1~12アルキルカルボニル基、特に、C1~6アルキルまたはフェニルで置換されていてもよいC1~6アルキルカルボニル基である。アセチル、ピバロイル、またはベンゾイルがより好ましく、アセチルが最も好ましいヒドロキシ保護基である。
【0039】
好ましい態様において、GalNAc部分は、R3が水素でありnが2である式VIIを有する。
【0040】
GalNAc部分は、ペプチド結合-CO-NH-を介してリンカー2に接続される。
【0041】
GalNAcクラスター化合物は、PCT公開公報WO2017021385にしたがい調製され得る。
【0042】
式1の放射標識オリゴヌクレオチドの好ましい態様において、Qは式2bを有し、かつコンジュゲーションはオリゴヌクレオチドの3’または5’末端に存在する。
【0043】
請求項1または2の放射標識オリゴヌクレオチドの別の態様において、Qは式2aを有し、かつコンジュゲーションはオリゴヌクレオチドの3’または5’末端に存在する。
【0044】
特に好ましい稀な式1の放射標識オリゴヌクレオチドにおいて、Qは式2bを有し、かつコンジュゲーションはオリゴヌクレオチドの3’または5’末端に存在する。
【0045】
別の態様において、放射標識オリゴヌクレオチドは、式Ib
を有し、式中、
R2*は、放射標識C1~6アルキルであり、
X2は、SまたはOであり、
リンカー1は、C2~12アルキレン架橋、1~10個のエチレングリコール単位を含むエチレングリコール架橋、または下記式
のグリセロールベースの架橋であり、ここでmは1~6の整数である。
【0046】
好ましい態様において、式Ibの放射標識オリゴヌクレオチドは、その3’末端にコンジュゲーションを有する。
【0047】
式Ibの放射標識オリゴヌクレオチドの別の好ましい態様において、R2*はメチルまたはエチル、より好ましくはエチルである。
【0048】
式Ibの放射標識オリゴヌクレオチドの別の好ましい態様において、X2はSである。
【0049】
式Ibの放射標識オリゴヌクレオチドの別の好ましい態様において、リンカー1は、C2~12アルキレン架橋、好ましくはC6アルキレン架橋である。
【0050】
R2*がメチルまたはエチル、好ましくはエチルであり、X2がSであり、リンカー1がC6アルキレン架橋である式Ibの放射標識オリゴヌクレオチドが、さらにより好ましい。
【0051】
別の態様において、放射標識オリゴヌクレオチドは、式Ic
を有し、式中、
R2*は、放射標識C1~6アルキルであり、
X1およびX2は、互いに独立して、SまたはOであり、
リンカー1は、C2~12アルキレン架橋、1~10個のエチレングリコール単位を含むエチレングリコール架橋、または下記式
のグリセロールベースの架橋であり、ここでmは1~6の整数であり、
リンカー2は、任意でアミノ基保護されたアミノC2~12アルキレン架橋、1~10個のエチレングリコール単位を含むアミノエチレングリコール架橋であり、かつ
受容体標的指向部分は、該オリゴヌクレオチドにさらなる機能を追加する部分である。
【0052】
受容体標的指向部分は、上で定義された通りであるが、好ましくはアシアル糖タンパク質受容体標的指向部分、より好ましくはGalNAc部分である。
【0053】
式Icの放射標識オリゴヌクレオチドの好ましい態様において、R2*は、メチルまたはエチル、より好ましくはエチルである。
【0054】
式Icの放射標識オリゴヌクレオチドの別の好ましい態様において、X1はOであり、X2はSである。
【0055】
式Icの放射標識オリゴヌクレオチドの別の好ましい態様において、リンカー1は、C2~12アルキレン架橋、好ましくはC6アルキレン架橋である。
【0056】
式Icの放射標識オリゴヌクレオチドの別の好ましい態様において、リンカー2は、アミノC2~12アルキレン架橋、好ましくはアミノC6アルキレン架橋である。
【0057】
式Icの放射標識オリゴヌクレオチドの別の好ましい態様において、受容体標的指向部分は、式VのGalNAc部分である。
【0058】
R2*がメチルまたはエチル、好ましくはエチルであり;X1がOであり、X2がSであり;リンカー1がC6アルキレン架橋であり;リンカー2がアミノC6アルキレン架橋であり、かつ受容体標的指向部分が、R3が水素でありn=2である式VのGalNAc部分である、式Icの放射標識オリゴヌクレオチドが、さらにより好ましい。
【0059】
別の態様において、放射標識オリゴヌクレオチドは、式Id
を有し、式中、
R1*は、放射標識C1~6アルキルであり、
X2は、SまたはOであり、
リンカー1は、C2~12アルキレン架橋、1~10個のエチレングリコール単位を含むエチレングリコール架橋、または下記式
のグリセロールベースの架橋であり、ここでmは1~6の整数である。
【0060】
式Idの放射標識オリゴヌクレオチドの好ましい態様において、R1*は、メチルまたはエチル、より好ましくはエチルである。
【0061】
式Idの放射標識オリゴヌクレオチドの別の好ましい態様において、X2はSである。
【0062】
式Icの放射標識オリゴヌクレオチドの別の好ましい態様において、リンカー1は、C2~12アルキレン架橋、好ましくはC6アルキレン架橋である。
【0063】
R1*がメチルまたはエチル、好ましくはエチルであり;X2がSであり、リンカー1がC6アルキレン架橋である、式Idの放射標識オリゴヌクレオチドが、さらにより好ましい。
【0064】
式Idの放射標識オリゴヌクレオチドは、以下の化合物
により例示され得、ここでAm-C6はC6(ヘキシレン)アミノリンカーを意味し;Am-GBBはグリセロールベース架橋(m=1)アミノリンカーを意味し;Propは3H標識プロピオニルであり;*はホスホロチオエート架橋を表し;A、C、G、TはLNAヌクレオシド単量体であり、a、t、c、gはDNAヌクレオシド単量体である。
【0065】
最も好ましい態様は、式IbおよびIcの放射標識オリゴヌクレオチドである。
【0066】
式IbおよびIcの放射標識オリゴヌクレオチドは、以下の化合物
により例示され得、ここでC6SHはC6(ヘキシレン)チオールリンカーを意味し;NEMは3H標識N-エチルマレイミドであり;NMMは3H標識N-メチルマレイミドであり;*はホスホロチオエート架橋を表し;A、C、G、TはLNAヌクレオシド単量体であり、a、t、c、gはDNAヌクレオシド単量体である。
【0067】
本発明の放射標識オリゴヌクレオチドは、37 GBq/mmol(1 Ci/mmol)~3.7 TBq/mmol(100 Ci/mmol)、好ましくは111 GBq/mmol(3 Ci/mmol)~1.85 TBq/mmol(50 Ci/mmol)、より好ましくは185 GBq/mmol(5 Ci/mmol)~740 GBq/mmol(20 Ci/mmol)の比放射能を有する。
【0068】
本発明はまた、式Iの放射標識オリゴヌクレオチドの調製のための方法を包含する。
【0069】
Qが式2aの残基を表す式Iのこれらの放射標識オリゴヌクレオチドについて、前記方法は、以下の工程を含む:
式III
(式中、
X1およびX2は、互いに独立して、SまたはOであり;
リンカー1は、C2~12アルキレン架橋、1~10個のエチレングリコール単位を含むエチレングリコール架橋、または下記式
のグリセロールベースの架橋であり、ここでmは1~6の整数であり;
リンカー2は、任意でアミノ基保護されたアミノC2~12アルキレン架橋、1~10個のエチレングリコール単位を含むアミノエチレングリコール架橋であり;かつ
受容体標的指向部分は、該オリゴヌクレオチドにさらなる機能を追加する部分である)
のアミンを、式IV
(式中、R1*は前記の通りである)
の放射標識スクシンイミド化合物とコンジュゲートさせる工程。
【0070】
放射標識スクシンイミジル誘導体は、市販されている。R1*エチルを有する式IVの3H標識スクシンイミジル化合物(プロピオン酸N-スクシンイミジル;NSP)は、例えば、Pharmaron, Cardiff, UKから入手することができる。
【0071】
コンジュゲーション反応は、0℃~50℃の反応温度、有機塩基および有機溶媒の存在下または水性緩衝系中で実施され得る。
【0072】
適当な有機塩基は、第三級アミン、例えばN,N-ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)である。
【0073】
適当な水性緩衝液は、例えば、6~9のpH範囲のリン酸緩衝生理食塩水である。
【0074】
適当な溶媒は、極性非プロトン性溶媒、例えばN,N-ジメチルホルムアミドまたはジメチルスルホキシドである。
【0075】
さらなる精製のために、生じた放射標識オリゴヌクレオチドを含む反応混合物から溶媒が除去され得、そして粗生成物が、適当な水性緩衝溶液中に溶解され得る。
【0076】
精製は、当業者に周知の技術を用いる、クロマトグラフィー、濃縮、および単離の工程を本質的に含む。
【0077】
クロマトグラフィーは、典型的に移動相として水性および有機溶媒を用いるC-18逆相カラムを用いる分取HPLCである。
【0078】
クロマトグラフィーから得られる画分の濃縮は、適当な膜上でのタンジェンシャルフローフィルトレーション、特にダイアフィルトレーションによって行われ得る。
【0079】
最後に、溶出液からの放射標識オリゴヌクレオチドの単離は、典型的に、凍結乾燥によって行われ得る。
【0080】
Qが式2bの残基を表す式Iのこれらの放射標識オリゴヌクレオチドについて、前記方法は、以下の工程を含む:
式V
(式中、
X1およびX2は、互いに独立して、SまたはOであり;
リンカー1は、C2~12アルキレン架橋、1~10個のエチレングリコール単位を含むエチレングリコール架橋、または下記式
のグリセロールベースの架橋であり、ここでmは1~6の整数であり;
リンカー2は、任意でアミノ基保護されたアミノC2~12アルキレン架橋、1~10個のエチレングリコール単位を含むアミノエチレングリコール架橋であり;かつ
受容体標的指向部分は、該オリゴヌクレオチドにさらなる機能を追加する部分である)
のチオールを、式VI
(式中、R2*は前記の通りである)
の放射標識マレイミド化合物とコンジュゲートさせる工程。
【0081】
放射標識マレイミド誘導体は、市販されている。R2*メチル(販売元1)またはエチル(販売元2)を有する3H標識マレイミドは、例えば、RC Tritec, Teufen, CH(販売元1)、Pharmaron, Cardiff, UK(販売元2)から入手することができる。
【0082】
コンジュゲーション反応は、0℃~50℃の反応温度、有機溶媒の存在下で実施され得る。
【0083】
適当な溶媒は、極性非プロトン性溶媒、例えばN,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたは水性緩衝系である。
【0084】
さらなる精製のために、生じた放射標識オリゴヌクレオチドを含む反応混合物から溶媒が除去され得、そして粗生成物が、適当な水性緩衝溶液中に溶解され得る。
【0085】
精製は、当業者に周知の技術を用いる、濃縮および単離の工程を本質的に含む。
【0086】
濃縮は、適当な膜上での水溶液のタンジェンシャルフローフィルトレーション、特にダイアフィルトレーションによって行われ得る。
【0087】
本発明はさらに、組織または体液中でのオリゴヌクレオチドの生体内分布および薬物動態の決定のための放射標識オリゴヌクレオチドの使用を含む。さらに、トリチウム標識オリゴヌクレオチドは、定量全身オートラジオグラフィー(QWBA)、標的結合およびトランスポーター排出および取り込み研究を含む生物科学に適用され得る。
【0088】
本発明はまた、組織または体液中でのオリゴヌクレオチドの生体内分布および薬物動態の決定のための方法を含み、該方法は、以下の工程を含む:
a)有効量の請求項1~11のいずれか一項記載の放射標識オリゴヌクレオチドを、試験する組織または体液へと投与する工程、ならびに
b)組織または体液中の請求項1~11のいずれか一項記載の放射標識オリゴヌクレオチドの生体内分布および薬物動態を測定する工程、ならびに任意で、
c)試験する組織または体液中の請求項1~11のいずれか一項記載の放射標識オリゴヌクレオチドをオートラジオグラフィーにより画像化する工程。
【0089】
本発明はさらに、式X
のオリゴヌクレオチドを含み、式中、
nは0または1であり;
X1およびX2は、互いに独立して、SまたはOであり;
リンカー1は、C2~12アルキレン架橋、1~10個のエチレングリコール単位を含むエチレングリコール架橋、または下記式
のグリセロールベースの架橋であり、ここでmは1~6の整数であり;
リンカー2は、任意でアミノ基保護されたアミノC2~12アルキレン架橋、1~10個のエチレングリコール単位を含むアミノエチレングリコール架橋であり;
Qは、式2a’または2b’
の残基を表し、ここでR1およびR2は、C1~6アルキル基であり;かつ
受容体標的指向部分は、該オリゴヌクレオチドにさらなる機能を追加する部分である。
【0090】
式Iの放射標識オリゴヌクレオチドについて記載された好ましい態様は、式Xのオリゴヌクレオチドにも同様に適用される。
【0091】
したがって、R1およびR2は、C1~4アルキル基、好ましくはメチルまたはエチル基、より好ましくはエチル基を表す。
【0092】
式Ib、IcおよびIdの放射標識オリゴヌクレオチドについて記載された好ましい態様は、R2、X2およびリンカー1が上記の通りである式Xb
のオリゴヌクレオチド;
R2、X1およびX2、リンカー1およびリンカー2が上記の通りである式Xc
のオリゴヌクレオチド;
R1、X2およびリンカー1が上記の通りである式Xd
のオリゴヌクレオチド、ならびに
非ヌクレオチド部分である受容体標的指向部分、好ましくはアシアル糖タンパク質受容体標的指向部分、より好ましくは、R3が水素またはヒドロキシ保護基であり、かつnが0~10、好ましくは0~5、より好ましくは1~3の整数であるが、最も好ましくは2である式VII
のGalNAc部分、その対応する塩、鏡像異性体、および/または立体異性体
にも同様に適用される。
【0093】
本明細書に開示される化合物は、以下のヌクレオチド配列を有する。
【実施例
【0094】
略語:
AcOH 酢酸
Bq ベクレル
Ci キュリー
Da ダルトン
DI 脱イオン化
DIPEA N,N-ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)
DMAP 4-(ジメチルアミノ)-ピリジン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EtOH エタノール
GBB グリセロールベースの架橋
h 時間
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
i イソ
LC-MS/MS タンデム質量分析と組み合わされた液体クロマトグラフィー
LNA ロックド核酸
LSC 液体シンチレーション計測
MeOH メタノール
min 分
mM, nM ミリモル、ナノモル
mL ミリリットル
μL マイクロリットル
MS 質量分析
MW 分子量
MWCO 分子量カットオフ
n 正常
NEM N-エチルマレイミド
ng ナノグラム
nm ナノメートル
NMM N-メチルマレイミド
NSP プロピオン酸N-スクシンイミジル
p パラ
PBS リン酸緩衝生理食塩水
PCR ポリメラーゼ連鎖反応
PD 薬力学
Prop プロピオン酸塩
QC 品質管理(サンプル)
QWBA 定量全身オートラジオグラフィー
rpm 1分あたりの回転数
rt 室温
SRM 選択反応モニタリング
t 第三級
TEA トリエチルアミン
UPLC 超高速液体クロマトグラフィー
v 体積
【0095】
一般的方法:
出発物質として使用したすべてのオリゴヌクレオチドは、Roche Pharma research and early developmentが合成した。トリチウム標識されたN-[3H]エチルマレイミド(比放射能:2 TBq/mmol = 55 Ci/mmol)は、Pharmaron(Cardiff, Wales, UK)からペンタン溶液として入手した。トリチウム標識されたプロピオン酸N-[3H]スクシンイミジル(比放射能:3.8 TBq/mmol = 103 Ci/mmol)は、RC Tritec(Teufen, CH)からトルエン溶液として入手した。トリチウム化合物の液体シンチレーション計測は、HIDEX 300 SLおよびULTIMATE GOLDカクテル(PerkinElmer Inc., Waltham, MA, USA)を用いて行った。オリゴ1~3の反応モニタリングおよび純度は、HPLC Agilent 1210によって、260 nM波長、Waters XBridge RP18、4.6×150 mm、3.5μmカラム、60℃([A]=水/メタノール/ヘキサフルオロi-プロパノール/TEA:950/25/21/2.3 mL;[B]=水/メタノール/ヘキサフルオロi-プロパノール/TEA:175/800/21/2.3 mL)、流速1.0 mL/分で、以下の勾配:12分間で10%[B]~60%[B]、を用いて決定した。オリゴ4~6は、UPLC Agilent 1290によって、260 nm波長、ACQUITY UPLC Oligonucleotide BEH C18、2.1×50 mm、1.7μmカラム、80℃で、同じ溶出液および以下の勾配、6分間で10%[B]~40%、を用いて決定した。オリゴ7は、以下の勾配:6分間で10%[B]~30%、を除いてオリゴ4~6と同じ条件で分析した。質量分析は、Single Quadruple (SQ)を装備したWaters Acquity UPLC H-class Systemによって行い、ESI Mass Detector Radiochemical純度を、内部固体シンチレータを有するβ放射線HPLC検出装置RAMONA Quattro(Raytest, Straubenhardt, Germany)を用いて測定した。オリゴ1~3についての分取HPLCは、XBridge C18カラム、5μm、10 mm×250 mmと共にGilson PLC 2050によりおよび移動相[A]として水(950 mL)/メタノール(25 mL)/TEA(2.3 mL)/ヘキサフルオロi-プロパノール(21 mL)および15分間で10%[B]~60%[B]の勾配の移動相[B]として水(175 mL)/メタノール(800 mL)/TEA(2.3 mL)/ヘキサフルオロi-プロパノール(21 mL)を用いて行った。濃度は、Eppendorf BioSpectrometer(登録商標)basicによって260 nm波長および対応する算出された分子減衰係数で決定した。
【0096】
実施例1(アミンリンカーにおける非放射性コンジュゲーション)
a)本実施例で使用したオリゴヌクレオチド
MW:4520.7 g/mol;(オリゴ1)
MW:5506.5 g/mol;(オリゴ2)
MW:4553.6 g/mol;(オリゴ3)
【0097】
b)一般的反応様式
【0098】
c)一般的手順
DMF中の5’または3’末端にアミンリンカーを含む1当量のオリゴヌクレオチド(体積係数:125 mL/g)および40当量のヒューニッヒ塩基に対して、1.2当量のプロピオン酸N-スクシンイミジル(NSP)を添加し、無色の懸濁物を得た。この混合物を室温で一晩撹拌し、透明かつ無色の溶液にした。溶媒を高真空下で除去し、残留物をPBSに溶解させた。粗混合物を分取HPLCによって精製した。所望の画分をAmicon(登録商標)Pro精製システム(MWCO:3,000 Da)に移し、4000 rpmで遠心分離した。DI水を添加し、HPLC溶出液から水への交換を完遂するためにこのプロセスを4回以上繰り返した。得られた水溶液を凍結乾燥し、47%~74%の範囲の収量および96~99%の純度で無色粉末としてオリゴヌクレオチドを単離した。
【0099】
一般的手順(1.c.)にしたがい、オリゴ1~3のオリゴヌクレオチドをコンジュゲートさせた。
【0100】
実施例1.d.(コンジュゲート体1)
収量:47%、純度:99%、MS(m/z):4577.0 [M-(H)]-
【0101】
実施例1.e.(コンジュゲート体2)
収量:74%、純度:95%、MS(m/z):5561.6 [M-(H)]-
【0102】
実施例1.f.(コンジュゲート体3)
収量:60%、純度:96%、MS(m/z):4662.3 [M-(H)]-
【0103】
実施例2(チオールリンカーにおける非放射性コンジュゲーション)
a)本実施例で使用したオリゴヌクレオチド
MW:7709.5 g/mol;(オリゴ4)
MW:4537.6 g/mol;(オリゴ5)
MW:5491.5 g/mol;(オリゴ6)
MW:6742.3 g/mol;(オリゴ7)
【0104】
b)一般的反応様式
【0105】
c)一般的手順
5’または3’末端スルフヒドリルリンカーを有する1当量のオリゴヌクレオチドを、PBSに溶解した(体積係数:250 mL/g)。DMSOに溶解させた1.5当量のN-アルキル化マレイミド(メチルまたはエチル)(体積係数:1500 mL/g)をこの水溶液に添加し、室温で1時間撹拌した。UPLC分析は、オリゴヌクレオチドへのマレイミドの完全な付加を示した。緩衝液を水に交換するため、反応混合物をAmicon(登録商標)Pro精製システム(MWCO:3,000 Da)に移し、4000 rpmで遠心分離した。DI水を添加し、この交換を完遂するためにこのプロセスを4回以上繰り返した。得られた水溶液を凍結乾燥し、69%~81%の範囲の収量および96~99%の純度で無色粉末としてオリゴヌクレオチドを単離した。
【0106】
一般的手順(2.c.)にしたがい、オリゴ4~7のオリゴヌクレオチドをコンジュゲートさせた。
【0107】
実施例2.d.(コンジュゲート体4)
収量:73%、純度:99%、MS(m/z):7833.4 [M-(H)]-
【0108】
実施例2.e.(コンジュゲート体5)
収量:73%、純度:99%、MS(m/z):4662.3 [M-(H)]-
【0109】
実施例2.f.(コンジュゲート体6)
収量:81%、純度:99%、MS(m/z):4648.2 [M-(H)]-
【0110】
実施例2.g.(コンジュゲート体7)
収量:73%、純度:96%、MS(m/z):5616.2 [M-(H)]-
NMRデータはリンカーおよびNEMコンジュゲート標識に限定した。
【0111】
実施例2.h.(コンジュゲート体8)
収量:69%、純度:97%、MS(m/z):5602.2 [M-(H)]-
【0112】
実施例2.i.(コンジュゲート体9)
収量:97%、純度:99%、MS(m/z):6868.7 [M-(H)]-
【0113】
実施例3(放射性コンジュゲーションオリゴヌクレオチド)
実施例3.a. (コンジュゲート体2に基づく[3H]化合物1)
3.811 GBq/mmol(103 Ci/mmol)の比放射能を有し、2 mLトルエンに溶解させた370 MBq(10 mCi)のプロピオン酸N-[3H]スクシンイミジル(17.3μg、0.079μmol)を、22.8μgの対応する非放射性プロピオン酸N-スクシンイミジルで希釈し、1.554 TBq/mmol(42 Ci/mmol)の比放射能を有する40.1μg(0.234μmol)の総量とした。溶媒を蒸発によって除去し、残留固形物を100μl DMFに溶解した。250μL DMFおよび1.3μL(0.97μmol)DIPEAに溶解させた0.98 mg(0.167μmol)のオリゴ2を、この[3H]NSP溶液に滴下し、室温で一晩撹拌した。UPLCは、所望の生成物への40%変換を示した。反応溶液をAmicon(登録商標)Pro精製システム(MWCO:3,000 Da)に入れ、4000 rpmで遠心分離して、溶媒を分取HPLCサンプル調製のために水/メタノール/ヘキサフルオロi-プロパノール/TEA:950/25/21/2.3に交換した。分取HPLC後、対応する画分をPBSで希釈し、Amicon(登録商標)Pro精製システム(MWCO:3,000 Da)に移し、4000 rpmで遠心分離した。PBSを添加し、99%の化学純度を達成するようこのプロセスを4回以上繰り返した。体積:0.55 mL、濃度:0.32 mg/mL、量:0.19 mg(収量:19.5%)、活性51.8 MBq(1.4 mCi)、比放射能:1.554 TBq/mmol(42 Ci/mmol)に相当する262.7 MBq/mg(7.1 mCi/mg)。
【0114】
実施例3.b. (コンジュゲート体4に基づく[3H]化合物2)
4 mLペンタン中の370 MBq(10 mCi)のN-[3H]エチルマレイミド(20.5μg、0.159μmol)を、シリカゲル充填済カラム上で濃縮し、2×0.5 mL DMSOで溶出させた。1 mL PBS中のオリゴ4(1.02 mg、0.132μmol)の溶液を添加し、室温で1時間撹拌した。UPLC分析は、20%の所望の生成物を示した。非放射性NEM(166μg、1.32μmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。HPLCは、所望の生成物への完全な付加を示した。この反応溶液を、5 mL Float-A-Lyzer(登録商標)チューブ(MWCO:500~1000 Da)に移し、室温でPBS pH 7.1に対して透析した。緩衝液を4回、45分後に交換し、冷蔵庫で一晩保管した。UPLCは、93%の放射化学純度を示した。体積:2.9 mL、濃度:0.33 mg/mL、量:0.95 mg(収量:92%)、活性33.7 MBq(0.91 mCi)、比放射能:0.3 TBq/mmol(7.9 Ci/mmol)に相当する35.5 MBq/mg(953μCi/mg)。
【0115】
実施例3.c. (コンジュゲート体7に基づく[3H]化合物3)
12 mLペンタン中の1.1 GBq(30 mCi)のN-[3H]エチルマレイミド(61.5μg、0.477μmol)を、シリカゲル充填済カラム上で濃縮し、2×0.5 mL DMSOで溶出させた。1 mL PBS中のオリゴ6(2.20 mg、0.401μmol)の溶液を添加し、室温で1時間撹拌した。UPLC分析は、40%の所望の生成物を示した。非放射性NEM(502μg、4.01μmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。HPLCは、所望の生産物への完全な付加を示した。この反応溶液を、5 mL Float-A-Lyzer(登録商標)チューブ(MWCO:500~1000 Da)に移し、室温でPBS pH 7.1に対して透析した。緩衝液を4回、45分後に交換し、冷蔵庫で一晩保管した。UPLCは、高極性放射性不純物を示した。この溶液をAmicon(登録商標)Pro精製システム(MWCO:3,000 Da)に入れ、4000 rpmで遠心分離した。PBSを添加し、99%の化学純度を達成するようこのプロセスを4回以上繰り返した。体積:1.0 mL、濃度:1.58. mg/mL、量:1.58 mg(収量:70%)、活性163 MBq(4.4 mCi)、比放射能:614 MBq/mmol(16.6 Ci/mmol)に相当する104 MBq/mg(2.8 mCi/mg)。
【0116】
実施例3.d. (コンジュゲート体9に基づく[3H]化合物4)
4 mLペンタン中の370 MBq(10 mCi)のN-[3H]エチルマレイミド(20.5μg、0.159μmol)を、シリカゲル充填済カラム上で濃縮し、2×0.5 mL DMSOで溶出させ、0.5 mL PBS中のオリゴ7(1.13 mg、0.168μmol)の溶液に滴下し、室温で1.5時間撹拌した。UPLCは、45%の所望の生成物および55%の出発物質を示した。非放射性NEM(210μg、1.68μmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。HPLCは、所望の生成物への完全な付加を示した。この反応溶液をAmicon(登録商標)Pro精製システム(MWCO:3,000 Da)に移し、4000 rpmで遠心分離した。PBSを添加し、99%の化学純度を達成するようこのプロセスを4回以上繰り返した。体積:1.0 mL、濃度:1.80 mg/mL、量:1.07 mg(収量:93%)、活性71 MBq(1.91 mCi)、比放射能:481 MBq/mmol(13.0 Ci/mmol)に相当する67 MBq/mg(1.8 mCi/mg)。
【0117】
非標識およびトリチウム標識LNAの組織曝露研究 - 実施可能性研究
本研究は、以下の化合物を用いて行った:
【0118】
1 mg/kgの実施例3.b(コンジュゲート体4に基づく[3H]化合物2)および実施例3.c(コンジュゲート体7に基づく[3H]化合物3)を用いた単回用量PK実験を行った。LNAを、投与24、72および336時間後の肝臓において分析した。本研究は、放射性コンジュゲーションを含むオリゴヌクレオチドの実施可能性を確認する。
【0119】
インビボ研究のための試験的パート:
ストック溶液の調製、較正標準、および品質確認
約100 ng/mLから最大約250000 ng/mLの作業水溶液を作製するため、ストック溶液(PCR等級水中約1 mg/mL、ストック溶液の正確な濃度は、260 nmでの減衰係数に基づく分光光度計Nanodrop(Thermo Scientific)を用いて定量される)からの連続希釈を行った。
【0120】
この手順にしたがい、これらの作業溶液を用いて血漿をスパイクした:1μLの作業溶液を49μLの血漿に添加して較正サンプルおよび血漿中4つの濃度レベルの品質管理サンプルを作製した。
【0121】
抽出方法
内部標準の添加後、較正標準および品質管理サンプル(血漿を用いて新たに調製、50μL)を、タンパク質の変性のために、150μLの4Mグアニジンチオシアン酸塩で処理した。十分に混合(1600 rpmで20分間)した後、200μLの水/ヘキサフルオロイソプロパノール/ジイソプロピルエチルアミン溶液(100:4:0.2、v/v/v)を添加し、混合(1500 rpmで15分間)した。ついで、溶出および蒸発乾燥(+40℃で30~45分間)し、サンプルを200μLの移動相(水/メタノール/ヘキサフルオロイソプロパノール/ジイソプロピルエチルアミン(95/5/1/0.2、v/v/v/v))で再構成した後、固相抽出カートリッジ(Waters、OASIS HLB 5 mg、30μm)により清浄工程を行った。ボルテックスで混合(1500 rpmで10分間)後、アリコート(20μL)をLC-MS/MSシステム(50μLループ)に注入した。
【0122】
LC-MS/MS法の説明
Waters Acquity C18カラム(50×2.1 mm)を装着したShimadzu 30ADXRポンプを60℃で使用した。分析物および内部標準を、水/メタノール/ヘキサフルオロイソプロパノール/ジイソプロピルエチルアミン(95/5/1/0.2、v/v/v/v)から水/メタノール/ヘキサフルオロイソプロパノール/ジイソプロピルエチルアミン(10/90/1/0.2、v/v/v/v)への勾配溶液を用いて0.4 mL/分の流速で4.0分以内にマトリクス界面から分離した。
【0123】
質量スペクトル検出は、AB-Sciex Triple Quad 6500+質量分析計においてSRMを用いて陰イオンモードで行った。
【0124】
液体シンチレーション計測
Packard Tri-carb 3100TRをLSC分析に使用した。
【0125】
図面の詳細な説明
図1において、GalNAc LNA試験化合物A(点線)およびGalNAcなしのLNA試験化合物A(実線)の肝臓中濃度をLC-MS/MSによって分析した。GalNAc標識LNAは、予想された通り、肝臓血漿への高い初期取り込みおよび正常な経時的減少を示した。同様に、裸の、すなわちGalNAcを含まないLNAは、より低いレベルの取り込みを示した。
【0126】
図2において、実施例3.b(点線)および実施例3.c(実線)のトリチウム標識化合物の肝臓中濃度をLSCによって分析した。この図は、放射標識GalNAc化合物が、マレイミドコンジュゲーションにもかかわらず、治療用GalNAc LNAと同等の肝臓取り込み(図1)を有することを示している。
【0127】
PD効果は、非標識および放射標識オリゴヌクレオチドで同等であった。LSCによる放射活性の肝臓中LNA濃度測定は、LC-MS/MSにより決定された、治療用LNAと同様である。
【0128】
図2は、本発明の放射標識オリゴヌクレオチド化合物の高い特異性を強く示している。
図1
図2
【配列表】
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